JP2004342390A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料改質システムの始動時の始動性能を向上させる。
【解決手段】燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電する燃料電池スタック1を発電開始させてシステムを始動し、改質燃料ガスを生成するに際して、コントロールユニット2では、蒸発器4により炭化水素系の原燃料を気化させずに、改質器5のプラズマ発生装置12により原燃料及び水を気化させ、改質触媒13にて改質した改質燃料ガスを生成して燃料電池スタック1に供給する。
【選択図】 図1
【解決手段】燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電する燃料電池スタック1を発電開始させてシステムを始動し、改質燃料ガスを生成するに際して、コントロールユニット2では、蒸発器4により炭化水素系の原燃料を気化させずに、改質器5のプラズマ発生装置12により原燃料及び水を気化させ、改質触媒13にて改質した改質燃料ガスを生成して燃料電池スタック1に供給する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両に搭載されて、当該車両の駆動トルクを発生させるために燃料電池スタックに発電させる燃料電池システムに関し、特に、原燃料を改質することで燃料ガスを生成して燃料電池スタックに供給する燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、原燃料を改質して燃料電池スタックを発電させるための燃料ガスを生成する燃料改質システムを備えた改質型燃料電池システムが、下記の特許文献1などにて知られている。
【0003】
この改質型燃料電池システムでは、燃料改質システムの始動時に原燃料蒸発器に供給する原燃料量を制限し、燃焼器から蒸発器に燃焼ガスを供給することで、原燃料蒸発器での熱量低下を抑制している。この燃焼ガスは、その後改質器に供給され、改質器の昇温に使用されるが、高い熱量を保持した状態であるので、改質器を速やかに昇温することが可能となる。このように、従来の触媒を使用した改質器を備えた燃料電池システムにおいては、その始動時に、始動時間等の始動性能を向上させようとする技術が知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−297903号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の改質型燃料電池システムでは、燃料改質システムの始動時に供給する原燃料量を制限しているので、十分な水素発生量を得ることが困難であり、改質器から燃料電池スタックに供給する水素が不足することがあり、燃料電池スタックの出力が低下するおそれがある。
【0006】
また、従来の改質型燃料電池システムでは、燃料改質システムの始動時に蒸発器の性能を十分に得るためには蒸発器の暖機を行う必要があるが、暖機を行っている間は原燃料蒸発器の蒸発能力が低下するという問題点がある。
【0007】
更に、従来の改質型燃料電池システムでは、燃料改質システムの始動時に改質器や原燃料蒸発器の暖機を行うために、始動用の燃焼器を設ける必要があるため、システムの複雑化や燃焼器の大型化を招くという問題点がある。
【0008】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、燃料改質システムの始動時の始動性能を向上させることができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明では、燃料電池スタックを発電開始させるために、システムを始動し、燃料ガスを生成するに際して、蒸発器により炭化水素系の原燃料を気化させずに、改質器のプラズマ発生装置により原燃料を気化させ、改質した燃料ガスを生成して前記燃料電池スタックに供給することで、上述の課題を解決する。
【0010】
【発明の効果】
本発明によれば、システム始動時に、蒸発器により炭化水素系の原燃料を気化させずに、改質器のプラズマ発生装置により原燃料を気化させ、改質した燃料ガスを生成して前記燃料電池スタックに供給するので、燃料電池スタックに送る燃料ガスを生成開始するときに改質器や蒸発器の暖機を行う必要が無くなる。したがって、本発明によれば、改質器や蒸発器の暖機を行った後に、改質器に原燃料を供給する期間を経ることなく燃料電池スタックに改質燃料ガスを供給開始することができ、始動時の始動性能を向上させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
本発明は、例えば図1に示すように構成された燃料電池システムに適用される。この燃料電池システムは、例えば燃料電池車両に搭載され、負荷装置として搭載された駆動モータや燃料電池スタックを発電させる補機類等に電力供給することにより、車両走行するための駆動トルクを発生させるものである。
【0013】
[燃料電池システムの構成]
燃料電池システムは、図1に示すように、当該燃料電池システムの主電源であって、発電反応を発生させるための水素を多量に含む燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガスとが供給されることによって発電する燃料電池スタック1を備える。この燃料電池スタック1は、固体高分子電解質膜を挟んで、酸化剤ガスを供給する空気極と燃料ガスを供給する水素極とを対設した燃料電池セル構造体をセパレータで挟持し、セル構造体を複数積層することによって構成されている。すなわち、この燃料電池スタック1による発電は、水素極にて水素が電子を放出してイオン化し、生成された水素イオン(H+)が高分子電解質膜を通過して空気極に到達し、この水素イオンが空気極にて酸素と結合して水(H2O)を生成することによって行われる。
【0014】
また、燃料電池システムは、各部の動作を制御して燃料電池スタック1の発電反応を制御する制御手段であるコントロールユニット2を備える。このコントロールユニット2は、例えば図示しないROM(Read Only Memory)等の記憶部に、燃料電池システムを起動して負荷装置に対して電力供給を行う一連の処理手順を記述した燃料電池起動プログラムを格納し、当該燃料電池起動プログラムを図示しないCPU(Central Processing Unit)等によって実行することにより、後述する各部を制御する。
【0015】
この燃料電池システムにおいて、燃料ガスは、コントロールユニット2の制御のもとに、燃料電池スタック1に供給され、空気は、外気を取り込むエアコンプレッサといった図示しない空気供給系から圧送されることで、燃料電池スタック1に供給される。このとき、コントロールユニット2は、外部からの燃料電池スタック1の発電要求に応じて、エアコンプレッサの駆動量及び空気制御バルブ3の開度を制御し、空気流量及び空気圧力を制御する。また、コントロールユニット2は、空気極の入り口付近に設けられた図示しない圧力センサからのセンサ信号を読み込んで空気流量及び空気圧力を制御する。そして、空気は、燃料電池スタック1の発電反応に使用され、余剰分が燃料電池スタック1から排出される。
【0016】
また、この燃料電池システムでは、蒸発器4と、燃焼器11、プラズマ発生装置12及び改質触媒13が一体に形成されてなる改質器5と、CO変成器6とからなる改質システムを備える。この改質システムにおいては、燃料電池スタック1を発電させるに際して、コントロールユニット2の制御に従って、燃料電池スタック1に供給する改質燃料ガスを生成する。
【0017】
蒸発器4は、図示しない原燃料貯蔵部からの原燃料を内部に供給する第1原燃料噴射弁21と、図示しない水貯蔵部からの水を内部に供給する第1水噴射弁22とが設けられている。この蒸発器4は、燃料電池スタック1に改質燃料ガスを供給するに際して、コントロールユニット2の制御に従って、第1原燃料噴射弁21が作動されることで原燃料が供給されると共に、第1水噴射弁22が作動されることで水が供給される。そして、蒸発器4では、燃焼器11からの燃焼ガスと原燃料及び水とを熱交換することで、原燃料及び水を蒸発させて気化し、原燃料ガスとして改質器5のプラズマ発生装置12に供給する。
【0018】
この原燃料ガスは、燃焼器11により加熱が行われながらプラズマ発生装置12及び改質触媒13により改質反応がなされる。
【0019】
ここで、プラズマ発生装置12には、第2原燃料噴射弁23及び第2水噴射弁24が設けられ、当該第2原燃料噴射弁23及び第2水噴射弁24がコントロールユニット2により作動されることで、図示しない原燃料貯蔵部及び水貯蔵部から原燃料及び水が供給される。また、燃焼器11には、第3原燃料噴射弁25が設けられ、当該第3原燃料噴射弁25がコントロールユニット2により作動されることで、図示しない原燃料貯蔵部から原燃料が供給される。
【0020】
改質器5では、燃料電池スタック1から排出された余剰分の改質燃料ガスを燃焼器11により燃焼して熱を発生させると共に、コントロールユニット2の制御により、熱量が不足した場合に第3原燃料噴射弁25を介して燃焼器11に原燃料が供給される。これにより、燃焼器11では、改質反応に必要な熱量を保持して、プラズマ発生装置12及び改質触媒13、並びに蒸発器4に熱を伝達する。
【0021】
プラズマ発生装置12では、蒸発器4から炭化水素系(CnHm)の原燃料ガスが供給されるとき、コントロールユニット2の制御に従って、内部の高電圧発生装置により電圧が供給される。プラズマ発生装置12では、コントロールユニット2の制御により、熱プラズマを発生させる高電圧が供給された場合には、熱プラズマにより原燃料及び水を蒸発させ、低温プラズマを発生させる電圧が供給された場合には原燃料及び水をプラズマ化して改質する。このプラズマ発生装置12により原燃料ガスをプラズマ化するとき、原燃料ガスは、プラズマ発生装置12内にてプラズマ化された後に、再結合することで水素や二酸化炭素等に変換されて、改質燃料ガスとして改質触媒13に送られる。
【0022】
ここで、プラズマ発生装置12による改質反応では、水素や二酸化炭素等と共に、一酸化炭素が生成される場合がある。これに対し、プラズマ発生装置12では、第2水噴射弁24からの水が燃焼器11の熱により蒸発された水蒸気を利用した下記の式2にて表現されるシフト反応を行って、一酸化炭素を二酸化炭素及び水素に変換させる。なお、コントロールユニット2は、プラズマ発生装置12にて一酸化炭素が生成されず、且つプラズマによる原燃料ガスの改質のみを行う場合には、水蒸気をプラズマ発生装置12に供給する必要は無い。
【0023】
改質触媒13は、プラズマ発生装置12から改質燃料ガスが送られると、プラズマ発生装置12にて改質されずに改質燃料ガスに含まれている原燃料ガスを改質する。この改質触媒13による改質反応は、下記の式1にて表現されるような水蒸気を利用したものである。この改質反応は、吸熱反応であって燃焼器11にて発生した熱を改質触媒13に与えることで反応速度が進行される。また、この改質触媒13では、下記の式2にて表現したシフト反応を同時に行って、一酸化炭素を二酸化炭素に変換して改質燃料ガスをCO変成器6に送る。
【0024】
CnHm+nH2O→nCO+(n+m/2)H2 (式1)
CO+H2O←→CO2+H2 (式2)
このようにプラズマ発生装置7の下流に改質触媒13を設ける場合には、プラズマ発生装置12にて炭化水素系燃料のC結合を分離させ、高級炭化水素を低級炭化水素に変換することで改質触媒13の改質反応を進行し易くするといった使用方法もあり、使用方法は限定されるものでは無い。
【0025】
改質器5で生成された改質燃料ガスがCO変成器6に供給されると、CO変成器6では、CO選択酸化反応により改質燃料ガスの一酸化炭素を低減して、燃料電池スタック1に送る。これにより、燃料電池スタック1では、空気と共に改質燃料ガスが供給されることで、下記の式3にて表現される反応を水素極にて発生させると共に、下記の式4にて表現される反応を空気極にて発生させて、更には、全体としては下記の式5にて表現させる反応を進行させて、電力を発生する。
【0026】
H2→2H++2e− (式3)
(1/2)O2+2H++2e−→H2O (式4)
H2+(1/2)O2→H2O (式5)
ここで、燃料電池スタック1は、固体高分子型であり、上記の電気化学反応を促進する白金等の触媒を備えている。しかし、CO変成器6から供給される改質燃料ガス中に一酸化炭素が含まれている場合には、当該一酸化炭素が白金触媒に吸着して触媒としての機能を低下させ、上記式(4)に示した空気極における反応を阻害して燃料電池スタック1の性能を阻害してしまう。そのため、本例における燃料電池スタック1のような固体高分子型を使用して発電を行わせる場合には、CO変成器6等のCO除去手段を用いて改質燃料ガス中の一酸化炭素を所定値(例えば10ppm)以下に低減して電池性能の低下を防ぐことが必要となる。
【0027】
そして、燃料電池システムでは、電気化学反応にて使用されなかった余剰分の改質燃料ガスを燃料電池スタック1から燃焼器11に供給して、燃焼器11での加熱に利用させる。
【0028】
このように構成された燃料電池システムでは、コントロールユニット2により、上述した各部を制御することで、燃料電池スタック1に発電を開始させるときに後述の始動制御処理を実行する。
【0029】
[燃料電池システムの始動制御処理]
つぎに、コントロールユニット2による始動制御処理の処理手順について図2のフローチャートを参照して説明する。
【0030】
コントロールユニット2では、例えば燃料電池車両がユーザにより起動されて、外部から燃料電池スタック1の発電要求を受けることに応じて、ステップS1以降の処理を開始する。
【0031】
先ず、ステップS1においては、コントロールユニット2により、図示しない高電圧発生装置を制御して、熱プラズマを発生させる高電圧をプラズマ発生装置12に供給する。これにより、プラズマ発生装置12では、熱プラズマを発生させる動作を開始する。
【0032】
次のステップS2においては、コントロールユニット2により、第2原燃料噴射弁23及び第2水噴射弁24を開状態にする制御をしてプラズマ発生装置12内に原燃料及び水を噴射させ、熱プラズマの熱により原燃料及び水を気化させることにより、原燃料ガスを生成させる。このとき、原燃料ガスは、ステップS1にてプラズマ発生装置12が熱プラズマを発生させているので加熱され、改質触媒13に送られ、当該改質触媒13にて原燃料ガスの熱を利用した改質反応を行わせる。
【0033】
これにより、改質媒体13にて生成した改質燃料ガスをCO変成器6を介して燃料電池スタック1に送ることができ、同時に空気を燃料電池スタック1に送ることで、電気化学反応を開始させて発電開始させる。また、改質燃料ガスは、その余剰分が燃料電池スタック1から燃焼器11に送られ、当該燃焼器11にて燃焼される。これにより、燃焼器11では、燃焼ガスを蒸発器4に送って暖機を開始すると共に、改質器5を暖機開始する。
【0034】
ここで、プラズマ発生装置12では熱プラズマのみを発生させることとしたが、燃料電池システムでは、熱プラズマを発生させる電圧入力端子の下流(改質触媒13側)に、他の電圧入力端子を設け、コントロールユニット2により、他の電圧入力端子に低電圧を供給して低温プラズマを発生させ、当該低温プラズマによって熱プラズマにより気化した原燃料ガスを改質反応させても良い。
【0035】
次のステップS3においては、コントロールユニット2により、改質触媒13及び蒸発器4の温度が、予め設定した規定値に達したか否かを判定し、改質触媒13及び蒸発器4の温度が規定値に達したと判定した場合にはステップS4に処理を進め、改質触媒13及び蒸発器4の温度が規定値に達していないと判定した場合にはステップS1に処理を戻して、ステップS1〜ステップS3の処理を繰り返す。
【0036】
ここで、規定値は、改質触媒13が暖機されて充分な改質反応効率を発揮する改質触媒13の温度、蒸発器4が暖機されて充分に原燃料及び水の蒸発効率を発揮する蒸発器4の温度が、例えば実験等により予め設定されている。また、ステップS3では、図示しない改質器5の温度を検出するセンサを使用して判定しても良く、改質触媒13及び蒸発器4が充分に暖機する時間を予め設定しておいて判定しても良い。
【0037】
次のステップS4においては、コントロールユニット2により、第1原燃料噴射弁21及び第1水噴射弁22を開状態にするように制御し、蒸発器4に原燃料及び水を噴射して供給を開始させる。
【0038】
次のステップS5においては、コントロールユニット2により、ステップS2にて開状態とした第2原燃料噴射弁23及び第2水噴射弁24を閉状態に制御して、プラズマ発生装置12への原燃料及び水の供給を停止させる。
【0039】
次のステップS6においては、コントロールユニット2により、ステップS1にてプラズマ発生装置12にて熱プラズマを発生させたときにプラズマ発生装置12に供給した電圧よりも低い電圧をプラズマ発生装置12に供給させて、プラズマ発生装置12内にて低温プラズマを発生させる。これにより、プラズマ発生装置12では、ステップS4で蒸発器4にて生成されて供給された原燃料ガスの改質反応を開始する。そして、改質器5では、プラズマ発生装置12にて改質した改質燃料ガスを改質触媒13に送り、改質触媒13にて更に改質反応をさせた改質燃料ガスをCO変成器6に送る。そして、改質燃料ガスは、CO変成器6にてCOが変換された後に燃料電池スタック1に供給されて、燃料電池スタック1を通常運転に移行させる。
【0040】
この通常運転では、燃料電池スタック1から燃焼器11に余剰分の改質燃料ガスが送られて、燃焼器11によりプラズマ発生装置12及び改質触媒13を加熱させると共に、蒸発器4に燃焼ガスを送る。また、コントロールユニット2では、燃料電池スタック1に要求される発電量に応じて第1原燃料噴射弁21及び第1水噴射弁22を開状態にして蒸発器4にて気化させてプラズマ発生装置12に送る原燃料ガス量を調整する。
【0041】
このような通常運転を行っているときにおいて、ステップS7においては、コントロールユニット2により、改質器5の温度が予め設定した規定値よりも低いか否かを判定する。そして、コントロールユニット2では、改質器5の温度が予め設定した規定値よりも低いと判定した場合には、ステップS8において、第3原燃料噴射弁25を開状態にすることで燃焼器11に原燃料ガスを供給して、燃焼器11の発熱量を増加させて改質器5の加熱量を増加させる。
【0042】
[実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本発明を適用した燃料電池システムによれば、プラズマ発生装置12を備えた改質器5を起動開始するに際して、原燃料ガスを改質させる場合よりも高い電圧をプラズマ発生装置12に供給して熱プラズマを発生させ、当該熱プラズマの熱により原燃料ガスの蒸発を行うことができるので、燃料電池スタック1に送る改質燃料ガスを生成開始するときに改質器5や蒸発器4の暖機を行う必要が無くなる。したがって、この燃料電池システムによれば、改質器5や蒸発器4の暖機を行った後に、改質器5に原燃料及び水を供給する期間を経ることなく燃料電池スタック1に改質燃料ガスを供給開始することができ、始動時の始動性能を向上させることができる。
【0043】
すなわち、この燃料電池システムによれば、改質システムを始動するときに、改質器5等を暖機するために無駄な原燃料を使用することなく、始動直後から充分な水素を燃料電池スタック1に供給することを短時間にて行うことができる。
【0044】
また、この燃料電池システムによれば、改質システムの始動時間を短くするための専用の燃焼器等を不要とすることができ、システム構成の簡素化、軽量化、低コスト化を実現することができる。
【0045】
更に、この燃料電池システムによれば、改質器5のプラズマ発生装置12によって低温プラズマを発生させて、コントロールユニット2の制御によって原燃料ガスの一部又は全部を改質することができるので、改質触媒13に使用する触媒量を低減することが可能となる。したがって、この燃料電池システムによれば、改質触媒13を昇温する時間を短縮することでシステム全体として暖機時間を短縮し、更にシステムの始動性能を向上させることができる。
【0046】
更にまた、この燃料電池システムによれば、蒸発器4を暖機させる前に改質燃料ガスを燃料電池スタック1に送り、余剰分の改質燃料ガスを燃焼器11にて燃焼して蒸発器4を暖機させることができるので、充分に蒸発器4を暖機するまではプラズマ発生装置12の熱プラズマにより原燃料及び水を蒸発させて改質燃料ガスを燃料電池スタック1に供給し、蒸発器4が充分に暖機した状態となった後に蒸発器4に原燃料及び水を供給して蒸発させることができ、蒸発器4の蒸発能力を最大限得ることができる。
【0047】
更にまた、この燃料電池システムによれば、プラズマ発生装置12に第2原燃料噴射弁23を設け、始動時に原燃料を直接プラズマ発生装置12に供給することができるので、プラズマ発生装置12によるプラズマ放電による原燃料の蒸発を行う際の蒸発性能を向上させることができる。
【0048】
更にまた、この燃料電池システムによれば、プラズマ発生装置12にて熱プラズマを発生させて、プラズマ発生装置12及び改質触媒13を暖機することができ、低温プラズマによる改質反応を行う雰囲気を高温化することができ、反応性を高めることが可能となると共に、改質触媒13での水蒸気改質反応など吸熱性の改質反応効率を高めることが可能となる。
【0049】
更にまた、この燃料電池システムによれば、改質システムの始動時に熱プラズマの発生により原燃料を蒸発させ、暖気後には低温プラズマによる改質を行うことができ、充分な始動性及び改質性能を得ることができる。
【0050】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した燃料電池システムの始動制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 燃料電池スタック
2 コントロールユニット
3 空気制御バルブ
4 蒸発器
5 改質器
6 CO変成器
11 燃焼器
12 プラズマ発生装置
13 改質触媒
21 第1原燃料噴射弁
22 第1水噴射弁
23 第2原燃料噴射弁
24 第2水噴射弁
25 第3原燃料噴射弁
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両に搭載されて、当該車両の駆動トルクを発生させるために燃料電池スタックに発電させる燃料電池システムに関し、特に、原燃料を改質することで燃料ガスを生成して燃料電池スタックに供給する燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、原燃料を改質して燃料電池スタックを発電させるための燃料ガスを生成する燃料改質システムを備えた改質型燃料電池システムが、下記の特許文献1などにて知られている。
【0003】
この改質型燃料電池システムでは、燃料改質システムの始動時に原燃料蒸発器に供給する原燃料量を制限し、燃焼器から蒸発器に燃焼ガスを供給することで、原燃料蒸発器での熱量低下を抑制している。この燃焼ガスは、その後改質器に供給され、改質器の昇温に使用されるが、高い熱量を保持した状態であるので、改質器を速やかに昇温することが可能となる。このように、従来の触媒を使用した改質器を備えた燃料電池システムにおいては、その始動時に、始動時間等の始動性能を向上させようとする技術が知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−297903号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の改質型燃料電池システムでは、燃料改質システムの始動時に供給する原燃料量を制限しているので、十分な水素発生量を得ることが困難であり、改質器から燃料電池スタックに供給する水素が不足することがあり、燃料電池スタックの出力が低下するおそれがある。
【0006】
また、従来の改質型燃料電池システムでは、燃料改質システムの始動時に蒸発器の性能を十分に得るためには蒸発器の暖機を行う必要があるが、暖機を行っている間は原燃料蒸発器の蒸発能力が低下するという問題点がある。
【0007】
更に、従来の改質型燃料電池システムでは、燃料改質システムの始動時に改質器や原燃料蒸発器の暖機を行うために、始動用の燃焼器を設ける必要があるため、システムの複雑化や燃焼器の大型化を招くという問題点がある。
【0008】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、燃料改質システムの始動時の始動性能を向上させることができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明では、燃料電池スタックを発電開始させるために、システムを始動し、燃料ガスを生成するに際して、蒸発器により炭化水素系の原燃料を気化させずに、改質器のプラズマ発生装置により原燃料を気化させ、改質した燃料ガスを生成して前記燃料電池スタックに供給することで、上述の課題を解決する。
【0010】
【発明の効果】
本発明によれば、システム始動時に、蒸発器により炭化水素系の原燃料を気化させずに、改質器のプラズマ発生装置により原燃料を気化させ、改質した燃料ガスを生成して前記燃料電池スタックに供給するので、燃料電池スタックに送る燃料ガスを生成開始するときに改質器や蒸発器の暖機を行う必要が無くなる。したがって、本発明によれば、改質器や蒸発器の暖機を行った後に、改質器に原燃料を供給する期間を経ることなく燃料電池スタックに改質燃料ガスを供給開始することができ、始動時の始動性能を向上させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
本発明は、例えば図1に示すように構成された燃料電池システムに適用される。この燃料電池システムは、例えば燃料電池車両に搭載され、負荷装置として搭載された駆動モータや燃料電池スタックを発電させる補機類等に電力供給することにより、車両走行するための駆動トルクを発生させるものである。
【0013】
[燃料電池システムの構成]
燃料電池システムは、図1に示すように、当該燃料電池システムの主電源であって、発電反応を発生させるための水素を多量に含む燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガスとが供給されることによって発電する燃料電池スタック1を備える。この燃料電池スタック1は、固体高分子電解質膜を挟んで、酸化剤ガスを供給する空気極と燃料ガスを供給する水素極とを対設した燃料電池セル構造体をセパレータで挟持し、セル構造体を複数積層することによって構成されている。すなわち、この燃料電池スタック1による発電は、水素極にて水素が電子を放出してイオン化し、生成された水素イオン(H+)が高分子電解質膜を通過して空気極に到達し、この水素イオンが空気極にて酸素と結合して水(H2O)を生成することによって行われる。
【0014】
また、燃料電池システムは、各部の動作を制御して燃料電池スタック1の発電反応を制御する制御手段であるコントロールユニット2を備える。このコントロールユニット2は、例えば図示しないROM(Read Only Memory)等の記憶部に、燃料電池システムを起動して負荷装置に対して電力供給を行う一連の処理手順を記述した燃料電池起動プログラムを格納し、当該燃料電池起動プログラムを図示しないCPU(Central Processing Unit)等によって実行することにより、後述する各部を制御する。
【0015】
この燃料電池システムにおいて、燃料ガスは、コントロールユニット2の制御のもとに、燃料電池スタック1に供給され、空気は、外気を取り込むエアコンプレッサといった図示しない空気供給系から圧送されることで、燃料電池スタック1に供給される。このとき、コントロールユニット2は、外部からの燃料電池スタック1の発電要求に応じて、エアコンプレッサの駆動量及び空気制御バルブ3の開度を制御し、空気流量及び空気圧力を制御する。また、コントロールユニット2は、空気極の入り口付近に設けられた図示しない圧力センサからのセンサ信号を読み込んで空気流量及び空気圧力を制御する。そして、空気は、燃料電池スタック1の発電反応に使用され、余剰分が燃料電池スタック1から排出される。
【0016】
また、この燃料電池システムでは、蒸発器4と、燃焼器11、プラズマ発生装置12及び改質触媒13が一体に形成されてなる改質器5と、CO変成器6とからなる改質システムを備える。この改質システムにおいては、燃料電池スタック1を発電させるに際して、コントロールユニット2の制御に従って、燃料電池スタック1に供給する改質燃料ガスを生成する。
【0017】
蒸発器4は、図示しない原燃料貯蔵部からの原燃料を内部に供給する第1原燃料噴射弁21と、図示しない水貯蔵部からの水を内部に供給する第1水噴射弁22とが設けられている。この蒸発器4は、燃料電池スタック1に改質燃料ガスを供給するに際して、コントロールユニット2の制御に従って、第1原燃料噴射弁21が作動されることで原燃料が供給されると共に、第1水噴射弁22が作動されることで水が供給される。そして、蒸発器4では、燃焼器11からの燃焼ガスと原燃料及び水とを熱交換することで、原燃料及び水を蒸発させて気化し、原燃料ガスとして改質器5のプラズマ発生装置12に供給する。
【0018】
この原燃料ガスは、燃焼器11により加熱が行われながらプラズマ発生装置12及び改質触媒13により改質反応がなされる。
【0019】
ここで、プラズマ発生装置12には、第2原燃料噴射弁23及び第2水噴射弁24が設けられ、当該第2原燃料噴射弁23及び第2水噴射弁24がコントロールユニット2により作動されることで、図示しない原燃料貯蔵部及び水貯蔵部から原燃料及び水が供給される。また、燃焼器11には、第3原燃料噴射弁25が設けられ、当該第3原燃料噴射弁25がコントロールユニット2により作動されることで、図示しない原燃料貯蔵部から原燃料が供給される。
【0020】
改質器5では、燃料電池スタック1から排出された余剰分の改質燃料ガスを燃焼器11により燃焼して熱を発生させると共に、コントロールユニット2の制御により、熱量が不足した場合に第3原燃料噴射弁25を介して燃焼器11に原燃料が供給される。これにより、燃焼器11では、改質反応に必要な熱量を保持して、プラズマ発生装置12及び改質触媒13、並びに蒸発器4に熱を伝達する。
【0021】
プラズマ発生装置12では、蒸発器4から炭化水素系(CnHm)の原燃料ガスが供給されるとき、コントロールユニット2の制御に従って、内部の高電圧発生装置により電圧が供給される。プラズマ発生装置12では、コントロールユニット2の制御により、熱プラズマを発生させる高電圧が供給された場合には、熱プラズマにより原燃料及び水を蒸発させ、低温プラズマを発生させる電圧が供給された場合には原燃料及び水をプラズマ化して改質する。このプラズマ発生装置12により原燃料ガスをプラズマ化するとき、原燃料ガスは、プラズマ発生装置12内にてプラズマ化された後に、再結合することで水素や二酸化炭素等に変換されて、改質燃料ガスとして改質触媒13に送られる。
【0022】
ここで、プラズマ発生装置12による改質反応では、水素や二酸化炭素等と共に、一酸化炭素が生成される場合がある。これに対し、プラズマ発生装置12では、第2水噴射弁24からの水が燃焼器11の熱により蒸発された水蒸気を利用した下記の式2にて表現されるシフト反応を行って、一酸化炭素を二酸化炭素及び水素に変換させる。なお、コントロールユニット2は、プラズマ発生装置12にて一酸化炭素が生成されず、且つプラズマによる原燃料ガスの改質のみを行う場合には、水蒸気をプラズマ発生装置12に供給する必要は無い。
【0023】
改質触媒13は、プラズマ発生装置12から改質燃料ガスが送られると、プラズマ発生装置12にて改質されずに改質燃料ガスに含まれている原燃料ガスを改質する。この改質触媒13による改質反応は、下記の式1にて表現されるような水蒸気を利用したものである。この改質反応は、吸熱反応であって燃焼器11にて発生した熱を改質触媒13に与えることで反応速度が進行される。また、この改質触媒13では、下記の式2にて表現したシフト反応を同時に行って、一酸化炭素を二酸化炭素に変換して改質燃料ガスをCO変成器6に送る。
【0024】
CnHm+nH2O→nCO+(n+m/2)H2 (式1)
CO+H2O←→CO2+H2 (式2)
このようにプラズマ発生装置7の下流に改質触媒13を設ける場合には、プラズマ発生装置12にて炭化水素系燃料のC結合を分離させ、高級炭化水素を低級炭化水素に変換することで改質触媒13の改質反応を進行し易くするといった使用方法もあり、使用方法は限定されるものでは無い。
【0025】
改質器5で生成された改質燃料ガスがCO変成器6に供給されると、CO変成器6では、CO選択酸化反応により改質燃料ガスの一酸化炭素を低減して、燃料電池スタック1に送る。これにより、燃料電池スタック1では、空気と共に改質燃料ガスが供給されることで、下記の式3にて表現される反応を水素極にて発生させると共に、下記の式4にて表現される反応を空気極にて発生させて、更には、全体としては下記の式5にて表現させる反応を進行させて、電力を発生する。
【0026】
H2→2H++2e− (式3)
(1/2)O2+2H++2e−→H2O (式4)
H2+(1/2)O2→H2O (式5)
ここで、燃料電池スタック1は、固体高分子型であり、上記の電気化学反応を促進する白金等の触媒を備えている。しかし、CO変成器6から供給される改質燃料ガス中に一酸化炭素が含まれている場合には、当該一酸化炭素が白金触媒に吸着して触媒としての機能を低下させ、上記式(4)に示した空気極における反応を阻害して燃料電池スタック1の性能を阻害してしまう。そのため、本例における燃料電池スタック1のような固体高分子型を使用して発電を行わせる場合には、CO変成器6等のCO除去手段を用いて改質燃料ガス中の一酸化炭素を所定値(例えば10ppm)以下に低減して電池性能の低下を防ぐことが必要となる。
【0027】
そして、燃料電池システムでは、電気化学反応にて使用されなかった余剰分の改質燃料ガスを燃料電池スタック1から燃焼器11に供給して、燃焼器11での加熱に利用させる。
【0028】
このように構成された燃料電池システムでは、コントロールユニット2により、上述した各部を制御することで、燃料電池スタック1に発電を開始させるときに後述の始動制御処理を実行する。
【0029】
[燃料電池システムの始動制御処理]
つぎに、コントロールユニット2による始動制御処理の処理手順について図2のフローチャートを参照して説明する。
【0030】
コントロールユニット2では、例えば燃料電池車両がユーザにより起動されて、外部から燃料電池スタック1の発電要求を受けることに応じて、ステップS1以降の処理を開始する。
【0031】
先ず、ステップS1においては、コントロールユニット2により、図示しない高電圧発生装置を制御して、熱プラズマを発生させる高電圧をプラズマ発生装置12に供給する。これにより、プラズマ発生装置12では、熱プラズマを発生させる動作を開始する。
【0032】
次のステップS2においては、コントロールユニット2により、第2原燃料噴射弁23及び第2水噴射弁24を開状態にする制御をしてプラズマ発生装置12内に原燃料及び水を噴射させ、熱プラズマの熱により原燃料及び水を気化させることにより、原燃料ガスを生成させる。このとき、原燃料ガスは、ステップS1にてプラズマ発生装置12が熱プラズマを発生させているので加熱され、改質触媒13に送られ、当該改質触媒13にて原燃料ガスの熱を利用した改質反応を行わせる。
【0033】
これにより、改質媒体13にて生成した改質燃料ガスをCO変成器6を介して燃料電池スタック1に送ることができ、同時に空気を燃料電池スタック1に送ることで、電気化学反応を開始させて発電開始させる。また、改質燃料ガスは、その余剰分が燃料電池スタック1から燃焼器11に送られ、当該燃焼器11にて燃焼される。これにより、燃焼器11では、燃焼ガスを蒸発器4に送って暖機を開始すると共に、改質器5を暖機開始する。
【0034】
ここで、プラズマ発生装置12では熱プラズマのみを発生させることとしたが、燃料電池システムでは、熱プラズマを発生させる電圧入力端子の下流(改質触媒13側)に、他の電圧入力端子を設け、コントロールユニット2により、他の電圧入力端子に低電圧を供給して低温プラズマを発生させ、当該低温プラズマによって熱プラズマにより気化した原燃料ガスを改質反応させても良い。
【0035】
次のステップS3においては、コントロールユニット2により、改質触媒13及び蒸発器4の温度が、予め設定した規定値に達したか否かを判定し、改質触媒13及び蒸発器4の温度が規定値に達したと判定した場合にはステップS4に処理を進め、改質触媒13及び蒸発器4の温度が規定値に達していないと判定した場合にはステップS1に処理を戻して、ステップS1〜ステップS3の処理を繰り返す。
【0036】
ここで、規定値は、改質触媒13が暖機されて充分な改質反応効率を発揮する改質触媒13の温度、蒸発器4が暖機されて充分に原燃料及び水の蒸発効率を発揮する蒸発器4の温度が、例えば実験等により予め設定されている。また、ステップS3では、図示しない改質器5の温度を検出するセンサを使用して判定しても良く、改質触媒13及び蒸発器4が充分に暖機する時間を予め設定しておいて判定しても良い。
【0037】
次のステップS4においては、コントロールユニット2により、第1原燃料噴射弁21及び第1水噴射弁22を開状態にするように制御し、蒸発器4に原燃料及び水を噴射して供給を開始させる。
【0038】
次のステップS5においては、コントロールユニット2により、ステップS2にて開状態とした第2原燃料噴射弁23及び第2水噴射弁24を閉状態に制御して、プラズマ発生装置12への原燃料及び水の供給を停止させる。
【0039】
次のステップS6においては、コントロールユニット2により、ステップS1にてプラズマ発生装置12にて熱プラズマを発生させたときにプラズマ発生装置12に供給した電圧よりも低い電圧をプラズマ発生装置12に供給させて、プラズマ発生装置12内にて低温プラズマを発生させる。これにより、プラズマ発生装置12では、ステップS4で蒸発器4にて生成されて供給された原燃料ガスの改質反応を開始する。そして、改質器5では、プラズマ発生装置12にて改質した改質燃料ガスを改質触媒13に送り、改質触媒13にて更に改質反応をさせた改質燃料ガスをCO変成器6に送る。そして、改質燃料ガスは、CO変成器6にてCOが変換された後に燃料電池スタック1に供給されて、燃料電池スタック1を通常運転に移行させる。
【0040】
この通常運転では、燃料電池スタック1から燃焼器11に余剰分の改質燃料ガスが送られて、燃焼器11によりプラズマ発生装置12及び改質触媒13を加熱させると共に、蒸発器4に燃焼ガスを送る。また、コントロールユニット2では、燃料電池スタック1に要求される発電量に応じて第1原燃料噴射弁21及び第1水噴射弁22を開状態にして蒸発器4にて気化させてプラズマ発生装置12に送る原燃料ガス量を調整する。
【0041】
このような通常運転を行っているときにおいて、ステップS7においては、コントロールユニット2により、改質器5の温度が予め設定した規定値よりも低いか否かを判定する。そして、コントロールユニット2では、改質器5の温度が予め設定した規定値よりも低いと判定した場合には、ステップS8において、第3原燃料噴射弁25を開状態にすることで燃焼器11に原燃料ガスを供給して、燃焼器11の発熱量を増加させて改質器5の加熱量を増加させる。
【0042】
[実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本発明を適用した燃料電池システムによれば、プラズマ発生装置12を備えた改質器5を起動開始するに際して、原燃料ガスを改質させる場合よりも高い電圧をプラズマ発生装置12に供給して熱プラズマを発生させ、当該熱プラズマの熱により原燃料ガスの蒸発を行うことができるので、燃料電池スタック1に送る改質燃料ガスを生成開始するときに改質器5や蒸発器4の暖機を行う必要が無くなる。したがって、この燃料電池システムによれば、改質器5や蒸発器4の暖機を行った後に、改質器5に原燃料及び水を供給する期間を経ることなく燃料電池スタック1に改質燃料ガスを供給開始することができ、始動時の始動性能を向上させることができる。
【0043】
すなわち、この燃料電池システムによれば、改質システムを始動するときに、改質器5等を暖機するために無駄な原燃料を使用することなく、始動直後から充分な水素を燃料電池スタック1に供給することを短時間にて行うことができる。
【0044】
また、この燃料電池システムによれば、改質システムの始動時間を短くするための専用の燃焼器等を不要とすることができ、システム構成の簡素化、軽量化、低コスト化を実現することができる。
【0045】
更に、この燃料電池システムによれば、改質器5のプラズマ発生装置12によって低温プラズマを発生させて、コントロールユニット2の制御によって原燃料ガスの一部又は全部を改質することができるので、改質触媒13に使用する触媒量を低減することが可能となる。したがって、この燃料電池システムによれば、改質触媒13を昇温する時間を短縮することでシステム全体として暖機時間を短縮し、更にシステムの始動性能を向上させることができる。
【0046】
更にまた、この燃料電池システムによれば、蒸発器4を暖機させる前に改質燃料ガスを燃料電池スタック1に送り、余剰分の改質燃料ガスを燃焼器11にて燃焼して蒸発器4を暖機させることができるので、充分に蒸発器4を暖機するまではプラズマ発生装置12の熱プラズマにより原燃料及び水を蒸発させて改質燃料ガスを燃料電池スタック1に供給し、蒸発器4が充分に暖機した状態となった後に蒸発器4に原燃料及び水を供給して蒸発させることができ、蒸発器4の蒸発能力を最大限得ることができる。
【0047】
更にまた、この燃料電池システムによれば、プラズマ発生装置12に第2原燃料噴射弁23を設け、始動時に原燃料を直接プラズマ発生装置12に供給することができるので、プラズマ発生装置12によるプラズマ放電による原燃料の蒸発を行う際の蒸発性能を向上させることができる。
【0048】
更にまた、この燃料電池システムによれば、プラズマ発生装置12にて熱プラズマを発生させて、プラズマ発生装置12及び改質触媒13を暖機することができ、低温プラズマによる改質反応を行う雰囲気を高温化することができ、反応性を高めることが可能となると共に、改質触媒13での水蒸気改質反応など吸熱性の改質反応効率を高めることが可能となる。
【0049】
更にまた、この燃料電池システムによれば、改質システムの始動時に熱プラズマの発生により原燃料を蒸発させ、暖気後には低温プラズマによる改質を行うことができ、充分な始動性及び改質性能を得ることができる。
【0050】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した燃料電池システムの始動制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 燃料電池スタック
2 コントロールユニット
3 空気制御バルブ
4 蒸発器
5 改質器
6 CO変成器
11 燃焼器
12 プラズマ発生装置
13 改質触媒
21 第1原燃料噴射弁
22 第1水噴射弁
23 第2原燃料噴射弁
24 第2水噴射弁
25 第3原燃料噴射弁
Claims (5)
- 燃料ガス及び酸化剤ガスを燃料電池スタックに供給して発電させる燃料電池システムにおいて、
炭化水素系の原燃料を気化する蒸発器と、
前記蒸発器により気化された原燃料を用いて、原燃料を改質させるプラズマ発生装置を有する改質器とを備え、
前記改質器は、システムの始動時に、前記プラズマ発生装置により前記原燃料を気化させ、改質した燃料ガスを生成して前記燃料電池スタックに供給することを特徴とする燃料電池システム。 - 前記改質器は、前記燃料電池スタックから排出された燃料ガスを燃焼させる燃焼器を更に備え、システムの始動時に、前記プラズマ発生装置により前記原燃料を気化させて改質した燃料ガスを前記燃焼器にて燃焼して燃焼ガスを前記蒸発器に送り、
前記蒸発器は、前記燃焼器からの燃焼ガスにより暖機した後に原燃料を気化させることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記プラズマ発生装置内に原燃料を噴射する原燃料噴射手段を設け、システム始動時に、原燃料を前記原燃料噴射手段から直接プラズマ発生装置に供給することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記改質器は、前記プラズマ発生装置からの原燃料を改質する改質触媒を更に備え、システムの始動時に、前記プラズマ発生装置の熱により前記改質触媒を加熱することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記プラズマ発生装置は、システムの始動時には熱プラズマを発生させて原燃料を蒸発させ、システムの始動時以外には低温プラズマを発生させて原燃料を改質することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
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Cited By (2)
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EP1739057A2 (en) * | 2005-06-29 | 2007-01-03 | Hsu Yang Wang | Hydrogen fuel supply system |
JP2008523552A (ja) * | 2004-12-08 | 2008-07-03 | ルノー・エス・アー・エス | 燃料電池が装備された動力車両に搭載される電力を発生するためのシステムとそれに関連する方法 |
-
2003
- 2003-05-14 JP JP2003135644A patent/JP2004342390A/ja active Pending
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EP1739057A2 (en) * | 2005-06-29 | 2007-01-03 | Hsu Yang Wang | Hydrogen fuel supply system |
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US7637971B2 (en) | 2005-06-29 | 2009-12-29 | Hsu Yang Wang | Hydrogen fuel supply system |
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