JP2004342337A - 電極触媒及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】触媒担体表面に反応サイトが高密度で形成された電極触媒及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る電極触媒は、多孔質体の細孔内壁に触媒成分を吸着させ、前記細孔内部にカーボン前駆体を導入し、前記多孔質体を不活性雰囲気下において加熱することによって前記カーボン前駆体を炭化させ、かつ前記触媒成分を活性点に変換し、前記多孔体を除去することにより得られる。この場合、多孔質体は、触媒成分及びカーボン前駆体より大きい細孔径を有するものを用いるのが好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係る電極触媒は、多孔質体の細孔内壁に触媒成分を吸着させ、前記細孔内部にカーボン前駆体を導入し、前記多孔質体を不活性雰囲気下において加熱することによって前記カーボン前駆体を炭化させ、かつ前記触媒成分を活性点に変換し、前記多孔体を除去することにより得られる。この場合、多孔質体は、触媒成分及びカーボン前駆体より大きい細孔径を有するものを用いるのが好ましい。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電極触媒及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、燃料電池、水電解装置、ハロゲン化水素酸電解装置、食塩電解装置、酸素及び/又は水素濃縮器、湿度センサ、ガスセンサ等の各種電気化学デバイスの電極に用いられる電極触媒及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子電解質は、高分子鎖中にスルホン酸基等の電解質基を有する固体高分子材料である。固体高分子電解質は、特定のイオンと強固に結合したり、陽イオン又は陰イオンを選択的に透過する性質を有していることから、粒子、繊維、あるいは膜状に成形し、電気透析、拡散透析、電池隔膜等、各種の用途に利用されている。
【0003】
例えば、固体高分子型燃料電池や水電解装置などの各種電気化学デバイスにおいて、固体高分子電解質は、膜状に成形され、その両面に電極を接合した膜電極接合体(MEA)の状態で使用される。また、固体高分子型燃料電池において、電極は、一般に、拡散層と触媒層の二層構造をとる。拡散層は、触媒層に反応ガス及び電子を供給するためのものであり、カーボン繊維、カーボンペーパー等が用いられる。また、触媒層は、電極反応の反応場となる部分であり、一般に、電極触媒と固体高分子電解質との複合体からなる。
【0004】
このような各種電気化学デバイスに用いられる電極触媒には、従来、Ptなどの貴金属の微粒子(Ptブラックなど)、カーボンブラックなどの炭素質担体上にPtなどの貴金属の微粒子を担持したもの、電解質膜の表面にメッキやスパッタなどの方法で形成された貴金属の薄膜等が用いられている。
【0005】
しかしながら、Pt等の貴金属は、高い触媒活性と高い触媒活性の安定性を示すが、高価であり、資源的にも限られている。そのため、電極触媒が各種電気化学デバイスのコストを高くする一因となっている。特に、燃料電池は、所定の出力を得るために多数のMEAが積層された状態で使用されるので、燃料電池1個当たりの電極触媒の使用量も多く、これが燃料電池の普及を妨げている。
【0006】
例えば、燃料電池の電極における一般的なPt使用量は、1平方センチメートル当たり0.1mg〜1mg程度といわれているが、普及に妥当な燃料電池価格を達成するためには、少なくともこの貴金属使用量を1/50〜1/100程度まで低減させなくてはならないと言う試算もある。これは、触媒活性の改善や触媒利用率の向上など、単なる使用量低減の努力では達成困難である。
【0007】
そこでこの問題を解決するために、貴金属に代わる代替材料に関し、従来から種々の提案がなされている。例えば、非特許文献1には、カーボンブラック上に担持させた大環状化合物の一種であるテトラフェニルポルフィリン(TPP)とFe又はCoの錯体(大環状金属錯体)、及びカーボンブラック上に担持させた同じく大環状化合物の一種であるフタロシアニン(Pc)とCoの大環状金属錯体が酸素還元触媒としての活性を示すことが開示されている。
【0008】
また、同文献には、カーボンブラック上に担持させたTPPとFeの大環状金属錯体(FeTPP/C)及びカーボンブラック上に担持させたTPPとCoの大環状金属錯体(CoTPP/C)を種々の温度で焼成した場合において、低電流密度条件下では、500℃〜700℃の中間温度域で焼成した時に、最大の触媒活性を示す点が記載されている。
【0009】
さらに、非特許文献2には、Coの担持量を増加させるために、焼成中に昇華するCoフタロシアニン(CoPc)に代えて、その誘導体であるテトラカルボキシCoフタロシアニン(CoPcTc)をカーボンブラック上に担持させた電極触媒が開示されている。また、同文献には、CoPcTcを用いた場合において、最適なCo担持量は、1.5wt%である点が記載されている。
【0010】
【非特許文献1】
G.Faubert et al., Electrochim. Acta, 41, 1689(1996)
【非特許文献2】
G.Lalande et al., Electrochim. Acta, 40, 2635(1995)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
大環状金属錯体は、貴金属触媒に比べて安価であるが、一分子そのものがPt等の微粒子に比べて非常に大きいために、単位面積当たりの反応サイト数が少ないという欠点がある。
【0012】
例えば、CoTPP一分子は、約1nm2程度の面積を有するが、反応サイト数は、1つしかない。他方、Pt粒子の場合、直径1nmの球状粒子(表面積は、3.14nm2)を仮定すると、表面に露出しているPtサイト(反応サイト)数は、約40になり(Pt(100)面でPt一原子が占める面積を0.07nm2とした場合の試算)、両者で大きく異なっている。
【0013】
従って、貴金属以外の金属触媒の反応サイト当たりの活性がPt等の貴金属触媒と同等である場合であっても、大環状金属錯体を用いて触媒材料を構築し、しかも高い触媒活性を得るためには、電極触媒上の反応サイトをできるだけ多く形成する必要がある。
【0014】
しかしながら、大環状金属錯体分子を炭素質担体上に担持させ、不活性雰囲気下で熱処理する従来の方法では、担持量を増加させても熱処理過程で金属元素が凝集するために、貴金属触媒に匹敵する触媒活性は得られていない。従って、大環状金属錯体分子を用いて貴金属触媒を越える触媒を製造するためには、反応サイトを高密度で形成できるプロセスが必要不可欠となる。
【0015】
この点は、貴金属触媒を用いる場合も同様であり、炭素質担体表面への担持量が多くなるほど、貴金属微粒子は凝集する傾向にある。そのため、高い触媒活性を得るために貴金属微粒子の担持量を増加させると、貴金属微粒子の凝集によって単位体積当たりの反応サイト数が減少し、貴金属使用量を増大させる原因となっている。
【0016】
本発明が解決しようとする課題は、触媒担体表面に反応サイトが高密度で形成された電極触媒及びその製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係る電極触媒は、多孔質体の細孔内壁に触媒成分を吸着させ、前記細孔内部にカーボン前駆体を導入し、前記多孔質体を不活性雰囲気下において加熱することによって前記カーボン前駆体を炭化させ、かつ前記触媒成分を活性点に変換し、前記多孔体を除去することにより得られたものからなる。
【0018】
また、本発明に係る電極触媒の製造方法は、多孔質体の細孔内壁に触媒成分を吸着させる第1工程と、前記細孔内部にカーボン前駆体を導入する第2工程と、前記多孔質体を不活性雰囲気下において加熱することによって前記カーボン前駆体を炭化させ、かつ前記触媒成分を活性点に変換する第3工程と、前記多孔体を除去する第4工程とを備えていることを要旨とする。
【0019】
大環状金属錯体分子などの触媒成分を多孔質体の細孔内壁に吸着させると、細孔内壁に触媒成分を高分散に配置することができる。次いで、このような細孔内にカーボン前駆体を導入し、これを熱処理すると、熱処理過程における触媒成分の凝集が抑制される。そのため、触媒成分の吸着量が多い場合であっても、活性点間の距離を短く維持することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。本発明に係る電極触媒の製造方法は、多孔質体の細孔内壁に触媒成分を吸着させる第1工程と、前記細孔内部にカーボン前駆体を導入する第2工程と、前記多孔質体を不活性雰囲気下において加熱することによって前記カーボン前駆体を炭化させ、かつ前記触媒成分を活性点に変換する第3工程と、前記多孔体を除去する第4工程とを備えている。また、本発明に係る電極触媒は、このような製造工程を経て得られたものからなる。
【0021】
多孔質体は、電極触媒を製造するためのテンプレートとなるものである。本発明において、多孔質体には、少なくとも1200℃での熱処理に耐える耐熱性を有し、かつ酸、アルカリ等による化学的処理によって崩壊させることができるものを用いる必要がある。
【0022】
また、触媒活性の高い電極触媒を効率よく製造するためには、多孔質体の表面積は、大きい程良い。多孔質体の比表面積は、具体的には、100m2/g以上が好ましく、さらに好ましくは、300m2/g以上である。
【0023】
また、多孔質体は、少なくとも触媒成分の分子及びカーボン前駆体分子の大きさより大きい細孔を有していることが必要である。多孔質体の平均細孔径は、具体的には、触媒成分の分子及びカーボン前駆体分子の内、いずれか大きいものの大きさの3倍以上が好ましく、さらに好ましくは、5倍以上である。
【0024】
但し、多孔質体の平均細孔径が大きくなりすぎると、炭素質担体の平均粒径が大きくなり、単位体積当たりの触媒成分の担持量が低下するので好ましくない。従って、多孔質体の平均細孔径は、触媒成分の分子及びカーボン前駆体の分子の内、いずれか大きいものの大きさの8倍以下が好ましく、さらに好ましくは、6倍以下である。
【0025】
例えば、触媒成分として、後述する大環状金属錯体を用いる場合において、カーボン前駆体として、後述するベンゼン等を用いるときには、多孔質体の細孔径は、具体的には、3nm以上8nm以下が好ましく、さらに好ましくは、5nm以上6nm以下である。
【0026】
このような条件を満たす多孔質体としては、具体的には、MCM−41(モービル石油(株)製)、MCM−48(モービル(株)製)、FSM−16(早稲田大開発)等の3nm以上のメソ孔を有するシリカが好適な一例として挙げられる。これらの多孔質体は、それぞれ、単独で用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0027】
本発明において、触媒成分とは、所定の熱処理によって活性点に変換可能な化合物であって、液相又は気相を介して多孔質体の細孔内壁に吸着させることが可能なものを言う。
【0028】
本発明において、触媒成分は、Pt、Pd等の貴金属元素を含む化合物であっても良く、あるいは、4〜6周期で、かつ5〜11族に属する元素(本発明においては、貴金属元素を除くこれらの元素を「卑金属元素」という。)を含む化合物であっても良い。また、触媒成分は、これらの金属元素の内、1種類のみを含むものであっても良く、あるいは、2種以上を含むものであっても良い。
【0029】
これらの中でも、卑金属元素を含む化合物は、電極触媒を低コスト化できるので、触媒成分として好適である。また、これらの中でも、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)及び銅(Cu)を含む化合物は、触媒活性の高い電極触媒が得られるので、触媒成分として特に好適である。
【0030】
触媒成分が卑金属元素を含む化合物からなる場合、触媒成分は、卑金属元素のイオンと有機分子との錯体を用いるのが好ましい。また、錯化に用いる有機分子は、大環状化合物が好ましい。大環状化合物とは、9又はそれ以上の原子(すべてが異原子である場合を含む)、及び、3又はそれ以上の結合原子を有する化合物と定義されている(Coordination Chemistry of Macrocyclic Compounds, G.A.Melson, Plenum Press, New York & London, 1979)。本発明では、基本骨格の中に窒素原子を有するフタロシアニン類、ポルフィリン類、テトラアザアヌレン類などを指す。
【0031】
大環状化合物としては、具体的には、フタロシアニン、ポルフィリン、ナフタロシアニン、テトラアザアンヌレン、サレン等及びこれらの誘導体が好適な一例として挙げられる。また、これらの有機分子は、それぞれ、単独で用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0032】
また、例えば、触媒成分が貴金属を含むものである場合、触媒成分は、具体的には、ヘキサヒドロキシ白金酸(H2Pt(OH)6)、塩化白金酸(H2PtCl6)等が好適な一例として挙げられる。また、これらの化合物は、それぞれ、単独で用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0033】
多孔質体の細孔内壁への触媒成分の吸着方法は、特に限定されるものではなく、周知の方法を用いることができる。例えば、触媒成分が常温で液体である場合、加熱によって液体となる場合、あるいは適当な溶媒に溶解可能である場合には、これを溶液状とし、この溶液中に多孔質体を浸漬すれば良い。また、例えば、触媒成分が気化又は昇華しやすいものである場合には、触媒成分を含むガスと多孔質体とを接触させれば良い。
【0034】
この場合、多孔質体の細孔内壁への触媒成分の吸着量は、溶液又はガス中の触媒成分の濃度、多孔質体と溶液又はガスとの接触時間、溶液又はガスの温度、圧力等を制御することにより調節することができる。
【0035】
本発明において、カーボン前駆体とは、不活性雰囲気中において焼成することにより炭素質担体となるものであって、液相又は気相を介して多孔質体の細孔内に導入可能なものを言う。
【0036】
カーボン前駆体は、少なくとも炭素を含む分子であれば良い。また、焼成によって炭素質担体を効率よく得るためには、カーボン前駆体は、炭素と水素のみから構成される分子を用いるのが好ましい。さらに、カーボン前駆体の大きさは、少なくとも多孔質体の細孔径より小さいことが必要である。
【0037】
カーボン前駆体としては、具体的には、ナフタレン、ベンゼン、スチレン、キシレン、アズレン、アセチレン、アセトニトリル、メタン等及びこれらの誘導体が好適な一例として挙げられる。また、これらのカーボン前駆体は、それぞれ、単独で用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0038】
カーボン前駆体の多孔質体への導入方法は、特に限定されるものではなく、周知の方法を用いることができる。例えば、カーボン前駆体が常温において液体である場合、加熱によって液体となる場合、あるいは適当な溶媒に溶解可能である場合には、カーボン前駆体を溶液状とし、これに多孔質体を浸漬すればよい。また、例えば、カーボン前駆体が気化又は昇華しやすいものである場合には、カーボン前駆体を含むガスと多孔質体とを接触させれば良い。
【0039】
この場合、多孔質体の細孔内へのカーボン前駆体の導入量は、溶液又はガス中のカーボン前駆体の濃度、多孔質体と溶液又はガスとの接触時間、溶液又はガスの温度、圧力等を制御することにより、調節することができる。
【0040】
また、多孔質体の細孔内に余分な触媒成分が残っていると、細孔内にカーボン前駆体が導入されにくくなる場合がある。このような場合には、細孔内に残っている余分な触媒成分を揮発、共洗等の手段を用いて除去した後、カーボン前駆体を導入するのが好ましい。
【0041】
細孔内壁に触媒成分を吸着させ、かつ細孔内にカーボン前駆体を導入した多孔質体を不活性雰囲気下において加熱すると、カーボン前駆体が炭化して炭素質担体となり、かつ触媒成分が活性点に変換される。
【0042】
多孔質体の加熱は、カーボン前駆体及び触媒成分の材質に応じて、カーボン前駆体の炭化及び触媒成分の活性点への変換が効率よく行われる温度で行うのが好ましい。
【0043】
例えば、触媒成分が卑金属元素を含む大環状金属錯体であり、カーボン前駆体がナフタレン、ベンゼン等の相対的に低分子量の炭化水素化合物からなる場合、加熱温度は、600℃以上1200℃以下が好ましい。加熱温度が600℃未満になると、カーボン前駆体の炭化が十分に進行しないので好ましくない。一方、加熱温度が1200℃を越えると、卑金属元素が凝集し、高い触媒活性が得られないので好ましくない。加熱温度は、好ましくは、600℃以上1200℃以下であり、さらに好ましくは、600℃以上800℃以下である。また、加熱時間は、カーボン前駆体の炭化及び触媒成分の活性点への変換が効率よく進行するように、加熱温度に応じて最適な時間を選択すれば良い。
【0044】
さらに、加熱によってカーボン前駆体を炭化させ、かつ触媒成分を活性点に変換させた後、化学的処理によって多孔質体を除去すると、本発明に係る電極触媒が得られる。
【0045】
多孔質体の除去方法は、特に限定されるものではなく、多孔質体の材質に応じて最適な方法を選択すればよい。例えば、多孔質体がシリカである場合、多孔質体を硫酸(H2SO4)、フッ化水素酸(HF)、アルカリ溶液(NaOHなど)等の水溶液に浸漬し、多孔質体を溶解させればよい。
【0046】
本発明によれば、触媒金属元素の担持量が10wt%以上である電極触媒を得ることができる。また、製造条件を最適化すれば、触媒金属元素の担持量が20wt%以上である電極触媒を得ることができる。しかも、触媒金属元素は、高分散で炭素質担体上に担持されているので、−0.5mA/cm2時の電極電位が600mV(対参照水素電極(RHE))以上である酸素還元特性を備えた電極触媒を得ることができる。また、製造条件を最適化すれば、−0.5mA/cm2時の電極電位が700mV(対RHE)以上である酸素還元特性を備えた電極触媒を得ることができる。
【0047】
次に、本発明に係る電極触媒及びその製造方法の作用について説明する。多孔質体を触媒成分を含む溶液又はガスと接触させると、多孔質体の細孔の内壁面に触媒成分を吸着させることができる。次いで、多孔質体にカーボン前駆体を導入し、所定の温度で加熱すると、カーボン前駆体が炭化すると同時に、触媒成分が活性点に変換される。すなわち、多孔質体が電極触媒を製造するためのテンプレートとして機能し、細孔内には、活性点に変換された触媒成分を担持した炭素質担体が形成される。
【0048】
本発明に係る電極触媒は、触媒を調製する際に表面積の大きい多孔質体の細孔内壁を利用しているので、触媒成分を多孔質体の内壁面に高分散に配置することができる。また、触媒成分を多孔質体の内壁面に吸着させているので、触媒成分の吸着量を多くする場合であっても、凝集が抑制される。さらに、触媒成分の熱処理と、カーボン前駆体の炭化処理とをほぼ同時に行っているので、活性点間の距離を短く維持することができる。
【0049】
従来の方法では、触媒金属元素の担持量がある一定の値を超えると、熱処理の際に触媒金属元素の凝集が起こるので、反応サイト数はあまり増加しない。そのため、触媒金属元素の担持量をそれ以上増加させても、高い触媒活性は得られない。これに対し、本発明に係る電極触媒は、多孔質体をテンプレートに用い、細孔内壁に触媒成分を吸着させているので、触媒金属元素の担持量が相対的に多い場合であっても、熱処理の過程における触媒金属元素の凝集が抑制される。そのため、従来の方法に比べて反応サイト数が増加し、高い触媒活性を示す。
【0050】
【実施例】
(実施例1)
コバルト−テトラフェニルポルフィリン(CoTPP)をトルエンに溶解させ、4.5mg−CoTPP/トルエン溶液を調製した。この溶液500ml中に、平均細孔径5nmのメソ孔を有する多孔質シリケート(MCM−41、モービル石油(株)製)を1g加えて常温下で24時間保持し、メソ孔内にCoTPPを吸着させた。この後、MCM−41をトルエンで十分に共洗し、100℃×12hで真空乾燥した。
【0051】
次に、ナフタレン溶液500ml中にMCM−41を24時間浸漬し、MCM−41の細孔全体にナフタレンを充填した。次いで、MCM−41を溶液から分離し、Arガス流通下、800℃×3hの熱処理を施した。熱処理終了後、反応物を10%フッ化水素酸溶液に3h浸漬してMCM−41を溶解させ、超純水で十分に共洗してケーキを得た。これを再度、100℃×24hで真空乾燥し、触媒(以下、これを「触媒A」という。)を得た。触媒AのCo担持量を分析したところ、19.8wt%であった。
【0052】
(比較例1)
実施例1で得られた4.5mg−CoTPP/トルエン溶液250ml中に、カーボン担体としてバルカン(Cabot社製、XC−72R)を450mg混合し、10分間の超音波分散を行った。次いで、40℃の湯浴を続けながらアスピレータを用いて減圧し、溶媒を除去してカーボン担体上にCoTPPを担持させた。
【0053】
次に、カーボン担体を80℃×24hで真空乾燥し、さらに、Arガス流通下、800℃×2hの熱処理を施し、触媒(以下、これを「触媒B」という。)を得た。触媒BのCo担持量を分析したところ、20.5wt%であった。
【0054】
実施例1で得られた触媒A及び比較例1で得られた触媒Bについて、酸素還元特性を調べるために、回転ディスク電極法により電気化学的測定を行った。具体的な条件は、以下の通りである。
【0055】
すなわち、作用極には、半径が5mm(0.196cm2)であり、かつディスク部が鏡面処理されたグラッシーカーボンを用いた。グラッシーカーボンディスク部への触媒の担持は、(1)触媒粉20mgを超純水10ml中に超音波分散させ、(2)この触媒液を作用極のグラッシーカーボンディスク部に滴下し、(3)乾燥後、グラッシーカーボンディスクの表面を高分子電解質(ナフィオン(登録商標、デュポン社製))のアルコール分散液で被覆し、(4)80℃で30分間真空乾燥すること、により行った。なお、仕込み値として、Co担持密度は、7μgCo/cm2となるようにした。また、参照極及び対極には、それぞれ、水素電極及び白金板を用いた。さらに、電解液には、0.1MH2SO4水溶液を用いた。
【0056】
実験は、電解液中に酸素を飽和させた状態で、かつ回転ディスク電極(作用極)を1000rpmで回転させながら行った。電位は、50mVから1300mV(対RHE)の範囲で、また掃引速度を10mV/sとしてボルタモグラムを記録した。なお、触媒活性(酸素還元特性)は、カソード掃引時(1300mVから50mV(対RHE)に向かって電位を掃引する時)において、電流密度が−0.5mA/cm2を示すときの電位で評価した。この電位が高電位であるほど、酸素還元力が高いことを示す。図1にボルタモグラムを示す。また表1に、酸素還元特性を示す。
【0057】
【表1】
【0058】
図1より、比較例1で得られた触媒Bの場合、電位が600mV(対RHE)以下において電流密度が急激に増大するのに対し、実施例1で得られた触媒Aは、電位が800mV(対RHE)以下において電流密度が急激に増大していることがわかる。上記の方法に従い、調製した各触媒の触媒活性を調べたところ、触媒Aでは、752mV(対RHE)であったのに対し、触媒Bでは、496mV(対RHE)であり、触媒Aに優れた酸素還元特性があることが認められた。
【0059】
触媒A及び触媒Bは、Co担持量がほぼ同じであるにもかかわらず、触媒活性に大きな違いが生じている。これは、本発明に係る製造プロセスによって、高担持密度にしても活性点が凝集することなく機能している結果と考えられる。
【0060】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
【0061】
例えば、本発明に係る電極触媒は、固体高分子型燃料電池に用いられる電極触媒として特に好適であるが、本発明の用途はこれに限定されるものではなく、各種電気化学デバイスに用いられる電極触媒としても使用することができる。
【0062】
また、上記実施例においては、本発明に係る電極触媒を空気極用の電極触媒として用いた例について説明したが、本発明に係る電極触媒は、燃料極用の電極触媒としても使用することができる。
【0063】
【発明の効果】
本発明に係る電極触媒は、多孔質体の細孔内壁に触媒成分を吸着させ、細孔内部にカーボン前駆体を導入し、多孔質体を不活性雰囲気下において加熱することにより得られるので、担体表面に反応サイトが高密度で形成され、高い触媒活性を示すという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた触媒A及び比較例1で得られた触媒Bのボルタモグラムである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電極触媒及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、燃料電池、水電解装置、ハロゲン化水素酸電解装置、食塩電解装置、酸素及び/又は水素濃縮器、湿度センサ、ガスセンサ等の各種電気化学デバイスの電極に用いられる電極触媒及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子電解質は、高分子鎖中にスルホン酸基等の電解質基を有する固体高分子材料である。固体高分子電解質は、特定のイオンと強固に結合したり、陽イオン又は陰イオンを選択的に透過する性質を有していることから、粒子、繊維、あるいは膜状に成形し、電気透析、拡散透析、電池隔膜等、各種の用途に利用されている。
【0003】
例えば、固体高分子型燃料電池や水電解装置などの各種電気化学デバイスにおいて、固体高分子電解質は、膜状に成形され、その両面に電極を接合した膜電極接合体(MEA)の状態で使用される。また、固体高分子型燃料電池において、電極は、一般に、拡散層と触媒層の二層構造をとる。拡散層は、触媒層に反応ガス及び電子を供給するためのものであり、カーボン繊維、カーボンペーパー等が用いられる。また、触媒層は、電極反応の反応場となる部分であり、一般に、電極触媒と固体高分子電解質との複合体からなる。
【0004】
このような各種電気化学デバイスに用いられる電極触媒には、従来、Ptなどの貴金属の微粒子(Ptブラックなど)、カーボンブラックなどの炭素質担体上にPtなどの貴金属の微粒子を担持したもの、電解質膜の表面にメッキやスパッタなどの方法で形成された貴金属の薄膜等が用いられている。
【0005】
しかしながら、Pt等の貴金属は、高い触媒活性と高い触媒活性の安定性を示すが、高価であり、資源的にも限られている。そのため、電極触媒が各種電気化学デバイスのコストを高くする一因となっている。特に、燃料電池は、所定の出力を得るために多数のMEAが積層された状態で使用されるので、燃料電池1個当たりの電極触媒の使用量も多く、これが燃料電池の普及を妨げている。
【0006】
例えば、燃料電池の電極における一般的なPt使用量は、1平方センチメートル当たり0.1mg〜1mg程度といわれているが、普及に妥当な燃料電池価格を達成するためには、少なくともこの貴金属使用量を1/50〜1/100程度まで低減させなくてはならないと言う試算もある。これは、触媒活性の改善や触媒利用率の向上など、単なる使用量低減の努力では達成困難である。
【0007】
そこでこの問題を解決するために、貴金属に代わる代替材料に関し、従来から種々の提案がなされている。例えば、非特許文献1には、カーボンブラック上に担持させた大環状化合物の一種であるテトラフェニルポルフィリン(TPP)とFe又はCoの錯体(大環状金属錯体)、及びカーボンブラック上に担持させた同じく大環状化合物の一種であるフタロシアニン(Pc)とCoの大環状金属錯体が酸素還元触媒としての活性を示すことが開示されている。
【0008】
また、同文献には、カーボンブラック上に担持させたTPPとFeの大環状金属錯体(FeTPP/C)及びカーボンブラック上に担持させたTPPとCoの大環状金属錯体(CoTPP/C)を種々の温度で焼成した場合において、低電流密度条件下では、500℃〜700℃の中間温度域で焼成した時に、最大の触媒活性を示す点が記載されている。
【0009】
さらに、非特許文献2には、Coの担持量を増加させるために、焼成中に昇華するCoフタロシアニン(CoPc)に代えて、その誘導体であるテトラカルボキシCoフタロシアニン(CoPcTc)をカーボンブラック上に担持させた電極触媒が開示されている。また、同文献には、CoPcTcを用いた場合において、最適なCo担持量は、1.5wt%である点が記載されている。
【0010】
【非特許文献1】
G.Faubert et al., Electrochim. Acta, 41, 1689(1996)
【非特許文献2】
G.Lalande et al., Electrochim. Acta, 40, 2635(1995)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
大環状金属錯体は、貴金属触媒に比べて安価であるが、一分子そのものがPt等の微粒子に比べて非常に大きいために、単位面積当たりの反応サイト数が少ないという欠点がある。
【0012】
例えば、CoTPP一分子は、約1nm2程度の面積を有するが、反応サイト数は、1つしかない。他方、Pt粒子の場合、直径1nmの球状粒子(表面積は、3.14nm2)を仮定すると、表面に露出しているPtサイト(反応サイト)数は、約40になり(Pt(100)面でPt一原子が占める面積を0.07nm2とした場合の試算)、両者で大きく異なっている。
【0013】
従って、貴金属以外の金属触媒の反応サイト当たりの活性がPt等の貴金属触媒と同等である場合であっても、大環状金属錯体を用いて触媒材料を構築し、しかも高い触媒活性を得るためには、電極触媒上の反応サイトをできるだけ多く形成する必要がある。
【0014】
しかしながら、大環状金属錯体分子を炭素質担体上に担持させ、不活性雰囲気下で熱処理する従来の方法では、担持量を増加させても熱処理過程で金属元素が凝集するために、貴金属触媒に匹敵する触媒活性は得られていない。従って、大環状金属錯体分子を用いて貴金属触媒を越える触媒を製造するためには、反応サイトを高密度で形成できるプロセスが必要不可欠となる。
【0015】
この点は、貴金属触媒を用いる場合も同様であり、炭素質担体表面への担持量が多くなるほど、貴金属微粒子は凝集する傾向にある。そのため、高い触媒活性を得るために貴金属微粒子の担持量を増加させると、貴金属微粒子の凝集によって単位体積当たりの反応サイト数が減少し、貴金属使用量を増大させる原因となっている。
【0016】
本発明が解決しようとする課題は、触媒担体表面に反応サイトが高密度で形成された電極触媒及びその製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係る電極触媒は、多孔質体の細孔内壁に触媒成分を吸着させ、前記細孔内部にカーボン前駆体を導入し、前記多孔質体を不活性雰囲気下において加熱することによって前記カーボン前駆体を炭化させ、かつ前記触媒成分を活性点に変換し、前記多孔体を除去することにより得られたものからなる。
【0018】
また、本発明に係る電極触媒の製造方法は、多孔質体の細孔内壁に触媒成分を吸着させる第1工程と、前記細孔内部にカーボン前駆体を導入する第2工程と、前記多孔質体を不活性雰囲気下において加熱することによって前記カーボン前駆体を炭化させ、かつ前記触媒成分を活性点に変換する第3工程と、前記多孔体を除去する第4工程とを備えていることを要旨とする。
【0019】
大環状金属錯体分子などの触媒成分を多孔質体の細孔内壁に吸着させると、細孔内壁に触媒成分を高分散に配置することができる。次いで、このような細孔内にカーボン前駆体を導入し、これを熱処理すると、熱処理過程における触媒成分の凝集が抑制される。そのため、触媒成分の吸着量が多い場合であっても、活性点間の距離を短く維持することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。本発明に係る電極触媒の製造方法は、多孔質体の細孔内壁に触媒成分を吸着させる第1工程と、前記細孔内部にカーボン前駆体を導入する第2工程と、前記多孔質体を不活性雰囲気下において加熱することによって前記カーボン前駆体を炭化させ、かつ前記触媒成分を活性点に変換する第3工程と、前記多孔体を除去する第4工程とを備えている。また、本発明に係る電極触媒は、このような製造工程を経て得られたものからなる。
【0021】
多孔質体は、電極触媒を製造するためのテンプレートとなるものである。本発明において、多孔質体には、少なくとも1200℃での熱処理に耐える耐熱性を有し、かつ酸、アルカリ等による化学的処理によって崩壊させることができるものを用いる必要がある。
【0022】
また、触媒活性の高い電極触媒を効率よく製造するためには、多孔質体の表面積は、大きい程良い。多孔質体の比表面積は、具体的には、100m2/g以上が好ましく、さらに好ましくは、300m2/g以上である。
【0023】
また、多孔質体は、少なくとも触媒成分の分子及びカーボン前駆体分子の大きさより大きい細孔を有していることが必要である。多孔質体の平均細孔径は、具体的には、触媒成分の分子及びカーボン前駆体分子の内、いずれか大きいものの大きさの3倍以上が好ましく、さらに好ましくは、5倍以上である。
【0024】
但し、多孔質体の平均細孔径が大きくなりすぎると、炭素質担体の平均粒径が大きくなり、単位体積当たりの触媒成分の担持量が低下するので好ましくない。従って、多孔質体の平均細孔径は、触媒成分の分子及びカーボン前駆体の分子の内、いずれか大きいものの大きさの8倍以下が好ましく、さらに好ましくは、6倍以下である。
【0025】
例えば、触媒成分として、後述する大環状金属錯体を用いる場合において、カーボン前駆体として、後述するベンゼン等を用いるときには、多孔質体の細孔径は、具体的には、3nm以上8nm以下が好ましく、さらに好ましくは、5nm以上6nm以下である。
【0026】
このような条件を満たす多孔質体としては、具体的には、MCM−41(モービル石油(株)製)、MCM−48(モービル(株)製)、FSM−16(早稲田大開発)等の3nm以上のメソ孔を有するシリカが好適な一例として挙げられる。これらの多孔質体は、それぞれ、単独で用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0027】
本発明において、触媒成分とは、所定の熱処理によって活性点に変換可能な化合物であって、液相又は気相を介して多孔質体の細孔内壁に吸着させることが可能なものを言う。
【0028】
本発明において、触媒成分は、Pt、Pd等の貴金属元素を含む化合物であっても良く、あるいは、4〜6周期で、かつ5〜11族に属する元素(本発明においては、貴金属元素を除くこれらの元素を「卑金属元素」という。)を含む化合物であっても良い。また、触媒成分は、これらの金属元素の内、1種類のみを含むものであっても良く、あるいは、2種以上を含むものであっても良い。
【0029】
これらの中でも、卑金属元素を含む化合物は、電極触媒を低コスト化できるので、触媒成分として好適である。また、これらの中でも、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)及び銅(Cu)を含む化合物は、触媒活性の高い電極触媒が得られるので、触媒成分として特に好適である。
【0030】
触媒成分が卑金属元素を含む化合物からなる場合、触媒成分は、卑金属元素のイオンと有機分子との錯体を用いるのが好ましい。また、錯化に用いる有機分子は、大環状化合物が好ましい。大環状化合物とは、9又はそれ以上の原子(すべてが異原子である場合を含む)、及び、3又はそれ以上の結合原子を有する化合物と定義されている(Coordination Chemistry of Macrocyclic Compounds, G.A.Melson, Plenum Press, New York & London, 1979)。本発明では、基本骨格の中に窒素原子を有するフタロシアニン類、ポルフィリン類、テトラアザアヌレン類などを指す。
【0031】
大環状化合物としては、具体的には、フタロシアニン、ポルフィリン、ナフタロシアニン、テトラアザアンヌレン、サレン等及びこれらの誘導体が好適な一例として挙げられる。また、これらの有機分子は、それぞれ、単独で用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0032】
また、例えば、触媒成分が貴金属を含むものである場合、触媒成分は、具体的には、ヘキサヒドロキシ白金酸(H2Pt(OH)6)、塩化白金酸(H2PtCl6)等が好適な一例として挙げられる。また、これらの化合物は、それぞれ、単独で用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0033】
多孔質体の細孔内壁への触媒成分の吸着方法は、特に限定されるものではなく、周知の方法を用いることができる。例えば、触媒成分が常温で液体である場合、加熱によって液体となる場合、あるいは適当な溶媒に溶解可能である場合には、これを溶液状とし、この溶液中に多孔質体を浸漬すれば良い。また、例えば、触媒成分が気化又は昇華しやすいものである場合には、触媒成分を含むガスと多孔質体とを接触させれば良い。
【0034】
この場合、多孔質体の細孔内壁への触媒成分の吸着量は、溶液又はガス中の触媒成分の濃度、多孔質体と溶液又はガスとの接触時間、溶液又はガスの温度、圧力等を制御することにより調節することができる。
【0035】
本発明において、カーボン前駆体とは、不活性雰囲気中において焼成することにより炭素質担体となるものであって、液相又は気相を介して多孔質体の細孔内に導入可能なものを言う。
【0036】
カーボン前駆体は、少なくとも炭素を含む分子であれば良い。また、焼成によって炭素質担体を効率よく得るためには、カーボン前駆体は、炭素と水素のみから構成される分子を用いるのが好ましい。さらに、カーボン前駆体の大きさは、少なくとも多孔質体の細孔径より小さいことが必要である。
【0037】
カーボン前駆体としては、具体的には、ナフタレン、ベンゼン、スチレン、キシレン、アズレン、アセチレン、アセトニトリル、メタン等及びこれらの誘導体が好適な一例として挙げられる。また、これらのカーボン前駆体は、それぞれ、単独で用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0038】
カーボン前駆体の多孔質体への導入方法は、特に限定されるものではなく、周知の方法を用いることができる。例えば、カーボン前駆体が常温において液体である場合、加熱によって液体となる場合、あるいは適当な溶媒に溶解可能である場合には、カーボン前駆体を溶液状とし、これに多孔質体を浸漬すればよい。また、例えば、カーボン前駆体が気化又は昇華しやすいものである場合には、カーボン前駆体を含むガスと多孔質体とを接触させれば良い。
【0039】
この場合、多孔質体の細孔内へのカーボン前駆体の導入量は、溶液又はガス中のカーボン前駆体の濃度、多孔質体と溶液又はガスとの接触時間、溶液又はガスの温度、圧力等を制御することにより、調節することができる。
【0040】
また、多孔質体の細孔内に余分な触媒成分が残っていると、細孔内にカーボン前駆体が導入されにくくなる場合がある。このような場合には、細孔内に残っている余分な触媒成分を揮発、共洗等の手段を用いて除去した後、カーボン前駆体を導入するのが好ましい。
【0041】
細孔内壁に触媒成分を吸着させ、かつ細孔内にカーボン前駆体を導入した多孔質体を不活性雰囲気下において加熱すると、カーボン前駆体が炭化して炭素質担体となり、かつ触媒成分が活性点に変換される。
【0042】
多孔質体の加熱は、カーボン前駆体及び触媒成分の材質に応じて、カーボン前駆体の炭化及び触媒成分の活性点への変換が効率よく行われる温度で行うのが好ましい。
【0043】
例えば、触媒成分が卑金属元素を含む大環状金属錯体であり、カーボン前駆体がナフタレン、ベンゼン等の相対的に低分子量の炭化水素化合物からなる場合、加熱温度は、600℃以上1200℃以下が好ましい。加熱温度が600℃未満になると、カーボン前駆体の炭化が十分に進行しないので好ましくない。一方、加熱温度が1200℃を越えると、卑金属元素が凝集し、高い触媒活性が得られないので好ましくない。加熱温度は、好ましくは、600℃以上1200℃以下であり、さらに好ましくは、600℃以上800℃以下である。また、加熱時間は、カーボン前駆体の炭化及び触媒成分の活性点への変換が効率よく進行するように、加熱温度に応じて最適な時間を選択すれば良い。
【0044】
さらに、加熱によってカーボン前駆体を炭化させ、かつ触媒成分を活性点に変換させた後、化学的処理によって多孔質体を除去すると、本発明に係る電極触媒が得られる。
【0045】
多孔質体の除去方法は、特に限定されるものではなく、多孔質体の材質に応じて最適な方法を選択すればよい。例えば、多孔質体がシリカである場合、多孔質体を硫酸(H2SO4)、フッ化水素酸(HF)、アルカリ溶液(NaOHなど)等の水溶液に浸漬し、多孔質体を溶解させればよい。
【0046】
本発明によれば、触媒金属元素の担持量が10wt%以上である電極触媒を得ることができる。また、製造条件を最適化すれば、触媒金属元素の担持量が20wt%以上である電極触媒を得ることができる。しかも、触媒金属元素は、高分散で炭素質担体上に担持されているので、−0.5mA/cm2時の電極電位が600mV(対参照水素電極(RHE))以上である酸素還元特性を備えた電極触媒を得ることができる。また、製造条件を最適化すれば、−0.5mA/cm2時の電極電位が700mV(対RHE)以上である酸素還元特性を備えた電極触媒を得ることができる。
【0047】
次に、本発明に係る電極触媒及びその製造方法の作用について説明する。多孔質体を触媒成分を含む溶液又はガスと接触させると、多孔質体の細孔の内壁面に触媒成分を吸着させることができる。次いで、多孔質体にカーボン前駆体を導入し、所定の温度で加熱すると、カーボン前駆体が炭化すると同時に、触媒成分が活性点に変換される。すなわち、多孔質体が電極触媒を製造するためのテンプレートとして機能し、細孔内には、活性点に変換された触媒成分を担持した炭素質担体が形成される。
【0048】
本発明に係る電極触媒は、触媒を調製する際に表面積の大きい多孔質体の細孔内壁を利用しているので、触媒成分を多孔質体の内壁面に高分散に配置することができる。また、触媒成分を多孔質体の内壁面に吸着させているので、触媒成分の吸着量を多くする場合であっても、凝集が抑制される。さらに、触媒成分の熱処理と、カーボン前駆体の炭化処理とをほぼ同時に行っているので、活性点間の距離を短く維持することができる。
【0049】
従来の方法では、触媒金属元素の担持量がある一定の値を超えると、熱処理の際に触媒金属元素の凝集が起こるので、反応サイト数はあまり増加しない。そのため、触媒金属元素の担持量をそれ以上増加させても、高い触媒活性は得られない。これに対し、本発明に係る電極触媒は、多孔質体をテンプレートに用い、細孔内壁に触媒成分を吸着させているので、触媒金属元素の担持量が相対的に多い場合であっても、熱処理の過程における触媒金属元素の凝集が抑制される。そのため、従来の方法に比べて反応サイト数が増加し、高い触媒活性を示す。
【0050】
【実施例】
(実施例1)
コバルト−テトラフェニルポルフィリン(CoTPP)をトルエンに溶解させ、4.5mg−CoTPP/トルエン溶液を調製した。この溶液500ml中に、平均細孔径5nmのメソ孔を有する多孔質シリケート(MCM−41、モービル石油(株)製)を1g加えて常温下で24時間保持し、メソ孔内にCoTPPを吸着させた。この後、MCM−41をトルエンで十分に共洗し、100℃×12hで真空乾燥した。
【0051】
次に、ナフタレン溶液500ml中にMCM−41を24時間浸漬し、MCM−41の細孔全体にナフタレンを充填した。次いで、MCM−41を溶液から分離し、Arガス流通下、800℃×3hの熱処理を施した。熱処理終了後、反応物を10%フッ化水素酸溶液に3h浸漬してMCM−41を溶解させ、超純水で十分に共洗してケーキを得た。これを再度、100℃×24hで真空乾燥し、触媒(以下、これを「触媒A」という。)を得た。触媒AのCo担持量を分析したところ、19.8wt%であった。
【0052】
(比較例1)
実施例1で得られた4.5mg−CoTPP/トルエン溶液250ml中に、カーボン担体としてバルカン(Cabot社製、XC−72R)を450mg混合し、10分間の超音波分散を行った。次いで、40℃の湯浴を続けながらアスピレータを用いて減圧し、溶媒を除去してカーボン担体上にCoTPPを担持させた。
【0053】
次に、カーボン担体を80℃×24hで真空乾燥し、さらに、Arガス流通下、800℃×2hの熱処理を施し、触媒(以下、これを「触媒B」という。)を得た。触媒BのCo担持量を分析したところ、20.5wt%であった。
【0054】
実施例1で得られた触媒A及び比較例1で得られた触媒Bについて、酸素還元特性を調べるために、回転ディスク電極法により電気化学的測定を行った。具体的な条件は、以下の通りである。
【0055】
すなわち、作用極には、半径が5mm(0.196cm2)であり、かつディスク部が鏡面処理されたグラッシーカーボンを用いた。グラッシーカーボンディスク部への触媒の担持は、(1)触媒粉20mgを超純水10ml中に超音波分散させ、(2)この触媒液を作用極のグラッシーカーボンディスク部に滴下し、(3)乾燥後、グラッシーカーボンディスクの表面を高分子電解質(ナフィオン(登録商標、デュポン社製))のアルコール分散液で被覆し、(4)80℃で30分間真空乾燥すること、により行った。なお、仕込み値として、Co担持密度は、7μgCo/cm2となるようにした。また、参照極及び対極には、それぞれ、水素電極及び白金板を用いた。さらに、電解液には、0.1MH2SO4水溶液を用いた。
【0056】
実験は、電解液中に酸素を飽和させた状態で、かつ回転ディスク電極(作用極)を1000rpmで回転させながら行った。電位は、50mVから1300mV(対RHE)の範囲で、また掃引速度を10mV/sとしてボルタモグラムを記録した。なお、触媒活性(酸素還元特性)は、カソード掃引時(1300mVから50mV(対RHE)に向かって電位を掃引する時)において、電流密度が−0.5mA/cm2を示すときの電位で評価した。この電位が高電位であるほど、酸素還元力が高いことを示す。図1にボルタモグラムを示す。また表1に、酸素還元特性を示す。
【0057】
【表1】
【0058】
図1より、比較例1で得られた触媒Bの場合、電位が600mV(対RHE)以下において電流密度が急激に増大するのに対し、実施例1で得られた触媒Aは、電位が800mV(対RHE)以下において電流密度が急激に増大していることがわかる。上記の方法に従い、調製した各触媒の触媒活性を調べたところ、触媒Aでは、752mV(対RHE)であったのに対し、触媒Bでは、496mV(対RHE)であり、触媒Aに優れた酸素還元特性があることが認められた。
【0059】
触媒A及び触媒Bは、Co担持量がほぼ同じであるにもかかわらず、触媒活性に大きな違いが生じている。これは、本発明に係る製造プロセスによって、高担持密度にしても活性点が凝集することなく機能している結果と考えられる。
【0060】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
【0061】
例えば、本発明に係る電極触媒は、固体高分子型燃料電池に用いられる電極触媒として特に好適であるが、本発明の用途はこれに限定されるものではなく、各種電気化学デバイスに用いられる電極触媒としても使用することができる。
【0062】
また、上記実施例においては、本発明に係る電極触媒を空気極用の電極触媒として用いた例について説明したが、本発明に係る電極触媒は、燃料極用の電極触媒としても使用することができる。
【0063】
【発明の効果】
本発明に係る電極触媒は、多孔質体の細孔内壁に触媒成分を吸着させ、細孔内部にカーボン前駆体を導入し、多孔質体を不活性雰囲気下において加熱することにより得られるので、担体表面に反応サイトが高密度で形成され、高い触媒活性を示すという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた触媒A及び比較例1で得られた触媒Bのボルタモグラムである。
Claims (8)
- 多孔質体の細孔内壁に触媒成分を吸着させ、前記細孔内部にカーボン前駆体を導入し、前記多孔質体を不活性雰囲気下において加熱することによって前記カーボン前駆体を炭化させ、かつ前記触媒成分を活性点に変換し、前記多孔体を除去することにより得られる電極触媒。
- 前記多孔質体は、前記触媒成分及び前記カーボン前駆体より大きい細孔を有するものである請求項1に記載の電極触媒。
- 前記触媒成分は、4〜6周期で、かつ5〜11族に属する元素から選ばれる少なくとも1つの金属イオンの錯体を含むものである請求項1又は2に記載の電極触媒。
- 前記多孔質体を600℃以上1200℃以下の温度で加熱することにより得られる請求項3に記載の電極触媒。
- 多孔質体の細孔内壁に触媒成分を吸着させる第1工程と、
前記細孔内部にカーボン前駆体を導入する第2工程と、
前記多孔質体を不活性雰囲気下において加熱することによって前記カーボン前駆体を炭化させ、かつ前記触媒成分を活性点に変換する第3工程と、
前記多孔体を除去する第4工程とを備えた電極触媒の製造方法。 - 前記多孔質体は、前記触媒成分及び前記カーボン前駆体より大きい細孔を有するものである請求項5に記載の電極触媒の製造方法。
- 前記触媒成分は、4〜6周期で、かつ5〜11族に属する元素から選ばれる少なくとも1つの金属イオンの錯体を含むものである請求項5又は6に記載の電極触媒の製造方法。
- 前記第3工程は、600℃以上1200℃以下の温度で前記多孔質体を加熱するものである請求項7に記載の電極触媒の製造方法。
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