JP2004340860A - タイヤ接地踏面観察装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両1に装着したタイヤ2の走行路3に透明板5が配置されている。透明板5にはその表面5aより突出したタイヤ乗越用突起7が設けられている。透明板4の下側には照明手段10と撮影手段11とがそれぞれ設置されている。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤ接地踏面を観察する装置に関し、更に詳しくは、実車走行時のエンベロープ特性を観察することができるタイヤ接地踏面観察装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、実車走行時のタイヤ接地踏面を観察する装置として、車両に装着したタイヤの走行路内に透明板を配置し、該透明板の下側に撮影手段と照明手段とを設置するようにしたタイヤ接地踏面観察装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。タイヤが透明板上を走行した時の接地踏面を撮影手段により撮影し、その撮影画像から接地時の踏面形状を観察できるようにしている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−242044号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したタイヤ接地踏面観察装置は、タイヤの接地踏面の形状を観察するのに留まり、それ以外の特性の観察には使用できない。
【0005】
本発明の目的は、実車走行時のエンベロープ特性を観察することが可能なタイヤ接地踏面観察装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明のタイヤ接地踏面観察装置は、車両に装着したタイヤの走行路に透明板を配置し、該透明板にその表面より突出したタイヤ乗越用突起を設け、前記透明板の下側に照明手段と撮影手段とを設置したことを特徴とする。
【0007】
このように透明板にタイヤ乗越用突起を設けたので、タイヤがタイヤ乗越用突起を乗り越える際に、タイヤ乗越用突起に当たって変形し、その突起を包み込むようにして乗り越えるタイヤ接地踏面形状を透明板の下側に配置した撮影手段により撮影することが可能になる。従って、その撮影画像から実車走行時のタイヤのエンベロープ特性を観察することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
図1は、本発明のタイヤ接地踏面観察装置の一実施形態を示し、このタイヤ接地踏面観察装置は、車両1に装着したタイヤ2の走行路3の一部に掘設されたピット4の開口部に、ガラスなどの透明板5をその表面5aが走行路3の路面3aと略同一面となるようにして配置してある。透明板5の周囲には、金属などの枠体6がその表面6aと透明板5の表面5aとを同一面状となるようにして配設されている。
【0010】
透明板5の表面5aには、タイヤ2よりも剛性が高い材料、例えば金属などで構成されたタイヤ乗越用突起7が設けられている。タイヤ乗越用突起7は、図2に示すように、走行路3を横断する方向に延在し、その両端部7aが枠体6の両側まで延設され、その表面6aに突起固定治具8により着脱自在に固定されている。
【0011】
タイヤ乗越用突起7を取り外すことにより、タイヤ2が透明板5上を走行した時の接地踏面を後述する撮影手段11により撮影し、その撮影画像から接地時の踏面形状も観察できるようにしている。また、サイズの異なる種々のタイヤ乗越用突起7の取り付けが可能になっている。
【0012】
タイヤ乗越用突起7の一方の端部7aにはロードセル9が取り付けられ、このロードセル9によりタイヤ2がタイヤ乗越用突起7を乗り越した時の突起反力を検出できるようになっている。
【0013】
透明板5の下側のピット4内には照明手段10と高速ビデオカメラなどの撮影手段11が設置されている。この撮影手段11とロードセル9がピット4の外部に設置されたコンピュータ(処理手段)12に接続されている。コンピュータ12は、照明手段10及び撮影手段11と同様に、ピット4内に設置してもよい。
【0014】
コンピュータ12は、撮影手段11からリアルタイムで入力された、タイヤ2がタイヤ乗越用突起7を乗り越えた時のタイヤ接地踏面画像に基づいて、エンベロープ特性値である、図3に示すエンベロープ長さX(タイヤ乗越用突起7で分断されたタイヤ2の2つの接地面2a間の長さ)とその2つの接地面2aの合計面積を算出するようになっている。また、不図示のディスプレーにそのタイヤ接地踏面画像を表示できるようにしている。
【0015】
また、コンピュータ12は、ロードセル9から入力された、タイヤ2がタイヤ乗越用突起7を乗り越えた時の突起反力の時系列波形データに基づいて、その波形における周波数解析からエンベロープ特性を評価できるようにしてある。このエンベロープ特性の評価は、周波数解析に代えて、波形のP−P値(最大値と最小値の差)から行うようにしてもよい。
【0016】
例えば、図4にロードセル9から入力されたデータに基づいて周波数解析したグラフ図の一例を示す。図4(a)は上下方向の突起反力(上下力)、図4(b)は前後方向の突起反力(前後力)に関するものであり、上下力と前後力の周波数解析の0〜100Hzの範囲Fの部分和が小さい程エンベロープ特性が良好であると評価する。
【0017】
図5にロードセル9から入力された時系列波形のグラフ図の一例を示す。図5(a)は上下方向の突起反力(上下力)、図5(b)は前後方向の突起反力(前後力)に関し、上下力と前後力のP−P値が小さい程エンベロープ特性が良好であると評価するのである。
【0018】
上述したタイヤ接地踏面観察装置は、更にタイヤ2がタイヤ乗越用突起7を乗り越した時に車両1側で、車両のバネ下振動を検出する振動センサー13を備えている。振動センサー13は、車両1の車軸のハブ(車軸周りの非回転部、例えばナックル部)に装着されるようになっており、検出した時系列の振動波形データを車室内の不図示のコンピュータに配線あるいは無線を介して出力し、該コンピュータ内の記録したメモリから取り出してコンピュータ12に入力するようになっている。あるいは、振動センサー13から無線で出力し、直接コンピュータ12にロードセル9からのデータと同期させて取り込むようにしてもよい。
【0019】
コンピュータ12は、振動センサー13から入力された、タイヤ2がタイヤ乗越用突起7を乗り越した時の時系列の振動波形データ(振動検出信号)に基づいて、その波形における周波数解析から振動伝達特性を解析できるようにしている。この振動伝達特性の解析は、周波数解析に代えて、上記と同様に波形のP−P値(最大値と最小値の差)から行うようにしてもよい。
【0020】
例えば、図6に振動センサー13から入力されたデータに基づいて周波数解析したグラフ図の一例を示す。図6(a)は上下方向の加速度、図6(b)は前後方向の加速度に関するものであり、それらの周波数解析の0〜100Hzの範囲Fの部分和が小さい程エンベロープ特性が良好であると評価する。
【0021】
図7に振動センサー13から入力された時系列波形のグラフ図の一例を示す。図7(a)は上下方向の加速度、図5(b)は前後方向の加速度に関し、それらのP−P値が小さい程エンベロープ特性が良好であると評価するのである。
【0022】
ピット4の車両進入側には、走行路3の一側方にトリガー用反射板14が設置される一方、トリガー用反射板14に対向する他方側には不図示の投光器と受光器が配置されている。車両1がトリガー用反射板14の前を走行した時に、投光器から照射された光が車両1に遮られて反射板14から反射せず、受光器に受光されなくなると、ロードセル9、照明手段10、撮影手段11がオンになると共に、振動センサー13がトリガーしてオンになり、撮影手段11と同期させた振動検出信号をコンピュータ12に入力できるようになっている。
【0023】
上述した本発明によれば、透明板5の表面5aにタイヤ乗越用突起7を設けたので、タイヤ乗越用突起7を乗り越える際に、タイヤ2がタイヤ乗越用突起7で変形してその突起を包み込むようにして乗り越えるタイヤ接地踏面形状を透明板5の下側に配置した撮影手段11により撮影することができる。従って、その撮影画像から実車走行時のエンベロープ特性を観察することができる。
【0024】
また、撮影手段11をコンピュータ12に接続し、撮影手段11から入力されたタイヤ乗越用突起7乗り越し時のタイヤ接地踏面画像に基づいてエンベロープ特性値を算出可能にすることで、エンベロープ特性を容易に測定することができる。これにより、タイヤ及びサスペンションの乗心地性能に関する評価を効率的に精度良く行うことが可能になる。
【0025】
また、タイヤ乗越用突起7の乗り越し時に突起反力を検出可能なロードセル9をタイヤ乗越用突起7に取り付け、コンピュータ12でその突起反力に基づいてエンベロープ特性を評価可能にすることで、タイヤの接地踏面形状とタイヤに加わる力の両方からエンベロープ特性の評価が可能になる。
【0026】
また、車両1側に装着される振動センサー13を有し、コンピュータ12を振動センサー13から入力された、タイヤ2がタイヤ乗越用突起7を乗り越した時の振動検出信号に基づいて振動伝達特性を解析可能にしたので、更に上記突起反力のデータと振動伝達特性を解析したデータとを用いることにより、実車でのタイヤ−サスペンション系を含んだ乗心地性の評価を高い精度で行うことが可能になる。
【0027】
しかも、タイヤ乗越用突起7を透明板5の表面5aに着脱自在に設けることで、通常のタイヤ接地踏面の形状とエンベロープ特性の両者を1つのタイヤ接地踏面観察装置で観察することができ、かつサイズの異なる種々のタイヤ乗越用突起7の取り付けができるので、種々の試験が可能になる。
【0028】
図8,9は、タイヤ乗越用突起7の他の取り付け例を示し、図8は透明板5を前後2枚の透明板部5X,5Yに分割した構成にし、その透明板部5X,5Y間にタイヤ乗越用突起7をその表面5aより突出するようにして取り付けたものである。枠体6が透明板5より下側の位置に配置され、タイヤ乗越用突起7がその枠体6の両側まで延在している。
【0029】
図9は、図1,2に示すタイヤ乗越用突起7の下側に緩衝材層14を配置し、透明板5に対する衝撃を軽減して透明板5を破損し難くしたものである。このようにしてタイヤ乗越用突起7を透明板5の表面5aから突出するように設けてもよい。
【0030】
【発明の効果】
上述したように本発明のタイヤ接地踏面観察装置は、車両に装着したタイヤの走行路に透明板を配置し、該透明板にその表面より突出したタイヤ乗越用突起を設け、透明板の下側に撮影手段と照明手段とを設置したので、実車走行時のエンベロープ特性を観察することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタイヤ接地踏面観察装置の一例を示す説明図である。
【図2】図1の要部斜視拡大図である。
【図3】タイヤ乗越用突起を乗り越す時のタイヤ接地踏面の説明図である。
【図4】ロードセルから入力されたデータに基づいて周波数解析したグラフ図の一例を示し、(a)は上下方向の突起反力に関するグラフ図、(b)は前後方向の突起反力に関するグラフ図である。
【図5】ロードセルから入力された時系列波形のグラフ図の一例を示し、(a)は上下方向の突起反力に関するグラフ図、(b)は前後方向の突起反力に関するグラフ図である。
【図6】振動センサーから入力されたデータに基づいて周波数解析したグラフ図の一例を示し、(a)は上下方向の加速度に関するグラフ図、(b)は前後方向の加速度に関するグラフ図である。
【図7】振動センサーから入力された時系列波形のグラフ図の一例を示し、(a)は上下方向の加速度に関するグラフ図、(b)は前後方向の加速度に関するグラフ図である。
【図8】透明板にタイヤ乗越用突起を取り付けた他の例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図9】透明板にタイヤ乗越用突起を取り付けた更に他の例を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 車両 2 タイヤ
3 走行路 4 ピット
5 透明板 5a 表面
7 タイヤ乗越用突起 8 突起固定治具
9 ロードセル 10 照明手段
11 撮影手段 12 コンピュータ(処理手段)
13 振動センサー
Claims (6)
- 車両に装着したタイヤの走行路に透明板を配置し、該透明板にその表面より突出したタイヤ乗越用突起を設け、前記透明板の下側に照明手段と撮影手段とを設置したタイヤ接地踏面観察装置。
- 前記撮影手段に接続した処理手段を有し、該処理手段を前記撮影手段から入力された、タイヤが前記タイヤ乗越用突起を乗り越えた時のタイヤ接地踏面画像に基づいてエンベロープ特性値を算出可能にした請求項1に記載のタイヤ接地踏面観察装置。
- 前記タイヤ乗越用突起にロードセルを取り付け、該ロードセルによりタイヤが前記タイヤ乗越用突起を乗り越した時の突起反力を検出可能にした請求項1または2に記載のタイヤ接地踏面観察装置。
- 前記ロードセルが前記処理手段に接続され、該処理手段を前記ロードセルから入力された、タイヤが前記タイヤ乗越用突起を乗り越えた時の突起反力に基づいてエンベロープ特性を評価可能にした請求項3に記載のタイヤ接地踏面観察装置。
- 前記車両側に装着される振動センサーを有し、前記処理手段を該振動センサーから入力された、タイヤが前記タイヤ乗越用突起を乗り越した時の振動検出信号に基づいて振動伝達特性を解析可能にした請求項1,2,3または4に記載のタイヤ接地踏面観察装置。
- 前記タイヤ乗越用突起を前記透明板に着脱自在に設けた請求項1,2,3,4または5に記載のタイヤ接地踏面観察装置。
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