JP2004339944A - ガスタービンのモニタリング装置および方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コーティングのはく落面積やはく落面積の時間的変化を検知できるガスタービンのモニタリング装置を得ることである。
【解決手段】モニタリング対象の高温部品の下流の燃焼ガスを燃焼ガス撮影装置15で撮影し、演算処理装置21は撮影した燃焼ガスの画像に基づいて燃焼ガス中の飛翔体を検出し飛翔体の色により成分毎に材質を識別する。演算処理装置21で識別した材質の飛翔体の存在が一定時間継続した場合には、高温部品の損傷状態の確認を促す警告を警報装置22に発する。
【選択図】 図1
【解決手段】モニタリング対象の高温部品の下流の燃焼ガスを燃焼ガス撮影装置15で撮影し、演算処理装置21は撮影した燃焼ガスの画像に基づいて燃焼ガス中の飛翔体を検出し飛翔体の色により成分毎に材質を識別する。演算処理装置21で識別した材質の飛翔体の存在が一定時間継続した場合には、高温部品の損傷状態の確認を促す警告を警報装置22に発する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遮熱および耐酸化のコーティングが被覆されているガスタービン高温部品の損傷状態を監視するガスタービンのモニタリング装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスタービンの燃焼ガス温度は高い熱効率を図るために高まっている。このため、高温部品として代表される動静翼において、基材のメタル温度を低下させるために、基材の表面にMCrAlY(M:Co、Ni、Fe等)の溶射皮膜をボンドコートとし、その上に遮熱のためジルコニアなどを主成分とするセラミックスをトップコートとして被覆する遮熱コーティングが適用されるようになっている。
【0003】
このような遮熱コーティングを被覆した部品を実機プラントで使用した場合、最も懸念されるのはトップコートのはく離およびはく落である。トップコートのはく離が進行し脱落した場合には、脱落部分の基材は高温の燃焼ガスを直接受けることになり、メタル温度の上昇による酸化減肉および熱疲労による損傷が加速する。
【0004】
そこで、定期検査時において、部品表面で変化の少ないはく離の前兆を赤外線カメラを用いて捉えることが行われている。すなわち、赤外線カメラでトップコートのはく離状況を計測し、試験片レベルの実機環境模擬試験結果と合わせてトップコートのはく落に至る寿命を評価する。
【0005】
このようなオフラインの寿命評価に対し、運転中のガスタービン内部機器の高温腐食や高温酸化状態、動・静翼の遮熱コーティングの状態等を連続的に監視する監視装置(例えば特許文献1参照)や、実機部品表面温度を放射温度計で計測し、トップコートのはく落によって表面温度が上昇したときに警報を発するオンラインによる異常検知法も提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−303969号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のガスタービンのオンラインによる異常検知法においては、トップコートのはく落による部品表面の温度変化を捉えることで温度計測範囲におけるトップコートのはく落について検知できるものの、はく落面積やはく落面積の時間的変化の検知が困難である。
【0008】
本発明の目的は、コーティングのはく落面積やはく落面積の時間的変化を検知できるガスタービンのモニタリング装置および方法を得ることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のガスタービンのモニタリング装置は、モニタリング対象の高温部品の下流の燃焼ガスを燃焼ガス撮影装置で撮影し、演算処理装置は撮影した燃焼ガスの画像に基づいて燃焼ガス中の飛翔体を検出し飛翔体の色により成分毎に材質を識別する。演算処理装置で識別した材質の飛翔体の存在が一定時間継続した場合には、高温部品の損傷状態の確認を促す警告を警報装置に発するようにしたものである。また、演算処理装置は、燃焼ガス撮影装置の撮影範囲内の飛翔体の面積を算出し、算出した飛翔体面積の最大値が一定値を超えた場合に、警報装置に警報を出力したり、撮影範囲内の飛翔体の数量を計測し、計測された飛翔体数量の累積値が一定値を超えた場合に、警報装置に警報を出力する。
【0010】
さらに、モニタリング対象の高温部品の上流の燃焼ガスを撮影する燃焼ガス撮影装置を設け、演算処理装置は、飛翔体毎に上流側と下流側の飛翔体分布の差を求め飛翔体の分布が予め定めた設定値を逸脱したときは、警報装置に警報を出力する。また、撮影同期装置により燃焼ガス撮影装置の撮影タイミングを高温部品の動きと同期させて燃焼ガスを撮影する。
【0011】
さらに、モニタリング対象の高温部品毎に運転中に異なる色に変化するようにコーティング材料を選定しておき、演算処理装置は、飛翔体毎に識別した色によって損傷の激しい部位を同定する。また、モニタリング対象の高温部品の冷却空気温度を計測する冷却空気温度計測装置を設け、冷却空気温度が所定値を超えたとき警報装置に警報を出力する。
【0012】
モニタリング対象の高温部品が動翼または静翼である場合には、燃焼ガス撮影装置の撮影領域を動翼または静翼の有効部に設定しておき、演算処置装置は、動翼または静翼の有効部を直接観察する。燃焼ガス撮影装置としてレーザー発振器を用いた場合には、演算処理装置はレーザー発信器から受信したレーザー光の強度を計測して燃焼ガス中の飛翔体を検出する。
【0013】
また、高温部品を撮影する撮影センサが先端部に取り付けられたファイバースコープケーブルと、先端部が開口しその開口部に撮影センサが位置するようにファイバースコープケーブルを包囲して後端部から先端部に冷却空気を案内する金属製フレキシブルチューブとからなる検査装置を用意し、ガスタービン停止直後にその検査装置をタービンケーシングの挿入孔から挿入して高温部品の損傷状態を検査する。
【0014】
本発明のガスタービンのモニタリング方法は、モニタリング対象の高温部品の下流の燃焼ガスを撮影し、撮影した燃焼ガスの画像に基づいて燃焼ガス中の飛翔体を検出し、飛翔体の色により成分毎に材質を識別し、識別した材質の飛翔体の存在が一定時間継続した場合に高温部品の損傷状態の確認を促す警告を発するようにしたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係るガスタービンのモニタリング装置の構成図である。ガスタービン11の高温部品としては、ガスタービンケーシング12内に収納された静翼13や動翼14があり、図1では、第1段静翼13a、第1段動翼14a、第2段静翼14bを示している。これら高温部品は高温の燃焼ガス中で使用され遮熱コーティングが被覆されている。以下、モニタリング対象の高温部品が第1段動翼14aである場合について説明する。モニタリング対象の高温部品である第1段動翼14aの上流および下流には、燃焼ガスを撮影する燃焼ガス撮影装置15a、15bが設けられている。
【0016】
燃焼ガス撮影装置15a、15bは、外部ケーシング16a、16b内部に高速度カメラ17a、17bおよびハロゲン光源18a、18bを収納して構成され、モニタリング対象の高圧部品である第1段動翼14aの方向に撮影用窓19a、19bを有している。そして、図示は省略するが、外部ケーシング16a、16bの内部と撮影用窓19a、19bとを冷却空気で冷却することにより、ガスタービン11の運転中に高温状態から高速度カメラ17a、17bやハロゲン光源18a、17b等の機器を保護し、撮影用窓19a、19bの失透を防ぐようにしている。また、ハロゲン光源18a、18bは、高速度カメラ19a、19bの撮影方向と同じ方向からハロゲン光を照射して燃焼ガスからの光を打ち消し、高速度カメラ19a、19bによる飛翔体の撮影をし易くしている。
【0017】
燃料ガス撮影装置15a、15bの高速度カメラ16a、16bで燃焼ガスを撮影する場合、1秒間当たりのコマ数は、各高温部品における燃焼ガス速度に合わせて設定され、動翼14のように回転体に取りつけられて回転している場合には、その回転数に合わせて撮影できるように撮影同期装置20にその設定をしておく。
【0018】
燃焼ガス撮影装置15a、15bで撮影された燃焼ガスの画像は、演算処置装置21に入力される。演算処理装置21では燃焼ガスの画像に基づいて燃焼ガス中の飛翔体を検出し、飛翔体の色により成分毎に材質を識別する。そして、演算処理装置21で識別した材質の飛翔体の存在が一定時間継続した場合には、高温部品の損傷状態の確認を促す警告を警報装置22に出力する。
【0019】
図2は、演算処理装置21のブロック構成図である。燃焼ガス撮影装置15で撮影された燃焼ガス画像は、演算処理装置21の画像処理手段23に入力され、燃焼ガス撮影装置で撮影したモニタリング対象である第1段動翼14aの上流および下流の燃焼ガスを色計測による燃焼ガスと飛翔体との分離を行う。
【0020】
図3は、撮影した燃焼ガス画像のイメージ図であり、モニタリング対象である第1段動翼14aに明らかな異常が認められる場合のイメージ図を示している。大きなコーティング被膜24および小さな酸化膜25が撮影されている。図4はこの燃焼ガス画像に画像処理を施したイメージ図である。画像処理によって256色階調化すると、図4に示すように、大きなコーティング被膜24aおよび小さな酸化膜25aが鮮明に写し出される。
【0021】
次に、飛翔体材質判定手段26では、画像処理手段23で画像処理された飛翔体の色により成分毎に材質を識別する。すなわち、飛翔体材質判定手段26には予め色調ごとに飛翔体か燃焼ガスであるか否かの設定がされており、さらに飛翔体においては材質毎に色調が設定されている。飛翔体材質判定手段26では飛翔体の色が設定値の範囲内に入った場合に飛翔体の存在とその材質を認識し、特定材質が一定時間継続した場合には警報装置22に警報を出力する。これにより、ガスタービン操作者に高温部品の損傷状態の確認を促すことになる。
【0022】
飛翔体面積算出手段27は、飛翔体材質判定手段26で判定された飛翔体の材質毎に飛翔体の面積を計算し、撮影範囲内の飛翔体面積の最大値が一定値を超えた場合に、警報装置に警報を出力する。これにより、ガスタービン操作者に高温部品の損傷状態の確認を促すことになる。同様に、飛翔体計数手段28は飛翔体材質判定手段26で判定された飛翔体について撮影範囲内の飛翔体数量を計測し、撮影範囲内で計測された飛翔体数量の累積値が一定値を超えた場合に警報装置22に警告を発する。
【0023】
このように、飛翔体と認識されたものについて、色調と画素数から材質と面積およびその数量を計測することができる。この結果は図示省略の記憶装置に格納される。また、飛翔体材質判定手段26、飛翔体面積算出手段27、飛翔体係数手段28において、異常が認められない場合には撮影した画像については消去し記憶装置の容量を確保しておく。
【0024】
次に、飛翔体分布比較手段29は、飛翔体毎にモニタリング対象である第1動翼14aの上流側と下流側との飛翔体分布の差を求め、飛翔体の分布が予め定めた設定値を逸脱したときは、警報装置29に警報を出力するものである。すなわち、飛翔体分布比較手段29では飛翔体面積および飛翔体係数の計測結果を時系列的に収集し、飛翔体の材質毎にモニタリング対象である第1動翼14aの上流側と下流側との飛翔体の面積と数量の飛翔体分布を求め、第1段動翼上流側の飛翔体分布と下流側の飛翔体分布との差を求める。図5は、上流側の飛翔体分布30および下流側の飛翔体分布31のグラフであり、図6は、上流側の飛翔体分布30と下流側の飛翔体分布31との分布差32および飛翔体の累積数33のグラフである。そして、図6において、飛翔体の累積数33または分布差32の最大値が予め設定した値を超えた場合に警報装置22に警報を出力する。
【0025】
警報を発する基準は高温部品および運転条件によって異なるので、有限要素法による熱応力解析などから、継続して運転すると危険な状態になるコーティングのはく落面積を算出することで設定できる。さらに、各高温部品に被覆されているコーティング皮膜の色がそれぞれ異なるように材料を選定すれば、コーティング皮膜がはく落している高温部品について特定し易くなる。
【0026】
以上の説明では、上流側の燃焼ガス撮影装置15aと下流側の燃焼ガス撮影装置15bとの2台の燃焼ガス撮影装置15を設けた場合について説明したが、演算処理装置21の飛翔体分布比較手段29が必要でない場合には、上流側の燃焼ガス撮影装置15aの設置を省略し、下流側の燃焼ガス撮影装置15bのみを設けるようにしても良い。
【0027】
また、図7に示すように、モニタリング対象の高温部品の冷却空気温度を計測する冷却空気温度計測装置34を設け、冷却空気温度が所定値を超えたとき警報装置22に警報を出力するようにしても良い。すなわち、冷却空気温度計測装置34で高温部品の内部を冷却する空気温度を時系列的に計測しておき、モニタリングデータとして予め記憶しておく。そして、高温部品の表面の状態変化による冷却空気温度とモニタリングデータとを比較し、計測温度が急上昇した場合に警報装置22にコーティング皮膜はく落の警報を出力する。これにより、各高温部品の損傷状態を監視できる。
【0028】
第1の実施の形態によれば、運転中のガスタービンの燃焼ガス中の飛翔体からガスタービン部品に被覆されたコーティング皮膜を自動的に認識し、その累積量や面積から高温部品の異常を診断することができる。
【0029】
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。図8は本発明の第2の実施の形態に係るガスタービンのモニタリング装置の構成図である。この第2の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態に対し、燃焼ガス撮影装置15a、15bの撮影領域を第1動翼14aの有効部に設定しておき、演算処置装置21は第1動翼14aの有効部を直接観察するようにしたものである。
【0030】
燃焼ガス撮影装置15a、15bの高速度カメラ17a、17bの撮影領域を第1静翼4aの有効部に設定した場合、図8に示すような配置になる。この場合については、第1の実施の形態に対し、燃焼ガス撮影装置15a、15bの高速度カメラ17a、17bの可動範囲を拡大し、撮影用窓19a、19bについても大きさを広げておくことになる。撮影時は撮影同期装置20によって第1動翼1枚ごとの画像を撮影し、演算処理装置21の画像処理手段23によって256階調化し、飛翔体材質判定手段26、飛翔体面積算出手段27、飛翔体計数手段28での処理によってコーティングが被覆されている部位とはく落した部位とを識別する。コーティングがはく落した部位の面積が予め設定した値に達した場合において警報を発する命令を警報装置22に送信する。警報を発する基準は高温部品および運転条件によって異なるので、有限要素法による熱応力解析などから、継続して運転すると危険な状態になるコーティングのはく落面積を算出することで設定できる。
【0031】
以上の説明では、第1動翼14aの有効部に対して、燃焼ガス撮影装置15a、15bの高速度カメラ17a、17bの撮影領域を設定する場合について説明したが、各々の動翼または各々の静翼についても同様に適用できる。
【0032】
第2の実施の形態によれば、ガスタービン11の運転中において高速回転するガスタービン動翼や静翼の1枚1枚をそれぞれ直接的に外観撮影することが可能になり、ガスタービンの高温部品に被覆されたコーティング皮膜のはく落面積を自動的に認識し、その面積から部品の異常を診断することができる。
【0033】
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。図9は第3の実施の形態に係るガスタービンのモニタリング装置の構成図である。この第3の実施の形態は、図1に示す第1の実施の形態に対し、燃焼ガス撮影装置15としてレーザー発振器35を用いたものであり、これに伴い演算処理装置21はレーザー発信器35から受信したレーザー光の強度を計測し燃焼ガス中の飛翔体を検出する。
【0034】
図9に示すように、レーザー発振器35を設置し、飛翔体の数量および面積が多いほど受信したレーザー光の強度が弱くなっていくことを利用して、レーザー光の強度が弱くなる時間が継続した場合に高温部品の表面のコーティング皮膜がはく落したと判断して、警報を発する命令を警報装置22に送信する。
【0035】
第3の実施の形態によれば、ガスタービン11の運転中において高速回転するガスタービン動翼14の1枚1枚をそれぞれ直接的に外観撮影することが可能になり、ガスタービン11の高温部品に被覆されたコーティング皮膜はく落面積を自動的に認識し、その面積から部品の異常を診断することができる。
【0036】
ここで、警報装置22から警報が発せられた場合、ガスタービン11の停止後にガスタービン11の高温部品の検査を行う検査装置を用意する。図10は、その検査装置36の一部切り欠き説明図である。図10に示すように、検査装置36は、高温部品を撮影する撮影センサ37が先端部に取り付けられたファイバースコープケーブル38を金属製フレキシブルチューブ39で包囲して形成される。金属製フレキシブルチューブ39の先端部は開口しており、その開口部に撮影センサ37が位置するようにファイバースコープケーブル38を包囲する。そして、金属製フレキシブルチューブ39の後端部から先端部に向けて冷却空気40を案内できる構成としておく。そして、図11に示すように、ガスタービン11の停止直後に検査装置36をタービンケーシング12の挿入孔41から挿入し、高温部品である第1静翼13a、第1動翼14a、第2静翼13bの損傷状態を検査する。
【0037】
すなわち、ガスタービンケーシング12の検査装置36の挿入孔41から検査装置36を挿入し、警報出力された該当部位の観察を行い、高温部品の表面の異常の有無を確認する。運転停止後のガスタービン11は300℃以上になっているため、検査装置36のファイバースコープケーブル38をそのままガスタービンケーシング12内に挿入することができないので、金属製フレキシブルチューブ39内にファイバースコープケーブル38を入れておき、金属製フレキシブルチューブ39内を冷却し、金属製フレキシブルチューブ39の先端部から冷却空気40が抜けるようにしておく。これにより、ガスタービン11の運転停止直後であってもファイバースコープケーブル38による撮影が可能となる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、燃焼ガス中に混在する高温部品からはく落したコーティング皮膜を判定しコーティングのはく落について警報を出力するので、ガスタービンの高温部品の損傷状態を適切に把握できる。また、燃焼ガス撮影装置によってモニタリング対象の高温部品を直接撮影し、高温部品に被覆されたコーティング皮膜はく落面積を自動的に認識するので、その面積から部品の異常を診断することができる。また、本発明によれば、燃焼ガス撮影装置としてレーザー発振器を用いた場合には、受信したレーザー光の強度を計測することで燃焼ガス中の飛翔体を検出することができるので、コーティングのはく落状態を自動的に認識することができる。また、ガスタービンの運転停止直後に検査装置によって外観観察を行うことができるので、コーティングのはく落状態を適正に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るガスタービンのモニタリング装置の構成図。
【図2】本発明の第1の実施の形態における演算処理装置のブロック構成図。
【図3】本発明の第1の実施の形態における撮影した燃焼ガス画像のイメージ図。
【図4】本発明の第1の実施の形態における燃焼ガス画像に画像処理を施したイメージ図。
【図5】本発明の第1の実施の形態において検出した上流側の飛翔体分布および下流側の飛翔体分布のグラフ。
【図6】本発明の第1の実施の形態において検出した上流側の飛翔体分布と下流側の飛翔体分布との分布差および飛翔体の累積数のグラフ。
【図7】本発明の第1の実施の形態において冷却空気温度計測装置を設けた場合の構成図。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るガスタービンのモニタリング装置の構成図。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係るガスタービンのモニタリング装置の構成図。
【図10】本発明の各々の実施の形態で使用する検査装置の一部切り欠き説明図。
【図11】本発明の各々の実施の形態で使用する検査装置の使用状態の説明図。
【符号の説明】
11…ガスタービン、12…ガスタービンケーシング、13…静翼、14…動翼、15…燃焼ガス撮影装置、16…外部ケーシング、17…高速度カメラ、18…ハロゲン光源、19…撮影用窓、20…撮影同期装置、21…演算処理装置、22…警報装置、23…画像処理手段、24…コーティング被膜、25…酸化膜、26…飛翔体材質判定手段、27…飛翔体面積算出手段、28…飛翔体計数手段、29…飛翔体分布比較手段、30…上流側の飛翔体分布、31…下流側の飛翔体分布、32…分布差、33…飛翔体の累積数、34…冷却空気温度計測装置、35…レーザー発振器、36…検査装置、37…撮影センサ、38…ファイバースコープケーブル、39…金属製フレキシブルチューブ、40…冷却空気、41…挿入孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、遮熱および耐酸化のコーティングが被覆されているガスタービン高温部品の損傷状態を監視するガスタービンのモニタリング装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスタービンの燃焼ガス温度は高い熱効率を図るために高まっている。このため、高温部品として代表される動静翼において、基材のメタル温度を低下させるために、基材の表面にMCrAlY(M:Co、Ni、Fe等)の溶射皮膜をボンドコートとし、その上に遮熱のためジルコニアなどを主成分とするセラミックスをトップコートとして被覆する遮熱コーティングが適用されるようになっている。
【0003】
このような遮熱コーティングを被覆した部品を実機プラントで使用した場合、最も懸念されるのはトップコートのはく離およびはく落である。トップコートのはく離が進行し脱落した場合には、脱落部分の基材は高温の燃焼ガスを直接受けることになり、メタル温度の上昇による酸化減肉および熱疲労による損傷が加速する。
【0004】
そこで、定期検査時において、部品表面で変化の少ないはく離の前兆を赤外線カメラを用いて捉えることが行われている。すなわち、赤外線カメラでトップコートのはく離状況を計測し、試験片レベルの実機環境模擬試験結果と合わせてトップコートのはく落に至る寿命を評価する。
【0005】
このようなオフラインの寿命評価に対し、運転中のガスタービン内部機器の高温腐食や高温酸化状態、動・静翼の遮熱コーティングの状態等を連続的に監視する監視装置(例えば特許文献1参照)や、実機部品表面温度を放射温度計で計測し、トップコートのはく落によって表面温度が上昇したときに警報を発するオンラインによる異常検知法も提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−303969号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のガスタービンのオンラインによる異常検知法においては、トップコートのはく落による部品表面の温度変化を捉えることで温度計測範囲におけるトップコートのはく落について検知できるものの、はく落面積やはく落面積の時間的変化の検知が困難である。
【0008】
本発明の目的は、コーティングのはく落面積やはく落面積の時間的変化を検知できるガスタービンのモニタリング装置および方法を得ることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のガスタービンのモニタリング装置は、モニタリング対象の高温部品の下流の燃焼ガスを燃焼ガス撮影装置で撮影し、演算処理装置は撮影した燃焼ガスの画像に基づいて燃焼ガス中の飛翔体を検出し飛翔体の色により成分毎に材質を識別する。演算処理装置で識別した材質の飛翔体の存在が一定時間継続した場合には、高温部品の損傷状態の確認を促す警告を警報装置に発するようにしたものである。また、演算処理装置は、燃焼ガス撮影装置の撮影範囲内の飛翔体の面積を算出し、算出した飛翔体面積の最大値が一定値を超えた場合に、警報装置に警報を出力したり、撮影範囲内の飛翔体の数量を計測し、計測された飛翔体数量の累積値が一定値を超えた場合に、警報装置に警報を出力する。
【0010】
さらに、モニタリング対象の高温部品の上流の燃焼ガスを撮影する燃焼ガス撮影装置を設け、演算処理装置は、飛翔体毎に上流側と下流側の飛翔体分布の差を求め飛翔体の分布が予め定めた設定値を逸脱したときは、警報装置に警報を出力する。また、撮影同期装置により燃焼ガス撮影装置の撮影タイミングを高温部品の動きと同期させて燃焼ガスを撮影する。
【0011】
さらに、モニタリング対象の高温部品毎に運転中に異なる色に変化するようにコーティング材料を選定しておき、演算処理装置は、飛翔体毎に識別した色によって損傷の激しい部位を同定する。また、モニタリング対象の高温部品の冷却空気温度を計測する冷却空気温度計測装置を設け、冷却空気温度が所定値を超えたとき警報装置に警報を出力する。
【0012】
モニタリング対象の高温部品が動翼または静翼である場合には、燃焼ガス撮影装置の撮影領域を動翼または静翼の有効部に設定しておき、演算処置装置は、動翼または静翼の有効部を直接観察する。燃焼ガス撮影装置としてレーザー発振器を用いた場合には、演算処理装置はレーザー発信器から受信したレーザー光の強度を計測して燃焼ガス中の飛翔体を検出する。
【0013】
また、高温部品を撮影する撮影センサが先端部に取り付けられたファイバースコープケーブルと、先端部が開口しその開口部に撮影センサが位置するようにファイバースコープケーブルを包囲して後端部から先端部に冷却空気を案内する金属製フレキシブルチューブとからなる検査装置を用意し、ガスタービン停止直後にその検査装置をタービンケーシングの挿入孔から挿入して高温部品の損傷状態を検査する。
【0014】
本発明のガスタービンのモニタリング方法は、モニタリング対象の高温部品の下流の燃焼ガスを撮影し、撮影した燃焼ガスの画像に基づいて燃焼ガス中の飛翔体を検出し、飛翔体の色により成分毎に材質を識別し、識別した材質の飛翔体の存在が一定時間継続した場合に高温部品の損傷状態の確認を促す警告を発するようにしたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係るガスタービンのモニタリング装置の構成図である。ガスタービン11の高温部品としては、ガスタービンケーシング12内に収納された静翼13や動翼14があり、図1では、第1段静翼13a、第1段動翼14a、第2段静翼14bを示している。これら高温部品は高温の燃焼ガス中で使用され遮熱コーティングが被覆されている。以下、モニタリング対象の高温部品が第1段動翼14aである場合について説明する。モニタリング対象の高温部品である第1段動翼14aの上流および下流には、燃焼ガスを撮影する燃焼ガス撮影装置15a、15bが設けられている。
【0016】
燃焼ガス撮影装置15a、15bは、外部ケーシング16a、16b内部に高速度カメラ17a、17bおよびハロゲン光源18a、18bを収納して構成され、モニタリング対象の高圧部品である第1段動翼14aの方向に撮影用窓19a、19bを有している。そして、図示は省略するが、外部ケーシング16a、16bの内部と撮影用窓19a、19bとを冷却空気で冷却することにより、ガスタービン11の運転中に高温状態から高速度カメラ17a、17bやハロゲン光源18a、17b等の機器を保護し、撮影用窓19a、19bの失透を防ぐようにしている。また、ハロゲン光源18a、18bは、高速度カメラ19a、19bの撮影方向と同じ方向からハロゲン光を照射して燃焼ガスからの光を打ち消し、高速度カメラ19a、19bによる飛翔体の撮影をし易くしている。
【0017】
燃料ガス撮影装置15a、15bの高速度カメラ16a、16bで燃焼ガスを撮影する場合、1秒間当たりのコマ数は、各高温部品における燃焼ガス速度に合わせて設定され、動翼14のように回転体に取りつけられて回転している場合には、その回転数に合わせて撮影できるように撮影同期装置20にその設定をしておく。
【0018】
燃焼ガス撮影装置15a、15bで撮影された燃焼ガスの画像は、演算処置装置21に入力される。演算処理装置21では燃焼ガスの画像に基づいて燃焼ガス中の飛翔体を検出し、飛翔体の色により成分毎に材質を識別する。そして、演算処理装置21で識別した材質の飛翔体の存在が一定時間継続した場合には、高温部品の損傷状態の確認を促す警告を警報装置22に出力する。
【0019】
図2は、演算処理装置21のブロック構成図である。燃焼ガス撮影装置15で撮影された燃焼ガス画像は、演算処理装置21の画像処理手段23に入力され、燃焼ガス撮影装置で撮影したモニタリング対象である第1段動翼14aの上流および下流の燃焼ガスを色計測による燃焼ガスと飛翔体との分離を行う。
【0020】
図3は、撮影した燃焼ガス画像のイメージ図であり、モニタリング対象である第1段動翼14aに明らかな異常が認められる場合のイメージ図を示している。大きなコーティング被膜24および小さな酸化膜25が撮影されている。図4はこの燃焼ガス画像に画像処理を施したイメージ図である。画像処理によって256色階調化すると、図4に示すように、大きなコーティング被膜24aおよび小さな酸化膜25aが鮮明に写し出される。
【0021】
次に、飛翔体材質判定手段26では、画像処理手段23で画像処理された飛翔体の色により成分毎に材質を識別する。すなわち、飛翔体材質判定手段26には予め色調ごとに飛翔体か燃焼ガスであるか否かの設定がされており、さらに飛翔体においては材質毎に色調が設定されている。飛翔体材質判定手段26では飛翔体の色が設定値の範囲内に入った場合に飛翔体の存在とその材質を認識し、特定材質が一定時間継続した場合には警報装置22に警報を出力する。これにより、ガスタービン操作者に高温部品の損傷状態の確認を促すことになる。
【0022】
飛翔体面積算出手段27は、飛翔体材質判定手段26で判定された飛翔体の材質毎に飛翔体の面積を計算し、撮影範囲内の飛翔体面積の最大値が一定値を超えた場合に、警報装置に警報を出力する。これにより、ガスタービン操作者に高温部品の損傷状態の確認を促すことになる。同様に、飛翔体計数手段28は飛翔体材質判定手段26で判定された飛翔体について撮影範囲内の飛翔体数量を計測し、撮影範囲内で計測された飛翔体数量の累積値が一定値を超えた場合に警報装置22に警告を発する。
【0023】
このように、飛翔体と認識されたものについて、色調と画素数から材質と面積およびその数量を計測することができる。この結果は図示省略の記憶装置に格納される。また、飛翔体材質判定手段26、飛翔体面積算出手段27、飛翔体係数手段28において、異常が認められない場合には撮影した画像については消去し記憶装置の容量を確保しておく。
【0024】
次に、飛翔体分布比較手段29は、飛翔体毎にモニタリング対象である第1動翼14aの上流側と下流側との飛翔体分布の差を求め、飛翔体の分布が予め定めた設定値を逸脱したときは、警報装置29に警報を出力するものである。すなわち、飛翔体分布比較手段29では飛翔体面積および飛翔体係数の計測結果を時系列的に収集し、飛翔体の材質毎にモニタリング対象である第1動翼14aの上流側と下流側との飛翔体の面積と数量の飛翔体分布を求め、第1段動翼上流側の飛翔体分布と下流側の飛翔体分布との差を求める。図5は、上流側の飛翔体分布30および下流側の飛翔体分布31のグラフであり、図6は、上流側の飛翔体分布30と下流側の飛翔体分布31との分布差32および飛翔体の累積数33のグラフである。そして、図6において、飛翔体の累積数33または分布差32の最大値が予め設定した値を超えた場合に警報装置22に警報を出力する。
【0025】
警報を発する基準は高温部品および運転条件によって異なるので、有限要素法による熱応力解析などから、継続して運転すると危険な状態になるコーティングのはく落面積を算出することで設定できる。さらに、各高温部品に被覆されているコーティング皮膜の色がそれぞれ異なるように材料を選定すれば、コーティング皮膜がはく落している高温部品について特定し易くなる。
【0026】
以上の説明では、上流側の燃焼ガス撮影装置15aと下流側の燃焼ガス撮影装置15bとの2台の燃焼ガス撮影装置15を設けた場合について説明したが、演算処理装置21の飛翔体分布比較手段29が必要でない場合には、上流側の燃焼ガス撮影装置15aの設置を省略し、下流側の燃焼ガス撮影装置15bのみを設けるようにしても良い。
【0027】
また、図7に示すように、モニタリング対象の高温部品の冷却空気温度を計測する冷却空気温度計測装置34を設け、冷却空気温度が所定値を超えたとき警報装置22に警報を出力するようにしても良い。すなわち、冷却空気温度計測装置34で高温部品の内部を冷却する空気温度を時系列的に計測しておき、モニタリングデータとして予め記憶しておく。そして、高温部品の表面の状態変化による冷却空気温度とモニタリングデータとを比較し、計測温度が急上昇した場合に警報装置22にコーティング皮膜はく落の警報を出力する。これにより、各高温部品の損傷状態を監視できる。
【0028】
第1の実施の形態によれば、運転中のガスタービンの燃焼ガス中の飛翔体からガスタービン部品に被覆されたコーティング皮膜を自動的に認識し、その累積量や面積から高温部品の異常を診断することができる。
【0029】
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。図8は本発明の第2の実施の形態に係るガスタービンのモニタリング装置の構成図である。この第2の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態に対し、燃焼ガス撮影装置15a、15bの撮影領域を第1動翼14aの有効部に設定しておき、演算処置装置21は第1動翼14aの有効部を直接観察するようにしたものである。
【0030】
燃焼ガス撮影装置15a、15bの高速度カメラ17a、17bの撮影領域を第1静翼4aの有効部に設定した場合、図8に示すような配置になる。この場合については、第1の実施の形態に対し、燃焼ガス撮影装置15a、15bの高速度カメラ17a、17bの可動範囲を拡大し、撮影用窓19a、19bについても大きさを広げておくことになる。撮影時は撮影同期装置20によって第1動翼1枚ごとの画像を撮影し、演算処理装置21の画像処理手段23によって256階調化し、飛翔体材質判定手段26、飛翔体面積算出手段27、飛翔体計数手段28での処理によってコーティングが被覆されている部位とはく落した部位とを識別する。コーティングがはく落した部位の面積が予め設定した値に達した場合において警報を発する命令を警報装置22に送信する。警報を発する基準は高温部品および運転条件によって異なるので、有限要素法による熱応力解析などから、継続して運転すると危険な状態になるコーティングのはく落面積を算出することで設定できる。
【0031】
以上の説明では、第1動翼14aの有効部に対して、燃焼ガス撮影装置15a、15bの高速度カメラ17a、17bの撮影領域を設定する場合について説明したが、各々の動翼または各々の静翼についても同様に適用できる。
【0032】
第2の実施の形態によれば、ガスタービン11の運転中において高速回転するガスタービン動翼や静翼の1枚1枚をそれぞれ直接的に外観撮影することが可能になり、ガスタービンの高温部品に被覆されたコーティング皮膜のはく落面積を自動的に認識し、その面積から部品の異常を診断することができる。
【0033】
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。図9は第3の実施の形態に係るガスタービンのモニタリング装置の構成図である。この第3の実施の形態は、図1に示す第1の実施の形態に対し、燃焼ガス撮影装置15としてレーザー発振器35を用いたものであり、これに伴い演算処理装置21はレーザー発信器35から受信したレーザー光の強度を計測し燃焼ガス中の飛翔体を検出する。
【0034】
図9に示すように、レーザー発振器35を設置し、飛翔体の数量および面積が多いほど受信したレーザー光の強度が弱くなっていくことを利用して、レーザー光の強度が弱くなる時間が継続した場合に高温部品の表面のコーティング皮膜がはく落したと判断して、警報を発する命令を警報装置22に送信する。
【0035】
第3の実施の形態によれば、ガスタービン11の運転中において高速回転するガスタービン動翼14の1枚1枚をそれぞれ直接的に外観撮影することが可能になり、ガスタービン11の高温部品に被覆されたコーティング皮膜はく落面積を自動的に認識し、その面積から部品の異常を診断することができる。
【0036】
ここで、警報装置22から警報が発せられた場合、ガスタービン11の停止後にガスタービン11の高温部品の検査を行う検査装置を用意する。図10は、その検査装置36の一部切り欠き説明図である。図10に示すように、検査装置36は、高温部品を撮影する撮影センサ37が先端部に取り付けられたファイバースコープケーブル38を金属製フレキシブルチューブ39で包囲して形成される。金属製フレキシブルチューブ39の先端部は開口しており、その開口部に撮影センサ37が位置するようにファイバースコープケーブル38を包囲する。そして、金属製フレキシブルチューブ39の後端部から先端部に向けて冷却空気40を案内できる構成としておく。そして、図11に示すように、ガスタービン11の停止直後に検査装置36をタービンケーシング12の挿入孔41から挿入し、高温部品である第1静翼13a、第1動翼14a、第2静翼13bの損傷状態を検査する。
【0037】
すなわち、ガスタービンケーシング12の検査装置36の挿入孔41から検査装置36を挿入し、警報出力された該当部位の観察を行い、高温部品の表面の異常の有無を確認する。運転停止後のガスタービン11は300℃以上になっているため、検査装置36のファイバースコープケーブル38をそのままガスタービンケーシング12内に挿入することができないので、金属製フレキシブルチューブ39内にファイバースコープケーブル38を入れておき、金属製フレキシブルチューブ39内を冷却し、金属製フレキシブルチューブ39の先端部から冷却空気40が抜けるようにしておく。これにより、ガスタービン11の運転停止直後であってもファイバースコープケーブル38による撮影が可能となる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、燃焼ガス中に混在する高温部品からはく落したコーティング皮膜を判定しコーティングのはく落について警報を出力するので、ガスタービンの高温部品の損傷状態を適切に把握できる。また、燃焼ガス撮影装置によってモニタリング対象の高温部品を直接撮影し、高温部品に被覆されたコーティング皮膜はく落面積を自動的に認識するので、その面積から部品の異常を診断することができる。また、本発明によれば、燃焼ガス撮影装置としてレーザー発振器を用いた場合には、受信したレーザー光の強度を計測することで燃焼ガス中の飛翔体を検出することができるので、コーティングのはく落状態を自動的に認識することができる。また、ガスタービンの運転停止直後に検査装置によって外観観察を行うことができるので、コーティングのはく落状態を適正に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るガスタービンのモニタリング装置の構成図。
【図2】本発明の第1の実施の形態における演算処理装置のブロック構成図。
【図3】本発明の第1の実施の形態における撮影した燃焼ガス画像のイメージ図。
【図4】本発明の第1の実施の形態における燃焼ガス画像に画像処理を施したイメージ図。
【図5】本発明の第1の実施の形態において検出した上流側の飛翔体分布および下流側の飛翔体分布のグラフ。
【図6】本発明の第1の実施の形態において検出した上流側の飛翔体分布と下流側の飛翔体分布との分布差および飛翔体の累積数のグラフ。
【図7】本発明の第1の実施の形態において冷却空気温度計測装置を設けた場合の構成図。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るガスタービンのモニタリング装置の構成図。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係るガスタービンのモニタリング装置の構成図。
【図10】本発明の各々の実施の形態で使用する検査装置の一部切り欠き説明図。
【図11】本発明の各々の実施の形態で使用する検査装置の使用状態の説明図。
【符号の説明】
11…ガスタービン、12…ガスタービンケーシング、13…静翼、14…動翼、15…燃焼ガス撮影装置、16…外部ケーシング、17…高速度カメラ、18…ハロゲン光源、19…撮影用窓、20…撮影同期装置、21…演算処理装置、22…警報装置、23…画像処理手段、24…コーティング被膜、25…酸化膜、26…飛翔体材質判定手段、27…飛翔体面積算出手段、28…飛翔体計数手段、29…飛翔体分布比較手段、30…上流側の飛翔体分布、31…下流側の飛翔体分布、32…分布差、33…飛翔体の累積数、34…冷却空気温度計測装置、35…レーザー発振器、36…検査装置、37…撮影センサ、38…ファイバースコープケーブル、39…金属製フレキシブルチューブ、40…冷却空気、41…挿入孔
Claims (11)
- 高温の燃焼ガス中で使用されるガスタービンの遮熱および耐酸化のコーティングが被覆された高温部品をモニタリングするガスタービンのモニタリング装置において、モニタリング対象の高温部品の下流の燃焼ガスを撮影する燃焼ガス撮影装置と、撮影した燃焼ガスの画像に基づいて燃焼ガス中の飛翔体を検出し前記飛翔体の色により成分毎に材質を識別する演算処理装置と、前記演算処理装置で識別した材質の飛翔体の存在が一定時間継続した場合に前記高温部品の損傷状態の確認を促す警告を発する警報装置とを備えたことを特徴とするガスタービンのモニタリング装置。
- 前記演算処理装置は、前記燃焼ガス撮影装置の撮影範囲内の飛翔体の面積を算出し、算出した飛翔体面積の最大値が一定値を超えた場合に、前記警報装置に警報を出力することを特徴とする請求項1記載のガスタービンのモニタリング装置。
- 前記演算処理装置は、前記撮影範囲内の飛翔体の数量を計測し、計測された飛翔体数量の累積値が一定値を超えた場合に、前記警報装置に警報を出力することを特徴とする請求項1記載のガスタービンのモニタリング装置。
- 前記モニタリング対象の高温部品の上流の燃焼ガスを撮影する燃焼ガス撮影装置を設け、前記演算処理装置は、前記高温部品の上流の燃焼ガスと前記高温部品の下流の燃焼ガスに基づいてそれぞれ燃焼ガス中の飛翔体を検出し、前記飛翔体の成分毎に材質を識別し、飛翔体毎に上流側と下流側の飛翔体分布の差を求め飛翔体の分布が予め定めた設定値を逸脱したときは、前記警報装置に警報を出力することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載のガスタービンのモニタリング装置。
- 前記燃焼ガス撮影装置の撮影タイミングを前記高温部品の動きと同期させる撮影同期装置を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載のガスタービンのモニタリング装置。
- 前記モニタリング対象の高温部品毎に運転中に異なる色に変化するようにコーティング材料を選定しておき、前記演算処理装置は、飛翔体毎に識別した色によって損傷の激しい部位を同定することを特徴とする請求項1記載のガスタービンのモニタリング装置。
- 前記モニタリング対象の高温部品の冷却空気温度を計測する冷却空気温度計測装置を設け、前記冷却空気温度が所定値を超えたとき前記警報装置に警報を出力することを特徴とする請求項1記載のガスタービンのモニタリング装置。
- 前記モニタリング対象の高温部品は動翼または静翼であり、前記燃焼ガス撮影装置の撮影領域を動翼または静翼の有効部に設定しておき、前記演算処置装置は、前記動翼または静翼の有効部を直接観察することを特徴とする請求項1記載のガスタービンのモニタリング装置。
- 前記燃焼ガス撮影装置はレーザー発振器であり、前記演算処理装置は前記レーザー発信器から受信したレーザー光の強度を計測し燃焼ガス中の飛翔体を検出することを特徴とする請求項1記載のガスタービンのモニタリング装置。
- 高温部品を撮影する撮影センサが先端部に取り付けられたファイバースコープケーブルと、先端部は開口しその開口部に前記撮影センサが位置するように前記ファイバースコープケーブルを包囲し後端部から先端部に冷却空気を案内する金属製フレキシブルチューブとからなる検査装置を設け、ガスタービン停止直後に前記検査装置をタービンケーシングの挿入孔から挿入し前記高温部品の損傷状態を検査することを特徴とするガスタービンのモニタリング装置。
- 高温の燃焼ガス中で使用されるガスタービンの遮熱および耐酸化のコーティングが被覆された高温部品をモニタリングするガスタービンのモニタリング方法において、モニタリング対象の高温部品の下流の燃焼ガスを撮影し、撮影した燃焼ガスの画像に基づいて燃焼ガス中の飛翔体を検出し、前記飛翔体の色により成分毎に材質を識別し、識別した材質の飛翔体の存在が一定時間継続した場合に前記高温部品の損傷状態の確認を促す警告を発することを特徴とするガスタービンのモニタリング方法。
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