JP2004339429A - 機能物質含有組成物、液体付与方法及び液体付与装置 - Google Patents

機能物質含有組成物、液体付与方法及び液体付与装置 Download PDF

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Koichi Sato
公一 佐藤
Ikuo Nakazawa
郁郎 中澤
Sakae Suda
栄 須田
Masayuki Ikegami
正幸 池上
Keiichiro Tsubaki
圭一郎 椿
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Abstract

【課題】機能物質、ブロックポリマーまたはグラフトポリマーと溶媒を含有し、特定の粘度特性を有する定着性が良好な機能物質含有組成物を提供する。
【解決手段】機能物質と、数平均分子量20000以上のブロックポリマーまたはグラフトポリマーと、溶媒を含有する組成物であって、回転粘度における回転数1rpmでの流動状態の粘度(α1)と、回転数100rpmの流動状態での粘度(α100)の比(α1/α100)が5以下である機能物質含有組成物。前記機能物質がブロックポリマーまたはグラフトポリマーに内包されている。ブロックポリマーまたはグラフトポリマーが両親媒性である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機能物質含有組成物、液体付与方法及び液体付与装置に関し、特に各種機能材料として使用することができるポリマーを含む機能性物質含有組成物、それを用いた液体付与方法および液体付与装置に関する。
【0002】
【背景技術】
機能物質を含有する分散材料は、従来から機能性材料として、除草剤、殺虫剤等の農薬、抗がん剤、抗アレルギー剤、消炎剤等の医薬、または粒状固体として着色剤を有するインク、トナー等の色材が良く知られている。そうした中でも特に色材を含有する組成物を利用するデジタル印刷技術は近年非常な勢いで進歩している。このデジタル印刷技術は、電子写真技術、インクジェット技術と言われるものがその代表例であるが、近年オフィス、家庭等における画像形成技術としてその存在感をますます高めてきている。
【0003】
インクジェット技術はその中でも直接記録方法として、コンパクト、低消費電力という大きな特徴がある。また、ノズルの微細化等により急速に高画質化が進んでいる。インクジェット技術の一例は、インクタンクから供給されたインクをノズル中のヒーターで加熱することで蒸発発泡させ、インクを吐出させて記録媒体に画像を形成させるという方法である。他の例はピエゾ素子を振動させることでノズルからインクを吐出させる方法である。耐候性や定着性を改善する目的で顔料分散インクを使用することが検討されている。例えば、親水性成分および疎水性成分を各1成分以上有するイオン性ブロックポリマーによって顔料を分散させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)が、なお様々な面で改善が望まれている。
【0004】
【特許文献1】
米国特許第5,085,698号明細書
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この様な従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、機能物質、ブロックポリマーまたはグラフトポリマーと溶媒を含有し、特定の粘度特性を有する定着性が良好な機能物質含有組成物を提供しようとするものである。
また、本発明は、該機能物質含有組成物を用いた定着性が良好な画像又はパターン形成方法を含む液体付与方法、およびそれに用いる液体付与装置を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の発明は、機能物質と、数平均分子量20000以上のブロックポリマーまたはグラフトポリマーと、溶媒を含有する組成物であって、回転粘度における回転数1rpmでの流動状態の粘度(α1)と、回転数100rpmの流動状態での粘度(α100)の比(α1/α100)が5以下であることを特徴とする機能物質含有組成物である。
【0007】
好ましくは前記機能物質がブロックポリマーまたはグラフトポリマーに内包されている組成物であり、また好ましくは前記ブロックポリマーまたはグラフトポリマーを2.0重量%以上含有することを特徴とする組成物である。
【0008】
また好ましい一形態として、機能物質が色材である場合があり、さらには組成物がインク組成物であることが好ましい。
また、前記ブロックポリマーまたはグラフトポリマーが両親媒性であることが好ましい。
さらには前記ブロックポリマーまたはグラフトポリマーがポリアルケニルエーテル繰り返し単位構造を有することを特徴とする高分子化合物を用いた組成物が好ましい。
また、前記前記ブロックポリマーまたはグラフトポリマーがイオン性の繰り返し単位を有するポリマーセグメントを有する組成物が好ましく用いられる。
【0009】
本発明の第二の発明は、前記機能物質含有組成物からなる液体を用い、液体吐出部から液体を吐出することにより液体を付与する液体付与方法であり、好ましい一形態例としては、画像形成方法、パターン形成方法がある。また、本発明の液体付与方法は前記液体吐出部からの前記組成物の吐出は該液体に熱エネルギーを作用させて行う方法が好ましい例としてあげられる。
【0010】
本発明の第三の発明は、以上の液体付与方法に用いる液体付与装置である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の第一の発明は、機能物質と、数平均分子量20000以上のブロックポリマーまたはグラフトポリマーと、溶媒を含有する組成物であって、回転粘度における回転数1rpmでの流動状態の粘度(α1)と、回転数100rpmの流動状態での粘度(α100)の比(α1/α100)が5以下であることを特徴とする機能物質含有組成物である。
【0012】
本発明における機能物質とは、所望の機能を発揮する化合物または組成物を意味する。例えば、除草剤、殺虫剤等の農薬、抗がん剤、抗アレルギー剤、消炎剤等の医薬、また、色材、代表的には顔料あるいは染料を挙げることができる。例えば、上記の農薬であれば除草効果を有する活性化合物、殺虫効果を有する活性化合物である。また、上記の医薬であれば、対象の症状を緩和または緩解する化合物である。また、上記の色材としての利用では、顔料のような粒状固体、染料化合物などである。
【0013】
本発明においては機能物質として好ましくは色材が用いられる。色材としては前述したように顔料が例としてあり、無機の無彩色顔料、有機、無機の有彩色顔料があり、また、無色または淡色の顔料、金属光沢顔料等を使用してもよい。本発明のために、新規に合成した顔料を用いてもよい。
【0014】
以下に顔料の例を挙げる。
【0015】
黒色の顔料としては、Raven1060、Raven1080、Raven1170、Raven1200、Raven1250、Raven1255、Raven1500、Raven2000、Raven3500、Raven5250、Raven5750、Raven7000、Raven5000 ULTRAII、Raven1190 ULTRAII(以上、コロンビアン・カーボン社製)、Black Pearls L、MOGUL−L、Regal400R、Regal660R、Regal330R、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1300、Monarch 1400(以上、キャボット社製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW200、Color Black 18、Color Black S160、Color Black S170、Special Black 4、Special Black 4A、Special Black 6、Printex35、PrintexU、Printex140U、PrintexV、Printex140V(以上デグッサ社製)、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上三菱化学社製)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0016】
シアン色の顔料としては、C.I.Pigment Blue−1、C.I.Pigment Blue−2、C.I.Pigment Blue−3、C.I.Pigment Blue−15、C.I.Pigment Blue−15:2、C.I.Pigment Blue−15:3、C.I.Pigment Blue−15:4、C.I.Pigment Blue−16、C.I.Pigment Blue−22、C.I.Pigment Blue−60等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
マゼンタ色の顔料としては、C.I.Pigment Red−5、C.I.Pigment Red−7、C.I.Pigment Red−12、C.I.Pigment Red−48、C.I.Pigment Red−48:1、C.I.Pigment Red−57、C.I.Pigment Red−112、C.I.Pigment Red−122、C.I.Pigment Red−123、C.I.Pigment Red−146、C.I.Pigment Red−168、C.I.Pigment Red−184、C.I.Pigment Red−202、C.I.Pigment Red−207等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
黄色の顔料としては、C.I.Pigment Yellow−12、C.I.Pigment Yellow−13、C.I.Pigment Yellow−14、C.I.Pigment Yellow−16、C.I.Pigment Yellow−17、C.I.Pigment Yellow−74、C.I.Pigment Yellow−83、C.I.Pigment Yellow−93、C.I.Pigment Yellow−95、C.I.Pigment Yellow−97、C.I.Pigment Yellow−98、C.I.Pigment Yellow−114、C.I.Pigment Yellow−128、C.I.Pigment Yellow−129、C.I.Pigment Yellow−151、C.I.Pigment Yellow−154等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
また、本発明には顔料同様に染料を用いることもできる。使用しうる染料は、公知のものでも新規のものでもよく、例えば以下に述べるような直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食品用色素の水溶性染料、脂溶性(油溶性)染料又は、分散染料の不溶性色素を用いることができるが、固体化した状態で使用されてもよい。
【0020】
この点では好ましくは、例えば、油溶性染料が使用されえる。例としては、C.I.ソルベントブルー,−33,−38,−42,−45,−53,−65,−67,−70,−104,−114,−115,−135;C.I.ソルベントレッド,−25,−31,−86,−92,−97,−118,−132,−160,−186,−187,−219;C.I.ソルベントイエロー,−1,−49,−62,−74,−79,−82,−83,−89,−90,−120,−121,−151,−153,−154等が挙げられる。
【0021】
水溶性染料も使用することが出来、例としては、C.I.ダイレクトブラック,−17,−19,−22,−32,−38,−51,−62,−71,−108,−146,−154;C.I.ダイレクトイエロー,−12,−24,−26,−44,−86,−87,−98,−100,−130,−142;C.I.ダイレクトレッド,−1,−4,−13,−17,−23,−28,−31,−62,−79,−81,−83,−89,−227,−240,−242,−243;C.I.ダイレクトブルー,−6,−22,−25,−71,−78,−86,−90,−106,−199;C.I.ダイレクトオレンジ,−34,−39,−44,−46,−60;C.I.ダイレクトバイオレット,−47,−48;C.I.ダイレクトブラウン,−109;C.I.ダイレクトグリーン,−59等の直接染料、
C.I.アシッドブラック,−2,−7,−24,−26,−31,−52,−63,−112,−118,−168,−172,−208;C.I.アシッドイエロー,−11,−17,−23,−25,−29,−42,−49,−61,−71;C.I.アシッドレッド,−1,−6,−8,−32,−37,−51,−52,−80,−85,−87,−92,−94,−115,−180,−254,−256,−289,−315,−317;C.I.アシッドブルー,−9,−22,−40,−59,−93,−102,−104,−113,−117,−120,−167,−229,−234,−254;C.I.アシッドオレンジ,−7,−19;C.I.アシッドバイオレット,−49等の酸性染料、
C.I.リアクティブブラック,−1,−5,−8,−13,−14,−23,−31,−34,−39;C.I.リアクティブイエロー,−2,−3,−13,−15,−17,−18,−23,−24,−37,−42,−57,−58,−64,−75,−76,−77,−79,−81,−84,−85,−87,−88,−91,−92,−93,−95,−102,−111,−115,−116,−130,−131,−132,−133,−135,−137,−139,−140,−142,−143,−144,−145,−146,−147,−148,−151,−162,−163;C.I.リアクティブレッド,−3,−13,−16,−21,−22,−23,−24,−29,−31,−33,−35,−45,−49,−55,−63,−85,−106,−109,−111,−112,−113,−114,−118,−126,−128,−130,−131,−141,−151,−170,−171,−174,−176,−177,−183,−184,−186,−187,−188,−190,−193,−194,−195,−196,−200,−201,−202,−204,−206,−218,−221;C.I.リアクティブブルー,−2,−3,−5,−8,−10,−13,−14,−15,−18,−19,−21,−25,−27,−28,−38,−39,−40,−41,−49,−52,−63,−71,−72,−74,−75,−77,−78,−79,−89,−100,−101,−104,−105,−119,−122,−147,−158,−160,−162,−166,−169,−170,−171,−172,−173,−174,−176,−179,−184,−190,−191,−194,−195,−198,−204,−211,−216,−217;C.I.リアクティブオレンジ,−5,−7,−11,−12,−13,−15,−16,−35,−45,−46,−56,−62,−70,−72,−74,−82,−84,−87,−91,−92,−93,−95,−97,−99;C.I.リアクティブバイオレット,−1,−4,−5,−6,−22,−24,−33,−36,−38;C.I.リアクティブグリーン,−5,−8,−12,−15,−19,−23;C.I.リアクティブブラウン,−2,−7,−8,−9,−11,−16,−17,−18,−21,−24,−26,−31,−32,−33等の反応染料;
C.I.ベーシックブラック,−2;C.I.ベーシックレッド,−1,−2,−9,−12,−13,−14,−27;C.I.ベーシックブルー,−1,−3,−5,−7,−9,−24,−25,−26,−28,−29;C.I.ベーシックバイオレット,−7,−14,−27;C.I.フードブラック,−1,−2等が挙げられる。
【0022】
なお、これら上記の色材の例は、本発明の組成物に対して特に好ましいものであるが、本発明に使用する色材は上記色材に特に限定されるものではない。
【0023】
本発明に用いられる機能性物質は、組成物の重量に対して、全体で0.01〜80重量%が好ましい。機能物質の量が、0.01重量%未満となると、十分な機能が得られなくなる場合が有り、80重量%を超えると分散性が悪化したりする場合がある。好ましい範囲としては0.1重量%から50重量%の範囲である。さらに好ましくは0.3重量%から30重量%の範囲である。
【0024】
また、本発明の組成物は溶媒を含有する。本発明の組成物に含まれる溶媒は、特に限定されないが、組成物に含まれる成分を溶解、懸濁、分散できる媒体を意味する。本発明では、直鎖、分岐鎖、環状の各種脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、複素芳香族炭化水素などの有機溶媒、水性溶媒、水などが溶媒として使用でき、もちろんそれらの混合溶媒を使用することも可能である。特に、本発明の組成物では水および水性溶媒を好適に使用することができる。
【0025】
水性溶媒の例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロビレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールエーテル類、N−メチル−2−ピロリドン、置換ピロリドン、トリエタノールアミン等の含窒素溶媒等を挙げることができる。
【0026】
また、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の一価アルコール類を用いることもできる。水のpHに関しても全ての範囲で使用可能であるが、好ましくはpHは1から14の間である。
【0027】
また、本発明に特徴的に使用されるブロックポリマーは、ブロックポリマーまたはブロックコポリマーと呼ばれる、異なるセグメント構造のポリマーが一つの鎖状に共有結合で結合したポリマーである。また、本発明で用いられるグラフトポリマーは異なるセグメント構造のポリマーがT字状に共有結合したポリマーである。
【0028】
次に、本発明にさらに特徴的に用いられる成分であるブロックポリマーについて説明する。本発明に用いることができるブロックポリマーとして、具体的な例をあげると、アクリル、メタクリル系ブロックポリマー、ポリスチレンと他の付加重合系または縮合重合系のブロックポリマー、ポリオキシエチレン、ポリオキシアルキレンのブロックを有するブロックポリマー等、従来から知られているブロックポリマーを用いることもできる。本発明において、ブロックポリマーはAB、ABA、ABD等のブロック形態がより好ましい。A、B、Dはそれぞれ異なるブロックセグメントを示す。
【0029】
本発明に用いられるグラフトポリマーは、ポリマーチェインの中途において別のポリマーチェインと結合を形成している、代表的にはT字状のポリマーであり、アクリル系あるいはメタクリル系のポリマーチェイン末端がポリビニルアルコールチェインや縮合系のポリエステル、ポリアミドなどのポリマーチェインあるいは別のアクリル系あるいはメタクリル系のポリマーチェインの中途部分に結合した構造のポリマーが例としてあげられる。
【0030】
また、本発明では、ブロックポリマーがあるポリマー鎖にT字状に結合してグラフトポリマーとなっていてもよい。また、ブロックポリマーの各セグメントは共重合セグメントであってもよいし、その共重合の形態は限定されず、例えばランダムセグメントであってもグラジュエーションセグメントであってもよい。
【0031】
本発明では、ポリアルケニルエーテル構造を含むブロックポリマーが好ましく用いられる。特に好ましくはポリビニルエーテル構造を含むブロックポリマーである。本発明に好ましく用いられるポリアルケニルエーテル構造を含むブロックポリマーの合成法は多数報告されているが(例えば特開平11−080221号公報)、青島らによるカチオンリビング重合による方法(特開平11−322942号公報、特開平11−322866号公報)が代表的である。カチオンリビング重合でポリマー合成を行うことにより、ホモポリマーや2成分以上のモノマーからなる共重合体、さらにはブロックポリマー、グラフトポリマー、グラジュエーションポリマー等の様々なポリマーを、長さ(分子量)を正確に揃えて合成することができる。また、ポリアルケニルエーテルは、その側鎖に様々な官能基を導入することができる。カチオン重合法は、他にHI/I 系、HCl/SnCl系等で行うこともできる。
【0032】
また、ポリアルケニルエーテル構造を含むブロックポリマーの構造は、ビニルエーテルと他のポリマーからなる共重合体であってもよい。
【0033】
好ましく用いられるポリビニルエーテル構造を含むブロックポリマーは、以下の一般式(1)で表される繰り返し単位構造が持つことが好ましい。
【0034】
【化1】
Figure 2004339429
【0035】
[ただし、R は炭素数1から18までの直鎖、分岐または環状のアルキル基、または−(CH(R )−CH(R )−O) −R もしくは−(CH −(O) −R から選ばれる。l、mはそれぞれ独立に1から12の整数から選ばれ、nは0または1である。また、R 、R はそれぞれ独立に水素原子もしくはCH である。R は水素原子、炭素数1から6までの直鎖、分岐または環状のアルキル基、Ph、Pyr、Ph−Ph、Ph−Pyr、−CHO、−CH CHO、−CO−CH=CH 、−CO−C(CH )=CH 、CH COOR からなり、R が水素原子以外である場合、炭素原子上の水素原子は炭素数1から4の直鎖または分岐のアルキル基またはF、Cl、Brと、また芳香環中の炭素原子は窒素原子とそれぞれ置換することができる。R は水素原子または炭素数1から5のアルキル基である。]
【0036】
本発明で、−Phはフェニル基、−Pyrはピリジル基、−Ph−Phはビフェニル基、および−Ph−Pyrはピリジルフェニル基を表す。ピリジル基、ビフェニル基およびピリジルフェニル基については、可能な位置異性体のいずれのものであってもよい。
【0037】
本発明では、好ましく両親媒性のブロックポリマーが使用される。例えば、上記一般式(1)の繰り返し単位構造から、疎水性のブロックセグメントと親水性のブロックセグメントを選択、合成することにより得ることができる。
【0038】
次に、ブロックポリマーのポリビニルエーテル構造の繰り返し単位構造として、ビニルエーテルモノマーの構造の例をあげるが、本発明に用いられるポリビニルエーテル構造は、これらに限定されない。
【0039】
【化2】
Figure 2004339429
【0040】
なお、式中、Meはメチル基、Etはエチル基、i−Prはイソプロピル基を表す。
【0041】
また、好ましく用いられるポリビニルエーテル構造を含むブロックポリマーは
また、以下に示す繰り返し単位構造も好ましく用いられる例である。
【0042】
【化3】
Figure 2004339429
【0043】
以下に、これらのビニルエーテルモノマーからなる、ポリビニルエーテルの構造を例示するが、本発明に用いられるポリマーは、これらに限定されない。
【0044】
【化4】
Figure 2004339429
【0045】
以上のポリビニルエーテルにおいて、繰り返し単位数におけるu、v、wがそれぞれ独立に1以上10,000以下であることが好ましい。
【0046】
本発明で用いられるブロックポリマーの分子量分布Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は2.0以下であることが好ましい。更に好ましくは1.6以下であり、更に好ましくは1.3以下である。さらに好ましくは1.2以下である。
【0047】
本発明で用いられるブロックポリマーあるいはグラフトポリマーの数平均分子量Mnは20000以上である。好ましくは30000以上であり、100万を超えないほうが良い。数平均分子量が20000未満である場合は、それ以上である場合に比べ分子溶解する割合が増加し、機能物質の分散安定性が良くない場合があったり、回転粘度の回転数依存性が大きくなりすぎたりする場合があったりする。特に数平均分子量が小さすぎる場合、後述する画像形成を行なった際、分子鎖の長さが十分でないため受像媒体材質への定着性が十分でない場合があったりする。
【0048】
本発明のポリマーの数平均分子量、重量平均分子量は、体積排除クロマトグラフィー(別名 ゲルパーミエイションクロマトグラフィー/GPC)で測定することが可能である。
【0049】
本発明の機能物質は、外的環境から攻撃による変性を抑制する意味でブロックポリマーまたはグラフトポリマーに内包されていることが好ましい。自己集積構造を形成することにより機能物質を容易に内包することができる点で両親媒性のブロックポリマーまたはグラフトポリマーを使用することが好ましい。
【0050】
また、分散安定性向上、包接性向上のためにはブロックポリマーの分子運動性がよりフレキシブルであることが機能性物質表面と物理的に絡まり親和しやすい点を有しているため好ましい。さらには後に詳述するように被記録媒体上で被覆層を形成しやすい点でもフレキシブルであることが好ましい。このためにはブロックポリマーの主鎖のガラス転移温度Tgは、好ましくは20℃以下であり、より好ましくは0℃以下であり、さらに好ましくは−20℃以下である。この点でもポリビニルエーテル構造を有するポリマーは、ガラス転移点が低く、フレキシブルな特性を有するため、好ましく用いられる。
【0051】
本発明の組成物中に含有される前記ブロックポリマーの含有量は、0.1〜90重量%、好ましくは0.5〜50重量%が望ましい。ブロックポリマーの量が0.1重量%未満となると、本発明のインク組成物中に含まれる色材を十分に分散したり、包接したりすることができない場合があり、90重量%を超えると粘性が大きくなりすぎる場合がある。
【0052】
本発明の組成物は、前述したように好ましくは機能物質を内包している。内包状態は、例えばブロックポリマーまたはグラフトポリマーが形成する水中でのミセルに、水に不溶の有機溶媒中に色材を溶解もしくは分散させたものをミセルへ取り込ませるために分散機等を使用して混合し、そののち該有機溶媒を留去することにより形成することが出来る。そのほかに有機溶剤中にポリマーと色材を共に溶解させた状態から、水系の溶媒中に転相することにより包接状態を形成し、残存する有機溶媒を留去することにより形成することも可能である。そのほかに有機溶剤中にポリマーを溶解し色材を分散させた状態から、水系の溶媒中に転相することにより内包状態を形成することにより形成することも可能である。内包状態を確認するためには、各種電子顕微鏡、X線回折等の機器分析により実施することが可能である。また、ミセル状態の包接の場合、ミセル崩壊条件で色材が溶媒からポリマーと別々に分離することで内包状態を間接的に確認することが出来る。
【0053】
以上説明したように、ブロックポリマーまたはグラフトポリマーがミセル状態を形成することが好ましく、そのために本発明に用いられるブロックポリマーまたはグラフトポリマーは両親媒性であることが好ましい。本発明のブロックポリマーまたはグラフトポリマーはこの意味でより好ましくはイオン性の繰り返し単位構造を有するポリマーセグメントを有することが好ましい。後述する静的粘度と流動状態での粘度の差を少なくしえるという点でもイオン性の繰り返し単位構造を有していることが好ましい。
【0054】
イオン性の繰り返し単位構造としては、以下の一般式(2)であらわされる構造が好ましく用いられる。
【0055】
【化5】
Figure 2004339429
【0056】
(Aはポリビニル、ポリアルケニルをあらわし、Bは、カルボキシアニオン、オキシアルキレンまたはアルキレンまたはオキシアルキルフェニレン、オキシアルキレンオキシアルキレンを介してカルボキシアニオンが結合した構造をあらわす。)
【0057】
ブロックポリマーまたはグラフトポリマーに機能物質が内包されている割合は、好ましくは90%以上もっと好ましくは95%以上、さらには98%以上が好ましい。この量比に関しても各種電子顕微鏡、X線回折等の機器分析、色材の発色濃度分析等により、また、前記した間接法によっても観測することが可能である。
【0058】
また、本発明の組成物には上記以外の、例えば酸化防止剤、減粘剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、防かび剤等の添加物を含有させることも可能である。
【0059】
本発明の組成物の特徴は、回転粘度における回転数1rpmでの流動状態の粘度(α1)と、回転数100rpmの流動状態での粘度(α100)の比(α1/α100)が5以下である。粘度の測定は以下のように行なうことができる。
本発明の組成物の粘度の測定は、25℃で、回転粘度計を用いて行なう。代表的な装置としては、E型等各種回転粘度計、あるいはレオメーターであり、たとえばハーケ社回転粘度計、ブルックフィールド社回転粘度計、東機産業社回転粘度計、レオロジカ社レオメーターDAR100等がある。
【0060】
回転粘度における回転数1rpmでの流動状態の粘度(α1)と、回転数100rpmの流動状態での粘度(α100)は回転粘度計またはレオメーターの回転数がそれぞれ1rpm、100rpmの流動状態での粘度を言い、文字通り回転数が1rpm、100rpmの回転数における回転粘度である。
【0061】
本発明の組成物は分散型組成物にもかかわらず、静的状態での粘度と流動状態での粘度が非常に小さい、回転粘度における回転数1rpmでの流動状態の粘度(α1)と、回転数100rpmの流動状態での粘度(α100)の比(α1/α100)が5以下である組成物である。通常分散型組成物は分散している粒子同士が強く相互作用するため、特に分散のために使用する高分子の数平均分子量が20000以上の高分子を用いた場合においては粘度(α1)と粘度(α100)の比(α1/α100)が5以上に大きくなりがちであるのに対して、本発明の組成物は流動等の物理的外部場が働いていても、より一定の粘性挙動を示すものである。
【0062】
このような粘度特性は例えば、オンデマンド型インクジェットインクとして好適に用いることができる。オンデマンド型インクジェットは、通常インクジェットヘッドがシリアルスキャンしつつ、必要なところのみ印字あるいは画像形成していくのが特徴である。必要なところのみインクを吐出するということは非常に頻繁にあるいは連続的に吐出しているノズルがあるかと思うと、ほとんど吐出をしていないノズルも存在しえるということである。このような場合でも必要なところに必要なインクが制御されて吐出し、きっちりと印字あるいは画像形成されなければならない。ということは、最近では数kHz以上の駆動周波数で吐出していると言われている中、連続的に吐出しているノズル中では、ほとんど吐出をしていないノズル中に比べ、インク自身は大きく流動している状況におかれることになる。この2つの大きく異なる流動性の条件下でも吐出挙動は同じように行なわれる必要が有り、基本的な特性である粘性は特により一定の挙動を示すことが求められている。この意味で本発明の組成物は、粘度(α1)と粘度(α100)の比(α1/α100)が5以下で非常に好適である。本発明の組成物の粘度(α1)と粘度(α100)の比(α1/α100)は、より好ましくは3以下であり、さらに好ましくは2以下である。
【0063】
本発明の組成物は、機能物質とブロックポリマーまたはグラフトポリマーと溶媒を含有することを特徴とする組成物であって、粘度(α1)と粘度(α100)の比(α1/α100)が5以下であることを特徴とする液体組成物である。粘度(α1)と粘度(α100)の比(α1/α100)を5以下に制御する方法としては、代表的にはブロックポリマーあるいはグラフトポリマーの条件を変化することにより実施することができる。例えば、その濃度、分散液の水素イオン濃度、ポリマーの構造である。もちろん溶媒の種類を変更したり、添加剤によっても制御することが可能である。本発明においては数平均分子量20000以上のブロックポリマーあるいはグラフトポリマーを使用することが特徴であり、それは、分子溶解する割合を極小化し、機能物質の分散安定性を大幅に向上することができたり、画像形成を行なった際、数平均分子量20000以上とすることで分子鎖の長さを十分に長くし、受像媒体材質への定着性が極めて良好にできるといったことの上に、上記の粘度(α1)と粘度(α100)の比(α1/α100)が5以下であることを兼ね備えた組成物を提供しようとするものである。
【0064】
均一な分散とその安定性を得、なおかつ制御した粘性を、安定に保持するためにブロックポリマーまたはグラフトポリマーを用いることが必要である。このためブロックポリマーを使用することがより好ましい。また、安定に前述した粘度特性を保持するという意味では、代表的にはインクジェット技術に使用されるときのように微小液滴を形成して使用する場合においてもその非常に微小な液滴の粘度特性が均一であることも含んでおり、そのような要請に対して応え得るためにもブロックポリマーを使用することが好ましく、前述したような好適なブロックポリマーを用いることができる。また、現実にはナノリッター、ピコリッターオーダーの液体組成物の一つ一つの粘性を測定することは困難であるため、実際には記録特性によってその均一性を判断することが可能である。
【0065】
組成物の特性安定性、特に微小液滴状態における分散安定性、粘性特性の保持安定性のために、前記組成物の粒子の平均粒径が200nm以下であることが好ましい。特に機能物質として色材を用いるとき、粒子の粒径が小さい場合、色合いが良好な組成物を実現することができる。前述したように本発明では機能性物質はブロックポリマーまたはグラフトポリマーに内包されていることが好ましい。本発明の組成物をインク組成物に適用した場合、色材分散インクの分散安定性、着色力、さらに色の鮮やかさには分散粒子の粒径及び粒径の均一さが大きく影響を及ぼす。すなわち溶媒中に分散した粒子の粒径が非常に大きいと粒子間で凝集を起こしてしまい安定に分散することが出来なくなる場合があったりする。また粒径と着色力は反比例の関係にあることから(Annalen der Physik、25巻、377頁、1908年)、粒径が大きすぎると着色力が低下してしまうことがある。このため本発明においては、粒子の平均粒径は前述した通り、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下で、さらに好ましくは100nm以下である。平均粒径は様々な方法で測定することが可能である。例えば、電子顕微鏡による直接観察、小角中性子線回折、小角X線回折、光散乱法、レーザー回折法などの方法がある。200nm、100nmレベルの粒子の粒径を測定するのに好ましくは動的光散乱法により測定することができる。粒子の粒径分布は、光子相関法である動的光散乱法によって測定可能である。粒径の均一さの指標としては一般的に、Gulariらが示した分散度指数が用いられる(The Journal of Chemical Physics、70巻、3965頁、1979年)。分散度指数は粘度特性の安定性のためにも、好ましくは、0.3以下、より好ましくは0.2以下、さらに好ましくは0.1以下である。分散度指数は小さいほど粒径分布が狭くなる。動的光散乱法による粒径測定装置としては、大塚電子(株)のDLS7000等の装置がある。
【0066】
本発明の第二発明は、前記組成物を用い、液体吐出部から液体を吐出する液体付与方法であり、好ましくは画像又はパターンを形成、記録する方法である。前述したように、本発明では前記組成物を吐出することにより画像又はパターンを形成、記録するオンデマンド型のインクジェット記録方法が好ましい例として挙げられる。オンデマンド型インクジェットとして、ピエゾ素子や熱エネルギーを作用させて発泡し記録を行う熱インクジェット方式のような周知の方法が例としてあげられる。また、コンティニュアス型の方法を用いてもよい。また、本発明の液体付与方法は、中間転写体にインクを印字した後、紙等の最終被記録媒体に転写する記録方式を含む。
【0067】
また本発明のパターン形成方法で電子回路やデバイスのパターンを形成したりすることもできる。
【0068】
本発明の第三の発明は前記パターン形成方法を用いたパターン形成装置である。好ましい一実施形態はインク組成物を用いるインクジェット記録装置である。圧電素子を用いたピエゾインクジェット方式や、熱エネルギーを作用させて発泡し記録を行う熱インクジェット方式等のようなインクジェット記録装置を含む。
【0069】
図1に、インクジェット記録装置の概略的機能図を示す。50はインクジェット記録装置20の中央処理ユニット(CPU)である。CPU50を制御するためのプログラムは、プログラムメモリ66に記憶されていてもよいし、あるいはいわゆるファームウェアとしてEEPROM(不図示)等の記憶手段に記憶されていてもよい。インクジェット記録装置は、記録データ作成手段(不図示、コンピュータなど)から、プログラムメモリ66に記録データを受容する。記録データは、記録すべき画像あるいは文字の情報そのものでもよいし、それら情報の圧縮されたものでもよいし、または符号化された情報であってもよい。圧縮または符号化された情報を処理する場合には、CPU50に伸長または展開を行わせて記録すべき画像あるいは文字の情報を得ることができる。Xエンコーダ62(例えば、X方向または主走査方向に関する)およびYエンコーダ64(例えば、Y方向または副走査方向に関する)を設けて、被記録媒体に対するヘッドの相対位置をCPU50に通知することができる。
【0070】
CPU50は、プログラムメモリ66、Xエンコーダ62およびYエンコーダ64の情報に基づいて、画像を記録するための信号をXモータ駆動回路52、Yモータ駆動回路54およびヘッド駆動回路60に送信する。Xモータ駆動回路52はX方向駆動モータ56を、Yモータ駆動回路54はY方向駆動モータ58をそれぞれ駆動し、ヘッド70を被記録媒体に対して相対的に移動させ、記録位置に移動させる。ヘッド駆動回路60は、ヘッド70が記録位置に移動した時点で、各種インク組成物(Y、M、C、K)あるいは刺激となる刺激付与物質の吐出を行わせるための信号をヘッド70に送信し、記録を行う。ヘッド70は、単色のインク組成物を吐出するためのものであってもよいし、複数種のインク組成物を吐出するためのものであってもよいし、あるいは刺激となる刺激付与物質を吐出する機能を併せて有していてもよい。
【0071】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0072】
実施例1
<ブロックポリマーの合成>
イソブチルビニルエーテル(IBVE)(A)と、CH =CHOCH CH OPhCOOEt(B)とからなる、ABブロックポリマーの合成。
【0073】
ポリ[A−b−B](ここで、bはブロックポリマーであることを示す記号である)を、以下の手順により合成した。
三方活栓を取り付けたガラス容器内を窒素置換した後、窒素ガス雰囲気下250℃に加熱し吸着水を除去した。系を室温に戻した後、イソブチルビニルエーテル(IBVE)30mmol(ミリモル)、酢酸エチル16mmol、1−イソブトキシエチルアセテート0.1mmol、及びトルエン11mlを加え、反応系を冷却した。系内温度が0℃に達したところでエチルアルミニウムセスキクロリド(ジエチルアルミニウムクロリドとエチルアルミニウムジクロリドとの等モル混合物)を0.2mmol加え重合を開始した。分子量を時分割に分子ふるいカラムクロマトグラフィー(GPC)を用いてモニタリングし、A成分の重合の完了を確認した。
【0074】
次いで10mmolのBブロック成分のトルエン溶液を添加して、重合を続行した。16時間後、重合反応を停止した。重合反応の停止は、系内に0.3質量%のアンモニア/メタノール水溶液を加えて行った。反応混合物溶液をジクロロメタンにて希釈し、0.6M塩酸で3回、次いで蒸留水で3回洗浄した。得られた有機相をエバポレーターで濃縮・乾固したものを真空乾燥させたものを、セルロースの半透膜を用いてメタノール溶媒中透析を繰り返し行い、モノマー性化合物を除去し、目的物であるジブロックポリマーを得た。
【0075】
ABブロックポリマーのA/Bの重合比は、290/18であった。化合物の同定は、NMRおよびGPCを用いて行った。Mn=37700、Mw/Mn=1.19であった。ブロックポリマー26重量部をpH10の水酸化ナトリウム水溶液200重量部ともに0℃で3日間攪拌し、カルボン酸ナトリウム塩ポリマー溶液とした。透析を行い過剰の水酸化ナトリウムを除去し、乾燥し、溶媒を留居してカルボン酸ナトリウム塩型ABブロックポリマーを単離した。
【0076】
このポリマーを40重量部と、脂溶性染料(オリエント化学製、バリファストイエロー)20重量部をDMF170重量部に溶解したのち、これを770重量部の蒸留水に攪拌しながら滴下し、組成物▲1▼(ポリマー濃度4重量%)を得た。粒径測定装置(大塚電子製、DLS7000)で粒径を測定したところ、平均粒径は92nmであった。分散度指数は0.10であった。また、このインク組成物を25℃でレオロジカ社製、レオメーターDAR100で回転数を変化させながら回転粘度を測定したところ、回転数1rpmでの粘度は6.1cpsで、回転数100rpmでの粘度は5.8cpsであった。
【0077】
実施例2
実施例1で用いたブロックポリマーのA成分を2−エトキシエチルビニルエーテルに変えて実施例1と同じ重量比でインク組成物▲2▼を調整した。A成分である2−エトキシエチルビニルエーテル重合体は20℃以下で疎水性から親水性に変化し、そうなったときミセルが崩壊する。
【0078】
インクインク▲2▼を0℃に冷却しミセルを崩壊させたところ、色材が溶出しインク上部に浮上、水相は完全に脱色した。このことから色材はブロックポリマーミセル中に完全に内包されていたことがわかった。インク組成物▲2▼と前記消色した水相のλmaxにおける強度比による濃度比は、後者が前者の0.3%で99%以上の色材が内包されていたことわかった。
【0079】
また、インク組成物を25℃でレオロジカ社製、レオメーターDAR100で回転数を変化させながら回転粘度を測定したところ、回転数1rpmでの粘度は6.5cps、これに対して100rpmでの粘度は5.6cpsであった。
【0080】
実施例3
実施例1,2で調整した組成物▲1▼、▲2▼をインクジェット記録装置(キヤノン社製、BJF800)のインクタンクに充填しインクジェット記録を行なったところ、きれいに印字できた。
【0081】
さらに実施例1で調整したインクのポリマー濃度を5重量%に増量し同様に調整した組成物▲3▼について同様にインクジェット記録装置(キヤノン社製、BJF800)のインクタンクに充填しインクジェット記録を行なったところ、きれいに印字できた。これら印字物を印字後3分後、印字上をパイロット社製水性蛍光ペンで書き込んでマーカーテストしたところインクジェット印字部分からインクの尾引きはなかった。
【0082】
比較例1
スチレン、アクリル酸、トリスエチレングリコールメチルエーテルアクリルレートの共重合比が20:35:30の数平均分子量8700、重量平均分子量18200の共重合体のナトリウム塩10重量部と、カーボンブラック(キャボット社製、モーグルL)7重量部と、エチレングリコール40重量部、蒸留水280重量部をボールミルで混合し、遠心分離で非分散物を除去して、組成物▲4▼を調製した。レオロジカ社製、レオメーターで回転数を変化させながら回転粘度を測定したところ、回転数1rpmでの粘度が73cpsに対して100rpmでの粘度は12cpsであった。
【0083】
このインク組成物を実施例3と同様にインクジェット記録装置(キヤノン社製、BJF800)のインクタンクに充填しインクジェット記録を行なったが、吐出せず印字できなかった。
【0084】
さらに組成物▲4▼を蒸留水で1.5倍に希釈した組成物▲5▼をレオロジカ社製レオメーターで回転数を変化させながら回転粘度を測定したところ、回転数1rpmでの粘度が37.7cpsに対して100rpmでの粘度は7.5cpsであった。この組成物についても実施例3と同様にインクジェット記録装置(キヤノン社製、BJF800)のインクタンクに充填しインクジェット記録を行なったが、吐出せず印字できなかった。
【0085】
この組成物▲5▼をさらに蒸留水で1.5倍に希釈下組成物▲6▼を調整した。レオロジカ社製レオメーターで回転数を変化させながら回転粘度を測定したところ、回転数1rpmでの粘度が18.0cpsに対して100rpmでの粘度は5.2cpsであった。この組成物▲5▼を実施例3と同様にインクジェット記録装置(キヤノン社製、BJF800)のインクタンクに充填しインクジェット記録を行なったところ、一部不充分な箇所があったが印字はできた。印字物を印字後3分後、印字上をパイロット社製水性蛍光ペンで書き込んでマーカーテストしたところインクジェット印字部分からインクの尾引きがあった。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、機能物質、ブロックポリマーまたはグラフトポリマーと溶媒を含有し、特定の粘度特性を有する定着性が良好な機能物質含有組成物を提供することができる。
また、本発明は、該機能物質含有組成物を用いた定着性が良好な画像又はパターン形成方法を含む液体付与方法、およびそれに用いる液体付与装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置の概略の機構を示す図である。
【符号の説明】
20 インクジェット記録装置
50 CPU
52 Xモータ駆動回路
54 Yモータ駆動回路
56 X方向駆動モータ
58 Y方向駆動モータ
60 ヘッド駆動回路
62 Xエンコーダ
64 Yエンコーダ
66 プログラムメモリ
70 ヘッド

Claims (10)

  1. 機能物質と、数平均分子量20000以上のブロックポリマーまたはグラフトポリマーと、溶媒を含有する組成物であって、回転粘度における回転数1rpmでの流動状態の粘度(α1)と、回転数100rpmの流動状態での粘度(α100)の比(α1/α100)が5以下であることを特徴とする機能物質含有組成物。
  2. 前記機能物質がブロックポリマーまたはグラフトポリマーに内包されていることを特徴とする請求項1記載の組成物。
  3. 前記ブロックポリマーまたはグラフトポリマーを2.0重量%以上含有することを特徴とする請求項1または2記載の組成物。
  4. 前記ブロックポリマーまたはグラフトポリマーが両親媒性であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載の組成物。
  5. 前記ブロックポリマーまたはグラフトポリマーがポリアルケニルエーテル繰り返し単位構造を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項に記載の組成物。
  6. 前記ブロックポリマーまたはグラフトポリマーがイオン性の繰り返し単位を有するポリマーセグメントを有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかの項に記載の組成物。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の機能物質含有組成物からなることを特徴とするインク組成物。
  8. 前記機能物質含有組成物からなる液体を用い、液体吐出部から液体を吐出することにより液体を付与する液体付与方法。
  9. 前記液体吐出部からの前記組成物の吐出は該組成物に熱エネルギーを作用させて行う請求項8に記載の液体付与方法。
  10. 請求項8または9に記載の液体付与方法に用いる液体付与装置。
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