JP2004339379A - アクリル系ポリマーエマルションの製造方法、アクリル系ポリマーエマルション、粘着剤および粘着シート - Google Patents

アクリル系ポリマーエマルションの製造方法、アクリル系ポリマーエマルション、粘着剤および粘着シート Download PDF

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Abstract

【課題】簡易な方法によりGPC測定において2つのピークを有するアクリル系ポリマーを製造することのできるアクリル系ポリマーエマルションの製造方法、およびその方法により得られるアクリル系ポリマーエマルション、そのアクリル系ポリマーエマルションを加熱乾燥することにより得られ、高い接着力と高い保持力とを有する粘着剤、およびその粘着剤を粘着剤層として有する粘着シート類を提供すること。
【解決手段】(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする反応性モノマーを含む滴下乳化液を、水性媒体中に滴下し、滴下開始からの第1段目の反応温度を40〜65℃、第1段目に続く第2段目の反応温度を70〜95℃とし、滴下開始から全滴下量に対して10〜90%の滴下量の範囲において、第1段目の反応温度から第2段目の反応温度に切り換えて、反応性モノマーを重合させる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリル系ポリマーエマルションの製造方法、その方法によって得られるアクリル系ポリマーエマルション、そのアクリル系ポリマーエマルションを加熱乾燥することにより得られる粘着剤、および、その粘着剤を粘着剤層として有する粘着シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、アクリル系ポリマーエマルションは、塗料、接着剤、粘着剤など種々の分野において広く用いられている。その中でも、粘着剤の用途においては、種々の被着体に対する接着力が要求され、フォームなどの粗面を有する発泡体に対しても高い接着力が要求されることがある。しかし、発泡体に対する接着力のみを高くすると、粘着剤の凝集力が低くなり、保持力が低下するので、粘着剤特性のバランスが損なわれる。
【0003】
そのため、例えば、重量平均分子量60万〜200万の高分子量ポリマーと、重量平均分子量50万以下の低分子量ポリマーとを含む粘着剤組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この粘着剤組成物によれば、粘着力および凝集力をともに向上させることができる。
【0004】
また、例えば、5℃以上異なる任意の温度において、光重合性モノマーを光重合することにより、所望の分子量分布を有する部分重合物を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−109771号公報
【特許文献2】
特開平11−49811号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に記載される方法では、高分子量ポリマーと、低分子量ポリマーとを別々に調製して、これらを配合するため、高分子量ポリマーおよび低分子量ポリマーをそれぞれ調製する手間と、それらを配合する手間とがかかり、調製が非常に煩雑である。
【0006】
また、特許文献2に記載される方法では、光重合するための光重合装置が必要であり、また、光照射するのための制御が煩雑となる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、簡易な方法により、GPC測定において2つのピークを有するアクリル系ポリマーを製造することのできる、アクリル系ポリマーエマルションの製造方法、および、その方法によって得られるアクリル系ポリマーエマルション、そのアクリル系ポリマーエマルションを加熱乾燥することにより得られ、高い接着力と高い保持力とを有する粘着剤、および、その粘着剤を粘着剤層として有する粘着シートを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のアクリル系ポリマーエマルションの製造方法は、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする反応性モノマーを乳化させることより滴下乳化液を調製し、この滴下乳化液を、水性媒体中に滴下し、滴下開始からの第1段目の反応温度を40〜65℃、第1段目に続く第2段目の反応温度を70〜95℃とし、滴下開始から全滴下量に対して10〜90%の滴下量の範囲において、第1段目の反応温度から第2段目の反応温度に切り換えて、反応性モノマーを重合させることを特徴としている。
【0009】
また、本発明は、上記方法により得られる、アクリル系ポリマーエマルションを含んでいる。
【0010】
また、本発明は、上記アクリル系ポリマーエマルションを、加熱乾燥することにより得られる粘着剤であって、アクリル系ポリマーの酢酸エチルに溶解する成分をGPC測定したときに、得られた分子量分布が2つのピークを有し、各ピークを波形分離したときの各ピークの標準ポリスチレン換算の分子量が、それぞれ、10万〜40万の範囲と、50万〜100万の範囲とにあり、波形分離された各ピークに基づいて求められた分子量分布の重量割合が、9:1〜2:8である、粘着剤を含んでいる。
【0011】
また、本発明の粘着剤は、前記アクリル系ポリマーの酢酸エチルに溶解しない成分が、10〜60重量%であることが好適である。
【0012】
また、本発明の粘着剤は、フォームに対する接着力が2N/20mm以上であり、かつ、保持力が40℃で1時間不落下であることが好適である。
【0013】
また、本発明は、上記した粘着剤からなる粘着剤層を有している、粘着シートを含んでいる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のアクリル系ポリマーエマルションの製造方法では、まず、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする反応性モノマーを乳化させることより滴下乳化液を調製する。
【0015】
(メタ)アクリル酸エステルは、メタクリル酸エステルおよび/またはアクリル酸エステルであって、例えば、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
【0016】
CH=CR1COOR2 (1)
(式中、R1は水素またはメチル基を、R2は炭素数1〜17の直鎖または分岐のアルキル基を示す。)
R2としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルへキシル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ラウリル基、ボルニル基、イソボルニル基、ミリスチル基、ペンタデシル基、ステアリル基などが挙げられる。
【0017】
より具体的には、例えば、粘着剤の用途としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸へプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。
【0018】
これら(メタ)アクリル酸エステルは、適宜、単独または併用して用いられる。また、これら(メタ)アクリル酸エステルは、最終的に得られるアクリル系ポリマーエマルションの固形分(反応性モノマーの添加量の全量に相当する。)100重量部に対して、50重量部以上の割合で用いることが好ましい。50重量部より少ないと、アクリル系ポリマーエマルションとしての特性が発現しにくくなる場合がある。
【0019】
また、反応性モノマーとして、上記した(メタ)アクリル酸エステル以外に、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なモノマーを併用してもよい。そのような共重合可能なモノマーとして、例えば、官能基を含有する官能基含有モノマーなどが挙げられる。
【0020】
官能基含有モノマーとしては、例えば、粘着剤の用途として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチルなどの水酸基含有モノマー、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸ジアミノエチルなどのアミノ基含有モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルなどのグリシジル基含有モノマー、その他、(メタ)アクリロニトリル、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニル−2−ピロドリンなどが挙げられる。
【0021】
これら官能基含有モノマーは、適宜、単独または併用して用いられる。また、これら官能基含有モノマーは、最終的に得られるアクリル系ポリマーエマルションの固形分100重量部に対して、10重量部以下の割合で用いることが好ましい。10重量部を超えると、アクリル系ポリマーエマルションとしての特性が発現しにくくなる場合がある。
【0022】
また、共重合可能なモノマーとして、架橋を目的として、例えば、シラン系モノマーを少量併用してもよい。そのようなシラン系モノマーとしては、例えば、粘着剤の用途として、例えば、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0023】
これらシラン系モノマーは、適宜、単独または併用して用いられる。また、これらシラン系モノマーは、最終的に得られるアクリル系ポリマーエマルションの固形分100重量部に対して、0.005〜0.5重量部、さらには、0.01〜0.1重量部の割合で用いることが好ましい。0.005重量部より少ないと、シラン系モノマーの添加の効果が発現しにくくなる場合があり、また、0.5重量部を超えると、得られるアクリル系ポリマーの硬度が高くなり過ぎて、アクリル系ポリマーエマルションとしての特性が発現しにくくなる場合がある。
【0024】
そして、滴下乳化液は、このような反応性モノマーとともに、乳化剤、必要に応じて連鎖移動剤や公知の添加剤などを水中に添加し、撹拌混合して、乳化させることより、調製することができる。
【0025】
乳化液としては、乳化重合の乳化剤として通常使用される公知の乳化剤が用いられ、例えば、粘着剤の用途としては、アニオン系乳化剤やノニオン系乳化剤などが用いられる。
【0026】
アニオン系乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0027】
ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーなどが挙げられる。これらの乳化剤は、適宜、単独または併用して用いられる。なお、例えば、プロペニル基などを導入したラジカル重合性の乳化剤を用いてもよい。
【0028】
これらの乳化剤は、適宜、単独または併用して用いられる。乳化剤の添加量は、最終的に得られるアクリル系ポリマーエマルションの固形分100重量部に対して、通常、0.3〜10重量部、好ましくは、0.5〜5重量部である。乳化剤の添加量が、0.3重量部より少ないと、重合安定性が保持できずに、凝集物を生成する場合がある。一方、10重量部を超えると、アクリル系ポリマーエマルションとしての特性が発現しにくくなる場合がある。
【0029】
連鎖移動剤は、必要により、ポリマーの分子量を調節するために用いられ、そのような連鎖移動剤としては、乳化重合の連鎖移動剤として通常使用される公知のものが用いられる。より具体的には、例えば、粘着剤の用途として、例えば、1−ドデカンチオール、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸2−エチルへキシル、2,3−ジメチルカプト−1−プロパノ−ルなどが挙げられる。
【0030】
これらの連鎖移動剤は、適宜、単独または併用して用いられる。連鎖移動剤の添加量は、最終的に得られるアクリル系ポリマーエマルションの固形分100重量部に対して、通常、1重量部以下、好ましくは、0.5重量部以下である。連鎖移動剤の添加量がこれより多いと、後述するGPC測定において2つのピークを得ることができない場合がある。
【0031】
また、その他の添加剤としては、例えば、pH緩衝剤、中和剤、発泡防止剤、安定剤など、乳化重合の添加剤として通常使用される公知のものが用いられる。
【0032】
そして、本発明のアクリル系ポリマーエマルションの製造方法では、このように調製された滴下乳化液を、水性媒体中に滴下して、反応性モノマーを重合させる。
【0033】
水性媒体としては、水や、必要に応じて水にアルコール類などの水溶性溶媒が少量添加されているものが適宜用いられる。なお、水性媒体の量は、滴下乳化液との割合などから適宜決定すればよいが、例えば、最終的に得られるアクリル系ポリマーエマルションの固形分100重量部に対して、通常、20〜200重量部、好ましくは、30〜180重量部である。
【0034】
そして、反応性モノマーを重合するには、まず、水性媒体中に、重合開始剤を添加する。重合開始剤としては、乳化重合の重合開始剤として通常使用される公知のものが用いられる。そのような重合開始剤としては、10時間半減期温度が、40〜80℃、さらには、45〜65℃のものが好ましく用いられる。80℃を超えると重合の進行が遅い場合があり、40℃未満では、後述するGPC測定において2つのピークが得られない場合がある。そのような重合開始剤としては、特に制限されず、公知のラジカル重合開始剤でよく、例えば、粘着剤の用途としては、アゾ系、過硫酸塩、過酸化物系、過硫酸塩、過酸化物と還元剤を組み合わせたレドックス開始剤などが挙げられる。より具体的には、例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素、硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせや過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムなどの組み合わせなどが挙げられる。
【0035】
これらの重合開始剤は、適宜、単独または併用して用いられる。重合開始剤の添加量は、最終的に得られるアクリル系ポリマーエマルションの固形分100重量部に対して、通常、0.01〜1重量部、好ましくは、0.02〜0.5重量部である。
【0036】
その後、滴下乳化液の滴下を開始する。そして、本発明のアクリル系ポリマーエマルションの製造方法では、滴下乳化液の滴下において、反応温度(実際には反応浴の浴内温度)を2段で制御し、第1段目を、滴下開始から、全滴下量に対して10〜90%の滴下量の任意の範囲とし、この第1段目の範囲では、反応温度を40〜65℃、好ましくは、50〜65℃に設定し、その第1段目に続く第2段目を、全滴下量から第1段目で滴下された滴下量を差し引いた残量の範囲とし、この第2段目の範囲では、反応温度を70〜95℃、好ましくは、70〜90℃に設定して、反応性モノマーを重合させる。
【0037】
より具体的には、まず、反応浴に水性媒体を加えた後、第1段目の反応温度40〜65℃における任意の設定温度まで昇温し、その設定温度で制御しつつ、重合開始剤を添加した後、滴下乳化液の滴下を開始する。滴下乳化液の滴下は、一定速度で全量を滴下するように制御する。そして、全量滴下終了時間に対して10〜90%の範囲における任意のタイミングで、第1段目の反応温度から第2段目の反応温度に切り換えて、第2段目の反応温度70〜95℃における任意の設定温度まで昇温し、その設定温度で制御しつつ反応を完結する。
【0038】
第1段目の反応温度から第2段目の反応温度に昇温するタイミングは、全量滴下終了時間に対して10〜90%の範囲であれば、適宜選択することができる。一方、全量滴下終了時間に対して10%未満のタイミングで切り換えると、低分子量ポリマーの生成が多く、十分な凝集力を得ることができない。また、全量滴下終了時間に対して90%を超えるタイミングで切り換えると、得られたアクリル系ポリマーが、後述するGPC測定において単一のピークを示し、2つのピークを得ることができない。そのため、全量滴下終了時間に対して10〜90%の範囲で切り換えれば、高い接着力と高い保持力とを有し、後述するGPC測定において2つのピークを有するアクリル系ポリマーを、簡易な方法により得ることができる。
【0039】
なお、本発明のアクリル系ポリマーエマルションの製造方法では、全量滴下終了時間に対して10〜90%の範囲において、第1段目の反応温度から第2段目の反応温度に切り換えるタイミングが早いほど、低分子量ポリマーを増加させることができる。つまり、反応温度が高温になると、低分子量ポリマーの生成割合が多くなる。また、そのタイミングが遅いほど、高分子量ポリマーを増加させることができる。つまり、反応温度が低温であれば、高分子量ポリマーの生成割合が多くなる。そのため、本発明のアクリル系ポリマーエマルションの製造方法では、第1段目の反応温度から第2段目の反応温度に切り換えるタイミングを選択することにより、低分子量ポリマーと高分子量ポリマーとの比率、つまり、GPC測定における2つのピークの高さや分子量分布の形状を、任意に制御することができる。
【0040】
また、第1段目の反応温度は、できるだけ低い方がよいが、40℃より低いと、重合開始剤が効果を発現せず、また、65℃より高いと、高分子量ポリマーが得られにくい場合がある。また、第2段目の反応温度は、第1段目の反応温度に対して、できるだけ高い方がよいが、70℃より低いと、低分子量ポリマーが得られにくく、また、95℃より高いと、重合安定性が不良となる場合がある。
【0041】
なお、第1段目の反応温度と、第2段目の反応温度との温度差は、例えば、5〜40℃、好ましくは、5〜25℃あることが好ましい。また、第1段目および第2段目は、ともに、反応温度を±2℃、好ましくは、±1℃の範囲で制御することが好ましい。
【0042】
そして、滴下乳化液を全量滴下した後、第2段目の反応温度にて、2〜6時間反応させて反応を終了する。その後、必要により、中和などの後処理をすることによって、アクリル系ポリマーエマルションを得ることができる。
【0043】
そして、このようにして得られる本発明のアクリル系ポリマーエマルションは、アクリル系ポリマーが水中に分散しているアクリル系ポリマーの水分散液であって、そのメジアン粒子径が、例えば、0.4〜0.6μmで、その固形分濃度が、例えば、45〜60重量%で、その粘度が、例えば、0.2〜2.0Pa・sであり、後述するGPC測定において、重量平均分子量が異なる2つの分子量分布に分けることができ、高い接着力と高い保持力とを発現することができる。
【0044】
すなわち、本発明のアクリル系ポリマーエマルションでは、低分子量ポリマーが、発泡体のような粗面に対して追従するので、粗面接着力の向上に寄与し、また、高分子量ポリマーが、保持力の向上に寄与するので、高い粗面接着力と、高い保持力とを両立することができる。
【0045】
そのため、本発明のアクリル系ポリマーエマルションは、加熱乾燥することによって、粘着剤として好適に用いられる。
【0046】
すなわち、本発明の粘着剤は、上記により得られたアクリル系ポリマーエマルションを、加熱乾燥して水分を除去することにより調製することができる。このように水分が除去され、粘着剤として用いられるアクリル系ポリマーは、酢酸エチルに溶解する成分(酢酸エチル可溶分)を、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ)測定したときに、得られた分子量分布が2つのピークを有し、各ピークを波形分離したときの各ピークの標準ポリスチレン換算の分子量が、それぞれ、10万〜40万の範囲と、50万〜100万の範囲とにあり、波形分離された各ピークに基づいて求められた分子量分布の重量割合が、9:1〜2:8となるように、上記の方法によって分子量分布が調整されている。
【0047】
各ピークが、ともにこの範囲より小さい(すなわち、各ピークのリテンションタイム(溶出カウント)がともに遅い)と、十分な凝集力を得ることができず、一方、ともにこの範囲より大きい(すなわち、各ピークのリテンションタイム(溶出カウント)がともに速い)と、十分な接着力を得ることができない。また、各ピークに基づいて求められた分子量分布の重量割合(標準ポリスチレン換算の分子量が10万〜40万の範囲にあるピークを基準とする成分(低分子量ポリマー):標準ポリスチレン換算の分子量が50万〜100万の範囲にあるピークを基準とする成分(高分子量ポリマー)=9:1〜2:8)において、低分子量ポリマーがこれより多いと、十分な凝集力を得ることができず、また、高分子量ポリマーがこれより多いと、十分な接着力を得ることができない。
【0048】
また、粘着剤として用いられるアクリル系ポリマーは、酢酸エチルに溶解しない成分(酢酸エチル不溶分)が、10〜60重量%、さらには、20〜60重量%であることが好ましい。酢酸エチル不溶分が10重量%未満であると、十分な凝集力が得られず、一方、酢酸エチル不溶分が60重量%を超えると、十分な接着力が得られない場合がある。
【0049】
なお、酢酸エチル不溶分は、例えば、所定量(例えば、100mg)のアクリル系ポリマーの皮膜を精秤し(その重量をW1とする。)、これを所定量(例えば、40g)の酢酸エチル中に、室温で1週間浸漬した後、不溶分を取り出して、この不溶分を乾燥させた後、その重量W2を測定して、下記式から求めることができる。
【0050】
酢酸エチル不溶分(重量%)=(W2/W1)×100
また、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ)測定は、上記の酢酸エチル不溶分の測定において、酢酸エチル可溶分を採取し、乾燥後、テトラヒドロフランに所定濃度で溶解したものをサンプルとして測定に供すればよく、得られた分子量分布における2つのピークの波形分離は、GPC測定装置に付随する解析用コンピュータソフトウエアの波形分離操作により、実施することができる。なお、そのような解析用コンピュータソフトウエアとしては、例えば、東ソー株式会社製GPC−8120の波形分離アプリケーションである「DBFinder SP」を用いることができる。
【0051】
そして、波形分離された各ピークの標準ポリスチレン換算の分子量は、標準ポリスチレンのGPC測定から予め得られているキャリブレーションカーブから求めることができる。
【0052】
また、各ピークに基づいて求められた分子量分布の重量割合は、GPC測定において、溶出重量に対して強度が比例する検出器、例えば、示差屈折率検出器(RI)を用いて測定しておけば、上記で波形分離された各ピークを基準とする分子量分布の面積の比から、求めることができる。
【0053】
また、このようにして調製される本発明の粘着剤には、その目的および用途に応じて、公知の架橋剤あるいは粘着付与剤などの添加剤を適宜配合することができる。
【0054】
架橋剤としては、粘着剤に通常添加される公知の架橋剤が用いられ、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤などが挙げられる。なお、架橋剤は、油溶性または水溶性など、特に制限されず、適宜、単独または併用して用いることができる。また、架橋剤は、加熱乾燥前のアクリル系ポリマーエマルションに配合すればよく、その配合割合は、アクリル系ポリマーエマルションの固形分100重量部に対して、例えば、0.01〜5重量部程度である。
【0055】
粘着付与剤としては、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、キシレン樹脂、エラストマーなどが挙げられる。これら粘着付与剤は、適宜、単独または併用して用いられる。また、粘着付与剤は、加熱乾燥前のアクリル系ポリマーエマルションに配合すればよく、その配合割合は、アクリル系ポリマーエマルションの固形分100重量部に対して、例えば、5〜50重量部程度である。
【0056】
さらに、本発明の粘着剤には、その目的および用途に応じて、粘着剤に通常添加される、例えば、老化防止剤、充填剤、顔料、着色剤などの他の添加剤を、適宜添加してもよい。
【0057】
そして、このような本発明の粘着剤は、フォームに対する接着力が2N/20mm以上、好ましくは、3N/20mm以上あり、かつ、保持力が40℃で1時間不落下であり、フォームに対する高い接着力と、高い保持力とを兼ね備え、粘着シートの粘着剤層として好適に用いられる。
【0058】
なお、フォームに対する接着力は、後述するように、基材に粘着剤を塗布し乾燥させて粘着テープを作製し、その粘着テープを幅20mm、長さ100mmに切断し、これを、ゴム発泡体に重さ2kgのゴムローラを1往復させるようにして圧着させ、23℃下に30分放置後、23℃、65%RH雰囲気中にて剥離に要する力を測定(180度ピール、剥離速度300mm/分)することにより、求めることができる。
【0059】
また、保持力は、後述するように、基材に粘着剤を塗布し乾燥させて粘着テープを作製し、その粘着テープを幅10mmに裁断した後、フェノール樹脂板に対して、10mm×20mmの接触面積で貼り付け、一晩放置後、40℃下に30分放置した後、フェノール樹脂板を垂下し、粘着テープの自由端に500gの均一荷重を負荷して、40℃における1時間後に、粘着テープが剥がれ落ちたか否か(落下または不落下)を判断することにより、判定することができる。
【0060】
次に、本発明の粘着剤を粘着剤層として有する粘着シートについて説明する。
【0061】
本発明の粘着シートは、上記した本発明の粘着剤からなる粘着剤層が、基材上に積層されている。
【0062】
基材としては、特に制限されず、粘着シートに通常使用される基材が用いられ、例えば、ポリプロピレンフィルム、エチレン−プロピレン共重合体フィルム、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックフィルム類、例えば、クラフト紙などの紙類、例えば、綿布、スフ布などの布類、例えば、ポリエステル不織布、ビニロン不織布などの不織布類、例えば、金属箔などが用いられる。なお、プラスチックフィルム類は、無延伸フィルムおよび延伸(一軸延伸または二軸延伸)フィルムの何れをも用いることができる。また、基材において、粘着剤の塗布面には、通常使用される下塗剤の下塗処理や、コロナ放電方式などによる表面処理が施されていてもよい。基材の厚みは、その目的および用途など応じて適宜選択されるが、例えば、10〜500μm程度である。
【0063】
本発明の粘着剤からなる粘着剤層を、基材上に積層するには、特に制限されず、加熱乾燥前のアクリル系ポリマーエマルション(必要により、添加剤を含む。)を基材上に塗布して加熱乾燥すればよい。塗布には、公知の塗布方法が用いられ、例えば、コーターを用いて、アクリル系ポリマーエマルションを基材上に塗布した後、加熱により乾燥させることによって、本発明の粘着剤を粘着剤層として積層形成することができる。
【0064】
コーターとしては、特に制限されず、例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなどの粘着剤層の積層に通常使用されるコーターが用いられる。
【0065】
また、このようなコーターによる塗布において、乾燥後の粘着剤層の厚みが、例えば、10〜100μm程度となるように塗布される。
【0066】
次いで、加熱することによって粘着剤層を形成する。加熱は、公知の方法によって、例えば、50〜200℃、好ましくは、80〜160℃程度で加熱する。
【0067】
そして、本発明の粘着シートは、特に制限されないが、例えば、このように基材上に粘着剤層を積層して、必要により、さらに、剥離ライナーを貼着した後に、巻回することによって得ることができる。なお、剥離ライナーとしては、特に制限されず、粘着剤に通常使用される剥離ライナーが用いられ、例えば、薄葉基材の片面あるいは両面にシリコーン系剥離剤からなる剥離剤が積層されているものなどが用いられる。また、その厚みは、特に制限されないが、例えば、15μm以上、好ましくは、25〜500μm程度である。
【0068】
より具体的には、例えば、図1に示すように、基材2の片面に粘着剤層1を積層するとともに、その粘着剤層1にライナー3を貼着して、巻回することによって得ることができ、また、例えば、図2に示すように、基材2の両面に粘着剤層1を積層するとともに、基材2の一方の面に積層された一方の粘着剤層1に、ライナー3を貼着して、巻回することによって得ることができる。さらに、図3に示すように、例えば、シリコーン系背面処理剤などからなる背面処理層4が積層されている基材2の片面に、粘着剤層1を積層して、巻回することによっても得ることができる。
【0069】
なお、本発明の粘着シートは、上記の形態にかかわらず、テープ、シート、フィルムなど種々の形態として製造することができ、また、巻回せずとも、その目的および用途によっては、種々の形態のまま保管および使用することもできる。
【0070】
そして、このようにして得られる本発明の粘着シートは、本発明のアクリル系ポリマーエマルションが加熱乾燥されることにより得られる粘着剤が、粘着剤層として用いられているので、フォームに対する高い接着力と、高い保持力とを兼ね備え、各種の産業分野において有効に用いられる。
【0071】
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例および比較例に何ら制限されるものではない。
【0072】
実施例1
滴下乳化液の調製
アクリル酸ブチル68重量部、アクリル酸2−エチルヘキシル29重量部、アクリル酸2.9重量部、1−ドデカンチオール0.05重量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.04重量部、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム25重量%水溶液8.0重量部を、水24.3重量部に添加して、乳化することにより、固形分(モノマー濃度)77重量%の滴下乳化液を調製した。
【0073】
2)アクリル系ポリマーエマルションの製造
水40重量部を重合反応釜に添加し、60℃まで昇温した。その後、60℃に制御しながら、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(和光純薬工業(株)、商品名VA−057)を0.1重量部添加した。その後、上記で調製した滴下乳化液の全量を4時間で滴下完了する一定速度で滴下し、第1段目として滴下開始から1時間(全滴下量に対して25%の滴下量)を60℃で反応させ、次いで、第2段目として残り3時間(全滴下量に対して75%の滴下量)を70℃で反応させ、アクリル系ポリマーエマルションを得た。
【0074】
得られたアクリル系ポリマーエマルション100重量部に、粘着付与剤としてロジン系樹脂(荒川化学工業(株)、商品名E−200)を固形分で30重量部加え、これを、厚さ40μmのPETフィルムからなる基材に塗布し、100℃で2分間乾燥し、厚さ70μmの粘着剤層することにより、粘着テープを作製した。
【0075】
また、別途、得られたアクリル系ポリマーエマルションを、剥離ライナー上に適当な厚さで塗布し、加熱乾燥させ、水分を除去してアクリル系ポリマーの皮膜を得た。このアクリル系ポリマーの皮膜100mgを精秤し、これを酢酸エチル40g中に室温で1週間浸漬した後、不溶分を取り出して、この不溶分を乾燥させた後、その重量を測定して求めた酢酸エチル不溶分は、43重量%であった。
【0076】
また、酢酸エチル可溶分をサンプリングして、一旦乾燥後、テトラヒドロフランに1.0g/Lの濃度で溶解させた。このテトラヒドロフラン溶液を、下記の装置および測定条件を装備するGPCで測定した。得られた分子量分布は、2つのピークを有し、その重量平均分子量が36万であった。また、得られた分子量分布を、各ピークを基準として波形分離したところ、高分子量側のピークの標準ポリスチレン換算の分子量が67万で、低分子量側のピークの標準ポリスチレン換算の分子量が34万であった。また、波形分離された各ピークを基準とした分子量分布の面積比から重量割合を計算したところ、15(高分子量ポリマー):85(低分子量ポリマー)であった。
【0077】
GPC装置:HLC−8120GPC(カラム:TSgel GMH−H(S)×2、カラムサイズ:7.8mmI.D.×300mm、検出器:示差屈折率検出器(RI)、東ソー(株)製)
GPC測定条件:移動相テトラヒドロフラン、流速0.5mL/min、カラム温度40℃
なお、波形分離は、HLC−8120GPCに付属するクロマトグラム解析ソフトウエアにて処理した。
【0078】
実施例2
滴下乳化液の滴下において、第1段目として滴下開始から2時間(全滴下量に対して50%の滴下量)を60℃で反応させ、次いで、第2段目として残り2時間(全滴下量に対して50%の滴下量)を70℃で反応させた以外は、実施例1と同様の操作により、アクリル系ポリマーエマルションを得た。また、それに続いて、実施例1と同様の操作により、粘着テープを作製した。
【0079】
得られたアクリル系ポリマーについて、実施例1と同様の操作により、各種測定を実施したところ、酢酸エチル不溶分が39重量%、重量平均分子量が47万、高分子量側のピークの標準ポリスチレン換算の分子量が86万、低分子量側のピークの標準ポリスチレン換算の分子量が22万、各ピークを基準とした分子量分布の重量割合が45:55であった。
【0080】
なお、この実施例2において測定したGPCのクロマトグラムを、参考として図4に示す。図4において、実線がGPCの実測値を示し、点線が各ピークを波形分離したときの各分子量分布を示す。
【0081】
実施例3
滴下乳化液の滴下において、第1段目として滴下開始から3時間(全滴下量に対して75%の滴下量)を60℃で反応させ、次いで、第2段目として残り1時間(全滴下量に対して25%の滴下量)を70℃で反応させた以外は、実施例1と同様の操作により、アクリル系ポリマーエマルションを得た。また、それに続いて、実施例1と同様の操作により、粘着テープを作製した。
【0082】
得られたアクリル系ポリマーについて、実施例1と同様の操作により、各種測定を実施したところ、酢酸エチル不溶分が35重量%、重量平均分子量が63万、高分子量側のピークの標準ポリスチレン換算の分子量が95万、低分子量側のピークの標準ポリスチレン換算の分子量が23万、各ピークを基準とした分子量分布の重量割合が60:40であった。
【0083】
比較例1
滴下乳化液の滴下において、反応温度を切り換えずに、60℃一定とした以外は、実施例1と同様の操作により、アクリル系ポリマーエマルションを得た。また、それに続いて、実施例1と同様の操作により、粘着テープを作製した。
【0084】
得られたアクリル系ポリマーについて、実施例1と同様の操作により、各種測定を実施したところ、GPC測定により得られた分子量分布のピークは1つであり、その重量平均分子量が80万、酢酸エチル不溶分が32重量%であった。
【0085】
評価
フォームに対する接着力
各実施例および比較例で得られた粘着テープを、幅20mm、長さ100mmに切断し、これを、ゴム発泡体(日東電工(株)、品番No.685)に重さ2kgのゴムローラを1往復させるようにして圧着させ、23℃下に30分放置後、23℃、65%RH雰囲気中にて剥離に要する力を測定(180度ピール、剥離速度300mm/分)することにより、フォームに対する接着力を求めた。その結果を表1に示す。
【0086】
保持力
各実施例および比較例で得られた粘着テープを幅10mmに裁断した後、フェノール樹脂板に対して、10mm×20mmの接触面積で貼り付け、一晩放置後、40℃下に30分放置した後、フェノール樹脂板を垂下し、粘着テープの自由端に500gの均一荷重を負荷して、40℃における1時間後の粘着シートのずれ距離を測定した。その結果を表1に示す。
【0087】
【表1】
Figure 2004339379
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のアクリル系ポリマーエマルションの製造方法では、GPC測定において2つのピークを有するアクリル系ポリマーを、簡易な方法により得ることができる。そして、この方法によって得られたアクリル系ポリマーエマルションは、GPC測定において、重量平均分子量が異なる2つの分子量分布に分けることができ、高い接着力と高い保持力とを発現することができる。
【0088】
そのため、このようなアクリル系ポリマーエマルションを加熱乾燥させることにより得られる本発明の粘着剤、および、その粘着剤を粘着剤層として有する粘着シートは、高い粗面接着力と、高い保持力とを両立することができ、フォームに対する高い接着力と、高い保持力とを兼ね備え、各種の産業分野において有効に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粘着シートの一実施形態(基材の片面に粘着剤層が積層され、その粘着剤層にライナーが貼着された状態で巻回されている態様)を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の粘着シートの他の実施形態(基材の両面に粘着剤層が積層され、その一方の粘着剤層にライナーが貼着された状態で巻回されている態様)を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の粘着シートの他の実施形態(背面処理層が積層されている基材の片面に粘着剤層が積層された状態で巻回されている態様)を模式的に示す断面図である。
【図4】実施例2において測定されたGPCのクロマトグラムを示す。
【符号の説明】
1 粘着剤層

Claims (6)

  1. (メタ)アクリル酸エステルを主成分とする反応性モノマーを乳化させることより滴下乳化液を調製し、
    この滴下乳化液を、水性媒体中に滴下し、
    滴下開始からの第1段目の反応温度を40〜65℃、第1段目に続く第2段目の反応温度を70〜95℃とし、滴下開始から全滴下量に対して10〜90%の滴下量の範囲において、第1段目の反応温度から第2段目の反応温度に切り換えて、反応性モノマーを重合させることを特徴とする、アクリル系ポリマーエマルションの製造方法。
  2. 請求項1に記載のアクリル系ポリマーエマルションの製造方法により得られることを特徴とする、アクリル系ポリマーエマルション。
  3. 請求項2に記載のアクリル系ポリマーエマルションを、加熱乾燥することにより得られる粘着剤であって、
    アクリル系ポリマーの酢酸エチルに溶解する成分をGPC測定したときに、得られた分子量分布が2つのピークを有し、各ピークを波形分離したときの各ピークの標準ポリスチレン換算の分子量が、それぞれ、10万〜40万の範囲と、50万〜100万の範囲とにあり、波形分離された各ピークに基づいて求められた分子量分布の重量割合が、9:1〜2:8であることを特徴とする、粘着剤。
  4. 前記アクリル系ポリマーの酢酸エチルに溶解しない成分が、10〜60重量%であることを特徴とする、請求項3に記載の粘着剤。
  5. フォームに対する接着力が2N/20mm以上であり、かつ、保持力が40℃で1時間不落下であることを特徴とする、請求項3または4に記載の粘着剤。
  6. 請求項3〜5のいずれかに記載の粘着剤からなる粘着剤層を有していることを特徴とする、粘着シート。
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