JP2004339063A - 多置換アセン誘導体及びその製造方法 - Google Patents

多置換アセン誘導体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】多置換ペンタセンをはじめとする多置換アセンを簡易、高収率かつ再現性良く製造する方法および新規な多置換アセンを提供する。
【解決手段】一般式(Ia )及び(Ib )で表される多置換アセン。
Figure 2004339063

例えば
Figure 2004339063

Figure 2004339063

例えば、
Figure 2004339063

(式中Prはn−プロピル基である)
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機能性材料として太陽電池や電子デバイスなどに応用が期待される多置換アセン誘導体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ベンゼン環が直線状にオルト縮合したポリアセンは、通称一次元グラファイトと呼ばれ、理論的にはベンゼン環の数が増加するに従いHOMO−LUMOのエネルギーギャップが次第に小さくなる。すなわち、IやBrなどの電子受容体をドーピングすることにより高い導電性を示すことが期待される。理想的一次元グラファイトとしてポリアセンが合成された報告はないが、フェノール樹脂を約500℃で熱分解すると類似構造のポリマーが得られることが報告されている。但し、このポリマーは均一性や溶解度に乏しく、機能性材料としての基本的特性を有するものではなかった。
【0003】
市販のアセンとしては、アントラセン、ナフタセン、ペンタセン及びその誘導体があり、導電性薄膜、偏光素子、リチウム二次電池などへの用途開発が行われている(特許文献1〜3参照)。特にペンタセンは、有機発光ダイオード(OLED)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、太陽電池など、様々な電子デバイスへの応用が活発に検討されている(特許文献4参照)。一般にペンタセンは、コークス中から単離することによって得られるが、ベンゼン環の数が増加するに従い有機溶媒への溶解性が次第に乏しくなるため、機能性材料として使用する場合に成形性・加工性が問題となっていた。そこで有機合成的にペンタセンを始めとするアセン骨格へ置換基を導入し、アセンの化学的・物理的性質を制御する試みがなされてきた。
【0004】
それらの一つに遷移金属錯体としてジルコノセンを用いた段階的環形成反応によりアセン骨格に置換基を導入する試みが報告されている(特許文献5および非特許文献1参照)。この反応により得られるヒドロアセンは芳香族化が施されていない故、さらに芳香族化反応を経て多置換アセンとする。この方法はアセンの溶解度を始めとする化学的・物理的性質を制御可能とした点で画期的であった。
【0005】
多置換アセンを上記の段階的環形成反応にて製造する際、鍵となる反応は環形成後の脱水素化反応、すなわち芳香族化反応である。炭化水素縮合環の芳香族化反応としては、Pd/C、硫黄、セレン、トリチルカチオン、ルイス酸、キノン、アルキルリチウム(RLi)−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)などを用いる多くの方法が知られている(非特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、従来の芳香族化反応は以下に示す問題点を有していた。Pd/Cでは200℃以上の高温が必要であり、硫黄ではその悪臭が問題となるうえに200℃以上の高温が必要である。さらにセレンは毒性が強いうえに、やはり300℃前後の高温を要する。強酸を用いるトリチルカチオンやAlCl、SbClのようなルイス酸では、転位反応などの副反応が起こりやすい。クロラニルや2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン(DDQ)などのキノンを用いた場合は、比較的穏やかな条件で芳香族化が進行するが、ディールスアルダー反応により副生成物が生成してしまうため、多置換アセンの収率は低かった(非特許文献3参照)。この場合とくに、空気中で不安定な多置換ペンタセンを再現性良く単離することができなかった。
【0007】
RLi−TMEDAでは、アルキルリチウムと当量のテトラメチルエチレンジアミン存在下、対応するジアニオンを生成させた後、CdCl、PbCl, CuI, CuBr, HgCl, ニッケル(II)アセチルアセトナートなどの金属塩、あるいはI、Brなどの電子受容体、あるいはMeI、PrIなどのハロゲン化アルキルでジアニオンを処理することで芳香族化する方法が知られている。
【0008】
この方法では、高温が不要、短時間の反応、副反応が少ないために好収率、後処理が簡単、などの優れた点を有しているが、有害なCdClなどの金属塩の使用は環境保護の観点からは好ましくなく、又Iなどでは効率が良くない。さらに、ハロゲン化アルキルは、多アルキル置換ジヒドロアントラセンの芳香族化に適しており、ハロゲン化アルキルのなかでも特にMeIを用いると定量的に多アルキル置換アントラセンが得られることが報告されているものの(非特許文献4参照)、多アルキル置換ジヒドロペンタセンや多アルキル置換ジヒドロヘプタセンに適用した例はない。
又、RLiと反応してしまうエステルのような官能基を含有する炭化水素縮合環の芳香族化には、上記のRLi−TMEDA法を適用できないという問題があった。
【0009】
以上のように、従来では多置換アセン誘導体の製造方法として、n−ブチルリチウム(RLi)−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、ヨウ化メチル、DDQ、又はクロラニルなどを用いて多置換アセン誘導体を製造していた(特許文献6参照)。かかる製造方法では、依然として前記同様の問題点があった。特に、クロラニルにより多置換ペンタセンジカルボキシレートを製造すると、副生成物までも生成してしまい、目的物を単離することは困難であった。また、電子吸引性のエステル基を有する多置換ペンタセンは比較的安定であるため製造可能であったが、電子供与性のアルキル基で置換された多アルキル置換ペンタセンは、アセン骨格の電子密度が高くなることから非常に不安定であり、実質的に製造ができなかった。
【0010】
【特許文献1】
特開平5−81921号公報
【特許文献2】
特開平8−220530号公報
【特許文献3】
特開平11−185809号公報
【特許文献4】
PCT/US00/33087
【特許文献5】
特開2000−26339号公報
【特許文献6】
WO01/64611 A1
【非特許文献1】
T. Takahashi et al., J. Am. Chem. Soc., 122, 12876, 2000
【非特許文献2】
Peter P. Fu et al., Chem. Rev., vol.78, 317−361, 1978
【非特許文献3】
T. Takahashi et al., J. Am. Chem. Soc., 122, 12876−12877, 2000
【非特許文献4】
M. Kitamura, et. al., Chem. Lett., 646, 2001
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記における問題点を解消するとともに、従来製造が困難であった多置換ペンタセンをはじめとする多置換アセンの製造を簡易、高収率かつ再現性良く提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記実情を鑑み鋭意検討を進めた結果、炭化水素縮合環にアニオン化剤を反応させた後水および/またはハロゲン化アルキルを共存させることにより、安価な試薬で簡易、高収率かつ再現性良く多置換アセンを製造する方法を確立し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、一般式(Ia)及び(Ib)
【化4】
Figure 2004339063
【0014】
式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10は、各々互いに独立して同一又は異なってもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のヘテロアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のヘテロアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のチオアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のヘテロアリールチオ基であり、
及びR、R及びRはまた、置換基を有していてもよい炭素原子数4〜20の炭化水素基が互いに架橋して置換基を有していてもよい1又は2以上の飽和環及び/又は不飽和環を形成してもよく、該飽和環又は不飽和環は、酸素原子、又は式−N(R11)−で示される基(式中、R11は、水素原子又は炭素原子数1〜20の直鎖または分岐状のアルキル基である)で中断されていてもよく、
前記各置換基は、炭素原子数1〜20のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基であり、
mは2〜5の整数であり、
nは1〜5の整数であり、
m及びnが2以上のとき、式(Ia)中に複数個存在するR同士もしくはR同士は各々同じでも異なっていてもよく、式(Ib)中に複数個存在するR同士もしくはR同士は各々同じでも異なっていてもよい、
で表される多置換アセンに関する。
また、本発明は、n=1であり、R〜R10がアルキル基である、前記多置換アセンに関する。
【0015】
さらに、本発明は、一般式(Ic)及び(Id )
【化5】
Figure 2004339063
【0016】
式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10は、各々互いに独立して同一又は異なっていてもよく、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のヘテロアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のヘテロアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のチオアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のヘテロアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシカルボニル基であり、
及びR、R及びRはまた、置換基を有していてもよい炭素原子数4〜20の炭化水素基が互いに架橋して置換基を有していてもよい1又は2以上の飽和環及び/又は不飽和環を形成してもよく、該飽和環又は不飽和環は、酸素原子、又は式−N(R11)−で示される基(式中、R11は、水素原子又は炭素原子数1〜20の直鎖または分岐状のアルキル基である)で中断されていてもよく、
前記各置換基は、炭素原子数1〜20のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基であり、
mは1〜5の整数であり、
nは1〜5の整数であり、
m及びnが2以上のとき、式(Ic)中に複数個存在するR同士もしくはR同士は各々同じでも異なっていてもよく、式(Id)中に複数個存在するR同士もしくはR同士は各々同じでも異なっていてもよい、
で表される多置換アセンの製造方法であって、
【0017】
一般式(IIa)及び(IIb)
【化6】
Figure 2004339063
【0018】
式中、
【外2】
Figure 2004339063
は、単結合又は二重結合であり、二重結合の場合には(H)で表される水素原子は存在しなく、
〜R10、m、nは、上記の意味を有する、
で表される炭化水素縮合環をアニオン化剤でアニオン化した後、水および/またはハロゲン化アルキルで芳香族化することを含む、前記方法に関する。
また、本発明は、R〜R10がアルキル基である、前記方法に関する。
さらに、本発明は、R及びRがアルコキシカルボニル基である、前記方法に関する。
また、本発明は、mおよび/またはnが1である、前記方法に関する。
【0019】
本発明によれば、不活性化ガス雰囲気下、安価な試薬を用いて多置換アセンを簡易、高収率かつ再現性よく製造することができ、特に従来困難であった電子供与性の置換基を有する多置換アセンであっても製造することができる。また、副生成物なしに多置換アセンカルボキシレートを製造でき、単離も容易に行なうことができ、さらに再現性に優れたものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明における式(Ia)および式(Ib)で示される多置換アセンの置換基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基およびtert−ブチル基などの炭素原子数1〜20のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、フルオレニル基などの炭素原子数6〜20のアリール基、チエニル基、フリル基、ピリジル基、1,2,4−、1,2,5−、1,3,4−オキサジアゾリル基、イミダゾリル基、1,2,4−、1,2,5−、1,3,4−チアジアゾリル基などの炭素原子数2〜20のヘテロアリール基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などの炭素原子数1〜20のアルコキシ基、フェニルオキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、ナフチルオキシ基、フルオレニルオキシ基などの炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、チエニルオキシ基、フリルオキシ基、ピリジルオキシ基、1,2,4−、1,2,5−、1,3,4−オキサジアゾリルオキシ基、イミダゾリルオキシ基、1,2,4−、1,2,5−、1,3,4−チアジアゾリルオキシ基などの炭素原子数2〜20のヘテロアリールオキシ基、チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオプロポキシ基、チオ−n−ブトキシ基、チオ−tert−ブトキシ基などの炭素原子数1〜20のチオアルコキシ基ならびにフェニルチオ基、トリルチオ基、キシリルチオ基、ナフチルチオ基、フルオレニルチオ基などの炭素原子数6〜20のアリールチオ基、チエニルチオ基、フリルチオ基、ピリジルチオ基、1,2,4−、1,2,5−、1,3,4−オキサジアゾリルチオ基、イミダゾリルチオ基、1,2,4−、1,2,5−、1,3,4−チアジアゾリルチオ基などの炭素原子数2〜20のヘテロアリールチオ基が挙げられる。これらの置換基は、全て同一の置換基であっても、異なっていてもよく、何れの置換基にもさらに炭素原子数1〜20のアルキル基、Cl、Br、F、Iなどのハロゲンやシアノ基などの置換基を有していてもよい。
製造が容易という観点から、全てアルキル基で置換されていることが好ましく、全てエチル基またはn−プロピル基で置換されていることがより好ましい。
【0021】
本発明における式(Ia)および式(Ib)で示される多置換アセンのRおよびRならびにRおよびRは、置換基を有していてもよい炭素原子数4〜20の炭化水素基が互いに架橋して飽和環及び/又は不飽和環を形成してもよく、さらに飽和環又は不飽和環は、酸素原子、又は式−N(R11)−で示される基(式中、R11は、水素原子又は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基などの炭素原子数1〜20の直鎖または分岐状のアルキル基である)で中断されていてもよい。互いに架橋している場合の炭素原子数4〜20の飽和環としては、シクロヘキサン環、シクロペンタン環、シクロヘプタン環などが挙げられ、不飽和環としては、ベンゼン環、シクロへキセン環、ナフタレンおよびアントラセンならびにピリジン、イミダゾールおよびインダゾールなどの複素環でもよい。また、複数個の飽和環又は不飽和環を形成し、さらに炭素原子数1〜20のアルキル基、Cl、Br、F、Iなどのハロゲンやシアノ基などの置換基を有していてもよい。
【0022】
本発明におけるmは、2〜5の整数を示すが、好ましくは2〜4、最も好ましくは2または3である。
本発明におけるnは、1〜5の整数を示すが、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜3、最も好ましくは1または2である。
本発明における式(Ia)および式(Ib)で示される多置換アセンのmおよびnが2以上の時に複数存在する式(Ia)中の置換基R、Rおよび式(Ib)中のR、Rは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。かかる置換基は前記と同様である。
【0023】
本発明において、多置換アセン誘導体の製造方法として提供される芳香族化反応は、たとえば下図に示すように炭化水素縮合環をアルキルリチウム、リチウムアミド、金属ナトリウム、金属リチウムなどのアニオン化剤でアニオン化した後、安価な試薬である水および/またはハロゲン化アルキルを用いて芳香族化することを特徴とする。
【化7】
Figure 2004339063
【0024】
本発明において基質として用いる炭化水素縮合環は、下記一般式(IIa)及び式(IIb)で表され、この場合、一つの環もしくは二つ以上の環が芳香族化されることになる。もっとも、式(IIa)及び式(IIb)で示される炭化水素縮合環には、繰り返し単位中の環が、芳香族環である場合と、芳香族環でない場合がランダムに繰り返される場合も含まれる。式(IIa)中、R及びRで置換された環および式(IIb)中、R及びR10で置換された環は、芳香族環であり、芳香族環でない場合は、芳香族環でない環が連続して結合するようなことはない。
【0025】
本発明で用いられる下記一般式(IIa)及び式(IIb)の置換基R〜R10は、式(Ia)および式(Ib)で示される多置換アセンと同様の置換基に加え、置換基を有していてもよい炭素原子1〜20のアルコキシカルボニル基などである。具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基およびフェノキシカルボニル基などが挙げられ、これらはさらにCl,Br,F,Iなどのハロゲン原子やシアノ基などの置換基を有していてもよい。
【化8】
Figure 2004339063
【0026】
本発明の一実施形態では、炭化水素縮合環の製造が容易であることから、式(IIa)中のR及びR、R及びR、R及びRのいずれかが同一の置換基であることが好ましく、R及びRが同一の置換基であり、かつ、R及びRが同一の置換基であり、かつ、R及びRが同一の置換基であることがさらに好ましい。
【0027】
同様に、炭化水素縮合環の製造が容易であることから、式(IIb)中のR及びR、R及びR、R及びR10、R及びR、R及びRのいずれかが同一の置換基であることが好ましく、R及びRが同一の置換基であり、かつ、R及びRが同一の置換基であり、かつ、R及びR10が同一の置換基であり、かつ、R及びRが同一の置換基であり、かつ、R及びRが同一の置換基であることがさらに好ましい。
【0028】
一般式(IIa)で表される炭化水素縮合環のアルキル又はアリール置換体であって、互いに同一の置換基を有する炭化水素縮合環の具体例としては、
5,12−ジヒドロ−1,2,3,4,6,11−ヘキサメチルナフタセン、5,12−ジヒドロ−1,2,3,4,6,11−ヘキサエチルナフタセン、5,12−ジヒドロ−1,2,3,4,6,11−ヘキサプロピルナフタセン、5,12−ジヒドロ−1,2,3,4,6,11−ヘキサisoプロピルナフタセン、5,12−ジヒドロ−1,2,3,4,6,11−ヘキサブチルナフタセン、5,12−ジヒドロ−1,2,3,4,6,11−ヘキサisoブチルナフタセン、5,12−ジヒドロ−1,2,3,4,6,11−ヘキサtertブチルナフタセン、5,12−ジヒドロ−1,2,3,4,6,11−ヘキサペンチルナフタセン、5,12−ジヒドロ−1,2,3,4,6,11−ヘキサisoペンチルナフタセン、5,12−ジヒドロ−1,2,3,4,6,11−ヘキサシクロペンチルナフタセン、5,12−ジヒドロ−1,2,3,4,6,11−ヘキサヘキシルナフタセン、5,12−ジヒドロ−1,2,3,4,6,11−ヘキサシクロヘキシルナフタセン、及び5,12−ジヒドロ−1,2,3,4,6,11−ヘキサフェニルナフタセン等が挙げられる。
【0029】
さらに、5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,2,3,4,6,11−ヘキサメチルナフタセン、5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,2,3,4,6,11−ヘキサエチルナフタセン、5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,2,3,4,6,11−ヘキサプロピルナフタセン、5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,2,3,4,6,11−ヘキサisoプロピルナフタセン、5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,2,3,4,6,11−ヘキサブチルナフタセン、5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,2,3,4,6,11−ヘキサisoブチルナフタセン、5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,2,3,4,6,11−ヘキサtertブチルナフタセン、5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,2,3,4,6,11−ヘキサペンチルナフタセン、5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,2,3,4,6,11−ヘキサisoペンチルナフタセン、5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,2,3,4,6,11−ヘキサシクロペンチルナフタセン、5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,2,3,4,6,11−ヘキサヘキシルナフタセン、5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,2,3,4,6,11−ヘキサシクロヘキシルナフタセン、及び5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,2,3,4,6,11−ヘキサフェニルナフタセン等が挙げられる。
【0030】
さらに、5,7,14,16−テトラヒドロ−1,2,3,4,6,8,13,15−オクタメチルヘキサセン、5,7,14,16−テトラヒドロ−1,2,3,4,6,8,13,15−オクタエチルヘキサセン、5,7,14,16−テトラヒドロ−1,2,3,4,6,8,13,15−オクタプロピルヘキサセン、及び5,7,14,16−テトラヒドロ−1,2,3,4,6,8,13,15−オクタフェニルヘキサセン等が挙げられる。
【0031】
一般式(IIa)で表されるRおよびRがアルコキシカルボニル基である炭化水素縮合環のアルキル又はアリール置換体であって、互いに同一の置換基を有する炭化水素縮合環の具体例としては、
ジメチル5,12−ジヒドロ−1,4,6,11−テトラメチルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,12−ジヒドロ−1,4,6,11−テトラエチルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,12−ジヒドロ−1,4,6,11−テトラプロピルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,12−ジヒドロ−1,4,6,11−テトラisoプロピルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,12−ジヒドロ−1,4,6,11−テトラブチルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,12−ジヒドロ−1,4,6,11−テトラisoブチルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,12−ジヒドロ−1,4,6,11−テトラtertブチルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,12−ジヒドロ−1,4,6,11−テトラペンチルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,12−ジヒドロ−1,4,6,11−テトラisoペンチルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,12−ジヒドロ−1,4,6,11−テトラシクロペンチルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,12−ジヒドロ−1,4,6,11−テトラヘキシルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,12−ジヒドロ−1,4,6,11−テトラシクロヘキシルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,12−ジヒドロ−1,4,6,11−テトラフェニルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート等が挙げられる。
【0032】
さらに、ジエチル5,12−ジヒドロ−1,4,6,11−テトラメチルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジエチル5,12−ジヒドロ−1,4,6,11−テトラエチルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジエチル5,12−ジヒドロ−1,4,6,11−テトラプロピルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート等が挙げられる。
【0033】
さらに、ジメチル5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,4,6,11−テトラメチルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,4,6,11−テトラエチルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,4,6,11−テトラプロピルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,4,6,11−テトラisoプロピルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,4,6,11−テトラブチルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,4,6,11−テトラisoブチルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,4,6,11−テトラtertブチルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,4,6,11−テトラペンチルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,4,6,11−テトラisoペンチルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,4,6,11−テトラシクロペンチルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,4,6,11−テトラヘキシルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,4,6,11−テトラシクロヘキシルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,4,6,11−テトラフェニルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジエチル5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,4,6,11−テトラメチルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジエチル5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,4,6,11−テトラエチルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジエチル5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,4,6,11−テトラプロピルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジエチル5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,4,6,11−テトラメチルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジエチル5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,4,6,11−テトラエチルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、及びジエチル5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,4,6,11−テトラプロピルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート等が挙げられる。
【0034】
ジメチル5,7,9,10,11,12,14,16−オクタヒドロ−1,4,6,8,13,15−ヘキサメチルヘキサセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,9,10,11,12,14,16−オクタヒドロ−1,4,6,8,13,15−ヘキサエチルヘキサセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,9,10,11,12,14,16−オクタヒドロ−1,4,6,8,13,15−ヘキサプロピルヘキサセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,9,10,11,12,14,16−オクタヒドロ−1,4,6,8,13,15−ヘキサisoプロピルヘキサセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,9,10,11,12,14,16−オクタヒドロ−1,4,6,8,13,15−ヘキサブチルヘキサセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,9,10,11,12,14,16−オクタヒドロ−1,4,6,8,13,15−ヘキサペンチルヘキサセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル−5,7,9,10,11,12,14,16−オクタヒドロ−1,4,6,8,13,15−ヘキサヘキシルヘキサセン−2,3−ジカルボキシレート、及びジメチル5,7,9,10,11,12,14,16−オクタヒドロ−1,4,6,8,13,15−ヘキサフェニルヘキサセン−2,3−ジカルボキシレート等が挙げられる。
【0035】
また、一般式(IIa)で表される炭化水素縮合環のアルキル又はアリール置換体であって、互いに異なる置換基を有する炭化水素縮合環の具体例としては、5,12−ジヒドロ−1,2,3,4−テトラプロピル−6,11−ジisoプロピルナフタセン、5,12−ジヒドロ−1,2,3,4−テトラプロピル−6,11−ジブチルナフタセン、5,12−ジヒドロ−1,2,3,4−テトラプロピル−6,11−ジtertブチルナフタセン、5,12−ジヒドロ−1,2,3,4−テトラプロピル−6,11−ジシクロヘキシルナフタセン、5,12−ジヒドロ−1,2,3,4−テトラプロピル−6,11−ジフェニルナフタセン、5,12−ジヒドロ−1,2,3,4−テトラブチル−6,11−ジプロピルナフタセン、5,12−ジヒドロ−1,2,3,4−テトラブチル−6,11−ジisoプロピルナフタセン−5,12−ジヒドロ−1,2,3,4−テトラブチル−6,11−ジtertブチルナフタセン、5,12−ジヒドロ−1,2,3,4−テトラブチル−6,11−ジシクロヘキシルナフタセン、5,12−ジヒドロ−1,2,3,4−テトラブチル−6,11−ジフェニルナフタセン、5,12−ジヒドロ−1,2,3,4−テトラフェニル−6,11−ジプロピルナフタセン、5,12−ジヒドロ−1,2,3,4−テトラフェニル−6,11−ジisoプロピルナフタセン、5,12−ジヒドロ−1,2,3,4−テトラフェニル−6,11−ジtertブチルナフタセン、及び5,12−ジヒドロ−1,2,3,4−テトラフェニル−6,11−ジシクロヘキシルナフタセン等が挙げられる。
【0036】
さらに、5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,2,3,4−テトラプロピル−6,11−ジisoプロピルナフタセン、5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,2,3,4−テトラプロピル−6,11−ジブチルナフタセン、5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,2,3,4−テトラプロピル−6,11−ジtertブチルナフタセン、5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,2,3,4−テトラプロピル−6,11−ジシクロヘキシルナフタセン、5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,2,3,4−テトラプロピル−6,11−ジフェニルナフタセン、5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,2,3,4−テトラブチル−6,11−ジプロピルナフタセン、5,7,8,9,10,12−ヘキサラヒドロ−1,2,3,4−テトラブチル−6,11−ジisoプロピルナフタセン、5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,2,3,4−テトラブチル−6,11−ジtertブチルナフタセン、5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,2,3,4−テトラブチル−6,11−ジシクロヘキシルナフタセン、5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,2,3,4−テトラブチル−6,11−ジフェニルナフタセン、5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,2,3,4−テトラフェニル−6,11−ジプロピルナフタセン、5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,2,3,4−テトラフェニル−6,11−ジisoプロピルナフタセン、5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,2,3,4−テトラフェニル−6,11−ジtertブチルナフタセン、及び5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,2,3,4−テトラフェニル−6,11−ジシクロヘキシルナフタセン等が挙げられる。
【0037】
一般式(IIa)で表されるRおよびRがアルコキシカルボニル基である炭化水素縮合環のアルキル又はアリール置換体であって、互いに異なる置換基を有する炭化水素縮合環の具体例としては、
ジメチル5,12−ジヒドロ−1,4−ジメチル−6,11−ジエチルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,12−ジヒドロ−1,4−ジエチル−6,11−ジプロピルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,12−ジヒドロ−1,4−ジフェニル−6,11−ジメチルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,12−ジヒドロ−1,4―ジフェニル―6,11−ジエチルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,12−ジヒドロ−1,4−ジフェニル−6,11−ジプロピルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,12−ジヒドロ−1,4−ジフェニル−6,11−ジisoプロピルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,12−ジヒドロ−1,4−ジメチル−6,11−ジフェニルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート等が挙げられる。
【0038】
さらに、ジメチル5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,4−ジメチル−6,11−ジエチルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,4−ジエチル−6,11−ジプロピルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,4−ジフェニル−6,11−ジメチルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,4―ジフェニル―6,11−ジエチルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,4−ジフェニル−6,11−ジプロピルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,4−ジフェニル−6,11−ジisoプロピルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル 5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロ−1,4−ジメチル−6,11−ジフェニルナフタセン−2,3−ジカルボキシレート等が挙げられる。
【0039】
一般式(IIb)で表される炭化水素縮合環のアルキル又はアリール置換体であって、互いに同一の置換基を有する炭化水素縮合環の具体例としては、
5,14−ジヒドロ−1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカメチルペンタセン、5,14−ジヒドロ−1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカエチルペンタセン、5,14−ジヒドロ−1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカプロピルペンタセン、5,14−ジヒドロ−1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカisoプロピルペンタセン、5,14−ジヒドロ−1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカブチルペンタセン、5,14−ジヒドロ−1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカisoブチルペンタセン、5,14−ジヒドロ−1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカtertブチルペンタセン、5,14−ジヒドロ−1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカペンチルペンタセン、5,14−ジヒドロ−1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカisoペンチルペンタセン、5,14−ジヒドロ−1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカシクロペンチルペンタセン、5,14−ジヒドロ−1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカヘキシルペンタセン、5,14−ジヒドロ−1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカシクロヘキシルペンタセン、及び5,14−ジヒドロ−1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカフェニルペンタセン等が挙げられる。
【0040】
さらに、5,7,12,14−テトラヒドロ−1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカメチルペンタセン、5,7,12,14−テトラヒドロ−1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカエチルペンタセン、5,7,12,14−テトラヒドロ−1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカプロピルペンタセン、5,7,12,14−テトラヒドロ−1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカisoプロピルペンタセン、5,7,12,14−テトラヒドロ−1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカブチルペンタセン、5,7,12,14−テトラヒドロ−1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカisoブチルペンタセン、5,7,12,14−テトラヒドロ−1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカtertブチルペンタセン、5,7,12,14−テトラヒドロ−1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカペンチルペンタセン、5,7,12,14−テトラヒドロ−1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカisoペンチルペンタセン、5,7,12,14−テトラヒドロ−1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカシクロペンチルペンタセン、5,7,12,14−テトラヒドロ−1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカヘキシルペンタセン、5,7,12,14−テトラヒドロ−1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカシクロヘキシルペンタセン、及び5,7,12,14−テトラヒドロ−1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカフェニルペンタセン等が挙げられる。
【0041】
さらに、5,18−ジヒドロ−1,2,3,4,6,8,10,11,12,13,15,17−ドデカメチルヘプタセン、5,18−ジヒドロ−1,2,3,4,6,8,10,11,12,13,15,17−ドデカエチルヘプタセン、5,18−ジヒドロ−1,2,3,4,6,8,10,11,12,13,15,17−ドデカプロピルヘプタセン、及び5,18−ジヒドロ−1,2,3,4,6,8,10,11,12,13,15,17−ドデカフェニルヘプタセン等が挙げられる。
【0042】
さらに、5,9,14,18−テトラヒドロ−1,2,3,4,6,8,10,11,12,13,15,17−ドデカメチルヘプタセン、5,9,14,18−テトラヒドロ−1,2,3,4,6,8,10,11,12,13,15,17−ドデカエチルヘプタセン、5,9,14,18−テトラヒドロ−1,2,3,4,6,8,10,11,12,13,15,17−ドデカプロピルヘプタセン、及び5,9,14,18−テトラヒドロ−1,2,3,4,6,8,10,11,12,13,15,17−ドデカフェニルヘプタセン等が挙げられる。
【0043】
一般式(IIb)で表されるRおよびRがアルコキシカルボニル基である炭化水素縮合環のアルキル又はアリール置換体であって、互いに同一の置換基を有する炭化水素縮合環の具体例としては、
ジメチル5,14−ジヒドロ−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタメチルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,14−ジヒドロ−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタエチルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,14−ジヒドロ−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタプロピルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,14−ジヒドロ−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタiso−プロピルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,14−ジヒドロ−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタブチルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,14−ジヒドロ−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタiso−ブチルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,14−ジヒドロ−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタtert−ブチルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,14−ジヒドロ−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタペンチルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,14−ジヒドロ−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタiso−ペンチルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,14−ジヒドロ−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタシクロペンチルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,14−ジヒドロ−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタヘキシルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,14−ジヒドロ−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタシクロヘキシルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,14−ジヒドロ−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタフェニルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート等が挙げられる。
【0044】
さらに、ジメチル5,7,12,14−テトラヒドロ−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタメチルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,12,14−テトラヒドロ−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタエチルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,12,14−テトラヒドロ−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタプロピルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,12,14−テトラヒドロ−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタiso−プロピルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,12,14−テトラヒドロ−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタブチルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,12,14−テトラヒドロ−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタiso−ブチルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,12,14−テトラヒドロ−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタtert−ブチルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,12,14−テトラヒドロ−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタペンチルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,12,14−テトラヒドロ−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタiso−ペンチルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,12,14−テトラヒドロ−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタシクロペンチルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,12,14−テトラヒドロ−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタヘキシルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,12,14−テトラヒドロ−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタシクロヘキシルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,12,14−テトラヒドロ−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタフェニルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート等が挙げられる。
【0045】
さらに、ジメチル5,7,9,14,16,18−ヘキサヒドロ−1,4,6,8,10,11,12,13,15,17−デカメチルヘプタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,9,14,16,18−ヘキサヒドロ−1,4,6,8,10,11,12,13,15,17−デカエチルヘプタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,9,14,16,18−ヘキサヒドロ−1,4,6,8,10,11,12,13,15,17−デカプロピルヘプタセン−2,3−ジカルボキシレート、及びジメチル5,7,9,14,16,18−ヘキサヒドロ−1,4,6,8,10,11,12,13,15,17−デカフェニルヘプタセン−2,3−ジカルボキシレート等が挙げられる。
【0046】
一般式(IIb)で表される炭化水素縮合環のアルキル又はアリール置換体であって、互いに異なる置換基を有する炭化水素縮合環の具体例としては、
5,14−ジヒドロ−1,2,3,4−テトラメチル−6,8,9,10,11,13−ヘキサエチルペンタセン、5,14−ジヒドロ−1,2,3,4−テトラメチル−6,8,9,10,11,13−ヘキサプロピルペンタセン、5,14−ジヒドロ−1,2,3,4−テトラメチル−6,8,9,10,11,13−ヘキサフェニルペンタセン、5,14−ジヒドロ−1,2,3,4−テトラフェニル−6,8,9,10,11,13−ヘキサメチルペンタセン、5,14−ジヒドロ−1,2,3,4−テトラフェニル−6,8,9,10,11,13−ヘキサエチルペンタセン、5,14−ジヒドロ−1,2,3,4−テトラメチル−6,13−ジエチル−8,9,10,11−テトラプロピルペンタセン、5,14−ジヒドロ−1,2,3,4−テトラメチル−6,13−ジフェニル−8,9,10,11−テトラプロピルペンタセン、5,14−ジヒドロ−1,2,3,4−テトラメチル−6,13−ジフェニル−8,9,10,11−テトラフェニルペンタセン等が挙げられる。
【0047】
さらに、5,7,12,14−テトラヒドロ−1,2,3,4−テトラメチル−6,8,9,10,11,13−ヘキサエチルペンタセン、5,7,12,14−テトラヒドロ−1,2,3,4−テトラメチル−6,8,9,10,11,13−ヘキサプロピルペンタセン、5,7,12,14−テトラヒドロ−1,2,3,4−テトラメチル−6,8,9,10,11,13−ヘキサフェニルペンタセン、5,7,12,14−テトラヒドロ−1,2,3,4−テトラフェニル−6,8,9,10,11,13−ヘキサメチルペンタセン、5,7,12,14−テトラヒドロ−1,2,3,4−テトラフェニル−6,8,9,10,11,13−ヘキサエチルペンタセン、5,7,12,14−テトラヒドロ−1,2,3,4−テトラメチル−6,13−ジエチル−8,9,10,11−テトラプロピルペンタセン、5,7,12,14−テトラヒドロ−1,2,3,4−テトラメチル−6,13−ジフェニル−8,9,10,11−テトラプロピルペンタセン、5,7,12,14−テトラヒドロ−1,2,3,4−テトラメチル−6,13−ジフェニル−8,9,10,11−テトラフェニルペンタセン等が挙げられる。
【0048】
一般式(IIb)で表されるRおよびRがアルコキシカルボニル基である炭化水素縮合環のアルキル又はアリール置換体であって、互いに異なる置換基を有する炭化水素縮合環の具体例としては、
ジメチル5,14−ジヒドロ−1,4−ジメチル−6,13−ジエチル−8,9,10,11−テトラプロピルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,14−ジヒドロ−1,4−ジメチル−6,13−ジフェニル−8,9,10,11−テトラプロピルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,14−ジヒドロ−1,4−ジメチル−6,13−ジエチル−8,9,10,11−テトラフェニルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジエチル5,14−ジヒドロ−1,4−ジメチル−6,13−ジエチル−8,9,10,11−テトラプロピルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジエチル5,14−ジヒドロ−1,4−ジメチル−6,13−ジフェニル−8,9,10,11−テトラプロピルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジエチル5,14−ジヒドロ−1,4−ジメチル−6,13−ジエチル−8,9,10,11−テトラフェニルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート等が挙げられる。
【0049】
さらに、ジメチル5,7,12,14−テトラヒドロ−1,4−ジメチル−6,13−ジエチル−8,9,10,11−テトラプロピルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,12,14−テトラヒドロ−1,4−ジメチル−6,13−ジフェニル−8,9,10,11−テトラプロピルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジメチル5,7,12,14−テトラヒドロ−1,4−ジメチル−6,13−ジエチル−8,9,10,11−テトラフェニルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジエチル5,7,12,14−テトラヒドロ−1,4−ジメチル−6,13−ジエチル−8,9,10,11−テトラプロピルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジエチル5,7,12,14−テトラヒドロ−1,4−ジメチル−6,13−ジフェニル−8,9,10,11−テトラプロピルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート、ジエチル5,7,12,14−テトラヒドロ−1,4−ジメチル−6,13−ジエチル−8,9,10,11−テトラフェニルペンタセン−2,3−ジカルボキシレート等が挙げられる。
【0050】
本発明の芳香族化反応の際に用いられるアニオン化剤の種類としては、メチルリチウムおよびn−ブチルリチウムといったような炭素原子数1〜20のアルキルリチウムのほかに、フェニルリチウムのようなアリールリチウムならびに金属ナトリウムや金属リチウムなどのアルカリ金属ならびにリチウムアミドならびにリチウムジメチルアミドおよびリチウムジプロピルアミドなどの炭素原子数2〜20のリチウムジアルキルアミドならびにリチウムジフェニルアミドをはじめとする炭素原子数12〜30のリチウムジアリールアミドが用いられる。反応性が良好であり、操作性が簡便というという理由からアルキルリチウムまたはアリールリチウムが好適に用いられ、より好適にはn−ブチルリチウムが用いられる。また、多置換アセンジカルボキシレートの製造の場合には、置換基のエステルが反応しないようにリチウムジイソプロピルアミド(LDA)が好適に用いられる。
【0051】
アニオン化剤の当量としては、脱水素化する水素原子を2個有する6員環1つには2.0〜6.0当量用いられ、例えば2.0〜4.0当量が好適に用いられる。同様の水素原子を2個有する6員環がx個含まれる、式(IIb)で表すことのできる炭化水素縮合環の場合には、アニオン化剤は(2.0〜6.0)x当量用いられ、例えば(2.0〜4.0)x当量が好適に用いられる。
【0052】
又、同様の脱水素化する水素原子を2個有する6員環1つと脱水素化する水素原子を4個有する6員環1つを有する、式(IIa)で表すことのできる炭化水素縮合環の場合には、アニオン化剤は6.0〜14.0当量用いられ、例えば6.0〜12.0当量が好適に用いられる。さらに、脱水素化する水素原子を2個有する6員環x個(xは2以上5以下の整数)と脱水素化する水素原子を4個有する6員環一つを有する、式(IIa)で表すことのできる炭化水素縮合環の場合には、アニオン化剤は[(2.0〜6.0)x+4.0〜14.0]当量用いられ、例えば[(2.0〜4.0)x+4.0〜12.0]当量が好適に用いられる。
【0053】
アニオン化速度が特に遅い基質の場合や、溶解性が特に低い基質の場合には、アニオン化速度促進などのためN, N, N’, N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン(DMI)などの添加剤を任意の量加えてもよい。通常は入れなくともよい。
【0054】
アニオン化の反応温度としては、アニオン化剤の分解が起きない程度であれば特に制限はなく、実施が容易であるという理由から好ましくは−10〜40℃、より好ましくは−5〜35℃の範囲内で行うのがよい。
アニオン化の反応時間としては、0.5時間〜10時間が好ましく、更に好ましくは1時間〜3時間である。
アニオン化反応に用いられる溶媒としては、有機溶媒が好ましく、ヘキサン、ペンタンのような炭素原子数5〜20の炭化水素、ベンゼン、トルエンのような炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランのような炭素原子数4〜10のエーテル類がよい。反応性が良好であるという理由から、エーテル類が好適である。溶媒の使用量としては、基質である炭化水素縮合環が有する置換基や芳香族性に依存するが、一般的には炭化水素縮合環1mmolあたり、3〜10mlが好適である。
【0055】
芳香族化に用いる試薬としては、多置換アセンジカルボキシレートの製造の場合、四塩化炭素、よう化メチルなどのハロゲン化アルキルならびに水又は重水が好ましく、安価に再現性良く目的物が得られるという理由から、四塩化炭素又は水が最も好ましい。アルキル基で置換されたアセンの場合には水又は重水を用いるのが好ましく、水または重水は反応性としてはどちらを用いても変わらず再現性良く目的物が得られるが、コスト面から重水よりも安価な水を用いるのが最も好ましい。かかる水は、純水、超純水または水道水など種類は問わない。芳香族化試薬の使用量としては過剰量用いたほうが高収率の傾向があり、0.5〜8.0当量用いることが好ましく、さらに、生成物の分解を抑制する目的から前記アニオン化剤を基準として1〜6当量が好ましく、さらに好ましくは2〜4当量を用いるのがよい。
【0056】
芳香族化の反応温度としては、置換基に応じて任意の温度で行うことができる。通常は15〜35℃の室温で芳香族試薬を加え反応させればよく、0℃以下の低温下で芳香族化試薬を加える場合には、後で15〜35℃の室温まで昇温することが好ましい。
ハロゲン化アルキルを用いて多置換アセンジカルボキシレートを製造する場合は、より高収率で目的物を得るために−80℃〜−10℃の温度でハロゲン化アルキルを加え、昇温することが好ましい。0℃以上でハロゲン化アルキルを加えると、著しく収率が低下することがある。昇温速度は、5〜200℃/時間が好ましく、特に好ましくは、10〜50℃/時間である。
一方、水を芳香族試薬に用いる場合は逆に、−80℃〜−10℃の低温で水を加えると収率が低下することがあるので、0℃〜35℃で水を加え反応を行うことが好ましい。
【0057】
芳香族化に要する反応時間としては、15〜35℃の室温で5分から120分でよく、さらに生成物の分解を防ぐ理由から5分から60分の範囲が好ましい。
芳香族化後の後処理操作としては、第一に生成物の分解を防ぐため、芳香族化試薬に用いた水が過剰に添加されている場合もしくは過剰に添加されていない場合のどちらであっても、反応溶媒もしくは水を減圧下で完全に留去する。第二にアニオン化剤由来の無機化合物を除去するため、抽出などの操作が必要である。抽出溶媒としては、アニオン化剤由来の無機化合物を溶解せず、目的としている多置換アセンのみを溶かす溶媒を選択しなければならない。15〜35℃の室温下ではクロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル系溶媒などの極性溶媒が適宜用いられるが、それらは単一溶媒として用いられても混合溶媒として用いられてもよい。ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒を用いる場合は、抽出効率を下げないため40〜60℃の範囲で加温抽出するのが好ましい。抽出後、再結晶精製により目的物を単離することができる。
【0058】
本発明により製造された多置換アセンは、式(Ia)および式(Ib)で示され、具体的には、一般式(IIa)および(IIb)で表される炭化水素縮合環の前記具体例が芳香族化されたものを挙げることができる。
【0059】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。但し、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
すべての反応は、アルゴンまたは窒素雰囲気下のもとで行われた。溶媒として用いたTHFはアルゴン気流下、ナトリウム金属およびベンゾフェノンで蒸留して無水とし、またジクロロメタンはアルゴン加圧下五酸化リンによって蒸留したものを用いた。n−BuLi、ジイソプロピルアミン、CCl、蒸留水などの試薬はすべて関東化学製を使用した。H−NMRは、JEOL JNM−LA400を用いて測定した。この時、テトラメチルシランを内部標準とした。質量分析には、島津製作所 GCMS−QP5050Aを用いた。元素分析には、FISONS社 EA 1108 CHNS−Oを用いた。熱分析には、SII社 SSC/5200を用いた。
【0060】
〔参考例1〕
実施例記載の基質である、多置換ジヒドロアセンの合成方法と合成例を示すがこれに限定されるものではない。
多置換ジヒドロアセンは、ジルコノセンを用いた多段階反応により合成されるが、その合成方法の性質から、偶数個のベンゼン環から構成されるものと奇数個のベンゼン環から構成されるものに分けることができる。すなわち、合成経路1に示すように出発原料に1を用いた場合は、2つずつベンゼン環を増環していくため、偶数環から構成されるジヒドロアセンを合成することができる。一方、合成経路2のように出発原料に8を用いると、奇数環のジヒドロアセンを合成することができる(T. Takahashi et al., J. Am. Chem. Soc., 122, 12876, 2000)。
【0061】
【化9】
Figure 2004339063
【0062】
先ず、偶数環である、1,2,3,4,6,11−ヘキサプロピル−5,12−ジヒドロナフタセン7の合成方法を示す。
上記式中、(i)ではTHF溶媒中で1(101.83g, 0.535mol)とビス(1,3‐ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジブチルを0℃で混合し、室温まで昇温した後、CuCl(95.34g, 0.963mmol)の存在下、ジメチルアセチレンジカルボキシレート(164.4ml, 1.338mol)を加えて反応させ、後処理操作を行い、2(129.5g, 0.397mol)を収率74%で得た。(ii)ではトルエン溶媒中で2(127.29g, 0.3902mol)と2,3‐ジクロロ‐5,6‐ジシアノベンゾキノン(354.31g, 1.5608mol)を110℃で7時間反応させ、後処理操作を行い、3(103.25g, 0.3204mol)を収率82%で得た。(iii)では、トルエン中で3(103.25g, 0.3204mol)と水素化リチウムアルミニウムを0℃で混合し、徐々に室温まで昇温させて反応させ、後処理操作を行って4(74.23g, 0.2724mol)を収率85%で得た。(iv)ではジクロロメタン溶媒中で4(74.23g, 0.2724mol)と臭化リン(25.65ml, 0.2724mol)を0℃で混合し、室温まで昇温させて反応させ、後処理操作を行って5(65.03g, 0.1634mol)を収率60%で得た。(v)ではTHF溶媒中で5(65.03g, 0.1634mol)と系中で調製したリチウムペンチリドを室温で混合した後、70℃で4時間反応させ、後処理操作を行って6(61.24g, 0.1644mol)を収率101%で得た。(vi)ではTHF溶媒中で6(26.86g, 72.09mmol)とビス(1,3‐ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジブチルを0℃で混合し、室温まで昇温した後、4‐オクチン(17.44ml, 118.7mmol)及びニッケルジブロモトリフェニルホスフィン(113.5g, 152.7mol)を加えて室温で1日間反応させた。それから後処理操作を行い、7(5.76g, 11.93mmol)を収率17%で得た。7は芳香族化反応の基質として用いた。
【0063】
次に、奇数環の基質である1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカプロピル−5,14−ジヒドロペンタセン、2,3−ジメチル−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタプロピル−5,14−ジヒドロペンタセンジカルボキシレート、1,2,3,4,6,8,10,11,12,13,15,17−ドデカプロピル−5,9,14,18−テトラヒドロヘプタセンの合成方法と合成例を示す。
【0064】
【化10】
Figure 2004339063
【0065】
上記式中、(i)ではTHF溶媒中で8(316.9ml, 2.16mol)とビス(1,3‐ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジブチルを0℃で混合し、室温まで昇温した後、CuCl(213.8g, 2.16mmol)の存在下、ジメチルアセチレンジカルボキシレート(368.8ml, 3.0mol)を加えて反応させ、後処理操作を行い、9(383.2g, 1.06mol)を収率98%で得た。(ii)では、トルエン中で9(245.0g, 0.676mol)と水素化リチウムアルミニウムを0℃で混合し、徐々に室温まで昇温させて反応させ、後処理操作を行って10(191.86g, 0.63mol)を収率93%で得た。(iii)ではクロロホルム溶媒中で10(256.36g, 0.836mol)と臭化リン(78.6ml, 0.836mol)を0℃で混合し、室温まで昇温して反応させ、後処理操作を行って11(194.4g, 0.450mol)を収率56%で得た。(iv)ではTHF溶媒中で11(194.4g, 0.450mol)と系中で調製したリチウムペンチリドを室温で混合した後、室温で1日間反応させ、後処理操作を行って12(192.55g, 0.473mol)を収率105%で得た。(v)ではTHF溶媒中で12(21.0g, 51.63mmol)とビス(1,3‐ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジブチルを0℃で混合し、室温まで昇温した後、再び0℃でCuCl(11.0g,111.5mmol)及びジメチルアセチレンジカルボキシレートを加え、室温で1日間反応させた。それから後処理操作を行い、13(7.03g, 12.81mmol)を収率25%で得た。(vi)では1,4‐ジオキサン溶媒中で13(48.9g, 89.1mmol)と2,3‐ジクロロ‐5,6‐ジシアノベンゾキノン(22.2g, 98.0mmol)を室温で1日間反応させ、後処理操作を行い、14(40.58g, 74.21mol)を収率83%で得た。(vii)では、トルエン中で14(30.5g, 55.8mmol)と水素化リチウムアルミニウムを0℃で混合し、徐々に室温まで昇温させて反応させ、後処理操作を行って15(15.58g, 31.75mmol)を収率57%で得た。(viii)ではクロロホルム溶媒中で15(15.58g, 31.75mmol)と臭化リン(2.98ml, 31.75mol)を0℃で混合し、室温まで昇温して反応させ、後処理操作を行って16(19.31g, 30.76mol)を収率99%で得た。(ix)ではTHF溶媒中で16(19.31g, 31.32mol)と系中で調製したリチウムペンチリドを室温で混合した後、室温で1日間反応させ、後処理操作を行って17(12.79g, 21.61mol)を収率69%で得た。(x)ではTHF溶媒中で17(12.79g, 21.64mmol)とビス(1‐メチル‐3‐ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジブチルを0℃で混合し、室温まで昇温した後、再び0℃でCuCl(4.82g,48.46mmol)及びジメチルアセチレンジカルボキシレートを加え、室温で1日反応させた後、原料が残っていたため、70℃で5.5時間反応させた。それから後処理操作を行い、18(7.02g, 9.576mmol)を収率44%で得た。
【0066】
(xi)ではTHF溶媒中で8(10.1ml, 68.8mol)とビス(1,3‐ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジブチルを0℃で混合し、室温まで昇温した後、CuCl(6.80g, 68.8mmol)の存在下、N,N’‐ジメチルプロピレンウレア(DMPU)(10.4ml, 86.0mmol)、1,2,4,5‐テトラヨードベンゼン19(18.0g, 30.9mmol)を加えて70℃で5時間反応させた。それから後処理操作を行い、20(383.2g, 1.06mol)を収率49%で得た。(xii)では、THF溶媒中で12(8.50g, 21.0mmol)とビス(1‐メチル‐3‐ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジブチルを0℃で混合し、室温まで昇温した後、CuCl(5.0g, 50.4mmol)の存在下、N,N’‐ジメチルプロピレンウレア(DMPU)(5.4ml, 45.0mmol)、1,2,3,4‐テトラプロピル‐6,7‐ジヨードベンゼン20(8.20g, 15.0mmol)を加え70℃で5時間反応させた。後処理操作を行い、21(4.68g, 6.67mmol)を収率49%で得た。
【0067】
(xiii)では、THF溶媒中で12(19ml, 9.063mol)とビス(1‐メチル‐3‐ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジブチルを0℃で混合し、室温まで昇温した後、CuCl(2.15g, 10.88mmol)の存在下、1,2,4,5‐テトラヨードベンゼン19(2.63g, 4.53mmol)を加え70℃で4時間反応させた。後処理操作を行い、22(0.15g, 0.169mmol)を収率3.7%で得た。
18、21、22は芳香族化反応の基質として用いた。
【0068】
〔実施例1〕
1,2,3,4,6,11−ヘキサプロピル−5,12−ジヒドロナフタセンの芳香族化
【化11】
Figure 2004339063
(式中Prはn−プロピル基である)
1,2,3,4,6,11−ヘキサプロピル−5,12−ジヒドロナフタセン(203mg, 0.414mmol)のTHF(5ml)溶液に室温で2.2当量のn−BuLiを滴下した。滴下直後、反応液は無色透明から群青色へと変化した。それから2.2当量のテトラメチルエチレンジアミンを加え、50℃で4時間反応させた。ジアニオンを過剰の重水(重水素化率 >99%)と反応させたところ、1,2,3,4,6,11−ヘキサプロピルナフタセンがNMR収率50%で生成した。
【0069】
〔実施例2〕
1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカプロピル−5,14−ジヒドロペンタセンの芳香族化
【化12】
Figure 2004339063
(式中Prはn−プロピル基である)
1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカプロピル−5,14−ジヒドロペンタセン(469mg, 0.6687mmol)のTHF(8.4ml)溶液を0℃に冷却した後、4当量のn−BuLiを滴下した。滴下直後、反応液は無色透明から深緑色となった。その後、室温まで昇温し6時間反応させた。そこへ4当量の蒸留水を添加すると、反応液は直ちに緑黒色から濃青色に変化した。目的化合物がNMR収率91%で生成した。それから室温で5分間攪拌し、減圧下で溶媒を留去した。得られた粗生成物を75mlのジクロロメタンで抽出し、G4フィルターで濾過することで不溶分を除去した。ろ液を濃縮し、析出した濃青色粉末をG4フィルター上に集め、減圧乾燥した。目的化合物として濃い青色の固体 150mgが得られた。単離収率32%。本化合物は、THFをはじめとするエーテル類、CHClをはじめとするハロゲン系溶媒、Cなどの炭化水素系溶媒など各種有機溶媒に可溶であった。
1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカプロピルペンタセン; H−NMR (CDCl, MeSi) δ 1.13 (t, J = 7.32 Hz, 12H), 1.26 (t, J = 7.32 Hz, 12H), 1.29 (t, J = 7.32 Hz, 6H), 1.64 (m, 8H), 1.88 (m, 8H), 2.06 (m, 4H), 2.77 (t, J = 5.61 Hz, 8H), 3.20 (t, J = 8.05 Hz, 8H), 3.93 (t, J = 8.05 Hz, 4H), 9.03 (s, 4H)
元素分析 計算値 C5274 : C, 89.33 ; H, 10.67, 実験値: C, 89.43 ; H, 10.53 質量分析 計算値C5274 : 699.112, 実験値: 699, 融点 239.8℃
上記分析結果から、得られた化合物が標記化合物であることが確認された。
【0070】
〔実施例3〕
1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカプロピル−5,14−ジヒドロペンタセンの芳香族化
【化13】
Figure 2004339063
(式中Prはn−プロピル基である)
1,2,3,4,6,8,9,10,11,13−デカプロピル−5,14−ジヒドロペンタセン(0.0316g, 0.0451mmol)のTHF(1.0ml)溶液を0℃に冷却し、2.44当量のn−BuLiを滴下した。反応液は直ちに無色透明から深緑色に変化した。室温まで昇温し4時間反応させた。そこへ1.24当量のヨードメタン(0.0035ml, 0.056mmol)加えると、反応液は直ちに緑黒色から濃青色に変化した。目的化合物がNMR収率58%で得られた。
【0071】
〔実施例4〕
2,3−ジメチル−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタプロピル−5,14−ジヒドロペンタセンジカルボキシレートの芳香族化
【化14】
Figure 2004339063
(式中Prはn−プロピル基である)
2,3−ジメチル−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタプロピル−5,14−ジヒドロペンタセンジカルボキシレート(0.7253g, 0.9894mmol)のTHF(6.9ml)溶液を0℃に冷却した後、2.2当量のリチウムジイソプロピルアミド(THF溶液6.9ml, 2.18mmol)を滴下した。直ちに反応液は無色透明から鮮やかな青色溶液となった。室温に昇温して1時間反応させた。それから−60℃に冷却し、2.2当量のCCl(0.211ml、2.18mmol)を加えると反応液は黒味を帯びた青色に変化した。−60℃から40℃/1時間の割合で昇温すると、−25℃付近で反応液の色調が青色に変化した。そのまま昇温を続け、2時間後に室温まで上げた(NMR収率57%)。減圧下で溶媒留去し、粗生成物を100mlの塩化メチレンで抽出、濾過した。ろ液を半濃縮し、析出した濃青色固体をG4フィルター上にて濾集した後、減圧乾燥した。深い青色の固体が174mg得られた。単離収率24%。本化合物は、THFをはじめとするエーテル類、CHClをはじめとするハロゲン系溶媒、Cなどの炭化水素系溶媒など各種有機溶媒に可溶であった。
2,3−ジメチル−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタプロピルペンタセンジカルボキシレート; H−NMR (CDCl, MeSi) δ 1.15 (t, J = 7.2 Hz, 6H), 1.20 (t, J = 7.3 Hz, 6H), 1.27 (t, J = 7.5 Hz, 6H), 1.29 (t, J = 7.4 Hz, 6H), 1.62−1.68 (m, 4H), 1.85−2.07 (m, 12H), 2.78 (t, J = 7.5 Hz, 4H), 3.24−3.28 (m, 8H), 3.90 (bs, 4H), 3.94 (s, 6H), 9.09 (s, 2H), 9.21 (s, 2H); 質量分析 計算値; 755.048, 実験値; 755, 融点 232.7℃
【0072】
〔実施例5〕
2,3−ジメチル−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタプロピル−5,14−ジヒドロペンタセンジカルボキシレートの芳香族化(2,3−ジメチル−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタプロピル−5,14−ジヒドロペンタセンジカルボキシレートジアニオンを0℃、水で芳香族化した例)
実施例4と同様の操作を行い、2,3−ジメチル−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタプロピル−5,14−ジヒドロペンタセンジカルボキシレートのアニオン化を行なった。アニオンを0℃に冷却し、2.2当量のリチウムイソプロピルアミドと2.2当量の蒸留水を加えると反応液は青色に変化した。反応液を室温に戻したところ、NMR収率35%で目的物が生成した。
副生成物は生成されず、工業的に有用なものであった。
【0073】
〔実施例6〕
1,2,3,4,6,8,10,11,12,13,15,17−ドデカプロピル−5,9,14,18−テトラヒドロヘプタセンの芳香族化
【化15】
Figure 2004339063
(式中Prはn−プロピル基である)
1,2,3,4,6,8,10,11,12,13,15,17−ドデカプロピル−5,9,14,18−テトラヒドロヘプタセン(27.5mg, 30.9μmol)のTHF(0.5ml)溶液を0℃に冷却し、4.9当量のn−BuLi(1.58N、0.098ml、0.15mmol)を加えた。直ちに反応液は白色スラリーから濃緑茶色溶液へと変化した。室温まで昇温し2.5時間反応させた。−70℃に冷却し、5当量のCCl(15μl, 154μmol)を加えると反応液は濃青色に変化した。再び室温まで昇温し、減圧下で溶媒留去した。その結果、式(Ib)で表される化合物の一つである、1,2,3,4,6,8,10,11,12,13,15,17−ドデカプロピル−5,9,14,18−テトラヒドロヘプタセンの一方が芳香族化された化合物1,2,3,4,6,8,10,11,12,13,15,17−ドデカプロピル−9,14−ジヒドロヘプタセンが生成した。
1,2,3,4,6,8,10,11,12,13,15,17−ドデカプロピル−9,14−ジヒドロヘプタセン; 1H−NMR (CDCl3, Me4Si) δ 1.04−1.32 (m, 36H), 1.54 (m, 8H), 1.65 (m, 8H), 1.84 (m, 4H), 2.1 (m, 4H), 2.57 (m, 4H), 2.78 (m, 4H), 3.21 (m, 4H), 3.37 (m, 4H), 3.74 (m, 4H), 3.95 (m, 4H), 4.09 (s, 4H), 8.76 (bs, 2H), 9.06 (bs, 2H); 質量分析 計算値 C6692 : 885.396, 実験値 : 885
【0074】
〔比較例1〕
2,3−ジメチル−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタプロピル−5,14−ジヒドロペンタセンジカルボキシレートの芳香族化
【化16】
Figure 2004339063
(式中Prはn−プロピル基である)
2,3−ジメチル−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタプロピル−5,14−ジヒドロペンタセンジカルボキシレート(0.1910g, 0.261mmol)、10%Pd/C(0.0104g, 9.77μmol)のキシレン(5.2ml)懸濁液を加温して溶液とした後、140℃で8.5時間加熱還流した(NMR収率0%)。さらにPd/C(0.03g, 27μmol)を添加して140℃で12時間加熱還流したが、反応は全く進行しなかった。
【0075】
〔比較例2〕
2,3−ジメチル−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタプロピル−5,14−ジヒドロペンタセンジカルボキシレートの芳香族化
【化17】
Figure 2004339063
(式中Prはn−プロピル基である)
2,3−ジメチル−1,4,6,8,9,10,11,13−オクタプロピル−5,14−ジヒドロペンタセンジカルボキシレート(0.1088g, 0.148mmol)及びクロラニル(34.7mg, 0.141mmol)のベンゼン(11ml)溶液を80℃で6時間加熱還流したところ、目的物がNMR収率31%で得られたほか、残存原料35%、副生成物34%が生成し、3成分混合物となった。したがって、本発明と比較して副生成物が生成されることからその後の単離が困難であることが確認された。
【0076】
【発明の効果】
本発明は機能性材料としての利用が期待される、これまで合成されたことのない多置換アセンを提供するものである。また、これらの化合物を安価な試薬で簡易に、高収率かつ再現性よく製造する方法を提供するものである。また、本発明によれば、副生成物が生成されないことから、その後の単離が容易であった。

Claims (6)

  1. 一般式(Ia)及び(Ib)
    Figure 2004339063
    式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10は、各々互いに独立して同一又は異なってもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のヘテロアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のヘテロアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のチオアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のヘテロアリールチオ基であり、
    及びR、R及びRはまた、置換基を有していてもよい炭素原子数4〜20の炭化水素基が互いに架橋して置換基を有していてもよい1又は2以上の飽和環及び/又は不飽和環を形成してもよく、該飽和環又は不飽和環は、酸素原子、又は式−N(R11)−で示される基(式中、R11は、水素原子又は炭素原子数1〜20の直鎖または分岐状のアルキル基である)で中断されていてもよく、
    前記各置換基は、炭素原子数1〜20のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基であり、
    mは2〜5の整数であり、
    nは1〜5の整数であり、
    m及びnが2以上のとき、式(Ia)中に複数個存在するR同士もしくはR同士は各々同じでも異なっていてもよく、式(Ib)中に複数個存在するR同士もしくはR同士は各々同じでも異なっていてもよい、
    で表される多置換アセン。
  2. n=1であり、R〜R10がアルキル基である、請求項1に記載の多置換アセン。
  3. 一般式(Ic)及び(Id )
    Figure 2004339063
    式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10は、各々互いに独立して同一又は異なっていてもよく、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のヘテロアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のヘテロアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のチオアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のヘテロアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシカルボニル基であり、
    及びR、R及びRはまた、置換基を有していてもよい炭素原子数4〜20の炭化水素基が互いに架橋して置換基を有していてもよい1又は2以上の飽和環及び/又は不飽和環を形成してもよく、該飽和環又は不飽和環は、酸素原子、又は式−N(R11)−で示される基(式中、R11は、水素原子又は炭素原子数1〜20の直鎖または分岐状のアルキル基である)で中断されていてもよく、
    前記各置換基は、炭素原子数1〜20のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基であり、
    mは1〜5の整数であり、
    nは1〜5の整数であり、
    m及びnが2以上のとき、式(Ic)中に複数個存在するR同士もしくはR同士は各々同じでも異なっていてもよく、式(Id)中に複数個存在するR同士もしくはR同士は各々同じでも異なっていてもよい、
    で表される多置換アセンの製造方法であって、
    一般式(IIa)及び(IIb)
    Figure 2004339063
    式中、
    【外1】
    Figure 2004339063
    は、単結合又は二重結合であり、二重結合の場合には(H)で表される水素原子は存在しなく、
    〜R10、m、nは、上記の意味を有する、
    で表される炭化水素縮合環をアニオン化剤でアニオン化した後、水および/またはハロゲン化アルキルで芳香族化することを含む、前記方法。
  4. 〜R10がアルキル基である、請求項3に記載の方法。
  5. 及びRがアルコキシカルボニル基である、請求項3に記載の方法。
  6. mおよび/またはnが1である、請求項3〜5のいずれかに記載の方法。
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