JP2004338470A - ヘリポート用モノレール - Google Patents
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Abstract
【課題】法律を遵守しつつ、高所のヘリポート内の乗降場と低所の乗降場との間で乗車台が昇降動することができるようにしたヘリポート用モノレールを提供する。
【解決手段】低所に設けられた乗降場Lと、高所に設置されたヘリポートP内の乗降場Hとの間に傾斜して架け渡される架台1と、該架台1の下側半分に設置される固定レール20と、前記架台1の上側半分にスライド可能に載せられる可動レール30と、前記固定レール20上および可動レール30上を走行する乗車台10とが備えられている。前記可動レール30は、下端部が前記固定レール20の上端部に当接し、かつ、上端部がヘリポートP上に突出しないボトムポジションBと、下端部が前記固定レール20の上端部から離隔し、かつ、上端部がヘリポートPよりも突出するトップポジションTとの間を往復動する。
【選択図】 図2
【解決手段】低所に設けられた乗降場Lと、高所に設置されたヘリポートP内の乗降場Hとの間に傾斜して架け渡される架台1と、該架台1の下側半分に設置される固定レール20と、前記架台1の上側半分にスライド可能に載せられる可動レール30と、前記固定レール20上および可動レール30上を走行する乗車台10とが備えられている。前記可動レール30は、下端部が前記固定レール20の上端部に当接し、かつ、上端部がヘリポートP上に突出しないボトムポジションBと、下端部が前記固定レール20の上端部から離隔し、かつ、上端部がヘリポートPよりも突出するトップポジションTとの間を往復動する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、ストレッチャーや車椅子など(以下、「ストレッチャー」という。)が走行する通路に設けられた乗降場と、この乗降場よりも上方に設置されたヘリポート内の乗降場との間で、乗車台がストレッチャーを乗せて斜め方向に昇降動するようにしたヘリポート用モノレールに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、けが人や病人などの患者がストレッチャーに乗せられ、ヘリコプターによって病院まで搬送される場合がある。病院のヘリポートは、塔屋のある屋上に設置されることがある。この屋上のヘリポートは、航空法およびその施行規則(以下、「法律」という。)によって、ヘリコプターの離着陸時において、ヘリポートの所定の周囲に障害物があってはならないとされていることから、塔屋よりも高い位置に設置されている。そして、高所のヘリポートと低所の屋上との間には階段が設置され、この階段を使用してストレッチャーに乗せられた患者が搬送されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、階段を使用して、患者をストレッチャーに乗せたまま、あるいは患者をストレッチャーから降ろして介助者が患者を抱えて水平姿勢で搬送することは困難であるばかりか、転倒する危険性もある。このため、屋上と、屋上よりも高所に設置されたヘリポートとの間にモノレールを敷設し、このモノレールに備えられた乗車台にストレッチャーを載せることにより、ストレッチャーを水平姿勢とし、患者を安全に搬送するという手段が考えられる。
【0004】
しかし、モノレールを敷設するには、複数の支柱を設置し、各支柱間にレールを架設しなければならないことから、ヘリポートの周囲には、ヘリコプターの離着陸時において障害物があってはならないとする法律を遵守することが困難である。
【0005】
そこで、本発明は、法律を遵守しつつ、高所のヘリポート内の乗降場と低所の乗降場との間で乗車台が昇降動することができるようにしたヘリポート用モノレールを提供することを課題とする。
【0006】
なお、傾斜地に敷設されたレール上を走行するモノレールカーが特許文献1に開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−48009号公報
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るヘリポート用モノレールは、低所に設けられた乗降場と、高所に設置されたヘリポート内の乗降場との間に傾斜して架け渡される架台と、該架台の下側半分に設置される固定レールと、前記架台の上側半分にスライド可能に載せられ、下端部が前記固定レールの上端部に当接し且つ上端部がヘリポート上に突出しないボトムポジション、および下端部が前記固定レールの上端部から離隔し且つ上端部がヘリポートよりも突出するトップポジションの間を往復動する可動レールと、前記固定レール上と可動レール上を走行する乗車台とが備えられていることを特徴としている。
【0009】
このヘリポート用モノレールによれば、ヘリコプターがヘリポートに着陸するときは、可動レールがボトムポジションに位置し、可動レールの上端部がヘリポートの乗降場から突出せず、ヘリポートの周囲に障害物(可動レール)がないようにして、法律を遵守する。このボトムポジションに位置している可動レールの下端部は、固定レールの上端部に当接しているため、固定レール側に位置している乗車台は、ヘリコプターが着陸した後、固定レール上から可動レール上まで上昇する。その後、可動レールがボトムポジションからトップポジションまで上昇することにより、可動レールの上端部がヘリポートの乗降場から突出する。そして、乗車台が可動レール上を上端部まで移動し、乗車台の床がヘリポートの乗降場と同一面となると、乗車台は停止するといった運転形態を採ることができる。
【0010】
逆に、ヘリポート内の乗降場に位置している乗車台は、トップポジションに位置している可動レールが、ボトムポジションまで下降し、可動レールの下端部が固定レールの上端部に当接した後、可動レール上から固定レール上へ下降するといった運転形態を採ることができる。そして、可動レールがボトムポジションまで下降することにより、可動レールの上端部がヘリポートの乗降場から突出しなくなり、ヘリポートの周囲に障害物(可動レール)がなくなることによって、法律を遵守してヘリコプターは離陸することができる。
【0011】
また、前記ヘリポート用モノレールにおいて、前記固定レールと可動レールには、ラックが付設され、前記乗車台には該ラックと噛み合うピニオンを取り付けた駆動装置が備えられていることが好ましい。
【0012】
このヘリポート用モノレールによれば、乗車台に備えられた駆動装置にピニオンが取り付けられ、このピニオンが固定レールと可動レールとに敷設されたラックと噛み合うことにより、乗車台は斜め方向であっても滑ることなく安全に昇降動することができる。
【0013】
また、前記ヘリポート用モノレールにおいて、前記乗車台には、走行駆動させるモータに給電する集電子が備えられ、前記固定レールと可動レールとには、前記集電子が接触する給電帯が付設され、該固定レールの給電帯と可動レールの給電帯とは、給電ケーブルによって接続されていることが好ましい。
【0014】
このヘリポート用モノレールによれば、乗車台に備えられた集電子が固定レールと可動レールとに付設された給電帯に接触することによって、モータは給電される。そして、固定レールの給電帯または可動レールの給電帯のいずれかが電源と接続されている場合に、可動レールがトップポジションに位置し、可動レールと固定レールとが離隔しても、両給電帯は給電ケーブルによって接続されているから、乗車台に備えられたモータは給電され続ける。なお、給電ケーブルは、可動レールがトップポジションに位置し、固定レールから最も離隔した位置であっても、両給電帯を接続する長さとされている。
【0015】
また、前記ヘリポート用モノレールにおいて、前記固定レールと可動レールとに平行に固定補助レールと可動補助レールとが併設され、前記乗車台には、両補助レール上を移動する安定車輪が備えられていることが好ましい。
【0016】
このヘリポート用モノレールによれば、乗車台に備えられた安定車輪が固定レールおよび可動レールと平行に併設された補助レール上も移動することにより、乗車台は安定した姿勢で昇降動することができる。
【0017】
また、前記ヘリポート用モノレールにおいて、前記乗車台は、その床が低所に設けられた乗降場の路面とほぼ同一面となるまで固定レール上を下降することが好ましい。
【0018】
このヘリポート用モノレールによれば、乗車台が低所に設けられた乗降場まで下降したときに、乗車台の床がその乗降場の路面とほぼ同一面となることにより、ストレッチャーや車椅子などは衝撃力を受けることなくスムーズに乗車台に乗降させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明に係るヘリポート用モノレールの一実施形態について図1から図6を参照しながら説明する。この実施形態におけるヘリポート用モノレールは図1および図2に示すように、例えば病院の屋上に設けられた低所の乗降場Lと、屋上の塔屋(図示せず)よりも高所に設けられたヘリポートP内の乗降場Hとの間に傾斜して架け渡された架台1をベースに構成される。なお、低所の乗降場Lは、地上である場合があることはいうまでもなく、また、ヘリポートP内の乗降場Hは、ヘリコプターの離着陸面と同一面に設けられる。以下、ヘリコプターの離着陸面をヘリポートP内の乗降場Hとして説明する。
【0020】
そして、架台1は、例えばフランジ部が上下に配置されるH形鋼によって構成される。架台1の上端部はヘリポートP内の乗降場Hから突出しないように支柱2に支えられている。また、架台1は図面においては、2本のH形鋼が直列に配置され、継ぎ目の部分が支柱2に支えられているが、架台1は3本以上、あるいはH形鋼以外に角筒状の鋼などによって構成され、また、2本以上の支柱2に支えられてもよい。
【0021】
このような架台1,1は図3に示すように、水平方向に1組、平行に配置されている。この架台1,1の間隔は、ストレッチャーを乗せる乗車台10の幅よりも若干広くされている。すなわち、乗車台10は、1組の架台1,1に挟まれるような位置で昇降動する。また、一方の架台1の外側に、メンテナンスおよび修理のための階段3が配置されている。
【0022】
そして、階段3が配置されていない側の架台1の下側半分には、図1および図2に示すように固定レール20が設置され、架台1の上側半分に可動レール30がスライド可能に載せられている。固定レール20も可動レール30も図4および図5に示すように、平行に配置された上下の桁部材21,22、この桁部材21,22を一定の間隔ごとに固定する複数のステー23,23…、上側の桁部材21に固定される天板24、この天板24の下面に固定されるラック25、上下の桁部材21,22間に配置され、各ステー23,23…間に固定されるコ字形の帯板26などから構成されている。上下の桁部材21,22とステー23は、軽量化を図るため、例えば角筒状に形成されている。
【0023】
また、前記帯板26には、複数の電線を帯状に並べた給電帯27,37が固定されている。固定レール20の帯板26に固定された給電帯27の下端部が電源(図示せず)に接続され、固定レール20の帯板26に固定された給電帯27の上端部と、可動レール30の帯板26に固定された給電帯37の下端部とは、図1および図2に示すように給電ケーブル36によって接続されている。したがって、後述するように可動レール30がボトムポジションBから上昇し、固定レール20側の給電帯27と可動レール30側の給電帯37とが離隔しても、可動レール30側の給電帯37にも電源から給電ケーブル36を通して給電されるようになっている。したがって、給電ケーブル36は、可動レール30がトップポジションTに位置したときに、固定レール20側の給電帯27と可動レール30側の給電帯37とを接続できる長さとされている。
【0024】
そして、可動レール30は、図1に示すように下端部が固定レール20の上端部に当接し、かつ、上端部がヘリポートP内の乗降場Hから突出しないボトムポジションBと、図2に示すように下端部が固定レール20の上端部から離隔し、かつ、上端部がヘリポートP内の乗降場Hから突出するトップポジションTとの間を往復動する。この可動レール30は、その上端部からカウンターウェイト38が吊り下げられ、例えば油圧シリンダ(図示せず)によって往復動するようにされている。また、可動レール30がボトムポジションBに位置しているときは、固定レール20のラック25と可動レール30のラック25とが連続するようにされている。
【0025】
一方、前記階段3が配置された側の架台1の上側には、図3に示すように固定補助レール50および可動補助レール60が固定レール20および可動レール30と平行に配置されている。可動補助レール60は、前記可動レール30と同様、ボトムポジションBとトップポジションTとの間を可動レール30と連動して往復動する。したがって、可動補助レール60もボトムポジションBにおいて、下端部が固定補助レール50の上端部に当接し、かつ、上端部がヘリポートP内の乗降場Hから突出せず、トップポジションTにおいて、下端部が固定補助レール50から離隔し、かつ、上端部がヘリポートP内の乗降場Hから突出するようにされている。
【0026】
そして、可動レール30および可動補助レール60の下側には、図3および図6に示すように、架台1の上側部分を跨ぐ下向きコ字形のスライダー31が固定されている。スライダー31の内部には、架台1の上側のフランジ部を上下から挟む複数のローラ32,32…が備えられている。
【0027】
このように可動レール30は、架台1との間にスライダー31が介在している分だけ、架台1から離隔する。したがって、固定レール20および固定補助レール50と架台1との間には図1および図2に示すように、固定レール20および固定補助レール50が可動レール30および可動補助レール60と同じ間隔で架台1から離隔するようにするための複数のスペーサ28,28…が配置され、固定レール20と可動レール30とが連続し、また固定補助レール50と可動補助レール60とが連続するようにされている。
【0028】
次に、前記のような固定レール20および可動レール30と固定補助レール50および可動補助レール60に案内されて昇降動する乗車台10について説明する。乗車台10は図3および図6に示すように、ストレッチャーが乗る床11の両側に安全柵12,12が設置され、この安全柵12,12の両端に安全バー13が任意に架け渡すことができるようにされ、さらに安全柵12,12の上端から柱14,14…が立設され、この柱14,14…の頂部に屋根15が取り付けられている。床11の進行方向の両側には、乗降場L,Hとの段差をなくすべく床11と同一方向に倒れた姿勢と、跳ね上がった姿勢に方向転換する踏み板16が取り付けられている。
【0029】
また、乗車台には、固定レール20および可動レール30が配置された側の安全柵12の外側に、図4および図5に示すような駆動装置40が配置されている。駆動装置40は、前記固定レール20および可動レール30を上側から跨ぐ状態のフレーム41に各装置が取り付けられて構成されている。すなわち、フレーム41の上面には、電磁ブレーキを備えたモータ42が固定されている。このモータ42は、前記給電帯27,37に接触する集電子、操作スイッチさらに自動制御装置など(いずれも図示せず)と接続され、スイッチがONされたときに作動し、OFFされたときに停止する。さらに、自動制御装置によって、乗車台10が各乗降場L,Hまで移動したときに自動的に停止するようにされている。
【0030】
このモータ42の回転軸には、原動スプロケット44が取り付けられている。また、フレーム41の中間位置には、固定レール20および可動レール30に備えられたラック25,25と噛み合うピニオンギア45が配置されている。このピニオンギア45と同軸に従動スプロケット46が固定され、前記原動スプロケット44と従動スプロケット46とにチェーン47が掛け渡されている。
【0031】
また、フレーム41の両端には、固定レール20および可動レール30を構成している上下の桁部材21,22を両側から挟む合計8個のサイドローラ48,48…が備えられている。さらに、フレーム41の中間上部には、固定レール20および可動レール30に備えられた天板24の下側に設けられた副レール29上を転がる1個のガイドローラ49が備えられている。
【0032】
さらに、乗車台10には、固定補助レール50および可動補助レール60側に、この固定補助レール50および可動補助レール60の上を転がる安定車輪17が突出して配備されている。この安定車輪17が固定補助レール50および可動補助レール60上を転がることにより、乗車台10は安定した状態で昇降動することができるようになる。
【0033】
また、低所の乗降場LとヘリポートP内の乗降場Hとには、反対側の乗降場H,Lで待機している乗車台10を呼ぶスイッチ4,5が設置されている。
【0034】
ここで、以上のように構成されたヘリポート用モノレールの運転形態の一例について説明する。なお、特に示す場合を除いて、可動レール30は可動補助レール60を含めたもの、固定レール20は固定補助レール50を含めたものとして説明する。
【0035】
まず、患者を乗せたヘリコプターが病院に搬送される場合であって、ヘリコプターが病院のヘリポートPに着陸するときは、可動レール30は、図1に示すようにボトムポジションBに位置し、その上端部がヘリポートP内の乗降場Hから突出せず、下端部が固定レール20の上端部と当接している。可動レール30の上端部がヘリポートP内の乗降場Hから突出しないことによって法律を遵守することができる。
【0036】
このとき、乗車台10は病院の屋上に設けられた乗降場Lで待機している。ただし、乗車台10は、その屋根15がヘリポートP内の乗降場Hから突出しなければ、可動レール30の下側などで待機していてもよい。
【0037】
そして、ヘリコプターがヘリポートPに着陸した後、ヘリポートP内の乗降場Hに降り立った介助者がヘリポートP内のスイッチ5をONし、または屋上の乗降場Lで待機している人が屋上のスイッチ4をONすることにより、屋上の乗降場Lで待機していた乗車台10が上昇する。すなわち、スイッチ5,4がONされることにより、固定レール20に固定された給電帯27に接触している集電子から給電されるモータ42が回転し、ピニオンギア45が固定レール20に固定されたラック25と噛み合って、乗車台10は固定レール20からボトムポジションBの可動レール30の方へ移動する。乗車台10は、サイドローラ48,48…が固定レール20の上下の桁部材21,22を挟み、ガイドローラ49が天板24の副レール29の上を転がり、さらに、安定車輪17が固定補助レール50上を移動するため、安定した姿勢で上昇する。
【0038】
乗車台10が可動レール30上まで上昇した後、可動レール30がボトムポジションBからトップポジションTへ上昇する。乗車台10は、この可動レール30がトップポジションTまで上昇した後、あるいは上昇中に可動レール30の上端部の方へ上昇する。可動レール30が固定レール20から離隔しても、可動レール30に固定された給電帯37と固定レール20に固定された給電帯27とは給電ケーブル36によって接続されているため、乗車台10に備えられたモータ42は可動レール30に固定された給電帯37から給電され、乗車台10は上昇することができる。
【0039】
そして、可動レール30がトップポジションTまで上昇すると、その上端部がヘリポートP内の乗降場Hから突出する。ヘリコプターはヘリポートPに着陸しているため、可動レール30の上端部がヘリポートP内の乗降場Hから突出しても、法律に抵触することはない。そして、乗車台10は図2に示すように、可動レール30の上端部まで移動すると、自動的に停止する。さらに、乗車台10の床11に取り付けられた踏み板16が倒れた姿勢となり、その踏み板16によって乗車台10の床11とヘリポートP内の乗降場Hとの段差が解消される。
【0040】
そして、患者を乗せているストレッチャーがヘリコプターから降ろされ、介助者は、そのストレッチャーをヘリポートP内の乗降場Hから乗車台10へ移送する。ストレッチャーは、踏み板16上を移動することにより、ストレッチャーに乗せられた患者には衝撃が加えられない。ストレッチャーを乗せた乗車台10は、踏み板16が跳ね上がった姿勢とされ、ストレッチャーが床11から脱落しないようにされる。また、安全バー13が柱14間に架け渡され、同乗している介助者の安全が確保される。
【0041】
そして、介助者が乗車台10内の操作スイッチをONすることにより、乗車台10はトップポジションTに位置している可動レール30上を下降する。また、可動レール30もトップポジションTからボトムポジションBの方へ下降する。乗車台10は、可動レール30がボトムポジションBの方へ下降している間、またはボトムポジションBまで下降した後、可動レール30の下端部の方へ下降する。
【0042】
可動レール30がボトムポジションBに位置し、可動レール30の下端部と固定レール20の上端部とが当接した後、乗車台10は可動レール30から固定レール20の方へ移動する。そして、乗車台10が屋上の乗降場Lまで下降すると、自動的に停止する。乗車台10は、固定レール20と固定補助レール50とに挟まれた位置で昇降動するため、乗車台10の床11と屋上は乗降場Lの路面とほぼ同一面となる。そして、踏み板16を倒し、ストレッチャーを屋上に降ろす。このとき、乗車台10の床11と屋上との間に段差があっても、ストレッチャーに載せられた患者は、踏み板16によって衝撃が加えられることなく、屋上の乗降場Lに降ろされる。
【0043】
他方、可動レール30がボトムポジションBに位置することにより、可動レール30の上端部はヘリポートPの離着陸場から突出しなくなるため、ヘリコプターは法律に抵触することなく離陸することができる。
【0044】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定することなく、特許請求の範囲に記載した技術的事項の範囲内において種々変更することができる。例えば、固定レール20と可動レール30とには、ラック25を敷設することなく、ケーブルによって乗車台10を昇降動するようにすることもできる。また、乗車台10は、バッテリーを備えたものとすることにより、固定レール20と可動レール30とに給電帯27,37を付設せず、したがって、給電ケーブル36を備えないようにすることもできる。さらに、固定補助レール50および可動補助レール60を併設せず、かつ、乗車台10に安定車輪17を備えることなく、乗車台10が固定レール20および可動レール30に片持ち状に昇降動するようにすることもできる。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、ヘリポート内の乗降場に突出する位置と突出しない位置とに往復動する可動レールを備えたことにより、法律を遵守することができるヘリポート用モノレールを病院などのヘリポートに設置することができる。したがって、ヘリコプターによって搬送された患者は、水平姿勢で安全に病院内に搬送され、また、介助者の負担も軽減することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るヘリポート用モノレールの一実施形態を示す正面図
【図2】本発明に係るヘリポート用モノレールの一実施形態であって図1と異なる状態を示す正面図
【図3】本発明に係るヘリポート用モノレールの一実施形態を示す要部拡大側面図
【図4】本発明に係るヘリポート用モノレールの一実施形態を構成している駆動装置の側面図
【図5】本発明に係るヘリポート用モノレールの一実施形態を構成している駆動装置の正面図
【図6】本発明に係るヘリポート用モノレールの一実施形態を示す要部拡大正面図
【符号の説明】
1…架台
10…乗車台
11…床
17…安定車輪
20…固定レール
25…ラック
27…給電帯
30…可動レール
36…給電ケーブル
37…給電帯
40…駆動装置
42…モータ
45…ピニオンギア
50…固定補助レール
60…可動補助レール
B…ボトムポジション
H…乗降場
P…ヘリポート
T…トップポジション
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、ストレッチャーや車椅子など(以下、「ストレッチャー」という。)が走行する通路に設けられた乗降場と、この乗降場よりも上方に設置されたヘリポート内の乗降場との間で、乗車台がストレッチャーを乗せて斜め方向に昇降動するようにしたヘリポート用モノレールに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、けが人や病人などの患者がストレッチャーに乗せられ、ヘリコプターによって病院まで搬送される場合がある。病院のヘリポートは、塔屋のある屋上に設置されることがある。この屋上のヘリポートは、航空法およびその施行規則(以下、「法律」という。)によって、ヘリコプターの離着陸時において、ヘリポートの所定の周囲に障害物があってはならないとされていることから、塔屋よりも高い位置に設置されている。そして、高所のヘリポートと低所の屋上との間には階段が設置され、この階段を使用してストレッチャーに乗せられた患者が搬送されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、階段を使用して、患者をストレッチャーに乗せたまま、あるいは患者をストレッチャーから降ろして介助者が患者を抱えて水平姿勢で搬送することは困難であるばかりか、転倒する危険性もある。このため、屋上と、屋上よりも高所に設置されたヘリポートとの間にモノレールを敷設し、このモノレールに備えられた乗車台にストレッチャーを載せることにより、ストレッチャーを水平姿勢とし、患者を安全に搬送するという手段が考えられる。
【0004】
しかし、モノレールを敷設するには、複数の支柱を設置し、各支柱間にレールを架設しなければならないことから、ヘリポートの周囲には、ヘリコプターの離着陸時において障害物があってはならないとする法律を遵守することが困難である。
【0005】
そこで、本発明は、法律を遵守しつつ、高所のヘリポート内の乗降場と低所の乗降場との間で乗車台が昇降動することができるようにしたヘリポート用モノレールを提供することを課題とする。
【0006】
なお、傾斜地に敷設されたレール上を走行するモノレールカーが特許文献1に開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−48009号公報
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るヘリポート用モノレールは、低所に設けられた乗降場と、高所に設置されたヘリポート内の乗降場との間に傾斜して架け渡される架台と、該架台の下側半分に設置される固定レールと、前記架台の上側半分にスライド可能に載せられ、下端部が前記固定レールの上端部に当接し且つ上端部がヘリポート上に突出しないボトムポジション、および下端部が前記固定レールの上端部から離隔し且つ上端部がヘリポートよりも突出するトップポジションの間を往復動する可動レールと、前記固定レール上と可動レール上を走行する乗車台とが備えられていることを特徴としている。
【0009】
このヘリポート用モノレールによれば、ヘリコプターがヘリポートに着陸するときは、可動レールがボトムポジションに位置し、可動レールの上端部がヘリポートの乗降場から突出せず、ヘリポートの周囲に障害物(可動レール)がないようにして、法律を遵守する。このボトムポジションに位置している可動レールの下端部は、固定レールの上端部に当接しているため、固定レール側に位置している乗車台は、ヘリコプターが着陸した後、固定レール上から可動レール上まで上昇する。その後、可動レールがボトムポジションからトップポジションまで上昇することにより、可動レールの上端部がヘリポートの乗降場から突出する。そして、乗車台が可動レール上を上端部まで移動し、乗車台の床がヘリポートの乗降場と同一面となると、乗車台は停止するといった運転形態を採ることができる。
【0010】
逆に、ヘリポート内の乗降場に位置している乗車台は、トップポジションに位置している可動レールが、ボトムポジションまで下降し、可動レールの下端部が固定レールの上端部に当接した後、可動レール上から固定レール上へ下降するといった運転形態を採ることができる。そして、可動レールがボトムポジションまで下降することにより、可動レールの上端部がヘリポートの乗降場から突出しなくなり、ヘリポートの周囲に障害物(可動レール)がなくなることによって、法律を遵守してヘリコプターは離陸することができる。
【0011】
また、前記ヘリポート用モノレールにおいて、前記固定レールと可動レールには、ラックが付設され、前記乗車台には該ラックと噛み合うピニオンを取り付けた駆動装置が備えられていることが好ましい。
【0012】
このヘリポート用モノレールによれば、乗車台に備えられた駆動装置にピニオンが取り付けられ、このピニオンが固定レールと可動レールとに敷設されたラックと噛み合うことにより、乗車台は斜め方向であっても滑ることなく安全に昇降動することができる。
【0013】
また、前記ヘリポート用モノレールにおいて、前記乗車台には、走行駆動させるモータに給電する集電子が備えられ、前記固定レールと可動レールとには、前記集電子が接触する給電帯が付設され、該固定レールの給電帯と可動レールの給電帯とは、給電ケーブルによって接続されていることが好ましい。
【0014】
このヘリポート用モノレールによれば、乗車台に備えられた集電子が固定レールと可動レールとに付設された給電帯に接触することによって、モータは給電される。そして、固定レールの給電帯または可動レールの給電帯のいずれかが電源と接続されている場合に、可動レールがトップポジションに位置し、可動レールと固定レールとが離隔しても、両給電帯は給電ケーブルによって接続されているから、乗車台に備えられたモータは給電され続ける。なお、給電ケーブルは、可動レールがトップポジションに位置し、固定レールから最も離隔した位置であっても、両給電帯を接続する長さとされている。
【0015】
また、前記ヘリポート用モノレールにおいて、前記固定レールと可動レールとに平行に固定補助レールと可動補助レールとが併設され、前記乗車台には、両補助レール上を移動する安定車輪が備えられていることが好ましい。
【0016】
このヘリポート用モノレールによれば、乗車台に備えられた安定車輪が固定レールおよび可動レールと平行に併設された補助レール上も移動することにより、乗車台は安定した姿勢で昇降動することができる。
【0017】
また、前記ヘリポート用モノレールにおいて、前記乗車台は、その床が低所に設けられた乗降場の路面とほぼ同一面となるまで固定レール上を下降することが好ましい。
【0018】
このヘリポート用モノレールによれば、乗車台が低所に設けられた乗降場まで下降したときに、乗車台の床がその乗降場の路面とほぼ同一面となることにより、ストレッチャーや車椅子などは衝撃力を受けることなくスムーズに乗車台に乗降させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明に係るヘリポート用モノレールの一実施形態について図1から図6を参照しながら説明する。この実施形態におけるヘリポート用モノレールは図1および図2に示すように、例えば病院の屋上に設けられた低所の乗降場Lと、屋上の塔屋(図示せず)よりも高所に設けられたヘリポートP内の乗降場Hとの間に傾斜して架け渡された架台1をベースに構成される。なお、低所の乗降場Lは、地上である場合があることはいうまでもなく、また、ヘリポートP内の乗降場Hは、ヘリコプターの離着陸面と同一面に設けられる。以下、ヘリコプターの離着陸面をヘリポートP内の乗降場Hとして説明する。
【0020】
そして、架台1は、例えばフランジ部が上下に配置されるH形鋼によって構成される。架台1の上端部はヘリポートP内の乗降場Hから突出しないように支柱2に支えられている。また、架台1は図面においては、2本のH形鋼が直列に配置され、継ぎ目の部分が支柱2に支えられているが、架台1は3本以上、あるいはH形鋼以外に角筒状の鋼などによって構成され、また、2本以上の支柱2に支えられてもよい。
【0021】
このような架台1,1は図3に示すように、水平方向に1組、平行に配置されている。この架台1,1の間隔は、ストレッチャーを乗せる乗車台10の幅よりも若干広くされている。すなわち、乗車台10は、1組の架台1,1に挟まれるような位置で昇降動する。また、一方の架台1の外側に、メンテナンスおよび修理のための階段3が配置されている。
【0022】
そして、階段3が配置されていない側の架台1の下側半分には、図1および図2に示すように固定レール20が設置され、架台1の上側半分に可動レール30がスライド可能に載せられている。固定レール20も可動レール30も図4および図5に示すように、平行に配置された上下の桁部材21,22、この桁部材21,22を一定の間隔ごとに固定する複数のステー23,23…、上側の桁部材21に固定される天板24、この天板24の下面に固定されるラック25、上下の桁部材21,22間に配置され、各ステー23,23…間に固定されるコ字形の帯板26などから構成されている。上下の桁部材21,22とステー23は、軽量化を図るため、例えば角筒状に形成されている。
【0023】
また、前記帯板26には、複数の電線を帯状に並べた給電帯27,37が固定されている。固定レール20の帯板26に固定された給電帯27の下端部が電源(図示せず)に接続され、固定レール20の帯板26に固定された給電帯27の上端部と、可動レール30の帯板26に固定された給電帯37の下端部とは、図1および図2に示すように給電ケーブル36によって接続されている。したがって、後述するように可動レール30がボトムポジションBから上昇し、固定レール20側の給電帯27と可動レール30側の給電帯37とが離隔しても、可動レール30側の給電帯37にも電源から給電ケーブル36を通して給電されるようになっている。したがって、給電ケーブル36は、可動レール30がトップポジションTに位置したときに、固定レール20側の給電帯27と可動レール30側の給電帯37とを接続できる長さとされている。
【0024】
そして、可動レール30は、図1に示すように下端部が固定レール20の上端部に当接し、かつ、上端部がヘリポートP内の乗降場Hから突出しないボトムポジションBと、図2に示すように下端部が固定レール20の上端部から離隔し、かつ、上端部がヘリポートP内の乗降場Hから突出するトップポジションTとの間を往復動する。この可動レール30は、その上端部からカウンターウェイト38が吊り下げられ、例えば油圧シリンダ(図示せず)によって往復動するようにされている。また、可動レール30がボトムポジションBに位置しているときは、固定レール20のラック25と可動レール30のラック25とが連続するようにされている。
【0025】
一方、前記階段3が配置された側の架台1の上側には、図3に示すように固定補助レール50および可動補助レール60が固定レール20および可動レール30と平行に配置されている。可動補助レール60は、前記可動レール30と同様、ボトムポジションBとトップポジションTとの間を可動レール30と連動して往復動する。したがって、可動補助レール60もボトムポジションBにおいて、下端部が固定補助レール50の上端部に当接し、かつ、上端部がヘリポートP内の乗降場Hから突出せず、トップポジションTにおいて、下端部が固定補助レール50から離隔し、かつ、上端部がヘリポートP内の乗降場Hから突出するようにされている。
【0026】
そして、可動レール30および可動補助レール60の下側には、図3および図6に示すように、架台1の上側部分を跨ぐ下向きコ字形のスライダー31が固定されている。スライダー31の内部には、架台1の上側のフランジ部を上下から挟む複数のローラ32,32…が備えられている。
【0027】
このように可動レール30は、架台1との間にスライダー31が介在している分だけ、架台1から離隔する。したがって、固定レール20および固定補助レール50と架台1との間には図1および図2に示すように、固定レール20および固定補助レール50が可動レール30および可動補助レール60と同じ間隔で架台1から離隔するようにするための複数のスペーサ28,28…が配置され、固定レール20と可動レール30とが連続し、また固定補助レール50と可動補助レール60とが連続するようにされている。
【0028】
次に、前記のような固定レール20および可動レール30と固定補助レール50および可動補助レール60に案内されて昇降動する乗車台10について説明する。乗車台10は図3および図6に示すように、ストレッチャーが乗る床11の両側に安全柵12,12が設置され、この安全柵12,12の両端に安全バー13が任意に架け渡すことができるようにされ、さらに安全柵12,12の上端から柱14,14…が立設され、この柱14,14…の頂部に屋根15が取り付けられている。床11の進行方向の両側には、乗降場L,Hとの段差をなくすべく床11と同一方向に倒れた姿勢と、跳ね上がった姿勢に方向転換する踏み板16が取り付けられている。
【0029】
また、乗車台には、固定レール20および可動レール30が配置された側の安全柵12の外側に、図4および図5に示すような駆動装置40が配置されている。駆動装置40は、前記固定レール20および可動レール30を上側から跨ぐ状態のフレーム41に各装置が取り付けられて構成されている。すなわち、フレーム41の上面には、電磁ブレーキを備えたモータ42が固定されている。このモータ42は、前記給電帯27,37に接触する集電子、操作スイッチさらに自動制御装置など(いずれも図示せず)と接続され、スイッチがONされたときに作動し、OFFされたときに停止する。さらに、自動制御装置によって、乗車台10が各乗降場L,Hまで移動したときに自動的に停止するようにされている。
【0030】
このモータ42の回転軸には、原動スプロケット44が取り付けられている。また、フレーム41の中間位置には、固定レール20および可動レール30に備えられたラック25,25と噛み合うピニオンギア45が配置されている。このピニオンギア45と同軸に従動スプロケット46が固定され、前記原動スプロケット44と従動スプロケット46とにチェーン47が掛け渡されている。
【0031】
また、フレーム41の両端には、固定レール20および可動レール30を構成している上下の桁部材21,22を両側から挟む合計8個のサイドローラ48,48…が備えられている。さらに、フレーム41の中間上部には、固定レール20および可動レール30に備えられた天板24の下側に設けられた副レール29上を転がる1個のガイドローラ49が備えられている。
【0032】
さらに、乗車台10には、固定補助レール50および可動補助レール60側に、この固定補助レール50および可動補助レール60の上を転がる安定車輪17が突出して配備されている。この安定車輪17が固定補助レール50および可動補助レール60上を転がることにより、乗車台10は安定した状態で昇降動することができるようになる。
【0033】
また、低所の乗降場LとヘリポートP内の乗降場Hとには、反対側の乗降場H,Lで待機している乗車台10を呼ぶスイッチ4,5が設置されている。
【0034】
ここで、以上のように構成されたヘリポート用モノレールの運転形態の一例について説明する。なお、特に示す場合を除いて、可動レール30は可動補助レール60を含めたもの、固定レール20は固定補助レール50を含めたものとして説明する。
【0035】
まず、患者を乗せたヘリコプターが病院に搬送される場合であって、ヘリコプターが病院のヘリポートPに着陸するときは、可動レール30は、図1に示すようにボトムポジションBに位置し、その上端部がヘリポートP内の乗降場Hから突出せず、下端部が固定レール20の上端部と当接している。可動レール30の上端部がヘリポートP内の乗降場Hから突出しないことによって法律を遵守することができる。
【0036】
このとき、乗車台10は病院の屋上に設けられた乗降場Lで待機している。ただし、乗車台10は、その屋根15がヘリポートP内の乗降場Hから突出しなければ、可動レール30の下側などで待機していてもよい。
【0037】
そして、ヘリコプターがヘリポートPに着陸した後、ヘリポートP内の乗降場Hに降り立った介助者がヘリポートP内のスイッチ5をONし、または屋上の乗降場Lで待機している人が屋上のスイッチ4をONすることにより、屋上の乗降場Lで待機していた乗車台10が上昇する。すなわち、スイッチ5,4がONされることにより、固定レール20に固定された給電帯27に接触している集電子から給電されるモータ42が回転し、ピニオンギア45が固定レール20に固定されたラック25と噛み合って、乗車台10は固定レール20からボトムポジションBの可動レール30の方へ移動する。乗車台10は、サイドローラ48,48…が固定レール20の上下の桁部材21,22を挟み、ガイドローラ49が天板24の副レール29の上を転がり、さらに、安定車輪17が固定補助レール50上を移動するため、安定した姿勢で上昇する。
【0038】
乗車台10が可動レール30上まで上昇した後、可動レール30がボトムポジションBからトップポジションTへ上昇する。乗車台10は、この可動レール30がトップポジションTまで上昇した後、あるいは上昇中に可動レール30の上端部の方へ上昇する。可動レール30が固定レール20から離隔しても、可動レール30に固定された給電帯37と固定レール20に固定された給電帯27とは給電ケーブル36によって接続されているため、乗車台10に備えられたモータ42は可動レール30に固定された給電帯37から給電され、乗車台10は上昇することができる。
【0039】
そして、可動レール30がトップポジションTまで上昇すると、その上端部がヘリポートP内の乗降場Hから突出する。ヘリコプターはヘリポートPに着陸しているため、可動レール30の上端部がヘリポートP内の乗降場Hから突出しても、法律に抵触することはない。そして、乗車台10は図2に示すように、可動レール30の上端部まで移動すると、自動的に停止する。さらに、乗車台10の床11に取り付けられた踏み板16が倒れた姿勢となり、その踏み板16によって乗車台10の床11とヘリポートP内の乗降場Hとの段差が解消される。
【0040】
そして、患者を乗せているストレッチャーがヘリコプターから降ろされ、介助者は、そのストレッチャーをヘリポートP内の乗降場Hから乗車台10へ移送する。ストレッチャーは、踏み板16上を移動することにより、ストレッチャーに乗せられた患者には衝撃が加えられない。ストレッチャーを乗せた乗車台10は、踏み板16が跳ね上がった姿勢とされ、ストレッチャーが床11から脱落しないようにされる。また、安全バー13が柱14間に架け渡され、同乗している介助者の安全が確保される。
【0041】
そして、介助者が乗車台10内の操作スイッチをONすることにより、乗車台10はトップポジションTに位置している可動レール30上を下降する。また、可動レール30もトップポジションTからボトムポジションBの方へ下降する。乗車台10は、可動レール30がボトムポジションBの方へ下降している間、またはボトムポジションBまで下降した後、可動レール30の下端部の方へ下降する。
【0042】
可動レール30がボトムポジションBに位置し、可動レール30の下端部と固定レール20の上端部とが当接した後、乗車台10は可動レール30から固定レール20の方へ移動する。そして、乗車台10が屋上の乗降場Lまで下降すると、自動的に停止する。乗車台10は、固定レール20と固定補助レール50とに挟まれた位置で昇降動するため、乗車台10の床11と屋上は乗降場Lの路面とほぼ同一面となる。そして、踏み板16を倒し、ストレッチャーを屋上に降ろす。このとき、乗車台10の床11と屋上との間に段差があっても、ストレッチャーに載せられた患者は、踏み板16によって衝撃が加えられることなく、屋上の乗降場Lに降ろされる。
【0043】
他方、可動レール30がボトムポジションBに位置することにより、可動レール30の上端部はヘリポートPの離着陸場から突出しなくなるため、ヘリコプターは法律に抵触することなく離陸することができる。
【0044】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定することなく、特許請求の範囲に記載した技術的事項の範囲内において種々変更することができる。例えば、固定レール20と可動レール30とには、ラック25を敷設することなく、ケーブルによって乗車台10を昇降動するようにすることもできる。また、乗車台10は、バッテリーを備えたものとすることにより、固定レール20と可動レール30とに給電帯27,37を付設せず、したがって、給電ケーブル36を備えないようにすることもできる。さらに、固定補助レール50および可動補助レール60を併設せず、かつ、乗車台10に安定車輪17を備えることなく、乗車台10が固定レール20および可動レール30に片持ち状に昇降動するようにすることもできる。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、ヘリポート内の乗降場に突出する位置と突出しない位置とに往復動する可動レールを備えたことにより、法律を遵守することができるヘリポート用モノレールを病院などのヘリポートに設置することができる。したがって、ヘリコプターによって搬送された患者は、水平姿勢で安全に病院内に搬送され、また、介助者の負担も軽減することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るヘリポート用モノレールの一実施形態を示す正面図
【図2】本発明に係るヘリポート用モノレールの一実施形態であって図1と異なる状態を示す正面図
【図3】本発明に係るヘリポート用モノレールの一実施形態を示す要部拡大側面図
【図4】本発明に係るヘリポート用モノレールの一実施形態を構成している駆動装置の側面図
【図5】本発明に係るヘリポート用モノレールの一実施形態を構成している駆動装置の正面図
【図6】本発明に係るヘリポート用モノレールの一実施形態を示す要部拡大正面図
【符号の説明】
1…架台
10…乗車台
11…床
17…安定車輪
20…固定レール
25…ラック
27…給電帯
30…可動レール
36…給電ケーブル
37…給電帯
40…駆動装置
42…モータ
45…ピニオンギア
50…固定補助レール
60…可動補助レール
B…ボトムポジション
H…乗降場
P…ヘリポート
T…トップポジション
Claims (5)
- 低所に設けられた乗降場と、高所に設置されたヘリポート内の乗降場との間に傾斜して架け渡される架台と、
該架台の下側半分に設置される固定レールと、
前記架台の上側半分にスライド可能に載せられ、下端部が前記固定レールの上端部に当接し且つ上端部がヘリポート上に突出しないボトムポジション、および下端部が前記固定レールの上端部から離隔し且つ上端部がヘリポートよりも突出するトップポジションの間を往復動する可動レールと、
前記固定レール上および可動レール上を走行する乗車台とが備えられていることを特徴とするヘリポート用モノレール。 - 前記固定レールと可動レールには、ラックが付設され、
前記乗車台には該ラックと噛み合うピニオンを取り付けた駆動装置が備えられていることを特徴とする請求項1に記載のヘリポート用モノレール。 - 前記乗車台には、走行駆動させるモータに給電する集電子が備えられ、
前記固定レールと可動レールとには、前記集電子が接触する給電帯が付設され、
該固定レールの給電帯と可動レールの給電帯とは、給電ケーブルによって接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載のヘリポート用モノレール。 - 前記固定レールと可動レールとに平行に固定補助レールと可動補助レールとが併設され、
前記乗車台には、両補助レール上を移動する安定車輪が備えられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のヘリポート用モノレール。 - 前記乗車台は、その床が低所に設けられた乗降場の路面とほぼ同一面となるまで固定レール上を下降することを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のヘリポート用モノレール。
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