JP2004338033A - スローアウェイチップの外周研磨方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】チップ素材20をその周方向に回転させるときの中心であるB軸、及び、外周研磨砥石32をチップ素材20との距離が変化するように移動させるときの方向であるX軸、の2つの軸に関する動きを同時制御しつつ研磨することで得られる凸曲面と、X軸、及び、チップ素材20を外周研磨砥石32に対して旋回させるときの中心であるC軸、の2つの軸に関する動きを同時制御しつつ研磨することで得られる凸曲面とを合成するようにして、チップ本体の側面及び主切刃部を形成する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スローアウェイチップのチップ本体となるべきチップ素材の側面を数値制御外周研削盤によって研磨するときの、スローアウェイチップの外周研磨方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば金型などにおける垂直に屹立した縦壁(立面)を、切削加工によって仕上げる場合には、非常に高い精度を得ることが可能なソリッドエンドミルを用いることが多いが、近年においては、これとほぼ同様の精度を確保できるものとして、複数のスローアウェイチップが、ソリッドエンドミルと同じ刃形を構成するように工具本体に装着されたスローアウェイ式エンドミル、つまり、工具本体に装着された複数のスローアウェイチップにおける主切刃部が、工具本体の軸線を中心とする円筒面上に配置されたスローアウェイ式エンドミルを用いる機会も増加してきている。
【0003】
ところで、一般的なスローアウェイチップのチップ本体を外周研磨によって仕上げるときには、数値制御外周研削盤を用い、狙い形状のチップ本体よりも外周側に略一回り大きな板状をなすチップ素材の上面及び下面を、クランプ部材でクランプしてから、このチップ素材の側面を、外周研磨砥石で研磨していくことによって、チップ本体の側面、及び、これとチップ本体の上面との交差稜線部である主切刃部を形成していく方法が採用されており(例えば、特許文献1,2参照)、このような数値制御外周研削盤を用いることで、非常に高い生産性を得ることができる。
【0004】
【特許文献1】
特開昭63−306863号公報
【特許文献2】
特開平5−208327号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、工具本体に装着されたときに、主切刃部が工具本体の軸線を中心とする円筒面上に配置される上述のスローアウェイチップは、そのチップ本体の上面と側面との交差稜線部である主切刃部が、上面視で曲率半径100mm〜5000mmの少なくとも一つの凸曲線を有している(例えば、主切刃部が、上面視で曲率半径100mm〜5000mmの一つの凸曲線で構成されている、あるいは、上面視で曲率半径100mm〜5000mmの複数の凸曲線で構成されている)とともに、この主切刃部に連なる側面が、側面視で凸曲面をなしているため、複雑なねじれ形状の側面を研磨で仕上げなければならないこととなり、従来の数値制御外周研削盤を用いた外周研磨は困難とされていた。
【0006】
そのため、このようなスローアウェイチップのチップ本体を外周研磨によって仕上げる際には、スローアウェイチップを工具本体に対して実際に装着した状態としてから、ソリッドエンドミルを加工するための加工機を用いて、上記のような側面及び主切刃部を形成していたのであるが、このような方法を用いていると、数値制御外周研削盤を用いたときのような高い生産性を得ることができず、個々のスローアウェイチップのチップ本体を仕上げるまでにかかる時間が非常に長くなって、コストの増大を招いていたのであった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、上面視で曲率半径100mm〜5000mmの少なくとも一つの凸曲線を有する主切刃部と、側面視で凸曲面をなす側面とを備えたチップ本体を、生産性の高い数値制御外周研削盤を用いた外周研磨によって仕上げることを可能にするスローアウェイチップの外周研磨方法に関するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、板状をなすチップ本体の上面と側面との交差稜線部である主切刃部が、上面視で、このチップ本体の外周側に向かって凸となる曲率半径100mm〜5000mmの少なくとも一つの凸曲線を有しているとともに、前記主切刃部に連なる前記側面が、側面視で、このチップ本体の外周側に向かって凸となる凸曲面をなすスローアウェイチップの外周研磨方法であって、数値制御外周研削盤を用い、前記チップ本体よりも外周側に略一回り大きな板状をなすチップ素材の上面及び下面をクランプ部材でクランプして、このチップ素材の側面を外周研磨砥石で研磨するときに、前記チップ素材をその周方向に回転させるときの中心であるB軸、及び、前記外周研磨砥石を前記チップ素材との距離が変化するように移動させるときの方向であるX軸、の2つの軸に関する動きを同時制御しつつ研磨することで得られる凸曲面と、前記X軸、及び、前記チップ素材を前記外周研磨砥石に対して旋回させるときの中心であるC軸、の2つの軸に関する動きを同時制御しつつ研磨することで得られる凸曲面とを合成するようにして、前記チップ本体の側面及び主切刃部を形成することを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、上記のB軸とX軸とを2軸同時制御しつつチップ素材の側面を研磨することで、チップ本体の上面と側面との交差稜線部である主切刃部が上面視で曲率半径100mm〜5000mmの少なくとも一つの凸曲線を有するように、このチップ本体の側面を凸曲面にしつつも、上記のX軸とC軸とを2軸同時制御しつつチップ素材の側面を研磨することで、チップ本体の側面を側面視で凸曲面にすることができるので、これら2つの凸曲面を合成することにより、上記のような側面及び主切刃部を有するチップ本体を、生産性の高い数値制御外周研削盤を用いた外周研磨で仕上げることが可能となる。
【0010】
なお、上面視で主切刃部が有する少なくとも一つの凸曲線の曲率半径が100mm〜5000mmの範囲で設定されているのに加えて、この主切刃部に連なるチップ本体の側面に与えられる逃げ角が連続的に大きく変化する場合(例えば、前記チップ素材における一の側面を前記外周研磨砥石によって研磨している途中での、前記C軸に関する前記チップ素材の旋回角度が、−5゜〜30゜の範囲内で0゜を通過して連続的に変化するように設定されて、この主切刃部に連なるチップ本体の側面に与えられる逃げ角が、−5°〜30°の範囲内で0゜を通過して連続的に大きく変化させられる場合)には、チップ素材あるいはクランプ部材と外周研磨砥石とが不必要な箇所で干渉する事態が生じるおそれがあるが、これを確実に回避すべく、前記チップ素材における一の側面を前記外周研磨砥石によって研磨している途中での、前記B軸に関する前記チップ素材の回転角度を、5°以下に設定しておくことが好ましい。
【0011】
ここで、前記B軸及び前記X軸の2つの軸に関する動きを同時制御しつつ研磨することで得られる凸曲面と、前記X軸及び前記C軸の2つの軸に関する動きを同時制御しつつ研磨することで得られる凸曲面とを合成するため、具体的には、以下のような方法が採用される。
▲1▼ 上面視で前記主切刃部が有する少なくとも一つの凸曲線の大きさ、前記B軸に関する前記チップ素材の回転角度、前記X軸に関する前記外周研磨砥石の移動量、及び、前記C軸に関する前記チップ素材の旋回角度をそれぞれ決定し、制御装置で連続的に移動ポイントを計算する。
▲2▼ 前もってCADにより、前記B軸に関する前記チップ素材の回転角度、前記X軸に関する前記外周研磨砥石の移動量、及び、前記C軸に関する前記チップ素材の旋回角度のポイントデータを複数とり、これらのポイントデータを連続的につなぐように、制御装置で連続的に移動ポイントを計算する。
なお、この▲2▼の方法については、前記複数のポイントデータをもとにスプライン曲線を描いて、これらのポイントデータを連続的につなぐように、制御装置で連続的に移動ポイントを計算するようにしてもよいし、前記複数のポイントデータをもとにベジェ曲線を描いて、これらのポイントデータを連続的につなぐように、制御装置で連続的に移動ポイントを計算するようにしてもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付した図面を参照しながら具体的に説明する。
本発明の実施形態によるスローアウェイチップの外周研磨方法によって仕上げるべきチップ本体は、図2に示すように、略多角形板状をなすチップ本体10の上面11と各側面12…との複数の交差稜線部のうち、その少なくとも1つが主切刃部13とされたものである。
【0013】
主切刃部13は、上面視で、図2(a)に示すように、チップ本体10の外周側(図2(a)における下方側)に向かって凸となる曲率半径100mm〜5000mm(とくに、曲率半径400mm〜3000mm)の少なくとも一つの凸曲線を有するものであって、例えば、この主切刃部13が、チップ本体10の外周側に向かって凸となる曲率半径100mm〜5000mmの一つの凸曲線をなしていたり、あるいは、チップ本体10の外周側に向かって凸となる曲率半径100mm〜5000mmの複数の凸曲線同士が滑らかに接続された複合凸曲線(曲率半径が連続的に変化する凸曲線)をなしていたりするものである。
【0014】
また、主切刃部13に連なる側面12は、側面視(側面12に沿った方向から見た側面視)で、図2(c)に示すように、チップ本体10の外周側(図2(c)における左方側)に向かって凸となる凸曲面をなしているものである。
【0015】
なお、本実施形態で言うチップ本体10の側面12とは、必ずしも、チップ本体10の上面11と下面14とを接続している面の全域のことを示しているわけではなく、例えば、チップ本体10の上面11と下面14とを接続している面における上面11に交差する上方側一部分のみを示していてもよい。要は、主切刃部13に連なる(第一)逃げ面のことを示しているのである。
【0016】
本実施形態では、図1に示すように、まず、狙い形状のチップ本体10よりも外周側に略一回り大きい板状をなすような、上下両面あるいは片面が研磨・成形されたチップ素材20を用意する(チップ素材20の材料としては、WC(タングステンカーバイド)を主成分とする超硬合金やサーメットやセラミックなどはもちろん、要は工具材料として適用されるすべての材料が用いられる)。
このチップ素材20は、チップ本体10と同一の厚みを有していながら、これよりも外周側に略一回り大きい状態となっているのであって、チップ本体10と同様に、上面21と、下面24と、これら上面21及び下面24を接続する面である複数の側面22…とから構成されている。
【0017】
一方、本実施形態で用いられる数値制御外周研削盤30は、図1に示すように、チップ素材20の上面21及び下面24をクランプする一対のクランプ部材31a,31bと、クランプされた状態のチップ素材20における研磨すべき側面22に対向配置され、この側面22を研磨する外周研磨砥石32と、各部材の動き(後述するX軸・Y軸・B軸・C軸に関する動き)の制御を行う制御装置(図示略)とを備えている。
そして、このような数値制御外周研削盤30は、まず、一対のクランプ部材31a,31bにより、自動搬送されてきたチップ素材20の上面21及び下面24を、上面視でチップ素材20の上面21における内接円の中心近傍(チップ素材20の中心近傍)で挟み込み、研磨加工を行うようになっている。
【0018】
さらに、数値制御外周研削盤30において、クランプ部材31a,31bで上面21及び下面24がクランプされた状態のチップ素材20は、図1における矢印B方向に沿って、クランプ部材31a,31bがその軸線回りに回転させられることにより、チップ素材20の中心近傍を中心として、チップ素材20の周方向に回転させられるようになっている。
このチップ素材20を周方向に回転させるときの中心がB軸(=クランプ部材31a,31bの軸線=チップ素材20の中心近傍)とされ、B軸に関するチップ素材20の動きを制御することにより、チップ素材20における複数の側面22…のうち、いずれを外周研磨砥石32に対向配置させて研磨すべきかが決定される。
【0019】
同じく、クランプ部材31a,31bで上面21及び下面24がクランプされた状態のチップ素材20は、図1における矢印C方向に沿って、チップ素材20の上面21の延在する平面が外周研磨砥石32に対して傾斜させられるようにして、チップ素材20における研磨すべき側面22に対向配置された外周研磨砥石32に対して旋回させられるようになっている。
このチップ素材20を外周研磨砥石32に対して旋回させるときの中心がC軸とされ、C軸に関するチップ素材20の動きを制御することにより、外周研磨によって仕上げられたチップ本体10の側面12に与えられる逃げ角が決定される。
【0020】
また、クランプされた状態のチップ素材20における研磨すべき側面22に対向配置される外周研磨砥石32は、これが取り付けられた砥石軸の回転によって回転状態に維持されつつ、図1における矢印X方向に沿って、チップ素材20との距離が変化しながら、移動するようになっている。
すなわち外周研磨砥石32をチップ素材20との距離が変化するような移動方向をX軸とし、X軸に関する外周研磨砥石32の動きにより、外周研磨によって仕上げられたチップ本体10の大きさが決定される。
【0021】
同じく、クランプされた状態のチップ素材20における研磨すべき側面22に対向配置される外周研磨砥石32は、これが取り付けられた砥石軸の回転によって回転状態に維持されつつ、図1における矢印Y方向に沿って、チップ素材20の厚み方向に揺動(往復移動)させられるようになっている。
この外周研磨砥石32を揺動させるときの方向がY軸とされ、Y軸に関する外周研磨砥石32の動きにより、外周研磨砥石32とチップ素材20の側面22との接触点が決定される。
【0022】
数値制御外周研削盤30は、上記のようなB軸・C軸・X軸・Y軸に関するチップ素材20・外周研磨砥石32の動きを制御装置で制御しながら、外周研磨砥石32によってチップ素材20における各側面22…を順次研磨していくことになるのであるが、本実施形態では、B軸とX軸とに関する動きを2軸同時制御しつつ、チップ素材20の側面22を研磨していくことで得られる凸曲面と、X軸とC軸とに関する動きを2軸同時制御しつつ、チップ素材20の側面22を研磨していくことで得られる凸曲面とを合成することにより、上記のような狙い形状のチップ本体10を仕上げるようになっている。なお、外周研磨砥石32によってチップ素材20の一の側面22を研磨している途中では、この外周研磨砥石32のY方向に沿った揺動が通常行われている。
【0023】
つまり、B軸とX軸とに関する動きを2軸同時制御しつつチップ素材20の側面22を研磨することによって、上面視で曲率半径100mm〜5000mmの少なくとも一つの凸曲線を有する主切刃部13と、この主切刃部13に連なる凸曲面をなす側面22とを、また、X軸とC軸とに関する動きを2軸同時制御しつつチップ素材20の側面22を研磨することによって、側面視で凸曲面をなす側面22を、得るようになっている。
そして、これら2つの凸曲面を合成するように制御を行いつつ、チップ素材20の側面22を研磨することにより、主切刃部13が上面視で曲率半径100mm〜5000mmの少なくとも一つの凸曲線を有し、この主切刃部13に連なる側面12が側面視で凸曲面をなすような、複雑なねじれ形状の側面12を仕上げることができるのである。
【0024】
このとき、上面視で主切刃部13が有する少なくとも一つの凸曲線の曲率半径が100mm〜5000mmの範囲で設定されているのに加えて、チップ素材20における一の側面22を外周研磨砥石32によって研磨している途中での、C軸を中心としたチップ素材20の旋回角度(C軸に関するチップ素材20の動き)が、−5゜〜30゜の範囲内で0゜を通過して連続的に大きく変化するように設定されて、この主切刃部13に連なるチップ本体10の一の側面12に与えられる逃げ角が、−5°〜30°の範囲内で0゜を通過して連続的に大きく変化させられるようになっている(上記の旋回角度を正角側にしたときに、チップ本体10の側面12に正の逃げ角が与えられる)。
そのため、外周研磨の途中において、チップ素材20あるいはクランプ部材31a,31bと外周研磨砥石32とが不必要な箇所で干渉してしまうおそれが生じてしまうが、これを確実に回避するために、チップ素材20における一の側面22を外周研磨砥石32によって研磨している途中での、B軸を中心としたチップ素材20の回転角度(B軸に関するチップ素材20の動き)が、5゜以下に設定されている。
【0025】
ここで、B軸・X軸を2軸同時制御して得られる凸曲面と、X軸・C軸を2軸同時制御して得られる凸曲面とを合成するような制御を行うため、制御装置が行う具体的な制御方法としては、例えば以下の2つの方法が挙げられる。
【0026】
▲1▼ 上面視で主切刃部13が有する少なくとも一つの凸曲線の大きさ、B軸に関するチップ素材20の動き(チップ素材20の回転角度)、X軸に関する外周研磨砥石32の動き(外周研磨砥石32の移動量)、及び、C軸に関するチップ素材20の動き(チップ素材20の旋回角度)をそれぞれ決定し、制御装置の内部コンピュータによって連続的に移動ポイントを計算する方法。
【0027】
▲2▼ 前もってCADにより移動させたいポイントのポイントデータ、つまり、B軸に関するチップ素材20の動き(チップ素材20の回転角度)、X軸に関する外周研磨砥石32の動き(外周研磨砥石32の移動量)、及び、C軸に関するチップ素材20の動き(チップ素材20の旋回角度)のポイントデータを複数(例えば5〜20箇所程度)とり、これらのポイントデータを連続的につなぐように、制御装置の内部コンピュータによって連続的に移動ポイントを計算する方法。
【0028】
ここで、上記の▲2▼の方法について、制御装置の内部コンピュータによって連続的に移動ポイントを計算するためには、例えば、複数のポイントデータをもとにスプライン曲線を描いて、これらのポイントデータを連続的につなぐようにすることや、複数のポイントデータをもとにベジェ曲線を描いて、これらのポイントデータを連続的につなぐようにすることが考えられる。
複数のポイントデータをすべて通過するような滑らかな曲線であるスプライン曲線を描くようにした場合には、多くのポイントデータをとることで、より狙い形状に近いチップ本体10を仕上げることが可能となり、一方、複数のポイントデータのうち、最初と最後のポイントデータを通って、これら最初と最後のポイントデータ以外のポイントデータによって全体形状が決定される(必ずしも最初と最後のポイントデータ以外のポイントデータを通る必要はない)ような滑らかな曲線であるベジェ曲線を描くようにした場合には、少ないポイントデータによって自由度の高い曲線を描くことが可能となる。
【0029】
以上説明したように、本実施形態では、数値制御外周研削盤を用いた外周研磨により、主切刃部13を上面視で曲率半径100mm〜5000mmの少なくとも一つの凸曲線を有するようにしつつ、主切刃部13に連なる側面12を側面視で凸曲面にしたチップ本体10を仕上げることが可能となっている。
したがって、例えば金型などにおける垂直に屹立した縦壁(立面)を切削加工によって仕上げる場合に用いられて、十分に高い精度を得ることが可能なスローアウェイ式エンドミルの工具本体に装着されるスローアウェイチップを、非常に高い生産性をもって製造することができるので、このようなスローアウェイチップの製造にかかるコストを大幅に引き下げることが可能となる。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、数値制御外周研削盤を用い、上記のB軸とX軸とを2軸同時制御しつつチップ素材の側面を研磨することで得られる凸曲面と、上記のX軸とC軸とを2軸同時制御しつつチップ素材の側面を研磨することで得られる凸曲面とを合成することによって、複雑なねじれ形状の側面を有するチップ本体を仕上げることが可能となっている。
また、チップ本体を工具本体に装着して、この工具本体を軸線回りに回転させると、チップ本体の主切刃部と工具本体の軸線との平行度が極めて高くなる、つまり、主切刃部の回転軌跡が工具本体の軸線を中心とした円筒面上に精度良く配置されるので、上述の縦壁(立面)の加工精度が極めてよく、しかも、生産性の高い数値制御外周研削盤を用いたことによって、製造コストの低廉なスローアウェイチップを製造・提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を説明するときに用いる数値制御外周研削盤及びチップ素材の概略説明図である。
【図2】(a)は、本発明の実施形態を説明するときに用いるチップ素材の上面図、(b)は(a)におけるI方向から見た側面図、(c)は(a)におけるII方向から見た側面図、(d)は同チップ素材の下面図である。
【符号の説明】
10 チップ本体
11 上面
12 側面
13 主切刃部
14 下面
20 チップ素材
21 上面
22 側面
24 下面
30 数値制御外周研削盤
31a,31b クランプ部材
32 外周研磨砥石
Claims (7)
- 板状をなすチップ本体の上面と側面との交差稜線部である主切刃部が、上面視で、このチップ本体の外周側に向かって凸となる曲率半径100mm〜5000mmの少なくとも一つの凸曲線を有しているとともに、前記主切刃部に連なる前記側面が、側面視で、このチップ本体の外周側に向かって凸となる凸曲面をなすスローアウェイチップの外周研磨方法であって、
数値制御外周研削盤を用い、前記チップ本体よりも外周側に略一回り大きな板状をなすチップ素材の上面及び下面をクランプ部材でクランプして、このチップ素材の側面を外周研磨砥石で研磨するときに、
前記チップ素材をその周方向に回転させるときの中心であるB軸、及び、前記外周研磨砥石を前記チップ素材との距離が変化するように移動させるときの方向であるX軸、の2つの軸に関する動きを同時制御しつつ研磨することで得られる凸曲面と、
前記X軸、及び、前記チップ素材を前記外周研磨砥石に対して旋回させるときの中心であるC軸、の2つの軸に関する動きを同時制御しつつ研磨することで得られる凸曲面とを合成するようにして、
前記チップ本体の側面及び主切刃部を形成することを特徴とするスローアウェイチップの外周研磨方法。 - 請求項1に記載のスローアウェイチップの外周研磨方法において、
前記チップ素材における一の側面を前記外周研磨砥石によって研磨している途中での、前記C軸に関する前記チップ素材の旋回角度を、−5゜〜30゜の範囲内で0゜を通過するように設定することを特徴とするスローアウェイチップの外周研磨方法。 - 請求項1または請求項2に記載のスローアウェイチップの外周研磨方法において、
前記チップ素材における一の側面を前記外周研磨砥石によって研磨している途中での、前記B軸に関する前記チップ素材の回転角度を、5゜以下に設定することを特徴とするスローアウェイチップの外周研磨方法。 - 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のスローアウェイチップの外周研磨方法において、
上面視で前記主切刃部が有する少なくとも一つの凸曲線の大きさ、前記B軸に関する前記チップ素材の回転角度、前記X軸に関する前記外周研磨砥石の移動量、及び、前記C軸に関する前記チップ素材の旋回角度をそれぞれ決定し、制御装置で連続的に移動ポイントを計算することによって、
前記B軸及び前記X軸の2つの軸に関する動きを同時制御しつつ研磨することで得られる凸曲面と、前記X軸及び前記C軸の2つの軸に関する動きを同時制御しつつ研磨することで得られる凸曲面とを合成することを特徴とするスローアウェイチップの外周研磨方法。 - 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のスローアウェイチップの外周研磨方法において、
前もってCADにより、前記B軸に関する前記チップ素材の回転角度、前記X軸に関する前記外周研磨砥石の移動量、及び、前記C軸に関する前記チップ素材の旋回角度のポイントデータを複数とり、これらのポイントデータを連続的につなぐように、制御装置で連続的に移動ポイントを計算することによって、
前記B軸及び前記X軸の2つの軸に関する動きを同時制御しつつ研磨することで得られる凸曲面と、前記X軸及び前記C軸の2つの軸に関する動きを同時制御しつつ研磨することで得られる凸曲面とを合成することを特徴とするスローアウェイチップの外周研磨方法。 - 請求項5に記載のスローアウェイチップの外周研磨方法において、
前記複数のポイントデータをもとにスプライン曲線を描いて、これらのポイントデータを連続的につなぐように、制御装置で連続的に移動ポイントを計算することを特徴とするスローアウェイチップの外周研磨方法。 - 請求項5に記載のスローアウェイチップの外周研磨方法において、
前記複数のポイントデータをもとにベジェ曲線を描いて、これらのポイントデータを連続的につなぐように、制御装置で連続的に移動ポイントを計算することを特徴とするスローアウェイチップの外周研磨方法。
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