JP2004336240A - Ｒｆｉｄタグ - Google Patents

Abstract

【課題】電池及びアンテナの各構造体が一つ以上の共通要素により一体化されたＲＦＩＤタグを提供する。
【解決手段】基板２０は、フレキシブルな絶縁材料で製造され、導電性パターン３１，３２が基板２０に取り付けられている。ＵＨＦ，ＲＦＩＤタグ１０の集積回路４０は、アンテナを形成する導電性パターン３１，３２に接続されている。アンテナの極３１は接続トラック３３により集積回路４０のアンテナの接地ピンに接続され、極３２は、接続トラック３４により集積回路のアンテナ入力ピンに接続される。電池用の電解質を保持するスペーサ５０は、導電性パターン３１の上に積層され、電池の第二の極６０は、スペーサ５０及び絶縁体５１の表面に形成される。
【選択図】 図１

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線（ワイヤレス）通信システム、より具体的には、受動型の後方散乱変調（ｂａｃｋｓｃａｔｔｅｒ ｍｏｄｕｌａｔｉｏｎ）技術を使用する無線通信システムに関する。本発明は、また、ＲＦＩＤタグ及びその製造方法にも関する。
【０００２】
【従来の技術】
無線周波数識別（ＲＦＩＤ）システムは、物体，人間，商品及び生物を識別し且つ追跡するために使用される。ＲＦＩＤシステムは、通常、但し、常にではないが、質問器（ｉｎｔｅｒｒｏｇａｔｏｒ）としても既知の読取装置と、識別し且つ追跡すべき物体に取り付けられ、一体化され又はその物体によって支持された、通常、タグと称する複数のトランスポンダとを備えている。ＲＦＩＤシステム内の読取装置は、送信機及び受信機を内蔵するトランシーバである。該送信機は、タグに対し命令又はデータを送るために使用され、受信機は１つ又は２つ以上のタグからメッセージを受信し且つ復号するために使用される。更に、タグがそれ自体の内部電源を有しないならば、その内部回路に対して電力を提供するため、読取装置の送信機のエネルギ場（ｅｎｅｒｇｙ ｆｉｅｌｄ）がタグによって使用される。
タグには、２つの主要な型式のものがあり、その一方は、送信信号を発生させる一方、その送信信号がタグのデータによって変調されるようにする送信機をタグ内に有するものであり、もう一方は、それ自体の送信機を有しないが、入射する信号をタグのデータにより変調し且つ同時にその信号を読取装置に反射して戻すことにより、読取装置からタグのアンテナに衝突（ｉｍｐｉｎｇｉｎｇ）する信号を利用するものである。この通信方法は、後方散乱変調法として知られており、レーダの原理に従う。
【０００３】
受動型後方散乱システムの動作の仕方は次の通りである。読取装置がその送信機を作動させ且つ変調されていない連続波（ＣＷ）信号を放出するとき、通信が開始する。「タグが最初に発信する」として既知の方法を採用するシステムにおいては、読取装置からの入射ＣＷ信号を変調しこの信号を反射して読取装置の受信機によって受信されるように戻すことにより、励起信号を受信するいずれかのタグがその内部回路を作動させ且つメッセージを１回又は繰り返して送信して応答する。「読取装置が最初に発信する」として既知の方法を採用するシステムにおいて、タグは、読取装置からＣＷ信号を受信したならば、その内部回路を作動させ且つ読取装置からの更なる命令を待つ。次に、読取装置は、命令又は励起指令を送り、この命令は、この命令を認識する任意のタグに対し、そのメッセージを送信するように指令する。読取装置がその変調された励起指令，命令又はその他の信号の送信を完了したならば、次に、読取装置は、ＣＷ信号を送信する状態に戻り、このＣＷ信号は、そのデータを有するタグによって後方散乱変調される。
【０００４】
この説明から、受動型タグを使用するシステムは、次の３つの異なる機能のため読取装置により送信された信号を利用することが分かる。すなわち、その内部回路を作動させるためタグに対しエネルギを提供することと、データメッセージを変調し且つ反射して戻す搬送信号（ｃａｒｒｉｅｒ）として機能することと、読取装置からタグへの通信手段として機能することとである。
ＲＦＩＤタグにて使用される型式の集積回路技術は、３〜５マイクロアンペア程度の電流において、典型的には１．２〜１．５ボルトの供給電圧を必要とすることが、当該技術分野の当業者により認識されよう。このエネルギ量を読取装置のエネルギ場から取り出すためには、タグのアンテナにて、１ｍ当たり５〜１０ボルト程度の信号強度が必要とされる。９００ＭＨｚの範囲におけるＵＨＦ周波数にて、読取装置は、２〜３ｍの読出し距離を得るため４ワットの送信機出力で放出する必要があろう。米国及びカナダのような幾つかの国において、無線通信規則はこの種の放出パワーを認めている。しかし、その他の国、特に、欧州において、放出パワーは、０．５ワット以下に制限されており、その結果、作動範囲は著しく狭くなる。
【０００５】
この問題点を解決するため、後方散乱変調法を使用してタグデータのメッセージを変調することのできる搬送信号を提供すべく読取装置からの入射ＣＷ信号を利用しつつ、タグの回路に対しパワーを提供すべく電池による支援機能がタグに備えられる。後方散乱変調は、タグを励起させるのに必要とされる信号強度の約１／１０の信号強度でよく、このため、タグに電池が設けられるならば、欧州において０．５ワットｅｒｐ（実効放射電力）を使用する場合の作動範囲は、電池の支援機能無しで４ワットｅｉｒｐ（等方性源の実効放射電力）を使用する米国にて得られる作動範囲と同様となろう。
受動型で読取装置が電力源である後方散乱変調タグを使用することの幾つかの主要な利点は、次のことを含む、すなわち、製造コストが極めて低額になること、タグの製造のために生態環境にやさしい材料を使用できること、タグを薄く且つフレキシブルなラベル内に埋込み且つ包み込むことが可能であることである。現在の設計の電池をタグに追加することは、遥かにコスト高の製造技術及び材料を必要とし、また、電池を容易に処分できず、その結果、タグが最早、必要でなく又はその使用可能寿命が尽きたとき、厳重な処分方法又はリサイクル方法が必要となる。リチウム電池は嵩だかであり、タグの寸法及び厚さを増し、使い捨て可能な用途におけるその使用を制限する。現在のリチウム又はその他の同様の電池技術をタグ内に組み込むことは、タグがバーコード用として使用される型式の印刷ラベル内に埋め込まれる場合、又は、可撓性の包装材料に取り付け又は埋め込むため、タグがフレキシブルでなければならない場合のような用途にてこの型式のタグを使用することを妨げることになる。
【０００６】
最近、幾つかの会社は、玩具及び医療エレクトロニクス産業用を対象とする印刷された又は処分可能な電池の製造を開始している。これらの電池は、現在、イスラエルのパワーペーパリミテッド（ＰＯＷＥＲ ＰＡＰＥＲ ＬＴＤ）から、一次型（再充電不能）形態にて入手可能である。その新しい電池技術を使用することには、幾つかの利点がある。最も重要な利点は、電池を印刷するコストが極めて低額であること、及び環境にやさしい材料が工程にて使用されることである。有害な材料は無く、また、電池は通常の家庭のゴミとして処分できる。
この電池技術を内蔵し、電池支援型のものとするタグは、読取装置のパワー出力に制限を課し且つ廃棄物の処分に厳しい制限を課す欧州のような、世界の地域において有用な作動範囲を提供する。これらは、より大きい読取装置のパワー出力を必要とする、受動型後方散乱変調タグの価値ある代替品を提供するものである。また、より大きいＲＦパワーの伝送は、現在米国で許可されているものの、対象とする用途に必要なだけの大きさの放出パワーのみを使用することが「良い隣人」であると考えられることも指摘すべきである。放出される送信機のパワーを軽減することのできる全ての方法は、その無線周波数範囲のその他のユーザに対し好ましい影響を与える。
【０００７】
印刷電池をＲＦＩＤタグ内に組み込むためには、最新の集積回路技術を使用して、２年以上の有効寿命の間タグを作動させるのに十分なエネルギ容量の電池を受け入れるべく、１平方ｃｍ以上の面積が必要とされる。電池をタグ内に組み込むときに解決しなければならない更なる障害は、電池がタグのアンテナに与える離調（ｄｅｔｕｎｉｎｇ）効果又は遮蔽効果である。電池の導電面積（ｃｏｎｄｕｃｔｉｖｅ ａｒｅａ）が大きければ大きい程、電池がアンテナに与える効果はより大きくなる。
ＨＦ（１３．５６又は６ＭＨｚ）帯域又はＬＦ（１２０〜１３２ｋＨｚ）帯域にて作動する誘電結合タグ（ｉｎｄｕｃｔｉｏｎ ｃｏｕｐｌｅｄ ｔａｇｓ）に対しこの技術が使用されるならば、印刷電池は、印刷電池がタグのアンテナシステムに対し殆ど影響を与えない箇所に物理的に配置することができる。しかし、この印刷電池の技術がＶＨＦ、ＵＨＦ又はマイクロ波タグ内に組み込まれるならば、電池は、その寸法及び組成のため、通常のアンテナの構造体に対して許容し得ない干渉を起こし又はその作動効率を妨げるであろう。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、現在のシステム及び電池を追加することによる利点を享受するであろうシステムの不利益な点、すなわち次の点を少なくとも緩和することである。
即ち、タグの物理的特性（可撓性、寸法及び処分容易性の如き）に与える、電池を組み込むことの好ましくない効果；
電池をタグに取り付けたときに生ずる、タグ及びそのアンテナの電気的及び無線上の特性に影響を与える干渉。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
本発明の１つの態様によれば、電池構造体（一次型の再充電不能か又は二次型の再充電可能な何れかの特性）及びアンテナ構造体が一体化され、又は電池及びアンテナが１つ又は２つ以上の共通の要素を共用して、電池をタグに取り付けることの不利益な点を最小にし又は解消する、ＲＦＩＤタグの製造方法が提供される。
本発明の別の態様では、電池構造体（一次型の再充電不能か又は二次型の再充電可能な何れかの特性）及びアンテナ構造体が一体化され、又は、電池及びアンテナが１つ又は２つ以上の共通の要素を共用して、電池をタグに取り付けることの不利益な点を最小にし又は解消するＲＦＩＤタグを提供するものである。
本発明の更なる態様は、読取装置と、複数のＲＦＩＤタグとを備え、タグの少なくとも１つが上述したような構造体を有する無線通信システムである。
【００１０】
【発明の実施の形態】
ＲＦＩＤタグは、通常（但し、常にというわけではなく）、フレキシブル又はリジッドな非導電性基板上に印刷，めっき，蒸着又はエッチングされた導体にて形成されたアンテナを備えており、該アンテナには、はんだ又は接着剤により電子集積回路が取り付けられ、且つ随意に追加できる周辺構成要素が取り付けられる。
アンテナ及び集積回路は、また、集積回路自体の上に形成され、又は幾つかの絶縁性又は半導体基板上に広がる。導体は、当該技術分野にて周知の型式のダイポール，ループ，コイル，ジグザグ又はパッチアンテナの形態とすることができる。アンテナの要素は、周囲から無線周波数エネルギを集め且つそのエネルギを集積回路に伝導し、また、タグと読取装置との間で通信させる働きをする。集積回路は、集積回路の内部回路を作動させるのに必要な電力を供給し得るように電池又はその他の電源を接続することのできる、その内部直流回路からの外部接続部を有することができる。
【００１１】
本発明は、既存の設計の多数のタグに適用可能である。本発明は、アンテナ用導体又はアンテナ用導体の一部を電池の第一の極として使用する。次に、電池の第二の極が取り付けられる導体の上にスペーサが形成され又は印刷される。第二の極の形状及び形態は第一の極の形状及び形態と実質的に同様であるが、同一とする必要はなく、更に、電池の第二の極を接続するために使用される接続導体は、集積回路まで配線されるとき、絶縁性スペーサにより分離されたアンテナ接続導体に従い且つ該アンテナ接続導体に並置される。
アンテナのコモン（接地）接続部と集積回路に対する直流入力接続部との間の無線周波数インピーダンスが小さいため、また、アンテナ回路と集積回路（電池の第一の極にも接続されている）との間の接続トラック及び電池の第二の極と集積回路との間の接続トラックが同一の経路に従い且つ並置されているならば、アンテナ回路の作動に対する影響は殆どなく、電池は、実際には、アンテナの無線周波数特性に対し効果的に「隠れる」ことになる。換言すれば、アンテナの電気的特性は、電池が存在しない場合とほぼ同一となる。
【００１２】
次に、図１に関して説明する。図１は、約８０×５５ｍｍの矩形の形態のＵＨＦ ＲＦＩＤタグ１０を示している。タグの基部又は基板２０は、繊維ガラスプリント回路材，ＰＥＴのようなフレキシブルなプラスチック又は紙の如き絶縁体材料で製造される。導電性パターン３１、３２が基板に取り付けられており、該パターンは、銅又はアルミニウム箔を基板に貼り付け、又は電気プリント回路基板を製造するために使用される型式のエッチング過程を使用し、又は導電性インクを使用してパターンを基板上に印刷することにより、又は要求されるパターンの形態にて導電性材料を蒸着させることにより、形成することができる。
トランスポンダの集積回路４０は、既知の取り付け方法を使用して回路に取り付けられ、集積回路の接続部はアンテナを形成する導電性パターンに電気的に接続される。このアンテナのパターンは、２つの部分３１、３２に分割されてダイポールアンテナを形成する。ダイポールアンテナの極３１は、接続トラック３３により集積回路４０のアンテナのコモン（接地）ピンに接続され、他方の極３２は、同様の接続トラック３４により集積回路のアンテナ入力ピンに接続される。
【００１３】
電池用の電解質も保持するスペーサ５０が導電性パターン３１の上に積層され又は印刷されて、導電性パターンが少なくとも部分的に被覆されるようにする。絶縁体５１は、極３１を集積回路４０に接続する導電性接続トラック３３上に積層され又は印刷され、該トラックが集積回路に接続する箇所を除いて、接続トラックが完全に被覆されるようにする。電池の第二の極６０は、スペーサ５０及び絶縁体５１の表面に導電性板を取り付け又は導体を印刷することにより形成される。接続導電性トラック６１は、接続トラック３３及び絶縁体５１とほぼ同一の形状及び形態であり、絶縁体５１及び接続トラック３３と整合し、集積回路４０の直流入力ピンに接続される。完成したタグ組立体は、最終的に非導電性保護被覆にて被覆される。図２には、完成したタグ組立体が図示されている。図３は、偏心給電アンテナ（ｏｆｆ−ｃｅｎｔｒｅ ｆｅｄ ａｎｔｅｎｎａ）を有するタグを使用する別の実施の形態を示している。
【００１４】
本発明は、電池の少なくとも１つの極を形成するため十分なアンテナ用導体の面積が存在しなければならない点を除いて、寸法、形状又は作動周波数に制限されず、ほぼ任意の形態又は形状を有するタグに適用可能であることが理解されよう。本発明は、またアンテナが集積回路の上又はその内部に組み込まれるＲＦＩＤ装置にも適用可能である。インターメック（Ｉｎｔｅｒｍｅｃ）、バイスター（Ｂｉｓｔａｒ）、ＳＣＳ及びマイクロン（Ｍｉｃｒｏｎ）のような会社からの多数のタグの設計が、本発明の使用に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のＵＨＦ ＲＦＩＤタグを示す斜視図である。
【図２】完成したタグ組立体を示す平面図である。
【図３】偏心給電アンテナを有するタグを使用する、本発明の別の実施の形態を示す平面図である。

Claims (17)

1. 電池構造体及びアンテナ構造体が、１つ以上の共通の要素を共用することにより一体化される、ＲＦＩＤタグ。
2. 請求項１に記載のＲＦＩＤタグにおいて、前記電池構造体及びアンテナ構造体が完全に一体化された、ＲＦＩＤタグ。
3. 請求項１又は２に記載のＲＦＩＤタグにおいて、前記電池構造体が一次型の再充電不能な特性を有する、ＲＦＩＤタグ。
4. 請求項１又は２に記載のＲＦＩＤタグにおいて、前記電池構造体が二次型の再充電可能な特性を有する、ＲＦＩＤタグ。
5. 請求項１〜４の何れか１つに記載のＲＦＩＤタグにおいて、前記アンテナ構造体が、フレキシブル又はリジッドな非導電性基板の上に印刷，めっき，蒸着又はエッチングされた導体で形成された、ＲＦＩＤタグ。
6. 請求項５に記載のＲＦＩＤタグにおいて、前記アンテナ用導体又はアンテナ用導体の一部が、前記電池構造体の第一の極を画成する、ＲＦＩＤタグ。
7. 請求項６に記載のＲＦＩＤタグにおいて、スペーサが前記アンテナ用導体又はアンテナ用導体の一部の上に積層され又は印刷され、前記電池の第二の極が前記導体と反対側にて前記スペーサに取り付けられる、ＲＦＩＤタグ。
8. 請求項７に記載のＲＦＩＤタグにおいて、前記電池の第二の極の形状及び形態が、前記電池の第一の極の形状及び形態と実質的に同様又は同一である、ＲＦＩＤタグ。
9. 請求項８に記載のＲＦＩＤタグにおいて、前記電池の第二の極を集積回路に接続する接続導体を備え、この接続導体が、前記電池の第一の極を集積回路に接続する別の接続導体に実質的に従い且つ対向し、２つの接続導体が絶縁性スペーサによって分離される、ＲＦＩＤタグ。
10. 請求項７〜９の何れか１つに記載のＲＦＩＤタグにおいて、前記スペーサが電池用の電解質を保持する、ＲＦＩＤタグ。
11. 請求項９又は１０に記載のＲＦＩＤタグにおいて、前記アンテナ構造体がダイポールアンテナを画成する２つの部分に分割されたパターンを有し、アンテナの１つの極は集積回路のコモン（接地）ピンに接続され、アンテナの他方の極は前記集積回路の入力ピンに接続された、ＲＦＩＤタグ。
12. 請求項１１に記載のＲＦＩＤタグにおいて、前記アンテナの極を集積回路に接続する各接続導体又はトラックが同様の形状をしている、ＲＦＩＤタグ。
13. 請求項１１に記載のＲＦＩＤタグにおいて、アンテナが偏心給電アンテナである、ＲＦＩＤタグ。
14. 読取装置と、複数のＲＦＩＤタグとを備え、タグの少なくとも１つが請求項１〜１３の何れか１つに記載された構造を有する、無線通信システム。
15. 電池構造体の一部として使用するアンテナ構造体の少なくとも一部分を集積化する工程を備える、ＲＦＩＤタグの製造方法。
16. 請求項１５に記載のＲＦＩＤタグの製造方法において、電池構造体が一次型の再充電不能か又は二次型の再充電可能な特性の何れかである、ＲＦＩＤタグの製造方法。
17. 請求項１５に記載のＲＦＩＤタグの製造方法において、製造されたＲＦＩＤタグが請求項１〜１３の何れか１つに記載の構造を有する、ＲＦＩＤタグの製造方法。

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