JP2004335354A - イオン伝導体、その製造方法及び電気化学デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料のリークによる出力特性の低下を低減することができるイオン伝導体、その製造方法及び電気化学デバイスを提供すること。
【解決手段】プロトン(H+)解離性の基がパーフルオロアルキル鎖に結合してなるプロトン伝導性固体高分子層2、3間に、これらと分子配向性が異なるプロトン伝導性固体高分子層4が挟持されている、イオン伝導体1。プロトン解離性の基がパーフルオロアルキル鎖に結合してなるプロトン伝導性固体高分子層2、3間に、加熱処理によってプロトン伝導性固体高分子層2及び3と分子配向性を異ならせたプロトン伝導性固体高分子層4を挟持する、イオン伝導体1の製造方法。第1極6と、第2極8と、これらの両極間に挟持されたイオン伝導体1とからなり、イオン伝導体1が、上記の本発明のイオン伝導体1からなる電気化学デバイス。
【選択図】 図1
【解決手段】プロトン(H+)解離性の基がパーフルオロアルキル鎖に結合してなるプロトン伝導性固体高分子層2、3間に、これらと分子配向性が異なるプロトン伝導性固体高分子層4が挟持されている、イオン伝導体1。プロトン解離性の基がパーフルオロアルキル鎖に結合してなるプロトン伝導性固体高分子層2、3間に、加熱処理によってプロトン伝導性固体高分子層2及び3と分子配向性を異ならせたプロトン伝導性固体高分子層4を挟持する、イオン伝導体1の製造方法。第1極6と、第2極8と、これらの両極間に挟持されたイオン伝導体1とからなり、イオン伝導体1が、上記の本発明のイオン伝導体1からなる電気化学デバイス。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオン伝導体、その製造方法及び電気化学デバイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アノード電極と、カソード電極と、固体高分子電解質によって形成されたイオン伝導体とからなるMEA(Membrane & Electrode Assembly)を有し、アルコール水溶液等を燃料とする電気化学装置では現在、パーフルオロスルホン酸樹脂(DuPont社製のナフィオン(登録商標)など)のような高いイオン伝導性を持つポリマーが、イオン伝導体及び電極内バインダーとして用いられている(例えば、後記の特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0003】
一方、燃料としては、メタノール等のアルコール類が主に使用されている。また、他に水素ガス、ジメチルエーテル(DME)、ジエチルエーテル(DEE)等の有機物の研究例もある(例えば、後記の特許文献3参照。)。
【0004】
これらの中でも、燃料としてのメタノールをアノード電極で直接反応させるダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC)は、高エネルギー密度が実現されるため、小型携帯燃料電池等で次世代電源としての期待が高まっている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭61−67787号公報(第11欄16行目〜第15欄7行目)
【特許文献2】
特開昭61−67788号公報(第12欄9行目〜第16欄2行目)
【特許文献3】
特公平3−208260号公報(第3頁右下欄1行目〜16行目、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般的に、上述したナフィオン(登録商標)等の固体高分子電解質はメタノール等のアルコール水溶液を透過し易い。これをメタノールクロスオーバー現象と呼ぶ。従って、ナフィオン(登録商標)等を用いた場合、燃料がリークし、カソードの反応速度が遅くなるという問題点があった。
【0007】
この問題を解決するために、ダイレクトメタノール燃料電池(DMFC)の実用化研究に携わる研究開発機関では、固体高分子電解質の膜厚を厚くすることで(例えば120μm以上)、メタノールの透過量を減らしていた。しかしながら、膜を厚くすると膜抵抗が上昇し、特に常温における、開放電圧(電流=0)付近で分極が大きくなり、エネルギー効率が低下していた。
【0008】
本発明は、上述したような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、燃料のリークによる出力特性の低下を低減することができるイオン伝導体、その製造方法及び電気化学デバイスを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、イオン解離性の基がパーフルオロアルキル鎖に結合してなるイオン伝導性高分子からなるイオン伝導性固体高分子層の複数個が複合され、この複合体の一部分が、他の部分に対し分子配向性が異なるイオン伝導性高分子からなっている、イオン伝導体に係るものである(以下、本発明の第1のイオン伝導体と称する。)。
【0010】
また、スルホン酸基又はリン酸基が結合したパーフルオロアルキル鎖を有するイオン伝導性高分子からなり、前記スルホン酸基又は前記リン酸基に起因するX線回折(XRD)スペクトルのピーク強度と、前記パーフルオロアルキル鎖に起因するX線回折スペクトルのピーク強度との比(前者/後者)が、1.00以下である、イオン伝導体に係るものである(以下、本発明の第2のイオン伝導体と称する。)。
【0011】
さらに、スルホン酸基又はリン酸基が結合したパーフルオロアルキル鎖を有するイオン伝導性高分子からなり、X線回折の回折角度2θが2°以上、4°以下である範囲に発現するピーク強度と、X線回折の回折角度2θが17°以上、19°以下である範囲に発現するピーク強度との比(前者/後者)が、1.00以下である、イオン伝導体に係るものである(以下、本発明の第3のイオン伝導体と称する。)。
【0012】
また、イオン解離性の基がパーフルオロアルキル鎖に結合してなるイオン伝導性高分子を160〜220℃の温度範囲で加熱処理する工程を有する、イオン伝導体の製造方法に係るものである(以下、本発明の第1のイオン伝導体の製造方法と称する。)。
【0013】
また、イオン解離性の基がパーフルオロアルキル鎖に結合してなるイオン伝導性高分子を含む膜を160〜220℃の温度範囲で加熱処理した加熱処理膜を得る工程と;前記イオン伝導性高分子を含む他の膜と前記加熱処理膜とをプレス処理する工程と;を有する、イオン伝導体の製造方法に係るものである(以下、本発明の第2のイオン伝導体の製造方法と称する。)。
【0014】
さらに、第1極と第2極との間に、上記した本発明の第1、第2又は第3のイオン伝導体が挟持されている、電気化学デバイス、例えば燃料電池に係るものである。
【0015】
ここで、上記の「イオン解離性の基」とは、プロトン(H+)等のイオンが電離により離脱し得る基を意味し、また「イオンの解離」とは、電離によりプロトン等のイオンが基から離れることを意味する(以下、同様)。
【0016】
本発明の第1のイオン伝導体によれば、前記イオン解離性の基が前記パーフルオロアルキル鎖に結合してなる前記イオン伝導性高分子からなるイオン伝導性固体高分子層の複数個が複合され、この複合体の一部分が、他の部分に対し分子配向性が異なるイオン伝導性高分子からなっているので、従来例のように、前記イオン伝導体の厚みを厚くしなくても、メタノール等の燃料の透過量を低減することができ、燃料のリークによる出力の低下を低減することができる。
【0017】
また、本発明の第2及び3のイオン伝導体によれば、前記スルホン酸基又は前記リン酸基に起因するX線回折スペクトルのピーク強度と、前記パーフルオロアルキル鎖に起因するX線回折スペクトルのピーク強度との比(前者/後者)が、1.00以下であるか、或いはX線回折の回折角度2θが2°以上、4°以下である範囲に発現するピーク強度と、X線回折の回折角度2θが17°以上、19°以下である範囲に発現するピーク強度との比(前者/後者)が、1.00以下であるので、上述した分子配向性が異なるイオン伝導性高分子となり、これを用いて本発明の第1のイオン伝導体と同様の効果を奏することができる。即ち、従来例のように、前記イオン伝導体の厚みを厚くしなくても、メタノール等の燃料の透過量を低減することができ、燃料のリークによる出力の低下を低減することができる。
【0018】
本発明の第1又は第2のイオン伝導体の製造方法において、前記加熱処理の温度範囲を160〜220℃と特定するのが重要であり、これにより、上述した優れた特性を有する本発明の第1、第2又は第3のイオン伝導体を得ることができる。160℃未満の場合、温度が低すぎるために上述したような優れた特性を有する本発明のイオン伝導体が得られ難く、また、220℃を超える場合、前記イオン伝導性高分子が分解し易い。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の第1のイオン伝導体は、複数のプロトン伝導性固体高分子層間に、これらのプロトン伝導性固体高分子層と分子配向性が異なるプロトン伝導性固体高分子層が挟持されていることが好ましい。
【0020】
また、前記の分子配向性が異なるプロトン伝導性固体高分子が、スルホン酸基又はリン酸基が結合したパーフルオロアルキル鎖を有し、前記スルホン酸基又は前記リン酸基に起因するX線回折スペクトルのピーク強度と、前記パーフルオロアルキル鎖に起因するX線回折スペクトルのピーク強度との比(前者/後者)が、1.00以下であることが望ましい。
【0021】
具体的には、前記の分子配向性が異なるプロトン伝導性固体高分子が、スルホン酸基が結合したパーフルオロアルキル鎖を有し、X線回折の回折角度2θが2°以上、4°以下である範囲に発現するピーク強度と、X線回折の回折角度2θが17°以上、19°以下である範囲に発現するピーク強度との比(前者/後者)が、1.00以下であることが好ましい。
【0022】
本発明の第2又は第3のイオン伝導体は、前記イオン伝導性高分子を含む層と、このイオン伝導性高分子とは異なる物性の他のイオン伝導性高分子を含む層とからなることが好ましい。
【0023】
また、パーフルオロスルホン酸等の前記他のイオン伝導性高分子を含む2層の間に、前記イオン伝導性高分子を含む層が挟持されていることが好ましい。この場合、前記他のイオン伝導性高分子を含む2層の間に、前記イオン伝導性高分子を含む層が挟持されるので、前記他のイオン伝導性高分子を含む層が接着材としても機能することができ、例えば、本発明の第2又は第3のイオン伝導体と電極との接着性に優れ、膜強度にも優れている。
【0024】
本発明の第1又は第2のイオン伝導体の製造方法において、前記加熱処理は、160〜220℃とするが、180〜220℃の温度範囲で行うことが好ましい。前記加熱処理を行うことによって、上記したような前記スルホン酸基又は前記リン酸基に起因するX線回折スペクトルのピーク強度と、前記パーフルオロアルキル鎖に起因するX線回折スペクトルのピーク強度との比(前者/後者)が、1.00以下の前記プロトン伝導性固体高分子を得ることができる。即ち、前記加熱処理された前記プロトン伝導性固体高分子は、非加熱の前記プロトン伝導性固体高分子と分子配向性が異なる。なお、前記プロトン伝導性固体高分子は、前記加熱処理の後に冷却しても、分子配向性が変化した状態を保持する。
【0025】
ここで、前記加熱処理の温度が160℃未満の場合、上記したような前記スルホン酸基又は前記リン酸基に起因するX線回折スペクトルのピーク強度と、前記パーフルオロアルキル鎖に起因するX線回折スペクトルのピーク強度との比(前者/後者)が、1.00以下とならず、前記プロトン伝導性固体高分子の分子配向性を変えることができない。また、220℃を超える場合、分子配向性は変わるが、前記プロトン伝導性固体高分子が分解し易くなる。また、前記加熱処理の時間は特に限定されない。
【0026】
本発明の第1のイオン伝導体の製造方法において、前記イオン伝導性高分子の一部分のみを前記加熱処理することも可能である。
【0027】
前記加熱処理を行ったパーフルオロスルホン酸等のイオン伝導性高分子を含む層の厚みは特に限定するものではないが、5μm〜1mmが好ましく、10〜500μmがより好ましい。
【0028】
また、プレス処理の条件は特に限定するものではないが、プレス圧は数トン/cm2以下、特に1トン/cm2以下、更には0.1トン/cm2程度が望ましい。
【0029】
次に、本発明の好ましい実施の形態を図面参照下に説明する。
【0030】
図1は、本発明に基づくイオン伝導体の一例の概略断面図である。
【0031】
図1に示すように、本発明に基づくイオン伝導体1は、非加熱のプロトン伝導性固体高分子層2及び3の間に、前記加熱処理によって非加熱プロトン伝導性固体高分子層2、3と分子配向性が異なるプロトン伝導性固体高分子層4が挟持されている。
【0032】
本発明に基づくイオン伝導体1は、非加熱のプロトン伝導性固体高分子層2及び3の間に、これらのプロトン伝導性固体高分子層2、3と分子配向性が異なるプロトン伝導性固体高分子層4が挟持されているので、例えば燃料電池等の電気化学デバイスに適用した場合、イオン伝導体1の厚みを厚くしなくても、メタノール等の燃料の透過量を大幅に低減することができ、燃料のリークによる出力の低下を低減することができる。
【0033】
前記イオン解離性の基、特にプロトン解離性の基としては、−OH、−OSO3H、−COOH、−SO3H、−OPO(OH)2、−C6H4−SO3H等を挙げることができ、中でも−PO(OH)2、−SO3H又は−COOHが好ましい。前記プロトン解離性の基として、前記−PO(OH)2を用いた場合、1つの前記プロトン解離性の基につき、解離できるプロトンの数が2つであるため、高いプロトン伝導率を得ることができ、また、より一層の化学的安定性の向上を図ることができる。また、前記−SO3Hを用いた場合、より高いプロトン解離性のため、より一層の高いプロトン伝導率を得ることができる。例えば、前記プロトン解離性の基としてスルホン酸基(−SO3H)を用いる場合、前記プロトン伝導性固体高分子としてはナフィオン(登録商標)を挙げることができる。
【0034】
また、本発明に基づくイオン伝導体は、各種の電気化学デバイスに好適に使用できる。即ち、第1極と、第2極と、これらの両極間に挟持されたプロトン伝導体とからなる基本的構造体において、そのプロトン伝導体に本発明に基づくイオン伝導体を好ましく適用することができる。
【0035】
更に具体的に言うと、前記第1極及び/又は前記第2極が、ガス電極である電気化学デバイスとか、前記第1極及び/又は前記第2極に活物質性電極を用いる電気化学デバイスなどに対し、本発明に基づくイオン伝導体を好ましく適用することが可能である。
【0036】
以下、本発明に基づくイオン伝導体を、前記第1極に燃料が供給されかつ前記第2極に酸素が供給されてなる燃料電池に適用した例について説明する。
【0037】
図2は、燃料電池として構成された本発明に基づく電気化学デバイスの一例の概略断面図である。
【0038】
この燃料電池は、互いに対向する、端子5付きの負極(燃料極又は水素極)6、及び端子7付きの正極(酸素極)8を有し、これらの両極間に電解質として使用することができるイオン伝導体1が挟着されている。また、負極6及び正極8はそれぞれ、触媒層9を有している。
【0039】
イオン伝導体1は、図示するように、2層のナフィオン(登録商標)等からなるプロトン伝導性固体高分子層10間に、前記加熱処理によって非加熱のナフィオン(登録商標)層10とは分子配向性を異ならせたナフィオン(登録商標)等からなるプロトン伝導性固体高分子層11が挟持されている。
【0040】
この場合、非加熱のプロトン伝導性固体高分子層10間に、前記加熱処理によってプロトン伝導性固体高分子層10とは分子配向性を異ならせたプロトン伝導性固体高分子層11が挟持されているので、非加熱のプロトン伝導性固体高分子層10が接着材としても機能し、イオン伝導体1と電極6、8との接着性に優れ、膜強度にも優れている。
【0041】
この燃料電池のメカニズムは、使用時には、負極6側ではメタノール水溶液流路12中にメタノール水溶液が通される。燃料(メタノール)が流路12を通過する間に水素イオンを発生し、この水素イオンは負極6で発生した水素イオン及びイオン伝導体1で発生した水素イオンと共に正極8側へ移動し、そこでO2流路13を通る酸素(空気)と反応し、これにより所望の起電力が取り出される。
【0042】
ここで、触媒層9付きの負極6、イオン伝導体1及び触媒層9付きの正極8からなるMEA膜が複数個積層されて一体構造に形成されていてもよく、この場合は、より高い起電力を容易に得られるという効果がある。また、燃料としてメタノール水溶液を用いる例を説明したが、流路12中に水素ガス等を通してもよい。
【0043】
かかる燃料電池は、イオン伝導体1が、2層の非加熱のプロトン伝導性固体高分子層10間に、前記加熱処理によって非加熱のプロトン伝導性固体高分子層10とは分子配向性を異ならせたプロトン伝導性固体高分子層11が挟持されてなるので、メタノール等の燃料の透過量を大幅に低減することができ、燃料のリークによる出力の経時劣化を低減することができる。
【0044】
【実施例】
以下、本発明に基づく実施例について説明する。
【0045】
実施例1
ナフィオン(登録商標)111(Dupont社製)を空気中、200℃で5分間加熱プレスした(0.1トン/cm2)。この加熱処理したナフィオン(登録商標)111をX線無反射板に貼り付け、XRD(X−ray diffractometry)によるX線回折計(CuKα線)(リガク社製)を用いて回折角度2〜25°まで測定した。スキャン速度は2°/分とし、測定は常温・常圧で行った。図3に、測定結果を示す。なお、非加熱のナフィオン(登録商標)111(25℃で5分間、0.1トン/cm2でプレス)についても上記と同様に測定を行い、結果を図3に併せて示した。
【0046】
図3より明らかなように、加熱処理したナフィオン(登録商標)膜と非加熱のナフィオン(登録商標)膜との構造規則性は同程度であったが、スルホン酸基の配向に起因する回折角度2〜4°の範囲におけるピーク強度が互いに異なった結果となった。即ち、加熱処理することによってスルホン酸基の配向性(即ち、分子配向性)が変化し、X線回折の回折角度2θが2°以上、4°以下である範囲に発現するピーク強度(これはスルホン酸基に起因する)と、X線回折の回折角度2θが17°以上、19°以下である範囲に発現するピーク強度(これはパーフルオロアルキル鎖に起因する)との比(前者/後者)を、1.00以下とすることができた。なお、非加熱のナフィオン(登録商標)膜の場合、スルホン酸基に起因するX線回折の回折角度2θが2°以上、4°以下である範囲に発現するピーク強度と、パーフルオロアルキル鎖に起因するX線回折の回折角度2θが17°以上、19°以下である範囲に発現するピーク強度との比(前者/後者)は、1.00を超えた。
【0047】
実施例2
本実施例は、ナフィオン(登録商標)の加熱処理温度を変化させて作製した各サンプルについて、実施例1と同様にしてX線回折を行った。図4は、加熱処理温度とXRD相対強度(%)の関係を示すグラフである。なお、上記のXRD相対強度とは、スルホン酸基に起因するX線回折の回折角度2θが3°のピーク強度と、パーフルオロアルキル鎖に起因するX線回折の回折角度2θが18°のピーク強度との比(前者/後者)である。
【0048】
実施例3
本実施例は、ナフィオン(登録商標)の加熱処理温度を変化させて作製した各サンプルについて、熱重量分析を行った。図5は、加熱処理温度と膜の重量(μg)の関係を示すグラフである。
【0049】
図4より明らかなように、スルホン酸基に起因するX線回折の回折角度2θが3°のピーク強度と、パーフルオロアルキル鎖に起因するX線回折の回折角度2θが18°のピーク強度との比(前者/後者)を1.00以下とするためには、前記加熱処理の温度を160℃以上とすることが重要であり、180℃以上が好ましいことが分かる。
【0050】
また、図4及び5より明らかなように、前記加熱処理の温度が220℃を超えた場合、スルホン酸基の配向性は変化したが、ナフィオン(登録商標)層が分解し始めた。
【0051】
従って、前記加熱処理温度は、160〜220℃と特定することが重要であり、180〜220℃とすることが好ましい。
【0052】
実施例4
まず、加熱処理によって分子配向性が変化したナフィオン(登録商標)層(厚さ25μm)を作製した。次に、厚さ25μmの非加熱のナフィオン(登録商標)層を、上記に作製した加熱処理したナフィオン(登録商標)層の両側に配置し、これらを前記加熱処理温度よりも低い温度でプレスして厚さ75μmのMEA(Membrane & Electrode Assembly)を作製した。
【0053】
上記に得られたMEAについて、東洋テクニカ(株)社製のインピーダンスアナライザを用いて、開放電圧(OCV)での複素インピーダンスを測定した。そして、得られたインピーダンスデータから膜(MEA)抵抗と分極抵抗を分離して求めた。測定は25℃で行った。
【0054】
図6は、上記の加熱処理の際に温度を変化させて前記MEAを作製し、この加熱処理温度と、膜抵抗及び分極抵抗との関係を示すグラフである。
【0055】
上記に図4を参照して説明したように、前記加熱処理の温度が150℃のときはナフィオン(登録商標)のスルホン酸基の配向は変化しないので、図6に示すように、膜抵抗は0.073Ωと低く、一方、分極抵抗は10Ωと高かった。そして、前記加熱処理の温度が上昇するに伴って分子配向性が変化し、膜抵抗は上昇したが、一方、分極抵抗は低下した。分極抵抗の低下は、カソード反応が早くなること、即ち燃料のリーク量が低減することを意味する。
【0056】
従って、本発明に基づくイオン伝導体は、非加熱のナフィオン(登録商標)層間に、前記加熱処理によって前記非加熱のナフィオン(登録商標)層と分子配向性が異なるナフィオン(登録商標)層を挟持させているので、燃料の透過量を大幅に低減することができ、燃料のリークによる出力の低下を低減することができる。また、前記加熱処理の温度は、160〜220℃と特定することが重要であり、180〜220℃が好ましい。
【0057】
実施例5
まず、200℃で加熱処理を5分間行うことによって分子配向性が変化したナフィオン(登録商標)層(厚さ25μm)を作製した。次に、厚さ25μmの非加熱のナフィオン(登録商標)層を上記に作製した加熱処理したナフィオン(登録商標)層の両側に配置し、前記加熱処理の温度よりも低い温度でプレスして厚さ75μmのMEAを作製した。
【0058】
上記のようにして作製したMEAに、5cm2の触媒面積を有するアノード電極及びカソード電極を設置し、図2に示すような燃料電池を作製した。そして、この燃料電池に、カソード電極に50cc/分の酸素ガス、アノード電極に10cc/分の1M メタノール水溶液を還流した。セル温度を25℃、60℃と設定し、電流密度及び開放電圧(OCV)を測定した。なお、電流密度は0V短絡時の電流を読み取り、またOCVは電流を流さない状態での電圧を読み取った。結果を図7に示す。
【0059】
また、比較例として、厚さ25μmの非加熱のナフィオン(登録商標)層を3層積層させてプレスし、厚さ75μmのMEAを作製し、上記と同様にして電流密度及び開放電圧を測定した。
【0060】
図7より明らかなように、本発明に基づく電気化学デバイスは、2層の非加熱のナフィオン(登録商標)層間に、これらの非加熱のナフィオン(登録商標)層と分子配向性が異なるナフィオン(登録商標)層が挟持されているので、非加熱のナフィオン(登録商標)層を3層積層させてなるMEAに比べて、特に常温において、OCVは0.50Vから0.63Vにまで向上し、電流密度も約3倍に向上した。
【0061】
以上、本発明を実施の形態及び実施例について説明したが、上述の例は、本発明の技術的思想に基づき種々に変形が可能である。
【0062】
例えば、本発明に基づくイオン伝導体において、前記イオン伝導性固体高分子層の層の厚さ、層の数、また積層の順番等はいずれも特に限定されず、任意に変更可能である。
【0063】
また、上記の実施例において、2層の非加熱のナフィオン(登録商標)間に、加熱したナフィオン(登録商標)を挟持させ、これらをプレスしてイオン伝導体を作製する例を示したが、本発明に基づく第1のイオン伝導体の製造方法は、例えば非加熱のナフィオン(登録商標)の一部分のみを前記加熱処理することも可能である。
【0064】
さらに、前記燃料電池等の本発明に基づく電気化学デバイスにおいて、その形状、構成、材質等は本発明を逸脱しない限り、適宜選択可能である。
【0065】
【発明の作用効果】
本発明の第1のイオン伝導体によれば、前記イオン解離性の基が前記パーフルオロアルキル鎖に結合してなる前記イオン伝導性高分子からなるイオン伝導性固体高分子層の複数個が複合され、この複合体の一部分が、他の部分に対し分子配向性が異なるイオン伝導性高分子からなっているので、従来例のように、前記イオン伝導体の厚みを厚くしなくても、メタノール等の燃料の透過量を低減することができ、燃料のリークによる出力の低下を低減することができる。
【0066】
また、本発明の第2及び3のイオン伝導体によれば、前記スルホン酸基又は前記リン酸基に起因するX線回折スペクトルのピーク強度と、前記パーフルオロアルキル鎖に起因するX線回折スペクトルのピーク強度との比(前者/後者)が、1.00以下であるか、或いはX線回折の回折角度2θが2°以上、4°以下である範囲に発現するピーク強度と、X線回折の回折角度2θが17°以上、19°以下である範囲に発現するピーク強度との比(前者/後者)が、1.00以下であるので、上述した分子配向性が異なるイオン伝導性高分子となり、これを用いて本発明の第1のイオン伝導体と同様の効果を奏することができる。即ち、従来例のように、前記イオン伝導体の厚みを厚くしなくても、メタノール等の燃料の透過量を低減することができ、燃料のリークによる出力の低下を低減することができる。
【0067】
本発明の第1及び第2のイオン伝導体の製造方法において、前記加熱処理の温度範囲を160〜220℃と特定するのが重要であり、これにより上述した優れた特性を有する本発明のイオン伝導体を得ることができる。160℃未満の場合、温度が低すぎるために上述したような優れた特性を有する本発明のイオン伝導体が得られ難く、また、220℃を超える場合、前記イオン伝導性高分子が分解し易い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における、本発明に基づくイオン伝導体の一例の概略断面図である。
【図2】同、本発明に基づく電気化学デバイスの一例の概略断面図である。
【図3】本発明の実施例による、加熱処理によって分子配向性が変化したナフィオン(登録商標)のX線回折結果を比較して示すグラフである。
【図4】同、前記加熱処理の温度と、X線回折によるXRD相対強度との関係を示すグラフである。
【図5】同、前記加熱処理の温度と、膜の重量との関係を示すグラフである。
【図6】同、前記加熱処理の温度と、膜抵抗又は分極抵抗との関係を示すグラフである。
【図7】同、本発明に基づくイオン伝導体の電流密度及び開放電圧を比較して示すグラフである。
【符号の説明】
1…イオン伝導体、2、3、10…非加熱のプロトン伝導性固体高分子層、
4、11…加熱処理によって前記非加熱のプロトン伝導性固体高分子層とは分子配向性が異なったプロトン伝導性固体高分子層、5、7…端子、6…負極、
8…正極、9…触媒層、12…メタノール流路、13…酸素ガス流路
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオン伝導体、その製造方法及び電気化学デバイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アノード電極と、カソード電極と、固体高分子電解質によって形成されたイオン伝導体とからなるMEA(Membrane & Electrode Assembly)を有し、アルコール水溶液等を燃料とする電気化学装置では現在、パーフルオロスルホン酸樹脂(DuPont社製のナフィオン(登録商標)など)のような高いイオン伝導性を持つポリマーが、イオン伝導体及び電極内バインダーとして用いられている(例えば、後記の特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0003】
一方、燃料としては、メタノール等のアルコール類が主に使用されている。また、他に水素ガス、ジメチルエーテル(DME)、ジエチルエーテル(DEE)等の有機物の研究例もある(例えば、後記の特許文献3参照。)。
【0004】
これらの中でも、燃料としてのメタノールをアノード電極で直接反応させるダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC)は、高エネルギー密度が実現されるため、小型携帯燃料電池等で次世代電源としての期待が高まっている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭61−67787号公報(第11欄16行目〜第15欄7行目)
【特許文献2】
特開昭61−67788号公報(第12欄9行目〜第16欄2行目)
【特許文献3】
特公平3−208260号公報(第3頁右下欄1行目〜16行目、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般的に、上述したナフィオン(登録商標)等の固体高分子電解質はメタノール等のアルコール水溶液を透過し易い。これをメタノールクロスオーバー現象と呼ぶ。従って、ナフィオン(登録商標)等を用いた場合、燃料がリークし、カソードの反応速度が遅くなるという問題点があった。
【0007】
この問題を解決するために、ダイレクトメタノール燃料電池(DMFC)の実用化研究に携わる研究開発機関では、固体高分子電解質の膜厚を厚くすることで(例えば120μm以上)、メタノールの透過量を減らしていた。しかしながら、膜を厚くすると膜抵抗が上昇し、特に常温における、開放電圧(電流=0)付近で分極が大きくなり、エネルギー効率が低下していた。
【0008】
本発明は、上述したような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、燃料のリークによる出力特性の低下を低減することができるイオン伝導体、その製造方法及び電気化学デバイスを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、イオン解離性の基がパーフルオロアルキル鎖に結合してなるイオン伝導性高分子からなるイオン伝導性固体高分子層の複数個が複合され、この複合体の一部分が、他の部分に対し分子配向性が異なるイオン伝導性高分子からなっている、イオン伝導体に係るものである(以下、本発明の第1のイオン伝導体と称する。)。
【0010】
また、スルホン酸基又はリン酸基が結合したパーフルオロアルキル鎖を有するイオン伝導性高分子からなり、前記スルホン酸基又は前記リン酸基に起因するX線回折(XRD)スペクトルのピーク強度と、前記パーフルオロアルキル鎖に起因するX線回折スペクトルのピーク強度との比(前者/後者)が、1.00以下である、イオン伝導体に係るものである(以下、本発明の第2のイオン伝導体と称する。)。
【0011】
さらに、スルホン酸基又はリン酸基が結合したパーフルオロアルキル鎖を有するイオン伝導性高分子からなり、X線回折の回折角度2θが2°以上、4°以下である範囲に発現するピーク強度と、X線回折の回折角度2θが17°以上、19°以下である範囲に発現するピーク強度との比(前者/後者)が、1.00以下である、イオン伝導体に係るものである(以下、本発明の第3のイオン伝導体と称する。)。
【0012】
また、イオン解離性の基がパーフルオロアルキル鎖に結合してなるイオン伝導性高分子を160〜220℃の温度範囲で加熱処理する工程を有する、イオン伝導体の製造方法に係るものである(以下、本発明の第1のイオン伝導体の製造方法と称する。)。
【0013】
また、イオン解離性の基がパーフルオロアルキル鎖に結合してなるイオン伝導性高分子を含む膜を160〜220℃の温度範囲で加熱処理した加熱処理膜を得る工程と;前記イオン伝導性高分子を含む他の膜と前記加熱処理膜とをプレス処理する工程と;を有する、イオン伝導体の製造方法に係るものである(以下、本発明の第2のイオン伝導体の製造方法と称する。)。
【0014】
さらに、第1極と第2極との間に、上記した本発明の第1、第2又は第3のイオン伝導体が挟持されている、電気化学デバイス、例えば燃料電池に係るものである。
【0015】
ここで、上記の「イオン解離性の基」とは、プロトン(H+)等のイオンが電離により離脱し得る基を意味し、また「イオンの解離」とは、電離によりプロトン等のイオンが基から離れることを意味する(以下、同様)。
【0016】
本発明の第1のイオン伝導体によれば、前記イオン解離性の基が前記パーフルオロアルキル鎖に結合してなる前記イオン伝導性高分子からなるイオン伝導性固体高分子層の複数個が複合され、この複合体の一部分が、他の部分に対し分子配向性が異なるイオン伝導性高分子からなっているので、従来例のように、前記イオン伝導体の厚みを厚くしなくても、メタノール等の燃料の透過量を低減することができ、燃料のリークによる出力の低下を低減することができる。
【0017】
また、本発明の第2及び3のイオン伝導体によれば、前記スルホン酸基又は前記リン酸基に起因するX線回折スペクトルのピーク強度と、前記パーフルオロアルキル鎖に起因するX線回折スペクトルのピーク強度との比(前者/後者)が、1.00以下であるか、或いはX線回折の回折角度2θが2°以上、4°以下である範囲に発現するピーク強度と、X線回折の回折角度2θが17°以上、19°以下である範囲に発現するピーク強度との比(前者/後者)が、1.00以下であるので、上述した分子配向性が異なるイオン伝導性高分子となり、これを用いて本発明の第1のイオン伝導体と同様の効果を奏することができる。即ち、従来例のように、前記イオン伝導体の厚みを厚くしなくても、メタノール等の燃料の透過量を低減することができ、燃料のリークによる出力の低下を低減することができる。
【0018】
本発明の第1又は第2のイオン伝導体の製造方法において、前記加熱処理の温度範囲を160〜220℃と特定するのが重要であり、これにより、上述した優れた特性を有する本発明の第1、第2又は第3のイオン伝導体を得ることができる。160℃未満の場合、温度が低すぎるために上述したような優れた特性を有する本発明のイオン伝導体が得られ難く、また、220℃を超える場合、前記イオン伝導性高分子が分解し易い。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の第1のイオン伝導体は、複数のプロトン伝導性固体高分子層間に、これらのプロトン伝導性固体高分子層と分子配向性が異なるプロトン伝導性固体高分子層が挟持されていることが好ましい。
【0020】
また、前記の分子配向性が異なるプロトン伝導性固体高分子が、スルホン酸基又はリン酸基が結合したパーフルオロアルキル鎖を有し、前記スルホン酸基又は前記リン酸基に起因するX線回折スペクトルのピーク強度と、前記パーフルオロアルキル鎖に起因するX線回折スペクトルのピーク強度との比(前者/後者)が、1.00以下であることが望ましい。
【0021】
具体的には、前記の分子配向性が異なるプロトン伝導性固体高分子が、スルホン酸基が結合したパーフルオロアルキル鎖を有し、X線回折の回折角度2θが2°以上、4°以下である範囲に発現するピーク強度と、X線回折の回折角度2θが17°以上、19°以下である範囲に発現するピーク強度との比(前者/後者)が、1.00以下であることが好ましい。
【0022】
本発明の第2又は第3のイオン伝導体は、前記イオン伝導性高分子を含む層と、このイオン伝導性高分子とは異なる物性の他のイオン伝導性高分子を含む層とからなることが好ましい。
【0023】
また、パーフルオロスルホン酸等の前記他のイオン伝導性高分子を含む2層の間に、前記イオン伝導性高分子を含む層が挟持されていることが好ましい。この場合、前記他のイオン伝導性高分子を含む2層の間に、前記イオン伝導性高分子を含む層が挟持されるので、前記他のイオン伝導性高分子を含む層が接着材としても機能することができ、例えば、本発明の第2又は第3のイオン伝導体と電極との接着性に優れ、膜強度にも優れている。
【0024】
本発明の第1又は第2のイオン伝導体の製造方法において、前記加熱処理は、160〜220℃とするが、180〜220℃の温度範囲で行うことが好ましい。前記加熱処理を行うことによって、上記したような前記スルホン酸基又は前記リン酸基に起因するX線回折スペクトルのピーク強度と、前記パーフルオロアルキル鎖に起因するX線回折スペクトルのピーク強度との比(前者/後者)が、1.00以下の前記プロトン伝導性固体高分子を得ることができる。即ち、前記加熱処理された前記プロトン伝導性固体高分子は、非加熱の前記プロトン伝導性固体高分子と分子配向性が異なる。なお、前記プロトン伝導性固体高分子は、前記加熱処理の後に冷却しても、分子配向性が変化した状態を保持する。
【0025】
ここで、前記加熱処理の温度が160℃未満の場合、上記したような前記スルホン酸基又は前記リン酸基に起因するX線回折スペクトルのピーク強度と、前記パーフルオロアルキル鎖に起因するX線回折スペクトルのピーク強度との比(前者/後者)が、1.00以下とならず、前記プロトン伝導性固体高分子の分子配向性を変えることができない。また、220℃を超える場合、分子配向性は変わるが、前記プロトン伝導性固体高分子が分解し易くなる。また、前記加熱処理の時間は特に限定されない。
【0026】
本発明の第1のイオン伝導体の製造方法において、前記イオン伝導性高分子の一部分のみを前記加熱処理することも可能である。
【0027】
前記加熱処理を行ったパーフルオロスルホン酸等のイオン伝導性高分子を含む層の厚みは特に限定するものではないが、5μm〜1mmが好ましく、10〜500μmがより好ましい。
【0028】
また、プレス処理の条件は特に限定するものではないが、プレス圧は数トン/cm2以下、特に1トン/cm2以下、更には0.1トン/cm2程度が望ましい。
【0029】
次に、本発明の好ましい実施の形態を図面参照下に説明する。
【0030】
図1は、本発明に基づくイオン伝導体の一例の概略断面図である。
【0031】
図1に示すように、本発明に基づくイオン伝導体1は、非加熱のプロトン伝導性固体高分子層2及び3の間に、前記加熱処理によって非加熱プロトン伝導性固体高分子層2、3と分子配向性が異なるプロトン伝導性固体高分子層4が挟持されている。
【0032】
本発明に基づくイオン伝導体1は、非加熱のプロトン伝導性固体高分子層2及び3の間に、これらのプロトン伝導性固体高分子層2、3と分子配向性が異なるプロトン伝導性固体高分子層4が挟持されているので、例えば燃料電池等の電気化学デバイスに適用した場合、イオン伝導体1の厚みを厚くしなくても、メタノール等の燃料の透過量を大幅に低減することができ、燃料のリークによる出力の低下を低減することができる。
【0033】
前記イオン解離性の基、特にプロトン解離性の基としては、−OH、−OSO3H、−COOH、−SO3H、−OPO(OH)2、−C6H4−SO3H等を挙げることができ、中でも−PO(OH)2、−SO3H又は−COOHが好ましい。前記プロトン解離性の基として、前記−PO(OH)2を用いた場合、1つの前記プロトン解離性の基につき、解離できるプロトンの数が2つであるため、高いプロトン伝導率を得ることができ、また、より一層の化学的安定性の向上を図ることができる。また、前記−SO3Hを用いた場合、より高いプロトン解離性のため、より一層の高いプロトン伝導率を得ることができる。例えば、前記プロトン解離性の基としてスルホン酸基(−SO3H)を用いる場合、前記プロトン伝導性固体高分子としてはナフィオン(登録商標)を挙げることができる。
【0034】
また、本発明に基づくイオン伝導体は、各種の電気化学デバイスに好適に使用できる。即ち、第1極と、第2極と、これらの両極間に挟持されたプロトン伝導体とからなる基本的構造体において、そのプロトン伝導体に本発明に基づくイオン伝導体を好ましく適用することができる。
【0035】
更に具体的に言うと、前記第1極及び/又は前記第2極が、ガス電極である電気化学デバイスとか、前記第1極及び/又は前記第2極に活物質性電極を用いる電気化学デバイスなどに対し、本発明に基づくイオン伝導体を好ましく適用することが可能である。
【0036】
以下、本発明に基づくイオン伝導体を、前記第1極に燃料が供給されかつ前記第2極に酸素が供給されてなる燃料電池に適用した例について説明する。
【0037】
図2は、燃料電池として構成された本発明に基づく電気化学デバイスの一例の概略断面図である。
【0038】
この燃料電池は、互いに対向する、端子5付きの負極(燃料極又は水素極)6、及び端子7付きの正極(酸素極)8を有し、これらの両極間に電解質として使用することができるイオン伝導体1が挟着されている。また、負極6及び正極8はそれぞれ、触媒層9を有している。
【0039】
イオン伝導体1は、図示するように、2層のナフィオン(登録商標)等からなるプロトン伝導性固体高分子層10間に、前記加熱処理によって非加熱のナフィオン(登録商標)層10とは分子配向性を異ならせたナフィオン(登録商標)等からなるプロトン伝導性固体高分子層11が挟持されている。
【0040】
この場合、非加熱のプロトン伝導性固体高分子層10間に、前記加熱処理によってプロトン伝導性固体高分子層10とは分子配向性を異ならせたプロトン伝導性固体高分子層11が挟持されているので、非加熱のプロトン伝導性固体高分子層10が接着材としても機能し、イオン伝導体1と電極6、8との接着性に優れ、膜強度にも優れている。
【0041】
この燃料電池のメカニズムは、使用時には、負極6側ではメタノール水溶液流路12中にメタノール水溶液が通される。燃料(メタノール)が流路12を通過する間に水素イオンを発生し、この水素イオンは負極6で発生した水素イオン及びイオン伝導体1で発生した水素イオンと共に正極8側へ移動し、そこでO2流路13を通る酸素(空気)と反応し、これにより所望の起電力が取り出される。
【0042】
ここで、触媒層9付きの負極6、イオン伝導体1及び触媒層9付きの正極8からなるMEA膜が複数個積層されて一体構造に形成されていてもよく、この場合は、より高い起電力を容易に得られるという効果がある。また、燃料としてメタノール水溶液を用いる例を説明したが、流路12中に水素ガス等を通してもよい。
【0043】
かかる燃料電池は、イオン伝導体1が、2層の非加熱のプロトン伝導性固体高分子層10間に、前記加熱処理によって非加熱のプロトン伝導性固体高分子層10とは分子配向性を異ならせたプロトン伝導性固体高分子層11が挟持されてなるので、メタノール等の燃料の透過量を大幅に低減することができ、燃料のリークによる出力の経時劣化を低減することができる。
【0044】
【実施例】
以下、本発明に基づく実施例について説明する。
【0045】
実施例1
ナフィオン(登録商標)111(Dupont社製)を空気中、200℃で5分間加熱プレスした(0.1トン/cm2)。この加熱処理したナフィオン(登録商標)111をX線無反射板に貼り付け、XRD(X−ray diffractometry)によるX線回折計(CuKα線)(リガク社製)を用いて回折角度2〜25°まで測定した。スキャン速度は2°/分とし、測定は常温・常圧で行った。図3に、測定結果を示す。なお、非加熱のナフィオン(登録商標)111(25℃で5分間、0.1トン/cm2でプレス)についても上記と同様に測定を行い、結果を図3に併せて示した。
【0046】
図3より明らかなように、加熱処理したナフィオン(登録商標)膜と非加熱のナフィオン(登録商標)膜との構造規則性は同程度であったが、スルホン酸基の配向に起因する回折角度2〜4°の範囲におけるピーク強度が互いに異なった結果となった。即ち、加熱処理することによってスルホン酸基の配向性(即ち、分子配向性)が変化し、X線回折の回折角度2θが2°以上、4°以下である範囲に発現するピーク強度(これはスルホン酸基に起因する)と、X線回折の回折角度2θが17°以上、19°以下である範囲に発現するピーク強度(これはパーフルオロアルキル鎖に起因する)との比(前者/後者)を、1.00以下とすることができた。なお、非加熱のナフィオン(登録商標)膜の場合、スルホン酸基に起因するX線回折の回折角度2θが2°以上、4°以下である範囲に発現するピーク強度と、パーフルオロアルキル鎖に起因するX線回折の回折角度2θが17°以上、19°以下である範囲に発現するピーク強度との比(前者/後者)は、1.00を超えた。
【0047】
実施例2
本実施例は、ナフィオン(登録商標)の加熱処理温度を変化させて作製した各サンプルについて、実施例1と同様にしてX線回折を行った。図4は、加熱処理温度とXRD相対強度(%)の関係を示すグラフである。なお、上記のXRD相対強度とは、スルホン酸基に起因するX線回折の回折角度2θが3°のピーク強度と、パーフルオロアルキル鎖に起因するX線回折の回折角度2θが18°のピーク強度との比(前者/後者)である。
【0048】
実施例3
本実施例は、ナフィオン(登録商標)の加熱処理温度を変化させて作製した各サンプルについて、熱重量分析を行った。図5は、加熱処理温度と膜の重量(μg)の関係を示すグラフである。
【0049】
図4より明らかなように、スルホン酸基に起因するX線回折の回折角度2θが3°のピーク強度と、パーフルオロアルキル鎖に起因するX線回折の回折角度2θが18°のピーク強度との比(前者/後者)を1.00以下とするためには、前記加熱処理の温度を160℃以上とすることが重要であり、180℃以上が好ましいことが分かる。
【0050】
また、図4及び5より明らかなように、前記加熱処理の温度が220℃を超えた場合、スルホン酸基の配向性は変化したが、ナフィオン(登録商標)層が分解し始めた。
【0051】
従って、前記加熱処理温度は、160〜220℃と特定することが重要であり、180〜220℃とすることが好ましい。
【0052】
実施例4
まず、加熱処理によって分子配向性が変化したナフィオン(登録商標)層(厚さ25μm)を作製した。次に、厚さ25μmの非加熱のナフィオン(登録商標)層を、上記に作製した加熱処理したナフィオン(登録商標)層の両側に配置し、これらを前記加熱処理温度よりも低い温度でプレスして厚さ75μmのMEA(Membrane & Electrode Assembly)を作製した。
【0053】
上記に得られたMEAについて、東洋テクニカ(株)社製のインピーダンスアナライザを用いて、開放電圧(OCV)での複素インピーダンスを測定した。そして、得られたインピーダンスデータから膜(MEA)抵抗と分極抵抗を分離して求めた。測定は25℃で行った。
【0054】
図6は、上記の加熱処理の際に温度を変化させて前記MEAを作製し、この加熱処理温度と、膜抵抗及び分極抵抗との関係を示すグラフである。
【0055】
上記に図4を参照して説明したように、前記加熱処理の温度が150℃のときはナフィオン(登録商標)のスルホン酸基の配向は変化しないので、図6に示すように、膜抵抗は0.073Ωと低く、一方、分極抵抗は10Ωと高かった。そして、前記加熱処理の温度が上昇するに伴って分子配向性が変化し、膜抵抗は上昇したが、一方、分極抵抗は低下した。分極抵抗の低下は、カソード反応が早くなること、即ち燃料のリーク量が低減することを意味する。
【0056】
従って、本発明に基づくイオン伝導体は、非加熱のナフィオン(登録商標)層間に、前記加熱処理によって前記非加熱のナフィオン(登録商標)層と分子配向性が異なるナフィオン(登録商標)層を挟持させているので、燃料の透過量を大幅に低減することができ、燃料のリークによる出力の低下を低減することができる。また、前記加熱処理の温度は、160〜220℃と特定することが重要であり、180〜220℃が好ましい。
【0057】
実施例5
まず、200℃で加熱処理を5分間行うことによって分子配向性が変化したナフィオン(登録商標)層(厚さ25μm)を作製した。次に、厚さ25μmの非加熱のナフィオン(登録商標)層を上記に作製した加熱処理したナフィオン(登録商標)層の両側に配置し、前記加熱処理の温度よりも低い温度でプレスして厚さ75μmのMEAを作製した。
【0058】
上記のようにして作製したMEAに、5cm2の触媒面積を有するアノード電極及びカソード電極を設置し、図2に示すような燃料電池を作製した。そして、この燃料電池に、カソード電極に50cc/分の酸素ガス、アノード電極に10cc/分の1M メタノール水溶液を還流した。セル温度を25℃、60℃と設定し、電流密度及び開放電圧(OCV)を測定した。なお、電流密度は0V短絡時の電流を読み取り、またOCVは電流を流さない状態での電圧を読み取った。結果を図7に示す。
【0059】
また、比較例として、厚さ25μmの非加熱のナフィオン(登録商標)層を3層積層させてプレスし、厚さ75μmのMEAを作製し、上記と同様にして電流密度及び開放電圧を測定した。
【0060】
図7より明らかなように、本発明に基づく電気化学デバイスは、2層の非加熱のナフィオン(登録商標)層間に、これらの非加熱のナフィオン(登録商標)層と分子配向性が異なるナフィオン(登録商標)層が挟持されているので、非加熱のナフィオン(登録商標)層を3層積層させてなるMEAに比べて、特に常温において、OCVは0.50Vから0.63Vにまで向上し、電流密度も約3倍に向上した。
【0061】
以上、本発明を実施の形態及び実施例について説明したが、上述の例は、本発明の技術的思想に基づき種々に変形が可能である。
【0062】
例えば、本発明に基づくイオン伝導体において、前記イオン伝導性固体高分子層の層の厚さ、層の数、また積層の順番等はいずれも特に限定されず、任意に変更可能である。
【0063】
また、上記の実施例において、2層の非加熱のナフィオン(登録商標)間に、加熱したナフィオン(登録商標)を挟持させ、これらをプレスしてイオン伝導体を作製する例を示したが、本発明に基づく第1のイオン伝導体の製造方法は、例えば非加熱のナフィオン(登録商標)の一部分のみを前記加熱処理することも可能である。
【0064】
さらに、前記燃料電池等の本発明に基づく電気化学デバイスにおいて、その形状、構成、材質等は本発明を逸脱しない限り、適宜選択可能である。
【0065】
【発明の作用効果】
本発明の第1のイオン伝導体によれば、前記イオン解離性の基が前記パーフルオロアルキル鎖に結合してなる前記イオン伝導性高分子からなるイオン伝導性固体高分子層の複数個が複合され、この複合体の一部分が、他の部分に対し分子配向性が異なるイオン伝導性高分子からなっているので、従来例のように、前記イオン伝導体の厚みを厚くしなくても、メタノール等の燃料の透過量を低減することができ、燃料のリークによる出力の低下を低減することができる。
【0066】
また、本発明の第2及び3のイオン伝導体によれば、前記スルホン酸基又は前記リン酸基に起因するX線回折スペクトルのピーク強度と、前記パーフルオロアルキル鎖に起因するX線回折スペクトルのピーク強度との比(前者/後者)が、1.00以下であるか、或いはX線回折の回折角度2θが2°以上、4°以下である範囲に発現するピーク強度と、X線回折の回折角度2θが17°以上、19°以下である範囲に発現するピーク強度との比(前者/後者)が、1.00以下であるので、上述した分子配向性が異なるイオン伝導性高分子となり、これを用いて本発明の第1のイオン伝導体と同様の効果を奏することができる。即ち、従来例のように、前記イオン伝導体の厚みを厚くしなくても、メタノール等の燃料の透過量を低減することができ、燃料のリークによる出力の低下を低減することができる。
【0067】
本発明の第1及び第2のイオン伝導体の製造方法において、前記加熱処理の温度範囲を160〜220℃と特定するのが重要であり、これにより上述した優れた特性を有する本発明のイオン伝導体を得ることができる。160℃未満の場合、温度が低すぎるために上述したような優れた特性を有する本発明のイオン伝導体が得られ難く、また、220℃を超える場合、前記イオン伝導性高分子が分解し易い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における、本発明に基づくイオン伝導体の一例の概略断面図である。
【図2】同、本発明に基づく電気化学デバイスの一例の概略断面図である。
【図3】本発明の実施例による、加熱処理によって分子配向性が変化したナフィオン(登録商標)のX線回折結果を比較して示すグラフである。
【図4】同、前記加熱処理の温度と、X線回折によるXRD相対強度との関係を示すグラフである。
【図5】同、前記加熱処理の温度と、膜の重量との関係を示すグラフである。
【図6】同、前記加熱処理の温度と、膜抵抗又は分極抵抗との関係を示すグラフである。
【図7】同、本発明に基づくイオン伝導体の電流密度及び開放電圧を比較して示すグラフである。
【符号の説明】
1…イオン伝導体、2、3、10…非加熱のプロトン伝導性固体高分子層、
4、11…加熱処理によって前記非加熱のプロトン伝導性固体高分子層とは分子配向性が異なったプロトン伝導性固体高分子層、5、7…端子、6…負極、
8…正極、9…触媒層、12…メタノール流路、13…酸素ガス流路
Claims (10)
- イオン解離性の基がパーフルオロアルキル鎖に結合してなるイオン伝導性高分子からなるイオン伝導性固体高分子層の複数個が複合され、この複合体の一部分が、他の部分に対し分子配向性が異なるイオン伝導性高分子からなっている、イオン伝導体。
- 複数のプロトン伝導性固体高分子層間に、これらのプロトン伝導性固体高分子層と分子配向性が異なるプロトン伝導性固体高分子層が挟持されている、請求項1に記載したイオン伝導体。
- スルホン酸基又はリン酸基が結合したパーフルオロアルキル鎖を有するイオン伝導性高分子からなり、前記スルホン酸基又は前記リン酸基に起因するX線回折スペクトルのピーク強度と、前記パーフルオロアルキル鎖に起因するX線回折スペクトルのピーク強度との比(前者/後者)が、1.00以下である、イオン伝導体。
- スルホン酸基又はリン酸基が結合したパーフルオロアルキル鎖を有するイオン伝導性高分子からなり、X線回折の回折角度2θが2°以上、4°以下である範囲に発現するピーク強度と、X線回折の回折角度2θが17°以上、19°以下である範囲に発現するピーク強度との比(前者/後者)が、1.00以下である、イオン伝導体。
- 前記イオン伝導性高分子を含む層と、このイオン伝導性高分子とは異なる物性の他のイオン伝導性高分子を含む層とからなる、請求項3又は4に記載したイオン伝導体。
- 前記他のイオン伝導性高分子を含む2層の間に、請求項4に記載したイオン伝導性高分子を含む層が挟持されている、請求項5に記載したイオン伝導体。
- 第1極と第2極との間に、請求項1〜6のいずれか1項に記載したイオン伝導体が挟持されている、電気化学デバイス。
- 燃料電池として構成されている、請求項7に記載した電気化学デバイス。
- イオン解離性の基がパーフルオロアルキル鎖に結合してなるイオン伝導性高分子を160〜220℃の温度範囲で加熱処理する工程を有する、イオン伝導体の製造方法。
- イオン解離性の基がパーフルオロアルキル鎖に結合してなるイオン伝導性高分子を含む膜を160〜220℃の温度範囲で加熱処理した加熱処理膜を得る工程と;前記イオン伝導性高分子を含む他の膜と前記加熱処理膜とをプレス処理する工程と;を有する、イオン伝導体の製造方法。
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JP2003131746A JP2004335354A (ja) | 2003-05-09 | 2003-05-09 | イオン伝導体、その製造方法及び電気化学デバイス |
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JP2003131746A JP2004335354A (ja) | 2003-05-09 | 2003-05-09 | イオン伝導体、その製造方法及び電気化学デバイス |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014514697A (ja) * | 2011-03-29 | 2014-06-19 | カウンシル・オブ・サイエンティフィック・アンド・インダストリアル・リサーチ | 膜電極接合体(MEAs)を作成する改良プロセス |
-
2003
- 2003-05-09 JP JP2003131746A patent/JP2004335354A/ja active Pending
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