JP2004335132A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】大電流のパルス充放電を長期にわたり繰り返した場合においても、容量劣化および内部抵抗の増加を最小限に抑え、非水二次電解液二次電池のサイクル寿命を向上させる。
【解決手段】正極板と、非水電解液と、負極板とを備え、正極合剤層が、リチウム含有複合酸化物を含み、両面の正極合剤層の合計厚みが、40μm以上100μm以下であり、電池容量1Ah当たりの正極板の電極面積が、520cm以上800cm以下であり、負極合剤層が、リチウムを吸蔵・放出し得る易黒鉛化性炭素材料を含み、CuKα線を用いて測定される易黒鉛化性炭素材料の広角X線回折パターンにおいて、(101)面に帰属されるピークの強度I(101)と、(100)面に帰属されるピークの強度I(100)との比が、0<I(101)/I(100)<1.0を満たす非水電解液二次電池。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解液二次電池、特に大電流によるパルス充放電サイクル寿命特性に優れた非水電解液二次電池の負極の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
リチウムイオン二次電池などの非水電解液二次電池は、高い作動電圧と高エネルギー密度を有することから、携帯電話、ノート型パソコン、ビデオカムコーダーなどのポータブル電子機器の駆動用電源として実用化され、急速な成長を遂げており、小型二次電池をリードする電池として、生産量は増え続けている。
非水電解液二次電池の正極活物質としては、4V級の高電圧を有するリチウム含有複合酸化物が用いられており、六方晶構造を有するLiCoO、LiNiO、スピネル構造を有するLiMnが一般的である。なかでも作動電圧が高く、高エネルギー密度が得られるLiCoOが主流を占めている。負極には、リチウムイオンを吸蔵・放出し得る炭素材料が用いられており、放電電位がフラットで高容量密度である黒鉛材料が主流を占めている。
【0003】
近年、電力貯蔵や電気自動車などに用いられる大容量で大型の非水電解液二次電池の開発も加速してきている。環境問題の打開策として、ニッケル水素電池を搭載したハイブリッド電気自動車(HEV)は、既に量産ベースで市販されるまでに至っている。一方、ニッケル水素電池の代わりに非水電解液二次電池を搭載したHEVの開発も進められており、一部実用化されている。
【0004】
HEV用途のように、高出力仕様の電池は、要求される性能が、小型民生用途のものとは大きく異なっている。瞬時にエンジンのパワーアシストや回生を行うには、かなりの高出力が非水電解液二次電池に求められる。従って、電池の高エネルギー密度化よりも、むしろ高出力化が優先されることから、電池の内部抵抗を極力小さくする必要がある。そこで、活物質や電解液の開発および選定のみならず、電極の集電構造の改良、部品抵抗の低減、電極の薄型長尺化による電極反応面積の増加などにより、大幅な高出力化が図られている。
【0005】
用途や要求性能が異なることから、小型民生用途で一般的に用いられているLiCoOからなる正極活物質と、黒鉛からなる負極活物質との組み合わせは、大型の非水電解液二次電池においては、必ずしも主流であるとはいえない。LiCoO以外のリチウム含有複合酸化物からなる正極活物質と、難黒鉛化性炭素材料のような低結晶性の炭素材料からなる負極活物質との組み合わせも有望視されている。
【0006】
上述のように、高出力仕様の非水電解液二次電池においては、高出力化が技術開発において重要なポイントとなるが、長寿命化も重要である。また、高出力仕様の非水電解液二次電池においては、充放電サイクル条件も、一般の小型民生用途の電池とは大きく異なる。つまり、放電状態から満充電状態まで連続的に充放電が行われるのではなく、50%〜60%の充電状態を基点として、秒単位のパルス充放電が繰り返される。高出力仕様の非水電解液二次電池には、小電流から大電流まで様々な電流によるパルス充電およびパルス放電を繰り返す能力が必要とされる。
【0007】
しかしながら、このようなパルス充放電を長期にわたり繰り返した場合、電極活物質の充放電能力が低下し、容量劣化を引き起こし、電池の内部抵抗が増加する。その結果、例えばHEV用途では、パワーアシストや回生能力が不充分となり、実用的ではない。
【0008】
なお、これまでに、非水電解液二次電池の負極において、小型民生用途で主流となっている黒鉛材料(特許文献1)、低結晶性である難黒鉛化性炭素材料(特許文献2)、黒鉛化度を制御した疑黒鉛材料(特許文献3)を用いることなどが提案されている。また、広角X線回折パターンにおいて、(101)面に帰属されるピークの強度I(101)と、(100)面に帰属されるピークの強度I(100)との比が、0.7≦I(101)/I(100)≦2.2を満たす炭素材料を用いることが提案されている(特許文献4)。ただし、この提案は、高出力仕様の非水電解液二次電池を想定したものではなく、負極および正極は、それぞれ180μmおよび270μmと厚く、電池容量1Ah当たりの電極面積は125cm〜500cmと小さいものである。
【0009】
しかしながら、黒鉛材料の場合、六方晶層状構造がC軸方向に規則正しく配列されており、充電時には、黒鉛の層間にリチウムがインターカレートされ、層面間隔が押し広げられるため、黒鉛が膨張する。大電流パルス充電を繰り返す場合、リチウムのインターカレーション反応に伴うストレスは大きく、黒鉛の充電受け入れ性は、徐々に低下する。従って、黒鉛を負極に用いると、電池のサイクル劣化が大きくなる。
【0010】
一方、難黒鉛化性炭素の充放電反応機構は、黒鉛の場合とは異なり、充電時に黒鉛の層間へのリチウムのインターカレートはほとんど起こらない。炭素材料の空隙にリチウムが挿入される反応が大半を占めており、充放電に伴う膨張・収縮といったストレスは少ない。しかしながら、難黒鉛化性炭素材料は、黒鉛材料に比べて導電性が低いことから、リチウムがデインターカレートする放電時の内部抵抗が大きくなる。この傾向は、特に大電流放電を繰り返す場合に顕著である。
【0011】
また、疑黒鉛材料は、そのLc値が60nm以上100nm未満であることから、比較的黒鉛化度の高い炭素材料である。従って、黒鉛を用いた場合とほぼ同様に、充電受け入れ性の低下が起こりやすい。
【0012】
炭素材料の広角X線回折パターンにおけるI(101)/I(100)比を制御する提案では、六方晶層状構造が発達した炭素材料が用いられている。この炭素材料は、単結晶に近い黒鉛構造を有する天然黒鉛に比べて、若干の層間のずれ、もしくはねじれを有する。I(101)/I(100)比は、0.8以上が好ましいと述べられており、I(101)/I(100)比が1.0以上の場合に良好な特性が示されている。
【0013】
【特許文献1】
特開2000−260479号
【特許文献2】
特開2000−200624号
【特許文献3】
特開2000−260480号
【特許文献4】
特開平6−275321号
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、大電流のパルス充放電を長期にわたり繰り返した場合においても、容量劣化および内部抵抗の増加を最小限に抑えることによって、非水二次電解液二次電池のサイクル寿命を向上させることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、パルス充放電サイクル時の容量劣化および内部抵抗の増加は、主に負極板に含まれる炭素材料に起因することを見出し、リチウムのインターカレーション反応に伴うストレスを最小限に抑制するべく、炭素材料の種類および結晶性に関する検討を重ねた。そして、炭素材料の黒鉛化過程を厳密に制御すると同時に、電極設計を最適化した。
【0016】
すなわち、本発明は、(a)正極芯材およびその両面に担持された正極合剤層からなる正極板と、(b)非水電解液と、(c)負極芯材およびその両面に担持された負極合剤層からなる負極板とを備えた非水電解液二次電池において、前記正極合剤層が、リチウム含有複合酸化物を含み、前記両面の正極合剤層の合計厚みが、40μm以上100μm以下であり、電池容量1Ah当たりの前記正極板の電極面積が、520cm以上800cm以下であり、前記負極合剤層が、リチウムを吸蔵・放出し得る易黒鉛化性炭素材料を含み、CuKα線を用いて測定される前記易黒鉛化性炭素材料の広角X線回折パターンにおいて、(101)面に帰属されるピークの強度I(101)と、(100)面に帰属されるピークの強度I(100)との比が、式(1):
0<I(101)/I(100)<1.0
を満たす非水電解液二次電池に関する。
【0017】
電池の満充電状態における負極板の容量密度は、170Ah/kg以上250Ah/kg以下であることが好ましい。
前記易黒鉛化性炭素材料のc軸方向の結晶子の厚みLc(004)は、20nm以上60nm未満であり、a軸方向の結晶子の厚みLa(110)が、Lc(004)よりも小さい値であることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の非水電解液二次電池は、(a)正極芯材およびその両面に担持された正極合剤層からなる正極板と、(b)非水電解液と、(c)負極芯材およびその両面に担持された負極合剤層からなる負極板とを備えている。正極芯材、負極芯材および非水電解液には、公知のものを特に限定なく用いることができる。正極合剤層は、一般に、正極活物質、導電材および結着剤を含んでおり、負極合剤層は、一般に、負極活物質および結着剤を含んでいる。ここで、導電材や結着剤には、公知のものを特に限定なく用いることができる。
【0019】
正極合剤層は、活物質として、リチウム含有複合酸化物を含んでいる。リチウム含有複合酸化物には、公知のものを特に限定なく用いることができるが、LiCoO、LiNiO、スピネル構造を有するLiMnなどを例示することができる。また、サイクル寿命特性を向上させるために、複合酸化物に含まれる遷移金属の一部を、他の元素で置換することもできる。例えば、LiNiOのNi元素の一部をCoや他の元素(Al、Mnなど)で置換した複合酸化物を好ましく用いることができる。また、正極製造時にはリチウムを含有しないが、その後のリチウムを含有させる処理によって、リチウム含有複合酸化物を形成する材料を用いることもできる。
【0020】
正極芯材の両面に担持された2つの正極合剤層の合計厚みは、40μm以上100μm以下であり、電池容量1Ah当たりの正極板の電極面積は、520cm以上800cm以下である。ここで、電極面積とは、正確には、正極芯材に担持された正極合剤層の表面の片面あたりの面積を言う。また、厳密な面積ではなく、正極合剤層の表面が完全に平坦であると仮定した場合の面積を言う。それぞれ複数の正極板および負極板を具備する電池(例えば積層型電池)の場合には、正極合剤層の表面の片面あたりの面積に正極板の数を乗じた値が電極面積となる。
なお、正極板および負極板の電池容量1Ah当たりの電極面積は、電極合剤層の厚みと連動して変化する。
【0021】
電池の高出力化を図るためには、内部抵抗の削減が重要である。内部抵抗を削減するには、可能な限り電極反応面積を大きくすることが望ましい。また、電極芯材と電極合剤層の表面との距離を可能な限り短くする、つまり電極合剤層の厚みを小さくすることが望ましい。このような電極構成を採用した上で、後述の易黒鉛化性炭素材料を負極合剤層に用いることにより、大電流パルス充放電サイクル特性を満足することが可能となる。すなわち、大電流パルス充放電サイクル特性を満足するには、負極の黒鉛化度の制御と、好適な電極設計との組み合わせが重要となる。
【0022】
正極合剤層の厚みが40μm未満では、電極面積当たりの電流密度は小さくなるが、電極面積当たりに担持される活物質量が減少するため、活物質重量当たりの電流密度が大きくなる。結果として、正極合剤層の厚みが40μm未満では、高出力仕様の電極に適さない。逆に、正極合剤層の厚みが100μmをこえると、電池の内部抵抗が大きくなると共に、負極板に用いる炭素材料の選定にかかわらず、大電流パルスでの充放電サイクルに適合しなくなる。正極合剤層の特に好ましい厚みは40μm以上70μm以下である。また、正極合剤層の厚みに合わせて、負極合剤層の厚みを60μm以上100μm以下とすることが好ましい。
【0023】
電池容量1Ah当たりの正極板の電極面積が520cm未満では、高出力化を達成することが困難である。一方、電池容量1Ah当たりの正極板の電極面積が800cmをこえると、正極合剤層の厚みが、かなり薄くなることから、高出力仕様に適さない。また、極度に薄型長尺の電極を作製すると、電池の生産性が低下する。
【0024】
負極合剤層は、リチウムを吸蔵・放出し得る易黒鉛化性炭素材料を含んでいる。易黒鉛化性炭素材料とは、黒鉛化過程の途上にある炭素材料であって、部分的に六方晶の規則的配列を有し、充電時にはリチウムをインターカレートした層間化合物を生成する。一方、コークスなどの乱層構造を有する炭素材料では、六方晶の規則的配列は認められず、リチウムのインターカレートによる層間化合物を生成することもない。このような乱層構造を有する炭素材料の場合、その空隙や乱層構造部分にリチウムが格納もしくは吸着される。
【0025】
易黒鉛化性炭素材料の同定には、広角X線回折法が有効である。CuKα線を用いて炭素材料のX線回折パターンを測定すると、2θ=42°付近にピークが観測される。乱層構造炭素の場合、このピークは2次元の(100)面に帰属され、非常にブロードである。黒鉛の層状構造の発達に伴い、2θ=42°とは別に、2θ=44°付近にもブロードなピークが観測されるようになる。このピークは(101)面に帰属される。(101)面に帰属されるピークの出現により、3次元的な黒鉛構造の発達が示唆される。また、2θ=42°付近のピークは、3次元構造を示唆する(100)回折ピークとして観測されるようになる。
【0026】
本発明においては、CuKα線を用いて測定される易黒鉛化性炭素材料の広角X線回折パターンにおいて、(101)面に帰属されるピークの強度I(101)と、(100)面に帰属されるピークの強度I(100)との比が、式(1):
0<I(101)/I(100)<1.0
を満たす必要がある。
【0027】
(101)面に帰属されるピークが認められない場合、つまりI(101)/I(100)=0では、黒鉛構造は認められないに等しい。このような炭素材料を用いると、負極板の導電性が低くなり、特に大電流パルス放電時の導電性の不足が顕著となる。一方、I(101)/I(100)値が1.0以上の場合、炭素材料は、黒鉛化過程の途上にあるというより、むしろ黒鉛の状態に近く、大電流パルス充電サイクル時の充電受け入れ性が低下しやすい。I(101)/I(100)値のより好ましい範囲は、0.8以下であり、特に好ましくは0.7未満である。また、I(101)/I(100)値は、0.5以上がより好ましく、特に好ましくは0.6以上である。
【0028】
一般に、黒鉛化度を表す尺度としては、(002)面の面間隔(d002)の値を用いることが多い。しかしながら、I(101)/I(100)値が1.0未満の範囲では、(d002)の値は、いずれも約0.340nm程度であり、判別が困難である。
【0029】
本発明で用いる易黒鉛化性炭素材料は、黒鉛化過程の途上にあるため、黒鉛の層状構造が十分に発達しておらず、インターカレートされ得るリチウム量は黒鉛に比べ少なくなる。また、難黒鉛化性炭素のように空隙部分に格納されるリチウム量もほとんど存在しない。易黒鉛化性炭素材料が可逆的に充放電し得る容量密度は限られている。
【0030】
従って、満充電時における負極板の容量密度が250Ah/kgをこえると、負極板の可逆容量密度をこえる可能性があり、充放電サイクルを経過すると、負極板の表面に金属リチウムが析出するなどの不具合を生じる可能性がある。一方、満充電時における負極板の容量密度が170Ah/kg未満では、電池容量が極度に低下すると共に、電池電圧も低下してしまう。以上を鑑みると、電池の満充電時における負極板の容量密度は、170Ah/kg以上250Ah/kg以下、さらには200Ah/kg以上230Ah/kg以下とすることが好ましい。なお、負極板の容量密度は、電池容量を、正極と対向し得る負極合剤層部分に含まれる炭素材料の重量で除することによって算出される。
【0031】
炭素材料は、その黒鉛化過程において、c軸方向の結晶子Lcの発達から始まり、ある程度Lcが成長した段階で、a軸方向の結晶子Laも成長を始める。その後、黒鉛化が進むと、Laの方がLcよりも大きな値となるのが一般的である。
本発明で用いる易黒鉛化性炭素材料のc軸方向の結晶子の厚みLc(004)は、20nm以上60nm未満であることが好ましい。Lc(004)が20nm未満では、黒鉛構造の発達が不十分であり、本発明の効果が得られない。一方、Lc(004)が60nm以上では、黒鉛構造が発達しすぎていることから、充電受け入れ性が低下する。
【0032】
また、a軸方向の結晶子の厚みLa(110)が、Lc(004)よりも小さい値であることが好ましい。La(110)が、Lc(004)以上に大きくなると、やはり黒鉛構造が発達しすぎていることから、充電受け入れ性が低下する。
【0033】
ここで、LcおよびLaは、いずれもX線回折パターンに観測されるピークの半価幅の関数で表すことができる。一般に学振法として知られている方法が汎用的である。この方法では、高純度ケイ素粉末を内部標準物質として炭素粉末に混合し、混合物のX線回折パターンを測定する。得られた回折パターンにおいて認められる炭素とケイ素の両者のピークの半価幅の値から、結晶子の厚みを算出することができる。Lcについては、(004)面に帰属されるピークから求め、Laについては、(110)面に帰属されるピークから求めることが望ましい。
【0034】
易黒鉛化性炭素材料の前駆体には、上記のような物性を有する炭素材料を与え得る原料を、特に限定なく用いることができる。また、原料を易黒鉛化性炭素材料に変化させる方法も、特に限定されるものではない。
易黒鉛化性炭素材料は、例えば、異方性ピッチを原料とするコークス類やメソフェーズ小球体を、熱処理することにより得ることができる。また、メソフェーズピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維などを易黒鉛化性炭素材料として用いることも可能である。なかでも球状もしくは塊状粒子で、粒子端面に結晶子が露出しやすい炭素材料や、放射状の構造を有する炭素繊維などが高出力を得る上で好ましい。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
《実施例1》
(イ)正極板
正極活物質には、組成式LiNi0.7Co0.2Al0.1で表されるリチウムニッケル複合酸化物を用いた。この複合酸化物は、以下の要領で調製した。
NiSO水溶液に、所定比率のCoおよびAlの硫酸塩を加え、飽和水溶液を調製した。この飽和水溶液を撹拌しながら水酸化ナトリウムを溶解したアルカリ水溶液をゆっくりと滴下し、溶液を中和することによって、3元系水酸化物Ni0.7Co0.2Al0.1(OH)の沈殿を共沈法により生成させた。この沈殿物を、ろ過、水洗し、80℃で乾燥した。得られた水酸化物は、平均粒径約10μmであった。
【0036】
次いで、得られた水酸化物に、Ni、CoおよびAlの合計原子数とLiの原子数が等量になるように、水酸化リチウム1水和物を加え、乾燥空気中800℃で10時間の熱処理を行うことにより、目的とするLiNi0.7Co0.2Al0.1を得た。粉末X線回折法によれば、得られたリチウムニッケル複合酸化物は、単一相の六方晶層状構造であった。また、リチウムニッケル複合酸化物には、CoおよびAlが固溶していることを確認した。このリチウムニッケル複合酸化物を粉砕し、分級して、正極活物質として用いた。
【0037】
正極活物質100重量部に、導電材としてアセチレンブラックを3重量部加え、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を溶解した溶液を加えて、混合し、正極合剤ペーストを得た。用いたPVdF量は、正極活物質100重量部あたり、4重量部とした。次いで、正極合剤ペーストを、正極芯材であるアルミニウム箔の両面に塗工し、乾燥後、圧延して、厚み0.075mm、正極合剤層幅41mm、長さ2800mmの正極板とした。正極芯材の両面の正極合剤層の合計厚みは55μmであり、正極板の電極面積は1148cmであった。
【0038】
(ロ)負極板
異方性ピッチの熱処理過程で生成した塊状のコークスに、アルゴン雰囲気下で1900℃で熱処理を施すことにより、目的とする平均粒径約10μmの易黒鉛化性炭素材料を得た。粉末X線回折法により得られた(002)面の面間隔(d002)は、0.340nmであった。また、Lc(004)は30nm、La(110)は25nmであった。(d002)、Lc(004)およびLa(110)は、高純度ケイ素粉末を内部標準物質とする学振法として知られている方法により算出した。
【0039】
CuKα線を用いて測定された易黒鉛化性炭素材料の広角X線回折パターンにおいて、I(101)/I(100)値は、0.65であった。このピーク強度比は、十分にバックグラウンドを除去した後に求めた。
ここで得られた、2θが40°〜50°の範囲におけるX線回折パターンを図1(a)に示す。42°付近に(100)面に帰属されるピークが認められ、44°付近に(101)面に帰属されるピークが僅かながら認められる。
【0040】
易黒鉛化性炭素材料100重量部に、NMPに結着剤としてPVdFを溶解した溶液を加えて、混合し、負極合剤ペーストを得た。用いたPVdF量は、易黒鉛化性炭素材料100重量部あたり、8重量部とした。次いで、負極合剤ペーストを、負極芯材である銅箔の両面に塗工し、乾燥後、圧延して、厚み0.11mm、負極合剤層幅46mm、長さ2910mmの負極板とした。負極芯材の両面の負極合剤層の合計厚みは95μmであった。
【0041】
(ハ)電池の組み立て
正極板と負極板とを、厚み0.027mm、幅50mmのポリエチレン製の微多孔膜からなるセパレータを介して、渦巻状に捲回し、円筒形の極板群を構成した。この極板群を、直径32mm、高さ61.5mmの電池ケースに収納した。ここでは、満充電状態における負極板の容量密度が200Ah/kgとなるように、電池の容量を設計した。
非水電解液には、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを3:4:3の体積比で混合した溶媒に、溶質として1モル/Lの六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を溶解したものを用いた。
非水電解液を注液して電極群に含浸させた後、電池ケースを封口し、実施例1の電池を完成した。
【0042】
《比較例1》
原料である等方性ピッチに熱処理を施して、難黒鉛化性炭素を得た。負極板において、易黒鉛化性炭素材料の変わりに、前記難黒鉛化性炭素を用いたこと以外、実施例1の電池と同じ条件で電池を作製し、比較例1の電池とした。なお、粉末X線回折法により得られた(002)面の面間隔(d002)は、0.370nmであった。難黒鉛化性炭素は、乱層構造を有することから、Lc(004)およびLa(110)の測定は不可能であった。
CuKα線を用いて測定された難黒鉛化性炭素の広角X線回折パターンにおいては、42°〜44°付近にかけてブロードな回折像が見られるのみであり、完全に乱層構造であった。ここで得られた、2θが40°〜50°の範囲におけるX線回折パターンを図1(b)に示す。
【0043】
《比較例2》
塊状コークスに、アルゴン雰囲気下で2800℃で熱処理を施し、黒鉛化した炭素材料を得た。この黒鉛化した炭素材料を用いたこと以外、実施例1の電池と同じ条件で電池を作製し、比較例2の電池とした。なお、粉末X線回折法により得られた(002)面の面間隔(d002)は、0.335nmであり、Lc(004)は100nm、La(110)は150nm以上であった。
また、CuKα線を用いて測定された広角X線回折パターンにおいて、I(101)/I(100)値は、1.98と大きく、黒鉛の六方晶構造が3次元状に発達していることが示された。ここで得られた、2θが40°〜50°の範囲におけるX線回折パターンを図1(c)に示す。
【0044】
実施例1、比較例1および比較例2の電池の充放電を、それぞれ25℃環境下において、400mAの定電流、充電上限電圧4.2V、放電下限電圧2.5Vの条件下で、3サイクル繰り返した。容量は、いずれの電池も1.8Ah〜2.0Ahの範囲内であった。これらの電池の直流内部抵抗(DC−IR)を測定するために、以下の手順に従い電流―電圧特性試験を行った。
【0045】
まず、25℃環境下において、各電池を60%の充電状態(SOC)となるように定電流で充電した。
次いで、図2に示されるような放電パルスと充電パルスを繰り返し、各放電パルス印可後の10秒目の電圧を測定し、電流値に対してプロットした。
次いで、図3に示されるように、各プロットに最小二乗法を適用して、近似直線を求め、近似直線の傾きの値を、直流内部抵抗(DC−IR)とした。
実施例1の電池のDC−IRは10.8mΩであった。
その後、DC−IR測定後の電池について、以下の2種類のパルスサイクル寿命特性試験を行った。
【0046】
(1)高負荷充電パルスサイクル寿命特性試験
図4に示されるように、最大4Cの放電パルスを含むAパターンを9回繰り返した後に、最大12Cの充電パルスを含むBパターンを3回繰り返すことにより、電池のSOCが理論上45%〜60%で変化するように制御した。この1サイクル390秒間のパルス波形に従い、40℃環境下においてサイクル試験を実施した。
【0047】
(2)高負荷放電パルスサイクル寿命特性試験
図5に示されるように、最大12Cの放電パルスを含むBパターンを3回繰り返した後に、最大4Cの充電パルスを含むAパターンを9回繰り返すことにより、電池のSOCが理論上45%〜60%で変化するように制御した。この1サイクル390秒間のパルス波形に従い、40℃環境下においてサイクル試験を実施した。
【0048】
実施例1、比較例1および比較例2の電池を、それぞれ1セルずつ用い、上記2種類のパルスサイクル寿命特性試験を実施した。3000サイクル経過毎に、電池を25℃環境下に戻し、充放電容量の測定と、DC−IRの測定を行った。サイクルに伴う容量維持率(初期値に対する容量の割合)とDC−IR増加率(初期値に対する増加割合)の関係を図6および図7に示した。
【0049】
図6は、高負荷充電パルスサイクル寿命特性を示している。
実施例1(Ex.1)の電池は、30000サイクル経過後においても容量劣化は少なく、DC−IR増加率も10%程度であり、高出力が維持されている。比較例1(Com.Ex.1)の電池についても容量維持率は高く、DC−IR増加率も15%程度と比較的小さく抑えられている。一方、比較例2(Com.Ex.2)の電池では、サイクルに伴う容量劣化が顕著であり、DC−IR増加率も大きく、出力低下が著しい。これは、負極板に黒鉛化度の高い炭素材料を用いていることから、高負荷の充電パルスに対する充電受け入れ性が不十分であることに起因するものと考えられる。
【0050】
図7は、高負荷放電パルスサイクル寿命特性を示している。
実施例1の電池は、高負荷充電パルスサイクル寿命特性と同様に、良好なサイクル特性を示している。しかしながら、比較例1の電池では、高負荷充電パルスサイクル寿命特性の結果とは異なり、容量劣化が大きく、特にDC−IRの増加、つまり出力低下が著しい。これは、負極板に難黒鉛化性炭素材料を用いていることから、負極板の導電性が低く、高負荷な放電パルスに十分には対応できないことに起因するものと考えられる。一方、黒鉛化度の高い炭素材料を用いた比較例2の電池では、負極板が高導電性を有することから、高負荷な放電パルスに対する追従性が良好であり、サイクル特性も比較的良好である。
【0051】
これらの結果から、I(101)/I(100)が0.65である易黒鉛化性炭素材料を用いた実施例1の電池は、高負荷な充電パルスと、放電パルスの双方に対する耐性が強いことがわかる。従って、本発明の電池を、例えばHEV用として用いた場合、あらゆる走行モードに対応して、優れたサイクル寿命が得られることがわかる。
【0052】
一方、難黒鉛化性炭素材料を用いた比較例1の電池、および黒鉛化度の高い炭素材料を用いた比較例2の電池の場合、パルスの負荷パターンによっては、大きな劣化を引き起こすことから、例えばHEV用としては、十分な特性を得ることは困難である。
【0053】
《実施例2》
正極活物質には、組成式LiNi0.8Co0.1Mn0.1で表されるリチウムニッケル複合酸化物を用いた。この複合酸化物は、以下の要領で調製した。
NiSO水溶液に、所定比率のCoおよびMnの硫酸塩を加え、飽和水溶液を調製した。この飽和水溶液を攪拌しながら水酸化ナトリウムを溶解したアルカリ水溶液をゆっくりと滴下し、溶液を中和することによって、3元系水酸化物Ni0.8Co0.1Mn0.1(OH)の沈殿を共沈法により生成させた。この沈殿物を、ろ過、水洗し、80℃で乾燥した。
【0054】
次いで、得られた水酸化物に、Ni、CoおよびMnの合計原子数とLiの原子数とが等量になるように、水酸化リチウム1水和物を加え、乾燥空気中850℃で10時間の熱処理を行うことにより、目的とするLiNi0.8Co0.1Mn0.1を得た。粉末X線回折法によれば、得られたリチウムニッケル複合酸化物は、単一相の六方晶層状構造であった。また、リチウムニッケル複合酸化物には、CoおよびMnが固溶していることを確認した。このリチウムニッケル複合酸化物を粉砕し、分級して、正極活物質として用いた。
この正極活物質を用いたこと以外、実施例1の電池と同じ条件で正極板を作製した。
【0055】
負極板に用いる炭素材料として、表1に示すような黒鉛化度の異なる9種類の材料を準備した。これらの炭素材料を用いたこと以外、実施例1の電池と同じ条件で、負極板を作製した。また、実施例1の電池と同じ条件で、それぞれ電池A〜電池Iを作製した。負極板に用いた炭素材料の物性値を表1に示す。
【0056】
【表1】
Figure 2004335132
【0057】
電池A〜電池Iに対し、実施例1と同様の高負荷充電パルスサイクル寿命試験および高負荷放電パルスサイクル寿命試験を実施した。各電池の30000サイクル後の容量維持率ならびにDC−IR増加率を表2に示す。
【0058】
【表2】
Figure 2004335132
【0059】
表2より電池B、C、E、F、Gが双方のパルスサイクル寿命特性において良好であり、I(101)/I(100)値が0.95以下の範囲にある炭素材料を負極に使用した場合に、パルスサイクル寿命特性の向上が認められる。
電池Aの負極板に用いた炭素材料には、(101)面に帰属されるピークが認められなかった。このことから、電池Aの炭素材料には、黒鉛層状構造が形成されておらず、導電性が低いと考えられる。従って、特に高負荷放電パルスサイクル寿命特性劣化が顕著である。一方、比較的黒鉛化度の高い電池Hおよび電池Iでは、充電受け入れ性が悪くなり、高負荷充電パルス寿命特性を満足できない傾向にある。表1、2より、I(101)/I(100)値は、1.0未満であることを要し、0.8以下であることが好ましく、0.7以下であることが特に好ましいことがわかる。
【0060】
電池Dは、I(101)/I(100)値が0.73であるが、高負荷充電パルスサイクル寿命特性がやや劣る結果となった。電池Dに用いた炭素材料では、Lc(004)よりもLa(110)の方が大きな値となっていることから、a軸方向の結晶子の発達が進み過ぎて、充電受け入れ性が劣ったものと考えられる。従って、負極板に用いる炭素材料は、Lc(004)よりもLa(110)の方が小さい値であることが望まれる。
【0061】
《実施例3》
正極活物質には、実施例1と同様のLiNi0.7Co0.2Al0.1を用い、負極板の炭素材料にも、実施例1と同様の、塊状コークスを1900℃で熱処理して得られた易黒鉛化性炭素(I(101)/I(100)=0.65)を用いた。
ただし、表3に示すように、正極板において、合剤層厚み(正極芯材の両面に担持されている正極合剤層の合計厚み)、合剤密度および極板長さを変化させた。
正極板を上記のように変更するとともに、負極板の厚さと長さを正極板に対応させて変更したこと以外、実施例1と同様の条件で、電池J〜電池Pを作製した。
ここでは、いずれの電池も、満充電状態の負極容量密度が190Ah/kg〜210Ah/kgの範囲内に収まるように設計した。
【0062】
【表3】
Figure 2004335132
【0063】
電池J〜電池Pに対し、実施例1と同様の高負荷充電パルスサイクル寿命試験を実施した。各電池の30000サイクル後の容量維持率ならびにDC−IR増加率を表4に示す。
【0064】
【表4】
Figure 2004335132
【0065】
表4より、電池K、L、MおよびNが、良好なパルス寿命特性を示すことがわかる。この結果から、正極板の両面に担持されている正極合剤層の合計厚みは、40μm〜100μmの範囲である必要があり、そのときの電池容量1Ah当たりの正極板の電極面積は520cm〜800cmの範囲内である必要があることがわかる。
【0066】
電池Nと電池Oの正極板の合剤層厚みおよび長さは同一であるが、電池Nの正極板は、合剤密度が小さく設計されている。そのため、電池Nの電池容量は小さくなり、電池容量当たりの正極板の電極面積は、電池Oに比べて電池Nの方が大きくなっている。電池容量当たりの正極板の電極面積が小さい電池Oでは、良好なパルスサイクル寿命特性が得られていない。従って、電池容量を考慮すると、正極板の合剤層厚みは40μm〜70μmの範囲がより好ましいと言える。
【0067】
《実施例4》
正極板には、実施例1と同様のLiNi0.7Co0.2Al0.1を用い、負極板の炭素材料にも、実施例1と同様の、塊状コークスを1900℃で熱処理して得られた易黒鉛化性炭素(I(101)/I(100)=0.65)を用いた。
ただし、正極板の合剤密度および合剤層厚みを一定とする一方で、負極板の厚みを変化させることによって、満充電時の負極容量密度を変化させた。
満充電時における負極容量密度を表5に示すように変化させたこと以外、実施例1と同様の条件で、電池Q〜電池Vを作製した。
電池Q〜電池Vに対して、実施例1と同様の高負荷充電パルスサイクル寿命試験を実施した。各電池の30000サイクル後の容量維持率ならびにDC−IR増加率を表5に示す。
【0068】
【表5】
Figure 2004335132
【0069】
表5において、電池R〜電池Uまでは、比較的良好なパルスサイクル寿命特性を示しており、満充電時の負極容量密度を170Ah/kg以上250Ah/kg以下に設計することが好ましいことがわかる。一方、満充電時の負極容量密度を270Ah/kgとした電池Vでは、容量劣化およびDC−IR増加率が共に著しく大きくなる結果となった。これは、満充電時の負極容量密度が、負極板の炭素材料が可逆的に充放電し得る容量密度をこえたことにより、高負荷充電時の充電受け入れ性が不十分となることに起因すると考えられる。
【0070】
一方、満充電時の負極容量密度が150Ah/kgという低負荷設計の電池Qでは、充電時に黒鉛層間にほとんどリチウムがインターカレートされておらず、不可逆な反応領域での充放電反応のみが進行することから、負極側の劣化が顕著となるものと考えられる。
これらの結果から、負極板に用いる炭素材料の物性値を規制するだけでなく、電池設計を好適化することが重要であることがわかる。また、炭素材料の物性値と電池設計の組み合わせを最適化することにより、サイクル寿命の優れた電池が得られることがわかる。
【0071】
なお、上記実施例および比較例では、正極活物質としてリチウムニッケル複合酸化物を用いたが、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物など、どのようなリチウム含有複合酸化物でも使用可能であり、正極製造時にはリチウムを含有しないが、その後のリチウムを含有させる処理によって、リチウム含有複合酸化物を形成する材料を用いることもできる。
【0072】
また、上記実施例および比較例では、非水電解液の溶媒に、EC、DMCおよびEMCの混合溶媒を使用したが、ジエチルカーボネート、ブチレンカーボネート、メチルプロピオネートなど、従来より公知のどのような溶媒を用いてもよい。4V級の耐酸化還元電位を有する溶媒であれば、どのような溶媒でも、単独あるいは混合溶媒として使用可能である。また、溶質についても、LiBF、LiClOなど、従来より公知のどのような溶質でも使用可能である。
【0073】
上記実施例および比較例では、捲回型の円筒形電池を用いて説明したが、電池形状は、角形でも薄型でもよく、また、積層型でも捲回型でも同様の効果が得られると考えられる。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、大電流のパルス充放電を長期にわたり繰り返した場合においても、容量劣化および内部抵抗の増加を最小限に抑えることが可能であり、サイクル寿命に優れた非水二次電解液二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、比較例1および比較例2の負極板に用いられている炭素材料のX線回折パターンである。
【図2】電流―電圧特性試験において繰り返されるパルスのパターンを示す図である。
【図3】電池の直流内部抵抗の算出方法を示す図である。
【図4】高負荷充電パルスサイクル寿命特性試験におけるパルスのパターンを示す図である。
【図5】高負荷放電パルスサイクル寿命特性試験におけるパルスのパターンを示す図である。
【図6】実施例1、比較例1および比較例2の電池の高負荷充電パルスサイクル寿命特性を示す図である。
【図7】実施例1、比較例1および比較例2の電池の高負荷放電パルスサイクル寿命特性を示す図である。

Claims (3)

  1. (a)正極芯材およびその両面に担持された正極合剤層からなる正極板と、(b)非水電解液と、(c)負極芯材およびその両面に担持された負極合剤層からなる負極板とを備えた非水電解液二次電池において、
    前記正極合剤層が、リチウム含有複合酸化物を含み、前記両面の正極合剤層の合計厚みが、40μm以上100μm以下であり、電池容量1Ah当たりの前記正極板の電極面積が、520cm以上800cm以下であり、
    前記負極合剤層が、リチウムを吸蔵・放出し得る易黒鉛化性炭素材料を含み、CuKα線を用いて測定される前記易黒鉛化性炭素材料の広角X線回折パターンにおいて、(101)面に帰属されるピークの強度I(101)と、(100)面に帰属されるピークの強度I(100)との比が、式(1):
    0<I(101)/I(100)<1.0
    を満たす非水電解液二次電池。
  2. 電池の満充電状態における負極板の容量密度が170Ah/kg以上250Ah/kg以下である請求項1記載の非水電解液二次電池。
  3. 前記易黒鉛化性炭素材料のc軸方向の結晶子の厚みLc(004)が、20nm以上60nm未満であり、a軸方向の結晶子の厚みLa(110)が、Lc(004)よりも小さい値である請求項1または2記載の非水電解液二次電池。
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