JP2004335115A - カラー陰極線管用マスク構体及びカラー陰極線管 - Google Patents
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Abstract
【課題】振動を抑制すると共に、ドーミング現象及び輝度むらの発生を抑制して画面品位を向上することができるカラー陰極線管用マスク構体及びそれを用いたカラー陰極線管を提供する。
【解決手段】色選別マスク2の有効画面部において、画面垂直方向に延在するスリット孔4と、略長方形のスロット孔6を画面垂直方向に配列してなるスロット列5とが、画面水平方向に交互に配列されている。各スロット列5は、隣り合う金属素体8を連結し、スロット孔6の境界を規定する複数のリアルブリッジ7を有する。各スリット孔4は、隣り合う金属素体8の一方から他方に向けて突出する少なくとも一つの突起部9a,9bからなるダミーブリッジ9を画面垂直方向に複数有している。
【選択図】 図2
【解決手段】色選別マスク2の有効画面部において、画面垂直方向に延在するスリット孔4と、略長方形のスロット孔6を画面垂直方向に配列してなるスロット列5とが、画面水平方向に交互に配列されている。各スロット列5は、隣り合う金属素体8を連結し、スロット孔6の境界を規定する複数のリアルブリッジ7を有する。各スリット孔4は、隣り合う金属素体8の一方から他方に向けて突出する少なくとも一つの突起部9a,9bからなるダミーブリッジ9を画面垂直方向に複数有している。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マスク構体及びカラー陰極線管に関し、より詳細には、色選別マスクを一定の張力を加えてマスクフレームに張架することにより構成される、いわゆるテンション型のマスク構体及びそれを用いたカラー陰極線管に関する。
【0002】
【従来の技術】
テレビジョンやコンピュータ用ディスプレイ等に用いられるカラー陰極線管の色選別電極(以下、色選別マスクとする。)は、金属薄板に選択的エッチングにより多数のビーム通過孔を形成して構成される。
【0003】
色選別マスクの代表的な構成の一つとして、多数の金属素体(グリッド素体)を互いに平行に配列し、金属素体間にスリット状の電子ビーム通過孔を形成した、いわゆるアパーチャグリルがある。アパーチャグリルは、金属素体の長手方向に張力が生じるようにマスクフレームに保持されている。また、金属素体の長手方向とほぼ垂直に金属線からなるダンパー線を張架し、金属素体とダンパー線との摩擦を利用して振動を抑制するようになっている。
【0004】
また、色選別マスクのもう一つの代表的な構成例として、金属薄板に、画面垂直方向に長い略長方形の電子ビーム通過孔(以下、スロット孔とする。)を多数形成したものがある。このような構造の色選別マスクは、隣り合う金属素体を画面水平方向に連結するリアルブリッジを有するため、リアルブリッジマスクと称される。
【0005】
近年、カラー陰極線管のフェイスパネルは平面化される傾向にあり、色選別マスクについても平面化が求められている。単に色選別マスクをマスクフレームに取り付けて保持するだけでは色選別マスクの平面度を保つのが困難であるため、上述したいわゆるリアルブリッジマスクを、アパーチャグリルと同様、一定の張力を加えてマスクフレームに張架する構成が採用されている。このような構造の色選別マスクは、テンション型リアルブリッジマスクと称される。
【0006】
ここで、色選別マスクでは、外部からの衝撃やスピーカからの振動伝播等により金属素体が振動すると、その振動が画像の揺れとして顕著に視認されてしまうため、このような振動の抑制が課題となっている。しかしながら、上述したいわゆるテンション型リアルブリッジマスクは、金属素体同士がリアルブリッジを介して連結されている構造のため、アパーチャグリルよりも振動が伝播され易く、部分的に衝撃が加えられた場合でも、色選別マスクの面全体が振動しやすい。この振動は、マスクフレームによる張力付与や、アパーチャグリルに用いられるようなダンパー線だけでは、十分に抑制できない。
【0007】
このような振動の問題を解決するため、色選別マスクの外周端部に接触するように振動減衰体を設け、接触摩擦を利用して振動を減衰させる構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、振動の伝播を抑制するため、色選別マスク面の中央から周縁部に行くにつれてリアルブリッジの数が減少するようにした構成や、これに加えてダンパー線を併設した構成も提案されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
【0008】
また、上述したいわゆるリアルブリッジマスクは、金属素体同士が画面水平方向にリアルブリッジで連結されているため、画面水平方向に熱膨張し易く、ドーミング現象を生じ易いという問題がある。ドーミング現象とは、画像を長時間表示した場合など、色選別マスクの面全体が温度上昇により熱膨張し、蛍光体スクリーンと色選別マスクの電子ビーム通過孔との画面水平方向における相対位置がずれ、いわゆる色ずれを生じることをいう。ドーミング現象の発生を抑制する方法としては、色選別マスクをマスクフレームに高張力で張架する方法があるが、そのためにはマスクフレームの剛性を高くしなければならず、マスクフレームの重量増及び高コスト化を招く。そこで、アパーチャグリルのようなスリット状の電子ビーム通過孔(スリット孔とする。)を形成し、さらに各金属素体に長方形の電子ビーム通過孔(スロット孔とする。)の列を形成した色選別マスクが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0009】
【特許文献1】
特許3300669号公報(第7頁、図9)
【特許文献2】
特開2002−42670号公報(第4−5頁、図2)
【特許文献3】
特開2002−42675号公報(第5頁、図2)
【特許文献4】
特開2003−7222号公報(第3頁、図1)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載されたように、色選別マスクの外周端部に振動減衰体を設けた構成では、振動減衰体の近傍の振動を抑制することはできても、振動の伝播そのものを抑制することはできない。従って、例えば画面中央付近で振動が発生した場合、振動減衰体の近傍を除く色選別マスクの面全体に振動が伝播し、十分な振動抑制効果は得られない。
【0011】
また、特許文献2及び3に記載されたように、色選別マスク面の中央から周縁部に行くにつれてリアルブリッジの数が減少するようにした構成では、色選別マスクのほぼ全域に亘ってリアルブリッジが存在している点で一般のいわゆるテンション型リアルブリッジマスク構造と大差なく、従って十分な振動抑制効果は得られない。
【0012】
さらに、冒頭で述べたアパーチャグリルは、ダンパー線を取り付けることにより振動の継続時間を短くすることはできるが、多数の金属素体が互いに独立している(すなわち、リアルブリッジにより互いに連結されていない)ため、振動開始直後の振幅が大きくなってしまう。
【0013】
また、ドーミング現象については、特許文献4に記載されているように、スリット孔に加えて、各金属素体に多数のスロット孔からなる列(スロット列とする。)を形成することにより改善されるが、スリット孔とスロット列とが混在することとなり、スリット孔を通過する電子ビームの総量が、スロット列を通過する電子ビームの総量よりも多くなることから、画面上で輝度の高い列と輝度の低い列とが混在する輝度むらを生じ、画面品位の低下を招く。
【0014】
本発明の目的は、振動を抑制すると共に、ドーミング現象及び輝度むらの発生を抑制し、画面品位を向上することができるカラー陰極線管用マスク構体及びそれを用いたカラー陰極線管を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係るカラー陰極線管用マスク構体は、金属薄板に複数の電子ビーム通過孔を形成してなり、その板面において画面水平方向と画面垂直方向とが規定される色選別マスクと、前記色選別マスクを張架支持するマスクフレームとを備えて構成される。前記色選別マスクの有効画面部では、画面垂直方向に延在するスリット孔と、前記スリット孔よりも画面垂直方向の長さが短いスロット孔を画面垂直方向に複数配列してなるスロット列とが、画面水平方向に交互に配列されている。各スロット列は、当該スロット列を挟んで隣り合う金属素体を連結し、且つ当該スロット列に含まれる前記スロット孔の境界を規定するリアルブリッジを複数有する。各スリット孔は、当該スリット孔を挟んで隣り合う金属素体の一方から他方に向けて突出する少なくとも一つの突起部からなるダミーブリッジを複数有する。
【0016】
本発明に係るカラー陰極線管用マスク構体は、また、金属薄板に複数の電子ビーム通過孔を形成してなり、その板面において画面水平方向と画面垂直方向とが規定される色選別マスクと、前記色選別マスクを張架支持するマスクフレームとを備えて構成される。前記色選別マスクの有効画面部は、画面垂直方向に延在するスリット孔と、前記スリット孔よりも画面垂直方向の長さが短いスロット孔を複数配列してなるスロット列とが、画面水平方向に交互に配列された交互配列領域と、前記スロット列が画面水平方向に配列されたスロット領域とを有する。各スロット列は、当該スロット列を挟んで隣り合う金属素体を連結し、且つ当該スロット列に含まれる前記スロット孔の境界を規定するリアルブリッジを複数有する。各スリット孔は、当該スリット孔を挟んで隣り合う金属素体の一方から他方に向けて突出する少なくとも一つの突起部からなるダミーブリッジを複数有する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るマスク構体1を備えたカラー陰極線管の基本構成を示す側断面図である。図1において、カラー陰極線管の真空外囲器を構成するガラスバルブ51は、内面に蛍光体スクリーン53が形成されたフェイスパネル52と、フェイスパネル52の後方に接合された略漏斗状のファンネル54と、ファンネル54の小径部に連続して形成されたネック55とからなる。このガラスバルブ51の中心軸線を、管軸101とする。ネック55の内部には、管軸101上に位置するように電子銃57が装着されている。ファンネル54の小径部の外周に沿って、電子銃57から発せられる3本の電子ビーム58を偏向するための偏向ヨーク56が設けられている。
【0018】
フェイスパネル52の内側には、蛍光体スクリーン53に対向するように、色選別マスク2が設けられている。色選別マスク2は、金属薄板に選択的エッチングにより多数の電子ビーム通過孔を形成したものであり、一定の張力を付与された状態でマスクフレーム3に張架支持される、いわゆるテンション型マスクである。色選別マスク2とマスクフレーム3とを合わせて、マスク構体1と呼ぶ。色選別マスク2は、電子銃57から発せられる3本の電子ビーム58を蛍光体スクリーン53の赤色、緑色及び青色の蛍光体に入射させる色選別機能を有する。マスクフレーム3は、図示しない取り付け金具を介してフェイスパネル52内に固定されている。
【0019】
蛍光体スクリーン53は略長方形状であって、その長辺と平行に画面水平方向(H方向とする。)が規定され、短辺と平行に画面垂直方向(V方向とする。)が規定される。画面水平方向及び画面垂直方向は、ガラスバルブ51の管軸(Z軸)101に対して直交している。
【0020】
図2(a)は、実施の形態1に係るマスク構体1の外形を示す斜視図である。図2(a)に示すように、マスク構体1は、上述したように、金属薄板に電子ビーム通過孔を形成してなる色選別マスク2と、鋼材からなるマスクフレーム3とを有している。色選別マスク2は、H方向に延在する長辺とV方向に延在する短辺とを有する略長方形状に構成されている。色選別マスク2のH方向及びV方向の各端部近傍を除く領域は、蛍光体スクリーン53に対応する有効画面部となる。マスクフレーム3は、色選別マスク2の一対の長辺が溶接される一対の水平軸部材3aと、この一対の水平軸部材3aの端部同士を連結する一対の垂直軸部材3bとにより構成されている。垂直軸部材3bは、色選別マスク2にV方向に張力を付与するよう、一対の水平軸部材3aを互いに離間する方向に付勢している。
【0021】
各垂直軸部材3bには、2対のダンパースプリング(弾性支持片)11が溶接されている。一方の垂直軸部材3bに溶接された2つのダンパースプリング11は、他方の垂直軸部材3bに溶接された2つのダンパースプリング11にそれぞれ対向している。互いに対向するダンパースプリング11の間には、ダンパー線10がH方向に張架されている。ダンパー線10は、色選別マスク2の表面に当接してその振動を減衰させる。すなわち、ダンパースプリング11及びダンパー線10により、色選別マスク2の振動を早期に減衰させる振動減衰機構が構成される。
【0022】
図2(b)は、図2(a)において破線Aで囲んだ色選別マスク2の一部を拡大して示す斜視図である。図2(b)に示すように、色選別マスク2の有効画面部には、V方向に延在するスリット状の開口であるスリット孔4と、長方形状の多数の開口をV方向に配列してなるスロット列5とが、H方向に交互に配列されている。スロット列5は、スリット孔4よりもV方向長さが短い長方形状の孔(スロット孔とする。)6をV方向に一定のピッチで多数形成したものである。色選別マスク2は、V方向に延在し、H方向に互いに平行に配列された多数の金属素体8を有しており、スリット孔4は、隣り合う金属素体8間に形成されている。一方、スロット孔6は、隣り合う金属素体8を連結する多数のリアルブリッジ7をV方向に一定のピッチで配設することによって形成される。
【0023】
スリット孔4は、また、V方向に一定のピッチで配設された多数のダミーブリッジ9を有している。ダミーブリッジ9は、スリット孔4の両側の金属素体8から、互いに対向する方向に突出した一対の突起部9a,9bからなっている。突起部9a,9bは互いに接触しておらず、両者の間には空隙が形成されている。ダミーブリッジ9のV方向における配設ピッチは、スロット列5のリアルブリッジ7のV方向における配設ピッチと同じである。また、ダミーブリッジ9とリアルブリッジ7とは、V方向における位置が互いに一致するようにそれぞれ配置されている。
【0024】
次に、実施の形態1に係るマスク構体1の作用効果について説明する。この実施の形態1に係るマスク構体1の色選別マスク2は、隣り合う金属素体8間に形成されるスリット孔4と、隣り合う金属素体8間に多数のリアルブリッジ7を設けたスロット列5とがH方向に交互に配列されている。言い換えると、リアルブリッジ7で連結された二本一組の金属素体8が、スリット孔4を挟んで多数配列されていることになる。スリット孔4の存在により振動の伝播が遮断されるため、全ての金属素体がリアルブリッジにより連結されていた従来のいわゆるテンション型リアルブリッジマスクに比べ、振動の伝播を抑制することができる。また、色選別マスク2の各金属素体8がダンパー線10と当接して生じる摩擦により、各金属素体8に振動が生じても、その振動を早期に減衰させることができる。
【0025】
また、色選別マスク2は、上述したようにリアルブリッジ7で連結された二本一組の金属素体8がスリット孔4を挟んで多数配列された構成を有するため、独立した(すなわち、リアルブリッジで連結されていない)金属素体を多数配列したアパーチャグリルと比較して各金属素体の剛性が高く、従って同一強度の衝撃を受けた場合の金属素体8の振幅が小さい。これにより、色選別マスク2がスピーカなどから連続的に衝撃を受ける状況下でも、アパーチャグリルに比べて、視認されうる画面の揺れを小さくすることができる。
【0026】
さらに、従来のいわゆるテンション型リアルブリッジマスクでは、全ての金属素体がH方向にリアルブリッジで連結されているため、色選別マスクの面全体での熱膨張が生じた。これに対し、この実施の形態1では、色選別マスク2が、上述したようにリアルブリッジ7で連結された二本一組の金属素体8がスリット孔4を挟んで多数配列された構成を有するため、二本一組の金属素体8がそれぞれ熱膨張するにとどまり、色選別マスク2の面全体での熱膨張はきわめて小さいものになる。従って、蛍光体スクリーン53(図1)と電子ビーム通過孔(スリット孔4及びスロット孔6)とのH方向における相対位置のずれを抑制し、ドーミング現象の発生を防止することができる。
【0027】
また、この実施の形態1では、色選別マスク2は、スリット孔4に多数のダミーブリッジ9を有しているため、スロット列5を通過する電子ビームの総量を、スリット孔4を通過する電子ビームの総量に近づけることができる。その結果、輝度の高い列と輝度の低い列とが交互に並ぶ輝度むらの発生を抑制することができ、画面品位を向上することができる。
【0028】
以上説明したように、この実施の形態1によれば、色選別マスク2における金属素体8の振動の伝播を抑制し、且つ衝撃により生じうる振幅を小さくすることができるため、従来のいわゆるテンション型リアルブリッジマスクやアパーチャグリルに比較して、より優れた振動抑制効果を奏することができる。また、色選別マスクの面全体の熱膨張を抑制することができるため、従来のいわゆるテンション型リアルブリッジマスクに見られたようなドーミング現象の発生を防止し、画面品位を向上することができる。さらに、ドーミング現象対策として色選別マスクをマスクフレームに高張力で張架する必要が無いため、軽量で低コストのマスク構体1を提供することができる。加えて、スリット孔4にダミーブリッジ9を設けることにより、スリット孔4を通過する電子ビームの総量をスロット列5を通過する電子ビームの総量に近づけることができるため、輝度むらを抑制し、画面品位を向上することができる。
【0029】
実施の形態2.
図3(a)は、実施の形態2に係るマスク構体を示す斜視図である。図3(b)は、図3(a)において破線Bで囲んだ色選別マスクのV方向中央部の一部分を拡大して示す斜視図である。図3(c)は、図3(a)において破線Cで囲んだ色選別マスクのV方向端部の一部分を拡大して示す斜視図である。図4(a)は、実施の形態2のマスク構体における色選別マスクの有効画面部を示す平面図である。図4(b)は、図4(a)において破線Dで囲んだ色選別マスクのV方向中央部の一部分を拡大して示す平面図である。図4(c)は、図4(a)において破線Eで囲んだ色選別マスクのV方向端部の一部分を拡大して示す平面図である。図3及び図4において、実施の形態1のマスク構体と共通する構成部分には、同一の符号を付す。
【0030】
実施の形態2に係るマスク構体の色選別マスク2Aは、図3(b)に示すようにスリット孔4とスロット列5とがH方向に交互に配列された領域(以下、交互配列領域とする。)12と、図3(c)に示すようにスロット列5のみがH方向に配列されたスロット領域13とを有している。このスロット領域13では、全ての金属素体8がリアルブリッジ7により連結されている。
【0031】
図4(a)に示すように、交互配列領域12は、色選別マスク2Aの有効画面部のV方向における中央部に形成されており、スロット領域13は、交互配列領域12のV方向における両側に形成されている。図4(b)に示すように、交互配列領域12の各スリット孔4は、実施の形態1と同様、V方向に一定のピッチで配設された多数のダミーブリッジ9を有している。また、交互配列領域12の各スロット列5は、V方向に一定のピッチで配設された多数のリアルブリッジ7を有しており、隣り合うリアルブリッジ7の間にスロット孔6が形成されている。
【0032】
図4(c)に示すように、スロット領域13の各スロット列5は、V方向に一定のピッチで配設された多数のリアルブリッジ7を有しており、隣り合うリアルブリッジ7の間にスロット孔6が形成された構成を有している。なお、スロット領域13では、隣り合うスロット列5のリアルブリッジ7は、互いに上記ピッチの略半分だけV方向にずれるように配設されている。
【0033】
次に、この実施の形態2に係るマスク構体の作用効果について説明する。マスク構体の色選別マスク2Aでは、交互配列領域12において、リアルブリッジ7で連結された二本一組の金属素体8(連結金属素体とする。)がスリット孔4を挟んで多数配列されている。色選別マスク2AのV方向における両側にスロット領域13が形成されているため、上記の連結金属素体の長さは実施の形態1に比較して短くなる。そのため、実施の形態1のマスク構体と比較して振動の固有値が大きくなり、外部からの衝撃により生じる振動の振幅を小さくすることができる。
【0034】
また、従来のいわゆるテンション型リアルブリッジマスクと比較すると、全ての金属素体がリアルブリッジ7で連結された領域(スロット領域13)が限定されている上、このスロット領域13は振動抑制効果の高い交互配列領域12と隣接しているため、振動の伝播を抑制することができ、色選別マスク2Aの面全体の振動を抑制することができる。
【0035】
さらに、交互配列領域12においては、スリット孔4にダミーブリッジ9が形成されているため、スロット列5を通過する電子ビームの総量を、スリット孔4を通過する電子ビームの総量に近づけ、これにより輝度むらを抑制し、画面品位を向上することができる。
【0036】
以上説明したように、この実施の形態2によれば、振動を抑制すると共に、ドーミング現象の発生を防止し、かつ輝度むらを抑制するという実施の形態1と同様の効果に加えて、外部からの衝撃により生じる振動の振幅をより小さくすることができるという効果を奏する。
【0037】
実施の形態3.
図5(a)は、実施の形態3に係るマスク構体における色選別マスク2Bの有効画面部を示す平面図である。図5(b)は、図5(a)において破線Fで囲んだ色選別マスク2Bの一部分を拡大して示す平面図である。実施の形態3に係るマスク構体は、色選別マスク2Bの電子ビーム通過孔の形状において、実施の形態1に係るマスク構体と異なるものである。図5において、実施の形態1に係るマスク構体と共通する構成部分には、同一の符号を付す。
【0038】
図5(b)に示すように、この実施の形態3における色選別マスク2Bでは、実施の形態1と同様、スリット孔4とスロット列5とがH方向に交互に配列されている。スリット孔4は、V方向に一定のピッチで配設された多数のダミーブリッジ9を有している。また、スロット列5は、実施の形態1と同様、V方向に一定のピッチで配設された多数のリアルブリッジ7を有し、隣り合うリアルブリッジ7の間にスロット孔6が形成されている。スリット孔4のダミーブリッジ9及びスロット列5のリアルブリッジ7は、ほぼ同じピッチ(Pとする。)で配設されている。さらに、ダミーブリッジ9及びリアルブリッジ7は、V方向において、上記ピッチの略半分(P/2)だけ互いにずれるように配設されている。
【0039】
次に、実施の形態3に係るマスク構体の作用効果について説明する。ダミーブリッジ9とリアルブリッジ7がH方向に一直線上に並んだ横列が存在する場合、この横列を通過する電子ビームの総量が比較的少なくなることから、画面上において輝度の高い横列と輝度の低い横列とが交互に並ぶ輝度むらが発生する可能性がある。これに対し、この実施の形態3では、図5(b)に示すように、ダミーブリッジ9とリアルブリッジ7とをV方向においてピッチPの略半分だけずらして配設しているため、ダミーブリッジ9とリアルブリッジ7がH方向に一直線上に並ぶことを回避することができ、上記のような輝度むらの発生を防止することができる。
【0040】
以上説明したように、実施の形態3によれば、実施の形態1の効果に加え、スリット孔4のダミーブリッジ9とスロット列5のリアルブリッジ7とをピッチPの略半分だけずらして配設することにより、輝度の異なる横列が交互に並ぶ輝度むらをなくすことができ、画面品位をさらに向上することができる。
【0041】
なお、この実施の形態3における構成は、実施の形態2に係るマスク構体にも適用することができる。この場合、図3に示すマスク構体の交互配列領域12において、スリット孔4のダミーブリッジ9と、スロット列5のリアルブリッジ7とをV方向にピッチPの略半分ずつ互いにずらして配設する。これにより、上述した実施の形態2の効果に加え、輝度の異なる横列が交互に並ぶ輝度むらをなくすことができ、画面品位をさらに向上することが可能となる。
【0042】
実施の形態4.
図6(a)は、実施の形態4に係るマスク構体における色選別マスク2Cの有効画面部を示す平面図である。図6(b)は、図6(a)において破線Gで囲んだ色選別マスク2Cの一部分を拡大して示す平面図である。実施の形態4に係るマスク構体は、色選別マスク2Cの有効画面部に形成された電子ビーム通過孔の形状において、実施の形態1に係るマスク構体と異なるものである。図6において、実施の形態1のマスク構体と共通する構成部分には、同一の符号を付す。
【0043】
図6(b)に示すように、実施の形態4のマスク構体では、実施の形態1と同様に、スリット孔4とスロット列5とがH方向に交互に配列されている。スリット孔4は、V方向に一定のピッチで配設された多数のダミーブリッジ9を有している。スリット孔4におけるダミーブリッジ9の配設ピッチをPとする。
【0044】
スロット列5は、上記ピッチPと略同一ピッチで多数のリアルブリッジ7を形成し、そのリアルブリッジ7を一つおきにダミーブリッジ9に置き換えたものである。言い換えると、スロット列5では、リアルブリッジ7とダミーブリッジ9とがV方向に交互に配設されている。また、スロット列5に交互に形成されたリアルブリッジ7及びダミーブリッジ9は、スリット孔4のダミーブリッジ9に対し、V方向に上記ピッチPの略半分(P/2)だけずれて配設されている。
【0045】
次に、実施の形態4のマスク構体の作用効果について説明する。この実施の形態4では、スロット列5のリアルブリッジ7の一部がダミーブリッジ9に置き換えられているため、スロット列5を通過する電子ビームの総量を、スリット孔4を通過する電子ビームの総量に近づけ、両者をほぼ同等にすることができる。これにより、輝度の異なる縦列が交互に並ぶ輝度むらの発生を抑制することができる。
【0046】
加えて、実施の形態3において説明したように、スロット列5のリアルブリッジ7及びダミーブリッジ9を、スリット孔4のダミーブリッジ9に対してピッチPの略半分だけずらして配設することにより、輝度むらの発生をさらに抑制することができる。
【0047】
なお、図6(b)に示した例では、スロット列5のリアルブリッジ7を一つおきにダミーブリッジ9に置き換えているが、必ずしも一つおきである必要はなく、輝度むらの発生を抑制するに十分な程度に、スロット列5のリアルブリッジ7の一部が(好ましくは、リアルブリッジ7の略一定数おきに)ダミーブリッジ9に置き換えられていればよい。
【0048】
以上説明したように、実施の形態4によれば、上述した実施の形態1の効果に加え、スロット列5のリアルブリッジ7の一部をダミーブリッジ9に置き換えることにより、輝度の異なる縦列が交互に並ぶ輝度むらの発生を抑制することができ、画面品位をさらに向上することができる。
【0049】
なお、この実施の形態4における構成は、実施の形態2に係るマスク構体にも適用することが可能である。この場合、図3に示すマスク構体の交互配列領域12のスロット列5のリアルブリッジ7の一部をダミーブリッジ9に置き換えることで、上記した実施の形態2の効果に加え、画面品位をさらに向上することができる。
【0050】
図7は、上記各実施の形態におけるダミーブリッジ9の他の構成例を説明するための拡大図である。上述した実施の形態1〜4では、図7(a)で示すように、隣り合う金属素体8の互いに対向する側面8a,8bから突出し、空隙を挟んで対向する突起部9a,9bによりダミーブリッジ9が構成されていた。しかしながら、ダミーブリッジの形状及び配置については、必要に応じて最適な選択をすることが可能である。たとえば、図7(b)に示す第1の変形例のように、一方の金属素体8の側面8aから他方の金属素体8の側面8bに向けて突出する突起部9cによってダミーブリッジを構成することも可能である。また、図7(c)に示す第2の変形例のように、隣り合う金属素体8の互いに対向する側面8a,8bから突出する突起部9a,9bによりダミーブリッジ9を構成し、これらの突起部9a,9bのV方向における位置を異ならせる(例えば、配設ピッチの略半分だけずらして配設する)ことも可能である。
【0051】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、色選別マスクの有効画面部において、スリット孔とスロット列とを画面水平方向に交互に配列し、且つスリット孔にダミーブリッジを形成することにより、色選別マスク面の振動を抑制すると共に、ドーミング現象及び輝度むらの発生を抑制し、画面品位を高めることができる。また、ドーミング現象の抑制のためにフレームの剛性を高める必要がないため、軽量化及び低コスト化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係るマスク構体を備えたカラー陰極線管の側断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るマスク構体の斜視図(a)及びその色選別マスクの一部を拡大して示す斜視図(b)である。
【図3】本発明の実施の形態2に係るマスク構体の斜視図(a)及びその色選別マスクの中央部(b)及び端部(c)を拡大して示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係るマスク構体の色選別マスクにおける有効画面部の平面図(a)及びその中央部(b)及び端部(c)を拡大して示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係るマスク構体の色選別マスクにおける有効画面部の平面図(a)及びその一部を拡大して示す平面図(b)である。
【図6】本発明の実施の形態4に係るマスク構体の色選別マスクにおける有効画面部の平面図(a)及びその一部を拡大して示す平面図(b)である。
【図7】本発明の実施の形態1〜4におけるダミーブリッジ(a)、その第1の変形例(b)及び第2の変形例(c)を拡大して示す平面図である。
【符号の説明】
1 マスク構体、 2 色選別マスク、 3 マスクフレーム、 3a 水平軸部材、 3b 垂直軸部材、 4 スリット孔、 5 スロット列、 6 スロット孔、 7 リアルブリッジ、 8 金属素体、 9 ダミーブリッジ、 9a,9b,9c 突起部、 10 ダンパー線、 11 ダンパースプリング、 12 交互配列領域、 13 スロット領域、 51 カラー陰極線管、 52 フェイスパネル、 53 蛍光体スクリーン、 54 ファンネル、 55 ネック、 56 偏向ヨーク、 57 電子銃、 58 電子ビーム。
【発明の属する技術分野】
本発明は、マスク構体及びカラー陰極線管に関し、より詳細には、色選別マスクを一定の張力を加えてマスクフレームに張架することにより構成される、いわゆるテンション型のマスク構体及びそれを用いたカラー陰極線管に関する。
【0002】
【従来の技術】
テレビジョンやコンピュータ用ディスプレイ等に用いられるカラー陰極線管の色選別電極(以下、色選別マスクとする。)は、金属薄板に選択的エッチングにより多数のビーム通過孔を形成して構成される。
【0003】
色選別マスクの代表的な構成の一つとして、多数の金属素体(グリッド素体)を互いに平行に配列し、金属素体間にスリット状の電子ビーム通過孔を形成した、いわゆるアパーチャグリルがある。アパーチャグリルは、金属素体の長手方向に張力が生じるようにマスクフレームに保持されている。また、金属素体の長手方向とほぼ垂直に金属線からなるダンパー線を張架し、金属素体とダンパー線との摩擦を利用して振動を抑制するようになっている。
【0004】
また、色選別マスクのもう一つの代表的な構成例として、金属薄板に、画面垂直方向に長い略長方形の電子ビーム通過孔(以下、スロット孔とする。)を多数形成したものがある。このような構造の色選別マスクは、隣り合う金属素体を画面水平方向に連結するリアルブリッジを有するため、リアルブリッジマスクと称される。
【0005】
近年、カラー陰極線管のフェイスパネルは平面化される傾向にあり、色選別マスクについても平面化が求められている。単に色選別マスクをマスクフレームに取り付けて保持するだけでは色選別マスクの平面度を保つのが困難であるため、上述したいわゆるリアルブリッジマスクを、アパーチャグリルと同様、一定の張力を加えてマスクフレームに張架する構成が採用されている。このような構造の色選別マスクは、テンション型リアルブリッジマスクと称される。
【0006】
ここで、色選別マスクでは、外部からの衝撃やスピーカからの振動伝播等により金属素体が振動すると、その振動が画像の揺れとして顕著に視認されてしまうため、このような振動の抑制が課題となっている。しかしながら、上述したいわゆるテンション型リアルブリッジマスクは、金属素体同士がリアルブリッジを介して連結されている構造のため、アパーチャグリルよりも振動が伝播され易く、部分的に衝撃が加えられた場合でも、色選別マスクの面全体が振動しやすい。この振動は、マスクフレームによる張力付与や、アパーチャグリルに用いられるようなダンパー線だけでは、十分に抑制できない。
【0007】
このような振動の問題を解決するため、色選別マスクの外周端部に接触するように振動減衰体を設け、接触摩擦を利用して振動を減衰させる構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、振動の伝播を抑制するため、色選別マスク面の中央から周縁部に行くにつれてリアルブリッジの数が減少するようにした構成や、これに加えてダンパー線を併設した構成も提案されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
【0008】
また、上述したいわゆるリアルブリッジマスクは、金属素体同士が画面水平方向にリアルブリッジで連結されているため、画面水平方向に熱膨張し易く、ドーミング現象を生じ易いという問題がある。ドーミング現象とは、画像を長時間表示した場合など、色選別マスクの面全体が温度上昇により熱膨張し、蛍光体スクリーンと色選別マスクの電子ビーム通過孔との画面水平方向における相対位置がずれ、いわゆる色ずれを生じることをいう。ドーミング現象の発生を抑制する方法としては、色選別マスクをマスクフレームに高張力で張架する方法があるが、そのためにはマスクフレームの剛性を高くしなければならず、マスクフレームの重量増及び高コスト化を招く。そこで、アパーチャグリルのようなスリット状の電子ビーム通過孔(スリット孔とする。)を形成し、さらに各金属素体に長方形の電子ビーム通過孔(スロット孔とする。)の列を形成した色選別マスクが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0009】
【特許文献1】
特許3300669号公報(第7頁、図9)
【特許文献2】
特開2002−42670号公報(第4−5頁、図2)
【特許文献3】
特開2002−42675号公報(第5頁、図2)
【特許文献4】
特開2003−7222号公報(第3頁、図1)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載されたように、色選別マスクの外周端部に振動減衰体を設けた構成では、振動減衰体の近傍の振動を抑制することはできても、振動の伝播そのものを抑制することはできない。従って、例えば画面中央付近で振動が発生した場合、振動減衰体の近傍を除く色選別マスクの面全体に振動が伝播し、十分な振動抑制効果は得られない。
【0011】
また、特許文献2及び3に記載されたように、色選別マスク面の中央から周縁部に行くにつれてリアルブリッジの数が減少するようにした構成では、色選別マスクのほぼ全域に亘ってリアルブリッジが存在している点で一般のいわゆるテンション型リアルブリッジマスク構造と大差なく、従って十分な振動抑制効果は得られない。
【0012】
さらに、冒頭で述べたアパーチャグリルは、ダンパー線を取り付けることにより振動の継続時間を短くすることはできるが、多数の金属素体が互いに独立している(すなわち、リアルブリッジにより互いに連結されていない)ため、振動開始直後の振幅が大きくなってしまう。
【0013】
また、ドーミング現象については、特許文献4に記載されているように、スリット孔に加えて、各金属素体に多数のスロット孔からなる列(スロット列とする。)を形成することにより改善されるが、スリット孔とスロット列とが混在することとなり、スリット孔を通過する電子ビームの総量が、スロット列を通過する電子ビームの総量よりも多くなることから、画面上で輝度の高い列と輝度の低い列とが混在する輝度むらを生じ、画面品位の低下を招く。
【0014】
本発明の目的は、振動を抑制すると共に、ドーミング現象及び輝度むらの発生を抑制し、画面品位を向上することができるカラー陰極線管用マスク構体及びそれを用いたカラー陰極線管を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係るカラー陰極線管用マスク構体は、金属薄板に複数の電子ビーム通過孔を形成してなり、その板面において画面水平方向と画面垂直方向とが規定される色選別マスクと、前記色選別マスクを張架支持するマスクフレームとを備えて構成される。前記色選別マスクの有効画面部では、画面垂直方向に延在するスリット孔と、前記スリット孔よりも画面垂直方向の長さが短いスロット孔を画面垂直方向に複数配列してなるスロット列とが、画面水平方向に交互に配列されている。各スロット列は、当該スロット列を挟んで隣り合う金属素体を連結し、且つ当該スロット列に含まれる前記スロット孔の境界を規定するリアルブリッジを複数有する。各スリット孔は、当該スリット孔を挟んで隣り合う金属素体の一方から他方に向けて突出する少なくとも一つの突起部からなるダミーブリッジを複数有する。
【0016】
本発明に係るカラー陰極線管用マスク構体は、また、金属薄板に複数の電子ビーム通過孔を形成してなり、その板面において画面水平方向と画面垂直方向とが規定される色選別マスクと、前記色選別マスクを張架支持するマスクフレームとを備えて構成される。前記色選別マスクの有効画面部は、画面垂直方向に延在するスリット孔と、前記スリット孔よりも画面垂直方向の長さが短いスロット孔を複数配列してなるスロット列とが、画面水平方向に交互に配列された交互配列領域と、前記スロット列が画面水平方向に配列されたスロット領域とを有する。各スロット列は、当該スロット列を挟んで隣り合う金属素体を連結し、且つ当該スロット列に含まれる前記スロット孔の境界を規定するリアルブリッジを複数有する。各スリット孔は、当該スリット孔を挟んで隣り合う金属素体の一方から他方に向けて突出する少なくとも一つの突起部からなるダミーブリッジを複数有する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るマスク構体1を備えたカラー陰極線管の基本構成を示す側断面図である。図1において、カラー陰極線管の真空外囲器を構成するガラスバルブ51は、内面に蛍光体スクリーン53が形成されたフェイスパネル52と、フェイスパネル52の後方に接合された略漏斗状のファンネル54と、ファンネル54の小径部に連続して形成されたネック55とからなる。このガラスバルブ51の中心軸線を、管軸101とする。ネック55の内部には、管軸101上に位置するように電子銃57が装着されている。ファンネル54の小径部の外周に沿って、電子銃57から発せられる3本の電子ビーム58を偏向するための偏向ヨーク56が設けられている。
【0018】
フェイスパネル52の内側には、蛍光体スクリーン53に対向するように、色選別マスク2が設けられている。色選別マスク2は、金属薄板に選択的エッチングにより多数の電子ビーム通過孔を形成したものであり、一定の張力を付与された状態でマスクフレーム3に張架支持される、いわゆるテンション型マスクである。色選別マスク2とマスクフレーム3とを合わせて、マスク構体1と呼ぶ。色選別マスク2は、電子銃57から発せられる3本の電子ビーム58を蛍光体スクリーン53の赤色、緑色及び青色の蛍光体に入射させる色選別機能を有する。マスクフレーム3は、図示しない取り付け金具を介してフェイスパネル52内に固定されている。
【0019】
蛍光体スクリーン53は略長方形状であって、その長辺と平行に画面水平方向(H方向とする。)が規定され、短辺と平行に画面垂直方向(V方向とする。)が規定される。画面水平方向及び画面垂直方向は、ガラスバルブ51の管軸(Z軸)101に対して直交している。
【0020】
図2(a)は、実施の形態1に係るマスク構体1の外形を示す斜視図である。図2(a)に示すように、マスク構体1は、上述したように、金属薄板に電子ビーム通過孔を形成してなる色選別マスク2と、鋼材からなるマスクフレーム3とを有している。色選別マスク2は、H方向に延在する長辺とV方向に延在する短辺とを有する略長方形状に構成されている。色選別マスク2のH方向及びV方向の各端部近傍を除く領域は、蛍光体スクリーン53に対応する有効画面部となる。マスクフレーム3は、色選別マスク2の一対の長辺が溶接される一対の水平軸部材3aと、この一対の水平軸部材3aの端部同士を連結する一対の垂直軸部材3bとにより構成されている。垂直軸部材3bは、色選別マスク2にV方向に張力を付与するよう、一対の水平軸部材3aを互いに離間する方向に付勢している。
【0021】
各垂直軸部材3bには、2対のダンパースプリング(弾性支持片)11が溶接されている。一方の垂直軸部材3bに溶接された2つのダンパースプリング11は、他方の垂直軸部材3bに溶接された2つのダンパースプリング11にそれぞれ対向している。互いに対向するダンパースプリング11の間には、ダンパー線10がH方向に張架されている。ダンパー線10は、色選別マスク2の表面に当接してその振動を減衰させる。すなわち、ダンパースプリング11及びダンパー線10により、色選別マスク2の振動を早期に減衰させる振動減衰機構が構成される。
【0022】
図2(b)は、図2(a)において破線Aで囲んだ色選別マスク2の一部を拡大して示す斜視図である。図2(b)に示すように、色選別マスク2の有効画面部には、V方向に延在するスリット状の開口であるスリット孔4と、長方形状の多数の開口をV方向に配列してなるスロット列5とが、H方向に交互に配列されている。スロット列5は、スリット孔4よりもV方向長さが短い長方形状の孔(スロット孔とする。)6をV方向に一定のピッチで多数形成したものである。色選別マスク2は、V方向に延在し、H方向に互いに平行に配列された多数の金属素体8を有しており、スリット孔4は、隣り合う金属素体8間に形成されている。一方、スロット孔6は、隣り合う金属素体8を連結する多数のリアルブリッジ7をV方向に一定のピッチで配設することによって形成される。
【0023】
スリット孔4は、また、V方向に一定のピッチで配設された多数のダミーブリッジ9を有している。ダミーブリッジ9は、スリット孔4の両側の金属素体8から、互いに対向する方向に突出した一対の突起部9a,9bからなっている。突起部9a,9bは互いに接触しておらず、両者の間には空隙が形成されている。ダミーブリッジ9のV方向における配設ピッチは、スロット列5のリアルブリッジ7のV方向における配設ピッチと同じである。また、ダミーブリッジ9とリアルブリッジ7とは、V方向における位置が互いに一致するようにそれぞれ配置されている。
【0024】
次に、実施の形態1に係るマスク構体1の作用効果について説明する。この実施の形態1に係るマスク構体1の色選別マスク2は、隣り合う金属素体8間に形成されるスリット孔4と、隣り合う金属素体8間に多数のリアルブリッジ7を設けたスロット列5とがH方向に交互に配列されている。言い換えると、リアルブリッジ7で連結された二本一組の金属素体8が、スリット孔4を挟んで多数配列されていることになる。スリット孔4の存在により振動の伝播が遮断されるため、全ての金属素体がリアルブリッジにより連結されていた従来のいわゆるテンション型リアルブリッジマスクに比べ、振動の伝播を抑制することができる。また、色選別マスク2の各金属素体8がダンパー線10と当接して生じる摩擦により、各金属素体8に振動が生じても、その振動を早期に減衰させることができる。
【0025】
また、色選別マスク2は、上述したようにリアルブリッジ7で連結された二本一組の金属素体8がスリット孔4を挟んで多数配列された構成を有するため、独立した(すなわち、リアルブリッジで連結されていない)金属素体を多数配列したアパーチャグリルと比較して各金属素体の剛性が高く、従って同一強度の衝撃を受けた場合の金属素体8の振幅が小さい。これにより、色選別マスク2がスピーカなどから連続的に衝撃を受ける状況下でも、アパーチャグリルに比べて、視認されうる画面の揺れを小さくすることができる。
【0026】
さらに、従来のいわゆるテンション型リアルブリッジマスクでは、全ての金属素体がH方向にリアルブリッジで連結されているため、色選別マスクの面全体での熱膨張が生じた。これに対し、この実施の形態1では、色選別マスク2が、上述したようにリアルブリッジ7で連結された二本一組の金属素体8がスリット孔4を挟んで多数配列された構成を有するため、二本一組の金属素体8がそれぞれ熱膨張するにとどまり、色選別マスク2の面全体での熱膨張はきわめて小さいものになる。従って、蛍光体スクリーン53(図1)と電子ビーム通過孔(スリット孔4及びスロット孔6)とのH方向における相対位置のずれを抑制し、ドーミング現象の発生を防止することができる。
【0027】
また、この実施の形態1では、色選別マスク2は、スリット孔4に多数のダミーブリッジ9を有しているため、スロット列5を通過する電子ビームの総量を、スリット孔4を通過する電子ビームの総量に近づけることができる。その結果、輝度の高い列と輝度の低い列とが交互に並ぶ輝度むらの発生を抑制することができ、画面品位を向上することができる。
【0028】
以上説明したように、この実施の形態1によれば、色選別マスク2における金属素体8の振動の伝播を抑制し、且つ衝撃により生じうる振幅を小さくすることができるため、従来のいわゆるテンション型リアルブリッジマスクやアパーチャグリルに比較して、より優れた振動抑制効果を奏することができる。また、色選別マスクの面全体の熱膨張を抑制することができるため、従来のいわゆるテンション型リアルブリッジマスクに見られたようなドーミング現象の発生を防止し、画面品位を向上することができる。さらに、ドーミング現象対策として色選別マスクをマスクフレームに高張力で張架する必要が無いため、軽量で低コストのマスク構体1を提供することができる。加えて、スリット孔4にダミーブリッジ9を設けることにより、スリット孔4を通過する電子ビームの総量をスロット列5を通過する電子ビームの総量に近づけることができるため、輝度むらを抑制し、画面品位を向上することができる。
【0029】
実施の形態2.
図3(a)は、実施の形態2に係るマスク構体を示す斜視図である。図3(b)は、図3(a)において破線Bで囲んだ色選別マスクのV方向中央部の一部分を拡大して示す斜視図である。図3(c)は、図3(a)において破線Cで囲んだ色選別マスクのV方向端部の一部分を拡大して示す斜視図である。図4(a)は、実施の形態2のマスク構体における色選別マスクの有効画面部を示す平面図である。図4(b)は、図4(a)において破線Dで囲んだ色選別マスクのV方向中央部の一部分を拡大して示す平面図である。図4(c)は、図4(a)において破線Eで囲んだ色選別マスクのV方向端部の一部分を拡大して示す平面図である。図3及び図4において、実施の形態1のマスク構体と共通する構成部分には、同一の符号を付す。
【0030】
実施の形態2に係るマスク構体の色選別マスク2Aは、図3(b)に示すようにスリット孔4とスロット列5とがH方向に交互に配列された領域(以下、交互配列領域とする。)12と、図3(c)に示すようにスロット列5のみがH方向に配列されたスロット領域13とを有している。このスロット領域13では、全ての金属素体8がリアルブリッジ7により連結されている。
【0031】
図4(a)に示すように、交互配列領域12は、色選別マスク2Aの有効画面部のV方向における中央部に形成されており、スロット領域13は、交互配列領域12のV方向における両側に形成されている。図4(b)に示すように、交互配列領域12の各スリット孔4は、実施の形態1と同様、V方向に一定のピッチで配設された多数のダミーブリッジ9を有している。また、交互配列領域12の各スロット列5は、V方向に一定のピッチで配設された多数のリアルブリッジ7を有しており、隣り合うリアルブリッジ7の間にスロット孔6が形成されている。
【0032】
図4(c)に示すように、スロット領域13の各スロット列5は、V方向に一定のピッチで配設された多数のリアルブリッジ7を有しており、隣り合うリアルブリッジ7の間にスロット孔6が形成された構成を有している。なお、スロット領域13では、隣り合うスロット列5のリアルブリッジ7は、互いに上記ピッチの略半分だけV方向にずれるように配設されている。
【0033】
次に、この実施の形態2に係るマスク構体の作用効果について説明する。マスク構体の色選別マスク2Aでは、交互配列領域12において、リアルブリッジ7で連結された二本一組の金属素体8(連結金属素体とする。)がスリット孔4を挟んで多数配列されている。色選別マスク2AのV方向における両側にスロット領域13が形成されているため、上記の連結金属素体の長さは実施の形態1に比較して短くなる。そのため、実施の形態1のマスク構体と比較して振動の固有値が大きくなり、外部からの衝撃により生じる振動の振幅を小さくすることができる。
【0034】
また、従来のいわゆるテンション型リアルブリッジマスクと比較すると、全ての金属素体がリアルブリッジ7で連結された領域(スロット領域13)が限定されている上、このスロット領域13は振動抑制効果の高い交互配列領域12と隣接しているため、振動の伝播を抑制することができ、色選別マスク2Aの面全体の振動を抑制することができる。
【0035】
さらに、交互配列領域12においては、スリット孔4にダミーブリッジ9が形成されているため、スロット列5を通過する電子ビームの総量を、スリット孔4を通過する電子ビームの総量に近づけ、これにより輝度むらを抑制し、画面品位を向上することができる。
【0036】
以上説明したように、この実施の形態2によれば、振動を抑制すると共に、ドーミング現象の発生を防止し、かつ輝度むらを抑制するという実施の形態1と同様の効果に加えて、外部からの衝撃により生じる振動の振幅をより小さくすることができるという効果を奏する。
【0037】
実施の形態3.
図5(a)は、実施の形態3に係るマスク構体における色選別マスク2Bの有効画面部を示す平面図である。図5(b)は、図5(a)において破線Fで囲んだ色選別マスク2Bの一部分を拡大して示す平面図である。実施の形態3に係るマスク構体は、色選別マスク2Bの電子ビーム通過孔の形状において、実施の形態1に係るマスク構体と異なるものである。図5において、実施の形態1に係るマスク構体と共通する構成部分には、同一の符号を付す。
【0038】
図5(b)に示すように、この実施の形態3における色選別マスク2Bでは、実施の形態1と同様、スリット孔4とスロット列5とがH方向に交互に配列されている。スリット孔4は、V方向に一定のピッチで配設された多数のダミーブリッジ9を有している。また、スロット列5は、実施の形態1と同様、V方向に一定のピッチで配設された多数のリアルブリッジ7を有し、隣り合うリアルブリッジ7の間にスロット孔6が形成されている。スリット孔4のダミーブリッジ9及びスロット列5のリアルブリッジ7は、ほぼ同じピッチ(Pとする。)で配設されている。さらに、ダミーブリッジ9及びリアルブリッジ7は、V方向において、上記ピッチの略半分(P/2)だけ互いにずれるように配設されている。
【0039】
次に、実施の形態3に係るマスク構体の作用効果について説明する。ダミーブリッジ9とリアルブリッジ7がH方向に一直線上に並んだ横列が存在する場合、この横列を通過する電子ビームの総量が比較的少なくなることから、画面上において輝度の高い横列と輝度の低い横列とが交互に並ぶ輝度むらが発生する可能性がある。これに対し、この実施の形態3では、図5(b)に示すように、ダミーブリッジ9とリアルブリッジ7とをV方向においてピッチPの略半分だけずらして配設しているため、ダミーブリッジ9とリアルブリッジ7がH方向に一直線上に並ぶことを回避することができ、上記のような輝度むらの発生を防止することができる。
【0040】
以上説明したように、実施の形態3によれば、実施の形態1の効果に加え、スリット孔4のダミーブリッジ9とスロット列5のリアルブリッジ7とをピッチPの略半分だけずらして配設することにより、輝度の異なる横列が交互に並ぶ輝度むらをなくすことができ、画面品位をさらに向上することができる。
【0041】
なお、この実施の形態3における構成は、実施の形態2に係るマスク構体にも適用することができる。この場合、図3に示すマスク構体の交互配列領域12において、スリット孔4のダミーブリッジ9と、スロット列5のリアルブリッジ7とをV方向にピッチPの略半分ずつ互いにずらして配設する。これにより、上述した実施の形態2の効果に加え、輝度の異なる横列が交互に並ぶ輝度むらをなくすことができ、画面品位をさらに向上することが可能となる。
【0042】
実施の形態4.
図6(a)は、実施の形態4に係るマスク構体における色選別マスク2Cの有効画面部を示す平面図である。図6(b)は、図6(a)において破線Gで囲んだ色選別マスク2Cの一部分を拡大して示す平面図である。実施の形態4に係るマスク構体は、色選別マスク2Cの有効画面部に形成された電子ビーム通過孔の形状において、実施の形態1に係るマスク構体と異なるものである。図6において、実施の形態1のマスク構体と共通する構成部分には、同一の符号を付す。
【0043】
図6(b)に示すように、実施の形態4のマスク構体では、実施の形態1と同様に、スリット孔4とスロット列5とがH方向に交互に配列されている。スリット孔4は、V方向に一定のピッチで配設された多数のダミーブリッジ9を有している。スリット孔4におけるダミーブリッジ9の配設ピッチをPとする。
【0044】
スロット列5は、上記ピッチPと略同一ピッチで多数のリアルブリッジ7を形成し、そのリアルブリッジ7を一つおきにダミーブリッジ9に置き換えたものである。言い換えると、スロット列5では、リアルブリッジ7とダミーブリッジ9とがV方向に交互に配設されている。また、スロット列5に交互に形成されたリアルブリッジ7及びダミーブリッジ9は、スリット孔4のダミーブリッジ9に対し、V方向に上記ピッチPの略半分(P/2)だけずれて配設されている。
【0045】
次に、実施の形態4のマスク構体の作用効果について説明する。この実施の形態4では、スロット列5のリアルブリッジ7の一部がダミーブリッジ9に置き換えられているため、スロット列5を通過する電子ビームの総量を、スリット孔4を通過する電子ビームの総量に近づけ、両者をほぼ同等にすることができる。これにより、輝度の異なる縦列が交互に並ぶ輝度むらの発生を抑制することができる。
【0046】
加えて、実施の形態3において説明したように、スロット列5のリアルブリッジ7及びダミーブリッジ9を、スリット孔4のダミーブリッジ9に対してピッチPの略半分だけずらして配設することにより、輝度むらの発生をさらに抑制することができる。
【0047】
なお、図6(b)に示した例では、スロット列5のリアルブリッジ7を一つおきにダミーブリッジ9に置き換えているが、必ずしも一つおきである必要はなく、輝度むらの発生を抑制するに十分な程度に、スロット列5のリアルブリッジ7の一部が(好ましくは、リアルブリッジ7の略一定数おきに)ダミーブリッジ9に置き換えられていればよい。
【0048】
以上説明したように、実施の形態4によれば、上述した実施の形態1の効果に加え、スロット列5のリアルブリッジ7の一部をダミーブリッジ9に置き換えることにより、輝度の異なる縦列が交互に並ぶ輝度むらの発生を抑制することができ、画面品位をさらに向上することができる。
【0049】
なお、この実施の形態4における構成は、実施の形態2に係るマスク構体にも適用することが可能である。この場合、図3に示すマスク構体の交互配列領域12のスロット列5のリアルブリッジ7の一部をダミーブリッジ9に置き換えることで、上記した実施の形態2の効果に加え、画面品位をさらに向上することができる。
【0050】
図7は、上記各実施の形態におけるダミーブリッジ9の他の構成例を説明するための拡大図である。上述した実施の形態1〜4では、図7(a)で示すように、隣り合う金属素体8の互いに対向する側面8a,8bから突出し、空隙を挟んで対向する突起部9a,9bによりダミーブリッジ9が構成されていた。しかしながら、ダミーブリッジの形状及び配置については、必要に応じて最適な選択をすることが可能である。たとえば、図7(b)に示す第1の変形例のように、一方の金属素体8の側面8aから他方の金属素体8の側面8bに向けて突出する突起部9cによってダミーブリッジを構成することも可能である。また、図7(c)に示す第2の変形例のように、隣り合う金属素体8の互いに対向する側面8a,8bから突出する突起部9a,9bによりダミーブリッジ9を構成し、これらの突起部9a,9bのV方向における位置を異ならせる(例えば、配設ピッチの略半分だけずらして配設する)ことも可能である。
【0051】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、色選別マスクの有効画面部において、スリット孔とスロット列とを画面水平方向に交互に配列し、且つスリット孔にダミーブリッジを形成することにより、色選別マスク面の振動を抑制すると共に、ドーミング現象及び輝度むらの発生を抑制し、画面品位を高めることができる。また、ドーミング現象の抑制のためにフレームの剛性を高める必要がないため、軽量化及び低コスト化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係るマスク構体を備えたカラー陰極線管の側断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るマスク構体の斜視図(a)及びその色選別マスクの一部を拡大して示す斜視図(b)である。
【図3】本発明の実施の形態2に係るマスク構体の斜視図(a)及びその色選別マスクの中央部(b)及び端部(c)を拡大して示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係るマスク構体の色選別マスクにおける有効画面部の平面図(a)及びその中央部(b)及び端部(c)を拡大して示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係るマスク構体の色選別マスクにおける有効画面部の平面図(a)及びその一部を拡大して示す平面図(b)である。
【図6】本発明の実施の形態4に係るマスク構体の色選別マスクにおける有効画面部の平面図(a)及びその一部を拡大して示す平面図(b)である。
【図7】本発明の実施の形態1〜4におけるダミーブリッジ(a)、その第1の変形例(b)及び第2の変形例(c)を拡大して示す平面図である。
【符号の説明】
1 マスク構体、 2 色選別マスク、 3 マスクフレーム、 3a 水平軸部材、 3b 垂直軸部材、 4 スリット孔、 5 スロット列、 6 スロット孔、 7 リアルブリッジ、 8 金属素体、 9 ダミーブリッジ、 9a,9b,9c 突起部、 10 ダンパー線、 11 ダンパースプリング、 12 交互配列領域、 13 スロット領域、 51 カラー陰極線管、 52 フェイスパネル、 53 蛍光体スクリーン、 54 ファンネル、 55 ネック、 56 偏向ヨーク、 57 電子銃、 58 電子ビーム。
Claims (10)
- 金属薄板に複数の電子ビーム通過孔を形成してなり、その板面において画面水平方向と画面垂直方向とが規定される色選別マスクと、
前記色選別マスクを張架支持するマスクフレームと
を備え、
前記色選別マスクの有効画面部において、画面垂直方向に延在するスリット孔と、前記スリット孔よりも画面垂直方向の長さが短いスロット孔を画面垂直方向に複数配列してなるスロット列とが、画面水平方向に交互に配列されており、
各スロット列が、当該スロット列を挟んで隣り合う金属素体を連結し、且つ当該スロット列に含まれる前記スロット孔の境界を規定するリアルブリッジを複数有し、
各スリット孔が、当該スリット孔を挟んで隣り合う金属素体の一方から他方に向けて突出する少なくとも一つの突起部からなるダミーブリッジを複数有していることを特徴とするカラー陰極線管用マスク構体。 - 金属薄板に複数の電子ビーム通過孔を形成してなり、その板面において画面水平方向と画面垂直方向とが規定される色選別マスクと、
前記色選別マスクを張架支持するマスクフレームと
を備え、
前記色選別マスクの有効画面部が、
画面垂直方向に延在するスリット孔と、前記スリット孔よりも画面垂直方向の長さが短いスロット孔を画面垂直方向に複数配列してなるスロット列とが、画面水平方向に交互に配列された交互配列領域と、
前記スロット列が画面水平方向に配列されたスロット領域と
を含み、
各スロット列が、当該スロット列を挟んで隣り合う金属素体を連結し、且つ当該スロット列に含まれる前記スロット孔の境界を規定するリアルブリッジを複数有し、
各スリット孔が、当該スリット孔を挟んで隣り合う金属素体の一方から他方に向けて突出する少なくとも一つの突起部からなるダミーブリッジを複数有していることを特徴とするカラー陰極線管用マスク構体。 - 前記交互配列領域は、画面垂直方向において前記有効画面部の中央部に形成され、前記スロット領域は、画面垂直方向において前記交互配列領域の両側に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のカラー陰極線管用マスク構体。
- 前記ダミーブリッジは、そのダミーブリッジが形成されたスリット孔の両側の金属素体からそれぞれ突出し、空隙を挟んで対向する一対の突起部からなることを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載のカラー陰極線管用マスク構体。
- 前記ダミーブリッジ及び前記リアルブリッジが、画面垂直方向において略同一のピッチでそれぞれ配設されており、
前記ダミーブリッジが、前記リアルブリッジに対し、画面垂直方向において前記ピッチの略半分だけずれて配設されていることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載のカラー陰極線管用マスク構体。 - 前記スロット列が、前記リアルブリッジに加えてダミーブリッジを有し、
前記リアルブリッジ及び前記ダミーブリッジの両方を有する前記スロット列と、前記ダミーブリッジのみを有する前記スリット孔とが、画面水平方向に交互に配列されていることを特徴とする請求項1から5までのいずれかに記載のカラー陰極線管用マスク構体。 - 前記スロット列が、前記画面垂直方向に配列された前記リアルブリッジを、略一定数おきにダミーブリッジに置き換えたものであることを特徴とする請求項6に記載のカラー陰極線管用マスク構体。
- 前記色選別マスクの振動を減衰させる振動減衰機構をさらに備えたことを特徴とする請求項1から7までのいずれかに記載のカラー陰極線管用マスク構体。
- 前記振動減衰機構が、前記マスクフレームに取り付けられた少なくとも一対の弾性支持片と、前記弾性支持片に張架されて前記色選別マスクに当接するダンパー線とからなることを特徴とする請求項8に記載のカラー陰極線管用マスク構体。
- 請求項1から9までの何れかに記載のカラー陰極線管用マスク構体と、
前記カラー陰極線管用マスク構体の前記色選別マスクに対向する蛍光体スクリーンを内面に有するフェイスパネルと
を備えたことを特徴とするカラー陰極線管。
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