JP2004334101A - レンズ鏡筒 - Google Patents
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Abstract
【課題】フレキシブル基板の特別な収納スペースを要しないレンズ鏡筒を提供する。
【解決手段】本発明は、固定筒2と、シャッタユニット5及びレンズ6を内蔵した直進筒4と、シャッタユニット5に一端が取り付けられ且つ他端が固定筒2の外部に延出されたフレキシブル基板13とを備えたレンズ鏡筒において、直進筒4が固定筒2内に退避するのに伴って生じるフレキシブル基板13の弛み部分を収納する凹部空間4bが直進筒4に形成され、且つフレキシブル基板13の弛み部分を所定の緊張状態にするための付勢手段11,12が固定筒2に設けられている。
【選択図】 図2
【解決手段】本発明は、固定筒2と、シャッタユニット5及びレンズ6を内蔵した直進筒4と、シャッタユニット5に一端が取り付けられ且つ他端が固定筒2の外部に延出されたフレキシブル基板13とを備えたレンズ鏡筒において、直進筒4が固定筒2内に退避するのに伴って生じるフレキシブル基板13の弛み部分を収納する凹部空間4bが直進筒4に形成され、且つフレキシブル基板13の弛み部分を所定の緊張状態にするための付勢手段11,12が固定筒2に設けられている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラボディ本体等の筐体に取り付けられるレンズ鏡筒に関し、より詳しくは、例えばシャッターユニットとカメラボディ本体とを電気的に接続するフレキシブル基板を備えたレンズ鏡筒に関する。
【0002】
【従来の技術】
シャッタユニットを内蔵したレンズ沈胴型カメラとしては、特許文献1に開示されているものがある。かかるカメラのレンズ鏡筒は、シャッタユニットを動作制御するためにシャッタユニットに接続されるフレキシブル基板を備えるが、レンズ鏡筒の繰り出し時と沈胴(繰り込み)時との間で生じるフレキシブル基板の光軸側への弛み部分が光路を遮断したり、他のユニットに影響を及ぼさないよう、フレキシブル基板の収納スペースを大きく取ったり、フレキシブル基板の弛み部分を除去できる機構となっている。
【0003】
図3は、レンズ鏡筒を沈胴させた状態のカメラの断面側面図、図4は、レンズ鏡筒を繰り出した状態のカメラの断面側面図、図5は、レンズ鏡筒の要部斜視図を示し、15は、カメラボディ本体、16は、カメラボディ本体15に内蔵された制御回路等の基板、17は、レンズ鏡筒である。
【0004】
レンズ鏡筒17は、カメラボディ本体15に固定して取り付けられる固定筒18と、カム筒19と、シャッタユニット21及びレンズ22を内蔵する直進筒20とを備え、固定筒18とカム筒19、及びカム筒19と直進筒20とがそれぞれヘリコイド結合され、カム筒19が駆動機構(図示しない)により回転することで、直進筒20が固定筒18に対して出退するよう構成されている。
【0005】
また、フレキシブル基板23は、一端が基板16に取り付けられ、固定筒18に設けられたガイド部18a、カム筒19の内側、直進筒20の内側を通って、他端がシャッタユニット21に取り付けられている。そして、沈胴状態(図3)においては、ガイド部18a、カム筒19、直進筒20間を湾曲した状態になされ、繰り出し状態(図4)においては、基板16からシャッタユニット21間において伸びきった状態になされる。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−218799号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載のものは、固定筒18にガイド部18a等の収納スペースを設けなければならず、レンズ鏡筒17の外部スペースの有効利用に不利となる。また、ガイド部18aの先端開口部18bからの漏光のおそれがある。さらに、ズーム作動時、先端開口部18bやカム筒19あるいは直進筒20のエッジ部分がフレキシブル基板23に擦れ、フレキシブル基板23が損傷したり、最悪の場合、切断される等の危険性を有している。
【0008】
したがって、本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、フレキシブル基板の特別な収納スペースを要しないレンズ鏡筒を提供することを第一の課題とし、併せて、フレキシブル基板の損傷や切断の危険性がないレンズ鏡筒を提供することを第二の課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載のレンズ鏡筒は、カメラボディ本体等の筐体に取り付けられる固定筒と、シャッタユニット及びレンズを内蔵し、固定筒に対して出退自在な直進筒と、シャッタユニットに一端が取り付けられ且つ他端が固定筒の外部に延出されたフレキシブル基板とを備えたレンズ鏡筒において、直進筒が固定筒内に退避するのに伴って生じるフレキシブル基板の弛み部分を収納する凹部空間が直進筒に形成され、且つフレキシブル基板の弛み部分を所定の緊張状態にするための付勢手段が固定筒に設けられてなることを特徴とする。
【0010】
上記構成からなるレンズ鏡筒によれば、直進筒が進出した状態(繰り出し状態)では、フレキシブル基板は、直進筒と固定筒との間で伸びきった状態となるが、直進筒が退避した状態(沈胴状態)では、弛み部分が凹部空間に収納されるようになる。しかも、該弛み部分は、付勢手段によって凹部空間内に付勢されるため、弛み部分の凹部空間への収納状態が確実に維持されるようになっている。
【0011】
本発明の請求項2に記載のレンズ鏡筒は、フレキシブル基板が、固定筒の基端開口部に沿うように折り返されて該基端開口部の外面に取り付けられ、固定筒が、フレキシブル基板の折曲部位に対応して緩衝部材を備えてなる構成を採用することができる。かかる構成からなるレンズ鏡筒によれば、フレキシブル基板のうち、固定筒に接触する部位に緩衝部材が設けられ、該緩衝部材によってフレキシブル基板の擦れが緩和されるようになっている。
【0012】
本発明の請求項3に記載のレンズ鏡筒は、付勢手段が、直進筒が固定筒に対して回転するのを規制すべく直進筒に形成されたキー溝に挿入される案内キーに対して直進筒の移動方向に移動可能な摺動部材と、この摺動部材を直進筒の進出側に付勢する弾性部材とを備えてなる構成を採用するのがより好ましい。かかる構成からなるレンズ鏡筒によれば、沈胴動作を得るために必然的な、直進筒の直進ガイドの機能を有する案内キーを利用して付勢手段を実現するため、該付勢手段の配置スペースを特に考慮する必要がなく、小型化を図ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るレンズ鏡筒の一実施形態について、図面を参酌しつつ説明する。図1は、本実施形態に係るレンズ鏡筒1の斜視図、図2は、レンズ鏡筒1の断面側面であって、(イ)は、レンズの繰り出し状態、(ロ)は、レンズの一部沈胴状態、(ハ)は、レンズの完全沈胴状態を示す。
【0014】
レンズ鏡筒1は、カメラボディ本体(図示しない)に固定して取り付けられる固定筒2と、カム筒3と、シャッタユニット5及びレンズ6を内蔵する直進筒4とを備えている。カム筒3は、固定筒2に回転自在に内蔵され、一方、直進筒4は、該直進筒4の外周面に形成された雄ヘリコイド(図示しない)とカム筒3の内周面に形成された雌ヘリコイド(図示しない)とがヘリコイド結合することにより、ヘリコイド結合状態でカム筒3に内蔵されている。
【0015】
直進筒4は、外筒7と、この外筒7に内装されるレンズ保持筒8と、レンズ保持筒8に内蔵された構成部品(シャッタユニット5やレンズ6)を固定すべく外筒7あるいはレンズ保持筒8の基端開口部に取り付けられる押さえ部材9とからなる。
【0016】
そして、直進筒4は、その軸方向に沿ってキー溝4aを備えており、キー溝4aに案内キー10が挿入されている。案内キー10は、基端部が固定筒2の基端開口部に取り付けられ、直進筒4が固定筒2に対して回転するのを規制する。従って、カム筒3が固定筒2に対して回転することにより、直進筒4が固定筒2に対して出退する構成となっている。
【0017】
案内キー10は、直進筒4の移動方向に移動可能な摺動部材11を備える部材で、帯板の一端部を略90度で屈曲させた(側面視略L字状の)形状を有する。また、摺動部材11は、曲面状(側面視で円弧状)の先端部を有する部材で、帯板の中間部を略180度で屈曲させた(側面視略コ字状の)形状を有する。摺動部材11は、案内キー10に形成された切り欠き10aに嵌め込まれ、切り欠き10aに沿って直進筒4の移動方向に移動可能となる。
【0018】
また、切り欠き10aには、圧縮バネ等の弾性部材12が配置されており、摺動部材11は、弾性部材12によって先端側(直進筒4の進出側)に常時付勢されている。但し、切り欠き10aの側縁の所定位置には、ストッパ10bが形成されており、ストッパ10bに摺動部材11が当接することで、摺動部材11は切り欠き10aの先端まで移動できず、切り欠き10aの先端側は常時開放された貫通口10cとなる。
【0019】
案内キー10は、先端側に形成された前記貫通口10cに加え、基端部にも貫通口10dを備えている。そして、直進筒4に内蔵したシャッターユニット5に一端が取り付けられたフレキシブル基板13は、先端側の貫通口10cから案内キー10の裏面(固定筒2(カム筒3)の内周面との対向面)側を通り、基端側の貫通口10dから延出してカメラボディ本体に他端が取り付けられる。
【0020】
より詳しくは、フレキシブル基板13は、一端がシャッタユニット5に取り付けられ、そこから所定間隔離れた部位が直進筒4の押さえ部材9にビス等で取り付けられ、さらに、先端側の貫通口10cから案内キー10の裏面を通り、基端側の貫通口10dを出て固定筒2の基端開口部の端面に付設された例えばゴムである緩衝部材14に沿わされ、折り返された他端が固定筒2の基端開口部の外面(図中A)に取り付けられる。フレキシブル基板13の他端は、固定筒2をカメラボディ本体に取り付けた際、カメラボディ本体の回路と接触するようになっていて、シャッタユニット5とカメラボディ本体とは電気的に接続される。
【0021】
直進筒4は、その軸方向に沿って凹部空間4bを備えている。凹部空間4bは、案内キー10と対向するように形成されることで、直進筒4が固定筒2内に退避するレンズ鏡筒1の沈胴によって生じるフレキシブル基板13の光軸側への弛み部分が収納される部分となっている。
【0022】
本実施形態に係るレンズ鏡筒1は以上の構成からなり、レンズの繰り出し状態では、フレキシブル基板13は、押さえ部材9と基端側の貫通口10dとの間で伸びきった状態となるが、沈胴に伴い、摺動部材11の表面に沿うように湾曲する。また、摺動部材11は、フレキシブル基板13の湾曲に伴い、基端側に押圧されて移動する。そして、沈胴状態では、フレキシブル基板13は、弛み部分が緊張状態となって凹部空間4bに収納されるようになる。
【0023】
以上のように本実施形態に係るレンズ鏡筒1によれば、沈胴状態における固定筒2と直進筒4との間に、基端側に開口してフレキシブル基板13の弛み部分を収納する空間が形成され、このため、フレキシブル基板の弛み部分が光路を遮断する等の問題は生じない。
【0024】
しかも、フレキシブル基板13の弛み部分に当接される摺動部材11を備え、摺動部材11が弛み部分を先端側に付勢するようにしているため、沈胴状態において弛み部分が凹部空間4bに収納されないような事態は生じ得ない。
【0025】
また、緩衝部材14を設けたり、摺動部材11の先端部をR状にすることで、直進筒4の移動に伴ってフレキシブル基板13が固定筒2の基端開口部のエッジや摺動部材11の先端部に擦れて、フレキシブル基板13が損傷したり、最悪の場合、切断される等の危険性は少なくなる。
【0026】
尚、本発明に係るレンズ鏡筒は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0027】
例えば、直進筒、カム筒、固定筒の構成は上記実施形態に限定されるものではなく、従来のような三者がヘリコイド結合される構成であってもよい。
【0028】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係るレンズ鏡筒は、直進筒が固定筒内に退避するのに伴って生じるフレキシブル基板の弛み部分を収納する凹部空間が固定筒の内側領域に形成されているため、固定筒の外部に張り出すような収納スペースが不要となり、外部スペースを有効利用できて、例えばカメラ等、筐体の小型化を図ることができるようになる。
【0029】
また、本発明に係るレンズ鏡筒は、フレキシブル基板と固定筒と間に擦れが生じる部位に緩衝部材を設けることで、フレキシブル基板の損傷や切断を確実に防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るレンズ鏡筒の後方斜視図
【図2】(イ)同実施形態に係るレンズ鏡筒のレンズ繰り出し状態を示す断面側面図
(ロ)同レンズの一部沈胴状態を示す断面側面図
(ハ)同レンズの完全沈胴状態を示す断面側面図
【図3】従来のレンズ鏡筒を組み込んだカメラのレンズ完全沈胴状態における断面側面図
【図4】従来のレンズ鏡筒を組み込んだカメラのレンズ繰り出し状態における断面側面図
【図5】従来のレンズ鏡筒の要部斜視図
【符号の説明】
1 レンズ鏡筒
2 固定筒
3 カム筒
4 直進筒
4a キー溝
4b 凹部空間
5 シャッターユニット
6 レンズ
10 案内キー
11 摺動部材
12 弾性部材
13 フレキシブル基板
14 緩衝部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラボディ本体等の筐体に取り付けられるレンズ鏡筒に関し、より詳しくは、例えばシャッターユニットとカメラボディ本体とを電気的に接続するフレキシブル基板を備えたレンズ鏡筒に関する。
【0002】
【従来の技術】
シャッタユニットを内蔵したレンズ沈胴型カメラとしては、特許文献1に開示されているものがある。かかるカメラのレンズ鏡筒は、シャッタユニットを動作制御するためにシャッタユニットに接続されるフレキシブル基板を備えるが、レンズ鏡筒の繰り出し時と沈胴(繰り込み)時との間で生じるフレキシブル基板の光軸側への弛み部分が光路を遮断したり、他のユニットに影響を及ぼさないよう、フレキシブル基板の収納スペースを大きく取ったり、フレキシブル基板の弛み部分を除去できる機構となっている。
【0003】
図3は、レンズ鏡筒を沈胴させた状態のカメラの断面側面図、図4は、レンズ鏡筒を繰り出した状態のカメラの断面側面図、図5は、レンズ鏡筒の要部斜視図を示し、15は、カメラボディ本体、16は、カメラボディ本体15に内蔵された制御回路等の基板、17は、レンズ鏡筒である。
【0004】
レンズ鏡筒17は、カメラボディ本体15に固定して取り付けられる固定筒18と、カム筒19と、シャッタユニット21及びレンズ22を内蔵する直進筒20とを備え、固定筒18とカム筒19、及びカム筒19と直進筒20とがそれぞれヘリコイド結合され、カム筒19が駆動機構(図示しない)により回転することで、直進筒20が固定筒18に対して出退するよう構成されている。
【0005】
また、フレキシブル基板23は、一端が基板16に取り付けられ、固定筒18に設けられたガイド部18a、カム筒19の内側、直進筒20の内側を通って、他端がシャッタユニット21に取り付けられている。そして、沈胴状態(図3)においては、ガイド部18a、カム筒19、直進筒20間を湾曲した状態になされ、繰り出し状態(図4)においては、基板16からシャッタユニット21間において伸びきった状態になされる。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−218799号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載のものは、固定筒18にガイド部18a等の収納スペースを設けなければならず、レンズ鏡筒17の外部スペースの有効利用に不利となる。また、ガイド部18aの先端開口部18bからの漏光のおそれがある。さらに、ズーム作動時、先端開口部18bやカム筒19あるいは直進筒20のエッジ部分がフレキシブル基板23に擦れ、フレキシブル基板23が損傷したり、最悪の場合、切断される等の危険性を有している。
【0008】
したがって、本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、フレキシブル基板の特別な収納スペースを要しないレンズ鏡筒を提供することを第一の課題とし、併せて、フレキシブル基板の損傷や切断の危険性がないレンズ鏡筒を提供することを第二の課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載のレンズ鏡筒は、カメラボディ本体等の筐体に取り付けられる固定筒と、シャッタユニット及びレンズを内蔵し、固定筒に対して出退自在な直進筒と、シャッタユニットに一端が取り付けられ且つ他端が固定筒の外部に延出されたフレキシブル基板とを備えたレンズ鏡筒において、直進筒が固定筒内に退避するのに伴って生じるフレキシブル基板の弛み部分を収納する凹部空間が直進筒に形成され、且つフレキシブル基板の弛み部分を所定の緊張状態にするための付勢手段が固定筒に設けられてなることを特徴とする。
【0010】
上記構成からなるレンズ鏡筒によれば、直進筒が進出した状態(繰り出し状態)では、フレキシブル基板は、直進筒と固定筒との間で伸びきった状態となるが、直進筒が退避した状態(沈胴状態)では、弛み部分が凹部空間に収納されるようになる。しかも、該弛み部分は、付勢手段によって凹部空間内に付勢されるため、弛み部分の凹部空間への収納状態が確実に維持されるようになっている。
【0011】
本発明の請求項2に記載のレンズ鏡筒は、フレキシブル基板が、固定筒の基端開口部に沿うように折り返されて該基端開口部の外面に取り付けられ、固定筒が、フレキシブル基板の折曲部位に対応して緩衝部材を備えてなる構成を採用することができる。かかる構成からなるレンズ鏡筒によれば、フレキシブル基板のうち、固定筒に接触する部位に緩衝部材が設けられ、該緩衝部材によってフレキシブル基板の擦れが緩和されるようになっている。
【0012】
本発明の請求項3に記載のレンズ鏡筒は、付勢手段が、直進筒が固定筒に対して回転するのを規制すべく直進筒に形成されたキー溝に挿入される案内キーに対して直進筒の移動方向に移動可能な摺動部材と、この摺動部材を直進筒の進出側に付勢する弾性部材とを備えてなる構成を採用するのがより好ましい。かかる構成からなるレンズ鏡筒によれば、沈胴動作を得るために必然的な、直進筒の直進ガイドの機能を有する案内キーを利用して付勢手段を実現するため、該付勢手段の配置スペースを特に考慮する必要がなく、小型化を図ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るレンズ鏡筒の一実施形態について、図面を参酌しつつ説明する。図1は、本実施形態に係るレンズ鏡筒1の斜視図、図2は、レンズ鏡筒1の断面側面であって、(イ)は、レンズの繰り出し状態、(ロ)は、レンズの一部沈胴状態、(ハ)は、レンズの完全沈胴状態を示す。
【0014】
レンズ鏡筒1は、カメラボディ本体(図示しない)に固定して取り付けられる固定筒2と、カム筒3と、シャッタユニット5及びレンズ6を内蔵する直進筒4とを備えている。カム筒3は、固定筒2に回転自在に内蔵され、一方、直進筒4は、該直進筒4の外周面に形成された雄ヘリコイド(図示しない)とカム筒3の内周面に形成された雌ヘリコイド(図示しない)とがヘリコイド結合することにより、ヘリコイド結合状態でカム筒3に内蔵されている。
【0015】
直進筒4は、外筒7と、この外筒7に内装されるレンズ保持筒8と、レンズ保持筒8に内蔵された構成部品(シャッタユニット5やレンズ6)を固定すべく外筒7あるいはレンズ保持筒8の基端開口部に取り付けられる押さえ部材9とからなる。
【0016】
そして、直進筒4は、その軸方向に沿ってキー溝4aを備えており、キー溝4aに案内キー10が挿入されている。案内キー10は、基端部が固定筒2の基端開口部に取り付けられ、直進筒4が固定筒2に対して回転するのを規制する。従って、カム筒3が固定筒2に対して回転することにより、直進筒4が固定筒2に対して出退する構成となっている。
【0017】
案内キー10は、直進筒4の移動方向に移動可能な摺動部材11を備える部材で、帯板の一端部を略90度で屈曲させた(側面視略L字状の)形状を有する。また、摺動部材11は、曲面状(側面視で円弧状)の先端部を有する部材で、帯板の中間部を略180度で屈曲させた(側面視略コ字状の)形状を有する。摺動部材11は、案内キー10に形成された切り欠き10aに嵌め込まれ、切り欠き10aに沿って直進筒4の移動方向に移動可能となる。
【0018】
また、切り欠き10aには、圧縮バネ等の弾性部材12が配置されており、摺動部材11は、弾性部材12によって先端側(直進筒4の進出側)に常時付勢されている。但し、切り欠き10aの側縁の所定位置には、ストッパ10bが形成されており、ストッパ10bに摺動部材11が当接することで、摺動部材11は切り欠き10aの先端まで移動できず、切り欠き10aの先端側は常時開放された貫通口10cとなる。
【0019】
案内キー10は、先端側に形成された前記貫通口10cに加え、基端部にも貫通口10dを備えている。そして、直進筒4に内蔵したシャッターユニット5に一端が取り付けられたフレキシブル基板13は、先端側の貫通口10cから案内キー10の裏面(固定筒2(カム筒3)の内周面との対向面)側を通り、基端側の貫通口10dから延出してカメラボディ本体に他端が取り付けられる。
【0020】
より詳しくは、フレキシブル基板13は、一端がシャッタユニット5に取り付けられ、そこから所定間隔離れた部位が直進筒4の押さえ部材9にビス等で取り付けられ、さらに、先端側の貫通口10cから案内キー10の裏面を通り、基端側の貫通口10dを出て固定筒2の基端開口部の端面に付設された例えばゴムである緩衝部材14に沿わされ、折り返された他端が固定筒2の基端開口部の外面(図中A)に取り付けられる。フレキシブル基板13の他端は、固定筒2をカメラボディ本体に取り付けた際、カメラボディ本体の回路と接触するようになっていて、シャッタユニット5とカメラボディ本体とは電気的に接続される。
【0021】
直進筒4は、その軸方向に沿って凹部空間4bを備えている。凹部空間4bは、案内キー10と対向するように形成されることで、直進筒4が固定筒2内に退避するレンズ鏡筒1の沈胴によって生じるフレキシブル基板13の光軸側への弛み部分が収納される部分となっている。
【0022】
本実施形態に係るレンズ鏡筒1は以上の構成からなり、レンズの繰り出し状態では、フレキシブル基板13は、押さえ部材9と基端側の貫通口10dとの間で伸びきった状態となるが、沈胴に伴い、摺動部材11の表面に沿うように湾曲する。また、摺動部材11は、フレキシブル基板13の湾曲に伴い、基端側に押圧されて移動する。そして、沈胴状態では、フレキシブル基板13は、弛み部分が緊張状態となって凹部空間4bに収納されるようになる。
【0023】
以上のように本実施形態に係るレンズ鏡筒1によれば、沈胴状態における固定筒2と直進筒4との間に、基端側に開口してフレキシブル基板13の弛み部分を収納する空間が形成され、このため、フレキシブル基板の弛み部分が光路を遮断する等の問題は生じない。
【0024】
しかも、フレキシブル基板13の弛み部分に当接される摺動部材11を備え、摺動部材11が弛み部分を先端側に付勢するようにしているため、沈胴状態において弛み部分が凹部空間4bに収納されないような事態は生じ得ない。
【0025】
また、緩衝部材14を設けたり、摺動部材11の先端部をR状にすることで、直進筒4の移動に伴ってフレキシブル基板13が固定筒2の基端開口部のエッジや摺動部材11の先端部に擦れて、フレキシブル基板13が損傷したり、最悪の場合、切断される等の危険性は少なくなる。
【0026】
尚、本発明に係るレンズ鏡筒は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0027】
例えば、直進筒、カム筒、固定筒の構成は上記実施形態に限定されるものではなく、従来のような三者がヘリコイド結合される構成であってもよい。
【0028】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係るレンズ鏡筒は、直進筒が固定筒内に退避するのに伴って生じるフレキシブル基板の弛み部分を収納する凹部空間が固定筒の内側領域に形成されているため、固定筒の外部に張り出すような収納スペースが不要となり、外部スペースを有効利用できて、例えばカメラ等、筐体の小型化を図ることができるようになる。
【0029】
また、本発明に係るレンズ鏡筒は、フレキシブル基板と固定筒と間に擦れが生じる部位に緩衝部材を設けることで、フレキシブル基板の損傷や切断を確実に防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るレンズ鏡筒の後方斜視図
【図2】(イ)同実施形態に係るレンズ鏡筒のレンズ繰り出し状態を示す断面側面図
(ロ)同レンズの一部沈胴状態を示す断面側面図
(ハ)同レンズの完全沈胴状態を示す断面側面図
【図3】従来のレンズ鏡筒を組み込んだカメラのレンズ完全沈胴状態における断面側面図
【図4】従来のレンズ鏡筒を組み込んだカメラのレンズ繰り出し状態における断面側面図
【図5】従来のレンズ鏡筒の要部斜視図
【符号の説明】
1 レンズ鏡筒
2 固定筒
3 カム筒
4 直進筒
4a キー溝
4b 凹部空間
5 シャッターユニット
6 レンズ
10 案内キー
11 摺動部材
12 弾性部材
13 フレキシブル基板
14 緩衝部材
Claims (3)
- カメラボディ本体等の筐体に取り付けられる固定筒と、シャッタユニット及びレンズを内蔵し、前記固定筒に対して出退自在な直進筒と、前記シャッタユニットに一端が取り付けられ且つ他端が前記固定筒の外部に延出されたフレキシブル基板とを備えたレンズ鏡筒において、前記直進筒が前記固定筒内に退避するのに伴って生じる前記フレキシブル基板の弛み部分を収納する凹部空間が前記直進筒に形成され、且つ前記フレキシブル基板の弛み部分を所定の緊張状態にするための付勢手段が前記固定筒に設けられてなることを特徴とするレンズ鏡筒。
- フレキシブル基板は、固定筒の基端開口部に沿うように折り返されて前記基端開口部の外面に取り付けられ、前記固定筒は、前記フレキシブル基板の折曲部位に対応して緩衝部材を備えてなる請求項1記載のレンズ鏡筒。
- 付勢手段は、直進筒が固定筒に対して回転するのを規制すべく前記直進筒に形成されたキー溝に挿入される案内キーに対して前記直進筒の移動方向に移動可能な摺動部材と、この摺動部材を前記直進筒の進出側に付勢する弾性部材とを備えてなる請求項1又は2記載のレンズ鏡筒。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2003133110A JP2004334101A (ja) | 2003-05-12 | 2003-05-12 | レンズ鏡筒 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003133110A JP2004334101A (ja) | 2003-05-12 | 2003-05-12 | レンズ鏡筒 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004334101A true JP2004334101A (ja) | 2004-11-25 |
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ID=33507755
Family Applications (1)
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Country | Link |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7604421B2 (en) | 2005-07-25 | 2009-10-20 | Hoya Corporation | Imaging device module |
JP2014191283A (ja) * | 2013-03-28 | 2014-10-06 | Olympus Imaging Corp | 撮像装置 |
KR101499962B1 (ko) * | 2008-08-22 | 2015-03-06 | 엘지이노텍 주식회사 | 카메라 모듈 |
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2003
- 2003-05-12 JP JP2003133110A patent/JP2004334101A/ja active Pending
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KR101499962B1 (ko) * | 2008-08-22 | 2015-03-06 | 엘지이노텍 주식회사 | 카메라 모듈 |
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