JP2004333984A - 液晶表示装置用カラーフィルター、および液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】表示品位が高く、かつ、低コストで製造可能な液晶表示装置用カラーフィルターおよび液晶表示装置を提供する。
【解決手段】基板上に、少なくとも第1の着色層と、第2の着色層とが形成され、一画素中に、第1の着色層および第2の着色層が積層された第1の領域と、第2の着色層を有するが第1の着色層は有しない第2の領域とが設けられ、第1の領域と第2の領域との境界部において、基板と第2の着色層との間に着色層以外の樹脂層が設けられ、かつ、着色層以外の樹脂層の膜厚td(μm)と第1の着色層の膜厚t1(μm)との差td−t1が1〜7μmの範囲である液晶表示装置用カラーフィルター、および、該カラーフィルターを用いた液晶表示装置。
【選択図】図1
【解決手段】基板上に、少なくとも第1の着色層と、第2の着色層とが形成され、一画素中に、第1の着色層および第2の着色層が積層された第1の領域と、第2の着色層を有するが第1の着色層は有しない第2の領域とが設けられ、第1の領域と第2の領域との境界部において、基板と第2の着色層との間に着色層以外の樹脂層が設けられ、かつ、着色層以外の樹脂層の膜厚td(μm)と第1の着色層の膜厚t1(μm)との差td−t1が1〜7μmの範囲である液晶表示装置用カラーフィルター、および、該カラーフィルターを用いた液晶表示装置。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置用カラーフィルター、特に、透過型液晶表示と反射型液晶表示の両方の方式を兼ね備えた半透過型液晶表示装置用に適したカラーフィルター、およびそれを用いた液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、液晶表示装置は軽量、薄型、低消費電力等の特性を生かし、ノートPC、携帯情報端末、デスクトップモニタ、デジタルカメラなど様々な用途で使用されている。バックライトを使用した液晶表示装置においては、低消費電力化を進めるためにバックライト光の利用効率を高めることが求められ、カラーフィルターの高透過率化が要求されている。一方、カラーフィルターの透過率は年々向上しているが、透過率向上による消費電力の大幅な低下は望めなくなってきている。最近では電力消費量の大きなバックライト光源を必要としない反射型液晶表示装置の開発が進められており、透過型液晶表示装置にくらべ約1/7と大幅な消費電力の低減が可能であることが発表されている。
【0003】
反射型液晶表示装置は、透過型液晶表示装置に比べ低消費電力であり、屋外での視認性に優れるという利点はあるものの、十分な環境光強度が確保されない場所では表示が暗くなってしまい、視認性が極端に悪くなるという問題点がある。暗い環境下でも表示が視認されるようにするために、(1)バックライトを設け、反射膜の一部に切り欠きを入れ、一部が透過型表示方式、一部を反射型表示方式とした、半透過半反射型表示方式(いわゆる半透過型)の液晶表示装置、(2)フロントライトを設けた液晶表示装置などが考案されている。
【0004】
半透過型液晶表示装置では、暗い場所ではバックライト光を利用する透過表示を行い、明るい場所では環境光を利用する反射表示を行うため、環境光強度によらず、視認性のよい表示を行うことができる(例えば、特許文献1参照)。しかし、鮮やかな透過表示を得ようとすると問題点が生じていた。具体的には透過光の色鮮やかさ(色純度)を向上させると、反射光もそれに伴いさらに色純度が高くなり、色純度とトレードオフの関係にある明るさが極端に低下し、十分な視認性が得られないというものである。この問題点は、透過表示を行うときにはバックライト光がカラーフィルターを1回透過するのに対して、反射表示では、環境光が入射時と反射時の2回カラーフィルターを透過することに起因する。また、半透過型液晶表示装置では透過表示での光源がバックライト光である一方、反射表示での光源が環境光であるために、色純度だけでなく色調も変化してしまうという問題点もある。これは、環境光がD65光源に代表されるような連続的なスペクトルを持つのに対して、バックライト光源がある特定の波長にスペクトルのピークをもつという光源のスペクトル特性の違いに起因する。
【0005】
そこで、透過用領域と反射用領域の表示色(色純度、明るさ、および、色調)を同一に近づける方法が検討されてきた。たとえば、反射用領域にスペーサー部を形成して、透過用領域と反射用領域で着色層の膜厚を変える方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。図8は、この方式での半透過型液晶表示装置用カラーフィルターの断面図を模式的に示したものである。反射用領域7には透明樹脂層3が形成され、反射用領域7の着色層4の膜厚は、透過用領域6の着色層4の膜厚に比べて、薄くなっている。しかし、反射用領域7の着色層膜厚を薄く変えただけでは、色純度、明るさは大きな違いをなくすことができるものの、色調は反射表示と透過表示で異なってしまい、反射と透過における見え方に違和感があるという問題点があった。また、透過表示での色純度を向上させた場合には、反射表示での十分な明るさを得ることができないという問題点があった。
【0006】
こうした問題点を解消するために、一画素中に透過用領域と反射用領域を含み、非感光性樹脂を含む着色層24b上に感光性樹脂を含む着色層24aを積層させたカラーフィルターが提案されている(特許文献3、参照)。図9は、特許文献3に記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルターの断面図を模式的に示したものである。この方法によれば、半透過フォトマスクを使用することにより、反射用領域の着色層24aの膜厚を、透過用領域の着色層24aの膜厚の1/2以下に調整することができ、反射表示での明るさを向上させることができる。また、着色層24a、24bの着色特性をそれぞれ最適化することで、透過用領域6と反射用領域7の表示特性をそれぞれ所望の色調にすることができる。
【0007】
しかし、感光性樹脂を含む着色層24aについては、反射用領域7の着色層を薄くすることができるものの、下層の非感光性樹脂を含む着色層24bは、透過用領域6と反射用領域7との膜厚が同等であるため、透過表示での色純度を向上させた場合には、反射表示での十分な明るさを実現することが困難であった。
【0008】
また、別の方法としては、図10に示すように、透過用領域および/または反射用領域を複数の色材料で塗り分ける方法がある(例えば、特許文献4、特許文献5参照)。この方法では、透過用領域6と反射用領域7にそれぞれ適切な色材料を用いることで、反射表示と透過表示の色調を同じにして色純度、明るさを変え、目的にあった透過表示色と反射表示色を達成することができると考えられる。しかし、現在主流のフォトリソ法でこのようなカラーフィルターを作成するには、一色の画素を形成するのに二度以上の色材料塗布、フォトリソ加工をすることになる。すなわち、赤、緑、青の三色の画素を形成するには各色2回、計6回のフォトリソ加工が必要となり、製造コストが増加してしまうという問題点があった。
【0009】
すなわち、従来知られている方法では、反射用領域と透過用領域とをそれぞれ所望の色特性にすること、ならびに製造工程増加を抑えて安価に製造することを両立することが困難であった。
【0010】
【特許文献1】
特開平11−109417号公報(図1)
【0011】
【特許文献2】
特開2001−33778号公報(第3〜4頁、第2図、第8図)
【0012】
【特許文献3】
特開2002−365419号公報
【0013】
【特許文献4】
特開2001−183646号公報(第1図)
【0014】
【特許文献5】
特開2001−281648号公報(第2〜3頁、図2)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、表示品位が高く、かつ、低コストで製造可能な液晶表示装置用カラーフィルターおよび液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基板上に、少なくとも第1の着色層と、第2の着色層とが形成され、一画素中に、第1の着色層および第2の着色層が積層された第1の領域と、第2の着色層を有するが第1の着色層は有しない第2の領域とが設けられ、第1の領域と第2の領域との境界部において、基板と第2の着色層との間に着色層以外の樹脂層が設けられ、かつ、着色層以外の樹脂層の膜厚td(μm)と第1の着色層の膜厚t1(μm)との差td−t1が1〜7μmの範囲である液晶表示装置用カラーフィルター、および、該カラーフィルターを用いた液晶表示装置である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のカラーフィルターについて、半透過液晶表示装置に基づいて説明する。半透過液晶表示装置においては、一画素内に透過用領域と反射用領域が設けられる。暗い場所ではバックライト光を利用する透過表示を行い、明るい場所では環境光を利用する反射表示を行う。外光を利用するための反射膜が形成される基板は、カラーフィルター側基板、カラーフィルターに対向する基板のいずれでもよい。カラーフィルター側に反射膜が形成されている場合は、色材料が形成されている画素領域の内、反射膜が形成されている領域が反射用領域となり、画素領域の中で反射膜が形成されていない領域が透過用領域となる。反射膜がカラーフィルターに対向する基板上に形成されている場合は、該基板の反射膜形成領域に対向するカラーフィルター画素領域が反射用領域となり、該基板の反射膜が形成されていない領域に対向するカラーフィルター画素領域が透過用領域となる。
【0018】
本発明のカラーフィルターの一例を示す模式断面図を図1に、模式平面図を図6に示す。基板上に、少なくとも第1の着色層24bと、第2の着色層24aとが形成され、一画素中に、第1の着色層および第2の着色層が積層された第1の領域6と、第2の着色層を有するが第1の着色層は有しない第2の領域7とが設けられている。第1の着色層の膜厚をt1(μm)、第2の着色層の膜厚をt2(μm)とする。t1は、第1の領域6の中央で、t2は、第2の領域7で測定する。なお、ここでいう着色層とは、着色剤と樹脂を含み、液晶表示装置の発色のために用いられる層を指す。
【0019】
第1の領域6は、液晶表示装置において、透過用領域として用いられ、第2の領域7は、液晶表示装置において、反射用領域として用いられる。反射用領域の着色層数を透過用領域の着色層よりも少なくすることで、透過表示での色純度を向上させた場合でも、明るい反射表示を得ることができる。また、第1の着色層と第2の着色層の着色および膜厚を適宜調整することで、透過表示と反射表示のそれぞれで所望の色純度、明るさ、色調を得ることが可能となる。なお、第1の着色層を複数の着色層を積層することによって形成しても良い。また、第2の着色層についても、同様に複数の着色層を積層することによって形成しても良い。しかしながら生産性の観点からは、第1の着色層1層と、第2の着色層1層とを組み合わせた2層積層構造であることがより好ましい。また必要に応じて、これらの層の上に、さらに第3の着色層や、オーバーコート層を積層しても良い。
【0020】
第1の領域6と、液晶表示装置における透過用領域は、一致していることが好ましいが、厳密に一致して無くてもよい。第1の領域6のうち、面積にして10%以下の領域が反射用領域となっていてもよい。第2の領域7と、液晶表示装置における反射用領域の関係についても同様である。
【0021】
また、本発明のカラーフィルターにおいては、第1の領域と第2の領域との境界部に高さtd(μm)の段差10が形成され、かつ、tdと第1の着色層の膜厚t1との差td−t1が1〜7μmの範囲である。ここで境界部とは、第1の着色層の輪郭線、すなわち、第1の着色層の最も外側の部分から±10μm以内の範囲に含まれる領域のことを言う。なお、図1に示すように、第1の着色層の輪郭線が厚み方向に傾斜している場合には、第1の着色層が最も外側に出ている部分で見ればよい。
【0022】
段差は、図1に示すように、基板と第2の着色層との間に設けられた膜厚td(μm)の着色層以外の樹脂層3によって形成される。これにより、簡単な工程で、正確な寸法の段差を形成することができる。この場合、着色層以外の樹脂層3は、透過用領域と反射用領域の境界部のみに形成されていてもよく、反射用領域の全体に渡って形成されていてもよい。ここで、着色層以外の樹脂層3としては、液晶表示装置の表示品位に悪影響を与えない点から、透明樹脂層または遮光層であることが好ましい。詳しくは、後述する。
【0023】
必ずしも、カラーフィルターの全ての画素を、このような構造にする必要はなく、たとえば、赤画素、緑画素、青画素のうちの一色または二色をこのような構造にしても良い。どの画素を本発明の構造とするかは、用いるバックライト光源と環境光の特性差を勘案し、液晶表示装置の表示色(色純度、明るさ、色調)が目標の表示品位となるように決めればよい。通常の場合、カラーフィルターの全ての画素を、本発明の構造にすることが、表示品位の点で最も好ましい。
【0024】
このようなカラーフィルターを製造する方法の一例について、図2を参照しながら説明する。まず、図2(a)に示すように、ブラックマトリクス2を設けた基板1上に透明樹脂層3を設けることにより、高さtd(μm)の段差を形成する。
【0025】
次に、図2(b)に示すように、第1の着色層24bを形成するための非感光性着色被膜を形成し、続いてその上に第2の着色層24aを形成するための感光性カラーレジストを積層する。そして、フォトマスクを通して紫外線等を照射することにより、感光性カラーレジストの透過用領域6および反射用領域7に対応する領域を露光する。
【0026】
次に、この基板を現像液で現像し、感光性カラーレジストの非露光部分を除去する。通常の現像条件で現像を行うと、感光性カラーレジストが除去されて露出した部分、すなわち非露光部分に対応する非感光性着色被膜がエッチングされて、いっしょに除去される。しかし、本発明においては、通常の現像条件よりも現像時間を長くするなどした、過現像条件で現像を行う。この場合、感光性カラーレジストについては、十分な露光量が照射されていれば、架橋が進行しており、現像条件によらず、一定のパターンを得ることができる。一方、非感光性着色被膜は、現像条件の影響を受けるので、現像時間が長くなると、エッチングがさらに進行する。ここで、発明者らは、非感光性着色被膜のエッチングが前記の段差に到達すると、エッチング速度が非常に遅くなることを見いだした。この現象を利用して、非感光性着色被膜のエッチングを段差を設けた位置で止めることができる。その後、加熱硬化することにより、図2(c)に示すように、第1の領域6に第1の着色層24bと第2の着色層24aが積層され、第2の領域7には第2の着色層24aのみが形成されたカラーフィルターが得られる。すなわち、一色の画素につき、1回の露光工程および1回の現像工程だけで、本発明の構造を有するカラーフィルターを製造することができる。
【0027】
ここで本発明者らは、上記着色層以外の樹脂層の膜厚td(μm)と第1の着色層の膜厚t1(μm)との差td−t1の制御が所望の形状に加工するために極めて重要であり、td−t1を適切な範囲とすることで、安定的な生産が可能となることを見いだした。すなわち、td−t1が小さすぎる場合は、非感光性ペーストのエッチング速度の低下が十分でなく、わずかな時間経過で現像液の浸透がおこり、本来現像されるべきではない第1の領域へのエッチングが進行する。すなわち、現像時間のマージンが狭くなり、安定した加工が難しくなる。反対にtd−t1が大きすぎる場合は、特にダイコーティング法で塗布工程を行う場合、段差部において非感光着色被膜や、感光性カラーレジストの膜切れが生じ、未着色部(色抜け)が発生する。
【0028】
本発明者らが鋭意検討した結果、現像マージンが十分確保でき、かつ塗布時の膜切れが生じないtd−t1の範囲は、1μm以上、7μm以下である。td−t1の範囲は、より好ましくは2μm以上、6μm以下、さらに好ましくは3μm以上、5μm以下である。
【0029】
前記のように、本発明においては、現像性を制御するよう第1の領域(以下、透過用領域という)と第2の領域(以下、反射用領域という)の境界部に、特定範囲に制御された段差形状を形成することが重要である。
【0030】
着色層以外の樹脂層が遮光層である場合は、透過用領域と反射用領域の境界部のみに樹脂層が形成されている方が、画素の有効表示面積(開口率)の減少が抑えられ好ましい。図4、5はこれを示したものであり、境界部に遮光層が形成されている。また、開口率の低下を少なくするため、その線幅は10μm以下が好ましく、7μm以下がより好ましい。また、パターン加工性の観点からは、遮光層の膜厚は、7μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下がさらに好ましい。着色層以外の樹脂層が遮光層であると、基板上にブラックマトリクスを形成する工程において、同時に形成できるので好ましい。
【0031】
一方、着色層以外の樹脂層が透明樹脂層である場合は、透過用領域と反射用領域の境界部のみに樹脂層が形成されていてもよく、反射用領域全体について樹脂層が形成されていてもよい。反射用領域全体に透明樹脂層が形成される方が、液晶表示装置の表示品位をより高くしやすいので好ましい。ここで「透明」とは、具体的には、透明樹脂層を形成する樹脂の可視光領域の光の平均透過率が80%以上であることをいう。図1、6は反射用領域全体に樹脂層が形成されている例を示したものであり、透過用領域6は2層の着色層が積層されており、反射用領域7は1層の着色層と透明樹脂層3が積層されている。
【0032】
反射用領域に形成する透明樹脂層には、光の散乱機能を持たせても良い。これにより反射膜による光の干渉現象を抑え、反射表示で虹色の模様が見えてしまう問題を解消できる。また、正反射成分による表示のギラツキを押さえ、良好な表示特性を得ることができる。さらに、透過表示領域には透明樹脂層は存在しないので、光散乱せずに効率的にバックライトを使用することができる。透明樹脂層に光の散乱機能を持たせる方法の一つは、透明樹脂層中に透明樹脂層とは屈折率の異なる粒子を存在させることである。光散乱のための粒子としてはシリカ、アルミナ、チタニアなどの無機酸化物粒子、金属粒子、アクリル、スチレン、シリコーン、フッ素含有ポリマーなどの樹脂粒子などの材料を使用することができ、シリカ粒子を用いることが好ましい。粒子の粒径としては0.1〜10μmの範囲が好ましく、透明樹脂層の厚み以下である場合は透明樹脂層が平坦になるのでより好ましい。
【0033】
形成する透明樹脂層の膜厚が厚すぎると透明基板全体に均一な膜厚と形状で形成することが困難になり、逆に透明樹脂層の膜厚が薄すぎると透過領域、反射領域間の段差が小さくなるため、現像マージンが小さくなる。従って透明樹脂層の膜厚tdは、2μm以上、10μm以下が好ましく、より好ましくは、3μm以上、7μm以下、さらに好ましくは、4μm以上、6μm以下にするのが適当である。
【0034】
また、第2の着色層の膜厚t2が薄すぎると、過現像状態となった際、反射用領域において第2の着色層のパターン欠けが発生することがある。逆に膜厚t2が厚すぎると、下層の非感光性ペーストのエッチングが遅くなる傾向があるため、生産タクトが長くなり効率が落ちることがある。第2の着色層の膜厚t2の好ましい範囲は、0.3μm以上、3μm以下、より好ましくは、0.5μm以上、2μm以下、さらに好ましくは、0.8μm以上、1.5μm以下である。
【0035】
本発明においては、反射用領域と透過用領域の配置について特に限定はないが、反射用領域の内側に透過用領域が配置されることが好ましい。特に、各画素において、段差パターンの形状および第2の着色層パターンの形状の両方がアイランド形状であるか、もしくは、両方がストライプ形状であり、かつ、段差パターンの重心と、第2の着色層パターンの重心とが同じであることが好ましい。ここで、段差パターンおよび第2の着色層パターンとは、画素を上面から見た際の段差の平面形状および第2の着色層の輪郭線の平面形状のことを言う。また、アイランド形状とは、図5に示すように、パターンが各画素ごとに独立していることを言う。また、ストライプ形状とは、図7に示すように、パターンが長辺方向に連続していることを言う。また、ここでいう「重心」とは、パターン長辺の中心線とパターン短辺の中心線の交点を指す。「重心が同じ」とは、段差パターンの重心が、第2の着色層パターンの重心から、第2の着色層パターンの長辺、および短辺の長さのそれぞれ5%以内にあることをいう。ちなみに、ストライプ形状の場合は、短辺のみで見ればよい。
【0036】
また、アイランド形状の場合、段差パターンおよび第2の着色層パターンの形状が類似していることが好ましい。ここでパターンの形状が類似しているとは、それぞれのパターンの縦横比、すなわち短辺を1として、長辺を規格化したときの値を比較し、段差パターンの縦横比が第2の着色層パターンの縦横比の30%以内になることを言う。
【0037】
段差パターン、および第2の着色層パターンの配置および形状をこのようにすることにより、パターン端部より進行する第1の着色層の現像の進行が、各方向から、ほぼ同時に段差に到達するようになる。これにより透過用領域への不要なエッチングを起こりにくくすることができ、カラーフィルターを安定的に製造可能であるため好ましい。段差パターン、および第2の着色層パターンの配置および形状が上記の範囲から外れると、ある特定の段差部分のみが長い時間現像液にさらされ、その結果、透過用領域の第1の着色までも現像液が浸透して、溶解してしまうおそれがある。
【0038】
本発明においては、透過表示と反射表示の色純度、明るさ、色調を所望の特性とするためには、第1の着色層と第2の着色層の着色が異なることが好ましい。「着色が異なる」とは、同一光源(例えばC光源)で透過用領域と反射用領域を見たときの色純度、明るさ(透過率)、色調が異なることを指す。
【0039】
着色を異ならせる方法としては、使用する着色剤数、着色剤種類、着色剤組成、着色剤濃度を異ならせることで達成することができる。勿論、使用される着色剤が同じであっても混合比率を変えれば達成される色度を異ならせることができる。
【0040】
また、第1の着色層および第2の着色層の膜厚を調整することによっても、透過表示と反射表示の色純度、明るさ、色調を調整することができる。例えば、基板上の反射用領域に透明樹脂層を形成すると反射用領域は透明樹脂層部分の膜厚分凸になり、透過用領域は反射用領域に比べて低い部分的に凸のある基板となる。凸のある基板上に非感光性カラーペーストおよび/または感光性カラーレジストを塗布し着色層を形成すると、透過用領域の着色層の膜厚は、非感光性カラーペーストや感光性カラーレジストによる平坦化(レベリング)によって凸が形成されている反射用領域の膜厚に比べて厚くなる。すなわち、反射用領域の着色に比べ、透過用領域の着色を濃くすることができる。
【0041】
着色塗液の平坦化(レベリング)の程度は、塗液の粘度、固形分濃度により調整することができる。塗液の粘度が低いとより平坦化しやすくなり、また塗液中の固形分濃度が高いとより平坦化しやすくなる。最上層の着色層に用いる感光性カラーレジスト中の固形分濃度は10重量%から30重量%であることが好ましく、下層の着色層に用いる非感光性カラーペーストおよび/または感光性カラーレジスト中の固形分濃度は3重量%から15重量%であることが好ましい。
【0042】
好ましい画素の着色設計には、光源の違いを考慮に入れるため、透過用領域はバックライトに用いられる光源としてC光源、2波長型光源、3波長型光源の内のいずれか、反射用領域は環境光としての太陽光(自然光)に近いD65光源で行うことが好ましい。ここでいう2波長型のLED光源の例としては、青色LEDと黄色蛍光体または黄緑色蛍光体とを組み合わせて白色光を発するLED光源があげられる。また、3波長型光源の例としては、3波長冷陰極管、紫外LEDと赤、青、緑蛍光体とを組み合わせた白色LED光源、赤、青、緑各色のLEDを組み合わせた白色LED光源、青色LEDと赤色蛍光体ならびに緑色蛍光体とを組み合わせた白色LED光源、有機エレクトロルミネッセンス光源などがあげられる。
【0043】
次に、各層の好ましい組成および形成方法について説明する。遮光層としては通常Cr、Al、Niなどの金属薄膜(厚さ 約0.1〜0.2μm)や樹脂中に遮光材を分散させてなる樹脂ブラックマトリクスが用いられる。樹脂ブラックマトリックスが好ましい。樹脂としては、耐熱性、耐薬品性等の点からポリイミドやアクリルが好ましい。遮光材としての黒色顔料の例としてはピグメントブラック7、チタンブラックなどが挙げられるが、これらに限定されず、種々の顔料を使用することができる。なお、顔料は必要に応じて、ロジン処理、酸性基処理、塩基性基処理などの表面処理が施されているものを使用してもよい。
【0044】
透明樹脂層は感光性レジストを使用して形成することができる。感光性樹脂材料としてはポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の材料が使用できる。感光性を持たせるためには、少なくとも光重合開始剤を含有させ、単官能または多官能モノマー、オリゴマーを有するのが一般的である。中でも、アクリル系樹脂は、可視光域での透明性が高く好ましく用いられる。アクリル系樹脂にエポキシモノマーを加えた、いわゆるアクリルエポキシ樹脂としてもよい。
【0045】
感光性レジストを用いて透明樹脂層を形成する方法としては、透明基板上に感光性レジストを塗布し、ホットプレート、オーブン、真空乾燥を用いて加熱乾燥(プリベーク)する。プリベーク後にマスク露光し、アルカリ現像し、後に加熱硬化することで、透明樹脂層が得られる。
【0046】
透明樹脂層を感光性レジストで形成した場合は、フォトリソ加工の露光工程で、露光マスクと透明樹脂層を形成する基板の距離を変えることで透明樹脂層の表面の丸みや平坦性を制御することが可能である。
【0047】
透明樹脂層は非感光性ペーストを使用しても形成することができる。非感光性樹脂材料としてはポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の材料が使用でき、ポリイミド系樹脂が好ましく用いられる。透明樹脂層を非感光性ペーストで形成した場合は、透明樹脂層の上部表面が平坦な構造になり、より小さな面積の透明樹脂層を形成することが可能である。
【0048】
非感光性ペーストを用いて透明樹脂層を形成する例としては、透明基板上に非感光性ペーストを塗布し、ホットプレート、オーブン、真空乾燥などを用いて加熱乾燥(セミキュア)する。セミキュア膜上にポジ型フォトレジストを塗布し、加熱乾燥(プリベーク)する。プリベーク後にマスク露光し、アルカリ現像し、フォトレジストを溶剤で剥離することで透明樹脂層を形成し加熱硬化させる。
【0049】
第1の着色層は、非感光性カラーペーストを塗布した後、乾燥することにより非感光性着色塗膜を形成し、該非感光性着色塗膜をパターン加工した後、加熱硬化させることにより、好ましく形成することができる。また、第2の着色層は、感光性カラーレジストの溶液を塗布した後、乾燥することにより感光性カラーレジスト層を形成し、該感光性カラーレジスト層を光硬化させることにより、好ましく形成することができる。塗布する方法としては、ディップ法、ロールコーター法、スピンコーティング法、ダイコーティング法、ダイコーティングとスピンコーティング併用法、ワイヤーバーコーティング法などが好適に用いられる。
【0050】
感光性カラーレジストは、着色剤と樹脂成分を含み、樹脂成分は光によって反応する感光成分を含む。光照射された樹脂が現像液への溶解速度のあがるポジ型と、光照射された樹脂が現像液への溶解速度の下がるネガ型があり、どちらも使用することが可能であるが、可視光で感光成分の透明性の高いネガ型樹脂が好ましく用いられる。感光性カラーレジストの樹脂成分としてはポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の材料が好ましく用いられる。
【0051】
感光性カラーレジストに使用する好ましい樹脂成分の例として、アクリル系樹脂について述べる。感光性アクリル系樹脂としては、感光性を持たせるため、少なくともアクリル系ポリマー、アクリル系多官能モノマーあるいはオリゴマー、光重合開始剤を含有させた構成を有するのが一般的である。さらにエポキシを加えた、いわゆるアクリルエポキシ樹脂も用いることができる。
【0052】
使用できるアクリル系ポリマーとしては、特に限定はないが、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和化合物の共重合体を好ましく用いることができる。不飽和カルボン酸の例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、あるいは酸無水物などがあげられる。
【0053】
これらは単独で用いても良いが、他の共重合可能なエチレン性不飽和化合物と組み合わせて用いても良い。共重合可能なエチレン性不飽和化合物としては、具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸nープロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、アクリル酸イソ−ブチル、メタクリル酸イソ−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ペンチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、アミノエチルアクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、1,3−ブタジエン、イソプレンなどの脂肪族共役ジエン、それぞれ末端にアクリロイル基、あるいはメタクリロイル基を有するポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリシリコーンなどのマクロモノマーなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
また、側鎖にエチレン性不飽和基を付加したアクリル系ポリマーを用いると、加工の際の感度がよくなるので好ましく用いることができる。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基のようなものがある。このような側鎖をアクリル系(共)重合体に付加させる方法としては、アクリル系(共)重合体のカルボキシル基や水酸基などを有する場合には、これらにグリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸またはメタクリル酸クロライドを付加反応させる方法が一般的である。その他、イソシアネートを利用してエチレン性不飽和基を有する化合物を付加させることもできる。ここでいうグリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸またはメタクリル酸クロライドとしては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グリシジルエーテル、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどがあげられる。
【0055】
多官能モノマーとしては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレートカルバメート、変性ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、アジピン酸1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリル酸エステル、無水フタル酸プロピレンオキサイド(メタ)アクリル酸エステル、トリメリット酸ジエチレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、ロジン変性エポキシジ(メタ)アクリレート、アルキッド変性(メタ)アクリレートのようなオリゴマー、あるいはトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらは単独または混合して用いることができる。また、次にあげるような単官能モノマーも併用することができ、例えば、エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、n−ブチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどがあり、これらの2種以上の混合物、あるいはその他の化合物との混合物などが用いられる。これらの多官能および単官能モノマーやオリゴマーの選択と組み合わせにより、ペーストの感度や加工性の特性をコントロールすることが可能である。特に、硬度を高くするにはアクリレート化合物よりメタクリレート化合物が好ましく、また、感度を上げるためには、官能基が3以上ある化合物が好ましい。また、メラミン類、グアナミン類などもアクリル系モノマーの代わりに好ましく用いることができる。
【0056】
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン、t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体などがあげられる。また、その他のアセトフェノン系化合物、イミダゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、リン系化合物、トリアジン系化合物、あるいはチタネート等の無機系光重合開始剤なども好ましく用いることができる。また、p−ジメチルアミノ安息香酸エステルなどの増感助剤を添加すると、さらに感度を向上させることができ好ましい。また、これらの光重合開始剤は2種類以上を併用して用いることもできる。
【0057】
光重合開始剤の添加量としては、ペースト全固形分に対して、好ましくは1〜30wt%、より好ましくは5〜25wt%、さらに好ましくは10〜20wt%である。
【0058】
非感光性カラーペーストは、着色剤と樹脂成分を含み、感光成分を含まない以外は、上記の感光性レジストに用いられる材料と、同様の材料を用いることができる。
【0059】
非感光性カラーペーストに使用する好ましい樹脂成分の例としてポリイミド系樹脂について述べる。ポリイミド系樹脂としてはポリイミド前駆体であるポリアミック酸を、加熱または適当な触媒によってイミド化したものが好適に用いられる。ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させることにより得ることができる。
【0060】
本発明におけるポリアミック酸の合成には、テトラカルボン酸二無水物として、たとえば、脂肪族系または脂環式系のものを用いることができ、その具体的な例として、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,5−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ビシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−C]フラン−1,3−ジオンなどが挙げられる。また、芳香族系のものを用いると、耐熱性の良好な膜に変換しうるポリアミック酸を得ることができ、その具体的な例として、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4´−オキシジフタル酸無水物、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4”−パラターフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4”−メタターフェニルテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。また、フッ素系のものを用いると、短波長領域での透明性が良好な膜に変換しうるポリアミック酸を得ることができ、その具体的な例として、4,4´−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物などが挙げられる。なお、本発明は、これらに限定されずにテトラカルボン酸二無水物が1種または2種以上用いられる。
【0061】
また、本発明におけるポリアミック酸の合成には、ジアミンとして、たとえば、脂肪族系または脂環式系のものを用いることができ、その具体的な例として、エチレンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジシクロヘキシルなどが挙げられる。また、芳香族系のものを用いると、耐熱性の良好な膜に変換しうるポリアミック酸を得ることができ、その具体的な例として、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、3,4´−ジアミノジフェニルエーテル、4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノジフェニルスルホン、3,3´−ジアミノジフェニルスルホン、4,4´−ジアミノジフェニルサルファイド、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、ベンジジン、3,3´−ジメチルベンジジン、3,3´−ジメトキシベンジジン、o−トリジン、4,4”−ジアミノターフェニル、1,5−ジアミノナフタレン、3,3´−ジメチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンなどが挙げられる。また、フッ素系のものを用いると、短波長領域での透明性が良好な膜に変換しうるポリアミック酸を得ることができ、その具体的な例として、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンなどが挙げられる。
【0062】
また、ジアミンの一部として、シロキサンジアミンを用いると、無機基板との接着性を良好にすることができる。シロキサンジアミンは、通常、全ジアミン中の1〜20モル%量用いる。シロキサンジアミンの量が少なすぎれば接着性向上効果が発揮されず、多すぎれば耐熱性が低下する。シロキサンジアミンの具体例としては、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサンなどが挙げられる。本発明は、これに限定されずにジアミンが1種または2種以上用いられる。
【0063】
次に、ポリアミック酸の構造単位の繰り返し数について述べる。ポリイミド膜の力学的特性は、分子量が大きいほど良好であるため、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸の分子量も大きいことが望まれる。一方、ポリアミック酸膜を湿式エッチングによりパターン加工を行う場合、ポリアミック酸の分子量が大きすぎると、現像に要する時間が長くなりすぎるという問題がある。したがって、構造単位の繰り返し数の好ましい範囲は15〜1000、より好ましくは18〜400、さらに好ましくは20〜100である。なお、ポリアミック酸の分子量には一般にばらつきがあるため、ここでいう構造単位の繰り返し数の好ましい範囲とは、この範囲の中に全ポリアミック酸の50モル%以上、好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上が入っていることを意味する。
【0064】
本発明に使用される着色剤は、有機顔料、無機顔料、染料を問わず着色剤全般を使用することができる。代表的な顔料の例として、ピグメントレッド(PR−)、2、3、22、38、149,166、168、177,206、207、209、224、242,254、ピグメントオレンジ(PO−)5、13、17、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、ピグメントイエロー(PY−)12、13、14、17、20、24、83、86、93、94、109、110、117、125、137、138、139、147、148、150,153、154、166、173、185、ピグメントブルー(PB−)15(15:1、15:2、15:3、15:4、15:6)、21、22、60、64、ピグメントバイオレット(PV−)19、23、29、32、33、36、37、38、40、50などが挙げられる。本発明ではこれらに限定されずに種々の顔料を使用することができる。
【0065】
上記顔料は必要に応じて、ロジン処理、酸性基処理、塩基性処理、顔料誘導体処理などの表面処理が施されているものを使用しても良い。 なお、PR(ピグメントレッド)、PY(ピグメントイエロー)、PV(ピグメントバイオレット)、PO(ピグメントオレンジ)等は、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)の記号であり、正式には頭にC.I.を付するもの(例えば、C.I.PR254など)である。これは染料や染色の標準を規定したものであり、それぞれの記号は特定の標準となる染料とその色を指定するものである。なお、以下の本発明の説明においては、原則として、前記C.I.の表記は省略(例えば、C.I.PR254ならば、PR254)する。
【0066】
カラーフィルターの形成は、ガラス、高分子フィルム等の透明基板側に限定されず、駆動素子側基板にも行うことができる。カラーフィルターのパターン形状については、ストライプ状、アイランド状などがあげられるが特に限定されるものではない。また、必要に応じてカラーフィルター上に柱状の固定式スペーサーが配置されていてもよい。
【0067】
本発明のカラーフィルターは、半透過型液晶表示装置に組み込まれて使用される。ここで、半透過型液晶表示装置とは、対向基板あるいはカラーフィルターの反射領域にはアルミニウム膜や銀膜等から成る反射膜を備え、透過領域にはそのような反射膜がないことを特徴とする液晶表示装置である。本発明のカラーフィルターは、液晶表示装置の駆動方法、表示方式にも限定されず、アクティブマトリクス方式、パッシブマトリクス方式、TNモード、STNモード、ECBモード、OCB、VAモードなど種々の液晶表示装置に適用される。また、液晶表示装置の構成、例えば偏光板の数、散乱体の位置等にも限定されずに使用することができる。
【0068】
本発明のカラーフィルターの作製方法の一例を述べる。透明基板上に少なくともポリアミック酸、黒色着色剤、溶剤からなる非感光性カラーペーストを透明基板上に塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより、ポリアミック酸黒色着色被膜を形成する。オーブン、ホットプレートなどを使用し、60〜200℃の範囲で1分〜60分加熱乾燥(セミキュア)を行うことが好ましい。次に、このようにして得られたポリアミック酸黒色被膜にポジ型フォトレジストを塗布し、ホットプレートを使用して60〜150℃の範囲で1〜30分加熱乾燥させる(プリベーク)。次に、露光装置を用いて、紫外線を照射し、目的のパターンを焼き付けた後、アルカリ現像して所望位置に所望パターンで樹脂ブラックマトリクス層を得る。樹脂ブラックマトリクス層は200〜300℃で加熱硬化させる。
【0069】
次にポリアミック酸と溶剤からなる非感光性ペーストをブラックマトリクスが形成された透明基板の全面に塗布し、ホットプレートを使用し、60〜200℃の範囲で1〜60分間加熱乾燥する。次にこのようにして得られたポリアミック酸被膜にポジ型フォトレジストを塗布し、ホットプレートを使用して60〜150℃の範囲で1〜30分加熱乾燥させる。露光装置を用いて、紫外線を照射し、目的のパターンを焼き付けた後、アルカリ現像して所望位置に所望パターンで透明樹脂層を得る。透明樹脂層は200〜300℃で加熱硬化させる。
【0070】
次に第1の着色層と第2の着色層を積層して画素を形成する。まず、少なくともポリアミック酸、着色剤、溶剤からなる非感光性カラーペーストを透明樹脂層が形成された透明基板上に塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより乾燥し、非感光性ポリアミック酸着色被膜を形成する。加熱乾燥の場合、オーブン、ホットプレートなどを使用し、60〜200℃の範囲で1分〜60分行うのが好ましい。次に、このようにして得られたポリアミック酸着色被膜の上に、アクリル系ポリマー、アクリル系多官能モノマー、光重合開始剤からなる感光性アクリル樹脂、着色剤、溶剤からなる感光性カラーレジストを塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより、感光性アクリル着色被膜を形成する。加熱乾燥の場合、オーブン、ホットプレートなどを使用し、60〜200℃の範囲で1分〜3時間行うのが好ましい。続いて、フォトマスクと露光装置を用いて、感光性アクリル着色被膜に紫外線をパターン状に照射する。露光後、アルカリ現像液により、感光性アクリル着色被膜と非感光性ポリアミック酸着色被膜のエッチングを同時に行う。
【0071】
非感光性ポリアミック酸着色被膜は、その後、加熱硬化することによって、ポリイミド着色被膜に変換される。加熱硬化は通常、空気中、窒素雰囲気中、あるいは、真空中などで、150〜350℃、好ましくは180〜250℃の温度のもとで、0.5〜5時間、連続的または段階的に行われる。
【0072】
感光性アクリル着色層を積層しない画素がある場合は、非感光性ポリアミック酸着色被膜を形成した後、フォトレジストを塗布し、フォトレジスト被膜を形成する。続いて、フォトマスクと露光装置を用いて、該フォトレジスト被膜にパターン状に紫外線照射する。露光後、アルカリ現像液により、フォトレジスト被膜と非感光性ポリアミック酸着色被膜のエッチングを同時に行う。エッチング後、不要となったフォトレジスト被膜を剥離し、非感光性ポリアミック酸着色被膜を加熱硬化することでポリイミド着色膜を得る。
【0073】
以上の工程を赤、緑、青の画素について行うと、液晶表示装置用カラーフィルターが作製できる。
【0074】
次に、このカラーフィルターを用いて作成した半透過型液晶表示装置の一例について述べる。上記カラーフィルター上に、透明保護膜を形成し、さらにその上にITO膜などの透明電極を製膜する。次に、このカラーフィルター基板と、金属蒸着膜などがパターニングされた半透過反射膜、半透過反射膜上の透明絶縁膜、さらにその上にITO膜などの透明電極が形成された半透過反射基板とを、さらにそれらの基板上に設けられた液晶配向のためのラビング処理を施した液晶配向膜、およびセルギャップ保持のためのスペーサーを介して、対向させてシールし貼りあわせる。なお、半透過反射基板上には、反射膜、透明電極以外に、光拡散用の突起物、薄膜トランジスタ(TFT)素子や薄膜ダイオード(TFD)素子、および走査線、信号線などを設け、TFT液晶表示装置や、TFD液晶表示装置を作成することができる。次に、シール部に設けられた注入口から液晶を注入した後に、注入口を封止する。つぎに、ICドライバー等を実装することによりモジュールが完成する。
【0075】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0076】
実施例1
A.ポリアミック酸溶液(PAA)の作製
4,4′−ジアミノジフェニルエーテル 95.1gおよびビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン 6.2gをγ−ブチロラクトン 525g、N−メチル−2−ピロリドン 220gと共に仕込み、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 144.1gを添加し、70℃で3時間反応させた後、無水フタル酸 3.0gを添加し、さらに70℃で2時間反応させ、25重量%のポリアミック酸溶液(PAA)を得た。
【0077】
B.ポリマー分散剤(PD)の合成
4,4′−ジアミノベンズアニリド 161.3g、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン 176.7g、およびビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン 18.6gをγ−ブチロラクトン 2667g、N−メチル−2−ピロリドン 527gと共に仕込み、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 439.1gを添加し、70℃で3時間反応させた後、無水フタル酸 2.2gを添加し、さらに70℃で2時間反応させ、20重量%のポリアミック酸溶液であるポリマー分散剤(PD)を得た。
【0078】
C.非感光性黒色ペーストの作製
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’− ジアミノジフェニルエーテルおよびビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンをN−メチル−2−ピロリドンを溶媒として反応させ、ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)溶液を得た。
【0079】
三菱化成(株)製カーボンブラック“MA100”4.6g、ポリイミド前駆体溶液24gおよびN−メチルピロリドン61.4gをホモジナイザーを用いて、7000 rpmで30分間分散し、ガラスビーズをろ過してブラックペーストを調製した。
【0080】
D.非感光性カラーペーストの作製
ピグメントレッドPR254、3.6g(80wt%)、ピグメントレッドPR177、0.9g(20wt%)、ポリマー分散剤(PD) 22.5gおよびγ−ブチロラクトン 42.8g、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール 20.2gをガラスビーズ 90gとともに仕込み、ホモジナイザーを用い、7000rpmで5時間分散後、ガラスビーズを濾過し、除去した。このようにして顔料としてPR254とPR177を含む分散液(RD)を得た。
【0081】
分散液(RD) 45.6gにポリアミック酸溶液(PAA) 18.2gをγ−ブチロラクトン 39.52gで希釈した溶液を添加混合し、顔料/樹脂比率が25/75である赤色カラーペーストを得た。同様にして、ピグメントグリーンPG36とピグメントイエローPY150の重量混合比(G/Y)が60/40で、顔料/樹脂比率が35/65である緑色カラーペースト、ピグメントブルーPB15:6からなり、顔料/樹脂比率が20/80である青色カラーペーストを得た。各カラーペーストの固形分濃度は5.3%に調製した。
【0082】
E.透明樹脂層に用いる非感光性ペーストの作製
ポリアミック酸溶液(PAA) 16.0gをγ−ブチロラクトン 34.0gで希釈し非感光性透明ペーストを得た。
【0083】
F.感光性カラーレジストの作製
ピグメントレッドPR209、7.05gを3−メチル−3−メトキシブタノール50gとともに仕込み、ホモジナイザーを用い、7000rpmで5時間分散後、ガラスビーズを濾過して除去し、赤色分散液を得た。アクリル共重合体溶液(ダイセル化学工業株式会社製サイクロマー(登録商標)P、ACA−250、43wt%溶液)70.00g、多官能モノマーとしてペンタエリスリトールテトラメタクリレート30.00g、光重合開始剤として“イルガキュア(登録商標)”369 15.00gにシクロペンタノン260.00gを加え、濃度20重量%の感光性アクリル樹脂溶液(AC−1)を得た。前記赤色分散液に感光性アクリル樹脂溶液(AC−1)100gを加え、顔料/樹脂比率が26/74である赤色カラーレジストを得た。
【0084】
同様にして、ピグメントグリーンPG36とピグメントイエローPY150の重量混合比(G/Y)が70/30で、顔料/樹脂比率が10/90である緑色カラーレジスト、ピグメントブルーPB15:6からなり、顔料/樹脂比率が10/90である青色カラーレジストを得た。各カラーレジストの固形分濃度は17.2%に調製した。
【0085】
G.カラーフィルターの作製と評価
コーニングジャパン株式会社製0.7mm厚ガラス基板“1737”上に、上記Cで作製した非感光性黒色ペーストを熱処理後の膜厚が1.0μmとなるようスピンナーで塗布して、黒色塗膜を形成した。該塗膜を、120℃のオーブンで20分乾燥し、この上にポジ型フォトレジスト(東京応化株式会社製“OFPR−800”)を塗布し、90℃で10分オーブン乾燥した。キャノン株式会社製紫外線露光機“PLA−501F”を用い、各色画素の周辺部に格子状にブラックマトリクスが残るフォトマスクパターンを介して、60mJ/cm2(365nmの紫外線強度)で露光した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.0%の水溶液からなる現像液に浸漬し、フォトレジストの現像および黒色塗膜のエッチングを同時に行った。エッチング後不要となったフォトレジスト層をアセトンで剥離し、240℃で30分熱処理し、樹脂ブラックマトリクスを得た。
【0086】
ブラックマトリクスがパターン加工されたガラス基板上に熱処理後の膜厚(td)が5.0μmになるよう上記Eで得た非感光性透明ペーストをスピンナーで塗布して塗膜を形成した。該塗膜を120℃のオーブンで20分乾燥し、この上にポジ型フォトレジストを塗布し、90℃で10分オーブン乾燥した。透過用領域が画素の中央に配置され、赤、緑、青、各画素の透過用領域以外の領域に透明樹脂層が残るフォトマスクパターンを介して、60mJ/cm2(365nmの紫外線強度)で露光した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.0%の水溶液からなる現像液に浸漬し、フォトレジストの現像および非感光性透明ペースト塗膜のエッチングを同時に行った。エッチング後不要となったフォトレジスト層をアセトンで剥離し、240℃で30分熱処理し、赤、緑、青画素の透過用領域以外の領域に透明樹脂層を形成した。
【0087】
次に透過用領域の画素中央での熱処理後の膜厚(t1)が1.0μmになるように、上記Dで得た非感光性赤色カラーペーストをスピンナーで基板上に塗布し、120℃のオーブンで20分乾燥して塗膜を形成した。ここで、td−t1は4μmである。該塗膜の上に、反射用領域での熱処理後の膜厚(t2)が1.3μmになるように、上記Fで得た赤色カラーレジストをスピンナーで塗布して塗膜を形成した。該塗膜を80℃のオーブンで10分熱処理し、紫外線露光機を用い、同色画素の透過用領域間の遮光層上に、幅5μmのスリットが形成されるフォトマスクを介して、100mJ/cm2(365nmの紫外線強度)で露光した。露光後にテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの1.0%の水溶液からなる現像液に浸漬し、非感光性赤色着色被膜ならびに赤色カラーレジストが積層された着色層を現像時間を変えて、現像した。
【0088】
赤画素と同様にして、緑画素、青画素についても、表1に記載した膜厚(t1、t2)になるよう上記Dで得た非感光性緑色、青色ペーストならびに上記Fで得た緑色、青色カラーレジストを塗布し、これらの積層着色層を現像時間を変えて、フォトリソ加工し、カラーフィルターを作製した。
【0089】
各色画素における、透過用領域と反射用領域間の段差部での塗布時膜切れ(色抜け)の有無、反射部での感光性カラーレジストの現像時のパターン欠け、および最適現像時間ならびに現像マージンを表1に示す。ここで、最適現像時間とは、反射用領域の非感光性透明ペースト層が完全に現像される時間をいう。また、現像マージンとは、反射用領域の非感光性透明ペースト層が完全に現像されてから、透過用領域の非感光性カラーペースト層へ現像液が浸透し始めるまでの時間をいう。
【0090】
実施例2〜6、比較例1、2
表1に記載したtd、t1、t2になるように、透明樹脂層、非感光性赤、緑、青色カラーペースト、および感光性赤、緑、青色カラーレジストを塗布した以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルターを作成した。
【0091】
各色画素における、透過用領域と反射用領域間の段差部での塗布時膜切れ(色抜け)の有無、反射部での感光性カラーレジストの現像時のパターン欠け、および最適現像時間ならびに現像マージンを表1に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
実施例でのカラーフィルターは、現像マージンがいずれの実施例においても20秒よりも長く、より安定してカラーフィルターを作製することができた。また段差部の膜切れ(色抜け)、反射部パターン欠けなどの形状不良もなかった。一方、比較例1のカラーフィルターは現像マージンがいずれの色でも20秒以下、特に3色目に加工した青画素では12秒と小さく、製造工程でのプロセス変動に対してのマージンがほとんど無かった。そのため、比較例で作製したカラーフィルター基板面内の一部には、透過用領域の非感光性カラーペースト層への現像液浸透が見受けられた。比較例2のカラーフィルターは、td−t1が8μmと大きいことから、非感光カラーペースト、および感光性カラーレジスト塗布時に膜切れ(色抜け)が生じた。また緑画素、青画素は、反射用領域での感光性カラーレジスト膜厚(t2)が、それぞれ0.25μm、0.2μmと薄すぎ、現像時にパターン欠けが生じた。
【0094】
<液晶表示装置の作製>
実施例、および比較例で作成したカラーフィルター基板に140nmの膜厚でITO膜を製膜し、次に高さ3μmの固定スペーサーを形成した。実施例6のカラーフィルター基板については、さらに配向制御用の円錐状樹脂突起物(高さ1.5μm、直径9μmφ)を透明樹脂層と同様にして形成した。薄膜ダイオード(TFD)素子、走査線、信号線、透明電極からなる駆動素子基板上に、コンタクトホールを備えた光拡散用の樹脂突起層、さらにその上にアルミ蒸着膜をパターンニングした半透過反射膜、さらにそれらの基板上に設けられた液晶配向のためのラビング処理を施した液晶配向膜を形成し、半透過反射基板を作成した。該半透過反射基板とカラーフィルター基板とを対向させて、シール剤を用いて、貼り合わせた。次に、シール部に設けられた注入口から液晶を注入した後に、注入口を封入した。つぎに、ICドライバー等を実装することにより液晶表示装置を完成させた。
【0095】
液晶表示装置の作製において、すべての実施例、比較例において、配向膜として通常の使用されているTN方式用の配向膜、ならびにTN液晶を用いた。
【0096】
実施例1から6および比較例1、2で作成したカラーフィルターを用いた半透過型液晶表示装置、それぞれ100個について、表示特性を全数検査した。
【0097】
実施例1から6のカラーフィルターを用いた半透過型液晶表示装置では、すべての液晶表示装置について、反射表示、透過表示とも所望の特性が得られた。一方、比較例1のカラーフィルターを用いた半透過型液晶表示装置では、100個中8個の液晶表示装置が透過表示での色純度が低下していた。これは、透過用領域への現像液の浸透によるカラーフィルターの色純度低下が原因であった。また、比較例2のカラーフィルターを用いた半透過型液晶表示装置では、すべての液晶表示装置について、透過表示、反射表示両方での色純度が大きく低下していた。これは、段差部膜切れによる赤、緑、青透過領域の色抜けと、緑、青反射領域の画素パターン欠けが原因であった。
【0098】
以上のように、本発明のカラーフィルターを用いることで反射用領域と透過用領域とをそれぞれ所望の色特性にし、安定してカラーフィルターを製造することができた。
【0099】
【発明の効果】
本発明は上述のごとく構成することにより、表示品位が高く、かつ、低コストで製造可能な液晶表示装置用カラーフィルターおよび液晶表示装置を提供することができる。特に、本発明のカラーフィルターを半透過型液晶表示装置に用いた場合、透過用領域と反射用領域の表示色(色純度、明るさ、および、色調)が同一に近い液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラーフィルターの一例を示す模式断面図
【図2】本発明のカラーフィルターの製造工程の一例を示す模式断面図
【図3】本発明のカラーフィルターの製造工程における現像前の状態を示す模式断面図
【図4】本発明のカラーフィルターの一例を示す模式断面図
【図5】本発明のカラーフィルターの一例を示す模式平面図
【図6】本発明のカラーフィルターの一例を示す模式平面図
【図7】本発明のカラーフィルターの一例を示す模式平面図
【図8】従来のカラーフィルターの模式断面図
【図9】従来のカラーフィルターの模式断面図
【図10】従来のカラーフィルターの模式断面図
【符号の説明】
1 :透明基板
2 :ブラックマトリックス
3 :透明樹脂層
4 :着色層
5 :無着色領域
6 :透過用領域
7 :反射用領域
8B:青画素領域
8G:緑画素領域
8R:赤画素領域
9 :オーバーコート層
10:段差
14a:濃色着色層(透過用領域用)
14b:淡色着色層(反射用領域用)
24a:第2の着色層
24b:第1の着色層
25:露光部
26:未露光部
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置用カラーフィルター、特に、透過型液晶表示と反射型液晶表示の両方の方式を兼ね備えた半透過型液晶表示装置用に適したカラーフィルター、およびそれを用いた液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、液晶表示装置は軽量、薄型、低消費電力等の特性を生かし、ノートPC、携帯情報端末、デスクトップモニタ、デジタルカメラなど様々な用途で使用されている。バックライトを使用した液晶表示装置においては、低消費電力化を進めるためにバックライト光の利用効率を高めることが求められ、カラーフィルターの高透過率化が要求されている。一方、カラーフィルターの透過率は年々向上しているが、透過率向上による消費電力の大幅な低下は望めなくなってきている。最近では電力消費量の大きなバックライト光源を必要としない反射型液晶表示装置の開発が進められており、透過型液晶表示装置にくらべ約1/7と大幅な消費電力の低減が可能であることが発表されている。
【0003】
反射型液晶表示装置は、透過型液晶表示装置に比べ低消費電力であり、屋外での視認性に優れるという利点はあるものの、十分な環境光強度が確保されない場所では表示が暗くなってしまい、視認性が極端に悪くなるという問題点がある。暗い環境下でも表示が視認されるようにするために、(1)バックライトを設け、反射膜の一部に切り欠きを入れ、一部が透過型表示方式、一部を反射型表示方式とした、半透過半反射型表示方式(いわゆる半透過型)の液晶表示装置、(2)フロントライトを設けた液晶表示装置などが考案されている。
【0004】
半透過型液晶表示装置では、暗い場所ではバックライト光を利用する透過表示を行い、明るい場所では環境光を利用する反射表示を行うため、環境光強度によらず、視認性のよい表示を行うことができる(例えば、特許文献1参照)。しかし、鮮やかな透過表示を得ようとすると問題点が生じていた。具体的には透過光の色鮮やかさ(色純度)を向上させると、反射光もそれに伴いさらに色純度が高くなり、色純度とトレードオフの関係にある明るさが極端に低下し、十分な視認性が得られないというものである。この問題点は、透過表示を行うときにはバックライト光がカラーフィルターを1回透過するのに対して、反射表示では、環境光が入射時と反射時の2回カラーフィルターを透過することに起因する。また、半透過型液晶表示装置では透過表示での光源がバックライト光である一方、反射表示での光源が環境光であるために、色純度だけでなく色調も変化してしまうという問題点もある。これは、環境光がD65光源に代表されるような連続的なスペクトルを持つのに対して、バックライト光源がある特定の波長にスペクトルのピークをもつという光源のスペクトル特性の違いに起因する。
【0005】
そこで、透過用領域と反射用領域の表示色(色純度、明るさ、および、色調)を同一に近づける方法が検討されてきた。たとえば、反射用領域にスペーサー部を形成して、透過用領域と反射用領域で着色層の膜厚を変える方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。図8は、この方式での半透過型液晶表示装置用カラーフィルターの断面図を模式的に示したものである。反射用領域7には透明樹脂層3が形成され、反射用領域7の着色層4の膜厚は、透過用領域6の着色層4の膜厚に比べて、薄くなっている。しかし、反射用領域7の着色層膜厚を薄く変えただけでは、色純度、明るさは大きな違いをなくすことができるものの、色調は反射表示と透過表示で異なってしまい、反射と透過における見え方に違和感があるという問題点があった。また、透過表示での色純度を向上させた場合には、反射表示での十分な明るさを得ることができないという問題点があった。
【0006】
こうした問題点を解消するために、一画素中に透過用領域と反射用領域を含み、非感光性樹脂を含む着色層24b上に感光性樹脂を含む着色層24aを積層させたカラーフィルターが提案されている(特許文献3、参照)。図9は、特許文献3に記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルターの断面図を模式的に示したものである。この方法によれば、半透過フォトマスクを使用することにより、反射用領域の着色層24aの膜厚を、透過用領域の着色層24aの膜厚の1/2以下に調整することができ、反射表示での明るさを向上させることができる。また、着色層24a、24bの着色特性をそれぞれ最適化することで、透過用領域6と反射用領域7の表示特性をそれぞれ所望の色調にすることができる。
【0007】
しかし、感光性樹脂を含む着色層24aについては、反射用領域7の着色層を薄くすることができるものの、下層の非感光性樹脂を含む着色層24bは、透過用領域6と反射用領域7との膜厚が同等であるため、透過表示での色純度を向上させた場合には、反射表示での十分な明るさを実現することが困難であった。
【0008】
また、別の方法としては、図10に示すように、透過用領域および/または反射用領域を複数の色材料で塗り分ける方法がある(例えば、特許文献4、特許文献5参照)。この方法では、透過用領域6と反射用領域7にそれぞれ適切な色材料を用いることで、反射表示と透過表示の色調を同じにして色純度、明るさを変え、目的にあった透過表示色と反射表示色を達成することができると考えられる。しかし、現在主流のフォトリソ法でこのようなカラーフィルターを作成するには、一色の画素を形成するのに二度以上の色材料塗布、フォトリソ加工をすることになる。すなわち、赤、緑、青の三色の画素を形成するには各色2回、計6回のフォトリソ加工が必要となり、製造コストが増加してしまうという問題点があった。
【0009】
すなわち、従来知られている方法では、反射用領域と透過用領域とをそれぞれ所望の色特性にすること、ならびに製造工程増加を抑えて安価に製造することを両立することが困難であった。
【0010】
【特許文献1】
特開平11−109417号公報(図1)
【0011】
【特許文献2】
特開2001−33778号公報(第3〜4頁、第2図、第8図)
【0012】
【特許文献3】
特開2002−365419号公報
【0013】
【特許文献4】
特開2001−183646号公報(第1図)
【0014】
【特許文献5】
特開2001−281648号公報(第2〜3頁、図2)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、表示品位が高く、かつ、低コストで製造可能な液晶表示装置用カラーフィルターおよび液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基板上に、少なくとも第1の着色層と、第2の着色層とが形成され、一画素中に、第1の着色層および第2の着色層が積層された第1の領域と、第2の着色層を有するが第1の着色層は有しない第2の領域とが設けられ、第1の領域と第2の領域との境界部において、基板と第2の着色層との間に着色層以外の樹脂層が設けられ、かつ、着色層以外の樹脂層の膜厚td(μm)と第1の着色層の膜厚t1(μm)との差td−t1が1〜7μmの範囲である液晶表示装置用カラーフィルター、および、該カラーフィルターを用いた液晶表示装置である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のカラーフィルターについて、半透過液晶表示装置に基づいて説明する。半透過液晶表示装置においては、一画素内に透過用領域と反射用領域が設けられる。暗い場所ではバックライト光を利用する透過表示を行い、明るい場所では環境光を利用する反射表示を行う。外光を利用するための反射膜が形成される基板は、カラーフィルター側基板、カラーフィルターに対向する基板のいずれでもよい。カラーフィルター側に反射膜が形成されている場合は、色材料が形成されている画素領域の内、反射膜が形成されている領域が反射用領域となり、画素領域の中で反射膜が形成されていない領域が透過用領域となる。反射膜がカラーフィルターに対向する基板上に形成されている場合は、該基板の反射膜形成領域に対向するカラーフィルター画素領域が反射用領域となり、該基板の反射膜が形成されていない領域に対向するカラーフィルター画素領域が透過用領域となる。
【0018】
本発明のカラーフィルターの一例を示す模式断面図を図1に、模式平面図を図6に示す。基板上に、少なくとも第1の着色層24bと、第2の着色層24aとが形成され、一画素中に、第1の着色層および第2の着色層が積層された第1の領域6と、第2の着色層を有するが第1の着色層は有しない第2の領域7とが設けられている。第1の着色層の膜厚をt1(μm)、第2の着色層の膜厚をt2(μm)とする。t1は、第1の領域6の中央で、t2は、第2の領域7で測定する。なお、ここでいう着色層とは、着色剤と樹脂を含み、液晶表示装置の発色のために用いられる層を指す。
【0019】
第1の領域6は、液晶表示装置において、透過用領域として用いられ、第2の領域7は、液晶表示装置において、反射用領域として用いられる。反射用領域の着色層数を透過用領域の着色層よりも少なくすることで、透過表示での色純度を向上させた場合でも、明るい反射表示を得ることができる。また、第1の着色層と第2の着色層の着色および膜厚を適宜調整することで、透過表示と反射表示のそれぞれで所望の色純度、明るさ、色調を得ることが可能となる。なお、第1の着色層を複数の着色層を積層することによって形成しても良い。また、第2の着色層についても、同様に複数の着色層を積層することによって形成しても良い。しかしながら生産性の観点からは、第1の着色層1層と、第2の着色層1層とを組み合わせた2層積層構造であることがより好ましい。また必要に応じて、これらの層の上に、さらに第3の着色層や、オーバーコート層を積層しても良い。
【0020】
第1の領域6と、液晶表示装置における透過用領域は、一致していることが好ましいが、厳密に一致して無くてもよい。第1の領域6のうち、面積にして10%以下の領域が反射用領域となっていてもよい。第2の領域7と、液晶表示装置における反射用領域の関係についても同様である。
【0021】
また、本発明のカラーフィルターにおいては、第1の領域と第2の領域との境界部に高さtd(μm)の段差10が形成され、かつ、tdと第1の着色層の膜厚t1との差td−t1が1〜7μmの範囲である。ここで境界部とは、第1の着色層の輪郭線、すなわち、第1の着色層の最も外側の部分から±10μm以内の範囲に含まれる領域のことを言う。なお、図1に示すように、第1の着色層の輪郭線が厚み方向に傾斜している場合には、第1の着色層が最も外側に出ている部分で見ればよい。
【0022】
段差は、図1に示すように、基板と第2の着色層との間に設けられた膜厚td(μm)の着色層以外の樹脂層3によって形成される。これにより、簡単な工程で、正確な寸法の段差を形成することができる。この場合、着色層以外の樹脂層3は、透過用領域と反射用領域の境界部のみに形成されていてもよく、反射用領域の全体に渡って形成されていてもよい。ここで、着色層以外の樹脂層3としては、液晶表示装置の表示品位に悪影響を与えない点から、透明樹脂層または遮光層であることが好ましい。詳しくは、後述する。
【0023】
必ずしも、カラーフィルターの全ての画素を、このような構造にする必要はなく、たとえば、赤画素、緑画素、青画素のうちの一色または二色をこのような構造にしても良い。どの画素を本発明の構造とするかは、用いるバックライト光源と環境光の特性差を勘案し、液晶表示装置の表示色(色純度、明るさ、色調)が目標の表示品位となるように決めればよい。通常の場合、カラーフィルターの全ての画素を、本発明の構造にすることが、表示品位の点で最も好ましい。
【0024】
このようなカラーフィルターを製造する方法の一例について、図2を参照しながら説明する。まず、図2(a)に示すように、ブラックマトリクス2を設けた基板1上に透明樹脂層3を設けることにより、高さtd(μm)の段差を形成する。
【0025】
次に、図2(b)に示すように、第1の着色層24bを形成するための非感光性着色被膜を形成し、続いてその上に第2の着色層24aを形成するための感光性カラーレジストを積層する。そして、フォトマスクを通して紫外線等を照射することにより、感光性カラーレジストの透過用領域6および反射用領域7に対応する領域を露光する。
【0026】
次に、この基板を現像液で現像し、感光性カラーレジストの非露光部分を除去する。通常の現像条件で現像を行うと、感光性カラーレジストが除去されて露出した部分、すなわち非露光部分に対応する非感光性着色被膜がエッチングされて、いっしょに除去される。しかし、本発明においては、通常の現像条件よりも現像時間を長くするなどした、過現像条件で現像を行う。この場合、感光性カラーレジストについては、十分な露光量が照射されていれば、架橋が進行しており、現像条件によらず、一定のパターンを得ることができる。一方、非感光性着色被膜は、現像条件の影響を受けるので、現像時間が長くなると、エッチングがさらに進行する。ここで、発明者らは、非感光性着色被膜のエッチングが前記の段差に到達すると、エッチング速度が非常に遅くなることを見いだした。この現象を利用して、非感光性着色被膜のエッチングを段差を設けた位置で止めることができる。その後、加熱硬化することにより、図2(c)に示すように、第1の領域6に第1の着色層24bと第2の着色層24aが積層され、第2の領域7には第2の着色層24aのみが形成されたカラーフィルターが得られる。すなわち、一色の画素につき、1回の露光工程および1回の現像工程だけで、本発明の構造を有するカラーフィルターを製造することができる。
【0027】
ここで本発明者らは、上記着色層以外の樹脂層の膜厚td(μm)と第1の着色層の膜厚t1(μm)との差td−t1の制御が所望の形状に加工するために極めて重要であり、td−t1を適切な範囲とすることで、安定的な生産が可能となることを見いだした。すなわち、td−t1が小さすぎる場合は、非感光性ペーストのエッチング速度の低下が十分でなく、わずかな時間経過で現像液の浸透がおこり、本来現像されるべきではない第1の領域へのエッチングが進行する。すなわち、現像時間のマージンが狭くなり、安定した加工が難しくなる。反対にtd−t1が大きすぎる場合は、特にダイコーティング法で塗布工程を行う場合、段差部において非感光着色被膜や、感光性カラーレジストの膜切れが生じ、未着色部(色抜け)が発生する。
【0028】
本発明者らが鋭意検討した結果、現像マージンが十分確保でき、かつ塗布時の膜切れが生じないtd−t1の範囲は、1μm以上、7μm以下である。td−t1の範囲は、より好ましくは2μm以上、6μm以下、さらに好ましくは3μm以上、5μm以下である。
【0029】
前記のように、本発明においては、現像性を制御するよう第1の領域(以下、透過用領域という)と第2の領域(以下、反射用領域という)の境界部に、特定範囲に制御された段差形状を形成することが重要である。
【0030】
着色層以外の樹脂層が遮光層である場合は、透過用領域と反射用領域の境界部のみに樹脂層が形成されている方が、画素の有効表示面積(開口率)の減少が抑えられ好ましい。図4、5はこれを示したものであり、境界部に遮光層が形成されている。また、開口率の低下を少なくするため、その線幅は10μm以下が好ましく、7μm以下がより好ましい。また、パターン加工性の観点からは、遮光層の膜厚は、7μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下がさらに好ましい。着色層以外の樹脂層が遮光層であると、基板上にブラックマトリクスを形成する工程において、同時に形成できるので好ましい。
【0031】
一方、着色層以外の樹脂層が透明樹脂層である場合は、透過用領域と反射用領域の境界部のみに樹脂層が形成されていてもよく、反射用領域全体について樹脂層が形成されていてもよい。反射用領域全体に透明樹脂層が形成される方が、液晶表示装置の表示品位をより高くしやすいので好ましい。ここで「透明」とは、具体的には、透明樹脂層を形成する樹脂の可視光領域の光の平均透過率が80%以上であることをいう。図1、6は反射用領域全体に樹脂層が形成されている例を示したものであり、透過用領域6は2層の着色層が積層されており、反射用領域7は1層の着色層と透明樹脂層3が積層されている。
【0032】
反射用領域に形成する透明樹脂層には、光の散乱機能を持たせても良い。これにより反射膜による光の干渉現象を抑え、反射表示で虹色の模様が見えてしまう問題を解消できる。また、正反射成分による表示のギラツキを押さえ、良好な表示特性を得ることができる。さらに、透過表示領域には透明樹脂層は存在しないので、光散乱せずに効率的にバックライトを使用することができる。透明樹脂層に光の散乱機能を持たせる方法の一つは、透明樹脂層中に透明樹脂層とは屈折率の異なる粒子を存在させることである。光散乱のための粒子としてはシリカ、アルミナ、チタニアなどの無機酸化物粒子、金属粒子、アクリル、スチレン、シリコーン、フッ素含有ポリマーなどの樹脂粒子などの材料を使用することができ、シリカ粒子を用いることが好ましい。粒子の粒径としては0.1〜10μmの範囲が好ましく、透明樹脂層の厚み以下である場合は透明樹脂層が平坦になるのでより好ましい。
【0033】
形成する透明樹脂層の膜厚が厚すぎると透明基板全体に均一な膜厚と形状で形成することが困難になり、逆に透明樹脂層の膜厚が薄すぎると透過領域、反射領域間の段差が小さくなるため、現像マージンが小さくなる。従って透明樹脂層の膜厚tdは、2μm以上、10μm以下が好ましく、より好ましくは、3μm以上、7μm以下、さらに好ましくは、4μm以上、6μm以下にするのが適当である。
【0034】
また、第2の着色層の膜厚t2が薄すぎると、過現像状態となった際、反射用領域において第2の着色層のパターン欠けが発生することがある。逆に膜厚t2が厚すぎると、下層の非感光性ペーストのエッチングが遅くなる傾向があるため、生産タクトが長くなり効率が落ちることがある。第2の着色層の膜厚t2の好ましい範囲は、0.3μm以上、3μm以下、より好ましくは、0.5μm以上、2μm以下、さらに好ましくは、0.8μm以上、1.5μm以下である。
【0035】
本発明においては、反射用領域と透過用領域の配置について特に限定はないが、反射用領域の内側に透過用領域が配置されることが好ましい。特に、各画素において、段差パターンの形状および第2の着色層パターンの形状の両方がアイランド形状であるか、もしくは、両方がストライプ形状であり、かつ、段差パターンの重心と、第2の着色層パターンの重心とが同じであることが好ましい。ここで、段差パターンおよび第2の着色層パターンとは、画素を上面から見た際の段差の平面形状および第2の着色層の輪郭線の平面形状のことを言う。また、アイランド形状とは、図5に示すように、パターンが各画素ごとに独立していることを言う。また、ストライプ形状とは、図7に示すように、パターンが長辺方向に連続していることを言う。また、ここでいう「重心」とは、パターン長辺の中心線とパターン短辺の中心線の交点を指す。「重心が同じ」とは、段差パターンの重心が、第2の着色層パターンの重心から、第2の着色層パターンの長辺、および短辺の長さのそれぞれ5%以内にあることをいう。ちなみに、ストライプ形状の場合は、短辺のみで見ればよい。
【0036】
また、アイランド形状の場合、段差パターンおよび第2の着色層パターンの形状が類似していることが好ましい。ここでパターンの形状が類似しているとは、それぞれのパターンの縦横比、すなわち短辺を1として、長辺を規格化したときの値を比較し、段差パターンの縦横比が第2の着色層パターンの縦横比の30%以内になることを言う。
【0037】
段差パターン、および第2の着色層パターンの配置および形状をこのようにすることにより、パターン端部より進行する第1の着色層の現像の進行が、各方向から、ほぼ同時に段差に到達するようになる。これにより透過用領域への不要なエッチングを起こりにくくすることができ、カラーフィルターを安定的に製造可能であるため好ましい。段差パターン、および第2の着色層パターンの配置および形状が上記の範囲から外れると、ある特定の段差部分のみが長い時間現像液にさらされ、その結果、透過用領域の第1の着色までも現像液が浸透して、溶解してしまうおそれがある。
【0038】
本発明においては、透過表示と反射表示の色純度、明るさ、色調を所望の特性とするためには、第1の着色層と第2の着色層の着色が異なることが好ましい。「着色が異なる」とは、同一光源(例えばC光源)で透過用領域と反射用領域を見たときの色純度、明るさ(透過率)、色調が異なることを指す。
【0039】
着色を異ならせる方法としては、使用する着色剤数、着色剤種類、着色剤組成、着色剤濃度を異ならせることで達成することができる。勿論、使用される着色剤が同じであっても混合比率を変えれば達成される色度を異ならせることができる。
【0040】
また、第1の着色層および第2の着色層の膜厚を調整することによっても、透過表示と反射表示の色純度、明るさ、色調を調整することができる。例えば、基板上の反射用領域に透明樹脂層を形成すると反射用領域は透明樹脂層部分の膜厚分凸になり、透過用領域は反射用領域に比べて低い部分的に凸のある基板となる。凸のある基板上に非感光性カラーペーストおよび/または感光性カラーレジストを塗布し着色層を形成すると、透過用領域の着色層の膜厚は、非感光性カラーペーストや感光性カラーレジストによる平坦化(レベリング)によって凸が形成されている反射用領域の膜厚に比べて厚くなる。すなわち、反射用領域の着色に比べ、透過用領域の着色を濃くすることができる。
【0041】
着色塗液の平坦化(レベリング)の程度は、塗液の粘度、固形分濃度により調整することができる。塗液の粘度が低いとより平坦化しやすくなり、また塗液中の固形分濃度が高いとより平坦化しやすくなる。最上層の着色層に用いる感光性カラーレジスト中の固形分濃度は10重量%から30重量%であることが好ましく、下層の着色層に用いる非感光性カラーペーストおよび/または感光性カラーレジスト中の固形分濃度は3重量%から15重量%であることが好ましい。
【0042】
好ましい画素の着色設計には、光源の違いを考慮に入れるため、透過用領域はバックライトに用いられる光源としてC光源、2波長型光源、3波長型光源の内のいずれか、反射用領域は環境光としての太陽光(自然光)に近いD65光源で行うことが好ましい。ここでいう2波長型のLED光源の例としては、青色LEDと黄色蛍光体または黄緑色蛍光体とを組み合わせて白色光を発するLED光源があげられる。また、3波長型光源の例としては、3波長冷陰極管、紫外LEDと赤、青、緑蛍光体とを組み合わせた白色LED光源、赤、青、緑各色のLEDを組み合わせた白色LED光源、青色LEDと赤色蛍光体ならびに緑色蛍光体とを組み合わせた白色LED光源、有機エレクトロルミネッセンス光源などがあげられる。
【0043】
次に、各層の好ましい組成および形成方法について説明する。遮光層としては通常Cr、Al、Niなどの金属薄膜(厚さ 約0.1〜0.2μm)や樹脂中に遮光材を分散させてなる樹脂ブラックマトリクスが用いられる。樹脂ブラックマトリックスが好ましい。樹脂としては、耐熱性、耐薬品性等の点からポリイミドやアクリルが好ましい。遮光材としての黒色顔料の例としてはピグメントブラック7、チタンブラックなどが挙げられるが、これらに限定されず、種々の顔料を使用することができる。なお、顔料は必要に応じて、ロジン処理、酸性基処理、塩基性基処理などの表面処理が施されているものを使用してもよい。
【0044】
透明樹脂層は感光性レジストを使用して形成することができる。感光性樹脂材料としてはポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の材料が使用できる。感光性を持たせるためには、少なくとも光重合開始剤を含有させ、単官能または多官能モノマー、オリゴマーを有するのが一般的である。中でも、アクリル系樹脂は、可視光域での透明性が高く好ましく用いられる。アクリル系樹脂にエポキシモノマーを加えた、いわゆるアクリルエポキシ樹脂としてもよい。
【0045】
感光性レジストを用いて透明樹脂層を形成する方法としては、透明基板上に感光性レジストを塗布し、ホットプレート、オーブン、真空乾燥を用いて加熱乾燥(プリベーク)する。プリベーク後にマスク露光し、アルカリ現像し、後に加熱硬化することで、透明樹脂層が得られる。
【0046】
透明樹脂層を感光性レジストで形成した場合は、フォトリソ加工の露光工程で、露光マスクと透明樹脂層を形成する基板の距離を変えることで透明樹脂層の表面の丸みや平坦性を制御することが可能である。
【0047】
透明樹脂層は非感光性ペーストを使用しても形成することができる。非感光性樹脂材料としてはポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の材料が使用でき、ポリイミド系樹脂が好ましく用いられる。透明樹脂層を非感光性ペーストで形成した場合は、透明樹脂層の上部表面が平坦な構造になり、より小さな面積の透明樹脂層を形成することが可能である。
【0048】
非感光性ペーストを用いて透明樹脂層を形成する例としては、透明基板上に非感光性ペーストを塗布し、ホットプレート、オーブン、真空乾燥などを用いて加熱乾燥(セミキュア)する。セミキュア膜上にポジ型フォトレジストを塗布し、加熱乾燥(プリベーク)する。プリベーク後にマスク露光し、アルカリ現像し、フォトレジストを溶剤で剥離することで透明樹脂層を形成し加熱硬化させる。
【0049】
第1の着色層は、非感光性カラーペーストを塗布した後、乾燥することにより非感光性着色塗膜を形成し、該非感光性着色塗膜をパターン加工した後、加熱硬化させることにより、好ましく形成することができる。また、第2の着色層は、感光性カラーレジストの溶液を塗布した後、乾燥することにより感光性カラーレジスト層を形成し、該感光性カラーレジスト層を光硬化させることにより、好ましく形成することができる。塗布する方法としては、ディップ法、ロールコーター法、スピンコーティング法、ダイコーティング法、ダイコーティングとスピンコーティング併用法、ワイヤーバーコーティング法などが好適に用いられる。
【0050】
感光性カラーレジストは、着色剤と樹脂成分を含み、樹脂成分は光によって反応する感光成分を含む。光照射された樹脂が現像液への溶解速度のあがるポジ型と、光照射された樹脂が現像液への溶解速度の下がるネガ型があり、どちらも使用することが可能であるが、可視光で感光成分の透明性の高いネガ型樹脂が好ましく用いられる。感光性カラーレジストの樹脂成分としてはポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の材料が好ましく用いられる。
【0051】
感光性カラーレジストに使用する好ましい樹脂成分の例として、アクリル系樹脂について述べる。感光性アクリル系樹脂としては、感光性を持たせるため、少なくともアクリル系ポリマー、アクリル系多官能モノマーあるいはオリゴマー、光重合開始剤を含有させた構成を有するのが一般的である。さらにエポキシを加えた、いわゆるアクリルエポキシ樹脂も用いることができる。
【0052】
使用できるアクリル系ポリマーとしては、特に限定はないが、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和化合物の共重合体を好ましく用いることができる。不飽和カルボン酸の例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、あるいは酸無水物などがあげられる。
【0053】
これらは単独で用いても良いが、他の共重合可能なエチレン性不飽和化合物と組み合わせて用いても良い。共重合可能なエチレン性不飽和化合物としては、具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸nープロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、アクリル酸イソ−ブチル、メタクリル酸イソ−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ペンチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、アミノエチルアクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、1,3−ブタジエン、イソプレンなどの脂肪族共役ジエン、それぞれ末端にアクリロイル基、あるいはメタクリロイル基を有するポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリシリコーンなどのマクロモノマーなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
また、側鎖にエチレン性不飽和基を付加したアクリル系ポリマーを用いると、加工の際の感度がよくなるので好ましく用いることができる。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基のようなものがある。このような側鎖をアクリル系(共)重合体に付加させる方法としては、アクリル系(共)重合体のカルボキシル基や水酸基などを有する場合には、これらにグリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸またはメタクリル酸クロライドを付加反応させる方法が一般的である。その他、イソシアネートを利用してエチレン性不飽和基を有する化合物を付加させることもできる。ここでいうグリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸またはメタクリル酸クロライドとしては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グリシジルエーテル、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどがあげられる。
【0055】
多官能モノマーとしては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレートカルバメート、変性ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、アジピン酸1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリル酸エステル、無水フタル酸プロピレンオキサイド(メタ)アクリル酸エステル、トリメリット酸ジエチレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、ロジン変性エポキシジ(メタ)アクリレート、アルキッド変性(メタ)アクリレートのようなオリゴマー、あるいはトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらは単独または混合して用いることができる。また、次にあげるような単官能モノマーも併用することができ、例えば、エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、n−ブチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどがあり、これらの2種以上の混合物、あるいはその他の化合物との混合物などが用いられる。これらの多官能および単官能モノマーやオリゴマーの選択と組み合わせにより、ペーストの感度や加工性の特性をコントロールすることが可能である。特に、硬度を高くするにはアクリレート化合物よりメタクリレート化合物が好ましく、また、感度を上げるためには、官能基が3以上ある化合物が好ましい。また、メラミン類、グアナミン類などもアクリル系モノマーの代わりに好ましく用いることができる。
【0056】
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン、t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体などがあげられる。また、その他のアセトフェノン系化合物、イミダゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、リン系化合物、トリアジン系化合物、あるいはチタネート等の無機系光重合開始剤なども好ましく用いることができる。また、p−ジメチルアミノ安息香酸エステルなどの増感助剤を添加すると、さらに感度を向上させることができ好ましい。また、これらの光重合開始剤は2種類以上を併用して用いることもできる。
【0057】
光重合開始剤の添加量としては、ペースト全固形分に対して、好ましくは1〜30wt%、より好ましくは5〜25wt%、さらに好ましくは10〜20wt%である。
【0058】
非感光性カラーペーストは、着色剤と樹脂成分を含み、感光成分を含まない以外は、上記の感光性レジストに用いられる材料と、同様の材料を用いることができる。
【0059】
非感光性カラーペーストに使用する好ましい樹脂成分の例としてポリイミド系樹脂について述べる。ポリイミド系樹脂としてはポリイミド前駆体であるポリアミック酸を、加熱または適当な触媒によってイミド化したものが好適に用いられる。ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させることにより得ることができる。
【0060】
本発明におけるポリアミック酸の合成には、テトラカルボン酸二無水物として、たとえば、脂肪族系または脂環式系のものを用いることができ、その具体的な例として、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,5−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ビシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−C]フラン−1,3−ジオンなどが挙げられる。また、芳香族系のものを用いると、耐熱性の良好な膜に変換しうるポリアミック酸を得ることができ、その具体的な例として、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4´−オキシジフタル酸無水物、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4”−パラターフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4”−メタターフェニルテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。また、フッ素系のものを用いると、短波長領域での透明性が良好な膜に変換しうるポリアミック酸を得ることができ、その具体的な例として、4,4´−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物などが挙げられる。なお、本発明は、これらに限定されずにテトラカルボン酸二無水物が1種または2種以上用いられる。
【0061】
また、本発明におけるポリアミック酸の合成には、ジアミンとして、たとえば、脂肪族系または脂環式系のものを用いることができ、その具体的な例として、エチレンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジシクロヘキシルなどが挙げられる。また、芳香族系のものを用いると、耐熱性の良好な膜に変換しうるポリアミック酸を得ることができ、その具体的な例として、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、3,4´−ジアミノジフェニルエーテル、4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノジフェニルスルホン、3,3´−ジアミノジフェニルスルホン、4,4´−ジアミノジフェニルサルファイド、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、ベンジジン、3,3´−ジメチルベンジジン、3,3´−ジメトキシベンジジン、o−トリジン、4,4”−ジアミノターフェニル、1,5−ジアミノナフタレン、3,3´−ジメチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンなどが挙げられる。また、フッ素系のものを用いると、短波長領域での透明性が良好な膜に変換しうるポリアミック酸を得ることができ、その具体的な例として、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンなどが挙げられる。
【0062】
また、ジアミンの一部として、シロキサンジアミンを用いると、無機基板との接着性を良好にすることができる。シロキサンジアミンは、通常、全ジアミン中の1〜20モル%量用いる。シロキサンジアミンの量が少なすぎれば接着性向上効果が発揮されず、多すぎれば耐熱性が低下する。シロキサンジアミンの具体例としては、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサンなどが挙げられる。本発明は、これに限定されずにジアミンが1種または2種以上用いられる。
【0063】
次に、ポリアミック酸の構造単位の繰り返し数について述べる。ポリイミド膜の力学的特性は、分子量が大きいほど良好であるため、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸の分子量も大きいことが望まれる。一方、ポリアミック酸膜を湿式エッチングによりパターン加工を行う場合、ポリアミック酸の分子量が大きすぎると、現像に要する時間が長くなりすぎるという問題がある。したがって、構造単位の繰り返し数の好ましい範囲は15〜1000、より好ましくは18〜400、さらに好ましくは20〜100である。なお、ポリアミック酸の分子量には一般にばらつきがあるため、ここでいう構造単位の繰り返し数の好ましい範囲とは、この範囲の中に全ポリアミック酸の50モル%以上、好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上が入っていることを意味する。
【0064】
本発明に使用される着色剤は、有機顔料、無機顔料、染料を問わず着色剤全般を使用することができる。代表的な顔料の例として、ピグメントレッド(PR−)、2、3、22、38、149,166、168、177,206、207、209、224、242,254、ピグメントオレンジ(PO−)5、13、17、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、ピグメントイエロー(PY−)12、13、14、17、20、24、83、86、93、94、109、110、117、125、137、138、139、147、148、150,153、154、166、173、185、ピグメントブルー(PB−)15(15:1、15:2、15:3、15:4、15:6)、21、22、60、64、ピグメントバイオレット(PV−)19、23、29、32、33、36、37、38、40、50などが挙げられる。本発明ではこれらに限定されずに種々の顔料を使用することができる。
【0065】
上記顔料は必要に応じて、ロジン処理、酸性基処理、塩基性処理、顔料誘導体処理などの表面処理が施されているものを使用しても良い。 なお、PR(ピグメントレッド)、PY(ピグメントイエロー)、PV(ピグメントバイオレット)、PO(ピグメントオレンジ)等は、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)の記号であり、正式には頭にC.I.を付するもの(例えば、C.I.PR254など)である。これは染料や染色の標準を規定したものであり、それぞれの記号は特定の標準となる染料とその色を指定するものである。なお、以下の本発明の説明においては、原則として、前記C.I.の表記は省略(例えば、C.I.PR254ならば、PR254)する。
【0066】
カラーフィルターの形成は、ガラス、高分子フィルム等の透明基板側に限定されず、駆動素子側基板にも行うことができる。カラーフィルターのパターン形状については、ストライプ状、アイランド状などがあげられるが特に限定されるものではない。また、必要に応じてカラーフィルター上に柱状の固定式スペーサーが配置されていてもよい。
【0067】
本発明のカラーフィルターは、半透過型液晶表示装置に組み込まれて使用される。ここで、半透過型液晶表示装置とは、対向基板あるいはカラーフィルターの反射領域にはアルミニウム膜や銀膜等から成る反射膜を備え、透過領域にはそのような反射膜がないことを特徴とする液晶表示装置である。本発明のカラーフィルターは、液晶表示装置の駆動方法、表示方式にも限定されず、アクティブマトリクス方式、パッシブマトリクス方式、TNモード、STNモード、ECBモード、OCB、VAモードなど種々の液晶表示装置に適用される。また、液晶表示装置の構成、例えば偏光板の数、散乱体の位置等にも限定されずに使用することができる。
【0068】
本発明のカラーフィルターの作製方法の一例を述べる。透明基板上に少なくともポリアミック酸、黒色着色剤、溶剤からなる非感光性カラーペーストを透明基板上に塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより、ポリアミック酸黒色着色被膜を形成する。オーブン、ホットプレートなどを使用し、60〜200℃の範囲で1分〜60分加熱乾燥(セミキュア)を行うことが好ましい。次に、このようにして得られたポリアミック酸黒色被膜にポジ型フォトレジストを塗布し、ホットプレートを使用して60〜150℃の範囲で1〜30分加熱乾燥させる(プリベーク)。次に、露光装置を用いて、紫外線を照射し、目的のパターンを焼き付けた後、アルカリ現像して所望位置に所望パターンで樹脂ブラックマトリクス層を得る。樹脂ブラックマトリクス層は200〜300℃で加熱硬化させる。
【0069】
次にポリアミック酸と溶剤からなる非感光性ペーストをブラックマトリクスが形成された透明基板の全面に塗布し、ホットプレートを使用し、60〜200℃の範囲で1〜60分間加熱乾燥する。次にこのようにして得られたポリアミック酸被膜にポジ型フォトレジストを塗布し、ホットプレートを使用して60〜150℃の範囲で1〜30分加熱乾燥させる。露光装置を用いて、紫外線を照射し、目的のパターンを焼き付けた後、アルカリ現像して所望位置に所望パターンで透明樹脂層を得る。透明樹脂層は200〜300℃で加熱硬化させる。
【0070】
次に第1の着色層と第2の着色層を積層して画素を形成する。まず、少なくともポリアミック酸、着色剤、溶剤からなる非感光性カラーペーストを透明樹脂層が形成された透明基板上に塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより乾燥し、非感光性ポリアミック酸着色被膜を形成する。加熱乾燥の場合、オーブン、ホットプレートなどを使用し、60〜200℃の範囲で1分〜60分行うのが好ましい。次に、このようにして得られたポリアミック酸着色被膜の上に、アクリル系ポリマー、アクリル系多官能モノマー、光重合開始剤からなる感光性アクリル樹脂、着色剤、溶剤からなる感光性カラーレジストを塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより、感光性アクリル着色被膜を形成する。加熱乾燥の場合、オーブン、ホットプレートなどを使用し、60〜200℃の範囲で1分〜3時間行うのが好ましい。続いて、フォトマスクと露光装置を用いて、感光性アクリル着色被膜に紫外線をパターン状に照射する。露光後、アルカリ現像液により、感光性アクリル着色被膜と非感光性ポリアミック酸着色被膜のエッチングを同時に行う。
【0071】
非感光性ポリアミック酸着色被膜は、その後、加熱硬化することによって、ポリイミド着色被膜に変換される。加熱硬化は通常、空気中、窒素雰囲気中、あるいは、真空中などで、150〜350℃、好ましくは180〜250℃の温度のもとで、0.5〜5時間、連続的または段階的に行われる。
【0072】
感光性アクリル着色層を積層しない画素がある場合は、非感光性ポリアミック酸着色被膜を形成した後、フォトレジストを塗布し、フォトレジスト被膜を形成する。続いて、フォトマスクと露光装置を用いて、該フォトレジスト被膜にパターン状に紫外線照射する。露光後、アルカリ現像液により、フォトレジスト被膜と非感光性ポリアミック酸着色被膜のエッチングを同時に行う。エッチング後、不要となったフォトレジスト被膜を剥離し、非感光性ポリアミック酸着色被膜を加熱硬化することでポリイミド着色膜を得る。
【0073】
以上の工程を赤、緑、青の画素について行うと、液晶表示装置用カラーフィルターが作製できる。
【0074】
次に、このカラーフィルターを用いて作成した半透過型液晶表示装置の一例について述べる。上記カラーフィルター上に、透明保護膜を形成し、さらにその上にITO膜などの透明電極を製膜する。次に、このカラーフィルター基板と、金属蒸着膜などがパターニングされた半透過反射膜、半透過反射膜上の透明絶縁膜、さらにその上にITO膜などの透明電極が形成された半透過反射基板とを、さらにそれらの基板上に設けられた液晶配向のためのラビング処理を施した液晶配向膜、およびセルギャップ保持のためのスペーサーを介して、対向させてシールし貼りあわせる。なお、半透過反射基板上には、反射膜、透明電極以外に、光拡散用の突起物、薄膜トランジスタ(TFT)素子や薄膜ダイオード(TFD)素子、および走査線、信号線などを設け、TFT液晶表示装置や、TFD液晶表示装置を作成することができる。次に、シール部に設けられた注入口から液晶を注入した後に、注入口を封止する。つぎに、ICドライバー等を実装することによりモジュールが完成する。
【0075】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0076】
実施例1
A.ポリアミック酸溶液(PAA)の作製
4,4′−ジアミノジフェニルエーテル 95.1gおよびビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン 6.2gをγ−ブチロラクトン 525g、N−メチル−2−ピロリドン 220gと共に仕込み、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 144.1gを添加し、70℃で3時間反応させた後、無水フタル酸 3.0gを添加し、さらに70℃で2時間反応させ、25重量%のポリアミック酸溶液(PAA)を得た。
【0077】
B.ポリマー分散剤(PD)の合成
4,4′−ジアミノベンズアニリド 161.3g、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン 176.7g、およびビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン 18.6gをγ−ブチロラクトン 2667g、N−メチル−2−ピロリドン 527gと共に仕込み、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 439.1gを添加し、70℃で3時間反応させた後、無水フタル酸 2.2gを添加し、さらに70℃で2時間反応させ、20重量%のポリアミック酸溶液であるポリマー分散剤(PD)を得た。
【0078】
C.非感光性黒色ペーストの作製
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’− ジアミノジフェニルエーテルおよびビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンをN−メチル−2−ピロリドンを溶媒として反応させ、ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)溶液を得た。
【0079】
三菱化成(株)製カーボンブラック“MA100”4.6g、ポリイミド前駆体溶液24gおよびN−メチルピロリドン61.4gをホモジナイザーを用いて、7000 rpmで30分間分散し、ガラスビーズをろ過してブラックペーストを調製した。
【0080】
D.非感光性カラーペーストの作製
ピグメントレッドPR254、3.6g(80wt%)、ピグメントレッドPR177、0.9g(20wt%)、ポリマー分散剤(PD) 22.5gおよびγ−ブチロラクトン 42.8g、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール 20.2gをガラスビーズ 90gとともに仕込み、ホモジナイザーを用い、7000rpmで5時間分散後、ガラスビーズを濾過し、除去した。このようにして顔料としてPR254とPR177を含む分散液(RD)を得た。
【0081】
分散液(RD) 45.6gにポリアミック酸溶液(PAA) 18.2gをγ−ブチロラクトン 39.52gで希釈した溶液を添加混合し、顔料/樹脂比率が25/75である赤色カラーペーストを得た。同様にして、ピグメントグリーンPG36とピグメントイエローPY150の重量混合比(G/Y)が60/40で、顔料/樹脂比率が35/65である緑色カラーペースト、ピグメントブルーPB15:6からなり、顔料/樹脂比率が20/80である青色カラーペーストを得た。各カラーペーストの固形分濃度は5.3%に調製した。
【0082】
E.透明樹脂層に用いる非感光性ペーストの作製
ポリアミック酸溶液(PAA) 16.0gをγ−ブチロラクトン 34.0gで希釈し非感光性透明ペーストを得た。
【0083】
F.感光性カラーレジストの作製
ピグメントレッドPR209、7.05gを3−メチル−3−メトキシブタノール50gとともに仕込み、ホモジナイザーを用い、7000rpmで5時間分散後、ガラスビーズを濾過して除去し、赤色分散液を得た。アクリル共重合体溶液(ダイセル化学工業株式会社製サイクロマー(登録商標)P、ACA−250、43wt%溶液)70.00g、多官能モノマーとしてペンタエリスリトールテトラメタクリレート30.00g、光重合開始剤として“イルガキュア(登録商標)”369 15.00gにシクロペンタノン260.00gを加え、濃度20重量%の感光性アクリル樹脂溶液(AC−1)を得た。前記赤色分散液に感光性アクリル樹脂溶液(AC−1)100gを加え、顔料/樹脂比率が26/74である赤色カラーレジストを得た。
【0084】
同様にして、ピグメントグリーンPG36とピグメントイエローPY150の重量混合比(G/Y)が70/30で、顔料/樹脂比率が10/90である緑色カラーレジスト、ピグメントブルーPB15:6からなり、顔料/樹脂比率が10/90である青色カラーレジストを得た。各カラーレジストの固形分濃度は17.2%に調製した。
【0085】
G.カラーフィルターの作製と評価
コーニングジャパン株式会社製0.7mm厚ガラス基板“1737”上に、上記Cで作製した非感光性黒色ペーストを熱処理後の膜厚が1.0μmとなるようスピンナーで塗布して、黒色塗膜を形成した。該塗膜を、120℃のオーブンで20分乾燥し、この上にポジ型フォトレジスト(東京応化株式会社製“OFPR−800”)を塗布し、90℃で10分オーブン乾燥した。キャノン株式会社製紫外線露光機“PLA−501F”を用い、各色画素の周辺部に格子状にブラックマトリクスが残るフォトマスクパターンを介して、60mJ/cm2(365nmの紫外線強度)で露光した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.0%の水溶液からなる現像液に浸漬し、フォトレジストの現像および黒色塗膜のエッチングを同時に行った。エッチング後不要となったフォトレジスト層をアセトンで剥離し、240℃で30分熱処理し、樹脂ブラックマトリクスを得た。
【0086】
ブラックマトリクスがパターン加工されたガラス基板上に熱処理後の膜厚(td)が5.0μmになるよう上記Eで得た非感光性透明ペーストをスピンナーで塗布して塗膜を形成した。該塗膜を120℃のオーブンで20分乾燥し、この上にポジ型フォトレジストを塗布し、90℃で10分オーブン乾燥した。透過用領域が画素の中央に配置され、赤、緑、青、各画素の透過用領域以外の領域に透明樹脂層が残るフォトマスクパターンを介して、60mJ/cm2(365nmの紫外線強度)で露光した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.0%の水溶液からなる現像液に浸漬し、フォトレジストの現像および非感光性透明ペースト塗膜のエッチングを同時に行った。エッチング後不要となったフォトレジスト層をアセトンで剥離し、240℃で30分熱処理し、赤、緑、青画素の透過用領域以外の領域に透明樹脂層を形成した。
【0087】
次に透過用領域の画素中央での熱処理後の膜厚(t1)が1.0μmになるように、上記Dで得た非感光性赤色カラーペーストをスピンナーで基板上に塗布し、120℃のオーブンで20分乾燥して塗膜を形成した。ここで、td−t1は4μmである。該塗膜の上に、反射用領域での熱処理後の膜厚(t2)が1.3μmになるように、上記Fで得た赤色カラーレジストをスピンナーで塗布して塗膜を形成した。該塗膜を80℃のオーブンで10分熱処理し、紫外線露光機を用い、同色画素の透過用領域間の遮光層上に、幅5μmのスリットが形成されるフォトマスクを介して、100mJ/cm2(365nmの紫外線強度)で露光した。露光後にテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの1.0%の水溶液からなる現像液に浸漬し、非感光性赤色着色被膜ならびに赤色カラーレジストが積層された着色層を現像時間を変えて、現像した。
【0088】
赤画素と同様にして、緑画素、青画素についても、表1に記載した膜厚(t1、t2)になるよう上記Dで得た非感光性緑色、青色ペーストならびに上記Fで得た緑色、青色カラーレジストを塗布し、これらの積層着色層を現像時間を変えて、フォトリソ加工し、カラーフィルターを作製した。
【0089】
各色画素における、透過用領域と反射用領域間の段差部での塗布時膜切れ(色抜け)の有無、反射部での感光性カラーレジストの現像時のパターン欠け、および最適現像時間ならびに現像マージンを表1に示す。ここで、最適現像時間とは、反射用領域の非感光性透明ペースト層が完全に現像される時間をいう。また、現像マージンとは、反射用領域の非感光性透明ペースト層が完全に現像されてから、透過用領域の非感光性カラーペースト層へ現像液が浸透し始めるまでの時間をいう。
【0090】
実施例2〜6、比較例1、2
表1に記載したtd、t1、t2になるように、透明樹脂層、非感光性赤、緑、青色カラーペースト、および感光性赤、緑、青色カラーレジストを塗布した以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルターを作成した。
【0091】
各色画素における、透過用領域と反射用領域間の段差部での塗布時膜切れ(色抜け)の有無、反射部での感光性カラーレジストの現像時のパターン欠け、および最適現像時間ならびに現像マージンを表1に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
実施例でのカラーフィルターは、現像マージンがいずれの実施例においても20秒よりも長く、より安定してカラーフィルターを作製することができた。また段差部の膜切れ(色抜け)、反射部パターン欠けなどの形状不良もなかった。一方、比較例1のカラーフィルターは現像マージンがいずれの色でも20秒以下、特に3色目に加工した青画素では12秒と小さく、製造工程でのプロセス変動に対してのマージンがほとんど無かった。そのため、比較例で作製したカラーフィルター基板面内の一部には、透過用領域の非感光性カラーペースト層への現像液浸透が見受けられた。比較例2のカラーフィルターは、td−t1が8μmと大きいことから、非感光カラーペースト、および感光性カラーレジスト塗布時に膜切れ(色抜け)が生じた。また緑画素、青画素は、反射用領域での感光性カラーレジスト膜厚(t2)が、それぞれ0.25μm、0.2μmと薄すぎ、現像時にパターン欠けが生じた。
【0094】
<液晶表示装置の作製>
実施例、および比較例で作成したカラーフィルター基板に140nmの膜厚でITO膜を製膜し、次に高さ3μmの固定スペーサーを形成した。実施例6のカラーフィルター基板については、さらに配向制御用の円錐状樹脂突起物(高さ1.5μm、直径9μmφ)を透明樹脂層と同様にして形成した。薄膜ダイオード(TFD)素子、走査線、信号線、透明電極からなる駆動素子基板上に、コンタクトホールを備えた光拡散用の樹脂突起層、さらにその上にアルミ蒸着膜をパターンニングした半透過反射膜、さらにそれらの基板上に設けられた液晶配向のためのラビング処理を施した液晶配向膜を形成し、半透過反射基板を作成した。該半透過反射基板とカラーフィルター基板とを対向させて、シール剤を用いて、貼り合わせた。次に、シール部に設けられた注入口から液晶を注入した後に、注入口を封入した。つぎに、ICドライバー等を実装することにより液晶表示装置を完成させた。
【0095】
液晶表示装置の作製において、すべての実施例、比較例において、配向膜として通常の使用されているTN方式用の配向膜、ならびにTN液晶を用いた。
【0096】
実施例1から6および比較例1、2で作成したカラーフィルターを用いた半透過型液晶表示装置、それぞれ100個について、表示特性を全数検査した。
【0097】
実施例1から6のカラーフィルターを用いた半透過型液晶表示装置では、すべての液晶表示装置について、反射表示、透過表示とも所望の特性が得られた。一方、比較例1のカラーフィルターを用いた半透過型液晶表示装置では、100個中8個の液晶表示装置が透過表示での色純度が低下していた。これは、透過用領域への現像液の浸透によるカラーフィルターの色純度低下が原因であった。また、比較例2のカラーフィルターを用いた半透過型液晶表示装置では、すべての液晶表示装置について、透過表示、反射表示両方での色純度が大きく低下していた。これは、段差部膜切れによる赤、緑、青透過領域の色抜けと、緑、青反射領域の画素パターン欠けが原因であった。
【0098】
以上のように、本発明のカラーフィルターを用いることで反射用領域と透過用領域とをそれぞれ所望の色特性にし、安定してカラーフィルターを製造することができた。
【0099】
【発明の効果】
本発明は上述のごとく構成することにより、表示品位が高く、かつ、低コストで製造可能な液晶表示装置用カラーフィルターおよび液晶表示装置を提供することができる。特に、本発明のカラーフィルターを半透過型液晶表示装置に用いた場合、透過用領域と反射用領域の表示色(色純度、明るさ、および、色調)が同一に近い液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラーフィルターの一例を示す模式断面図
【図2】本発明のカラーフィルターの製造工程の一例を示す模式断面図
【図3】本発明のカラーフィルターの製造工程における現像前の状態を示す模式断面図
【図4】本発明のカラーフィルターの一例を示す模式断面図
【図5】本発明のカラーフィルターの一例を示す模式平面図
【図6】本発明のカラーフィルターの一例を示す模式平面図
【図7】本発明のカラーフィルターの一例を示す模式平面図
【図8】従来のカラーフィルターの模式断面図
【図9】従来のカラーフィルターの模式断面図
【図10】従来のカラーフィルターの模式断面図
【符号の説明】
1 :透明基板
2 :ブラックマトリックス
3 :透明樹脂層
4 :着色層
5 :無着色領域
6 :透過用領域
7 :反射用領域
8B:青画素領域
8G:緑画素領域
8R:赤画素領域
9 :オーバーコート層
10:段差
14a:濃色着色層(透過用領域用)
14b:淡色着色層(反射用領域用)
24a:第2の着色層
24b:第1の着色層
25:露光部
26:未露光部
Claims (11)
- 基板上に、少なくとも第1の着色層と、第2の着色層とが形成され、一画素中に、第1の着色層および第2の着色層が積層された第1の領域と、第2の着色層を有するが第1の着色層は有しない第2の領域とが設けられ、第1の領域と第2の領域との境界部において、基板と第2の着色層との間に着色層以外の樹脂層が設けられ、かつ、着色層以外の樹脂層の膜厚td(μm)と第1の着色層の膜厚t1(μm)との差td−t1が1〜7μmの範囲である液晶表示装置用カラーフィルター。
- 着色層以外の樹脂層が、透明樹脂層または遮光層である請求項1に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- tdが2〜10μmの範囲である請求項1または2に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- 第2の着色層の膜厚t2が0.3〜3μmの範囲である請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- 着色層以外の樹脂層が、透明樹脂層であり、該透明樹脂層が第2の領域の全体に形成されている請求項2に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- 着色層以外の樹脂層が、遮光層であり、該遮光層が境界部のみに形成されている請求項2に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- 第1の着色層がポリイミド樹脂を含む請求項1〜6のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- 第2の着色層が感光性アクリル系樹脂の硬化物を含む請求項1〜7のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- 第1の領域が透過用領域であり、第2の領域が反射用領域である請求項1〜8のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- 請求項1〜9のいずれかに記載のカラーフィルターを用いた液晶表示装置。
- 半透過型液晶表示装置である請求項10に記載の液晶表示装置。
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