JP2004333097A - 温度調整装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型で熱変換効率を向上させることができる温度調整装置を提供する。
【解決手段】液体40の流路の途中で磁場発生器14、20によって磁気作業物質(作業物質)12、13に磁場が印加されたり作業物質12、13から磁場が取り去られたりすると、作業物質12、13では、常温で磁気エントロピーが大きく変化し、磁気熱量効果を生じる。これにより、液体40は加熱及び冷却され、作業物質12、13の下流側の熱交換器で外気との間で熱交換される。この装置では、気体を媒体としていないため、気体圧縮機が不要になる。
また、この装置は、常温で磁気エントロピーが大きく変化するような作業物質12、13を使用するため、超低温等の特殊な温度環境、超伝導磁石等の特殊な磁石を不要とし、エネルギー損失を少なくする。
さらに、熱交換器を経た液体40でヨーク42が冷却されるので、磁場発生器16、22用の特殊な冷却機が不要となる。
【選択図】 図2
【解決手段】液体40の流路の途中で磁場発生器14、20によって磁気作業物質(作業物質)12、13に磁場が印加されたり作業物質12、13から磁場が取り去られたりすると、作業物質12、13では、常温で磁気エントロピーが大きく変化し、磁気熱量効果を生じる。これにより、液体40は加熱及び冷却され、作業物質12、13の下流側の熱交換器で外気との間で熱交換される。この装置では、気体を媒体としていないため、気体圧縮機が不要になる。
また、この装置は、常温で磁気エントロピーが大きく変化するような作業物質12、13を使用するため、超低温等の特殊な温度環境、超伝導磁石等の特殊な磁石を不要とし、エネルギー損失を少なくする。
さらに、熱交換器を経た液体40でヨーク42が冷却されるので、磁場発生器16、22用の特殊な冷却機が不要となる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷凍技術等に適用される温度調整技術には、カルノーサイクルに準ずる熱機関が一般的に利用されている。カルノーサイクルに準ずる熱機関では、遮蔽された空間に気体が閉じ込められており、例えば気体を高圧に圧縮するための圧縮機を作動させて気体の状態を変化させる。気体は温度調整対象(例えば、外気)と外界との媒体としての役割を持っており、圧縮機が作動することにより気体が圧縮、放熱、膨張、及び吸熱といった工程を繰り返し経ると、温度調整対象と外界との間で熱のやり取りが行われ、温度調整対象の温度が調整される構成である。
【0003】
しかしながら、このようなカルノーサイクルに準ずる熱機関では、気体を高圧に圧縮するための圧縮機が必要不可欠であり、この圧縮機の設置に所定の空間を要するため、装置を小型化することが困難であるという欠点があった。
【0004】
ところで、このようなカルノーサイクルに準ずる熱機関の他にも、特殊な温度環境(例えば、超低温)における磁気熱量効果を利用して温度調整対象の温度を調整する温度調整装置が知られている。このような温度調整装置には、気体やこの気体を高圧に圧縮するための圧縮機が適用されずに、磁性体やこの磁性体に磁場を印加する磁場発生器が適用されている。磁場発生器を作動させて特殊な温度環境下で磁性体の磁気エントロピー(磁性体を構成する原子の磁気モーメントの向きが揃っている程度を示す量)を増減させることで、磁性体に放熱させたり吸熱させたりし(すなわち、磁気熱量効果を生じさせ)、これに応じて磁性体と温度調整対象との媒体(一般的には、液体)を介して温度調整対象の温度が調整される構成である。このような温度調整装置では、気体を高圧に圧縮するための圧縮機が必要とされないため、装置の小型化が可能である(特許文献1)。
【0005】
ここで、このような磁性体には、特殊な温度環境において磁気エントロピーが大きく増減すると放熱量(発熱量)及び吸熱量も大きくなる性質がある。さらに、磁気エントロピーの増減幅と磁性体に印加する磁場の強さにも相関関係があり、超低温等の特殊な温度環境下で磁気エントロピーを大きく増減させるには、磁性体に強い磁場を印加して、この磁性体の内部で磁性の変態(相転移)を引き起こす必要がある。
【0006】
しかしながら、超低温等の特殊な温度環境下で磁性体に強い磁場を印加するためには、超低温等の特殊な温度環境を作り出し、さらには超伝導材料が用いられた超伝導磁石や強力な磁場を発生する電磁石等の特殊な磁石を使用しなければならないという欠点があった。
【0007】
ところで、上述したカルノーサイクルに準ずる熱機関や特殊な温度環境における磁気熱量効果を利用した温度調整装置の他にも、ペルチェ効果を生ずる熱電素子(ペルチェ素子)の熱電変換を利用して温度調整対象の温度を調整する温度調整装置がある。ペルチェ素子は電流を流すと熱を発する素子であり、互いに異なる2種類の金属が2箇所(2つの接続点)で接続されたものや、P型半導体とN型半導体との2種類の半導体を交互に直列又は並列に連結したものがある。ペルチェ素子では、2つの接続点(接点)の間に電流が流れると、この2つの接続点間で温度に差が生じる構成である(特許文献2)。
【0008】
一般的には、熱電変換の効率の良さから、半導体で構成されたペルチェ素子が使用されている。半導体で構成されたペルチェ素子は平板状となっており、一方の面が冷却面(低温側の接点の集まり)とされ、他方の面が放熱面(高温側の接点の集まり)とされている(以下、特に断らない限り、「ペルチェ素子」とは、半導体で構成されたペルチェ素子を意味するものとする)。
【0009】
しかしながら、このようなペルチェ素子では、冷却面と放熱面とが隣り合っているため、冷却面側の接点と放熱面側の接点との間では、熱伝導を抑える必要がある。またさらに、ペルチェ素子の電気伝導率を上げる必要がある。仮に、P型半導体とN型半導体との数を増やすことでペルチェ素子の冷却面と放熱面とを大きくし、温度調整対象の温度の調整に十分な発熱量及び吸熱量を得ようとすると、ペルチェ素子の電気伝導率が低下して冷却面と放熱面との間で熱伝導を引き起こしてしまう。このため、ペルチェ素子そのものの規模を大きくすることは好ましくないという欠点があった。
【0010】
【特許文献1】
特公平3−31978号公報
【特許文献2】
特開2003−92433号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑み、小型で熱変換効率を向上させることができる温度調整装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、液体がポンプで圧送される流路と、前記流路の途中に設けられ、磁場が印加されることにより常温で磁気エントロピーが変化して、磁気熱量効果を生じる磁気作業物質と、前記磁気作業物質に磁場を印加する磁場発生器と、前記流路において前記磁気作業物質よりも下流側に設けられ、前記液体と外気との間で熱を交換する熱交換器と、前記流路において前記磁気作業物質と前記熱交換器との間に設けられ、前記液体の流れを遮断するバルブと、前記熱交換器と前記磁場発生器とを連結し、前記熱交換器から流出した前記液体を前記磁場発生器を経て流すための戻り流路と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、流路では、ポンプによって液体が圧送される。流路の途中において磁場発生器によって磁気作業物質に磁場が印加されたり磁気作業物質から磁場が取り去られたりすると、磁気作業物質では、常温で磁気エントロピーが変化して、磁気熱量効果を生じる。ここで、磁気作業物質とは、磁場を印加していくと発熱し、磁場を取り去っていくと温度が下がる物質をいう。磁気作業物質に磁場が印加された場合には、磁気作業物質が発熱して液体の温度が上昇する。一方、磁気作業物質から磁場が取り去られた場合には、磁気作業物質が吸熱して液体の温度が低下する。このようにして温度変化した液体は、バルブが開くと熱交換器に圧送される。熱交換器では、液体は、外気との間で熱交換、すなわち放熱(発熱)したり吸熱したりする。この結果、外気は加熱されたり冷却されたりして、外気の温度が調整される。なお、磁気作業物質と液体との間の熱交換の効率を向上させるために、液体が温度変化している際には、バルブを閉じておくことが好ましい。また、本発明の磁気作業物質としては、ガドリニウム、ランタン、鉄、シリコンのうち何れか1種類の元素を含む化合物、あるいはその水素化合物が、常温で磁気エントロピーが大きく増減することから、好適である。
【0014】
ここで、気体を媒体とした従来の温度調整装置では、気体を高圧に圧縮するための圧縮機が必要不可欠となる。この結果、装置にこの圧縮機を設置するための所定の空間を要するため、装置を小型化することが困難となる。この点、本請求項1に記載の発明では、気体を高圧に圧縮するための圧縮機を必要としないため、装置の小型化を図ることができる。またさらに、本発明は、気体を高圧に圧縮するための圧縮機が不要であるので、低騒音かつ低振動で装置を駆動することができる。また、本発明では、気体を高圧に圧縮するための圧縮機が不要であるため、動力は液体の圧送に(単に液体を流路に流すためだけに)必要なものに限られる。従って、本発明は、省エネルギーを図ることができる。
【0015】
また、本発明は、常温で磁気エントロピーが大きく変化するような磁気作業物質を使用しているため、超低温等の特殊な温度環境、ひいては超伝導材料を用いた超伝導磁石や強力な磁場を発生する電磁石等の特殊な磁石を不要とし、エネルギーの損失が少ない理想的な温度調整装置を得ることができる。すなわち、本発明は、磁気エネルギーを熱エネルギーに変換する熱変換効率を向上させることができる。
【0016】
さらに、本発明では、熱交換器から流出した液体(外気との間で熱交換済みの液体)が戻り流路によって磁場発生器を経る。この結果、磁場発生器はこの液体によって冷却される。従って、磁場発生器を冷却する特殊な冷却機が不要になるため、低コスト化を図ることができると共に、装置の小型化により一層効果的である。
【0017】
以上説明したように、本発明の温度調整装置は、小型で熱変換効率を向上させることができる。
【0018】
請求項2に記載の発明は、液体がポンプで圧送される独立した第1及び第2の流路と、磁気を透過可能とした第1及び第2の磁気透過ボックスにそれぞれ収容されて前記第1及び第2の流路の途中にそれぞれ設けられ、磁場が印加されることにより常温で磁気エントロピーが変化して、磁気熱量効果を生じる第1及び第2の磁気作業物質と、前記第1及び第2の磁気作業物質にそれぞれ磁場を印加する第1及び第2の磁場発生器と、前記第1及び第2の流路のそれぞれにおいて前記第1及び第2の磁気透過ボックスよりも下流側に設けられ、それぞれ前記液体と外気との間で熱交換する第1及び第2の熱交換器と、前記第2の磁気透過ボックスと前記第1の熱交換器とを連結し、前記第2の磁気透過ボックスから前記第1の熱交換器へ前記液体を流動させる第3の流路と、前記第1の磁気透過ボックスと前記第2の熱交換機とを連結し、前記第1の磁気透過ボックスから前記第2の熱交換器へ前記液体を流動させる第4の流路と、前記第1乃至第4の流路の各々において前記第1及び第2の磁気透過ボックスと前記第1及び第2の熱交換器との間に設けられ、前記液体の流れを独立に遮断する第1乃至第4のバルブと、前記第1及び第2の磁場発生器のうち一方の磁場発生器に磁場を印加させて前記第1及び第2の磁気透過ボックスのうち一方の磁気透過ボックスで前記液体が飽和温度まで加熱された場合に、前記一方の磁気透過ボックスに連結された流路のそれぞれに設けられたバルブのうち前記第1の熱交換器側の流路のバルブを開いて前記飽和温度に達した液体を前記一方の磁気透過ボックスから前記第1の熱交換器へ流動させ、かつ、前記一方の磁気透過ボックスに連結された流路のバルブのうち前記第2の熱交換器側の流路のバルブを閉じて前記一方の磁気透過ボックスから前記第2の熱交換器へ前記液体を流動させることを中断するのに並行して、他方の磁場発生器に磁場の印加を中断させて他方の磁気透過ボックスで前記液体を冷却し、前記他方の磁気透過ボックスに連結された流路のそれぞれに設けられたバルブのうち前記第1の熱交換器側の流路のバルブを閉じて前記液体を前記他方の磁気透過ボックスから前記第1の熱交換器へ流動させることを中断し、かつ、前記他方の磁気透過ボックスに連結された流路のバルブのうち前記第2の熱交換器側の流路のバルブを開いて前記他方の磁気透過ボックスから前記第2の熱交換器へ前記液体を流動させる第1の状態と、前記他方の磁場発生器に磁場を印加させて前記他方の磁気透過ボックスで前記液体が飽和温度まで加熱された場合に、前記他方の磁気透過ボックスに連結された流路のそれぞれに設けられたバルブのうち前記第1の熱交換器側の流路のバルブを開いて前記飽和温度に達した液体を前記他方の磁気透過ボックスから前記第1の熱交換器へ流動させ、かつ、前記他方の磁気透過ボックスに連結された流路のバルブのうち前記第2の熱交換器側の流路のバルブを閉じて前記他方の磁気透過ボックスから前記第2の熱交換器へ前記液体を流動させることを中断するのに並行して、前記一方の磁場発生器に磁場の印加を中断させて前記一方の磁気透過ボックスで前記液体を冷却し、前記一方の磁気透過ボックスに連結された流路のそれぞれに設けられたバルブのうち前記第1の熱交換器側の流路のバルブを閉じて前記液体を前記一方の磁気透過ボックスから前記第1の熱交換器へ流動させることを中断し、かつ、前記一方の磁気透過ボックスに連結された流路のバルブのうち前記第2の熱交換器側の流路のバルブを開いて前記一方の磁気透過ボックスから前記第2の熱交換器へ前記液体を流動させる第2の状態と、を交互に切り替える制御装置と、前記第1及び第2の熱交換器と、前記第1及び第2の磁場発生器とを連結し、前記第1及び第2の熱交換器から流出した前記液体を前記第1及び第2の磁場発生器を経て流すための戻り流路と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、液体は、独立した第1及び第2の流路のそれぞれにポンプによって圧送され、第1及び第2の磁気透過ボックスに至る。第1及び第2の磁場発生器によって第1及び第2の磁気透過ボックス内の第1及び第2の磁気作業物質に磁場が印加されたり第1及び第2の磁気作業物質から磁場が取り去られたりすると、第1及び第2の磁気作業物質では、常温で磁気エントロピーが変化して、磁気熱量効果を生じる。磁気作業物質に磁場が印加された場合には、磁気作業物質が発熱して液体の温度が上昇する。一方、磁気作業物質から磁場が取り去られた場合には、磁気作業物質が吸熱して液体の温度が低下する。
【0020】
第1及び第2の磁気透過ボックス内の液体を加熱及び冷却する際において、制御装置は、第1及び第2の磁気透過ボックスのうち一方の磁気透過ボックス内の液体を第1及び第2の磁気作業物質のうち一方の磁気作業物質に加熱(冷却)させ、これに並行して、他方の磁気透過ボックス内の液体を他方の磁気作業物質に冷却(加熱)させる。さらに、制御装置は、磁気透過ボックスで飽和温度まで加熱された液体を流動させる際には、この磁気透過ボックスに連結された流路のそれぞれに設けられたバルブのうち第1の熱交換器側の流路のバルブを開いてこの加熱された液体を第1の熱交換器へ流動させ、かつ、第2の熱交換器側の流路のバルブを閉じてこの加熱された液体を第2の熱交換器へ流動させることを中断させる。これに並行して、制御装置は、磁気透過ボックスで冷却された液体を流動させる際には、この磁気透過ボックスに連結された流路のそれぞれに設けられたバルブのうち第1の熱交換器側の流路のバルブを閉じてこの冷却された液体を第1の熱交換機に流動させることを中断させ、かつ、第2の熱交換器側の流路のバルブを開いてこの冷却された液体を第2の熱交換器に流動させる。このようにして制御装置は、第1の状態と第2の状態とを交互に切り替える。この結果、第1の熱交換器には飽和温度まで加熱された液体が供給され、第2の熱交換器には冷却された液体が供給されることになる。従って、飽和温度まで加熱された液体と冷却された液体とを分別して各熱交換器で液体と外気との熱交換を行うことができる。この結果、外気は加熱されたり冷却されたりして、外気の温度が調整される。なお、本発明の磁気作業物質としては、ガドリニウム、ランタン、鉄、シリコンのうち何れか1種類の元素を含む化合物、あるいはその水素化合物が、常温で磁気エントロピーが大きく増減することから、好適である。
【0021】
ここで、気体を媒体とした従来の温度調整装置では、気体を高圧に圧縮するための圧縮機が必要不可欠となる。この結果、装置にこの圧縮機を設置するための所定の空間を要するため、装置を小型化することが困難となる。この点、本請求項2に記載の発明では、気体を高圧に圧縮するための圧縮機を必要としないため、装置の小型化を図ることができる。またさらに、本発明は、気体を高圧に圧縮するための圧縮機が不要であるので、低騒音かつ低振動で装置を駆動することができる。また、本発明では、気体を高圧に圧縮するための圧縮機が不要であるため、動力は液体の圧送に(単に液体を流路に流すためだけに)必要なものに限られる。従って、本発明は、省エネルギーを図ることができる。
【0022】
また、本発明は、常温で磁気エントロピーが大きく変化するような磁気作業物質を使用しているため、超低温等の特殊な温度環境、ひいては超伝導材料を用いた超伝導磁石や強力な磁場を発生する電磁石等の特殊な磁石を不要とし、エネルギーの損失が少ない理想的な温度調整装置を得ることができる。すなわち、本発明は、磁気エネルギーを熱エネルギーに変換する熱変換効率を向上させることができる。
【0023】
さらに、本発明では、第1及び第2の熱交換器から流出した液体(外気との間で熱交換済みの液体)が戻り流路によって第1及び第2の磁場発生器を経る。この結果、第1及び第2の磁場発生器はこの液体によって冷却される。従って、第1及び第2の磁場発生器を冷却する特殊な冷却機が不要になるため、低コスト化を図ることができると共に、装置の小型化により一層効果的である。
【0024】
以上説明したように、本発明の温度調整装置は、小型で熱変換効率を向上させることができる。
【0025】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明において、前記磁気作業物質は、細粉状又はメッシュ状である、ことを特徴とする。
【0026】
請求項3に記載の発明によれば、第1及び第2の磁気作業物質の表面積を増やすことで、磁気作業物質と液体との接触面積を大きくすることができる。この結果、磁気作業物質と液体との間の熱交換を効率良く行うことができる。
【0027】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3記載の発明において、前記第1及び第2の磁気透過ボックスには、前記液体の飽和温度を検出する温度センサがそれぞれ設けられ、前記制御装置は、前記温度センサが前記液体の飽和温度を検出した場合に前記第1の状態と前記第2の状態とを切り替える、ことを特徴とする。
【0028】
請求項4に記載の発明によれば、第1の磁気透過ボックス内の液体及び第2の磁気透過ボックス内の液体の飽和温度は、第1及び第2の磁気透過ボックスにそれぞれ設けられた温度センサによって検出される。温度センサが液体の飽和温度を検出すると、制御装置は、第1の状態と第2の状態とを交互に切り替える。このように、飽和温度が温度センサによって検出されるため、液体が飽和温度に達したことを検出する精度が向上する。
【0029】
請求項5に記載の発明は、請求項2又は請求項3記載の発明において、前記第1及び第2の磁場発生器が磁場を印加してから前記第1及び第2の磁気透過ボックス内の前記液体の温度が飽和温度に達するまでの飽和温度到達時間を予め計測しておき、前記制御装置は、前記飽和温度到達時間毎に前記第1の状態と前記第2の状態とを切り替える、ことを特徴とする。
【0030】
請求項5に記載の発明によれば、外気の温度を調整するにあたって、第1及び第2の磁場発生器が磁場を印加してから第1及び第2の磁気透過ボックス内の液体の温度が飽和温度に達するまでの飽和温度到達時間を予め計測しておき、制御装置にこの飽和温度到達時間を設定しておく。その後、外気の温度を調整する際には、制御装置が、第1及び第2の磁場発生器の何れか一方が磁場を印加し始めてから飽和温度到達時間毎に第1の状態と第2の状態とを切り替える。このようにして第1の状態と第2の状態とが切り替えられるため、液体が飽和温度に達したことを検出する特別な温度センサを不要とすることができる。
【0031】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか1項記載の発明において、前記磁場発生器は、永久磁石と電磁石とから構成される、ことを特徴とする。
【0032】
請求項6に記載の発明によれば、磁場発生器は、永久磁石と電磁石とから構成されているため、永久磁石で生じた磁場に電磁石で生じた磁場を重畳させることで、例えば、超伝導磁石や強力な磁場を発生する電磁石等の特殊な磁石を用いなくても強い磁場を磁気作業物質に印加することができる。
【0033】
請求項7に記載の発明は、請求項6記載の発明において、前記磁場発生器は、前記永久磁石で発生した磁場と前記電磁石で発生した磁場とを重畳させて、前記永久磁石で発生した磁場の強さと前記電磁石で発生した磁場の強さとをそのまま加算した強さの磁場を生じさせるものとした、ことを特徴とする。
【0034】
請求項7に記載の発明によれば、少なくとも磁場発生器の内部では、永久磁石で発生した磁場や電磁石で発生した磁場は弱められることがない。この結果、磁場発生器で発せられて磁気作業物質に印加される磁場は、永久磁石で発生した磁場と電磁石で発生した磁場とを最も効率良く利用したものとなる。従って、請求項7に記載の発明は、磁気エネルギーを熱エネルギーに変換する熱変換効率をより一層向上させることができる。
【0035】
請求項8に記載の発明は、請求項2乃至請求項7の何れか1項記載の発明において、前記戻り流路において前記第1及び第2の磁場発生器よりも下流側に設けられると共に前記ポンプが連結され、前記戻り流路によって前記第1及び第2の磁場発生器を経た前記液体を所定量蓄えると共に、蓄えられた前記液体が前記ポンプによって汲み出されるタンクをさらに備えた、ことを特徴とする。
【0036】
請求項8に記載の発明によれば、第1及び第2の熱交換器を経た液体は、戻り流路において第1及び第2の磁場発生器よりも下流側に設けられたタンクに所定量蓄えられる。さらに、このタンクに蓄えられた液体は、ポンプによって汲み出されて再び第1及び第2の流路に圧送される。この結果、液体は温度調整装置を循環することになり、外気との間で熱交換したり第1及び第2の磁場発生器を冷却したりした液体を再利用することができる。
【0037】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至請求項8の何れか1項記載の発明において、前記熱交換器によって熱交換された前記外気を所定方向へ流動させる送風機をさらに備えた、ことを特徴とする。
【0038】
請求項9に記載の発明によれば、送風機は、熱交換器によって熱交換された外気を所定方向へ流動させる。この場合において、送風機は、熱交換器での液体と外気との熱交換を促進させる。この結果、液体と外気との熱交換を効率良く行うことができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
図1には、本発明の第1の実施の形態に係る温度調整装置10の概略構成図が示されている。温度調整装置10には、ポンプ60が備えられており、液体(例えば、水、あるいは、水とアルコールとの混合液)40を圧送するようになっている。ポンプ60には、第1及び第2の流路としてのパイプ102及びパイプ104が独立して連結されており、それぞれにポンプ60側から液体40が流動するようになっている。
【0040】
パイプ102及びパイプ104の途中には、第1及び第2の磁気透過ボックスとしての磁気透過ボックス14及び磁気透過ボックス20がそれぞれ設けられている。磁気透過ボックス14及び磁気透過ボックス20は、常磁性の材料で形成されており、磁気を透過可能としている。磁気透過ボックス14及び磁気透過ボックス20には、それぞれ細粉状又はメッシュ状(本実施の形態では、細粉状)とされた第1及び第2の磁気作業物質としての磁気作業物質12、13が収容されている。磁気作業物質12、13は、ガドリニウム、ランタン、鉄、シリコンのうち何れか1種類の元素を含む化合物(例えば、Gdの化合物やLa、Fe、Siの化合物等)、あるいはその水素化合物となっており、磁気透過ボックス14、20にそれぞれ収容された磁気作業物質12、13では、それぞれ第1及び第2の磁場発生器としての磁場発生器16、22によって磁場が印加されることにより常温で磁気エントロピーが変化して、磁気熱量効果を生じるようになっている。
【0041】
磁場発生器16、22は、図2に示されるように、側断面を略「C」字状とした磁性体のヨーク42に励磁コイル44が巻き付けられたものとされている。すなわち、これらのヨーク42と励磁コイル44とは、電磁石を構成している。磁場発生器16、22のヨーク42の一対の端縁は所定の間隔で対向しており、この一対の端縁の間に磁気透過ボックス14、20がそれぞれ離間して配置されている。磁場発生器16、22は、励磁コイル44に電流を流した場合に閉ループ状の磁気回路(矢印Xを参照。)を構成するものとされ、励磁コイル44に電流を流したり遮断したりすることで磁気透過ボックス14、20、ひいては磁気透過ボックス14、20に収容されている磁気作業物質12、13に磁場を印加したり磁気作業物質12、13から磁場を取り去ったりすることができるようになっている。
【0042】
また、磁気透過ボックス14及び磁気透過ボックス20の内部には、液体40が蓄えられており、磁気透過ボックス14及び磁気透過ボックス20に収容されている磁気作業物質12、13を浸している。磁気作業物質12が磁気熱量効果により発熱及び吸熱した場合には、液体40は、磁気作業物質12の発熱及び吸熱作用に応じて加熱及び冷却される。
【0043】
このような磁気透過ボックス14、20には、それぞれ温度センサ46、48が取り付けられており、磁気透過ボックス14内の液体40の温度及び磁気透過ボックス20内の液体40の飽和温度を検出できるようになっている。
【0044】
図1に示されるように、パイプ102及びパイプ104のそれぞれにおいて磁気透過ボックス14及び磁気透過ボックス20よりも下流側には、第1の熱交換器としての発熱器26、第2の熱交換器としての吸熱器28が設けられている。また、磁気透過ボックス20と発熱器26との間には、第3の流路としてのパイプ106が配設されている。パイプ106は、磁気透過ボックス20と発熱器26とを連結しており、磁気透過ボックス20から発熱器26へ液体40を流動させるようになっている。さらに、磁気透過ボックス14と吸熱器28との間には、第4の流路としてのパイプ108が配設されている。パイプ108は、磁気透過ボックス14と吸熱器28とを連結しており、磁気透過ボックス14から吸熱器28へ液体40を流動させるようになっている。
【0045】
発熱器26、吸熱器28は、それぞれ液体40と外気との間で熱を交換する。発熱器26では、磁場発生器16、22が磁場を印加することで磁気作業物質12、13により加熱された液体40が、発熱器26の内部を通過して外気に熱を放出するようになっている。これに対して、吸熱器28では、磁場発生器16、22が磁場の印加を中断することで磁気作業物質12、13により冷却された液体40が、吸熱器28の内部を通過して外気から熱を奪うようになっている。
【0046】
また、上述したパイプ102、104、106、108の各々において磁気透過ボックス14及び磁気透過ボックス20と発熱器26及び吸熱器28との間には、第1乃至第4のバルブとしてのバルブ62、64、66、68が設けられている。これらのバルブ62、64、66、68は、液体40の流れを独立に遮断する。
【0047】
このような温度調整装置10には、発熱器26、吸熱器28のそれぞれに対応して送風機としてのファン34、36が設けられている。ファン34は、発熱器26によって加熱された外気を所定方向へ流動させるようになっている。これに対して、ファン36は、吸熱器28によって冷却された外気を所定方向へ流動させるようになっている。
【0048】
また、温度調整装置10には、制御装置32が備えられている。制御装置32は、温度センサ46、48、磁場発生器16、22、バルブ62、64、66、68の各々に接続されている。制御装置32は、磁気透過ボックス14内の液体40の温度や磁気透過ボックス20内の液体40の温度に基づいて、磁場発生器16、22が磁場を磁気作業物質12に印加するか否かを制御したり、バルブ62、64、66、68の開閉等を独立に制御したりする。
【0049】
以下の表1に温度調整装置10が取り得る状態を示す。
【0050】
【表1】
温度調整装置10は、表1に示される「状態I」と「状態II」との2つの状態のうち何れか一方の状態を取るようになっており、温度センサ46及び48によって液体40の飽和温度が検出された場合に、制御装置32が、この飽和温度が検出された際の状態から他の状態に切り替えるようになっている。
【0051】
ここで、「状態I」は、磁場発生器16に磁場を印加させて磁気透過ボックス14で液体40が飽和温度まで加熱された場合に、バルブ62を開いて飽和温度に達した液体40を磁気透過ボックス14から発熱器26へ流動させ、かつ、バルブ68を閉じて磁気透過ボックス14から吸熱器28へ液体40を流動させることを中断するのに並行して、磁場発生器22に磁場の印加を中断させて磁気透過ボックス20で液体40を冷却し、バルブ66を閉じて液体40を磁気透過ボックス20から発熱器26へ流動させることを中断し、かつ、バルブ64を開いて磁気透過ボックス20から吸熱器28へ液体40を流動させる状態である。
【0052】
これに対して、「状態II」は、磁場発生器22に磁場を印加させて磁気透過ボックス20で液体40が飽和温度まで加熱された場合に、バルブ66を開いて飽和温度に達した液体40を磁気透過ボックス20から発熱器26へ流動させ、かつ、バルブ64を閉じて磁気透過ボックス20から吸熱器28へ液体40を流動させることを中断するのに並行して、磁場発生器16に磁場の印加を中断させて磁気透過ボックス14で液体40を冷却し、バルブ62を閉じて液体40を磁気透過ボックス14から発熱器26へ流動させることを中断し、かつ、バルブ68を開いて磁気透過ボックス14から吸熱器28へ液体40を流動させる状態である。
【0053】
このようにして、制御装置32は、「状態I」と「状態II」とを交互に切り替えるようになっている。
【0054】
また、上述した発熱器26には、パイプ109Aが連結しており、発熱器26から流出した液体40がパイプ109Aを流れるようになっている。これに対して、吸熱器28には、パイプ109Bが連結しており、吸熱器26から流出した液体40がパイプ109Bを流れるようになっている。これらのパイプ109Aとパイプ109Bとは、下流側で一体となってパイプ109とされ、発熱器26から流出した液体40と吸熱器28から流出した液体40とが流れるようになっている。またさらに、これらのパイプ109A、109Bの途中には、それぞれ逆止弁109C、109Dが設けられており、パイプ109A、109Bで液体40が逆流しないようになっている。
【0055】
さらに、パイプ109の下流側には、パイプ110、112の一端が連結している。パイプ110は磁場発生器16と連結しており、一方、パイプ112は磁場発生器22と連結している。パイプ110は、パイプ109(パイプ109A、109Bを含む。)と共に発熱器26及び吸熱器28から流出した液体40を磁場発生器16を経て流すためのものとなっており、一方、パイプ112はパイプ109(パイプ109A、109Bを含む。)と共に発熱器26及び吸熱器28から流出した液体40を磁場発生器22を経て流すためのものとなっている。
【0056】
図2に示されるように、パイプ110、112は、パイプ110、112の位置が励磁コイル44の軸位置近傍となるように、励磁コイル44の略軸方向(図2における略上下方向)に沿ってヨーク42を貫通している。パイプ110内では、流体40は矢印Aで示される方向に流れ、これに対して、パイプ112内では、流体40は矢印Bで示される方向に流れる。
【0057】
図1に示されるように、このようなパイプ110、112の他端は、共にパイプ113の一端と連結しており、パイプ113には、パイプ110、112によって磁場発生器16及び磁場発生器22を経た液体40が流れるようになっている。このようなパイプ113と、上述したパイプ109(パイプ109A、109Bを含む。)、110、112とは、一体となって戻り流路を構成している。
【0058】
さらに、このパイプ113の他端には、タンク58が設けられており、パイプ113を経た液体40(すなわち、パイプ110、112によって磁場発生器16及び磁場発生器22を経た液体40)を所定量蓄えるようになっている。タンク58では、液体40が流入してから所定時間が経過するうちに、この液体40は放熱、あるいは吸熱して常温に戻る。またさらに、このタンク58には、パイプ59を介して上述したポンプ60が連結されており、タンク58に蓄えられた液体40がポンプ60によってパイプ59を介して汲み出されるようになっている。
【0059】
なお、図1における矢印C〜Hは、液体40が流れる向きを示している。
【0060】
以下に、本発明の第1の実施の形態に係る温度調整装置10の作用について説明する。
【0061】
液体40は、パイプ102及びパイプ104のそれぞれにポンプ60によって圧送され、磁気透過ボックス14及び磁気透過ボックス20に至る。磁場発生器16及び磁場発生器22によって磁気透過ボックス14及び磁気透過ボックス20内の磁気作業物質12、13に磁場が印加されたり磁気作業物質12、13から磁場が取り去られたりすると、磁気作業物質12、13では、常温で磁気エントロピーが変化して、磁気熱量効果を生じる。磁気作業物質12、13に磁場が印加された場合には、磁気作業物質12、13が発熱して液体40の温度が上昇する。一方、磁気作業物質12、13から磁場が取り去られた場合には、磁気作業物質12、13が吸熱して液体40の温度が低下する。この場合において、磁気作業物質12、13は細粉状又はメッシュ状とされている。この結果、磁気作業物質12、13の表面積が増えるので、磁気作業物質12、13と液体40との接触面積を大きくすることができる。従って、磁気作業物質12、13と液体40との間の熱交換を効率良く行うことができる。
【0062】
磁気透過ボックス14及び磁気透過ボックス20内の液体40を加熱及び冷却する際において、制御装置32は、磁気透過ボックス14内の液体40を磁気作業物質12に加熱(冷却)させ、これに並行して、磁気透過ボックス内20の液体40を磁気作業物質13に冷却(加熱)させる。さらに、制御装置32は、磁気透過ボックス14(磁気作業物質20)で飽和温度まで加熱された液体40を流動させる際には、バルブ62(バルブ66)を開いてこの加熱された液体40を発熱器26へ流動させ、かつ、バルブ68(バルブ64)を閉じてこの加熱された液体40を吸熱器28へ流動させることを中断させる。これに並行して、制御装置32は、磁気透過ボックス20(磁気透過ボックス14)で冷却された液体40を流動させる際には、バルブ66(バルブ62)を閉じてこの冷却された液体40を発熱器26に流動させることを中断させ、かつ、バルブ64(バルブ68)を開いてこの冷却された液体40を吸熱器28に流動させる。このようにして制御装置32は、「状態I」と「状態II」とを交互に切り替える。この結果、発熱器26には飽和温度まで加熱された液体40が供給され、吸熱器28には冷却された液体40が供給されることになる。従って、飽和温度まで加熱された液体40と冷却された液体40とを分別して発熱器26、吸熱器28のそれぞれで液体40と外気との熱交換を行うことができる。この結果、外気は加熱されたり冷却されたりして、外気の温度が調整される。
【0063】
このような温度調整装置10では、磁気透過ボックス14内の液体40及び磁気透過ボックス20内の液体40の飽和温度は、磁気透過ボックス14、20にそれぞれ設けられた温度センサ46、48によって検出される。温度センサ46、48が液体40の飽和温度を検出すると、制御装置32は、「状態I」と「状態II」とを切り替える。このように、飽和温度が温度センサ46、48によって検出されるため、液体40が飽和温度に達したことを検出する精度が向上する。
【0064】
また、発熱器26及び吸熱器28から流動した液体40は、発熱器26及び吸熱器28の下流側に設けられたタンク58に所定量蓄えられる。このタンク58に蓄えられた液体40は、ポンプ60によって汲み出されて再びパイプ102、104に圧送される。この結果、液体40は温度調整装置10を循環することになり、外気との間で熱交換済みの液体を再利用することができる。
【0065】
さらに、ファン34、36は、それぞれ発熱器26、吸熱器28によって熱交換された外気を所定方向へ流動させる。この場合において、ファン34、36は、液体40と外気との熱交換を促進させる。この結果、発熱器26、吸熱器28のそれぞれでの液体40と外気との熱交換を効率良く行うことができる。
【0066】
ここで、気体を媒体とした従来の温度調整装置では、気体を高圧に圧縮するための圧縮機が必要不可欠となる。この結果、装置にこの圧縮機を設置するための所定の空間を要するため、装置を小型化することが困難となる。この点、本発明の第1の実施の形態に係る温度調整装置10では、気体を高圧に圧縮するための圧縮機を必要としないため、装置の小型化を図ることができる。またさらに、温度調整装置10は、気体を高圧に圧縮するための圧縮機が不要であるので、低騒音かつ低振動で装置を駆動することができる。また、温度調整装置10では、気体を高圧に圧縮するための圧縮機が不要であるため、動力は液体の圧送に(単に液体40をパイプ102、104等に流すためだけに)必要なものに限られる。従って、温度調整装置10は、省エネルギーを図ることができる。
【0067】
また、温度調整装置10は、常温で磁気エントロピーが大きく変化するような磁気作業物質12、13を使用しているため、超低温等の特殊な温度環境、ひいては超伝導材料を用いた超伝導磁石や強力な磁場を発生する電磁石等の特殊な磁石を不要とし、エネルギーの損失が少ない理想的な温度調整装置を得ることができる。すなわち、温度調整装置10は、磁気エネルギーを熱エネルギーに変換する熱変換効率を向上させることができる。
【0068】
さらに、温度調整装置10では、発熱器26及び吸熱器28から流出した液体40(外気との間で熱交換済みの液体40)がパイプ109(パイプ109A、109Bを含む。)、パイプ110、及びパイプ112によって磁場発生器16及び磁場発生器22を経る。この結果、磁場発生器16及び磁場発生器22はこの液体40によって冷却される。従って、磁場発生器16及び磁場発生器22を冷却する特殊な冷却機が不要になるため、低コスト化を図ることができると共に、装置の小型化により一層効果的である。
【0069】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態に係る温度調整装置10は、小型で熱変換効率を向上させることができる。
【0070】
なお、本発明の第1の実施の形態に係る温度調整装置10では、温度センサ46、48を用いて液体40が飽和温度に達したことを検出した際に、制御装置32が、「状態I」と「状態II」とを切り替えるものとしたが、本発明は、これに限らない。温度センサ46、48を用いなくとも、磁場発生器16及び磁場発生器22が磁場を印加してから液体40が飽和温度に達するまでの飽和温度到達時間を予め計測しておき、制御装置32が、飽和温度到達時間毎に「状態I」と「状態II」とを切り替える構成としてもよい。
【0071】
この場合においては、外気の温度を調整するにあたって、磁場発生器16、22が磁場を印加してから磁気透過ボックス14、20内の液体40の温度が飽和温度に達するまでの飽和温度到達時間を予め計測しておき、制御装置32にこの飽和温度到達時間を設定しておく。その後、外気の温度を調整する際には、制御装置32が、磁場発生器16、22の何れか一方が磁場を印加し始めてから飽和温度到達時間毎に「状態I」と「状態I」とを切り替える。このようにして「状態I」と「状態II」とが切り替えられるため、液体40が飽和温度に達したことを検出する特別な温度センサ(例えば、上述した温度センサ46、48)を不要とすることができる。温度調整装置10をこのような構成にしても、上述した本発明の第1の実施の形態に係る温度調整装置10と同様の効果を奏することができる。
【0072】
また、本発明の第1の実施の形態では、パイプ110、112の位置が励磁コイル44の軸位置近傍となるように、パイプ110、112が励磁コイル44の略軸方向に沿ってヨーク42を貫通するものとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、ヨーク42の内部では、パイプ110がパイプ110Aとパイプ110Bとの2つに分かれた状態で配管されると共に、パイプ112がパイプ112Aとパイプ112Bとの2つに分かれた状態で配管されていてもよい。この場合、図3に示されるように、パイプ110A及びパイプ110Bが磁気透過ボックス16の上方及び下方に位置するようにヨーク42を貫通(図3におけるヨーク42の左上の部位と左下の部位を貫通)すると共に、パイプ112A及びパイプ112Bが磁気透過ボックス22の上方及び下方に位置するようにヨーク42を貫通(図3におけるヨーク42の左上の部位と左下の部位を貫通)するようにしてもよい。また、この他の例として、パイプ110、112をヨーク42と接触させた状態でヨーク42の外周に設けてもよい。さらに、他の例として、ヨーク42の内部を巡回するようにパイプ110、112が配管されていてもよい。これらの場合においても、上述した本発明の第1の実施の形態に係る温度調整装置10と同様の作用及び効果を奏することができる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係る温度調整装置10について説明する。なお、上述した本発明の第1の実施の形態と同一構成・同一作用の箇所には、同一符号を付して説明を省略する。
【0073】
図4に示されるように、本発明の第2の実施の形態に係る温度調整装置10は、磁場発生器16、22に永久磁石80及びヨーク82を組み込んでハイブリッド型磁石(永久磁石と電磁石とを組み合わせた磁石)としたものである。
【0074】
磁場発生器16、22の側断面図において、磁場発生器16、22の中央部には、矩形状の永久磁石80が設けられている。永久磁石80のN極84とS極86とのそれぞれには、磁性材からなる一対の矩形状のヨーク82の各々が一体的に密着接合されており、これらの永久磁石80と一対のヨーク82とは、一体となって略「I」字状となっている。永久磁石80は、これらの一対のヨーク82を介してヨーク42の左右方向中央上部及び左右方向中央下部に一体的に密着接合されている。
【0075】
図5(A)に示されるように、このような磁場発生器16、22では、励磁コイル44の電流がオフの場合に、永久磁石80から放出された磁力線(矢印Yを参照。)は、永久磁石80のN極84から放出されて、永久磁石80の上方のヨーク82とヨーク42との連結部位からヨーク42の励磁コイル44側を経て、永久磁石80の下方のヨーク82とヨーク42との連結部位から永久磁石80のS極86に至るようになっている。すなわち、励磁コイル44の電流がオフの場合には磁場発生器16は、永久磁石80に対して励磁コイル44側で閉ループ状の磁気回路を構成し、磁気作業物質12、13へ磁場を印加しないようになっている。
【0076】
一方、図5(B)に示されるように、励磁コイル44の電流がオンの場合には、永久磁石80で生じた磁力線(矢印Zを参照。)は、励磁コイル44で発生した磁場(矢印Wを参照。)の影響を受けて、永久磁石80の上方のヨーク82とヨーク42との連結部位からヨーク42の磁気透過ボックス14、20側を経て、永久磁石80の下方のヨーク82とヨーク42との連結部位から永久磁石80のS極86に至るようになっている。すなわち、励磁コイル44の電流がオンの場合においては、磁場発生器16、22は、永久磁石80に対して磁気透過ボックス14、20側で閉ループ状の磁気回路を構成し、磁気作業物質12、13に磁場を印加するようになっている。この場合において、磁場発生器16、22は、永久磁石80で発生した磁場と励磁コイル44で発生した磁場とを重畳させて、永久磁石80で発生した磁場の強さと励磁コイル44で発生した磁場の強さとをそのまま加算した強さの磁場を生じさせるようになっている。
【0077】
以下に、本発明の第2の実施の形態に係る温度調整装置10の作用について説明する。
【0078】
励磁コイル44の電流がオフの場合では、永久磁石80で生じた磁場は、磁気透過ボックス14、22を透過しないため、磁気作業物質12、13に磁場が印加されることはない(図5(A))。
【0079】
一方、励磁コイル44の電流がオンの場合では、永久磁石80で生じた磁場に励磁コイル44で生じた磁場(すなわち、電磁石で生じた磁場)を重畳させることで、永久磁石80で生じた磁力線の向きが変更される。永久磁石80で生じた磁力線は、永久磁石80から見て左回り方向に進み、磁気透過ボックス14、20の内部の磁気作業物質12、13を通過する。この結果、磁気透過ボックス14の内部の磁気作業物質12や磁気透過ボックス20の内部の磁気作業物質13に強い磁場を印加する(図5(B))。従って、本発明の第2の実施の形態に係る温度調整装置10では、磁場発生器16、22が、ヨーク82に接合された永久磁石80と、ヨーク42及び励磁コイル44からなる電磁石とから構成されているため、例えば、超伝導磁石や強力な磁場を発生する電磁石等の特殊な磁石を用いなくても強い磁場を磁気作業物質12、13に印加することができる。
【0080】
またここで、少なくとも磁場発生器16、22の内部、すなわちヨーク42、82では、永久磁石80で発生した磁場や励磁コイル44で発生した磁場は弱められることがない。この結果、磁場発生器16、22で発せられて磁気作業物質12、13に印加される磁場は、永久磁石80で発生した磁場と励磁コイル44で発生した磁場とを最も効率良く利用したものとなる。従って、温度調整装置10は、磁気エネルギーを熱エネルギーに変換する熱変換効率をより一層向上させることができる。
【0081】
以上説明したような本発明の第2の実施の形態に係る温度調整装置10は、上述した本発明の第1の実施の形態に係る温度調整装置10と同様の効果を奏することができる。
【0082】
なお、本発明の第2の実施の形態に係る温度調整装置10では、温度センサ46、48を用いて液体40が飽和温度に達したことを検出した際に、制御装置32が、「状態I」と「状態II」とを切り替えるものとしたが、本発明は、これに限らない。温度センサ46、48を用いなくとも、磁場発生器16及び磁場発生器22が磁場を印加してから液体40が飽和温度に達するまでの飽和温度到達時間を予め計測しておき、制御装置32が、飽和温度到達時間毎に「状態I」と「状態II」とを切り替える構成としてもよい。
【0083】
この場合においては、外気の温度を調整するにあたって、磁場発生器16、22が磁場を印加してから磁気透過ボックス14、20内の液体40の温度が飽和温度に達するまでの飽和温度到達時間を予め計測しておき、制御装置32にこの飽和温度到達時間を設定しておく。その後、外気の温度を調整する際には、制御装置32が、磁場発生器16、22の何れか一方が磁場を印加し始めてから飽和温度到達時間毎に「状態I」と「状態I」とを切り替える。このようにして「状態I」と「状態II」とが切り替えられるため、液体40が飽和温度に達したことを検出する特別な温度センサ(例えば、上述した温度センサ46、48)を不要とすることができる。温度調整装置10をこのような構成にしても、上述した本発明の第2の実施の形態に係る温度調整装置10と同様の効果を奏することができる。
【0084】
また、本発明の第2の実施の形態では、パイプ110、112の位置が励磁コイル44の軸位置近傍となるように、パイプ110、112が励磁コイル44の略軸方向に沿ってヨーク42を貫通するものとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、ヨーク42の内部では、パイプ110がパイプ110Aとパイプ110Bとの2つに分かれた状態で配管されると共に、パイプ112がパイプ112Aとパイプ112Bとの2つに分かれた状態で配管されていてもよい。この場合、図6に示されるように、パイプ110A及びパイプ110Bが磁気透過ボックス16の上方及び下方に位置するようにヨーク42を貫通(図6におけるヨーク42の左上の部位と左下の部位を貫通)すると共に、パイプ112A及びパイプ112Bが磁気透過ボックス22の上方及び下方に位置するようにヨーク42を貫通(図6におけるヨーク42の左上の部位と左下の部位を貫通)するようにしてもよい。また、この他の例として、パイプ110、112をヨーク42と接触させた状態でヨーク42の外周に設けてもよい。さらに、他の例として、ヨーク42の内部を巡回するようにパイプ110、112が配管されていてもよい。これらの場合においても、上述した本発明の第2の実施の形態に係る温度調整装置10と同様の作用及び効果を奏することができる。
(第3の実施の形態)
次いで、本発明の第3の実施の形態に係る温度調整装置10について説明する。本発明の第3の実施の形態に係る温度調整装置10は、上述した本発明の第1の実施の形態に係る温度調整装置10を変形したものである。このため、上述した本発明の第1の実施の形態と同一構成・同一作用の箇所には、同一符号を付して説明を省略する。
【0085】
図7に示されるように、本発明の第3の実施の形態に係る温度調整装置10は、上述した本発明の第1の実施の形態に係る温度調整装置10に温度センサ114、116、及びポンプ118をさらに設けたものである。
【0086】
温度センサ114、116は、磁場発生器16、22のヨーク42において図8の上下方向上端かつ左右方向左側に取り付けられており、ヨーク42の温度を検出する。これらの温度センサ114、116は、上述した制御装置32に接続されており、温度センサ114、116によるヨーク42の温度検出結果が制御装置32に伝送される。
【0087】
また、ポンプ118は、上述したパイプ109の途中に設けられている。ポンプ118は、発熱器26及び吸熱器28から流出した液体40を、パイプ110、112側に圧送する。このようなポンプ118は、制御装置32に接続されており、制御装置32からの制御信号に基づいて、液体40の圧送量を調整するようになっている。
【0088】
以下に、本発明の第3の実施の形態に係る温度調整装置10の作用について説明する。
【0089】
磁場発生器16、22のヨーク42の温度が温度センサ114、116によって検出されると、温度センサ114、116によるヨーク42の温度検出結果が制御装置32に伝送される。制御装置32にこの温度検出結果が入力されると、制御装置32は、この温度検出結果に基づいてポンプ118に制御信号を出力する。ポンプ118にこの制御信号が入力されると、ポンプ118は、この制御信号に基づいて、液体40の圧送量を調整する。この結果、磁場発生器16、22のヨーク42を経る液体40の単位時間あたりの流量を適切に調整することができる。従って、ヨーク42の温度をより一層適切に調整することができる。
【0090】
また、本発明の第3の実施の形態に係る温度調整装置10は、液体40をポンプ60のみで圧送する構成に比べて、液体40の圧送力の低下分を補うため、液体40を容易に循環させることができる。
【0091】
なお、本発明の第3の実施の形態に係る温度調整装置10では、温度センサ46、48を用いて液体40が飽和温度に達したことを検出した際に、制御装置32が、「状態I」と「状態II」とを切り替えるものとしたが、本発明は、これに限らない。温度センサ46、48を用いなくとも、磁場発生器16及び磁場発生器22が磁場を印加してから液体40が飽和温度に達するまでの飽和温度到達時間を予め計測しておき、制御装置32が、飽和温度到達時間毎に「状態I」と「状態II」とを切り替える構成としてもよい。
【0092】
この場合においては、外気の温度を調整するにあたって、磁場発生器16、22が磁場を印加してから磁気透過ボックス14、20内の液体40の温度が飽和温度に達するまでの飽和温度到達時間を予め計測しておき、制御装置32にこの飽和温度到達時間を設定しておく。その後、外気の温度を調整する際には、制御装置32が、磁場発生器16、22の何れか一方が磁場を印加し始めてから飽和温度到達時間毎に「状態I」と「状態I」とを切り替える。このようにして「状態I」と「状態II」とが切り替えられるため、液体40が飽和温度に達したことを検出する特別な温度センサ(例えば、上述した温度センサ46、48)を不要とすることができる。温度調整装置10をこのような構成にしても、上述した本発明の第3の実施の形態に係る温度調整装置10と同様の効果を奏することができる。
【0093】
また、本発明の第3の実施の形態では、パイプ110、112の位置が励磁コイル44の軸位置近傍となるように、パイプ110、112が励磁コイル44の略軸方向に沿ってヨーク42を貫通するものとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、ヨーク42の内部では、パイプ110がパイプ110Aとパイプ110Bとの2つに分かれた状態で配管されると共に、パイプ112がパイプ112Aとパイプ112Bとの2つに分かれた状態で配管されていてもよい。この場合、図9に示されるように、パイプ110A及びパイプ110Bが磁気透過ボックス16の上方及び下方に位置するようにヨーク42を貫通(図9におけるヨーク42の左上の部位と左下の部位を貫通)すると共に、パイプ112A及びパイプ112Bが磁気透過ボックス22の上方及び下方に位置するようにヨーク42を貫通(図9におけるヨーク42の左上の部位と左下の部位を貫通)するようにしてもよい。また、この他の例として、パイプ110、112をヨーク42と接触させた状態でヨーク42の外周に設けてもよい。さらに、他の例として、ヨーク42の内部を巡回するようにパイプ110、112が配管されていてもよい。これらの場合においても、上述した本発明の第3の実施の形態に係る温度調整装置10と同様の作用及び効果を奏することができる。
(第4の実施の形態)
次いで、本発明の第4の実施の形態に係る温度調整装置10について説明する。本発明の第4の実施の形態に係る温度調整装置10は、上述した本発明の第3の実施の形態に係る温度調整装置10において、磁場発生器16、22として、本発明の第2の実施の形態で説明したハイブリッド型磁石の磁場発生器16、22を適用したものである(図10を参照。)。ハイブリッド型磁石の磁場発生器16、22の構成及び作用については、本発明の第2の実施の形態で説明しているため、その説明を省略する。また、磁場発生器16、22がハイブリッド型磁石である点を除き他の点は、上述した本発明の第3の実施の形態と同一構成・同一作用となっているため、同一符号を付してその説明を省略する。
【0094】
なお、本発明の第4の実施の形態に係る温度調整装置10では、温度センサ46、48を用いて液体40が飽和温度に達したことを検出した際に、制御装置32が、「状態I」と「状態II」とを切り替えるものとしたが、本発明は、これに限らない。温度センサ46、48を用いなくとも、磁場発生器16及び磁場発生器22が磁場を印加してから液体40が飽和温度に達するまでの飽和温度到達時間を予め計測しておき、制御装置32が、飽和温度到達時間毎に「状態I」と「状態II」とを切り替える構成としてもよい。
【0095】
この場合においては、外気の温度を調整するにあたって、磁場発生器16、22が磁場を印加してから磁気透過ボックス14、20内の液体40の温度が飽和温度に達するまでの飽和温度到達時間を予め計測しておき、制御装置32にこの飽和温度到達時間を設定しておく。その後、外気の温度を調整する際には、制御装置32が、磁場発生器16、22の何れか一方が磁場を印加し始めてから飽和温度到達時間毎に「状態I」と「状態I」とを切り替える。このようにして「状態I」と「状態II」とが切り替えられるため、液体40が飽和温度に達したことを検出する特別な温度センサ(例えば、上述した温度センサ46、48)を不要とすることができる。温度調整装置10をこのような構成にしても、上述した本発明の第4の実施の形態に係る温度調整装置10と同様の効果を奏することができる。
【0096】
また、本発明の第4の実施の形態では、パイプ110、112の位置が励磁コイル44の軸位置近傍となるように、パイプ110、112が励磁コイル44の略軸方向に沿ってヨーク42を貫通するものとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、ヨーク42の内部では、パイプ110がパイプ110Aとパイプ110Bとの2つに分かれた状態で配管されると共に、パイプ112がパイプ112Aとパイプ112Bとの2つに分かれた状態で配管されていてもよい。この場合、図11に示されるように、パイプ110A及びパイプ110Bが磁気透過ボックス16の上方及び下方に位置するようにヨーク42を貫通(図11におけるヨーク42の左上の部位と左下の部位を貫通)すると共に、パイプ112A及びパイプ112Bが磁気透過ボックス22の上方及び下方に位置するようにヨーク42を貫通(図11におけるヨーク42の左上の部位と左下の部位を貫通)するようにしてもよい。また、この他の例として、パイプ110、112をヨーク42と接触させた状態でヨーク42の外周に設けてもよい。さらに、他の例として、ヨーク42の内部を巡回するようにパイプ110、112が配管されていてもよい。これらの場合においても、上述した本発明の第4の実施の形態に係る温度調整装置10と同様の作用及び効果を奏することができる。
(第5の実施の形態)
次いで、本発明の第5の実施の形態に係る温度調整装置10について説明する。なお、上述した本発明の第1乃至第4の実施の形態と同一構成・同一作用の箇所には、同一符号を付して説明を省略する。
【0097】
図12に示されるように、本発明の第5の実施の形態に係る温度調整装置10は、空間92を設け、この空間92の壁94の一部を構成するように発熱器26及び吸熱器28を対向させて配置し、発熱器26及び吸熱器28付近では、発熱器26及び吸熱器28の配置箇所を除いて空間92を気密にしたものである。さらに、この空間92の内部には、送風機としての1台のファン90が配置されている。ファン90は、発熱器26及び吸熱器28で加熱及び冷却された外気を空間92の内部側から外部側に向けて流動させるようになっている。また、このファン90は、発熱器26及び吸熱器28において、液体40と外気との間の熱交換を促進させる役割を担っている。なお、図12では、説明の都合上、パイプ102、104、106、108、109、及びバルブ62、64、66、68等を省略して示している。また、図12における矢印付きの破線は、ファン34によって外気が流動する向きを示している。
【0098】
以下に、本発明の第5の実施の形態に係る温度調整装置10の作用について説明する。
【0099】
外気の温度を調整する際には、発熱器26、吸熱器28の内部を液体40が通過することで、外気と液体40との間で熱交換が行われる。その後、発熱器26、吸熱器28によって熱交換された外気がファン90によって空間92の内部側から外部側に向かって流動する。
【0100】
このような温度調整装置10では、発熱器26及び吸熱器28付近では、発熱器26及び吸熱器28の配置箇所を除いて空間92を気密にしているため、外気は発熱器26及び吸熱器28を通過する。この結果、発熱器26、吸熱器28で熱交換された外気を空間92の内部側から外部側に向けて流動させるには、1台のファン90の駆動で十分となる。従って、温度調整装置10の部品点数を削減することができる。
【0101】
また、発熱器26、吸熱器28で熱交換された外気を流動させるための動力が、ファン90の1台分で済むため、温度調整装置10は、省エネルギーを図ることができる。
【0102】
以上説明したような本発明の第5の実施の形態に係る温度調整装置10は、上述した本発明の第1乃至第4の実施の形態に係る温度調整装置10と同様の効果を奏することができる。
【0103】
なお、本発明の第5の実施の形態に係る温度調整装置10では、温度センサ46、48を用いて液体40が飽和温度に達したことを検出した際に、制御装置32が、「状態I」と「状態II」とを切り替えるものとしたが、本発明は、これに限らない。温度センサ46、48を用いなくとも、磁場発生器16及び磁場発生器22が磁場を印加してから液体40が飽和温度に達するまでの飽和温度到達時間を予め計測しておき、制御装置32が、飽和温度到達時間毎に「状態I」と「状態II」とを切り替える構成としてもよい。
【0104】
この場合においては、外気の温度を調整するにあたって、磁場発生器16、22が磁場を印加してから磁気透過ボックス14、20内の液体40の温度が飽和温度に達するまでの飽和温度到達時間を予め計測しておき、制御装置32にこの飽和温度到達時間を設定しておく。その後、外気の温度を調整する際には、制御装置32が、磁場発生器16、22の何れか一方が磁場を印加し始めてから飽和温度到達時間毎に「状態I」と「状態I」とを切り替える。このようにして「状態I」と「状態II」とが切り替えられるため、液体40が飽和温度に達したことを検出する特別な温度センサ(例えば、上述した温度センサ46、48)を不要とすることができる。温度調整装置10をこのような構成にしても、上述した本発明の第5の実施の形態に係る温度調整装置10と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1及び第2の実施の形態に係る温度調整装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る磁場発生器の側断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るパイプ(戻り流路)の配管位置の変形例である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る磁場発生器の側断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る磁場発生器で発生した磁場の向きを説明するための図であり、(A)は磁場印加オフの状態における図、(B)は磁場印加オンの状態における図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るパイプ(戻り流路)の配管位置の変形例である。
【図7】本発明の第3及び第4の実施の形態に係る温度調整装置の構成を示す概略図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る磁場発生器の側断面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係るパイプ(戻り流路)の配管位置の変形例である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る磁場発生器の側断面図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係るパイプ(戻り流路)の配管位置の変形例である。
【図12】本発明の第5の実施の形態に係る発熱器及び吸熱器が壁の一部を構成している空間の概略図である。
【符号の説明】
10・・温度調整装置、12・・磁気作業物質(第1の磁気作業物質)、13・・磁気作業物質(第2の磁気作業物質)、14・・磁気透過ボックス(第1の磁気透過ボックス)、16・・磁場発生器(第1の磁場発生器)、20・・磁気透過ボックス(第2の磁気透過ボックス)、22・・磁場発生器(第2の磁場発生器)、26・・発熱器(熱交換器)、28・・吸熱器(熱交換器)、32・・制御装置、34、36・・ファン(送風機)、40・・液体、42・・ヨーク(電磁石)、44・・励磁コイル(電磁石)、46、48・・温度センサ、58・・タンク、60・・ポンプ、62・・バルブ(第1のバルブ)、64・・バルブ(第2のバルブ)、66・・バルブ(第3のバルブ)、68・・バルブ(第4のバルブ)、80・・永久磁石、102・・パイプ(第1の流路)、104・・パイプ(第2の流路)、106・・パイプ(第3の流路)、104・・パイプ(第4の流路)、109、110、112、113・・パイプ(戻り流路)
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷凍技術等に適用される温度調整技術には、カルノーサイクルに準ずる熱機関が一般的に利用されている。カルノーサイクルに準ずる熱機関では、遮蔽された空間に気体が閉じ込められており、例えば気体を高圧に圧縮するための圧縮機を作動させて気体の状態を変化させる。気体は温度調整対象(例えば、外気)と外界との媒体としての役割を持っており、圧縮機が作動することにより気体が圧縮、放熱、膨張、及び吸熱といった工程を繰り返し経ると、温度調整対象と外界との間で熱のやり取りが行われ、温度調整対象の温度が調整される構成である。
【0003】
しかしながら、このようなカルノーサイクルに準ずる熱機関では、気体を高圧に圧縮するための圧縮機が必要不可欠であり、この圧縮機の設置に所定の空間を要するため、装置を小型化することが困難であるという欠点があった。
【0004】
ところで、このようなカルノーサイクルに準ずる熱機関の他にも、特殊な温度環境(例えば、超低温)における磁気熱量効果を利用して温度調整対象の温度を調整する温度調整装置が知られている。このような温度調整装置には、気体やこの気体を高圧に圧縮するための圧縮機が適用されずに、磁性体やこの磁性体に磁場を印加する磁場発生器が適用されている。磁場発生器を作動させて特殊な温度環境下で磁性体の磁気エントロピー(磁性体を構成する原子の磁気モーメントの向きが揃っている程度を示す量)を増減させることで、磁性体に放熱させたり吸熱させたりし(すなわち、磁気熱量効果を生じさせ)、これに応じて磁性体と温度調整対象との媒体(一般的には、液体)を介して温度調整対象の温度が調整される構成である。このような温度調整装置では、気体を高圧に圧縮するための圧縮機が必要とされないため、装置の小型化が可能である(特許文献1)。
【0005】
ここで、このような磁性体には、特殊な温度環境において磁気エントロピーが大きく増減すると放熱量(発熱量)及び吸熱量も大きくなる性質がある。さらに、磁気エントロピーの増減幅と磁性体に印加する磁場の強さにも相関関係があり、超低温等の特殊な温度環境下で磁気エントロピーを大きく増減させるには、磁性体に強い磁場を印加して、この磁性体の内部で磁性の変態(相転移)を引き起こす必要がある。
【0006】
しかしながら、超低温等の特殊な温度環境下で磁性体に強い磁場を印加するためには、超低温等の特殊な温度環境を作り出し、さらには超伝導材料が用いられた超伝導磁石や強力な磁場を発生する電磁石等の特殊な磁石を使用しなければならないという欠点があった。
【0007】
ところで、上述したカルノーサイクルに準ずる熱機関や特殊な温度環境における磁気熱量効果を利用した温度調整装置の他にも、ペルチェ効果を生ずる熱電素子(ペルチェ素子)の熱電変換を利用して温度調整対象の温度を調整する温度調整装置がある。ペルチェ素子は電流を流すと熱を発する素子であり、互いに異なる2種類の金属が2箇所(2つの接続点)で接続されたものや、P型半導体とN型半導体との2種類の半導体を交互に直列又は並列に連結したものがある。ペルチェ素子では、2つの接続点(接点)の間に電流が流れると、この2つの接続点間で温度に差が生じる構成である(特許文献2)。
【0008】
一般的には、熱電変換の効率の良さから、半導体で構成されたペルチェ素子が使用されている。半導体で構成されたペルチェ素子は平板状となっており、一方の面が冷却面(低温側の接点の集まり)とされ、他方の面が放熱面(高温側の接点の集まり)とされている(以下、特に断らない限り、「ペルチェ素子」とは、半導体で構成されたペルチェ素子を意味するものとする)。
【0009】
しかしながら、このようなペルチェ素子では、冷却面と放熱面とが隣り合っているため、冷却面側の接点と放熱面側の接点との間では、熱伝導を抑える必要がある。またさらに、ペルチェ素子の電気伝導率を上げる必要がある。仮に、P型半導体とN型半導体との数を増やすことでペルチェ素子の冷却面と放熱面とを大きくし、温度調整対象の温度の調整に十分な発熱量及び吸熱量を得ようとすると、ペルチェ素子の電気伝導率が低下して冷却面と放熱面との間で熱伝導を引き起こしてしまう。このため、ペルチェ素子そのものの規模を大きくすることは好ましくないという欠点があった。
【0010】
【特許文献1】
特公平3−31978号公報
【特許文献2】
特開2003−92433号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑み、小型で熱変換効率を向上させることができる温度調整装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、液体がポンプで圧送される流路と、前記流路の途中に設けられ、磁場が印加されることにより常温で磁気エントロピーが変化して、磁気熱量効果を生じる磁気作業物質と、前記磁気作業物質に磁場を印加する磁場発生器と、前記流路において前記磁気作業物質よりも下流側に設けられ、前記液体と外気との間で熱を交換する熱交換器と、前記流路において前記磁気作業物質と前記熱交換器との間に設けられ、前記液体の流れを遮断するバルブと、前記熱交換器と前記磁場発生器とを連結し、前記熱交換器から流出した前記液体を前記磁場発生器を経て流すための戻り流路と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、流路では、ポンプによって液体が圧送される。流路の途中において磁場発生器によって磁気作業物質に磁場が印加されたり磁気作業物質から磁場が取り去られたりすると、磁気作業物質では、常温で磁気エントロピーが変化して、磁気熱量効果を生じる。ここで、磁気作業物質とは、磁場を印加していくと発熱し、磁場を取り去っていくと温度が下がる物質をいう。磁気作業物質に磁場が印加された場合には、磁気作業物質が発熱して液体の温度が上昇する。一方、磁気作業物質から磁場が取り去られた場合には、磁気作業物質が吸熱して液体の温度が低下する。このようにして温度変化した液体は、バルブが開くと熱交換器に圧送される。熱交換器では、液体は、外気との間で熱交換、すなわち放熱(発熱)したり吸熱したりする。この結果、外気は加熱されたり冷却されたりして、外気の温度が調整される。なお、磁気作業物質と液体との間の熱交換の効率を向上させるために、液体が温度変化している際には、バルブを閉じておくことが好ましい。また、本発明の磁気作業物質としては、ガドリニウム、ランタン、鉄、シリコンのうち何れか1種類の元素を含む化合物、あるいはその水素化合物が、常温で磁気エントロピーが大きく増減することから、好適である。
【0014】
ここで、気体を媒体とした従来の温度調整装置では、気体を高圧に圧縮するための圧縮機が必要不可欠となる。この結果、装置にこの圧縮機を設置するための所定の空間を要するため、装置を小型化することが困難となる。この点、本請求項1に記載の発明では、気体を高圧に圧縮するための圧縮機を必要としないため、装置の小型化を図ることができる。またさらに、本発明は、気体を高圧に圧縮するための圧縮機が不要であるので、低騒音かつ低振動で装置を駆動することができる。また、本発明では、気体を高圧に圧縮するための圧縮機が不要であるため、動力は液体の圧送に(単に液体を流路に流すためだけに)必要なものに限られる。従って、本発明は、省エネルギーを図ることができる。
【0015】
また、本発明は、常温で磁気エントロピーが大きく変化するような磁気作業物質を使用しているため、超低温等の特殊な温度環境、ひいては超伝導材料を用いた超伝導磁石や強力な磁場を発生する電磁石等の特殊な磁石を不要とし、エネルギーの損失が少ない理想的な温度調整装置を得ることができる。すなわち、本発明は、磁気エネルギーを熱エネルギーに変換する熱変換効率を向上させることができる。
【0016】
さらに、本発明では、熱交換器から流出した液体(外気との間で熱交換済みの液体)が戻り流路によって磁場発生器を経る。この結果、磁場発生器はこの液体によって冷却される。従って、磁場発生器を冷却する特殊な冷却機が不要になるため、低コスト化を図ることができると共に、装置の小型化により一層効果的である。
【0017】
以上説明したように、本発明の温度調整装置は、小型で熱変換効率を向上させることができる。
【0018】
請求項2に記載の発明は、液体がポンプで圧送される独立した第1及び第2の流路と、磁気を透過可能とした第1及び第2の磁気透過ボックスにそれぞれ収容されて前記第1及び第2の流路の途中にそれぞれ設けられ、磁場が印加されることにより常温で磁気エントロピーが変化して、磁気熱量効果を生じる第1及び第2の磁気作業物質と、前記第1及び第2の磁気作業物質にそれぞれ磁場を印加する第1及び第2の磁場発生器と、前記第1及び第2の流路のそれぞれにおいて前記第1及び第2の磁気透過ボックスよりも下流側に設けられ、それぞれ前記液体と外気との間で熱交換する第1及び第2の熱交換器と、前記第2の磁気透過ボックスと前記第1の熱交換器とを連結し、前記第2の磁気透過ボックスから前記第1の熱交換器へ前記液体を流動させる第3の流路と、前記第1の磁気透過ボックスと前記第2の熱交換機とを連結し、前記第1の磁気透過ボックスから前記第2の熱交換器へ前記液体を流動させる第4の流路と、前記第1乃至第4の流路の各々において前記第1及び第2の磁気透過ボックスと前記第1及び第2の熱交換器との間に設けられ、前記液体の流れを独立に遮断する第1乃至第4のバルブと、前記第1及び第2の磁場発生器のうち一方の磁場発生器に磁場を印加させて前記第1及び第2の磁気透過ボックスのうち一方の磁気透過ボックスで前記液体が飽和温度まで加熱された場合に、前記一方の磁気透過ボックスに連結された流路のそれぞれに設けられたバルブのうち前記第1の熱交換器側の流路のバルブを開いて前記飽和温度に達した液体を前記一方の磁気透過ボックスから前記第1の熱交換器へ流動させ、かつ、前記一方の磁気透過ボックスに連結された流路のバルブのうち前記第2の熱交換器側の流路のバルブを閉じて前記一方の磁気透過ボックスから前記第2の熱交換器へ前記液体を流動させることを中断するのに並行して、他方の磁場発生器に磁場の印加を中断させて他方の磁気透過ボックスで前記液体を冷却し、前記他方の磁気透過ボックスに連結された流路のそれぞれに設けられたバルブのうち前記第1の熱交換器側の流路のバルブを閉じて前記液体を前記他方の磁気透過ボックスから前記第1の熱交換器へ流動させることを中断し、かつ、前記他方の磁気透過ボックスに連結された流路のバルブのうち前記第2の熱交換器側の流路のバルブを開いて前記他方の磁気透過ボックスから前記第2の熱交換器へ前記液体を流動させる第1の状態と、前記他方の磁場発生器に磁場を印加させて前記他方の磁気透過ボックスで前記液体が飽和温度まで加熱された場合に、前記他方の磁気透過ボックスに連結された流路のそれぞれに設けられたバルブのうち前記第1の熱交換器側の流路のバルブを開いて前記飽和温度に達した液体を前記他方の磁気透過ボックスから前記第1の熱交換器へ流動させ、かつ、前記他方の磁気透過ボックスに連結された流路のバルブのうち前記第2の熱交換器側の流路のバルブを閉じて前記他方の磁気透過ボックスから前記第2の熱交換器へ前記液体を流動させることを中断するのに並行して、前記一方の磁場発生器に磁場の印加を中断させて前記一方の磁気透過ボックスで前記液体を冷却し、前記一方の磁気透過ボックスに連結された流路のそれぞれに設けられたバルブのうち前記第1の熱交換器側の流路のバルブを閉じて前記液体を前記一方の磁気透過ボックスから前記第1の熱交換器へ流動させることを中断し、かつ、前記一方の磁気透過ボックスに連結された流路のバルブのうち前記第2の熱交換器側の流路のバルブを開いて前記一方の磁気透過ボックスから前記第2の熱交換器へ前記液体を流動させる第2の状態と、を交互に切り替える制御装置と、前記第1及び第2の熱交換器と、前記第1及び第2の磁場発生器とを連結し、前記第1及び第2の熱交換器から流出した前記液体を前記第1及び第2の磁場発生器を経て流すための戻り流路と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、液体は、独立した第1及び第2の流路のそれぞれにポンプによって圧送され、第1及び第2の磁気透過ボックスに至る。第1及び第2の磁場発生器によって第1及び第2の磁気透過ボックス内の第1及び第2の磁気作業物質に磁場が印加されたり第1及び第2の磁気作業物質から磁場が取り去られたりすると、第1及び第2の磁気作業物質では、常温で磁気エントロピーが変化して、磁気熱量効果を生じる。磁気作業物質に磁場が印加された場合には、磁気作業物質が発熱して液体の温度が上昇する。一方、磁気作業物質から磁場が取り去られた場合には、磁気作業物質が吸熱して液体の温度が低下する。
【0020】
第1及び第2の磁気透過ボックス内の液体を加熱及び冷却する際において、制御装置は、第1及び第2の磁気透過ボックスのうち一方の磁気透過ボックス内の液体を第1及び第2の磁気作業物質のうち一方の磁気作業物質に加熱(冷却)させ、これに並行して、他方の磁気透過ボックス内の液体を他方の磁気作業物質に冷却(加熱)させる。さらに、制御装置は、磁気透過ボックスで飽和温度まで加熱された液体を流動させる際には、この磁気透過ボックスに連結された流路のそれぞれに設けられたバルブのうち第1の熱交換器側の流路のバルブを開いてこの加熱された液体を第1の熱交換器へ流動させ、かつ、第2の熱交換器側の流路のバルブを閉じてこの加熱された液体を第2の熱交換器へ流動させることを中断させる。これに並行して、制御装置は、磁気透過ボックスで冷却された液体を流動させる際には、この磁気透過ボックスに連結された流路のそれぞれに設けられたバルブのうち第1の熱交換器側の流路のバルブを閉じてこの冷却された液体を第1の熱交換機に流動させることを中断させ、かつ、第2の熱交換器側の流路のバルブを開いてこの冷却された液体を第2の熱交換器に流動させる。このようにして制御装置は、第1の状態と第2の状態とを交互に切り替える。この結果、第1の熱交換器には飽和温度まで加熱された液体が供給され、第2の熱交換器には冷却された液体が供給されることになる。従って、飽和温度まで加熱された液体と冷却された液体とを分別して各熱交換器で液体と外気との熱交換を行うことができる。この結果、外気は加熱されたり冷却されたりして、外気の温度が調整される。なお、本発明の磁気作業物質としては、ガドリニウム、ランタン、鉄、シリコンのうち何れか1種類の元素を含む化合物、あるいはその水素化合物が、常温で磁気エントロピーが大きく増減することから、好適である。
【0021】
ここで、気体を媒体とした従来の温度調整装置では、気体を高圧に圧縮するための圧縮機が必要不可欠となる。この結果、装置にこの圧縮機を設置するための所定の空間を要するため、装置を小型化することが困難となる。この点、本請求項2に記載の発明では、気体を高圧に圧縮するための圧縮機を必要としないため、装置の小型化を図ることができる。またさらに、本発明は、気体を高圧に圧縮するための圧縮機が不要であるので、低騒音かつ低振動で装置を駆動することができる。また、本発明では、気体を高圧に圧縮するための圧縮機が不要であるため、動力は液体の圧送に(単に液体を流路に流すためだけに)必要なものに限られる。従って、本発明は、省エネルギーを図ることができる。
【0022】
また、本発明は、常温で磁気エントロピーが大きく変化するような磁気作業物質を使用しているため、超低温等の特殊な温度環境、ひいては超伝導材料を用いた超伝導磁石や強力な磁場を発生する電磁石等の特殊な磁石を不要とし、エネルギーの損失が少ない理想的な温度調整装置を得ることができる。すなわち、本発明は、磁気エネルギーを熱エネルギーに変換する熱変換効率を向上させることができる。
【0023】
さらに、本発明では、第1及び第2の熱交換器から流出した液体(外気との間で熱交換済みの液体)が戻り流路によって第1及び第2の磁場発生器を経る。この結果、第1及び第2の磁場発生器はこの液体によって冷却される。従って、第1及び第2の磁場発生器を冷却する特殊な冷却機が不要になるため、低コスト化を図ることができると共に、装置の小型化により一層効果的である。
【0024】
以上説明したように、本発明の温度調整装置は、小型で熱変換効率を向上させることができる。
【0025】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明において、前記磁気作業物質は、細粉状又はメッシュ状である、ことを特徴とする。
【0026】
請求項3に記載の発明によれば、第1及び第2の磁気作業物質の表面積を増やすことで、磁気作業物質と液体との接触面積を大きくすることができる。この結果、磁気作業物質と液体との間の熱交換を効率良く行うことができる。
【0027】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3記載の発明において、前記第1及び第2の磁気透過ボックスには、前記液体の飽和温度を検出する温度センサがそれぞれ設けられ、前記制御装置は、前記温度センサが前記液体の飽和温度を検出した場合に前記第1の状態と前記第2の状態とを切り替える、ことを特徴とする。
【0028】
請求項4に記載の発明によれば、第1の磁気透過ボックス内の液体及び第2の磁気透過ボックス内の液体の飽和温度は、第1及び第2の磁気透過ボックスにそれぞれ設けられた温度センサによって検出される。温度センサが液体の飽和温度を検出すると、制御装置は、第1の状態と第2の状態とを交互に切り替える。このように、飽和温度が温度センサによって検出されるため、液体が飽和温度に達したことを検出する精度が向上する。
【0029】
請求項5に記載の発明は、請求項2又は請求項3記載の発明において、前記第1及び第2の磁場発生器が磁場を印加してから前記第1及び第2の磁気透過ボックス内の前記液体の温度が飽和温度に達するまでの飽和温度到達時間を予め計測しておき、前記制御装置は、前記飽和温度到達時間毎に前記第1の状態と前記第2の状態とを切り替える、ことを特徴とする。
【0030】
請求項5に記載の発明によれば、外気の温度を調整するにあたって、第1及び第2の磁場発生器が磁場を印加してから第1及び第2の磁気透過ボックス内の液体の温度が飽和温度に達するまでの飽和温度到達時間を予め計測しておき、制御装置にこの飽和温度到達時間を設定しておく。その後、外気の温度を調整する際には、制御装置が、第1及び第2の磁場発生器の何れか一方が磁場を印加し始めてから飽和温度到達時間毎に第1の状態と第2の状態とを切り替える。このようにして第1の状態と第2の状態とが切り替えられるため、液体が飽和温度に達したことを検出する特別な温度センサを不要とすることができる。
【0031】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか1項記載の発明において、前記磁場発生器は、永久磁石と電磁石とから構成される、ことを特徴とする。
【0032】
請求項6に記載の発明によれば、磁場発生器は、永久磁石と電磁石とから構成されているため、永久磁石で生じた磁場に電磁石で生じた磁場を重畳させることで、例えば、超伝導磁石や強力な磁場を発生する電磁石等の特殊な磁石を用いなくても強い磁場を磁気作業物質に印加することができる。
【0033】
請求項7に記載の発明は、請求項6記載の発明において、前記磁場発生器は、前記永久磁石で発生した磁場と前記電磁石で発生した磁場とを重畳させて、前記永久磁石で発生した磁場の強さと前記電磁石で発生した磁場の強さとをそのまま加算した強さの磁場を生じさせるものとした、ことを特徴とする。
【0034】
請求項7に記載の発明によれば、少なくとも磁場発生器の内部では、永久磁石で発生した磁場や電磁石で発生した磁場は弱められることがない。この結果、磁場発生器で発せられて磁気作業物質に印加される磁場は、永久磁石で発生した磁場と電磁石で発生した磁場とを最も効率良く利用したものとなる。従って、請求項7に記載の発明は、磁気エネルギーを熱エネルギーに変換する熱変換効率をより一層向上させることができる。
【0035】
請求項8に記載の発明は、請求項2乃至請求項7の何れか1項記載の発明において、前記戻り流路において前記第1及び第2の磁場発生器よりも下流側に設けられると共に前記ポンプが連結され、前記戻り流路によって前記第1及び第2の磁場発生器を経た前記液体を所定量蓄えると共に、蓄えられた前記液体が前記ポンプによって汲み出されるタンクをさらに備えた、ことを特徴とする。
【0036】
請求項8に記載の発明によれば、第1及び第2の熱交換器を経た液体は、戻り流路において第1及び第2の磁場発生器よりも下流側に設けられたタンクに所定量蓄えられる。さらに、このタンクに蓄えられた液体は、ポンプによって汲み出されて再び第1及び第2の流路に圧送される。この結果、液体は温度調整装置を循環することになり、外気との間で熱交換したり第1及び第2の磁場発生器を冷却したりした液体を再利用することができる。
【0037】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至請求項8の何れか1項記載の発明において、前記熱交換器によって熱交換された前記外気を所定方向へ流動させる送風機をさらに備えた、ことを特徴とする。
【0038】
請求項9に記載の発明によれば、送風機は、熱交換器によって熱交換された外気を所定方向へ流動させる。この場合において、送風機は、熱交換器での液体と外気との熱交換を促進させる。この結果、液体と外気との熱交換を効率良く行うことができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
図1には、本発明の第1の実施の形態に係る温度調整装置10の概略構成図が示されている。温度調整装置10には、ポンプ60が備えられており、液体(例えば、水、あるいは、水とアルコールとの混合液)40を圧送するようになっている。ポンプ60には、第1及び第2の流路としてのパイプ102及びパイプ104が独立して連結されており、それぞれにポンプ60側から液体40が流動するようになっている。
【0040】
パイプ102及びパイプ104の途中には、第1及び第2の磁気透過ボックスとしての磁気透過ボックス14及び磁気透過ボックス20がそれぞれ設けられている。磁気透過ボックス14及び磁気透過ボックス20は、常磁性の材料で形成されており、磁気を透過可能としている。磁気透過ボックス14及び磁気透過ボックス20には、それぞれ細粉状又はメッシュ状(本実施の形態では、細粉状)とされた第1及び第2の磁気作業物質としての磁気作業物質12、13が収容されている。磁気作業物質12、13は、ガドリニウム、ランタン、鉄、シリコンのうち何れか1種類の元素を含む化合物(例えば、Gdの化合物やLa、Fe、Siの化合物等)、あるいはその水素化合物となっており、磁気透過ボックス14、20にそれぞれ収容された磁気作業物質12、13では、それぞれ第1及び第2の磁場発生器としての磁場発生器16、22によって磁場が印加されることにより常温で磁気エントロピーが変化して、磁気熱量効果を生じるようになっている。
【0041】
磁場発生器16、22は、図2に示されるように、側断面を略「C」字状とした磁性体のヨーク42に励磁コイル44が巻き付けられたものとされている。すなわち、これらのヨーク42と励磁コイル44とは、電磁石を構成している。磁場発生器16、22のヨーク42の一対の端縁は所定の間隔で対向しており、この一対の端縁の間に磁気透過ボックス14、20がそれぞれ離間して配置されている。磁場発生器16、22は、励磁コイル44に電流を流した場合に閉ループ状の磁気回路(矢印Xを参照。)を構成するものとされ、励磁コイル44に電流を流したり遮断したりすることで磁気透過ボックス14、20、ひいては磁気透過ボックス14、20に収容されている磁気作業物質12、13に磁場を印加したり磁気作業物質12、13から磁場を取り去ったりすることができるようになっている。
【0042】
また、磁気透過ボックス14及び磁気透過ボックス20の内部には、液体40が蓄えられており、磁気透過ボックス14及び磁気透過ボックス20に収容されている磁気作業物質12、13を浸している。磁気作業物質12が磁気熱量効果により発熱及び吸熱した場合には、液体40は、磁気作業物質12の発熱及び吸熱作用に応じて加熱及び冷却される。
【0043】
このような磁気透過ボックス14、20には、それぞれ温度センサ46、48が取り付けられており、磁気透過ボックス14内の液体40の温度及び磁気透過ボックス20内の液体40の飽和温度を検出できるようになっている。
【0044】
図1に示されるように、パイプ102及びパイプ104のそれぞれにおいて磁気透過ボックス14及び磁気透過ボックス20よりも下流側には、第1の熱交換器としての発熱器26、第2の熱交換器としての吸熱器28が設けられている。また、磁気透過ボックス20と発熱器26との間には、第3の流路としてのパイプ106が配設されている。パイプ106は、磁気透過ボックス20と発熱器26とを連結しており、磁気透過ボックス20から発熱器26へ液体40を流動させるようになっている。さらに、磁気透過ボックス14と吸熱器28との間には、第4の流路としてのパイプ108が配設されている。パイプ108は、磁気透過ボックス14と吸熱器28とを連結しており、磁気透過ボックス14から吸熱器28へ液体40を流動させるようになっている。
【0045】
発熱器26、吸熱器28は、それぞれ液体40と外気との間で熱を交換する。発熱器26では、磁場発生器16、22が磁場を印加することで磁気作業物質12、13により加熱された液体40が、発熱器26の内部を通過して外気に熱を放出するようになっている。これに対して、吸熱器28では、磁場発生器16、22が磁場の印加を中断することで磁気作業物質12、13により冷却された液体40が、吸熱器28の内部を通過して外気から熱を奪うようになっている。
【0046】
また、上述したパイプ102、104、106、108の各々において磁気透過ボックス14及び磁気透過ボックス20と発熱器26及び吸熱器28との間には、第1乃至第4のバルブとしてのバルブ62、64、66、68が設けられている。これらのバルブ62、64、66、68は、液体40の流れを独立に遮断する。
【0047】
このような温度調整装置10には、発熱器26、吸熱器28のそれぞれに対応して送風機としてのファン34、36が設けられている。ファン34は、発熱器26によって加熱された外気を所定方向へ流動させるようになっている。これに対して、ファン36は、吸熱器28によって冷却された外気を所定方向へ流動させるようになっている。
【0048】
また、温度調整装置10には、制御装置32が備えられている。制御装置32は、温度センサ46、48、磁場発生器16、22、バルブ62、64、66、68の各々に接続されている。制御装置32は、磁気透過ボックス14内の液体40の温度や磁気透過ボックス20内の液体40の温度に基づいて、磁場発生器16、22が磁場を磁気作業物質12に印加するか否かを制御したり、バルブ62、64、66、68の開閉等を独立に制御したりする。
【0049】
以下の表1に温度調整装置10が取り得る状態を示す。
【0050】
【表1】
温度調整装置10は、表1に示される「状態I」と「状態II」との2つの状態のうち何れか一方の状態を取るようになっており、温度センサ46及び48によって液体40の飽和温度が検出された場合に、制御装置32が、この飽和温度が検出された際の状態から他の状態に切り替えるようになっている。
【0051】
ここで、「状態I」は、磁場発生器16に磁場を印加させて磁気透過ボックス14で液体40が飽和温度まで加熱された場合に、バルブ62を開いて飽和温度に達した液体40を磁気透過ボックス14から発熱器26へ流動させ、かつ、バルブ68を閉じて磁気透過ボックス14から吸熱器28へ液体40を流動させることを中断するのに並行して、磁場発生器22に磁場の印加を中断させて磁気透過ボックス20で液体40を冷却し、バルブ66を閉じて液体40を磁気透過ボックス20から発熱器26へ流動させることを中断し、かつ、バルブ64を開いて磁気透過ボックス20から吸熱器28へ液体40を流動させる状態である。
【0052】
これに対して、「状態II」は、磁場発生器22に磁場を印加させて磁気透過ボックス20で液体40が飽和温度まで加熱された場合に、バルブ66を開いて飽和温度に達した液体40を磁気透過ボックス20から発熱器26へ流動させ、かつ、バルブ64を閉じて磁気透過ボックス20から吸熱器28へ液体40を流動させることを中断するのに並行して、磁場発生器16に磁場の印加を中断させて磁気透過ボックス14で液体40を冷却し、バルブ62を閉じて液体40を磁気透過ボックス14から発熱器26へ流動させることを中断し、かつ、バルブ68を開いて磁気透過ボックス14から吸熱器28へ液体40を流動させる状態である。
【0053】
このようにして、制御装置32は、「状態I」と「状態II」とを交互に切り替えるようになっている。
【0054】
また、上述した発熱器26には、パイプ109Aが連結しており、発熱器26から流出した液体40がパイプ109Aを流れるようになっている。これに対して、吸熱器28には、パイプ109Bが連結しており、吸熱器26から流出した液体40がパイプ109Bを流れるようになっている。これらのパイプ109Aとパイプ109Bとは、下流側で一体となってパイプ109とされ、発熱器26から流出した液体40と吸熱器28から流出した液体40とが流れるようになっている。またさらに、これらのパイプ109A、109Bの途中には、それぞれ逆止弁109C、109Dが設けられており、パイプ109A、109Bで液体40が逆流しないようになっている。
【0055】
さらに、パイプ109の下流側には、パイプ110、112の一端が連結している。パイプ110は磁場発生器16と連結しており、一方、パイプ112は磁場発生器22と連結している。パイプ110は、パイプ109(パイプ109A、109Bを含む。)と共に発熱器26及び吸熱器28から流出した液体40を磁場発生器16を経て流すためのものとなっており、一方、パイプ112はパイプ109(パイプ109A、109Bを含む。)と共に発熱器26及び吸熱器28から流出した液体40を磁場発生器22を経て流すためのものとなっている。
【0056】
図2に示されるように、パイプ110、112は、パイプ110、112の位置が励磁コイル44の軸位置近傍となるように、励磁コイル44の略軸方向(図2における略上下方向)に沿ってヨーク42を貫通している。パイプ110内では、流体40は矢印Aで示される方向に流れ、これに対して、パイプ112内では、流体40は矢印Bで示される方向に流れる。
【0057】
図1に示されるように、このようなパイプ110、112の他端は、共にパイプ113の一端と連結しており、パイプ113には、パイプ110、112によって磁場発生器16及び磁場発生器22を経た液体40が流れるようになっている。このようなパイプ113と、上述したパイプ109(パイプ109A、109Bを含む。)、110、112とは、一体となって戻り流路を構成している。
【0058】
さらに、このパイプ113の他端には、タンク58が設けられており、パイプ113を経た液体40(すなわち、パイプ110、112によって磁場発生器16及び磁場発生器22を経た液体40)を所定量蓄えるようになっている。タンク58では、液体40が流入してから所定時間が経過するうちに、この液体40は放熱、あるいは吸熱して常温に戻る。またさらに、このタンク58には、パイプ59を介して上述したポンプ60が連結されており、タンク58に蓄えられた液体40がポンプ60によってパイプ59を介して汲み出されるようになっている。
【0059】
なお、図1における矢印C〜Hは、液体40が流れる向きを示している。
【0060】
以下に、本発明の第1の実施の形態に係る温度調整装置10の作用について説明する。
【0061】
液体40は、パイプ102及びパイプ104のそれぞれにポンプ60によって圧送され、磁気透過ボックス14及び磁気透過ボックス20に至る。磁場発生器16及び磁場発生器22によって磁気透過ボックス14及び磁気透過ボックス20内の磁気作業物質12、13に磁場が印加されたり磁気作業物質12、13から磁場が取り去られたりすると、磁気作業物質12、13では、常温で磁気エントロピーが変化して、磁気熱量効果を生じる。磁気作業物質12、13に磁場が印加された場合には、磁気作業物質12、13が発熱して液体40の温度が上昇する。一方、磁気作業物質12、13から磁場が取り去られた場合には、磁気作業物質12、13が吸熱して液体40の温度が低下する。この場合において、磁気作業物質12、13は細粉状又はメッシュ状とされている。この結果、磁気作業物質12、13の表面積が増えるので、磁気作業物質12、13と液体40との接触面積を大きくすることができる。従って、磁気作業物質12、13と液体40との間の熱交換を効率良く行うことができる。
【0062】
磁気透過ボックス14及び磁気透過ボックス20内の液体40を加熱及び冷却する際において、制御装置32は、磁気透過ボックス14内の液体40を磁気作業物質12に加熱(冷却)させ、これに並行して、磁気透過ボックス内20の液体40を磁気作業物質13に冷却(加熱)させる。さらに、制御装置32は、磁気透過ボックス14(磁気作業物質20)で飽和温度まで加熱された液体40を流動させる際には、バルブ62(バルブ66)を開いてこの加熱された液体40を発熱器26へ流動させ、かつ、バルブ68(バルブ64)を閉じてこの加熱された液体40を吸熱器28へ流動させることを中断させる。これに並行して、制御装置32は、磁気透過ボックス20(磁気透過ボックス14)で冷却された液体40を流動させる際には、バルブ66(バルブ62)を閉じてこの冷却された液体40を発熱器26に流動させることを中断させ、かつ、バルブ64(バルブ68)を開いてこの冷却された液体40を吸熱器28に流動させる。このようにして制御装置32は、「状態I」と「状態II」とを交互に切り替える。この結果、発熱器26には飽和温度まで加熱された液体40が供給され、吸熱器28には冷却された液体40が供給されることになる。従って、飽和温度まで加熱された液体40と冷却された液体40とを分別して発熱器26、吸熱器28のそれぞれで液体40と外気との熱交換を行うことができる。この結果、外気は加熱されたり冷却されたりして、外気の温度が調整される。
【0063】
このような温度調整装置10では、磁気透過ボックス14内の液体40及び磁気透過ボックス20内の液体40の飽和温度は、磁気透過ボックス14、20にそれぞれ設けられた温度センサ46、48によって検出される。温度センサ46、48が液体40の飽和温度を検出すると、制御装置32は、「状態I」と「状態II」とを切り替える。このように、飽和温度が温度センサ46、48によって検出されるため、液体40が飽和温度に達したことを検出する精度が向上する。
【0064】
また、発熱器26及び吸熱器28から流動した液体40は、発熱器26及び吸熱器28の下流側に設けられたタンク58に所定量蓄えられる。このタンク58に蓄えられた液体40は、ポンプ60によって汲み出されて再びパイプ102、104に圧送される。この結果、液体40は温度調整装置10を循環することになり、外気との間で熱交換済みの液体を再利用することができる。
【0065】
さらに、ファン34、36は、それぞれ発熱器26、吸熱器28によって熱交換された外気を所定方向へ流動させる。この場合において、ファン34、36は、液体40と外気との熱交換を促進させる。この結果、発熱器26、吸熱器28のそれぞれでの液体40と外気との熱交換を効率良く行うことができる。
【0066】
ここで、気体を媒体とした従来の温度調整装置では、気体を高圧に圧縮するための圧縮機が必要不可欠となる。この結果、装置にこの圧縮機を設置するための所定の空間を要するため、装置を小型化することが困難となる。この点、本発明の第1の実施の形態に係る温度調整装置10では、気体を高圧に圧縮するための圧縮機を必要としないため、装置の小型化を図ることができる。またさらに、温度調整装置10は、気体を高圧に圧縮するための圧縮機が不要であるので、低騒音かつ低振動で装置を駆動することができる。また、温度調整装置10では、気体を高圧に圧縮するための圧縮機が不要であるため、動力は液体の圧送に(単に液体40をパイプ102、104等に流すためだけに)必要なものに限られる。従って、温度調整装置10は、省エネルギーを図ることができる。
【0067】
また、温度調整装置10は、常温で磁気エントロピーが大きく変化するような磁気作業物質12、13を使用しているため、超低温等の特殊な温度環境、ひいては超伝導材料を用いた超伝導磁石や強力な磁場を発生する電磁石等の特殊な磁石を不要とし、エネルギーの損失が少ない理想的な温度調整装置を得ることができる。すなわち、温度調整装置10は、磁気エネルギーを熱エネルギーに変換する熱変換効率を向上させることができる。
【0068】
さらに、温度調整装置10では、発熱器26及び吸熱器28から流出した液体40(外気との間で熱交換済みの液体40)がパイプ109(パイプ109A、109Bを含む。)、パイプ110、及びパイプ112によって磁場発生器16及び磁場発生器22を経る。この結果、磁場発生器16及び磁場発生器22はこの液体40によって冷却される。従って、磁場発生器16及び磁場発生器22を冷却する特殊な冷却機が不要になるため、低コスト化を図ることができると共に、装置の小型化により一層効果的である。
【0069】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態に係る温度調整装置10は、小型で熱変換効率を向上させることができる。
【0070】
なお、本発明の第1の実施の形態に係る温度調整装置10では、温度センサ46、48を用いて液体40が飽和温度に達したことを検出した際に、制御装置32が、「状態I」と「状態II」とを切り替えるものとしたが、本発明は、これに限らない。温度センサ46、48を用いなくとも、磁場発生器16及び磁場発生器22が磁場を印加してから液体40が飽和温度に達するまでの飽和温度到達時間を予め計測しておき、制御装置32が、飽和温度到達時間毎に「状態I」と「状態II」とを切り替える構成としてもよい。
【0071】
この場合においては、外気の温度を調整するにあたって、磁場発生器16、22が磁場を印加してから磁気透過ボックス14、20内の液体40の温度が飽和温度に達するまでの飽和温度到達時間を予め計測しておき、制御装置32にこの飽和温度到達時間を設定しておく。その後、外気の温度を調整する際には、制御装置32が、磁場発生器16、22の何れか一方が磁場を印加し始めてから飽和温度到達時間毎に「状態I」と「状態I」とを切り替える。このようにして「状態I」と「状態II」とが切り替えられるため、液体40が飽和温度に達したことを検出する特別な温度センサ(例えば、上述した温度センサ46、48)を不要とすることができる。温度調整装置10をこのような構成にしても、上述した本発明の第1の実施の形態に係る温度調整装置10と同様の効果を奏することができる。
【0072】
また、本発明の第1の実施の形態では、パイプ110、112の位置が励磁コイル44の軸位置近傍となるように、パイプ110、112が励磁コイル44の略軸方向に沿ってヨーク42を貫通するものとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、ヨーク42の内部では、パイプ110がパイプ110Aとパイプ110Bとの2つに分かれた状態で配管されると共に、パイプ112がパイプ112Aとパイプ112Bとの2つに分かれた状態で配管されていてもよい。この場合、図3に示されるように、パイプ110A及びパイプ110Bが磁気透過ボックス16の上方及び下方に位置するようにヨーク42を貫通(図3におけるヨーク42の左上の部位と左下の部位を貫通)すると共に、パイプ112A及びパイプ112Bが磁気透過ボックス22の上方及び下方に位置するようにヨーク42を貫通(図3におけるヨーク42の左上の部位と左下の部位を貫通)するようにしてもよい。また、この他の例として、パイプ110、112をヨーク42と接触させた状態でヨーク42の外周に設けてもよい。さらに、他の例として、ヨーク42の内部を巡回するようにパイプ110、112が配管されていてもよい。これらの場合においても、上述した本発明の第1の実施の形態に係る温度調整装置10と同様の作用及び効果を奏することができる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係る温度調整装置10について説明する。なお、上述した本発明の第1の実施の形態と同一構成・同一作用の箇所には、同一符号を付して説明を省略する。
【0073】
図4に示されるように、本発明の第2の実施の形態に係る温度調整装置10は、磁場発生器16、22に永久磁石80及びヨーク82を組み込んでハイブリッド型磁石(永久磁石と電磁石とを組み合わせた磁石)としたものである。
【0074】
磁場発生器16、22の側断面図において、磁場発生器16、22の中央部には、矩形状の永久磁石80が設けられている。永久磁石80のN極84とS極86とのそれぞれには、磁性材からなる一対の矩形状のヨーク82の各々が一体的に密着接合されており、これらの永久磁石80と一対のヨーク82とは、一体となって略「I」字状となっている。永久磁石80は、これらの一対のヨーク82を介してヨーク42の左右方向中央上部及び左右方向中央下部に一体的に密着接合されている。
【0075】
図5(A)に示されるように、このような磁場発生器16、22では、励磁コイル44の電流がオフの場合に、永久磁石80から放出された磁力線(矢印Yを参照。)は、永久磁石80のN極84から放出されて、永久磁石80の上方のヨーク82とヨーク42との連結部位からヨーク42の励磁コイル44側を経て、永久磁石80の下方のヨーク82とヨーク42との連結部位から永久磁石80のS極86に至るようになっている。すなわち、励磁コイル44の電流がオフの場合には磁場発生器16は、永久磁石80に対して励磁コイル44側で閉ループ状の磁気回路を構成し、磁気作業物質12、13へ磁場を印加しないようになっている。
【0076】
一方、図5(B)に示されるように、励磁コイル44の電流がオンの場合には、永久磁石80で生じた磁力線(矢印Zを参照。)は、励磁コイル44で発生した磁場(矢印Wを参照。)の影響を受けて、永久磁石80の上方のヨーク82とヨーク42との連結部位からヨーク42の磁気透過ボックス14、20側を経て、永久磁石80の下方のヨーク82とヨーク42との連結部位から永久磁石80のS極86に至るようになっている。すなわち、励磁コイル44の電流がオンの場合においては、磁場発生器16、22は、永久磁石80に対して磁気透過ボックス14、20側で閉ループ状の磁気回路を構成し、磁気作業物質12、13に磁場を印加するようになっている。この場合において、磁場発生器16、22は、永久磁石80で発生した磁場と励磁コイル44で発生した磁場とを重畳させて、永久磁石80で発生した磁場の強さと励磁コイル44で発生した磁場の強さとをそのまま加算した強さの磁場を生じさせるようになっている。
【0077】
以下に、本発明の第2の実施の形態に係る温度調整装置10の作用について説明する。
【0078】
励磁コイル44の電流がオフの場合では、永久磁石80で生じた磁場は、磁気透過ボックス14、22を透過しないため、磁気作業物質12、13に磁場が印加されることはない(図5(A))。
【0079】
一方、励磁コイル44の電流がオンの場合では、永久磁石80で生じた磁場に励磁コイル44で生じた磁場(すなわち、電磁石で生じた磁場)を重畳させることで、永久磁石80で生じた磁力線の向きが変更される。永久磁石80で生じた磁力線は、永久磁石80から見て左回り方向に進み、磁気透過ボックス14、20の内部の磁気作業物質12、13を通過する。この結果、磁気透過ボックス14の内部の磁気作業物質12や磁気透過ボックス20の内部の磁気作業物質13に強い磁場を印加する(図5(B))。従って、本発明の第2の実施の形態に係る温度調整装置10では、磁場発生器16、22が、ヨーク82に接合された永久磁石80と、ヨーク42及び励磁コイル44からなる電磁石とから構成されているため、例えば、超伝導磁石や強力な磁場を発生する電磁石等の特殊な磁石を用いなくても強い磁場を磁気作業物質12、13に印加することができる。
【0080】
またここで、少なくとも磁場発生器16、22の内部、すなわちヨーク42、82では、永久磁石80で発生した磁場や励磁コイル44で発生した磁場は弱められることがない。この結果、磁場発生器16、22で発せられて磁気作業物質12、13に印加される磁場は、永久磁石80で発生した磁場と励磁コイル44で発生した磁場とを最も効率良く利用したものとなる。従って、温度調整装置10は、磁気エネルギーを熱エネルギーに変換する熱変換効率をより一層向上させることができる。
【0081】
以上説明したような本発明の第2の実施の形態に係る温度調整装置10は、上述した本発明の第1の実施の形態に係る温度調整装置10と同様の効果を奏することができる。
【0082】
なお、本発明の第2の実施の形態に係る温度調整装置10では、温度センサ46、48を用いて液体40が飽和温度に達したことを検出した際に、制御装置32が、「状態I」と「状態II」とを切り替えるものとしたが、本発明は、これに限らない。温度センサ46、48を用いなくとも、磁場発生器16及び磁場発生器22が磁場を印加してから液体40が飽和温度に達するまでの飽和温度到達時間を予め計測しておき、制御装置32が、飽和温度到達時間毎に「状態I」と「状態II」とを切り替える構成としてもよい。
【0083】
この場合においては、外気の温度を調整するにあたって、磁場発生器16、22が磁場を印加してから磁気透過ボックス14、20内の液体40の温度が飽和温度に達するまでの飽和温度到達時間を予め計測しておき、制御装置32にこの飽和温度到達時間を設定しておく。その後、外気の温度を調整する際には、制御装置32が、磁場発生器16、22の何れか一方が磁場を印加し始めてから飽和温度到達時間毎に「状態I」と「状態I」とを切り替える。このようにして「状態I」と「状態II」とが切り替えられるため、液体40が飽和温度に達したことを検出する特別な温度センサ(例えば、上述した温度センサ46、48)を不要とすることができる。温度調整装置10をこのような構成にしても、上述した本発明の第2の実施の形態に係る温度調整装置10と同様の効果を奏することができる。
【0084】
また、本発明の第2の実施の形態では、パイプ110、112の位置が励磁コイル44の軸位置近傍となるように、パイプ110、112が励磁コイル44の略軸方向に沿ってヨーク42を貫通するものとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、ヨーク42の内部では、パイプ110がパイプ110Aとパイプ110Bとの2つに分かれた状態で配管されると共に、パイプ112がパイプ112Aとパイプ112Bとの2つに分かれた状態で配管されていてもよい。この場合、図6に示されるように、パイプ110A及びパイプ110Bが磁気透過ボックス16の上方及び下方に位置するようにヨーク42を貫通(図6におけるヨーク42の左上の部位と左下の部位を貫通)すると共に、パイプ112A及びパイプ112Bが磁気透過ボックス22の上方及び下方に位置するようにヨーク42を貫通(図6におけるヨーク42の左上の部位と左下の部位を貫通)するようにしてもよい。また、この他の例として、パイプ110、112をヨーク42と接触させた状態でヨーク42の外周に設けてもよい。さらに、他の例として、ヨーク42の内部を巡回するようにパイプ110、112が配管されていてもよい。これらの場合においても、上述した本発明の第2の実施の形態に係る温度調整装置10と同様の作用及び効果を奏することができる。
(第3の実施の形態)
次いで、本発明の第3の実施の形態に係る温度調整装置10について説明する。本発明の第3の実施の形態に係る温度調整装置10は、上述した本発明の第1の実施の形態に係る温度調整装置10を変形したものである。このため、上述した本発明の第1の実施の形態と同一構成・同一作用の箇所には、同一符号を付して説明を省略する。
【0085】
図7に示されるように、本発明の第3の実施の形態に係る温度調整装置10は、上述した本発明の第1の実施の形態に係る温度調整装置10に温度センサ114、116、及びポンプ118をさらに設けたものである。
【0086】
温度センサ114、116は、磁場発生器16、22のヨーク42において図8の上下方向上端かつ左右方向左側に取り付けられており、ヨーク42の温度を検出する。これらの温度センサ114、116は、上述した制御装置32に接続されており、温度センサ114、116によるヨーク42の温度検出結果が制御装置32に伝送される。
【0087】
また、ポンプ118は、上述したパイプ109の途中に設けられている。ポンプ118は、発熱器26及び吸熱器28から流出した液体40を、パイプ110、112側に圧送する。このようなポンプ118は、制御装置32に接続されており、制御装置32からの制御信号に基づいて、液体40の圧送量を調整するようになっている。
【0088】
以下に、本発明の第3の実施の形態に係る温度調整装置10の作用について説明する。
【0089】
磁場発生器16、22のヨーク42の温度が温度センサ114、116によって検出されると、温度センサ114、116によるヨーク42の温度検出結果が制御装置32に伝送される。制御装置32にこの温度検出結果が入力されると、制御装置32は、この温度検出結果に基づいてポンプ118に制御信号を出力する。ポンプ118にこの制御信号が入力されると、ポンプ118は、この制御信号に基づいて、液体40の圧送量を調整する。この結果、磁場発生器16、22のヨーク42を経る液体40の単位時間あたりの流量を適切に調整することができる。従って、ヨーク42の温度をより一層適切に調整することができる。
【0090】
また、本発明の第3の実施の形態に係る温度調整装置10は、液体40をポンプ60のみで圧送する構成に比べて、液体40の圧送力の低下分を補うため、液体40を容易に循環させることができる。
【0091】
なお、本発明の第3の実施の形態に係る温度調整装置10では、温度センサ46、48を用いて液体40が飽和温度に達したことを検出した際に、制御装置32が、「状態I」と「状態II」とを切り替えるものとしたが、本発明は、これに限らない。温度センサ46、48を用いなくとも、磁場発生器16及び磁場発生器22が磁場を印加してから液体40が飽和温度に達するまでの飽和温度到達時間を予め計測しておき、制御装置32が、飽和温度到達時間毎に「状態I」と「状態II」とを切り替える構成としてもよい。
【0092】
この場合においては、外気の温度を調整するにあたって、磁場発生器16、22が磁場を印加してから磁気透過ボックス14、20内の液体40の温度が飽和温度に達するまでの飽和温度到達時間を予め計測しておき、制御装置32にこの飽和温度到達時間を設定しておく。その後、外気の温度を調整する際には、制御装置32が、磁場発生器16、22の何れか一方が磁場を印加し始めてから飽和温度到達時間毎に「状態I」と「状態I」とを切り替える。このようにして「状態I」と「状態II」とが切り替えられるため、液体40が飽和温度に達したことを検出する特別な温度センサ(例えば、上述した温度センサ46、48)を不要とすることができる。温度調整装置10をこのような構成にしても、上述した本発明の第3の実施の形態に係る温度調整装置10と同様の効果を奏することができる。
【0093】
また、本発明の第3の実施の形態では、パイプ110、112の位置が励磁コイル44の軸位置近傍となるように、パイプ110、112が励磁コイル44の略軸方向に沿ってヨーク42を貫通するものとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、ヨーク42の内部では、パイプ110がパイプ110Aとパイプ110Bとの2つに分かれた状態で配管されると共に、パイプ112がパイプ112Aとパイプ112Bとの2つに分かれた状態で配管されていてもよい。この場合、図9に示されるように、パイプ110A及びパイプ110Bが磁気透過ボックス16の上方及び下方に位置するようにヨーク42を貫通(図9におけるヨーク42の左上の部位と左下の部位を貫通)すると共に、パイプ112A及びパイプ112Bが磁気透過ボックス22の上方及び下方に位置するようにヨーク42を貫通(図9におけるヨーク42の左上の部位と左下の部位を貫通)するようにしてもよい。また、この他の例として、パイプ110、112をヨーク42と接触させた状態でヨーク42の外周に設けてもよい。さらに、他の例として、ヨーク42の内部を巡回するようにパイプ110、112が配管されていてもよい。これらの場合においても、上述した本発明の第3の実施の形態に係る温度調整装置10と同様の作用及び効果を奏することができる。
(第4の実施の形態)
次いで、本発明の第4の実施の形態に係る温度調整装置10について説明する。本発明の第4の実施の形態に係る温度調整装置10は、上述した本発明の第3の実施の形態に係る温度調整装置10において、磁場発生器16、22として、本発明の第2の実施の形態で説明したハイブリッド型磁石の磁場発生器16、22を適用したものである(図10を参照。)。ハイブリッド型磁石の磁場発生器16、22の構成及び作用については、本発明の第2の実施の形態で説明しているため、その説明を省略する。また、磁場発生器16、22がハイブリッド型磁石である点を除き他の点は、上述した本発明の第3の実施の形態と同一構成・同一作用となっているため、同一符号を付してその説明を省略する。
【0094】
なお、本発明の第4の実施の形態に係る温度調整装置10では、温度センサ46、48を用いて液体40が飽和温度に達したことを検出した際に、制御装置32が、「状態I」と「状態II」とを切り替えるものとしたが、本発明は、これに限らない。温度センサ46、48を用いなくとも、磁場発生器16及び磁場発生器22が磁場を印加してから液体40が飽和温度に達するまでの飽和温度到達時間を予め計測しておき、制御装置32が、飽和温度到達時間毎に「状態I」と「状態II」とを切り替える構成としてもよい。
【0095】
この場合においては、外気の温度を調整するにあたって、磁場発生器16、22が磁場を印加してから磁気透過ボックス14、20内の液体40の温度が飽和温度に達するまでの飽和温度到達時間を予め計測しておき、制御装置32にこの飽和温度到達時間を設定しておく。その後、外気の温度を調整する際には、制御装置32が、磁場発生器16、22の何れか一方が磁場を印加し始めてから飽和温度到達時間毎に「状態I」と「状態I」とを切り替える。このようにして「状態I」と「状態II」とが切り替えられるため、液体40が飽和温度に達したことを検出する特別な温度センサ(例えば、上述した温度センサ46、48)を不要とすることができる。温度調整装置10をこのような構成にしても、上述した本発明の第4の実施の形態に係る温度調整装置10と同様の効果を奏することができる。
【0096】
また、本発明の第4の実施の形態では、パイプ110、112の位置が励磁コイル44の軸位置近傍となるように、パイプ110、112が励磁コイル44の略軸方向に沿ってヨーク42を貫通するものとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、ヨーク42の内部では、パイプ110がパイプ110Aとパイプ110Bとの2つに分かれた状態で配管されると共に、パイプ112がパイプ112Aとパイプ112Bとの2つに分かれた状態で配管されていてもよい。この場合、図11に示されるように、パイプ110A及びパイプ110Bが磁気透過ボックス16の上方及び下方に位置するようにヨーク42を貫通(図11におけるヨーク42の左上の部位と左下の部位を貫通)すると共に、パイプ112A及びパイプ112Bが磁気透過ボックス22の上方及び下方に位置するようにヨーク42を貫通(図11におけるヨーク42の左上の部位と左下の部位を貫通)するようにしてもよい。また、この他の例として、パイプ110、112をヨーク42と接触させた状態でヨーク42の外周に設けてもよい。さらに、他の例として、ヨーク42の内部を巡回するようにパイプ110、112が配管されていてもよい。これらの場合においても、上述した本発明の第4の実施の形態に係る温度調整装置10と同様の作用及び効果を奏することができる。
(第5の実施の形態)
次いで、本発明の第5の実施の形態に係る温度調整装置10について説明する。なお、上述した本発明の第1乃至第4の実施の形態と同一構成・同一作用の箇所には、同一符号を付して説明を省略する。
【0097】
図12に示されるように、本発明の第5の実施の形態に係る温度調整装置10は、空間92を設け、この空間92の壁94の一部を構成するように発熱器26及び吸熱器28を対向させて配置し、発熱器26及び吸熱器28付近では、発熱器26及び吸熱器28の配置箇所を除いて空間92を気密にしたものである。さらに、この空間92の内部には、送風機としての1台のファン90が配置されている。ファン90は、発熱器26及び吸熱器28で加熱及び冷却された外気を空間92の内部側から外部側に向けて流動させるようになっている。また、このファン90は、発熱器26及び吸熱器28において、液体40と外気との間の熱交換を促進させる役割を担っている。なお、図12では、説明の都合上、パイプ102、104、106、108、109、及びバルブ62、64、66、68等を省略して示している。また、図12における矢印付きの破線は、ファン34によって外気が流動する向きを示している。
【0098】
以下に、本発明の第5の実施の形態に係る温度調整装置10の作用について説明する。
【0099】
外気の温度を調整する際には、発熱器26、吸熱器28の内部を液体40が通過することで、外気と液体40との間で熱交換が行われる。その後、発熱器26、吸熱器28によって熱交換された外気がファン90によって空間92の内部側から外部側に向かって流動する。
【0100】
このような温度調整装置10では、発熱器26及び吸熱器28付近では、発熱器26及び吸熱器28の配置箇所を除いて空間92を気密にしているため、外気は発熱器26及び吸熱器28を通過する。この結果、発熱器26、吸熱器28で熱交換された外気を空間92の内部側から外部側に向けて流動させるには、1台のファン90の駆動で十分となる。従って、温度調整装置10の部品点数を削減することができる。
【0101】
また、発熱器26、吸熱器28で熱交換された外気を流動させるための動力が、ファン90の1台分で済むため、温度調整装置10は、省エネルギーを図ることができる。
【0102】
以上説明したような本発明の第5の実施の形態に係る温度調整装置10は、上述した本発明の第1乃至第4の実施の形態に係る温度調整装置10と同様の効果を奏することができる。
【0103】
なお、本発明の第5の実施の形態に係る温度調整装置10では、温度センサ46、48を用いて液体40が飽和温度に達したことを検出した際に、制御装置32が、「状態I」と「状態II」とを切り替えるものとしたが、本発明は、これに限らない。温度センサ46、48を用いなくとも、磁場発生器16及び磁場発生器22が磁場を印加してから液体40が飽和温度に達するまでの飽和温度到達時間を予め計測しておき、制御装置32が、飽和温度到達時間毎に「状態I」と「状態II」とを切り替える構成としてもよい。
【0104】
この場合においては、外気の温度を調整するにあたって、磁場発生器16、22が磁場を印加してから磁気透過ボックス14、20内の液体40の温度が飽和温度に達するまでの飽和温度到達時間を予め計測しておき、制御装置32にこの飽和温度到達時間を設定しておく。その後、外気の温度を調整する際には、制御装置32が、磁場発生器16、22の何れか一方が磁場を印加し始めてから飽和温度到達時間毎に「状態I」と「状態I」とを切り替える。このようにして「状態I」と「状態II」とが切り替えられるため、液体40が飽和温度に達したことを検出する特別な温度センサ(例えば、上述した温度センサ46、48)を不要とすることができる。温度調整装置10をこのような構成にしても、上述した本発明の第5の実施の形態に係る温度調整装置10と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1及び第2の実施の形態に係る温度調整装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る磁場発生器の側断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るパイプ(戻り流路)の配管位置の変形例である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る磁場発生器の側断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る磁場発生器で発生した磁場の向きを説明するための図であり、(A)は磁場印加オフの状態における図、(B)は磁場印加オンの状態における図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るパイプ(戻り流路)の配管位置の変形例である。
【図7】本発明の第3及び第4の実施の形態に係る温度調整装置の構成を示す概略図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る磁場発生器の側断面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係るパイプ(戻り流路)の配管位置の変形例である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る磁場発生器の側断面図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係るパイプ(戻り流路)の配管位置の変形例である。
【図12】本発明の第5の実施の形態に係る発熱器及び吸熱器が壁の一部を構成している空間の概略図である。
【符号の説明】
10・・温度調整装置、12・・磁気作業物質(第1の磁気作業物質)、13・・磁気作業物質(第2の磁気作業物質)、14・・磁気透過ボックス(第1の磁気透過ボックス)、16・・磁場発生器(第1の磁場発生器)、20・・磁気透過ボックス(第2の磁気透過ボックス)、22・・磁場発生器(第2の磁場発生器)、26・・発熱器(熱交換器)、28・・吸熱器(熱交換器)、32・・制御装置、34、36・・ファン(送風機)、40・・液体、42・・ヨーク(電磁石)、44・・励磁コイル(電磁石)、46、48・・温度センサ、58・・タンク、60・・ポンプ、62・・バルブ(第1のバルブ)、64・・バルブ(第2のバルブ)、66・・バルブ(第3のバルブ)、68・・バルブ(第4のバルブ)、80・・永久磁石、102・・パイプ(第1の流路)、104・・パイプ(第2の流路)、106・・パイプ(第3の流路)、104・・パイプ(第4の流路)、109、110、112、113・・パイプ(戻り流路)
Claims (9)
- 液体がポンプで圧送される流路と、
前記流路の途中に設けられ、磁場が印加されることにより常温で磁気エントロピーが変化して、磁気熱量効果を生じる磁気作業物質と、
前記磁気作業物質に磁場を印加する磁場発生器と、
前記流路において前記磁気作業物質よりも下流側に設けられ、前記液体と外気との間で熱を交換する熱交換器と、
前記流路において前記磁気作業物質と前記熱交換器との間に設けられ、前記液体の流れを遮断するバルブと、
前記熱交換器と前記磁場発生器とを連結し、前記熱交換器から流出した前記液体を前記磁場発生器を経て流すための戻り流路と、
を備えたことを特徴とする温度調整装置。 - 液体がポンプで圧送される独立した第1及び第2の流路と、
磁気を透過可能とした第1及び第2の磁気透過ボックスにそれぞれ収容されて前記第1及び第2の流路の途中にそれぞれ設けられ、磁場が印加されることにより常温で磁気エントロピーが変化して、磁気熱量効果を生じる第1及び第2の磁気作業物質と、
前記第1及び第2の磁気作業物質にそれぞれ磁場を印加する第1及び第2の磁場発生器と、
前記第1及び第2の流路のそれぞれにおいて前記第1及び第2の磁気透過ボックスよりも下流側に設けられ、それぞれ前記液体と外気との間で熱交換する第1及び第2の熱交換器と、
前記第2の磁気透過ボックスと前記第1の熱交換器とを連結し、前記第2の磁気透過ボックスから前記第1の熱交換器へ前記液体を流動させる第3の流路と、
前記第1の磁気透過ボックスと前記第2の熱交換機とを連結し、前記第1の磁気透過ボックスから前記第2の熱交換器へ前記液体を流動させる第4の流路と、
前記第1乃至第4の流路の各々において前記第1及び第2の磁気透過ボックスと前記第1及び第2の熱交換器との間に設けられ、前記液体の流れを独立に遮断する第1乃至第4のバルブと、
前記第1及び第2の磁場発生器のうち一方の磁場発生器に磁場を印加させて前記第1及び第2の磁気透過ボックスのうち一方の磁気透過ボックスで前記液体が飽和温度まで加熱された場合に、前記一方の磁気透過ボックスに連結された流路のそれぞれに設けられたバルブのうち前記第1の熱交換器側の流路のバルブを開いて前記飽和温度に達した液体を前記一方の磁気透過ボックスから前記第1の熱交換器へ流動させ、かつ、前記一方の磁気透過ボックスに連結された流路のバルブのうち前記第2の熱交換器側の流路のバルブを閉じて前記一方の磁気透過ボックスから前記第2の熱交換器へ前記液体を流動させることを中断するのに並行して、他方の磁場発生器に磁場の印加を中断させて他方の磁気透過ボックスで前記液体を冷却し、前記他方の磁気透過ボックスに連結された流路のそれぞれに設けられたバルブのうち前記第1の熱交換器側の流路のバルブを閉じて前記液体を前記他方の磁気透過ボックスから前記第1の熱交換器へ流動させることを中断し、かつ、前記他方の磁気透過ボックスに連結された流路のバルブのうち前記第2の熱交換器側の流路のバルブを開いて前記他方の磁気透過ボックスから前記第2の熱交換器へ前記液体を流動させる第1の状態と、
前記他方の磁場発生器に磁場を印加させて前記他方の磁気透過ボックスで前記液体が飽和温度まで加熱された場合に、前記他方の磁気透過ボックスに連結された流路のそれぞれに設けられたバルブのうち前記第1の熱交換器側の流路のバルブを開いて前記飽和温度に達した液体を前記他方の磁気透過ボックスから前記第1の熱交換器へ流動させ、かつ、前記他方の磁気透過ボックスに連結された流路のバルブのうち前記第2の熱交換器側の流路のバルブを閉じて前記他方の磁気透過ボックスから前記第2の熱交換器へ前記液体を流動させることを中断するのに並行して、前記一方の磁場発生器に磁場の印加を中断させて前記一方の磁気透過ボックスで前記液体を冷却し、前記一方の磁気透過ボックスに連結された流路のそれぞれに設けられたバルブのうち前記第1の熱交換器側の流路のバルブを閉じて前記液体を前記一方の磁気透過ボックスから前記第1の熱交換器へ流動させることを中断し、かつ、前記一方の磁気透過ボックスに連結された流路のバルブのうち前記第2の熱交換器側の流路のバルブを開いて前記一方の磁気透過ボックスから前記第2の熱交換器へ前記液体を流動させる第2の状態と、を交互に切り替える制御装置と、
前記第1及び第2の熱交換器と、前記第1及び第2の磁場発生器とを連結し、前記第1及び第2の熱交換器から流出した前記液体を前記第1及び第2の磁場発生器を経て流すための戻り流路と、
を備えたことを特徴とする温度調整装置。 - 前記磁気作業物質は、細粉状又はメッシュ状である、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の温度調整装置。 - 前記第1及び第2の磁気透過ボックスには、前記液体の飽和温度を検出する温度センサがそれぞれ設けられ、
前記制御装置は、前記温度センサが前記液体の飽和温度を検出した場合に前記第1の状態と前記第2の状態とを切り替える、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の温度調整装置。 - 前記第1及び第2の磁場発生器が磁場を印加してから前記第1及び第2の磁気透過ボックス内の前記液体の温度が飽和温度に達するまでの飽和温度到達時間を予め計測しておき、
前記制御装置は、前記飽和温度到達時間毎に前記第1の状態と前記第2の状態とを切り替える、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の温度調整装置。 - 前記磁場発生器は、永久磁石と電磁石とから構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項記載の温度調整装置。 - 前記磁場発生器は、前記永久磁石で発生した磁場と前記電磁石で発生した磁場とを重畳させて、前記永久磁石で発生した磁場の強さと前記電磁石で発生した磁場の強さとをそのまま加算した強さの磁場を生じさせるものとした、
ことを特徴とする請求項6記載の温度調整装置。 - 前記戻り流路において前記第1及び第2の磁場発生器よりも下流側に設けられると共に前記ポンプが連結され、前記戻り流路によって前記第1及び第2の磁場発生器を経た前記液体を所定量蓄えると共に、蓄えられた前記液体が前記ポンプによって汲み出されるタンクをさらに備えた、
ことを特徴とする請求項2乃至請求項7の何れか1項記載の温度調整装置。 - 前記熱交換器によって熱交換された前記外気を所定方向へ流動させる送風機をさらに備えた、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項記載の温度調整装置。
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