JP2004332652A - 密閉型圧縮機 - Google Patents
密閉型圧縮機 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004332652A JP2004332652A JP2003131367A JP2003131367A JP2004332652A JP 2004332652 A JP2004332652 A JP 2004332652A JP 2003131367 A JP2003131367 A JP 2003131367A JP 2003131367 A JP2003131367 A JP 2003131367A JP 2004332652 A JP2004332652 A JP 2004332652A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- hermetic
- hermetic compressor
- noise
- damping alloy
- frequency
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Compressor (AREA)
Abstract
【課題】冷蔵庫等に用いられる密閉型圧縮機に関し、密閉容器に伝達される電動圧縮要素から発生した音や振動を効果的に低減し、密閉容器から外部に放射される騒音の低減を図るとともに、生産性が良く、高効率の密閉型圧縮機の提供を図る。
【解決手段】マンガンを主成分として20±5%の銅を含有するマンガン基制振合金で形成した密閉容器110に伝達する電動圧縮要素124から発生した音や振動を、マルテンサイト変態で生成した双晶の運動によって振動エネルギーから熱エネルギーに変換するとともに、気柱共鳴周波数近傍に対数減衰率の最大となる周波数を設定することで、密閉容器110から外部に放射される騒音を低減でき、さらに、一体型の金属材料であるため、溶接性や成型加工性が良いとともに、高い放熱効果が得られるので、生産性が良く、高効率、低騒音の圧縮機を提供することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】マンガンを主成分として20±5%の銅を含有するマンガン基制振合金で形成した密閉容器110に伝達する電動圧縮要素124から発生した音や振動を、マルテンサイト変態で生成した双晶の運動によって振動エネルギーから熱エネルギーに変換するとともに、気柱共鳴周波数近傍に対数減衰率の最大となる周波数を設定することで、密閉容器110から外部に放射される騒音を低減でき、さらに、一体型の金属材料であるため、溶接性や成型加工性が良いとともに、高い放熱効果が得られるので、生産性が良く、高効率、低騒音の圧縮機を提供することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷蔵庫等に使用される密閉型圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、密閉型圧縮機は、小型化、インバータ化が進み、低騒音化、低振動化に対する要求が年々厳しくなってきている。
【0003】
従来の密閉型圧縮機の低騒音化、低振動化の手段の一つとしては、密閉容器を2枚の鋼板の間に合成樹脂層を設けた制振鋼板で形成したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
以下、図面を参照しながら上記従来の密閉型圧縮機を説明する。
【0005】
図5は、従来の密閉型圧縮機の縦断面図である。図6は、図5の密閉容器の要部拡大断面図である。図5に示すように、従来の密閉型圧縮機は、密閉容器10の内部に電動圧縮要素20を収納している。また、図6に示すように密閉容器10はそれぞれ絞り加工された金属薄板30と32の間に合成樹脂等のダンピング部材34を介在させ重ね合わせて形成されている。
【0006】
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作を説明する。
【0007】
まず、電動圧縮要素20により、発生した振動や音は、金属薄板32に伝達し、金属薄板32を振動させる。次に、振動を受けた金属薄板32は曲げ変形が生じ、ダンピング部材34はせん断変形を繰り返す。このせん断変形の繰り返しにより境界面に摩擦が生じ、振動エネルギーが熱エネルギーに変換されることで振動が吸収される。
【0008】
【特許文献1】
実開平2−1482号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成は、三層に部材を重ね合わせることにより形成されるため、生産性が悪いという課題があった。また、金属薄板の間に合成樹脂等のダンピング部材を介在させているため高温に弱く、その結果、通常の溶接ができないという課題があった。さらに、金属薄板の間に介在する合成樹脂は、熱伝達率が低いため密閉容器内部の熱交換が妨げられ、効率が低下するという課題もあった。
【0010】
本発明は、従来の課題を解決するもので、生産性が良く、高効率、低騒音の密閉型圧縮機を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の発明は、密閉容器に電動圧縮要素を収納するとともに、前記密閉容器を双晶型制振合金で形成したものであり、前記電動圧縮要素から発生した音や振動が前記双晶型制振合金に伝達し、伝達した振動エネルギーはマルテンサイト変態で生成した双晶の運動によって熱エネルギーに変換されることで振動が吸収されるとともに、金属材料であるため、溶接性や成型加工性が良く、さらに、熱伝達率も高いので、密閉容器内部の熱交換が十分に行えるという作用を有する。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、双晶型制振合金の対数減衰率が最大となる周波数を、密閉容器内部の気柱共鳴周波数近傍に設定したものであり、圧縮機の気柱共鳴音を低減すると同時に、温度上昇とともに増大する騒音を効果的に低減することができるという作用を有する。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、双晶型制振合金がマンガンを主成分として20±5%の銅を含有するマンガン基制振合金としたものであり、双晶の運動を阻害する分散粒子の生成が抑えられ、大きな対数減衰率を得ることができるという作用を有する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による密閉型圧縮機の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、従来と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による密閉型圧縮機の縦断面図である。
【0016】
図2は、同実施の形態の双晶型制振合金における温度変化に伴う対数減衰率の周波数特性図である。
【0017】
図3は、一般的な密閉型圧縮機の温度変化に伴う騒音の周波数特性図である。
【0018】
図4は、同実施の形態による密閉型圧縮機の騒音の周波数特性図である。
【0019】
図1において、上シェル105および下シェル106を溶接にて結合することで形成された密閉容器110の内部には、圧縮要素120および電動要素122からなる電動圧縮要素124が弾性的に収納されるとともに、冷媒が充填されている。
【0020】
圧縮要素120は、ブロック130と一体に設けられたシリンダ132と、クランクシャフト134と、クランクシャフト134の偏芯部135とピストン136とを連結するコンロッド138とから構成されている。
【0021】
電動要素122は、ロータ140と、ステータ142とから構成されており、ロータ140とクランクシャフト134は焼ばめ固定され、ステータ142はブロック130にねじ止め固定されている。
【0022】
吸入パイプ150と吐出パイプ152は下シェル106に溶接により固定されている。
【0023】
電動圧縮要素124はスプリング154を介して密閉容器110に弾性的に支持され、また吐出パイプ152と電動圧縮要素124は吐出管156で連結されている。
【0024】
密閉容器110は、双晶型制振合金で形成されている。また、対数減衰率の変化が最大となる周波数を500Hz近傍にくるよう、本実施の形態においてはマンガンを主成分として、20%の銅、5%のニッケル、2%の鉄を含有するマンガン基制振合金を用いた。
【0025】
図2は上記組成の双晶型制振合金の温度変化に伴う対数減衰率の周波数特性を示したもので、縦軸に対数減衰率、横軸に周波数をとり、−30℃〜50℃における変化を示している。この結果から、上記組成のマンガン基制振合金は温度上昇に伴い500Hz近傍を中心に対数減衰率の最大値が上昇するという特性を有していることがわかる。
【0026】
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作を説明する。
【0027】
電動要素122の回転運動に伴って、クランクシャフト134が回転し、コンロッド138を介してピストン136がシリンダ132内を往復運動することにより、吸入パイプ150から密閉容器110内に開放された冷媒がシリンダ132内へ導かれ圧縮され、この圧縮冷媒は吐出管156を介して、吐出パイプ152から排出される。
【0028】
この際、電動要素122からは電磁音や、回転運動に伴う振動が発生し、圧縮要素120からはピストン136とシリンダ132による摺動音や、圧縮運転による脈動音等の騒音が発生する。
【0029】
特にこの脈動音は、電動要素122の回転周波数の高次成分を含み、密閉容器110内に充填された冷媒の音速と密閉容器110の大きさから決定される固有の気柱共鳴周波数と一致するとこれを加振することにより、気柱共鳴音が発生する。この脈動音は一般に密閉型圧縮機の負荷が増加し、温度が上昇するとこれに伴って上昇する。その結果、気柱共鳴への加振力が増加することで気柱共鳴音も温度の上昇に伴って上昇する。
【0030】
この気柱共鳴音は冷媒によって変わるが一般に500〜700Hz近傍の周波数帯域で発生し、本実施の形態においては、R134a冷媒を使用したことから、500Hz近傍に気柱共鳴音が発生している。
【0031】
図3は、一般的な密閉型圧縮機の温度変化に伴う騒音の周波数特性を示したもので、縦軸に騒音レベル、横軸に1/3オクターブ周波数をとり、密閉容器の温度が35〜50℃における変化を示している。ここでは500Hz帯域の気柱共鳴音が温度の上昇とともに高くなっていることがわかる。
【0032】
この気柱共鳴音を含む上記騒音は密閉容器110を透過して放射されるとともに、密閉容器110内の冷媒や、吐出管156や、スプリング154を介して密閉容器110を加振するため、密閉容器110は共振を起こし、この共振音が外部に騒音として放射される。
【0033】
しかしながら密閉容器110は双晶型制振合金で形成されており、密閉容器110の振動エネルギーはマルテンサイト変態で生成した双晶の運動によって熱エネルギーに変換され、それによって振動が吸収され、外部へ放射される音や振動が大きく減衰される。
【0034】
また、双晶の運動を阻害する分散粒子の生成が抑えられ、かつ、双晶の生成温度を高めるように合金の構成元素と添加量および焼鈍温度を選定することにより、非常に高い対数減衰率を得ることができる。
【0035】
さらに本実施の形態では密閉容器110を形成するマンガン基制振合金の対数減衰率の変化が最大となる周波数を気柱共鳴周波数とほぼ同じ500Hz近傍に設定したことで、温度上昇とともに上昇する気柱共鳴音に対し、同じく温度上昇とともに対数減衰率の最大値が上昇するという特性がこれを打ち消し、効果的にこの気柱共鳴音を減衰させ、低く抑えると同時に、温度による気柱共鳴音の増減を小さくすることができる。その結果、人が敏感に感じ取る、騒音の変化に対する不快感を和らげることが出来るという効果が得られる。
【0036】
図4は、本実施の形態による密閉型圧縮機の騒音の周波数特性を示したもので、縦軸に騒音レベル、横軸に1/3オクターブ周波数をとり、密閉容器の温度が50℃における一般的な鋼板によって形成された密閉容器と本実施の形態の密閉容器による騒音の比較を示している。この結果から、500Hz帯域の気柱共鳴騒音が低減されているとともに、温度上昇に伴って増大する騒音が効果的に低減されていることがわかる。
【0037】
また、本実施の形態の双晶型制振合金はマンガンを主成分としたマンガン基制振合金であり、従来から一般的に知られている銅を主成分としたCu−Mn系合金と比較して、銅の含有量が低いため、加工性が良く、材料費も安い。
【0038】
さらに、従来の積層型の制振鋼板のように合成樹脂等のダンピング層が介在しない一体型の金属材料であるため、溶接性や成型加工性が良いとともに、熱伝達率も高いので、電動圧縮要素124が圧縮運転することで発生する冷媒の圧縮熱や電動要素122のジュール熱が、密閉容器110を介して十分に放熱され、密閉容器110内の冷媒が加熱されることによる効率の低下を抑制することができる。
【0039】
以上のように本実施の形態の密閉型圧縮機は、密閉容器110をマンガン基の双晶型制振合金で形成することにより、密閉容器110から放射される騒音や振動を低減することができるとともに、生産性が良く、高効率の密閉型圧縮機が実現することができた。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の発明は、密閉容器が双晶型制振合金で形成されることにより、密閉容器から放射される騒音が低減され、さらに、金属材料であるため溶接性や成型加工性が良いとともに放熱性が良いので、生産性が良く、高効率、低騒音の密閉型圧縮機を実現することができるという効果がある。
【0041】
また、請求項2に記載の発明は、双晶型制振合金の対数減衰率が最大となる周波数を、密閉容器内部の気柱共鳴周波数近傍に設定したことにより、圧縮機の気柱共鳴音の増加を効果的に低減することができ、低騒音の密閉型圧縮機を実現することができるという効果がある。
【0042】
また、請求項3に記載の発明は、双晶型制振合金がマンガンを主成分として20±5%の銅を含有するマンガン基制振合金であることにより、大きな対数減衰率が得られ、低騒音の密閉型圧縮機を実現することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による密閉型圧縮機の縦断面図
【図2】同実施の形態の双晶型制振合金における温度変化による対数減衰率の周波数特性図
【図3】一般的な密閉型圧縮機の温度変化による騒音の周波数特性図
【図4】同実施の形態による密閉型圧縮機の騒音の周波数特性図
【図5】従来の密閉型圧縮機の縦断面図
【図6】図5の密閉容器の要部拡大断面図
【符号の説明】
110 密閉容器
124 電動圧縮要素
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷蔵庫等に使用される密閉型圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、密閉型圧縮機は、小型化、インバータ化が進み、低騒音化、低振動化に対する要求が年々厳しくなってきている。
【0003】
従来の密閉型圧縮機の低騒音化、低振動化の手段の一つとしては、密閉容器を2枚の鋼板の間に合成樹脂層を設けた制振鋼板で形成したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
以下、図面を参照しながら上記従来の密閉型圧縮機を説明する。
【0005】
図5は、従来の密閉型圧縮機の縦断面図である。図6は、図5の密閉容器の要部拡大断面図である。図5に示すように、従来の密閉型圧縮機は、密閉容器10の内部に電動圧縮要素20を収納している。また、図6に示すように密閉容器10はそれぞれ絞り加工された金属薄板30と32の間に合成樹脂等のダンピング部材34を介在させ重ね合わせて形成されている。
【0006】
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作を説明する。
【0007】
まず、電動圧縮要素20により、発生した振動や音は、金属薄板32に伝達し、金属薄板32を振動させる。次に、振動を受けた金属薄板32は曲げ変形が生じ、ダンピング部材34はせん断変形を繰り返す。このせん断変形の繰り返しにより境界面に摩擦が生じ、振動エネルギーが熱エネルギーに変換されることで振動が吸収される。
【0008】
【特許文献1】
実開平2−1482号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成は、三層に部材を重ね合わせることにより形成されるため、生産性が悪いという課題があった。また、金属薄板の間に合成樹脂等のダンピング部材を介在させているため高温に弱く、その結果、通常の溶接ができないという課題があった。さらに、金属薄板の間に介在する合成樹脂は、熱伝達率が低いため密閉容器内部の熱交換が妨げられ、効率が低下するという課題もあった。
【0010】
本発明は、従来の課題を解決するもので、生産性が良く、高効率、低騒音の密閉型圧縮機を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の発明は、密閉容器に電動圧縮要素を収納するとともに、前記密閉容器を双晶型制振合金で形成したものであり、前記電動圧縮要素から発生した音や振動が前記双晶型制振合金に伝達し、伝達した振動エネルギーはマルテンサイト変態で生成した双晶の運動によって熱エネルギーに変換されることで振動が吸収されるとともに、金属材料であるため、溶接性や成型加工性が良く、さらに、熱伝達率も高いので、密閉容器内部の熱交換が十分に行えるという作用を有する。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、双晶型制振合金の対数減衰率が最大となる周波数を、密閉容器内部の気柱共鳴周波数近傍に設定したものであり、圧縮機の気柱共鳴音を低減すると同時に、温度上昇とともに増大する騒音を効果的に低減することができるという作用を有する。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、双晶型制振合金がマンガンを主成分として20±5%の銅を含有するマンガン基制振合金としたものであり、双晶の運動を阻害する分散粒子の生成が抑えられ、大きな対数減衰率を得ることができるという作用を有する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による密閉型圧縮機の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、従来と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による密閉型圧縮機の縦断面図である。
【0016】
図2は、同実施の形態の双晶型制振合金における温度変化に伴う対数減衰率の周波数特性図である。
【0017】
図3は、一般的な密閉型圧縮機の温度変化に伴う騒音の周波数特性図である。
【0018】
図4は、同実施の形態による密閉型圧縮機の騒音の周波数特性図である。
【0019】
図1において、上シェル105および下シェル106を溶接にて結合することで形成された密閉容器110の内部には、圧縮要素120および電動要素122からなる電動圧縮要素124が弾性的に収納されるとともに、冷媒が充填されている。
【0020】
圧縮要素120は、ブロック130と一体に設けられたシリンダ132と、クランクシャフト134と、クランクシャフト134の偏芯部135とピストン136とを連結するコンロッド138とから構成されている。
【0021】
電動要素122は、ロータ140と、ステータ142とから構成されており、ロータ140とクランクシャフト134は焼ばめ固定され、ステータ142はブロック130にねじ止め固定されている。
【0022】
吸入パイプ150と吐出パイプ152は下シェル106に溶接により固定されている。
【0023】
電動圧縮要素124はスプリング154を介して密閉容器110に弾性的に支持され、また吐出パイプ152と電動圧縮要素124は吐出管156で連結されている。
【0024】
密閉容器110は、双晶型制振合金で形成されている。また、対数減衰率の変化が最大となる周波数を500Hz近傍にくるよう、本実施の形態においてはマンガンを主成分として、20%の銅、5%のニッケル、2%の鉄を含有するマンガン基制振合金を用いた。
【0025】
図2は上記組成の双晶型制振合金の温度変化に伴う対数減衰率の周波数特性を示したもので、縦軸に対数減衰率、横軸に周波数をとり、−30℃〜50℃における変化を示している。この結果から、上記組成のマンガン基制振合金は温度上昇に伴い500Hz近傍を中心に対数減衰率の最大値が上昇するという特性を有していることがわかる。
【0026】
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作を説明する。
【0027】
電動要素122の回転運動に伴って、クランクシャフト134が回転し、コンロッド138を介してピストン136がシリンダ132内を往復運動することにより、吸入パイプ150から密閉容器110内に開放された冷媒がシリンダ132内へ導かれ圧縮され、この圧縮冷媒は吐出管156を介して、吐出パイプ152から排出される。
【0028】
この際、電動要素122からは電磁音や、回転運動に伴う振動が発生し、圧縮要素120からはピストン136とシリンダ132による摺動音や、圧縮運転による脈動音等の騒音が発生する。
【0029】
特にこの脈動音は、電動要素122の回転周波数の高次成分を含み、密閉容器110内に充填された冷媒の音速と密閉容器110の大きさから決定される固有の気柱共鳴周波数と一致するとこれを加振することにより、気柱共鳴音が発生する。この脈動音は一般に密閉型圧縮機の負荷が増加し、温度が上昇するとこれに伴って上昇する。その結果、気柱共鳴への加振力が増加することで気柱共鳴音も温度の上昇に伴って上昇する。
【0030】
この気柱共鳴音は冷媒によって変わるが一般に500〜700Hz近傍の周波数帯域で発生し、本実施の形態においては、R134a冷媒を使用したことから、500Hz近傍に気柱共鳴音が発生している。
【0031】
図3は、一般的な密閉型圧縮機の温度変化に伴う騒音の周波数特性を示したもので、縦軸に騒音レベル、横軸に1/3オクターブ周波数をとり、密閉容器の温度が35〜50℃における変化を示している。ここでは500Hz帯域の気柱共鳴音が温度の上昇とともに高くなっていることがわかる。
【0032】
この気柱共鳴音を含む上記騒音は密閉容器110を透過して放射されるとともに、密閉容器110内の冷媒や、吐出管156や、スプリング154を介して密閉容器110を加振するため、密閉容器110は共振を起こし、この共振音が外部に騒音として放射される。
【0033】
しかしながら密閉容器110は双晶型制振合金で形成されており、密閉容器110の振動エネルギーはマルテンサイト変態で生成した双晶の運動によって熱エネルギーに変換され、それによって振動が吸収され、外部へ放射される音や振動が大きく減衰される。
【0034】
また、双晶の運動を阻害する分散粒子の生成が抑えられ、かつ、双晶の生成温度を高めるように合金の構成元素と添加量および焼鈍温度を選定することにより、非常に高い対数減衰率を得ることができる。
【0035】
さらに本実施の形態では密閉容器110を形成するマンガン基制振合金の対数減衰率の変化が最大となる周波数を気柱共鳴周波数とほぼ同じ500Hz近傍に設定したことで、温度上昇とともに上昇する気柱共鳴音に対し、同じく温度上昇とともに対数減衰率の最大値が上昇するという特性がこれを打ち消し、効果的にこの気柱共鳴音を減衰させ、低く抑えると同時に、温度による気柱共鳴音の増減を小さくすることができる。その結果、人が敏感に感じ取る、騒音の変化に対する不快感を和らげることが出来るという効果が得られる。
【0036】
図4は、本実施の形態による密閉型圧縮機の騒音の周波数特性を示したもので、縦軸に騒音レベル、横軸に1/3オクターブ周波数をとり、密閉容器の温度が50℃における一般的な鋼板によって形成された密閉容器と本実施の形態の密閉容器による騒音の比較を示している。この結果から、500Hz帯域の気柱共鳴騒音が低減されているとともに、温度上昇に伴って増大する騒音が効果的に低減されていることがわかる。
【0037】
また、本実施の形態の双晶型制振合金はマンガンを主成分としたマンガン基制振合金であり、従来から一般的に知られている銅を主成分としたCu−Mn系合金と比較して、銅の含有量が低いため、加工性が良く、材料費も安い。
【0038】
さらに、従来の積層型の制振鋼板のように合成樹脂等のダンピング層が介在しない一体型の金属材料であるため、溶接性や成型加工性が良いとともに、熱伝達率も高いので、電動圧縮要素124が圧縮運転することで発生する冷媒の圧縮熱や電動要素122のジュール熱が、密閉容器110を介して十分に放熱され、密閉容器110内の冷媒が加熱されることによる効率の低下を抑制することができる。
【0039】
以上のように本実施の形態の密閉型圧縮機は、密閉容器110をマンガン基の双晶型制振合金で形成することにより、密閉容器110から放射される騒音や振動を低減することができるとともに、生産性が良く、高効率の密閉型圧縮機が実現することができた。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の発明は、密閉容器が双晶型制振合金で形成されることにより、密閉容器から放射される騒音が低減され、さらに、金属材料であるため溶接性や成型加工性が良いとともに放熱性が良いので、生産性が良く、高効率、低騒音の密閉型圧縮機を実現することができるという効果がある。
【0041】
また、請求項2に記載の発明は、双晶型制振合金の対数減衰率が最大となる周波数を、密閉容器内部の気柱共鳴周波数近傍に設定したことにより、圧縮機の気柱共鳴音の増加を効果的に低減することができ、低騒音の密閉型圧縮機を実現することができるという効果がある。
【0042】
また、請求項3に記載の発明は、双晶型制振合金がマンガンを主成分として20±5%の銅を含有するマンガン基制振合金であることにより、大きな対数減衰率が得られ、低騒音の密閉型圧縮機を実現することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による密閉型圧縮機の縦断面図
【図2】同実施の形態の双晶型制振合金における温度変化による対数減衰率の周波数特性図
【図3】一般的な密閉型圧縮機の温度変化による騒音の周波数特性図
【図4】同実施の形態による密閉型圧縮機の騒音の周波数特性図
【図5】従来の密閉型圧縮機の縦断面図
【図6】図5の密閉容器の要部拡大断面図
【符号の説明】
110 密閉容器
124 電動圧縮要素
Claims (3)
- 密閉容器に電動圧縮要素を収納するとともに、前記密閉容器を双晶型制振合金で形成した密閉型圧縮機。
- 前記双晶型制振合金の対数減衰率が最大となる周波数を、前記密閉容器内部の気柱共鳴周波数近傍に設定した請求項1に記載の密閉型圧縮機。
- 前記双晶型制振合金はマンガンを主成分として20±5%の銅を含有するマンガン基制振合金である請求項1または2に記載の密閉型圧縮機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003131367A JP2004332652A (ja) | 2003-05-09 | 2003-05-09 | 密閉型圧縮機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003131367A JP2004332652A (ja) | 2003-05-09 | 2003-05-09 | 密閉型圧縮機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004332652A true JP2004332652A (ja) | 2004-11-25 |
Family
ID=33506561
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003131367A Pending JP2004332652A (ja) | 2003-05-09 | 2003-05-09 | 密閉型圧縮機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004332652A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007148520A1 (en) * | 2006-06-23 | 2007-12-27 | Panasonic Corporation | Refrigerating compressor and refrigerating device using the same |
CN104989631A (zh) * | 2015-06-09 | 2015-10-21 | 安庆卡尔特压缩机有限公司 | 一种新型压缩机 |
CN112780528A (zh) * | 2019-11-07 | 2021-05-11 | 上海海立电器有限公司 | 压缩机排气阀座、排气结构、上缸盖及压缩机 |
-
2003
- 2003-05-09 JP JP2003131367A patent/JP2004332652A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007148520A1 (en) * | 2006-06-23 | 2007-12-27 | Panasonic Corporation | Refrigerating compressor and refrigerating device using the same |
CN104989631A (zh) * | 2015-06-09 | 2015-10-21 | 安庆卡尔特压缩机有限公司 | 一种新型压缩机 |
CN112780528A (zh) * | 2019-11-07 | 2021-05-11 | 上海海立电器有限公司 | 压缩机排气阀座、排气结构、上缸盖及压缩机 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2818709B1 (en) | Linear compressor | |
KR102355136B1 (ko) | 리니어 압축기, 리니어 압축기의 쉘, 리니어 압축기의 쉘 제작방법 | |
US9850893B2 (en) | Reciprocating compressor | |
JP6502029B2 (ja) | リニア圧縮機 | |
EP1499838A1 (en) | Compliant enclosure for thermoacoustic devices | |
JP4273738B2 (ja) | リニアコンプレッサ | |
US20050201875A1 (en) | Linear compressor | |
JP2004528795A (ja) | リニアモータおよび前記モータを含むリニアコンプレッサ | |
JP2007002847A (ja) | 圧縮機 | |
JP2004332652A (ja) | 密閉型圧縮機 | |
WO2018173877A1 (ja) | 圧縮機 | |
Lee et al. | Linear compressor for air-conditioner | |
JP6143314B1 (ja) | 密閉型冷媒圧縮機および冷凍装置 | |
WO2007013506A1 (ja) | 往復動型サイクル機関の外側固定子および往復動型サイクル機関 | |
EP3364030B1 (en) | Compressor provided with a housing | |
JP2007295770A (ja) | 密閉型圧縮機 | |
Lee et al. | Loss analysis of linear compressor | |
JP2006144731A (ja) | 圧縮機 | |
CN210889328U (zh) | 压缩机和制冷设备 | |
JP2020528508A (ja) | ピストン式圧縮機のシリンダーヘッド及びピストン式圧縮機 | |
KR100423224B1 (ko) | 밀폐형 압축기 | |
CN115750269A (zh) | 一种直线压缩机及制冷机 | |
WO2024071067A1 (ja) | 磁気回路部品、送風機、圧縮機、及び冷凍装置 | |
JP2005307794A (ja) | 圧縮機の防振装置 | |
WO2020085427A1 (ja) | 密閉型圧縮機及び冷凍装置 |