JP2004332583A - エンジンの冷却系装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ラジエータ5出口とウォータポンプ3との間にサーモスタットバルブ6を設けた、いわゆる入口水温制御方式を採用した水冷式のエンジン冷却系装置において、冷却水とトランスミッション2のオイルとの間で熱交換を行わせるオイル熱交換器21と、ウォータポンプ3吐出口側の冷却水をオイル熱交換器21に流入させる冷却水流入路22と、オイル熱交換器21から流出した冷却水をラジエータ5とサーモスタットバルブ6との間に戻す第1冷却水流出路23a、オイル熱交換器21から流出した冷却水をサーモスタットバルブ6とウォータポンプ3との間に戻す第2冷却水流出路23bと、備えて構成した。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの冷却系装置に関し、特に冷却水を利用してトランスミッションオイルの温度調節を行うようにしたエンジンの冷却系装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から水冷式エンジンの冷却水を利用してトランスミッションのオイル温度を加熱・冷却を行うものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、エンジン出口直後の冷却水とオイルとの間で熱交換を行わせる第1熱交換器を設けると共に、ラジエータで放熱した後の冷却水とオイルとの間で熱交換を行わせる第2熱交換器を設け、オイルが低温のときは、第1熱交換器にオイルを流通させて加熱する一方、オイルが高温のときは、第1熱交換器を通過した後、第2熱交換器を流通させて冷却してからトランスミッションに戻すことでトランスミッションオイルの加熱・冷却を行うトランスミッションのオイル温度調整装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−264318号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のものでは、冷却水とトランスミッションオイルとの間で熱交換を行わせる熱交換器が2つ必要になると共に、オイル温度に応じてオイルを流通させる経路(流路)を切り換える切換バルブも必要となる。このため、冷却系装置を構成するための部品点数が多くなってしまい、コスト高となる。
【0006】
また、オイルが高温のときは、第1熱交換器においてエンジン出口直後の高温の冷却水と熱交換を行った後に、第2熱交換器において冷却するという構成であるため、トランスミッションオイルの冷却効率という点からの更なる改善の余地があった。
【0007】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであり、エンジン冷却水を利用して、1つの熱交換器によってトランスミッションオイルの加熱・冷却をより効率的に行えるエンジンの冷却系装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係るエンジンの冷却系装置は、エンジン入口側(ラジエータ出口とウォータポンプとの間)にサーモスタットバルブを設けた、いわゆる入口水温制御方式を採用したエンジンの冷却系装置において、エンジン冷却水の一部をトランスミッションのオイルとの間で熱交換を行わせるオイル熱交換器を経由して循環させるトランスミッション経路を設け、このトランスミッション経路が、前記ウォータポンプ吐出口側の冷却水を前記オイル熱交換器に流入させる冷却水流入路と、前記オイル熱交換器から流出した冷却水を前記ラジエータと前記サーモスタットバルブとの間に戻す第1冷却水流出路と、前記オイル熱交換器から流出した冷却水を前記サーモスタットバルブと前記ウォータポンプとの間に戻す第2冷却水流出路と、を備えるようにした。
【0009】
【発明の効果】
本発明に係るエンジンの冷却系装置によると、エンジン暖機時等の冷却水温度が低いときには、サーモスタットバルブが閉じることによって、エンジンを通過した冷却水はラジエータをバイパスして循環する(第2冷却水循環路)。このため、オイル熱交換器には、トランスミッション経路を介して、エンジンを通過した冷却水が冷却されずにそのまま流入する(供給される)ので、エンジン暖機時に、トランスミッションオイルの加熱(トランスミッションの暖機)を効率的に行うことができる。なお、この状態では、サーモスタットバルブよりもラジエータ側に接続される第1冷却水流出路は閉塞されるので、冷却水は、サーモスタットバルブよりもウォータポンプ側に接続される第2冷却水流出路のみを流れることになる。
【0010】
一方、高熱負荷時等の冷却水温度が高いときには、サーモスタットバルブが開くことによって、エンジンを通過した冷却水はラジエータを経由して循環する(第1冷却水循環路)。この状態では、トランスミッション経路の第1冷却水流出路と第2冷却水流出路との双方を冷却水が流れることになるため、オイル熱交換器には、ラジエータを通過して冷却された冷却水がより多く流入する(供給される)ことになる。これにより、高熱負荷時におけるトランスミッションオイルの冷却(トランスミッション冷却)を効率的に行うことができる。
【0011】
すなわち、エンジン冷却水の一部をトランスミッションオイルとの熱交換を行わせるオイル熱交換器に流入させると共に、オイル熱交換器から流出した冷却水を、2つの流出路によってサーモスタットバルブの入口側(ラジエータ側)と出口側(ウォータポンプ側)とに戻すように構成することで、1つのオイル熱交換器によって、エンジン暖機時におけるトランスミッション暖機と高熱負荷時におけるトランスミッション冷却とを効率的に行うことができる。このため、トランスミッション暖機性能、冷却性能のいずれか一方の要求によってオイル熱交換器の容量を増大したり、それぞれに別の(専用の)オイル熱交換器を用意したりする必要がない。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るエンジンの冷却系装置の構成図である。この冷却系装置は、エンジン1の冷却系統に対して、エンジン冷却水(以下、単に冷却水という)の一部を車内暖房用として利用するためのヒータ経路10と、冷却水の一部をトランスミッション2のオイルの加熱又は冷却(トランスミッション暖機、トランスミッション冷却)に利用するためのトランスミッション経路20と、がそれぞれ独立して設けられている。
【0013】
エンジン1の冷却系統は、冷却水を圧送するウォータポンプ3、シリンダブロック及びシリンダヘッド内のウォータジャケット4、熱交換器であるラジエータ5、温度制御を行うサーモスタットバルブ6等を含んで構成される。
【0014】
ウォータポンプ3は、例えばクランクシャフト(図示省略)からベルト等によって駆動されて冷却水を圧送する。このウォータポンプ3から吐出された冷却水はエンジン1へと供給され、ウォータジャケット4を通過する間にエンジン1の熱を吸収する。そして、エンジン1の熱を吸収して高温となった冷却水は、ラジエータ5へと供給される。
【0015】
ラジエータ5は、エンジン1の熱を吸収して高温となった冷却水を冷却するための熱交換器であり、詳細な図は省略するが、アッパータンク、ロアタンク、コア部、ドレーンコック、ラジエータキャップ等から構成される。ラジエータ5に供給された冷却水は、ラジエータ5を通過する際に放熱した(冷却された)後にウォータポンプ3へと戻され、再びウォータポンプ3によってエンジン1へと供給される。このようにして、冷却水はエンジン1〜ラジエータ5間を循環する。
【0016】
ここで、上記エンジン冷却系統における冷却水経路は、エンジン1(ウォータジャケット4)出口の下流側で2つに分岐しており、その一方はラジエータ5を経由するラジエータ流路7aを形成し、他方はラジエータ5をバイパスする(迂回する)バイパス流路7bを形成している。また、この2つに分岐したラジエータ流路7aとバイパス流路7bとは、ラジエータ5出口とウォータポンプ3との間で再び合流して1つとなり、この合流部にサーモスタットバルブ6が設けられている。
【0017】
サーモスタットバルブ6は、例えば、内部に封入されたワックスの熱膨張を利用してバルブを開閉する機構を有しており、冷却水温度に応じてバルブを開閉することによって、ラジエータ流路7aとバイパス流路7bを切り換え可能となっている。
【0018】
すなわち、冷却水温度が高いときは、バルブを開くことによって、ラジエータ5を経由して冷却水を循環させるようにして(本発明に係る第1冷却水循環路に相当する)エンジン1を通過して高温となった冷却水を冷却する一方、冷却水温度が低いときは、バルブを閉じることによって、ラジエータ5を経由させずにバイパス流路7bによってエンジン1内を循環させるようにして暖機を促進する(本発明に係る第2冷却水循環路に相当する)。
【0019】
また、ヒータ経路10は、上記エンジン冷却系統(冷却水経路)から、エンジン1を通過した直後(より具体的には、エンジン1出口から上記の冷却水経路の分岐部までの間)の冷却水を暖房用ヒータコア11に流入させる上流側ヒータ流路12と、暖房用ヒータコア11から流出する(暖房用ヒータコア11を通過した)冷却水を上記エンジン冷却系統(冷却水経路)のウォータポンプ3上流側(吸引口側)に戻す下流側ヒータ流路13と、により構成される。なお、上流側ヒータ流路12の流路抵抗は、下流側ヒータ流路13の流路抵抗と等しいかこれより小さく設定されており、例えば、上流側ヒータ流路12の流路径(流路断面積)が、下流側ヒータ流路13の流路径(流路断面積)と等しいかそれより大きくなっている。
【0020】
そして、暖房用ヒータコア11において、上流側ヒータ流路12を介して流入した(高温の)冷却水と空気との間で熱交換が行われ、この熱交換によって加熱された空気が車室内の暖房に利用される。
【0021】
また、トランスミッション経路20は、上記エンジン冷却系統(冷却水経路)から、ウォータポンプ3下流側(吐出口側)の冷却水、好ましくはウォータポンプ3吐出口近傍の冷却水をオイル熱交換器21に流入させる上流側トランスミッション流路22(本発明に係る冷却水流入路に相当する)と、オイル熱交換器21から流出する(オイル熱交換器21を通過した)冷却水を上記エンジン冷却系統(冷却水経路)に戻す下流側トランスミッション流路23と、により構成される。なお、ウォータポンプ3吐出口側から冷却水を取り出すようにしたのは、圧力が高いことを利用して、オイル熱交換機21に冷却水を効果的に供給するためである。
【0022】
ここで、本実施形態の特徴的な構成として、下流側トランスミッション流路23がその途中で2つに分岐しており、その一方が、オイル熱交換器21から流出する冷却水をサーモスタットバルブ6の上流側(入口側)、すなわち、ラジエータ5出口とサーモスタットバルブ6との間に戻す第1下流側トランスミッション流路23a(本発明に係る第1冷却水流出路に相当する)を形成し、他方が、オイル熱交換器21から流出する冷却水をサーモスタットバルブ6の下流側(出口側)、すなわち、サーモスタットバルブ6とウォータポンプ3との間に戻す第2下流側トランスミッション流路23b(本発明に係る第2冷却水流出路に相当する)を形成している。なお、上流側トランスミッション流路22の流路抵抗は、下流側トランスミッション流路23の流路抵抗よりも小さく設定されており、例えば、上流側トランスミッション経路22の流路径(流路断面積)は、第1下流側トランスミッション流路23aの流路径(流路断面積)と第2下流側トランスミッション経路23bの流路径(流路断面積)とを合算したものと等しいかそれよリ大きくなっている。
【0023】
また、上記オイル熱交換器21とトランスミッション2との間には、オイル配管24、25が接続されており、トランスミッション2から取り出したオイルをオイル交換器21に供給すると共に、オイル交換器21から流出するオイルをトランスミッション2に戻すようになっている。
【0024】
そして、オイル熱交換器21において、上流側トランスミッション流路22を介して流入した冷却水と、オイル配管24を介して供給されたオイルと、の間で熱交換が行われ、トランスミッションオイルの加熱又は冷却が行われる。
【0025】
このような構成において、エンジン1の冷却水は以下のように循環する。
まず、冷却水温度が低いエンジン暖機時は、サーモスタットバルブ6が閉じているため、図2において矢印で示すように、冷却水は、バイパス流路7bを通過する冷却水経路(第2冷却水循環路)と、ヒータ経路10と、トランスミッション経路20(第2下流側トランスミッション流路23bを流れる)と、のそれぞれを並列に循環することになる。
【0026】
換言すれば、冷却水が、エンジン1の暖機促進・車室内の暖房促進・トランスミッション2の暖機促進(トランスミッションオイルの加熱)に使用されることになる。この場合、トランスミッション経路20には、エンジン1を通過して熱を吸収した冷却水がラジエータ5で冷却されずに流入し、この冷却水がオイル熱交換器21に供給されることになるので、トランスミッション2の暖機を効率的に行うことができる。なお、上流側トランスミッション流路22は、下流側トランスミッション流路23に対してその流路抵抗が小さく設定されているので、トランスミッション経路20(オイル熱交換器21)には、第2下流側トランスミッション流路23bの流路抵抗に応じた量の冷却水が流れる(供給される)ことになる。
【0027】
一方、冷却水温度が高い高熱負荷時(高外気温、エンジン負荷大、トランスミッション負荷大等)は、サーモスタットバルブ6が全開となるため、図3において矢印で示すように、冷却水は、ラジエータ流路7aを経由する冷却水経路(第1冷却水循環路)と、ヒータ経路10と、トランスミッション経路20(第1下流側トランスミッション経路23aと第2下流側トランスミッション経路23bの双方を流れる)と、のそれぞれを並列に循環することになる。
【0028】
すなわち、暖房用ヒータコア11には、エンジン1を通過した高温の冷却水がそのまま流入することになるが、エンジン1及びオイル熱交換器21には、ラジエータ5で冷却された後の冷却水が流入することになる。
【0029】
この場合、トランスミッション経路20としては、第1下流側トランスミッション流路23aと第2下流側トランスミッション流路23bとの双方を冷却水が通過するので、冷却水温度が低いときに比べて、第1下流側トランスミッション流路23aを通過する分、多くの冷却水をオイル熱交換器21に供給できることになる。しかも、ここで供給される冷却水は、ラジエータ5で冷却された後のものであるので、トランスミッション2の冷却を効率的に行うことができる。これにより、同一のオイル熱交換器21であっても、冷却水温度が高いときには、冷却水温度が低いときに比べて、その容量を大きくした場合と実質的に同様の効果を得ることができる。このため、例えば、トランスミッション冷却性能を確保することのみを目的として、トランスミッション暖機用とは別のオイル熱交換器を設けたり、オイル熱交換器の容量を大きくしたりする必要はなく、1つの熱交換器によってトランスミッション暖機及び冷却を効率的に行うことができる。
【0030】
このように、上流側トランスミッション流路22によってウォータポンプ3吐出口側の冷却水をオイル熱交換器21に流入させると共に、下流側トランスミッション流路23を2つに分岐してオイル熱交換器21から流出する冷却水をサーモスタットバルブ6の上流側(入口側)と下流側(出口側)とに戻すように構成することで、冷却水温度が低いときはエンジン1を通過した冷却水をそのまま(ラジエータ5により冷却せずに)オイル熱交換器21に供給すると共に、冷却水温度が高いときはラジエータ5により冷却した後の冷却水をより多くオイル熱交換器21に供給することになるので、エンジン暖機時と高熱負荷時とで、それぞれトランスミッション暖機、トランスミッション冷却を効率的に行うことが可能となる。
【0031】
ところで、本実施形態では、上記のように、冷却水温度が低いエンジン暖機時には、冷却水は、バイパス流路7bを通過する冷却水経路、ヒータ経路10、トランスミッション経路20(第2下流側トランスミッション流路23を流れる)の3つ経路を並列に循環することになる。このため、これら3つ経路の流路抵抗を調整することによって、エンジン暖機時に各流路に流れる冷却水流量、すなわち、エンジン暖機性能、ヒータ性能及びトランスミッション暖機性能のチューニングが可能となる。
【0032】
そこで、本実施形態においては、エンジン暖機時に冷却水が循環する上記3つの各経路に要求される冷却水流量を求めて、その流量(比)に基づいて各経路の流路抵抗、より具体的には、バイパス流路7b、上流側ヒータ流路12(又は下流側ヒータ流路13)及び第2流路23bの流路径を設定するようにしている。
【0033】
このようにして各経路の流路抵抗(各流路の流路径)を適切に設定すれば、流量制御弁等の特別な装置を設けることなく、各経路を流れる冷却水流量をバランスさせて、エンジン暖機時におけるエンジン暖機性能、ヒータ性能(暖房性能)及びトランスミッション暖機性能を同時に確保できる。
【0034】
更に、冷却水温度が高い高熱負荷時には、トランスミッション経路20としては、第1下流側トランスミッション流路23aと第2下流側トランスミッション流路23bとの双方を冷却水が通過するから、その分オイル熱交換器21に供給できる冷却水流量が多くなる。そこで、上記のように第2下流側トランスミッション流路23bの流路抵抗(流路径)を設定した上で、最大熱負荷時にトランスミッションオイルの冷却に必要な冷却水流量を確保できるように、第1下流側トランスミッション流路23aの流路抵抗(流路径)を設定すれば、高熱負荷時におけるトランスミッション冷却性能をも十分に確保することができる。
【0035】
ここで、通常は、エンジン暖機性能を確保した上で、ヒータ経路10及びトランスミッション経路20を設けるようにすることから、ヒータ経路10、トランスミッション経路20の流路抵抗の設定例について説明することにする。
【0036】
まず、本実施形態は、1つのウォータポンプ3によって冷却水を循環させる構成であるから、エンジン暖機時において、暖房用とトランスミッション暖機用とに使用できる冷却水流量は一定であり(すなわち、総冷却水流量からエンジン暖機に使用する分を差し引いた流量となる)、トランスミッション経路20を流れる冷却水流量が増加すると、ヒータ経路10を流れる冷却水流量が減少することになる。このため、ヒータ性能とトランスミッション暖機性能とを両立させるには、ヒータ経路10とトランスミッション経路20とのそれぞれに流れる冷却水流量(の比率)を適切にバランスさせる必要がある。
【0037】
また、上記のように、エンジン暖機時においては、トランスミッション経路20としては、その2つの下流側トランスミッション流路23のうち第2下流側トランスミッション流路23bのみを冷却水が通過することになるから、エンジン暖機時にトランスミッション経路20を流れる冷却水流量は、第2流路23bの流路抵抗(流路径)によって決定される。
【0038】
そこで、ヒータ経路10にはヒータ性能を確保するために必要な流量γ以上の冷却水が流れるようにしつつ、トランスミッション経路20にはトランスミッション暖機性能を確保するために必要な流量αL以上の冷却水が流れるように、より具体的には、ヒータ経路10を通過する冷却水流量とトランスミッション経路20を通過する冷却水流量との関係が、図4において左側の実線で示す範囲となるように、下流側ヒータ流路13の流路抵抗(流路径)と第2下流側トランスミッション流路23bの流路抵抗(流路径)とを設定する。つまり、第2トランスミッション流路23bは、ヒータ性能とトランスミッション暖機性能とを両立できる流量α(αL≦α≦αH)の冷却水が流れるように、その流路抵抗(流路径)が設定される。
【0039】
一方、高熱負荷時においては、トランスミッション経路20としては、第1下流側トランスミッション流路23aと第2下流側トランスミッション流路23bとの双方を冷却水が通過することになるから、第1下流側トランスミッション流路23aを流れる冷却水流量と、第2下流側トランスミッション流路23bを流れる冷却水流量(すなわち、上記α)との和が、最大熱負荷時にトランスミッション冷却性能を確保するために必要な流量β以上となるようにすれば、すなわち、図4において右側の実線で示す範囲となるようにすれば、オイル熱交換器21に流量β以上の冷却水が供給されることになる。
【0040】
従って、第1下流側トランスミッション流路23aは、流量(β−α)以上の冷却水を流すことができるように、その流路抵抗(流路径)を設定する。なお、高熱負荷時には、エンジン暖機時に比べてヒータ経路10を流れる流量が減少することになるが、ヒータ経路10には、より高温の冷却水が流れているのでヒータ性能の低下については問題とならない。
【0041】
このように、ヒータ経路10、トランスミッション経路20の流路抵抗(流路径)を設定しつつ、エンジンの冷却系装置を構成することにより、流量制御弁等の特別な装置を設けることなく、オイル熱交換器21に供給する冷却水流量を調整することができ、エンジン暖機時においてヒータ性能とトランスミッション暖機性能とを両立させることができると共に、高熱負荷時においてはトランスミッション冷却性能をも十分に確保することができる。
【0042】
以上説明した実施形態では、以下のような効果を有する。
トランスミッション経路20において、上流側トランスミッション経路22を下流側トランスミッション経路23よりも流路抵抗を小さくすることで、オイル熱交換器21に供給する冷却水流量を下流側トランスミッション経路23の流路抵抗によって調整できるので、流路抵抗を適切に設定することにより、エンジン暖機時と高熱負荷時とのそれぞれで最適な流量の冷却水をオイル熱交換器21に供給できる。
【0043】
また、エンジン冷却系統に対して、トランスミッション経路20とは独立(並列)して、冷却水の一部を、暖房用ヒータコア11を経由して循環させるヒータ経路20が設けられているので、エンジン暖機時、高熱負荷時の双方においてヒータ性能も確保できる。特に、暖房用ヒータコア11には、エンジン1を通過した直後の冷却水が流入するように構成されているので、常にヒータ性能を高く維持できる。
【0044】
また、エンジン暖機に必要な冷却水流量を確保した上で、エンジン暖機時にヒータ性能を確保するために必要な冷却水流量γと、エンジン暖機時にトランスミッション暖機に必要な冷却水流量αLと、に基づいて、ヒータ経路10の上流側・下流側ヒータ流路12、13の流路抵抗及びトランスミッション経路20の第2冷却水流出路23bの流路抵抗を設定し、流路抵抗を設定した第2冷却水流出路23bと合わせて、最大熱負荷時にトランスミッション冷却に必要な冷却水流量βを確保できるように、トランスミッション経路20の第1冷却水流出路23aの流路抵抗を設定することにより、エンジン暖機時においては、エンジン暖機性能を確保しつつ、ヒータ性能とトランスミッション暖機性能とを両立させ、高熱負荷時においては、トランスミッション冷却性能を確保することができる。このため、いたずらにオイル熱交換器の容量を増大させることなく、合理的な冷却系設計(流路設計)が可能となる。
【0045】
なお、ヒータ経路10を備えない構成の場合には、エンジン暖機に必要な冷却水流量とトランスミッション暖機に必要な冷却水流量とに基づいて、バイパス流路7b及び第2下流側トランスミッション流路23bの通路抵抗(流路径)を設定した上で、第1下流側トランスミッション経路23aと第2下流側トランスミッション経路23bとで最大熱負荷時にトランスミッション冷却に必要な冷却水流量βを確保するように、第1下流側トランスミッション経路23aの流路抵抗(流路径)を設定すればよく、これにより、エンジン暖機性能を確保しつつ、トランスミッション暖機性能及びトランスミッション冷却性能を両立させることができる。
【0046】
更に、以上説明した実施形態は、本発明の代表的な構成を示すものであって、種々の変形実施が可能である。図5及び図6はその例を示したものである。
図5は、図1に示す実施形態に対して、第2下流側トランスミッション流路23bを下流側ヒータ経路13に接続させ、暖房用ヒータコア11を通過した冷却水とオイル熱交換器21を通過した冷却水とを合流させてからウォータポンプ3の上流側に戻すようにしたものである。かかる構成としても上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0047】
図6は、図5に示す実施形態に対して、トランスミッションオイルの冷却を専用に行う熱交換器であるミッションオイルクーラー8をラジエータ5の出口付近に内蔵するようにしたものである。
【0048】
オイル配管24を介して供給されたトランスミッションオイルは、オイル熱交換器21にて冷却水との間で熱交換が行われた後、オイル配管25aを介してミッションオイルクーラー8に供給される。そして、このミッションオイルクーラー8において、トランスミッションオイルは、更に、ラジエータ5で放熱した直後の冷却水と熱交換が行われ、オイル配管25bを介してトランスミッション2に戻される。かかる構成とすれば、トランスミッションオイルの冷却性能を更に向上させることができる。なお、ミッションオイルクーラー8をラジエータ5に内蔵させる構成としたのはスペース効率を考慮したものであり、これに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るエンジンの冷却系装置の構成図である。
【図2】エンジン暖機時(冷却水低温時)の冷却水の循環経路を示す図である。
【図3】高熱負荷時(冷却水高温時)の冷却水の循環経路を示す図である。
【図4】ヒータ性能とトランスミッション暖機性能とを両立させるヒータ経路とトランスミッション経路との冷却水流量の関係を示す図である。
【図5】他の実施形態に係るエンジンの冷却系装置の構成図である。
【図6】同じく他の実施形態に係るエンジンの冷却系装置の構成図である。
【符号の説明】
1…エンジン、2…トランスミッション、3…ウォータポンプ、5…ラジエータ、6…サーモスタットバルブ、10…ヒータ経路、20…トランスミッション経路、21…オイル熱交換機、22…上流側トランスミッション流路、23a…第1下流側トランスミッション流路、23b…第2下流側トランスミッション流路
Claims (6)
- ウォータポンプから吐出された冷却水がエンジンに供給され、前記エンジンを通過した冷却水がラジエータを経由して前記ウォータポンプに戻る第1冷却水循環路と、前記エンジンを通過した冷却水が前記ラジエータをバイパスするバイパス流路によって前記ウォータポンプに戻る第2冷却水循環路と、前記ラジエータ出口と前記ウォータポンプとの間に設けられ、冷却水温度に応じて前記第1冷却水循環路と前記第2冷却水循環路とを切り換えるサーモスタットバルブと、を含んで構成されたエンジンの冷却系装置において、
前記冷却水の一部を、トランスミッションのオイルとの間で熱交換を行わせるオイル熱交換器を経由して循環させるトランスミッション経路を設け、
前記トランスミッション経路は、
前記ウォータポンプ吐出口側の冷却水を前記オイル熱交換器に流入させる冷却水流入路と、
前記オイル熱交換器から流出する冷却水を前記ラジエータと前記サーモスタットバルブとの間に戻す第1冷却水流出路と、
前記オイル熱交換器から流出する冷却水を前記サーモスタットバルブと前記ウォータポンプとの間に戻す第2冷却水流出路と、
を備えることを特徴とするエンジンの冷却系装置。 - 前記冷却水流入路は、前記第1冷却水流出路及び前記第2冷却水流出路よりも流路抵抗が小さいことを特徴とする請求項1記載のエンジンの冷却系装置。
- 前記冷却水の一部を、空気との間で熱交換を行わせる暖房用ヒータコアを経由して循環させるヒータ経路を更に設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のエンジンの冷却系装置。
- 前記ヒータ経路は、
前記エンジンを通過した直後の冷却水を前記暖房用ヒータコアに流入させるヒータ用冷却水流入路と、
前記暖房用ヒータコアから流出した冷却水を前記ウォータポンプの上流側に戻すヒータ用冷却水流出路と、
を備えることを特徴とする請求項3記載のエンジンの冷却系装置。 - エンジン暖機に必要な冷却水流量と、エンジン暖機時にトランスミッション暖機に必要な冷却水流量と、に基づいて前記バイパス流路及び前記第2冷却水流出路の流路抵抗を設定し、
前記流路抵抗が設定された第2冷却水流出路と合わせて、最大熱負荷時にトランスミッション冷却に必要な冷却水量を確保できるように前記第1冷却水流出路の流路抵抗を設定したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のエンジンの冷却系装置。 - エンジン暖機に必要な冷却水流量と、エンジン暖機時にヒータ性能を確保するために必要な冷却水流量と、エンジン暖機時にトランスミッション暖機に必要な冷却水流量と、に基づいて、前記バイパス流路、前記ヒータ経路及び前記第2冷却水流出路の流路抵抗を設定し、
前記流路抵抗を設定した前記第2冷却水流出路と合わせて、最大熱負荷時にトランスミッション冷却に必要な冷却水量を確保できるように前記第1冷却水流出路の流路抵抗を設定したことを特徴とする請求項3又は請求項4記載のエンジンの冷却系装置。
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