JP2004331638A - 泌乳器改善剤およびそれを用いた泌乳器改善方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】乳房炎の治療に於いて、従来は抗生物質を利用することが一般的に行われていたが、特に畜産における酪農経営では、抗生物質の移行残留した牛乳の出荷停止が義務づけられ、誤って混入した場合の補償が経営を危うくさせるなど、経営的に大きな損失を被る。また、食品の安全性の点からも、耐性菌を生じる抗生物質の利用は、制限できることが望ましい。このため、抗生物質を用いない乳房炎の治療方法の開発が必要である。
【解決手段】人間が一般的に飲用しているお茶(カテキン類を含む茶抽出物)を用いて、乳房炎および乳腺炎を治療することにより、抗生物質の利用量を削減する。
茶抽出物、茶浸出物、その他のカテキンを含む物質は、乳房内の体細胞を動員し、体細胞の機能を向上あるいは体細胞を守ることにより、乳房内における乳房炎、乳腺炎の原因菌を減少させる。また、直接の殺菌作用もあると考えられる。炎症を静める効果もあると推測される。
【解決手段】人間が一般的に飲用しているお茶(カテキン類を含む茶抽出物)を用いて、乳房炎および乳腺炎を治療することにより、抗生物質の利用量を削減する。
茶抽出物、茶浸出物、その他のカテキンを含む物質は、乳房内の体細胞を動員し、体細胞の機能を向上あるいは体細胞を守ることにより、乳房内における乳房炎、乳腺炎の原因菌を減少させる。また、直接の殺菌作用もあると考えられる。炎症を静める効果もあると推測される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、疾病を患らう泌乳器に対する泌乳器改善物質およびそれを用いた改善方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
哺乳動物の特徴である泌乳器は、例えば、微生物あるいは異物により炎症を起こしたり、炎症などによって体細胞を乳中に放出したりすることがある。これら乳房内の炎症を乳房炎(mastitis)と呼ぶ。一般的に病原菌が乳頭管を通して乳腺内に入り込んだ結果として乳房炎が始まる。このため乳房炎は乳腺炎とも呼ばれる。産業動物である乳牛においては、これら乳房炎の治療として、抗生物質、抗菌性物質および抗炎症物質の投与を基本として、乳房冷却、乳房に湿布の貼付、および頻回搾乳などの方法が採られていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば、乳牛に抗生物質あるいは抗菌性物質などを投与すると、抗生物質耐性菌や抗菌性物質の耐性菌が出現したり、あるいは抗生物質などが牛乳中に残留したりするので、法令(例えば、「薬事法」(昭和35年8月10日法律第145号)第83条の2、「食品衛生法」(昭和22年12月24日法律第233号)第7条、および「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(昭和26年12月27日厚令第52号)第3条)の規制を受けることがあったりして、最適な策とはいえない。また、食品の安全性が問われている現在では、抗生物質などの使用量を削減して耐性菌の出現を押さえて安全な牛乳を生産するための乳腺炎治療方法が求められている。
【0004】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、安全な生乳の供給および安全な生乳生産環境の構築およびこれにかかる生産者の経営改善を図るることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
茶抽出物及びカテキン類を含む溶液を、牛乳房内に注入し、乳房炎を治療し泌乳器の改善を行う。
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0006】
茶抽出物、及びカテキン類、ガロカテキン(Gallocatechin(+GC)、エピガロカテキン(Epigallocatechin(EGC))、カテキンガレート(Catechin gallate(+Cg))、エピカテキン(Epicatechin(EC))エピガロカテキンガレート Epigallocatechingallate(EGCg)、エピカテキンガレート(Epicatechin gallate(ECg))
これらの物質が含まれる液を用い、乳房内に注入することで、乳房炎(乳腺炎)の治療を行う。治療効果は、乳汁中体細胞(免疫細胞)数を増加すること、また免疫細胞の機能を強化し保護すること、及び直接の殺菌作用により乳房内細菌数を減少させることにより現れると推測される。また、炎症を押さえる効果もある。
【0007】本発明は、乳房炎治療およびその補助を目的とすることに関連する。
【0008】乳房炎治療は、抗生物質、抗菌性物質による治療が主流で、耐性菌の出現、抗生物質の移行残留などが問題となっている。本発明による乳房炎治療では、乳房内に注入された茶抽出物、茶被抽出物、その他のカテキンを含む物質が、乳房内への免疫細胞(体細胞)の動員を促し、乳房内の細菌を殺菌および静菌するとともに、茶抽出物、茶被抽出物、その他のカテキンを含む物質ががこの免疫細胞を細菌からの攻撃から守ること、および適度な範囲に炎症を抑えること等の複合作用により、乳房炎が治癒する。
【0009】
茶抽出物、茶被抽出物、その他のカテキンを含む物質を水、蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖液、その他の溶剤に溶解し、乳房内に注入することにより、乳房を治療する。
茶抽出物、茶被抽出物、その他のカテキンを含む物質の乳房内注入濃度および注入方法は、濃度は通常の飲用の茶の範囲で実際はこれより希釈されて使用される程度であり、注入方法は乳房炎治療管、および留置針など乳頭口に安全に衛生的に注入できるものであれば良く、その注入量は乳房に注入できる範囲のものである。具体例は以下実施例による。
【0010】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
まず、カテキン溶液を作製した。このカテキン溶液は、東京テクノフード株式会社製の茶抽出物加工品「ポリフェノンG」を116μg/mlとなるように5%ブドウ糖液500mlに、また33.5μg/mlとなるように生理食塩水500mにそれぞれ溶解したものである。なお、「ポリフェノンG」の組成は、カテキン全体を100%としたとき、ガロカテキン1.6%、エピガロカテキンガレート19.2%、エピカテキン6.4%、エピガロカテキンガレート59.1%およびエピカテキンガレート13.7%であった。
【0012】
次に、茶抽出物溶液を満たした容器をディスポーチューブを介して乳房炎治療管・14G留置針に接続した。その後、乳房炎に患っている乳牛の乳頭管の乳頭口に乳房炎治療管を挿入し、乳房内に茶抽出物溶液を注入した。この注入作業を、朝夕それぞれ1回ずつ、すなわち1日2回を6日間行った。
【0013】
注入作業期間中、朝夕に搾乳を行い、それぞれの乳中の細菌数および体細胞数の測定を行った。なお、細菌数の測定は、トリプトソーヤ寒天培地およびPBSなどを用いた。また、体細胞数の測定は、フォソマチック90(FOSS ELECTRIC社製)を用いた。試験期間は平成14年8月から12月まで、対象動物として東京都畜産試験場繋養牛のうちの延べ8頭の乳房炎罹患牛を供試した。
【0014】
茶抽出物(ポリフェノンG)を溶解した5%ブドウ糖液、生理食塩水を乳腺炎罹患牛乳房内に注入すると、体細胞数が増加し、第1回目注入後乳房が腫脹するものの、第2回目以後注入を続けると2日目には乳房は柔らかくなり、症状が緩解した。体細胞数も注入終了後減少し、10日程度で旧に復した。その例を示す(図1)。試験例8例における茶抽出物注入後1日目には、乳房炎乳房からの乳汁中細菌数は減少した(図2)。茶抽出物(カテキン含む)は本試験において現れた抗生物質耐性菌のPBS中の培養試験で増殖を抑制した(図3)。茶抽出物は、体細胞と大腸菌を混合培養したとき、体細胞の死滅割合を減少させる効果が認められた。(図4)
【0015】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、噴霧型注入器による乳房内拡散を狙った注入方法及び高濃度少量の注射器型注入器による携帯可能な方法などである。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4において、茶抽出物、茶被抽出物、その他のカテキンを含む物質の牛乳房内への注入は、乳房炎(乳腺炎)治療効果があり、これにより牛の乳房(泌乳器)の状態を改善しうるので、現在主としてこの目的で使用される抗生物質の使用量を削減し、抗生物質の残留や抗生物質耐性菌の発生を抑えた安全な牛乳生産を期待できる。請求項8における、炎症性乳質の改善においても、抗生物質の使用を削減した上で耐性菌の発生を抑止ししながら乳質の改善が期待できる。またこれらにより酪農経営内においても、乳房炎の治療を容易にすることが可能である。すなわち本方法により、抗生物質の過失による混入などが回避でき、また治療中でも牛乳を出荷できるので容易に治療することができ経営に対する効果は大きい。また対象動物は乳牛のみならず、肉牛、山羊その他の哺乳動物にも利用できる。
【0017】
【図面の簡単な説明】
【図1】本図は、茶抽出物を5%ブドウ糖500mlに濃度667μg/mlになるように溶解し、乳腺炎を起こした牛の乳房に注入した結果である。乳腺炎の反応は、乳房中体細胞の動員で起炎菌を排除しようとする生体防御反応で現れるので、体細胞数を測定してその反応を見ようとした。図中、下向きの矢印は、茶抽出物溶解液を注入した時点を表し、朝と夕方で1日2回の注入を行ったことを示す。
牛の乳房は4つあるので、それぞれ1つずつを分房と呼ぶが右前に位置する分房を右前分房(RF)とし、右後ろ分房を右後分房(RB)、以下同様に左前分房(LF)、左後分房(LB)とした。本牛は、茶抽出物を注入することで、一旦炎症反応を強めたが、その後注入を3回繰り返すことにより、外部臨床症状は緩解し、乳腺炎は治癒した。
【図2】本図は延べ8頭の乳腺炎罹患牛に茶抽出物を乳房内に注入した時の乳汁中細菌数への影響を調べたものである。7頭において細菌数は減少しており、茶抽出物の乳房内注入効果が現れたものと推測された。1頭は、このグラフの翌日に細菌数の低下を見ており、その意味ですべての試験牛で細菌数は低下した。
【図3】本図は、試験牛の乳房炎分房から分離した抗生物質耐性菌をPBS中で培養してPBSに茶抽出物を混合したものの中で培養したものと比較したものである。本試験で抗生物質耐性菌でも、茶抽出物の混入で死滅していくことが示された。
【図4】本図は、牛乳中体細胞を大腸菌とともに培養し、その生存の程度を調べたものである。対照として茶抽出物を含まないものと含むものを比較したところ茶抽出物があるほうが、体細胞が大腸菌の攻撃を茶抽出物により緩和され死滅する細胞が少ないことがわかった。
【0018】
【符号の説明】
図1における符号下記
矢印 茶抽出物乳房内注入時点
RF 牛の乳房の右前乳房
RB 牛の乳房の右後乳房
LF 牛の乳房の左前乳房
LB 牛の乳房の左後乳房
TEA 茶抽出物添加区
【発明の属する技術分野】
本発明は、疾病を患らう泌乳器に対する泌乳器改善物質およびそれを用いた改善方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
哺乳動物の特徴である泌乳器は、例えば、微生物あるいは異物により炎症を起こしたり、炎症などによって体細胞を乳中に放出したりすることがある。これら乳房内の炎症を乳房炎(mastitis)と呼ぶ。一般的に病原菌が乳頭管を通して乳腺内に入り込んだ結果として乳房炎が始まる。このため乳房炎は乳腺炎とも呼ばれる。産業動物である乳牛においては、これら乳房炎の治療として、抗生物質、抗菌性物質および抗炎症物質の投与を基本として、乳房冷却、乳房に湿布の貼付、および頻回搾乳などの方法が採られていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば、乳牛に抗生物質あるいは抗菌性物質などを投与すると、抗生物質耐性菌や抗菌性物質の耐性菌が出現したり、あるいは抗生物質などが牛乳中に残留したりするので、法令(例えば、「薬事法」(昭和35年8月10日法律第145号)第83条の2、「食品衛生法」(昭和22年12月24日法律第233号)第7条、および「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(昭和26年12月27日厚令第52号)第3条)の規制を受けることがあったりして、最適な策とはいえない。また、食品の安全性が問われている現在では、抗生物質などの使用量を削減して耐性菌の出現を押さえて安全な牛乳を生産するための乳腺炎治療方法が求められている。
【0004】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、安全な生乳の供給および安全な生乳生産環境の構築およびこれにかかる生産者の経営改善を図るることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
茶抽出物及びカテキン類を含む溶液を、牛乳房内に注入し、乳房炎を治療し泌乳器の改善を行う。
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0006】
茶抽出物、及びカテキン類、ガロカテキン(Gallocatechin(+GC)、エピガロカテキン(Epigallocatechin(EGC))、カテキンガレート(Catechin gallate(+Cg))、エピカテキン(Epicatechin(EC))エピガロカテキンガレート Epigallocatechingallate(EGCg)、エピカテキンガレート(Epicatechin gallate(ECg))
これらの物質が含まれる液を用い、乳房内に注入することで、乳房炎(乳腺炎)の治療を行う。治療効果は、乳汁中体細胞(免疫細胞)数を増加すること、また免疫細胞の機能を強化し保護すること、及び直接の殺菌作用により乳房内細菌数を減少させることにより現れると推測される。また、炎症を押さえる効果もある。
【0007】本発明は、乳房炎治療およびその補助を目的とすることに関連する。
【0008】乳房炎治療は、抗生物質、抗菌性物質による治療が主流で、耐性菌の出現、抗生物質の移行残留などが問題となっている。本発明による乳房炎治療では、乳房内に注入された茶抽出物、茶被抽出物、その他のカテキンを含む物質が、乳房内への免疫細胞(体細胞)の動員を促し、乳房内の細菌を殺菌および静菌するとともに、茶抽出物、茶被抽出物、その他のカテキンを含む物質ががこの免疫細胞を細菌からの攻撃から守ること、および適度な範囲に炎症を抑えること等の複合作用により、乳房炎が治癒する。
【0009】
茶抽出物、茶被抽出物、その他のカテキンを含む物質を水、蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖液、その他の溶剤に溶解し、乳房内に注入することにより、乳房を治療する。
茶抽出物、茶被抽出物、その他のカテキンを含む物質の乳房内注入濃度および注入方法は、濃度は通常の飲用の茶の範囲で実際はこれより希釈されて使用される程度であり、注入方法は乳房炎治療管、および留置針など乳頭口に安全に衛生的に注入できるものであれば良く、その注入量は乳房に注入できる範囲のものである。具体例は以下実施例による。
【0010】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
まず、カテキン溶液を作製した。このカテキン溶液は、東京テクノフード株式会社製の茶抽出物加工品「ポリフェノンG」を116μg/mlとなるように5%ブドウ糖液500mlに、また33.5μg/mlとなるように生理食塩水500mにそれぞれ溶解したものである。なお、「ポリフェノンG」の組成は、カテキン全体を100%としたとき、ガロカテキン1.6%、エピガロカテキンガレート19.2%、エピカテキン6.4%、エピガロカテキンガレート59.1%およびエピカテキンガレート13.7%であった。
【0012】
次に、茶抽出物溶液を満たした容器をディスポーチューブを介して乳房炎治療管・14G留置針に接続した。その後、乳房炎に患っている乳牛の乳頭管の乳頭口に乳房炎治療管を挿入し、乳房内に茶抽出物溶液を注入した。この注入作業を、朝夕それぞれ1回ずつ、すなわち1日2回を6日間行った。
【0013】
注入作業期間中、朝夕に搾乳を行い、それぞれの乳中の細菌数および体細胞数の測定を行った。なお、細菌数の測定は、トリプトソーヤ寒天培地およびPBSなどを用いた。また、体細胞数の測定は、フォソマチック90(FOSS ELECTRIC社製)を用いた。試験期間は平成14年8月から12月まで、対象動物として東京都畜産試験場繋養牛のうちの延べ8頭の乳房炎罹患牛を供試した。
【0014】
茶抽出物(ポリフェノンG)を溶解した5%ブドウ糖液、生理食塩水を乳腺炎罹患牛乳房内に注入すると、体細胞数が増加し、第1回目注入後乳房が腫脹するものの、第2回目以後注入を続けると2日目には乳房は柔らかくなり、症状が緩解した。体細胞数も注入終了後減少し、10日程度で旧に復した。その例を示す(図1)。試験例8例における茶抽出物注入後1日目には、乳房炎乳房からの乳汁中細菌数は減少した(図2)。茶抽出物(カテキン含む)は本試験において現れた抗生物質耐性菌のPBS中の培養試験で増殖を抑制した(図3)。茶抽出物は、体細胞と大腸菌を混合培養したとき、体細胞の死滅割合を減少させる効果が認められた。(図4)
【0015】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、噴霧型注入器による乳房内拡散を狙った注入方法及び高濃度少量の注射器型注入器による携帯可能な方法などである。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4において、茶抽出物、茶被抽出物、その他のカテキンを含む物質の牛乳房内への注入は、乳房炎(乳腺炎)治療効果があり、これにより牛の乳房(泌乳器)の状態を改善しうるので、現在主としてこの目的で使用される抗生物質の使用量を削減し、抗生物質の残留や抗生物質耐性菌の発生を抑えた安全な牛乳生産を期待できる。請求項8における、炎症性乳質の改善においても、抗生物質の使用を削減した上で耐性菌の発生を抑止ししながら乳質の改善が期待できる。またこれらにより酪農経営内においても、乳房炎の治療を容易にすることが可能である。すなわち本方法により、抗生物質の過失による混入などが回避でき、また治療中でも牛乳を出荷できるので容易に治療することができ経営に対する効果は大きい。また対象動物は乳牛のみならず、肉牛、山羊その他の哺乳動物にも利用できる。
【0017】
【図面の簡単な説明】
【図1】本図は、茶抽出物を5%ブドウ糖500mlに濃度667μg/mlになるように溶解し、乳腺炎を起こした牛の乳房に注入した結果である。乳腺炎の反応は、乳房中体細胞の動員で起炎菌を排除しようとする生体防御反応で現れるので、体細胞数を測定してその反応を見ようとした。図中、下向きの矢印は、茶抽出物溶解液を注入した時点を表し、朝と夕方で1日2回の注入を行ったことを示す。
牛の乳房は4つあるので、それぞれ1つずつを分房と呼ぶが右前に位置する分房を右前分房(RF)とし、右後ろ分房を右後分房(RB)、以下同様に左前分房(LF)、左後分房(LB)とした。本牛は、茶抽出物を注入することで、一旦炎症反応を強めたが、その後注入を3回繰り返すことにより、外部臨床症状は緩解し、乳腺炎は治癒した。
【図2】本図は延べ8頭の乳腺炎罹患牛に茶抽出物を乳房内に注入した時の乳汁中細菌数への影響を調べたものである。7頭において細菌数は減少しており、茶抽出物の乳房内注入効果が現れたものと推測された。1頭は、このグラフの翌日に細菌数の低下を見ており、その意味ですべての試験牛で細菌数は低下した。
【図3】本図は、試験牛の乳房炎分房から分離した抗生物質耐性菌をPBS中で培養してPBSに茶抽出物を混合したものの中で培養したものと比較したものである。本試験で抗生物質耐性菌でも、茶抽出物の混入で死滅していくことが示された。
【図4】本図は、牛乳中体細胞を大腸菌とともに培養し、その生存の程度を調べたものである。対照として茶抽出物を含まないものと含むものを比較したところ茶抽出物があるほうが、体細胞が大腸菌の攻撃を茶抽出物により緩和され死滅する細胞が少ないことがわかった。
【0018】
【符号の説明】
図1における符号下記
矢印 茶抽出物乳房内注入時点
RF 牛の乳房の右前乳房
RB 牛の乳房の右後乳房
LF 牛の乳房の左前乳房
LB 牛の乳房の左後乳房
TEA 茶抽出物添加区
Claims (11)
- 泌乳器疾患の改善剤において、
前記改善剤は、茶抽出物あるいは茶被抽出物のうちの少なくとも一方を含むことを特徴とする泌乳器改善剤。 - 泌乳器疾患の改善剤において、
前記改善剤は、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキン、エピガロカテキンガレートおよびエピカテキンガレート、カテキンより成る群のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする泌乳器改善剤。 - 前記泌乳器疾患は、乳房炎とすることを特徴とする請求項1記載の泌乳器改善剤。
- 前記乳腺炎を反芻動物の乳房炎とすることを特徴とする請求項2記載の泌乳器改善剤。
- 前記反芻動物を牛とすることを特徴とする請求項4記載の泌乳器改善剤。
- 泌乳器疾患の改善方法において、
茶抽出物あるいは茶被抽出物のうちの少なくとも一方を含む物質を泌乳器に投与することを特徴とする泌乳器改善方法。 - 泌乳器疾患の改善方法において、
ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキン、エピガロカテキンガレートおよびエピカテキンガレート、カテキンより成るカテキン類のうちの少なくとも1種を含む物質を泌乳器に投与することを特徴とする泌乳器改善方法。 - 前記泌乳器疾患は、乳房炎とすることを特徴とする請求項7記載の泌乳器改善方法およびこれによる炎症要素(免疫細胞や細菌)を多く含んだ乳質の改善。
- 前記乳房炎を反芻動物の乳房炎(乳腺炎を含む乳房の炎症)とすることを特徴とする請求項8記載の泌乳器改善方法およびこの泌乳器改善による乳質の改善。
- 前記反芻動物を牛とすることを特徴とする請求項9記載の泌乳器改善方法。
- 茶抽出物、茶被抽出物およびカテキン類を牛乳房に投与し牛の乳房炎治療に利用すること。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003165765A JP2004331638A (ja) | 2003-05-08 | 2003-05-08 | 泌乳器改善剤およびそれを用いた泌乳器改善方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004331638A true JP2004331638A (ja) | 2004-11-25 |
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ID=33508863
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Country | Link |
---|---|
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102614285A (zh) * | 2012-04-21 | 2012-08-01 | 申志恩 | 治疗女子乳房发育不良的药物及其生产方法 |
-
2003
- 2003-05-08 JP JP2003165765A patent/JP2004331638A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102614285A (zh) * | 2012-04-21 | 2012-08-01 | 申志恩 | 治疗女子乳房发育不良的药物及其生产方法 |
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