JP2004331483A - マイナスイオン発生セラミック物質の製法 - Google Patents
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Abstract
【課題】鉱物系原料もしくは窯業系原料のいずれか一方又は両方、さらにはセラミック製品に対し、これらより発生するマイナスイオンの量を増加させるマイナスイオン発生セラミック物質の製法を提供する。
【解決手段】ウラン元素又はウラン系列核種あるいはトリウム元素又はトリウム系列核種の少なくともいずれかが含有される原料鉱石を1種類以上とする鉱物系原料と、窯業系原料に対し、前記鉱物系原料もしくは窯業系原料のいずれか一方又は両方を水中に浸漬した後、通電する電磁気処理を行い、これら粉砕、焼成等の加工処理を行う。または、前記鉱物系原料及び窯業系原料を粉砕、焼成等の加工することにより得たセラミック物質に対し、当該セラミック物質を水中に浸漬した後、通電する電磁気処理を行う。
【選択図】 図5
【解決手段】ウラン元素又はウラン系列核種あるいはトリウム元素又はトリウム系列核種の少なくともいずれかが含有される原料鉱石を1種類以上とする鉱物系原料と、窯業系原料に対し、前記鉱物系原料もしくは窯業系原料のいずれか一方又は両方を水中に浸漬した後、通電する電磁気処理を行い、これら粉砕、焼成等の加工処理を行う。または、前記鉱物系原料及び窯業系原料を粉砕、焼成等の加工することにより得たセラミック物質に対し、当該セラミック物質を水中に浸漬した後、通電する電磁気処理を行う。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、マイナスイオン発生セラミック物質の製法に関し、特に原料物質、加工段階さらには完成したマイナスイオン発生セラミック物質に直流電圧を通電するマイナスイオン発生セラミック物質の製法である。
【0002】
【従来の技術】
近年、マイナスイオンの働きについて、消臭、抗菌、防濁等の環境改善効果の他、疲労回復、免疫機能の向上等をはじめとする生理的機能の改善効果も報告され、とりわけ、関心が高まりつつある。
【0003】
前記のマイナスイオンについて、その生成方法には、レナード効果を利用して水に衝撃を与える方法、空気放電等が知られている。これらの方法によると、水の処理に要する設備の増設やオゾンの発生等の不具合もみられる。このため近年では、安価かつ容易にマイナスイオンを生成させる方法として微量放射線の有するエネルギーの応用が主流となり、種々の天然鉱石が利用される傾向にある。前記種々の天然鉱石中には、極微量の放射性同位元素が含まれ、放射性壊変を行うことにより、α線,β線,γ線の天然放射線が常時放射される。前記の各放射線は、水又は空気中の水分子からH3O+,OH−,・OH等の種々のラジカル様物質を生成することが知られ、直接マイナスイオンとして作用するものの他、他の分子に作用しマイナスイオンを発生させるものであると考えられる(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
上記のとおり、放射性同位元素を含有する鉱石からは容易にマイナスイオンが得られるため、利用頻度が高まり多彩な製品が開発されている。とりわけ鉱石種にトルマリンを用いるものが多用されている。しかしながら、トルマリンそのものから放射される放射線量は極端に低く、単独でマイナスイオン生成に寄与する励起エネルギーは、ほとんどないことが報告されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
したがって、所望のマイナスイオン発生体を得ようとする場合、トルマリン以外の鉱石を使用しなければならず、より多くのマイナスイオンを得ようとすると、いきおい放射線量を高めることにつながり、安全管理上の相反が懸念される。そのため、モナザイト等の鉱石を用いつつ長石等のバインダーを適宜添加し、単位重量中の放射線量を抑制しながらマイナスイオンの発生量を高めた材料が報告されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
しかるに、放射性同位元素を含有する各種鉱石中の天然放射線を利用し、マイナスイオンを発生させようとするものは、使用する鉱石種及びその産地により、放射線量のばらつきが大きく、各種鉱石を適宜加工し製品化する場合、製造工程中に放射性同位元素を含む成分が気散、分離するなどの欠損が生じるため、一定の放射線量を得ることが難しく、マイナスイオンの発生量の安定化が容易でなかった。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−102866号公報(第4,5頁)
【特許文献2】
特許3306790号公報(第2,3頁)
【特許文献3】
特許3085182号公報(第4−6頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
発明者らは、以前に開示した製法において、原料鉱石に対し、直流電圧を通電する電磁気処理を行うことにより、原料鉱石より得られるマイナスイオン発生量が増大することを発見した。
【0009】
その後、各種原料鉱石に対して前記電磁気処理を行った結果、原料鉱石の種類によっては、マイナスイオン発生量の増加率に差が生じることを明らかにした。この結果を踏まえ、発明者らは鋭意検討を行い、原料鉱石中に含有されるシリカ成分(SiO2)が多い原料鉱石と少ない原料鉱石との間にマイナスイオン発生量の増加率に差が生じることを見いだした。さらに、原料鉱石に添加される長石等のバインダーとして用いられる窯業系原料に対しても前記電磁気処理を行った結果、非処理の窯業系原料との間において、マイナスイオン発生量の増加率に有意差を確認することができた。
【0010】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであり、原料物質段階、加工段階さらには完成したマイナスイオン発生セラミック物質に直流電圧を通電する電磁気処理を行い、原料物質由来の放射線量を抑制しながらもマイナスイオンの発生量を安定化かつ増加させるマイナスイオン発生セラミック物質の製法をここに提案するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち、請求項1の発明は、ウラン元素又はウラン系列核種あるいはトリウム元素又はトリウム系列核種の少なくともいずれかが含有される原料鉱石を1種類以上とする鉱物系原料と、窯業系原料とを加えたマイナスイオン発生セラミック物質であって、前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方を水中に浸漬した後、直流電圧を通電する電磁気処理を行うことを特徴とするマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0012】
請求項2の発明は、ウラン元素又はウラン系列核種あるいはトリウム元素又はトリウム系列核種の少なくともいずれかが含有される原料鉱石を1種類以上とする鉱物系原料と、窯業系原料とを加えたマイナスイオン発生セラミック物質であって、前記鉱物系原料もしくは前記窯業系原料のいずれか一方を水中に浸漬した後、直流電圧を通電する電磁気処理を行うことを特徴とするマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0013】
請求項3の発明は、前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記両原料をともに混合し、粉砕する工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0014】
請求項4の発明は、前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記両原料を混合し粉砕する工程と、前記粉砕後に焼成する工程と、前記焼成後に粉砕する工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0015】
請求項5の発明は、前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記両原料を混合し粉砕する工程と、前記粉砕物を所定形状に造粒又は成型する工程と、前記造粒物又は成型物を焼成する工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0016】
請求項6の発明は、前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記鉱物系原料を粉砕し、焼成する工程と、該焼成された鉱物系原料と前記窯業系原料とを混合し粉砕する工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0017】
請求項7の発明は、前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記鉱物系原料を粉砕し、焼成する工程と、該焼成された鉱物系原料と前記窯業系原料とを混合し粉砕する工程と、前記粉砕後に焼成する工程と、前記焼成後に粉砕する工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0018】
請求項8の発明は、前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記鉱物系原料を粉砕し、焼成する工程と、該焼成された鉱物系原料と前記窯業系原料とを混合し粉砕する工程と、前記粉砕物を所定形状に造粒又は成型する工程と、前記造粒物又は成型物を焼成する工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0019】
請求項9の発明は、前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記両原料を混合し粉砕する工程と、前記粉砕後に当該混合粉砕物に対し、再度前記電磁気処理を行う工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0020】
請求項10の発明は、前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記両原料を混合し粉砕する工程と、前記粉砕後に焼成する工程と、前記焼成後に粉砕する工程を含み、少なくともいずれかの粉砕工程の後、再度当該粉砕物に対して前記電磁気処理を行う工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0021】
請求項11の発明は、前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記両原料を混合し粉砕する工程と、前記粉砕物を所定形状に造粒又は成型する工程と、前記造粒物又は成型物を焼成する工程とを含み、少なくともいずれかの前記粉砕後もしくは造粒又は成形後において、再度当該粉砕物もしくは造粒物又は成型物に対して前記電磁気処理を行う工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0022】
請求項12の発明は、前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記鉱物系原料を粉砕し、焼成する工程と、該焼成された鉱物系原料と、前記窯業系原料とを混合し粉砕する工程とを含み、少なくともいずれかの粉砕の後、再度当該粉砕物に対して前記電磁気処理を行う工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0023】
請求項13の発明は、前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記鉱物系原料を粉砕し、焼成する工程と、該焼成された鉱物系原料と、前記窯業系原料とを混合し粉砕する工程と、前記粉砕後に焼成する工程と、前記焼成後に粉砕する工程を含み、少なくともいずれかの粉砕の後、再度当該粉砕物に対して前記電磁気処理を行う工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0024】
請求項14の発明は、前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記鉱物系原料を粉砕し、焼成する工程と、前記焼成した鉱物系原料と、前記窯業系原料とを混合し粉砕する工程と、前記粉砕物を所定形状に造粒又は成型する工程と、前記造粒物又は成型物を焼成する工程を含み、少なくともいずれかの前記粉砕後もしくは造粒又は成形後において、再度当該粉砕物もしくは造粒物又は成型物に対して前記電磁気処理を行う工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0025】
請求項15の発明は、前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記両原料を混合し粉砕する工程と、前記粉砕物を所定形状に造粒又は成型する工程と、前記造粒物又は成型物を焼成する工程と、前記焼成した造粒物又は成型物に対して再度前記電磁気処理を行う工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0026】
請求項16の発明は、前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記鉱物系原料を粉砕し、焼成する工程と、前記焼成した鉱物系原料と、前記窯業系原料とを混合し粉砕する工程と、前記粉砕物を所定形状に造粒又は成型する工程と、前記造粒物又は成型物を焼成する工程と、前記焼成した造粒物又は成型物に対して再度前記電磁気処理を行う工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0027】
請求項17の発明は、前記窯業系原料には、酸化チタンが含まれることを特徴とする請求項1ないし16のいずれか1項に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下添付の図面に従って本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の原料鉱石の選鉱プロセスを示す第一概略図、図2は本発明の原料鉱石の選鉱プロセスを示す第二概略図、図3は本発明の電磁気処理に用いる電磁気処理装置の斜視図、図4は図3の2−2線の位置で切断した状態の断面図である。
【0029】
本発明において、ウラン元素又はウラン系列核種あるいはトリウム元素又はトリウム系列核種の少なくともいずれかが含有される原料鉱石とは、ウラン元素又はトリウム元素の各種化合物を含有する鉱石の他、ウラン元素又はトリウム元素から放射性壊変を伴い生じた元素(化合物を含む)を含有する鉱石であり、含有される種類はいずれか1種又は複数種を問わない。ウラン系列核種は、238Uを親核種とし、226Ra、214Pb、214Bi等を経た後、206Pbに至る放射性崩壊を行う一連の核種であり、トリウム系列核種は、232Thを親核種とし、228Ac、212Pb、208Tl、212Bi等を経た後、208Pbに至る放射性崩壊を行う一連の核種である。このようにウラン元素又ウラン系列核種あるいはトリウム元素又はトリウム系列核種に含まれる各元素が1種類もしくは2種類以上が含有される原料鉱石であり、当該原料鉱石を1種類又は2種類以上を組み合わせたものが鉱物系原料である。なお、ウラン元素には、238Uに加え、他の同位体を含むものである。
【0030】
前記ウラン元素又ウラン系列核種あるいはトリウム元素又はトリウム系列核種の少なくともいずれかが含有される原料鉱石は、「原子力委員会月報 昭和31年 第1巻第6号」等によると、少なくとも100種類以上が知られている。下記の表1には、ウラン元素又はトリウム元素の各種化合物を含有する鉱石のうち主要なものを原料番号1〜39として明記する。表1において、各原料鉱石中のウラン元素又はトリウム元素は、ウラン元素、トリウム元素の酸化物(U2O8,ThO2)として概ね表記の範囲内で当該鉱石に含有される。
【0031】
【表1】
【0032】
表1に記載の原料鉱石において、ウラン,トリウム成分の含有量、入手容易性及び保管設備等を考慮し、デーヴィッド石(5)、ユーゼン石(6)、フェルグソン石(7)、石川石(8)、ポリクレース(9)、パイロクロア(10)、サマルスキー石(11)、トロゴム石(19)、ラウヴ石(31)、イットロクラサイト(34)、ジッケル鉱(35)、褐れん石(36)、苗木石(37)が好適であり、後述の実施例の鉱物系原料に挙げられる。
【0033】
前出の鉱物系原料に加え、図1に示す選鉱プロセスにより分離されるもの及び図2の選鉱プロセスに用いられる原料番号51〜63のヘビーミネラルコンセントレイト(重砂)、ダーティジルコン、スタンダードジルコン、ピュアジルコン、プライムジルコン、モナザイト原砂、イットリュウム原砂(ゼノタイム)、イルメナイト中間品、バテライト、ジルコニア、バストネサイト、セリウム鉱石、ランタン鉱石が後述の実施例に挙げられる。
【0034】
図1において、出発原料であるヘビーミネラルコンセントレイト(重砂)(51)は、オーストラリア、南アフリカ、ブラジル、インド、ロシア、ウクライナ、ベトナム、アメリカ合衆国、マレーシア、インドネシア、中国等の産地より、主に酸性火成岩が風化して堆積した漂砂鉱床からジルコンサンドとして産出する。特に東南アジアでは、錫やセリサイト、金を採取した後の重砂(アマン)に含まれるものである。前記ヘビーミネラルコンセントレイト(51)からは、磁力選鉱及び静電選鉱を経ることによりルチルが分離されダーティジルコン(52)が得られる。このとき磁性を持つ鉱石はイルメナイト中間品(58)として分離され、スタンダードジルコン(53)が得られる。さらに静電選鉱を経ることによりピュアジルコン(54)とモナザイト原砂(56)が得られる。モナザイト原砂(56)から適宜選鉱を経た後、イットリュウム原砂(ゼノタイム)(57)が得られる。前記ピュアジルコン(54)からは、酸洗い及び磁力選鉱を経ることによりプライムジルコン(55)が得られ、さらにジルコニウムの組成比率を高めたものがバテライト(59)及びジルコニア(60)である。
【0035】
図2に示す、バストネサイト(61)は、主にアメリカ合衆国、中国等のカーボナイト鉱床から、鉄、チタン、錫、ウラン、トリウム等を採掘した際の副産物として得られるものである。バストネサイト(61)をさらに選鉱することにより、セリウムに富むセリウム鉱石(62)とランタンに富むランタン鉱石(63)が得られる。
【0036】
原料鉱石51〜63は、以下の表2及び表3に記載の成分より組成される。表中において、数値は単位重量あたりの重量パーセントを表す。なお、上記原料鉱石51〜63の組成成分は、理学電気工業株式会社製の蛍光X線分析装置(RIX3000)により分析されたものである。
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
図1に示す選鉱プロセスにおいて、鉱山から産出される原料鉱石の純度・含有量の他、選鉱精度(例えば、選鉱時の磁力の強さ、選鉱の回数等)が大きく異なるため、原料鉱石51〜63の組成成分は、必ずしも表2及び表3に示す組成分布に拘泥されるものではない。なお、表1中のジルコン(13)はダーティジルコン(53)、ゼノタイム(12)はイットリュウム原砂(ゼノタイム)(57)、モナザイト(39)はモナザイト原砂(56)に相当するものである。
【0040】
本発明に用いられる窯業系原料とは、主に後述の粉砕、焼成、造粒・成型の工程において、粉砕中の鉱物成分の分離を防ぐ目的の他、焼成時の鉱物系原料の焼結及び固着性を高めるものである。そこで、融着性、耐火温度を考慮し、シリカ成分(SiO2)を含む以下の原料の中から必要に応じて適宜選択され、前記鉱物系原料とともに加工されることにより、マイナスイオン発生セラミック物質が製造される。
【0041】
前記窯業系原料は、珪酸質原料(珪石、珪砂、珪藻土)、長石質原料(カリ長石(KAlSi3O8)、ソーダ長石(NaAlSi3O8)、灰長石(CaAl2Si2O8))、粘土質原料(カオリン、耐火粘土、木節粘土、蛙目粘土、陶石、セリサイト、モンモリロナイト、ベントナイト、ろう石)、石灰質及びマグネシア原料(石灰、ドロマイト、タルク、かんらん石、蛇紋岩)、ガラス原料(ガラス、フリット)、その他(パーライト、しらす、沸石、珪灰石、アルミナ質原料、酸化チタン)等であり、適宜の種類、配合比のもと、前記鉱物系原料に添加される。前出の中から主要な窯業系原料の組成成分を原料番号101〜109として表4及び表5に示す。なお、前記原料番号101〜109の窯業系原料の組成成分は、鉱物系原料と同様に理学電気工業株式会社製の蛍光X線分析装置(RIX3000)により分析されたものである。
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】
上記珪酸質原料において、シリカ成分(SiO2)は、概ね90重量%以上含有され、長石質原料及び粘土質原料において、同成分は、概ね50〜80重量%含有される。なお、上記の窯業系原料の大半は天然物であるため、鉄、マグネシウム等をはじめとする各種金属(化合物)が極微量含有される。
【0045】
また、前出の窯業系原料には、請求項17に規定するように、酸化チタン(TiO2)が含まれる場合がある。前記酸化チタン(TiO2)は、太陽光に含まれる紫外線等の照射により光触媒としての機能を発揮し、消臭、抗菌、防濁等の種々の分野において強力な効果を発現することが知られている。このため、窯業系原料中に添加することにより、前述の衛生効果を高める上で好ましい。なお、酸化チタン(TiO2)には、ルチル、アナターゼ、ブルッカイトの3つの多形が存在すると言われる。
【0046】
本発明において、電磁気処理は、前記鉱物系原料、窯業系原料のいずれか一方もしくは両方、または加工段階の加工途中品、さらには完成したマイナスイオン発生セラミック物質を絶縁製の容器あるいはタンクに投入後、前記の原料、加工途中品、製品等が完全に埋没するように注水して浸漬する。続いて水中に浸漬する原料(加工途中品、セラミック物質製品を含む)に対し、直流電圧を通電する処理である。このように電圧の通電(電磁気処理)を行うことにより、被処理物(鉱物系原料,窯業系原料,加工途中品,セラミック物質製品)から発せられるマイナスイオン量を増加させようとする処理である。なお、電磁気処理は、必ずしも使用する鉱物系原料の全量、窯業系原料の全量に行うものではない。後述する図9のように窯業系原料をその種類に応じ複数回に分けて混合する場合などは、ある混合時の窯業系原料にのみ電磁気処理を行うだけでもよい。また、窯業系原料が酸化チタンを含む場合は、酸化チタン以外の原料に電磁気処理を行うものである。
【0047】
前記電磁気処理について、図3を用い詳述する。電磁気処理装置10は、ポリプロピレン等の絶縁性樹脂容器15に、絶縁性の支持材17により固定された陽極側電極板13と陰極側電極板14を挿入し、トランス16と両極の電極板13,14を配線18により接続したものである。トランス16は、交流100V等の交流電圧を適宜の直流電圧(後述の実施例においては16Vの直流電圧)に変圧するものである。陽極側電極板13にはトランス16の正極が接続され、陰極側電極板14には負極が接続される。
【0048】
絶縁性樹脂容器15に鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方もしくは両方、加工途中品、さらにはセラミック物質製品を投入後、被処理物を完全に埋没させるように注水し浸漬する。続いて絶縁性樹脂容器15内の被処理物及び水に対し、トランス16により変圧された直流電圧を通電して電磁気処理を行う。所定時間通電後に排水し、被処理物を適宜乾燥して後述の加工、乾燥、出荷等に供する。
【0049】
前記電磁気処理に際し、直流電圧の通電は後述の実施例から明らかなように8ないし72時間行われ、対象物(鉱物系原料,窯業系原料,加工途中品,セラミック物質製品)のマイナスイオン発生量を増加させるものである。発明者らの実験によると、電磁気処理を行う対象の質量、電圧によっても電磁気処理時間は異なるため、マイナスイオン発生量の顕著な増加には、電磁気処理を行う対象の質量、電圧等を考慮して適切に設定される必要がある。
【0050】
本発明のマイナスイオン発生セラミック物質を製造するにあたり、後述するピュアジルコンとバテライトの電磁気処理の実施例に示すとおり、発明者らは、鉱物系原料の種類によっては前記電磁気処理の効果、すなわちマイナスイオン発生量の増加率にばらつきが生じることを明らかにした。この結果より、前記電磁気処理の効果は、鉱物系原料の合計全重量に占めるシリカ成分(SiO2)の存在比率の影響を受ける可能性があると推察される。またさらに、発明者らは、実施例に示すとおり窯業系原料についても鉱物系原料と同様の電磁気処理を行った結果、マイナスイオン発生量の増加率を確認した(後記表9)。すなわち、電磁気処理の効果が、発現し難い種類又は組成からなる鉱物系原料に対し、電磁気処理を行った窯業系原料を加えることにより、前記鉱物系原料のマイナスイオン発生量を補完し、増加させる作用が示唆される。
【0051】
鉱物系原料として用いられる原料鉱石は、必ずしもどの種類の鉱石もシリカ成分(SiO2)を十分量含有するものとは限らない。そのため、電磁気処理によりマイナスイオン発生量の高い増加率を期待すると、使用可能な原料鉱石の種類が限定されるため、原料調達に支障を来した場合の代替品不足に陥る。また、原料鉱石のうち、加工の容易性や放射線強度等は有望とされるものの、シリカ成分(SiO2)を十分量含有しないために黙殺することにもなりかねない。そこで、シリカ成分(SiO2)の含有量の低い原料鉱石からなる鉱物系原料に対しても配合される窯業系原料に電磁気処理を行うことによってマイナスイオン発生量の増加率を高め、マイナスイオン発生セラミック物質の製造に利用可能な鉱物種を拡張するものである。
【0052】
前出の鉱物系原料に対する窯業系原料の配合比は、後述の粉砕、焼成、成型等の製法により製造されるマイナスイオン発生セラミック物質の利用目的、耐久性等を考慮し最適な珪石、長石等の窯業系原料が選択、配合される。さらに、鉱物系原料として用いられる原料鉱石の種類に応じて該原料鉱石に含有される放射性同位元素から放射される線量を勘案し、原子力基本法、核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律をはじめとする各種の法律、政令、規則等における保管、取り扱い上の放射線強度を規制値以下(370Bq/g以下、特にタイル等の生活用品に使用する塗料、建材中に配合する場合は74Bq/g以下)に希釈するように設定される。
【0053】
図5の概略工程図を用い、鉱物系原料,窯業系原料に対し、原料段階において電磁気処理を行うマイナスイオン発生セラミック物質の製法について説明する。
【0054】
図5(a)は、鉱物系原料及び窯業系原料の両方に対し、それぞれ電磁気処理を行うものである。すなわち、前記鉱物系原料を電磁気処理用の容器内で水中に浸漬し直流電圧の通電による電磁気処理を行う。また別途、前記窯業系原料も電磁気処理用の容器内で水中に浸漬し直流電圧の通電による電磁気処理を行う。前記電磁気処理を終えた鉱物系原料及び窯業系原料の両原料を用い、粉砕、焼成等の適宜の加工を行い製品Xを得るものである。原料となる鉱物系原料及び窯業系原料の両方ともに電磁気処理の効果が期待される場合に用いられる製法である。なお、前記鉱物系原料及び窯業系原料の両方を予め所定重量ずつ秤量した後、両原料を電磁気処理用の容器に投入し、一括して電磁気処理を行うことも可能である。前記製品Xの製法は、請求項1に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0055】
図5(b)は、鉱物系原料のみ電磁気処理を行い、非電磁気処理の窯業系原料を添加し加工するものである。前述したとおり、鉱物系原料の合計全重量中に占めるSiO2の重量いかんによっては電磁気処理の効果に差が生じるため、鉱物系原料に対する効果がより期待される場合、前記鉱物系原料のみを電磁気処理用の容器内で水中に浸漬し直流電圧の通電による電磁気処理を行い、前記電磁気処理を終えた鉱物系原料に窯業系原料を添加し、粉砕、焼成等の適宜の加工を行い製品Yを得るものである。前記製品Yの製法は、請求項2に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0056】
図5(c)は、窯業系原料のみ電磁気処理を行い、これを非電磁気処理の鉱物系原料に添加し加工するものである。前述より明らかなように、鉱物系原料の電磁気処理による効果が大きく求められない場合、前記窯業系原料を電磁気処理用の容器内で水中に浸漬し電圧の通電による電磁気処理を行う。前記電磁気処理を終えた窯業系原料を鉱物系原料に添加、粉砕、焼成等の適宜の加工を行い製品Zを得るものである。前記製品Zの製法も、請求項2に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0057】
上記図5(a)〜(c)の製法に従う場合、鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方又は両方を予め電磁気処理するため、該各原料の作り置きが可能となり、原料同士の配合比率を加工時に調整することができる。また、鉱物系原料及び窯業系原料の両方に電磁気処理を行う場合(図5(a)の場合)のみ、一括して1つの処理装置で電磁気処理が可能なため、単一配合比率の製品の量産に好適である。
【0058】
図5(a)〜(c)において示す製品X,製品Y,製品Zに関し、これらを製造するための「加工」について、図6ないし図9に示す加工工程図を用い詳述する。
【0059】
図6に示す加工工程図において、前記図5(a)の製品Xは、「製品AX」に相当するものである。鉱物系原料Mmに対し、前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備(絶縁処理を施したタンク、水槽等)において、水中で直流電圧の通電による電磁気処理(S10)が行われる。鉱物系原料は脱水後、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S11)される。別途、窯業系原料Mcに対しても同様に電磁気処理(S12)が行われ、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S13)される。電磁気処理の行われた両原料Mm及びMcは所定量ずつ計量され、ボールミル、振動ミル等の公知の粉砕手段を用い平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S14)される。続いて公知の乾燥手段であるスプレードライヤー、フィルタープレス(脱水乾燥機)、デカンター(遠心分離脱水乾燥機)により乾燥(S15)される。S15の乾燥物は分級(S16)において、エアセパレーター、サイクロン等の公知の分級機(クラシファイヤー)により均一の粒径に揃えられ、製品AXが得られる。前記製品AXの製法においては、所定量ずつ計量された鉱物系原料と窯業系原料とを一括して同時に電磁気処理することもできる。
【0060】
図6に示す加工工程図において、前記図5(b),(c)の製品Y,Zは、「製品AY,AZ」に相当するものである。前記製品AY,AZは、鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方に電磁気処理を行うものである。製品AYの加工にあっては、鉱物系原料Mmに電磁気処理(S10)が行われ、窯業系原料Mcへの電磁気処理(S12)は省略される。一方、製品AZの加工にあっては、窯業系原料Mcに電磁気処理(S12)が行われ、鉱物系原料Mmへの電磁気処理(S10)は省略される。両製品AY,AZとも、S14の粉砕以降の処理は製品AXと同様である。前記製品AX,AY,AZの製法は、請求項3に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0061】
前記乾燥(S11,S16)は、鉱物系原料,窯業系原料に含まれる水分を蒸発させ、鉱物系原料同士又は鉱物系原料と窯業系原料との配合比率(重量%)を明確にするためである。以降の図に示す乾燥(S21,S23,S41,S49,S51,S53,S101,S103,S111,S113,S131,S141,S151,S153,S201,S203,S211,S213)も同目的によるものである。ただし、例えば図6中のS10,S12の電磁気処理後、ボールミル等により湿式で粉砕を行う場合は、鉱物系原料,窯業系原料の含水率を予め検査し、量を補正した電磁気処理済み鉱物系原料,窯業系原料をそのままボールミルに投入して粉砕できるため、S11,S13をはじめとする乾燥は省略可能である。一方、振動ミルを用いて乾式粉砕を行う場合には、いずれの原料とも乾燥が必要となる。また、加工により得られた製品の純度等により粉砕後の乾燥や分級まで求められないこともある。そのため、図6を含め、以降の図において、かっこ囲みの表記は必要に応じて行われ、適宜省略可能である。なお、鉱物系原料、窯業系原料の計量に際し、付着水を取り除くため予め乾燥しておくことが望ましい。
【0062】
図7に示す加工工程図において、前記図5(a)の製品Xは、「製品BX」に相当するものである。鉱物系原料Mmに対し、前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水中で直流電圧の通電による電磁気処理(S20)が行われ、脱水後、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S21)される。別途、窯業系原料Mcに対しても同様に電磁気処理(S22)が行われ、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S23)される。電磁気処理の行われた両原料Mm及びMcは所定量ずつ計量され、ボールミル、振動ミル等の公知の粉砕手段を用い平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S24)される。続いて公知の乾燥手段であるスプレードライヤー等により乾燥(S25)される。
【0063】
前記S24の粉砕ににより得られた粉砕物(S25の乾燥を含む場合あり)は、トンネルキルン、ロータリーキルン等の公知の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1350℃の範囲において焼成(S26)され、平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S27)される。続いてスプレードライヤー等による乾燥(S28)、前出の分級機(クラシファイヤー)による分級(S29)が行われ、製品BXが得られる。
【0064】
図7に示す加工工程図において、前記図5(b),(c)の製品Y,Zは、「製品BY,BZ」に相当するものである。前記製品BY,BZは、鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方に電磁気処理を行うものである。製品BYの加工にあっては、窯業系原料Mcへの電磁気処理(S22)は省略され、製品BZの加工にあっては、鉱物系原料Mmへの電磁気処理(S20)は省略される。両製品BY,BZとも、S24の粉砕以降の処理は製品BXと同様である。前記製品BX,BY,BZの製法は、請求項4に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0065】
加えて、図7に示す加工工程図では、前記S24の粉砕により得られた粉砕物(S25の乾燥を含む場合あり)は、造粒・成型(S30)において、適宜粒径の造粒物に造粒、あるいは平板状,ハニカム状等の各種形状の成型物に成形される。前記造粒には公知の造粒機あるいはプレス成型機が用いられ、前記成型には公知の成型機が用いられる。得られた造粒物,成型物は、トンネルキルン、ロータリーキルン等の公知の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1500℃の範囲において焼成(S31)され、製品CXが得られる。これに対し、製品CY,CZは、製品BY,BZに述べたとおり鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方に電磁気処理を行う以外は、製品CXと同様の加工工程を経ることにより得られるものである。前記製品CX,CY,CZの製法は、請求項5に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0066】
前記製品BX,CXの製法においては、所定量ずつ計量された鉱物系原料と窯業系原料とを一括して同時に電磁気処理することもできる。なお特に、図7において窯業系原料Mcに酸化チタン(アナターゼ)が含まれる場合、前記S26及びS31の焼成温度帯では酸化チタンがアナターゼからルチル化する。このようなルチル化を防ぐため、800〜1100℃、好ましくは800〜1000℃の範囲で焼成される。
【0067】
図8に示す加工工程図において、前記図5(a)の製品Xは、「製品DX」に相当するものである。鉱物系原料Mmに対し、前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水中で直流電圧の通電による電磁気処理(S40)が行われ、脱水後、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S41)される。乾燥を経た鉱物系原料は、ボールミル、振動ミル等の公知の粉砕手段を用い平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S42)され均一に混合され、スプレードライヤー等により乾燥(S43)され、トンネルキルン、ロータリーキルン等の公知の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1350℃の範囲において焼成(S44)される。窯業系原料Mcに対しても同様に電磁気処理(S48)が行われ、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S49)される。
【0068】
S44の焼成を終えた鉱物系原料Mmと電磁気処理を経た窯業系原料Mcは所定量ずつ計量の後、平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S45)され、均一に混合される。続いて公知の乾燥手段であるスプレードライヤー等により乾燥(S46)され、前出の分級機(クラシファイヤー)による分級(S47)が行われ、製品DXが得られる。
【0069】
図8に示す加工工程図において、前記図5(b),(c)の製品Y,Zは、「製品DY,DZ」に相当するものである。前記製品DY,DZは、鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方に電磁気処理を行うものである。製品DYの加工にあっては、窯業系原料Mcへの電磁気処理(S48)は省略され、製品DZの加工にあっては、鉱物系原料Mmへの電磁気処理(S40)は省略される。両製品DY,DZとも、他の処理は製品DXと同様の加工工程を経ることにより得られるものである。前記製品DX,DY,DZの製法は、請求項6に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0070】
図9に示す加工工程図において、前記図5(a)の製品Xは、「製品EX」に相当するものである。鉱物系原料Mmに対し、前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水中で直流電圧の通電による電磁気処理(S50)が行われ、脱水後、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S51)される。窯業系原料Mcに対しても同様に電磁気処理(S52)が行われ、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S53)される。
【0071】
前記S50の電磁気処理の行われた鉱物系原料(S51の乾燥を含む場合あり)には、前記S52の電磁気処理の行われた窯業系原料(S53の乾燥を含む場合あり)の一部が添加され、ボールミル、振動ミル等の公知の粉砕手段を用い平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S54)される。続いて前出の乾燥手段であるスプレードライヤー等による乾燥(S55)が行われ、トンネルキルン、ロータリーキルン等の公知の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1350℃の範囲において焼成(S56)される。
【0072】
S56の焼成を終えた焼成物に前記電磁気処理の行われた窯業系原料がさらに添加され、前出の粉砕手段により再度平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S57)される。続いてスプレードライヤー等により乾燥(S58)が行われ、再度前出の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1350℃の範囲において焼成(S59)される。そして、前出の粉砕手段により平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S60)後、再びスプレードライヤー等により乾燥(S61)され、前出の分級機(クラシファイヤー)による分級(S62)が行われ、製品EXが得られる。
【0073】
図9に示す加工工程図において、前記図5(b),(c)の製品Y,Zは、「製品EY,EZ」に相当するものである。前記製品EY,EZは、鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方に電磁気処理を行うものである。製品EYの加工にあっては、窯業系原料Mcへの電磁気処理(S52)は省略され、製品EZの加工にあっては、鉱物系原料Mmへの電磁気処理(S50)は省略される。他の処理は製品EXと同様の加工工程を経ることにより得られるものである。前記製品EX,EY,EZの製法は、請求項7に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0074】
加えて、図9に示す加工工程図では、前記S57の粉砕により得られた粉砕物(S58の乾燥を含む場合あり)は、造粒・成型(S63)において、適宜粒径の造粒物に造粒、あるいは平板状,ハニカム状等の各種形状の成型物に成形される。前記造粒には公知の造粒機あるいはプレス成型機が用いられ、前記成型には公知の成型機が用いられる。得られた造粒物,成型物は、トンネルキルン、ロータリーキルン等の公知の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1500℃の範囲において焼成(S64)され、製品FXが得られる。これに対し、製品FY,FZは、製品EY,EZに述べたとおり鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方に電磁気処理を行った以外は、製品FXと同様の加工工程を経ることにより得られるものである。前記製品FX,FY,FZの製法は、請求項8に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0075】
前記窯業系原料Mcは、長石類(好ましくは新島長石あるいは、しらす長石)、ガラス、フリット類及び必要に応じて任意量配合された粘土類により構成される。特に図9の焼成(S56)前にはこれらの中から長石類、ガラス、フリット類の一部が適宜添加される。前出の窯業系原料Mcの一部は、鉱物系原料MmとともにS54において粉砕される。窯業系原料Mc中の長石類、ガラス、フリット類の一部を焼成前に予め添加することにより、焼成時の耐火温度を調節し、微量元素成分の揮発を抑制することが可能となる。
【0076】
前出のS56の焼成を終えた原料に対し、窯業系原料Mcの残り(長石類、ガラス、フリット類、粘土類)が添加される。前出の窯業系原料Mcは、耐火温度調節に加え、焼成(S59)時の焼結バインダーとして利用される。前記製品EX,EY,EZ,FX,FY,FZは、1回の焼成のみから製造される製品と比して、焼結を強固なものとすることができる。
【0077】
図9において、窯業系原料Mcに酸化チタン(アナターゼ)が含まれる場合、酸化チタンはS57の焼成後に添加され、2回目の焼成(S59,S64)では、酸化チタンのルチル化を防ぐため、800〜1100℃、好ましくは800〜1000℃の焼成温度で焼成される。
【0078】
図10の概略工程図を用い、鉱物系原料,窯業系原料に対し、原料段階において電磁気処理を行い、さらに加工段階において再度電磁気処理を行うマイナスイオン発生セラミック物質の製法について説明する。
【0079】
図10(a)は、予め鉱物系原料及び窯業系原料の両方に対し、電磁気処理を行い、両原料を用いて粉砕、造粒、焼成等の適宜の加工を行い、当該加工中に再度電磁気処理を行い製品Rを得るものである。原料となる鉱物系原料及び窯業系原料の両方ともに電磁気処理の効果が期待される場合に用いることが好ましい製法である。なお、前記鉱物系原料及び窯業系原料の両方を予め所定重量ずつ秤量した後、両原料を一括して電磁気処理を行うことも可能である。
【0080】
図10(b)は、予め電磁気処理を行った鉱物系原料と非電磁気処理の窯業系原料を用いて粉砕、造粒、焼成等の適宜の加工を行い、当該加工中に再度電磁気処理を行い製品Sを得るものである。
【0081】
図10(c)は、非電磁気処理の鉱物系原料と予め電磁気処理を行った窯業系原料を用いて粉砕、造粒、焼成等の適宜の加工を行い、当該加工中に再度電磁気処理を行い製品Tを得るものである。
【0082】
上記図10(a)〜(c)の方法に従う場合、電磁気処理を複数回に亘り行うため、強熱減量(ignition loss)等による加工中の放射性同位元素成分の損失に伴うマイナスイオン発生量の低減に対して有効である。また、予め鉱物系原料,窯業系原料のいずれかに電磁気処理を行う理由は、前出の製品Y,Zの製法において詳述するものと同様である。
【0083】
図10(a)〜(c)において示す製品R,製品S,製品Tに関し、これらを製造するための「加工」について、図11ないし図14に示す加工工程図を用い詳述する。
【0084】
図11に示す加工工程図において、前記図10(a)の製品Rは、「製品AR」に相当するものである。鉱物系原料Mmに対し、前出の図3等の適宜電磁気処理設備において、水中で直流電圧の通電による電磁気処理(S100)が行われる。鉱物系原料は脱水後、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S101)される。別途、窯業系原料Mcに対しても同様に電磁気処理(S102)が行われ、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S103)される。電磁気処理の行われた両原料Mm及びMcは所定量ずつ計量され、ボールミル、振動ミル等の公知の粉砕手段を用い平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S104)される。前記両原料Mm,Mcの粉砕物は前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水(適宜追加)との混合によりスラリー状態となり攪拌されながら直流電圧の通電による電磁気処理(S105)が行われる。続いて公知の乾燥手段であるスプレードライヤー、フィルタープレス(脱水乾燥機)、デカンター(遠心分離脱水乾燥機)等により乾燥(S106)される。S106の乾燥物は分級(S107)において、エアセパレーター、サイクロン等の公知の分級機(クラシファイヤー)により均一の粒径に揃えられ、製品ARが得られる。前記製品ARの製法においても、所定量ずつ計量された鉱物系原料と窯業系原料とを一括して同時に電磁気処理することもできる。
【0085】
図11に示す加工工程図において、前記図10(b),(c)の製品S,Tは、「製品AS,AT」に相当するものである。前記製品AS,ATは、鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方に電磁気処理を行ったものである。製品ASの加工にあっては、窯業系原料Mcへの電磁気処理(S102)は省略され、製品ATの加工にあっては、鉱物系原料Mmへの電磁気処理(S100)は省略される。両製品AS,ATとも、S104の粉砕以降の処理は製品ARと同様である。前記製品AR,AS,ATの製法は、請求項9に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0086】
図12に示す加工工程図において、前記図10(a)の製品Rは、「製品BR」に相当するものである。鉱物系原料Mmに対し、前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水中で直流電圧の通電による電磁気処理(S110)が行われ、脱水後、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S111)される。別途、窯業系原料Mcに対しても同様に電磁気処理(S112)が行われ、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S113)される。電磁気処理の行われた両原料Mm及びMcは所定量ずつ計量され、ボールミル、振動ミル等の公知の粉砕手段を用い平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S114)される。前記S114において粉砕された粉砕物は前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水(適宜追加)との混合によりスラリー状態となり攪拌されながら直流電圧の通電による電磁気処理(S115)が行われ、公知の乾燥手段であるスプレードライヤー等により乾燥(S116)される。
【0087】
前記S115の電磁気処理物(S116の乾燥を含む場合あり)は、トンネルキルン、ロータリーキルン等の公知の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1350℃の範囲において焼成(S117)され、平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S118)される。さらに前記S118の粉砕物に対して前記S115と同様の電磁気処理(S119)が行われ、続いてスプレードライヤー等による乾燥(S120)、前出の分級機(クラシファイヤー)による分級(S121)が行われ、製品BRが得られる。
【0088】
図12に示す加工工程図において、前記図10(b),(c)の製品S,Tは、「製品BS,BT」に相当するものである。前記製品BS,BTは、鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方に電磁気処理を行うものである。製品BSの加工にあっては、窯業系原料Mcへの電磁気処理(S112)は省略され、製品BTの加工にあっては、鉱物系原料Mmへの電磁気処理(S110)は省略される。両製品BS,BTとも、他の処理は製品BRと同様である。前記製品BR,BS,BTの製法においては、電磁気処理をS115及びS119の2回に亘り行うものであるが、いずれか1回あるいは両方において行うかは適宜である。前記製品BR,BS,BTの製法は、請求項10に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0089】
加えて、図12に示す加工工程図では、前記S115により得られた電磁気処理物(S116の乾燥を含む場合あり)は、造粒・成型(S122)において、適宜粒径の造粒物に造粒、あるいは平板状,ハニカム状等の各種形状の成型物に成形される。前記造粒には公知の造粒機あるいはプレス成型機が用いられ、前記成型には公知の成型機が用いられる。得られた造粒物・成型物は、前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水中で直流電圧の通電による電磁気処理(S123)が行われ、脱水後、トンネルキルン、ロータリーキルン等の公知の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1500℃の範囲において焼成(S124)され、製品CRが得られる。これに対し、製品CS,CTは、製品BS,BTに述べたとおり鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方に電磁気処理を行う以外は、製品CRと同様の加工工程を経ることにより、得られるものである。前記製品CR,CS,CTの製法においては、電磁気処理をS115及びS123の2回に亘り行うものであるが、いずれか1回あるいは両方において行うかは適宜である。前記製品CR,CS,CTの製法は、請求項11に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0090】
前記製品BX,CXの製法においては、所定量ずつ計量された鉱物系原料と窯業系原料とを一括して同時に電磁気処理することもできる。なお特に、図7において窯業系原料Mcに酸化チタン(アナターゼ)が含まれる場合、前記S117及びS124の焼成温度帯では酸化チタンがアナターゼからルチル化する。このようなルチル化を防ぐため、800〜1100℃、好ましくは800〜1000℃の範囲で焼成される。
【0091】
図13に示す加工工程図において、前記図10(a)の製品Rは、「製品DR」に相当するものである。鉱物系原料Mmに対し、前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水中で直流電圧の通電による電磁気処理(S130)が行われ、脱水後、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S131)される。乾燥を経た鉱物系原料は、ボールミル、振動ミル等の公知の粉砕手段を用い平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S132)され均一に混合される。前記S132において粉砕された粉砕物は前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水(適宜追加)との混合によりスラリー状態となり攪拌されながら直流電圧の通電による電磁気処理(S133)が行われ、公知の乾燥手段であるスプレードライヤー等により乾燥(S134)される。
【0092】
前記S133により得られた電磁気処理物(S134の乾燥を含む場合あり)は、トンネルキルン、ロータリーキルン等の公知の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1350℃の範囲において焼成(S135)される。窯業系原料Mcに対しても同様に電磁気処理(S140)が行われ、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S141)される。S135の焼成を終えた鉱物系原料Mmと電磁気処理を経た窯業系原料Mcは所定量ずつ計量の後、平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S136)され、均一に混合される。続いて前記S136の粉砕物に対してS133と同様の電磁気処理(S137)が行われ、スプレードライヤー等による乾燥(S138)、前出の分級機(クラシファイヤー)による分級(S139)が行われ、製品DRが得られる。
【0093】
図13に示す加工工程図において、前記図10(b),(c)の製品S,Tは、「製品DS,DT」に相当するものである。前記製品DS,DTは、鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方に電磁気処理を行うものである。製品DSの加工にあっては、窯業系原料Mcへの電磁気処理(S140)は省略され、製品DTの加工にあっては、鉱物系原料Mmへの電磁気処理(S130)は省略される。両製品DS,DTとも、他の処理は製品DRと同様の加工工程を経ることにより得られるものである。前記製品DR,DS,DTの製法においては、電磁気処理をS133及びS137の2回に亘り行うものであるが、いずれか1回あるいは両方において行うかは適宜である。前記製品DR,DS,DTの製法は、請求項12に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0094】
図14に示す加工工程図において、前記図10(a)の製品Rは、「製品ER」に相当するものである。鉱物系原料Mmに対し、前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水中で直流電圧の通電による電磁気処理(S150)が行われ、脱水後、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S151)される。窯業系原料Mcに対しても同様に電磁気処理(S152)が行われ、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S153)される。
【0095】
前記S150の電磁気処理の行われた鉱物系原料(S151の乾燥を含む場合あり)には、前記S152の電磁気処理の行われた窯業系原料(S153の乾燥を含む場合あり)の一部が添加され、ボールミル、振動ミル等の公知の粉砕手段を用い平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S154)される。前記S154において粉砕された粉砕物は前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水(適宜追加)との混合によりスラリー状態となり攪拌されながら直流電圧の通電による電磁気処理(S155)が行われる。続いて、公知の乾燥手段であるスプレードライヤー等により乾燥(S156)され、トンネルキルン、ロータリーキルン等の公知の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1350℃の範囲において焼成(S157)される。
【0096】
前記S157の焼成を終えた焼成物に前記電磁気処理の行われた窯業系原料がさらに添加され、前出の粉砕手段により再度平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S158)される。前記S158の粉砕物に対してS155と同様の電磁気処理(S159)、スプレードライヤー等による乾燥(S160)が行われ、再度前出の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1350℃の範囲において焼成(S161)される。そして、前出の粉砕手段により平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S162)後、前記S162の粉砕物に対してS155と同様の電磁気処理(S163)、スプレードライヤー等による乾燥(S160)が行われ、前出の分級機(クラシファイヤー)による分級(S165)が行われ、製品ERが得られる。
【0097】
図16に示す加工工程図において、前記図10(b),(c)の製品S,Tは、「製品ES,ET」に相当するものである。前記製品ES,ETは、鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方に電磁気処理を行うものである。製品ESの加工にあっては、窯業系原料Mcへの電磁気処理(S152)は省略され、製品ETの加工にあっては、鉱物系原料Mmへの電磁気処理(S150)は省略される。両製品ES,ETとも、他の処理は製品ERと同様の加工工程を経ることにより得られるものである。前記製品ER,ES,ETの製法においては、電磁気処理をS155,S159及びS163の3回に亘り行うものであるが、いずれか1回あるいは1〜3回の適宜回数行うものである。前記製品ER,ES,ETの製法は、請求項13に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0098】
加えて、図14に示す加工工程図では、前記S159により得られた電磁気処理物(S160の乾燥を含む場合あり)は、造粒・成型(S166)において、適宜粒径の造粒物に造粒、あるいは平板状,ハニカム状等の各種形状の成型物に成形される。前記造粒には公知の造粒機あるいはプレス成型機が用いられ、前記成型には公知の成型機が用いられる。得られた造粒物・成型物は、前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水中で直流電圧の通電による電磁気処理(S167)が行われ、脱水後、トンネルキルン、ロータリーキルン等の公知の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1500℃の範囲において焼成(S168)され、製品FRが得られる。これに対し、製品FS,FTは、製品ES,ETに述べたとおり鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方に電磁気処理を行う以外は、製品ERと同様の加工工程を経ることにより得られるものである。前記製品FR,FS,FTの製法においては、電磁気処理をS155,S159及びS167の3回に亘り行うものであるが、いずれか1回あるいは1〜3回の適宜回数行うものである。前記製品FR,FS,FTの製法は、請求項14に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0099】
図14において、窯業系原料Mcに酸化チタン(アナターゼ)が含まれる場合、酸化チタンはS157の焼成後に添加され、2回目の焼成(S161,S168)では、酸化チタンのルチル化を防ぐため、800〜1100℃、好ましくは800〜1000℃の焼成温度で焼成される。
【0100】
図15の概略工程図を用い、鉱物系原料,窯業系原料に対し、原料段階において電磁気処理を行い、さらに加工を終えた段階において再度電磁気処理を行うマイナスイオン発生セラミック物質の製法について説明する。
【0101】
図15(a)は、予め鉱物系原料及び窯業系原料の両方に対し、電磁気処理を行い、両原料を用いて粉砕、造粒、焼成等の適宜の加工を行い、当該加工を終えた後に再度電磁気処理を行い製品Uを得るものである。原料となる鉱物系原料及び窯業系原料の両方ともに電磁気処理の効果が期待される場合に用いることが好ましい製法である。なお、前記鉱物系原料及び窯業系原料の両方を予め所定重量ずつ秤量した後、両原料を一括して電磁気処理を行うことも可能である。
【0102】
図15(b)は、予め電磁気処理を行った鉱物系原料と非電磁気処理の窯業系原料を用いて粉砕、造粒、焼成等の適宜の加工を行い、当該加工を終えた後に再度電磁気処理を行い製品Vを得るものである。
【0103】
図10(c)は、非電磁気処理の鉱物系原料と予め電磁気処理を行った窯業系原料を用いて粉砕、造粒、焼成等の適宜の加工を行い、当該加工を終えた後に再度電磁気処理を行い製品Wを得るものである。
【0104】
上記図15(a)〜(c)の方法に従う場合、所定の製品を製造した上で電磁気処理を行うため、所定の製品の作り置きが可能となり、必要に応じての電磁気処理によって、所望のマイナスイオン発生量への調整が容易となる。また、予め鉱物系原料,窯業系原料のいずれかに電磁気処理を行う理由は、前出の製品Y,Zの製法において詳述するものと同様である。
【0105】
図15(a)〜(c)において示す製品U,製品V,製品Wに関し、これらを製造するための「加工」について、図16及び図17に示す加工工程図を用い詳述する。
【0106】
図16に示す加工工程図において、前記図15(a)の製品Uは、「製品CU」に相当するものである。鉱物系原料Mmに対し、前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水中で直流電圧の通電による電磁気処理(S200)が行われ、脱水後、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S201)される。別途、窯業系原料Mcに対しても同様に電磁気処理(S202)が行われ、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S203)される。電磁気処理の行われた両原料Mm及びMcは所定量ずつ計量され、ボールミル、振動ミル等の公知の粉砕手段を用い平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S204)され、公知の乾燥手段であるスプレードライヤー等により乾燥(S205)される。
【0107】
前記S204の粉砕物(S205の乾燥を含む場合あり)は、造粒・成型(S206)において、適宜粒径の造粒物に造粒、あるいは平板状,ハニカム状等の各種形状の成型物に成形される。前記造粒には公知の造粒機あるいはプレス成型機が用いられ、前記成型には公知の成型機が用いられる。得られた造粒物・成型物は、トンネルキルン、ロータリーキルン等の公知の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1500℃の範囲において焼成(S207)され、前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水中で直流電圧の通電による電磁気処理(S208)が行われる。脱水後、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S209)され、製品CUが得られる。
【0108】
図16に示す加工工程図において、前記図15(b),(c)の製品V,Wは、「製品CV,CW」に相当するものである。前記製品CV,CWは、鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方に電磁気処理を行うものである。製品CVの加工にあっては、窯業系原料Mcへの電磁気処理(S202)は省略され、製品CWの加工にあっては、鉱物系原料Mmへの電磁気処理(S200)は省略される。両製品CV,CWとも、他の処理は製品CUと同様である。前記製品CU,CV,CWの製法は、請求項15に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0109】
前記製品CUの製法においては、所定量ずつ計量された鉱物系原料と窯業系原料とを一括して同時に電磁気処理することもできる。なお特に、図16において窯業系原料Mcに酸化チタン(アナターゼ)が含まれる場合、前記S207の焼成温度帯では酸化チタンがアナターゼからルチル化する。このようなルチル化を防ぐため、800〜1100℃、好ましくは800〜1000℃の範囲で焼成される。
【0110】
図17に示す加工工程図において、前記図15(a)の製品Uは、「製品FU」に相当するものである。鉱物系原料Mmに対し、前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水中で直流電圧の通電による電磁気処理(S210)が行われ、脱水後、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S211)される。窯業系原料Mcに対しても同様に電磁気処理(S212)が行われ、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S213)される。
【0111】
前記S210の電磁気処理の行われた鉱物系原料(S213の乾燥を含む場合あり)には、前記S212の電磁気処理の行われた窯業系原料(S213の乾燥を含む場合あり)の一部が添加され、ボールミル、振動ミル等の公知の粉砕手段を用い平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S214)される。続いて前出の乾燥手段であるスプレードライヤー等による乾燥(S215)が行われ、トンネルキルン、ロータリーキルン等の公知の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1350℃の範囲において焼成(S216)される。
【0112】
S216の焼成を終えた焼成物に前記電磁気処理の行われた窯業系原料がさらに添加され、前出の粉砕手段により再度平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S217)され、スプレードライヤー等により乾燥(S218)が行われる。前記S217の粉砕により得られた粉砕物(S218の乾燥を含む場合あり)は、造粒・成型(S219)において、適宜粒径の造粒物に造粒、あるいは平板状,ハニカム状等の各種形状の成型物に成形される。得られた造粒物,成型物は、トンネルキルン、ロータリーキルン等の公知の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1500℃の範囲において焼成(S220)され、前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水中で直流電圧の通電による電磁気処理(S221)が行われる。脱水後、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S222)され、製品FUが得られる。
【0113】
図17に示す加工工程図において、前記図15(b),(c)の製品V,Wは、「製品FV,FW」に相当するものである。前記製品FV,FWは、鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方に電磁気処理を行うものである。製品FVの加工にあっては、窯業系原料Mcへの電磁気処理(S212)は省略され、製品FWの加工にあっては、鉱物系原料Mmへの電磁気処理(S210)は省略される。他の処理は製品FUと同様の加工工程を経ることにより得られるものである。前記製品FU,FV,FWの製法は、請求項16に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0114】
図17において、窯業系原料Mcに酸化チタン(アナターゼ)が含まれる場合、酸化チタンはS216の焼成後に添加され、2回目の焼成(S220)では、酸化チタンのルチル化を防ぐため、800〜1100℃、好ましくは800〜1000℃の焼成温度で焼成される。
【0115】
これまでに図示し詳述した粉砕とは、主に湿式による粉砕である。粉砕には湿式粉砕と乾式粉砕の2種類が存在する。粉砕にあたり乾式粉砕を用いる場合、鉱物系原料又は鉱物系原料と窯業系原料の混合物を平均粒径5μm以下の微粒子に粉砕するときは、特に鉱物系原料中の各成分の硬度が異なるため粉砕むらが生じやすくなる。その結果、一部の粉砕粒子が集塵機に引き寄せられるため、含有成分(元素)のバランスが崩れるおそれがあるため、マイナスイオンの発生量(照射線量)への影響を考慮し、湿式粉砕とすることが望ましい。湿式による粉砕に際し、沈殿防止のため窯業系原料Mcに粘土を含める他、別途粘土類を2〜5重量%程度添加することもある。また、粘土類に代えて塩化カルシウム、塩化マグネシウム等、有機バインダー(カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等)を沈殿防止剤として添加することもできる。なお、粉砕をハンマーミル、ジェットミル等を用い乾式で行った場合は、粉砕に続いて行われる乾燥は省略できる。
【0116】
前述の図中における焼成は、原料中の揮発成分、結晶水、有機物等の除去を促すものである。特に直前の粉砕により表面積を拡大するため、揮発、除去の効果が高まる。同時に、例えばジルコン(ZrSiO4)等の原料鉱石中の微量成分として含まれる放射性同位元素を焼結させ、微量成分中の放射性同位元素が以降の加工において分離を防ぐことができる。すなわち、以降に続く粉砕、乾燥、分級工程中の分離をはじめ、本発明のセラミック物質を利用した最終製品(マイナスイオン発生製品)を製造する場合等、他の原料に本発明のマイナスイオン発生セラミック物質を混合し加工する工程時に、微量成分中の放射性同位元素が分離することを防ぐ目的である。そのため、本発明のセラミック物質のように、予め焼成(焼結)を行うことにより、微量成分(放射性同位元素)の製造工程中の分離は抑制され、最終製品中の微量成分(放射性同位元素)の濃度は、本発明のセラミック物質の添加量に比して増加し、ひいては、マイナスイオンの発生量が安定する効果が示される(後述の実施例及び図18参照)。
【0117】
特に本発明にあっては、後述する実施例のサンプルの試作より明らかなとおり、粉砕を行うことによって10μm以下の微粒子化すると、粉砕しないものに比べ表面積が増加し、微量成分に含まれる放射性同位元素から放射される放射線量が単位面積当たりで増加し、マイナスイオンの発生量が多くなる。とりわけ焼成を行うものについては、焼成熱による固着もしくは固溶体となり、粒径が大きくなるため、粉砕する必要がある。従って、本発明の製法により得られたマイナスイオン発生セラミック物質(製品AX,AY,AZ,BX,BY,BZ,DX,DY,DZ,EX,EY,EZ,AR,AS,AT,BR,BS,BT,DR,DS,DT,ER,ES,ET)は、良好なマイナスイオン発生源である微粒子として塗料、樹脂、繊維、紙等に添加する際に分散されやすく、加工原料として利用度が高まる。さらに窯業系原料に酸化チタンを添加した場合も粉砕により表面積が増加するため触媒効果がより一層向上する。
【0118】
また、本発明の製法により得られたマイナスイオン発生セラミック物質(製品CX,CY,CZ,FX,FZ,FW,CR,CS,CT,FR,FS,FT,CU,CV,CW,FU,FV,FW)のうち、造粒物又は平板状の成型物は、マイナスイオン発生源として、床に敷き詰めたりや壁に貼り付ける他、浴槽に入れる等の利用が想定される。この場合、造粒物の粒径は利便性を考慮して3〜30mmの適宜の粒径が例示される。また、平板状の成型物も強度維持上十分な適宜の大きさとされ、表面に凹凸を付することも可能である。さらに、ハニカム状の成型物にあっては、内部の貫通孔内に空気や水を通すことにより、空気や水のマイナスイオン量を効率よく上昇させることができる。なお、貫通孔の孔径は1〜10mmが好適なものとして例示される。
【0119】
なお、前出の各加工工程図における粉砕において、平均粒径の2倍を超える粒子及び平均粒径の半分長を下回る粒子の含有量は、総量の5重量%以下とすることが望ましい。平均粒径はレーザ回折/散乱方式による粒度測定装置により測定した。
【0120】
【実施例】
[原料鉱石の電磁気処理]
図1及び図2に記載の選鉱プロセスにより選鉱されたピュアジルコン(54)に対して電磁気処理を行い、マイナスイオンの個数の経時変化を観察した。図3に示す電磁気処理装置10(絶縁性容器15)に前記ピュアジルコンを2kg(粒径約0.8mmの砂状物)投入し、水で完全に満たし浸漬した。
【0121】
絶縁性の支持材17により固定された銅製の陽極側電極板13とアルミニウム製の陰極側電極板14をピュアジルコンと水の入った絶縁性樹脂容器15に挿入し、トランス16の正極と陽極側電極板13、負極と陰極側電極板14を配線18により接続した。トランス16により、交流100Vの交流電圧を16Vの直流電圧に変圧し、2〜48時間連続して電磁気処理(通電)を行った。また、前記処理開始から48時間経過後、該処理を終了し、マイナスイオンの個数の変化を引き続き測定した。なお、表中の48時間経過後までは電磁気処理を行い、72時間経過時からは非電磁気処理状態である。
【0122】
次にマイナスイオンの個数の測定について、図4を用いて説明する。図4は、前記図3に示した電磁気処理装置10(絶縁性容器15)を2−2線の位置の断面を表すものである。マイナスイオン測定器20の本体部分を絶縁性樹脂容器15の縁15hに押し当て、前記測定器20の測定部21をピュアジルコンが含まれる水面w側に向け、飛散するマイナスイオンの個数を測定した。測定にあたり、測定部21と水面wまでの距離kを常に5cmとなるようにした。また、中央部の測定においては、両電極の電極板13,14の中間点に測定部21を位置するようにして測定した。
【0123】
マイナスイオンの個数の測定には、(株)エコホリスティック社製のイオンテスターEB−12Aを使用した。前記測定器により、発生するマイナスイオンの個数を10回ずつ測定し、1cm3当たりの存在個数の平均を表6に示した。また、表6に示す中央部の変化は、通電(電磁気処理)を行う前に測定したマイナスイオンの個数との比較を表したものである。
【0124】
通電(電磁気処理)を行う前に測定したマイナスイオンの個数は、1233個/cm3であり、通電開始時の室温は25℃、湿度は48%であった。また、通電と併せて、磁気の変化をアナログ磁気検知器(TriField MeterAlphaLab Inc,製)により測定した結果、約2T(0.2mG)(通電開始前)から250T(25mG)(48時間通電後)に増加した。
【0125】
【表6】
【0126】
[加工処理ごとのマイナスイオン発生量の評価]
前出のピュアジルコン(54)(粒径約0.8mmの砂状物)に対し、図18に示す各工程に従い粉砕、電磁気処理、焼成及びこれらの組み合わせによる加工を施し、実用段階のサンプルにおけるマイナスイオン発生量を計測した。図18中に示すとおり、サンプルIないしIIIはピュアジルコン(54)に対し、それぞれ粉砕、電磁気処理、焼成を行ったものである。サンプルIVないしVIはそれぞれピュアジルコン(54)に対し粉砕、電磁気処理、焼成の順序を変えながら3種類の処理を行ったものである。サンプルIVは電磁気処理,粉砕,焼成の順により処理し、サンプルVは粉砕,電磁気処理,焼成の順により処理し、サンプルVIは粉砕,焼成,電磁気処理の順により処理したものである。
【0127】
各サンプルに対して行われた粉砕は、ボールミルを使用し、ピュアジルコン(砂状物)の平均粒径を2.5μmになるまで湿式粉砕したものである。電磁気処理は前記と同様の方法に基づき、電磁気処理装置10を用い16Vの直流電圧を42時間通電した。焼成は、トンネルキルンを使用し、1200〜1300℃の加熱温度とした。また、焼成熱により溶解し粒径が大きくなるため、サンプルIVないしVIの焼成後には適宜粉砕が行われる。なお、湿式粉砕後、スプレードライヤーにより乾燥した。
【0128】
サンプルから発生したマイナスイオンの個数を測定するにあたり、前記マイナスイオン測定器20(EB12−A(エコホリスティック社製))の精度や測定場所の環境などを調べるために、予めスタンダードを測定し、その測定値が基準値の範囲内に入ることを確認することにした。スタンダードの作成については、ピュアジルコンを粉砕して得た一定量の粉砕物をシリコーン樹脂に練り込んで加工し、マイナスイオン測定器20の測定部21(円形状の検知部で内径4.5cm)と同様の型にカットすることにより作成した。このスタンダードから発生するマイナスイオンの個数をマイナスイオン測定器20により100回測定し、平均値とその標準偏差を算出した。
【0129】
未処理のピュアジルコン(54)及びサンプルIないしVIのそれぞれについて50gずつ秤量し、前記マイナスイオン測定器20の測定部21の外径とほぼ同径である直径7cm、高さ3cmの円筒形の透明樹脂製からなる専用容器内に封入した。前記容器の上部に測定部21をあてながら未処理のピュアジルコン(53)及びサンプルIないしVIより発生するマイナスイオンの1cm3当たりの個数をそれぞれ12回測定し、最大値と最小値を除いた10回の平均値をそれぞれ求め、この結果を表7に示した。なお、表中の増加率とは、未処理のピュアジルコン(54)から発生するマイナスイオンの個数(1332個/cm3)を基準とし、各サンプルから発生するマイナスイオン個数の増加量を表したものである。
【0130】
【表7】
【0131】
表7の結果から理解されるとおり、粉砕、電気加工、焼成のいずれの工程も、これらの工程を行わない場合に比べて、ピュアジルコンからのマイナスイオンの発生量を増加させることができる。さらに、粉砕、電気加工、焼成の3種類の工程が全て含まれている場合は、その工程の順序にかかわらず、これら3種類の工程のうち、1種類のみが行われた場合に比べて、ピュアジルコンからのマイナスイオンの発生量がさらに増加していることが分かる。
【0132】
[窯業系原料の電磁気処理]
鉱物系原料に続き前記表4及び表5に示した窯業系原料(珪石(101)〜石灰石(109))に対しても前出のピュアジルコン(54)と同様の条件下、24時間の電磁気処理を行った。なお、前記各窯業系原料のうち、粘土以外は粒径1mmの砂状体を用いた。また粘土については、前記電磁気処理装置10内で適宜攪拌を行いながら電磁気処理を行った。電磁気処理を終えた後、前記各窯業系原料(珪石(101)〜石灰石(109))を適宜乾燥し、50gずつ秤量して前出の透明樹脂製の専用容器内に封入後、マイナスイオン発生量を測定した。また、電磁気処理を行っていない窯業系原料も別途取り分け、50gずつ秤量して前出の透明樹脂製の専用容器内に封入後、同様にマイナスイオン発生量を測定し、電磁気処理の有無の評価を試みた。
【0133】
【表8】
【0134】
上記表8に示すとおり、窯業系原料を構成する各原料においては、概ねシリカ成分(SiO2)の含有量が多いものほど高いマイナスイオン発生量が現れる。なお、マイナスイオン発生量の高低の要因としては、シリカ成分以外の微量元素成分、すなわち放射性同位元素の種類と量が影響するものと考えられる。
【0135】
[鉱物系原料及び窯業系原料の同時電磁気処理]
以上示したとおり、鉱物系原料及び窯業系原料に対する電磁気処理の有効性を確証した発明者らは、前記両原料に対する同時の電磁気処理を試みた。鉱物系原料としてスタンダードジルコン(53)、窯業系原料として長石(102)を用い(ともに粒径約1mmの砂状物)、重量比7:3となるように両砂状物を混ぜ合わせた。スタンダードジルコン・長石砂状混合物2kgを計量し、前出の図3の電磁気処理装置10を用いて24時間、16Vの直流電圧により電磁気処理を行った。
【0136】
さらに鉱物系原料としてバテライト(59)、窯業系原料として長石(102)を用い(ともに粒径約1mmの砂状物)、重量比5:5となるように両砂状物を混ぜ合わせ、バテライト・長石砂状混合物を2kg、スタンダードジルコン(53)のみ2kg、バテライト(59)のみ2kgについても、スタンダードジルコン・長石混合砂状物の場合と同様の条件で電磁気処理を行った。
【0137】
電磁気処理を終えた後、4種類の処理物を適宜乾燥し、50gずつ秤量して前出の透明樹脂製の専用容器内に封入後、マイナスイオン発生量を測定した。また、前記スタンダードジルコン・長石砂状混合物、バテライト・長石砂状混合物、スタンダードジルコンのみ、バテライトのみについては、電磁気処理を行っていない試料を別途取り分け、50gずつ秤量して前出の透明樹脂製の専用容器内に封入後、同様にマイナスイオン発生量を測定し、電磁気処理の有無の評価を試みた。
【0138】
【表9】
【0139】
上記表9から理解されるとおり、スタンダードジルコン・長石砂状混合物は、スタンダードジルコン単体との比較より、マイナスイオン発生量が低下する。しかし、単純に長石との混合重量比に基づく30%減(3077個×0.7=2154個)にはならない。これには混合された長石のマイナスイオン発生量が加味されたものと推察される。一方、バテライト・長石砂状混合物においても、長石との混合重量比に基づく減少分とはならず、混合された長石のマイナスイオン発生量が加味されたものと同様に推察される。
【0140】
また、表9に示すスタンダードジルコンとバテライトとの間では電磁気処理を行った場合のマイナスイオン発生量の増加率に差が生じている。このことは、前記窯業系原料の電磁気処理における発明者らの類推と同様に、原料鉱石に含有されるシリカ成分(SiO2)の量の差に起因するものと示唆される(表2及び表3参照)。
【0141】
[鉱物系原料及び窯業系原料のスラリー状態における電磁気処理]
発明者らは、スラリー状態における電磁気処理の有効性を確認するため、各種適宜の粉砕手段により得られた平均粒径2.5〜10μmの原料粉砕物を水中に分散させてスラリー状態としたものに前述の電磁気処理を行い、マイナスイオン発生量の変化を測定した。
【0142】
鉱物系原料としてダーティドジルコン(52)の2.5μm粉砕物を150gと水150gとを混合してそのまま静置したもの(サンプルi)、同ダーティドジルコン150gと水150gとを適宜攪拌し続けたもの(サンプルii)、窯業系原料として長石(102)の2.5μm粉砕物を150gと水150gとを混合してそのまま静置したもの(サンプルiii)、同長石150gと水150gとを適宜攪拌し続けたもの(サンプルiv)、これら4種類を準備し、各サンプル間におけるマイナスイオン発生量の変化を測定した。
【0143】
前記サンプルi〜ivを絶縁性樹脂製容器に投入し、前出の図3の電磁気処理装置10として用いたトランス16、電極板13,14を転用し、1〜4時間、16Vにて通電を行った。サンプルii,ivにおいては、絶縁樹脂製の棒を用い、原料が沈殿しないように適宜攪拌し続けた。マイナスイオンの個数の測定については、前出の(株)エコホリスティック社製のイオンテスターEB−12Aを使用し、各サンプルi〜ivの液面からマイナスイオン測定器の測定部までが常に1.5cmとなるように設定して測定した。
【0144】
【表10】
【0145】
上記表10から理解されるとおり、電磁気処理(通電)を行っていない0時間の測定値よりもいずれのサンプルとも電磁気処理時間の増加に伴い、マイナスイオン発生個数の増加は認められた。とりわけ、サンプルii,ivにみられるようにスラリー状物を攪拌させながら電磁気処理を行った場合には、顕著にマイナスイオン発生量が増加することが判明したため、攪拌は鉱物系原料及び窯業系原料のいずれに対しても電磁気処理の効果を高めるものといえる。
【0146】
[加工後における電磁気処理]
さらに、発明者らは、製品として加工し終えたマイナスイオン発生セラミック物質に対する電磁気処理の有効性を確認するため、以下の電磁気処理を含めない加工に基づき作成したマイナスイオン発生セラミック物質について、事後的に電磁気処理を行い、そのマイナスイオン発生量の変化を測定した。
【0147】
ピュアジルコン(54):48重量部、バテライト(59):48重量部、フリット(103):4重量部の3種類の原料(いずれも電磁気処理を行っていない。)をボールミルにより湿式粉砕後、スプレードライヤーにより乾燥を行った。当該乾燥物をトンネルキルンにおいて1250℃で焼成し、再度湿式粉砕後、スプレードライヤーにより乾燥を行い、前記3種類の原料からなる粉末状物を得た。併せて、前記粉末状物と同様の原料を同様の配合比率として、ボールミルにより湿式粉砕後、スプレードライヤーにより乾燥を行った。当該乾燥物を造粒機により粒径約5mmの略球状体に造粒してトンネルキルンにおいて1250℃で焼成し、前記粉末状物と同様の3種類の原料からなる造粒物を得た。なお、前記粉末状物及び造粒物の加工に際し、粉砕時にはそれぞれ、2〜5重量%の粘土を別途添加した。
【0148】
前記加工により得られた粉末状物及び造粒物をそれぞれ2kg計量し、前出の電磁気処理装置10を用いて24時間、16Vの直流電圧により電磁気処理を行った。当該電磁気処理後、粉末状物及び造粒物を適宜乾燥し、50gずつ秤量して前出の透明樹脂製の専用容器内に封入後、マイナスイオン発生量を測定した。併せて、前記加工により得られた粉末状物及び造粒物の中から50gずつを別途秤量して前出の透明樹脂製の専用容器内に封入後、同様にマイナスイオン発生量を測定し、電磁気処理の有無の評価を試みた。
【0149】
【表11】
【0150】
上記表11より理解されるとおり、加工後に電磁気処理を行った場合、粉砕物及び造粒物の双方ともマイナスイオン発生量の増加に十分効果があることが確認できた。したがって、既に製品となったセラミック物質に対しても事後的に電磁気処理を行うことは、マイナスイオン発生量を増加させる上で有効であると考えられる。
【0151】
[製品の試作]
表12ないし表18に示す配合量(重量%)に基づき、鉱物系原料、窯業系原料等を配合し、図6ないし図9、図11ないし図14、図16、図17に記載の製法に従い、試作例1ないし試作例6として示すとおり予め電磁気処理の行われた原料を用い、各マイナスイオン発生セラミック物質の試作品を製造した。
【0152】
<試作例1>
試作例1における試作品a1〜a10は、図6に示す製法に基づき製造した粉砕物である。以下の表12に試作品a1〜a10の原料組成及び相当する製品を示す。
【0153】
【表12】
【0154】
試作品a1〜a4は、図6の製品AXに相当するものである。すなわち、鉱物系原料と窯業系原料の両方に対してそれぞれ2kgを電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。脱水後、表12中に示す比率を満たすようにボールミルにより湿式粉砕後、スプレードライヤーにより乾燥を行い、エアセパレーターを用いて平均粒径2.5μmの粒子に分級することにより、試作品a1〜a4を試作した。
【0155】
試作品a5,a6は図6の製品AY、試作品a7〜a10は製品AZに相当するものである。すなわち、鉱物系原料又は窯業系原料について、試作品a5,a6は鉱物系原料のみ、試作品a7〜a10は窯業系原料のみ、前出の電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。前記電磁気処理を経た原料を表12中の配合比率に調整し、a1〜a4と同様の加工を行い、試作品a5〜a10を試作した。試作品a3,a4,a9,a10に用いた酸化チタン(111)はアナターゼである。なお、以下の実施例に使用される酸化チタン(111)は全て同様である。
【0156】
図11に示す製品ARの製法については、前出a2の原料組成を用い、試作品を作成した。この試作品は、図示し、前述のとおり、鉱物系原料と窯業系原料の両方に対し、それぞれを電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。脱水後、ボールミルにより湿式粉砕し、当該粉砕物を電磁気処理装置10に投入し、水(適宜追加)との混合によりスラリー状態としたものを攪拌しながらさらに16V、24時間の電磁気処理を行い、スプレードライヤーによる乾燥後、エアセパレーターを用いて平均粒径2.5μmの粒子に分級した。
【0157】
図11に示す製品ASの製法については前出a6の原料組成を用い、製品ATの製法については前出a8の原料組成を用い試作品を作成した。製品ASの製法においては鉱物系原料のみ、製品ATの製法においては窯業系原料のみ、前出の電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。以降は前出の製品ARの製法と同様の加工を行い、試作した。
【0158】
<試作例2>
試作例2における試作品b1〜b17は、図7に示す製法に基づき製造した焼成粉砕物である。以下の表13及び表14に試作品b1〜b17の原料組成及び相当する製品を示す。
【0159】
【表13】
【0160】
【表14】
【0161】
試作品b1〜b5は、図7の製品BXに相当するものである。すなわち、鉱物系原料と窯業系原料の両方に対し、それぞれ2kgを電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。脱水後、表13中に示す比率を満たすように鉱物系原料と窯業系原料を所定量配合してボールミルにより湿式粉砕し、スプレードライヤーにより乾燥を行った。乾燥物をトンネルキルンにおいて1150〜1350℃で焼成し、ボールミルによる湿式粉砕後、スプレードライヤーにより再度乾燥を行い、エアセパレーターを用いて平均粒径2.5μmの粒子に分級することにより、試作品b1〜b5を試作した。
【0162】
試作品b6〜b9は図7の製品BY、試作品b10〜b17は製品BZに相当するものである。すなわち、鉱物系原料又は窯業系原料について、試作品b6〜b9は鉱物系原料のみ、試作品b10〜b17は窯業系原料のみ、前出の電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。前記電磁気処理を経た原料を表13及び表14中の配合比率に調整し、b1〜b5と焼成温度以外は同様の加工を行い、試作品b6〜b17を試作した。なお、試作品b14〜b17は酸化チタンを含むため、トンネルキルンでの焼成温度を800〜850℃とした。
【0163】
図12に示す製品BRの製法については、前出b1,b3の原料組成を用い、試作品を作成した。この試作品は、図示し、前述のとおり、鉱物系原料と窯業系原料の両方に対し、それぞれを電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。脱水後、鉱物系原料と窯業系原料を表中の所定量配合してボールミルにより湿式粉砕し、スプレードライヤーにより乾燥を行った。乾燥物をトンネルキルンにおいて1250〜1350℃で焼成し、ボールミルによる湿式粉砕後、当該粉砕物を電磁気処理装置10に投入して、水(適宜追加)との混合によりスラリー状態としたものを攪拌しながらさらに16V、24時間の電磁気処理を行い、スプレードライヤーにより再度乾燥を行い、エアセパレーターを用いて平均粒径2.5μmの粒子に分級した。実施例では、2回目の粉砕後に電磁気処理を行ったが1回目の粉砕後も電磁気処理を行うこととしてもよい。
【0164】
図12に示す製品BSの製法については前出b7,b9の原料組成を用い、製品BTの製法については前出b12,b16の原料組成を用い試作品を作成した。製品BSの製法においては鉱物系原料のみ、製品BTの製法においては窯業系原料のみ、前出の電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。以降は前出の製品BRの製法と同様の加工を行い、焼成温度のみ変更して試作した。
【0165】
<試作例3>
試作例3における試作品c1〜c10は、図7に示す製法に基づき製造した焼成造粒物である。以下の表15に試作品c1〜c10の原料組成及び相当する製品を示す。
【0166】
【表15】
【0167】
試作品c1,c2は、図7の製品CXに相当するものである。すなわち、鉱物系原料と窯業系原料の両方に対し、それぞれ2kgを電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。脱水後、表15中に示す比率を満たすように鉱物系原料と窯業系原料を所定量配合してボールミルにより湿式粉砕後、スプレードライヤーにより乾燥を行った。乾燥物を造粒機により、粒径約5mmの略球状体に造粒後、造粒物(略球状体)をトンネルキルンにおいて1210〜1290℃で焼成することにより、試作品c1,c2を試作した。
【0168】
試作品c3は図7の製品CY、試作品c4〜c10は製品CZに相当するものである。すなわち、鉱物系原料又は窯業系原料について、試作品c3は鉱物系原料のみ、試作品c4〜c10は窯業系原料のみ、前出の電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。前記電磁気処理を経た原料を表15中の配合比率に調整し、c1,c2と焼成温度以外は同様の加工を行い、試作品c3〜c10を試作した。なお、試作品c7〜b10は酸化チタンを含むため、トンネルキルンでの焼成温度を800〜850℃とした。
【0169】
図12に示す製品CRの製法については、前出c2の原料組成を用い、試作品を作成した。この試作品は、図示し、前述のとおり、鉱物系原料と窯業系原料の両方に対し、それぞれを電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。脱水後、鉱物系原料と窯業系原料を表中の所定量配合してボールミルにより湿式粉砕後、スプレードライヤーにより乾燥を行った。乾燥物を造粒機により、粒径約5mmの略球状体に造粒後した。前記造粒物を前出の電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行い、トンネルキルンにおいて1210℃で焼成した。当該試作品作成にあたり、造粒の際に、原料同士の凝集性を高めるためにカルボキシメチルセルロースを0.01重量%程度添加した。
【0170】
図12に示す製品CTの製法については前出c6の原料組成を用い、試作品を作成した。製品CTの製法においては窯業系原料のみ、前出の電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。以降は前出の製品CRの製法と同様の加工を行い、焼成温度のみ変更して試作した。
【0171】
さらに、図16に示す製品CU,CWの製法については、前出c2,c6の原料組成を用い、試作品を作成した。この試作品は、図示し、前述のとおり、CUは鉱物系原料と窯業系原料の両方(c2の組成)、CWは窯業系原料のみ(c6の組成)を電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。脱水後、鉱物系原料と窯業系原料を表中の所定量配合してボールミルにより湿式粉砕後、スプレードライヤーにより乾燥を行った。乾燥物を造粒機により、粒径約5mmの略球状体に造粒後し、トンネルキルンにおいて1210℃,1180℃で焼成した。前記焼成造粒物を前出の電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行い、脱水後、トンネルキルンを用い400℃雰囲気下において乾燥した。
【0172】
<試作例4>
試作例4における試作品d1〜d6は、図8に示す製法に基づき製造した焼成粉砕物である。以下の表16に試作品d1〜d6の原料組成及び相当する製品を示す。
【0173】
【表16】
【0174】
試作品d1は、図8の製品DXに相当するものである。すなわち、鉱物系原料と窯業系原料の両方に対し、それぞれ2kgを電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。脱水後、表15中に示す比率を満たすように鉱物系原料をボールミルにより湿式粉砕後、スプレードライヤーにより乾燥を行い、トンネルキルンにおいて1300℃で焼成した。続いて窯業系原料を表中の所定量配合して再度ボールミルにより湿式粉砕を行った。湿式粉砕後、スプレードライヤーにより乾燥を行い、エアセパレーターにより平均粒径2.5μmの粒子に分級した。
【0175】
試作品d2は図8の製品DY、試作品d3〜d6は製品DZに相当するものである。すなわち、鉱物系原料又は窯業系原料について、試作品d2は鉱物系原料のみ、試作品d3〜d6は窯業系原料のみ、前出の電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。前記電磁気処理を経た原料を表16中の配合比率に調整し、d1と焼成温度以外は同様の加工を行い、試作品d2〜d6を試作した。
【0176】
図13に示す製品DRの製法については、前出d1の原料組成を用い、試作品を作成した。この試作品は、図示し、前述のとおり、鉱物系原料と窯業系原料の両方に対し、それぞれを電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。脱水後、鉱物系原料をボールミルにより湿式粉砕してスプレードライヤーによる乾燥を行い、トンネルキルンにおいて1300℃で焼成した。ここに前記電磁気処理済みの窯業系原料を表中の所定量配合してボールミルにより湿式粉砕し、当該粉砕物を電磁気処理装置10に投入して、水(適宜追加)との混合によりスラリー状態としたものを攪拌しながらさらに16V、24時間の電磁気処理を行い、スプレードライヤーにより再度乾燥を行い、エアセパレーターを用いて平均粒径2.5μmの粒子に分級した。実施例では、2回目の粉砕後に電磁気処理を行ったが1回目の粉砕後にも電磁気処理を行うこととしてもよい。
【0177】
<試作例5>
試作例5における試作品e1〜e9は、図9に示す製法に基づき製造した焼成粉砕物である。以下の表17に試作品e1〜e9の原料組成及び相当する製品を示す。
【0178】
【表17】
【0179】
試作品e1,e2は、図9の製品EXに相当するものである。すなわち、鉱物系原料と窯業系原料のそれぞれに対し、各2kgを電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。脱水後、鉱物系原料と表中の窯業系原料の一部(粘土,長石等の一部)をボールミルにより湿式粉砕し、スプレードライヤーにより乾燥を行い、乾燥物をトンネルキルンにおいて1200〜1290℃(焼成温度−1)で焼成した。前記焼成物に窯業系原料の残りを添加し、ボールミルにより湿式粉砕を行った。なお、窯業系原料に酸化チタン(111)を含むものは、当該粉砕において酸化チタンを添加した。粉砕物をスプレードライヤーによる乾燥の後、トンネルキルンにおいて800〜1250℃(焼成温度−2)で焼成し、再度ボールミルによる湿式粉砕を行い、スプレードライヤーによる乾燥の後、エアセパレーターにより平均粒径2.5μmの粒子に分級し、試作品e1,e2を試作した。
【0180】
試作品e3は図9の製品EYに相当し、試作品e4〜e9は製品EZに相当するものである。すなわち、鉱物系原料又は窯業系原料について、試作品e3は鉱物系原料のみ、試作品e4〜e9は窯業系原料のみ、前出の電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。前記電磁気処理を経た原料を表17中の配合比率に調整し、e1,e2と焼成温度以外は同様の加工を行い、試作品e3〜e9を試作した。なお、窯業系原料に酸化チタンを含むものは、トンネルキルンでの焼成温度(焼成温度−2)を800〜900℃とした。
【0181】
図14に示す製品ERの製法については、前出e2の原料組成を用い、試作品を作成した。この試作品は、図示し、前述のとおり、鉱物系原料と窯業系原料の両方に対し、それぞれを電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。脱水後、鉱物系原料と表中の窯業系原料の一部(粘土,長石等の一部)をボールミルにより湿式粉砕し、スプレードライヤーにより乾燥を行い、乾燥物をトンネルキルンにおいて1200℃(焼成温度−1)で焼成した。前記焼成物に窯業系原料の残りを添加し、ボールミルにより湿式粉砕を行った。当該粉砕物を電磁気処理装置10に投入して、水(適宜追加)との混合によりスラリー状態としたものを攪拌しながらさらに16V、24時間の電磁気処理を行い、スプレードライヤーによる乾燥の後、トンネルキルンにおいて800℃(焼成温度−2)で焼成し、窯業系原料の酸化チタン(111)を添加して再度ボールミルによる湿式粉砕を行い、スプレードライヤーによる乾燥の後、エアセパレーターにより平均粒径2.5μmの粒子に分級した。
【0182】
図14に示す製品ESの製法については前出e3の原料組成を用い、製品ETの製法については前出e4の原料組成を用い試作品を作成した。製品ESの製法においては鉱物系原料のみ、製品ETの製法においては窯業系原料のみ、前出の電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。以降は前出の製品ERの製法と同様の加工を行い、焼成温度のみ変更して試作した。実施例では電磁気処理を鉱物系原料と窯業系原料のそれぞれに行ったものと、両原料の混合粉砕物に行ったものの合計で2回行ったが、むろん2回以上が可能であることは言うまでもない。
【0183】
<試作例6>
試作例6における試作品f1〜f9は、図9に示す製法に基づき製造した焼成粉砕物である。以下の表18に試作品f1〜f9の原料組成及び相当する製品を示す。
【0184】
【表18】
【0185】
試作品f1〜f3は、図9の製品FXに相当するものである。すなわち、鉱物系原料と窯業系原料のそれぞれに対し、各2kgを電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。脱水後、鉱物系原料と表中の窯業系原料の一部(粘土,長石等の一部)をボールミルにより湿式粉砕し、スプレードライヤーにより乾燥を行い、乾燥物をトンネルキルンにおいて1220〜1320℃(焼成温度−1)で焼成した。前記焼成物に窯業系原料の残りを添加し、ボールミルにより湿式粉砕後、スプレードライヤーによる乾燥を行った。当該乾燥物を造粒機により、粒径約5mmの略球状体に造粒後、造粒物(略球状体)をトンネルキルンにおいて850〜1250℃(焼成温度−2)で焼成することにより、試作品f1〜f3を試作した。
【0186】
試作品f4は図9の製品FY、試作品f5〜f9は製品FZに相当するものである。すなわち、鉱物系原料又は窯業系原料について、試作品f4は鉱物系原料のみ、試作品f5〜f9は窯業系原料のみ、前出の電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。前記電磁気処理を経た原料を表18中の配合比率に調整し、f1〜f3と焼成温度以外は同様の加工を行い、試作品f4〜f9を試作した。なお、試作品に酸化チタンが含まれる場合にはトンネルキルンでの焼成温度(焼成温度−2)を800〜850℃とした。
【0187】
図14に示す製品FRの製法については、前出f3の原料組成を用い、試作品を作成した。この試作品は、図示し、前述のとおり、鉱物系原料と窯業系原料の両方に対し、それぞれを電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。脱水後、鉱物系原料と表中の窯業系原料の一部(フリット等の一部)をボールミルにより湿式粉砕し、スプレードライヤーにより乾燥を行い、乾燥物をトンネルキルンにおいて1220〜1320℃(焼成温度−1)で焼成した。前記焼成物に窯業系原料の残りを添加し、ボールミルにより湿式粉砕を行った。当該粉砕物を電磁気処理装置10に投入して、水(適宜追加)との混合によりスラリー状態としたものを攪拌しながらさらに16V、24時間の電磁気処理を行い、スプレードライヤーにより乾燥を行った。当該乾燥物を造粒機により、粒径約5mmの略球状体に造粒後した。前記造粒物をトンネルキルンにおいて850℃(焼成温度−2)で焼成した。
【0188】
図14に示す製品FSの製法については前出のf4の原料組成を用い試作品を作成した。製品FSの製法においては、鉱物系原料のみ、電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。以降は、前出の製品FRの製法と同様の加工を行い、焼成温度のみ変更して作成した。実施例では電磁気処理を鉱物系原料と窯業系原料のそれぞれに行ったものと、両原料の混合粉砕物に行ったものの合計で2回行ったが、むろん2回以上が可能であることは言うまでもない。また、電磁気処理を造粒(成形)後であり、焼成前に行う場合には、前記したとおり、造粒の際に、原料同士の凝集性を高めるためにカルボキシメチルセルロースを0.01重量%程度添加することが望ましい。
【0189】
さらに、図17に示す製品FU,FVの製法については、前出のf3,f4の原料組成を用い、試作品を作成した。この試作品は、図示し、前述のとおり、FUは鉱物系原料と窯業系原料の両方(f3の組成)、FVは鉱物系原料のみ(f4の組成)を電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。脱水後、鉱物系原料と表中の窯業系原料の一部(フリット等の一部)をボールミルにより湿式粉砕し、スプレードライヤーにより乾燥を行い、乾燥物をトンネルキルンにおいて1220〜1320℃(焼成温度−1)で焼成した。前記焼成物に窯業系原料の残りを添加し、ボールミルにより湿式粉砕後、スプレードライヤーによる乾燥を行った。当該乾燥物を造粒機により、粒径約5mmの略球状体に造粒後、造粒物(略球状体)をトンネルキルンにおいて850〜1250℃(焼成温度−2)で焼成した。前記焼成造粒物を電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行い、脱水後、トンネルキルンを用い400℃雰囲気下において乾燥した。
【0190】
本発明のマイナスイオン発生セラミック物質の製法においては、以上の説明及び実施例に明記した原料、加工手段に限定されるものではなく、他の原料、加工手段を適切に選択し、組み合わせることができる。例えば請求項に掲げた電磁気処理を行う電磁気処理装置を量産可能な規模に拡大する場合、コンクリート製水槽の内側を樹脂により絶縁処理を施したものが検討される。このコンクリート製水槽内に鉱物系原料、窯業系原料と、水とを投入後、適宜の直流電圧による、電磁気処理を行うものである。
【0191】
さらに、鉱物系原料、窯業系原料の粉砕物と水との混合によるスラリー状物に対しては、プロペラ等(絶縁部材)による攪拌を伴いながら電磁気処理を実施することが望ましい。
【0192】
なお、マイナスイオン発生セラミック物質の製造において、鉱物系原料と窯業系原料の両方に対して電磁気処理を行うにあたり、マイナスイオン発生セラミック物質を構成する原料の構成比、電磁気処理の効果の発現性が勘案され、必ずしも当該両原料の全量に対して電磁気処理を行う必要はない場合がある。例えば、電磁気処理の効果が期待できる原料鉱石には電磁気処理を行い、これに電磁気処理の効果が期待できない原料鉱石(電磁気処理せず)を組み合わせて鉱物系原料とする場合等である。
【0193】
【発明の効果】
以上図示し説明したように、請求項1に係るマイナスイオン発生セラミック物質の製法の発明によると、鉱物系原料及び窯業系原料の両方に対して直流電圧を通電する電磁気処理を行うため、両原料から発生するマイナスイオン量を増加させることができ、使用する原料鉱石種及びその産地間による放射線量のばらつきが解消され、所望のマイナスイオン発生量を有するセラミック物質への加工及び調整の負担が軽減する。さらには、より少ない放射線量の原料鉱石の使用が可能となり、放射線強度に関する各種法令の規制値の回避が容易になる。
【0194】
また、請求項2に係るマイナスイオン発生セラミック物質の製法の発明によると、鉱物系原料もしくは窯業系原料のいずれか一方に対して直流電圧を通電する電磁気処理を行うため、鉱物系原料であって、電磁気処理によるマイナスイオン発生量の増加率が大きく期待できない原料を用いる場合は、配合される窯業系原料自体に電磁気処理を行うことにより、窯業系原料がマイナスイオン発生量を補助的に高め、使用可能な鉱物系原料(原料鉱石)の種類を拡張することが可能となる。
【0195】
同様に窯業系原料であって、電磁気処理によるマイナスイオン発生量の増加率が大きく期待できない原料を用いる場合も、配合される鉱物系原料自体に電磁気処理を行うことにより、マイナスイオン発生量を高めることができ、使用可能な窯業系原料の種類を拡張することが可能となる。
【0196】
請求項3ないし16に係るマイナスイオン発生セラミック物質の製法の発明によると、直流電圧を通電する電磁気処理とともに、粉砕を加えることにより、微粒子化することに伴い表面積が増加し、マイナスイオン発生量の効率が向上する。
【0197】
さらに、加工時に焼成を加えた場合、微量成分中の放射性同位元素が焼結し、製品加工時において放射性同位元素の分離を防ぐことができるため、製品としての放射線量の一定化(調整)が容易になり、マイナスイオンの発生量の増加及び安定化が可能となる。
【0198】
特に、請求項5,8,11,14,15,16に係るマイナスイオン発生セラミックス物質の製法によると、造粒又は所定形状に成型を行うことにより、微量成分中の放射性同位元素の焼結と同時に造粒物又は成型物自体の強度が増し、粒状体やハニカム体等としての使用にも対応可能となる。
【0199】
加えて、請求項3ないし16に係るマイナスイオン発生セラミック物質の製法の発明によると、電磁気処理は、原料に行う場合(請求項3ないし請求項8)、原料及び加工工程中に行う場合(請求項9ないし請求項14)、原料及び完成品に行う場合(請求項15,請求項16)に大別され、適宜の段階で電磁気処理ができるため、所望のマイナスイオン発生量への調整、製造設備の処理能力等を勘案して最適な段階に設定することが可能である。
【0200】
請求項17に係るマイナスイオン発生セラミック物質の製法の発明によると、マイナスイオンに由来する環境改善効果及び生理的機能改善効果に加え、酸化チタンの触媒作用も付加されるため、消臭、抗菌、防汚効果が強化され、窯業、建材、塗料、繊維、生活用品等の利用に有効かつ好適なマイナスイオン発生セラミック物質を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の原料鉱石の選鉱プロセスを示す第一概略図である。
【図2】この発明の原料鉱石の選鉱プロセスを示す第二概略図である。
【図3】この発明の電磁気処理に用いる電磁気処理装置の斜視図である。
【図4】図3の2−2線の位置で切断した状態の断面図である。
【図5】本発明の第一実施例に係る概略工程図である。
【図6】第一実施例の製造に係る第一加工工程図である。
【図7】第一実施例の製造に係る第二加工工程図である。
【図8】第一実施例の製造に係る第三加工工程図である。
【図9】第一実施例の製造に係る第四加工工程図である。
【図10】本発明の第二実施例に係る概略工程図である。
【図11】第二実施例の製造に係る第一加工工程図である。
【図12】第二実施例の製造に係る第二加工工程図である。
【図13】第二実施例の製造に係る第三加工工程図である。
【図14】第二実施例の製造に係る第四加工工程図である。
【図15】本発明の第三実施例に係る概略工程図である。
【図16】第三実施例の製造に係る第一加工工程図である。
【図17】第三実施例の製造に係る第二加工工程図である。
【図18】加工処理評価に係るサンプル試作の概略工程図である。
【符号の説明】
10 電磁気処理装置
13 陽極側電極板
14 陰極側電極板
16 トランス
20 マイナスイオン測定器
21 測定部
Mm 鉱物系原料
Mc 窯業系原料
【発明の属する技術分野】
この発明は、マイナスイオン発生セラミック物質の製法に関し、特に原料物質、加工段階さらには完成したマイナスイオン発生セラミック物質に直流電圧を通電するマイナスイオン発生セラミック物質の製法である。
【0002】
【従来の技術】
近年、マイナスイオンの働きについて、消臭、抗菌、防濁等の環境改善効果の他、疲労回復、免疫機能の向上等をはじめとする生理的機能の改善効果も報告され、とりわけ、関心が高まりつつある。
【0003】
前記のマイナスイオンについて、その生成方法には、レナード効果を利用して水に衝撃を与える方法、空気放電等が知られている。これらの方法によると、水の処理に要する設備の増設やオゾンの発生等の不具合もみられる。このため近年では、安価かつ容易にマイナスイオンを生成させる方法として微量放射線の有するエネルギーの応用が主流となり、種々の天然鉱石が利用される傾向にある。前記種々の天然鉱石中には、極微量の放射性同位元素が含まれ、放射性壊変を行うことにより、α線,β線,γ線の天然放射線が常時放射される。前記の各放射線は、水又は空気中の水分子からH3O+,OH−,・OH等の種々のラジカル様物質を生成することが知られ、直接マイナスイオンとして作用するものの他、他の分子に作用しマイナスイオンを発生させるものであると考えられる(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
上記のとおり、放射性同位元素を含有する鉱石からは容易にマイナスイオンが得られるため、利用頻度が高まり多彩な製品が開発されている。とりわけ鉱石種にトルマリンを用いるものが多用されている。しかしながら、トルマリンそのものから放射される放射線量は極端に低く、単独でマイナスイオン生成に寄与する励起エネルギーは、ほとんどないことが報告されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
したがって、所望のマイナスイオン発生体を得ようとする場合、トルマリン以外の鉱石を使用しなければならず、より多くのマイナスイオンを得ようとすると、いきおい放射線量を高めることにつながり、安全管理上の相反が懸念される。そのため、モナザイト等の鉱石を用いつつ長石等のバインダーを適宜添加し、単位重量中の放射線量を抑制しながらマイナスイオンの発生量を高めた材料が報告されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
しかるに、放射性同位元素を含有する各種鉱石中の天然放射線を利用し、マイナスイオンを発生させようとするものは、使用する鉱石種及びその産地により、放射線量のばらつきが大きく、各種鉱石を適宜加工し製品化する場合、製造工程中に放射性同位元素を含む成分が気散、分離するなどの欠損が生じるため、一定の放射線量を得ることが難しく、マイナスイオンの発生量の安定化が容易でなかった。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−102866号公報(第4,5頁)
【特許文献2】
特許3306790号公報(第2,3頁)
【特許文献3】
特許3085182号公報(第4−6頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
発明者らは、以前に開示した製法において、原料鉱石に対し、直流電圧を通電する電磁気処理を行うことにより、原料鉱石より得られるマイナスイオン発生量が増大することを発見した。
【0009】
その後、各種原料鉱石に対して前記電磁気処理を行った結果、原料鉱石の種類によっては、マイナスイオン発生量の増加率に差が生じることを明らかにした。この結果を踏まえ、発明者らは鋭意検討を行い、原料鉱石中に含有されるシリカ成分(SiO2)が多い原料鉱石と少ない原料鉱石との間にマイナスイオン発生量の増加率に差が生じることを見いだした。さらに、原料鉱石に添加される長石等のバインダーとして用いられる窯業系原料に対しても前記電磁気処理を行った結果、非処理の窯業系原料との間において、マイナスイオン発生量の増加率に有意差を確認することができた。
【0010】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであり、原料物質段階、加工段階さらには完成したマイナスイオン発生セラミック物質に直流電圧を通電する電磁気処理を行い、原料物質由来の放射線量を抑制しながらもマイナスイオンの発生量を安定化かつ増加させるマイナスイオン発生セラミック物質の製法をここに提案するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち、請求項1の発明は、ウラン元素又はウラン系列核種あるいはトリウム元素又はトリウム系列核種の少なくともいずれかが含有される原料鉱石を1種類以上とする鉱物系原料と、窯業系原料とを加えたマイナスイオン発生セラミック物質であって、前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方を水中に浸漬した後、直流電圧を通電する電磁気処理を行うことを特徴とするマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0012】
請求項2の発明は、ウラン元素又はウラン系列核種あるいはトリウム元素又はトリウム系列核種の少なくともいずれかが含有される原料鉱石を1種類以上とする鉱物系原料と、窯業系原料とを加えたマイナスイオン発生セラミック物質であって、前記鉱物系原料もしくは前記窯業系原料のいずれか一方を水中に浸漬した後、直流電圧を通電する電磁気処理を行うことを特徴とするマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0013】
請求項3の発明は、前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記両原料をともに混合し、粉砕する工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0014】
請求項4の発明は、前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記両原料を混合し粉砕する工程と、前記粉砕後に焼成する工程と、前記焼成後に粉砕する工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0015】
請求項5の発明は、前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記両原料を混合し粉砕する工程と、前記粉砕物を所定形状に造粒又は成型する工程と、前記造粒物又は成型物を焼成する工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0016】
請求項6の発明は、前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記鉱物系原料を粉砕し、焼成する工程と、該焼成された鉱物系原料と前記窯業系原料とを混合し粉砕する工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0017】
請求項7の発明は、前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記鉱物系原料を粉砕し、焼成する工程と、該焼成された鉱物系原料と前記窯業系原料とを混合し粉砕する工程と、前記粉砕後に焼成する工程と、前記焼成後に粉砕する工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0018】
請求項8の発明は、前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記鉱物系原料を粉砕し、焼成する工程と、該焼成された鉱物系原料と前記窯業系原料とを混合し粉砕する工程と、前記粉砕物を所定形状に造粒又は成型する工程と、前記造粒物又は成型物を焼成する工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0019】
請求項9の発明は、前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記両原料を混合し粉砕する工程と、前記粉砕後に当該混合粉砕物に対し、再度前記電磁気処理を行う工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0020】
請求項10の発明は、前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記両原料を混合し粉砕する工程と、前記粉砕後に焼成する工程と、前記焼成後に粉砕する工程を含み、少なくともいずれかの粉砕工程の後、再度当該粉砕物に対して前記電磁気処理を行う工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0021】
請求項11の発明は、前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記両原料を混合し粉砕する工程と、前記粉砕物を所定形状に造粒又は成型する工程と、前記造粒物又は成型物を焼成する工程とを含み、少なくともいずれかの前記粉砕後もしくは造粒又は成形後において、再度当該粉砕物もしくは造粒物又は成型物に対して前記電磁気処理を行う工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0022】
請求項12の発明は、前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記鉱物系原料を粉砕し、焼成する工程と、該焼成された鉱物系原料と、前記窯業系原料とを混合し粉砕する工程とを含み、少なくともいずれかの粉砕の後、再度当該粉砕物に対して前記電磁気処理を行う工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0023】
請求項13の発明は、前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記鉱物系原料を粉砕し、焼成する工程と、該焼成された鉱物系原料と、前記窯業系原料とを混合し粉砕する工程と、前記粉砕後に焼成する工程と、前記焼成後に粉砕する工程を含み、少なくともいずれかの粉砕の後、再度当該粉砕物に対して前記電磁気処理を行う工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0024】
請求項14の発明は、前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記鉱物系原料を粉砕し、焼成する工程と、前記焼成した鉱物系原料と、前記窯業系原料とを混合し粉砕する工程と、前記粉砕物を所定形状に造粒又は成型する工程と、前記造粒物又は成型物を焼成する工程を含み、少なくともいずれかの前記粉砕後もしくは造粒又は成形後において、再度当該粉砕物もしくは造粒物又は成型物に対して前記電磁気処理を行う工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0025】
請求項15の発明は、前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記両原料を混合し粉砕する工程と、前記粉砕物を所定形状に造粒又は成型する工程と、前記造粒物又は成型物を焼成する工程と、前記焼成した造粒物又は成型物に対して再度前記電磁気処理を行う工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0026】
請求項16の発明は、前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記鉱物系原料を粉砕し、焼成する工程と、前記焼成した鉱物系原料と、前記窯業系原料とを混合し粉砕する工程と、前記粉砕物を所定形状に造粒又は成型する工程と、前記造粒物又は成型物を焼成する工程と、前記焼成した造粒物又は成型物に対して再度前記電磁気処理を行う工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0027】
請求項17の発明は、前記窯業系原料には、酸化チタンが含まれることを特徴とする請求項1ないし16のいずれか1項に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法に係る。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下添付の図面に従って本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の原料鉱石の選鉱プロセスを示す第一概略図、図2は本発明の原料鉱石の選鉱プロセスを示す第二概略図、図3は本発明の電磁気処理に用いる電磁気処理装置の斜視図、図4は図3の2−2線の位置で切断した状態の断面図である。
【0029】
本発明において、ウラン元素又はウラン系列核種あるいはトリウム元素又はトリウム系列核種の少なくともいずれかが含有される原料鉱石とは、ウラン元素又はトリウム元素の各種化合物を含有する鉱石の他、ウラン元素又はトリウム元素から放射性壊変を伴い生じた元素(化合物を含む)を含有する鉱石であり、含有される種類はいずれか1種又は複数種を問わない。ウラン系列核種は、238Uを親核種とし、226Ra、214Pb、214Bi等を経た後、206Pbに至る放射性崩壊を行う一連の核種であり、トリウム系列核種は、232Thを親核種とし、228Ac、212Pb、208Tl、212Bi等を経た後、208Pbに至る放射性崩壊を行う一連の核種である。このようにウラン元素又ウラン系列核種あるいはトリウム元素又はトリウム系列核種に含まれる各元素が1種類もしくは2種類以上が含有される原料鉱石であり、当該原料鉱石を1種類又は2種類以上を組み合わせたものが鉱物系原料である。なお、ウラン元素には、238Uに加え、他の同位体を含むものである。
【0030】
前記ウラン元素又ウラン系列核種あるいはトリウム元素又はトリウム系列核種の少なくともいずれかが含有される原料鉱石は、「原子力委員会月報 昭和31年 第1巻第6号」等によると、少なくとも100種類以上が知られている。下記の表1には、ウラン元素又はトリウム元素の各種化合物を含有する鉱石のうち主要なものを原料番号1〜39として明記する。表1において、各原料鉱石中のウラン元素又はトリウム元素は、ウラン元素、トリウム元素の酸化物(U2O8,ThO2)として概ね表記の範囲内で当該鉱石に含有される。
【0031】
【表1】
【0032】
表1に記載の原料鉱石において、ウラン,トリウム成分の含有量、入手容易性及び保管設備等を考慮し、デーヴィッド石(5)、ユーゼン石(6)、フェルグソン石(7)、石川石(8)、ポリクレース(9)、パイロクロア(10)、サマルスキー石(11)、トロゴム石(19)、ラウヴ石(31)、イットロクラサイト(34)、ジッケル鉱(35)、褐れん石(36)、苗木石(37)が好適であり、後述の実施例の鉱物系原料に挙げられる。
【0033】
前出の鉱物系原料に加え、図1に示す選鉱プロセスにより分離されるもの及び図2の選鉱プロセスに用いられる原料番号51〜63のヘビーミネラルコンセントレイト(重砂)、ダーティジルコン、スタンダードジルコン、ピュアジルコン、プライムジルコン、モナザイト原砂、イットリュウム原砂(ゼノタイム)、イルメナイト中間品、バテライト、ジルコニア、バストネサイト、セリウム鉱石、ランタン鉱石が後述の実施例に挙げられる。
【0034】
図1において、出発原料であるヘビーミネラルコンセントレイト(重砂)(51)は、オーストラリア、南アフリカ、ブラジル、インド、ロシア、ウクライナ、ベトナム、アメリカ合衆国、マレーシア、インドネシア、中国等の産地より、主に酸性火成岩が風化して堆積した漂砂鉱床からジルコンサンドとして産出する。特に東南アジアでは、錫やセリサイト、金を採取した後の重砂(アマン)に含まれるものである。前記ヘビーミネラルコンセントレイト(51)からは、磁力選鉱及び静電選鉱を経ることによりルチルが分離されダーティジルコン(52)が得られる。このとき磁性を持つ鉱石はイルメナイト中間品(58)として分離され、スタンダードジルコン(53)が得られる。さらに静電選鉱を経ることによりピュアジルコン(54)とモナザイト原砂(56)が得られる。モナザイト原砂(56)から適宜選鉱を経た後、イットリュウム原砂(ゼノタイム)(57)が得られる。前記ピュアジルコン(54)からは、酸洗い及び磁力選鉱を経ることによりプライムジルコン(55)が得られ、さらにジルコニウムの組成比率を高めたものがバテライト(59)及びジルコニア(60)である。
【0035】
図2に示す、バストネサイト(61)は、主にアメリカ合衆国、中国等のカーボナイト鉱床から、鉄、チタン、錫、ウラン、トリウム等を採掘した際の副産物として得られるものである。バストネサイト(61)をさらに選鉱することにより、セリウムに富むセリウム鉱石(62)とランタンに富むランタン鉱石(63)が得られる。
【0036】
原料鉱石51〜63は、以下の表2及び表3に記載の成分より組成される。表中において、数値は単位重量あたりの重量パーセントを表す。なお、上記原料鉱石51〜63の組成成分は、理学電気工業株式会社製の蛍光X線分析装置(RIX3000)により分析されたものである。
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
図1に示す選鉱プロセスにおいて、鉱山から産出される原料鉱石の純度・含有量の他、選鉱精度(例えば、選鉱時の磁力の強さ、選鉱の回数等)が大きく異なるため、原料鉱石51〜63の組成成分は、必ずしも表2及び表3に示す組成分布に拘泥されるものではない。なお、表1中のジルコン(13)はダーティジルコン(53)、ゼノタイム(12)はイットリュウム原砂(ゼノタイム)(57)、モナザイト(39)はモナザイト原砂(56)に相当するものである。
【0040】
本発明に用いられる窯業系原料とは、主に後述の粉砕、焼成、造粒・成型の工程において、粉砕中の鉱物成分の分離を防ぐ目的の他、焼成時の鉱物系原料の焼結及び固着性を高めるものである。そこで、融着性、耐火温度を考慮し、シリカ成分(SiO2)を含む以下の原料の中から必要に応じて適宜選択され、前記鉱物系原料とともに加工されることにより、マイナスイオン発生セラミック物質が製造される。
【0041】
前記窯業系原料は、珪酸質原料(珪石、珪砂、珪藻土)、長石質原料(カリ長石(KAlSi3O8)、ソーダ長石(NaAlSi3O8)、灰長石(CaAl2Si2O8))、粘土質原料(カオリン、耐火粘土、木節粘土、蛙目粘土、陶石、セリサイト、モンモリロナイト、ベントナイト、ろう石)、石灰質及びマグネシア原料(石灰、ドロマイト、タルク、かんらん石、蛇紋岩)、ガラス原料(ガラス、フリット)、その他(パーライト、しらす、沸石、珪灰石、アルミナ質原料、酸化チタン)等であり、適宜の種類、配合比のもと、前記鉱物系原料に添加される。前出の中から主要な窯業系原料の組成成分を原料番号101〜109として表4及び表5に示す。なお、前記原料番号101〜109の窯業系原料の組成成分は、鉱物系原料と同様に理学電気工業株式会社製の蛍光X線分析装置(RIX3000)により分析されたものである。
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】
上記珪酸質原料において、シリカ成分(SiO2)は、概ね90重量%以上含有され、長石質原料及び粘土質原料において、同成分は、概ね50〜80重量%含有される。なお、上記の窯業系原料の大半は天然物であるため、鉄、マグネシウム等をはじめとする各種金属(化合物)が極微量含有される。
【0045】
また、前出の窯業系原料には、請求項17に規定するように、酸化チタン(TiO2)が含まれる場合がある。前記酸化チタン(TiO2)は、太陽光に含まれる紫外線等の照射により光触媒としての機能を発揮し、消臭、抗菌、防濁等の種々の分野において強力な効果を発現することが知られている。このため、窯業系原料中に添加することにより、前述の衛生効果を高める上で好ましい。なお、酸化チタン(TiO2)には、ルチル、アナターゼ、ブルッカイトの3つの多形が存在すると言われる。
【0046】
本発明において、電磁気処理は、前記鉱物系原料、窯業系原料のいずれか一方もしくは両方、または加工段階の加工途中品、さらには完成したマイナスイオン発生セラミック物質を絶縁製の容器あるいはタンクに投入後、前記の原料、加工途中品、製品等が完全に埋没するように注水して浸漬する。続いて水中に浸漬する原料(加工途中品、セラミック物質製品を含む)に対し、直流電圧を通電する処理である。このように電圧の通電(電磁気処理)を行うことにより、被処理物(鉱物系原料,窯業系原料,加工途中品,セラミック物質製品)から発せられるマイナスイオン量を増加させようとする処理である。なお、電磁気処理は、必ずしも使用する鉱物系原料の全量、窯業系原料の全量に行うものではない。後述する図9のように窯業系原料をその種類に応じ複数回に分けて混合する場合などは、ある混合時の窯業系原料にのみ電磁気処理を行うだけでもよい。また、窯業系原料が酸化チタンを含む場合は、酸化チタン以外の原料に電磁気処理を行うものである。
【0047】
前記電磁気処理について、図3を用い詳述する。電磁気処理装置10は、ポリプロピレン等の絶縁性樹脂容器15に、絶縁性の支持材17により固定された陽極側電極板13と陰極側電極板14を挿入し、トランス16と両極の電極板13,14を配線18により接続したものである。トランス16は、交流100V等の交流電圧を適宜の直流電圧(後述の実施例においては16Vの直流電圧)に変圧するものである。陽極側電極板13にはトランス16の正極が接続され、陰極側電極板14には負極が接続される。
【0048】
絶縁性樹脂容器15に鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方もしくは両方、加工途中品、さらにはセラミック物質製品を投入後、被処理物を完全に埋没させるように注水し浸漬する。続いて絶縁性樹脂容器15内の被処理物及び水に対し、トランス16により変圧された直流電圧を通電して電磁気処理を行う。所定時間通電後に排水し、被処理物を適宜乾燥して後述の加工、乾燥、出荷等に供する。
【0049】
前記電磁気処理に際し、直流電圧の通電は後述の実施例から明らかなように8ないし72時間行われ、対象物(鉱物系原料,窯業系原料,加工途中品,セラミック物質製品)のマイナスイオン発生量を増加させるものである。発明者らの実験によると、電磁気処理を行う対象の質量、電圧によっても電磁気処理時間は異なるため、マイナスイオン発生量の顕著な増加には、電磁気処理を行う対象の質量、電圧等を考慮して適切に設定される必要がある。
【0050】
本発明のマイナスイオン発生セラミック物質を製造するにあたり、後述するピュアジルコンとバテライトの電磁気処理の実施例に示すとおり、発明者らは、鉱物系原料の種類によっては前記電磁気処理の効果、すなわちマイナスイオン発生量の増加率にばらつきが生じることを明らかにした。この結果より、前記電磁気処理の効果は、鉱物系原料の合計全重量に占めるシリカ成分(SiO2)の存在比率の影響を受ける可能性があると推察される。またさらに、発明者らは、実施例に示すとおり窯業系原料についても鉱物系原料と同様の電磁気処理を行った結果、マイナスイオン発生量の増加率を確認した(後記表9)。すなわち、電磁気処理の効果が、発現し難い種類又は組成からなる鉱物系原料に対し、電磁気処理を行った窯業系原料を加えることにより、前記鉱物系原料のマイナスイオン発生量を補完し、増加させる作用が示唆される。
【0051】
鉱物系原料として用いられる原料鉱石は、必ずしもどの種類の鉱石もシリカ成分(SiO2)を十分量含有するものとは限らない。そのため、電磁気処理によりマイナスイオン発生量の高い増加率を期待すると、使用可能な原料鉱石の種類が限定されるため、原料調達に支障を来した場合の代替品不足に陥る。また、原料鉱石のうち、加工の容易性や放射線強度等は有望とされるものの、シリカ成分(SiO2)を十分量含有しないために黙殺することにもなりかねない。そこで、シリカ成分(SiO2)の含有量の低い原料鉱石からなる鉱物系原料に対しても配合される窯業系原料に電磁気処理を行うことによってマイナスイオン発生量の増加率を高め、マイナスイオン発生セラミック物質の製造に利用可能な鉱物種を拡張するものである。
【0052】
前出の鉱物系原料に対する窯業系原料の配合比は、後述の粉砕、焼成、成型等の製法により製造されるマイナスイオン発生セラミック物質の利用目的、耐久性等を考慮し最適な珪石、長石等の窯業系原料が選択、配合される。さらに、鉱物系原料として用いられる原料鉱石の種類に応じて該原料鉱石に含有される放射性同位元素から放射される線量を勘案し、原子力基本法、核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律をはじめとする各種の法律、政令、規則等における保管、取り扱い上の放射線強度を規制値以下(370Bq/g以下、特にタイル等の生活用品に使用する塗料、建材中に配合する場合は74Bq/g以下)に希釈するように設定される。
【0053】
図5の概略工程図を用い、鉱物系原料,窯業系原料に対し、原料段階において電磁気処理を行うマイナスイオン発生セラミック物質の製法について説明する。
【0054】
図5(a)は、鉱物系原料及び窯業系原料の両方に対し、それぞれ電磁気処理を行うものである。すなわち、前記鉱物系原料を電磁気処理用の容器内で水中に浸漬し直流電圧の通電による電磁気処理を行う。また別途、前記窯業系原料も電磁気処理用の容器内で水中に浸漬し直流電圧の通電による電磁気処理を行う。前記電磁気処理を終えた鉱物系原料及び窯業系原料の両原料を用い、粉砕、焼成等の適宜の加工を行い製品Xを得るものである。原料となる鉱物系原料及び窯業系原料の両方ともに電磁気処理の効果が期待される場合に用いられる製法である。なお、前記鉱物系原料及び窯業系原料の両方を予め所定重量ずつ秤量した後、両原料を電磁気処理用の容器に投入し、一括して電磁気処理を行うことも可能である。前記製品Xの製法は、請求項1に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0055】
図5(b)は、鉱物系原料のみ電磁気処理を行い、非電磁気処理の窯業系原料を添加し加工するものである。前述したとおり、鉱物系原料の合計全重量中に占めるSiO2の重量いかんによっては電磁気処理の効果に差が生じるため、鉱物系原料に対する効果がより期待される場合、前記鉱物系原料のみを電磁気処理用の容器内で水中に浸漬し直流電圧の通電による電磁気処理を行い、前記電磁気処理を終えた鉱物系原料に窯業系原料を添加し、粉砕、焼成等の適宜の加工を行い製品Yを得るものである。前記製品Yの製法は、請求項2に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0056】
図5(c)は、窯業系原料のみ電磁気処理を行い、これを非電磁気処理の鉱物系原料に添加し加工するものである。前述より明らかなように、鉱物系原料の電磁気処理による効果が大きく求められない場合、前記窯業系原料を電磁気処理用の容器内で水中に浸漬し電圧の通電による電磁気処理を行う。前記電磁気処理を終えた窯業系原料を鉱物系原料に添加、粉砕、焼成等の適宜の加工を行い製品Zを得るものである。前記製品Zの製法も、請求項2に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0057】
上記図5(a)〜(c)の製法に従う場合、鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方又は両方を予め電磁気処理するため、該各原料の作り置きが可能となり、原料同士の配合比率を加工時に調整することができる。また、鉱物系原料及び窯業系原料の両方に電磁気処理を行う場合(図5(a)の場合)のみ、一括して1つの処理装置で電磁気処理が可能なため、単一配合比率の製品の量産に好適である。
【0058】
図5(a)〜(c)において示す製品X,製品Y,製品Zに関し、これらを製造するための「加工」について、図6ないし図9に示す加工工程図を用い詳述する。
【0059】
図6に示す加工工程図において、前記図5(a)の製品Xは、「製品AX」に相当するものである。鉱物系原料Mmに対し、前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備(絶縁処理を施したタンク、水槽等)において、水中で直流電圧の通電による電磁気処理(S10)が行われる。鉱物系原料は脱水後、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S11)される。別途、窯業系原料Mcに対しても同様に電磁気処理(S12)が行われ、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S13)される。電磁気処理の行われた両原料Mm及びMcは所定量ずつ計量され、ボールミル、振動ミル等の公知の粉砕手段を用い平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S14)される。続いて公知の乾燥手段であるスプレードライヤー、フィルタープレス(脱水乾燥機)、デカンター(遠心分離脱水乾燥機)により乾燥(S15)される。S15の乾燥物は分級(S16)において、エアセパレーター、サイクロン等の公知の分級機(クラシファイヤー)により均一の粒径に揃えられ、製品AXが得られる。前記製品AXの製法においては、所定量ずつ計量された鉱物系原料と窯業系原料とを一括して同時に電磁気処理することもできる。
【0060】
図6に示す加工工程図において、前記図5(b),(c)の製品Y,Zは、「製品AY,AZ」に相当するものである。前記製品AY,AZは、鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方に電磁気処理を行うものである。製品AYの加工にあっては、鉱物系原料Mmに電磁気処理(S10)が行われ、窯業系原料Mcへの電磁気処理(S12)は省略される。一方、製品AZの加工にあっては、窯業系原料Mcに電磁気処理(S12)が行われ、鉱物系原料Mmへの電磁気処理(S10)は省略される。両製品AY,AZとも、S14の粉砕以降の処理は製品AXと同様である。前記製品AX,AY,AZの製法は、請求項3に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0061】
前記乾燥(S11,S16)は、鉱物系原料,窯業系原料に含まれる水分を蒸発させ、鉱物系原料同士又は鉱物系原料と窯業系原料との配合比率(重量%)を明確にするためである。以降の図に示す乾燥(S21,S23,S41,S49,S51,S53,S101,S103,S111,S113,S131,S141,S151,S153,S201,S203,S211,S213)も同目的によるものである。ただし、例えば図6中のS10,S12の電磁気処理後、ボールミル等により湿式で粉砕を行う場合は、鉱物系原料,窯業系原料の含水率を予め検査し、量を補正した電磁気処理済み鉱物系原料,窯業系原料をそのままボールミルに投入して粉砕できるため、S11,S13をはじめとする乾燥は省略可能である。一方、振動ミルを用いて乾式粉砕を行う場合には、いずれの原料とも乾燥が必要となる。また、加工により得られた製品の純度等により粉砕後の乾燥や分級まで求められないこともある。そのため、図6を含め、以降の図において、かっこ囲みの表記は必要に応じて行われ、適宜省略可能である。なお、鉱物系原料、窯業系原料の計量に際し、付着水を取り除くため予め乾燥しておくことが望ましい。
【0062】
図7に示す加工工程図において、前記図5(a)の製品Xは、「製品BX」に相当するものである。鉱物系原料Mmに対し、前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水中で直流電圧の通電による電磁気処理(S20)が行われ、脱水後、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S21)される。別途、窯業系原料Mcに対しても同様に電磁気処理(S22)が行われ、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S23)される。電磁気処理の行われた両原料Mm及びMcは所定量ずつ計量され、ボールミル、振動ミル等の公知の粉砕手段を用い平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S24)される。続いて公知の乾燥手段であるスプレードライヤー等により乾燥(S25)される。
【0063】
前記S24の粉砕ににより得られた粉砕物(S25の乾燥を含む場合あり)は、トンネルキルン、ロータリーキルン等の公知の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1350℃の範囲において焼成(S26)され、平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S27)される。続いてスプレードライヤー等による乾燥(S28)、前出の分級機(クラシファイヤー)による分級(S29)が行われ、製品BXが得られる。
【0064】
図7に示す加工工程図において、前記図5(b),(c)の製品Y,Zは、「製品BY,BZ」に相当するものである。前記製品BY,BZは、鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方に電磁気処理を行うものである。製品BYの加工にあっては、窯業系原料Mcへの電磁気処理(S22)は省略され、製品BZの加工にあっては、鉱物系原料Mmへの電磁気処理(S20)は省略される。両製品BY,BZとも、S24の粉砕以降の処理は製品BXと同様である。前記製品BX,BY,BZの製法は、請求項4に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0065】
加えて、図7に示す加工工程図では、前記S24の粉砕により得られた粉砕物(S25の乾燥を含む場合あり)は、造粒・成型(S30)において、適宜粒径の造粒物に造粒、あるいは平板状,ハニカム状等の各種形状の成型物に成形される。前記造粒には公知の造粒機あるいはプレス成型機が用いられ、前記成型には公知の成型機が用いられる。得られた造粒物,成型物は、トンネルキルン、ロータリーキルン等の公知の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1500℃の範囲において焼成(S31)され、製品CXが得られる。これに対し、製品CY,CZは、製品BY,BZに述べたとおり鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方に電磁気処理を行う以外は、製品CXと同様の加工工程を経ることにより得られるものである。前記製品CX,CY,CZの製法は、請求項5に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0066】
前記製品BX,CXの製法においては、所定量ずつ計量された鉱物系原料と窯業系原料とを一括して同時に電磁気処理することもできる。なお特に、図7において窯業系原料Mcに酸化チタン(アナターゼ)が含まれる場合、前記S26及びS31の焼成温度帯では酸化チタンがアナターゼからルチル化する。このようなルチル化を防ぐため、800〜1100℃、好ましくは800〜1000℃の範囲で焼成される。
【0067】
図8に示す加工工程図において、前記図5(a)の製品Xは、「製品DX」に相当するものである。鉱物系原料Mmに対し、前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水中で直流電圧の通電による電磁気処理(S40)が行われ、脱水後、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S41)される。乾燥を経た鉱物系原料は、ボールミル、振動ミル等の公知の粉砕手段を用い平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S42)され均一に混合され、スプレードライヤー等により乾燥(S43)され、トンネルキルン、ロータリーキルン等の公知の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1350℃の範囲において焼成(S44)される。窯業系原料Mcに対しても同様に電磁気処理(S48)が行われ、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S49)される。
【0068】
S44の焼成を終えた鉱物系原料Mmと電磁気処理を経た窯業系原料Mcは所定量ずつ計量の後、平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S45)され、均一に混合される。続いて公知の乾燥手段であるスプレードライヤー等により乾燥(S46)され、前出の分級機(クラシファイヤー)による分級(S47)が行われ、製品DXが得られる。
【0069】
図8に示す加工工程図において、前記図5(b),(c)の製品Y,Zは、「製品DY,DZ」に相当するものである。前記製品DY,DZは、鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方に電磁気処理を行うものである。製品DYの加工にあっては、窯業系原料Mcへの電磁気処理(S48)は省略され、製品DZの加工にあっては、鉱物系原料Mmへの電磁気処理(S40)は省略される。両製品DY,DZとも、他の処理は製品DXと同様の加工工程を経ることにより得られるものである。前記製品DX,DY,DZの製法は、請求項6に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0070】
図9に示す加工工程図において、前記図5(a)の製品Xは、「製品EX」に相当するものである。鉱物系原料Mmに対し、前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水中で直流電圧の通電による電磁気処理(S50)が行われ、脱水後、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S51)される。窯業系原料Mcに対しても同様に電磁気処理(S52)が行われ、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S53)される。
【0071】
前記S50の電磁気処理の行われた鉱物系原料(S51の乾燥を含む場合あり)には、前記S52の電磁気処理の行われた窯業系原料(S53の乾燥を含む場合あり)の一部が添加され、ボールミル、振動ミル等の公知の粉砕手段を用い平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S54)される。続いて前出の乾燥手段であるスプレードライヤー等による乾燥(S55)が行われ、トンネルキルン、ロータリーキルン等の公知の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1350℃の範囲において焼成(S56)される。
【0072】
S56の焼成を終えた焼成物に前記電磁気処理の行われた窯業系原料がさらに添加され、前出の粉砕手段により再度平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S57)される。続いてスプレードライヤー等により乾燥(S58)が行われ、再度前出の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1350℃の範囲において焼成(S59)される。そして、前出の粉砕手段により平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S60)後、再びスプレードライヤー等により乾燥(S61)され、前出の分級機(クラシファイヤー)による分級(S62)が行われ、製品EXが得られる。
【0073】
図9に示す加工工程図において、前記図5(b),(c)の製品Y,Zは、「製品EY,EZ」に相当するものである。前記製品EY,EZは、鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方に電磁気処理を行うものである。製品EYの加工にあっては、窯業系原料Mcへの電磁気処理(S52)は省略され、製品EZの加工にあっては、鉱物系原料Mmへの電磁気処理(S50)は省略される。他の処理は製品EXと同様の加工工程を経ることにより得られるものである。前記製品EX,EY,EZの製法は、請求項7に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0074】
加えて、図9に示す加工工程図では、前記S57の粉砕により得られた粉砕物(S58の乾燥を含む場合あり)は、造粒・成型(S63)において、適宜粒径の造粒物に造粒、あるいは平板状,ハニカム状等の各種形状の成型物に成形される。前記造粒には公知の造粒機あるいはプレス成型機が用いられ、前記成型には公知の成型機が用いられる。得られた造粒物,成型物は、トンネルキルン、ロータリーキルン等の公知の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1500℃の範囲において焼成(S64)され、製品FXが得られる。これに対し、製品FY,FZは、製品EY,EZに述べたとおり鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方に電磁気処理を行った以外は、製品FXと同様の加工工程を経ることにより得られるものである。前記製品FX,FY,FZの製法は、請求項8に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0075】
前記窯業系原料Mcは、長石類(好ましくは新島長石あるいは、しらす長石)、ガラス、フリット類及び必要に応じて任意量配合された粘土類により構成される。特に図9の焼成(S56)前にはこれらの中から長石類、ガラス、フリット類の一部が適宜添加される。前出の窯業系原料Mcの一部は、鉱物系原料MmとともにS54において粉砕される。窯業系原料Mc中の長石類、ガラス、フリット類の一部を焼成前に予め添加することにより、焼成時の耐火温度を調節し、微量元素成分の揮発を抑制することが可能となる。
【0076】
前出のS56の焼成を終えた原料に対し、窯業系原料Mcの残り(長石類、ガラス、フリット類、粘土類)が添加される。前出の窯業系原料Mcは、耐火温度調節に加え、焼成(S59)時の焼結バインダーとして利用される。前記製品EX,EY,EZ,FX,FY,FZは、1回の焼成のみから製造される製品と比して、焼結を強固なものとすることができる。
【0077】
図9において、窯業系原料Mcに酸化チタン(アナターゼ)が含まれる場合、酸化チタンはS57の焼成後に添加され、2回目の焼成(S59,S64)では、酸化チタンのルチル化を防ぐため、800〜1100℃、好ましくは800〜1000℃の焼成温度で焼成される。
【0078】
図10の概略工程図を用い、鉱物系原料,窯業系原料に対し、原料段階において電磁気処理を行い、さらに加工段階において再度電磁気処理を行うマイナスイオン発生セラミック物質の製法について説明する。
【0079】
図10(a)は、予め鉱物系原料及び窯業系原料の両方に対し、電磁気処理を行い、両原料を用いて粉砕、造粒、焼成等の適宜の加工を行い、当該加工中に再度電磁気処理を行い製品Rを得るものである。原料となる鉱物系原料及び窯業系原料の両方ともに電磁気処理の効果が期待される場合に用いることが好ましい製法である。なお、前記鉱物系原料及び窯業系原料の両方を予め所定重量ずつ秤量した後、両原料を一括して電磁気処理を行うことも可能である。
【0080】
図10(b)は、予め電磁気処理を行った鉱物系原料と非電磁気処理の窯業系原料を用いて粉砕、造粒、焼成等の適宜の加工を行い、当該加工中に再度電磁気処理を行い製品Sを得るものである。
【0081】
図10(c)は、非電磁気処理の鉱物系原料と予め電磁気処理を行った窯業系原料を用いて粉砕、造粒、焼成等の適宜の加工を行い、当該加工中に再度電磁気処理を行い製品Tを得るものである。
【0082】
上記図10(a)〜(c)の方法に従う場合、電磁気処理を複数回に亘り行うため、強熱減量(ignition loss)等による加工中の放射性同位元素成分の損失に伴うマイナスイオン発生量の低減に対して有効である。また、予め鉱物系原料,窯業系原料のいずれかに電磁気処理を行う理由は、前出の製品Y,Zの製法において詳述するものと同様である。
【0083】
図10(a)〜(c)において示す製品R,製品S,製品Tに関し、これらを製造するための「加工」について、図11ないし図14に示す加工工程図を用い詳述する。
【0084】
図11に示す加工工程図において、前記図10(a)の製品Rは、「製品AR」に相当するものである。鉱物系原料Mmに対し、前出の図3等の適宜電磁気処理設備において、水中で直流電圧の通電による電磁気処理(S100)が行われる。鉱物系原料は脱水後、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S101)される。別途、窯業系原料Mcに対しても同様に電磁気処理(S102)が行われ、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S103)される。電磁気処理の行われた両原料Mm及びMcは所定量ずつ計量され、ボールミル、振動ミル等の公知の粉砕手段を用い平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S104)される。前記両原料Mm,Mcの粉砕物は前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水(適宜追加)との混合によりスラリー状態となり攪拌されながら直流電圧の通電による電磁気処理(S105)が行われる。続いて公知の乾燥手段であるスプレードライヤー、フィルタープレス(脱水乾燥機)、デカンター(遠心分離脱水乾燥機)等により乾燥(S106)される。S106の乾燥物は分級(S107)において、エアセパレーター、サイクロン等の公知の分級機(クラシファイヤー)により均一の粒径に揃えられ、製品ARが得られる。前記製品ARの製法においても、所定量ずつ計量された鉱物系原料と窯業系原料とを一括して同時に電磁気処理することもできる。
【0085】
図11に示す加工工程図において、前記図10(b),(c)の製品S,Tは、「製品AS,AT」に相当するものである。前記製品AS,ATは、鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方に電磁気処理を行ったものである。製品ASの加工にあっては、窯業系原料Mcへの電磁気処理(S102)は省略され、製品ATの加工にあっては、鉱物系原料Mmへの電磁気処理(S100)は省略される。両製品AS,ATとも、S104の粉砕以降の処理は製品ARと同様である。前記製品AR,AS,ATの製法は、請求項9に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0086】
図12に示す加工工程図において、前記図10(a)の製品Rは、「製品BR」に相当するものである。鉱物系原料Mmに対し、前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水中で直流電圧の通電による電磁気処理(S110)が行われ、脱水後、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S111)される。別途、窯業系原料Mcに対しても同様に電磁気処理(S112)が行われ、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S113)される。電磁気処理の行われた両原料Mm及びMcは所定量ずつ計量され、ボールミル、振動ミル等の公知の粉砕手段を用い平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S114)される。前記S114において粉砕された粉砕物は前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水(適宜追加)との混合によりスラリー状態となり攪拌されながら直流電圧の通電による電磁気処理(S115)が行われ、公知の乾燥手段であるスプレードライヤー等により乾燥(S116)される。
【0087】
前記S115の電磁気処理物(S116の乾燥を含む場合あり)は、トンネルキルン、ロータリーキルン等の公知の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1350℃の範囲において焼成(S117)され、平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S118)される。さらに前記S118の粉砕物に対して前記S115と同様の電磁気処理(S119)が行われ、続いてスプレードライヤー等による乾燥(S120)、前出の分級機(クラシファイヤー)による分級(S121)が行われ、製品BRが得られる。
【0088】
図12に示す加工工程図において、前記図10(b),(c)の製品S,Tは、「製品BS,BT」に相当するものである。前記製品BS,BTは、鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方に電磁気処理を行うものである。製品BSの加工にあっては、窯業系原料Mcへの電磁気処理(S112)は省略され、製品BTの加工にあっては、鉱物系原料Mmへの電磁気処理(S110)は省略される。両製品BS,BTとも、他の処理は製品BRと同様である。前記製品BR,BS,BTの製法においては、電磁気処理をS115及びS119の2回に亘り行うものであるが、いずれか1回あるいは両方において行うかは適宜である。前記製品BR,BS,BTの製法は、請求項10に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0089】
加えて、図12に示す加工工程図では、前記S115により得られた電磁気処理物(S116の乾燥を含む場合あり)は、造粒・成型(S122)において、適宜粒径の造粒物に造粒、あるいは平板状,ハニカム状等の各種形状の成型物に成形される。前記造粒には公知の造粒機あるいはプレス成型機が用いられ、前記成型には公知の成型機が用いられる。得られた造粒物・成型物は、前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水中で直流電圧の通電による電磁気処理(S123)が行われ、脱水後、トンネルキルン、ロータリーキルン等の公知の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1500℃の範囲において焼成(S124)され、製品CRが得られる。これに対し、製品CS,CTは、製品BS,BTに述べたとおり鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方に電磁気処理を行う以外は、製品CRと同様の加工工程を経ることにより、得られるものである。前記製品CR,CS,CTの製法においては、電磁気処理をS115及びS123の2回に亘り行うものであるが、いずれか1回あるいは両方において行うかは適宜である。前記製品CR,CS,CTの製法は、請求項11に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0090】
前記製品BX,CXの製法においては、所定量ずつ計量された鉱物系原料と窯業系原料とを一括して同時に電磁気処理することもできる。なお特に、図7において窯業系原料Mcに酸化チタン(アナターゼ)が含まれる場合、前記S117及びS124の焼成温度帯では酸化チタンがアナターゼからルチル化する。このようなルチル化を防ぐため、800〜1100℃、好ましくは800〜1000℃の範囲で焼成される。
【0091】
図13に示す加工工程図において、前記図10(a)の製品Rは、「製品DR」に相当するものである。鉱物系原料Mmに対し、前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水中で直流電圧の通電による電磁気処理(S130)が行われ、脱水後、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S131)される。乾燥を経た鉱物系原料は、ボールミル、振動ミル等の公知の粉砕手段を用い平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S132)され均一に混合される。前記S132において粉砕された粉砕物は前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水(適宜追加)との混合によりスラリー状態となり攪拌されながら直流電圧の通電による電磁気処理(S133)が行われ、公知の乾燥手段であるスプレードライヤー等により乾燥(S134)される。
【0092】
前記S133により得られた電磁気処理物(S134の乾燥を含む場合あり)は、トンネルキルン、ロータリーキルン等の公知の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1350℃の範囲において焼成(S135)される。窯業系原料Mcに対しても同様に電磁気処理(S140)が行われ、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S141)される。S135の焼成を終えた鉱物系原料Mmと電磁気処理を経た窯業系原料Mcは所定量ずつ計量の後、平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S136)され、均一に混合される。続いて前記S136の粉砕物に対してS133と同様の電磁気処理(S137)が行われ、スプレードライヤー等による乾燥(S138)、前出の分級機(クラシファイヤー)による分級(S139)が行われ、製品DRが得られる。
【0093】
図13に示す加工工程図において、前記図10(b),(c)の製品S,Tは、「製品DS,DT」に相当するものである。前記製品DS,DTは、鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方に電磁気処理を行うものである。製品DSの加工にあっては、窯業系原料Mcへの電磁気処理(S140)は省略され、製品DTの加工にあっては、鉱物系原料Mmへの電磁気処理(S130)は省略される。両製品DS,DTとも、他の処理は製品DRと同様の加工工程を経ることにより得られるものである。前記製品DR,DS,DTの製法においては、電磁気処理をS133及びS137の2回に亘り行うものであるが、いずれか1回あるいは両方において行うかは適宜である。前記製品DR,DS,DTの製法は、請求項12に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0094】
図14に示す加工工程図において、前記図10(a)の製品Rは、「製品ER」に相当するものである。鉱物系原料Mmに対し、前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水中で直流電圧の通電による電磁気処理(S150)が行われ、脱水後、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S151)される。窯業系原料Mcに対しても同様に電磁気処理(S152)が行われ、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S153)される。
【0095】
前記S150の電磁気処理の行われた鉱物系原料(S151の乾燥を含む場合あり)には、前記S152の電磁気処理の行われた窯業系原料(S153の乾燥を含む場合あり)の一部が添加され、ボールミル、振動ミル等の公知の粉砕手段を用い平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S154)される。前記S154において粉砕された粉砕物は前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水(適宜追加)との混合によりスラリー状態となり攪拌されながら直流電圧の通電による電磁気処理(S155)が行われる。続いて、公知の乾燥手段であるスプレードライヤー等により乾燥(S156)され、トンネルキルン、ロータリーキルン等の公知の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1350℃の範囲において焼成(S157)される。
【0096】
前記S157の焼成を終えた焼成物に前記電磁気処理の行われた窯業系原料がさらに添加され、前出の粉砕手段により再度平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S158)される。前記S158の粉砕物に対してS155と同様の電磁気処理(S159)、スプレードライヤー等による乾燥(S160)が行われ、再度前出の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1350℃の範囲において焼成(S161)される。そして、前出の粉砕手段により平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S162)後、前記S162の粉砕物に対してS155と同様の電磁気処理(S163)、スプレードライヤー等による乾燥(S160)が行われ、前出の分級機(クラシファイヤー)による分級(S165)が行われ、製品ERが得られる。
【0097】
図16に示す加工工程図において、前記図10(b),(c)の製品S,Tは、「製品ES,ET」に相当するものである。前記製品ES,ETは、鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方に電磁気処理を行うものである。製品ESの加工にあっては、窯業系原料Mcへの電磁気処理(S152)は省略され、製品ETの加工にあっては、鉱物系原料Mmへの電磁気処理(S150)は省略される。両製品ES,ETとも、他の処理は製品ERと同様の加工工程を経ることにより得られるものである。前記製品ER,ES,ETの製法においては、電磁気処理をS155,S159及びS163の3回に亘り行うものであるが、いずれか1回あるいは1〜3回の適宜回数行うものである。前記製品ER,ES,ETの製法は、請求項13に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0098】
加えて、図14に示す加工工程図では、前記S159により得られた電磁気処理物(S160の乾燥を含む場合あり)は、造粒・成型(S166)において、適宜粒径の造粒物に造粒、あるいは平板状,ハニカム状等の各種形状の成型物に成形される。前記造粒には公知の造粒機あるいはプレス成型機が用いられ、前記成型には公知の成型機が用いられる。得られた造粒物・成型物は、前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水中で直流電圧の通電による電磁気処理(S167)が行われ、脱水後、トンネルキルン、ロータリーキルン等の公知の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1500℃の範囲において焼成(S168)され、製品FRが得られる。これに対し、製品FS,FTは、製品ES,ETに述べたとおり鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方に電磁気処理を行う以外は、製品ERと同様の加工工程を経ることにより得られるものである。前記製品FR,FS,FTの製法においては、電磁気処理をS155,S159及びS167の3回に亘り行うものであるが、いずれか1回あるいは1〜3回の適宜回数行うものである。前記製品FR,FS,FTの製法は、請求項14に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0099】
図14において、窯業系原料Mcに酸化チタン(アナターゼ)が含まれる場合、酸化チタンはS157の焼成後に添加され、2回目の焼成(S161,S168)では、酸化チタンのルチル化を防ぐため、800〜1100℃、好ましくは800〜1000℃の焼成温度で焼成される。
【0100】
図15の概略工程図を用い、鉱物系原料,窯業系原料に対し、原料段階において電磁気処理を行い、さらに加工を終えた段階において再度電磁気処理を行うマイナスイオン発生セラミック物質の製法について説明する。
【0101】
図15(a)は、予め鉱物系原料及び窯業系原料の両方に対し、電磁気処理を行い、両原料を用いて粉砕、造粒、焼成等の適宜の加工を行い、当該加工を終えた後に再度電磁気処理を行い製品Uを得るものである。原料となる鉱物系原料及び窯業系原料の両方ともに電磁気処理の効果が期待される場合に用いることが好ましい製法である。なお、前記鉱物系原料及び窯業系原料の両方を予め所定重量ずつ秤量した後、両原料を一括して電磁気処理を行うことも可能である。
【0102】
図15(b)は、予め電磁気処理を行った鉱物系原料と非電磁気処理の窯業系原料を用いて粉砕、造粒、焼成等の適宜の加工を行い、当該加工を終えた後に再度電磁気処理を行い製品Vを得るものである。
【0103】
図10(c)は、非電磁気処理の鉱物系原料と予め電磁気処理を行った窯業系原料を用いて粉砕、造粒、焼成等の適宜の加工を行い、当該加工を終えた後に再度電磁気処理を行い製品Wを得るものである。
【0104】
上記図15(a)〜(c)の方法に従う場合、所定の製品を製造した上で電磁気処理を行うため、所定の製品の作り置きが可能となり、必要に応じての電磁気処理によって、所望のマイナスイオン発生量への調整が容易となる。また、予め鉱物系原料,窯業系原料のいずれかに電磁気処理を行う理由は、前出の製品Y,Zの製法において詳述するものと同様である。
【0105】
図15(a)〜(c)において示す製品U,製品V,製品Wに関し、これらを製造するための「加工」について、図16及び図17に示す加工工程図を用い詳述する。
【0106】
図16に示す加工工程図において、前記図15(a)の製品Uは、「製品CU」に相当するものである。鉱物系原料Mmに対し、前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水中で直流電圧の通電による電磁気処理(S200)が行われ、脱水後、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S201)される。別途、窯業系原料Mcに対しても同様に電磁気処理(S202)が行われ、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S203)される。電磁気処理の行われた両原料Mm及びMcは所定量ずつ計量され、ボールミル、振動ミル等の公知の粉砕手段を用い平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S204)され、公知の乾燥手段であるスプレードライヤー等により乾燥(S205)される。
【0107】
前記S204の粉砕物(S205の乾燥を含む場合あり)は、造粒・成型(S206)において、適宜粒径の造粒物に造粒、あるいは平板状,ハニカム状等の各種形状の成型物に成形される。前記造粒には公知の造粒機あるいはプレス成型機が用いられ、前記成型には公知の成型機が用いられる。得られた造粒物・成型物は、トンネルキルン、ロータリーキルン等の公知の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1500℃の範囲において焼成(S207)され、前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水中で直流電圧の通電による電磁気処理(S208)が行われる。脱水後、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S209)され、製品CUが得られる。
【0108】
図16に示す加工工程図において、前記図15(b),(c)の製品V,Wは、「製品CV,CW」に相当するものである。前記製品CV,CWは、鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方に電磁気処理を行うものである。製品CVの加工にあっては、窯業系原料Mcへの電磁気処理(S202)は省略され、製品CWの加工にあっては、鉱物系原料Mmへの電磁気処理(S200)は省略される。両製品CV,CWとも、他の処理は製品CUと同様である。前記製品CU,CV,CWの製法は、請求項15に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0109】
前記製品CUの製法においては、所定量ずつ計量された鉱物系原料と窯業系原料とを一括して同時に電磁気処理することもできる。なお特に、図16において窯業系原料Mcに酸化チタン(アナターゼ)が含まれる場合、前記S207の焼成温度帯では酸化チタンがアナターゼからルチル化する。このようなルチル化を防ぐため、800〜1100℃、好ましくは800〜1000℃の範囲で焼成される。
【0110】
図17に示す加工工程図において、前記図15(a)の製品Uは、「製品FU」に相当するものである。鉱物系原料Mmに対し、前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水中で直流電圧の通電による電磁気処理(S210)が行われ、脱水後、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S211)される。窯業系原料Mcに対しても同様に電磁気処理(S212)が行われ、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S213)される。
【0111】
前記S210の電磁気処理の行われた鉱物系原料(S213の乾燥を含む場合あり)には、前記S212の電磁気処理の行われた窯業系原料(S213の乾燥を含む場合あり)の一部が添加され、ボールミル、振動ミル等の公知の粉砕手段を用い平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S214)される。続いて前出の乾燥手段であるスプレードライヤー等による乾燥(S215)が行われ、トンネルキルン、ロータリーキルン等の公知の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1350℃の範囲において焼成(S216)される。
【0112】
S216の焼成を終えた焼成物に前記電磁気処理の行われた窯業系原料がさらに添加され、前出の粉砕手段により再度平均粒径を10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下に粉砕(S217)され、スプレードライヤー等により乾燥(S218)が行われる。前記S217の粉砕により得られた粉砕物(S218の乾燥を含む場合あり)は、造粒・成型(S219)において、適宜粒径の造粒物に造粒、あるいは平板状,ハニカム状等の各種形状の成型物に成形される。得られた造粒物,成型物は、トンネルキルン、ロータリーキルン等の公知の焼成手段により1100〜1500℃、好ましくは、1100〜1500℃の範囲において焼成(S220)され、前出の図3等あるいは適宜電磁気処理設備において、水中で直流電圧の通電による電磁気処理(S221)が行われる。脱水後、ロータリーキルン等の公知の乾燥手段により、400℃の雰囲気下において乾燥(S222)され、製品FUが得られる。
【0113】
図17に示す加工工程図において、前記図15(b),(c)の製品V,Wは、「製品FV,FW」に相当するものである。前記製品FV,FWは、鉱物系原料又は窯業系原料のいずれか一方に電磁気処理を行うものである。製品FVの加工にあっては、窯業系原料Mcへの電磁気処理(S212)は省略され、製品FWの加工にあっては、鉱物系原料Mmへの電磁気処理(S210)は省略される。他の処理は製品FUと同様の加工工程を経ることにより得られるものである。前記製品FU,FV,FWの製法は、請求項16に規定するマイナスイオン発生セラミック物質の製法に相当するものである。
【0114】
図17において、窯業系原料Mcに酸化チタン(アナターゼ)が含まれる場合、酸化チタンはS216の焼成後に添加され、2回目の焼成(S220)では、酸化チタンのルチル化を防ぐため、800〜1100℃、好ましくは800〜1000℃の焼成温度で焼成される。
【0115】
これまでに図示し詳述した粉砕とは、主に湿式による粉砕である。粉砕には湿式粉砕と乾式粉砕の2種類が存在する。粉砕にあたり乾式粉砕を用いる場合、鉱物系原料又は鉱物系原料と窯業系原料の混合物を平均粒径5μm以下の微粒子に粉砕するときは、特に鉱物系原料中の各成分の硬度が異なるため粉砕むらが生じやすくなる。その結果、一部の粉砕粒子が集塵機に引き寄せられるため、含有成分(元素)のバランスが崩れるおそれがあるため、マイナスイオンの発生量(照射線量)への影響を考慮し、湿式粉砕とすることが望ましい。湿式による粉砕に際し、沈殿防止のため窯業系原料Mcに粘土を含める他、別途粘土類を2〜5重量%程度添加することもある。また、粘土類に代えて塩化カルシウム、塩化マグネシウム等、有機バインダー(カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等)を沈殿防止剤として添加することもできる。なお、粉砕をハンマーミル、ジェットミル等を用い乾式で行った場合は、粉砕に続いて行われる乾燥は省略できる。
【0116】
前述の図中における焼成は、原料中の揮発成分、結晶水、有機物等の除去を促すものである。特に直前の粉砕により表面積を拡大するため、揮発、除去の効果が高まる。同時に、例えばジルコン(ZrSiO4)等の原料鉱石中の微量成分として含まれる放射性同位元素を焼結させ、微量成分中の放射性同位元素が以降の加工において分離を防ぐことができる。すなわち、以降に続く粉砕、乾燥、分級工程中の分離をはじめ、本発明のセラミック物質を利用した最終製品(マイナスイオン発生製品)を製造する場合等、他の原料に本発明のマイナスイオン発生セラミック物質を混合し加工する工程時に、微量成分中の放射性同位元素が分離することを防ぐ目的である。そのため、本発明のセラミック物質のように、予め焼成(焼結)を行うことにより、微量成分(放射性同位元素)の製造工程中の分離は抑制され、最終製品中の微量成分(放射性同位元素)の濃度は、本発明のセラミック物質の添加量に比して増加し、ひいては、マイナスイオンの発生量が安定する効果が示される(後述の実施例及び図18参照)。
【0117】
特に本発明にあっては、後述する実施例のサンプルの試作より明らかなとおり、粉砕を行うことによって10μm以下の微粒子化すると、粉砕しないものに比べ表面積が増加し、微量成分に含まれる放射性同位元素から放射される放射線量が単位面積当たりで増加し、マイナスイオンの発生量が多くなる。とりわけ焼成を行うものについては、焼成熱による固着もしくは固溶体となり、粒径が大きくなるため、粉砕する必要がある。従って、本発明の製法により得られたマイナスイオン発生セラミック物質(製品AX,AY,AZ,BX,BY,BZ,DX,DY,DZ,EX,EY,EZ,AR,AS,AT,BR,BS,BT,DR,DS,DT,ER,ES,ET)は、良好なマイナスイオン発生源である微粒子として塗料、樹脂、繊維、紙等に添加する際に分散されやすく、加工原料として利用度が高まる。さらに窯業系原料に酸化チタンを添加した場合も粉砕により表面積が増加するため触媒効果がより一層向上する。
【0118】
また、本発明の製法により得られたマイナスイオン発生セラミック物質(製品CX,CY,CZ,FX,FZ,FW,CR,CS,CT,FR,FS,FT,CU,CV,CW,FU,FV,FW)のうち、造粒物又は平板状の成型物は、マイナスイオン発生源として、床に敷き詰めたりや壁に貼り付ける他、浴槽に入れる等の利用が想定される。この場合、造粒物の粒径は利便性を考慮して3〜30mmの適宜の粒径が例示される。また、平板状の成型物も強度維持上十分な適宜の大きさとされ、表面に凹凸を付することも可能である。さらに、ハニカム状の成型物にあっては、内部の貫通孔内に空気や水を通すことにより、空気や水のマイナスイオン量を効率よく上昇させることができる。なお、貫通孔の孔径は1〜10mmが好適なものとして例示される。
【0119】
なお、前出の各加工工程図における粉砕において、平均粒径の2倍を超える粒子及び平均粒径の半分長を下回る粒子の含有量は、総量の5重量%以下とすることが望ましい。平均粒径はレーザ回折/散乱方式による粒度測定装置により測定した。
【0120】
【実施例】
[原料鉱石の電磁気処理]
図1及び図2に記載の選鉱プロセスにより選鉱されたピュアジルコン(54)に対して電磁気処理を行い、マイナスイオンの個数の経時変化を観察した。図3に示す電磁気処理装置10(絶縁性容器15)に前記ピュアジルコンを2kg(粒径約0.8mmの砂状物)投入し、水で完全に満たし浸漬した。
【0121】
絶縁性の支持材17により固定された銅製の陽極側電極板13とアルミニウム製の陰極側電極板14をピュアジルコンと水の入った絶縁性樹脂容器15に挿入し、トランス16の正極と陽極側電極板13、負極と陰極側電極板14を配線18により接続した。トランス16により、交流100Vの交流電圧を16Vの直流電圧に変圧し、2〜48時間連続して電磁気処理(通電)を行った。また、前記処理開始から48時間経過後、該処理を終了し、マイナスイオンの個数の変化を引き続き測定した。なお、表中の48時間経過後までは電磁気処理を行い、72時間経過時からは非電磁気処理状態である。
【0122】
次にマイナスイオンの個数の測定について、図4を用いて説明する。図4は、前記図3に示した電磁気処理装置10(絶縁性容器15)を2−2線の位置の断面を表すものである。マイナスイオン測定器20の本体部分を絶縁性樹脂容器15の縁15hに押し当て、前記測定器20の測定部21をピュアジルコンが含まれる水面w側に向け、飛散するマイナスイオンの個数を測定した。測定にあたり、測定部21と水面wまでの距離kを常に5cmとなるようにした。また、中央部の測定においては、両電極の電極板13,14の中間点に測定部21を位置するようにして測定した。
【0123】
マイナスイオンの個数の測定には、(株)エコホリスティック社製のイオンテスターEB−12Aを使用した。前記測定器により、発生するマイナスイオンの個数を10回ずつ測定し、1cm3当たりの存在個数の平均を表6に示した。また、表6に示す中央部の変化は、通電(電磁気処理)を行う前に測定したマイナスイオンの個数との比較を表したものである。
【0124】
通電(電磁気処理)を行う前に測定したマイナスイオンの個数は、1233個/cm3であり、通電開始時の室温は25℃、湿度は48%であった。また、通電と併せて、磁気の変化をアナログ磁気検知器(TriField MeterAlphaLab Inc,製)により測定した結果、約2T(0.2mG)(通電開始前)から250T(25mG)(48時間通電後)に増加した。
【0125】
【表6】
【0126】
[加工処理ごとのマイナスイオン発生量の評価]
前出のピュアジルコン(54)(粒径約0.8mmの砂状物)に対し、図18に示す各工程に従い粉砕、電磁気処理、焼成及びこれらの組み合わせによる加工を施し、実用段階のサンプルにおけるマイナスイオン発生量を計測した。図18中に示すとおり、サンプルIないしIIIはピュアジルコン(54)に対し、それぞれ粉砕、電磁気処理、焼成を行ったものである。サンプルIVないしVIはそれぞれピュアジルコン(54)に対し粉砕、電磁気処理、焼成の順序を変えながら3種類の処理を行ったものである。サンプルIVは電磁気処理,粉砕,焼成の順により処理し、サンプルVは粉砕,電磁気処理,焼成の順により処理し、サンプルVIは粉砕,焼成,電磁気処理の順により処理したものである。
【0127】
各サンプルに対して行われた粉砕は、ボールミルを使用し、ピュアジルコン(砂状物)の平均粒径を2.5μmになるまで湿式粉砕したものである。電磁気処理は前記と同様の方法に基づき、電磁気処理装置10を用い16Vの直流電圧を42時間通電した。焼成は、トンネルキルンを使用し、1200〜1300℃の加熱温度とした。また、焼成熱により溶解し粒径が大きくなるため、サンプルIVないしVIの焼成後には適宜粉砕が行われる。なお、湿式粉砕後、スプレードライヤーにより乾燥した。
【0128】
サンプルから発生したマイナスイオンの個数を測定するにあたり、前記マイナスイオン測定器20(EB12−A(エコホリスティック社製))の精度や測定場所の環境などを調べるために、予めスタンダードを測定し、その測定値が基準値の範囲内に入ることを確認することにした。スタンダードの作成については、ピュアジルコンを粉砕して得た一定量の粉砕物をシリコーン樹脂に練り込んで加工し、マイナスイオン測定器20の測定部21(円形状の検知部で内径4.5cm)と同様の型にカットすることにより作成した。このスタンダードから発生するマイナスイオンの個数をマイナスイオン測定器20により100回測定し、平均値とその標準偏差を算出した。
【0129】
未処理のピュアジルコン(54)及びサンプルIないしVIのそれぞれについて50gずつ秤量し、前記マイナスイオン測定器20の測定部21の外径とほぼ同径である直径7cm、高さ3cmの円筒形の透明樹脂製からなる専用容器内に封入した。前記容器の上部に測定部21をあてながら未処理のピュアジルコン(53)及びサンプルIないしVIより発生するマイナスイオンの1cm3当たりの個数をそれぞれ12回測定し、最大値と最小値を除いた10回の平均値をそれぞれ求め、この結果を表7に示した。なお、表中の増加率とは、未処理のピュアジルコン(54)から発生するマイナスイオンの個数(1332個/cm3)を基準とし、各サンプルから発生するマイナスイオン個数の増加量を表したものである。
【0130】
【表7】
【0131】
表7の結果から理解されるとおり、粉砕、電気加工、焼成のいずれの工程も、これらの工程を行わない場合に比べて、ピュアジルコンからのマイナスイオンの発生量を増加させることができる。さらに、粉砕、電気加工、焼成の3種類の工程が全て含まれている場合は、その工程の順序にかかわらず、これら3種類の工程のうち、1種類のみが行われた場合に比べて、ピュアジルコンからのマイナスイオンの発生量がさらに増加していることが分かる。
【0132】
[窯業系原料の電磁気処理]
鉱物系原料に続き前記表4及び表5に示した窯業系原料(珪石(101)〜石灰石(109))に対しても前出のピュアジルコン(54)と同様の条件下、24時間の電磁気処理を行った。なお、前記各窯業系原料のうち、粘土以外は粒径1mmの砂状体を用いた。また粘土については、前記電磁気処理装置10内で適宜攪拌を行いながら電磁気処理を行った。電磁気処理を終えた後、前記各窯業系原料(珪石(101)〜石灰石(109))を適宜乾燥し、50gずつ秤量して前出の透明樹脂製の専用容器内に封入後、マイナスイオン発生量を測定した。また、電磁気処理を行っていない窯業系原料も別途取り分け、50gずつ秤量して前出の透明樹脂製の専用容器内に封入後、同様にマイナスイオン発生量を測定し、電磁気処理の有無の評価を試みた。
【0133】
【表8】
【0134】
上記表8に示すとおり、窯業系原料を構成する各原料においては、概ねシリカ成分(SiO2)の含有量が多いものほど高いマイナスイオン発生量が現れる。なお、マイナスイオン発生量の高低の要因としては、シリカ成分以外の微量元素成分、すなわち放射性同位元素の種類と量が影響するものと考えられる。
【0135】
[鉱物系原料及び窯業系原料の同時電磁気処理]
以上示したとおり、鉱物系原料及び窯業系原料に対する電磁気処理の有効性を確証した発明者らは、前記両原料に対する同時の電磁気処理を試みた。鉱物系原料としてスタンダードジルコン(53)、窯業系原料として長石(102)を用い(ともに粒径約1mmの砂状物)、重量比7:3となるように両砂状物を混ぜ合わせた。スタンダードジルコン・長石砂状混合物2kgを計量し、前出の図3の電磁気処理装置10を用いて24時間、16Vの直流電圧により電磁気処理を行った。
【0136】
さらに鉱物系原料としてバテライト(59)、窯業系原料として長石(102)を用い(ともに粒径約1mmの砂状物)、重量比5:5となるように両砂状物を混ぜ合わせ、バテライト・長石砂状混合物を2kg、スタンダードジルコン(53)のみ2kg、バテライト(59)のみ2kgについても、スタンダードジルコン・長石混合砂状物の場合と同様の条件で電磁気処理を行った。
【0137】
電磁気処理を終えた後、4種類の処理物を適宜乾燥し、50gずつ秤量して前出の透明樹脂製の専用容器内に封入後、マイナスイオン発生量を測定した。また、前記スタンダードジルコン・長石砂状混合物、バテライト・長石砂状混合物、スタンダードジルコンのみ、バテライトのみについては、電磁気処理を行っていない試料を別途取り分け、50gずつ秤量して前出の透明樹脂製の専用容器内に封入後、同様にマイナスイオン発生量を測定し、電磁気処理の有無の評価を試みた。
【0138】
【表9】
【0139】
上記表9から理解されるとおり、スタンダードジルコン・長石砂状混合物は、スタンダードジルコン単体との比較より、マイナスイオン発生量が低下する。しかし、単純に長石との混合重量比に基づく30%減(3077個×0.7=2154個)にはならない。これには混合された長石のマイナスイオン発生量が加味されたものと推察される。一方、バテライト・長石砂状混合物においても、長石との混合重量比に基づく減少分とはならず、混合された長石のマイナスイオン発生量が加味されたものと同様に推察される。
【0140】
また、表9に示すスタンダードジルコンとバテライトとの間では電磁気処理を行った場合のマイナスイオン発生量の増加率に差が生じている。このことは、前記窯業系原料の電磁気処理における発明者らの類推と同様に、原料鉱石に含有されるシリカ成分(SiO2)の量の差に起因するものと示唆される(表2及び表3参照)。
【0141】
[鉱物系原料及び窯業系原料のスラリー状態における電磁気処理]
発明者らは、スラリー状態における電磁気処理の有効性を確認するため、各種適宜の粉砕手段により得られた平均粒径2.5〜10μmの原料粉砕物を水中に分散させてスラリー状態としたものに前述の電磁気処理を行い、マイナスイオン発生量の変化を測定した。
【0142】
鉱物系原料としてダーティドジルコン(52)の2.5μm粉砕物を150gと水150gとを混合してそのまま静置したもの(サンプルi)、同ダーティドジルコン150gと水150gとを適宜攪拌し続けたもの(サンプルii)、窯業系原料として長石(102)の2.5μm粉砕物を150gと水150gとを混合してそのまま静置したもの(サンプルiii)、同長石150gと水150gとを適宜攪拌し続けたもの(サンプルiv)、これら4種類を準備し、各サンプル間におけるマイナスイオン発生量の変化を測定した。
【0143】
前記サンプルi〜ivを絶縁性樹脂製容器に投入し、前出の図3の電磁気処理装置10として用いたトランス16、電極板13,14を転用し、1〜4時間、16Vにて通電を行った。サンプルii,ivにおいては、絶縁樹脂製の棒を用い、原料が沈殿しないように適宜攪拌し続けた。マイナスイオンの個数の測定については、前出の(株)エコホリスティック社製のイオンテスターEB−12Aを使用し、各サンプルi〜ivの液面からマイナスイオン測定器の測定部までが常に1.5cmとなるように設定して測定した。
【0144】
【表10】
【0145】
上記表10から理解されるとおり、電磁気処理(通電)を行っていない0時間の測定値よりもいずれのサンプルとも電磁気処理時間の増加に伴い、マイナスイオン発生個数の増加は認められた。とりわけ、サンプルii,ivにみられるようにスラリー状物を攪拌させながら電磁気処理を行った場合には、顕著にマイナスイオン発生量が増加することが判明したため、攪拌は鉱物系原料及び窯業系原料のいずれに対しても電磁気処理の効果を高めるものといえる。
【0146】
[加工後における電磁気処理]
さらに、発明者らは、製品として加工し終えたマイナスイオン発生セラミック物質に対する電磁気処理の有効性を確認するため、以下の電磁気処理を含めない加工に基づき作成したマイナスイオン発生セラミック物質について、事後的に電磁気処理を行い、そのマイナスイオン発生量の変化を測定した。
【0147】
ピュアジルコン(54):48重量部、バテライト(59):48重量部、フリット(103):4重量部の3種類の原料(いずれも電磁気処理を行っていない。)をボールミルにより湿式粉砕後、スプレードライヤーにより乾燥を行った。当該乾燥物をトンネルキルンにおいて1250℃で焼成し、再度湿式粉砕後、スプレードライヤーにより乾燥を行い、前記3種類の原料からなる粉末状物を得た。併せて、前記粉末状物と同様の原料を同様の配合比率として、ボールミルにより湿式粉砕後、スプレードライヤーにより乾燥を行った。当該乾燥物を造粒機により粒径約5mmの略球状体に造粒してトンネルキルンにおいて1250℃で焼成し、前記粉末状物と同様の3種類の原料からなる造粒物を得た。なお、前記粉末状物及び造粒物の加工に際し、粉砕時にはそれぞれ、2〜5重量%の粘土を別途添加した。
【0148】
前記加工により得られた粉末状物及び造粒物をそれぞれ2kg計量し、前出の電磁気処理装置10を用いて24時間、16Vの直流電圧により電磁気処理を行った。当該電磁気処理後、粉末状物及び造粒物を適宜乾燥し、50gずつ秤量して前出の透明樹脂製の専用容器内に封入後、マイナスイオン発生量を測定した。併せて、前記加工により得られた粉末状物及び造粒物の中から50gずつを別途秤量して前出の透明樹脂製の専用容器内に封入後、同様にマイナスイオン発生量を測定し、電磁気処理の有無の評価を試みた。
【0149】
【表11】
【0150】
上記表11より理解されるとおり、加工後に電磁気処理を行った場合、粉砕物及び造粒物の双方ともマイナスイオン発生量の増加に十分効果があることが確認できた。したがって、既に製品となったセラミック物質に対しても事後的に電磁気処理を行うことは、マイナスイオン発生量を増加させる上で有効であると考えられる。
【0151】
[製品の試作]
表12ないし表18に示す配合量(重量%)に基づき、鉱物系原料、窯業系原料等を配合し、図6ないし図9、図11ないし図14、図16、図17に記載の製法に従い、試作例1ないし試作例6として示すとおり予め電磁気処理の行われた原料を用い、各マイナスイオン発生セラミック物質の試作品を製造した。
【0152】
<試作例1>
試作例1における試作品a1〜a10は、図6に示す製法に基づき製造した粉砕物である。以下の表12に試作品a1〜a10の原料組成及び相当する製品を示す。
【0153】
【表12】
【0154】
試作品a1〜a4は、図6の製品AXに相当するものである。すなわち、鉱物系原料と窯業系原料の両方に対してそれぞれ2kgを電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。脱水後、表12中に示す比率を満たすようにボールミルにより湿式粉砕後、スプレードライヤーにより乾燥を行い、エアセパレーターを用いて平均粒径2.5μmの粒子に分級することにより、試作品a1〜a4を試作した。
【0155】
試作品a5,a6は図6の製品AY、試作品a7〜a10は製品AZに相当するものである。すなわち、鉱物系原料又は窯業系原料について、試作品a5,a6は鉱物系原料のみ、試作品a7〜a10は窯業系原料のみ、前出の電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。前記電磁気処理を経た原料を表12中の配合比率に調整し、a1〜a4と同様の加工を行い、試作品a5〜a10を試作した。試作品a3,a4,a9,a10に用いた酸化チタン(111)はアナターゼである。なお、以下の実施例に使用される酸化チタン(111)は全て同様である。
【0156】
図11に示す製品ARの製法については、前出a2の原料組成を用い、試作品を作成した。この試作品は、図示し、前述のとおり、鉱物系原料と窯業系原料の両方に対し、それぞれを電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。脱水後、ボールミルにより湿式粉砕し、当該粉砕物を電磁気処理装置10に投入し、水(適宜追加)との混合によりスラリー状態としたものを攪拌しながらさらに16V、24時間の電磁気処理を行い、スプレードライヤーによる乾燥後、エアセパレーターを用いて平均粒径2.5μmの粒子に分級した。
【0157】
図11に示す製品ASの製法については前出a6の原料組成を用い、製品ATの製法については前出a8の原料組成を用い試作品を作成した。製品ASの製法においては鉱物系原料のみ、製品ATの製法においては窯業系原料のみ、前出の電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。以降は前出の製品ARの製法と同様の加工を行い、試作した。
【0158】
<試作例2>
試作例2における試作品b1〜b17は、図7に示す製法に基づき製造した焼成粉砕物である。以下の表13及び表14に試作品b1〜b17の原料組成及び相当する製品を示す。
【0159】
【表13】
【0160】
【表14】
【0161】
試作品b1〜b5は、図7の製品BXに相当するものである。すなわち、鉱物系原料と窯業系原料の両方に対し、それぞれ2kgを電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。脱水後、表13中に示す比率を満たすように鉱物系原料と窯業系原料を所定量配合してボールミルにより湿式粉砕し、スプレードライヤーにより乾燥を行った。乾燥物をトンネルキルンにおいて1150〜1350℃で焼成し、ボールミルによる湿式粉砕後、スプレードライヤーにより再度乾燥を行い、エアセパレーターを用いて平均粒径2.5μmの粒子に分級することにより、試作品b1〜b5を試作した。
【0162】
試作品b6〜b9は図7の製品BY、試作品b10〜b17は製品BZに相当するものである。すなわち、鉱物系原料又は窯業系原料について、試作品b6〜b9は鉱物系原料のみ、試作品b10〜b17は窯業系原料のみ、前出の電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。前記電磁気処理を経た原料を表13及び表14中の配合比率に調整し、b1〜b5と焼成温度以外は同様の加工を行い、試作品b6〜b17を試作した。なお、試作品b14〜b17は酸化チタンを含むため、トンネルキルンでの焼成温度を800〜850℃とした。
【0163】
図12に示す製品BRの製法については、前出b1,b3の原料組成を用い、試作品を作成した。この試作品は、図示し、前述のとおり、鉱物系原料と窯業系原料の両方に対し、それぞれを電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。脱水後、鉱物系原料と窯業系原料を表中の所定量配合してボールミルにより湿式粉砕し、スプレードライヤーにより乾燥を行った。乾燥物をトンネルキルンにおいて1250〜1350℃で焼成し、ボールミルによる湿式粉砕後、当該粉砕物を電磁気処理装置10に投入して、水(適宜追加)との混合によりスラリー状態としたものを攪拌しながらさらに16V、24時間の電磁気処理を行い、スプレードライヤーにより再度乾燥を行い、エアセパレーターを用いて平均粒径2.5μmの粒子に分級した。実施例では、2回目の粉砕後に電磁気処理を行ったが1回目の粉砕後も電磁気処理を行うこととしてもよい。
【0164】
図12に示す製品BSの製法については前出b7,b9の原料組成を用い、製品BTの製法については前出b12,b16の原料組成を用い試作品を作成した。製品BSの製法においては鉱物系原料のみ、製品BTの製法においては窯業系原料のみ、前出の電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。以降は前出の製品BRの製法と同様の加工を行い、焼成温度のみ変更して試作した。
【0165】
<試作例3>
試作例3における試作品c1〜c10は、図7に示す製法に基づき製造した焼成造粒物である。以下の表15に試作品c1〜c10の原料組成及び相当する製品を示す。
【0166】
【表15】
【0167】
試作品c1,c2は、図7の製品CXに相当するものである。すなわち、鉱物系原料と窯業系原料の両方に対し、それぞれ2kgを電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。脱水後、表15中に示す比率を満たすように鉱物系原料と窯業系原料を所定量配合してボールミルにより湿式粉砕後、スプレードライヤーにより乾燥を行った。乾燥物を造粒機により、粒径約5mmの略球状体に造粒後、造粒物(略球状体)をトンネルキルンにおいて1210〜1290℃で焼成することにより、試作品c1,c2を試作した。
【0168】
試作品c3は図7の製品CY、試作品c4〜c10は製品CZに相当するものである。すなわち、鉱物系原料又は窯業系原料について、試作品c3は鉱物系原料のみ、試作品c4〜c10は窯業系原料のみ、前出の電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。前記電磁気処理を経た原料を表15中の配合比率に調整し、c1,c2と焼成温度以外は同様の加工を行い、試作品c3〜c10を試作した。なお、試作品c7〜b10は酸化チタンを含むため、トンネルキルンでの焼成温度を800〜850℃とした。
【0169】
図12に示す製品CRの製法については、前出c2の原料組成を用い、試作品を作成した。この試作品は、図示し、前述のとおり、鉱物系原料と窯業系原料の両方に対し、それぞれを電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。脱水後、鉱物系原料と窯業系原料を表中の所定量配合してボールミルにより湿式粉砕後、スプレードライヤーにより乾燥を行った。乾燥物を造粒機により、粒径約5mmの略球状体に造粒後した。前記造粒物を前出の電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行い、トンネルキルンにおいて1210℃で焼成した。当該試作品作成にあたり、造粒の際に、原料同士の凝集性を高めるためにカルボキシメチルセルロースを0.01重量%程度添加した。
【0170】
図12に示す製品CTの製法については前出c6の原料組成を用い、試作品を作成した。製品CTの製法においては窯業系原料のみ、前出の電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。以降は前出の製品CRの製法と同様の加工を行い、焼成温度のみ変更して試作した。
【0171】
さらに、図16に示す製品CU,CWの製法については、前出c2,c6の原料組成を用い、試作品を作成した。この試作品は、図示し、前述のとおり、CUは鉱物系原料と窯業系原料の両方(c2の組成)、CWは窯業系原料のみ(c6の組成)を電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。脱水後、鉱物系原料と窯業系原料を表中の所定量配合してボールミルにより湿式粉砕後、スプレードライヤーにより乾燥を行った。乾燥物を造粒機により、粒径約5mmの略球状体に造粒後し、トンネルキルンにおいて1210℃,1180℃で焼成した。前記焼成造粒物を前出の電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行い、脱水後、トンネルキルンを用い400℃雰囲気下において乾燥した。
【0172】
<試作例4>
試作例4における試作品d1〜d6は、図8に示す製法に基づき製造した焼成粉砕物である。以下の表16に試作品d1〜d6の原料組成及び相当する製品を示す。
【0173】
【表16】
【0174】
試作品d1は、図8の製品DXに相当するものである。すなわち、鉱物系原料と窯業系原料の両方に対し、それぞれ2kgを電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。脱水後、表15中に示す比率を満たすように鉱物系原料をボールミルにより湿式粉砕後、スプレードライヤーにより乾燥を行い、トンネルキルンにおいて1300℃で焼成した。続いて窯業系原料を表中の所定量配合して再度ボールミルにより湿式粉砕を行った。湿式粉砕後、スプレードライヤーにより乾燥を行い、エアセパレーターにより平均粒径2.5μmの粒子に分級した。
【0175】
試作品d2は図8の製品DY、試作品d3〜d6は製品DZに相当するものである。すなわち、鉱物系原料又は窯業系原料について、試作品d2は鉱物系原料のみ、試作品d3〜d6は窯業系原料のみ、前出の電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。前記電磁気処理を経た原料を表16中の配合比率に調整し、d1と焼成温度以外は同様の加工を行い、試作品d2〜d6を試作した。
【0176】
図13に示す製品DRの製法については、前出d1の原料組成を用い、試作品を作成した。この試作品は、図示し、前述のとおり、鉱物系原料と窯業系原料の両方に対し、それぞれを電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。脱水後、鉱物系原料をボールミルにより湿式粉砕してスプレードライヤーによる乾燥を行い、トンネルキルンにおいて1300℃で焼成した。ここに前記電磁気処理済みの窯業系原料を表中の所定量配合してボールミルにより湿式粉砕し、当該粉砕物を電磁気処理装置10に投入して、水(適宜追加)との混合によりスラリー状態としたものを攪拌しながらさらに16V、24時間の電磁気処理を行い、スプレードライヤーにより再度乾燥を行い、エアセパレーターを用いて平均粒径2.5μmの粒子に分級した。実施例では、2回目の粉砕後に電磁気処理を行ったが1回目の粉砕後にも電磁気処理を行うこととしてもよい。
【0177】
<試作例5>
試作例5における試作品e1〜e9は、図9に示す製法に基づき製造した焼成粉砕物である。以下の表17に試作品e1〜e9の原料組成及び相当する製品を示す。
【0178】
【表17】
【0179】
試作品e1,e2は、図9の製品EXに相当するものである。すなわち、鉱物系原料と窯業系原料のそれぞれに対し、各2kgを電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。脱水後、鉱物系原料と表中の窯業系原料の一部(粘土,長石等の一部)をボールミルにより湿式粉砕し、スプレードライヤーにより乾燥を行い、乾燥物をトンネルキルンにおいて1200〜1290℃(焼成温度−1)で焼成した。前記焼成物に窯業系原料の残りを添加し、ボールミルにより湿式粉砕を行った。なお、窯業系原料に酸化チタン(111)を含むものは、当該粉砕において酸化チタンを添加した。粉砕物をスプレードライヤーによる乾燥の後、トンネルキルンにおいて800〜1250℃(焼成温度−2)で焼成し、再度ボールミルによる湿式粉砕を行い、スプレードライヤーによる乾燥の後、エアセパレーターにより平均粒径2.5μmの粒子に分級し、試作品e1,e2を試作した。
【0180】
試作品e3は図9の製品EYに相当し、試作品e4〜e9は製品EZに相当するものである。すなわち、鉱物系原料又は窯業系原料について、試作品e3は鉱物系原料のみ、試作品e4〜e9は窯業系原料のみ、前出の電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。前記電磁気処理を経た原料を表17中の配合比率に調整し、e1,e2と焼成温度以外は同様の加工を行い、試作品e3〜e9を試作した。なお、窯業系原料に酸化チタンを含むものは、トンネルキルンでの焼成温度(焼成温度−2)を800〜900℃とした。
【0181】
図14に示す製品ERの製法については、前出e2の原料組成を用い、試作品を作成した。この試作品は、図示し、前述のとおり、鉱物系原料と窯業系原料の両方に対し、それぞれを電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。脱水後、鉱物系原料と表中の窯業系原料の一部(粘土,長石等の一部)をボールミルにより湿式粉砕し、スプレードライヤーにより乾燥を行い、乾燥物をトンネルキルンにおいて1200℃(焼成温度−1)で焼成した。前記焼成物に窯業系原料の残りを添加し、ボールミルにより湿式粉砕を行った。当該粉砕物を電磁気処理装置10に投入して、水(適宜追加)との混合によりスラリー状態としたものを攪拌しながらさらに16V、24時間の電磁気処理を行い、スプレードライヤーによる乾燥の後、トンネルキルンにおいて800℃(焼成温度−2)で焼成し、窯業系原料の酸化チタン(111)を添加して再度ボールミルによる湿式粉砕を行い、スプレードライヤーによる乾燥の後、エアセパレーターにより平均粒径2.5μmの粒子に分級した。
【0182】
図14に示す製品ESの製法については前出e3の原料組成を用い、製品ETの製法については前出e4の原料組成を用い試作品を作成した。製品ESの製法においては鉱物系原料のみ、製品ETの製法においては窯業系原料のみ、前出の電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。以降は前出の製品ERの製法と同様の加工を行い、焼成温度のみ変更して試作した。実施例では電磁気処理を鉱物系原料と窯業系原料のそれぞれに行ったものと、両原料の混合粉砕物に行ったものの合計で2回行ったが、むろん2回以上が可能であることは言うまでもない。
【0183】
<試作例6>
試作例6における試作品f1〜f9は、図9に示す製法に基づき製造した焼成粉砕物である。以下の表18に試作品f1〜f9の原料組成及び相当する製品を示す。
【0184】
【表18】
【0185】
試作品f1〜f3は、図9の製品FXに相当するものである。すなわち、鉱物系原料と窯業系原料のそれぞれに対し、各2kgを電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。脱水後、鉱物系原料と表中の窯業系原料の一部(粘土,長石等の一部)をボールミルにより湿式粉砕し、スプレードライヤーにより乾燥を行い、乾燥物をトンネルキルンにおいて1220〜1320℃(焼成温度−1)で焼成した。前記焼成物に窯業系原料の残りを添加し、ボールミルにより湿式粉砕後、スプレードライヤーによる乾燥を行った。当該乾燥物を造粒機により、粒径約5mmの略球状体に造粒後、造粒物(略球状体)をトンネルキルンにおいて850〜1250℃(焼成温度−2)で焼成することにより、試作品f1〜f3を試作した。
【0186】
試作品f4は図9の製品FY、試作品f5〜f9は製品FZに相当するものである。すなわち、鉱物系原料又は窯業系原料について、試作品f4は鉱物系原料のみ、試作品f5〜f9は窯業系原料のみ、前出の電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。前記電磁気処理を経た原料を表18中の配合比率に調整し、f1〜f3と焼成温度以外は同様の加工を行い、試作品f4〜f9を試作した。なお、試作品に酸化チタンが含まれる場合にはトンネルキルンでの焼成温度(焼成温度−2)を800〜850℃とした。
【0187】
図14に示す製品FRの製法については、前出f3の原料組成を用い、試作品を作成した。この試作品は、図示し、前述のとおり、鉱物系原料と窯業系原料の両方に対し、それぞれを電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。脱水後、鉱物系原料と表中の窯業系原料の一部(フリット等の一部)をボールミルにより湿式粉砕し、スプレードライヤーにより乾燥を行い、乾燥物をトンネルキルンにおいて1220〜1320℃(焼成温度−1)で焼成した。前記焼成物に窯業系原料の残りを添加し、ボールミルにより湿式粉砕を行った。当該粉砕物を電磁気処理装置10に投入して、水(適宜追加)との混合によりスラリー状態としたものを攪拌しながらさらに16V、24時間の電磁気処理を行い、スプレードライヤーにより乾燥を行った。当該乾燥物を造粒機により、粒径約5mmの略球状体に造粒後した。前記造粒物をトンネルキルンにおいて850℃(焼成温度−2)で焼成した。
【0188】
図14に示す製品FSの製法については前出のf4の原料組成を用い試作品を作成した。製品FSの製法においては、鉱物系原料のみ、電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。以降は、前出の製品FRの製法と同様の加工を行い、焼成温度のみ変更して作成した。実施例では電磁気処理を鉱物系原料と窯業系原料のそれぞれに行ったものと、両原料の混合粉砕物に行ったものの合計で2回行ったが、むろん2回以上が可能であることは言うまでもない。また、電磁気処理を造粒(成形)後であり、焼成前に行う場合には、前記したとおり、造粒の際に、原料同士の凝集性を高めるためにカルボキシメチルセルロースを0.01重量%程度添加することが望ましい。
【0189】
さらに、図17に示す製品FU,FVの製法については、前出のf3,f4の原料組成を用い、試作品を作成した。この試作品は、図示し、前述のとおり、FUは鉱物系原料と窯業系原料の両方(f3の組成)、FVは鉱物系原料のみ(f4の組成)を電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行った。脱水後、鉱物系原料と表中の窯業系原料の一部(フリット等の一部)をボールミルにより湿式粉砕し、スプレードライヤーにより乾燥を行い、乾燥物をトンネルキルンにおいて1220〜1320℃(焼成温度−1)で焼成した。前記焼成物に窯業系原料の残りを添加し、ボールミルにより湿式粉砕後、スプレードライヤーによる乾燥を行った。当該乾燥物を造粒機により、粒径約5mmの略球状体に造粒後、造粒物(略球状体)をトンネルキルンにおいて850〜1250℃(焼成温度−2)で焼成した。前記焼成造粒物を電磁気処理装置10に投入し、水で浸漬した後、16V、24時間の電磁気処理を行い、脱水後、トンネルキルンを用い400℃雰囲気下において乾燥した。
【0190】
本発明のマイナスイオン発生セラミック物質の製法においては、以上の説明及び実施例に明記した原料、加工手段に限定されるものではなく、他の原料、加工手段を適切に選択し、組み合わせることができる。例えば請求項に掲げた電磁気処理を行う電磁気処理装置を量産可能な規模に拡大する場合、コンクリート製水槽の内側を樹脂により絶縁処理を施したものが検討される。このコンクリート製水槽内に鉱物系原料、窯業系原料と、水とを投入後、適宜の直流電圧による、電磁気処理を行うものである。
【0191】
さらに、鉱物系原料、窯業系原料の粉砕物と水との混合によるスラリー状物に対しては、プロペラ等(絶縁部材)による攪拌を伴いながら電磁気処理を実施することが望ましい。
【0192】
なお、マイナスイオン発生セラミック物質の製造において、鉱物系原料と窯業系原料の両方に対して電磁気処理を行うにあたり、マイナスイオン発生セラミック物質を構成する原料の構成比、電磁気処理の効果の発現性が勘案され、必ずしも当該両原料の全量に対して電磁気処理を行う必要はない場合がある。例えば、電磁気処理の効果が期待できる原料鉱石には電磁気処理を行い、これに電磁気処理の効果が期待できない原料鉱石(電磁気処理せず)を組み合わせて鉱物系原料とする場合等である。
【0193】
【発明の効果】
以上図示し説明したように、請求項1に係るマイナスイオン発生セラミック物質の製法の発明によると、鉱物系原料及び窯業系原料の両方に対して直流電圧を通電する電磁気処理を行うため、両原料から発生するマイナスイオン量を増加させることができ、使用する原料鉱石種及びその産地間による放射線量のばらつきが解消され、所望のマイナスイオン発生量を有するセラミック物質への加工及び調整の負担が軽減する。さらには、より少ない放射線量の原料鉱石の使用が可能となり、放射線強度に関する各種法令の規制値の回避が容易になる。
【0194】
また、請求項2に係るマイナスイオン発生セラミック物質の製法の発明によると、鉱物系原料もしくは窯業系原料のいずれか一方に対して直流電圧を通電する電磁気処理を行うため、鉱物系原料であって、電磁気処理によるマイナスイオン発生量の増加率が大きく期待できない原料を用いる場合は、配合される窯業系原料自体に電磁気処理を行うことにより、窯業系原料がマイナスイオン発生量を補助的に高め、使用可能な鉱物系原料(原料鉱石)の種類を拡張することが可能となる。
【0195】
同様に窯業系原料であって、電磁気処理によるマイナスイオン発生量の増加率が大きく期待できない原料を用いる場合も、配合される鉱物系原料自体に電磁気処理を行うことにより、マイナスイオン発生量を高めることができ、使用可能な窯業系原料の種類を拡張することが可能となる。
【0196】
請求項3ないし16に係るマイナスイオン発生セラミック物質の製法の発明によると、直流電圧を通電する電磁気処理とともに、粉砕を加えることにより、微粒子化することに伴い表面積が増加し、マイナスイオン発生量の効率が向上する。
【0197】
さらに、加工時に焼成を加えた場合、微量成分中の放射性同位元素が焼結し、製品加工時において放射性同位元素の分離を防ぐことができるため、製品としての放射線量の一定化(調整)が容易になり、マイナスイオンの発生量の増加及び安定化が可能となる。
【0198】
特に、請求項5,8,11,14,15,16に係るマイナスイオン発生セラミックス物質の製法によると、造粒又は所定形状に成型を行うことにより、微量成分中の放射性同位元素の焼結と同時に造粒物又は成型物自体の強度が増し、粒状体やハニカム体等としての使用にも対応可能となる。
【0199】
加えて、請求項3ないし16に係るマイナスイオン発生セラミック物質の製法の発明によると、電磁気処理は、原料に行う場合(請求項3ないし請求項8)、原料及び加工工程中に行う場合(請求項9ないし請求項14)、原料及び完成品に行う場合(請求項15,請求項16)に大別され、適宜の段階で電磁気処理ができるため、所望のマイナスイオン発生量への調整、製造設備の処理能力等を勘案して最適な段階に設定することが可能である。
【0200】
請求項17に係るマイナスイオン発生セラミック物質の製法の発明によると、マイナスイオンに由来する環境改善効果及び生理的機能改善効果に加え、酸化チタンの触媒作用も付加されるため、消臭、抗菌、防汚効果が強化され、窯業、建材、塗料、繊維、生活用品等の利用に有効かつ好適なマイナスイオン発生セラミック物質を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の原料鉱石の選鉱プロセスを示す第一概略図である。
【図2】この発明の原料鉱石の選鉱プロセスを示す第二概略図である。
【図3】この発明の電磁気処理に用いる電磁気処理装置の斜視図である。
【図4】図3の2−2線の位置で切断した状態の断面図である。
【図5】本発明の第一実施例に係る概略工程図である。
【図6】第一実施例の製造に係る第一加工工程図である。
【図7】第一実施例の製造に係る第二加工工程図である。
【図8】第一実施例の製造に係る第三加工工程図である。
【図9】第一実施例の製造に係る第四加工工程図である。
【図10】本発明の第二実施例に係る概略工程図である。
【図11】第二実施例の製造に係る第一加工工程図である。
【図12】第二実施例の製造に係る第二加工工程図である。
【図13】第二実施例の製造に係る第三加工工程図である。
【図14】第二実施例の製造に係る第四加工工程図である。
【図15】本発明の第三実施例に係る概略工程図である。
【図16】第三実施例の製造に係る第一加工工程図である。
【図17】第三実施例の製造に係る第二加工工程図である。
【図18】加工処理評価に係るサンプル試作の概略工程図である。
【符号の説明】
10 電磁気処理装置
13 陽極側電極板
14 陰極側電極板
16 トランス
20 マイナスイオン測定器
21 測定部
Mm 鉱物系原料
Mc 窯業系原料
Claims (17)
- ウラン元素又はウラン系列核種あるいはトリウム元素又はトリウム系列核種の少なくともいずれかが含有される原料鉱石を1種類以上とする鉱物系原料と、窯業系原料とを加えたマイナスイオン発生セラミック物質であって、
前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方を水中に浸漬した後、直流電圧を通電する電磁気処理を行うことを特徴とするマイナスイオン発生セラミック物質の製法。 - ウラン元素又はウラン系列核種あるいはトリウム元素又はトリウム系列核種の少なくともいずれかが含有される原料鉱石を1種類以上とする鉱物系原料と、窯業系原料とを加えたマイナスイオン発生セラミック物質であって、
前記鉱物系原料もしくは前記窯業系原料のいずれか一方を水中に浸漬した後、直流電圧を通電する電磁気処理を行うことを特徴とするマイナスイオン発生セラミック物質の製法。 - 前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記両原料をともに混合し、粉砕する工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法。
- 前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記両原料を混合し粉砕する工程と、前記粉砕後に焼成する工程と、前記焼成後に粉砕する工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法。
- 前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記両原料を混合し粉砕する工程と、前記粉砕物を所定形状に造粒又は成型する工程と、前記造粒物又は成型物を焼成する工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法。
- 前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記鉱物系原料を粉砕し、焼成する工程と、該焼成された鉱物系原料と前記窯業系原料とを混合し粉砕する工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法。
- 前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記鉱物系原料を粉砕し、焼成する工程と、該焼成された鉱物系原料と前記窯業系原料とを混合し粉砕する工程と、前記粉砕後に焼成する工程と、前記焼成後に粉砕する工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法。
- 前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記鉱物系原料を粉砕し、焼成する工程と、該焼成された鉱物系原料と前記窯業系原料とを混合し粉砕する工程と、前記粉砕物を所定形状に造粒又は成型する工程と、前記造粒物又は成型物を焼成する工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法。
- 前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記両原料を混合し粉砕する工程と、前記粉砕後に当該混合粉砕物に対し、再度前記電磁気処理を行う工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法。
- 前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記両原料を混合し粉砕する工程と、前記粉砕後に焼成する工程と、前記焼成後に粉砕する工程を含み、少なくともいずれかの粉砕工程の後、再度当該粉砕物に対して前記電磁気処理を行う工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法。
- 前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記両原料を混合し粉砕する工程と、前記粉砕物を所定形状に造粒又は成型する工程と、前記造粒物又は成型物を焼成する工程とを含み、少なくともいずれかの前記粉砕後もしくは造粒又は成形後において、再度当該粉砕物もしくは造粒物又は成型物に対して前記電磁気処理を行う工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法。
- 前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記鉱物系原料を粉砕し、焼成する工程と、該焼成された鉱物系原料と、前記窯業系原料とを混合し粉砕する工程とを含み、少なくともいずれかの粉砕の後、再度当該粉砕物に対して前記電磁気処理を行う工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法。
- 前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記鉱物系原料を粉砕し、焼成する工程と、該焼成された鉱物系原料と、前記窯業系原料とを混合し粉砕する工程と、前記粉砕後に焼成する工程と、前記焼成後に粉砕する工程を含み、少なくともいずれかの粉砕の後、再度当該粉砕物に対して前記電磁気処理を行う工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法。
- 前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記鉱物系原料を粉砕し、焼成する工程と、前記焼成した鉱物系原料と、前記窯業系原料とを混合し粉砕する工程と、前記粉砕物を所定形状に造粒又は成型する工程と、前記造粒物又は成型物を焼成する工程を含み、少なくともいずれかの前記粉砕後もしくは造粒又は成形後において、再度当該粉砕物もしくは造粒物又は成型物に対して前記電磁気処理を行う工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法。
- 前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記両原料を混合し粉砕する工程と、前記粉砕物を所定形状に造粒又は成型する工程と、前記造粒物又は成型物を焼成する工程と、前記焼成した造粒物又は成型物に対して再度前記電磁気処理を行う工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法。
- 前記電磁気処理を前記鉱物系原料及び前記窯業系原料の両方あるいはいずれか一方に対して行った後、前記鉱物系原料を粉砕し、焼成する工程と、前記焼成した鉱物系原料と、前記窯業系原料とを混合し粉砕する工程と、前記粉砕物を所定形状に造粒又は成型する工程と、前記造粒物又は成型物を焼成する工程と、前記焼成した造粒物又は成型物に対して再度前記電磁気処理を行う工程を含む請求項1又は2に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法。
- 前記窯業系原料には、酸化チタンが含まれることを特徴とする請求項1ないし16のいずれか1項に記載のマイナスイオン発生セラミック物質の製法。
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