JP2004330854A - 建設機械の消音装置 - Google Patents
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- E02F9/0866—Engine compartment, e.g. heat exchangers, exhaust filters, cooling devices, silencers, mufflers, position of hydraulic pumps in the engine compartment
Abstract
【課題】共鳴方式によりとくに低・中周波数の騒音に対して高い消音効果を発揮しながら、冷却風量の低下等の弊害を除去する。
【解決手段】エンジンルーム2を形成するエンジンガード1のボンネット4内に消音ダクト11を空気排出口5に臨んで設ける。この消音ダクト11内は複数の流路13…に仕切り、各流路13…内に、消音対象となる音波の波長の1/4の長さを備えかつ一端が閉じた音響管14を外気側に開口する状態で設けた。
【選択図】 図1
【解決手段】エンジンルーム2を形成するエンジンガード1のボンネット4内に消音ダクト11を空気排出口5に臨んで設ける。この消音ダクト11内は複数の流路13…に仕切り、各流路13…内に、消音対象となる音波の波長の1/4の長さを備えかつ一端が閉じた音響管14を外気側に開口する状態で設けた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は油圧ショベル等の建設機械におけるエンジン騒音(とくに低・中周波数の騒音)を低減する消音装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
油圧ショベル等の建設機械においては、エンジンガードによって形成されたエンジンルーム内にエンジンと、ラジエータ等の冷却器及び冷却用のファンを設置し、ファンの回転により空気導入口から外気を吸い込んで上記冷却器を冷却し、空気排出口から排出する構成をとっている。
【0003】
この構成によると、エンジン及びファン等から発生した騒音が空気導入口及び空気排出口から外部に放散し、騒音問題となっている。
【0004】
従来、この騒音対策として、一般に、エンジンガードの内面に吸音材を貼り付ける吸音材方式がとられている(特許文献1参照)。
【0005】
また、空気導入口及び同排出口に消音ダクトを設け、この消音ダクト内に、エンジン側に開口する複数の凹穴(音響器)を設けることにより、凹穴に入って反射する音とその外側を通過しようとする音との相互干渉作用によって消音効果を得る共鳴方式も公知である(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−193102号公報
【特許文献2】
特開平10−212973号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
建設機械に使用されるエンジンにおいては、エンジン本体音のみならずこれらの周辺機器からも大きな騒音が発生する。このうち、ファンや油圧ポンプから発生する騒音は、回転数と羽根枚数、あるいは回転数とシリンダ本数に関係した周波数の基本次及びその倍音の卓越ピークの形態で発生する。
【0008】
通常、これらは200Hzから400Hzまでの低・中周波数域の騒音であり、上記吸音材方式ではこの低・中周波数の騒音に対して十分な消音効果が得られなかった。
【0009】
これに対し、共鳴方式によると、低・中周波数域の騒音に対して吸音材方式よりも高い消音効果を得ることができる。
【0010】
しかし、この共鳴方式をとる上記公知技術においては、凹穴をエンジン側に開口させているため、排気側に設置した場合に、空気流の一部が凹穴に侵入することによって流れが阻害され、大きな通風抵抗が発生するため、冷却風量の低下を招くという弊害が生じる。
【0011】
また、エンジン側に開口していることから、凹穴内に粉塵等が付着・堆積し易い上に、外部から手が届きにくいため清掃も困難である等の問題もあった。
【0012】
そこで本発明は、共鳴方式をとりながら、冷却風量の低下等の弊害を除去することができる建設機械の消音装置を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、エンジンルームを形成するエンジンガードに空気導入用または排出用の通気口を設けるとともに、エンジンガード内におけるこの通気口に臨む位置に、上記通気口を通る空気の流れに沿って消音ダクトを設け、この消音ダクト内に、一端が閉じた複数の音響管を外気側に開口する状態で設けたものである。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、消音ダクトを、エンジンルームにおけるエンジン外周の空間に設けたものである。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1または2の構成において、音響管を、消音対象とする音波の波長のほぼ1/4の長さに設定したものである。
【0016】
請求項4の発明は、請求項3の構成において、消音ダクトの長さを、対象音波の波長のほぼ1/2とし、この消音ダクト内の中央部に音響管の開口部を配置したものである。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかの構成において、消音ダクト内を仕切板によって複数の流路に分割し、音響管をこの流路内に設けたものである。
【0018】
請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかの構成において、パイプ材の一端を閉塞して音響管を形成したものである。
【0019】
請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかの構成において、消音ダクト内に長さの異なる複数種類の音響管を設けたものである。
【0020】
上記構成によると、音響管をエンジン側でなく外気側に開口させているため、空気が音響管の外面に沿ってスムーズに流れる。このため、空気流の通過抵抗が少なくなり、必要な冷却風量を確保することができる。
【0021】
また、エンジン側に開口させた場合と比較して、音響管内部への粉塵の付着・堆積が少なくなるとともに、清掃等のメンテナンスが容易となる。
【0022】
この場合、請求項2の構成によると、エンジン外周の十分長い空間に消音ダクトを設けるため、エンジンルームの幅をことさら拡張しなくても、同ダクトを十分な長さに設定して音響管に必要かつ十分な長さ寸法を確保することができる。このため、公知の凹穴構造のものと比較して、低・中周波数域の騒音に対する消音効果を高めることができる。
【0023】
請求項3,4の構成によると、波長が音響管の4倍長さの音波に対して高い消音効果を得ることができる。たとえばエンジン騒音の中でも最も問題となっているファン騒音の基本次成分である250Hz前後の低・中周波数の音波に対して長さ0.33mの音響管を配置することにより、著しい消音効果が得られる。
【0024】
ここで、両端が開放した消音ダクトの場合、気柱共鳴により音響モードが発生し、波長がダクト長さの2倍となる周波数においてダクト中央部の音圧が高くなる。従って、請求項4のように、このダクト中央部に音響管の開口部を配置することにより、より一層高い消音効果を得ることができる。
【0025】
一方、請求項5の構成によると、配管に枝管(サイドブランチ)を設置したのに近い構造となり、ダクト内を通過する音波が音響管の影響を受け易くなるため、消音効果をさらに向上させることができる。
【0026】
請求項6の構成によると、ダクト内に凹穴を設けて音響管とする場合と比較して、音響管の加工、設置が容易でコストが安くてすむ。
【0027】
また、請求項7の構成によると、波長が異なる複数の周波数(たとえば特定の音波の基本次成分とその倍音成分)に対して同時に消音効果を得ることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図によって説明する。
【0029】
第1実施形態(図1〜図4参照)
図1において、1はエンジンルーム2を形成するエンジンガードで、このエンジンガード1の一側に空気導入口3が設けられている。
【0030】
また、エンジンガード1の上面側に、エンジン外周の空間を上側に広げる状態でボンネット4が設けられ、このボンネット4における空気導入口3と反対側の端部に空気排出口5が設けられている。
【0031】
エンジンルーム2内には、エンジン6、冷却用のファン7、冷却器としてのラジエータ8及びオイルクーラー9、それにエンジン6によって駆動される油圧ポンプ10が設置され、ファン7の回転によって空気導入口3から吸い込まれた外気が、図1中に矢印で示すようにオイルクーラー9、ラジエータ8を通過した後、ボンネット4内を通って空気排出口5から外部に排出される。
【0032】
このエンジンルーム2内におけるボンネット4の内側に、扁平な四角筒状に形成された消音ダクト11が、空気排出口5に臨んでかつ上記空気流に沿って設けられている。
【0033】
この消音ダクト11は、図2に示すように、空気流と平行な複数の仕切板12…によって内部が複数(図例では六つ)の流路13…に仕切られ、この各流路13…の上部に音響管14…が設けられている。
【0034】
この音響管14…は、丸パイプ材の一端が板材で閉塞されて形成され、開口部15が外気側(空気排出口5)に臨む状態で設置されている。
【0035】
この構成において、ファン7の回転音を含むエンジン騒音は、空気流とともに消音ダクト11内に入り、一部が各音響管14…内に開口部15から侵入して端面で反射する。
【0036】
この反射した音波と、ダクト内を通過しようとする音波が音響管14…の開口部15付近で干渉し、この相互干渉作用によって消音効果が働く。
【0037】
この場合、消音ダクト11内を複数の流路13…に分割し、各流路13…に音響管14…を設けているため、音波が消音ダクト11内を各流路13…に分かれて通過することで音響管14…の影響を受け易くなり、この点で消音効果をさらに高めることができる。
【0038】
また、この装置においては、ファン騒音等の低・中周波数域の騒音を低減対象とし、音響管14…の長さL2が、対象音波の基本次成分の波長の1/4またはこれに近い長さに設定されている。
【0039】
たとえば、ファン7が七枚羽根で、回転数が2200rpmの場合、発生する音の基本次成分は、
7×2200÷60=256Hz
となり、256Hzの波長λは1.32mであるから、音響管長さL2は0.33mとなる。
【0040】
また、消音ダクト11がこの実施形態のように両端開放の場合、気柱共鳴により音響モードが発生し、ダクト長さL1が1/2波長となる周波数においてダクト中央部の音圧が高くなる。
【0041】
従って、音圧の高いダクト中央部に音響管14の開口部15を配置すれば消音効果が最も高くなる。
【0042】
よって、ダクト長さL1は、対象とする音の波長のほぼ1/2とするのが望ましく、上記例でいうと0.66mとなる。
【0043】
この例での騒音レベルの測定結果を図4に示す。
【0044】
図中、実線は音響管14…の両端を閉じた場合(音響管14…を設置しない場合と同じ)の騒音レベルを示し、256Hzの卓越ピーク(丸囲い部分)は約85dBとなり、相互干渉による騒音レベルの低減効果は出ていない。
【0045】
これに対し、消音ダクト11、及び一端が閉じた音響管14…を外気側に開口して設置し、それぞれの長さ寸法L1,L2を波長の1/2、1/4に設定した場合、破線で示すように卓越ピークは約75dbとなり、約10dBの低減効果が得られた。
【0046】
なお、消音ダクト11の高さ寸法H1(図2参照)を音響管14の直径寸法H2のほぼ2倍とするととくに消音効果が高くなることも判明し、これを受けて、消音ダクト11の高さ寸法H1をたとえば0.08m、音響管14…の直径H1をその半分の0.04mとした。
【0047】
また、周波数を変えて数例で行った測定結果でも同様の結果が得られ、この装置によると、低・中周波数の騒音に対して高い低減効果を得ることができる。
【0048】
しかも、音響管14…を外気側に開口させているため、冷却風が音響管14…の外壁面に沿ってスムーズに流れ、空気の流通抵抗が大きくなって冷却風量が必要量以下に低下する現象は発生しない。
【0049】
また、音響管14…を外気側に開口させているため、公知技術のようにエンジン側に開口させた場合と比較して、音響管14…内への粉塵等の付着、堆積が少なくなるとともに、外部からの清掃等のメンテナンスが容易となる。
【0050】
第2、第3実施形態(図5〜図8参照)
図5,6に示す第2実施形態においては、消音ダクト11内の各流路13…(図例では仕切板12,12によって縦横に仕切られた四つの流路を示す)に長さL01,L02の異なる二種類の音響管14,14′が間隔を置いて平行に設けられている。
【0051】
こうすれば、各流路13…において両音響管14,14′によって波長の異なる二つの周波数(たとえば短い第1の音響管14で特定の音波の基本次成分、長い第2の音響管14′でその倍音成分)を低減することができる。
【0052】
図7,8に示す第3実施形態においては、消音ダクト11が空気導入口3側に設けられ、仕切板12…によって分割形成された各流路13…に音響管14…が、空気導入口3側に開口する状態で設けられている。
【0053】
この構成によっても、第1実施形態の場合と基本的に同じ消音効果を得ることができる。
【0054】
【発明の効果】
上記のように本発明によると、音響管をエンジン側でなく外気側に開口させているため、空気が音響管の外面に沿ってスムーズに流れる。このため、空気流の通過抵抗が少なくなり、必要な冷却風量を確保することができる。
【0055】
また、エンジン側に開口させた場合と比較して、音響管内部への粉塵の侵入、付着が少なくなるとともに、清掃等のメンテナンスが容易となる。
【0056】
この場合、請求項2の発明によると、エンジン外周の十分長い空間に消音ダクトを設けるため、エンジンルームの幅をことさら拡張しなくても、同ダクトを十分な長さに設定して音響管に必要かつ十分な長さ寸法を確保することができる。このため、公知の凹穴構造のものと比較して、低・中周波数域の騒音に対する消音効果を高めることができる。
【0057】
請求項3,4の発明によると、波長が音響管のほぼ4倍長さの音波(たとえばエンジン騒音の中でも最も問題となっているファン騒音の基本次成分である250Hz前後の低・中周波数の音波)に対して高い消音効果を得ることができる。
【0058】
請求項4の発明によると、波長がダクト長さのほぼ2倍となる周波数において音圧が高くなる消音ダクトの中央部に音響管の開口部を配置したことにより、より一層高い消音効果を得ることができる。
【0059】
一方、消音ダクト内を仕切板によって複数の流路に分割し、音響管をこの流路内に設けた請求項5の発明によると、ダクト内を通過する音波が音響管の影響を受け易くなるため、消音効果が大きくなる。
【0060】
請求項6の発明によると、ダクト内に凹穴を設けて音響管とする場合と比較して、音響管の加工、設置が容易でコストが安くてすむ。
【0061】
また、請求項7の発明によると、波長が異なる複数の周波数に対して同時に消音効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示すエンジンルームの概略縦断面図である。
【図2】図1のII−II線拡大断面図である。
【図3】図1における消音ダクト部分の拡大図である。
【図4】同実施形態の装置と、両端が閉じた音響管を備えた装置についての騒音測定結果を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態を示す図2相当図である。
【図6】図5のVI−VI線断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態を示すエンジンルームの概略縦断面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線拡大断面図である。
【符号の説明】
1 エンジンガード
2 エンジンルーム
3 空気導入口(通気口)
4 ボンネット
5 空気排出口(通気口)
6 エンジン
7 冷却用のファン
11 消音ダクト
12 消音ダクト内を仕切る仕切板
13 流路
14,14′ 音響管
15 音響管の開口部
【発明の属する技術分野】
本発明は油圧ショベル等の建設機械におけるエンジン騒音(とくに低・中周波数の騒音)を低減する消音装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
油圧ショベル等の建設機械においては、エンジンガードによって形成されたエンジンルーム内にエンジンと、ラジエータ等の冷却器及び冷却用のファンを設置し、ファンの回転により空気導入口から外気を吸い込んで上記冷却器を冷却し、空気排出口から排出する構成をとっている。
【0003】
この構成によると、エンジン及びファン等から発生した騒音が空気導入口及び空気排出口から外部に放散し、騒音問題となっている。
【0004】
従来、この騒音対策として、一般に、エンジンガードの内面に吸音材を貼り付ける吸音材方式がとられている(特許文献1参照)。
【0005】
また、空気導入口及び同排出口に消音ダクトを設け、この消音ダクト内に、エンジン側に開口する複数の凹穴(音響器)を設けることにより、凹穴に入って反射する音とその外側を通過しようとする音との相互干渉作用によって消音効果を得る共鳴方式も公知である(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−193102号公報
【特許文献2】
特開平10−212973号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
建設機械に使用されるエンジンにおいては、エンジン本体音のみならずこれらの周辺機器からも大きな騒音が発生する。このうち、ファンや油圧ポンプから発生する騒音は、回転数と羽根枚数、あるいは回転数とシリンダ本数に関係した周波数の基本次及びその倍音の卓越ピークの形態で発生する。
【0008】
通常、これらは200Hzから400Hzまでの低・中周波数域の騒音であり、上記吸音材方式ではこの低・中周波数の騒音に対して十分な消音効果が得られなかった。
【0009】
これに対し、共鳴方式によると、低・中周波数域の騒音に対して吸音材方式よりも高い消音効果を得ることができる。
【0010】
しかし、この共鳴方式をとる上記公知技術においては、凹穴をエンジン側に開口させているため、排気側に設置した場合に、空気流の一部が凹穴に侵入することによって流れが阻害され、大きな通風抵抗が発生するため、冷却風量の低下を招くという弊害が生じる。
【0011】
また、エンジン側に開口していることから、凹穴内に粉塵等が付着・堆積し易い上に、外部から手が届きにくいため清掃も困難である等の問題もあった。
【0012】
そこで本発明は、共鳴方式をとりながら、冷却風量の低下等の弊害を除去することができる建設機械の消音装置を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、エンジンルームを形成するエンジンガードに空気導入用または排出用の通気口を設けるとともに、エンジンガード内におけるこの通気口に臨む位置に、上記通気口を通る空気の流れに沿って消音ダクトを設け、この消音ダクト内に、一端が閉じた複数の音響管を外気側に開口する状態で設けたものである。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、消音ダクトを、エンジンルームにおけるエンジン外周の空間に設けたものである。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1または2の構成において、音響管を、消音対象とする音波の波長のほぼ1/4の長さに設定したものである。
【0016】
請求項4の発明は、請求項3の構成において、消音ダクトの長さを、対象音波の波長のほぼ1/2とし、この消音ダクト内の中央部に音響管の開口部を配置したものである。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかの構成において、消音ダクト内を仕切板によって複数の流路に分割し、音響管をこの流路内に設けたものである。
【0018】
請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかの構成において、パイプ材の一端を閉塞して音響管を形成したものである。
【0019】
請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかの構成において、消音ダクト内に長さの異なる複数種類の音響管を設けたものである。
【0020】
上記構成によると、音響管をエンジン側でなく外気側に開口させているため、空気が音響管の外面に沿ってスムーズに流れる。このため、空気流の通過抵抗が少なくなり、必要な冷却風量を確保することができる。
【0021】
また、エンジン側に開口させた場合と比較して、音響管内部への粉塵の付着・堆積が少なくなるとともに、清掃等のメンテナンスが容易となる。
【0022】
この場合、請求項2の構成によると、エンジン外周の十分長い空間に消音ダクトを設けるため、エンジンルームの幅をことさら拡張しなくても、同ダクトを十分な長さに設定して音響管に必要かつ十分な長さ寸法を確保することができる。このため、公知の凹穴構造のものと比較して、低・中周波数域の騒音に対する消音効果を高めることができる。
【0023】
請求項3,4の構成によると、波長が音響管の4倍長さの音波に対して高い消音効果を得ることができる。たとえばエンジン騒音の中でも最も問題となっているファン騒音の基本次成分である250Hz前後の低・中周波数の音波に対して長さ0.33mの音響管を配置することにより、著しい消音効果が得られる。
【0024】
ここで、両端が開放した消音ダクトの場合、気柱共鳴により音響モードが発生し、波長がダクト長さの2倍となる周波数においてダクト中央部の音圧が高くなる。従って、請求項4のように、このダクト中央部に音響管の開口部を配置することにより、より一層高い消音効果を得ることができる。
【0025】
一方、請求項5の構成によると、配管に枝管(サイドブランチ)を設置したのに近い構造となり、ダクト内を通過する音波が音響管の影響を受け易くなるため、消音効果をさらに向上させることができる。
【0026】
請求項6の構成によると、ダクト内に凹穴を設けて音響管とする場合と比較して、音響管の加工、設置が容易でコストが安くてすむ。
【0027】
また、請求項7の構成によると、波長が異なる複数の周波数(たとえば特定の音波の基本次成分とその倍音成分)に対して同時に消音効果を得ることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図によって説明する。
【0029】
第1実施形態(図1〜図4参照)
図1において、1はエンジンルーム2を形成するエンジンガードで、このエンジンガード1の一側に空気導入口3が設けられている。
【0030】
また、エンジンガード1の上面側に、エンジン外周の空間を上側に広げる状態でボンネット4が設けられ、このボンネット4における空気導入口3と反対側の端部に空気排出口5が設けられている。
【0031】
エンジンルーム2内には、エンジン6、冷却用のファン7、冷却器としてのラジエータ8及びオイルクーラー9、それにエンジン6によって駆動される油圧ポンプ10が設置され、ファン7の回転によって空気導入口3から吸い込まれた外気が、図1中に矢印で示すようにオイルクーラー9、ラジエータ8を通過した後、ボンネット4内を通って空気排出口5から外部に排出される。
【0032】
このエンジンルーム2内におけるボンネット4の内側に、扁平な四角筒状に形成された消音ダクト11が、空気排出口5に臨んでかつ上記空気流に沿って設けられている。
【0033】
この消音ダクト11は、図2に示すように、空気流と平行な複数の仕切板12…によって内部が複数(図例では六つ)の流路13…に仕切られ、この各流路13…の上部に音響管14…が設けられている。
【0034】
この音響管14…は、丸パイプ材の一端が板材で閉塞されて形成され、開口部15が外気側(空気排出口5)に臨む状態で設置されている。
【0035】
この構成において、ファン7の回転音を含むエンジン騒音は、空気流とともに消音ダクト11内に入り、一部が各音響管14…内に開口部15から侵入して端面で反射する。
【0036】
この反射した音波と、ダクト内を通過しようとする音波が音響管14…の開口部15付近で干渉し、この相互干渉作用によって消音効果が働く。
【0037】
この場合、消音ダクト11内を複数の流路13…に分割し、各流路13…に音響管14…を設けているため、音波が消音ダクト11内を各流路13…に分かれて通過することで音響管14…の影響を受け易くなり、この点で消音効果をさらに高めることができる。
【0038】
また、この装置においては、ファン騒音等の低・中周波数域の騒音を低減対象とし、音響管14…の長さL2が、対象音波の基本次成分の波長の1/4またはこれに近い長さに設定されている。
【0039】
たとえば、ファン7が七枚羽根で、回転数が2200rpmの場合、発生する音の基本次成分は、
7×2200÷60=256Hz
となり、256Hzの波長λは1.32mであるから、音響管長さL2は0.33mとなる。
【0040】
また、消音ダクト11がこの実施形態のように両端開放の場合、気柱共鳴により音響モードが発生し、ダクト長さL1が1/2波長となる周波数においてダクト中央部の音圧が高くなる。
【0041】
従って、音圧の高いダクト中央部に音響管14の開口部15を配置すれば消音効果が最も高くなる。
【0042】
よって、ダクト長さL1は、対象とする音の波長のほぼ1/2とするのが望ましく、上記例でいうと0.66mとなる。
【0043】
この例での騒音レベルの測定結果を図4に示す。
【0044】
図中、実線は音響管14…の両端を閉じた場合(音響管14…を設置しない場合と同じ)の騒音レベルを示し、256Hzの卓越ピーク(丸囲い部分)は約85dBとなり、相互干渉による騒音レベルの低減効果は出ていない。
【0045】
これに対し、消音ダクト11、及び一端が閉じた音響管14…を外気側に開口して設置し、それぞれの長さ寸法L1,L2を波長の1/2、1/4に設定した場合、破線で示すように卓越ピークは約75dbとなり、約10dBの低減効果が得られた。
【0046】
なお、消音ダクト11の高さ寸法H1(図2参照)を音響管14の直径寸法H2のほぼ2倍とするととくに消音効果が高くなることも判明し、これを受けて、消音ダクト11の高さ寸法H1をたとえば0.08m、音響管14…の直径H1をその半分の0.04mとした。
【0047】
また、周波数を変えて数例で行った測定結果でも同様の結果が得られ、この装置によると、低・中周波数の騒音に対して高い低減効果を得ることができる。
【0048】
しかも、音響管14…を外気側に開口させているため、冷却風が音響管14…の外壁面に沿ってスムーズに流れ、空気の流通抵抗が大きくなって冷却風量が必要量以下に低下する現象は発生しない。
【0049】
また、音響管14…を外気側に開口させているため、公知技術のようにエンジン側に開口させた場合と比較して、音響管14…内への粉塵等の付着、堆積が少なくなるとともに、外部からの清掃等のメンテナンスが容易となる。
【0050】
第2、第3実施形態(図5〜図8参照)
図5,6に示す第2実施形態においては、消音ダクト11内の各流路13…(図例では仕切板12,12によって縦横に仕切られた四つの流路を示す)に長さL01,L02の異なる二種類の音響管14,14′が間隔を置いて平行に設けられている。
【0051】
こうすれば、各流路13…において両音響管14,14′によって波長の異なる二つの周波数(たとえば短い第1の音響管14で特定の音波の基本次成分、長い第2の音響管14′でその倍音成分)を低減することができる。
【0052】
図7,8に示す第3実施形態においては、消音ダクト11が空気導入口3側に設けられ、仕切板12…によって分割形成された各流路13…に音響管14…が、空気導入口3側に開口する状態で設けられている。
【0053】
この構成によっても、第1実施形態の場合と基本的に同じ消音効果を得ることができる。
【0054】
【発明の効果】
上記のように本発明によると、音響管をエンジン側でなく外気側に開口させているため、空気が音響管の外面に沿ってスムーズに流れる。このため、空気流の通過抵抗が少なくなり、必要な冷却風量を確保することができる。
【0055】
また、エンジン側に開口させた場合と比較して、音響管内部への粉塵の侵入、付着が少なくなるとともに、清掃等のメンテナンスが容易となる。
【0056】
この場合、請求項2の発明によると、エンジン外周の十分長い空間に消音ダクトを設けるため、エンジンルームの幅をことさら拡張しなくても、同ダクトを十分な長さに設定して音響管に必要かつ十分な長さ寸法を確保することができる。このため、公知の凹穴構造のものと比較して、低・中周波数域の騒音に対する消音効果を高めることができる。
【0057】
請求項3,4の発明によると、波長が音響管のほぼ4倍長さの音波(たとえばエンジン騒音の中でも最も問題となっているファン騒音の基本次成分である250Hz前後の低・中周波数の音波)に対して高い消音効果を得ることができる。
【0058】
請求項4の発明によると、波長がダクト長さのほぼ2倍となる周波数において音圧が高くなる消音ダクトの中央部に音響管の開口部を配置したことにより、より一層高い消音効果を得ることができる。
【0059】
一方、消音ダクト内を仕切板によって複数の流路に分割し、音響管をこの流路内に設けた請求項5の発明によると、ダクト内を通過する音波が音響管の影響を受け易くなるため、消音効果が大きくなる。
【0060】
請求項6の発明によると、ダクト内に凹穴を設けて音響管とする場合と比較して、音響管の加工、設置が容易でコストが安くてすむ。
【0061】
また、請求項7の発明によると、波長が異なる複数の周波数に対して同時に消音効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示すエンジンルームの概略縦断面図である。
【図2】図1のII−II線拡大断面図である。
【図3】図1における消音ダクト部分の拡大図である。
【図4】同実施形態の装置と、両端が閉じた音響管を備えた装置についての騒音測定結果を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態を示す図2相当図である。
【図6】図5のVI−VI線断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態を示すエンジンルームの概略縦断面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線拡大断面図である。
【符号の説明】
1 エンジンガード
2 エンジンルーム
3 空気導入口(通気口)
4 ボンネット
5 空気排出口(通気口)
6 エンジン
7 冷却用のファン
11 消音ダクト
12 消音ダクト内を仕切る仕切板
13 流路
14,14′ 音響管
15 音響管の開口部
Claims (7)
- エンジンルームを形成するエンジンガードに空気導入用または排出用の通気口を設けるとともに、エンジンガード内におけるこの通気口に臨む位置に、上記通気口を通る空気の流れに沿って消音ダクトを設け、この消音ダクト内に、一端が閉じた複数の音響管を外気側に開口する状態で設けたことを特徴とする建設機械の消音装置。
- 消音ダクトを、エンジンルームにおけるエンジン外周の空間に設けたことを特徴とする請求項1記載の建設機械の消音装置。
- 音響管を、消音対象とする音波の波長のほぼ1/4の長さに設定したことを特徴とする請求項1または2記載の建設機械の消音装置。
- 消音ダクトの長さを、対象音波の波長のほぼ1/2とし、この消音ダクト内の中央部に音響管の開口部を配置したことを特徴とする請求項3記載の建設機械の消音装置。
- 消音ダクト内を仕切板によって複数の流路に分割し、音響管をこの流路内に設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の建設機械の消音装置。
- パイプ材の一端を閉塞して音響管を形成したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の建設機械の消音装置。
- 消音ダクト内に長さの異なる複数種類の音響管を設けたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の建設機械の消音装置。
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