JP2004330365A - 研磨装置及び研磨方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る研磨装置1は、被研磨物となるウエハ8を保持する保持ヘッド4と、ウエハ8を研磨する研磨パッド3をを備える研磨定盤2とを有し、ウエハ8の被研磨面8Aと研磨パッド3の研磨面3Aとを接触させ、それらの相対運動により被研磨面8Aを研磨するものであって、研磨パッド2に埋め込む状態で配設されたチューブ19と、このチューブ19に冷媒を供給する冷媒供給系6とを有し、研磨パッド3を冷媒によって直接的に冷却する冷却手段を備える。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被研磨物を研磨する研磨装置と研磨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
被研磨物と研磨部材とを接触させて被研磨物を研磨する研磨装置は、例えば、半導体装置の製造工程におけるCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械研磨)や、液晶表示装置用ガラス板、樹脂の研磨に用いられている。このような研磨装置においては、被研磨物を研磨する研磨部材の研磨面に、研磨により熱が発生する。研磨部材として、例えば、ポリウレタン製の研磨パッドが用いられているが、研磨パッドの熱伝導性は悪かった。このため、被研磨物及び研磨パッドの研磨面の研磨中の温度上昇を抑制することは困難であった。対象物及び研磨面の温度上昇は、研磨速度や研磨特性の変化につながる。
【0003】
従来は、研磨中の温度上昇を抑制するために、例えば、研磨パッド表面に気体を直接噴射していた(例えば、特許文献1参照)。また、研磨パッドを設置する定盤を冷却することも知られている(例えば、特許文献2参照)。さらには、研磨に用いるスラリーと呼ばれる研磨剤を、冷却して研磨面に供給することも知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
研磨特性の変動を抑制するために、研磨に用いる硬質層と、この硬質層を支持する軟質層との複層構造を有する研磨パッドにおいて、硬質層に溝を設けた研磨パッドも知られている(例えば、特許文献4参照)。
【0005】
【特許文献1】特許第2993497号公報
【特許文献2】特許第2838021号公報
【特許文献3】特許第3260542号公報
【特許文献4】特許第3324643号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、研磨パッド表面に気体を噴射する手法においては、被研磨物の表面は直接冷却されないため、冷却効果が弱い。また、スラリーの蒸発等の条件変化により、研磨に悪影響を及ぼす可能性がある。定盤を冷却する場合には、研磨パッドを介して被研磨物を冷却することになり、冷却効果が弱い。スラリーを冷却する手法においては、冷却によりスラリーの凝集や沈降が発生する恐れがある。また、スラリーが不可逆な反応を起こして変質し、研磨に悪影響を及ぼす恐れもある。
【0007】
また、従来の、研磨パッドに溝を設ける手法においては、溝によって、研磨パッドへの半導体ウエハの吸着を抑制することや、硬質層を部分的に変形させて研磨の均一性を制御することは可能であっても、半導体ウエハを冷却することは考慮されていなかった。さらに、従来は硬質層にのみ、その表面に溝が設けられていたため、研磨に用いて変質したスラリーが研磨パッドに溜り易く、研磨に悪影響を及ぼす恐れがあった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、研磨部材を効率的に冷却することができる研磨装置とこれを用いた研磨方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る研磨装置は、被研磨物を保持する保持手段と、被研磨物を研磨する研磨部材を備える研磨手段とを有し、被研磨物の被研磨面と研磨部材の研磨面とを接触させ、被研磨面と研磨面との相対運動により、被研磨面を研磨する研磨装置であって、研磨部材に埋め込む状態で配設されたチューブと、このチューブに冷媒を供給する冷媒供給手段とを有し、研磨部材を冷媒によって直接的に冷却する冷却手段を備えるものである。
【0010】
この研磨装置においては、研磨部材に埋め込む状態で配設されたチューブに、冷媒供給手段によって冷媒を供給することにより、チューブ内を流れる冷媒によって研磨部材が直接的に冷却される。そのため、研磨中の研磨部材の発熱や温度上昇が抑えられる。また、冷媒供給手段から供給された冷媒をチューブ内に流すことで、冷媒と研磨部材との接触が回避される。
【0011】
本発明に係る研磨方法は、被研磨物と、この被研磨物を研磨する研磨部材とを接触させ、被研磨物の被研磨面と研磨手段の研磨面との相対運動により、被研磨面を研磨する研磨方法であって、研磨部材にチューブを埋め込むように配設し、このチューブに冷媒を供給することにより、研磨部材を冷媒によって直接的に冷却しながら被研磨物の被研磨面を研磨するものである。
【0012】
この研磨方法においては、研磨部材に埋め込むように配設したチューブに冷媒を供給することにより、チューブ内を流れる冷媒によって研磨部材が直接的に冷却される。そのため、研磨中の研磨部材の発熱や温度上昇が抑えられる。また、冷媒をチューブ内に流すことで、冷媒と研磨部材との接触が回避される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の実施形態に係る研磨装置の構成例を示す概略図である。図1に示す研磨装置1は、大きくは、研磨定盤2と、研磨パッド3と、保持ヘッド4と、ヘッド駆動装置5と、冷媒供給系6とを備えて構成されている。このうち、研磨定盤2は本発明における研磨手段の一実施態様に相当し、研磨パッド3は本発明における研磨部材の一実施態様に相当する。また、保持ヘッド4は本発明における保持手段の一実施態様に相当し、冷媒供給系6は本発明における冷媒供給手段の一実施態様に相当する。
【0015】
研磨定盤2は、研磨パッド3を保持するためのパッド保持面を備え、このパッド保持面が保持ヘッド4に対向するように上向きに配置されている。研磨定盤2は、パッド保持面とは反対側の面に連結された回転軸7を介して、図示しないモーターにより回転軸7まわりに回転駆動される構成になっている。パッド保持面は、例えば、被研磨物の一実施態様となる半導体ウエハ(以下、ウエハと略称)8の直径の2倍以上の直径を有する円形状に形成されている。また、研磨定盤2は、後述する冷媒によって変質しない材料によって構成されることが好ましい。研磨定盤2の材料としては、例えばステンレスやセラミックスを用いることができる。
【0016】
研磨パッド3は、ウエハ8の被研磨面8Aを研磨するためのもので、例えば、適度な弾性を有するポリウレタンによって構成されている。この研磨パッド3は、研磨定盤2のパッド保持面のほぼ全面に、例えば、両面接着テープ等の接着手段により貼着、固定されている。
【0017】
保持ヘッド4は、バッキング材9とリテーナリング10とを一体に有するもので、例えば所定の厚みを有する円盤状に形成されている。バッキング材9は、保持ヘッド4の一端面に配置されている。バッキング材9は、例えば吸着によりウエハ8を保持する。リテーナリング10は、全体的に円形の環状に形成されたもので、その内径部分を保持ヘッド4の外径部分に嵌合するように装着、固定されている。リテーナリング10は、バッキング材9で保持したウエハ8が保持ヘッド4から飛び出すことを阻止するものである。保持ヘッド4には、バッキング材9が装着されている端面と反対側の端面に回転軸11が連結されている。回転軸11はモータ12によって回転駆動される。また、モータ12は、ヘッド駆動装置5に設けられた可動アーム13の先端部に組み込まれている。可動アーム13は、ヘッド駆動装置5によって上下方向に移動可能でかつ水平方向に旋回可能に支持されている。
【0018】
冷媒供給系6は、研磨パッド3を冷却するための冷媒を供給するもので、ポンプ14と、制御バルブ15と、冷媒供給路16と、冷媒回収路17と、冷媒冷却機18とを有している。ポンプ14は、冷媒を圧送するものである。制御バルブ15は、ポンプ14から冷媒供給路16への冷媒の供給を開始又は停止したり、冷媒の単位時間当たりの供給量を制御したりするものである。冷媒供給路16は、ポンプ14から圧送された冷媒を研磨パッド3部分へと導くもので、回転軸7から研磨定盤2にかけて連続的に形成されている。冷媒回収路17は、研磨パッド3部分に供給された冷媒を回収し、これを再利用のために冷媒冷却機18へと導くもので、研磨定盤2から回転軸7にかけて連続的に形成されている。冷媒冷却機18は、冷媒回収路17を通して回収された冷媒を再利用のために冷却するものである。冷媒冷却機18で冷却された冷媒はポンプ14に送られ、このポンプ14から再び冷媒供給路16を通して研磨パッド3部分に供給される。
【0019】
これに対して、研磨パッド3には、冷媒供給系6によって供給される冷媒を流すためのチューブ19が組み込まれている。このチューブ19は、研磨パッド3に埋め込む状態で配設されている。すなわち、チューブ19は、研磨パッド3の内部でかつ研磨面(パッド最上面)3Aを除く領域に埋め込むように設けられている。また、研磨パッド3の上方には、当該研磨パッド3に対向する状態で研磨剤供給ノズル20が配置されている。研磨剤供給ノズル20は、研磨剤となるスラリー21を研磨パッド3の中心部に向けて吐出、供給するものである。
【0020】
図2は研磨定盤2における研磨パッド3とチューブ19の取付状態を示すもので、(A)はその側面概略図、(B)はその平面概略図である。研磨パッド3は、ウエハ8の被研磨面8Aを研磨面3Aにより研磨する研磨層31と、この研磨層31を支持する支持層32を一体に有する積層構造となっている。これら研磨層31と支持層32は、互いの境界面を接着等により貼り合わせた状態で一体化されている。研磨層31は、研磨面3Aを有する単層で構成されるものである。支持層32は、研磨層31よりも軟質の層であって、単層又は複数の層で構成されるものである。
【0021】
本発明における冷却手段は、上述のように研磨パッド3に設けられたチューブ19と、このチューブ19に冷媒を供給する冷媒供給系6によって構成される。研磨パッド3に対するチューブ19の取付状態としては、例えば、研磨パッド3の研磨面3Aと反対側の面に、断面凹状の連続した溝22を形成し、この溝22にチューブ19を嵌合することにより、研磨パッド3にチューブ19を埋設した構成としている。この場合、研磨定盤2のパッド保持面にチューブ19を固定し、その上から研磨パッド3を被せて貼り付けることにより、研磨パッド3が摩耗したときのパッド交換に容易に対応することが可能となる。
【0022】
また、チューブ19を嵌合させるための溝22は、研磨パッド3の製造時に同時に形成してもよいし、研磨パッド3を円盤状に形成した後に例えば切削加工によって形成してもよい。この溝22は、研磨パッド3の中心部から外周部に向かって所定(一定)のピッチPで螺旋状に形成され、これに合わせてチューブ19も螺旋状に形成されている。そして、チューブ19の一端にはこれに連通するように冷媒供給路16が接続され、同他端にはこれに連通するように冷媒回収路17が接続されている。
【0023】
チューブ19と溝22の寸法関係は、チューブ19の材質や溝22の形状などに応じて適宜設定される。例えば、チューブ19をステンレス、アルミニウム、銅などの金属材料を構成する場合は、このチューブ19を研磨パッド3に埋め込むことでパッド表面形状が変化しないよう、図3に示すように、研磨定盤2のパッド保持面からのチューブ19の突き出し寸法Hを、研磨パッド3の溝22の深さ寸法Dと同一寸法とするか、それよりも若干小さめの寸法とする。また、研磨パッド3の溝22の幅寸法Wは、チューブ19の外径寸法φよりも大きい寸法とする。この場合、チューブ19を金属材料で構成することにより、チューブ19自体の熱伝導率が高くなる。そのため、チューブ19に冷媒を供給したときに、この冷媒の冷熱をチューブ19を介して研磨パッド3に効率良く伝えることができる。
【0024】
これに対して、チューブ19をシリコーンゴム、テフロン(登録商標)等のように軟質で弾性(好ましくはゴム状弾性)を有する樹脂材料で構成する場合は、このチューブ19を研磨パッド3に確実に接触させるために、研磨パッド3を研磨定盤2のパッド保持面に貼り付ける前の状態では、図4(A)に示すように、研磨定盤2のパッド保持面からのチューブ19の突き出し寸法Hを、研磨パッド3の溝22の深さ寸法Dよりも大きい寸法とし、研磨パッド3を研磨定盤2のパッド保持面に貼り付けた状態では、図4(B)に示すように、溝22にチューブ19を嵌合したときに、研磨パッド3でチューブ19が押し潰されて変形するようにする。この場合、研磨パッド3の溝22の幅寸法Wは、チューブ19の外径寸法φよりも大きい寸法とする。また、チューブ19を研磨パッド3よりも軟質の弾性体で構成する。これにより、チューブ19を研磨パッド3の研磨層31に接触させ、チューブ19に供給した冷媒の冷熱を効率良く研磨パッド3に伝えることができる。また、チューブ19が研磨パッド3との接触によって弾性変形するため、研磨パッド3の表面形状が劣化することもない。
【0025】
また、チューブ19を研磨定盤2に固定する構造以外にも、例えば、図5(A)に示すように、研磨パッド3を構成する研磨層31と支持層32の境界領域に筒状の溝22を形成し、この溝22にチューブ19を嵌合することにより、研磨パッド3にチューブ19を埋設、固定した構成としてもよい。この場合、チューブ19の外形断面を円形状とすると、図5(B)に示すように、その円形状を2分した半円状の溝22A,22Bを研磨層31と支持層32の双方に形成し、それらの溝22A,22Bでチューブ19を挟み込むように研磨層31と支持層32を密着させて貼り合わせる。この場合、研磨パッド3とチューブ19とが広い面積にわたって接近又は接触した状態となる。そのため、チューブ19に冷媒を供給したときに、この冷媒によって研磨パッド3を効率良く冷却することができる。
【0026】
いずれの取付状態においても、研磨パッド3にチューブ19が埋め込まれた状態で配設され、その状態のもとで冷媒供給系6により冷媒がチューブ19に供給されることになる。冷媒としては、冷却した空気や窒素ガスなどの気体、或いは、水やアルコールなどの流体を用いることができる。
【0027】
続いて、上記構成の研磨装置1を用いてウエハ8を研磨処理する場合の動作について述べる。先ず、ウエハ8を研磨するにあたっては、被研磨物となるウエハ8を、その被研磨面8Aを外側に向けてバッキング材9により吸着(例えば水吸着)する。これにより、ウエハ8は、バッキング材9に吸着された状態で保持ヘッド4の一端面に保持される。
【0028】
続いて、ヘッド駆動装置5の駆動により、回転軸11及び可動アーム13を介して保持ヘッド4を図1の矢印Z方向に移動(下降)させることにより、ウエハ8の被研磨面8Aを研磨パッド3の研磨面3Aに所定の圧力で接触させる。この接触状態において、研磨剤供給ノズル20から吐出させた研磨剤(スラリー)21を、研磨面3Aと被研磨面8Aとの接触界面に供給しながら、研磨定盤2と保持ヘッド4をそれぞれ矢印Ra,Rb方向に所定の回転数で回転させる。これにより、ウエハ8の被研磨面8Aが研磨パッド3の研磨面3Aによって化学的かつ機械的に研磨される。以上のようなCMP等の研磨においては、研磨面3Aと被研磨面8Aとの接触状態における相対運動により、研磨パッド(研磨部材)3及びウエハ(被研磨物)8に熱が発生する。研磨パッド3及びウエハ8に熱が発生すると、研磨速度や研磨特性の変化につながる。
【0029】
そこで本実施形態に係る研磨装置1では、研磨パッド3を冷媒によって直接的かつ強制的に冷却する。研磨パッド3を直接的に冷却するとは、パッド冷却のための冷媒を研磨パッド3部分に直接供給して冷却することをいう。これに対して、例えば、冷媒を研磨定盤2部分に供給し、この研磨定盤2を介して研磨パッド3を冷却することは、研磨パッド3を間接的に冷却することとなり、直接的に冷却することにはならない。
【0030】
実際に研磨パッド3を冷却する場合は、冷媒供給系6において、ポンプ14から圧送した冷媒を制御バルブ15の開放により冷媒供給路16に送り込み、この冷媒供給路16を通してチューブ19に冷媒を供給する。これにより、所定の温度に冷却された冷媒がチューブ19内を流れる。このチューブ19は、研磨パッド3に埋め込まれた状態となっている。そのため、研磨パッド3の内部では、当該研磨パッド3とチューブ19との間の熱交換により、研磨パッド3が冷媒によって直接的に冷却される。また、チューブ19は研磨パッド3のほぼ全域にわたって螺旋状に配置されているため、このチューブ19を流れる冷媒により、研磨パッド3全体が均一に冷却される。
【0031】
また、冷媒供給路16を通してチューブ19に供給された冷媒は、当該チューブ19内を一端から他端に向けて流れた後、冷媒回収路17に回収される。さらに、冷媒回収路17に回収された冷媒は、冷媒冷却機18で所定の温度に冷却された後、ポンプ14に戻されて、パッド冷却のために循環、供給(再利用)される。
【0032】
このように冷媒供給系6によってチューブ19に冷媒を供給することにより、研磨パッド3を冷媒によって直接的に冷却しながらウエハ8の被研磨面8Aを研磨パッド3の研磨面3aで研磨することにより、研磨面3Aと被研磨面8Aとの接触界面における発熱やこれに伴う研磨パッド3の温度上昇が、冷媒の冷却効果によって抑えられる。その結果、ウエハ8の研磨中に研磨速度や研磨特性を一定に維持し、良好な研磨結果を安定的に得ることが可能となる。特に、研磨パッド3を構成する研磨層31及び支持層32のうち、空気含有率(空孔占有率)の違いによって支持層32よりも熱伝導性が高く、かつ、ウエハ8の被研磨面8Aに直接触れる研磨層31に、チューブ19からの冷気が直接触れるように、チューブ嵌合用の溝22を研磨パッド3に形成しているため、研磨面3Aと被研磨面8Aとの接触界面における発熱やこれに伴う研磨パッド3の温度上昇をより有効に抑えることができる。
【0033】
また、パッド冷却のためにチューブ19を用いたことにより、研磨パッド3を冷媒で冷却する場合に、この冷媒が研磨パッド3に直接触れることがない。そのため、冷媒が研磨パッド3にしみ込んでウエハ8の研磨特性に悪影響を与えたり、研磨定盤2に対する研磨パッド3の接着部や、研磨パッド3内の層間の接着部が、冷媒との接触によって剥がれたり、接着力が低下したりする恐れもない。したがって、ウエハ8の研磨特性や、研磨パッド3及びパッド接着剤との材料的な相性などを何ら配慮することなく、研磨パッド3の冷却を優先して冷媒の材料を任意に選択することができる。具体的には、例えば、フロン又はフロリナート(製品名、住友スリーエム社製)などを冷媒として好適に用いることが可能となる。
【0034】
続いて、本発明の実施例と比較例についての実験結果について説明する。先ず、実施例と比較例に共通する条件として、被研磨物にCu1.5μm/Ta20nm/SiO2/Si付きのシリコン製のウエハ8を用いるとともに、このウェハ8を60sec研磨したときの研磨パッド3の温度を放射温度計で測定し、そのときの最高上昇温度を調べた。また、研磨条件としては、研磨剤にシリカ(SiO2)系スラリー(JSR製CMS7301)を用いるとともに、研磨加工圧を300g/cm2、回転数をウェハに対する研磨パッドの周速で60m/minとなるように設定した。さらに、研磨パッド3として、ローデルニッタ製のIC1000(ポリウレタン製、厚さ1.2mm)を研磨層31、ローデルニッタ製のSUBA400(ポリウレタン製、厚さ1.2mm)を支持層32とした積層構造のものを用いた。
【0035】
(実施例1)
研磨装置の構成として、上記図3に示すように、内径寸法1mm、外径寸法φ=1.7mmのステンレス製のチューブ19を採用するとともに、このチューブ19を研磨定盤2のパッド保持面に若干(0.2mm)埋め込むように固定した。この場合、研磨定盤2のパッド保持面からのチューブ19の突き出し寸法Hは1.5mmとなる。これに対して、研磨パッド3には支持層32から研磨層31に至る領域に幅寸法W=2mm、深さ寸法D=1.6mm、ピッチ寸法P=15mmの螺旋状の溝22を形成し、この溝22に同じく螺旋状のチューブ19を嵌合するように、研磨定盤2のパッド保持面に研磨パッド3を貼り付けた。また、チューブ19に供給する冷媒として水(液体)を用い、この水の流量と温度を変化させたときの冷却効果を調べた。
【0036】
(実施例2)
研磨装置の構成として、上記図4に示すように、内径寸法1mm、外径寸法φ=1.9mmのシリコーン製のチューブ19を採用するとともに、このチューブ19を研磨定盤2のパッド保持面に若干(0.2mm)埋め込むように固定した。この場合、研磨定盤2のパッド保持面からのチューブ19の突き出し寸法Hは1.7mmとなる。これに対して、研磨パッド3には支持層32から研磨層31に至る領域に幅寸法W=2mm、深さ寸法D=1.6mm、ピッチ寸法P=15mmの螺旋状の溝22を形成し、この溝22に同じく螺旋状のチューブ19を嵌合するように、研磨定盤2のパッド保持面に研磨パッド3を貼り付けた。その際、チューブ19を研磨パッド3で押圧することにより、溝22内でチューブ19を楕円形状に弾性変形させた。また、チューブ19に供給する冷媒として水(液体)を用い、この水の流量と温度を変化させたときの冷却効果を調べた。
【0037】
(比較例1)
研磨装置の構成として、パッド冷却のためのチューブ19や溝22が設けられていないこと以外は、上記実施例1,2の場合と同様である。
【0038】
(比較例2)
研磨装置の構成として、研磨パッド3の支持層32から研磨層31に至る領域に幅寸法W=2mm、深さ寸法D=1.6mm、ピッチ寸法P=15mmの螺旋状の溝22を形成し、この溝22に直に冷媒を供給するものとした。また、溝22に供給する冷媒として水(液体)を用い、この水の流量と温度を変化させたときの冷却効果を調べた。
【0039】
以上の条件に基づく実験結果を下記表1〜表4に示す。表1は実施例1に基づく実験結果1を示し、表2は実施例2に基づく実験結果2を示すものである。また、表3は比較例1に基づく実験結果3を示し、表4は比較例2に基づく実験結果4を示すものである。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
上記実験結果1〜4から分かるように、実施例1,2とも比較例1に比べて十分な冷却効果が得られた。また、実施例1は比較例2に比べて若干冷却効果が落ちる結果となったのに対し、実施例2は比較例2と同等の冷却効果が得られた。これは、実施例1ではチューブ19と研磨パッド3が密着しないために、研磨パッド3とチューブ19の間に熱伝導が悪い空気が介在するのに対し、実施例2ではチューブ3と研磨パッド19が密着するために、空気よりも熱伝導性が良いチューブ19を通じて、冷媒が効率的に研磨パッド3を冷却することができるためであると考えられる。また冷媒温度5℃,流量300ml/minでウェハ8を各60sec間、1000枚連続して研磨した後、パッド外周への水漏れを調べたところ、比較例2のものでは接着剤(粘着剤)の剥がれによって水漏れが発生し始めていたが、実施例1,2のものはいずれも水漏れは発生しなかった。比較例2の研磨装置では、溝22を流れる水分に加えて、研磨時に発生する熱と、研磨による応力が加わることにより、接着部に剥がれが発生したと考えられる。
【0045】
以上、本発明の実施の形態について述べてきたが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、上記実施形態における形状、材質や各種数値等の記載は、本発明を説明するための一例にすぎず、特許請求の範囲内で適宜変更可能である。例えば、チューブ19の断面形状は円形状に限らず、三角形、四角形等の多角形や、楕円形状など、種々の形状を採用することが可能であり、それに合わせて溝22の形状も種々変更可能である。また、研磨パッド3は、ポリウレタン製のものに限らず、不織布、スエード状研磨パッド、その他樹脂材料製の研磨パッドなど、全ての材質の研磨パッドにおいて同様の効果を得ることができる。また、固定砥粒が含有された研磨パッドを用いた場合でも、本発明を適用することが可能である。さらに、本発明は、半導体ウェハの研磨だけでなく、研磨パッドを用いるガラスや樹脂等の対象物の研磨一般に広く適用可能である。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、チューブに冷媒を供給して研磨部材を冷却することにより、冷媒と研磨部材との接触による研磨特性の変化や、研磨部材の剥がれ、接着力低下などを招くことなく、研磨部材を冷媒によって効率良く冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る研磨装置の構成例を示す概略図である。
【図2】研磨パッドとチューブの取付状態を示す図である。
【図3】チューブ埋め込み構造の第1具体例を示す図である。
【図4】チューブ埋め込み構造の第2具体例を示す図である。
【図5】チューブ埋め込み構造の第3具体例を示す図である。
【符号の説明】
1…研磨装置、3…研磨パッド(研磨部材)、3A…研磨面、4…保持ヘッド、6…冷媒供給系、8…半導体ウエハ(被研磨物)、8A…被研磨面、19…チューブ、22…溝、31…研磨層、32…支持層
Claims (5)
- 被研磨物を保持する保持手段と、前記被研磨物を研磨する研磨部材を備える研磨手段とを有し、前記被研磨物の被研磨面と前記研磨部材の研磨面とを接触させ、前記被研磨面と前記研磨面との相対運動により、前記被研磨面を研磨する研磨装置であって、
前記研磨部材に埋め込む状態で配設されたチューブと、当該チューブに冷媒を供給する冷媒供給手段とを有し、前記研磨部材を前記冷媒によって直接的に冷却する冷却手段を備える
ことを特徴とする研磨装置。 - 前記チューブを前記研磨部材よりも軟質の弾性体によって構成してなる
ことを特徴とする請求項1記載の研磨装置。 - 前記研磨部材は、前記被研磨物を前記研磨面により研磨する研磨層と、当該研磨層を支持する支持層とを有し、前記支持層から前記研磨層に至る領域に前記チューブを嵌合するための溝を形成してなる
ことを特徴とする請求項1記載の研磨装置。 - 前記研磨部材は、前記被研磨物を前記研磨面により研磨する研磨層と、当該研磨層を支持する支持層とを有し、前記支持層と前記研磨層との境界領域に前記チューブを嵌合するための溝を形成してなる
ことを特徴とする請求項1記載の研磨装置。 - 被研磨物と、当該被研磨物を研磨する研磨部材とを接触させ、前記被研磨物の被研磨面と前記研磨手段の研磨面との相対運動により、前記被研磨面を研磨する研磨方法であって、
前記研磨部材にチューブを埋め込むように配設し、当該チューブに冷媒を供給することにより、前記研磨部材を前記冷媒によって直接的に冷却しながら前記被研磨物の前記被研磨面を研磨する
ことを特徴とする研磨方法。
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