JP2004330239A - 自動車鈑金用工具 - Google Patents

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文武 阿南
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Abstract

【課題】自動車のボディーの塗装面を傷つけることなくボディーのヘコミを修正する工具で、大巾なコストダウンを図る。
【解決手段】図1の引き手▲2▼と一体化した吸盤▲1▼を自動車ボディーの凹みにセットし、吸盤内を真空引きして吸着させ引き手▲2▼を凹みが受けた外圧方向と逆方向、すなわち矢印方向へ、引き手▲2▼を引きつつ、凹みの周囲の曲がり部分▲3▼をハンマリングしてこの凹みを修正する。
バー▲4▼の他端をボディーあるいはその他の適当な箇所に固定してこのバーに生じる反力を利用
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
この発明は、自動車のボディーの凹みを修復する技術分野
【0002】
【従来の技術】
自動車ボディーの修理を大別すると比較的大きな修理、いわゆる部品を多数交換しなければならない事故と、フェンダーやボンネットやドア等外板の一部を鈑金する程度の小さなものとに別れ、この小さなものでも単なる凹みで塗装が傷んでなく、かつ鉄板が伸びていない弾性変形に近いものと、逆に鉄板が伸びている塑性変形のものがあり、この塑性変形したものについては一般的に変形した塗装部分をサンダー等で剥がして鉄板表面を出し、凹みにワッシャ等を電着溶接してこの部分を引き出して平らな元の面に直し、ある場合には塑性変形している為、高い部分をハンマリングしたり、熱を加えて絞り込みをしたりしてできるだけ元の面に直し、この上にパテを付け、このパテが乾燥した状態の時、ペーパーで砥ぎ、なおかつ残る傷をとる為さらに細目のパテを付けて砥ぐという作業を重ねて、この工程が完了した時点で塗装作業へと移行する。
【0003】
このように一口でボディー修理といっても複雑多岐にわたる。換言すれば修理が複雑になる程修理代金が高くなるので、でき得れば単なる凹みで弾性変形に近い範囲内の修理は塗装面を剥がすことなく、この凹みを直したい訳であるが、従来この単なる凹みを直す為に吸盤に取手の付いた工具図1である程度の修正が可能であった。しかし図1に示すように単に吸盤の一部を栓で塞ぐのみである為、作業中に吸着力を失いあるいは少し複雑な形状面では吸着できないという欠点があった。また取っ手を引くとき生じる負圧利用の為に吸着力が小さくある程度広い面積がなければ鉄板の凹みを直すだけの力を発生せず、従って従来市販されているのは、外形80mmというのが最小径であった。
【0004】
このように従来品いわゆる従来技術ではその修正範囲が限られ、結局はお客さんの要望を満足し得ず塗装面を剥がし、パテ付けをして塗装をし直すという作業をしなければならず、ボディーの修理が高くつくという欠点があった。
尚、最近の塗装はスリーコートパールが主流となり、ドアやフェンダーを塗装するだけでも4万円も5万円もつくというのが現状である。
【0005】
又、この分野の公開公報は2件あり、図2の特願2000−138778は、堰を形成するのが大変である。なぜなら自動車の外板は薄い鉄板である為に、それを補強すべく曲面であり、なおかつプレスによるラインが付けられているので、粘弾性樹脂組成物を配するのが困難である。又、仮にこの組成物で密封できて真空引きしたとしても、吸盤がその修正しようとする形状に一致してなければならず、この吸盤を何百種類ものそれぞれの車の形状に合わせ、又、なおかつ修正しようとする位置は一定でない為その都度修正場所にあう形状の吸盤を作るとなると、その製作費用の方が数十、数百倍も高くつき、全く非現実的である。
【0006】
なお、決定的な問題は、粘弾性樹脂組成物と吸盤によって密封状態を保ち、真空引きし得たとしても、自動車の外板は薄板といえども、高張力鋼板を使用し、なお、前述のごとく曲面でありライン付き加工されていて補強されており、完全真空状態、すなわちマイナス760mmHgにひいても元の形状に復元することは不可能である。机上の空論でしかない。
もう1件の特願2000−212022も、凹み部分にウレタンゴム材真空パッドをあてがい、真空引きするということで前者と同様の考え方であるが、前述のごとく真空パッドの方がボディー側に吸着するのみで、このようなことでは自動車のボディー修復は全く不可能である。
要するに前願2件は、産業的利用価値は全く認められない。
【0007】
もうひとつ重要で、付け加えなければならないことがある。
吸盤を用いて、この吸盤内の負圧を利用したものは産業界では古い利用歴がある。例えば、自動車の生産ラインでは、自動ないし半自動のロボットが使用され、物を掴むこのロボットのアーム先端は指や手の平の働きをしなければならない。各形状の部品をライン棚からラインへ供給する場合、金属であれば電磁石を利用しており、その他平らな物、例えばフロントガラスやリヤガラス等は、この吸盤を使って真空状態にし所定の位置まで移動後は、吸盤内の負圧を大気の状態に戻してロボットアームから手離すという利用がなされ、自動車修理の現場でもガラス類、とりわけ重たいフロントガラスやリヤガラスの交換時には取手付吸盤が用いられて久しい。
従って、取手付吸盤や吸盤内を真空で引くということそのものは、古くからの技術である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
自動車ボディー修理には0002で詳述のごとく、一口で自動車の板金、修理といってもその傷は程度の大小、場所、傷の形状により修理方法は異なるが、要するに、いかに安価で修理するかである。本発明は、これら今までの修理方法では不可能とされていた、塗装を傷つけることなく弾性変形した単純凹みをきれいに修正する為に従来の欠点を補うことである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
0002〜0006で詳述のように、単に真空引きのみで解決できなかった従来の欠点を補うために、図4のように吸盤▲1▼と引き手▲2▼を一体化させ、この吸盤内の空気を強制的に真空引きできるようにし、吸着力を増して凹みの底部を吸引しつつ、同時にこの引き手▲2▼を、凹みを受けた逆方向に引き上げつつ凹みの周囲にできた山▲3▼の部分をハンマリングできるようにした。
【0010】
ボディーに凹みができたということは、図5に示すように、元の面すなわち図の点線で示す面が実線で示すように変形したということであり、図2ないし図3に示すように、単にこの凹み部分を完全真空状態にしても凹みはそのままでは修復不可能である。このことは0002〜0006でも説明済みであるが、この凹みを直す為には凹みの一部分を、外圧を受けた逆方向に引き上げつつ、変形した図4の矢印部分をハンマリングすることによってのみ修正可能であり、従来技術そのままでは広い範囲のいろいろな複雑な傷の修正は不可能である。
【0011】
【発明の実施例】
次に図4を参照しながら発明の実施形態を説明する。
外圧によって受けた凹み部分に吸盤▲1▼を配し、引き手▲2▼をアーム▲4▼にセットしてこの吸盤内の空気を、図示しない真空ポンプで引く、アーム▲4▼の他端は他の場所に固定してある。引き手▲2▼の他端はネジ▲5▼を切ってあり、ナット▲6▼を締めることにより吸盤▲1▼は矢印方向に引かれる。このナット▲6▼の締め具合を調整しつつ、凹みの周りに生じている山▲3▼をハンマリングして徐々に傷の修正を行う。
このようにすることにより、作業者の両手が自由となり、ナット▲6▼の調整により吸盤▲1▼を引く力を自由に調節でき、かつ一定の方向に一定圧で引くことが可能となる為、今までより広い範囲の傷、換言すれば、より小さな傷も正確に修正することが可能となった。
【0012】
図6は関連する実施例で、吸盤▲1▼と真空ポンプ▲9▼との間に、バルブ▲7▼と真空タンク▲8▼を配したものである。ただ単に、吸盤▲1▼と真空ポンプ▲8▼を直結するのみで作業するよりも、本図のようにセットすることにより、あらかじめ真空タンク▲8▼内の真空度を上げておき、バルブ▲7▼を開くことにより吸盤▲1▼内の真空度を上げて作業しやすくできるようにしたものである。
こうすることによる利点は、単に作業性を高めるのみでなく、直接真空引きするよりも真空ポンプを小型のものに置き換えることができる。
【0013】
【発明の効果】
以上説明のとおり、自動車ボディーの傷を修正するにあたり、塗装面を傷つけることなく従来不可能とされていた、より小さな凹みを正確かつ安価で修正することが可能となり、その経済的効果は多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】市販されているものの、一部断面図
【図2】特願2000−138778の一部断面図
【図3】特願2000−212022の一部断面図
【図4】本発明の一部断面実施図
【図5】ボディーの凹み
【図6】この発明の他の実施例
【符号の説明】
▲1▼ 吸盤
▲2▼ 引き手
▲3▼ 凹みの山
▲4▼ バー
▲5▼ ネジ
▲6▼ ナット
▲7▼ バルブ
▲8▼ 真空タンク
▲9▼ 真空ポンプ

Claims (1)

  1. 真空引きできるようにした吸盤▲1▼と引き手▲2▼を一体化しこの引き手の作用長を可変できるようにした自動車鈑金用工具
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