JP2004330174A - 液体処理方法及び処理システム - Google Patents
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Abstract
【課題】液体処理方法及び処理システムにおいて懸濁性汚濁物質及び溶解性汚濁物質の分離と分解を同時に行い、汚濁物質を水から濃縮分離でき、かつ短い処理工程でかつ低コストの単一単位操作処理方法と処理システムの提供と濃縮分離された浮遊汚濁物質を揮発ガス化し、産業廃棄処理負荷の無い環境負荷の小さな処理方法と処理システムの提供。
【解決手段】汚濁物質を含む被処理液に対して、第一の工程として、汚濁物質と水との分離、分解、濃縮の各処理および水の浄化処理を同時に行える、電磁波と紫外光との同時照射による物理化学的処理手段を主体とした処理工程1と第二の工程として第一の工程により汚濁物質が濃縮された液を対象とした脱水及びガスプラズマ反応による固体揮発化処理をかねた処理工程2により構成する。
【選択図】図2
【解決手段】汚濁物質を含む被処理液に対して、第一の工程として、汚濁物質と水との分離、分解、濃縮の各処理および水の浄化処理を同時に行える、電磁波と紫外光との同時照射による物理化学的処理手段を主体とした処理工程1と第二の工程として第一の工程により汚濁物質が濃縮された液を対象とした脱水及びガスプラズマ反応による固体揮発化処理をかねた処理工程2により構成する。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液体処理方法および液体処理システムに係わり、特に用水処理や一般及び産業用廃水処理の液体の浄化工程並びに生物学的水処理工程並びに生物学的水処理工程における余剰汚泥排出処理における固形物、微生物、有機化合物等の懸濁性汚濁物質、及び水溶液中に溶解している有機系、リン系、窒素系などの溶解性汚濁物質の分離及び分解方法において、懸濁性物質の分離及び分解処理と分離液体の中の溶解性物質除去処理方法さらに浮遊分離された分離浮遊汚濁物質の最終処理方法及び処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、水処理技術とは目的や用途によって所要とされる水質を得るために水中の物質を除去する技術を言うが、これらの目的のために用水処理あるいは廃水処理においては物理化学的な方法と活性汚泥法に代表される生物学的な方法のふたつが併用される。これは水から除去すべき汚濁物質種が多種であり、物理化学的処理では物質の性質によって除去されるものが限られ、また生物学的処理では生物処理上有害な物質は処理対象とならないためである。このため水処理における汚濁物質の分離や分解に関しては、生物学的処理方法とともに各種の物理化学的手法が実用化あるいは提案されてきている。
【0003】
通常液体処理における汚濁物質は懸濁性物質と溶解性物質とに分類される。また一方処理手法としては生物学的処理と物理化学的処理とに分類される。
【0004】
物理化学的処理手法は、生物学的処理手法では分離あるいは分解できない物質を対象とすると共に、生物学的処理における処理速度の律速による処理量の限界に対して有効な手法としても利用されている。
【0005】
これらの物理化学的処理は、懸濁性物質の固液分離手法として凝集分離、電解浮上分離 加圧浮上分離、遠心分離があり、溶解性物質の分離や分解処理には薬剤凝集分離と加圧浮上分離の組み合わせによる凝集浮上手法、あるいはオゾン処理等による化学分解手法あるいは高電圧処理・高周波電磁波照射処理・超音波照射処理・微細気泡処理・超臨海水処理及び磁界利用処理等またはこれらの組み合わせによる水の細分子化による溶解性向上や溶解性物質と水との分離などの物理的分離分解手法が提案されている。(特開平11−90420、特開2001−225060)
【0006】
また特に廃水処理における生物学的処理との組み合わせの場合の汚泥処理において、特に懸濁性物質としての有機体を含む廃水の最終処理は活性炭吸着による脱色、脱臭処理及び薬剤による殺菌処理を経て最終的には機械的脱水処理後、固形分は脱水ケーキとして産業廃棄物処理され、液体分は曝気槽返送されあるいは一部は浄化処理を経由して放流排水される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこれらの従来の物理化学的処理は浮遊性である懸濁性物質の浮遊分離処理工程と、浮遊性懸濁性物質分離後の液体中の溶解性物質の分離分解処理工程に分かれて処理がなされていて、工程の煩雑化とともに、処理コストの増大をもたらす事になる。
【0008】
もっとも一般的に用いられている薬剤による凝集分離処理では、溶解性物質の凝集分離が完全に行えないばかりでなく、環境保全の観点からも凝集剤はできる限り使用しないのが望ましい。
【0009】
さらに電解浮上分離、加圧浮上分離では懸濁性物質が高濃度の場合には、希釈等の処理が必要であり、遠心分離手法では工程の連続処理化が困難である。
【0010】
また、物理化学的分離分解手法においては各々の処理が単位操作となり対象とする汚濁物質処理毎に物理的処理装置が必要であってこれを組み合わせて行う必要が生じて処理工程が長くまた処理システムコストも増大する。
【0011】
また特に廃水処理における生物学的処理との組み合わせの場合の汚泥処理における固形分の最終処理としての脱水ケーキは最終的には埋め立てあるいは焼却されるが、環境保全の観点から大きな社会問題となってきている。さらに液体分においては河川放流のCOD規制、TN規制の観点から低濃度排出が必要であって、これを実現するために、生物学的処理への返送負荷の増大及び活性炭処理等の負荷の増大があり、低コストで有効な高効率固液分離処理及び液体浄化処理及び低コストな固形分最終処理が必要である。
【0012】
本発明が解決しようとする課題は次のとおりである。固形物、微生物、有機化合物等の懸濁性汚濁物質、及び水溶液中に溶解している有機系、リン系、窒素系などの溶解性汚濁物質の分離及び分解方法において、懸濁性物質の浮遊分離処理工程による懸濁性物質の濃縮分離と、懸濁性物質分離された液体中の溶解性物質の分離分解処理工程による溶解性物質の分離と分解を同時に実現する短い処理工程でかつ低コストの処理方法と処理システムを提供する事であり、さらに生物学的処理との組み合わせの汚泥処理の場合においては前記分離分解処理に連続して濃縮分離された懸濁性物質を揮発ガス化し産業廃棄処理負荷の無い環境負荷の小さな処理方法と処理システムを提供する事である。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記内容を具体化するために以下の手法を用いる。
【0014】
汚濁物質を含む被処理液に対して、第一の工程として、汚濁物質の分解処理、汚濁物質と水との分離処理、汚濁物質濃縮処理および水の浄化処理を同時に行える処理工程1と第二の工程として第一の工程により汚濁物質が濃縮された液を対象とした脱水及びガスプラズマ反応による固体揮発化処理をかねた処理工程2により構成する。
【0015】
あるいは第一の工程により汚濁物質の水からの分離濃縮ができ、かつ本工程の排水は浄化されることから、第一の工程により濃縮浮遊分離した汚濁物質を従来の懸濁性物質処理である凝集処理、脱水処理、活性炭処理等の従来処理を行ってもよい。
【0016】
これらの目的を達成するために本発明に係わる請求項1に記載の液体処理方法の特徴は、紫外光の透過を目的とした合成石英管内に被処理液を通過させて、当該合成石英管の外部に電磁波の照射と紫外光を被処理液に同時に照射することにした点である。これによって電磁波エネルギーにより汚濁物質を直接振動励起して水と分離させ、また同時に媒体としての水の励起によって汚濁物質をイオン化し、また水分子の細分子化により液体中の溶存気体を脱ガス化して微小気泡を発生させて気液反応による化学反応を誘発させながら水の溶解性を高め、さらに紫外線による光化学反応による液体分子のイオン化と紫外線照射による光エネルギーによって物理的に汚濁物質の分子構造を断裂させて分解させることである。
【0017】
また請求項2に記載の液体処理方法の特徴は、請求項1に記載の物理化学的処理手段の効果の一部である脱ガス及び化学反応を増進するために、被処理液に十分に気体を溶存させておくことである。
【0018】
また、請求項3に記載の液体処理方法の特徴は、請求項1及び2において、酸素溶存による酸化、水素溶存による還元、塩素溶存による殺菌、2酸化炭素溶存による微小気泡発生等の効果を上げることになる。
【0019】
また、請求項4に記載の液体処理方法と処理システムの特徴は、請求項1から3における処理に電解処理によるイオン発生と微小気泡発生処理を付加することにより、分離、分解、殺菌、脱色、脱臭等の全体の処理効果及び効率をあげることである。
【0020】
また、請求項5に記載の液体処理方法と処理システムの特徴は、請求項1から4における処理と処理タンクもかねる固液分離槽とを連結させて被処理液を循環処理することによって、当該の固液分離槽において汚濁物質を自然浮上分離することによって上部に浮上濃縮し、下部においては処理に伴い浄化された水が堆積して汚濁物質と水とに分離することが可能となることである。
【0021】
また、請求項6に記載の液体処理方法と処理システムの特徴は、請求項1から5における処理において、照射される紫外光を波長が200nm以下の真空紫外光を含むものを用いる事により光反応エネルギーを大きくし光化学反応及び物理的紫外線照射直進性効率をあげて汚濁物質の分離、分解、殺菌などの効果を上げると共に、水分子に高エネルギー光を照射することによって水のクラスターを細分化させイオン化、低表面張力化、誘電率低下等の効果をあげる水と汚濁物質の分離と分解を促進できることである。
【0022】
また、請求項7に記載の液体処理方法と処理システムの特徴は、請求項1から6における処理において、紫外光の透過を目的とした合成石英管内に被処理液を通過させて、当該の合成石英管の外部に高周波減圧電離ガスプラズマを生成して、電磁波照射とプラズマによる紫外光を被処理液に同時に照射することによって単一の物理化学的処理用のエネルギー源により電磁波照射と紫外線照射を同時に行って電磁波励起、光化学反応、放射光反応、水活性化反応等の複数の物理化学反応を単一操作で実現して工程を短くし、かつ低コストで、さらに環境負荷の小さな処理が実現することである。
【0023】
また、請求項8に記載の液体処理方法と処理システムの特徴は、活性汚泥法における余剰汚泥処理において、請求項1から7における処理により、汚濁物質である微生物を濃縮分離することによって有機物資源として再利用を図ることができることである。
【0024】
また、請求項9に記載の液体処理方法と処理システムの特徴は、請求項1から8における処理における利用高周波の周波数が800MHz以上のマイクロ波を用いる事によって、指向性が高くかつ振動励起が増加することによって前記物理化学的処理手段の効果と効率を上げる。
【0025】
また、請求項10に記載の液体処理方法と処理システムの特徴は、請求項1から9における処理である前記処理工程1に連結させて、前記固液分離槽の上部より、浮遊した懸濁性汚濁物質をセラミック多孔体フィルターが充填されている高周波減圧電離ガスプラズマ反応容器内に吸引導入し、浮遊汚濁物質を当該のセラミック多孔体フィルターによりろ過吸着を行った後、当該の高周波減圧電離ガスプラズマ処理によって揮発化することである。
【0026】
また、請求項11に記載の液体処理方法と処理システムの特徴は、請求項10において酸素分子を含むガスによる高周波減圧ガス電離プラズマ処理による揮発化が、酸化反応によって炭酸ガスと水に分解する事により無公害な処理となることである。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明は本発明を限定するものではない。
【0028】
本発明の実施形態を図1から図5に基づき説明する。他の記号と判断するために図面符号は″″内に示した。
【0029】
図1及び図2は、本発明の液体処理方法及び処理システムの第一実施例を示しており、図3は本発明の液体処理方法及び処理システムにおける物理化学的処理手段の構造を示している。図4は本発明の液体処理方法及び処理システムにおけるプラズマ処理装置の構造を示している。図5は前記第一実施例からの変形の本発明の液体処理方法及び処理システムの第二実施例を示している。
【0030】
なお、本発明は一般下水道排水処理、産業排水処理、浄水処理、プールや浴場の殺菌浄水処理などの種々の液体処理に利用可能であるが、便宜上、以下の説明においては活性汚泥処理における余剰汚泥処理システムを具体例として説明する。
【0031】
【第一実施例】図1は本発明の液体処理方法及び液体処理システムについての第一実施例の形態を示す図であり、汚濁物質を含む被処理液″3″は、循環処理配管に不適切な被処理液中の大きな固形物を除去する目的のスクリーン固形物ろ過分離手段″2″を経由して、固液分離槽″1″内に導入される。
【0032】
本実施例におけるシステムの工程分類においては、汚濁物質を含む被処理液に対して、第一の工程として、汚濁物質と水との分離と分解と濃縮の各処理および水の浄化処理を同時に行える処理工程1と、第2の工程として第一の工程により汚濁物質が濃縮された液を対象とした脱水及びガスプラズマによる固体揮発化プラズマ処理をかねた処理工程2により構成する。
【0033】
第一の工程である処理工程1の構成は、汚濁物質と水との浮上分離を行う被処理液タンクをかねた固液分離槽″1″と、被処理液中の溶存気体量を増加する目的の気体溶存処理手段、汚濁物質の分離及び分解処理を同時に行える物理化学的処理手段″10″とを連結し、被処理液を循環処理する手法を用いる。
【0034】
第二の工程である処理工程2の構成は、高周波減圧ガス電離プラズマ処理部″101″により構成されるガスプラズマによる固体揮発化プラズマ処理装置と吸引及び減圧及び減圧脱水用の真空システムから構成される。
【0035】
以上の各工程についてより具体的に説明する。
【0036】
図1及び図2において処理工程1は、汚濁物質を含む被処理液″3″が、循環処理に不適切な被処理液中の大きな固形物を除去する目的のスクリーン固形物ろ過分離手段″2″を経由して、被処理液処理タンクをかねる固液分離槽″1″内に供給ラインのバルブ操作によって定量導入される。前記スクリーン固形物ろ過分離手段″2″においてろ過できなかった比重の重い固形物″4″は固液分離槽″1″下部に沈降沈殿分離する。
【0037】
固液分離槽″1″内の被処理液″3″は固液分離槽″1″下部側面に設置された被処理液循環出路″6″から液体循環移送ポンプ″7″により、被処理液中の溶存気体量を増加する目的の気体溶存処理手段としての液体電解処理部″8″に流量制御バルブ″9″の操作により流量制御されて移送され、さらに物理化学的処理手段″10″へ供給される。
【0038】
また被処理液中の溶存気体量を増加する目的の気体溶存処理手段として溶存気体供給″12″から供給された気体を固液分離槽供給気体用レギュレーター″13″を経由して固液分離槽″1″下部より供給され気液接触を行う事により被処理液に溶存させる。さらに物理化学的処理手段供給気体用レギュレーター″14″を経由して物理化学的処理手段″10″へも供給される。
【0039】
溶存気体供給″12″からの気体の系への供給による気液接触により十分な気体溶存処理手段を行える場合においては、液体電解処理部″8″による気体溶存処理手段は絶対的に必要ではなくこれを除外する事も可能である。
【0040】
液体電解処理部″8″による処理は前記の気体溶存処理作用以外にも脱色、分解、脱リン、脱窒反応に作用する効果が得られる。
【0041】
物理化学的処理手段″10″においては、紫外光の透過を目的とした合成石英管内に被処理液を通過させて、当該合成石英管の外部に高周波減圧電離ガスプラズマを生成して、電磁波照射とプラズマによる紫外光を被処理液に同時に照射を行う。これによって電磁波エネルギーにより汚濁物質を直接振動励起して水と分離させ、また同時に媒体としての水を励起して汚濁物質をイオン化し、また水分子の細分子化により液体中の溶存気体を脱ガス化して微小気泡を発生させて気液反応による化学反応を誘発させながら水の溶解性を高め、さらに紫外線による光化学反応による液体分子のイオン化と紫外線照射による光エネルギーによって物理的に汚濁物質の分子構造を断裂させて分解させる。
【0042】
本発明による電磁波と紫外光との同時照射による物理化学的処理手段″10″において、電磁波照射と水銀灯ランプ等よる紫外線の照射を行っても効果は得られるが、特にマイクロ波無極放電による高周波減圧ガス電離プラズマからの紫外光は波長200nm以下のエキシマ真空紫外光が得られ、さらに電離プラズマ自体が大きな体積の電磁波誘電体線路を形成できることによって大きな電磁波線路を形成することになり被処理液の通過する合成石英管を複数にすることによって処理能力を効率よく上げた物理化学的処理が行える。
【0043】
図3に示した本実施例における当該の物理化学的処理手段″10″の構造は、本出願人による特願2002−167850及び特願2002−307625の発明によるもので、マイクロ波反応処理装置のうち気体、液体、固体あるいは液体と固体の混在物を被処理物としたプラズマ・加熱・気化・化学分解・化学合成・触媒反応・殺菌処理・生物分解等の分野で利用できる技術であるが、マイクロ波導波管線路において、アイソレーター及びインピーダンス整合器回路等を必要とせず、複数の高周波結合部から回路上において相互干渉することなく同一負荷に電力が投入でき任意に投入電力を増加でき、かつ均一で大きな電界面を電離プラズマ生成域に発生させ、伝送損失が小さく、プラズマ負荷における電力消費効率も高く、かつ小型で低コスト化可能な大容積対応の装置として提案されている。
【0044】
本実施例においてはマイクロ波減圧電離ガスプラズマ放電方式による真空紫外線照射を実現しているが、本方式による真空紫外光源の特質は、ランプ構造では避けられないランプ寿命がなく、さらに減圧条件あるいは使用電離ガス種を変化させる事により真空紫外線のスペクトルを変化させる事ができると共に、高価な希ガス等を使用しなくても一定の真空紫外光を得られる事にあって低コスト化が計られる。
【0045】
また被処理液に対して高周波電磁波振動エネルギーを与えて汚濁物質を励起するにあたり、低コストでありかつ効率よく実施するためにはエネルギー投入負荷となる処理部の被処理液に対して電磁波拡散部において処理システムの大型化をもたらすことなく大面積かつ均一に電磁波を拡散し照射することが必要である。
【0046】
さらに処理方法と処理システムでは広体積域に形成可能な真空紫外線源となるマイクロ波減圧電離ガスプラズマが、電磁波伝播拡散線路媒体として同時に機能することから処理システムを小型化できると同時に大きな液体処理接触部構成が具現化できる。
【0047】
本発明による電磁波と紫外光との同時照射による物理化学的処理手段″10″において、被処理液中の懸濁性物質は、電磁波エネルギーによる直接振動励起、水の励起によるイオン化、水分子の細分子化、溶存気体の脱ガスによる微小気泡発生、紫外線による光化学反応、紫外線照射による物理的分子構造破壊等の複合化した反応により、分解作用及び水との分離作用及び凝集作用により処理がなされる。
【0048】
一方被処理液中の溶解性物質は、水の電磁波励起によるイオン化、水分子の細分子化、溶存気体の脱ガス微小気泡による気液電磁波励起接触、紫外線による光化学反応、紫外線照射による物理的分子構造破壊等によって分解作用及び水との分離作用及び凝集作用により処理がなされる。
【0049】
物理化学的処理手段″10″を通過した被処理液は、固液分離槽″1″への被処理液の直接の返送による攪拌影響を低減する目的で、オーバーフローバッファ槽″11″を経由して、固液分離槽″1″へオーバーフローし返送される。
【0050】
物理化学的処理手段″10″からオーバーフローバッファ槽″11″への返送路内に効果の必要に応じて液体電解処理部″8″を追加してもよい。
【0051】
上記の循環処理を一定時間行う事により、被処理液中の汚濁物質は物理化学的処理手段″10″での処理により水との分離が進み、固液分離槽″1″内の上部に浮遊して濃縮浮遊物質層″31″を形成する。一方固液分離槽″1″内の下部には浮遊物質が分離された水が被処理液浄水層″33″として形成され、処理の時間経過と共に濃縮浮遊物質層″31″と被処理液浄水層″33″との間に明確な分離境界″32″が得られる。
【0052】
固液分離槽″1″内の被処理液循環出路″6″は前記被処理液浄水層″33″部に設置されていて、循環処理が進むにつれて物理化学的処理手段″10″へ移送される被処理液中の汚濁物質の濃度は低下し、物理化学的処理手段″10″において溶解性物質の分解が進行する。
【0053】
これは物理化学的処理手段″10″における被処理液と紫外線の接触において懸濁性物質の濃度が高い場合には紫外光が懸濁性物質に吸収されるが、濃度の低下と共に水に溶解している溶解性物質に対して紫外光照射効果が上昇するためである。
【0054】
当該処理の最終段階においては物理化学的処理手段″10″に移送される被処理液は、浄水となり、被処理液浄水層″33″の水は処理浄水排出口″16″より一般排水に排出できるレベルとなる。
【0055】
図2に本実施形態の処理工程1処理後の固液分離槽(被処理液処理タンク)″1″の状態を示した。
【0056】
当該の処理工程1において、当初の固液分離槽″1″の処理が終了した段階において、被処理液浄水層″33″の水を処理浄水排出口″16″より連続定量排出すると同時に、同量の被処理液をスクリーン固形物ろ過分離手段″2″から供給バルブ操作により固液分離槽″1″に供給して連続運転を行う事ができる。
【0057】
当該の処理工程1の大きな特徴は、汚濁物質を水から濃縮分離できるばかりでなく、同時に懸濁性及び溶解性物質の双方に対して分解浄化作用を持つ事にある。
【0058】
前記処理工程2は、処理工程1により、固液分離槽″1″内の下部に浮遊物質が分離された水が被処理液浄水層″33″として形成され、処理の時間経過と共に濃縮浮遊物質層″31″と被処理液浄水層″33″との間に明確な分離境界″32″が得られた状態において作動する。
【0059】
図1及び図2において処理工程2は、高周波減圧電離ガスプラズマ処理部″101″により構成されるガスプラズマによる固体揮発化プラズマ装置と減圧用水封ポンプ″106″及び減圧用ドライスクロールポンプ″108″を主体とした吸引及び減圧及び減圧脱水用の真空システムから構成されるが、本実施例では連続交互処理を行うために、2基の高周波減圧電離ガスプラズマ処理部″101″を並列設置している。
【0060】
減圧ポンプ切換バルブ″105″を作動させて減圧用水封ポンプ″106″により、固液分離槽″1″内の濃縮浮遊物質層″31″から汚濁物質を高周波減圧電離ガスプラズマ処理部″101″に吸引する。
【0061】
図4に高周波減圧電離ガスプラズマ処理部″101″の構造を示しているが、汚濁物質は濃縮浮遊物質として濃縮浮遊物質吸入口″401″より導入されセラミック多孔体フィルター″102″を経由して減圧ポンプ側排気口″402″より減圧用水封ポンプ″106″に吸引される。
【0062】
汚濁物質は一部がセラミック多孔体フィルター″102″によりろ過吸着され、ろ過通過した汚濁物質の一部と液体は減圧用水封ポンプ″106″の排気口から減圧用水封ポンプ排気排水返送口″107″を経由して固液分離槽″1″に返送される。
【0063】
減圧用水封ポンプ″106″内を通過する汚濁物質は、ポンプ内部の圧縮にて脱気また物理的破砕の効果を得る。
【0064】
一定時間の前記吸引処理によって汚濁物質がセラミック多孔体フィルター″102″によりろ過吸着された後、汚濁物質吸入バルブ″103″を閉鎖して高周波減圧電離ガスプラズマ処理部″101″の汚濁物質及び液体成分に対して、真空脱泡及び真空乾燥処理を一定時間行う。
【0065】
しかる後に減圧用ドライスクロールポンプ″108″を作動させ、減圧ポンプ切換バルブ″105″のバルブ切り替え作動により、高周波減圧電離ガスプラズマ処理部″101″内部を、ガスプラズマによる揮発化プラズマ処理のためにさらに真空度を下げる。
【0066】
高周波減圧電離ガスプラズマ処理部″101″内部が所定の到達真空度に達してから3方弁バルブ″113″の作動によりプラズマ処理用ガス供給口″110″からガス流量調節バルブ″112″により流量調整したプラズマ処理用ガスを高周波減圧電離ガスプラズマ処理部″101″に導入した後、図4において高周波及び高周波進行方向″308″より高周波を印加して高周波減圧ガス電離プラズマ処理部″101″内に電離ガスプラズマを発生させて、セラミック多孔体フィルター″102″にろ過吸着している汚濁物質を揮発ガス化させる。
【0067】
有機物が主体である汚濁物質の場合においては、酸素原子あるいは酸素分子を含むガスをプラズマ処理用ガスとして用いるが、有機物は二酸化炭素を水に揮発分解され、揮発分は減圧用ドライスクロールポンプ″108″の排気口から固液分離槽″1″の減圧用ドライスクロールポンプ排気返送口″109″より濃縮浮遊物質層″31″に返送される。
【0068】
汚濁物質の組成によって、プラズマ処理による固体の揮発化ができるようなプロセスガスとして水素原子、塩素原子、フッ素原子を含むガスを用いても良い。
【0069】
本実施例に用いた高周波減圧電離ガスプラズマ処理部″101″は、本出願人による特願2002−167850の発明構造によるマイクロ波プラズマ装置であり低コストで大出力、大容積、高密度のプラズマを発生するものであるが、その他のプラズマ処理装置であってもよい。
【0070】
また、本実施例に用いたセラミック多孔体フィルター″102″は、SiCあるいはアルミナ多孔体であるが、反応に支障のない無機系フィルターであればガラス繊維のような繊維状でもよく、さらに無機系フィルター板を積層して構成しても良い。
【0071】
ここで具体的寸法と容量を示す。固液分離槽(被処理液処理タンク)″1″はステンレス製内容積60リットル容器であり、物理化学的処理手段″10″の液体処理部容積は200立方センチメートルであり、活性汚泥処理による余剰汚泥である被処理液″3″容量は40リットルであり、液体循環移送ポンプ″7″による移送流量は毎分12リットルである。
【0072】
高周波減圧電離ガスプラズマ処理部″101″は容積は2リットルであり、減圧用水封ポンプ″106″は到達真空度10Torr、排気量毎分250リットルであり、減圧用ドライスクロールポンプ″108″は到達真空度0.05Torr、排気量毎分500リットルである。
【0073】
本実施例でのテスト条件は次のとおりである。処理工程1において液体電解処理部″8″では10Vで10Aの電解処理をかけ、物理化学的処理手段″10″で用いたマイクロ波出力は500Wで、紫外光発生のためのプラズマ発生ガスは空気である。初期被処理液″3″バッチ処理を20分作動させ、その後処理工程2を作動させながら毎分0.5リットルの被処理液をスクリーン固形物ろ過分離手段″2″を通過させながら固液分離槽″1″に導入し、かつ同量の容積の被処理液浄水層″33″からの浄化水を処理浄水排出口″16″より排出した。
【0074】
処理工程2においては、減圧用水封ポンプ″106″による濃縮浮遊物質吸入、脱水、乾燥に10分を要し、減圧用ドライスクロールポンプ″108″によるプラズマ処理に10分を要した。高周波減圧電離ガスプラズマ処理部″101″で用いたマイクロ波出力は1Kwであり使用したプラズマ処理用ガスは酸素である。
【0075】
本実施例のテスト結果は次のとおりである。
【0076】
被処理液は食品工場の生物学的処理の中の返送汚泥であり、水質は、MLSS値11100mg/L、VSS値10500mg/L、CODクロム値12700mg/Lの試料を用いた。処理工程1における30分処理後の濃縮浮遊物質層″31″物質の各値は、MLSS値32000mg/L、VSS値30000mg/L、CODクロム値38000mg/Lとなり、処理浄水排出口″16″より取水した浄水の各値は、MLSS値200mg/L、VSS値180mg/L、CODクロム値80mg/Lとなった。また処理工程2における汚濁物質は全て揮発化した。
【0077】
【第二実施例】
図5は第一実施例からの変形で、第二実施例の形態を示す図であり、汚濁物質を含む被処理液″3″は、循環処理配管に不適切な被処理液中の大きな固形物を除去する目的のスクリーン固形物ろ過分離手段″2″を経由して、固液分離槽″1″内に導入される。
【0078】
本実施例におけるシステムの工程分類においては、汚濁物質を含む被処理液に対して、第一の工程として、汚濁物質と水との分離分解濃縮処理及び水の浄化処理を同時に行える処理工程1と、第2の工程として第一の工程により汚濁物質が濃縮された液を対象とした従来の凝集、脱水処理手段工程2により構成する。
【0079】
第一の工程である処理工程1の構成は、汚濁物質と水との浮上分離を行う被処理液タンクをかねた固液分離槽″1″と、被処理液中の溶存気体量を増加する目的の気体溶存処理手段、汚濁物質の分離及び分解処理を同時に行える物理化学的処理手段″10″とを連結し、被処理液を循環処理する手法を用いる。
【0080】
第二の工程である処理工程2は、従来の凝集処理及び脱水処理並びに活性炭吸着を利用したものである。
【0081】
作動及び効果は処理工程1は第一実施例の処理工程1と同様であり、処理工程2は従来技術の効果範囲である。
【0082】
本発明の応用分野は液体処理を行う分野で、廃水処理、浄水処理、殺菌浄化処理、液分離処理、水溶液処理、気液反応処理、イオン交換処理等の分野である。
【0083】
本発明は前記した実施例や実施態様に限定されず、特許請求の精神及び範囲を逸脱せずに各種の変形を含む。
【0084】
【発明の効果】
以上述べたように本発明に係わる液体処理方法及び液体処理システムによると、固液分離及び分解の工程では、コンパクトな装置であり、短い処理工程でかつ低コストであって、ランニングにおいて環境に悪影響な処理がなく、固液分離され排水される水が浄化されていると同時に汚濁物質を完全に濃縮浮上分離できる。
【0085】
さらに汚濁物質がコンパクトなガスプラズマ処理による揮発化処理によって廃棄物を生成せず、また燃焼処理等による環境破壊もない。
【0086】
さらに連続稼動運転処理によって、全体の装置設備が小さくでき、処理設備コストが低減するとともに処理量が大きく取れる。
【0087】
また、本発明の固液分離及び分解の工程により、水の浄化排水をしつつ汚濁物質濃縮ができることから、従来の凝集、脱水処理を行うにあたっても、処理量が従来に比べ大幅に減量して多大な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる液体処理方法及び処理システムの第一実施例での処理工程1処理前の実施形態を示すフロー図
【図2】本発明に係わる液体処理方法及び処理システムの第一実施例での処理工程1処理中の実施形態を示すフロー図
【図3】本発明の実施例における物理化学的処理手段″10″装置の構造を示す鉛直中心部断面図
【図4】本発明の第一実施例での汚濁物質揮発化プラズマ処理反応処理部装置の構造示す鉛直中心部断面図
【図5】本発明に係わる液体処理方法及び処理システムの第二実施例での処理工程1処理中の実施形態を示すフロー図
【符号の説明】
1:固液分離槽(被処理液処理タンク)
2:スクリーン固形物ろ過分離手段
3:被処理液
4:固形物
5:固形物排出バルブ
6:被処理液循環出路
7:液体循環移送ポンプ
8:液体電解処理部
9:流量制御バルブ
10:物理化学的処理手段
11:オーバーフローバッファ槽
12:溶存気体供給
13:固液分離槽供給気体用レギュレーター
14:物理化学的処理手段供給気体用レギュレーター
15:固液分離槽溶存気体供給口
16:処理浄水排出口
17:処理浄水排出バルブ
18:濃縮浮遊物質排出口
31:濃縮浮遊物質層
32:分離境界
33:被処理液浄水層
101:高周波減圧電離ガスプラズマ処理部
102:セラミック多孔体フィルター
103:汚濁物質吸入バルブ
104:減圧切換バルブ
105:減圧ポンプ切換バルブ
106:減圧用水封ポンプ
107:減圧用水封ポンプ排気排水返送口
108:減圧用ドライスクロールポンプ
109:減圧用ドライスクロールポンプ排気返送口
110:プラズマ処理用ガス供給口
111:プラズマ処理用ガスレギュレーター
112:ガス流量調節バルブ
113:3方弁バルブ
201:従来の凝集処理、脱水処理手段
301:被処理液体処理管(合成石英管)
302:被処理液体入口
303:被処理液体出口
304:電離ガスプラズマ用ガス導入口
305:電離ガスプラズマ用ガス排気口
306:減圧接続フランジ
307:被処理廃水処理部
308:高周波及び高周波進行方向
309:高周波導波線路
310:電離ガスプラズマ形成領域
401:濃縮浮遊物質吸入口
402:減圧ポンプ側排気口
403:減圧電離ガスプラズマ用ガス導入口
【発明の属する技術分野】
本発明は液体処理方法および液体処理システムに係わり、特に用水処理や一般及び産業用廃水処理の液体の浄化工程並びに生物学的水処理工程並びに生物学的水処理工程における余剰汚泥排出処理における固形物、微生物、有機化合物等の懸濁性汚濁物質、及び水溶液中に溶解している有機系、リン系、窒素系などの溶解性汚濁物質の分離及び分解方法において、懸濁性物質の分離及び分解処理と分離液体の中の溶解性物質除去処理方法さらに浮遊分離された分離浮遊汚濁物質の最終処理方法及び処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、水処理技術とは目的や用途によって所要とされる水質を得るために水中の物質を除去する技術を言うが、これらの目的のために用水処理あるいは廃水処理においては物理化学的な方法と活性汚泥法に代表される生物学的な方法のふたつが併用される。これは水から除去すべき汚濁物質種が多種であり、物理化学的処理では物質の性質によって除去されるものが限られ、また生物学的処理では生物処理上有害な物質は処理対象とならないためである。このため水処理における汚濁物質の分離や分解に関しては、生物学的処理方法とともに各種の物理化学的手法が実用化あるいは提案されてきている。
【0003】
通常液体処理における汚濁物質は懸濁性物質と溶解性物質とに分類される。また一方処理手法としては生物学的処理と物理化学的処理とに分類される。
【0004】
物理化学的処理手法は、生物学的処理手法では分離あるいは分解できない物質を対象とすると共に、生物学的処理における処理速度の律速による処理量の限界に対して有効な手法としても利用されている。
【0005】
これらの物理化学的処理は、懸濁性物質の固液分離手法として凝集分離、電解浮上分離 加圧浮上分離、遠心分離があり、溶解性物質の分離や分解処理には薬剤凝集分離と加圧浮上分離の組み合わせによる凝集浮上手法、あるいはオゾン処理等による化学分解手法あるいは高電圧処理・高周波電磁波照射処理・超音波照射処理・微細気泡処理・超臨海水処理及び磁界利用処理等またはこれらの組み合わせによる水の細分子化による溶解性向上や溶解性物質と水との分離などの物理的分離分解手法が提案されている。(特開平11−90420、特開2001−225060)
【0006】
また特に廃水処理における生物学的処理との組み合わせの場合の汚泥処理において、特に懸濁性物質としての有機体を含む廃水の最終処理は活性炭吸着による脱色、脱臭処理及び薬剤による殺菌処理を経て最終的には機械的脱水処理後、固形分は脱水ケーキとして産業廃棄物処理され、液体分は曝気槽返送されあるいは一部は浄化処理を経由して放流排水される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこれらの従来の物理化学的処理は浮遊性である懸濁性物質の浮遊分離処理工程と、浮遊性懸濁性物質分離後の液体中の溶解性物質の分離分解処理工程に分かれて処理がなされていて、工程の煩雑化とともに、処理コストの増大をもたらす事になる。
【0008】
もっとも一般的に用いられている薬剤による凝集分離処理では、溶解性物質の凝集分離が完全に行えないばかりでなく、環境保全の観点からも凝集剤はできる限り使用しないのが望ましい。
【0009】
さらに電解浮上分離、加圧浮上分離では懸濁性物質が高濃度の場合には、希釈等の処理が必要であり、遠心分離手法では工程の連続処理化が困難である。
【0010】
また、物理化学的分離分解手法においては各々の処理が単位操作となり対象とする汚濁物質処理毎に物理的処理装置が必要であってこれを組み合わせて行う必要が生じて処理工程が長くまた処理システムコストも増大する。
【0011】
また特に廃水処理における生物学的処理との組み合わせの場合の汚泥処理における固形分の最終処理としての脱水ケーキは最終的には埋め立てあるいは焼却されるが、環境保全の観点から大きな社会問題となってきている。さらに液体分においては河川放流のCOD規制、TN規制の観点から低濃度排出が必要であって、これを実現するために、生物学的処理への返送負荷の増大及び活性炭処理等の負荷の増大があり、低コストで有効な高効率固液分離処理及び液体浄化処理及び低コストな固形分最終処理が必要である。
【0012】
本発明が解決しようとする課題は次のとおりである。固形物、微生物、有機化合物等の懸濁性汚濁物質、及び水溶液中に溶解している有機系、リン系、窒素系などの溶解性汚濁物質の分離及び分解方法において、懸濁性物質の浮遊分離処理工程による懸濁性物質の濃縮分離と、懸濁性物質分離された液体中の溶解性物質の分離分解処理工程による溶解性物質の分離と分解を同時に実現する短い処理工程でかつ低コストの処理方法と処理システムを提供する事であり、さらに生物学的処理との組み合わせの汚泥処理の場合においては前記分離分解処理に連続して濃縮分離された懸濁性物質を揮発ガス化し産業廃棄処理負荷の無い環境負荷の小さな処理方法と処理システムを提供する事である。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記内容を具体化するために以下の手法を用いる。
【0014】
汚濁物質を含む被処理液に対して、第一の工程として、汚濁物質の分解処理、汚濁物質と水との分離処理、汚濁物質濃縮処理および水の浄化処理を同時に行える処理工程1と第二の工程として第一の工程により汚濁物質が濃縮された液を対象とした脱水及びガスプラズマ反応による固体揮発化処理をかねた処理工程2により構成する。
【0015】
あるいは第一の工程により汚濁物質の水からの分離濃縮ができ、かつ本工程の排水は浄化されることから、第一の工程により濃縮浮遊分離した汚濁物質を従来の懸濁性物質処理である凝集処理、脱水処理、活性炭処理等の従来処理を行ってもよい。
【0016】
これらの目的を達成するために本発明に係わる請求項1に記載の液体処理方法の特徴は、紫外光の透過を目的とした合成石英管内に被処理液を通過させて、当該合成石英管の外部に電磁波の照射と紫外光を被処理液に同時に照射することにした点である。これによって電磁波エネルギーにより汚濁物質を直接振動励起して水と分離させ、また同時に媒体としての水の励起によって汚濁物質をイオン化し、また水分子の細分子化により液体中の溶存気体を脱ガス化して微小気泡を発生させて気液反応による化学反応を誘発させながら水の溶解性を高め、さらに紫外線による光化学反応による液体分子のイオン化と紫外線照射による光エネルギーによって物理的に汚濁物質の分子構造を断裂させて分解させることである。
【0017】
また請求項2に記載の液体処理方法の特徴は、請求項1に記載の物理化学的処理手段の効果の一部である脱ガス及び化学反応を増進するために、被処理液に十分に気体を溶存させておくことである。
【0018】
また、請求項3に記載の液体処理方法の特徴は、請求項1及び2において、酸素溶存による酸化、水素溶存による還元、塩素溶存による殺菌、2酸化炭素溶存による微小気泡発生等の効果を上げることになる。
【0019】
また、請求項4に記載の液体処理方法と処理システムの特徴は、請求項1から3における処理に電解処理によるイオン発生と微小気泡発生処理を付加することにより、分離、分解、殺菌、脱色、脱臭等の全体の処理効果及び効率をあげることである。
【0020】
また、請求項5に記載の液体処理方法と処理システムの特徴は、請求項1から4における処理と処理タンクもかねる固液分離槽とを連結させて被処理液を循環処理することによって、当該の固液分離槽において汚濁物質を自然浮上分離することによって上部に浮上濃縮し、下部においては処理に伴い浄化された水が堆積して汚濁物質と水とに分離することが可能となることである。
【0021】
また、請求項6に記載の液体処理方法と処理システムの特徴は、請求項1から5における処理において、照射される紫外光を波長が200nm以下の真空紫外光を含むものを用いる事により光反応エネルギーを大きくし光化学反応及び物理的紫外線照射直進性効率をあげて汚濁物質の分離、分解、殺菌などの効果を上げると共に、水分子に高エネルギー光を照射することによって水のクラスターを細分化させイオン化、低表面張力化、誘電率低下等の効果をあげる水と汚濁物質の分離と分解を促進できることである。
【0022】
また、請求項7に記載の液体処理方法と処理システムの特徴は、請求項1から6における処理において、紫外光の透過を目的とした合成石英管内に被処理液を通過させて、当該の合成石英管の外部に高周波減圧電離ガスプラズマを生成して、電磁波照射とプラズマによる紫外光を被処理液に同時に照射することによって単一の物理化学的処理用のエネルギー源により電磁波照射と紫外線照射を同時に行って電磁波励起、光化学反応、放射光反応、水活性化反応等の複数の物理化学反応を単一操作で実現して工程を短くし、かつ低コストで、さらに環境負荷の小さな処理が実現することである。
【0023】
また、請求項8に記載の液体処理方法と処理システムの特徴は、活性汚泥法における余剰汚泥処理において、請求項1から7における処理により、汚濁物質である微生物を濃縮分離することによって有機物資源として再利用を図ることができることである。
【0024】
また、請求項9に記載の液体処理方法と処理システムの特徴は、請求項1から8における処理における利用高周波の周波数が800MHz以上のマイクロ波を用いる事によって、指向性が高くかつ振動励起が増加することによって前記物理化学的処理手段の効果と効率を上げる。
【0025】
また、請求項10に記載の液体処理方法と処理システムの特徴は、請求項1から9における処理である前記処理工程1に連結させて、前記固液分離槽の上部より、浮遊した懸濁性汚濁物質をセラミック多孔体フィルターが充填されている高周波減圧電離ガスプラズマ反応容器内に吸引導入し、浮遊汚濁物質を当該のセラミック多孔体フィルターによりろ過吸着を行った後、当該の高周波減圧電離ガスプラズマ処理によって揮発化することである。
【0026】
また、請求項11に記載の液体処理方法と処理システムの特徴は、請求項10において酸素分子を含むガスによる高周波減圧ガス電離プラズマ処理による揮発化が、酸化反応によって炭酸ガスと水に分解する事により無公害な処理となることである。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明は本発明を限定するものではない。
【0028】
本発明の実施形態を図1から図5に基づき説明する。他の記号と判断するために図面符号は″″内に示した。
【0029】
図1及び図2は、本発明の液体処理方法及び処理システムの第一実施例を示しており、図3は本発明の液体処理方法及び処理システムにおける物理化学的処理手段の構造を示している。図4は本発明の液体処理方法及び処理システムにおけるプラズマ処理装置の構造を示している。図5は前記第一実施例からの変形の本発明の液体処理方法及び処理システムの第二実施例を示している。
【0030】
なお、本発明は一般下水道排水処理、産業排水処理、浄水処理、プールや浴場の殺菌浄水処理などの種々の液体処理に利用可能であるが、便宜上、以下の説明においては活性汚泥処理における余剰汚泥処理システムを具体例として説明する。
【0031】
【第一実施例】図1は本発明の液体処理方法及び液体処理システムについての第一実施例の形態を示す図であり、汚濁物質を含む被処理液″3″は、循環処理配管に不適切な被処理液中の大きな固形物を除去する目的のスクリーン固形物ろ過分離手段″2″を経由して、固液分離槽″1″内に導入される。
【0032】
本実施例におけるシステムの工程分類においては、汚濁物質を含む被処理液に対して、第一の工程として、汚濁物質と水との分離と分解と濃縮の各処理および水の浄化処理を同時に行える処理工程1と、第2の工程として第一の工程により汚濁物質が濃縮された液を対象とした脱水及びガスプラズマによる固体揮発化プラズマ処理をかねた処理工程2により構成する。
【0033】
第一の工程である処理工程1の構成は、汚濁物質と水との浮上分離を行う被処理液タンクをかねた固液分離槽″1″と、被処理液中の溶存気体量を増加する目的の気体溶存処理手段、汚濁物質の分離及び分解処理を同時に行える物理化学的処理手段″10″とを連結し、被処理液を循環処理する手法を用いる。
【0034】
第二の工程である処理工程2の構成は、高周波減圧ガス電離プラズマ処理部″101″により構成されるガスプラズマによる固体揮発化プラズマ処理装置と吸引及び減圧及び減圧脱水用の真空システムから構成される。
【0035】
以上の各工程についてより具体的に説明する。
【0036】
図1及び図2において処理工程1は、汚濁物質を含む被処理液″3″が、循環処理に不適切な被処理液中の大きな固形物を除去する目的のスクリーン固形物ろ過分離手段″2″を経由して、被処理液処理タンクをかねる固液分離槽″1″内に供給ラインのバルブ操作によって定量導入される。前記スクリーン固形物ろ過分離手段″2″においてろ過できなかった比重の重い固形物″4″は固液分離槽″1″下部に沈降沈殿分離する。
【0037】
固液分離槽″1″内の被処理液″3″は固液分離槽″1″下部側面に設置された被処理液循環出路″6″から液体循環移送ポンプ″7″により、被処理液中の溶存気体量を増加する目的の気体溶存処理手段としての液体電解処理部″8″に流量制御バルブ″9″の操作により流量制御されて移送され、さらに物理化学的処理手段″10″へ供給される。
【0038】
また被処理液中の溶存気体量を増加する目的の気体溶存処理手段として溶存気体供給″12″から供給された気体を固液分離槽供給気体用レギュレーター″13″を経由して固液分離槽″1″下部より供給され気液接触を行う事により被処理液に溶存させる。さらに物理化学的処理手段供給気体用レギュレーター″14″を経由して物理化学的処理手段″10″へも供給される。
【0039】
溶存気体供給″12″からの気体の系への供給による気液接触により十分な気体溶存処理手段を行える場合においては、液体電解処理部″8″による気体溶存処理手段は絶対的に必要ではなくこれを除外する事も可能である。
【0040】
液体電解処理部″8″による処理は前記の気体溶存処理作用以外にも脱色、分解、脱リン、脱窒反応に作用する効果が得られる。
【0041】
物理化学的処理手段″10″においては、紫外光の透過を目的とした合成石英管内に被処理液を通過させて、当該合成石英管の外部に高周波減圧電離ガスプラズマを生成して、電磁波照射とプラズマによる紫外光を被処理液に同時に照射を行う。これによって電磁波エネルギーにより汚濁物質を直接振動励起して水と分離させ、また同時に媒体としての水を励起して汚濁物質をイオン化し、また水分子の細分子化により液体中の溶存気体を脱ガス化して微小気泡を発生させて気液反応による化学反応を誘発させながら水の溶解性を高め、さらに紫外線による光化学反応による液体分子のイオン化と紫外線照射による光エネルギーによって物理的に汚濁物質の分子構造を断裂させて分解させる。
【0042】
本発明による電磁波と紫外光との同時照射による物理化学的処理手段″10″において、電磁波照射と水銀灯ランプ等よる紫外線の照射を行っても効果は得られるが、特にマイクロ波無極放電による高周波減圧ガス電離プラズマからの紫外光は波長200nm以下のエキシマ真空紫外光が得られ、さらに電離プラズマ自体が大きな体積の電磁波誘電体線路を形成できることによって大きな電磁波線路を形成することになり被処理液の通過する合成石英管を複数にすることによって処理能力を効率よく上げた物理化学的処理が行える。
【0043】
図3に示した本実施例における当該の物理化学的処理手段″10″の構造は、本出願人による特願2002−167850及び特願2002−307625の発明によるもので、マイクロ波反応処理装置のうち気体、液体、固体あるいは液体と固体の混在物を被処理物としたプラズマ・加熱・気化・化学分解・化学合成・触媒反応・殺菌処理・生物分解等の分野で利用できる技術であるが、マイクロ波導波管線路において、アイソレーター及びインピーダンス整合器回路等を必要とせず、複数の高周波結合部から回路上において相互干渉することなく同一負荷に電力が投入でき任意に投入電力を増加でき、かつ均一で大きな電界面を電離プラズマ生成域に発生させ、伝送損失が小さく、プラズマ負荷における電力消費効率も高く、かつ小型で低コスト化可能な大容積対応の装置として提案されている。
【0044】
本実施例においてはマイクロ波減圧電離ガスプラズマ放電方式による真空紫外線照射を実現しているが、本方式による真空紫外光源の特質は、ランプ構造では避けられないランプ寿命がなく、さらに減圧条件あるいは使用電離ガス種を変化させる事により真空紫外線のスペクトルを変化させる事ができると共に、高価な希ガス等を使用しなくても一定の真空紫外光を得られる事にあって低コスト化が計られる。
【0045】
また被処理液に対して高周波電磁波振動エネルギーを与えて汚濁物質を励起するにあたり、低コストでありかつ効率よく実施するためにはエネルギー投入負荷となる処理部の被処理液に対して電磁波拡散部において処理システムの大型化をもたらすことなく大面積かつ均一に電磁波を拡散し照射することが必要である。
【0046】
さらに処理方法と処理システムでは広体積域に形成可能な真空紫外線源となるマイクロ波減圧電離ガスプラズマが、電磁波伝播拡散線路媒体として同時に機能することから処理システムを小型化できると同時に大きな液体処理接触部構成が具現化できる。
【0047】
本発明による電磁波と紫外光との同時照射による物理化学的処理手段″10″において、被処理液中の懸濁性物質は、電磁波エネルギーによる直接振動励起、水の励起によるイオン化、水分子の細分子化、溶存気体の脱ガスによる微小気泡発生、紫外線による光化学反応、紫外線照射による物理的分子構造破壊等の複合化した反応により、分解作用及び水との分離作用及び凝集作用により処理がなされる。
【0048】
一方被処理液中の溶解性物質は、水の電磁波励起によるイオン化、水分子の細分子化、溶存気体の脱ガス微小気泡による気液電磁波励起接触、紫外線による光化学反応、紫外線照射による物理的分子構造破壊等によって分解作用及び水との分離作用及び凝集作用により処理がなされる。
【0049】
物理化学的処理手段″10″を通過した被処理液は、固液分離槽″1″への被処理液の直接の返送による攪拌影響を低減する目的で、オーバーフローバッファ槽″11″を経由して、固液分離槽″1″へオーバーフローし返送される。
【0050】
物理化学的処理手段″10″からオーバーフローバッファ槽″11″への返送路内に効果の必要に応じて液体電解処理部″8″を追加してもよい。
【0051】
上記の循環処理を一定時間行う事により、被処理液中の汚濁物質は物理化学的処理手段″10″での処理により水との分離が進み、固液分離槽″1″内の上部に浮遊して濃縮浮遊物質層″31″を形成する。一方固液分離槽″1″内の下部には浮遊物質が分離された水が被処理液浄水層″33″として形成され、処理の時間経過と共に濃縮浮遊物質層″31″と被処理液浄水層″33″との間に明確な分離境界″32″が得られる。
【0052】
固液分離槽″1″内の被処理液循環出路″6″は前記被処理液浄水層″33″部に設置されていて、循環処理が進むにつれて物理化学的処理手段″10″へ移送される被処理液中の汚濁物質の濃度は低下し、物理化学的処理手段″10″において溶解性物質の分解が進行する。
【0053】
これは物理化学的処理手段″10″における被処理液と紫外線の接触において懸濁性物質の濃度が高い場合には紫外光が懸濁性物質に吸収されるが、濃度の低下と共に水に溶解している溶解性物質に対して紫外光照射効果が上昇するためである。
【0054】
当該処理の最終段階においては物理化学的処理手段″10″に移送される被処理液は、浄水となり、被処理液浄水層″33″の水は処理浄水排出口″16″より一般排水に排出できるレベルとなる。
【0055】
図2に本実施形態の処理工程1処理後の固液分離槽(被処理液処理タンク)″1″の状態を示した。
【0056】
当該の処理工程1において、当初の固液分離槽″1″の処理が終了した段階において、被処理液浄水層″33″の水を処理浄水排出口″16″より連続定量排出すると同時に、同量の被処理液をスクリーン固形物ろ過分離手段″2″から供給バルブ操作により固液分離槽″1″に供給して連続運転を行う事ができる。
【0057】
当該の処理工程1の大きな特徴は、汚濁物質を水から濃縮分離できるばかりでなく、同時に懸濁性及び溶解性物質の双方に対して分解浄化作用を持つ事にある。
【0058】
前記処理工程2は、処理工程1により、固液分離槽″1″内の下部に浮遊物質が分離された水が被処理液浄水層″33″として形成され、処理の時間経過と共に濃縮浮遊物質層″31″と被処理液浄水層″33″との間に明確な分離境界″32″が得られた状態において作動する。
【0059】
図1及び図2において処理工程2は、高周波減圧電離ガスプラズマ処理部″101″により構成されるガスプラズマによる固体揮発化プラズマ装置と減圧用水封ポンプ″106″及び減圧用ドライスクロールポンプ″108″を主体とした吸引及び減圧及び減圧脱水用の真空システムから構成されるが、本実施例では連続交互処理を行うために、2基の高周波減圧電離ガスプラズマ処理部″101″を並列設置している。
【0060】
減圧ポンプ切換バルブ″105″を作動させて減圧用水封ポンプ″106″により、固液分離槽″1″内の濃縮浮遊物質層″31″から汚濁物質を高周波減圧電離ガスプラズマ処理部″101″に吸引する。
【0061】
図4に高周波減圧電離ガスプラズマ処理部″101″の構造を示しているが、汚濁物質は濃縮浮遊物質として濃縮浮遊物質吸入口″401″より導入されセラミック多孔体フィルター″102″を経由して減圧ポンプ側排気口″402″より減圧用水封ポンプ″106″に吸引される。
【0062】
汚濁物質は一部がセラミック多孔体フィルター″102″によりろ過吸着され、ろ過通過した汚濁物質の一部と液体は減圧用水封ポンプ″106″の排気口から減圧用水封ポンプ排気排水返送口″107″を経由して固液分離槽″1″に返送される。
【0063】
減圧用水封ポンプ″106″内を通過する汚濁物質は、ポンプ内部の圧縮にて脱気また物理的破砕の効果を得る。
【0064】
一定時間の前記吸引処理によって汚濁物質がセラミック多孔体フィルター″102″によりろ過吸着された後、汚濁物質吸入バルブ″103″を閉鎖して高周波減圧電離ガスプラズマ処理部″101″の汚濁物質及び液体成分に対して、真空脱泡及び真空乾燥処理を一定時間行う。
【0065】
しかる後に減圧用ドライスクロールポンプ″108″を作動させ、減圧ポンプ切換バルブ″105″のバルブ切り替え作動により、高周波減圧電離ガスプラズマ処理部″101″内部を、ガスプラズマによる揮発化プラズマ処理のためにさらに真空度を下げる。
【0066】
高周波減圧電離ガスプラズマ処理部″101″内部が所定の到達真空度に達してから3方弁バルブ″113″の作動によりプラズマ処理用ガス供給口″110″からガス流量調節バルブ″112″により流量調整したプラズマ処理用ガスを高周波減圧電離ガスプラズマ処理部″101″に導入した後、図4において高周波及び高周波進行方向″308″より高周波を印加して高周波減圧ガス電離プラズマ処理部″101″内に電離ガスプラズマを発生させて、セラミック多孔体フィルター″102″にろ過吸着している汚濁物質を揮発ガス化させる。
【0067】
有機物が主体である汚濁物質の場合においては、酸素原子あるいは酸素分子を含むガスをプラズマ処理用ガスとして用いるが、有機物は二酸化炭素を水に揮発分解され、揮発分は減圧用ドライスクロールポンプ″108″の排気口から固液分離槽″1″の減圧用ドライスクロールポンプ排気返送口″109″より濃縮浮遊物質層″31″に返送される。
【0068】
汚濁物質の組成によって、プラズマ処理による固体の揮発化ができるようなプロセスガスとして水素原子、塩素原子、フッ素原子を含むガスを用いても良い。
【0069】
本実施例に用いた高周波減圧電離ガスプラズマ処理部″101″は、本出願人による特願2002−167850の発明構造によるマイクロ波プラズマ装置であり低コストで大出力、大容積、高密度のプラズマを発生するものであるが、その他のプラズマ処理装置であってもよい。
【0070】
また、本実施例に用いたセラミック多孔体フィルター″102″は、SiCあるいはアルミナ多孔体であるが、反応に支障のない無機系フィルターであればガラス繊維のような繊維状でもよく、さらに無機系フィルター板を積層して構成しても良い。
【0071】
ここで具体的寸法と容量を示す。固液分離槽(被処理液処理タンク)″1″はステンレス製内容積60リットル容器であり、物理化学的処理手段″10″の液体処理部容積は200立方センチメートルであり、活性汚泥処理による余剰汚泥である被処理液″3″容量は40リットルであり、液体循環移送ポンプ″7″による移送流量は毎分12リットルである。
【0072】
高周波減圧電離ガスプラズマ処理部″101″は容積は2リットルであり、減圧用水封ポンプ″106″は到達真空度10Torr、排気量毎分250リットルであり、減圧用ドライスクロールポンプ″108″は到達真空度0.05Torr、排気量毎分500リットルである。
【0073】
本実施例でのテスト条件は次のとおりである。処理工程1において液体電解処理部″8″では10Vで10Aの電解処理をかけ、物理化学的処理手段″10″で用いたマイクロ波出力は500Wで、紫外光発生のためのプラズマ発生ガスは空気である。初期被処理液″3″バッチ処理を20分作動させ、その後処理工程2を作動させながら毎分0.5リットルの被処理液をスクリーン固形物ろ過分離手段″2″を通過させながら固液分離槽″1″に導入し、かつ同量の容積の被処理液浄水層″33″からの浄化水を処理浄水排出口″16″より排出した。
【0074】
処理工程2においては、減圧用水封ポンプ″106″による濃縮浮遊物質吸入、脱水、乾燥に10分を要し、減圧用ドライスクロールポンプ″108″によるプラズマ処理に10分を要した。高周波減圧電離ガスプラズマ処理部″101″で用いたマイクロ波出力は1Kwであり使用したプラズマ処理用ガスは酸素である。
【0075】
本実施例のテスト結果は次のとおりである。
【0076】
被処理液は食品工場の生物学的処理の中の返送汚泥であり、水質は、MLSS値11100mg/L、VSS値10500mg/L、CODクロム値12700mg/Lの試料を用いた。処理工程1における30分処理後の濃縮浮遊物質層″31″物質の各値は、MLSS値32000mg/L、VSS値30000mg/L、CODクロム値38000mg/Lとなり、処理浄水排出口″16″より取水した浄水の各値は、MLSS値200mg/L、VSS値180mg/L、CODクロム値80mg/Lとなった。また処理工程2における汚濁物質は全て揮発化した。
【0077】
【第二実施例】
図5は第一実施例からの変形で、第二実施例の形態を示す図であり、汚濁物質を含む被処理液″3″は、循環処理配管に不適切な被処理液中の大きな固形物を除去する目的のスクリーン固形物ろ過分離手段″2″を経由して、固液分離槽″1″内に導入される。
【0078】
本実施例におけるシステムの工程分類においては、汚濁物質を含む被処理液に対して、第一の工程として、汚濁物質と水との分離分解濃縮処理及び水の浄化処理を同時に行える処理工程1と、第2の工程として第一の工程により汚濁物質が濃縮された液を対象とした従来の凝集、脱水処理手段工程2により構成する。
【0079】
第一の工程である処理工程1の構成は、汚濁物質と水との浮上分離を行う被処理液タンクをかねた固液分離槽″1″と、被処理液中の溶存気体量を増加する目的の気体溶存処理手段、汚濁物質の分離及び分解処理を同時に行える物理化学的処理手段″10″とを連結し、被処理液を循環処理する手法を用いる。
【0080】
第二の工程である処理工程2は、従来の凝集処理及び脱水処理並びに活性炭吸着を利用したものである。
【0081】
作動及び効果は処理工程1は第一実施例の処理工程1と同様であり、処理工程2は従来技術の効果範囲である。
【0082】
本発明の応用分野は液体処理を行う分野で、廃水処理、浄水処理、殺菌浄化処理、液分離処理、水溶液処理、気液反応処理、イオン交換処理等の分野である。
【0083】
本発明は前記した実施例や実施態様に限定されず、特許請求の精神及び範囲を逸脱せずに各種の変形を含む。
【0084】
【発明の効果】
以上述べたように本発明に係わる液体処理方法及び液体処理システムによると、固液分離及び分解の工程では、コンパクトな装置であり、短い処理工程でかつ低コストであって、ランニングにおいて環境に悪影響な処理がなく、固液分離され排水される水が浄化されていると同時に汚濁物質を完全に濃縮浮上分離できる。
【0085】
さらに汚濁物質がコンパクトなガスプラズマ処理による揮発化処理によって廃棄物を生成せず、また燃焼処理等による環境破壊もない。
【0086】
さらに連続稼動運転処理によって、全体の装置設備が小さくでき、処理設備コストが低減するとともに処理量が大きく取れる。
【0087】
また、本発明の固液分離及び分解の工程により、水の浄化排水をしつつ汚濁物質濃縮ができることから、従来の凝集、脱水処理を行うにあたっても、処理量が従来に比べ大幅に減量して多大な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる液体処理方法及び処理システムの第一実施例での処理工程1処理前の実施形態を示すフロー図
【図2】本発明に係わる液体処理方法及び処理システムの第一実施例での処理工程1処理中の実施形態を示すフロー図
【図3】本発明の実施例における物理化学的処理手段″10″装置の構造を示す鉛直中心部断面図
【図4】本発明の第一実施例での汚濁物質揮発化プラズマ処理反応処理部装置の構造示す鉛直中心部断面図
【図5】本発明に係わる液体処理方法及び処理システムの第二実施例での処理工程1処理中の実施形態を示すフロー図
【符号の説明】
1:固液分離槽(被処理液処理タンク)
2:スクリーン固形物ろ過分離手段
3:被処理液
4:固形物
5:固形物排出バルブ
6:被処理液循環出路
7:液体循環移送ポンプ
8:液体電解処理部
9:流量制御バルブ
10:物理化学的処理手段
11:オーバーフローバッファ槽
12:溶存気体供給
13:固液分離槽供給気体用レギュレーター
14:物理化学的処理手段供給気体用レギュレーター
15:固液分離槽溶存気体供給口
16:処理浄水排出口
17:処理浄水排出バルブ
18:濃縮浮遊物質排出口
31:濃縮浮遊物質層
32:分離境界
33:被処理液浄水層
101:高周波減圧電離ガスプラズマ処理部
102:セラミック多孔体フィルター
103:汚濁物質吸入バルブ
104:減圧切換バルブ
105:減圧ポンプ切換バルブ
106:減圧用水封ポンプ
107:減圧用水封ポンプ排気排水返送口
108:減圧用ドライスクロールポンプ
109:減圧用ドライスクロールポンプ排気返送口
110:プラズマ処理用ガス供給口
111:プラズマ処理用ガスレギュレーター
112:ガス流量調節バルブ
113:3方弁バルブ
201:従来の凝集処理、脱水処理手段
301:被処理液体処理管(合成石英管)
302:被処理液体入口
303:被処理液体出口
304:電離ガスプラズマ用ガス導入口
305:電離ガスプラズマ用ガス排気口
306:減圧接続フランジ
307:被処理廃水処理部
308:高周波及び高周波進行方向
309:高周波導波線路
310:電離ガスプラズマ形成領域
401:濃縮浮遊物質吸入口
402:減圧ポンプ側排気口
403:減圧電離ガスプラズマ用ガス導入口
Claims (11)
- 懸濁性及び溶解性の汚濁物質を含む液体に周波数が13.56MHz以上の電磁波と波長250nm以下の波長帯を含む紫外光を同時に照射して汚濁物質を分解しながら液体より分離を行うと同時に汚濁物質が分離された液体の浄化、脱臭、殺菌、溶解性物質分解を行うことを特徴とする液体処理方法。
- 懸濁性及び溶解性の汚濁物質を含む液体に液体の物理化学的処理手段において脱ガスによる微小気泡気体の発生を目的として飽和溶解濃度まで溶存させておくことを特徴とする請求項第1項記載の液体処理方法。
- 前記気体の構成分子において少なくとも2酸化炭素あるいは酸素あるいは塩素あるいは水素の何れかを含む気体であることを特徴とする請求項第2項記載の液体処理方法。
- 懸濁性及び溶解性の汚濁物質を含む液体の電解処理工程を持ち前記処理方法を行う処理システムとの間で循環を行う事を特徴とする請求項第1項から第3項記載の液体処理方法及び処理システム。
- 固液分離槽を持ち前記処理方法を行う処理システムとの間で循環を行う事を特徴とする請求項第1項から第4項記載の液体処理方法及び処理システム。
- 前記紫外光が波長200nm以下の真空紫外光を含むものであることを特徴とする請求項第1項から第5項記載の液体処理方法及び処理システム。
- 電磁波と紫外線の照射源が単一のエネルギー源で行われる事を特徴とする請求項第1項から第6項記載の液体処理方法及び処理システム。
- 懸濁性の汚濁物質の主成分が有機物であることを特徴とする請求項第1項から第7項記載の液体処理方法及び処理システム。
- 前記電磁波の周波数が800MHz以上のマイクロ波であることを特徴とする請求項第1項から第8項記載の液体処理方法及び処理システム。
- 分離後の濃縮された浮遊汚濁物質をセラミック多孔体フィルターにてろ過し、前記浮遊汚濁物質の吸着したセラミック多孔体フィルターを電離ガスプラズマ処理する事により、吸着している汚濁物質を揮発化することを特徴とする請求項第1項から第9項記載の液体処理方法及び処理システム。
- 前記ガスプラズマが高周波減圧電離ガスプラズマであり酸素分子を含むガスを原料としたガスプラズマであることを特徴とする請求項第10項記載の液体処理方法及び処理システム。
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JP2003165767A JP2004330174A (ja) | 2003-05-08 | 2003-05-08 | 液体処理方法及び処理システム |
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JP2003165767A JP2004330174A (ja) | 2003-05-08 | 2003-05-08 | 液体処理方法及び処理システム |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008159387A (ja) * | 2006-12-22 | 2008-07-10 | Satoshi Horikoshi | 紫外線光源及び化学反応促進装置 |
CN108975450A (zh) * | 2017-05-30 | 2018-12-11 | 刘爱萍 | 多级无极光催化水处理装置 |
-
2003
- 2003-05-08 JP JP2003165767A patent/JP2004330174A/ja active Pending
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