JP2004328138A - 光伝送システム - Google Patents
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- H04B10/25253—Arrangements specific to fibre transmission for the reduction or elimination of distortion or dispersion due to chromatic dispersion using dispersion-compensating fibres with dispersion management, i.e. using a combination of different kind of fibres in the transmission system
Abstract
【課題】信頼性が高く、増幅形態に応じた伝送路構成の最適化が可能な光伝送システムを提供する。
【解決手段】光送信器1と、光受信器2と、光送信器と光受信器との間に接続された光伝送路3と、光伝送路内に分散配置された複数の光増幅中継器4とにより構成された光伝送システムであって、光伝送路3は複数の光増幅中継器4によって複数のスパン30または31に分割され、複数のスパンのうち光信号を伝送する伝送路ファイバが配置された伝送スパン30には、伝送路ファイバにより生じる波長分散を補償する実質的に伝送距離として加算されない複数の分散補償素子6が具備され、複数の分散補償素子6は、伝送スパンの前後に配置された光増幅中継器内または伝送スパン内の任意の場所のうちの複数箇所に分散配置されている。
【選択図】 図1
【解決手段】光送信器1と、光受信器2と、光送信器と光受信器との間に接続された光伝送路3と、光伝送路内に分散配置された複数の光増幅中継器4とにより構成された光伝送システムであって、光伝送路3は複数の光増幅中継器4によって複数のスパン30または31に分割され、複数のスパンのうち光信号を伝送する伝送路ファイバが配置された伝送スパン30には、伝送路ファイバにより生じる波長分散を補償する実質的に伝送距離として加算されない複数の分散補償素子6が具備され、複数の分散補償素子6は、伝送スパンの前後に配置された光増幅中継器内または伝送スパン内の任意の場所のうちの複数箇所に分散配置されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、伝送路で分散補償された光伝送システムに関し、特に、1チャネル辺りの伝送レートが40Gbps以上、伝送距離が1000km以上という高速かつ長距離の波長多重(Wavelength Division Multiplexed; WDM)光伝送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、長距離WDM伝送に関する研究開発が盛んに行われている。このような技術の一例が、下記[特許文献1]及び[非特許文献1]〜[非特許文献3]に開示されている。
上記従来技術では、伝送路に配置された光増幅中継器間で、伝送路ファイバの波長分散を補償するための分散補償手段が具備される構成が開示されている。
[非特許文献1]に開示された伝送路構成における伝送スパン内の分散マップを図10(a)に示す。本構成では、光増幅中継器間の伝送スパンにおいて、正の波長分散値を有する1本の純シリカコアファイバ(Pure Silica Core Fiber;PSCF)と、負の波長分散値を有する1本の分散補償ファイバ(Dispersion Compensation Fiber;DCF)がこの順に接続されている。
[非特許文献2]に開示された伝送路構成における伝送スパン内の分散マップを図10(b)に示す。この構成では、光増幅中継器間の伝送スパンにおいて、2本のPSCFの段間に、1本のDCFが配置されている。
[特許文献1]に開示された伝送路構成における伝送スパン内の分散マップを図10(c)に示す。[特許文献1]の構成は、[非特許文献2]におけるDCFを、実質的に線形の分散・分散スロープ補償デバイスで置き換えたものである。上記の[非特許文献1]、[非特許文献2]及び[特許文献1]に開示された技術の1つの特徴としては、伝送スパンで分散補償手段(DCFまたは分散・分散スロープ補償デバイス)を1個だけ配置するという点があげられる。このような伝送路構成では、伝送スパンで蓄積する蓄積分散量が大きく、1チャネル当たりの伝送レートが10Gbpsや20Gbps程度の速度のWDM伝送においては良好な伝送特性を与える。
【0003】
しかしながら、光ファイバにおける波長分散性は、1チャネル当たりの伝送レートの2乗に比例して大きくなる。したがって、たとえ同一の分散マップ構成であっても40Gbpsの信号が受ける波長分散性は、10Gbpsの信号が受ける波長分散性よりも16倍大きい。したがって、上記[非特許文献1]、[非特許文献2]及び[特許文献1]に開示された伝送路構成のように、伝送スパン内での蓄積分散値の変動量が大きい伝送路において40Gbpsの信号を伝送する場合、伝送スパン内での蓄積分散値の変動量が大き過ぎるため、光ファイバの自己位相変調(Self Phase Modulation;SPM)と波長分散性の相乗効果により、信号波形が大きく劣化してしまう。
【0004】
このため、[非特許文献3]に開示された技術では、各伝送スパン内で、コア拡大型純シリカコアファイバ(Large−Aeff Pure Silica Core Fiber;LAPSCF)とDCFとを複数回反復させる伝送路構成が使用されている。[非特許文献3]に開示された伝送路構成における伝送スパン内の分散マップを図10(d)に示す。この構成では、光増幅中継器間の伝送スパンにおいて、2本のDCFと、2本のLAPSCFが交互に配置されている。このように、伝送スパン内に複数の正分散ファイバと複数の負分散ファイバを交互に接続する伝送路構成のことを複数回折り返し構成と呼ぶ。複数回折り返し構成では、[非特許文献1]、[非特許文献2]及び[特許文献1]で開示されているような1回折り返し構成よりも蓄積分散値の変動量を小さくすることができ、1チャネル当たりの伝送レートが40Gbps以上のWDM伝送であっても大洋横断距離といった長距離伝送が可能となる。
【0005】
図11は、[非特許文献3]で開示された2回折り返し構成の詳細を示している。光伝送路スパン30’には、LAPSCF5−1’、5−2’と、DCF6−1’、6−2’とが具備されている。伝送スパン30’の終端には光増幅中継器4’が具備されており、光増幅中継器4’内には、後方励起ラマン増幅を行うための励起光源41’と、励起光源41’から発生する励起光を伝送路ファイバ5−2’へ入射するためのWDMカップラ42’とが備えられている。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−280959公報(第4−6頁、図1)
【非特許文献1】
T. Naito et al., ”1 terabit/s WDM transmission over 10,000km”, European Conference on Optical Communication 1999, PD2−1, September 1999.
【非特許文献2】
T. Tsuritani et al., ”21.4Gbit/s x 56WDM 9170km transmission using symmetrical dispersion managed fiber span”, European Conference on Optical Communication 2001, PD.M.1.6, September 2001.
【非特許文献3】
H. Sugahara et al., ”9,000−km transmission of 32 x 42.7 Gb/s dense−WDM signals using 195−um2−Aeff fiber and inverse double−hybrid span configuration”, Optical Amplifier and their Applications 2002, PD3, July 2002.
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、[非特許文献3]に開示された複数回折り返し構成には、以下の2つの問題点がある。
1点目の問題点としては、伝送スパンを構成するファイバが複数種類となる上、異種ファイバどうしの接続箇所が伝送路の伝送スパンの多くの場所で生じることにより、光伝送システム全体の信頼性が低下することがあげられる。例えば、図11に示す2回折り返し構成では、伝送スパンで接続箇所が3箇所も生じてしまう。
さらに、2点目の問題点としては、増幅手段の変更に伴う伝送路構成の最適化が容易ではないことがあげられる。図11に示す[非特許文献3]の従来技術を参照すると、伝送スパンを構成するDCFとLAPSCFとが、伝送スパン内でDCF+LAPSCF+DCF+LAPSCFの順に接続されている。この伝送路構成は、分布増幅方式である全ラマン増幅方式に適しており、この点の詳細については[非特許文献3]に記述されている。一方、増幅方式が従来のエルビウム添加光増幅器(Erbium Doped Fiber Amplifier;EDFA)のように集中増幅方式の場合には、各伝送スパン内でLAPSCF+DCF+LAPSCF+DCFの順に接続する場合に良い伝送特性が得られる。なぜならば、LAPSCFに比べて非線形性が大きいDCFでの信号光パワーを低く抑えることができるためである。図11に示す2回折り返し構成の場合、分布増幅方式の場合と集中増幅方式の場合とで増幅器を配置する位置が異なるため、上記2つの増幅方式の変更に伴う伝送路構成の最適化が容易ではないという問題点があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、光信号を発生させる光送信器と、前記光信号を受信する光受信器と、前記光送信器と前記光受信器との間に接続された光伝送路と、前記光伝送路内に分散配置された複数の光増幅中継器を備えた光伝送システムであって、前記光伝送路は前記複数の光増幅中継器によって複数のスパンに分割され、前記複数のスパンのうち光信号を伝送する伝送路ファイバが配置された伝送スパンには、前記伝送路ファイバにより生じる波長分散を補償する実質的に伝送距離として加算されない複数の分散補償素子が具備され、前記複数の分散補償素子は、前記伝送スパンの前後に配置された光増幅中継器内または前記伝送スパン内の任意の場所のうちの複数箇所に分散配置されていることを特徴とする光伝送システムが提供される。
好ましくは、前記複数の分散補償素子のうちの1つが、前記光増幅中継器内に配置されていることが望ましい。
また、前記光増幅中継器内に光信号を集中的に増幅する集中増幅器が具備されている場合には、前記集中増幅器は、前記光増幅中継器内に配置された分散補償素子の後段に配置されていることが望ましい。
さらに、前記光増幅中継器内に光信号を分布増幅するための励起光入射手段が具備されている場合には、前記励起光入射手段は、前記光増幅中継器内に配置された分散補償素子の前段に配置されていることが望ましい。
本発明によれば、前記光増幅中継器内に具備された分散補償素子の相対的な配置位置を変えるだけで、前記2つの増幅方式に対してそれぞれ最適な伝送路構成が実現できるため、増幅手段の変更に伴う伝送路構成の最適化が容易である。
本発明に用いる伝送路ファイバとしては、実効コア断面積が100μm2以上である単一種類のファイバであることが望ましい。また、本発明に用いる分散補償素子としては、分散値が−200ps/nm/km以下の分散補償ファイバであることが望ましい。
本発明の一つの特徴として、前記複数の分散補償素子は、前記伝送スパンの前後に配置された光増幅中継器内または前記伝送スパン内の任意の場所のうちの複数箇所に分散配置されていることがあげられる。これは、前記伝送スパン内で生じる蓄積分散の変動量が極端に大きくならないようにするためである。具体的には、前記伝送スパン内で生じる蓄積分散の変動量が500ps/nm以下であることが望ましい。
さらに、前期伝送路ファイバの総波長分散値と、前記複数の分散補償素子の総波長分散値との和の絶対値が、20ps/nm以上60ps/nm以下であることが望ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1を参照すると、本発明の光伝送システムの一実施形態は、光送信器1が光受信器2とともに設けられている。光送信器1と光受信器2とは、光伝送路3によって接続されている。光伝送路3内には複数の光増幅中継器4が分散配置されており、また複数の分散補償素子6を備える。光伝送路3は複数の光増幅中継器4により複数のスパン30または31に分割される。スパン30は光信号を伝送するための伝送路ファイバ5を含む伝送スパンを示しており、スパン31は光信号を伝送するための伝送路ファイバ5を含まないスパンを示している。
【0010】
図2を参照して、伝送スパン30の第1の実施例についてより詳細な説明を行う。図2(A)に示すように、伝送スパン30には、2本の伝送路ファイバ5−1、5−2と、伝送路ファイバ5−1、5−2により生じる波長分散を補償する分散補償素子6−1、6−2とが具備されている。また、伝送スパン30の終端には伝送路ファイバ5−1、5−2と分散補償素子6−1,6−2とで生じる損失を補償する光増幅中継器4が接続されている。分散補償素子6−1は、2本の伝送路ファイバ5−1と5−2との中間に配置され、分散補償素子6−2は光増幅中継器4内に配置される。光増幅中継器4には、後方励起ラマン増幅を行うための励起光源41と、励起光源41から発生する励起光を伝送路ファイバ5−2へ入射するためのWDMカップラ42とが具備されている。光信号は、伝送路ファイバ5−1、5−2内で当該励起光により増幅される。
【0011】
伝送路ファイバ5−1、5−2には、コア拡大型ピュアシリカコアファイバ(Large Aeff Pure Silica Core Fiber;LAPSCF)が用いられる。LAPSCFの波長分散値は+20ps/nm/km、実効コア断面積は200μm2、伝送損失は0.175dB/kmである。伝送路ファイバ5−1の長さは20kmであり、伝送路ファイバ5−2の長さは20kmである。また、分散補償素子6−1、6−2には、実質的に伝送距離として加算されない小型のデバイスが用いられる。本実施例では、ボビンに巻かれた分散補償ファイバ(DCF)が用いられる。DCFの波長分散値は−400ps/nm/km、実効コア断面積は15μm2、伝送損失は0.3dB/kmである。DCFの長さは、0.95kmである。このため、分散補償素子6−1、6−2で与えられる波長分散値は−380ps/nmである。スパン内の分散マップは図2(B)に示すようになり、スパン内での蓄積分散変動量の最大値は420ps/nmとなる。
【0012】
図1において、伝送スパン5のうち伝送用の光ファイバが配置されていない伝送スパン31には、光増幅中継器4において生じる利得の非平坦性を補償するための利得等化器9や、伝送スパン30で補償せずに残した分散をほぼ零の値にまで補償するための分散補償素子7が配置される。
図2に示す伝送スパン30の第1の実施例のように、光増幅中継器4における増幅手段が分布増幅である場合、WDMカップラ42は、光増幅中継器4内に具備される分散補償素子6−2の前段に配置されることが望ましい。このように配置することにより、増幅に伴う雑音の発生を小さくすることができ、光受信器2にて良好な伝送特性が得られる。
【0013】
一方、本発明に係る、伝送スパン30の第2の実施例として、光増幅中継器4における増幅手段が集中増幅である場合、集中増幅器43は、図3に示すように光増幅中継器4内に具備される分散補償素子6−2の後段に配置されることが望ましい。このように配置されることにより、一般的に伝送路ファイバに比べて非線形性が大きい分散補償素子での光信号光パワーを低く抑えることができ、良好な伝送特性が得られる。このように、前記2つの増幅手段に対しては、前記光増幅中継器4内に具備された分散補償素子6−2の相対的な配置位置を変えるだけで、前記2つの増幅方式に対してそれぞれ最適な伝送路構成が実現できるため、増幅手段の変更に伴う伝送路構成の最適化が容易である。
【0014】
本発明に係る光伝送システムにおける伝送スパン30の第3及び第4の実施例として、図4及び図5に示すように、伝送スパン30において合計4つの分散補償素子が分散配置されている形態であってもかまわない。
【0015】
本発明に用いる伝送路ファイバとしては、実効コア断面積が100μm2以上である単一種類のファイバであることが望ましい。
また、本発明による好ましい形態としては、分散補償素子6−1、6−2として、分散値が−200ps/nm/km以下のDCFが用いられる。このようなDCFは、ファイバ長が短いため、分散補償素子自体の小型化を可能にする。
【0016】
また、本発明による好ましい実施の形態としては、スパン内での蓄積分散変動量の最大値は500ps/nm以下となる。このような形態は、多くの場合、本発明に示すように複数個の分散補償素子をスパン内に分散配置することにより実現されるものである。
【0017】
このように配置されることによる効果を、以下に示す伝送シミュレーション結果をもとに説明する。本伝送シミュレーションにおいては、ビットレート42.7Gbpsの光信号を5チャネル多重し、中央チャネルにおける伝送ペナルティを評価した。チャネル間の周波数間隔は100GHzとし、隣接チャネル同士の偏波を直交させて伝送路に入射する偏波インターリーブ多重を用いた。伝送路ファイバとしては、LAPSCFを用いた。分散補償素子としては、DCFを用いた。増幅手段はEDFAとし、EDFA出力後の信号光パワーはチャネル辺り−2dBm/chとした。伝送スパン内におけるPSCFと分散補償素子(DCF)の分散値の合計は+40ps/nmとし、ここで残留する分散を5スパン伝送する毎に補償する構成を採用した。
【0018】
本伝送シミュレーションでは、図3、図5、図6、図7の4つの伝送路構成における伝送特性を比較した。
図3は、伝送スパン内に伝送路ファイバ2本と分散補償素子2台とを配置するもので、分散補償素子は2本の伝送路ファイバの段間ならびに光増幅中継器における増幅手段の直前に配置される構成を示している。この時、伝送スパン内の蓄積分散値の変動量は420ps/nmとなる。本構成は、本実施例に示した構成と同一である。
図5は、伝送スパン内に伝送路ファイバ4本と分散補償素子4台とを配置するもので、分散補償素子は伝送路ファイバの各段間ならびに光増幅中継器における増幅手段の直前に配置される構成を示している。この時、伝送スパン内の蓄積分散値の変動量は230ps/nmとなる。本構成は、本発明による他の実施例を示している。
図6は、伝送スパン内に伝送路ファイバ1本と分散補償素子1台とを配置するもので、分散補償素子は光増幅中継器における増幅手段の直前に配置される構成を示している。この時、伝送スパン内の蓄積分散値の変動量は800ps/nmとなる。
図7は、伝送スパン内に長さの等しい伝送路ファイバ2本と分散補償素子1台とを配置するもので、分散補償素子は2本の伝送路ファイバの段間に配置される。この時、伝送スパン内の蓄積分散値の変動量は760ps/nmとなる。本構成は、[特許文献1]に開示された構成と同様である。
【0019】
図8に伝送シミュレーションの結果を示す。図8の横軸は伝送距離、縦軸は伝送ペナルティを示している。伝送ペナルティは1.5dB以下に抑えられていることが望ましい。また、図9には、各構成における6,000km伝搬後のアイパタンを示す。
伝送スパン内での蓄積分散値の変動量が500ps/nm以下に抑えられている図3、図5の構成では、長距離伝送時でも伝送ペナルティが低く抑えられているが、伝送スパン内での蓄積分散値の変動量が500ps/nm以上となる図6、図7の構成では、伝送距離が3,000km付近で伝送ペナルティの許容値1.5dBを超えてしまう。
図9に示すアイパタンにおいても、図3、図5の構成のでは良好なアイ開口が得られている。これらのことから、伝送スパン内の蓄積分散値を500ps/nm以下にすることにより、良好な伝送特性が与えられることがわかる。
【0020】
尚、本発明の第1〜第4の実施例では、分散補償素子6−1、6−2の波長分散値として、それぞれの分散補償素子の前段に配置された伝送路ファイバでの波長分散量が完全に零になるまで補償せず、それぞれ+20ps/nmの分散を残している。このような構成をとる理由は、WDM伝送を行う場合に、SPMに加え隣接チャネル間の相互位相変調(Cross Phase Modulation;XPM)による波形劣化を低減させるためである。
本発明による好ましい実施の形態としては、伝送路ファイバ5−1、5−2の総波長分散値と、分散補償素子6−1、6−2の総波長分散値との和の絶対値が、20ps/nm以上60ps/nm以下となる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の光伝送システムによれば以下の効果を奏す。
第1の効果は、[発明が解決しようとする課題]の1点目に示した、伝送スパンを構成するファイバが複数種類となる問題点が解決されることである。つまり、本発明によれば、伝送路を構成するファイバが単一種類となり、伝送スパンで異種のファイバどうしの接続箇所が減少することにより、光伝送システム全体の信頼性が改善される。図2に示す本発明による技術と、図11に示す[非特許文献3]に開示された従来技術を比較すると、従来技術では伝送路に2種類のファイバが存在しているのに対し、本発明によれば伝送路は実質1種類のファイバのみとなる。また、従来技術では異種ファイバどうしの接続箇所が伝送路において3箇所存在しているのに対し、本発明によれば接続箇所は1箇所のみとなる。
【0022】
本発明による第2の効果は、[発明が解決しようとする課題]の2点目に示した、増幅手段の変更に伴う伝送路構成の最適化が容易でないという問題点が解決されることである。つまり、集中増幅または分布増幅という2つの増幅手段に対して、光増幅中継器内に具備された分散補償素子の相対的な配置位置を変えるだけで、前記2つの増幅方式に対してそれぞれ最適な伝送路構成が実現できるため、増幅手段の変更に伴う伝送路構成の最適化が容易である。
以上に示したように、本発明によれば、比較的簡素で信頼性に優れた伝送路構成で、高速かつ長距離伝送を実現可能な光伝送システムが与えられる。同時に、増幅手段の変更に伴う伝送路構成の最適化が容易な光伝送システムが与えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光伝送システムの一実施形態の構成を示す図である。
【図2】本発明による光伝送システムにおいて、伝送スパン30のスパン構成の第1の実施例と、対応する分散マップを示す図である。
【図3】本発明による光伝送システムにおいて、伝送スパン30のスパン構成の第2の実施例と、対応する分散マップを示す図である。
【図4】本発明による光伝送システムにおいて、伝送スパン30のスパン構成の第3の実施例と、対応する分散マップを示す図である。
【図5】本発明による光伝送システムにおいて、伝送スパン30のスパン構成の第4の実施例と、対応する分散マップを示す図である。
【図6】伝送スパン30において、分散補償素子を集中配置する形態の一例と、対応する分散マップを示す。
【図7】伝送スパン30において、分散補償素子を集中配置する形態の別の一例と、対応する分散マップを示す。
【図8】図3、図5、図6、図7の各伝送スパン構成において、40Gbps−WDM伝送シミュレーションの結果を示す図である。横軸は伝送距離、縦軸は伝送ペナルティを示す。
【図9】図8の伝送シミュレーションにより得られた6,000km伝搬後のアイパタンを示す図である。
【図10】従来技術に開示された伝送路構成における伝送スパン内の分散マップを示す図であって、(a)は[非特許文献1]、(b)は[非特許文献2]、(c)は[特許文献1]、(d)は[非特許文献3]に開示された従来技術に対応する。
【図11】[非特許文献3]に開示された従来技術における、伝送スパン30のスパン構成と、対応する分散マップを示す図である。
【符号の説明】
1 光送信器
2 光受信器
3 光伝送路
4 光増幅中継器
5、5−1、5−2 伝送路ファイバ
6、6−1、6−2 分散補償素子
7 分散補償素子
9 利得等化器
30 伝送スパン
31 スパン
41 励起光源
42 WDMカップラ
43 集中増幅器
【発明の属する技術分野】
本発明は、伝送路で分散補償された光伝送システムに関し、特に、1チャネル辺りの伝送レートが40Gbps以上、伝送距離が1000km以上という高速かつ長距離の波長多重(Wavelength Division Multiplexed; WDM)光伝送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、長距離WDM伝送に関する研究開発が盛んに行われている。このような技術の一例が、下記[特許文献1]及び[非特許文献1]〜[非特許文献3]に開示されている。
上記従来技術では、伝送路に配置された光増幅中継器間で、伝送路ファイバの波長分散を補償するための分散補償手段が具備される構成が開示されている。
[非特許文献1]に開示された伝送路構成における伝送スパン内の分散マップを図10(a)に示す。本構成では、光増幅中継器間の伝送スパンにおいて、正の波長分散値を有する1本の純シリカコアファイバ(Pure Silica Core Fiber;PSCF)と、負の波長分散値を有する1本の分散補償ファイバ(Dispersion Compensation Fiber;DCF)がこの順に接続されている。
[非特許文献2]に開示された伝送路構成における伝送スパン内の分散マップを図10(b)に示す。この構成では、光増幅中継器間の伝送スパンにおいて、2本のPSCFの段間に、1本のDCFが配置されている。
[特許文献1]に開示された伝送路構成における伝送スパン内の分散マップを図10(c)に示す。[特許文献1]の構成は、[非特許文献2]におけるDCFを、実質的に線形の分散・分散スロープ補償デバイスで置き換えたものである。上記の[非特許文献1]、[非特許文献2]及び[特許文献1]に開示された技術の1つの特徴としては、伝送スパンで分散補償手段(DCFまたは分散・分散スロープ補償デバイス)を1個だけ配置するという点があげられる。このような伝送路構成では、伝送スパンで蓄積する蓄積分散量が大きく、1チャネル当たりの伝送レートが10Gbpsや20Gbps程度の速度のWDM伝送においては良好な伝送特性を与える。
【0003】
しかしながら、光ファイバにおける波長分散性は、1チャネル当たりの伝送レートの2乗に比例して大きくなる。したがって、たとえ同一の分散マップ構成であっても40Gbpsの信号が受ける波長分散性は、10Gbpsの信号が受ける波長分散性よりも16倍大きい。したがって、上記[非特許文献1]、[非特許文献2]及び[特許文献1]に開示された伝送路構成のように、伝送スパン内での蓄積分散値の変動量が大きい伝送路において40Gbpsの信号を伝送する場合、伝送スパン内での蓄積分散値の変動量が大き過ぎるため、光ファイバの自己位相変調(Self Phase Modulation;SPM)と波長分散性の相乗効果により、信号波形が大きく劣化してしまう。
【0004】
このため、[非特許文献3]に開示された技術では、各伝送スパン内で、コア拡大型純シリカコアファイバ(Large−Aeff Pure Silica Core Fiber;LAPSCF)とDCFとを複数回反復させる伝送路構成が使用されている。[非特許文献3]に開示された伝送路構成における伝送スパン内の分散マップを図10(d)に示す。この構成では、光増幅中継器間の伝送スパンにおいて、2本のDCFと、2本のLAPSCFが交互に配置されている。このように、伝送スパン内に複数の正分散ファイバと複数の負分散ファイバを交互に接続する伝送路構成のことを複数回折り返し構成と呼ぶ。複数回折り返し構成では、[非特許文献1]、[非特許文献2]及び[特許文献1]で開示されているような1回折り返し構成よりも蓄積分散値の変動量を小さくすることができ、1チャネル当たりの伝送レートが40Gbps以上のWDM伝送であっても大洋横断距離といった長距離伝送が可能となる。
【0005】
図11は、[非特許文献3]で開示された2回折り返し構成の詳細を示している。光伝送路スパン30’には、LAPSCF5−1’、5−2’と、DCF6−1’、6−2’とが具備されている。伝送スパン30’の終端には光増幅中継器4’が具備されており、光増幅中継器4’内には、後方励起ラマン増幅を行うための励起光源41’と、励起光源41’から発生する励起光を伝送路ファイバ5−2’へ入射するためのWDMカップラ42’とが備えられている。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−280959公報(第4−6頁、図1)
【非特許文献1】
T. Naito et al., ”1 terabit/s WDM transmission over 10,000km”, European Conference on Optical Communication 1999, PD2−1, September 1999.
【非特許文献2】
T. Tsuritani et al., ”21.4Gbit/s x 56WDM 9170km transmission using symmetrical dispersion managed fiber span”, European Conference on Optical Communication 2001, PD.M.1.6, September 2001.
【非特許文献3】
H. Sugahara et al., ”9,000−km transmission of 32 x 42.7 Gb/s dense−WDM signals using 195−um2−Aeff fiber and inverse double−hybrid span configuration”, Optical Amplifier and their Applications 2002, PD3, July 2002.
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、[非特許文献3]に開示された複数回折り返し構成には、以下の2つの問題点がある。
1点目の問題点としては、伝送スパンを構成するファイバが複数種類となる上、異種ファイバどうしの接続箇所が伝送路の伝送スパンの多くの場所で生じることにより、光伝送システム全体の信頼性が低下することがあげられる。例えば、図11に示す2回折り返し構成では、伝送スパンで接続箇所が3箇所も生じてしまう。
さらに、2点目の問題点としては、増幅手段の変更に伴う伝送路構成の最適化が容易ではないことがあげられる。図11に示す[非特許文献3]の従来技術を参照すると、伝送スパンを構成するDCFとLAPSCFとが、伝送スパン内でDCF+LAPSCF+DCF+LAPSCFの順に接続されている。この伝送路構成は、分布増幅方式である全ラマン増幅方式に適しており、この点の詳細については[非特許文献3]に記述されている。一方、増幅方式が従来のエルビウム添加光増幅器(Erbium Doped Fiber Amplifier;EDFA)のように集中増幅方式の場合には、各伝送スパン内でLAPSCF+DCF+LAPSCF+DCFの順に接続する場合に良い伝送特性が得られる。なぜならば、LAPSCFに比べて非線形性が大きいDCFでの信号光パワーを低く抑えることができるためである。図11に示す2回折り返し構成の場合、分布増幅方式の場合と集中増幅方式の場合とで増幅器を配置する位置が異なるため、上記2つの増幅方式の変更に伴う伝送路構成の最適化が容易ではないという問題点があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、光信号を発生させる光送信器と、前記光信号を受信する光受信器と、前記光送信器と前記光受信器との間に接続された光伝送路と、前記光伝送路内に分散配置された複数の光増幅中継器を備えた光伝送システムであって、前記光伝送路は前記複数の光増幅中継器によって複数のスパンに分割され、前記複数のスパンのうち光信号を伝送する伝送路ファイバが配置された伝送スパンには、前記伝送路ファイバにより生じる波長分散を補償する実質的に伝送距離として加算されない複数の分散補償素子が具備され、前記複数の分散補償素子は、前記伝送スパンの前後に配置された光増幅中継器内または前記伝送スパン内の任意の場所のうちの複数箇所に分散配置されていることを特徴とする光伝送システムが提供される。
好ましくは、前記複数の分散補償素子のうちの1つが、前記光増幅中継器内に配置されていることが望ましい。
また、前記光増幅中継器内に光信号を集中的に増幅する集中増幅器が具備されている場合には、前記集中増幅器は、前記光増幅中継器内に配置された分散補償素子の後段に配置されていることが望ましい。
さらに、前記光増幅中継器内に光信号を分布増幅するための励起光入射手段が具備されている場合には、前記励起光入射手段は、前記光増幅中継器内に配置された分散補償素子の前段に配置されていることが望ましい。
本発明によれば、前記光増幅中継器内に具備された分散補償素子の相対的な配置位置を変えるだけで、前記2つの増幅方式に対してそれぞれ最適な伝送路構成が実現できるため、増幅手段の変更に伴う伝送路構成の最適化が容易である。
本発明に用いる伝送路ファイバとしては、実効コア断面積が100μm2以上である単一種類のファイバであることが望ましい。また、本発明に用いる分散補償素子としては、分散値が−200ps/nm/km以下の分散補償ファイバであることが望ましい。
本発明の一つの特徴として、前記複数の分散補償素子は、前記伝送スパンの前後に配置された光増幅中継器内または前記伝送スパン内の任意の場所のうちの複数箇所に分散配置されていることがあげられる。これは、前記伝送スパン内で生じる蓄積分散の変動量が極端に大きくならないようにするためである。具体的には、前記伝送スパン内で生じる蓄積分散の変動量が500ps/nm以下であることが望ましい。
さらに、前期伝送路ファイバの総波長分散値と、前記複数の分散補償素子の総波長分散値との和の絶対値が、20ps/nm以上60ps/nm以下であることが望ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1を参照すると、本発明の光伝送システムの一実施形態は、光送信器1が光受信器2とともに設けられている。光送信器1と光受信器2とは、光伝送路3によって接続されている。光伝送路3内には複数の光増幅中継器4が分散配置されており、また複数の分散補償素子6を備える。光伝送路3は複数の光増幅中継器4により複数のスパン30または31に分割される。スパン30は光信号を伝送するための伝送路ファイバ5を含む伝送スパンを示しており、スパン31は光信号を伝送するための伝送路ファイバ5を含まないスパンを示している。
【0010】
図2を参照して、伝送スパン30の第1の実施例についてより詳細な説明を行う。図2(A)に示すように、伝送スパン30には、2本の伝送路ファイバ5−1、5−2と、伝送路ファイバ5−1、5−2により生じる波長分散を補償する分散補償素子6−1、6−2とが具備されている。また、伝送スパン30の終端には伝送路ファイバ5−1、5−2と分散補償素子6−1,6−2とで生じる損失を補償する光増幅中継器4が接続されている。分散補償素子6−1は、2本の伝送路ファイバ5−1と5−2との中間に配置され、分散補償素子6−2は光増幅中継器4内に配置される。光増幅中継器4には、後方励起ラマン増幅を行うための励起光源41と、励起光源41から発生する励起光を伝送路ファイバ5−2へ入射するためのWDMカップラ42とが具備されている。光信号は、伝送路ファイバ5−1、5−2内で当該励起光により増幅される。
【0011】
伝送路ファイバ5−1、5−2には、コア拡大型ピュアシリカコアファイバ(Large Aeff Pure Silica Core Fiber;LAPSCF)が用いられる。LAPSCFの波長分散値は+20ps/nm/km、実効コア断面積は200μm2、伝送損失は0.175dB/kmである。伝送路ファイバ5−1の長さは20kmであり、伝送路ファイバ5−2の長さは20kmである。また、分散補償素子6−1、6−2には、実質的に伝送距離として加算されない小型のデバイスが用いられる。本実施例では、ボビンに巻かれた分散補償ファイバ(DCF)が用いられる。DCFの波長分散値は−400ps/nm/km、実効コア断面積は15μm2、伝送損失は0.3dB/kmである。DCFの長さは、0.95kmである。このため、分散補償素子6−1、6−2で与えられる波長分散値は−380ps/nmである。スパン内の分散マップは図2(B)に示すようになり、スパン内での蓄積分散変動量の最大値は420ps/nmとなる。
【0012】
図1において、伝送スパン5のうち伝送用の光ファイバが配置されていない伝送スパン31には、光増幅中継器4において生じる利得の非平坦性を補償するための利得等化器9や、伝送スパン30で補償せずに残した分散をほぼ零の値にまで補償するための分散補償素子7が配置される。
図2に示す伝送スパン30の第1の実施例のように、光増幅中継器4における増幅手段が分布増幅である場合、WDMカップラ42は、光増幅中継器4内に具備される分散補償素子6−2の前段に配置されることが望ましい。このように配置することにより、増幅に伴う雑音の発生を小さくすることができ、光受信器2にて良好な伝送特性が得られる。
【0013】
一方、本発明に係る、伝送スパン30の第2の実施例として、光増幅中継器4における増幅手段が集中増幅である場合、集中増幅器43は、図3に示すように光増幅中継器4内に具備される分散補償素子6−2の後段に配置されることが望ましい。このように配置されることにより、一般的に伝送路ファイバに比べて非線形性が大きい分散補償素子での光信号光パワーを低く抑えることができ、良好な伝送特性が得られる。このように、前記2つの増幅手段に対しては、前記光増幅中継器4内に具備された分散補償素子6−2の相対的な配置位置を変えるだけで、前記2つの増幅方式に対してそれぞれ最適な伝送路構成が実現できるため、増幅手段の変更に伴う伝送路構成の最適化が容易である。
【0014】
本発明に係る光伝送システムにおける伝送スパン30の第3及び第4の実施例として、図4及び図5に示すように、伝送スパン30において合計4つの分散補償素子が分散配置されている形態であってもかまわない。
【0015】
本発明に用いる伝送路ファイバとしては、実効コア断面積が100μm2以上である単一種類のファイバであることが望ましい。
また、本発明による好ましい形態としては、分散補償素子6−1、6−2として、分散値が−200ps/nm/km以下のDCFが用いられる。このようなDCFは、ファイバ長が短いため、分散補償素子自体の小型化を可能にする。
【0016】
また、本発明による好ましい実施の形態としては、スパン内での蓄積分散変動量の最大値は500ps/nm以下となる。このような形態は、多くの場合、本発明に示すように複数個の分散補償素子をスパン内に分散配置することにより実現されるものである。
【0017】
このように配置されることによる効果を、以下に示す伝送シミュレーション結果をもとに説明する。本伝送シミュレーションにおいては、ビットレート42.7Gbpsの光信号を5チャネル多重し、中央チャネルにおける伝送ペナルティを評価した。チャネル間の周波数間隔は100GHzとし、隣接チャネル同士の偏波を直交させて伝送路に入射する偏波インターリーブ多重を用いた。伝送路ファイバとしては、LAPSCFを用いた。分散補償素子としては、DCFを用いた。増幅手段はEDFAとし、EDFA出力後の信号光パワーはチャネル辺り−2dBm/chとした。伝送スパン内におけるPSCFと分散補償素子(DCF)の分散値の合計は+40ps/nmとし、ここで残留する分散を5スパン伝送する毎に補償する構成を採用した。
【0018】
本伝送シミュレーションでは、図3、図5、図6、図7の4つの伝送路構成における伝送特性を比較した。
図3は、伝送スパン内に伝送路ファイバ2本と分散補償素子2台とを配置するもので、分散補償素子は2本の伝送路ファイバの段間ならびに光増幅中継器における増幅手段の直前に配置される構成を示している。この時、伝送スパン内の蓄積分散値の変動量は420ps/nmとなる。本構成は、本実施例に示した構成と同一である。
図5は、伝送スパン内に伝送路ファイバ4本と分散補償素子4台とを配置するもので、分散補償素子は伝送路ファイバの各段間ならびに光増幅中継器における増幅手段の直前に配置される構成を示している。この時、伝送スパン内の蓄積分散値の変動量は230ps/nmとなる。本構成は、本発明による他の実施例を示している。
図6は、伝送スパン内に伝送路ファイバ1本と分散補償素子1台とを配置するもので、分散補償素子は光増幅中継器における増幅手段の直前に配置される構成を示している。この時、伝送スパン内の蓄積分散値の変動量は800ps/nmとなる。
図7は、伝送スパン内に長さの等しい伝送路ファイバ2本と分散補償素子1台とを配置するもので、分散補償素子は2本の伝送路ファイバの段間に配置される。この時、伝送スパン内の蓄積分散値の変動量は760ps/nmとなる。本構成は、[特許文献1]に開示された構成と同様である。
【0019】
図8に伝送シミュレーションの結果を示す。図8の横軸は伝送距離、縦軸は伝送ペナルティを示している。伝送ペナルティは1.5dB以下に抑えられていることが望ましい。また、図9には、各構成における6,000km伝搬後のアイパタンを示す。
伝送スパン内での蓄積分散値の変動量が500ps/nm以下に抑えられている図3、図5の構成では、長距離伝送時でも伝送ペナルティが低く抑えられているが、伝送スパン内での蓄積分散値の変動量が500ps/nm以上となる図6、図7の構成では、伝送距離が3,000km付近で伝送ペナルティの許容値1.5dBを超えてしまう。
図9に示すアイパタンにおいても、図3、図5の構成のでは良好なアイ開口が得られている。これらのことから、伝送スパン内の蓄積分散値を500ps/nm以下にすることにより、良好な伝送特性が与えられることがわかる。
【0020】
尚、本発明の第1〜第4の実施例では、分散補償素子6−1、6−2の波長分散値として、それぞれの分散補償素子の前段に配置された伝送路ファイバでの波長分散量が完全に零になるまで補償せず、それぞれ+20ps/nmの分散を残している。このような構成をとる理由は、WDM伝送を行う場合に、SPMに加え隣接チャネル間の相互位相変調(Cross Phase Modulation;XPM)による波形劣化を低減させるためである。
本発明による好ましい実施の形態としては、伝送路ファイバ5−1、5−2の総波長分散値と、分散補償素子6−1、6−2の総波長分散値との和の絶対値が、20ps/nm以上60ps/nm以下となる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の光伝送システムによれば以下の効果を奏す。
第1の効果は、[発明が解決しようとする課題]の1点目に示した、伝送スパンを構成するファイバが複数種類となる問題点が解決されることである。つまり、本発明によれば、伝送路を構成するファイバが単一種類となり、伝送スパンで異種のファイバどうしの接続箇所が減少することにより、光伝送システム全体の信頼性が改善される。図2に示す本発明による技術と、図11に示す[非特許文献3]に開示された従来技術を比較すると、従来技術では伝送路に2種類のファイバが存在しているのに対し、本発明によれば伝送路は実質1種類のファイバのみとなる。また、従来技術では異種ファイバどうしの接続箇所が伝送路において3箇所存在しているのに対し、本発明によれば接続箇所は1箇所のみとなる。
【0022】
本発明による第2の効果は、[発明が解決しようとする課題]の2点目に示した、増幅手段の変更に伴う伝送路構成の最適化が容易でないという問題点が解決されることである。つまり、集中増幅または分布増幅という2つの増幅手段に対して、光増幅中継器内に具備された分散補償素子の相対的な配置位置を変えるだけで、前記2つの増幅方式に対してそれぞれ最適な伝送路構成が実現できるため、増幅手段の変更に伴う伝送路構成の最適化が容易である。
以上に示したように、本発明によれば、比較的簡素で信頼性に優れた伝送路構成で、高速かつ長距離伝送を実現可能な光伝送システムが与えられる。同時に、増幅手段の変更に伴う伝送路構成の最適化が容易な光伝送システムが与えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光伝送システムの一実施形態の構成を示す図である。
【図2】本発明による光伝送システムにおいて、伝送スパン30のスパン構成の第1の実施例と、対応する分散マップを示す図である。
【図3】本発明による光伝送システムにおいて、伝送スパン30のスパン構成の第2の実施例と、対応する分散マップを示す図である。
【図4】本発明による光伝送システムにおいて、伝送スパン30のスパン構成の第3の実施例と、対応する分散マップを示す図である。
【図5】本発明による光伝送システムにおいて、伝送スパン30のスパン構成の第4の実施例と、対応する分散マップを示す図である。
【図6】伝送スパン30において、分散補償素子を集中配置する形態の一例と、対応する分散マップを示す。
【図7】伝送スパン30において、分散補償素子を集中配置する形態の別の一例と、対応する分散マップを示す。
【図8】図3、図5、図6、図7の各伝送スパン構成において、40Gbps−WDM伝送シミュレーションの結果を示す図である。横軸は伝送距離、縦軸は伝送ペナルティを示す。
【図9】図8の伝送シミュレーションにより得られた6,000km伝搬後のアイパタンを示す図である。
【図10】従来技術に開示された伝送路構成における伝送スパン内の分散マップを示す図であって、(a)は[非特許文献1]、(b)は[非特許文献2]、(c)は[特許文献1]、(d)は[非特許文献3]に開示された従来技術に対応する。
【図11】[非特許文献3]に開示された従来技術における、伝送スパン30のスパン構成と、対応する分散マップを示す図である。
【符号の説明】
1 光送信器
2 光受信器
3 光伝送路
4 光増幅中継器
5、5−1、5−2 伝送路ファイバ
6、6−1、6−2 分散補償素子
7 分散補償素子
9 利得等化器
30 伝送スパン
31 スパン
41 励起光源
42 WDMカップラ
43 集中増幅器
Claims (8)
- 光信号を発生させる光送信器と、前記光信号を受信する光受信器と、前記光送信器と前記光受信器との間に接続された光伝送路と、前記光伝送路内に分散配置された複数の光増幅中継器を備える光伝送システムであって、前記光伝送路は前記複数の光増幅中継器によって複数のスパンに区画され、前記複数のスパンのうち光信号を伝送する伝送路ファイバが配置された伝送スパンには、前記伝送路ファイバにより生じる波長分散を補償する実質的に伝送距離として加算されない複数の分散補償素子が具備され、
前記複数の分散補償素子は、前記伝送スパンの前後に配置された光増幅中継器内または前記伝送スパン内の任意の場所のうちの複数箇所に分散配置されている
ことを特徴とする光伝送システム。 - 請求項1に記載の光伝送システムであって、
前記複数の分散補償素子のうちの1つが、前記光増幅中継器内に配置されている、
ことを特徴とする光伝送システム。 - 請求項2に記載の光伝送システムであって、
前記光増幅中継器内には光信号を集中的に増幅する集中増幅器が具備されており、
前記集中増幅器は、前記光増幅中継器内に配置された分散補償素子の後段に配置されている、
ことを特徴とする光伝送システム。 - 請求項2に記載の光伝送システムであって、
前記光増幅中継器内には光信号を分布増幅するための励起光源と、前記励起光を前記伝送路ファイバに入射する励起光入射手段とが具備されており、前記励起光入射手段は、前記光増幅中継器内に配置された分散補償素子の前段に配置されている、
ことを特徴とする光伝送システム。 - 請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の光伝送システムであって、
前記伝送路ファイバは、実効コア断面積100μm2以上である単一種類のファイバである、
ことを特徴とする光伝送システム。 - 請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の光伝送システムであって、
前記分散補償素子は、分散値が−200ps/nm/km以下の分散補償ファイバである、
ことを特徴とする光伝送システム。 - 請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の光伝送システムであって、
前記伝送スパンの蓄積分散変動量が500ps/nm以下である、
ことを特徴とする光伝送システム。 - 請求項1から請求項7のいずれか一つに記載の光伝送システムであって、
前記伝送路ファイバの総波長分散値と、前記複数の分散補償素子の総波長分散値との和の絶対値が、20ps/nm以上60ps/nm以下である、
ことを特徴とする光伝送システム。
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