JP2002299738A - 光伝送システム - Google Patents

光伝送システム

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JP2002299738A
JP2002299738A JP2001096684A JP2001096684A JP2002299738A JP 2002299738 A JP2002299738 A JP 2002299738A JP 2001096684 A JP2001096684 A JP 2001096684A JP 2001096684 A JP2001096684 A JP 2001096684A JP 2002299738 A JP2002299738 A JP 2002299738A
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optical
optical fiber
transmission line
signal
transmission system
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JP2001096684A
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Fumihiko Kuroda
文彦 黒田
Shigeru Oshima
茂 大島
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】中継器の間隔を長くしても雑音や非線形を抑え
て十分な伝送品質を保証できる低コストの光伝送システ
ムを提供する。 【解決手段】上流側の光送信器1より下流側の光受信器
6へ光伝送路2及び中継器3を介して光信号を伝送する
光伝送システムにおいて、光伝送路2は下流側に配置さ
れたピュアシリカコア光ファイバ2bと、上流側に配置
され、実効断面積がピュアシリカコア光ファイバ2bよ
りも小さく、かつ光ファイバ2bと逆極性の分散特性を
有する小口径光ファイバ2aとから構成され、中継器3
及び光受信器6からピュアシリカコア光ファイバ2bの
下流側より上流側の小口径光ファイバ2aに向かってポ
ンプ光を導入することにより、光伝送路2において光信
号をラマン増幅する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光信号を伝送する
光伝送システムに係り、特に中継器にラマン増幅を利用
した光伝送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】光伝送システムにおいては、低コスト化
の要求から通信容量はますます増大しており、それと共
に中継器間隔の長距離化も求められている。従来の長距
離大容量光伝送システムでは、例えば T.Naito et.al.
“Pre-and post-dispersion compensation in long-hau
l WDM transmission system”,IEICE Trans. Commun. v
ol.E83-B,no.7, P.P1409-16 July 2000(文献1)に記
載されているように、光送信器から複数の波長の信号光
を多重化したWDM信号(波長多重光信号)が1本の光
ファイバからなる光伝送路に送出される。光伝送路に送
出されたWDM信号は、光伝送路での損失によるS/N
劣化を防ぐために、中継器においてエルビウムドープフ
ァイバ光増幅器(EDFA)により増幅されて伝送さ
れ、光受信器で受信される。
【0003】信号光同士の四光波混合(FWM)を防ぐ
ために、光伝送路は信号帯域において正の分散値を持つ
正分散ファイバと負の分散値を持つ負分散ファイバとを
組み合わせて構成される。本明細書では、正の分散値と
は波長の増加によって群遅延時間が増加するものを言
い、負の分散値とはこれが減少するものを言う。正分散
ファイバと負分散ファイバとは、信号帯域において互い
の分散値を補償し、かつ損失が一定以上にならないよう
にそれぞれの長さが設定されている。
【0004】正分散ファイバとしてはシングルモードフ
ァイバ(SMF)、負分散ファイバとしては分散補償フ
ァイバ(DCF)がそれぞれ用いられることが多い。こ
こで、DCFでは実効断面積が約20μm2と小さいた
め、僅かな光強度でも光密度は強大となり、自己位相変
調(SPM)や相互位相変調(XPM)の非線形現象が
起こり易い。そこで、光強度が強大となるEDFAの直
後、すなわち光信号の上流側に、実効断面積が約70μ
2と大きいSMFを配し、このSMFの損失により光
強度が弱まる光信号の下流側にDCFが配置される。
【0005】太平洋横断に必要な10,000kmとい
った長大な伝送距離が求められるときは、特に伝送路中
の光信号の僅かな波形の歪みや雑音も累積し、伝送品質
が劣化する。これらを考慮して、非線形現象抑制のため
に光伝送路中での最大光信号強度、つまり送信器及び中
継器を出た直後の光信号強度は、−5dBm/ch以下
に抑えられる。雑音の累積によるS/Nの劣化を防ぐた
めには、光伝送路中の最小光信号強度は5dBm/ch
以上が必要とされる。これらを考慮すると、たとえSM
Fのような低損失の光ファイバを用いても、中継器の間
隔は50km程度が限界であった。
【0006】一方、特開2000―151507(文献
2)あるいは、P.B.Hansen,et.al.,“Rayleigh scatter
ing limitations in distributed Raman pre-amplifier
s”,EEE Photonics Technol. Lett.,vol.10, no.1,P.P.
159-61,Jan.1998(文献3)に記載されているように、
ファイバ自身の損失を補償して中継器の間隔を長くする
ためにラマン増幅を併用する試みも近年盛んになってい
る。
【0007】信号光に対して波長が約100nm短いポ
ンプ光を光ファイバに導入すると、ファイバ内のラマン
効果により信号光が増幅される。これをラマン増幅とい
う。上流側から到来する光信号は、SMFなどの光ファ
イバ、DCFなどの分散補償ファイバからなる光伝送路
を経て中継器に入力され、中継器内のEDFAにより増
幅された後、再び光伝送路へ送信される。中継器内で
は、ポンプ光源から発するポンプ光が光カプラにより光
伝送路の上流側へ導入され、それによって光信号をラマ
ン増幅する。
【0008】EDFAにより増幅された信号光により非
線形現象が起こるのを防ぐため、文献2ではSMFは光
信号の上流側、DCFは下流側にそれぞれ配置されてい
る。DCFは実効断面積が小さいため、小さいポンプ光
強度でも十分なラマン増幅利得を得ることができる。
【0009】しかし、このラマン増幅にも改善されるべ
き問題がある。一般にラマン増幅の性能は、ファイバ内
の二重レーリー散乱により制限される。レーリー散乱と
は、ファイバ自身の密度や添加物の濃度の揺らぎによる
光の散乱であり、これ自体は不可避である。下流側に伝
送される信号光の一部はレーリー散乱により上流側に散
乱されるが、この散乱光もラマン増幅を受ける。増幅さ
れた散乱光もレーリー散乱により再び下流側に散乱され
て雑音光となり、ラマン増幅される。従って、ラマン増
幅率が高いほど二重レーリー散乱による雑音光も増加
し、S/Nが劣化する。DCFは、コアの屈折率をSM
Fより高く設定して実効断面積を小さくしているため、
ラマン増幅利得は大きいがレーリー散乱も大きい。従っ
てラマン増幅利得を余り大きくすると、雑音の増加によ
り伝送品質が劣化するため、中継器の間隔をそれほど延
長することができなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述したように従来の
長距離光伝送システムにおいては、ラマン増幅を利用し
ても二重レーリー散乱によりS/Nが劣化するため、十
分な利得を得ることができず、中継器の間隔を長くでき
ないという問題があった。このため、中継器の数が増大
して光伝送システムの敷設コストが増大する。また、光
増幅器の雑音や光ファイバの非線形現象のために、系全
体の伝送距離や容量が制限されるという問題があった。
【0011】本発明は、中継器の間隔を長くしても雑音
や非線形現象を抑えて十分な伝送品質を保証できる低コ
ストの光伝送システムを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は上流側の光送信器より下流側の光受信器へ
光伝送路を介して光信号を伝送する光伝送システムにお
いて、光伝送路を下流側に配置されたピュアシリカコア
を持つ所定の実効断面積を有する第1の光ファイバと、
該第1の光ファイバより上流側に配置され、実効断面積
が該第1の光ファイバよりも小さく、かつ該第1の光フ
ァイバと逆極性の分散特性を有する第2の光ファイバと
を含んで構成した上で、第1の光ファイバの下流側より
上流側の第2の光ファイバに向かってポンプ光を導入す
ることにより、光伝送路において光信号をラマン増幅す
るようにしたことを特徴とする。
【0013】また、本発明は上流側の光送信器より下流
側の光受信器へ光伝送路及び中継器を介して光信号を伝
送する光伝送システムにおいて、光伝送路を上記と同様
に構成し、さらに中継器及び光受信器の少なくとも一方
によって第1の光ファイバの下流側より上流側の第1の
光ファイバに向かってポンプ光を導入することにより光
信号をラマン増幅することを特徴とする。
【0014】ここで、第1の光ファイバの実効断面積は
80μm2以上、150μm2以下であることが望まし
く、さらに好ましくは100μm2以上、120μm2
下であである。
【0015】第2の光ファイバは、第1の光ファイバの
波長分散を補償する分散補償光ファイバであることが望
ましく、これによって波長分散による光信号の波形劣化
を防ぐことができる。
【0016】光伝送路上を伝送する光信号が波長の異な
る複数の信号光が多重されたWDM信号(波長多重光信
号)の場合、過半数の該信号光の波長において第1の光
ファイバと第2の光ファイバとの組合せによる残留分散
値が正極性の値となるように、例えば第1の光ファイバ
の長さを設定して構成することにより、WDM信号帯域
内における波長間の残留分散の補償が容易となる。
【0017】本発明においては、光伝送路の残留分散値
を補償する分散補償伝送路と、この分散補償伝送路にポ
ンプ光を導入して分散補償伝送路上を伝送する光信号を
ラマン増幅する手段をさらに備えてもよい。この場合、
正の残留分散値を補償できる分散補償光ファイバによっ
て分散補償伝送路を構成すると、分散補償路の長さは大
きくなるが、高いラマン増幅利得が得られるため、分散
補償伝送路での損失を容易に補償でき、高価な例えばエ
ルビウムドープファイバ光増幅器が不要となる上、ポン
プ光源についても出力の小さい安価なものを使用でき
る。
【0018】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施形態に係
る長距離光伝送システムの構成図である。この光伝送シ
ステムは、送信器1と受信器6との間に光伝送路2と中
継器3を交互に配置して構成される。すなわち、送信器
1から出た光信号、例えば波長の異なる複数の信号光が
多重されたWDM信号(波長多重光信号)は、光伝送路
2及び中継器3を交互に経て最終的に受信器6まで伝送
される。勿論、本発明は送信器1から光受信器6まで一
波長の光信号を伝送する場合にも適用できる。
【0019】光伝送路2は光信号の上流側(送信器1
側)より、小口径光ファイバ2a及びPSCF(ピュア
シリカコア光ファイバ)2bがこの順に組み合わされて
いる。中継器3および受信器6には光カプラ4とポンプ
光源5が内蔵されており、ポンプ光源5から発するポン
プ光がPSCF2bに結合した光カップラ4によって、
PSCF2bに下流側より上流側に向かって導入されて
いる。
【0020】ここで、中継器は従来ではEDFAを内蔵
しているが、本実施形態の中継器3は基本的には光伝送
路2にポンプ光を導入する機能のみを有していればよ
い。勿論、中継器3にEDFAなどを内蔵しても構わな
い。
【0021】小口径光ファイバ2aとしては、例えば実
効断面積20μm2の分散補償光ファイバ(DCF)が
使用され、PSCF2bとしては、例えば実効断面積1
20μm2のものが使用される。小口径光ファイバ2a
であるDCFとPSCF2bの分散特性は、互いに逆極
性となっている。ポンプ光源5は、同一波長のレーザダ
イオード(LD)からの出射光を偏波多重してポンプ光
を出力するものでもよいし、異なる波長のLDからの出
射光を重ねてラマン増幅帯域を拡大したものであっても
よい。
【0022】一般の光ファイバのコア材は、遷移金属イ
オン濃度が0.1ppb未満、水酸イオン濃度が1pp
b未満であり、数%のGeやP、B、F等を添加して作
られる。これに対して、PSCF2bはコアに添加材
(不純物)を基本的に含まない光ファイバであり、PS
CF2bのコアの不純物濃度は1ppm以下である。こ
のようなPCFSは光の損失が小さく、信号光やポンプ
光を遠くまで伝送できるという特徴がある。これはレー
リー散乱が小さいことを意味し、強度の大きなポンプ光
を導入しても光S/Nは劣化しない。
【0023】図2に、光ファイバに導入したポンプ光強
度に対する光S/Nの変化を示す。小口径光ファイバ2
aとして用いられるDCFに直接ポンプ光を導入したと
きには、ポンプ光強度が約600mWから急速に光S/
Nが低下しているのに対して、PSCFでは約1300
mWまでの強度のポンプ光を導入しても、光S/Nは劣
化するどころか、むしろ改善されることが分かる。
【0024】また、PSCF2bは実効断面積が大きい
ため、ラマン増幅利得は小さいのに対して、実効断面積
の小さいDCFからなる小口径光ファイバ2aでは、P
SCF2bを長距離伝送して光強度が低下したポンプ光
についても、十分にラマン増幅できる。ポンプ光は下流
側のPSCF2bから導入されているため、PSCF2
bでの増幅も加わり、全体として光ファイバの損失を補
償する以上の増幅利得が得られる。
【0025】さらに、波長1.55μm帯の信号光に対
してDCFは負の波長分散、PSCFは正の波長分散を
有するため、これらを適切な長さで組み合わせて小口径
光ファイバ2a及びPSCF2bを配置することによ
り、分散値を補償することができる。これにより、光信
号としてWDM信号を伝送するときの波長間の群速度分
散も問題とならなくなる。
【0026】本実施形態の有効性を検証するため、PS
CFとDCFの組み合わせからなる光伝送路を用いた図
3(a)(b)(c)に示す各構成について、光伝送方
向における光強度分布を計算した結果を図4(a)
(b)(c)に示す。図3(a)(b)(c)は、長距
離光伝送システムの一つの中継区間に相当する部分を示
している。光信号は、いずれも中継区間に−5dBmで
入射し、−5dBmで出力するものとした。PSCF、
DCFの長さはそれぞれ45km,15kmとし、実効
断面積は先に示した例と同じく、それぞれ120μ
2,20μm2とした。光S/Nの雑音帯域は50GH
zである。図4(a)(b)(c)では、いずれも下流
側に向かう信号光と、散乱され上流側に向かう散乱光に
ついて光強度分布を示している。
【0027】図3(a)は、光ファイバとして光信号の
上流側よりPSCF、DCFを順次配置して光伝送路を
構成し、従来の文献1と同様に、エルビウムドープファ
イバ光増幅器(EDFA)のみで増幅中継を行う構成で
ある。EDFAの雑音指数(NF)は6dBとした。光
伝送路の損失は11.7dBであるため、図4(a)に
示されるようにDCF終端での光強度は−16.7dB
mとなり、−15dBmを下回っている。このときのS
/Nは32.3dBであった。
【0028】図3(b)は、図3(a)と同様に光信号
の上流側よりPSCF、DCFを順次配置して光伝送路
を構成し、DCFを下流側から励起してラマン増幅を行
う従来の例えば文献2に基づく構成である。ポンプ光源
5の出力におけるポンプ光強度は157mWであるが、
PSCFに到達する際のポンプ光強度は62mWと小さ
く、PSCFはラマン増幅に寄与していない。このとき
図4(b)に示されるように、最低光信号強度は−1
1.5dBmと、EDFAのみの場合よりは改善されて
いるが、信号光強度が最低となるPSCF/DCF界面
で散乱光強度が最大となっており、DCF終端での光S
/Nは32.0dBと、むしろ劣化している。
【0029】図3(c)は、光信号の上流側よりDC
F、PSCFを順次配置して光伝送路を構成し、PSC
Fを下流側から励起してラマン増幅を行う本実施形態に
係る構成である。ポンプ光源5の出力におけるポンプ光
強度は370mWであり、DCFには62mWが到達し
ている。PSCFには強いポンプ光、DCFには弱いポ
ンプ光がそれぞれ供給されているため、図4(c)に示
されるようにそれぞれのファイバで損失が補償される程
度の増幅が得られている。また、双方の増幅利得は小さ
いため、信号光がレーリー散乱により上流側に向かう成
分は、本来の信号光と比べて20dB以上の以上のレベ
ル差が得られている。従って、これがさらにレーリー散
乱により散乱され(二重レーリー散乱)、雑音光となっ
ても、その寄与は無視し得る程である。図4(c)に示
されるように、最低信号光強度は−6.5dBm、光S
/Nは35.3dBと、良好なものであった。
【0030】なお、図1のように光信号の上流側より小
口径光ファイバ(DCF)2a及びPSCF2bを順次
配置した構成において、上流側よりポンプ光を供給する
ようにした場合には、下流側への散乱光が増加して符号
間干渉が増加し、十分なアイ開口が得られなかった。
【0031】本実施形態の構成では、信号光の光強度が
距離に拠らずほぼ一定となる。このことは、非線形現象
の一つである相互位相変調(XPM)に対して有効であ
ることを示している。すなわち、2つの波長多重信号光
がウォークオフする場合、光信号を構成するビットの立
ち上がり時と立ち下がり時とで相手に与える位相変化が
逆となるが、この2つの時点での光強度が異なると、強
い側での影響が残ってXPMとなる。しかし、本実施形
態では光強度が一定であるため、互いの位相変化は打ち
消されてしまい、悪影響を残さない。さらに、本実施形
態では光強度が著しく強くなる部分がないため、自己位
相変調も小さい。
【0032】また、PSCF2bの長さを60kmとし
て中継器3の間隔を75kmに延長しても、最低信号光
強度は−8.5dB、光S/Nは33.1dBと、従来
のものを上回っていた。すなわち、本実施形態によると
従来困難であった60km以上の中継器間隔を持つ光伝
送システムを実現することができ、本発明の優位性は明
らかである。
【0033】次に、PSCF2bの好ましい実効断面積
の範囲について説明する。図5に、PSCF2bの実効
断面積を変化させたときのS/Nの変化について調べた
結果を示す。従来では、実効断面積が60μm2と比較
的小さいPSCFが使用されている。このように実効断
面積が小さいPSCFを用いると、図1においてPSC
F2bでの利得が高くなり、出力一定とするために必要
なポンプ光強度は低下する。すると、小口径光ファイバ
2aであるDCFのラマン増幅への寄与は小さくなり、
図3(b)と同様に終端での増幅が大きくなる。このと
きの光S/Nは33.4dBであった。
【0034】この従来の実効断面積60μm2のPSC
Fに対して、1dB以上の光S/N向上を得るために
は、つまり光S/Nを34.4dBにするためには、図
5よりPSCF2bの実効断面積は80μm2以上であ
ることが必要である。PSCF2bの実効断面積が大き
いほどS/Nは改善されるが、150μm2以上となる
と、ファイバの曲がりによる放射損失が大きくなる。従
って、PSCF2bの実効断面積は80μm2以上、1
50μm2以下が適当である。
【0035】また、より好ましくは従来の実効断面積6
0μm2のPSCFに対して、1.5dB以上の光S/
N向上を達成することが望ましく、そのためには図5よ
りPSCF2bの実効断面積を100μm2以上とする
ことが必要である。一方、PSCF2bの実効断面積の
上限については、放射損失に対する限界である上記15
0μm2に対し、1dB程度の断面積低下(実効断面積
の揺らぎに対する安全性)を見込んで、120μm2
あることがより一層好ましい。
【0036】以上から、本実施形態におけるPSCF2
bの実効断面積は、80μm2以上、150μm2以下が
好ましく、さらに好ましくは100μm2以上、120
μm 2以下が適当である。
【0037】次に、波長分散の補償についてさらに詳し
く説明する。一般に、波長1.55μmにおけるPSC
Fの波長分散は、+20.4ps/nm/km、DCF
の波長分散は−47.0ps/nm/kmである。従っ
て、図1に示した光伝送システムにおいて例えばDCF
である小口径光ファイバ2aの長さを20km、PSC
F2bの長さを45kmとすると、PSCF2bでの波
長分散がDCFである小口径光ファイバ2aによってほ
ぼ補償され、WDM信号の一つの波長の信号光の波長広
がりによる群速度分散は問題とならなくなる。
【0038】一方、WDM信号の波長帯域が広く、かつ
伝送距離が長大になると、波長毎の残留分散が累積して
無視し得なくなる。例えば、波長1.54〜1.56μ
mのWDM信号を10,000kmの距離にわたり伝送
することを考える。上述したDCF、PSCFの長さ
(20km,45km)によると、波長1.55μmで
は波長分散は補償されているが、他の波長では分散スロ
ープのため分散値が異なっており、図6に示すように伝
送距離と共に残留分散が累積する。この図6には代表的
な3つの波長、つまり両端の波長1.54μm、1.5
6μm及び中心波長1.55μmしか示していないが、
他の波長についてはこれらの間に補間される。
【0039】この残留分散を図1の光伝送システムにお
いて送信器1と受信器6とで50%ずつ補償すると、
1.54μmの波長では+1200ps/nm、1.5
6μmの波長では−1200ps/nmの分散補償がそ
れぞれ必要である。通常、残留分散の補償は、送信器及
び受信器内に必要な分散値を与える長さの光ファイバを
分散補償伝送路として波長毎に挿入することで行なわれ
る。この分散補償伝送路は、例えば正の分散補償値が必
要なときはPSCF、負の分散補償値が必要なときはD
CFによって構成される。
【0040】図7に示す光伝送システムは、この方法に
よって図6に示した残留分散の補償を行う様子を示して
いる。図7は、送信器内の残留分散補償に関わる構成を
示しているが、受信器内についても同様に構成すること
ができる。異なる波長λa,λb,λc…毎の光送信器
51から出力される信号光は、波長毎の残留分散を補償
する分散補償伝送路52を経てWDMカプラ53に入力
される。上述した波長1.54μmで+1200ps/
nmという残留分散補償値に対して、PSCFは60k
mの長さが必要であり、そのとき損失は10dBを超え
るため、S/Nの確保のために、分散補償伝送路52中
に例えば20km毎にEDFA54が挿入される。
【0041】一方、DCFはそれ自体の分散が大きいた
め、上述した波長1.56μmで−1200ps/nm
という残留分散補償値を得るのに必要な長さは25km
でよく、そのときの損失は6.8dBであるから、分散
補償伝送路中にEDFAを挿入する必要がない。すなわ
ち、光伝送路の残留分散が正の値、つまり残留分散補償
値は負の値である方が分散補償伝送路に挿入すべきED
EAの数を減らすか、EDFAを省略することができ、
都合がよい。
【0042】ここで、光伝送路2中のPSCF2bの長
さを前記の値45kmより長く、例えば47kmに設定
すると、図8に示すようにWDM信号を構成する信号光
の過半数の波長においてDCFである小口径光ファイバ
2aとPSCF2bとの組み合わせによる残留分散値が
正の値となる。このとき負の値の残留分散は小さくなる
ため、分散補償路52として短いSMFやPSCFを用
いて残留分散の補償ができ、分散補償伝送路52中へ挿
入するEDFAの数を減らすことができるか、もしくは
EDFAが不要となる。
【0043】正の残留分散値を補償できるDCFによっ
て分散補償伝送路を構成すると、分散補償伝送路の長さ
は大きくなるが、DCFはラマン増幅利得が高い。そこ
で、図9に本発明の第3の実施形態に係る光伝送システ
ムの光送信器1の内部構成を示すように、DCFからな
る分散補償伝送路52中に適度な長さ毎にポンプ光源5
および光カプラ4を挿入することにより、容易に損失を
補償できる。このとき高価なEDFAが不要であり、ポ
ンプ光源5についても出力の小さい安価なものでよいた
め、全体として低コストのシステムとなる。
【0044】このように伝送路2中のPSCF2bの長
さを大きくして、WDM信号の信号光の過半数の波長に
おける残留分散値を正の値とすることにより、残留分散
の補償に伴うコスト増加を招くことなく、中継器の間隔
を長くすることができる。このときもPSCF2bに導
入するポンプ光の強度を強くできるため、レーリー散乱
による制限はない。
【0045】以上、本発明の幾つかの実施形態について
説明したが、各実施形態における送信出力やポンプ光強
度、波長数やファイバの長さなどはあくまで例示であ
り、これらに限られるものでないのはもちろんである。
中継器を省いて送信器から直接受信器へ光伝送すること
も可能であるし、DCFとPSCFからなる組の上流側
または下流側に、通常のSMFやPSCFからなる光伝
送路を組み合わせても構わない。また、送信器や受信
器、中継器に監視系を付け加えて、送信出力やポンプ光
強度を制御し、伝送品質を制御することも可能である。
その他、本発明はその精神を逸脱することなく種々変形
して実施することができる。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によればラ
マン増幅のために強大なポンプ光の導入が可能となるた
め、雑音や非線形を抑えて十分な伝送品質を確保しつ
つ、低コストで中継器間隔を長くすることができ、光伝
送システム全体の伝送距離や伝送容量を増すことも可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光伝送システム
の構成を示す図
【図2】光ファイバに導入したポンプ光強度に対する光
S/Nの関係を本実施形態に係るピュアシリカコア光フ
ァイバ及び従来の分散光ファイバについて示す図
【図3】従来の光伝送システム及び本実施形態に係る光
伝送システムの一つの中継区間に相当する構成を示す図
【図4】図3の各構成における光伝送方向における光強
度分布を示す図
【図5】同実施形態におけるピュアシリカコア光ファイ
バの実効断面積と光S/Nとの関係を示す図
【図6】同実施形態における小口径光ファイバの長さが
20km、ピュアシリカコア光ファイバの長さが45k
mのときの残留分散を示す図
【図7】図6に示した残留分散を補償する本発明の第2
の実施形態に係る光伝送システムの構成を示す図
【図8】同実施形態における小口径光ファイバの長さが
20km、ピュアシリカコア光ファイバの長さが47k
mのときの残留分散を示す図
【図9】図8に示した残留分散を補償するための本発明
の第3の実施形態に係る光伝送システムの構成を示す図
【符号の説明】
1…送信器 2…光伝送路 2a…小口径光ファイバ(第2の光ファイバ) 2b…ピュアシリカコア光ファイバ(第1の光ファイ
バ) 4…光カプラ 5…ポンプ光源 6…受信器 51…光送信器 52…分散補償伝送路 53…WDMカップラ 54…エルビウムドープファイバ光増幅器(EDFA)
フロントページの続き Fターム(参考) 2K002 AA02 AB30 AB40 BA01 CA15 DA10 HA23 5F072 AB07 AK06 JJ20 KK30 QQ07 YY17 5K002 AA06 CA01 CA02 CA13 FA02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上流側の光送信器より下流側の光受信器へ
    光伝送路を介して光信号を伝送する光伝送システムにお
    いて、 前記光伝送路は、下流側に配置されたピュアシリカコア
    を持つ所定の実効断面積を有する第1の光ファイバと、
    該第1の光ファイバより上流側に配置され、実効断面積
    が該第1の光ファイバよりも小さく、かつ該第1の光フ
    ァイバと逆極性の分散特性を有する第2の光ファイバと
    を含んで構成され、 さらに、前記第1の光ファイバの下流側より上流側の前
    記第2の光ファイバに向かってポンプ光を導入する手段
    を備えたことを特徴とする光伝送システム。
  2. 【請求項2】上流側の光送信器より下流側の光受信器へ
    光伝送路及び中継器を介して光信号を伝送する光伝送シ
    ステムにおいて、 前記光伝送路は、下流側に配置されたピュアシリカコア
    を持つ所定の実効断面積を有する第1の光ファイバと、
    該第1の光ファイバより上流側に配置され、実効断面積
    が該第1の光ファイバよりも小さく、かつ該第1の光フ
    ァイバと逆極性の分散特性を有する第2の光ファイバと
    を含んで構成され、 さらに、前記中継器及び前記光受信器の少なくとも一方
    によって前記第1の光ファイバの下流側より上流側の前
    記第1の光ファイバに向かってポンプ光を導入すること
    により前記光信号をラマン増幅することを特徴とする光
    伝送システム。
  3. 【請求項3】前記第1の光ファイバの実効断面積は80
    μm2以上、150μm2以下であることを特徴とする請
    求項1または2記載の光伝送システム。
  4. 【請求項4】前記第1の光ファイバの実効断面積は10
    0μm2以上、120μm2以下であることを特徴とする
    請求項1または2記載の光伝送システム。
  5. 【請求項5】前記第2の光ファイバは、前記第1の光フ
    ァイバの波長分散を補償する分散補償光ファイバである
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1記載の光
    伝送システム。
  6. 【請求項6】前記光信号は波長の異なる複数の信号光が
    多重された波長多重光信号であり、過半数の該信号光の
    波長において前記第1の光ファイバと前記第2の光ファ
    イバとの組合せによる残留分散値が正極性の値となるよ
    うに構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の
    いずれか1項記載の光伝送システム。
  7. 【請求項7】前記光伝送路の残留分散値を補償する分散
    補償伝送路と、該分散補償伝送路にポンプ光を導入して
    該分散補償伝送路上を伝送する光信号をラマン増幅する
    手段とをさらに有することを特徴とする請求項1乃至6
    のいずれか1項記載の光伝送システム。
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