JP2001094511A - 波長分散の補償方法および光伝送システム - Google Patents
波長分散の補償方法および光伝送システムInfo
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Abstract
歪みを低減するための波長分散の補償方法、および、そ
れを用いた光伝送システムを提供する。 【解決手段】本発明による波長分散の補償方法は、伝送
損失を持つ光伝送路について、例えば、1つの中継区間
において波長分散により隣接波長の光信号間に発生する
時間遅延量が、ビット周期の1/2倍となるように光伝
送路の波長分散特性を設定する。これにより、隣接波長
の光パルスが2つの中継区間で1bit遅延するように
なって、第1中継区間で発生するレッドチャーピングと
第2中継区間で発生するブルーチャーピングが互いに打
ち消し合い、相互位相変調に起因した波形歪みが低減さ
れるようになる。
Description
有する光伝送路を用いて波長多重信号光を伝送するとき
の波長分散の補償方法およびその方法を用いた光伝送シ
ステムに関し、特に、各波長の光信号間で発生する相互
位相変調の影響の低減を図った波長分散の補償方法およ
び光伝送システムに関する。
号を電気信号に変換し、タイミング再生(retiming)、波
形等化(reshaping)および識別再生(regenerating)を行
う光再生中継器を用いて伝送を行っていた。しかし、現
在では光増幅器の実用化が進み、光増幅器を線形中継器
として用いる光増幅中継伝送方式が検討されている。光
再生中継器を光増幅中継器に置き換えることにより、中
継器内の部品点数が大幅に削減され、信頼性が確保され
るとともに大幅なコストダウンが見込まれる。また、光
伝送システムの大容量化を実現する方法のひとつとし
て、1本の光伝送路に2以上の異なる波長を持つ光信号
を多重して伝送する波長多重(WDM)光伝送方式が注
目されている。上記の光増幅中継伝送方式とWDM光伝
送方式とを組み合わせたWDM光増幅中継伝送方式にお
いては、光増幅器を用いてWDM信号光を一括して増幅
することが可能であり、簡素な構成(経済的)で、大容
量かつ長距離伝送が実現可能である。
は、光伝送路の非線形効果による伝送波形歪みの要因と
して、自己位相変調(self phase modulation;SP
M)、相互位相変調(cross phase modulation;XP
M)および4光波混合(four-wave-mixing;FWM)が
あり、この光伝送路の非線形効果による伝送特性の劣化
を低減するため、光伝送路の波長分散を管理する方法が
用いられている。
h Division Multiplexing in Long-Haul Transmission
Systems, IEEE Journal of Lightwave Technology, vo
l. 14, no. 6, pp. 1299-1308, 1996」では、約900
kmの長さを有し1585nmの零分散波長を持つ分散
シフトファイバ(Dispersion-shifted fiber;DSF)
と、約100kmの長さを有し1310nmの零分散波
長を持つシングルモードファイバ(SMF)とを組み合
わせた光伝送路を用いている。この光伝送路の平均零分
散波長は約1558nmであり、信号光波長は1556
nmから1560nmまでである。DSFの波長分散
は、約−2ps/nm/kmであり、信号光と自然放出
光の群速度や信号光同士の群速度がそれぞれ異なり、非
線形効果の相互作用時間を短くすることができるため、
4光波混合などによる伝送波形歪みを緩和できる。
量化および長距離化を実現するためには、その光伝送路
に要求される主な課題として、(a)低い伝送損失、
(b)大きい非線形実効断面積、(c)信号光波長と光
伝送路の零分散波長が一致しないこと、(d)累積波長
分散の絶対値が比較的小さいこと、(e)累積波長分散
の補償間隔が中継間隔に対して十分に大きいこと、
(f)波長分散スロープが小さい、または、それを補償
できること、などが挙げられる。
長分散を持つ1.3μm零分散ファイバと負の波長分散
を持つ分散補償ファイバを組み合わせて光伝送路として
用いることが提案されている。
l 16×10 WDM transmission experiment using high or
der fiber dispersion management technique, ECOC'9
8, p.313, 1998」等で提案されたシステムでは、伝送区
間の前半に正の波長分散を持つ1.3μm零分散ファイ
バが用いられ、伝送区間の後半に負の波長分散を持つ分
散補償ファイバが用いるられる。後半の光ファイバは、
前半の光ファイバの波長分散および分散スロープを補償
可能であり、また、前半の光ファイバの非線形実効断面
積は約80μm2と大きく、伝送損失も約0.20dB
/kmと小さい。したがって、すべての波長の信号光が
持つ累積波長分散を十分に低減できるため、自己位相変
調−波長分散(self phase modulation-group velocity
dispersion;SPM−GVD)による伝送波形歪みを
低減できる。
な公知の光伝送路を用いることによって、自己位相変調
および4光波混合の発生による伝送波形歪みを低減でき
る場合には、光伝送路の非線形効果による伝送波形歪み
の要因としては、相互位相変調が支配的になる可能性が
高い。すなわち、特定の間隔において波長分散およびそ
のスロープを補償できる光伝送路では、その分散補償間
隔毎に、WDM信号光の時間的な配置が再現されること
になるため、相互位相変調による波形歪みが大きくなる
可能性を持つ。
長分散マネジメントを行い、光伝送路の非線形効果によ
る伝送特性の劣化を低減させる技術の提案はこれまで殆
どなかった。
の発生について簡単に説明しておく。一般に、相互位相
変調は、他の信号光の持つ強度揺らぎが光伝送路の非線
形効果により位相揺らぎへと変換する現象である。光フ
ァイバ中を伝送する光の強度揺らぎは、光ファイバが持
つカー(Kerr)効果により光ファイバの屈折率を僅かに
変化させる。その屈折率の変化に応じて、伝搬光の速度
が変化し、伝搬光自体の位相揺らぎが発生する。
調による位相揺らぎをそれぞれ説明する図である。ただ
し、説明を簡単にするために孤立光パルスが伝搬する場
合を考える。
いては、図15(A)に示すように、孤立光パルスの立
ち上がり部分では、光強度が急激に増加するために、カ
ー効果によるレッドシフトが発生する。このレッドシフ
トは、信号光の長波長側への波長シフト、すなわち光周
波数が小さくなる方向にシフトする現象を示すものであ
って、レッドチャーピングとも呼ばれる。一方、孤立光
パルスの立ち下がり部分では、光強度が急激に減少する
ために、カー効果によるブルーシフトが発生する。この
ブルーシフトは、信号光の短波長側への波長シフト、す
なわち光周波数が大きくなる方向にシフトする現象を示
すものであって、ブルーチャーピングとも呼ばれる。
いては、図15(B)に示すように、2つの信号光(孤
立光パルス)が存在し、第2信号光パルスが第1信号光
パルスを追い越す場合を想定する。このような状況を想
定したのは、2つの信号光の波長が異なると、光伝送路
の波長分散特性によって各信号光の伝搬する速度がそれ
ぞれ異なるようになるためである。そして、図15
(C)に示すように、第2信号光が第1信号光に接近し
て衝突し始めた状態の場合には、光強度が急激に増加す
るためにレッドチャーピングが発生する。一方、図15
(D)に示すように第2信号光が第1信号光を追い越し
て離れようとしている状態の場合には、光強度が急激に
減少するためにブルーチャーピングが発生する。
から追い越し終わるまでの間、第2信号光パワーが一定
の場合には、相互位相変調によるレッドチャーピングと
ブルーチャーピングとが互いに打ち消し合う。しかし、
実際には、例えば光増幅中継器を用いて光伝送路損失を
補償する場合などのように、信号光パワーが伝送過程で
変化する場合が多く、このような場合には、2つの光パ
ルスの衝突が、光パワーの大きい状態(例えば光増幅中
継器の出力直後または中継区間の前半部分など)で起き
るか、光パワーが小さい状態(例えば光増幅中継器の入
力直前または中継区間の後半部分など)で起きるかによ
って、レッドチャーピングおよびブルーチャーピングが
打ち消し合わなくなり、どちらか一方が残留する可能性
が生じる。
で、光伝送路が持つ非線形効果の1つである相互位相変
調による伝送波形歪みを低減するための波長分散の補償
方法、および、それを用いた光伝送システムを提供する
ことを目的とする。
め、本発明による波長分散の補償方法の1つの態様は、
異なる波長の2つ以上の光信号を含んだ波長多重信号光
を伝送する伝送路の波長分散補償方法であって、前記伝
送路を複数の中継区間に分け、前記伝送路内の1つまた
は複数の中継区間の波長分散量を、少なくとも隣接波長
の光信号の間で発生する相互位相変調によるブルーチャ
ーピング量およびレッドチャーピング量がおおむね相互
に打ち消し合う値に設定する方法である。
が1つまたは複数の定められた中継区間を伝送される
と、各波長の光信号間でビット周期に対応した時間遅延
が生じ、光パルスの衝突の際に発生する相互位相変調に
よるレッドチャーピングおよびブルーチャーピングがほ
ぼ互いに打ち消し合うようになる。これにより、隣接波
長分散の光信号の衝突により生じる相互位相変調に起因
した伝送波形歪みの低減を図ることが可能になる。
は、前記伝送路内の複数の中継区間の間にて、ブルーチ
ャーピングおよびレッドチャーピングが1回ずつ発生す
るように分散補償するようにしてもよい。
光を減衰するものであって、前記中継区間の間には前記
伝送路で減衰した光を増幅する光増幅器を有し、前記伝
送路内の複数の中継区間の間にて、隣接波長の光信号の
間で発生する相互位相変調によるブルーチャーピング量
およびレッドチャーピング量が相互に打ち消し合うよう
に分散補償するようにしてもよい。また、前記伝送路内
の1つの中継区間にて、隣接波長の光信号の間で発生す
る相互位相変調によるブルーチャーピング量およびレッ
ドチャーピング量が相互に打ち消し合うようにする場合
には、前記ブルーチャーピングおよびレッドチャーピン
グの発生する周期が複数回あるようにする。
て光を減衰しないように、該伝送路自体が長手方向に沿
って分布的に増幅を行うものであって、前記伝送路内の
1つの中継区間にて、隣接波長の光信号の間で発生する
相互位相変調によるブルーチャーピング量およびレッド
チャーピング量が相互に打ち消し合うようにする場合に
は、前記ブルーチャーピングおよびレッドチャーピング
が、前記1つの中継区間内で1回ずつ発生するように分
散補償するようにしてもよい。
る伝送路は、正の波長分散値を有するファイバと負の波
長分散値を有するファイバとから成るようにするのが好
ましい。
様は、異なる波長の2つ以上の光信号を含んだ波長多重
信号光を伝送する伝送路の波長分散補償方法であって、
前記伝送路を複数の中継区間に分け、該中継区間の間に
は伝送路で生じる損失を補償する光増幅器を設け、前記
伝送路内の1つの中継区間での波長分散により隣接波長
の光信号間に発生する時間遅延量を、波長多重信号光の
伝送速度のビット周期よりも小さくするかまたは大きく
し、前記伝送路内の1つまたは複数の中継区間において
隣接波長の光信号の間で発生する相互位相変調によるブ
ルーチャーピング量およびレッドチャーピング量が相互
に打ち消し合うように分散補償する方法である。
な波長分散の補償方法を適用して構成したシステムであ
り、その具体的な構成については以下の実施形態で詳し
く説明することにする。
テムの光伝送路で発生する相互位相変調について具体例
を示しながら説明する。
中継区間における波長分散マップの一例を示した図であ
る。ただし、ここでは中継間隔を100km、信号光波
長付近での光伝送路の波長分散を−2.34ps/nm
/km、信号光の波長間隔を50GHz、伝送速度を1
0.664Gbit/s(ビット周期93.77ps)
とした場合が示してある。
波長の信号光には、100kmの中継区間を伝送される
ことで−234ps/nmの波長分散が発生して、各々
の伝送速度に差が生じるようになる。例えば、信号光波
長が1550nm帯や1580nm帯等にある場合、5
0GHzの波長間隔は約0.4nmに相当するため、隣
接波長の信号光についての波長分散による遅延量は−9
3.6ps(=−234ps/nm×0.4nm)とな
る。これは、伝送速度が10.664Gbit/s(ビ
ット周期93.77ps)であるので、100km伝送
後に隣接波長の光パルスが1bit遅延するような状態
になる。
変調によるレッドチャーピングおよびブルーチャーピン
グの発生状態を、隣接波長の光パルスの接近状況に応じ
て考えてみる。
て隣接波長の光パルスがこれから衝突しようとしている
場合には、0kmから50kmの間に隣接波長の光パル
スが接近すると、相互位相変調によりレッドチャーピン
グが発生し、一方、50kmから100kmの間に隣接
波長の光パルスが離れると、相互位相変調によりブルー
チャーピングが発生する。また、例えば、0kmにおい
て隣接波長の光パルスがちょうど衝突している場合に
は、0kmから50kmの間に隣接波長の光パルスが離
れると、相互位相変調によりブルーチャーピングが発生
し、一方、50kmから100kmの間に隣接波長の光
パルスが接近すると、相互位相変調によりレッドチャー
ピングが発生する。さらに、例えば、0kmにおいて隣
接波長の光パルスが衝突の途中の場合には、上記の2つ
の場合の中間状態になる。
るレッドチャーピングおよびブルーチャーピングの大き
さは、隣接波長の光パルスのパワーに依存することが知
られている。そこで、例えば図2に示すような伝送損失
の異なる2種類の光伝送路を想定し、それぞれで発生す
る相互位相変調によるチャーピングの大きさを考えてみ
る。なお、図2には、伝送損失が0dB/kmおよび
0.2dB/kmの場合について、規格化された信号光
パワーの変化の様子が示してある。
の光パルスのパワーはそれぞれ一定になるため、100
kmの伝送により発生するレッドチャーピングおよびブ
ルーチャーピングのそれぞれの大きさは、光パルスの接
近状態に拘わらず等しくなって、互いに打ち消し合うこ
とになる。
には、50km伝送後の信号光パワーが伝送開始直後の
パワーの10分の1になり、100km伝送後の信号光
パワーが伝送開始直後のパワーの100分の1になる。
したがって、隣接波長の光パルスの光パワーが伝送の途
中で変化するために、発生するレッドチャーピングおよ
びブルーチャーピングの大きさが異なるようになって、
いずれかのチャーピングが残留することになる。
長の光パルスがちょうど衝突している場合、0kmから
50kmの間に発生するブルーチャーピングの大きさ
は、50kmから100kmの間に発生するレッドチャ
ーピングの大きさの約10倍となるため、約9割のブル
ーチャーピングが残留することになる。
量を計算により求めた一例を示しておく。相互位相変調
によるチャーピング量の計算にあたっては、例えば図3
(A)に示すような正弦波で表される孤立光パルスをモ
デルとした。すなわち、各波長の孤立光パルスとして次
の(1)式を仮定した。
D/dLは長さあたりの波長分散[ps/nm/k
m]、Lは光ファイバの長さ[m]、cは光速[m/
s]、λは光波長[m]、Brは伝送速度[bit/
s]、Δfは光周波数間隔[Hz]である。
記(1)式で表される孤立光パルスの時間微分値(dA
/dt)および光パルスのパワーに比例し、その総量は
時間積分により求められる。なお、ここでの時間tは、
光パルスの遅延時間に対応するものである。また、光パ
ルスのパワーは指数関数(e-αt;αは定数)に従って
減衰するものとする。上記(1)式の時間微分値は、L
=v・t(vは2つの光パルスの相対的な速度)とし、
Kを定数として、次の(2)式で表すことができる。
れるチャーピング量(XPM量)を遅延時間に応じて表
示したグラフを図3(B)に示す。また、チャーピング
の総量を積分により計算した結果を図3(C)に示す。
ただし、図3(C)の計算においては、中継間隔を50
km、波長間隔を50GHz、伝送速度を10.664
Gbit/s(ビット周期93.77ps)とし、50
km伝送後に隣接波長の光パルスが0.5bitから5
bitまで遅延する場合を想定した。また、チャーピン
グの総量は、50km伝送後に隣接波長の光パルスが
0.5bit遅延する場合のチャーピングの総量を用い
て規格化している。なお、上記のような設定条件におい
て、0.5〜5bitの遅延を生じるような光伝送路の
波長分散を絶対値で換算すると、2.34〜23.4p
s/nm/kmに相当する。
の総量を求めるための積分の原始関数であるので、チャ
ーピング量が零になる遅延時間に対応して、図3(C)
に示したチャーピングの総量が極大値または極小値を持
つことになる。具体的には、遅延時間が0〜約1.75
bitの範囲について積分して求めた総量が極小値とな
る。
m伝送後における隣接波長の光パルスの時間遅延量を
0.5bitよりも大きくすることで、チャーピングの
総量を低減させることが可能であることは分かる。しか
しながら、伝送損失が生じる1つの中継区間だけにおい
て、相互位相変調によるチャーピングの残留を殆ど零に
するような設定条件を実現することは非常に困難であ
る。
ャーピングの残留を考慮し、複数の中継区間に亘る波長
分散マネジメントを適切に行うことで、レッドチャーピ
ングおよびブルーチャーピングが互いに打ち消し合うよ
うにするための技術を提供する。
説明する。図4は、本発明の第1実施形態および第2実
施形態に係る光伝送システムの全体構成を示すブロック
図である。
ば、光送信局1と、光受信局2と、それら送受信局間に
一定の間隔で配置される複数の光増幅器(光中継器)3
1,3 2,…と、光送信局1、各光増幅器31,32,…および
光受信局2の間を結ぶ光伝送路4と、から構成される。
の光信号をそれぞれ出力する複数の光送信器(E/O)
1Aと、複数の光信号を波長多重する合波器1Bと、該
合波器1BからのWDM信号光を所要のレベルに増幅し
て光伝送路4に出力するポストアンプ1Cと、を有す
る。
て伝送されたWDM信号光を所要のレベルに増幅するプ
リアンプ2Aと、プリアンプ2Aからの出力光を波長に
応じて複数の光信号に分ける分波器2Bと、複数の光信
号をそれぞれ受信処理する複数の光受信器(O/E)2
Cと、を有する。
所に到達したWDM信号光を一括して増幅可能な公知の
光増幅器である。具体的には、例えばエルビウム等の希
土類元素イオンをドープした光ファイバを利用した光フ
ァイバ増幅器などを用いることが可能である。
31の間を結ぶ第1中継区間41と、各光増幅器31〜3
n-1の間をそれぞれ結ぶ第2〜第n−1中継区間42〜4
n-1と、光増幅器3n-1および光受信局2の間を結ぶ第n
中継区間4nとを有する。各中継区間に用いられる光フ
ァイバは、本発明による分散補償方法に従って設定され
た所定の波長分散特性を有するものであって、本実施形
態では波長分散特性の均一な1種類の光ファイバを使用
する場合を考える。
各中継区間で発生する伝送損失が、各々の光増幅器にお
いて集中的に補償される。このような集中的に利得を持
つシステムでは、前述したように伝送損失による信号光
パワーの減衰を考慮して、複数の中継区間に亘る波長分
散マネジメントを行うことが重要である。
ップの一例を示す図である。ただし、ここでは例えば中
継間隔を50km、信号光波長付近での光伝送路の波長
分散を−2.34ps/nm/km、信号光の波長間隔
を50GHz、伝送速度を10.664Gbit/s
(ビット周期93.77ps)とする。このような設定
条件では、1つの中継区間において波長分散により隣接
波長の光信号間に発生する時間遅延量が、ビット周期の
1/2倍となり、すなわち、100km伝送後(2中継
区間の伝送後)に隣接波長の光パルスが1bit遅延す
るようになる。図5には、その場合に発生する波長分散
の変化が実線で示してある。なお、本発明は上記の設定
条件に限定されるものではなく、これは後述する他の実
施形態においても同様である。
の地点で隣接波長の光パルスがこれから衝突しようとし
ている場合を考えたものである。第1中継区間(0km
から50km)の間に隣接波長の光パルスが接近する
と、相互位相変調によりレッドチャーピングが発生し、
一方、第2中継区間(50kmから100km)の間に
隣接波長の光パルスが離れると、相互位相変調によりブ
ルーチャーピングが発生する。この場合、中継区間で生
じる伝送路の損失は光中継器で元の光パワーに戻るた
め、光パルスのパワーの変化は各中継区間において同様
である。したがって、第1中継区間において発生するレ
ッドチャーピングの総量と第2中継区間において発生す
るブルーチャーピングの総量とがほぼ同じになる。これ
により、隣接波長間で発生する相互位相変調によるチャ
ーピングが2つの中継区間毎に打ち消し合って大幅に低
減されるようになる。
隣接波長の光パルスがちょうど衝突している場合を考え
る。この場合にも、第1中継区間において発生するブル
ーチャーピングの総量と、第2中継区間において発生す
るレッドチャーピングの総量とがほぼ同じになるため、
100km伝送後には相互位相変調によるチャーピング
が大幅に低減されるようになる。また、0kmにおいて
隣接波長の光パルスが衝突の途中の場合には、上記の2
つの場合の中間状態になり、上記の場合と同様の作用効
果が得られる。
変化は、1つの中継区間の伝送後に光パルスが1bit
遅延する場合、すなわち、上記の設定条件では、隣接波
長ではなく1つの波長を隔てた光パルスについての場合
を示したものである。この場合、1つの中継区間でレッ
ドチャーピングおよびブルーチャーピングが発生するた
め、伝送路損失の影響で一方のチャーピングが光レベル
の減衰しない時点で発生し(図5ではレッドチャーピン
グ)、他方のチャーピングが光レベルの減衰の多い時点
で発生しているため、減衰の少ない時点で発生している
チャーピングが残留してしまう。したがって、伝送路で
損失が有りこれを光増幅器で補償するシステムでは、隣
接波長の信号光間で発生する相互位相変調によるチャー
ピングを低減する際に、1つの中継区間では光パルスの
遅延量が光パルスの1bitとならないようにする必要
がある。
光パルスとしてきたが、実際にはNRZ(Non-Return-t
o-Zero)符号やRZ(Return-to-Zero)符号等の光通信
一般に広く用いられている符号形式の信号光に対して本
発明は有効である。
ルスがオンとなる符号「1」が連続するようなときは、
孤立光パルスを想定した場合とは状況が異なってくる
が、このような場合でも、「1」連続部分の立ち上がり
に対応して発生するレッドチャーピングと、立ち下がり
に対応して発生するブルーチャーピングとが互いに打ち
消し合うため、孤立光パルスの場合と同様の効果が得ら
れる。ただし、光送受信局間の全伝送区間に亘って光パ
ルスの追い越しが生じないような長い「1」連続が発生
する場合には、ブルーチャーピングの発生する機会がな
いためレッドチャーピングが残留することになる。この
点を考慮すると、信号光の符号形式としてはRZ符号を
用いることがより好ましいと言える。なお、この信号光
の符号形式については以降で説明する他の実施形態にお
いても同様である。
長の光パルスが2つの中継区間で1bit遅延するよう
に光伝送路の波長分散特性等を設定して分散マネジメン
トを行うことで、隣接波長の信号光間における相互位相
変調に起因した波形歪みの低減を図ることが可能であ
る。また、信号光の波長間隔および各中継区間を等間隔
とし、さらに各中継区間毎の光パワーの変化を略等しく
することにより、波長分散マネジメントをより確実に行
うことができる。
する。第2実施形態では、前述の第1実施形態が2つの
中継区間を単位として波長分散マネジメントを実施する
のに対して、3つの中継区間を単位とする場合について
説明する。
ップの一例を示す図である。ただし、ここでは信号光波
長付近での光伝送路の波長分散を−1.56ps/nm
/kmとしている。他の設定条件は図5に示した場合と
同様であって、中継間隔を50km、信号光の波長間隔
を50GHz、伝送速度を10.664Gbit/s
(ビット周期93.77ps)とする。このような設定
条件では、1つの中継区間において波長分散により隣接
波長の光信号間に発生する時間遅延量が、ビット周期の
1/3倍となり、すなわち、150km伝送後(3中継
区間の伝送後)に、隣接波長の光パルスが1bit遅延
するようになる。図6には、その場合に発生する波長分
散の変化が実線で示してある。また、1つの波長を隔て
た光パルスについては2bit遅延するようになり、そ
の場合に発生する波長分散の変化が破線で示してある。
破線で示した波長から1つ波長を隔てた光パルスの波長
分散の変化を一点鎖線で示してある。
の地点で隣接波長の光パルスがこれから衝突しようとし
ている場合を考える。第1中継区間および第2中継区間
の前半(0〜75km)の間に隣接波長の光パルス(図
で実線に対応)が接近すると、相互位相変調によりレッ
ドチャーピングが発生し、一方、第2中継区間の後半お
よび第3中継区間(75〜150km)の間に隣接波長
の光パルスが離れると、相互位相変調によりブルーチャ
ーピングが発生する。
について注目すると、そのチャーピング量は、チャーピ
ングが切り変わった位置が最小のチャーピングの値をと
り、一つのチャーピング間の中心の位置がチャーピング
の最大となる。図6の実線の特性を伝送距離とチャーピ
ングの量で考えると、0km、75km、150kmの
各地点でチャーピングが最小になり、37.5km及び
112.5kmでチャーピングの最大値を迎えることに
なる。
ングの最大値を過ぎ、ある程度チャーピング量が減衰し
た時点で光増幅が行われ、100kmの光増幅器の位置
では、チャーピングが0から最大値に向けて増加した時
点で光増幅が行われる。即ち、光増幅器に入射した時点
のチャーピングは、比較的大きくない状態であるので、
伝送路で生じるレベル差を無視して考えることができ
る。
区間の前半において発生するレッドチャーピングの総量
と、第2中継区間の後半および第3中継区間において発
生するブルーチャーピングの総量がほぼ同じになる。こ
れにより、隣接波長間で発生する相互位相変調によるチ
ャーピングが3つの中継区間毎に打ち消し合って大幅に
低減されるようになる。
破線に対応)については、第1中継区間の前側3/4部
分(0〜37.5km)の間に光パルスが接近するとレ
ッドチャーピングが発生し、一方、第1中継区間の後側
1/4部分および第2中継区間の前半(37.5〜75
km)の間に光パルスが離れるとブルーチャーピングが
発生する。さらに、第2中継区間の後半および第3中継
区間の前側1/4部分(75〜112.5km)の間に
光パルスが接近するとレッドチャーピングが発生し、一
方、第3中継区間の後側3/4部分(112.5〜15
0km)の間に光パルスが離れるとブルーチャーピング
が発生する。このようにして3つの中継区間で発生する
レッドチャーピングおよびブルーチャーピングの各総量
はほぼ同じになるため、1つの波長を隔てた光パルス間
で発生する相互位相変調によるチャーピングも3つの中
継区間毎に打ち消し合うようになる。
隣接波長の光パルスがちょうど衝突している場合を考え
る。この場合にも、第1中継区間および第2中継区間の
前半において発生するブルーチャーピングの総量と、第
2中継区間の後半および第3中継区間において発生する
レッドチャーピングの総量とがほぼ同じになるため、1
50km伝送後には相互位相変調によるチャーピングが
大幅に低減されるようになる。
ても、第1中継区間の前側3/4部分、並びに、第2中
継区間の後半および第3中継区間の前側1/4部分にお
いてそれぞれ発生するブルーチャーピングの総量と、第
1中継区間の後側1/4部分および第2中継区間の前
半、並びに、第3中継区間の後側3/4部分においてそ
れぞれ発生するレッドチャーピングの総量とがほぼ同じ
になるため、1つの波長を隔てた光パルス間で発生する
相互位相変調によるチャーピングも3つの中継区間毎に
打ち消し合うようになる。
スが衝突の途中の場合には、上記の2つの場合の中間状
態になり、上記の場合と同様の作用効果が得られる。な
お、図6の一点鎖線で示した波長分散の変化は、1つの
中継区間の伝送後に光パルスが1bit遅延する場合、
すなわち、上記の設定条件では、2つの波長を隔てた光
パルスについての場合を示したものである。この場合、
1つの中継区間でレッドチャーピングおよびブルーチャ
ーピングが発生するため、従来の場合と同様に一方のチ
ャーピング(図6ではレッドチャーピング)が残留して
しまう。したがって、上記のような設定条件では、隣接
波長および1つの波長を隔てた各信号光間で発生する相
互位相変調によるチャーピングを低減するのに有効であ
る。
中継区間において隣接波長の光パルスが1bit遅延す
るように光伝送路の波長分散特性等を設定して分散マネ
ジメントを行うことで、隣接波長および1つの波長を隔
てた信号光間における相互位相変調による波形歪みの低
減を図ることが可能である。
の光パルスが3つの中継区間の伝送後に1bit遅延す
るように光伝送路の波長分散特性を設定するようにした
が、3つの中継区間を単位として波長分散マネジメント
を行う場合の他の設定例としては、隣接波長の光パルス
が3中継区間の伝送後に2bit遅延するように光伝送
路の波長分散特性を設定することも可能である。この場
合、他の設定条件を上記の場合と同様とすると、光伝送
路の波長分散を−3.12ps/nm/kmとすればよ
い。
つまたは3つの中継区間を単位として波長分散マネジメ
ントを実施する場合を説明したが、本発明はこれに限ら
れるものではなく、4つ以上の中継区間を単位として波
長分散マネジメントを実施することも可能である。例え
ば、4つの中継区間を単位として波長分散マネジメント
を行う場合などには、隣接波長の光パルスが4中継区間
の伝送後に1bitまたは3bit遅延するように光伝
送路の波長分散特性を設定すればよい。
する。上述の第1、2実施形態では、各中継区間の光伝
送路における伝送損失を各光増幅器を用いて集中的に補
償する場合について説明した。第3実施形態では、光伝
送路の損失を分布的に補償する場合を考える。
ムの全体構成を示すブロック図である。だだし、上述の
図4に示したシステム構成と同じ部分には同一符号が付
してある。
損失がほぼ0dB/kmに制御された光伝送路5を使用
して、光送信局1および光受信局2の間の光伝送を行う
構成である。上記の光伝送路5としては、例えば、誘導
ラマン(Raman)散乱を用いた光増幅技術や、エルビウ
ム等の希土類元素イオンをドープした光ファイバを光伝
送路として用いた光増幅技術などにより、光伝送路の損
失を分布的に補償する機能を備えたものが使用可能であ
る。また、ここでは光伝送路5について、上述の第1、
2実施形態における中継区間41〜4nに相当する中継区
間51〜5nが定められているものとする。
送システムでは、各中継区間51〜5nのそれぞれの光伝
送路において、隣接波長の光パルスの衝突回数が整数倍
となるように、光伝送路5の波長分散特性が設定され
る。具体的には、1つの中継区間あたりの光伝送路5の
波長分散が、次の(3)式で示す関係を満足するように
設定する。
パルス間隔(ビット周期)に等しい。また、cは光の速
度、λは信号光波長、Δfは光周波数間隔、Nは任意の
整数である。例えば、伝送速度Brを10Gbit/
s、光速cを3×108m/s、信号光波長λを1.5
5μm、光周波数間隔Δfを100GHzとした場合、
中継区間あたりの光伝送路の波長分散Dは125ps/
nmのN倍になる。次の表1にはITU規格に準拠した
幾つかの条件について計算を行った一例を示しておく。
1552.52nmおよび1585.37nmを想定
し、その各波長について、伝送速度を9.95Gbit
/sまたは10.66Gbit/s、光周波数間隔を5
0GHzまたは100GHzにそれぞれ設定した場合に
おける波長分散の基本量(D/N)を計算した結果が示
してある。なお、伝送速度として10Gbit/sの前
後で2種類の速度を設定しているのは、誤り訂正符号を
適用するか否かに対応させるためのものであって、9.
95Gbit/sは誤り訂正符号を適用しない場合、1
0.66Gbit/sは誤り訂正符号として例えばリー
ドソロモン符号(RS符号)を適用した場合に対応した
伝送速度である。
1つの中継区間における隣接波長の光パルスの衝突回数
が整数倍となるように、言い換えれば、隣接波長の光パ
ルスが1中継区間でNbit遅延するように光伝送路5
の波長分散特性を設定することによって、光パルスの追
い越しの際に発生するレッドチャーピングおよびブルー
チャーピングの各総量がほぼ同じになり、相互位相変調
によるチャーピングが打ち消し合うようになる。このよ
うな分散マネジメントを行うことによって、各波長の信
号光間における相互位相変調による波形歪みの低減を図
ることが可能になる。
する。図8は、第4実施形態に係る光伝送システムの全
体構成を示すブロック図である。だだし、上述の図4に
示したシステム構成と同じ部分には同一符号が付してあ
る。
に示したシステム構成について、光伝送路4に代えて、
所定の分散補償区間毎に累積波長分散の補償をまとめて
行う光伝送路4’を用いたものである。この光伝送路
4’は、第1中継区間41〜第k−1中継区間4k-1で発
生し累積する波長分散を第k中継区間4kで一括して補
償する。ここでは、例えば中継間隔を50kmとしたと
きに、9つの中継区間毎に波長分散を補償する、すなわ
ち、k=9として450kmの分散補償区間を想定した
場合について考える。この場合、具体的には、例えば第
1〜第8中継区間にそれぞれ用いる光伝送路の波長分散
を−2.34ps/nm/km、第9中継区間に用いる
光伝送路の波長分散を+18.7ps/nm/km等と
することができる。ただし、上記の波長分散値は信号光
波長付近における値である。なお、本発明における分散
補償区間の設定および光伝送路の波長分散特性の設定
は、上記に場合に限定されるものではない。
補償区間についての波長分散マップを示す図である。た
だし、ここでも第1実施形態等の場合と同様に、中継間
隔を50km、信号光の波長間隔を50GHz、伝送速
度を10.664Gbit/s(ビット周期93.77
ps)としている。
おける第1〜8中継区間41〜48では、2つの中継区間
の伝送後に隣接波長の光パルスが1bit遅延し、隣り
合う奇数区間と偶数区間においてチャーピングが打ち消
し合っている。この状態は第1実施形態の場合と同様で
ある。一方、第1〜8中継区間41〜48で累積した波長
分散を補償する第9中継区間49では、隣接波長の光パ
ルスが4bit遅延する(他の中継区間との相対的な関
係で言えば4bit進む)。この第9中継区間49の光
伝送路でも伝送損失により光パルスのパワーが変化する
ため、中継区間の前半で生じるチャーピングが後半で生
じるチャーピングよりも大きくなって、レッドチャーピ
ングおよびブルーチャーピングのいずれかが残留する。
したがって、図9に示したような場合には、第9中継区
間49でレッドチャーピングが少量だけ残ることにな
る。
チャーピングとブルーチャーピングの組み合わせが複数
回発生しているため、伝送路による損失の変化量が小さ
い時点で次々にチャーピングが変化するため残留するチ
ャーピング量を少なくすることができる。即ち、伝送路
に減衰が有り、光増幅器でその減衰を補償する場合は、
1つの区間で数多くのレッドチャーピングとブルーチャ
ーピングの組み合わせを発生させるようにすることで、
チャーピング量の補償誤差を小さくすることができる。
分散補償区間毎に累積波長分散をまとめて補償する構成
としたことで、第1実施形態の場合における効果に加え
て、累積波長分散による信号光波形の劣化を低減できる
ため、伝送特性のより優れた光伝送システムを実現する
ことが可能である。
する。第5実施形態では、第4実施形態において第9中
継区間で残留するチャーピングの低減を図った改良例に
ついて説明する。
は、前述の図8に示した第5実施形態の構成について、
分散補償区間を9つの中継区間から10の中継区間に変
更し、すなわち、図8においてk=10として500k
mの分散補償区間を設定したものである。具体的な光伝
送路4’の構成としては、例えば、第1〜第9中継区間
にそれぞれ用いる光伝送路の波長分散を−2.34ps
/nm/kmとし、第10中継区間に用いる光伝送路の
波長分散を+21.1ps/nm/km等とする。ただ
し、上記の波長分散値は信号光波長付近における値であ
る。
散補償区間についての波長分散マップを示す図である。
ただし、中継間隔を50km、波長間隔を50GHz、
伝送速度を10.664Gbit/s(ビット周期9
3.77ps)とする。
における第1〜9中継区間41〜49では、2つの中継区
間の伝送後に隣接波長の光パルスが1bit遅延し、第
1〜8中継区間41〜48において隣り合う奇数区間と偶
数区間でチャーピングが打ち消し合い、第9中継区間4
9においては一方のチャーピング(図の例ではレッドチ
ャーピング)が残留する。一方、第1〜9中継区間41
〜49で累積した波長分散を補償する第10中継区間4
10では、隣接波長の光パルスが4.5bit遅延する
(他の中継区間との相対的な関係で言えば4.5bit
進む)。この第10中継区間410の光伝送路でも伝送損
失により光パルスのパワーが変化するため、中継区間の
前半で生じるチャーピングが後半で生じるチャーピング
よりも大きくなって、レッドチャーピングおよびブルー
チャーピングの一方(図の例ではブルーチャーピング)
が残留する。したがって、第9中継区間49で発生する
チャーピング量と第10中継区間410で残留するチャー
ピング量とが差し引きされるようになる。ただし、第9
中継区間49のチャーピング量と第10中継区間410の
チャーピング量とは一般的に異なるため、少量のチャー
ピングが残留することにはなる。しかし、この残留量は
第4実施形態の場合と比較してごく微量である。
償区間を10中継区間毎に設定し、累積波長分散の補償
を行う第10中継区間410で残留するチャーピングが第
9中継区間49で発生するチャーピングによって低減さ
れるようにしたことで、相互位相変調によるチャーピン
グの影響をより一層低減することが可能になる。
は、第1実施形態の場合と同様に2つの中継区間を単位
として基本的な波長分散マネジメントを実施するように
したが、本発明はこれに限らず、第2実施形態の場合と
同様に3つ若しくはそれ以上の中継区間を単位として波
長分散マネジメントを行う応用も可能である。
する。図11は、第6実施形態に係る光伝送システムの
全体構成を示すブロック図である。
は、例えば上述の図8に示したシステム構成について、
光伝送路4に代えて、波長分散特性が相反する2種類の
光ファイバからなる混成伝送路を有する光伝送路6を用
いたものである。
1〜6k-1で発生し累積する波長分散が第k中継区間6k
において補償され、以降同様にしてk中継区間ごとに累
積波長分散が補償される構成であり、これは第4、5実
施形態の場合と同様である。本実施形態における特徴
は、累積波長分散の補償を行わない中継区間61〜6k-1
に対し、信号光波長について正の波長分散値と正の分散
スロープを持つ第1光ファイバ6aを前半(送信側)に
用い、負の波長分散値と負の分散スロープを持つ第2光
ファイバ6bを後半(受信側)に用いた混成伝送路がそ
れぞれ適用されることである。一方、累積波長分散の補
償を行う中継区間6kに対しては、前方の中継区間で発
生する累積波長分散とは相反する波長分散を持つ第3光
ファイバ6cを用いた光伝送路が適用される。なお、こ
の光伝送路6の構成については、本発明者らが先に提案
しているものである(特願平11−58499号および
特願平11−104158号参照)。ここでは、その概
容について簡単に説明することにする。
m零分散シングルモードファイバ(SMF)等を用いる
ことができる。この1.3μm零分散SMFは、1.3
μm付近で波長分散が零となり、波長が長くなると波長
分散が大きくなるような所要の波長分散スロープを有す
る一般的な光ファイバであって、1.5μmの信号光波
長帯では正の波長分散を持つ。この1.3μm零分散S
MFは、非線形実効断面積が大きく、伝送損失が小さい
という特徴を有する。また、第2光ファイバ6bとして
は、1.5μmの波長帯について、第1光ファイバ6a
とは相反する波長分散および波長分散スロープを持つよ
うに光ファイバの材料や構造等を調整して設計された、
分散補償ファイバ(Reversed Dispersion Fiber;RD
F)等を用いることができる。このRDFは、1.3μ
m零分散SMFに比べて非線形実効断面積が小さく、伝
送損失が比較的大きいという特徴を有する。さらに、第
3光ファイバ6cとしては、例えば、第1光ファイバ6
aと同様の1.3μm零分散SMF等を用いることがで
きる。
長分散量と第2光ファイバ6bにおける累積波長分散量
との和が負になる、すなわち、第1光ファイバ6aに対
する第2光ファイバ6bの波長分散補償が若干過剰とな
るように設定して、混成伝送路全体で発生する累積波長
分散を負の値とするのが好ましい。これは、累積波長分
散が正になると、光パルスの圧縮効果により光ピークパ
ワーが大きくなって非線形効果を受け易くなることなど
を防ぐためである。また、第1光ファイバ6aおよび第
2光ファイバ6bの各長さについては、例えば、1中継
区間内の第2光ファイバ6bの長さの比率が20%以
上、40%以下になるように設定するのが好ましい(詳
しくは特願平11−58499号参照)。ただし、本発
明はこれらの設定に限られるものではない。
散補償区間についての波長分散マップを示す図である。
また、図13は、図12における第1、2中継区間を拡
大して示した図である。ただし、ここでは中継間隔を5
0km、信号光の波長間隔を50GHz、伝送速度を1
0.664Gbit/s(ビット周期93.77ps)
とし、10の中継区間を1つの分散補償区間とした場
合、すなわち、図11においてk=10として500k
mの分散補償区間を設定した場合が示してある。このよ
うな設定条件における第1、第2ファイバ6a,6bの
具体的な設定としては、第1光ファイバ6aについて波
長分散を+17.6ps/nm/km、長さを33.3
kmとし、第2光ファイバ6bについて波長分散を−4
2.0ps/nm/km、長さを16.7kmとするこ
とが可能である。この場合、混成伝送路を用いた1つの
中継区間の伝送後において−117ps/nmの波長分
散が発生し、隣接波長の光パルスが0.5bit遅延す
るようになる。すなわち、2つの中継区間の伝送後に、
隣接波長の光パルスが1bit遅延するようになる。
送距離が0kmの地点で隣接波長の光パルスがこれから
衝突しようとしている場合を考えると、第1中継区間6
1(0〜50km)では相互位相変調によりレッドチャ
ーピングが残留し、一方、第2中継区間62(50〜1
00km)ではブルーチャーピングが残留する。この場
合、第1中継区間61において残留するレッドチャーピ
ング量と第2中継区間62で残留するブルーチャーピン
グ量はほぼ同じになる。これにより、隣接波長間で発生
する相互位相変調によるチャーピングが2つの中継区間
毎に打ち消し合うようになる。混成伝送路を用いた第1
〜9中継区間61〜69においては、各第1〜8中継区間
61〜68で発生するチャーピングが相殺され、第9中継
区間69で発生するレッドチャーピングのみが残るよう
になる。
累積する負の波長分散は、第10中継区間610の第3光
ファイバ6cによって補償され、第1〜10中継区間6
1〜610を伝搬した信号光についての累積波長分散はほ
ぼ零となる。なお、第10中継区間610においてブルー
チャーピングが少量残留することになるが、これは、第
9中継区間69で残留するレッドチャーピングによって
差し引きされるため、相互位相変調によるチャーピング
の残留は非常に僅かな量となる。さらに、第1〜9中継
区間61〜69に混成伝送路を用いたことで、波長分散お
よび分散スロープの補償がより確実に行われるようにな
るとともに、非線形効果が発生し難い光伝送路が実現さ
れるようになる。
隣接波長の光パルスがちょうど衝突している場合を考え
る。この場合、第1中継区間61において残留するブル
ーチャーピング量と、第2中継区間62において残留す
るレッドチャーピング量がほぼ同じになるため、100
km伝送後には相互位相変調によるチャーピングが大幅
に低減されるようになる。また、0kmにおいて隣接波
長の光パルスが衝突の途中の場合には、上記の2つの場
合の中間状態になり、上記の場合と同様の作用効果が得
られる。
散特性が相反する2種類の光ファイバからなる混成伝送
路を適用したことで、第4実施形態の場合における効果
に加えて、波長分散および分散スロープの補償をより確
実に行うことができるとともに、非線形効果の発生し難
い光伝送路を実現することが可能になる。
継区間を基本的な単位として波長分散マネジメントを実
施するようにしたが、混成伝送路を用いる場合において
も3つ以上の中継区間を単位として波長分散マネジメン
トを行っても構わない。
の中継区間を波長分散マネジメントの単位とする場合に
おける波長分散マップの一例を示す図である。ただし、
ここでは第1光ファイバ6aについて、信号光付近の波
長分散を+17.6ps/nm/km、長さを33.3
kmとし、第2光ファイバ6bについて、信号光付近の
波長分散を−39.7ps/nm/km、長さを16.
7kmとしている。上記以外の設定条件は第6実施形態
の場合と同様であって、中継間隔を50km、信号光の
波長間隔を50GHz、伝送速度を10.664Gbi
t/s(ビット周期93.77ps)とする。このよう
な設定条件では、1つの中継区間の伝送後において−7
8ps/nmの波長分散が発生し、隣接波長の光パルス
が0.33bit遅延するようになる。すなわち、3つ
の中継区間の伝送後に、隣接波長の光パルスが1bit
遅延するようになる。これにより、第2実施形態の場合
と同様にして、隣接波長および1つの波長を隔てた信号
光間でそれぞれ発生する相互位相変調によるチャーピン
グが3つの中継区間毎に打ち消し合って大幅に低減され
るようになる。
分散の補償方法および光伝送システムによれば、相互位
相変調の影響に着目して、信号光のビット周期に対応し
た適切な波長分散マネジメントを実施することで、相互
位相変調によるチャーピングの残留を防ぎ、相互位相変
調に起因した波形歪みの低減を図ることができる。
ける波長分散マップの一例を示した図である。
ける伝送損失の一例を示した図である。
を説明する図である。
全体構成を示すブロック図である。
例を示す図である。
の一例を示す図である。
全体構成を示すブロック図である。
全体構成を示すブロック図である。
についての波長分散マップを示す図である。
償区間についての波長分散マップを示す図である。
の全体構成を示すブロック図である。
間についての波長分散マップを示す図である。
の波長分散マップを示す図である。
用いた3つの中継区間を単位とする場合における波長分
散マップの一例を示す図である。
揺らぎを説明する図である。
Claims (14)
- 【請求項1】異なる波長の2つ以上の光信号を含んだ波
長多重信号光を伝送する伝送路の波長分散補償方法であ
って、 前記伝送路を複数の中継区間に分け、 前記伝送路内の1つまたは複数の中継区間の波長分散量
を、少なくとも隣接波長の光信号の間で発生する相互位
相変調によるブルーチャーピング量およびレッドチャー
ピング量がおおむね相互に打ち消し合う値に設定するこ
とを特徴とする波長分散の補償方法。 - 【請求項2】前記伝送路内の複数の中継区間の間にて、
ブルーチャーピングおよびレッドチャーピングが1回ず
つ発生するように分散補償することを特徴とする請求項
1記載の波長分散の補償方法。 - 【請求項3】前記伝送路は、伝送距離に応じて光を減衰
するものであって、 前記中継区間の間には前記伝送路で減衰した光を増幅す
る光増幅器を有し、 前記伝送路内の複数の中継区間の間にて、隣接波長の光
信号の間で発生する相互位相変調によるブルーチャーピ
ング量およびレッドチャーピング量が相互に打ち消し合
うように分散補償することを特徴とする請求項1記載の
波長分散の補償方法。 - 【請求項4】前記伝送路は、伝送距離に応じて光を減衰
するものであって、 前記中継区間の間には前記伝送路で減衰した光を増幅す
る光増幅器を有し、 前記伝送路内の1つの中継区間にて、隣接波長の光信号
の間で発生する相互位相変調によるブルーチャーピング
量およびレッドチャーピング量が相互に打ち消し合うよ
うにする場合には、前記ブルーチャーピングおよびレッ
ドチャーピングの発生する周期が複数回あることを特徴
とする請求項1記載の波長分散の補償方法。 - 【請求項5】前記伝送路は、伝送距離に応じて光を減衰
しないように、該伝送路自体が長手方向に沿って分布的
に増幅を行うものであって、 前記伝送路内の1つの中継区間にて、隣接波長の光信号
の間で発生する相互位相変調によるブルーチャーピング
量およびレッドチャーピング量が相互に打ち消し合うよ
うにする場合には、前記ブルーチャーピングおよびレッ
ドチャーピングが、前記1つの中継区間内で1回ずつ発
生するように分散補償することを特徴とする請求項1記
載の波長分散の補償方法。 - 【請求項6】前記伝送路は、正の波長分散値を有するフ
ァイバと負の波長分散値を有するファイバとから成るこ
とを特徴とする請求項1記載の波長分散の補償方法。 - 【請求項7】異なる波長の2つ以上の光信号を含んだ波
長多重信号光を伝送する伝送路の波長分散補償方法であ
って、 前記伝送路を複数の中継区間に分け、 該中継区間の間には伝送路で生じる損失を補償する光増
幅器を設け、 前記伝送路内の1つの中継区間での波長分散により隣接
波長の光信号間に発生する時間遅延量を、波長多重信号
光の伝送速度のビット周期よりも小さくするかまたは大
きくし、 前記伝送路内の1つまたは複数の中継区間において隣接
波長の光信号の間で発生する相互位相変調によるブルー
チャーピング量およびレッドチャーピング量が相互に打
ち消し合うように分散補償することを特徴とする波長分
散補償方法。 - 【請求項8】異なる波長の2つ以上の光信号を含んだ波
長多重信号光を伝送する伝送路を有する光伝送システム
において、 前記伝送路は、複数の中継区間を有し、1つまたは複数
の前記中継区間の波長分散量が、少なくとも隣接波長の
光信号の間で発生する相互位相変調によるブルーチャー
ピング量およびレッドチャーピング量をおおむね相互に
打ち消し合う値に設定されることを特徴とする光伝送シ
ステム。 - 【請求項9】前記伝送路は、前記複数の中継区間の間に
て、ブルーチャーピングおよびレッドチャーピングが1
回ずつ発生するように波長分散量が設定されることを特
徴とする請求項8記載の光伝送システム。 - 【請求項10】前記伝送路は、伝送距離に応じて光を減
衰するものであって、 前記中継区間の間には前記伝送路で減衰した光を増幅す
る光増幅器を有し、 前記伝送路内の複数の中継区間の間にて、隣接波長の光
信号の間で発生する相互位相変調によるブルーチャーピ
ング量およびレッドチャーピング量が相互に打ち消し合
うように、前記伝送路の波長分散量が設定されることを
特徴とする請求項8記載の光伝送システム。 - 【請求項11】前記伝送路は、伝送距離に応じて光を減
衰するものであって、 前記中継区間の間には前記伝送路で減衰した光を増幅す
る光増幅器を有し、 前記伝送路内の1つの中継区間にて、隣接波長の光信号
の間で発生する相互位相変調によるブルーチャーピング
量およびレッドチャーピング量が相互に打ち消し合うよ
うにする場合には、前記ブルーチャーピングおよびレッ
ドチャーピングの発生する周期が複数回となるように、
前記伝送路の波長分散量が設定されることを特徴とする
請求項8記載の光伝送システム。 - 【請求項12】前記伝送路は、伝送距離に応じて光を減
衰しないように、該伝送路自体が長手方向に沿って分布
的に増幅を行うものであって、 前記伝送路内の1つの中継区間にて、隣接波長の光信号
の間で発生する相互位相変調によるブルーチャーピング
量およびレッドチャーピング量が相互に打ち消し合うよ
うにする場合には、前記ブルーチャーピングおよびレッ
ドチャーピングが前記1つの中継区間内で1回ずつ発生
するように、前記伝送路の波長分散量が設定されること
を特徴とする請求項8記載の光伝送システム。 - 【請求項13】前記伝送路は、正の波長分散値を有する
ファイバと負の波長分散値を有するファイバとから成る
ことを特徴とする請求項8記載の光伝送システム。 - 【請求項14】異なる波長の2つ以上の光信号を含んだ
波長多重信号光を伝送する伝送路を有する光伝送システ
ムにおいて、 前記伝送路は、複数の中継区間を有し、 該中継区間の間には前記伝送路で生じる損失を補償する
光増幅器が設けられ、 前記伝送路内の1つの中継区間での波長分散により隣接
波長の光信号間に発生する時間遅量を、波長多重信号光
の伝送速度のビット周期よりも小さくするかまたは大き
くして、前記伝送路内の1つまたは複数の中継区間にお
いて隣接波長の光信号の間で発生する相互位相変調によ
るブルーチャーピング量およびレッドチャーピング量が
相互に打ち消し合うように、前記伝送路の波長分散量が
設定されることを特徴とする光伝送システム。
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