JP2004326972A - 垂直記録用磁気ヘッド及び磁気ディスク装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁界強度を落とすことなくオーバーライト特性(OW)を確保しながら磁界傾度を改善させ、dPW50およびSNの改善を図った垂直記録用磁気ヘッド及びディスク装置を提供することにある。
【解決手段】主磁極と、この主磁極に接触して配置されるリターンヨークと、主磁極とリターンヨークの間に配置される励磁コイルを有する磁気ヘッドに、主磁極あるいはリターンヨークから磁気的に独立して当該主磁極の近傍にトレーリング側磁極を配置することで、磁界強度を落とすことなくオーバーライト特性(OW)を確保しながら磁界傾度を改善させ、dPW50およびSNの改善させた垂直記録用磁気ヘッド及びディスク装置を提供する。
【選択図】 図2
【解決手段】主磁極と、この主磁極に接触して配置されるリターンヨークと、主磁極とリターンヨークの間に配置される励磁コイルを有する磁気ヘッドに、主磁極あるいはリターンヨークから磁気的に独立して当該主磁極の近傍にトレーリング側磁極を配置することで、磁界強度を落とすことなくオーバーライト特性(OW)を確保しながら磁界傾度を改善させ、dPW50およびSNの改善させた垂直記録用磁気ヘッド及びディスク装置を提供する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスク装置のヘッド構造に関し、特に垂直記録用磁気ヘッド及び及びこのヘッドを用いた磁気ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
情報記録再生装置のひとつである磁気ディスク装置、特にハードディスク装置(以下、HDDと称する)は、主にパーソナルコンピュータに使用されてきたが、最近では、その使用範囲が拡大し、オーディオビジュアル機器(AV機器)やカーナビゲーションなどの車載機器として使用されるようになってきた。HDDの記憶容量は益々増大の要求があり、そのための高記録密度を達成するために垂直記録方式が提案されてきている。
【0003】
一般的に、垂直記録方式のディスク装置には、垂直記録用磁気ヘッドとして単磁極ヘッドが用いられるが、この単磁極ヘッドと垂直2層媒体との磁気的カップリング状態を用いて記録を行っており、磁化転移のシャープネス(急峻さ)は主磁極のトレーリング側の磁界傾度によって決まる。従って、この磁界傾度を改善することでdPW50狭小化、SN改善を改善することができる。また、高BPI、高TPIを図るために主磁極サイズは急進的に小さくなっており、例えば200kTPIを実現するためのトラック幅は0.1μm以下になると想定されている。主磁極サイズの低下に伴ない磁界強度の劣化が見られ、OW(オーバーライト特性)を確保するためにも磁界強度は高いことが望まれる。
【0004】
そこで、上述のような磁界傾度を改善する技術として特開2001−101612号公報や特開2001−266310号公報に記載された磁気ヘッドの構造が提案されている。
【0005】
これら先行技術には、具体的にはトレーリング側から補助磁極、主磁極、磁気ヨークの順に配置することで磁気ヘッドから放出される磁界強度の分布をトレーリング側において急峻にし、記録ビットの転移領域を縮小させ、記録分解能の向上を図るもことが開示されている(特開2001−101612号公報)。また、第1の磁性層の磁極部分と第2の磁性層の磁極部分がギャップ部を介して接近て配置されるとともに、第2の磁性層の磁極部分の媒体対向面の側面が媒体対向面から離れて配置されることにより、製造が容易で記録の高密度化を図るヘッド構造が開示されている(特開2001−266310号公報)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−101612号公報(図1、要約)
【特許文献2】
特開2001−266310号公報(図4、要約)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、補助磁極、主磁極、磁気ヨークの順に配置するようなヘッド構造を取っても、磁気ヨークの配置の仕方によっては磁界強度が落ちてしまうことがあり、磁界強度を劣化させずに磁界傾度を改善するための磁気ヨークの配置の仕方に関して規定する必要が生じてきた。また、トレーリング側にリターンヨークを単に配置しリターンヨークと主磁極間を狭くして、その奥行き方向でリターンヨークと主磁極間に励磁コイルを配置するしても、主磁極側がせり出した状態となり、主磁極サイズを小さくするという技術的トレンドに反して不利となることが考えられる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、磁界強度を落とすことなく、すなわちオーバーライト特性(OW)を確保しながら磁界傾度を改善させ、dPW50およびSNの改善を図った垂直記録用磁気ヘッド及びディスク装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る垂直記録用磁気ヘッドは、主磁極と、前記主磁極に接触して配置されるリターンヨークと、前記主磁極と前記リターンヨークの間に配置される励磁コイルと、前記主磁極あるいはリターンヨークから磁気的に独立し、前記主磁極近傍に配置されたトレーリング側磁極とを有することを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明に係る垂直記録用ディスク装置は、軟磁性層および垂直異方性を示す磁性体から構成された垂直記録層から成る垂直2層媒体と、主磁極、リターンヨーク、励磁コイルと前記主磁極あるいは前記リターンヨークから磁気的に独立したトレーリング側磁極とから成る磁気抵抗効果型ヘッドとを有することを特徴とするものである。
【0011】
このように、主磁極あるいはリターンヨークから磁気的に独立し、この主磁極近傍にトレーリング側磁極を配置することで、磁気ヘッドからの軟磁性層に流れる磁界強度分布がトレーリング側において急峻にすることが出来き、これにより磁界傾度が改善するため、dPW50を狭小化でき、SNの改善を図ることが出来る垂直記録用磁気ヘッド及び垂直記録用ディスク装置を提供することが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、この発明をディスク装置として磁気ディスク装置に適用した実施の形態について詳細に説明する。
図1に、本発明の実施形態に係るディスク装置として、磁気ディスク装置を例に取りその構成を示す。この磁気ディスク装置は、2枚の固定ディスク3が実装されたハードディスク装置である。2枚の固定ディスク3はスピンドルモータ4に取付けられ、磁気ディスク装置の動作時に所定の回転数で回転するように制御される。この固定ディスクであるディスク記録媒体3は後に詳述するが記録層33とこの記録層の下部に軟磁性層32を有し、中心から同心円状に複数のトラックが配置されている。
【0013】
このハードディスク装置には、後段で詳述する単磁極ヘッドを用いた記録ヘッドとMR素子を用いた再生ヘッドからなる複合型の磁気ヘッド6が搭載されたサスペンションとステンレス製の薄板アームを3体積層したアクチュエータ7と、このアクチュエータ7を駆動するボイスコイルモータ8が設けられている。以上、磁気ディスク装置を構成するメカニズムは筐体内に収容されるものであり、機構部と称する。
【0014】
筐体は、上蓋であるカバー2と収納容器であるハウジング1により構成され、カバー2はネジ5によってハウジング1に固定され、このハウジング1とカバー2により密閉空間を形成している。なお、カバー2が被せられたハウジング1の内部の密閉度を高めるために、ハウジング1とカバー2とはガスケット(図示せず)を挟んで密接される。
【0015】
また、このハウジング1とカバー2により構成される筐体の外部、本実施形態においては、筐体のカバー2と反対側に、プリント回路基板10が配置されている。このプリント回路基板10には、磁気ディスク装置の機構部である、スピンドルモータ4、磁気ヘッド6、ボイスコイルモータ8等を制御する制御回路(IC回路)11や、メモリであるDRAM、ハードディスクコントローラ(HDC)、サーボ制御回路が実装配線されており、コネクタ12、14により筐体内の各機構部と電気的に接続されている。
【0016】
このプリント回路基板10は筐体のハウジング1にネジ(図示せず)により固定されるが、その際、プリント回路基板10に設けられたコネクタ12は、ハウジング1側に設けられたコネクタ14と嵌合するように取付けられる。
【0017】
であるハードディスクドライブに適用した実施の形態について詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図2は、本発明の第1の実施形態であり、垂直記録方式を採用した垂直磁気ディスク装置に搭載される磁気ヘッド及び磁気記録媒体の構成を示す断面図である。
本実施形態に係る垂直磁気ディスク装置には、図2に示すように垂直磁気異方性を示す垂直記録層32と後述する垂直磁気ヘッド6の主磁極61とリターンヨーク62とともに磁気回路を形成する軟磁性層31とから成る垂直2層膜媒体3と、その垂直2層膜媒体3に記録再生を行う磁気ヘッドであって、主磁極61、リターンヨーク62、励磁コイル64、トレーリング側磁極63から成る磁気ヘッドが設けられており、この磁気ヘッドは磁界傾度を高めた構造となっている。
【0018】
軟磁性層31を有する垂直2層膜媒体3と単磁極ヘッドである磁気ヘッド6を用いた垂直記録方式においては、磁気ヘッド6と垂直2層膜媒体3との磁気的カップリング状態、すなわち主磁極61から垂直2層膜媒体3の軟磁性層31、リ磁気ヘッド6のターンヨーク62までの磁束の流れを用いて記録を行っている。
【0019】
ヘッド磁界強度は主磁極61、リターンヨーク62の飽和磁束密度と、垂直2層膜媒体3の軟磁性層31の飽和磁束密度と膜厚、および記録電流などによって決まるが、さらにトレーリング側の磁界傾度を改善することによりSN、dPW50の改善を図ることができる。
【0020】
本実施形態における磁気ヘッド6のトレーリング側磁極63の形状に関して図2を用いて詳細に説明する。
図2に示すように本実施形態の磁気ヘッド6においては、主磁極61とリターンヨーク62は磁気的に連結され、その間に励磁コイル64が配置されている。さらに磁気ヘッド6の垂直2層膜媒体3の媒体対向面からみて主磁極61に対してリターンヨーク62と反対側に距離Tsだけ離れた位置にトレーリング側磁極63が配置されている。垂直2層膜媒体3は記録層32と軟磁性層31から構成された垂直2層膜媒体3である。
【0021】
トレーリング側磁極63は磁気的に独立しており、主磁極61やリターンヨーク62と奥行き方向でも連結してはいない。トレーリング側磁極63を設けることで主磁極61から垂直2層膜媒体3の軟磁性層31へ流れる磁束を集中させることが可能となり、これにより磁界傾度を改善することが可能となる。
【0022】
ここで、図3に本実施形態における磁気ヘッド6と従来の磁気ヘッドの磁界強度と磁界傾度をそれぞれ示し比較する。
図3においてはトレーリング側磁極63のない従来の磁気ヘッドの結果を点線で、本実施形態の磁気ヘッド6の結果を実線にて示している。
縦軸の磁界強度、磁界傾度はそれぞれトレーリング側磁極63のない従来ヘッドの結果の最大磁界、メディアHcにおける磁界傾度で規格化した値を示している。横軸はオントラック状態におけるヘッド走行方向であり、磁界強度のピークの左側がリーディング側、右側がトレーリング側を示している。磁気ヘッド6のヘッド走行トレーリング側でメディアHcにおける磁界傾度が高い方が、磁化転移形状がシャープに形成される。
【0023】
図3に示すように従来の磁気ヘッドの最大磁界強度が780kA/m(9.7Oe)であるため、メディアHcが400kA/m(5kOe)である場合には、図3(a)の縦軸が0.51のところで比較すればよい。
【0024】
この場合、磁界傾度が従来の磁気ヘッドでは0.5であるが、本実施形態の磁気ヘッド6では0.98であり、従来に比して本実施形態の磁気ヘッド6の磁界傾度は従来に比べ2倍近くと大幅に改善していることがわかる。また、最大磁界強度は、従来の磁気ヘッドに比して本実施形態の磁気ヘッド6の方が0.8倍となっている。
【0025】
さらに、トレーリング側磁極63の主磁極61がわ側面の高さ(Th)、主磁極61からの距離(Ts)により磁界強度、磁界傾度が異なる。
ここで、トレーリング側磁極63の主磁極61がわ側面の高さ(Th)と主磁極61からの距離(Ts)による磁界強度、磁界傾度の変化を図4に示す。
ここで示すようにトレーリング側磁極63の主磁極61がわ側面の高さ(Th)は高い方が、また主磁極61からトレーリング側磁極63までの距離(Ts)が近い方が、磁界強度が劣化することがわかる。
【0026】
ここで図5(a)に磁界強度とオーバーライト特性(OW)との関係を示す。ここで示すオーバーライト特性(OW)は、高周波数信号の上に低周波数信号を書いて消え残り信号を見たものであり、面内長手記録と異なり、高周波信号の方が記録しやすいという垂直記録特有の性質があるため、このオーバーライト特性(OW)値を用いている。
【0027】
図5(a)に示すように磁界強度はトレーリング側磁極63がない場合に比べて85%以上あればよいことがわかる。
また、図5(b)に磁界強度とdPW50の関係を示す。ここで示すようにトレーリング側磁極63がない場合に比べて磁界強度が1.3倍以上改善することで、dPW50が90%狭くなるという改善が見られる。
【0028】
次にトレーリング側磁極63の主磁極61がわ側面の高さ(Th)と主磁極61からトレーリング側磁極63までの距離(Ts)による磁界強度、磁界傾度を図6に示す。また、図6(a)に磁界強度を、図6(b)に磁界傾度を、図6(c)にトレーリング側磁極63の主磁極61がわ側面の高さ(Th)を主磁極61からトレーリング側磁極63までの距離(Ts)で割ったTh/Tsを示す。
【0029】
図中網掛けの入っているところが磁界強度、磁界傾度が最適範囲であることを示している。従って、磁界強度と磁界傾度の最適範囲の条件は、垂直2層膜媒体3の軟磁性層31までの距離をsとした場合に、
【0030】
0.5 ≦ Th/Ts <3.2
を満たすことにある。さらに、
Th/s < 20
Ts/s < 3.5
を満たすことが望ましい。さらにトレーリング側磁極63の全体の高さをh、リターンヨーク62の高さをRhとした場合、
h < 2Rh
を満たすことが望ましい。
上述のように本実施形態の磁気ヘッド構造によれば、トレーリング側磁極63によって磁界強度を保ち、かつ磁界傾度を大幅に改善することが可能となる。
次に本実施形態に係る磁気ヘッド6を用いた場合の動作に関し、図7を用いて説明する。
磁気ディスク装置の使用者が任意のデータを磁気ディスク装置に保存する場合、コンピュータ等に相当するホスト19から所定のデータをハードディスクコントローラ(HDC)18に送出する。ハードディスクコントローラ(HDC)18は磁気ディスク装置におけるデータの記録再生信号を制御する基本となる構成要素である。
【0031】
ハードディスクコントローラ(HDC)18は信号処理ICへデータ及び制御タイミング等を送出する。信号処理ICは幾つかの機能ブロックによって構成されており、まず、ハードディスクコントローラ(HDC)18より得られたデータをスクランブラー(符号器)16でランダマイズする。こうして得られた記録データ系列は後段の記録補償器、記録電流アンプ13を通して磁気ヘッド6内の記録ヘッドへ送られ、記録ヘッドと磁気ディスク媒体(垂直2層膜媒体)3との間の磁気的結合により磁気ディスク媒体(垂直2層膜媒体)3上の磁化パターンとして記録される。
【0032】
再生時においては、磁気ヘッド6内の再生ヘッドが磁気ディスク媒体(垂直2層膜媒体)3からピックアップした磁化信号を電気信号として再生アンプ(プリアンプ)14で増幅し、後段のAGCアンプ15にて所定の振幅値に増幅調整する。再生信号はフィルタ等の等化器20を通り、予め設定された信号処理ICの等化クラス(例えば、EEPR4)に合わせて等化処理が実施される。等化信号は符号器16の逆過程である復号器21、22によって復号され、再生データ系列としてハードディスクコントローラ(HDC)18に送り返される。
【0033】
上述の第1の実施形態においては磁界傾度改善のために配するトレーリング側磁極63の形状を規定したが、主磁極61の磁束を更に高めるために、リターンヨーク側62に補助磁極を設けてもよい。
【0034】
<第2の実施形態>
上述の第1の実施形態では、磁界傾度改善のために配するトレーリング側磁極63の形状規定を示したが、第2の実施形態ではさらにトレーリング側磁極63と垂直2層膜媒体3の軟磁性層31の距離が主磁極61と軟磁性層31までの距離に比べて大きくなる場合に、すなわち垂直2層膜媒体3の表面から離れる方向にリセスしていた場合でも磁界傾度改善効果を得ることができる磁気ヘッド6の構造を提案する。
【0035】
図9は本実施形態における磁気ヘッド6のリセス量と磁界強度、磁界傾度の関係を示している。磁界強度、磁界傾度はそれぞれトレーリング側磁極63が無い場合の最大磁界強度、メディアHcにおける磁界傾度の値で規格化した値を示している。リセス量が大きくなると磁界強度は良くなるが磁界傾度が悪くなる。これにより磁界強度が、トレーリング側磁極63が無い場合に比べて85%以上、磁界傾度が1.3倍以上を満たす範囲が有効となる。すなわち、トレーリング側磁極63のリセス量をTr、主磁極1から軟磁性層31までの距離をsとした場合に、
【0036】
Tr/s < 20
である。
次に本実施形態に係る磁気ヘッド6の構成に関し、図8を用いて説明する。トレーリング側磁極63の位置で点線で示したように磁気ヘッド6の磁気ディスク媒体である垂直2層膜媒体3の対向面から見たときに主磁極61から離れている部分の方がリセス量が大きくなる場合でも効果が得られる。この場合も最大リセス量をTrとして場合、
【0037】
Tr/s < 20
を満たすものとする。
<第3の実施形態>
上述の第1の実施形態では、磁界傾度改善のために配するトレーリング側磁極63の形状規定を示したが、第3の実施形態ではさらにトレーリング側磁極63をトレーリングヨークとすることでも同様に磁界傾度を大幅に改善することができる。
【0038】
本実施形態の磁気ヘッド6の形状に関し、図10を用いて説明する。本実施形態の特徴はトレーリング側リターンヨーク64を設けた点にある。
図10に示すように、主磁極61と磁気的に連結され、磁気ヘッド6の磁気ディスク媒体である垂直2層膜媒体3との対向面において主磁極61から距離RTsだけ離れた位置にトレーリング側リターンヨーク64が配置されている。トレーリング側リターンヨーク64は低飽和磁束密度材で構成されている。トレーリング側リターンヨーク64の主磁極61との対向面の側面の高さをRTh、主磁極61からの距離をRTsとした場合、磁界強度はRThが高い程、また主磁極61からの距離RTsが小さい、すなわちトレーリング側リターンヨーク64が近づく程劣化する。また、磁界傾度は主磁極61からの距離RTsが大きい程劣化する。
【0039】
この結果を図11に示す。図11に示した値は磁界強度、磁界傾度をそれぞれ従来の磁気ヘッド、すなわちリターンヨーク62、励磁コイル64、主磁極61の順に配置され、リーディング側にリターンヨーク62が配置されている構造の磁気ヘッドの最大磁界、メディアHcにおける磁界強度の値を規格化した値を示している。
【0040】
これにより、磁界強度が従来の磁気ヘッドの85%以上、磁界傾度が1.3倍以上となる条件は、
1 < RTh/RTs < 2
を満たすことである。さらに、主磁極61から垂直2層膜媒体3の軟磁性層31までの距離をsとした場合に、
RTh/s < 10
RTs/s < 3.5
を満たすことが望ましい。
上述の条件を満たす形状の磁気ヘッド6であれば、磁界強度を落とすことなく、磁界傾度の改善を図ることが可能となる。また、上述した第3の実施形態に係る磁気ヘッド6の構成において、主磁極61からの磁束をさらに高めるために、主磁極61のリーディング側に補助磁極を設けてもよい。
【0041】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、垂直2層記録の磁気ディスク装置において、記録磁気ヘッドとして主磁極、リターンヨークから磁気的に独立したトレーリング側磁極を配した磁気ヘッドを用いることで、磁気ヘッドからの軟磁性層に流れる磁界強度分布がトレーリング側において急峻にすることができ、これにより磁界傾度が改善でき、dPW50の狭小化、SNの改善を図った垂直記録用磁気ヘッド及びディスク装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る磁気ディスク装置の構造を説明する分解斜視図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る磁気ヘッドと垂直2層膜媒体の構造を示す側面図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る磁気ヘッドと従来の磁気ヘッドの磁界強度と磁界傾度示すグラフ。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るトレーリング側磁極の主磁極がわ側面の高さ(Th)と主磁極からの距離(Ts)による磁界強度、磁界傾度の変化を示すグラフ。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る磁界強度とオーバーライト特性(OW)との関係(a)、磁界傾度とdPW50の関係(b)を示すグラフ。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るトレーリング側磁極の主磁極がわ側面の高さ(Th)と主磁極からトレーリング側磁極までの距離(Ts)による磁界強度(a)、磁界傾度(b)及びTh/Tsを示す表。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る磁気ヘッドを用いた場合の記録再生動作を説明するブロック図。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る磁気ヘッドと垂直2層膜媒体の構造を示す側面図。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る磁気ヘッドのリセス量と磁界強度、磁界傾度の関係を示すグラフ。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る磁気ヘッドと垂直2層膜媒体の構造を示す側面図。
【図11】本発明の第3の実施形態に係るトレーリング側リターンヨークの主磁極との対向面の側面の高さ(RTh)と主磁極からの距離(RTs)による磁界強度(a)、磁界傾度(b)及びRTh/RTsを示す表。
【符号の説明】
1………ケース
2………カバー
3………ディスク記録媒体
31……軟磁性層
32……磁気記録膜
4………スピンドルモータ
6………磁気ヘッド
61……主磁極
62……リターンヨーク
63……トレーリング側磁極
64……コイル
7………アーム
8………ボイスコイルモータ
10……回路基板ユニット
11……ICチップ
12……コネクタ
13……記録アンプ
14……再生アンプ
15……AGCアンプ
16……スクランブラ−(符号器)
18……ハードディスクコントローラ(HDC)
19……ホストPC
20……等化器
21、22……復号器
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスク装置のヘッド構造に関し、特に垂直記録用磁気ヘッド及び及びこのヘッドを用いた磁気ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
情報記録再生装置のひとつである磁気ディスク装置、特にハードディスク装置(以下、HDDと称する)は、主にパーソナルコンピュータに使用されてきたが、最近では、その使用範囲が拡大し、オーディオビジュアル機器(AV機器)やカーナビゲーションなどの車載機器として使用されるようになってきた。HDDの記憶容量は益々増大の要求があり、そのための高記録密度を達成するために垂直記録方式が提案されてきている。
【0003】
一般的に、垂直記録方式のディスク装置には、垂直記録用磁気ヘッドとして単磁極ヘッドが用いられるが、この単磁極ヘッドと垂直2層媒体との磁気的カップリング状態を用いて記録を行っており、磁化転移のシャープネス(急峻さ)は主磁極のトレーリング側の磁界傾度によって決まる。従って、この磁界傾度を改善することでdPW50狭小化、SN改善を改善することができる。また、高BPI、高TPIを図るために主磁極サイズは急進的に小さくなっており、例えば200kTPIを実現するためのトラック幅は0.1μm以下になると想定されている。主磁極サイズの低下に伴ない磁界強度の劣化が見られ、OW(オーバーライト特性)を確保するためにも磁界強度は高いことが望まれる。
【0004】
そこで、上述のような磁界傾度を改善する技術として特開2001−101612号公報や特開2001−266310号公報に記載された磁気ヘッドの構造が提案されている。
【0005】
これら先行技術には、具体的にはトレーリング側から補助磁極、主磁極、磁気ヨークの順に配置することで磁気ヘッドから放出される磁界強度の分布をトレーリング側において急峻にし、記録ビットの転移領域を縮小させ、記録分解能の向上を図るもことが開示されている(特開2001−101612号公報)。また、第1の磁性層の磁極部分と第2の磁性層の磁極部分がギャップ部を介して接近て配置されるとともに、第2の磁性層の磁極部分の媒体対向面の側面が媒体対向面から離れて配置されることにより、製造が容易で記録の高密度化を図るヘッド構造が開示されている(特開2001−266310号公報)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−101612号公報(図1、要約)
【特許文献2】
特開2001−266310号公報(図4、要約)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、補助磁極、主磁極、磁気ヨークの順に配置するようなヘッド構造を取っても、磁気ヨークの配置の仕方によっては磁界強度が落ちてしまうことがあり、磁界強度を劣化させずに磁界傾度を改善するための磁気ヨークの配置の仕方に関して規定する必要が生じてきた。また、トレーリング側にリターンヨークを単に配置しリターンヨークと主磁極間を狭くして、その奥行き方向でリターンヨークと主磁極間に励磁コイルを配置するしても、主磁極側がせり出した状態となり、主磁極サイズを小さくするという技術的トレンドに反して不利となることが考えられる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、磁界強度を落とすことなく、すなわちオーバーライト特性(OW)を確保しながら磁界傾度を改善させ、dPW50およびSNの改善を図った垂直記録用磁気ヘッド及びディスク装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る垂直記録用磁気ヘッドは、主磁極と、前記主磁極に接触して配置されるリターンヨークと、前記主磁極と前記リターンヨークの間に配置される励磁コイルと、前記主磁極あるいはリターンヨークから磁気的に独立し、前記主磁極近傍に配置されたトレーリング側磁極とを有することを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明に係る垂直記録用ディスク装置は、軟磁性層および垂直異方性を示す磁性体から構成された垂直記録層から成る垂直2層媒体と、主磁極、リターンヨーク、励磁コイルと前記主磁極あるいは前記リターンヨークから磁気的に独立したトレーリング側磁極とから成る磁気抵抗効果型ヘッドとを有することを特徴とするものである。
【0011】
このように、主磁極あるいはリターンヨークから磁気的に独立し、この主磁極近傍にトレーリング側磁極を配置することで、磁気ヘッドからの軟磁性層に流れる磁界強度分布がトレーリング側において急峻にすることが出来き、これにより磁界傾度が改善するため、dPW50を狭小化でき、SNの改善を図ることが出来る垂直記録用磁気ヘッド及び垂直記録用ディスク装置を提供することが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、この発明をディスク装置として磁気ディスク装置に適用した実施の形態について詳細に説明する。
図1に、本発明の実施形態に係るディスク装置として、磁気ディスク装置を例に取りその構成を示す。この磁気ディスク装置は、2枚の固定ディスク3が実装されたハードディスク装置である。2枚の固定ディスク3はスピンドルモータ4に取付けられ、磁気ディスク装置の動作時に所定の回転数で回転するように制御される。この固定ディスクであるディスク記録媒体3は後に詳述するが記録層33とこの記録層の下部に軟磁性層32を有し、中心から同心円状に複数のトラックが配置されている。
【0013】
このハードディスク装置には、後段で詳述する単磁極ヘッドを用いた記録ヘッドとMR素子を用いた再生ヘッドからなる複合型の磁気ヘッド6が搭載されたサスペンションとステンレス製の薄板アームを3体積層したアクチュエータ7と、このアクチュエータ7を駆動するボイスコイルモータ8が設けられている。以上、磁気ディスク装置を構成するメカニズムは筐体内に収容されるものであり、機構部と称する。
【0014】
筐体は、上蓋であるカバー2と収納容器であるハウジング1により構成され、カバー2はネジ5によってハウジング1に固定され、このハウジング1とカバー2により密閉空間を形成している。なお、カバー2が被せられたハウジング1の内部の密閉度を高めるために、ハウジング1とカバー2とはガスケット(図示せず)を挟んで密接される。
【0015】
また、このハウジング1とカバー2により構成される筐体の外部、本実施形態においては、筐体のカバー2と反対側に、プリント回路基板10が配置されている。このプリント回路基板10には、磁気ディスク装置の機構部である、スピンドルモータ4、磁気ヘッド6、ボイスコイルモータ8等を制御する制御回路(IC回路)11や、メモリであるDRAM、ハードディスクコントローラ(HDC)、サーボ制御回路が実装配線されており、コネクタ12、14により筐体内の各機構部と電気的に接続されている。
【0016】
このプリント回路基板10は筐体のハウジング1にネジ(図示せず)により固定されるが、その際、プリント回路基板10に設けられたコネクタ12は、ハウジング1側に設けられたコネクタ14と嵌合するように取付けられる。
【0017】
であるハードディスクドライブに適用した実施の形態について詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図2は、本発明の第1の実施形態であり、垂直記録方式を採用した垂直磁気ディスク装置に搭載される磁気ヘッド及び磁気記録媒体の構成を示す断面図である。
本実施形態に係る垂直磁気ディスク装置には、図2に示すように垂直磁気異方性を示す垂直記録層32と後述する垂直磁気ヘッド6の主磁極61とリターンヨーク62とともに磁気回路を形成する軟磁性層31とから成る垂直2層膜媒体3と、その垂直2層膜媒体3に記録再生を行う磁気ヘッドであって、主磁極61、リターンヨーク62、励磁コイル64、トレーリング側磁極63から成る磁気ヘッドが設けられており、この磁気ヘッドは磁界傾度を高めた構造となっている。
【0018】
軟磁性層31を有する垂直2層膜媒体3と単磁極ヘッドである磁気ヘッド6を用いた垂直記録方式においては、磁気ヘッド6と垂直2層膜媒体3との磁気的カップリング状態、すなわち主磁極61から垂直2層膜媒体3の軟磁性層31、リ磁気ヘッド6のターンヨーク62までの磁束の流れを用いて記録を行っている。
【0019】
ヘッド磁界強度は主磁極61、リターンヨーク62の飽和磁束密度と、垂直2層膜媒体3の軟磁性層31の飽和磁束密度と膜厚、および記録電流などによって決まるが、さらにトレーリング側の磁界傾度を改善することによりSN、dPW50の改善を図ることができる。
【0020】
本実施形態における磁気ヘッド6のトレーリング側磁極63の形状に関して図2を用いて詳細に説明する。
図2に示すように本実施形態の磁気ヘッド6においては、主磁極61とリターンヨーク62は磁気的に連結され、その間に励磁コイル64が配置されている。さらに磁気ヘッド6の垂直2層膜媒体3の媒体対向面からみて主磁極61に対してリターンヨーク62と反対側に距離Tsだけ離れた位置にトレーリング側磁極63が配置されている。垂直2層膜媒体3は記録層32と軟磁性層31から構成された垂直2層膜媒体3である。
【0021】
トレーリング側磁極63は磁気的に独立しており、主磁極61やリターンヨーク62と奥行き方向でも連結してはいない。トレーリング側磁極63を設けることで主磁極61から垂直2層膜媒体3の軟磁性層31へ流れる磁束を集中させることが可能となり、これにより磁界傾度を改善することが可能となる。
【0022】
ここで、図3に本実施形態における磁気ヘッド6と従来の磁気ヘッドの磁界強度と磁界傾度をそれぞれ示し比較する。
図3においてはトレーリング側磁極63のない従来の磁気ヘッドの結果を点線で、本実施形態の磁気ヘッド6の結果を実線にて示している。
縦軸の磁界強度、磁界傾度はそれぞれトレーリング側磁極63のない従来ヘッドの結果の最大磁界、メディアHcにおける磁界傾度で規格化した値を示している。横軸はオントラック状態におけるヘッド走行方向であり、磁界強度のピークの左側がリーディング側、右側がトレーリング側を示している。磁気ヘッド6のヘッド走行トレーリング側でメディアHcにおける磁界傾度が高い方が、磁化転移形状がシャープに形成される。
【0023】
図3に示すように従来の磁気ヘッドの最大磁界強度が780kA/m(9.7Oe)であるため、メディアHcが400kA/m(5kOe)である場合には、図3(a)の縦軸が0.51のところで比較すればよい。
【0024】
この場合、磁界傾度が従来の磁気ヘッドでは0.5であるが、本実施形態の磁気ヘッド6では0.98であり、従来に比して本実施形態の磁気ヘッド6の磁界傾度は従来に比べ2倍近くと大幅に改善していることがわかる。また、最大磁界強度は、従来の磁気ヘッドに比して本実施形態の磁気ヘッド6の方が0.8倍となっている。
【0025】
さらに、トレーリング側磁極63の主磁極61がわ側面の高さ(Th)、主磁極61からの距離(Ts)により磁界強度、磁界傾度が異なる。
ここで、トレーリング側磁極63の主磁極61がわ側面の高さ(Th)と主磁極61からの距離(Ts)による磁界強度、磁界傾度の変化を図4に示す。
ここで示すようにトレーリング側磁極63の主磁極61がわ側面の高さ(Th)は高い方が、また主磁極61からトレーリング側磁極63までの距離(Ts)が近い方が、磁界強度が劣化することがわかる。
【0026】
ここで図5(a)に磁界強度とオーバーライト特性(OW)との関係を示す。ここで示すオーバーライト特性(OW)は、高周波数信号の上に低周波数信号を書いて消え残り信号を見たものであり、面内長手記録と異なり、高周波信号の方が記録しやすいという垂直記録特有の性質があるため、このオーバーライト特性(OW)値を用いている。
【0027】
図5(a)に示すように磁界強度はトレーリング側磁極63がない場合に比べて85%以上あればよいことがわかる。
また、図5(b)に磁界強度とdPW50の関係を示す。ここで示すようにトレーリング側磁極63がない場合に比べて磁界強度が1.3倍以上改善することで、dPW50が90%狭くなるという改善が見られる。
【0028】
次にトレーリング側磁極63の主磁極61がわ側面の高さ(Th)と主磁極61からトレーリング側磁極63までの距離(Ts)による磁界強度、磁界傾度を図6に示す。また、図6(a)に磁界強度を、図6(b)に磁界傾度を、図6(c)にトレーリング側磁極63の主磁極61がわ側面の高さ(Th)を主磁極61からトレーリング側磁極63までの距離(Ts)で割ったTh/Tsを示す。
【0029】
図中網掛けの入っているところが磁界強度、磁界傾度が最適範囲であることを示している。従って、磁界強度と磁界傾度の最適範囲の条件は、垂直2層膜媒体3の軟磁性層31までの距離をsとした場合に、
【0030】
0.5 ≦ Th/Ts <3.2
を満たすことにある。さらに、
Th/s < 20
Ts/s < 3.5
を満たすことが望ましい。さらにトレーリング側磁極63の全体の高さをh、リターンヨーク62の高さをRhとした場合、
h < 2Rh
を満たすことが望ましい。
上述のように本実施形態の磁気ヘッド構造によれば、トレーリング側磁極63によって磁界強度を保ち、かつ磁界傾度を大幅に改善することが可能となる。
次に本実施形態に係る磁気ヘッド6を用いた場合の動作に関し、図7を用いて説明する。
磁気ディスク装置の使用者が任意のデータを磁気ディスク装置に保存する場合、コンピュータ等に相当するホスト19から所定のデータをハードディスクコントローラ(HDC)18に送出する。ハードディスクコントローラ(HDC)18は磁気ディスク装置におけるデータの記録再生信号を制御する基本となる構成要素である。
【0031】
ハードディスクコントローラ(HDC)18は信号処理ICへデータ及び制御タイミング等を送出する。信号処理ICは幾つかの機能ブロックによって構成されており、まず、ハードディスクコントローラ(HDC)18より得られたデータをスクランブラー(符号器)16でランダマイズする。こうして得られた記録データ系列は後段の記録補償器、記録電流アンプ13を通して磁気ヘッド6内の記録ヘッドへ送られ、記録ヘッドと磁気ディスク媒体(垂直2層膜媒体)3との間の磁気的結合により磁気ディスク媒体(垂直2層膜媒体)3上の磁化パターンとして記録される。
【0032】
再生時においては、磁気ヘッド6内の再生ヘッドが磁気ディスク媒体(垂直2層膜媒体)3からピックアップした磁化信号を電気信号として再生アンプ(プリアンプ)14で増幅し、後段のAGCアンプ15にて所定の振幅値に増幅調整する。再生信号はフィルタ等の等化器20を通り、予め設定された信号処理ICの等化クラス(例えば、EEPR4)に合わせて等化処理が実施される。等化信号は符号器16の逆過程である復号器21、22によって復号され、再生データ系列としてハードディスクコントローラ(HDC)18に送り返される。
【0033】
上述の第1の実施形態においては磁界傾度改善のために配するトレーリング側磁極63の形状を規定したが、主磁極61の磁束を更に高めるために、リターンヨーク側62に補助磁極を設けてもよい。
【0034】
<第2の実施形態>
上述の第1の実施形態では、磁界傾度改善のために配するトレーリング側磁極63の形状規定を示したが、第2の実施形態ではさらにトレーリング側磁極63と垂直2層膜媒体3の軟磁性層31の距離が主磁極61と軟磁性層31までの距離に比べて大きくなる場合に、すなわち垂直2層膜媒体3の表面から離れる方向にリセスしていた場合でも磁界傾度改善効果を得ることができる磁気ヘッド6の構造を提案する。
【0035】
図9は本実施形態における磁気ヘッド6のリセス量と磁界強度、磁界傾度の関係を示している。磁界強度、磁界傾度はそれぞれトレーリング側磁極63が無い場合の最大磁界強度、メディアHcにおける磁界傾度の値で規格化した値を示している。リセス量が大きくなると磁界強度は良くなるが磁界傾度が悪くなる。これにより磁界強度が、トレーリング側磁極63が無い場合に比べて85%以上、磁界傾度が1.3倍以上を満たす範囲が有効となる。すなわち、トレーリング側磁極63のリセス量をTr、主磁極1から軟磁性層31までの距離をsとした場合に、
【0036】
Tr/s < 20
である。
次に本実施形態に係る磁気ヘッド6の構成に関し、図8を用いて説明する。トレーリング側磁極63の位置で点線で示したように磁気ヘッド6の磁気ディスク媒体である垂直2層膜媒体3の対向面から見たときに主磁極61から離れている部分の方がリセス量が大きくなる場合でも効果が得られる。この場合も最大リセス量をTrとして場合、
【0037】
Tr/s < 20
を満たすものとする。
<第3の実施形態>
上述の第1の実施形態では、磁界傾度改善のために配するトレーリング側磁極63の形状規定を示したが、第3の実施形態ではさらにトレーリング側磁極63をトレーリングヨークとすることでも同様に磁界傾度を大幅に改善することができる。
【0038】
本実施形態の磁気ヘッド6の形状に関し、図10を用いて説明する。本実施形態の特徴はトレーリング側リターンヨーク64を設けた点にある。
図10に示すように、主磁極61と磁気的に連結され、磁気ヘッド6の磁気ディスク媒体である垂直2層膜媒体3との対向面において主磁極61から距離RTsだけ離れた位置にトレーリング側リターンヨーク64が配置されている。トレーリング側リターンヨーク64は低飽和磁束密度材で構成されている。トレーリング側リターンヨーク64の主磁極61との対向面の側面の高さをRTh、主磁極61からの距離をRTsとした場合、磁界強度はRThが高い程、また主磁極61からの距離RTsが小さい、すなわちトレーリング側リターンヨーク64が近づく程劣化する。また、磁界傾度は主磁極61からの距離RTsが大きい程劣化する。
【0039】
この結果を図11に示す。図11に示した値は磁界強度、磁界傾度をそれぞれ従来の磁気ヘッド、すなわちリターンヨーク62、励磁コイル64、主磁極61の順に配置され、リーディング側にリターンヨーク62が配置されている構造の磁気ヘッドの最大磁界、メディアHcにおける磁界強度の値を規格化した値を示している。
【0040】
これにより、磁界強度が従来の磁気ヘッドの85%以上、磁界傾度が1.3倍以上となる条件は、
1 < RTh/RTs < 2
を満たすことである。さらに、主磁極61から垂直2層膜媒体3の軟磁性層31までの距離をsとした場合に、
RTh/s < 10
RTs/s < 3.5
を満たすことが望ましい。
上述の条件を満たす形状の磁気ヘッド6であれば、磁界強度を落とすことなく、磁界傾度の改善を図ることが可能となる。また、上述した第3の実施形態に係る磁気ヘッド6の構成において、主磁極61からの磁束をさらに高めるために、主磁極61のリーディング側に補助磁極を設けてもよい。
【0041】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、垂直2層記録の磁気ディスク装置において、記録磁気ヘッドとして主磁極、リターンヨークから磁気的に独立したトレーリング側磁極を配した磁気ヘッドを用いることで、磁気ヘッドからの軟磁性層に流れる磁界強度分布がトレーリング側において急峻にすることができ、これにより磁界傾度が改善でき、dPW50の狭小化、SNの改善を図った垂直記録用磁気ヘッド及びディスク装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る磁気ディスク装置の構造を説明する分解斜視図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る磁気ヘッドと垂直2層膜媒体の構造を示す側面図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る磁気ヘッドと従来の磁気ヘッドの磁界強度と磁界傾度示すグラフ。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るトレーリング側磁極の主磁極がわ側面の高さ(Th)と主磁極からの距離(Ts)による磁界強度、磁界傾度の変化を示すグラフ。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る磁界強度とオーバーライト特性(OW)との関係(a)、磁界傾度とdPW50の関係(b)を示すグラフ。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るトレーリング側磁極の主磁極がわ側面の高さ(Th)と主磁極からトレーリング側磁極までの距離(Ts)による磁界強度(a)、磁界傾度(b)及びTh/Tsを示す表。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る磁気ヘッドを用いた場合の記録再生動作を説明するブロック図。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る磁気ヘッドと垂直2層膜媒体の構造を示す側面図。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る磁気ヘッドのリセス量と磁界強度、磁界傾度の関係を示すグラフ。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る磁気ヘッドと垂直2層膜媒体の構造を示す側面図。
【図11】本発明の第3の実施形態に係るトレーリング側リターンヨークの主磁極との対向面の側面の高さ(RTh)と主磁極からの距離(RTs)による磁界強度(a)、磁界傾度(b)及びRTh/RTsを示す表。
【符号の説明】
1………ケース
2………カバー
3………ディスク記録媒体
31……軟磁性層
32……磁気記録膜
4………スピンドルモータ
6………磁気ヘッド
61……主磁極
62……リターンヨーク
63……トレーリング側磁極
64……コイル
7………アーム
8………ボイスコイルモータ
10……回路基板ユニット
11……ICチップ
12……コネクタ
13……記録アンプ
14……再生アンプ
15……AGCアンプ
16……スクランブラ−(符号器)
18……ハードディスクコントローラ(HDC)
19……ホストPC
20……等化器
21、22……復号器
Claims (9)
- 軟磁性層および垂直異方性を示す磁性体から構成された垂直記録層から成る垂直2層媒体と、
主磁極、リターンヨーク、励磁コイルと前記主磁極あるいは前記リターンヨークから磁気的に独立したトレーリング側磁極とから成る磁気抵抗効果型ヘッドと
を有することを特徴とする磁気ディスク装置。 - 前記磁気抵抗効果型ヘッドは、前記トレーリング側磁極の主磁極側側面の高さをTh、前記主磁極から前記トレーリング側磁極までの距離をTsとした場合に、
0.5 ≦ Th/Ts < 3.2
を満たす形状であることを特徴とする請求項1記載の磁気ディスク装置。 - 主磁極と、
前記主磁極に接触して配置されるリターンヨークと、
前記主磁極と前記リターンヨークの間に配置される励磁コイルと、
前記主磁極あるいはリターンヨークから磁気的に独立し、前記主磁極近傍に配置されたトレーリング側磁極と
を有することを特徴とする磁気ヘッド。 - 前記トレーリング側磁極の主磁極側側面の高さをTh、前記主磁極から前記トレーリング側磁極までの距離をTsとした場合に、
0.5 ≦ Th/Ts < 3.2
を満たす形状であることを特徴とする請求項3記載の磁気ヘッド。 - 前記磁気抵抗効果型ヘッドは、前記トレーリング側磁極の主磁極側側面の高さをTh、前記主磁極から前記トレーリング側磁極までの距離をTs、前記主磁極と前記軟磁性層までの距離をsとした場合、
Th/s < 20
Ts/s < 3.5
を同時に満たす
ことを特徴とする請求項1記載の磁気ディスク装置。 - 前記磁気抵抗効果型ヘッドは、前記トレーリング側磁極の主磁極側側面の高さをTh、前記主磁極から前記トレーリング側磁極までの距離をTs、前記主磁極と前記軟磁性層までの距離をsとした場合、
Th/s < 20
Ts/s < 3.5
を同時に満たすとともに、
前記トレーリング側磁極の前記主磁極遠端部の高さhが、前記リターンヨークの高さの2倍以下である
ことを特徴とする請求項1記載の磁気ディスク装置。 - 前記磁気抵抗効果型ヘッドは、前記トレーリング側磁極が前記垂直2層媒体表面に対向するリセスを有し、前記垂直2層媒体表面側端部からのリセス量が、前記垂直2層媒体に設けられた前記軟磁性層表面までの距離の20倍よりも小さい
ことを特徴とする請求項1記載の磁気ディスク装置。 - 軟磁性層および垂直異方性を示す磁性体から構成された垂直記録層から成る垂直2層媒体と、
主磁極、励磁コイル、リターンヨークを有する磁気抵抗効果型ヘッドであって、前記リターンヨークは、前記主磁極のトレーリング側に前記主磁極と磁気的に連結され、前記主磁極側の側面の高さをRTh、前記主磁極から前記リターンヨークまでの距離をRTsとした場合に、
1 < RTh/RTs < 2
を満たす形状であることを特徴とする磁気ディスク装置。 - 主磁極、励磁コイル、リターンヨークを有する磁気抵抗効果型ヘッドであって、前記リターンヨークは、前記主磁極のトレーリング側に前記主磁極と磁気的に連結され、前記主磁極側の側面の高さをRTh、前記主磁極から前記リターンヨークまでの距離をRTsとした場合に、
1 < RTh/RTs < 2
を満たす形状であることを特徴とする磁気ヘッド。
Priority Applications (1)
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JP2003122649A JP2004326972A (ja) | 2003-04-25 | 2003-04-25 | 垂直記録用磁気ヘッド及び磁気ディスク装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003122649A JP2004326972A (ja) | 2003-04-25 | 2003-04-25 | 垂直記録用磁気ヘッド及び磁気ディスク装置 |
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Cited By (1)
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---|---|---|---|---|
JP2007172751A (ja) * | 2005-12-22 | 2007-07-05 | Hitachi Global Storage Technologies Netherlands Bv | ディスク装置及びディスク装置の制御方法 |
-
2003
- 2003-04-25 JP JP2003122649A patent/JP2004326972A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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