JP2004326173A - パネル型入力装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】キー入力対応型のパネル型入力装置において、検出用配線の設置に必要な各検出部材の表面積を拡張することなく、検出区画の個数を増加させる。
【解決手段】第1の検出部材16の導電膜14は、絶縁基板12の表面上で複数の絶縁画線26を介して互いに隣接配置される複数の導電区画28と、隣り合う導電区画28を互いに局所的に直列状に導通連接する少なくとも1つの導電線路30とを備える。複数の導電線路30はそれぞれに、個々の導電区画28が本質的に有する抵抗値よりも大きな予め定めた線路抵抗値を有する。それにより、第1の検出部材16の導電膜14が第2の検出部材の導電膜に導通接触したときに、個々の導電区画28が、連接初端の導電区画28との間に存在する導電線路30の合計線路抵抗値に依存して、それぞれに異なる回路抵抗を示す。連接初端の導電区画28には、第1の検出部材16の外部端子32が設けられる。
【選択図】 図2
【解決手段】第1の検出部材16の導電膜14は、絶縁基板12の表面上で複数の絶縁画線26を介して互いに隣接配置される複数の導電区画28と、隣り合う導電区画28を互いに局所的に直列状に導通連接する少なくとも1つの導電線路30とを備える。複数の導電線路30はそれぞれに、個々の導電区画28が本質的に有する抵抗値よりも大きな予め定めた線路抵抗値を有する。それにより、第1の検出部材16の導電膜14が第2の検出部材の導電膜に導通接触したときに、個々の導電区画28が、連接初端の導電区画28との間に存在する導電線路30の合計線路抵抗値に依存して、それぞれに異なる回路抵抗を示す。連接初端の導電区画28には、第1の検出部材16の外部端子32が設けられる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対の板状検出部材を互いに対向配置して備えるパネル型入力装置に関し、特に、両検出部材の入力操作領域内に個別に位置特定可能な複数の検出区画を有するキー入力対応型のパネル型入力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
パネル型入力装置は、パーソナルコンピュータ、電子手帳、ATM等の、ディスプレイを備えたデジタルデータ処理装置において、パネル表面の所望位置をオペレータがペンや指で押圧することにより、ディスプレイ上の二次元座標データを入力指示する入力装置として知られている。特に、それ自体透明な構造を有して、LCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマパネル)、CRT(ブラウン管)等のディスプレイ画面に重ねて設置されるパネル型入力装置は、タッチパネルの呼称で広く利用されている。
【0003】
一般にパネル型入力装置は、絶縁基板と絶縁基板表面に設けられる導電膜とを各々に有した一対の板状の検出部材を備えて構成される。それら検出部材は、隙間を介して導電膜同士を対向させた状態で、両絶縁基板の外周縁に沿って帯状に延設される接着剤層を介して、互いに重ね合わせて固定される。両検出部材の導電膜間の隙間寸法は、この接着剤層の厚みにより規定される。なお通常、オペレータが押圧操作する上側の検出部材の絶縁基板は、可撓性が要求されるので薄層のガラス板や樹脂フィルムから形成される。他方、下側の検出部材の絶縁基板は、基材として剛性が要求される用途では比較的厚みの大きなガラス板や樹脂パネルから形成され、また剛性が要求されない用途では樹脂フィルム等から形成される。
【0004】
この種のパネル型入力装置において、各検出部材の導電膜を、互いに電気的に独立して並列配置される複数の短冊状導電要素から構成し、両検出部材が、それぞれの導電要素群の伸長方向を互いに直交させるように対向配置されてなるものが知られている(例えば特許文献1参照)。このパネル型入力装置では、両検出部材の導電要素群同士の交差区画を押圧したときに、その交差区画における導電要素間の所定電圧下での導通接触により対応の抵抗値が検出され、この検出抵抗値に基いて当該交差区画の位置が特定される。このような構成のパネル型入力装置は、オペレータによるパネル押圧点を、両検出部材の導電要素群同士が規定する複数の交差区画(すなわち検出区画)に対応して個別に特定するものであるから、多点キー入力等のデジタル的な入力指示を行なう用途に適している。
【特許文献1】
特開昭59−154533号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載されるようなキー入力対応型のパネル型入力装置では、各検出部材に設けた複数の導電要素のそれぞれに、抵抗値検出用の配線が接続される。通常、これら配線は、各検出部材の絶縁基板の表面上で、導電要素群によって規定される複数の検出区画を内包する入力操作領域の外側にパターン形成されている。したがってこの構成では、検出区画数を増加させる目的で導電要素の個数を増やすと、それに伴って増加する検出用配線を安定的に設置するために、各検出部材の絶縁基板の表面積を入力操作領域の外側で拡張する必要が生じ、その結果、パネル型入力装置の外形寸法が増大することが懸念される。また、各検出部材に設置される外部端子の個数が増加し、入力装置搭載機器との間の接続インタフェース及び検出回路の構成が複雑になる危惧がある。
【0006】
本発明の目的は、対向配置した一対の板状検出部材の入力操作領域内に、個別に位置特定可能な複数の検出区画を有するキー入力対応型のパネル型入力装置において、検出用配線の設置に必要な各検出部材の絶縁基板の表面積を拡張したり、入力装置搭載機器との間の接続インタフェース及び検出回路の構成を複雑にしたりすることなく、検出区画の個数を増加させることができるパネル型入力装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、絶縁基板及び絶縁基板の一表面に設けられる導電膜をそれぞれに備えた第1及び第2の検出部材を具備し、それら第1及び第2の検出部材が、それぞれの導電膜を互いに導通接触可能に対向かつ離間させた相対配置で組み合わされてなるパネル型入力装置において、第1の検出部材の導電膜は、絶縁基板の表面上で絶縁画線を介して互いに隣接配置される複数の導電区画と、隣り合う導電区画を互いに導通連接する少なくとも1つの導電線路とを備え、導電線路は、複数の導電区画の各々の抵抗値よりも大きな予め定めた線路抵抗値を有し、それにより複数の導電区画が、第2の検出部材の導電膜と導通接触したときにそれぞれに異なる回路抵抗を示すこと、を特徴とするパネル型入力装置を提供する。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のパネル型入力装置において、複数の導電区画が直列状に相互連接され、連接初端の導電区画に第1の検出部材の外部端子が設けられるパネル型入力装置を提供する。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のパネル型入力装置において、複数の導電区画が複数に分枝して相互連接され、連接初端の導電区画に第1の検出部材の外部端子が設けられるパネル型入力装置を提供する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパネル型入力装置において、第1の検出部材の導電膜は、複数の導電区画から絶縁して絶縁基板の表面上に設けられる少なくとも1つの第2導電区画を備えるパネル型入力装置を提供する。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のパネル型入力装置において、絶縁基板の表面上で絶縁画線を介して互いに隣接配置される複数の第2導電区画と、隣り合う第2導電区画を互いに導通連接する少なくとも1つの第2導電線路とを備え、第2導電線路は、複数の第2導電区画の各々の抵抗値よりも大きな予め定めた線路抵抗値を有し、それにより複数の第2導電区画が、第2の検出部材の導電膜と導通接触したときにそれぞれに異なる回路抵抗を示すパネル型入力装置を提供する。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のパネル型入力装置において、第1の検出部材は、導電膜から絶縁して絶縁基板の表面上に設けられ、第2の検出部材の導電膜に電気的に常時接続される配線要素をさらに備え、配線要素に第2の検出部材の外部端子が設けられるパネル型入力装置を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図1は、本発明の第1の実施形態によるパネル型入力装置10の分解斜視図、図2は、パネル型入力装置10における一方の検出部材の概略平面図である。
【0014】
パネル型入力装置10は、絶縁基板12及び絶縁基板12の一表面に設けられる導電膜14を有する第1の検出部材16と、絶縁基板18及び絶縁基板18の一表面に設けられる導電膜20を有する第2の検出部材22とを備える。第1の検出部材16の絶縁基板12と第2の検出部材22の絶縁基板18とは、それぞれ互いに略同一の矩形輪郭を有する。それら第1及び第2の検出部材16、22は、それぞれの絶縁基板12、18の輪郭が実質的に整合する相対位置で、それぞれの導電膜14、20同士を隙間を介し対向させた状態で、互いに重ね合わせて固定的に組み合わされる。第1及び第2の検出部材16、22は、それぞれの絶縁基板12、18の外周縁に沿って帯状に延設される電気絶縁性の接着剤層24によって相互に固定され、この接着剤層24の厚みにより両導電膜14、20の間の隙間が確保される。この相対配置で、両導電膜14、20は、両絶縁基板12、18の少なくとも一方が相互接近方向へ変形したときに、互いに導通可能に接触する。
【0015】
第1の検出部材16は、パネル型入力装置10の基材となる下側の検出部材であり、その絶縁基板12は、ガラス板、樹脂パネル又は樹脂フィルムから形成される。これに対し、第2の検出部材22は、オペレータによって押圧操作される上側の検出部材であり、その絶縁基板18は、可撓性に富む樹脂フィルムから形成される。各絶縁基板12、18の好適な樹脂材料としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート等を挙げることができる。また、各導電膜14、20は、ITO(酸化インジウム錫)等の導電性皮膜から形成でき、例えば真空蒸着法やスパッタリング法によって各絶縁基板12、18の表面12a、18aに被着される。なおパネル型入力装置10を、LCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマパネル)、CRT(ブラウン管)等のディスプレイ画面上に載置されるタッチパネルとして構成する場合は、絶縁基板12、18及び導電膜14、20がいずれも透明な材料から形成される。
【0016】
第1の検出部材16の導電膜14は、絶縁基板12の表面上で複数の絶縁画線26を介して互いに隣接配置される複数の導電区画28と、隣り合う導電区画28を互いに局所的に導通連接する少なくとも1つの導電線路30とを備えて、絶縁基板12の表面の略全体に渡って形成される。図示実施形態では、絶縁基板12の短辺に平行に直線状に延びる複数の縦方向絶縁画線26と、絶縁基板12の長辺に平行に直線状に延びる複数の横方向絶縁画線26とが、互いに略格子状の延設形態を呈するように組み合わせて形成される。また、これら格子状に組み合わせた絶縁画線26を包囲するように、外周絶縁画線26´が略矩形状に延設される。これにより、複数の導電区画28は、それぞれに平面視略矩形の輪郭が付与されて、6×8のマトリクス状に配設される。
【0017】
さらに詳述すれば、図2に示すように、図で1つの列(縦方向配列)を構成する6個の導電区画28は、隣り合う導電区画28の間に1本の横方向絶縁画線26を介在させて整列配置され、図で1つの行(横方向配列)を構成する8個の導電区画28は、下端行を除いて、隣り合う導電区画28の間に2本の縦方向絶縁画線26を介在させて整列配置される。下端行の8個の導電区画28は、隣り合う導電区画28の間に、交互に1本及び2本の縦方向絶縁画線26を介在させて整列配置される。また、上端行の8個の導電区画28では、左端の右隣から1つ置きに4個の導電区画28に対し、外周絶縁画線26´の内側近傍に平行に延びる横方向絶縁画線26によって、図で上辺の輪郭が付与される。さらに、右端列の6個の導電区画28では、下端を除く5個の導電区画28に対し、外周絶縁画線26´の内側近傍に平行に延びる縦方向絶縁画線26によって、図で右辺の輪郭が付与される。
【0018】
1つの列で縦に隣り合う導電区画28の間に介在する1本の横方向絶縁画線26は、その左端で、1つの行で横に隣り合う導電区画28の間に介在する2本の縦方向絶縁画線26のうち右側の絶縁画線26(又は外周絶縁画線26´)に接続され、その右端で、同2本の縦方向絶縁画線26のうち左側の絶縁画線26に接続される。また、1つの行で横に隣り合う導電区画28の間に介在する2本の縦方向絶縁画線26は、下端行を除いて、左側の絶縁画線26が右側よりも短く、それにより個々の導電区画28の輪郭がその右辺上端で局所的に消滅している。下端行では、隣り合う導電区画28の間に介在する2本の縦方向絶縁画線26は互いに略同一長さであって、右側の導電区画28の輪郭が、その左辺下端で局所的に消滅している。さらに、下端行の左端に位置する導電区画28の左辺を規定する縦方向絶縁画線26は、その下端で左方へ屈折して延長されるとともに、同導電区画28の下辺を規定する横方向絶縁画線26は、同様に左方へ延長されて、いずれも絶縁基板12の外縁に達している。
【0019】
複数の絶縁画線26、26´のこのような配置構成により、互いに近接して平行に延設される2本の絶縁画線26の間及び絶縁画線26と外周絶縁画線26´との間に、隣り合う導電区画28を互いに局所的に導通連接する導電線路30がそれぞれ形成される。この実施形態では、複数の導電区画28は、左端列の下端の導電区画28(図で1番を付す)を連接初端とし、かつ右端列の下端の導電区画28(図で48番を付す)を連接終端として、複数の導電線路30によって電気的に直列状に相互連接されることになる。なお図示のように、これら複数の導電線路30は、それぞれに絶縁画線26を介して複数の導電区画28に隣接配置され、それにより、絶縁基板12の表面を有効に利用して蛇行状に延長される。
【0020】
上記した絶縁画線26、26´は、例えば、絶縁基板12の表面全体に形成した導電性皮膜(導電膜14)の所望箇所を、レーザエッチング技術により局所的に除去することによって、所望太さの線状の皮膜除去部分として形成できる。レーザエッチングでは、YAGレーザ、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ等の所望のレーザを連続パルス状に発振させて導電性皮膜に照射すると同時に、発振機又は絶縁基板12を所定方向へ直線的に移動させることにより、μmオーダの幅を有する画線(皮膜除去部分)を上記した格子状に形成することができる。なお、導電性皮膜の除去に際し、レーザの出力、1パルスのスポット径等の諸条件を適宜調整することにより、画線幅を決定できる。絶縁画線26、26´の好適な画線幅は、例えば5μm〜1mmである。
【0021】
パネル型入力装置10における第2の検出部材22の導電膜20は、絶縁基板18の表面の略全体に渡って形成される。したがってパネル型入力装置10では、第2の検出部材22の導電膜20は、第1の検出部材16の導電膜14に対し、全体が等電位の平板電極として作用する。そのため、オペレータが第2の検出部材22の所望位置を押圧してその導電膜20を第1の検出部材16の導電膜14に接触させたときに、パネル型入力装置10とその搭載機器との間に形成される検出回路内に、所定電圧下で、導電膜14を構成する複数の導電区画28のそれぞれにおいて異なる回路抵抗が検出され、この回路抵抗に基いて押圧位置が特定される。このように、パネル型入力装置10は、オペレータによるパネル押圧点を、第1の検出部材16の導電膜14を形成する複数の導電区画(すなわち検出区画)28に対応して個別に特定するものであるから、多点キー入力等のデジタル的な入力指示を行なう用途に適している。
【0022】
本発明に係るパネル型入力装置10の特徴的構成として、第1の検出部材16の絶縁基板12の表面上で複数の導電区画28を直列状に導通連接する複数の導電線路30は、それぞれに、個々の導電区画28が本質的に有する抵抗値よりも大きな予め定めた線路抵抗値を有するように形成される。具体的には、各導電線路30は、平面視略矩形の導電区画28に比べて十分に狭隘な細長片形状を有することにより、その抵抗値を増大させている。それによりパネル型入力装置10では、第1の検出部材16の導電膜14が第2の検出部材22の導電膜20に導通接触したときに、個々の導電区画28が、連接初端の導電区画28との間に存在する導電線路30の合計線路抵抗値に依存して、それぞれに異なる回路抵抗を示すようになっている。
【0023】
例えば、連接初端(図示1番)の導電区画28が第2の検出部材22の導電膜20に導通接触したときの回路抵抗(基準抵抗値)をα1とし、各導電区画28が本質的に有する抵抗値をβとし、各導電線路30が本質的に有する線路抵抗値をγとしたときに、図示2番の導電区画28が導電膜20に導通接触したときの回路抵抗α2は、α2=α1+β+γとなる。同様に、図示n番の導電区画28が導電膜20に導通接触したときの回路抵抗αnは、αn=α1+β+(n−1)γとなる。したがって、導通接触したn番の導電区画28の位置(すなわちオペレータによる押圧位置)を、連接初端の導電区画28との間に存在する導電線路30の合計線路抵抗値(n−1)γに依存して示される回路抵抗αnに基いて、特定することができる。ここで、βをγに比べて無視できる程度の値に設定すれば、1つの導電区画28内で導通接触位置が異なる場合でも、その導電区画28によって示される回路抵抗は一定になり、当該導電区画28の位置をオペレータによる押圧位置として、特定して検出することができる。
【0024】
上記構成を有するパネル型入力装置10では、第1の検出部材16における直列状に連接された複数の導電区画28は、連接初端の導電区画28に1つの外部端子32を設けることによって、入力装置搭載機器との間に検出回路を形成できる。また、第2の検出部材22における平板状の導電膜20は、その所望位置に1つの外部端子(図示せず)を設けることによって、同様に検出回路を構成できる。したがって、パネル型入力装置10によれば、各検出部材16、22の絶縁基板12、18上の検出用配線を、最小限にするか実質的に排除することができる。その結果、導電区画(検出区画)28の個数を増加させる場合にも、配線設置のために絶縁基板12、18の表面積を拡張する必要が無くなり、パネル型入力装置10の外形寸法の増大が回避される。またその場合に、各検出部材16、22の外部端子の個数を増やす必要が無いから、入力装置搭載機器との間の接続インタフェース及び検出回路の構成を簡略化できる。
【0025】
パネル型入力装置10においては、図示のように、第1の検出部材16に、その導電膜14から絶縁して絶縁基板12の表面上に設けられる配線要素34をさらに設けることができる。配線要素34は、第2の検出部材22の導電膜20に電気的に常時接続されるように構成され、配線要素34の所望位置に、第2の検出部材22のための外部端子36を設置する。このような構成によれば、第2の検出部材22自体に外部端子を設ける必要が無くなるので、第2の検出部材22の取り扱いが容易になる。
【0026】
図示のように配線要素34は、絶縁基板12の表面上で、導電膜14を構成する複数の導電区画28を内包する入力操作領域の外側に、この入力操作領域を囲繞するようにして形成できる。この場合、導電膜14と配線要素34とは、外周絶縁画線26´を介して互いに隣接配置される。この構成によれば、接着剤層24の配置に必要な領域を利用して配線要素34を設置できるので、絶縁基板12の外形寸法の増加を回避できる。さらにこの構成では、接着剤層24の所望位置に設置した導電要素(例えば導電性接着剤)38(図1)によって、配線要素34を第2の検出部材22の導電膜20に簡易かつ確実に常時接続することができる。
【0027】
本発明に係るパネル型入力装置は、第1の検出部材の導電膜として、上記実施形態における導電区画28及び導電線路30の配置構成以外の様々な構成を有する導電膜を採用できる。図3は、そのような他の導電膜構成を有する本発明の第2の実施形態によるパネル型入力装置の、第1の検出部材40を示す。この実施形態は、導電膜の構成以外は前述した第1の実施形態と同様の構成を有するものであって、対応する構成要素には共通の参照符号を付してその説明を省略する。
【0028】
この実施形態では、第1の検出部材40は、前述した第1の検出部材16の導電膜14と同様の、複数の絶縁画線26、26´によって画定された6×8のマトリクス状に配設される平面視略矩形の複数の導電区画28と、隣り合う導電区画28を互いに局所的に導通連接する細長片状の複数の導電線路30とを有する導電膜42を備える。導電膜42においては、図で1つの列(縦方向配列)を構成する6個の導電区画28が、隣り合う導電区画28の間に1本の横方向絶縁画線26を介在させて整列配置され、図で1つの行(横方向配列)を構成する8個の導電区画28が、下端行を除いて、隣り合う導電区画28の間に2本の縦方向絶縁画線26を介在させて整列配置される。下端行の8個の導電区画28は、左端の導電区画28とその右側の導電区画28との間には1本の縦方向絶縁画線26を介在させ、他の隣り合う導電区画28の間には2本の縦方向絶縁画線26を介在させて整列配置される。また、下端行の8個の導電区画28では、左端を除く7個の導電区画28に対し、外周絶縁画線26´の内側近傍に平行に延びる横方向絶縁画線26によって、図で下辺の輪郭が付与される。さらに、右端列の6個の導電区画28に対し、外周絶縁画線26´の内側近傍に平行に延びる縦方向絶縁画線26によって、図で右辺の輪郭が付与される。
【0029】
1つの列で縦に隣り合う導電区画28の間に介在する1本の横方向絶縁画線26は、その左端で、1つの行で横に隣り合う導電区画28の間に介在する2本の縦方向絶縁画線26のうち右側の絶縁画線26(又は外周絶縁画線26´)に接続され、その右端で、同2本の縦方向絶縁画線26のうち左側の絶縁画線26に接続される。また、1つの行で横に隣り合う導電区画28の間に介在する2本の縦方向絶縁画線26は、左側の絶縁画線26が右側よりも短く、それにより個々の導電区画28の輪郭がその右辺上端で局所的に消滅している。さらに、下端行の左端に位置する導電区画28の左辺を規定する縦方向絶縁画線26は、その下端で左方へ屈折して延長されるとともに、同導電区画28の下辺を規定する横方向絶縁画線26は、同様に左方へ延長されて、いずれも絶縁基板12の外縁に達している。
【0030】
複数の絶縁画線26、26´のこのような配置構成により、互いに近接して平行に延設される2本の絶縁画線26の間及び絶縁画線26と外周絶縁画線26´との間に、隣り合う導電区画28を互いに局所的に導通連接する導電線路30がそれぞれ形成される。この実施形態では、複数の導電区画28は、下端行の左端の導電区画28(図で1番を付す)を連接初端とし、下端行の8個の導電区画28をそれぞれに含む列の上端8個の導電区画28(図で6、12、18、24、30、36、42、48番を付す)を連接終端として、複数の導電線路30により電気的に8列に分枝して相互連接されることになる。なお図示のように、これら複数の導電線路30は、それぞれに絶縁画線26を介して複数の導電区画28に隣接配置され、それにより、絶縁基板12の表面を有効に利用して分枝状に延長される。
【0031】
上記構成を有する導電膜40は、個々の列の導電区画28を縦方向に導通連接する複数の導電線路30(30a)の線路抵抗値よりも、下端行の導電区画28を横方向に導通連接する複数の導電線路30の線路抵抗値の方が大きく、さらに下端行の7個の横方向導電線路30の中でも、左端の導電区画30(30b)の線路抵抗値に比べて他の6個の導電区画30(30c)の線路抵抗値の方が大きくなるように形成される。具体的には、導電線路30bは導電線路30aよりも狭隘な細長片形状に形成され、また導電線路30cは導電線路30bよりもさらに狭隘な細長片形状に形成されている。それによりこの実施形態では、第1の検出部材40の導電膜42が第2の検出部材22の導電膜20(図1)に導通接触したときに、個々の導電区画28が、連接初端の導電区画28との間に存在する導電線路30a、30b、30cの合計線路抵抗値に依存して、それぞれに異なる回路抵抗を示すようになっている。
【0032】
例えば、連接初端(図示1番)の導電区画28が第2の検出部材22の導電膜20に導通接触したときの回路抵抗(基準抵抗値)をα1とし、各導電区画28が本質的に有する抵抗値をβとし、各導電線路30aが本質的に有する線路抵抗値をγとし、導電線路30bが本質的に有する線路抵抗値を5γとし、各導電線路30cが本質的に有する線路抵抗値を6γとしたときに、図示2番の導電区画28が導電膜20に導通接触したときの回路抵抗α2は、α2=α1+β+γとなり、図示7番の導電区画28が導電膜20に導通接触したときの回路抵抗α7は、α7=α1+β+5γ+γとなり、図示13番の導電区画28が導電膜20に導通接触したときの回路抵抗α13は、α13=α1+β+5γ+6γ+γとなる。同様に、図示n番の導電区画28が導電膜20に導通接触したときの回路抵抗αnは、αn=α1+β+(n−1)γとなる。したがって、導通接触したn番の導電区画28の位置(すなわちオペレータによる押圧位置)を、連接初端の導電区画28との間に存在する導電線路30a、30b、30cの合計線路抵抗値(n−1)γに依存して示される回路抵抗αnに基いて、特定することができる。ここで、βをγに比べて無視できる程度の値に設定すれば、1つの導電区画28内で導通接触位置が異なる場合でも、その導電区画28によって示される回路抵抗は一定になり、当該導電区画28の位置をオペレータによる押圧位置として、特定して検出することができる。
【0033】
上記構成を有する第1の検出部材40によっても、前述したパネル型入力装置10の第1の検出部材16と同等の作用効果が奏されることは理解されよう。さらにこの実施形態によれば、複数の導電区画28を分枝状に相互連接したから、全ての導電区画28を直列状に相互連接する構成に比べて、1つの導電線路30における不具合の影響が及ぶ導電区画28の個数が削減される利点がある。
【0034】
図4は、さらに他の導電膜構成を有する本発明の第3の実施形態によるパネル型入力装置の、第1の検出部材50を示す。この実施形態は、導電膜の構成以外は前述した第1の実施形態と同様の構成を有するものであって、対応する構成要素には共通の参照符号を付してその説明を省略する。
【0035】
この実施形態では、第1の検出部材50は、複数の絶縁画線26、26´によって画定された6×8のマトリクス状に配設される平面視略矩形の複数の導電区画28と、隣り合う導電区画28を互いに局所的に導通連接する細長片状の複数の導電線路30と、複数の導電区画28から絶縁して絶縁基板12の表面上に設けられる2個の第2導電区画52、54とを有する導電膜56を備える。導電膜56においては、複数の導電区画28の6×8マトリクス状配置における左下端区画が第2導電区画52に置換され、同右上端区画が第2導電区画54に置換されている。それら第2導電区画52、54は、絶縁画線26によって、導電区画28から絶縁されるとともに互いに絶縁される。
【0036】
導電膜56における複数の導電区画28は、第1実施形態における第1の検出部材16の導電膜14と同様に、蛇行状に延びる複数の導電線路30によって電気的に直列状に相互連接される。そして、左下端の第2導電区画52の上側に位置する連接初端の導電区画28に、第1の検出部材50の外部端子32が設けられる。また、左下端の第2導電区画52には、第1の検出部材50の第2の外部端子58が設けられる。
【0037】
第1の検出部材50はさらに、複数の導電区画28、52、54を包囲する外周絶縁画線26´の外側に、右上端の第2導電区画54に直接接続される配線要素60と、第2の検出部材22の導電膜20(図1)に例えば導電性接着剤38(図1)を介して電気的に常時接続される配線要素34とを備える。それら配線要素34、60は、絶縁画線26´の延長部分によって互いに絶縁される。そして、配線要素34に第1の検出部材22のための外部端子36が設けられるとともに、配線要素60に第1の検出部材50の第3の外部端子62が設けられる。これら外部端子32、36、58、62は、図示のように1箇所に集中的に設けられることが、接続インタフェースの構造を簡略化する観点で有効である。
【0038】
上記構成を有する導電膜56は、直列状に連接される複数の導電区画28においては、第1実施形態における第1の検出部材16と同様に、第2の検出部材22の導電膜20(図1)に導通接触したときに、個々の導電区画28が、連接初端の導電区画28との間に存在する導電線路30の合計線路抵抗値に依存して、それぞれに異なる回路抵抗を示す。したがって、導通接触した図示Bn番の導電区画28の位置(すなわちオペレータによる押圧位置)を、連接初端(図示B1番)の導電区画28との間に存在する導電線路30の合計線路抵抗値(n−1)γに依存して示される回路抵抗αnに基いて、特定することができる。また、第2導電区画52、54のそれぞれ(図示A番及びC番)は、いずれも導電区画28から電気的に独立しているので、各導電区画52、54自体の抵抗値に関わり無く、それら第2導電区画52、54における導通信号の検出により、オペレータによる押圧位置を特定することができる。
【0039】
上記構成を有する第1の検出部材50によっても、前述したパネル型入力装置10の第1の検出部材16と同等の作用効果が奏されることは理解されよう。さらにこの実施形態によれば、1つの導電区画28と1つ又は2つの第2導電区画52、54とを同時に押圧したときに、それらの押圧位置を個々に同時検出することができる。このような構成によれば、例えばJISキーボードにおけるShiftキー等の、他のキーとの同時押下操作による入力指示を行なうキー構成を実現できるようになる。
【0040】
図5(a)及び(b)は、上記した第1の検出部材50の変形例をそれぞれ示す。これら変形例では、導電膜56を構成する複数の導電区画28が、第2実施形態における第1の検出部材40の導電膜42と同様に、分枝状に延びる複数の導電線路30a、30b、30cによって電気的に複数に分枝して相互連接される。2つの変形例の相違は、外部端子32、58の位置を入れ替えている点にある。これら変形例においても、前述したパネル型入力装置10の第1の検出部材16と同等の作用効果が奏される。
【0041】
図6は、さらに他の導電膜構成を有する本発明の第4の実施形態によるパネル型入力装置の、第1の検出部材70を示す。この実施形態は、導電膜の構成以外は前述した第1の実施形態と同様の構成を有するものであって、対応する構成要素には共通の参照符号を付してその説明を省略する。
【0042】
この実施形態では、第1の検出部材70は、複数の絶縁画線26、26´によって画定された全体として6×8のマトリクス状に配設される平面視略矩形の複数の導電区画28、72を有する導電膜74を備える。それら導電区画28、72は、6×4マトリクス状配置で複数の導電線路30a、30b、30cによって分枝状に導通連接される複数の導電区画28と、それら導電区画28から絶縁して、同様に6×4マトリクス状配置で複数の第2導電線路76a、76b、76cによって分枝状に導通連接される複数の第2導電区画72とから構成される。第2導電区画72及び第2導電線路76a、76b、76cは、導電区画28及び導電線路30a、30b、30cと同一の構造(例えば抵抗値関係)を有し、いずれも第2実施形態における第1の検出部材40の導電膜42と同様の分枝状配置構成を有する。そして、連接初端の導電区画28に第1の検出部材70の外部端子32が設けられ、連接初端の第2導電区画72に第1の検出部材70の第2の外部端子78が設けられる。
【0043】
上記構成を有する導電膜74は、分枝状に連接される複数の導電区画28においては、第2実施形態における第1の検出部材40と同様に、第2の検出部材22の導電膜20(図1)に導通接触したときに、個々の導電区画28が、連接初端の導電区画28との間に存在する導電線路30a、30b、30cの合計線路抵抗値に依存して、それぞれに異なる回路抵抗を示す。したがって、導通接触した図示An番の導電区画28の位置(すなわちオペレータによる押圧位置)を、連接初端(図示A1番)の導電区画28との間に存在する導電線路30a、30b、30cの合計線路抵抗値(n−1)γに依存して示される回路抵抗αnに基いて、特定することができる。同様に、分枝状に連接される複数の第2導電区画72においては、第2の検出部材22の導電膜20(図1)に導通接触したときに、個々の導電区画72が、連接初端の導電区画72との間に存在する導電線路76a、76b、76cの合計線路抵抗値に依存して、それぞれに異なる回路抵抗を示す。したがって、導通接触した図示Bn番の導電区画72の位置(すなわちオペレータによる押圧位置)を、連接初端(図示B1番)の導電区画72との間に存在する導電線路76a、76b、76cの合計線路抵抗値(n−1)γに依存して示される回路抵抗αnに基いて、特定することができる。
【0044】
上記構成を有する第1の検出部材70によっても、前述したパネル型入力装置10の第1の検出部材16と同等の作用効果が奏されることは理解されよう。さらにこの実施形態によれば、導電区画28と第2導電区画72とが互いに電気的に独立しているので、前述した第3実施形態と同様に、1つの導電区画28と1つの第2導電区画72とを同時に押圧したときに、それらの押圧位置を個々に同時検出することができる。なお、この第4実施形態において、複数の導電区画28及び複数の第2導電区画72の少なくとも一方を、直列状の連接形態に構成できることはいうまでもない。
【0045】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、対向配置した一対の板状検出部材の入力操作領域内に、個別に位置特定可能な複数の検出区画を有するキー入力対応型のパネル型入力装置において、検出用配線の設置に必要な各検出部材の絶縁基板の表面積を拡張したり、入力装置搭載機器との間の接続インタフェース及び検出回路の構成を複雑にしたりすることなく、検出区画の個数を増加させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態によるパネル型入力装置の分解斜視図である。
【図2】図1のパネル型入力装置に組み込まれる第1の検出部材の平面図である。
【図3】本発明の第2実施形態によるパネル型入力装置に組み込まれる第1の検出部材の平面図である。
【図4】本発明の第3実施形態によるパネル型入力装置に組み込まれる第1の検出部材の平面図である。
【図5】図4に示す第1の検出部材の、(a)第1変形例、及び(b)第2変形例を示す平面図である。
【図6】本発明の第4実施形態によるパネル型入力装置に組み込まれる第1の検出部材の平面図である。
【符号の説明】
10…パネル型入力装置
12、18…絶縁基板
14、20、42、56、74…導電膜
16、40、50、70…第1の検出部材
22…第2の検出部材
26、26´…絶縁画線
28…導電区画
30…導電線路
32、36、58、62、78…外部端子
34…配線要素
52、54、72…第2導電区画
76a、76b、76c…第2導電線路
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対の板状検出部材を互いに対向配置して備えるパネル型入力装置に関し、特に、両検出部材の入力操作領域内に個別に位置特定可能な複数の検出区画を有するキー入力対応型のパネル型入力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
パネル型入力装置は、パーソナルコンピュータ、電子手帳、ATM等の、ディスプレイを備えたデジタルデータ処理装置において、パネル表面の所望位置をオペレータがペンや指で押圧することにより、ディスプレイ上の二次元座標データを入力指示する入力装置として知られている。特に、それ自体透明な構造を有して、LCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマパネル)、CRT(ブラウン管)等のディスプレイ画面に重ねて設置されるパネル型入力装置は、タッチパネルの呼称で広く利用されている。
【0003】
一般にパネル型入力装置は、絶縁基板と絶縁基板表面に設けられる導電膜とを各々に有した一対の板状の検出部材を備えて構成される。それら検出部材は、隙間を介して導電膜同士を対向させた状態で、両絶縁基板の外周縁に沿って帯状に延設される接着剤層を介して、互いに重ね合わせて固定される。両検出部材の導電膜間の隙間寸法は、この接着剤層の厚みにより規定される。なお通常、オペレータが押圧操作する上側の検出部材の絶縁基板は、可撓性が要求されるので薄層のガラス板や樹脂フィルムから形成される。他方、下側の検出部材の絶縁基板は、基材として剛性が要求される用途では比較的厚みの大きなガラス板や樹脂パネルから形成され、また剛性が要求されない用途では樹脂フィルム等から形成される。
【0004】
この種のパネル型入力装置において、各検出部材の導電膜を、互いに電気的に独立して並列配置される複数の短冊状導電要素から構成し、両検出部材が、それぞれの導電要素群の伸長方向を互いに直交させるように対向配置されてなるものが知られている(例えば特許文献1参照)。このパネル型入力装置では、両検出部材の導電要素群同士の交差区画を押圧したときに、その交差区画における導電要素間の所定電圧下での導通接触により対応の抵抗値が検出され、この検出抵抗値に基いて当該交差区画の位置が特定される。このような構成のパネル型入力装置は、オペレータによるパネル押圧点を、両検出部材の導電要素群同士が規定する複数の交差区画(すなわち検出区画)に対応して個別に特定するものであるから、多点キー入力等のデジタル的な入力指示を行なう用途に適している。
【特許文献1】
特開昭59−154533号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載されるようなキー入力対応型のパネル型入力装置では、各検出部材に設けた複数の導電要素のそれぞれに、抵抗値検出用の配線が接続される。通常、これら配線は、各検出部材の絶縁基板の表面上で、導電要素群によって規定される複数の検出区画を内包する入力操作領域の外側にパターン形成されている。したがってこの構成では、検出区画数を増加させる目的で導電要素の個数を増やすと、それに伴って増加する検出用配線を安定的に設置するために、各検出部材の絶縁基板の表面積を入力操作領域の外側で拡張する必要が生じ、その結果、パネル型入力装置の外形寸法が増大することが懸念される。また、各検出部材に設置される外部端子の個数が増加し、入力装置搭載機器との間の接続インタフェース及び検出回路の構成が複雑になる危惧がある。
【0006】
本発明の目的は、対向配置した一対の板状検出部材の入力操作領域内に、個別に位置特定可能な複数の検出区画を有するキー入力対応型のパネル型入力装置において、検出用配線の設置に必要な各検出部材の絶縁基板の表面積を拡張したり、入力装置搭載機器との間の接続インタフェース及び検出回路の構成を複雑にしたりすることなく、検出区画の個数を増加させることができるパネル型入力装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、絶縁基板及び絶縁基板の一表面に設けられる導電膜をそれぞれに備えた第1及び第2の検出部材を具備し、それら第1及び第2の検出部材が、それぞれの導電膜を互いに導通接触可能に対向かつ離間させた相対配置で組み合わされてなるパネル型入力装置において、第1の検出部材の導電膜は、絶縁基板の表面上で絶縁画線を介して互いに隣接配置される複数の導電区画と、隣り合う導電区画を互いに導通連接する少なくとも1つの導電線路とを備え、導電線路は、複数の導電区画の各々の抵抗値よりも大きな予め定めた線路抵抗値を有し、それにより複数の導電区画が、第2の検出部材の導電膜と導通接触したときにそれぞれに異なる回路抵抗を示すこと、を特徴とするパネル型入力装置を提供する。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のパネル型入力装置において、複数の導電区画が直列状に相互連接され、連接初端の導電区画に第1の検出部材の外部端子が設けられるパネル型入力装置を提供する。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のパネル型入力装置において、複数の導電区画が複数に分枝して相互連接され、連接初端の導電区画に第1の検出部材の外部端子が設けられるパネル型入力装置を提供する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパネル型入力装置において、第1の検出部材の導電膜は、複数の導電区画から絶縁して絶縁基板の表面上に設けられる少なくとも1つの第2導電区画を備えるパネル型入力装置を提供する。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のパネル型入力装置において、絶縁基板の表面上で絶縁画線を介して互いに隣接配置される複数の第2導電区画と、隣り合う第2導電区画を互いに導通連接する少なくとも1つの第2導電線路とを備え、第2導電線路は、複数の第2導電区画の各々の抵抗値よりも大きな予め定めた線路抵抗値を有し、それにより複数の第2導電区画が、第2の検出部材の導電膜と導通接触したときにそれぞれに異なる回路抵抗を示すパネル型入力装置を提供する。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のパネル型入力装置において、第1の検出部材は、導電膜から絶縁して絶縁基板の表面上に設けられ、第2の検出部材の導電膜に電気的に常時接続される配線要素をさらに備え、配線要素に第2の検出部材の外部端子が設けられるパネル型入力装置を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図1は、本発明の第1の実施形態によるパネル型入力装置10の分解斜視図、図2は、パネル型入力装置10における一方の検出部材の概略平面図である。
【0014】
パネル型入力装置10は、絶縁基板12及び絶縁基板12の一表面に設けられる導電膜14を有する第1の検出部材16と、絶縁基板18及び絶縁基板18の一表面に設けられる導電膜20を有する第2の検出部材22とを備える。第1の検出部材16の絶縁基板12と第2の検出部材22の絶縁基板18とは、それぞれ互いに略同一の矩形輪郭を有する。それら第1及び第2の検出部材16、22は、それぞれの絶縁基板12、18の輪郭が実質的に整合する相対位置で、それぞれの導電膜14、20同士を隙間を介し対向させた状態で、互いに重ね合わせて固定的に組み合わされる。第1及び第2の検出部材16、22は、それぞれの絶縁基板12、18の外周縁に沿って帯状に延設される電気絶縁性の接着剤層24によって相互に固定され、この接着剤層24の厚みにより両導電膜14、20の間の隙間が確保される。この相対配置で、両導電膜14、20は、両絶縁基板12、18の少なくとも一方が相互接近方向へ変形したときに、互いに導通可能に接触する。
【0015】
第1の検出部材16は、パネル型入力装置10の基材となる下側の検出部材であり、その絶縁基板12は、ガラス板、樹脂パネル又は樹脂フィルムから形成される。これに対し、第2の検出部材22は、オペレータによって押圧操作される上側の検出部材であり、その絶縁基板18は、可撓性に富む樹脂フィルムから形成される。各絶縁基板12、18の好適な樹脂材料としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート等を挙げることができる。また、各導電膜14、20は、ITO(酸化インジウム錫)等の導電性皮膜から形成でき、例えば真空蒸着法やスパッタリング法によって各絶縁基板12、18の表面12a、18aに被着される。なおパネル型入力装置10を、LCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマパネル)、CRT(ブラウン管)等のディスプレイ画面上に載置されるタッチパネルとして構成する場合は、絶縁基板12、18及び導電膜14、20がいずれも透明な材料から形成される。
【0016】
第1の検出部材16の導電膜14は、絶縁基板12の表面上で複数の絶縁画線26を介して互いに隣接配置される複数の導電区画28と、隣り合う導電区画28を互いに局所的に導通連接する少なくとも1つの導電線路30とを備えて、絶縁基板12の表面の略全体に渡って形成される。図示実施形態では、絶縁基板12の短辺に平行に直線状に延びる複数の縦方向絶縁画線26と、絶縁基板12の長辺に平行に直線状に延びる複数の横方向絶縁画線26とが、互いに略格子状の延設形態を呈するように組み合わせて形成される。また、これら格子状に組み合わせた絶縁画線26を包囲するように、外周絶縁画線26´が略矩形状に延設される。これにより、複数の導電区画28は、それぞれに平面視略矩形の輪郭が付与されて、6×8のマトリクス状に配設される。
【0017】
さらに詳述すれば、図2に示すように、図で1つの列(縦方向配列)を構成する6個の導電区画28は、隣り合う導電区画28の間に1本の横方向絶縁画線26を介在させて整列配置され、図で1つの行(横方向配列)を構成する8個の導電区画28は、下端行を除いて、隣り合う導電区画28の間に2本の縦方向絶縁画線26を介在させて整列配置される。下端行の8個の導電区画28は、隣り合う導電区画28の間に、交互に1本及び2本の縦方向絶縁画線26を介在させて整列配置される。また、上端行の8個の導電区画28では、左端の右隣から1つ置きに4個の導電区画28に対し、外周絶縁画線26´の内側近傍に平行に延びる横方向絶縁画線26によって、図で上辺の輪郭が付与される。さらに、右端列の6個の導電区画28では、下端を除く5個の導電区画28に対し、外周絶縁画線26´の内側近傍に平行に延びる縦方向絶縁画線26によって、図で右辺の輪郭が付与される。
【0018】
1つの列で縦に隣り合う導電区画28の間に介在する1本の横方向絶縁画線26は、その左端で、1つの行で横に隣り合う導電区画28の間に介在する2本の縦方向絶縁画線26のうち右側の絶縁画線26(又は外周絶縁画線26´)に接続され、その右端で、同2本の縦方向絶縁画線26のうち左側の絶縁画線26に接続される。また、1つの行で横に隣り合う導電区画28の間に介在する2本の縦方向絶縁画線26は、下端行を除いて、左側の絶縁画線26が右側よりも短く、それにより個々の導電区画28の輪郭がその右辺上端で局所的に消滅している。下端行では、隣り合う導電区画28の間に介在する2本の縦方向絶縁画線26は互いに略同一長さであって、右側の導電区画28の輪郭が、その左辺下端で局所的に消滅している。さらに、下端行の左端に位置する導電区画28の左辺を規定する縦方向絶縁画線26は、その下端で左方へ屈折して延長されるとともに、同導電区画28の下辺を規定する横方向絶縁画線26は、同様に左方へ延長されて、いずれも絶縁基板12の外縁に達している。
【0019】
複数の絶縁画線26、26´のこのような配置構成により、互いに近接して平行に延設される2本の絶縁画線26の間及び絶縁画線26と外周絶縁画線26´との間に、隣り合う導電区画28を互いに局所的に導通連接する導電線路30がそれぞれ形成される。この実施形態では、複数の導電区画28は、左端列の下端の導電区画28(図で1番を付す)を連接初端とし、かつ右端列の下端の導電区画28(図で48番を付す)を連接終端として、複数の導電線路30によって電気的に直列状に相互連接されることになる。なお図示のように、これら複数の導電線路30は、それぞれに絶縁画線26を介して複数の導電区画28に隣接配置され、それにより、絶縁基板12の表面を有効に利用して蛇行状に延長される。
【0020】
上記した絶縁画線26、26´は、例えば、絶縁基板12の表面全体に形成した導電性皮膜(導電膜14)の所望箇所を、レーザエッチング技術により局所的に除去することによって、所望太さの線状の皮膜除去部分として形成できる。レーザエッチングでは、YAGレーザ、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ等の所望のレーザを連続パルス状に発振させて導電性皮膜に照射すると同時に、発振機又は絶縁基板12を所定方向へ直線的に移動させることにより、μmオーダの幅を有する画線(皮膜除去部分)を上記した格子状に形成することができる。なお、導電性皮膜の除去に際し、レーザの出力、1パルスのスポット径等の諸条件を適宜調整することにより、画線幅を決定できる。絶縁画線26、26´の好適な画線幅は、例えば5μm〜1mmである。
【0021】
パネル型入力装置10における第2の検出部材22の導電膜20は、絶縁基板18の表面の略全体に渡って形成される。したがってパネル型入力装置10では、第2の検出部材22の導電膜20は、第1の検出部材16の導電膜14に対し、全体が等電位の平板電極として作用する。そのため、オペレータが第2の検出部材22の所望位置を押圧してその導電膜20を第1の検出部材16の導電膜14に接触させたときに、パネル型入力装置10とその搭載機器との間に形成される検出回路内に、所定電圧下で、導電膜14を構成する複数の導電区画28のそれぞれにおいて異なる回路抵抗が検出され、この回路抵抗に基いて押圧位置が特定される。このように、パネル型入力装置10は、オペレータによるパネル押圧点を、第1の検出部材16の導電膜14を形成する複数の導電区画(すなわち検出区画)28に対応して個別に特定するものであるから、多点キー入力等のデジタル的な入力指示を行なう用途に適している。
【0022】
本発明に係るパネル型入力装置10の特徴的構成として、第1の検出部材16の絶縁基板12の表面上で複数の導電区画28を直列状に導通連接する複数の導電線路30は、それぞれに、個々の導電区画28が本質的に有する抵抗値よりも大きな予め定めた線路抵抗値を有するように形成される。具体的には、各導電線路30は、平面視略矩形の導電区画28に比べて十分に狭隘な細長片形状を有することにより、その抵抗値を増大させている。それによりパネル型入力装置10では、第1の検出部材16の導電膜14が第2の検出部材22の導電膜20に導通接触したときに、個々の導電区画28が、連接初端の導電区画28との間に存在する導電線路30の合計線路抵抗値に依存して、それぞれに異なる回路抵抗を示すようになっている。
【0023】
例えば、連接初端(図示1番)の導電区画28が第2の検出部材22の導電膜20に導通接触したときの回路抵抗(基準抵抗値)をα1とし、各導電区画28が本質的に有する抵抗値をβとし、各導電線路30が本質的に有する線路抵抗値をγとしたときに、図示2番の導電区画28が導電膜20に導通接触したときの回路抵抗α2は、α2=α1+β+γとなる。同様に、図示n番の導電区画28が導電膜20に導通接触したときの回路抵抗αnは、αn=α1+β+(n−1)γとなる。したがって、導通接触したn番の導電区画28の位置(すなわちオペレータによる押圧位置)を、連接初端の導電区画28との間に存在する導電線路30の合計線路抵抗値(n−1)γに依存して示される回路抵抗αnに基いて、特定することができる。ここで、βをγに比べて無視できる程度の値に設定すれば、1つの導電区画28内で導通接触位置が異なる場合でも、その導電区画28によって示される回路抵抗は一定になり、当該導電区画28の位置をオペレータによる押圧位置として、特定して検出することができる。
【0024】
上記構成を有するパネル型入力装置10では、第1の検出部材16における直列状に連接された複数の導電区画28は、連接初端の導電区画28に1つの外部端子32を設けることによって、入力装置搭載機器との間に検出回路を形成できる。また、第2の検出部材22における平板状の導電膜20は、その所望位置に1つの外部端子(図示せず)を設けることによって、同様に検出回路を構成できる。したがって、パネル型入力装置10によれば、各検出部材16、22の絶縁基板12、18上の検出用配線を、最小限にするか実質的に排除することができる。その結果、導電区画(検出区画)28の個数を増加させる場合にも、配線設置のために絶縁基板12、18の表面積を拡張する必要が無くなり、パネル型入力装置10の外形寸法の増大が回避される。またその場合に、各検出部材16、22の外部端子の個数を増やす必要が無いから、入力装置搭載機器との間の接続インタフェース及び検出回路の構成を簡略化できる。
【0025】
パネル型入力装置10においては、図示のように、第1の検出部材16に、その導電膜14から絶縁して絶縁基板12の表面上に設けられる配線要素34をさらに設けることができる。配線要素34は、第2の検出部材22の導電膜20に電気的に常時接続されるように構成され、配線要素34の所望位置に、第2の検出部材22のための外部端子36を設置する。このような構成によれば、第2の検出部材22自体に外部端子を設ける必要が無くなるので、第2の検出部材22の取り扱いが容易になる。
【0026】
図示のように配線要素34は、絶縁基板12の表面上で、導電膜14を構成する複数の導電区画28を内包する入力操作領域の外側に、この入力操作領域を囲繞するようにして形成できる。この場合、導電膜14と配線要素34とは、外周絶縁画線26´を介して互いに隣接配置される。この構成によれば、接着剤層24の配置に必要な領域を利用して配線要素34を設置できるので、絶縁基板12の外形寸法の増加を回避できる。さらにこの構成では、接着剤層24の所望位置に設置した導電要素(例えば導電性接着剤)38(図1)によって、配線要素34を第2の検出部材22の導電膜20に簡易かつ確実に常時接続することができる。
【0027】
本発明に係るパネル型入力装置は、第1の検出部材の導電膜として、上記実施形態における導電区画28及び導電線路30の配置構成以外の様々な構成を有する導電膜を採用できる。図3は、そのような他の導電膜構成を有する本発明の第2の実施形態によるパネル型入力装置の、第1の検出部材40を示す。この実施形態は、導電膜の構成以外は前述した第1の実施形態と同様の構成を有するものであって、対応する構成要素には共通の参照符号を付してその説明を省略する。
【0028】
この実施形態では、第1の検出部材40は、前述した第1の検出部材16の導電膜14と同様の、複数の絶縁画線26、26´によって画定された6×8のマトリクス状に配設される平面視略矩形の複数の導電区画28と、隣り合う導電区画28を互いに局所的に導通連接する細長片状の複数の導電線路30とを有する導電膜42を備える。導電膜42においては、図で1つの列(縦方向配列)を構成する6個の導電区画28が、隣り合う導電区画28の間に1本の横方向絶縁画線26を介在させて整列配置され、図で1つの行(横方向配列)を構成する8個の導電区画28が、下端行を除いて、隣り合う導電区画28の間に2本の縦方向絶縁画線26を介在させて整列配置される。下端行の8個の導電区画28は、左端の導電区画28とその右側の導電区画28との間には1本の縦方向絶縁画線26を介在させ、他の隣り合う導電区画28の間には2本の縦方向絶縁画線26を介在させて整列配置される。また、下端行の8個の導電区画28では、左端を除く7個の導電区画28に対し、外周絶縁画線26´の内側近傍に平行に延びる横方向絶縁画線26によって、図で下辺の輪郭が付与される。さらに、右端列の6個の導電区画28に対し、外周絶縁画線26´の内側近傍に平行に延びる縦方向絶縁画線26によって、図で右辺の輪郭が付与される。
【0029】
1つの列で縦に隣り合う導電区画28の間に介在する1本の横方向絶縁画線26は、その左端で、1つの行で横に隣り合う導電区画28の間に介在する2本の縦方向絶縁画線26のうち右側の絶縁画線26(又は外周絶縁画線26´)に接続され、その右端で、同2本の縦方向絶縁画線26のうち左側の絶縁画線26に接続される。また、1つの行で横に隣り合う導電区画28の間に介在する2本の縦方向絶縁画線26は、左側の絶縁画線26が右側よりも短く、それにより個々の導電区画28の輪郭がその右辺上端で局所的に消滅している。さらに、下端行の左端に位置する導電区画28の左辺を規定する縦方向絶縁画線26は、その下端で左方へ屈折して延長されるとともに、同導電区画28の下辺を規定する横方向絶縁画線26は、同様に左方へ延長されて、いずれも絶縁基板12の外縁に達している。
【0030】
複数の絶縁画線26、26´のこのような配置構成により、互いに近接して平行に延設される2本の絶縁画線26の間及び絶縁画線26と外周絶縁画線26´との間に、隣り合う導電区画28を互いに局所的に導通連接する導電線路30がそれぞれ形成される。この実施形態では、複数の導電区画28は、下端行の左端の導電区画28(図で1番を付す)を連接初端とし、下端行の8個の導電区画28をそれぞれに含む列の上端8個の導電区画28(図で6、12、18、24、30、36、42、48番を付す)を連接終端として、複数の導電線路30により電気的に8列に分枝して相互連接されることになる。なお図示のように、これら複数の導電線路30は、それぞれに絶縁画線26を介して複数の導電区画28に隣接配置され、それにより、絶縁基板12の表面を有効に利用して分枝状に延長される。
【0031】
上記構成を有する導電膜40は、個々の列の導電区画28を縦方向に導通連接する複数の導電線路30(30a)の線路抵抗値よりも、下端行の導電区画28を横方向に導通連接する複数の導電線路30の線路抵抗値の方が大きく、さらに下端行の7個の横方向導電線路30の中でも、左端の導電区画30(30b)の線路抵抗値に比べて他の6個の導電区画30(30c)の線路抵抗値の方が大きくなるように形成される。具体的には、導電線路30bは導電線路30aよりも狭隘な細長片形状に形成され、また導電線路30cは導電線路30bよりもさらに狭隘な細長片形状に形成されている。それによりこの実施形態では、第1の検出部材40の導電膜42が第2の検出部材22の導電膜20(図1)に導通接触したときに、個々の導電区画28が、連接初端の導電区画28との間に存在する導電線路30a、30b、30cの合計線路抵抗値に依存して、それぞれに異なる回路抵抗を示すようになっている。
【0032】
例えば、連接初端(図示1番)の導電区画28が第2の検出部材22の導電膜20に導通接触したときの回路抵抗(基準抵抗値)をα1とし、各導電区画28が本質的に有する抵抗値をβとし、各導電線路30aが本質的に有する線路抵抗値をγとし、導電線路30bが本質的に有する線路抵抗値を5γとし、各導電線路30cが本質的に有する線路抵抗値を6γとしたときに、図示2番の導電区画28が導電膜20に導通接触したときの回路抵抗α2は、α2=α1+β+γとなり、図示7番の導電区画28が導電膜20に導通接触したときの回路抵抗α7は、α7=α1+β+5γ+γとなり、図示13番の導電区画28が導電膜20に導通接触したときの回路抵抗α13は、α13=α1+β+5γ+6γ+γとなる。同様に、図示n番の導電区画28が導電膜20に導通接触したときの回路抵抗αnは、αn=α1+β+(n−1)γとなる。したがって、導通接触したn番の導電区画28の位置(すなわちオペレータによる押圧位置)を、連接初端の導電区画28との間に存在する導電線路30a、30b、30cの合計線路抵抗値(n−1)γに依存して示される回路抵抗αnに基いて、特定することができる。ここで、βをγに比べて無視できる程度の値に設定すれば、1つの導電区画28内で導通接触位置が異なる場合でも、その導電区画28によって示される回路抵抗は一定になり、当該導電区画28の位置をオペレータによる押圧位置として、特定して検出することができる。
【0033】
上記構成を有する第1の検出部材40によっても、前述したパネル型入力装置10の第1の検出部材16と同等の作用効果が奏されることは理解されよう。さらにこの実施形態によれば、複数の導電区画28を分枝状に相互連接したから、全ての導電区画28を直列状に相互連接する構成に比べて、1つの導電線路30における不具合の影響が及ぶ導電区画28の個数が削減される利点がある。
【0034】
図4は、さらに他の導電膜構成を有する本発明の第3の実施形態によるパネル型入力装置の、第1の検出部材50を示す。この実施形態は、導電膜の構成以外は前述した第1の実施形態と同様の構成を有するものであって、対応する構成要素には共通の参照符号を付してその説明を省略する。
【0035】
この実施形態では、第1の検出部材50は、複数の絶縁画線26、26´によって画定された6×8のマトリクス状に配設される平面視略矩形の複数の導電区画28と、隣り合う導電区画28を互いに局所的に導通連接する細長片状の複数の導電線路30と、複数の導電区画28から絶縁して絶縁基板12の表面上に設けられる2個の第2導電区画52、54とを有する導電膜56を備える。導電膜56においては、複数の導電区画28の6×8マトリクス状配置における左下端区画が第2導電区画52に置換され、同右上端区画が第2導電区画54に置換されている。それら第2導電区画52、54は、絶縁画線26によって、導電区画28から絶縁されるとともに互いに絶縁される。
【0036】
導電膜56における複数の導電区画28は、第1実施形態における第1の検出部材16の導電膜14と同様に、蛇行状に延びる複数の導電線路30によって電気的に直列状に相互連接される。そして、左下端の第2導電区画52の上側に位置する連接初端の導電区画28に、第1の検出部材50の外部端子32が設けられる。また、左下端の第2導電区画52には、第1の検出部材50の第2の外部端子58が設けられる。
【0037】
第1の検出部材50はさらに、複数の導電区画28、52、54を包囲する外周絶縁画線26´の外側に、右上端の第2導電区画54に直接接続される配線要素60と、第2の検出部材22の導電膜20(図1)に例えば導電性接着剤38(図1)を介して電気的に常時接続される配線要素34とを備える。それら配線要素34、60は、絶縁画線26´の延長部分によって互いに絶縁される。そして、配線要素34に第1の検出部材22のための外部端子36が設けられるとともに、配線要素60に第1の検出部材50の第3の外部端子62が設けられる。これら外部端子32、36、58、62は、図示のように1箇所に集中的に設けられることが、接続インタフェースの構造を簡略化する観点で有効である。
【0038】
上記構成を有する導電膜56は、直列状に連接される複数の導電区画28においては、第1実施形態における第1の検出部材16と同様に、第2の検出部材22の導電膜20(図1)に導通接触したときに、個々の導電区画28が、連接初端の導電区画28との間に存在する導電線路30の合計線路抵抗値に依存して、それぞれに異なる回路抵抗を示す。したがって、導通接触した図示Bn番の導電区画28の位置(すなわちオペレータによる押圧位置)を、連接初端(図示B1番)の導電区画28との間に存在する導電線路30の合計線路抵抗値(n−1)γに依存して示される回路抵抗αnに基いて、特定することができる。また、第2導電区画52、54のそれぞれ(図示A番及びC番)は、いずれも導電区画28から電気的に独立しているので、各導電区画52、54自体の抵抗値に関わり無く、それら第2導電区画52、54における導通信号の検出により、オペレータによる押圧位置を特定することができる。
【0039】
上記構成を有する第1の検出部材50によっても、前述したパネル型入力装置10の第1の検出部材16と同等の作用効果が奏されることは理解されよう。さらにこの実施形態によれば、1つの導電区画28と1つ又は2つの第2導電区画52、54とを同時に押圧したときに、それらの押圧位置を個々に同時検出することができる。このような構成によれば、例えばJISキーボードにおけるShiftキー等の、他のキーとの同時押下操作による入力指示を行なうキー構成を実現できるようになる。
【0040】
図5(a)及び(b)は、上記した第1の検出部材50の変形例をそれぞれ示す。これら変形例では、導電膜56を構成する複数の導電区画28が、第2実施形態における第1の検出部材40の導電膜42と同様に、分枝状に延びる複数の導電線路30a、30b、30cによって電気的に複数に分枝して相互連接される。2つの変形例の相違は、外部端子32、58の位置を入れ替えている点にある。これら変形例においても、前述したパネル型入力装置10の第1の検出部材16と同等の作用効果が奏される。
【0041】
図6は、さらに他の導電膜構成を有する本発明の第4の実施形態によるパネル型入力装置の、第1の検出部材70を示す。この実施形態は、導電膜の構成以外は前述した第1の実施形態と同様の構成を有するものであって、対応する構成要素には共通の参照符号を付してその説明を省略する。
【0042】
この実施形態では、第1の検出部材70は、複数の絶縁画線26、26´によって画定された全体として6×8のマトリクス状に配設される平面視略矩形の複数の導電区画28、72を有する導電膜74を備える。それら導電区画28、72は、6×4マトリクス状配置で複数の導電線路30a、30b、30cによって分枝状に導通連接される複数の導電区画28と、それら導電区画28から絶縁して、同様に6×4マトリクス状配置で複数の第2導電線路76a、76b、76cによって分枝状に導通連接される複数の第2導電区画72とから構成される。第2導電区画72及び第2導電線路76a、76b、76cは、導電区画28及び導電線路30a、30b、30cと同一の構造(例えば抵抗値関係)を有し、いずれも第2実施形態における第1の検出部材40の導電膜42と同様の分枝状配置構成を有する。そして、連接初端の導電区画28に第1の検出部材70の外部端子32が設けられ、連接初端の第2導電区画72に第1の検出部材70の第2の外部端子78が設けられる。
【0043】
上記構成を有する導電膜74は、分枝状に連接される複数の導電区画28においては、第2実施形態における第1の検出部材40と同様に、第2の検出部材22の導電膜20(図1)に導通接触したときに、個々の導電区画28が、連接初端の導電区画28との間に存在する導電線路30a、30b、30cの合計線路抵抗値に依存して、それぞれに異なる回路抵抗を示す。したがって、導通接触した図示An番の導電区画28の位置(すなわちオペレータによる押圧位置)を、連接初端(図示A1番)の導電区画28との間に存在する導電線路30a、30b、30cの合計線路抵抗値(n−1)γに依存して示される回路抵抗αnに基いて、特定することができる。同様に、分枝状に連接される複数の第2導電区画72においては、第2の検出部材22の導電膜20(図1)に導通接触したときに、個々の導電区画72が、連接初端の導電区画72との間に存在する導電線路76a、76b、76cの合計線路抵抗値に依存して、それぞれに異なる回路抵抗を示す。したがって、導通接触した図示Bn番の導電区画72の位置(すなわちオペレータによる押圧位置)を、連接初端(図示B1番)の導電区画72との間に存在する導電線路76a、76b、76cの合計線路抵抗値(n−1)γに依存して示される回路抵抗αnに基いて、特定することができる。
【0044】
上記構成を有する第1の検出部材70によっても、前述したパネル型入力装置10の第1の検出部材16と同等の作用効果が奏されることは理解されよう。さらにこの実施形態によれば、導電区画28と第2導電区画72とが互いに電気的に独立しているので、前述した第3実施形態と同様に、1つの導電区画28と1つの第2導電区画72とを同時に押圧したときに、それらの押圧位置を個々に同時検出することができる。なお、この第4実施形態において、複数の導電区画28及び複数の第2導電区画72の少なくとも一方を、直列状の連接形態に構成できることはいうまでもない。
【0045】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、対向配置した一対の板状検出部材の入力操作領域内に、個別に位置特定可能な複数の検出区画を有するキー入力対応型のパネル型入力装置において、検出用配線の設置に必要な各検出部材の絶縁基板の表面積を拡張したり、入力装置搭載機器との間の接続インタフェース及び検出回路の構成を複雑にしたりすることなく、検出区画の個数を増加させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態によるパネル型入力装置の分解斜視図である。
【図2】図1のパネル型入力装置に組み込まれる第1の検出部材の平面図である。
【図3】本発明の第2実施形態によるパネル型入力装置に組み込まれる第1の検出部材の平面図である。
【図4】本発明の第3実施形態によるパネル型入力装置に組み込まれる第1の検出部材の平面図である。
【図5】図4に示す第1の検出部材の、(a)第1変形例、及び(b)第2変形例を示す平面図である。
【図6】本発明の第4実施形態によるパネル型入力装置に組み込まれる第1の検出部材の平面図である。
【符号の説明】
10…パネル型入力装置
12、18…絶縁基板
14、20、42、56、74…導電膜
16、40、50、70…第1の検出部材
22…第2の検出部材
26、26´…絶縁画線
28…導電区画
30…導電線路
32、36、58、62、78…外部端子
34…配線要素
52、54、72…第2導電区画
76a、76b、76c…第2導電線路
Claims (6)
- 絶縁基板及び該絶縁基板の一表面に設けられる導電膜をそれぞれに備えた第1及び第2の検出部材を具備し、それら第1及び第2の検出部材が、それぞれの該導電膜を互いに導通接触可能に対向かつ離間させた相対配置で組み合わされてなるパネル型入力装置において、
前記第1の検出部材の前記導電膜は、前記絶縁基板の前記表面上で絶縁画線を介して互いに隣接配置される複数の導電区画と、隣り合う該導電区画を互いに導通連接する少なくとも1つの導電線路とを備え、
該導電線路は、前記複数の導電区画の各々の抵抗値よりも大きな予め定めた線路抵抗値を有し、それにより該複数の導電区画が、前記第2の検出部材の前記導電膜と導通接触したときにそれぞれに異なる回路抵抗を示すこと、
を特徴とするパネル型入力装置。 - 前記複数の導電区画が直列状に相互連接され、連接初端の該導電区画に前記第1の検出部材の外部端子が設けられる、請求項1に記載のパネル型入力装置。
- 前記複数の導電区画が複数に分枝して相互連接され、連接初端の該導電区画に前記第1の検出部材の外部端子が設けられる、請求項1に記載のパネル型入力装置。
- 前記第1の検出部材の前記導電膜は、前記複数の導電区画から絶縁して前記絶縁基板の前記表面上に設けられる少なくとも1つの第2導電区画を備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパネル型入力装置。
- 前記絶縁基板の前記表面上で絶縁画線を介して互いに隣接配置される複数の前記第2導電区画と、隣り合う該第2導電区画を互いに導通連接する少なくとも1つの第2導電線路とを備え、該第2導電線路は、該複数の第2導電区画の各々の抵抗値よりも大きな予め定めた線路抵抗値を有し、それにより該複数の第2導電区画が、前記第2の検出部材の前記導電膜と導通接触したときにそれぞれに異なる回路抵抗を示す、請求項4に記載のパネル型入力装置。
- 前記第1の検出部材は、前記導電膜から絶縁して前記絶縁基板の前記表面上に設けられ、前記第2の検出部材の前記導電膜に電気的に常時接続される配線要素をさらに備え、該配線要素に該第2の検出部材の外部端子が設けられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のパネル型入力装置。
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-
2003
- 2003-04-21 JP JP2003115969A patent/JP2004326173A/ja active Pending
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