JP2004325730A - 光変調器 - Google Patents
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Abstract
【課題】高速変調動作可能な光変調器を得る。
【解決手段】光変調器を、半絶縁性半導体基板1と、半絶縁性半導体基板上に形成されたストライプ状の光吸収層2と、半絶縁性半導体基板1上で光吸収層2の側面に沿って設けられたn型導電層3と、半絶縁性半導体基板1上で光吸収層2を介してn型導電層3に対向する位置に設けられたp型導電層4と、n型導電層3上に形成されたn型電極8と、p型導電層4上に形成されたp型電極9と、で構成し、n型導電層3およびp型導電層4を光吸収層2と同一種の構成元素からなる混晶で形成した。
【選択図】 図1
【解決手段】光変調器を、半絶縁性半導体基板1と、半絶縁性半導体基板上に形成されたストライプ状の光吸収層2と、半絶縁性半導体基板1上で光吸収層2の側面に沿って設けられたn型導電層3と、半絶縁性半導体基板1上で光吸収層2を介してn型導電層3に対向する位置に設けられたp型導電層4と、n型導電層3上に形成されたn型電極8と、p型導電層4上に形成されたp型電極9と、で構成し、n型導電層3およびp型導電層4を光吸収層2と同一種の構成元素からなる混晶で形成した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光変調器に関し、特に高速変調動作が可能な横方向電界印加型光変調器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体レーザ等を光源とした光通信システムでは、光源から発したレーザ光を高速変調する光変調器が一般的に用いられる。光変調器は、通常、素子の主面に垂直方向に電界を印可してレーザ光が導波する光吸収層の吸収係数を変化させて導波レーザ光を変調する。近年、さらなる高速変調を実現すべく、上述の光吸収層に対して垂直方向から電界を印加する構造とは異なる水平方向から電界を印可する、いわゆる横方向電界印加型光変調器が提案されている。かかる構造では、従来構造に対して光吸収層の接合面における接合容量が大幅に低減されるので、高速変調動作が可能となる。
【0003】
従来の横方向電界印加型光変調器は、例えば、非特許文献の図1で開示されたように、外部から入射したレーザ光を光吸収層へ閉じ込めるために、光吸収層の周辺部はInGaAsPで構成された光吸収層より屈折率の小さいInPクラッド領域で囲まれていた。つまり、光吸収層をコアとした埋め込み型光導波路が形成されていた。さらに、水平方向、つまりInP基板の主面に対して平行方向では、ストライプ状の光吸収層の両側面にそれぞれn型およびp型InP導電層が形成されていた。p型InP導電層上に設けられたp型電極とn型InP導電層上に設けられたn型電極との間に電圧を印加することによって、光吸収層に対して水平方向(横方向)への電界が印加された。通過するレーザ光に対する光吸収係数が光吸収層への横方向電界印加によって変化するため、光変調器に入射された連続したレーザ光を印加電界強度に対応した光信号へ変換する光強度変調が可能となった。
【0004】
【非特許文献1】
K.Wakita 他、”A New Electrosbsorption Modulator with Negative Chirp Operation Using a Parallel Field”, Japan. J. Appl. Phys. 2002年,Vol. 41, pp. 1175−1177
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来の横方向電界印加型光変調器では、光吸収層で生じた導波レーザ光の光吸収による電子とホール(光キャリア)は、InGaAsPで構成される光吸収層とn型およびp型InP導電層との界面に存在する大きなバンド不連続によって、光キャリアを速やかに電極側に引き抜くことができなかった。したがって、InGaAsP光吸収層/InP導電層界面にキャリアが蓄積され易く、p型およびn型電極に印加された電圧による電界が界面に蓄積されたキャリアによって電気的に遮蔽されてしまい、光吸収層に対して変調に必要な強度レベルの電界が印加できない不具合が生じた。この結果、光変調器に印加する電圧を高速変調動作させた場合、光信号の変調が正常に実施できなくなるという問題が生じた。この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、高速変調動作可能な光変調器を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光変調器は、半絶縁性半導体基板と、上記半絶縁性半導体基板上に形成されたストライプ状の光吸収層と、上記半絶縁性半導体基板上で上記光吸収層の側面に沿って設けられたn型導電層と、上記半絶縁性半導体基板上で上記光吸収層を介して上記n型導電層に対向する位置に設けられたp型導電層と、上記n型導電層上に形成されたn型電極と、上記p型導電層上に形成されたp型電極と、を備え、上記n型導電層およびp型導電層が上記光吸収層と同一種の構成元素からなる混晶で形成されることとした。
【0007】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
本発明の形態1による光変調器の断面図を図1に、概観図を図2に示す。本実施の形態の光変調器は、半絶縁性InP基板1と、半絶縁性InP基板1上に形成されたストライプ状のアンドープInGaAsP光吸収層2と、InGaAsP光吸収層2の両側面にそれぞれ設けられたn型InGaAsP導電層3およびp型InGaAsP導電層4と、さらに、InGaAsP光吸収層2上面全体およびn型InGaAsP導電層3とp型InGaAsP導電層4の一部を被覆するように形成されたストライプ状のInPリッジ層5と、n型InGaAsP導電層3上にn型InGaAsPコンタクト層6を介して形成されたn型電極8と、p型InGaAsP導電層4上にp型InGaAsPコンタクト層7を介して形成されたp型電極9と、で構成されている。なお、InGaAsPは混晶と呼ばれる結晶の一種で、同族の元素を任意組成で混合できる性質を有する。
【0008】
n型InGaAsPコンタクト層6は、上部のn型電極8と良好なオーミックコンタクトを形成するため、n型不純物が高濃度にドーピングされている。一方、p型InGaAsPコンタクト層7も上部のp型電極9と良好なオーミックコンタクトを形成するため、p型不純物が高濃度にドーピングされている。
【0009】
以下、本実施の形態の光変調器の動作について説明する。外部の半導体レーザ等の光源から発したレーザ光が光変調器の一端の光吸収層2に入射される。n型およびp型電極7、8を介してn型InGaAsP導電層3とp型InGaAsP導電層4間に信号に対応した電圧を印加すると、光吸収層2内にInP基板1の主面に対して水平方向の電界が印加される。かかる印加電界の影響により光吸収層2の吸収係数が変化する。光吸収層2を通過するレーザ光は印加電界強度に対応した光吸収による変調を受けた後、光変調器の他端から外部に出射される。
【0010】
本実施の形態の光変調器では、光吸収層2で発生した光キャリアが光吸収層2からn型導電層3およびp型導電層4を通してn型およびp型電極8,9へ引き抜かれる点は従来の光変調器と同様であるが、本素子構造では従来の素子構造に対して以下の利点がある。
【0011】
本実施の形態の光変調器では、光吸収層2の両側面にそれぞれ形成されたn型導電層3およびp型導電層4はInGaAsP材料という光吸収層2と同一種の構成元素からなる点が従来の光変調器(非特許文献1)と相違する。かかる構成を適用した理由を以下に述べる。光変調器による高速変調動作を実現するには、光キャリアを速やかにn型電極8およびp型電極9へ引き抜く必要がある。一方、光導波路の損失を低減する観点からは、光吸収層2以外の領域における不要な光吸収を避けるために、光吸収層2の両側面に形成される各導電層のバンドギャップエネルギーEDは光吸収層2のバンドギャップエネルギーEAよりもやや大きくなるような材料を用いる必要がある。したがって、光吸収層2と両側面のn型導電層3およびp型導電層4との界面では光導波路としての要請から本質的にバンド不連続が生じた。
【0012】
従来の光変調器では、n型導電層およびp型導電層はInPという二元混晶で構成されていたため、バンドギャップエネルギーEDは一義的に決まり制御するのは不可能であったのに対して、本実施の形態の光変調器では光吸収層2の両側面のn型導電層およびp型導電層を光吸収層2と同一種の構成元素からなる結晶材料であるInGaAsPという四元混晶で構成するため、各構成元素の組成比(混晶比)を調整する手段により各導電層のバンドギャップエネルギーEDを自由に設定できる。本実施の形態の光変調器では、n型InGaAsP導電層3およびp型InGaAsP導電層4のバンドギャップエネルギーEDを、光吸収層2のバンドギャップエネルギーEAよりもやや大きい値でかつ、両者のバンド不連続値をできるだけ小さくするようなInGaAsP混晶比を適用する。
【0013】
光キャリアが発生する光吸収層2とn型InGaAsP導電層3およびp型InGaAsP導電層4との界面に蓄積される光キャリアの引き抜き時間τは、光吸収層2の有効質量をm、界面領域の長さをL、バンド不連続をΔ、温度をT、ボルツマン定数をkBとすると、以下の式で表される。
1/τ=1/L (kBT/2πm)1/2 exp(−Δ/ kBT) (1)
(1)式によれば、光キャリア引き抜き時間はバンド不連続Δに対して指数関数的に変化するためバンド不連続Δを少しでも小さくすることで、光キャリア引き抜き時間を大幅に短縮できる。
【0014】
例えば、n型InGaAsP導電層3およびp型InGaAsP導電層4の波長換算されたバンドギャップエネルギーEDを1110nm、光吸収層2の波長換算されたバンドギャップエネルギーEAを1600nmに設定した組成比を有するInGaAsP材料を採用した場合、n型導電層およびp型導電層をInP材料とした場合と比較すると、光吸収層2とn型導電層およびp型導電層との界面のバンド不連続△は、光吸収層2と同一種のInGaAsP材料を用いた本実施の形態の光変調器の方が従来構造と比べて約1.4倍減少し、この結果、光キャリア引き抜き時間は約50倍高速になる。したがって、本実施の形態の素子構造を適用すれば、光吸収層2とn型InGaAsP導電層3およびp型InGaAsP導電層4との界面に蓄えられた光キャリアの引き抜き時間は従来の素子構造より一層短縮され光キャリアを速やかに電極に引き抜けるので、高速変調動作が可能となる。
【0015】
ただし、InGaAsP材料による導電層構成では光吸収層2との屈折率差Δnが小さくなるため、導波レーザ光に対する水平方向の光閉込め効果を持たせるべく、両者の屈折率差Δnを、0.002<Δn<0.15の範囲になるように光吸収層2とn型およびp型導電層3,4のInGaAsPの混晶比を設定する。
【0016】
本実施の形態の光変調器では光導波路を一層安定にすべく、光吸収層2上部全体およびn型およびp型導電層3,4を一部被覆するようにInPリッジ層5を形成して水平方向の光閉込め構造を設けている。つまり、InPリッジ層5の存在が光吸収層2内での水平方向の屈折率分布に影響を及ぼし実効的な屈折率差が形成されるので、光吸収層2に十分に導波レーザ光が閉じ込められる。
【0017】
なお、n型およびp型コンタクト層6、7としてInPより屈折率の小さいInGaAsP材料を用いることで光分布の水平方向への広がりを抑え、光吸収層2にレーザ光が効率的に閉じ込められる効果も得られる。
【0018】
以上、本実施の形態によれば、導電層を光吸収層と同一種の構成元素からなる混晶で構成し、少なくとも光吸収層上部にリッジ層を設けたので、高速変調動作が可能でかつ安定に光導波する光変調器が得られる。
【0019】
実施の形態2.
実施の形態2の光変調器の断面図を図3に示す。実施の形態2の光変調器は実施の形態1の光変調器に対して、光吸収層がウエル層とバリア層を交互に積層させてなる多重量子井戸構造で構成されている点が相違する。光吸収層10を構成する多重量子井戸構造では、ウエル層のバンドギャップエネルギーEwがn型およびp型InGaAsP導電層3,4のバンドギャップエネルギーより小さく、かつバリア層のバンドギャップエネルギーEBがn型およびp型InGaAsP導電層3,4のバンドギャップエネルギーEDより大きくなるように設定する。すなわち、
Ew<ED<EB (2)
という関係になるよう各層の混晶比、層厚等を設定する。
【0020】
かかる構成によりウエル層に蓄積した光キャリアがバリア層へ熱的に励起するよりも速く各導電層3,4へ引き抜けるために、半絶縁性InP基板1に対して垂直方向へのキャリア移動を抑制できる。上述したように、バリア層のバンドギャップエネルギーEBよりn型およびp型InGaAsP導電層3,4のバンドギャップエネルギーEDの方が小さいので、バンド不連続△もウエル層/導電層3,4間の方が小さくなるからである。この結果、光吸収層10における水平方向、つまり半絶縁性InP基板1と平行方向へのキャリア移動が効率的に行えるため、p型およびn型電極8,9で光キャリアを一層速やかに引き抜ぬくことが可能となる。
【0021】
以上、実施の形態2の光変調器では、実施の形態1の素子構造における光吸収層を多重量子井戸構造で構成したので、一層高速変調動作が可能になる効果がある。
【0022】
なお、各実施の形態の光変調器は、光吸収層2をInGaAsP材料に代わってAlGaInAs材料で構成しても同様の効果を発揮する。また、各導電層3,4としてAlGaInAs材料を適用しても、各実施の形態の光変調器と同様に、光キャリアの蓄積を緩和する効果が期待できる。さらに、リッジ層5の構成材料も上述のInPに代えて光吸収層2のバンドギャップエネルギーよりも大きいInGaAsPやAlGaInAsで構成しても同様の効果が生じる。
【0023】
【発明の効果】
本発明に係る光変調器では、半絶縁性半導体基板と、上記半絶縁性半導体基板上に形成されたストライプ状の光吸収層と、上記半絶縁性半導体基板上で上記光吸収層の側面に沿って設けられたn型導電層と、上記半絶縁性半導体基板上で上記光吸収層を介して上記n型導電層に対向する位置に設けられたp型導電層と、上記n型導電層上に形成されたn型電極と、上記p型導電層上に形成されたp型電極と、を備え、上記n型導電層およびp型導電層が上記光吸収層と同一種の構成元素からなる混晶で形成されることとしたので、高速変調動作が可能な光変調器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1における光変調器の断面図である。
【図2】実施の形態1における光変調器の概観図である。
【図3】実施の形態2における光変調器の断面図である。
【符号の説明】
1 半絶縁性InP基板、 2 アンドープInGaAsP光吸収層、 3 n型InGaAsP導電層、 4 p型InGaAsP導電層、 5 InPリッジ層、 6 n型InGaAsPコンタクト層、 7 p型InGaAsPコンタクト層、 8 n型電極、 9 p型電極、 10 多重量子井戸構造からなる光吸収層。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光変調器に関し、特に高速変調動作が可能な横方向電界印加型光変調器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体レーザ等を光源とした光通信システムでは、光源から発したレーザ光を高速変調する光変調器が一般的に用いられる。光変調器は、通常、素子の主面に垂直方向に電界を印可してレーザ光が導波する光吸収層の吸収係数を変化させて導波レーザ光を変調する。近年、さらなる高速変調を実現すべく、上述の光吸収層に対して垂直方向から電界を印加する構造とは異なる水平方向から電界を印可する、いわゆる横方向電界印加型光変調器が提案されている。かかる構造では、従来構造に対して光吸収層の接合面における接合容量が大幅に低減されるので、高速変調動作が可能となる。
【0003】
従来の横方向電界印加型光変調器は、例えば、非特許文献の図1で開示されたように、外部から入射したレーザ光を光吸収層へ閉じ込めるために、光吸収層の周辺部はInGaAsPで構成された光吸収層より屈折率の小さいInPクラッド領域で囲まれていた。つまり、光吸収層をコアとした埋め込み型光導波路が形成されていた。さらに、水平方向、つまりInP基板の主面に対して平行方向では、ストライプ状の光吸収層の両側面にそれぞれn型およびp型InP導電層が形成されていた。p型InP導電層上に設けられたp型電極とn型InP導電層上に設けられたn型電極との間に電圧を印加することによって、光吸収層に対して水平方向(横方向)への電界が印加された。通過するレーザ光に対する光吸収係数が光吸収層への横方向電界印加によって変化するため、光変調器に入射された連続したレーザ光を印加電界強度に対応した光信号へ変換する光強度変調が可能となった。
【0004】
【非特許文献1】
K.Wakita 他、”A New Electrosbsorption Modulator with Negative Chirp Operation Using a Parallel Field”, Japan. J. Appl. Phys. 2002年,Vol. 41, pp. 1175−1177
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来の横方向電界印加型光変調器では、光吸収層で生じた導波レーザ光の光吸収による電子とホール(光キャリア)は、InGaAsPで構成される光吸収層とn型およびp型InP導電層との界面に存在する大きなバンド不連続によって、光キャリアを速やかに電極側に引き抜くことができなかった。したがって、InGaAsP光吸収層/InP導電層界面にキャリアが蓄積され易く、p型およびn型電極に印加された電圧による電界が界面に蓄積されたキャリアによって電気的に遮蔽されてしまい、光吸収層に対して変調に必要な強度レベルの電界が印加できない不具合が生じた。この結果、光変調器に印加する電圧を高速変調動作させた場合、光信号の変調が正常に実施できなくなるという問題が生じた。この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、高速変調動作可能な光変調器を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光変調器は、半絶縁性半導体基板と、上記半絶縁性半導体基板上に形成されたストライプ状の光吸収層と、上記半絶縁性半導体基板上で上記光吸収層の側面に沿って設けられたn型導電層と、上記半絶縁性半導体基板上で上記光吸収層を介して上記n型導電層に対向する位置に設けられたp型導電層と、上記n型導電層上に形成されたn型電極と、上記p型導電層上に形成されたp型電極と、を備え、上記n型導電層およびp型導電層が上記光吸収層と同一種の構成元素からなる混晶で形成されることとした。
【0007】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
本発明の形態1による光変調器の断面図を図1に、概観図を図2に示す。本実施の形態の光変調器は、半絶縁性InP基板1と、半絶縁性InP基板1上に形成されたストライプ状のアンドープInGaAsP光吸収層2と、InGaAsP光吸収層2の両側面にそれぞれ設けられたn型InGaAsP導電層3およびp型InGaAsP導電層4と、さらに、InGaAsP光吸収層2上面全体およびn型InGaAsP導電層3とp型InGaAsP導電層4の一部を被覆するように形成されたストライプ状のInPリッジ層5と、n型InGaAsP導電層3上にn型InGaAsPコンタクト層6を介して形成されたn型電極8と、p型InGaAsP導電層4上にp型InGaAsPコンタクト層7を介して形成されたp型電極9と、で構成されている。なお、InGaAsPは混晶と呼ばれる結晶の一種で、同族の元素を任意組成で混合できる性質を有する。
【0008】
n型InGaAsPコンタクト層6は、上部のn型電極8と良好なオーミックコンタクトを形成するため、n型不純物が高濃度にドーピングされている。一方、p型InGaAsPコンタクト層7も上部のp型電極9と良好なオーミックコンタクトを形成するため、p型不純物が高濃度にドーピングされている。
【0009】
以下、本実施の形態の光変調器の動作について説明する。外部の半導体レーザ等の光源から発したレーザ光が光変調器の一端の光吸収層2に入射される。n型およびp型電極7、8を介してn型InGaAsP導電層3とp型InGaAsP導電層4間に信号に対応した電圧を印加すると、光吸収層2内にInP基板1の主面に対して水平方向の電界が印加される。かかる印加電界の影響により光吸収層2の吸収係数が変化する。光吸収層2を通過するレーザ光は印加電界強度に対応した光吸収による変調を受けた後、光変調器の他端から外部に出射される。
【0010】
本実施の形態の光変調器では、光吸収層2で発生した光キャリアが光吸収層2からn型導電層3およびp型導電層4を通してn型およびp型電極8,9へ引き抜かれる点は従来の光変調器と同様であるが、本素子構造では従来の素子構造に対して以下の利点がある。
【0011】
本実施の形態の光変調器では、光吸収層2の両側面にそれぞれ形成されたn型導電層3およびp型導電層4はInGaAsP材料という光吸収層2と同一種の構成元素からなる点が従来の光変調器(非特許文献1)と相違する。かかる構成を適用した理由を以下に述べる。光変調器による高速変調動作を実現するには、光キャリアを速やかにn型電極8およびp型電極9へ引き抜く必要がある。一方、光導波路の損失を低減する観点からは、光吸収層2以外の領域における不要な光吸収を避けるために、光吸収層2の両側面に形成される各導電層のバンドギャップエネルギーEDは光吸収層2のバンドギャップエネルギーEAよりもやや大きくなるような材料を用いる必要がある。したがって、光吸収層2と両側面のn型導電層3およびp型導電層4との界面では光導波路としての要請から本質的にバンド不連続が生じた。
【0012】
従来の光変調器では、n型導電層およびp型導電層はInPという二元混晶で構成されていたため、バンドギャップエネルギーEDは一義的に決まり制御するのは不可能であったのに対して、本実施の形態の光変調器では光吸収層2の両側面のn型導電層およびp型導電層を光吸収層2と同一種の構成元素からなる結晶材料であるInGaAsPという四元混晶で構成するため、各構成元素の組成比(混晶比)を調整する手段により各導電層のバンドギャップエネルギーEDを自由に設定できる。本実施の形態の光変調器では、n型InGaAsP導電層3およびp型InGaAsP導電層4のバンドギャップエネルギーEDを、光吸収層2のバンドギャップエネルギーEAよりもやや大きい値でかつ、両者のバンド不連続値をできるだけ小さくするようなInGaAsP混晶比を適用する。
【0013】
光キャリアが発生する光吸収層2とn型InGaAsP導電層3およびp型InGaAsP導電層4との界面に蓄積される光キャリアの引き抜き時間τは、光吸収層2の有効質量をm、界面領域の長さをL、バンド不連続をΔ、温度をT、ボルツマン定数をkBとすると、以下の式で表される。
1/τ=1/L (kBT/2πm)1/2 exp(−Δ/ kBT) (1)
(1)式によれば、光キャリア引き抜き時間はバンド不連続Δに対して指数関数的に変化するためバンド不連続Δを少しでも小さくすることで、光キャリア引き抜き時間を大幅に短縮できる。
【0014】
例えば、n型InGaAsP導電層3およびp型InGaAsP導電層4の波長換算されたバンドギャップエネルギーEDを1110nm、光吸収層2の波長換算されたバンドギャップエネルギーEAを1600nmに設定した組成比を有するInGaAsP材料を採用した場合、n型導電層およびp型導電層をInP材料とした場合と比較すると、光吸収層2とn型導電層およびp型導電層との界面のバンド不連続△は、光吸収層2と同一種のInGaAsP材料を用いた本実施の形態の光変調器の方が従来構造と比べて約1.4倍減少し、この結果、光キャリア引き抜き時間は約50倍高速になる。したがって、本実施の形態の素子構造を適用すれば、光吸収層2とn型InGaAsP導電層3およびp型InGaAsP導電層4との界面に蓄えられた光キャリアの引き抜き時間は従来の素子構造より一層短縮され光キャリアを速やかに電極に引き抜けるので、高速変調動作が可能となる。
【0015】
ただし、InGaAsP材料による導電層構成では光吸収層2との屈折率差Δnが小さくなるため、導波レーザ光に対する水平方向の光閉込め効果を持たせるべく、両者の屈折率差Δnを、0.002<Δn<0.15の範囲になるように光吸収層2とn型およびp型導電層3,4のInGaAsPの混晶比を設定する。
【0016】
本実施の形態の光変調器では光導波路を一層安定にすべく、光吸収層2上部全体およびn型およびp型導電層3,4を一部被覆するようにInPリッジ層5を形成して水平方向の光閉込め構造を設けている。つまり、InPリッジ層5の存在が光吸収層2内での水平方向の屈折率分布に影響を及ぼし実効的な屈折率差が形成されるので、光吸収層2に十分に導波レーザ光が閉じ込められる。
【0017】
なお、n型およびp型コンタクト層6、7としてInPより屈折率の小さいInGaAsP材料を用いることで光分布の水平方向への広がりを抑え、光吸収層2にレーザ光が効率的に閉じ込められる効果も得られる。
【0018】
以上、本実施の形態によれば、導電層を光吸収層と同一種の構成元素からなる混晶で構成し、少なくとも光吸収層上部にリッジ層を設けたので、高速変調動作が可能でかつ安定に光導波する光変調器が得られる。
【0019】
実施の形態2.
実施の形態2の光変調器の断面図を図3に示す。実施の形態2の光変調器は実施の形態1の光変調器に対して、光吸収層がウエル層とバリア層を交互に積層させてなる多重量子井戸構造で構成されている点が相違する。光吸収層10を構成する多重量子井戸構造では、ウエル層のバンドギャップエネルギーEwがn型およびp型InGaAsP導電層3,4のバンドギャップエネルギーより小さく、かつバリア層のバンドギャップエネルギーEBがn型およびp型InGaAsP導電層3,4のバンドギャップエネルギーEDより大きくなるように設定する。すなわち、
Ew<ED<EB (2)
という関係になるよう各層の混晶比、層厚等を設定する。
【0020】
かかる構成によりウエル層に蓄積した光キャリアがバリア層へ熱的に励起するよりも速く各導電層3,4へ引き抜けるために、半絶縁性InP基板1に対して垂直方向へのキャリア移動を抑制できる。上述したように、バリア層のバンドギャップエネルギーEBよりn型およびp型InGaAsP導電層3,4のバンドギャップエネルギーEDの方が小さいので、バンド不連続△もウエル層/導電層3,4間の方が小さくなるからである。この結果、光吸収層10における水平方向、つまり半絶縁性InP基板1と平行方向へのキャリア移動が効率的に行えるため、p型およびn型電極8,9で光キャリアを一層速やかに引き抜ぬくことが可能となる。
【0021】
以上、実施の形態2の光変調器では、実施の形態1の素子構造における光吸収層を多重量子井戸構造で構成したので、一層高速変調動作が可能になる効果がある。
【0022】
なお、各実施の形態の光変調器は、光吸収層2をInGaAsP材料に代わってAlGaInAs材料で構成しても同様の効果を発揮する。また、各導電層3,4としてAlGaInAs材料を適用しても、各実施の形態の光変調器と同様に、光キャリアの蓄積を緩和する効果が期待できる。さらに、リッジ層5の構成材料も上述のInPに代えて光吸収層2のバンドギャップエネルギーよりも大きいInGaAsPやAlGaInAsで構成しても同様の効果が生じる。
【0023】
【発明の効果】
本発明に係る光変調器では、半絶縁性半導体基板と、上記半絶縁性半導体基板上に形成されたストライプ状の光吸収層と、上記半絶縁性半導体基板上で上記光吸収層の側面に沿って設けられたn型導電層と、上記半絶縁性半導体基板上で上記光吸収層を介して上記n型導電層に対向する位置に設けられたp型導電層と、上記n型導電層上に形成されたn型電極と、上記p型導電層上に形成されたp型電極と、を備え、上記n型導電層およびp型導電層が上記光吸収層と同一種の構成元素からなる混晶で形成されることとしたので、高速変調動作が可能な光変調器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1における光変調器の断面図である。
【図2】実施の形態1における光変調器の概観図である。
【図3】実施の形態2における光変調器の断面図である。
【符号の説明】
1 半絶縁性InP基板、 2 アンドープInGaAsP光吸収層、 3 n型InGaAsP導電層、 4 p型InGaAsP導電層、 5 InPリッジ層、 6 n型InGaAsPコンタクト層、 7 p型InGaAsPコンタクト層、 8 n型電極、 9 p型電極、 10 多重量子井戸構造からなる光吸収層。
Claims (8)
- 半絶縁性半導体基板と、
前記半絶縁性半導体基板上に形成されたストライプ状の光吸収層と、
前記半絶縁性半導体基板上で前記光吸収層の側面に沿って設けられたn型導電層と、
前記半絶縁性半導体基板上で前記光吸収層を介して前記n型導電層に対向する位置に設けられたp型導電層と、
前記n型導電層上に形成されたn型電極と、
前記p型導電層上に形成されたp型電極と、
を備え、
前記n型導電層およびp型導電層が前記光吸収層と同一種の構成元素からなる混晶で形成されていることを特徴とする光変調器。 - ストライプ状のリッジ層が、少なくとも前記光吸収層上に設けられていることを特徴とする請求項1記載の光変調器。
- 半絶縁性InP基板と、
前記半絶縁性InP基板上に形成されたストライプ状のInGaAsP光吸収層と、
前記半絶縁性InP基板上で前記InGaAsP光吸収層の側面に設けられたn型InGaAsP導電層と、
前記半絶縁性InP基板上で前記InGaAsP光吸収層を介して前記n型InGaAsP導電層に対向する位置に設けられたp型InGaAsP導電層と、
前記n型InGaAsP導電層上に形成されたn型電極と、
前記p型InGaAsP導電層上に形成されたp型電極と、
を備えたことを特徴とする光変調器。 - ストライプ状のInPリッジ層が、少なくとも前記InGaAsP光吸収層上に設けられていることを特徴とする請求項3記載の光変調器。
- 前記n型およびp型InGaAsP導電層のバンドギャップエネルギーが、前記InGaAsP光吸収層のバンドギャップエネルギーより大きいことを特徴とする請求項3または4記載の光変調器。
- 前記InGaAsP光吸収層が、複数のウエル層およびバリア層を交互に積層させてなる多重量子井戸構造で構成されていることを特徴とする請求項5記載の光変調器。
- 前記ウエル層のバンドギャップエネルギーが前記n型およびp型InGaAsP導電層のバンドギャップエネルギーより小さく、かつ前記バリア層のバンドギャップエネルギーが前記n型およびp型InGaAsP導電層のバンドギャップエネルギーより大きいことを特徴とする請求項6記載の光変調器。
- 前記光吸収層、n型導電層およびp型導電層が、InGaAsPに代わってAlGaInAsで構成されていることを特徴とする請求項3記載の光変調器。
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JP2003119602A JP2004325730A (ja) | 2003-04-24 | 2003-04-24 | 光変調器 |
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JP2003119602A JP2004325730A (ja) | 2003-04-24 | 2003-04-24 | 光変調器 |
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JP2004325730A true JP2004325730A (ja) | 2004-11-18 |
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JP2003119602A Pending JP2004325730A (ja) | 2003-04-24 | 2003-04-24 | 光変調器 |
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JP (1) | JP2004325730A (ja) |
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2003
- 2003-04-24 JP JP2003119602A patent/JP2004325730A/ja active Pending
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