JP2004325339A - カンチレバープローブ構造及び走査型力顕微鏡 - Google Patents
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Abstract
【課題】カンチレバープローブ構造及び走査型力顕微鏡に関し、効率的に物理量の測定を行うことができるようにすることを目的とする。
【解決手段】走査型力顕微鏡用カンチレバープローブ構造は、保持部材24と、カンチレバー26、30とを備え、各カンチレバーはレバー本体27、31と、レバー本体に設けられた探針28、32とを有し、2つのカンチレバー26、30のレバー本体27、31は保持部材24に一緒に保持され、2つのカンチレバーの探針28、32は異なった物理量を検出するように構成されている構成とする。
【選択図】 図2
【解決手段】走査型力顕微鏡用カンチレバープローブ構造は、保持部材24と、カンチレバー26、30とを備え、各カンチレバーはレバー本体27、31と、レバー本体に設けられた探針28、32とを有し、2つのカンチレバー26、30のレバー本体27、31は保持部材24に一緒に保持され、2つのカンチレバーの探針28、32は異なった物理量を検出するように構成されている構成とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気力や電気力などの物理量を測定する走査型力顕微鏡用カンチレバープローブ構造及び走査型力顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気力や電気力などの物理量を測定するためにカンチレバープローブ構造を備えた走査型力顕微鏡は公知である(例えば、特許文献1、2、3参照)。カンチレバープローブ構造は、レバー本体と、レバー本体に設けられた先端が鋭く尖った探針とを有するカンチレバーを備える。例えば、ハードディスクのような高密度に磁化された磁気記録媒体や磁気ヘッドなどの磁性体試料の磁化パターンを測定するために磁気力顕微鏡がある。磁気力顕微鏡では、カンチレバーの探針には強磁性材料が付加される。カンチレバーは、探針が磁性体試料の表面の近くの位置にくるように配置され、探針と磁性体試料との間に働く磁気力を測定する。そのため、探針は測定対象である磁性体試料の表面からわずかに浮上した位置に維持され、磁性体試料の表面に非接触な状態で走査して磁気力を測定する。磁性体試料と探針との間に磁気力が働くと、探針を保持しているレバー本体が撓み、このたわみを光てこ法などで検出する。このようにして、測定された磁気力をマッピングすることで、磁化パターンの測定が可能となる。探針の磁性体試料の表面に対する高さ位置の設定が測定分解能や測定精度に影響するため、正確な高さ位置の設定を行う必要がある。
【0003】
電気力測定の場合も、同様に、電気力に反応する構造(導電材料)を探針に形成し、探針を測定対象から浮上させて走査を行い、電気力測定を行う。
【0004】
このように、非接触で力測定を行う走査型力顕微鏡では、探針をわずかに試料表面から浮上させて走査を行うことでさまざまな物理量の測定を行うことができる。
【0005】
従って、探針をわずかに試料表面から浮上させて走査を行うことが必要であり、そのために先ず探針の高さ位置を測定しておく必要があった。このために、従来は、2回の走査を行うことにより物理量の測定を行っている(例えば、特許文献1参照)。1回目のライン走査で試料の形状測定を行い、2回目のライン走査で所望の物理量測定を行う。1回目の走査では、探針を測定対象試料の表面に接触させながら走査を行う。これによって試料の表面形状を測定し、一旦形状情報としてコントローラに蓄積する。引き続き、2回目の走査を行い、このときは1回目の走査で得られた表面形状情報をもとに所定の浮上高さ分だけ探針が浮上するように高さ制御用微動ステージを制御しながら走査を行う。これにより、試料表面からわずかに探針を浮上させ、非接触での物理量測定を行うことができる。
【0006】
また、原子間力顕微鏡および磁気力顕微鏡などの複数の走査型力顕微鏡を含む測定方法がある(例えば、特許文献2参照)。また、短時間で広い範囲の測定を可能とするために複数の同一種類のカンチレバープローブ構造をもち、全体のカンチレバープローブ構造の姿勢を制御しながら測定を行うようにした走査型力顕微鏡がある(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−213910号公報
【特許文献2】
特開平7−134137号公報
【特許文献3】
特開2000−183283号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、探針を試料と非接触で物理量を測定する場合、まず探針を試料に接触させながら試料の表面の形状測定を行い、それからその測定結果に基づいて探針を試料に対して所定の浮上量だけ浮上させた状態を維持しながら物理量を測定している。そのため、2度の走査を行う必要があるため、測定時間が増加する問題がある。また、2度の走査を行うことなく、例えば走査開始時にのみ探針の高さ位置設定を行い、その後は設定された高さのままで物理量測定のための走査を行うことができるが、この場合にも、高さ設定に少なからず時間を要するため、これによって測定時間が増加する。また、探針の高さ位置が予期した位置からずれたり、試料表面に凹凸があったりすると、一定の高さ位置を維持するのが難しい。さらに、物理量の測定に利用する探針が試料の表面に接触を繰り返すため、探針の材料が汚染されたり、劣化したりして、測定再現性を悪化させたり、探針の寿命を短くさせたりする問題がある。
【0009】
本発明の目的は効率的に物理量の測定を行うことのできるカンチレバープローブ構造及び走査型力顕微鏡を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によるカンチレバープローブ構造は、保持部材と、少なくとも2つのカンチレバーとを備え、各カンチレバーはレバー本体と、該レバー本体に設けられた探針とを有し、該少なくとも2つのカンチレバーのレバー本体は該保持部材に一緒に保持され、該少なくとも2つのカンチレバーの探針は異なった物理量を検出するように構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明による走査型力顕微鏡は、保持部材と、少なくとも2つのカンチレバーと、該保持部材を支持し且つ移動させる支持手段と、該少なくとも2つのカンチレバーの変位を検出する検出手段とを備え、各カンチレバーはレバー本体と、該レバー本体に設けられた探針とを有し、該少なくとも2つのカンチレバーのレバー本体は該保持部材に一緒に保持され、該少なくとも2つのカンチレバーの探針は異なった物理量を検出するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
これらの構成によれば、少なくとも2つのカンチレバーが保持部材に一緒に保持されており、少なくとも2つのカンチレバーの探針は異なった物理量を検出するようになっている。従って、例えば、第1のカンチレバーは探針が測定試料の表面に接触しながら測定試料の表面の形状の測定を行い、この測定結果に基づいて保持部材を動かして第2のカンチレバーの探針が測定試料の表面から所定の浮上量だけ浮上した状態を維持しつつ、第2のカンチレバーの探針が測定試料の表面に非接触で測定試料の物理量(例えば、磁気力や電気力)を測定することができる。このようにして、測定試料の表面の形状の測定と、測定試料の物理量の測定とを同時に行うことができる。少なくとも2つのカンチレバーは形状や材質を変更することで、機能に応じた最適な機械的特性を得ることができる。
【0013】
本発明によるカンチレバープローブ構造は、従来のカンチレバープローブ構造とは異なり、表面形状測定による浮上高さ制御と磁界分布などの物理量の非接触測定を同時にできることから、測定速度を向上させることができる。また、振動やドリフトの影響をリアルタイムで回避することができることから、走査型力顕微鏡の設置環境に左右されず正確な測定が可能になる。さらに、物理量測定用の探針が試料に接触しないため、探針の汚染や劣化を防止できるため、探針の寿命を延ばすことができ、再現性の低下を防ぐことも可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は本発明の実施例の走査型力顕微鏡の構成を示す図である。図2は図1の走査型力顕微鏡のカンチレバープローブ構造を示す平面図、図3は図2のカンチレバープローブ構造の断面図である。
【0016】
走査型力顕微鏡10は、XYステージ12と、高さ制御用微動ステージ14と、高さ制御用微動ステージ14に取り付けられたカンチレバープローブ構造16と、検出手段18と、コントローラ20とを備える。物理量を測定すべき試料22はXYステージ12に取り付けられる。
【0017】
カンチレバープローブ構造16は、保持部材としてのチップ台座24と、第1及び第2のカンチレバー26、30とからなる。第1及び第2のカンチレバー26、30はそれぞれレバー本体27、31と、レバー本体27、31に設けられた探針28、32とを有する。
【0018】
レバー本体27、31は細長い板状に形成され、探針28、32は先端が鋭く尖った形状を有している。第1及び第2のカンチレバー26、30のレバー本体27、31の一端部はチップ台座24に一緒に保持される。探針28、32はレバー本体27、31の他端部に設けられている。
【0019】
第1及び第2のカンチレバー26、30はともにシリコンで形成されており、シリコンのチップ台座24に半導体製造プロセスの成膜および加工技術で設けられる。第1及び第2のカンチレバー26、30の探針28、32は異なった物理量を検出するようになっている。
【0020】
第1のカンチレバー26の探針28の表面は特に被覆されていない。第2のカンチレバー30の探針32の表面には厚さ30nm程度のCoCrなどの磁性材料34が被覆されている。第1のカンチレバー26の探針28は試料22の表面に接触して試料22の物理量(この場合、試料22の表面形状)を測定する。第2のカンチレバー30の探針32は試料22の表面に非接触で物理量を測定する。実施例の走査型力顕微鏡10は磁気力顕微鏡であり、試料22は磁性体を含む。例えば、試料22は、ハードディスクのような高密度に磁化された磁気記録媒体や磁気ヘッド等である。探針32を試料22に近づけて、探針32と試料22との間に作用する磁気力を測定することができる。
【0021】
走査型力顕微鏡10がその他の物理量を測定するものである場合には、第2のカンチレバー30の探針32はその他の物理量を測定するのに適した構造にされる。例えば、走査型力顕微鏡10が電気力顕微鏡である場合には、第2のカンチレバー30の探針32には導電材料が設けられる。
【0022】
第1のカンチレバー26と第2のカンチレバー30は同一平面内で互いに平行に配置される。第1のカンチレバー26の長さは第2のカンチレバー30の長さとは異なっている。この実施例においては、第1のカンチレバー26の長さが第2のカンチレバー30の長さより長い。例えば、第1のカンチレバー26の長さ(チップ台座から探針までの距離)L1は206μm、第2のカンチレバー30の長さ(チップ台座から探針までの距離)L2は200μmである。第1及び第2のカンチレバー26、30の幅は20μm、厚さは3μmであり、探針28、32の高さは10μmである。2つの探針28、32間の距離は30μmである。
【0023】
検出手段18は、2つの光学的検出装置を含む。第1の光学的検出装置は光源36Aと検出器36Bとからなり、第2の光学的検出装置は光源38Aと検出器38Bとからなる。検出器36Bは光源36Aから出て第1のカンチレバー26で反射した光を検出する。光検出器38Bは光源38Aから出て第2のカンチレバー30で反射した光を検出する。
【0024】
走査型力顕微鏡10の作用において、カンチレバープローブ構造16(第1及び第2のカンチレバー26、30)は試料22の表面に対して10度程度の傾きをもって配置される。この状態で、カンチレバープローブ構造16を磁気ヘッドなどの試料22に向かって下降させると、長い第1のカンチレバー26の探針28が試料22の表面に接触し、第1のカンチレバー26(レバー本体27)が撓む。短い第2のカンチレバー30の探針32は試料22の表面に接触しない。第1の光学的検出装置(光源36Aと検出器36B)は第1のカンチレバー26の撓み量を光てこ法により測定する。
【0025】
第1のカンチレバー26の変位(撓み量)情報はコントローラ20に入力される。コントローラ20は第1のカンチレバー26の変位をあらわす第1の光学的検出装置の出力に応じて第1のカンチレバー26の撓み量が一定となるように高さ制御用微動ステージ(支持手段)14を制御する。つまり、第1のカンチレバー26の撓み量が一定となるように第1の光学的検出装置で得られた変位情報を高さ制御用微動ステージ14にフィードバックしてカンチレバープローブ構造16の高さを制御しながら、カンチレバープローブ構造16が試料22の表面を走査することで、第2のカンチレバー30の探針32の先端は試料22の表面から一定距離を保って走査されることになる。従って、第2のカンチレバー30の探針32は常に試料22の表面からほぼ一定の位置に浮上している状態に維持される。試料22が振幅変調信号により駆動されている場合、第2のカンチレバー30は磁界強度に応じて振動し、その振幅を第2の光学的検出装置(光源38Aと検出器38B)で光てこ法により検出することで、試料22の磁界分布の測定が可能になる。
【0026】
この実施例の場合、浮上高さ制御用の第1のカンチレバー26が1μm程度撓んだ状態を維持することで、磁界信号検出用の第2のカンチレバー30の探針32が40nm程度の浮上量を維持することが可能である。
【0027】
また、この実施例においては、第1のカンチレバー26の材料にシリコン窒化膜を利用することもできる。シリコン窒化膜はコンタクト方式の形状測定に適した材料であり、このようにカンチレバーの材料を選択することによりカンチレバーの検出目的に応じた最適な特性を引き出すことが可能になる。
【0028】
図4は本発明の他の実施例の走査型力顕微鏡の構成を示す図である。図5は図4の走査型力顕微鏡のカンチレバープローブ構造を示す平面図、図6は図5のカンチレバープローブ構造の断面図である。
【0029】
走査型力顕微鏡10は、XYステージ12と、高さ制御用微動ステージ14と、高さ制御用微動ステージ14に取り付けられたカンチレバープローブ構造16と、検出手段18と、コントローラ20とを備える。物理量を測定すべき試料22はXYステージ12に取り付けられる。
【0030】
カンチレバープローブ構造16は、保持部材としてのチップ台座24と、第1及び第2のカンチレバー26、30とからなる。各カンチレバー26、30はレバー本体27、31と、レバー本体27、31に設けられた探針28、32とを有する。
【0031】
レバー本体27、31は細長い板状に形成され、探針28、32は先端が鋭く尖った形状を有している。第1及び第2のカンチレバー26、30のレバー本体27、31の一端部はチップ台座24に一緒に保持される。探針28、32はレバー本体27、31の他端部に設けられている。
【0032】
この例では、第1のカンチレバー26の長さは第2のカンチレバー30の長さよりも短い。第1のカンチレバー26の長さL1は100μm、第2のカンチレバー30の長さL2は103μmである。第1及び第2のカンチレバー26、30はともにシリコン窒化膜で形成されている。第2のカンチレバー30の探針32は厚さ30nm程度のCoCrなどの磁性材料34で被覆されている。第1及び第2のカンチレバー26、30の幅は20μm、厚さは1μmである。探針28、32の高さは10μmであり、2つの探針28、32間の距離は30μmである。
【0033】
さらに、PZTなどの圧電材料からなる第1の自己励振機構40が第1のカンチレバー26とチップ台座14との間に設けられ、PZTなどの圧電材料からなる第2の自己励振機構42が第2のカンチレバー30とチップ台座14との間に設けられる。第1及び第2の自己励振機構40、42は独立的に第1及び第2のカンチレバー26、30を振動させることができる。
【0034】
カンチレバープローブ構造16は試料22の表面に対して10度程度の傾きをもって配置される。ここで、第1の自己励振機構40を用いて、表面形状測定用の第1のカンチレバー26を同カンチレバー26の共振周波数となる例えば70kHz で、振動振幅が1.2μm程度となるように振動させる。第1のカンチレバー26の振動の振幅は第1の光学的検出装置(光源36Aと検出器36B)により光てこ法で測定する。
【0035】
このまま、カンチレバープローブ構造16を磁気ヘッドなどの試料22に向かって下降させると、振動させた浮上高さ制御用の第1のカンチレバー26の探針28が試料22に接触し、第2のカンチレバー30の探針32は試料22の表面に接触しない。第1のカンチレバー26の探針28が試料22に接触すると、第1のカンチレバー26の振動振幅が次第に小さくなるが、この振動振幅が一定になるように第1の光学的検出装置(光源36Aと検出器36B)で得られた変位情報を高さ制御用微動ステージ14にフィードバックしてカンチレバープローブ構造16の高さを制御しながら、試料22の表面を走査しつつ、第2のカンチレバー30の探針32の先端は試料22の表面から一定距離を保って走査されることになる。試料22が振幅変調信号により駆動されている場合、第2のカンチレバー30は磁界強度に応じて振動し、その振幅を第2の光学的検出装置(光源38Aと検出器38B)を用いて光てこ法により検出することで、磁界分布の測定が可能になる。
【0036】
また、この実施例においては、浮上高さ制御用の第1のカンチレバー26の振動振幅が1100nmとなる状態を維持することで、磁界信号検出用の第2のカンチレバー30の探針32が、試料22の表面に対して60nm程度の浮上量を維持することが可能である。
【0037】
これにより、第1のカンチレバー26は試料22の表面形状の測定用として使用でき、第2のカンチレバー30は試料22の磁界信号検出用として使用できる。従って、本発明のカンチレバープローブ構造16は磁気力顕微鏡用カンチレバープローブ構造として使用が可能である。
【0038】
図7は本発明の他の実施例の走査型力顕微鏡の構成を示す図である。図8は図7の走査型力顕微鏡のカンチレバープローブ構造を示す平面図、図9は図8のカンチレバープローブ構造の断面図である。
【0039】
走査型力顕微鏡10は、XYステージ12と、高さ制御用微動ステージ14と、高さ制御用微動ステージ14に取り付けられたカンチレバープローブ構造16と、検出手段18と、コントローラ20とを備える。物理量を測定すべき試料22はXYステージ12に取り付けられる。
【0040】
カンチレバープローブ構造16は、保持部材としてのチップ台座24と、第1及び第2のカンチレバー26、30とからなる。各カンチレバー26、30はレバー本体27、31と、レバー本体27、31に設けられた探針28、32とを有する。第1及び第2のカンチレバー26、30のレバー本体27、31の一端部はチップ台座24に一緒に保持される。
【0041】
第1のカンチレバー26のレバー本体27はまっすぐな細長い板状に形成される。探針28はレバー本体27の端部に設けられ、先端が鋭く尖った形状を有している。第2のカンチレバー30のレバー本体31はL字型形状の板状に形成され、レバー本体27と平行にX方向に延びる第1の部分31Aと、第1の部分31Aからほぼ垂直にY方向に延びる第2の部分31Bとを有する。探針32は第2の部分31Bの端部に設けられ、先端が鋭く尖った形状を有している。
【0042】
第2のカンチレバー30の第1の部分31Aは第2の部分31Bよりも厚く形成されているか補強されている。この例では、第2のカンチレバー30の第1の部分31Aの幅は第2の部分31Bの幅よりも大きく、かつ、第2のカンチレバー30の第1の部分31Aは補強部31Cを含み、T字型の断面形状に形成されている。
【0043】
従って、第1のカンチレバー26はその延伸方向と一致するX方向に撓むことができ、一方、第2のカンチレバー30では主として第2の部分31Bが撓みやすく、よって第2のカンチレバー30はY方向に撓むように構成されている。第2のカンチレバー30については、第2の部分31Bのばね定数が第1の部分31Aのばね定数より小さく、探針32は該第2の部分31Bに設けられている。
【0044】
なお、第2のカンチレバー30については、第2の部分31Bのばね定数が第1の部分31Aのばね定数より小さい構造であれば、上記実施例に限定されるものではない。また、第2のカンチレバー30のレバー本体31の第1の部分31Aは第1のカンチレバー26のレバー本体27と完全に平行である必要はなく、X方向のばね定数がY方向のばね定数よりも大きくなる範囲で傾いてもよい。
【0045】
第1のカンチレバー26のレバー本体27の長さは第2のカンチレバー30のレバー本体31の第1の部分31Aの長さよりも長い。第1のカンチレバー26のレバー本体27の長さ(チップ台座から探針までの距離)L1は206μmであり、第2のカンチレバー30のレバー本体31の第1の部分31Aの長さ(チップ台座から探針までの距離)L2は200μmである。
【0046】
第1及び第2のカンチレバー26、30はシリコン窒化膜にて形成されており、第2のカンチレバー30の探針32にはCoCrなどの磁性材料34が30nm程度形成されている。第1のカンチレバー26の幅は20μm、第2のカンチレバー30の第1の部分31Aの幅は40μm、第2のカンチレバー30の第2の部分31Bの幅は20μmである。第1及び第2のカンチレバー26、30の厚さは1μm、探針28、32の高さは10μm、2つの探針28、32間の距離は30μmである。これにより、第1のカンチレバー26は表面形状の測定用として使用でき、第2のカンチレバー30は磁界信号検出用として使用できる。従って、本発明のカンチレバープローブ構造16は磁気力顕微鏡用カンチレバープローブ構造として使用が可能である。
【0047】
本実施例のL字型構造とすることにより、第1のカンチレバー26と第2のカンチレバー30における撓みの発生方向は互いに90度ずれた方向になる。すなわち、第1のカンチレバー26はX方向に撓みが発生し、第2のカンチレバー30はY方向に撓みが発生することになる。
【0048】
検出手段18は、単一の組の光源37Aと検出器37Bとからなる光学式検出装置からなる。
【0049】
走査型力顕微鏡10の作動において、カンチレバープローブ構造16は試料22の表面に対して10度程度の傾きをもって配置される。このまま、カンチレバープローブ構造16を磁気ヘッドなどの試料22に向かって下降させると、長い第1のカンチレバー26の探針28が先に試料22に接触し、第2のカンチレバー30の探針32は試料22に接触しない。試料22との接触により撓む第1のカンチレバー26の撓み量を光源37Aと検出器37Bとからなる光学式検出装置によって光てこ法により測定する。
【0050】
第1のカンチレバー26の撓み量が一定となるように光学式検出装置で得られた変位情報を高さ制御用微動ステージ14にフィードバックしてカンチレバープローブ構造16の高さを制御しながら、試料22の表面を走査することで、第2のカンチレバー30の探針32の先端は試料22の表面から一定距離を保って走査されることになる。試料22が振幅変調信号により駆動されている場合、第2のカンチレバー30は磁界強度に応じて振動し、その振幅を光源37Aと検出器37Bとからなる光学式検出装置を用いて光てこ法により検出することで、磁界分布の測定が可能になる。
【0051】
ここで、スポットサイズが100μm程度の光源37Aを用いることで、2つのカンチレバー26、30に同時に光を照射できる。また、第1のカンチレバー26はX方向に撓むため、反射光は検出器37BのX方向変位として検出されることになる。第2のカンチレバー30はY方向に撓むため、反射光は検出器37BのY方向変位として検出されることになる。X方向及びY方向の変位を独立して検出できる2次元検出器を用いることで、2つのカンチレバー26、30の撓み量を同時に測定でき、走査型力顕微鏡10の構造を簡略化することが可能となる。
【0052】
この実施例の場合、浮上高さ制御用の第1のカンチレバー26が1μm程度撓んだ状態を維持することで、磁界信号検出用の第2のカンチレバー30が40nm程度の浮上量を維持することが可能である。
【0053】
図10は本発明の他の実施例の走査型力顕微鏡の構成を示す図である。図11は図10の走査型力顕微鏡のカンチレバープローブ構造を示す平面図、図12は図11のカンチレバープローブ構造の断面図である。
【0054】
走査型力顕微鏡10は、前の例と同様に、XYステージ12と、高さ制御用微動ステージ14と、高さ制御用微動ステージ14に取り付けられたカンチレバープローブ構造16と、検出手段18と、コントローラ20とを備える。物理量を測定すべき試料22はXYステージ12に取り付けられる。
【0055】
カンチレバープローブ構造16は、保持部材としてのチップ台座24と、第1及び第2のカンチレバー26、30とからなる。各カンチレバー26、30はレバー本体27、31と、レバー本体27、31に設けられた探針28、32とを有する。第1及び第2のカンチレバー26、30のレバー本体27、31の一端部はチップ台座24に一緒に保持される。
【0056】
第2のカンチレバー30のレバー本体31はまっすぐな細長い板状に形成される。第1のカンチレバー26のレバー本体27はL字型形状の板状に形成され、レバー本体31と平行にX方向に延びる第1の部分27Aと、第1の部分27Aからほぼ垂直にY方向に延びる第2の部分27Bとを有する。
【0057】
第1のカンチレバー26の第1の部分27Aは第2の部分27Bよりも厚く形成されているか補強されている。この例では、第1のカンチレバー26の第1の部分27Aの幅は第2の部分27Bの幅よりも大きく、かつ、第1のカンチレバー26の第1の部分27Aの厚さは第2の部分27Bの厚さよりも厚い。従って、第1のカンチレバー26は主としてその延伸方向と垂直なY方向に撓むことができ、一方、第2のカンチレバー30はX方向に撓むように構成されている。第1のカンチレバー26については、第2の部分27Bのばね定数が第1の部分27Aのばね定数より小さく、探針28は該第2の部分27Bに設けられている。
【0058】
なお、第2の部分27Bのばね定数が第1の部分27Aのばね定数より小さい構造であれば、上記実施例に限定されるものではない。また、第1のカンチレバー26のレバー本体27の第1の部分27Aは第2のカンチレバー30のレバー本体31と完全に平行である必要はなく、X方向のばね定数がY方向のばね定数よりも大きくなる範囲で傾いてもよい。
【0059】
第1のカンチレバー26のレバー本体27の長さは第2のカンチレバー30のレバー本体31の長さよりも長い。第1のカンチレバー26のレバー本体27の第1の部分27Aの長さL1は206μmであり、第2のカンチレバー30のレバー本体31の長さL2は200μmである。
【0060】
第1及び第2のカンチレバー26、30はシリコンにて形成されており、第2のカンチレバー30の探針32にはCoCrなどの磁性材料34が30nm程度形成されている。第1のカンチレバー26の第1の部分27Aの幅は40μm、第1のカンチレバー26の第2の部分27Bの幅は20μm、第2のカンチレバー30の幅は20μmである。第1のカンチレバー26の第1の部分27Aの厚さは2μm、第1のカンチレバー26の第2の部分27Bの厚さは1μm、第2のカンチレバー30の厚さは1μmである。探針28、32の高さは10μm、2つの探針28、32間の距離は30μmである。これにより、第1のカンチレバー26は表面形状の測定用として使用でき、第2のカンチレバー30は磁界信号検出用として使用できる。従って、本発明のカンチレバープローブ構造16は磁気力顕微鏡用カンチレバープローブ構造として使用が可能である。
【0061】
本実施例のL字型構造とすることにより、第1のカンチレバー26と第2のカンチレバー30における撓みの発生方向は互いに90度ずれた方向になる。すなわち、第1のカンチレバー26はX方向に撓みが発生し、第2のカンチレバー30はY方向に撓みが発生することになる。
【0062】
検出手段18は、単一の組の光源37Aと検出器37Bとからなる光学式検出装置からなる。
【0063】
走査型力顕微鏡10の作動において、カンチレバープローブ構造16は試料22の表面に対して10度程度の傾きをもって配置される。このまま、カンチレバープローブ構造16を磁気ヘッドなどの試料22に向かって下降させると、第1のカンチレバー26の探針28が先に試料22に接触し、第2のカンチレバー30の探針32は試料22に接触しない。試料22との接触により撓む第1のカンチレバー26の撓み量を光源37Aと検出器37Bとから光学式検出装置によって光てこ法により測定する。
【0064】
第1のカンチレバー26の撓み量が一定となるように光学式検出装置で得られた変位情報を高さ制御用微動ステージ14にフィードバックしてカンチレバープローブ構造16の高さを制御しながら、試料22の表面を走査することで、第2のカンチレバー30の探針32の先端は試料22の表面から一定距離を保って走査されることになる。試料22が振幅変調信号により駆動されている場合、第2のカンチレバー30は磁界強度に応じて振動し、その振幅を光源37Aと検出器37Bとからなる光学式検出装置を用いて光てこ法により検出することで、磁界分布の測定が可能になる。
【0065】
ここで、スポットサイズが100μm程度の光源37Aを用いることで、2つのカンチレバー26、30に同時に光を照射できる。また、第1のカンチレバー26はY方向に撓むため、反射光は検出器37BのY方向変位として検出されることになる。第2のカンチレバー30はX方向に撓むため、反射光は検出器37BのX方向変位として検出されることになる。X方向及びY方向の変位を独立して検出できる2次元検出器を用いることで、2つのカンチレバー26、30の撓み量を同時に測定でき、走査型力顕微鏡10の構造を簡略化することが可能となる。
【0066】
この実施例の場合、浮上高さ制御用の第1のカンチレバー26が1μm程度撓んだ状態を維持することで、磁界信号検出用の第2のカンチレバー30が40nm程度の浮上量を維持することが可能である。
【0067】
図13は本発明の他の実施例の走査型力顕微鏡の構成を示す図である。図14は図13の走査型力顕微鏡のカンチレバープローブ構造を示す平面図、図15は図14のカンチレバープローブ構造の断面図である。
【0068】
走査型力顕微鏡10は、XYステージ12と、高さ制御用微動ステージ14と、高さ制御用微動ステージ14に取り付けられたカンチレバープローブ構造16と、検出手段18と、コントローラ20とを備える。物理量を測定すべき試料22はXYステージ12に取り付けられる。
【0069】
カンチレバープローブ構造16は、保持部材としてのチップ台座24と、第1及び第2のカンチレバー26、30とからなる。各カンチレバー26、30はレバー本体27、31と、レバー本体27、31に設けられた探針28、32とを有する。
【0070】
レバー本体27、31は細長い板状に形成され、探針28、32は先端が鋭く尖った形状を有している。第1及び第2のカンチレバー26、30のレバー本体27、31の一端部はチップ台座24に一緒に保持される。探針28、32はレバー本体27、31の他端部に設けられている。第1及び第2のカンチレバー26、30はともにシリコンで形成されている。第1のカンチレバー26の探針28の表面は特に被覆されていない。第2のカンチレバー30の探針32の表面には厚さ30nm程度のCoCrなどの磁性材料34が被覆されている。
【0071】
この実施例においては、第1のカンチレバー26の長さが第2のカンチレバー30の長さと等しい。例えば、第1のカンチレバー26及び第2のカンチレバー30の長さは200μmである。また、第1のカンチレバー26の探針28の高さH1は11μm、第2のカンチレバー30の探針32の高さH2は10μmであり、互いに異なっている。第1及び第2のカンチレバー26、30の幅は20μm、厚さは3μmである。2つの探針28、32間の距離は30μmである。
【0072】
走査型力顕微鏡10の作用において、第1及び第2のカンチレバー26、30は試料22の表面に対して10度程度の傾きをもって配置される。この状態で、カンチレバープローブ構造16を磁気ヘッドなどの試料22に向かって下降させると、高い探針28をもった第1のカンチレバー26の探針28が試料22の表面に接触し、第1のカンチレバー26が撓む。第2のカンチレバー30の探針32は試料22の表面に接触しない。第1の光学的検出装置(光源36Aと検出器36B)は第1のカンチレバー26の撓み量を光てこ法により測定する。
【0073】
第1のカンチレバー26の撓み量が一定となるように光学式検出装置で得られた変位情報を高さ制御用微動ステージ14にフィードバックしてカンチレバープローブ構造16の高さを制御しながら、試料22の表面を走査することで、第2のカンチレバー30の探針32の先端は試料22の表面から一定距離を保って走査されることになる。試料22が振幅変調信号により駆動されている場合、第2のカンチレバー30は磁界強度に応じて振動し、その振幅を第2の光学式検出装置(光源38Aと検出器38B)を用いて光てこ法により検出することで、磁界分布の測定が可能になる。
【0074】
この実施例の場合、浮上高さ制御用の第1のカンチレバー26が920nm程度撓んだ状態を維持することで、磁界信号検出用の第2のカンチレバー30の探針32が50nm程度の浮上量を維持することが可能である。
【0075】
同様の観点から、2本の探針28、32の高さを同一とし、カンチレバー26、30を変位方向に予め湾曲させた構造とし、実質的な探針先端位置に差をつけ、同様の制御と効果をもたらすことも可能である。
【0076】
図16は本発明の他の実施例の走査型力顕微鏡の構成を示す図である。図17は図16の走査型力顕微鏡のカンチレバープローブ構造を示す平面図、図18は図17のカンチレバープローブ構造の断面図である。
【0077】
走査型力顕微鏡10は、XYステージ12と、高さ制御用微動ステージ14と、高さ制御用微動ステージ14に取り付けられたカンチレバープローブ構造16と、検出手段18と、コントローラ20とを備える。物理量を測定すべき試料22はXYステージ12に取り付けられる。
【0078】
カンチレバープローブ構造16は、保持部材としてのチップ台座24と、第1及び第2のカンチレバー26、30とからなる。各カンチレバー26、30はレバー本体27、31と、レバー本体27、31に設けられた探針28、32とを有する。
【0079】
レバー本体27、31は細長い板状に形成され、探針28、32は先端が鋭く尖った形状を有している。第1及び第2のカンチレバー26、30のレバー本体27、31の一端部はチップ台座24に一緒に保持される。探針28、32はレバー本体27、31の他端部に設けられている。第1及び第2のカンチレバー26、30はともにシリコンで形成されている。第1のカンチレバー26の探針28の表面は特に被覆されていない。第2のカンチレバー30の探針32の表面には厚さ30nm程度のCoCrなどの磁性材料34が被覆されている。
【0080】
第1のカンチレバー26のレバー本体27の長さL1は206μmであり、第2のカンチレバー30のレバー本体31の長さL2は200μmである。第1及び第2のカンチレバー26、30の幅は20μm、厚さは3μmであり、探針28、32の高さは10μmである。2つの探針28、32間の距離は30μmである。
【0081】
この例においては、検出手段18として、第1及び第2のカンチレバー26、30にはそれぞれポリシリコンのピエゾ抵抗層44、46が形成されている。ピエゾ抵抗層44、46はそれぞれ第1及び第2のカンチレバー26、30の撓み量に応じて抵抗が変化する性質を有している。
【0082】
走査型力顕微鏡10の作用において、第1及び第2のカンチレバー26、30は試料22の表面に対して10度程度の傾きをもって配置される。この状態で、カンチレバープローブ構造16を磁気ヘッドなどの試料22に向かって下降させると、長い第1のカンチレバー26の探針28が試料22の表面に接触し、第1のカンチレバー26が撓む。第2のカンチレバー30の探針32は試料22の表面に接触しない。第1のカンチレバー26の撓み量をピエゾ抵抗層44の抵抗変化を利用して測定する。
【0083】
第1のカンチレバー26の撓み量が一定となるようにピエゾ抵抗層で得られた変位情報を高さ制御用微動ステージ14にフィードバックしてカンチレバープローブ構造16の高さを制御しながら、試料22の表面を走査することで、第2のカンチレバー30の探針32の先端は試料22の表面から一定距離を保って走査されることになる。試料22が振幅変調信号により駆動されている場合、第2のカンチレバー30は磁界強度に応じて振動し、その振幅をピエゾ抵抗層46の抵抗変化を利用して検出することで、磁界分布の測定が可能になる。
【0084】
この実施例の場合、浮上高さ制御用の第1のカンチレバー26が1μm程度撓んだ状態を維持することで、磁界信号検出用の第2のカンチレバー30の探針32が40nm程度の浮上量を維持することが可能である。
【0085】
これにより、カンチレバー26は表面形状の測定用として使用でき、カンチレバー30は磁界信号検出用として使用できる。従って、本発明のカンチレバープローブ構造は磁気力顕微鏡用カンチレバープローブ構造として使用が可能である。
【0086】
図19はカンチレバープローブ構造の走査方法の一例を示す図である。この例は、例えば図1から3の実施例のカンチレバープローブ構造16の構造を例にとって走査方法について説明する。
【0087】
2つのカンチレバー26、30の探針28、32の位置は一致しないので、測定時には図中破線で示したような走査を行い、物理量の測定を行う。従って、表面形状測定用の第1のカンチレバー26が取得した表面形状情報を一旦蓄積し、同一点を第2のカンチレバー30が通過するタイミングで高さ制御用微動ステージ14にフィードバックをかけることで、正確な浮上高さ制御が可能になる。
【0088】
以上説明した実施例においては、第1のカンチレバー26は試料の表面形状(例えば凹凸の有無)を測定するばかりでなく、実質的に平坦な試料の表面の位置を測定することができる。例えば、磁気ヘッドの物理量を測定する場合、磁気ヘッドの表面を鏡面加工されているので、磁気ヘッドの表面の凹凸は非常に小さい。この場合、第2のカンチレバー30の探針32の試料22の表面に対する高さ位置を一度だけ検出しておけば、第2のカンチレバー30のみで走査を行えばよいように考えられよう。しかし、第2のカンチレバー30は振動やドリフトの影響を受けて探針32の試料22の表面に対する高さ位置が変動する。従って、第1のカンチレバー26によって試料22の表面に対する高さ位置を検出し、補正しながら、第2のカンチレバー30で走査を行うのが好ましい。こうすれば、振動やドリフトの影響をリアルタイムで回避することができ、走査型力顕微鏡の設置環境に左右されず正確な測定が可能になる。
【0089】
これらの実施例は単独で実施されるだけでなく、相互に特徴を組み合わせて用いることも有効であり、また、本実施例では、磁気力顕微鏡を例にとって説明したが、探針に導電性材料を用いた電気力顕微鏡を始めとするその他の走査型力顕微鏡に適用でき、材料や形状、寸法などはこれらの実施例に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0090】
以上説明した例は以下の特徴を含む。
【0091】
(付記1)保持部材と、少なくとも2つのカンチレバーとを備え、各カンチレバーはレバー本体と、該レバー本体に設けられた探針とを有し、該少なくとも2つのカンチレバーのレバー本体は該保持部材に一緒に保持され、該少なくとも2つのカンチレバーの探針は異なった物理量を検出するように構成されていることを特徴とするカンチレバープローブ構造。(1)
(付記2)該少なくとも2つのカンチレバーのうちの第1のカンチレバーは探針が測定試料の表面に接触するように構成され、該少なくとも2つのカンチレバーのうちの第2のカンチレバーは探針が測定試料の表面に非接触で測定試料の物理量を測定するように構成されていることを特徴とする付記1に記載のカンチレバープローブ構造。(2)
(付記3)該第1のカンチレバーは測定試料の表面の形状を測定し、該第2のカンチレバーの探針は測定試料の表面に非接触で物理量を測定するための材料が付加されていることを特徴とする付記2に記載のカンチレバープローブ構造。
【0092】
(付記4)該第1のカンチレバーの長さが該第2のカンチレバーの長さと異なることを特徴とする付記3に記載のカンチレバープローブ構造。(3)
(付記5)該第1のカンチレバーの探針の高さが該第2のカンチレバーの探針の高さと異なることを特徴とする付記3に記載のカンチレバープローブ構造。
【0093】
(付記6)該第1のカンチレバーは該第2のカンチレバーとは異なる材料で形成されていることを特徴とする付記3に記載のカンチレバープローブ構造。
【0094】
(付記7)少なくとも1つのカンチレバーを振動せしめるための励振機構が設けられることを特徴とする付記3に記載のカンチレバープローブ構造。
【0095】
(付記8)該励振機構は圧電材料からなることを特徴とする付記7に記載の走査型力顕微鏡用カンチレバープローブ構造。
【0096】
(付記9)該少なくとも2つのカンチレバーのうちの第1のカンチレバーはその延伸方向と一致する第1の方向に撓むように構成され、該少なくとも2つのカンチレバーのうちの第2のカンチレバーは該第1の方向とは異なる第2の方向に撓むように構成されていることを特徴とする付記1に記載のカンチレバープローブ構造。
【0097】
(付記10)該第1のカンチレバーはほぼまっすぐに延び、該第2のカンチレバーは該第1のカンチレバーとほぼ平行に延びる第1部分と該第1部分に接続された第2の部分とを有し、該第2の部分のばね定数が該第1の部分のばね定数より小さく、該探針は該第2の部分に設けられることを特徴とする付記8に記載のカンチレバープローブ構造。
【0098】
(付記11)該第1の部分は該第2の部分よりも厚く形成されているか補強されていることを特徴とする付記10に記載のカンチレバープローブ構造。
【0099】
(付記12)該保持部材は半導体材料からなることを特徴とする付記1に記載のカンチレバープローブ構造。
【0100】
(付記13)該少なくとも2つのカンチレバーのレバー本体は該半導体製保持部に半導体製造プロセスの成膜および加工技術により形成された板状の部材からなることを特徴とする付記12に記載のカンチレバープローブ構造。
【0101】
(付記14)保持部材と、少なくとも2つのカンチレバーと、該保持部材を支持し且つ移動させる支持手段と、該少なくとも2つのカンチレバーの変位を検出する検出手段とを備え、各カンチレバーはレバー本体と、該レバー本体に設けられた探針とを有し、該少なくとも2つのカンチレバーのレバー本体は該保持部材に一緒に保持され、該少なくとも2つのカンチレバーの探針は異なった物理量を検出するように構成されていることを特徴とする走査型力顕微鏡。(4)
(付記15)該少なくとも2つのカンチレバーのうちの第1のカンチレバーの変位をあらわす該検出手段の出力に応じて該第1のカンチレバーの撓み量もしくは振動振幅が一定となるように該支持手段を制御する制御手段を備えることを特徴とする付記13に記載の走査型力顕微鏡。(5)
【0102】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高さ位置設定と磁界分布などの非接触物理量測定が同時に行えるため、測定速度の高速化が可能となり、スループットが向上し、大量生産や低コスト化が可能となる。また、物理量測定用の探針が試料表面に触れることがないため、探針先端形状や磁性材料などの探針材料に劣化や汚染が発生せず、再現性のよい測定が可能になり、プローブの寿命も延びるため、低コスト化につながる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施例の走査型力顕微鏡の構成を示す図である。
【図2】図2は図1の走査型力顕微鏡のカンチレバープローブ構造を示す平面図である。
【図3】図3は図2のカンチレバープローブ構造の断面図である。
【図4】図4は本発明の他の実施例の走査型力顕微鏡の構成を示す図である。
【図5】図5は図4の走査型力顕微鏡のカンチレバープローブ構造を示す平面図である。
【図6】図6は図5のカンチレバープローブ構造の断面図である。
【図7】図7は本発明の他の実施例の走査型力顕微鏡の構成を示す図である。
【図8】図8は図7の走査型力顕微鏡のカンチレバープローブ構造を示す平面図である。
【図9】図9は図8のカンチレバープローブ構造の断面図である。
【図10】図10は本発明の他の実施例の走査型力顕微鏡の構成を示す図である。
【図11】図11は図10の走査型力顕微鏡のカンチレバープローブ構造を示す平面図である。
【図12】図12は図11のカンチレバープローブ構造の断面図である。
【図13】図13は本発明の他の実施例の走査型力顕微鏡の構成を示す図である。
【図14】図14は図13の走査型力顕微鏡のカンチレバープローブ構造を示す平面図である。
【図15】図15は図14のカンチレバープローブ構造の断面図である。
【図16】図16は本発明の他の実施例の走査型力顕微鏡の構成を示す図である。
【図17】図17は図16の走査型力顕微鏡のカンチレバープローブ構造を示す平面図である。
【図18】図18は図17のカンチレバープローブ構造の断面図である。
【図19】図19はカンチレバープローブ構造の走査方法の一例を示す図である。
【符号の説明】
10…走査型力顕微鏡
12…XYステージ
14…高さ制御用微動ステージ
16…カンチレバープローブ構造
18…検出手段
20…コントローラ
22…試料
24…チップ台座
26…カンチレバー
28…探針
30…カンチレバー
32…探針
34…磁性材料
36A…光源
36B…検出器
37A…光源
37B…検出器
38A…光源
38B…検出器
40…自己励振機構
42…自己励振機構
44…ピエゾ抵抗層
46…ピエゾ抵抗層
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気力や電気力などの物理量を測定する走査型力顕微鏡用カンチレバープローブ構造及び走査型力顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気力や電気力などの物理量を測定するためにカンチレバープローブ構造を備えた走査型力顕微鏡は公知である(例えば、特許文献1、2、3参照)。カンチレバープローブ構造は、レバー本体と、レバー本体に設けられた先端が鋭く尖った探針とを有するカンチレバーを備える。例えば、ハードディスクのような高密度に磁化された磁気記録媒体や磁気ヘッドなどの磁性体試料の磁化パターンを測定するために磁気力顕微鏡がある。磁気力顕微鏡では、カンチレバーの探針には強磁性材料が付加される。カンチレバーは、探針が磁性体試料の表面の近くの位置にくるように配置され、探針と磁性体試料との間に働く磁気力を測定する。そのため、探針は測定対象である磁性体試料の表面からわずかに浮上した位置に維持され、磁性体試料の表面に非接触な状態で走査して磁気力を測定する。磁性体試料と探針との間に磁気力が働くと、探針を保持しているレバー本体が撓み、このたわみを光てこ法などで検出する。このようにして、測定された磁気力をマッピングすることで、磁化パターンの測定が可能となる。探針の磁性体試料の表面に対する高さ位置の設定が測定分解能や測定精度に影響するため、正確な高さ位置の設定を行う必要がある。
【0003】
電気力測定の場合も、同様に、電気力に反応する構造(導電材料)を探針に形成し、探針を測定対象から浮上させて走査を行い、電気力測定を行う。
【0004】
このように、非接触で力測定を行う走査型力顕微鏡では、探針をわずかに試料表面から浮上させて走査を行うことでさまざまな物理量の測定を行うことができる。
【0005】
従って、探針をわずかに試料表面から浮上させて走査を行うことが必要であり、そのために先ず探針の高さ位置を測定しておく必要があった。このために、従来は、2回の走査を行うことにより物理量の測定を行っている(例えば、特許文献1参照)。1回目のライン走査で試料の形状測定を行い、2回目のライン走査で所望の物理量測定を行う。1回目の走査では、探針を測定対象試料の表面に接触させながら走査を行う。これによって試料の表面形状を測定し、一旦形状情報としてコントローラに蓄積する。引き続き、2回目の走査を行い、このときは1回目の走査で得られた表面形状情報をもとに所定の浮上高さ分だけ探針が浮上するように高さ制御用微動ステージを制御しながら走査を行う。これにより、試料表面からわずかに探針を浮上させ、非接触での物理量測定を行うことができる。
【0006】
また、原子間力顕微鏡および磁気力顕微鏡などの複数の走査型力顕微鏡を含む測定方法がある(例えば、特許文献2参照)。また、短時間で広い範囲の測定を可能とするために複数の同一種類のカンチレバープローブ構造をもち、全体のカンチレバープローブ構造の姿勢を制御しながら測定を行うようにした走査型力顕微鏡がある(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−213910号公報
【特許文献2】
特開平7−134137号公報
【特許文献3】
特開2000−183283号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、探針を試料と非接触で物理量を測定する場合、まず探針を試料に接触させながら試料の表面の形状測定を行い、それからその測定結果に基づいて探針を試料に対して所定の浮上量だけ浮上させた状態を維持しながら物理量を測定している。そのため、2度の走査を行う必要があるため、測定時間が増加する問題がある。また、2度の走査を行うことなく、例えば走査開始時にのみ探針の高さ位置設定を行い、その後は設定された高さのままで物理量測定のための走査を行うことができるが、この場合にも、高さ設定に少なからず時間を要するため、これによって測定時間が増加する。また、探針の高さ位置が予期した位置からずれたり、試料表面に凹凸があったりすると、一定の高さ位置を維持するのが難しい。さらに、物理量の測定に利用する探針が試料の表面に接触を繰り返すため、探針の材料が汚染されたり、劣化したりして、測定再現性を悪化させたり、探針の寿命を短くさせたりする問題がある。
【0009】
本発明の目的は効率的に物理量の測定を行うことのできるカンチレバープローブ構造及び走査型力顕微鏡を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によるカンチレバープローブ構造は、保持部材と、少なくとも2つのカンチレバーとを備え、各カンチレバーはレバー本体と、該レバー本体に設けられた探針とを有し、該少なくとも2つのカンチレバーのレバー本体は該保持部材に一緒に保持され、該少なくとも2つのカンチレバーの探針は異なった物理量を検出するように構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明による走査型力顕微鏡は、保持部材と、少なくとも2つのカンチレバーと、該保持部材を支持し且つ移動させる支持手段と、該少なくとも2つのカンチレバーの変位を検出する検出手段とを備え、各カンチレバーはレバー本体と、該レバー本体に設けられた探針とを有し、該少なくとも2つのカンチレバーのレバー本体は該保持部材に一緒に保持され、該少なくとも2つのカンチレバーの探針は異なった物理量を検出するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
これらの構成によれば、少なくとも2つのカンチレバーが保持部材に一緒に保持されており、少なくとも2つのカンチレバーの探針は異なった物理量を検出するようになっている。従って、例えば、第1のカンチレバーは探針が測定試料の表面に接触しながら測定試料の表面の形状の測定を行い、この測定結果に基づいて保持部材を動かして第2のカンチレバーの探針が測定試料の表面から所定の浮上量だけ浮上した状態を維持しつつ、第2のカンチレバーの探針が測定試料の表面に非接触で測定試料の物理量(例えば、磁気力や電気力)を測定することができる。このようにして、測定試料の表面の形状の測定と、測定試料の物理量の測定とを同時に行うことができる。少なくとも2つのカンチレバーは形状や材質を変更することで、機能に応じた最適な機械的特性を得ることができる。
【0013】
本発明によるカンチレバープローブ構造は、従来のカンチレバープローブ構造とは異なり、表面形状測定による浮上高さ制御と磁界分布などの物理量の非接触測定を同時にできることから、測定速度を向上させることができる。また、振動やドリフトの影響をリアルタイムで回避することができることから、走査型力顕微鏡の設置環境に左右されず正確な測定が可能になる。さらに、物理量測定用の探針が試料に接触しないため、探針の汚染や劣化を防止できるため、探針の寿命を延ばすことができ、再現性の低下を防ぐことも可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は本発明の実施例の走査型力顕微鏡の構成を示す図である。図2は図1の走査型力顕微鏡のカンチレバープローブ構造を示す平面図、図3は図2のカンチレバープローブ構造の断面図である。
【0016】
走査型力顕微鏡10は、XYステージ12と、高さ制御用微動ステージ14と、高さ制御用微動ステージ14に取り付けられたカンチレバープローブ構造16と、検出手段18と、コントローラ20とを備える。物理量を測定すべき試料22はXYステージ12に取り付けられる。
【0017】
カンチレバープローブ構造16は、保持部材としてのチップ台座24と、第1及び第2のカンチレバー26、30とからなる。第1及び第2のカンチレバー26、30はそれぞれレバー本体27、31と、レバー本体27、31に設けられた探針28、32とを有する。
【0018】
レバー本体27、31は細長い板状に形成され、探針28、32は先端が鋭く尖った形状を有している。第1及び第2のカンチレバー26、30のレバー本体27、31の一端部はチップ台座24に一緒に保持される。探針28、32はレバー本体27、31の他端部に設けられている。
【0019】
第1及び第2のカンチレバー26、30はともにシリコンで形成されており、シリコンのチップ台座24に半導体製造プロセスの成膜および加工技術で設けられる。第1及び第2のカンチレバー26、30の探針28、32は異なった物理量を検出するようになっている。
【0020】
第1のカンチレバー26の探針28の表面は特に被覆されていない。第2のカンチレバー30の探針32の表面には厚さ30nm程度のCoCrなどの磁性材料34が被覆されている。第1のカンチレバー26の探針28は試料22の表面に接触して試料22の物理量(この場合、試料22の表面形状)を測定する。第2のカンチレバー30の探針32は試料22の表面に非接触で物理量を測定する。実施例の走査型力顕微鏡10は磁気力顕微鏡であり、試料22は磁性体を含む。例えば、試料22は、ハードディスクのような高密度に磁化された磁気記録媒体や磁気ヘッド等である。探針32を試料22に近づけて、探針32と試料22との間に作用する磁気力を測定することができる。
【0021】
走査型力顕微鏡10がその他の物理量を測定するものである場合には、第2のカンチレバー30の探針32はその他の物理量を測定するのに適した構造にされる。例えば、走査型力顕微鏡10が電気力顕微鏡である場合には、第2のカンチレバー30の探針32には導電材料が設けられる。
【0022】
第1のカンチレバー26と第2のカンチレバー30は同一平面内で互いに平行に配置される。第1のカンチレバー26の長さは第2のカンチレバー30の長さとは異なっている。この実施例においては、第1のカンチレバー26の長さが第2のカンチレバー30の長さより長い。例えば、第1のカンチレバー26の長さ(チップ台座から探針までの距離)L1は206μm、第2のカンチレバー30の長さ(チップ台座から探針までの距離)L2は200μmである。第1及び第2のカンチレバー26、30の幅は20μm、厚さは3μmであり、探針28、32の高さは10μmである。2つの探針28、32間の距離は30μmである。
【0023】
検出手段18は、2つの光学的検出装置を含む。第1の光学的検出装置は光源36Aと検出器36Bとからなり、第2の光学的検出装置は光源38Aと検出器38Bとからなる。検出器36Bは光源36Aから出て第1のカンチレバー26で反射した光を検出する。光検出器38Bは光源38Aから出て第2のカンチレバー30で反射した光を検出する。
【0024】
走査型力顕微鏡10の作用において、カンチレバープローブ構造16(第1及び第2のカンチレバー26、30)は試料22の表面に対して10度程度の傾きをもって配置される。この状態で、カンチレバープローブ構造16を磁気ヘッドなどの試料22に向かって下降させると、長い第1のカンチレバー26の探針28が試料22の表面に接触し、第1のカンチレバー26(レバー本体27)が撓む。短い第2のカンチレバー30の探針32は試料22の表面に接触しない。第1の光学的検出装置(光源36Aと検出器36B)は第1のカンチレバー26の撓み量を光てこ法により測定する。
【0025】
第1のカンチレバー26の変位(撓み量)情報はコントローラ20に入力される。コントローラ20は第1のカンチレバー26の変位をあらわす第1の光学的検出装置の出力に応じて第1のカンチレバー26の撓み量が一定となるように高さ制御用微動ステージ(支持手段)14を制御する。つまり、第1のカンチレバー26の撓み量が一定となるように第1の光学的検出装置で得られた変位情報を高さ制御用微動ステージ14にフィードバックしてカンチレバープローブ構造16の高さを制御しながら、カンチレバープローブ構造16が試料22の表面を走査することで、第2のカンチレバー30の探針32の先端は試料22の表面から一定距離を保って走査されることになる。従って、第2のカンチレバー30の探針32は常に試料22の表面からほぼ一定の位置に浮上している状態に維持される。試料22が振幅変調信号により駆動されている場合、第2のカンチレバー30は磁界強度に応じて振動し、その振幅を第2の光学的検出装置(光源38Aと検出器38B)で光てこ法により検出することで、試料22の磁界分布の測定が可能になる。
【0026】
この実施例の場合、浮上高さ制御用の第1のカンチレバー26が1μm程度撓んだ状態を維持することで、磁界信号検出用の第2のカンチレバー30の探針32が40nm程度の浮上量を維持することが可能である。
【0027】
また、この実施例においては、第1のカンチレバー26の材料にシリコン窒化膜を利用することもできる。シリコン窒化膜はコンタクト方式の形状測定に適した材料であり、このようにカンチレバーの材料を選択することによりカンチレバーの検出目的に応じた最適な特性を引き出すことが可能になる。
【0028】
図4は本発明の他の実施例の走査型力顕微鏡の構成を示す図である。図5は図4の走査型力顕微鏡のカンチレバープローブ構造を示す平面図、図6は図5のカンチレバープローブ構造の断面図である。
【0029】
走査型力顕微鏡10は、XYステージ12と、高さ制御用微動ステージ14と、高さ制御用微動ステージ14に取り付けられたカンチレバープローブ構造16と、検出手段18と、コントローラ20とを備える。物理量を測定すべき試料22はXYステージ12に取り付けられる。
【0030】
カンチレバープローブ構造16は、保持部材としてのチップ台座24と、第1及び第2のカンチレバー26、30とからなる。各カンチレバー26、30はレバー本体27、31と、レバー本体27、31に設けられた探針28、32とを有する。
【0031】
レバー本体27、31は細長い板状に形成され、探針28、32は先端が鋭く尖った形状を有している。第1及び第2のカンチレバー26、30のレバー本体27、31の一端部はチップ台座24に一緒に保持される。探針28、32はレバー本体27、31の他端部に設けられている。
【0032】
この例では、第1のカンチレバー26の長さは第2のカンチレバー30の長さよりも短い。第1のカンチレバー26の長さL1は100μm、第2のカンチレバー30の長さL2は103μmである。第1及び第2のカンチレバー26、30はともにシリコン窒化膜で形成されている。第2のカンチレバー30の探針32は厚さ30nm程度のCoCrなどの磁性材料34で被覆されている。第1及び第2のカンチレバー26、30の幅は20μm、厚さは1μmである。探針28、32の高さは10μmであり、2つの探針28、32間の距離は30μmである。
【0033】
さらに、PZTなどの圧電材料からなる第1の自己励振機構40が第1のカンチレバー26とチップ台座14との間に設けられ、PZTなどの圧電材料からなる第2の自己励振機構42が第2のカンチレバー30とチップ台座14との間に設けられる。第1及び第2の自己励振機構40、42は独立的に第1及び第2のカンチレバー26、30を振動させることができる。
【0034】
カンチレバープローブ構造16は試料22の表面に対して10度程度の傾きをもって配置される。ここで、第1の自己励振機構40を用いて、表面形状測定用の第1のカンチレバー26を同カンチレバー26の共振周波数となる例えば70kHz で、振動振幅が1.2μm程度となるように振動させる。第1のカンチレバー26の振動の振幅は第1の光学的検出装置(光源36Aと検出器36B)により光てこ法で測定する。
【0035】
このまま、カンチレバープローブ構造16を磁気ヘッドなどの試料22に向かって下降させると、振動させた浮上高さ制御用の第1のカンチレバー26の探針28が試料22に接触し、第2のカンチレバー30の探針32は試料22の表面に接触しない。第1のカンチレバー26の探針28が試料22に接触すると、第1のカンチレバー26の振動振幅が次第に小さくなるが、この振動振幅が一定になるように第1の光学的検出装置(光源36Aと検出器36B)で得られた変位情報を高さ制御用微動ステージ14にフィードバックしてカンチレバープローブ構造16の高さを制御しながら、試料22の表面を走査しつつ、第2のカンチレバー30の探針32の先端は試料22の表面から一定距離を保って走査されることになる。試料22が振幅変調信号により駆動されている場合、第2のカンチレバー30は磁界強度に応じて振動し、その振幅を第2の光学的検出装置(光源38Aと検出器38B)を用いて光てこ法により検出することで、磁界分布の測定が可能になる。
【0036】
また、この実施例においては、浮上高さ制御用の第1のカンチレバー26の振動振幅が1100nmとなる状態を維持することで、磁界信号検出用の第2のカンチレバー30の探針32が、試料22の表面に対して60nm程度の浮上量を維持することが可能である。
【0037】
これにより、第1のカンチレバー26は試料22の表面形状の測定用として使用でき、第2のカンチレバー30は試料22の磁界信号検出用として使用できる。従って、本発明のカンチレバープローブ構造16は磁気力顕微鏡用カンチレバープローブ構造として使用が可能である。
【0038】
図7は本発明の他の実施例の走査型力顕微鏡の構成を示す図である。図8は図7の走査型力顕微鏡のカンチレバープローブ構造を示す平面図、図9は図8のカンチレバープローブ構造の断面図である。
【0039】
走査型力顕微鏡10は、XYステージ12と、高さ制御用微動ステージ14と、高さ制御用微動ステージ14に取り付けられたカンチレバープローブ構造16と、検出手段18と、コントローラ20とを備える。物理量を測定すべき試料22はXYステージ12に取り付けられる。
【0040】
カンチレバープローブ構造16は、保持部材としてのチップ台座24と、第1及び第2のカンチレバー26、30とからなる。各カンチレバー26、30はレバー本体27、31と、レバー本体27、31に設けられた探針28、32とを有する。第1及び第2のカンチレバー26、30のレバー本体27、31の一端部はチップ台座24に一緒に保持される。
【0041】
第1のカンチレバー26のレバー本体27はまっすぐな細長い板状に形成される。探針28はレバー本体27の端部に設けられ、先端が鋭く尖った形状を有している。第2のカンチレバー30のレバー本体31はL字型形状の板状に形成され、レバー本体27と平行にX方向に延びる第1の部分31Aと、第1の部分31Aからほぼ垂直にY方向に延びる第2の部分31Bとを有する。探針32は第2の部分31Bの端部に設けられ、先端が鋭く尖った形状を有している。
【0042】
第2のカンチレバー30の第1の部分31Aは第2の部分31Bよりも厚く形成されているか補強されている。この例では、第2のカンチレバー30の第1の部分31Aの幅は第2の部分31Bの幅よりも大きく、かつ、第2のカンチレバー30の第1の部分31Aは補強部31Cを含み、T字型の断面形状に形成されている。
【0043】
従って、第1のカンチレバー26はその延伸方向と一致するX方向に撓むことができ、一方、第2のカンチレバー30では主として第2の部分31Bが撓みやすく、よって第2のカンチレバー30はY方向に撓むように構成されている。第2のカンチレバー30については、第2の部分31Bのばね定数が第1の部分31Aのばね定数より小さく、探針32は該第2の部分31Bに設けられている。
【0044】
なお、第2のカンチレバー30については、第2の部分31Bのばね定数が第1の部分31Aのばね定数より小さい構造であれば、上記実施例に限定されるものではない。また、第2のカンチレバー30のレバー本体31の第1の部分31Aは第1のカンチレバー26のレバー本体27と完全に平行である必要はなく、X方向のばね定数がY方向のばね定数よりも大きくなる範囲で傾いてもよい。
【0045】
第1のカンチレバー26のレバー本体27の長さは第2のカンチレバー30のレバー本体31の第1の部分31Aの長さよりも長い。第1のカンチレバー26のレバー本体27の長さ(チップ台座から探針までの距離)L1は206μmであり、第2のカンチレバー30のレバー本体31の第1の部分31Aの長さ(チップ台座から探針までの距離)L2は200μmである。
【0046】
第1及び第2のカンチレバー26、30はシリコン窒化膜にて形成されており、第2のカンチレバー30の探針32にはCoCrなどの磁性材料34が30nm程度形成されている。第1のカンチレバー26の幅は20μm、第2のカンチレバー30の第1の部分31Aの幅は40μm、第2のカンチレバー30の第2の部分31Bの幅は20μmである。第1及び第2のカンチレバー26、30の厚さは1μm、探針28、32の高さは10μm、2つの探針28、32間の距離は30μmである。これにより、第1のカンチレバー26は表面形状の測定用として使用でき、第2のカンチレバー30は磁界信号検出用として使用できる。従って、本発明のカンチレバープローブ構造16は磁気力顕微鏡用カンチレバープローブ構造として使用が可能である。
【0047】
本実施例のL字型構造とすることにより、第1のカンチレバー26と第2のカンチレバー30における撓みの発生方向は互いに90度ずれた方向になる。すなわち、第1のカンチレバー26はX方向に撓みが発生し、第2のカンチレバー30はY方向に撓みが発生することになる。
【0048】
検出手段18は、単一の組の光源37Aと検出器37Bとからなる光学式検出装置からなる。
【0049】
走査型力顕微鏡10の作動において、カンチレバープローブ構造16は試料22の表面に対して10度程度の傾きをもって配置される。このまま、カンチレバープローブ構造16を磁気ヘッドなどの試料22に向かって下降させると、長い第1のカンチレバー26の探針28が先に試料22に接触し、第2のカンチレバー30の探針32は試料22に接触しない。試料22との接触により撓む第1のカンチレバー26の撓み量を光源37Aと検出器37Bとからなる光学式検出装置によって光てこ法により測定する。
【0050】
第1のカンチレバー26の撓み量が一定となるように光学式検出装置で得られた変位情報を高さ制御用微動ステージ14にフィードバックしてカンチレバープローブ構造16の高さを制御しながら、試料22の表面を走査することで、第2のカンチレバー30の探針32の先端は試料22の表面から一定距離を保って走査されることになる。試料22が振幅変調信号により駆動されている場合、第2のカンチレバー30は磁界強度に応じて振動し、その振幅を光源37Aと検出器37Bとからなる光学式検出装置を用いて光てこ法により検出することで、磁界分布の測定が可能になる。
【0051】
ここで、スポットサイズが100μm程度の光源37Aを用いることで、2つのカンチレバー26、30に同時に光を照射できる。また、第1のカンチレバー26はX方向に撓むため、反射光は検出器37BのX方向変位として検出されることになる。第2のカンチレバー30はY方向に撓むため、反射光は検出器37BのY方向変位として検出されることになる。X方向及びY方向の変位を独立して検出できる2次元検出器を用いることで、2つのカンチレバー26、30の撓み量を同時に測定でき、走査型力顕微鏡10の構造を簡略化することが可能となる。
【0052】
この実施例の場合、浮上高さ制御用の第1のカンチレバー26が1μm程度撓んだ状態を維持することで、磁界信号検出用の第2のカンチレバー30が40nm程度の浮上量を維持することが可能である。
【0053】
図10は本発明の他の実施例の走査型力顕微鏡の構成を示す図である。図11は図10の走査型力顕微鏡のカンチレバープローブ構造を示す平面図、図12は図11のカンチレバープローブ構造の断面図である。
【0054】
走査型力顕微鏡10は、前の例と同様に、XYステージ12と、高さ制御用微動ステージ14と、高さ制御用微動ステージ14に取り付けられたカンチレバープローブ構造16と、検出手段18と、コントローラ20とを備える。物理量を測定すべき試料22はXYステージ12に取り付けられる。
【0055】
カンチレバープローブ構造16は、保持部材としてのチップ台座24と、第1及び第2のカンチレバー26、30とからなる。各カンチレバー26、30はレバー本体27、31と、レバー本体27、31に設けられた探針28、32とを有する。第1及び第2のカンチレバー26、30のレバー本体27、31の一端部はチップ台座24に一緒に保持される。
【0056】
第2のカンチレバー30のレバー本体31はまっすぐな細長い板状に形成される。第1のカンチレバー26のレバー本体27はL字型形状の板状に形成され、レバー本体31と平行にX方向に延びる第1の部分27Aと、第1の部分27Aからほぼ垂直にY方向に延びる第2の部分27Bとを有する。
【0057】
第1のカンチレバー26の第1の部分27Aは第2の部分27Bよりも厚く形成されているか補強されている。この例では、第1のカンチレバー26の第1の部分27Aの幅は第2の部分27Bの幅よりも大きく、かつ、第1のカンチレバー26の第1の部分27Aの厚さは第2の部分27Bの厚さよりも厚い。従って、第1のカンチレバー26は主としてその延伸方向と垂直なY方向に撓むことができ、一方、第2のカンチレバー30はX方向に撓むように構成されている。第1のカンチレバー26については、第2の部分27Bのばね定数が第1の部分27Aのばね定数より小さく、探針28は該第2の部分27Bに設けられている。
【0058】
なお、第2の部分27Bのばね定数が第1の部分27Aのばね定数より小さい構造であれば、上記実施例に限定されるものではない。また、第1のカンチレバー26のレバー本体27の第1の部分27Aは第2のカンチレバー30のレバー本体31と完全に平行である必要はなく、X方向のばね定数がY方向のばね定数よりも大きくなる範囲で傾いてもよい。
【0059】
第1のカンチレバー26のレバー本体27の長さは第2のカンチレバー30のレバー本体31の長さよりも長い。第1のカンチレバー26のレバー本体27の第1の部分27Aの長さL1は206μmであり、第2のカンチレバー30のレバー本体31の長さL2は200μmである。
【0060】
第1及び第2のカンチレバー26、30はシリコンにて形成されており、第2のカンチレバー30の探針32にはCoCrなどの磁性材料34が30nm程度形成されている。第1のカンチレバー26の第1の部分27Aの幅は40μm、第1のカンチレバー26の第2の部分27Bの幅は20μm、第2のカンチレバー30の幅は20μmである。第1のカンチレバー26の第1の部分27Aの厚さは2μm、第1のカンチレバー26の第2の部分27Bの厚さは1μm、第2のカンチレバー30の厚さは1μmである。探針28、32の高さは10μm、2つの探針28、32間の距離は30μmである。これにより、第1のカンチレバー26は表面形状の測定用として使用でき、第2のカンチレバー30は磁界信号検出用として使用できる。従って、本発明のカンチレバープローブ構造16は磁気力顕微鏡用カンチレバープローブ構造として使用が可能である。
【0061】
本実施例のL字型構造とすることにより、第1のカンチレバー26と第2のカンチレバー30における撓みの発生方向は互いに90度ずれた方向になる。すなわち、第1のカンチレバー26はX方向に撓みが発生し、第2のカンチレバー30はY方向に撓みが発生することになる。
【0062】
検出手段18は、単一の組の光源37Aと検出器37Bとからなる光学式検出装置からなる。
【0063】
走査型力顕微鏡10の作動において、カンチレバープローブ構造16は試料22の表面に対して10度程度の傾きをもって配置される。このまま、カンチレバープローブ構造16を磁気ヘッドなどの試料22に向かって下降させると、第1のカンチレバー26の探針28が先に試料22に接触し、第2のカンチレバー30の探針32は試料22に接触しない。試料22との接触により撓む第1のカンチレバー26の撓み量を光源37Aと検出器37Bとから光学式検出装置によって光てこ法により測定する。
【0064】
第1のカンチレバー26の撓み量が一定となるように光学式検出装置で得られた変位情報を高さ制御用微動ステージ14にフィードバックしてカンチレバープローブ構造16の高さを制御しながら、試料22の表面を走査することで、第2のカンチレバー30の探針32の先端は試料22の表面から一定距離を保って走査されることになる。試料22が振幅変調信号により駆動されている場合、第2のカンチレバー30は磁界強度に応じて振動し、その振幅を光源37Aと検出器37Bとからなる光学式検出装置を用いて光てこ法により検出することで、磁界分布の測定が可能になる。
【0065】
ここで、スポットサイズが100μm程度の光源37Aを用いることで、2つのカンチレバー26、30に同時に光を照射できる。また、第1のカンチレバー26はY方向に撓むため、反射光は検出器37BのY方向変位として検出されることになる。第2のカンチレバー30はX方向に撓むため、反射光は検出器37BのX方向変位として検出されることになる。X方向及びY方向の変位を独立して検出できる2次元検出器を用いることで、2つのカンチレバー26、30の撓み量を同時に測定でき、走査型力顕微鏡10の構造を簡略化することが可能となる。
【0066】
この実施例の場合、浮上高さ制御用の第1のカンチレバー26が1μm程度撓んだ状態を維持することで、磁界信号検出用の第2のカンチレバー30が40nm程度の浮上量を維持することが可能である。
【0067】
図13は本発明の他の実施例の走査型力顕微鏡の構成を示す図である。図14は図13の走査型力顕微鏡のカンチレバープローブ構造を示す平面図、図15は図14のカンチレバープローブ構造の断面図である。
【0068】
走査型力顕微鏡10は、XYステージ12と、高さ制御用微動ステージ14と、高さ制御用微動ステージ14に取り付けられたカンチレバープローブ構造16と、検出手段18と、コントローラ20とを備える。物理量を測定すべき試料22はXYステージ12に取り付けられる。
【0069】
カンチレバープローブ構造16は、保持部材としてのチップ台座24と、第1及び第2のカンチレバー26、30とからなる。各カンチレバー26、30はレバー本体27、31と、レバー本体27、31に設けられた探針28、32とを有する。
【0070】
レバー本体27、31は細長い板状に形成され、探針28、32は先端が鋭く尖った形状を有している。第1及び第2のカンチレバー26、30のレバー本体27、31の一端部はチップ台座24に一緒に保持される。探針28、32はレバー本体27、31の他端部に設けられている。第1及び第2のカンチレバー26、30はともにシリコンで形成されている。第1のカンチレバー26の探針28の表面は特に被覆されていない。第2のカンチレバー30の探針32の表面には厚さ30nm程度のCoCrなどの磁性材料34が被覆されている。
【0071】
この実施例においては、第1のカンチレバー26の長さが第2のカンチレバー30の長さと等しい。例えば、第1のカンチレバー26及び第2のカンチレバー30の長さは200μmである。また、第1のカンチレバー26の探針28の高さH1は11μm、第2のカンチレバー30の探針32の高さH2は10μmであり、互いに異なっている。第1及び第2のカンチレバー26、30の幅は20μm、厚さは3μmである。2つの探針28、32間の距離は30μmである。
【0072】
走査型力顕微鏡10の作用において、第1及び第2のカンチレバー26、30は試料22の表面に対して10度程度の傾きをもって配置される。この状態で、カンチレバープローブ構造16を磁気ヘッドなどの試料22に向かって下降させると、高い探針28をもった第1のカンチレバー26の探針28が試料22の表面に接触し、第1のカンチレバー26が撓む。第2のカンチレバー30の探針32は試料22の表面に接触しない。第1の光学的検出装置(光源36Aと検出器36B)は第1のカンチレバー26の撓み量を光てこ法により測定する。
【0073】
第1のカンチレバー26の撓み量が一定となるように光学式検出装置で得られた変位情報を高さ制御用微動ステージ14にフィードバックしてカンチレバープローブ構造16の高さを制御しながら、試料22の表面を走査することで、第2のカンチレバー30の探針32の先端は試料22の表面から一定距離を保って走査されることになる。試料22が振幅変調信号により駆動されている場合、第2のカンチレバー30は磁界強度に応じて振動し、その振幅を第2の光学式検出装置(光源38Aと検出器38B)を用いて光てこ法により検出することで、磁界分布の測定が可能になる。
【0074】
この実施例の場合、浮上高さ制御用の第1のカンチレバー26が920nm程度撓んだ状態を維持することで、磁界信号検出用の第2のカンチレバー30の探針32が50nm程度の浮上量を維持することが可能である。
【0075】
同様の観点から、2本の探針28、32の高さを同一とし、カンチレバー26、30を変位方向に予め湾曲させた構造とし、実質的な探針先端位置に差をつけ、同様の制御と効果をもたらすことも可能である。
【0076】
図16は本発明の他の実施例の走査型力顕微鏡の構成を示す図である。図17は図16の走査型力顕微鏡のカンチレバープローブ構造を示す平面図、図18は図17のカンチレバープローブ構造の断面図である。
【0077】
走査型力顕微鏡10は、XYステージ12と、高さ制御用微動ステージ14と、高さ制御用微動ステージ14に取り付けられたカンチレバープローブ構造16と、検出手段18と、コントローラ20とを備える。物理量を測定すべき試料22はXYステージ12に取り付けられる。
【0078】
カンチレバープローブ構造16は、保持部材としてのチップ台座24と、第1及び第2のカンチレバー26、30とからなる。各カンチレバー26、30はレバー本体27、31と、レバー本体27、31に設けられた探針28、32とを有する。
【0079】
レバー本体27、31は細長い板状に形成され、探針28、32は先端が鋭く尖った形状を有している。第1及び第2のカンチレバー26、30のレバー本体27、31の一端部はチップ台座24に一緒に保持される。探針28、32はレバー本体27、31の他端部に設けられている。第1及び第2のカンチレバー26、30はともにシリコンで形成されている。第1のカンチレバー26の探針28の表面は特に被覆されていない。第2のカンチレバー30の探針32の表面には厚さ30nm程度のCoCrなどの磁性材料34が被覆されている。
【0080】
第1のカンチレバー26のレバー本体27の長さL1は206μmであり、第2のカンチレバー30のレバー本体31の長さL2は200μmである。第1及び第2のカンチレバー26、30の幅は20μm、厚さは3μmであり、探針28、32の高さは10μmである。2つの探針28、32間の距離は30μmである。
【0081】
この例においては、検出手段18として、第1及び第2のカンチレバー26、30にはそれぞれポリシリコンのピエゾ抵抗層44、46が形成されている。ピエゾ抵抗層44、46はそれぞれ第1及び第2のカンチレバー26、30の撓み量に応じて抵抗が変化する性質を有している。
【0082】
走査型力顕微鏡10の作用において、第1及び第2のカンチレバー26、30は試料22の表面に対して10度程度の傾きをもって配置される。この状態で、カンチレバープローブ構造16を磁気ヘッドなどの試料22に向かって下降させると、長い第1のカンチレバー26の探針28が試料22の表面に接触し、第1のカンチレバー26が撓む。第2のカンチレバー30の探針32は試料22の表面に接触しない。第1のカンチレバー26の撓み量をピエゾ抵抗層44の抵抗変化を利用して測定する。
【0083】
第1のカンチレバー26の撓み量が一定となるようにピエゾ抵抗層で得られた変位情報を高さ制御用微動ステージ14にフィードバックしてカンチレバープローブ構造16の高さを制御しながら、試料22の表面を走査することで、第2のカンチレバー30の探針32の先端は試料22の表面から一定距離を保って走査されることになる。試料22が振幅変調信号により駆動されている場合、第2のカンチレバー30は磁界強度に応じて振動し、その振幅をピエゾ抵抗層46の抵抗変化を利用して検出することで、磁界分布の測定が可能になる。
【0084】
この実施例の場合、浮上高さ制御用の第1のカンチレバー26が1μm程度撓んだ状態を維持することで、磁界信号検出用の第2のカンチレバー30の探針32が40nm程度の浮上量を維持することが可能である。
【0085】
これにより、カンチレバー26は表面形状の測定用として使用でき、カンチレバー30は磁界信号検出用として使用できる。従って、本発明のカンチレバープローブ構造は磁気力顕微鏡用カンチレバープローブ構造として使用が可能である。
【0086】
図19はカンチレバープローブ構造の走査方法の一例を示す図である。この例は、例えば図1から3の実施例のカンチレバープローブ構造16の構造を例にとって走査方法について説明する。
【0087】
2つのカンチレバー26、30の探針28、32の位置は一致しないので、測定時には図中破線で示したような走査を行い、物理量の測定を行う。従って、表面形状測定用の第1のカンチレバー26が取得した表面形状情報を一旦蓄積し、同一点を第2のカンチレバー30が通過するタイミングで高さ制御用微動ステージ14にフィードバックをかけることで、正確な浮上高さ制御が可能になる。
【0088】
以上説明した実施例においては、第1のカンチレバー26は試料の表面形状(例えば凹凸の有無)を測定するばかりでなく、実質的に平坦な試料の表面の位置を測定することができる。例えば、磁気ヘッドの物理量を測定する場合、磁気ヘッドの表面を鏡面加工されているので、磁気ヘッドの表面の凹凸は非常に小さい。この場合、第2のカンチレバー30の探針32の試料22の表面に対する高さ位置を一度だけ検出しておけば、第2のカンチレバー30のみで走査を行えばよいように考えられよう。しかし、第2のカンチレバー30は振動やドリフトの影響を受けて探針32の試料22の表面に対する高さ位置が変動する。従って、第1のカンチレバー26によって試料22の表面に対する高さ位置を検出し、補正しながら、第2のカンチレバー30で走査を行うのが好ましい。こうすれば、振動やドリフトの影響をリアルタイムで回避することができ、走査型力顕微鏡の設置環境に左右されず正確な測定が可能になる。
【0089】
これらの実施例は単独で実施されるだけでなく、相互に特徴を組み合わせて用いることも有効であり、また、本実施例では、磁気力顕微鏡を例にとって説明したが、探針に導電性材料を用いた電気力顕微鏡を始めとするその他の走査型力顕微鏡に適用でき、材料や形状、寸法などはこれらの実施例に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0090】
以上説明した例は以下の特徴を含む。
【0091】
(付記1)保持部材と、少なくとも2つのカンチレバーとを備え、各カンチレバーはレバー本体と、該レバー本体に設けられた探針とを有し、該少なくとも2つのカンチレバーのレバー本体は該保持部材に一緒に保持され、該少なくとも2つのカンチレバーの探針は異なった物理量を検出するように構成されていることを特徴とするカンチレバープローブ構造。(1)
(付記2)該少なくとも2つのカンチレバーのうちの第1のカンチレバーは探針が測定試料の表面に接触するように構成され、該少なくとも2つのカンチレバーのうちの第2のカンチレバーは探針が測定試料の表面に非接触で測定試料の物理量を測定するように構成されていることを特徴とする付記1に記載のカンチレバープローブ構造。(2)
(付記3)該第1のカンチレバーは測定試料の表面の形状を測定し、該第2のカンチレバーの探針は測定試料の表面に非接触で物理量を測定するための材料が付加されていることを特徴とする付記2に記載のカンチレバープローブ構造。
【0092】
(付記4)該第1のカンチレバーの長さが該第2のカンチレバーの長さと異なることを特徴とする付記3に記載のカンチレバープローブ構造。(3)
(付記5)該第1のカンチレバーの探針の高さが該第2のカンチレバーの探針の高さと異なることを特徴とする付記3に記載のカンチレバープローブ構造。
【0093】
(付記6)該第1のカンチレバーは該第2のカンチレバーとは異なる材料で形成されていることを特徴とする付記3に記載のカンチレバープローブ構造。
【0094】
(付記7)少なくとも1つのカンチレバーを振動せしめるための励振機構が設けられることを特徴とする付記3に記載のカンチレバープローブ構造。
【0095】
(付記8)該励振機構は圧電材料からなることを特徴とする付記7に記載の走査型力顕微鏡用カンチレバープローブ構造。
【0096】
(付記9)該少なくとも2つのカンチレバーのうちの第1のカンチレバーはその延伸方向と一致する第1の方向に撓むように構成され、該少なくとも2つのカンチレバーのうちの第2のカンチレバーは該第1の方向とは異なる第2の方向に撓むように構成されていることを特徴とする付記1に記載のカンチレバープローブ構造。
【0097】
(付記10)該第1のカンチレバーはほぼまっすぐに延び、該第2のカンチレバーは該第1のカンチレバーとほぼ平行に延びる第1部分と該第1部分に接続された第2の部分とを有し、該第2の部分のばね定数が該第1の部分のばね定数より小さく、該探針は該第2の部分に設けられることを特徴とする付記8に記載のカンチレバープローブ構造。
【0098】
(付記11)該第1の部分は該第2の部分よりも厚く形成されているか補強されていることを特徴とする付記10に記載のカンチレバープローブ構造。
【0099】
(付記12)該保持部材は半導体材料からなることを特徴とする付記1に記載のカンチレバープローブ構造。
【0100】
(付記13)該少なくとも2つのカンチレバーのレバー本体は該半導体製保持部に半導体製造プロセスの成膜および加工技術により形成された板状の部材からなることを特徴とする付記12に記載のカンチレバープローブ構造。
【0101】
(付記14)保持部材と、少なくとも2つのカンチレバーと、該保持部材を支持し且つ移動させる支持手段と、該少なくとも2つのカンチレバーの変位を検出する検出手段とを備え、各カンチレバーはレバー本体と、該レバー本体に設けられた探針とを有し、該少なくとも2つのカンチレバーのレバー本体は該保持部材に一緒に保持され、該少なくとも2つのカンチレバーの探針は異なった物理量を検出するように構成されていることを特徴とする走査型力顕微鏡。(4)
(付記15)該少なくとも2つのカンチレバーのうちの第1のカンチレバーの変位をあらわす該検出手段の出力に応じて該第1のカンチレバーの撓み量もしくは振動振幅が一定となるように該支持手段を制御する制御手段を備えることを特徴とする付記13に記載の走査型力顕微鏡。(5)
【0102】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高さ位置設定と磁界分布などの非接触物理量測定が同時に行えるため、測定速度の高速化が可能となり、スループットが向上し、大量生産や低コスト化が可能となる。また、物理量測定用の探針が試料表面に触れることがないため、探針先端形状や磁性材料などの探針材料に劣化や汚染が発生せず、再現性のよい測定が可能になり、プローブの寿命も延びるため、低コスト化につながる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施例の走査型力顕微鏡の構成を示す図である。
【図2】図2は図1の走査型力顕微鏡のカンチレバープローブ構造を示す平面図である。
【図3】図3は図2のカンチレバープローブ構造の断面図である。
【図4】図4は本発明の他の実施例の走査型力顕微鏡の構成を示す図である。
【図5】図5は図4の走査型力顕微鏡のカンチレバープローブ構造を示す平面図である。
【図6】図6は図5のカンチレバープローブ構造の断面図である。
【図7】図7は本発明の他の実施例の走査型力顕微鏡の構成を示す図である。
【図8】図8は図7の走査型力顕微鏡のカンチレバープローブ構造を示す平面図である。
【図9】図9は図8のカンチレバープローブ構造の断面図である。
【図10】図10は本発明の他の実施例の走査型力顕微鏡の構成を示す図である。
【図11】図11は図10の走査型力顕微鏡のカンチレバープローブ構造を示す平面図である。
【図12】図12は図11のカンチレバープローブ構造の断面図である。
【図13】図13は本発明の他の実施例の走査型力顕微鏡の構成を示す図である。
【図14】図14は図13の走査型力顕微鏡のカンチレバープローブ構造を示す平面図である。
【図15】図15は図14のカンチレバープローブ構造の断面図である。
【図16】図16は本発明の他の実施例の走査型力顕微鏡の構成を示す図である。
【図17】図17は図16の走査型力顕微鏡のカンチレバープローブ構造を示す平面図である。
【図18】図18は図17のカンチレバープローブ構造の断面図である。
【図19】図19はカンチレバープローブ構造の走査方法の一例を示す図である。
【符号の説明】
10…走査型力顕微鏡
12…XYステージ
14…高さ制御用微動ステージ
16…カンチレバープローブ構造
18…検出手段
20…コントローラ
22…試料
24…チップ台座
26…カンチレバー
28…探針
30…カンチレバー
32…探針
34…磁性材料
36A…光源
36B…検出器
37A…光源
37B…検出器
38A…光源
38B…検出器
40…自己励振機構
42…自己励振機構
44…ピエゾ抵抗層
46…ピエゾ抵抗層
Claims (5)
- 保持部材と、少なくとも2つのカンチレバーとを備え、各カンチレバーはレバー本体と、該レバー本体に設けられた探針とを有し、該少なくとも2つのカンチレバーのレバー本体は該保持部材に一緒に保持され、該少なくとも2つのカンチレバーの探針は異なった物理量を検出するように構成されていることを特徴とするカンチレバープローブ構造。
- 該少なくとも2つのカンチレバーのうちの第1のカンチレバーは探針が測定試料の表面に接触するように構成され、該少なくとも2つのカンチレバーのうちの第2のカンチレバーは探針が測定試料の表面に非接触で測定試料の物理量を測定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のカンチレバープローブ構造。
- 該第1のカンチレバーの長さが該第2のカンチレバーの長さと異なることを特徴とする請求項2に記載のカンチレバープローブ構造。
- 保持部材と、少なくとも2つのカンチレバーと、該保持部材を支持し且つ移動させる支持手段と、該少なくとも2つのカンチレバーの変位を検出する検出手段とを備え、各カンチレバーはレバー本体と、該レバー本体に設けられた探針とを有し、該少なくとも2つのカンチレバーのレバー本体は該保持部材に一緒に保持され、該少なくとも2つのカンチレバーの探針は異なった物理量を検出するように構成されていることを特徴とする走査型力顕微鏡。
- 該少なくとも2つのカンチレバーのうちの第1のカンチレバーの変位をあらわす該検出手段の出力に応じて該第1のカンチレバーの撓み量もしくは振動振幅が一定となるように該支持手段を制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の走査型力顕微鏡。
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-
2003
- 2003-04-25 JP JP2003122178A patent/JP2004325339A/ja active Pending
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JPWO2011024303A1 (ja) * | 2009-08-31 | 2013-01-24 | 株式会社アドバンテスト | プローブ、プローブカード及び電子部品試験装置 |
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