JP2004325177A - 有機酸を含む水溶液の処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】放射線取扱施設で用いる除染用水溶液に残留する有機酸を分解処理する装置において、オゾンや過酸化水素を用いることなく、処理効率の向上と装置の小型化を図る。
【構成】本処理装置は、光触媒層12を収容する流通部13とその流通部13に連通する入口部14および出口部15とを有する処理槽11と、流通部13の内部に配置した複数の光透過性の筒体16を備えている。筒体16は光透過性の内筒17と外筒18を有し、内筒17の内側に光源部19を配置し、内筒17と外筒18の間に水溶液を流通する第2の流通部20を形成し、第2の流通部20に連通する第2の入口部21および第2の出口部22を前記処理槽11に設ける。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は有機酸を含む水溶液の処理装置に関し、特に放射線により汚染された構造部材等の表面を化学的除染方法により溶解して除去する際に、除染用の水溶液に残留する有機酸を好適に処理できる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子力発電所等の原子力施設や放射線研究施設のような放射線取扱施設では、放射性物質と接触する配管、機器、構造部材等には放射性物質を含む酸化皮膜が付着する。そのため構造部材等の周囲の放射線量が高まり、それが定期点検作業や解体作業において作業者の放射線被爆を増大させる原因になる。そこで放射性物質を含む酸化皮膜が付着したこれら構造部材等(以下、除染対象物という)の除染、すなわち放射性物質を含む酸化皮膜の除去が行われる。
【0003】
従来から原子力発電所などで除染対象物に付着した酸化皮膜を除去する方法として、酸化皮膜またはそれと共に除染対象物の金属母材表面を溶解し、付着した酸化皮膜を溶液中に溶解または剥離させる化学除染方法が知られている。例えば除染対象物がステンレス鋼の場合、それに付着する酸化皮膜の主成分は鉄系酸化物で残りはクロム酸化物であるが、そのような除染対象物を除染するには、通常、鉄系酸化物を還元剤により還元溶解する工程と、クロム酸化物を酸化剤により酸化溶解する工程を組み合わせた方法が採用される。
【0004】
例えば特許文献1には酸化剤として低濃度で酸化効果の高い過マンガン酸と、還元剤としてCOとHOに分解可能なジカルボン酸を使用する方法が記載されているが、この方法は二次廃棄物の発生量が少ないという効果を有するものとして注目される。
【0005】
【特許文献1】
特公平3−10919号公報(特許請求の範囲等)
【0006】
放射性物質に汚染された除染対象物を化学除染方法により除染すると、除染対象物から溶出した放射性物質や除染工程で化学的に変化しない化学物質、例えば還元剤を含む水溶液が排出される。この水溶液は最終的には乾燥固化して容器に密封貯蔵されるが、貯蔵に際しては、水溶液中の放射性物質等を出来るだけ少なくして貯蔵に要する容量を抑制することが望ましい。そのため酸化皮膜の除去に使用した還元剤などの化学物質の分解や放射性物質を含むイオン性の溶解物、例えば鉄イオンをイオン交換樹脂で分離除去する方法が採用される。上記化学物質の分解等については特許文献2や特許文献3に記載された方法が提案されている。
【0007】
【特許文献2】
特開2000−81498号公報(特許請求の範囲、第9―11頁、図1、図13)
【特許文献3】
特許第2941429号公報(特許請求の範囲、第3頁)
【0008】
特許文献2には酸化剤としてオゾンを用いた酸化溶解工程、還元剤としてシュウ酸等の有機酸を用いた還元溶解工程、酸化溶解工程で溶出した鉄や放射性核種であるコバルト等の陽イオンをイオン交換部(カチオン交換器)で除去することが記載されている。
【0009】
特許文献3には除染工程で有機酸および鉄錯体を含む水溶液に紫外線を照射し、鉄錯体を還元することにより得られた溶解鉄の一部をカチオン交換器で除去し、残りの水溶液に酸化剤として過酸化水素を添加して鉄錯体を生成するという各工程を、有機酸がなくなるまで水溶液を循環しながら繰り返す方法が記載されている。なお本方法はヘーバーバイス(Herber−Weiss)反応による促進酸化促進法の1種であるフェノトン反応を応用した紫外線(UV)/フェントン反応を一部に適用しているが、その詳細な反応機構は公知なので省略する。
【0010】
しかしオゾンを利用した有機酸の分解方法は、還元工程における溶液温度が80度程度と高いためにオゾン濃度を高濃度まで上げることが困難であり、そのため比較的低いオゾン濃度で分解をしなければならず、分解時間が長くなるという問題がある。
【0011】
またオゾンや過酸化水素を用いた場合、還元剤などの化学物質の分解や溶解した鉄イオンなどをカチオン交換器で除去する前に、カチオン交換器内のイオン交換樹脂の劣化を防止するためにはそれらオゾンや過酸化水素を除去する必要がある。これらの除去には例えば紫外線を照射する方法が採用できるが、イオン交換後の水溶液を循環して再び有機酸の分解を行うためには、水溶液に再度オゾンや過酸化水素を加えてその濃度を回復させる必要があり、その除去と回復のため、有機酸分解工程に時間ロスが生じるという問題がある。
【0012】
前記特許文献2にはオゾンや過酸化水素等の酸化剤を使用する代りに、酸化チタンからなる光触媒を用いた有機酸分解方法も記載されている。酸化チタンはn型半導体であり、バンドギャップ(約3.2eV)以上のエネルギーを有する波長の光、例えば低圧水銀ランプからの紫外線(波長約380nm)で励起すると、結晶内部に電子−正孔対が発生する。この正孔は強い酸化力を有するので水と接触するとそれを酸化して酸化力の強いヒドロキシラジカル(・OH)を生成し、そのヒドロキシラジカルが有機酸を効率よく酸化し分解する。
【0013】
また特許文献4には比表面積の大きな細孔内に酸化チタンや金属(例えば鉄)を含ませた光触媒シリカゲルが記載されている。
【0014】
【特許文献4】
特開平11−138017号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上記光触媒を用いた有機酸の分解方法は、オゾンや過酸化水素のような酸化剤を使用しないので、前記したそれらに起因する諸問題は生じない。しかし特許文献2には光触媒による有機酸を含む水溶液を効率的に処理する装置については何ら記載されていない。
【0016】
例えば光透過性の容器内に光触媒層を収容し、その光触媒層中に有機酸を含む水溶液を通過させ、容器の外側または上方から光を照射する構成が考えられる。しかしそのような構成では光触媒層の一部しか光照射を受けないので、有機酸の分解効率が低いものと予測される。例えば原子力発電所などの放射線取扱施設では化学所染を実施する装置を設置するスペースが制約されているので、有機酸分解のために大きなスペースを占有することは困難であり、小型で高効率の有機酸分解装置が要望される。
【0017】
そこで本発明は光触媒を用いた有機酸の分解装置における前記問題を解決することを課題とし、小型で分解効率の高い処理装置の提供を第1の目的とする。また除染対象物から溶解した鉄イオンなどの金属イオンをイオン交換樹脂で除去する際には、それに捕捉可能な価数の金属イオン(例えば鉄イオンの場合には陽イオン交換樹脂に捕捉可能な二価の鉄イオンに還元)することが必要であるが、本発明は前記有機酸分解と金属イオン変換を同じ装置で行うことが可能な処理装置の提供を第2の目的とする。
【0018】
さらに、有機酸分解工程では所定の鉄イオン濃度が必要なので、除染対象物から溶解した鉄イオンなどの金属イオンをカチオン交換器で除去する際には、一度に分離除去してはならず、有機酸の残量に応じて段階的に分離除去していかなければならないので、操作にわずらわしさがある。そこで本発明は水溶液中の鉄イオン濃度に左右されることなく、自由にイオン交換部で鉄イオンの分離除去ができる装置の提供を第3の目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記課題に基づき、第1の目的を達成する本発明は水溶液に含まれる有機酸を処理する装置であり、該装置は、光触媒層を収容する流通部とその流通部に連通する入口部および出口部とを有する処理槽と、前記流通部の内部に配置した複数の光透過性の筒体と、各筒体の内側にそれぞれ配置した光触媒励起用の複数の光源部を備えている。
そして前記流通部に光触媒層を収容し前記複数の光源部から光照射した状態で、有機酸を含む水溶液を前記入口部から流通部を経て出口部に流通したとき、該有機酸が光触媒層中で分解するように構成したことを特徴とする(請求項1)。
【0020】
また第2の目的を達成する本発明は、上記第1の目的を達成する装置において、前記筒体が光透過性の内筒と外筒を有し、内筒の内側に前記光源部を配置し、内筒と外筒の間に水溶液を流通する第2の流通部を形成し、第2の流通部に連通する第2の入口部および第2の出口部を前記処理槽に備えている。
そして前記流通部に光触媒層を収容し前記複数の光源部から光照射した状態で有機酸を含む水溶液を前記入口部から流通部を経て出口部に流通したとき、その有機酸が光触媒層を通過する間に分解し、前記第2の流通部に前記光源部から光照射した状態で金属イオンを含む水溶液を前記第2の入口部から第2の出口部に流通したとき、その金属イオンが第2の流通部を通過する間に還元するように構成したことを特徴とする(請求項2)。
【0021】
また第3の目的を達成する本発明は、上記装置いずれかの装置において、前記光触媒層が、遷移元素から選ばれた少なくとも1種の金属または金属酸化物を含む光触媒粒子により形成されることを特徴とする(請求項3)。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面により説明する。図1は本発明に係る処理装置のプロセスフロー図である。処理装置1は除染用の水溶液を循環する循環系統2を備え、その循環系統2の配管3に除染対象物4、タンク5およびポンプ6が順に設けられる。さらに水溶液処理部7、加熱部8およびイオン交換部9が除染用循環系統2に接続される。
【0023】
除染対象物4は、例えば放射線取扱施設における配管や機器類である。タンク5は水溶液のバッファ用として設けられ、このタンク5には処理剤供給部10から酸化皮膜を酸化溶解する酸化剤や還元溶解する還元剤などが供給される。酸化剤として例えば、過マンガン酸を使用でき、還元剤としてはシュウ酸などの有機酸を使用できる。
タンク5の中に機器類などの除染対象物4を点線で示すように配置して除染することもできる。なお場合によってはタンク5は省略することができる。
【0024】
ポンプ6は水溶液を循環系統2に循環させるために設けられる。また加熱部8は水溶液を所定温度に昇温するために設けられ、例えば電気ヒータを収容したタンクにより構成することができる。
イオン交換部9は酸化皮膜の除去に使用した還元剤や放射性物質を含むイオン性の溶解物の分離除去をするために設けられ、例えば鉄イオンを除去する場合にはイオン交換部9として陽イオン交換樹脂を収容したカチオン交換器が用いられる。
【0025】
水溶液処理部7は本発明の重要構成部分であり、水溶液に還元剤として含まれている有機酸の分解処理やイオン交換樹脂に捕捉可能な価数の金属イオン変換(還元)処理を行うものである。
図2に水溶液処理部7の外観斜視図を示し、図3に図2のA−A断面図とその周辺の配管類を示し、図4に図2のB−B断面図を示す。
【0026】
図2〜図4において、水溶液処理部7は強化プラスチックやステンレス等の金属材料で作られた円筒状の処理槽11を備えており、処理槽11は上段、中段および下段に分割され、中段に光触媒層12を収容する収容部13が設けられる。そして流通部13の下部に入口部14が連通し、上部に出口部15が連通する。
【0027】
流通部13は上端部と下端部を閉鎖した円筒状とされ、その軸方向に複数の光透過性の筒体16が所定間隔で平行に貫通し、各筒体16の周囲に光触媒層12が収容される。各筒体16は光透過性の内筒17と光透過性の外筒18を有する二重管構造とされ、外筒18の上下端は流通部13の上下端に一致し、閉鎖された内筒17の下端は流通部13の下端に一致し、内筒17の上端は処理槽11の上端(上段の上端)に一致している。そして各内筒17の内部にそれぞれ細長い発光部を有する光源部19が配置される。
【0028】
光源部19は流通部13と同じ長さを有する水銀ランプ、Xeランプ、殺菌ランプ、ブラックライトのような紫外線を多く照射できるものを使用する。そして内筒17と外筒18は紫外線の透過率が高く耐熱性のよい石英ガラス等で構成される。なお光源部19は点検や交換を容易にするため、例えば内筒17の上端を処理槽11の上部に設けた蓋体などに着脱自在に固定し、光源部19を外部に取り出せるように構成することが望ましい。
【0029】
複数の内筒17と外筒18の間には、それぞれ水溶液を流通する筒状の第2の流通部20が形成されている。そして各第2の流通部20の下端は処理槽11の下段内部を経て第2の入口部21に連通し、各第2の流通部20の上端は処理槽11の上段内部を経て第2の出口部22に連通する。
【0030】
流通部13内の光触媒層12は細かい光触媒粒子により形成される。光触媒粒子として従来と同様な酸化チタン粒子を使用することができるが、結晶型がアナターゼ型である酸化チタン粒子が望ましい。また光触媒粒子は酸化チタン粒子そのものでもよいが、酸化チタン粒子を多孔性の活性炭、アルミナ、シリカゲル等の担持体に担持したものがより望ましい。例えば従来技術として紹介した特許文献4に記載された光触媒シリカゲルのような比表面積の大きな細孔内に酸化チタンや金属を含ませたもので、特に鉄を含ませたものは本発明に好適に利用できる。
【0031】
さらに光触媒粒子に遷移元素から選ばれた金属やその酸化物(例えば鉄またはその酸化物)を含むもので光触媒層12を形成することもできる。特に鉄またはその酸化物を含む光触媒粒子は、後述するように、本発明の処理装置に有効に使用できる。光触媒粒子に金属または金属酸化物を含ませるには、例えば前記のような多孔性の活性炭、アルミナ、シリカゲル等の担持体に光触媒粒子と共に金属または金属酸化物を溶液状態で担持させる方法が好適である。
【0032】
図3において、循環系統2を構成する配管3にはさらに別の配管23が接続され、その配管23に開閉弁24,25が設けられる。開閉弁24の出口側は入口部14に連通し、開閉弁25の出口側は第2の入口部21に連通し、さらに開閉弁25の出口側には水抜弁26が設けられる。配管3にはバイパス弁27が設けられ、その出口側に接続した配管28に開閉弁29,30の出口側がそれぞれ接続される。そして開閉弁29の入口側は出口部15に連通し、開閉弁30の入口側は第2の出口部22に連通する。
【0033】
次に本実施形態における処理装置1を使用し、有機酸を含む水溶液を処理する方法について説明する。図1に示すプロセスフロー図において、先ずタンク5に図示しない水供給部から所定量の水を補給し、処理剤供給部10から酸化皮膜を還元溶解するシュウ酸などの有機酸を主成分とする還元剤を供給して除染用の水溶液を調整する。次にポンプ6を運転して水溶液を配管3に循環することにより除染工程が開始され、循環する水溶液で除染対象物4に付着した酸化皮膜が溶解除去されていく。除染操作を行うと循環する水溶液中には溶解した鉄イオン等の金属イオン、放射線核種を含む溶解物、有機酸などが混在してくるが、これらは次に述べるイオン交換処理や有機酸分解処理により除去もしくは低減される。
【0034】
(金属イオンの還元およびイオン交換処理)
除染工程中にイオン交換処理を行うときは、水溶液に含まれる鉄イオン等の金属イオンをイオン交換樹脂に捕捉可能な価数に変換(還元)する必要がある。還元処理をするときは、図3に示す開閉弁25,30を開け、開閉弁24,29および27を閉じた状態で、循環系統2に鉄イオン等を含む水溶液を循環する。第2の入口部21から流入した水溶液は、複数の光源部19から紫外線を含む光が照射される複数の第2の流通部20を分流して通過する間に、その光エネルギーにより例えば鉄イオンが陽イオン交換樹脂で捕捉可能な二価の鉄イオンに還元される。
【0035】
このように水溶液を複数の第2の流通部20に分流させ、それぞれの周囲から紫外線を含む光を照射することにより、鉄イオン等の金属イオンを短時間で変換できるので、処理効率が向上し、装置を小型化することができる。
処理槽11で価数を変換した金属イオン、例えば二価の鉄イオンを含む水溶液は、第2の出口部22から配管28を経て循環系統2に戻り、次いで図1に示す加熱部8を経てイオン交換部9に流入する。イオン交換部9では例えば二価の鉄イオンが陽イオン交換樹脂に捕捉されて除去され、鉄イオンの少なくなった水溶液が再び循環系統2に戻る。
【0036】
(有機酸の分解処理)
有機酸の分解処理を行うときは、図3に示す開閉弁24,29を開け、開閉弁25,30,バイパス弁27を閉じた状態で、循環系統2に有機酸を含む水溶液を循環する。入口部14から流通部13に流入した水溶液は所定間隔で配置された複数の光源部19からの紫外線を含む光により全体的に且つ満遍なく励起状態にされた光触媒層12を通過する間に、その酸化作用で含まれている有機酸が効率よく且つ迅速に分解され、出口部15から循環系統2に戻る。そして処理槽11への水溶液循環を続けることにより、その有機酸濃度は次第に減少していく。
【0037】
有機酸の分解処理を行う際に、内筒17と外筒18の間に形成した第2の流通部20に水溶液が残留していると、光源部19からの光が第2の流通部20で減衰して弱められる恐れがある。そこで有機酸の分解工程に先立って、水抜弁26を開けて第2の流通部20内の水溶液を抜き出しておくことが望ましい。なお、上記のように構成した処理槽11を使用することにより、従来の処理槽と比較すると同じ内容積の場合には1.3倍程度その処理量を増大することができる。
【0038】
前記のように、光触媒層12を光触媒粒子に例えば鉄またはその酸化物を含ませた光触媒粒子で形成した場合には、イオン交換部9における鉄イオンの除去を従来のように段階的に行う必要がないので除染操作がより容易になる。すなわち、一般的に除染操作では水溶液が所定の鉄イオン濃度を有することが有機酸の分解のために必要であり、そのためイオン交換部9での鉄イオン除去は水溶液中の鉄イオンを所定濃度に維持しながら行っていた。しかし光触媒層12を鉄またはその酸化物を含ませた光触媒粒子で形成した場合には、その鉄または酸化物が前記鉄イオンと同等の働きをするため、水溶液中に鉄イオンがなくても構わない。したがって従来のような段階的に鉄イオンを除去する手間も省け、一度に鉄イオンを除去してよい。
【0039】
図2〜図4に示す処理槽11はイオン交換処理を容易にするための金属イオンの価数低減(還元)処理と有機物分解処理の両方を同じ槽内で処理できるように構成されている。そのため装置をより一層小型化でき、設置に必要な占有スペースもそれに応じて小さくできる。なお図2〜図4に示す処理槽11は縦に配置するように示されているが横置にすることもできる。
【0040】
場合によっては金属イオンの価数低減処理と有機物分解処理を互いに別の処理槽で行うこともできる。その場合には価数低減処理の処理槽11には光触媒槽12を設けず、単筒状の筒体16内に光源部19を配置し、有機物分解処理の処理槽11には光触媒槽12を設けて単筒状の筒体16内に光源部19を配置する。
【0041】
【発明の効果】
以上のように前記第1の目的を達成する本発明には、光触媒層を収容する流通部とその流通部に連通する入口部および出口部とを有する処理槽と、前記流通部の内部に配置した複数の光透過性の筒体と、各筒体の内側にそれぞれ配置した光触媒励起用の複数の光源部を備えていることを特徴とする。
【0042】
本装置によれば、前記流通部に光触媒層を収容し、それを前記複数の光源部から光照射した状態で、有機酸を含む水溶液を前記入口部から流通部を経て出口部に流通したとき、全体的に且つ満遍なく光励起された光触媒層により、有機酸が高効率で且つ迅速に分解される。そのため従来装置より処理効率が向上し、結果として装置の小型化を達成できる。
またオゾンや過酸化水素を使用しなくてもよいので、それらのシビアな注入操作が不要になる上に、イオン交換部への通水がいつでも可能となり、有機酸の分解と並行して鉄イオン等の除去を行うことができる。
【0043】
前記第2の目的を達成する本発明は、上記第1の目的を達成する装置において、筒体を光透過性の内筒と外筒により構成し、内筒の内側に前記光源部を配置し、内筒と外筒の間に水溶液を流通する第2の流通部を形成し、第2の流通部に連通する第2の入口部および第2の出口部を前記処理槽に備えたことに特徴がある。
【0044】
本装置によれば、前記流通部に光触媒層を収容し前記複数の光源部から光照射した状態で、有機酸を含む水溶液を前記入口部から流通部を経て出口部に流通したとき、その有機酸が光触媒層を通過する間に分解し、前記第2の流通部に前記光源部から光照射した状態で金属イオンを含む水溶液を前記第2の入口部から第2の出口部に流通したとき、その金属イオンを第2の流通部を通過する間に還元することができる。そのため同じ装置で金属イオンの価数低減処理と有機物分解処理の両方を高効率で且つ迅速に行うことができ、そのため装置構成が簡単になると共に、より一層小型化することができ、設置に必要な占有スペースもそれに応じて小さくできる。
【0045】
また第3の目的を達成する本発明は、上記第1の目的を達成する装置または第2の目的を達成する装置のいずれかにおいて、流通部に収容する光触媒層を遷移元素から選ばれた少なくとも1種の金属または金属酸化物を含む光触媒粒子により形成することに特徴がある。このような光触媒を用いることにより、イオン交換する際の鉄イオン等の金属イオンの除去を従来のように段階的に行う必要がないので、除染操作がより容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る処理装置のプロセスフロー図。
【図2】図1における水溶液処理部7の外観斜視図。
【図3】図2のA−A断面とその周辺の配管類を示す図。
【図4】図2のB−B断面図。
【符号の説明】
1 処理装置
2 循環系統
3 配管
4 除染対象物
5 タンク
6 ポンプ
7 水溶液処理部
8 加熱部
9 イオン交換部
10 処理剤供給部
11 処理槽
12 光触媒層
13 流通部
14 入口部
15 出口部
16 筒体
17 内筒
18 外筒
19 光源部
20 第2の流通部
21 第2の入口部
22 第2の出口部
23 配管
24,25 開閉弁
26 水抜弁
27 バイパス弁
28 配管
29,30 開閉弁

Claims (3)

  1. 水溶液に含まれる有機酸を処理する装置において、光触媒層12を収容する流通部13とその流通部13に連通する入口部14および出口部15とを有する処理槽11と、前記流通部13の内部に配置した複数の光透過性の筒体16と、各筒体16の内側にそれぞれ配置した光触媒励起用の複数の光源部19を備え、
    前記流通部13に光触媒層12を収容し前記複数の光源部19から光照射した状態で、有機酸を含む水溶液を前記入口部14から流通部13を経て出口部15に流通したとき、該有機酸が光触媒層12中で分解するように構成したことを特徴とする有機酸を含む水溶液の処理装置。
  2. 請求項1において、前記筒体16は光透過性の内筒17と外筒18を有し、内筒17の内側に前記光源部19を配置し、内筒17と外筒18の間に水溶液を流通する第2の流通部20を形成し、第2の流通部20に連通する第2の入口部21および第2の出口部22を前記処理槽11に備え、
    前記流通部13に光触媒層12を収容し前記複数の光源部19から光照射した状態で、有機酸を含む水溶液を前記入口部14から流通部13を経て出口部15に流通したとき、その有機酸が光触媒層12を通過する間に分解し、
    前記第2の流通部20に前記複数の光源部19から光照射した状態で金属イオンを含む水溶液を前記第2の入口部21から第2の出口部22に流通したとき、その金属イオンが第2の流通部20を通過する間に還元するように構成したことを特徴とする有機酸を含む水溶液の処理装置。
  3. 請求項1または2において、前記光触媒層12は、遷移元素から選ばれた少なくとも1種の金属または金属酸化物を含む光触媒粒子により形成されることを特徴とする有機酸を含む水溶液の処理装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1331586C (zh) * 2005-03-30 2007-08-15 福州大学 高效消除空气或水中环境污染物的复合光催化反应系统
JP2010227838A (ja) * 2009-03-27 2010-10-14 Onomori:Kk 水質浄化装置
JP2018159647A (ja) * 2017-03-23 2018-10-11 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 化学除染装置及び化学除染方法

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