JP2004324908A - ビル設備制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】消費エネルギーと快適性とを総合的に勘案して設備機器を制御することのできるビル設備制御装置を提供する。
【解決手段】構造同定部11によりアンケートを実施し制御対象機器2の動作に対する人間の要求を収集し、この要求に基づき機器2の動作を決定する視的環境、温熱環境及び省エネルギーの各要素に対する重み係数を算出する。また、モデル演算部14により外気温度と日射量からPMV、窓面輝度、機器2の消費エネルギーを算出し、効用変換部15によりこれらの値を効用度に変換する。そして、統合化部16により前述の効用度と重み係数から統合化効用関数を用いて統合化効用度を導出し、最適評価部17により省エネルギー等の前述の各要素の点で総合的に各意思決定者を最も満足させられ最大の統合化効用度を導出する。制御部13によりこの効用値に対応する設定温度及びスラット角で機器2を動作させる。
【選択図】 図1
【解決手段】構造同定部11によりアンケートを実施し制御対象機器2の動作に対する人間の要求を収集し、この要求に基づき機器2の動作を決定する視的環境、温熱環境及び省エネルギーの各要素に対する重み係数を算出する。また、モデル演算部14により外気温度と日射量からPMV、窓面輝度、機器2の消費エネルギーを算出し、効用変換部15によりこれらの値を効用度に変換する。そして、統合化部16により前述の効用度と重み係数から統合化効用関数を用いて統合化効用度を導出し、最適評価部17により省エネルギー等の前述の各要素の点で総合的に各意思決定者を最も満足させられ最大の統合化効用度を導出する。制御部13によりこの効用値に対応する設定温度及びスラット角で機器2を動作させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物内に設置される空調設備や照明設備などの設備機器の動作を制御するビル設備制御装置の技術分野に属し、特に、快適性及び省エネルギー化の設備機器の動作に対する複数の要求に対して最適な動作を実現するビル設備制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
下記特許文献1には、事務所や工場などのビル内に設置される空調設備及び照明設備のトータルの省エネルギー化を図るべく、季節、天候及びゾーンごとに複数のブラインドのスラット角を設定し、空調設備及び照明設備の各消費エネルギーの和が最小となるスラット角を予め学習して記憶しておき、実際にブラインドのスラット角を制御する際には、記憶された複数のスラット角の中から、その時点の季節、天候及びゾーンに対応するスラット角を検索し、このスラット角に基づいてブラインドを制御する技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特許第3302800号
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、空調設備や照明設備等の設備機器の運転は、ビルの利用者の要求を正確に把握することなく、ビルの管理者によって一方的に管理されている場合がある。この場合、ビルの管理者は、低コスト化の点から快適性より省エネルギーを重視する傾向が大きい。
【0005】
しかしながら、室内環境はそのビル内で作業するビルの利用者の作業効率に大きく影響を与えるため、ビルの管理者が、快適性より省エネルギーを重視した場合、作業効率の低下を招来する虞がある。
【0006】
一方、作業効率を省エネルギーより重視して設備機器の管理を行った場合には、例えば室内に誰もいないのに空調設備を運転させること等によるエネルギーの浪費や、例えば空調設備の設定温度を必要以上に高くしたり低くしたりする等による電力の過剰供給によって、設備機器の運転コストの増加を招来する虞がある。
【0007】
このように、いずれか一方の立場の人間の要求にしたがって設備機器を動作せるようにすると、快適性か省エネルギーかのいずれか一方が重視されることで、他方の立場の人間が不利益を被る可能性が高いことから、快適性と省エネルギーとを総合的に判断した上で設備機器を動作させることができれば、立場の異なる人を適度に満足させることができると考えられるが、このような構成を実現するものは商品化されてもいないし、提案もなされていない。
【0008】
なお、前述の特許文献1は、空調設備及び照明設備のトータルの省エネルギー化を図るものであって、省エネルギー化と快適性の両立を実現するものではない。
【0009】
本発明は、前述の事情に鑑みてなされたもので、消費エネルギーと快適性とを総合的に勘案して設備機器を制御することのできるビル設備制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、建物内に設置される設備機器の動作に対する人間の要求を収集する収集手段と、前記収集された要求に基づき、前記設備機器の動作を決定する複数の要素に対する重み付けをそれぞれ行い重み係数を算出する重み付け手段と、前記設備機器の消費エネルギーを算出する消費エネルギー算出手段と、前記建物内の快適性に係る指標の値を算出する快適性算出手段と、前記消費エネルギーと前記快適性に係る指標の値と前記重み係数とを用いて、前記消費エネルギー及び前記快適性の評価を行う評価手段と、前記評価手段により最良と評価される消費エネルギー及び快適性に係る指標の値で前記設備機器を動作させる制御手段とを備えることを特徴とするビル設備制御装置である。
【0011】
この発明によれば、収集手段により、建物内に設置される設備機器の動作に対する人間の要求が収集されると、重み付け手段により、前記収集された要求に基づいて、設備機器の動作を決定する複数の要素に対する重み付けがそれぞれ行われ重み係数が算出される。
【0012】
一方、消費エネルギー算出手段により、前記設備機器の消費エネルギーが算出されるとともに、快適性算出手段により、前記建物内の快適性に係る指標の値が算出される。
【0013】
そして、評価手段により、前記消費エネルギーと前記快適性に係る指標の値と前記重み係数とを用いて、前記消費エネルギー及び前記快適性の評価が行われ、制御手段により、前記評価手段で最良と評価される消費エネルギー及び快適性に係る指標の値で前記設備機器が動作される。
【0014】
このように、建物内に設置される設備機器に対する人間の要求を収集し、収集された要求に基づいて、最良と評価される消費エネルギー及び快適性に係る指標の値を導出して、これらの値で設備機器を動作させるようにしたので、消費エネルギーと快適性とを総合的に勘案して設備機器を制御することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のビル設備制御装置において、前記重み付け手段は、前記収集された要求に基づいて前記複数の要素を階層的に構造化した後、前記各要素の重み係数を算出することを特徴とするものである。
【0016】
この発明によれば、収集された要求に基づいて複数の要素を階層的に構造化した後、前記各要素の重み係数を算出するようにしたので、設備機器の動作を決定する複数の要素間の関係を適切に把握することができる。その結果、各要素に対して適切な重み係数を算出することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のビル設備制御装置において、前記評価手段は、前記消費エネルギー及び前記快適性に係る指標の値をそれぞれ人間の満足度を示す数値に変換する変換関数を有し、この満足度を示す数値と前記重み係数とを用いて前記評価を行うものであり、前記収集手段により要求が収集される毎に、この収集された要求に応じて前記変換関数を変更することを特徴とするものである。
【0018】
この発明によれば、収集手段により要求が収集される毎に、この収集された要求に応じて変換関数を変更するようにしたので、設備機器の動作に対する人間の要求が変化した場合でも、その変化に応じて設備機器の動作を適切に制御することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のビル設備制御装置において、前記複数の要素に前記重み係数が予め複数パターン設定されており、前記評価手段は、前記収集された要求に対応するパターンの重み係数を用いて、前記消費エネルギー及び前記快適性の評価を行うことを特徴とするものである。
【0020】
この発明によれば、前記複数の要素に重み係数を予め複数パターン設定し、前記評価手段は、前記収集された要求に対応するパターンの重み係数を用いて、前記消費エネルギー及び前記快適性の評価を行うようにしたので、省エネルギーを重視した動作を設備機器に行わせるか、快適性を重視した動作を設備機器に行わせるかを比較的簡単に決定することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について説明する。
【0022】
図1に示すように、制御システム1は、ビル内に設置される制御対象設備(設備機器に相当)2と、制御対象設備2の動作を制御する設備制御装置3と、パーソナルコンピュータ(PC)4と、制御対象設備2の動作を制御するのに必要な室内外の環境状態を検出する検出部5とを備えてなる。
【0023】
制御対象設備2として、例えば空調設備6、照明設備7及びブラインド設備8がある。また、本実施形態では、前述の空調設備6等の動作を制御すべく、検出部5として、外気温度を計測する温度計9と、日射量を計測する日射計10とを備えている。そして、温度計9により計測される外気温度や日射計10により計測される日射量に応じて、空調設備6は設定温度が、ブラインド設備8はスラット角がそれぞれ設備制御装置3により制御される。
【0024】
この制御システム1において、特に、本実施形態では、次のような点を考慮して制御対象設備2の動作を制御するようにしている。
【0025】
すなわち、制御対象設備2が配設されるビルの所有者と利用者とで、快適性(室内環境)と省エネルギー化の点について、制御対象設備2に対する要求や要望が異なる場合が多い。また、ビルの利用者であっても、その利用者が性別によって、あるいは身体的なハンデの有無によって制御対象設備2に対する要求や要望が異なることも多々ある。
【0026】
そこで、本実施形態においては、このように立場の異なる人々の様々な要求や要望から、快適性と省エネルギー化とを総合的にみて最適と考えられる設定内容で制御対象設備2を動作させるようにしている。なお、室内環境は、室内の温度に係る温熱環境と、室内の明るさや窓越しに見える景観や眺望に係る視的環境とに大別することができる。
【0027】
さらに、室内環境、とりわけ窓面を中心とする空間の環境制御は、室外の環境の影響を受けやすく、快適性やエネルギー消費量が、室外の環境に応じて複雑に変化する。この変化に伴って、快適性や省エネルギー化に対する利用者の要求も複雑に変化するものと考えられる。また、眺望による心理的な効果も利用者の要求に影響すると考えられる。
【0028】
そこで、本実施形態では、快適性やエネルギー消費量を示す要素として、例えば「作業効率」、「温感」、「雰囲気」及び「コスト」を挙げ、これら複数の要素が複雑に絡み合った環境制御の問題に対し、前述の要素間の関係とそれぞれの重要度とを明確にすることで、快適性とエネルギー消費量との重要度の比率を求めるようにしている。
【0029】
前述のような構成を実現すべく、図1に示すように、設備制御装置3は、構造同定部11、最適化部12及び制御部13を備えている。なお、構造同定部11は、収集手段及び重み付け手段に相当する。
【0030】
構造同定部11は、ビルの所有者及び利用者(以下、総称して意志決定者という)に、室内環境及び省エネルギー化についてのアンケートをPC4を用いて実施し、ビル管理(室内環境やその環境を維持するために要するコスト)に対する要求や要望、あるいは感想を収集した後、このアンケート結果に基づいて、以下に説明するように、「作業効率」、「温感」、「雰囲気」及び「コスト」の各要素を階層的に構造化し、各要素の重要度を表す重み係数や各意思決定者の要求の重要度を表す重み係数を算出するものである。
【0031】
なお、本実施形態においては、ビルの利用者を、さらに男性の利用者、女性の利用者、及び身体的弱者に分類する。
【0032】
図2は、重み係数の算出方法の説明図である。
【0033】
図2(a)は、所有者及び各利用者が要求する制御対象設備2の運転に関する、「作業効率」、「温感」、「雰囲気」及び「コスト」の各要素の階層構造化を行うべく、アンケート結果に基づき、周知のISM(Interpretive Structural Modeling)法に従って生成した関係行列(Binary Matrix)の一例を示すものである。
【0034】
図2(a)に示すように、関係行列は、横の要素をi、縦の要素をjとしたとき、要素jが要素iに影響を与える場合は、第i行第j列目を「1」、影響を与えない場合は、「0」として生成されたものである。
【0035】
例えば、図2(a)においては、温感は作業効率に影響を与えるというアンケート結果から、第2行第1列目を「1」とする一方、コストは作業効率に影響を与えないというアンケート結果から、第4行第1列目を「0」としている。
【0036】
図2(b)は、図2(a)に示す関係行列に基づいて解析された前述の各要素の階層構造をネットワーク図として示したものである。なお、関係行列からネットワーク図を生成する方法は周知であるため、詳細には説明しないが、例えば関係行列から可達行列(Reachability Matrix)を求め、この可達行列を用いて各要素をレベル分割(Level Partition)することにより生成することができる。
【0037】
図2(b)に示す階層構造のネットワーク図は、上層に「作業効率」及び「コスト」の要素が、下層に「温感」及び「雰囲気」の要素が位置するとともに、「温感」及び「雰囲気」は「作業効率」に影響を与え、「作業効率」を除く他の要素間では相互に影響を与えるものではない旨を示す。
【0038】
したがって、空調設備6、照明設備7及びブラインド設備8の最適運転を行うという課題に対し、図3に示すような階層構造を構成することができる。すなわち、この階層構造は、図3に示すように、意思決定者の要素(所有者、男性利用者、女性利用者及び身体的弱者)を最上層(第1の階層という)とし、その下の階層(第2の階層という)に、「作業効率」及び「コスト」の要素が位置し、さらにその下の階層(第3の階層という)に「雰囲気」及び「温感」の要素が位置し、さらにその下の階層(第4の階層という)に、制御対象設備2の運転内容を決定する「視的環境」、「温熱環境」及び「省エネ」の要素が位置するものである。
【0039】
次に、構造同定部11は、周知の階層分析法(AHP法、Analytic Hierarchy Process)により、意思決定者の要求に対する重み付け(意思決定者の要求に対する重要度の比率の設定)を行う。
【0040】
図2(c)は、アンケートの結果から、所有者並びに男性、女性及び身体的弱者の各利用者の要求の重み係数を前述のAHP法により決定して構成されるペア比較マトリックスの一例を示したものである。
【0041】
図2(c)に示すように、ペア比較マトリックスは、横の要素をi、縦の要素をjとしたとき、要素iに対する要素jの要求の重要度の大小を比較(一対比較)し、第i行第j列目に、その重要度に応じた数値(重み係数)を設定したものである。
【0042】
例えば、図2(c)に示すように、所有者に対する男性利用者の要求の重要度を示す重み係数が2.0となっていることから、男性の利用者の要求の重要度は所有者より2倍高いというアンケート結果が得られたことが判る。
【0043】
図2(d)は、図2(c)に示すペア比較マトリックスに基づいて、各意志決定者の要求に対する重み係数(第1の階層における相対的な重み係数)の算出を行ったものである。なお、図2(d)に示す各要素(所有者、男性利用者、女性利用者及び身体的弱者)の重み係数は、例えば次のようにして算出される。
【0044】
図2(c)において、構造同定部11は、要素i(または要素j)の数をnとすると、要素jごとに、当該要素に対して設定されたすべての重み係数を乗算して得られる乗算値のn乗根を算出する(以下、この値を幾何平均値という)。次に、構造同定部11は、各要素jについて算出された各幾何平均値の合計を算出する。そして、構造同定部11は、この幾何平均値の合計に対する、当該要素jについて算出された幾何平均値の割合を算出する。これにより、図2(d)に示す各重み係数が得られる。
【0045】
例えば、所有者の重み係数を算出する場合、所有者に対して設定された重み係数は、図2(c)に示すように、「1.0」,「0.5」,「0.3」及び「0.2」であるから、所有者の幾何平均値は(1.0×0.5×0.3×0.2)1/4より、約0.415となる。
【0046】
これと同様の演算方法により、構造同定部11は、男性利用者、女性利用者及び身体的弱者の幾何平均値「0.669」,「1.159」及び「2.943」を求め、この合計「5.186」を算出する。したがって、所有者の要求に対する重み係数は、0.415/5.186≒0.08となる。このようにして、各意思決定者の要求に対する重み係数を算出する。
【0047】
次に、構造同定部11は、同じくAHP法により、室内環境やエネルギー消費量を決定する各要素(作業効率、温感、雰囲気、及びコスト)の重み付けを行う。
【0048】
ここで、上述したように、温感及び雰囲気はそれぞれ作業効率に影響を与える一方、作業効率を除く要素間では相互に影響を与えない(図2(b)参照)ことから、作業効率とコストとの相対的な重み付け(一対比較)と、温感と雰囲気との相対的な重み付けとを行えばよい。
【0049】
図2(e)は、各意思決定者における作業効率とコストとの一対比較のうち、利用者における作業効率とコストとの一対比較についてのアンケート結果を表すペア比較マトリックスを示したものである。
【0050】
図2(e)によれば、作業効率に対するコストの重要度を示す重み係数が0.2となっていることから、利用者にとっては、コストよりも作業効率が5倍重視されるというアンケート結果が得られたことが判る。
【0051】
そして、図2(e)に示すペア比較マトリックスに基づき、上述した各意思決定者の要求に対する重み係数の算出の場合と同様の算出方法により、図2(f)に示すように、利用者についての第2の階層における相対的な重み係数は、「作業効率」が「0.83」、「コスト」が「0.17」と算出される。
【0052】
図2(g)は、所有者及び利用者における温感と雰囲気との一対比較のうち、利用者における温感と雰囲気との一対比較についてのアンケート結果を表すペア比較マトリックスを示したものである。
【0053】
図2(g)によれば、温感に対する雰囲気の重要度を示す重み係数が5.0となっていることから、利用者にとっては、温感よりも雰囲気が5倍重視されるというアンケート結果が得られたことが判る。
【0054】
そして、図2(f)に示すペア比較マトリックスに基づき、上述した各意思決定者の要求に対する重み係数の算出の場合と同様の算出方法により、図2(h)に示すように、利用者についての第3の階層における相対的な重み係数は、「温感」が0.17、「雰囲気」が0.83と算出される。
【0055】
さらに、所有者における作業効率とコストとの一対比較、及び温感と雰囲気との一対比較を行った結果、所有者についての第2の階層における「作業効率」及び「コスト」の各要素の相対的な重み係数は、「作業効率」及び「コスト」がそれぞれ0.5、所有者についての第3の階層における「温感」及び「雰囲気」の各要素の相対的な重み係数がそれぞれ0.5と算出されたものとすると、第1〜第3の階層における各要素の相対的な重み係数は、図4に示すようなものとなる。
【0056】
図4は、各意思決定者についての第1〜第3の階層における各要素の相対的な重み係数を算出したものである。
【0057】
図4において、例えば男性利用者についての第2の階層における「作業効率」及び「コスト」の相対的な重み係数は、「作業効率」が0.83、「コスト」が0.17である一方、作業効率に影響を与える「雰囲気」及び「温感」の第3の階層における相対的な重み係数は、「雰囲気」が0.83、「温感」が0.17であるから、男性利用者についての第1〜第3の階層における「雰囲気」の相対的な重み係数は0.83×0.83≒0.69、「温感」の相対的な重み係数は、0.83×0.17≒0.14と算出される。
【0058】
次に、構造同定部11は、制御対象設備2の運転内容を決定する「視的環境」、「温熱環境」及び「省エネ」の要素の重み付けを行う。
【0059】
図3は、階層全体における「視的環境」、「温熱環境」及び「省エネ」の要素の重み付けを行ったものを示したものである。
【0060】
図3において、例えば、階層全体における「視的環境」の重み係数は、第1の階層における男性利用者の重み係数「0.13」と、男性利用者についての第1〜第3の階層における「雰囲気」の重み係数「0.69」との乗算値と、第1の階層における女性利用者の重み係数「0.23」と女性利用者についての第1〜第3の階層における「雰囲気」の重み係数「0.69」との乗算値と、第1の階層における身体的弱者の重み係数「0.56」と身体的弱者についての第1〜第3の階層における雰囲気の重み係数「0.69」との乗算値と、第1の階層における所有者の重み係数「0.08」と所有者についての第1〜第3の階層における雰囲気の重み係数「0.25」との乗算値との和(約0.65)により算出される。
【0061】
構造同定部11は、定期的(例えば各季節や一年ごと)に所有者及び利用者に対してアンケートを実施し、このアンケートの結果に応じて、前述の重み係数の変更や修正を行う。
【0062】
最適化部12は、モデル演算部14、効用変換部15、統合化部16及び最適評価部17を備える。
【0063】
モデル演算部14は、空調負荷・温熱環境予測モデル演算部18及び照明電力・視的環境予測モデル演算部19を備える。なお、モデル演算部14は、消費エネルギー算出手段及び快適性算出手段に相当する。
【0064】
空調負荷・温熱環境予測モデル演算部18は、所定の演算式に基づいて、温度計9及び日射計10が示す外気温度及び日射量等から、エネルギー消費量及び温熱環境指標(Predicted Mean Vote 以下、PMVという)を算出するものである。
【0065】
照明電力・視的環境予測モデル演算部19は、所定の演算式に基づいて、外気温度及び日射量等から、エネルギー消費量及び窓面輝度を算出するものである。
【0066】
効用変換部15は、モデル演算部14でそれぞれ算出されたエネルギー消費量、PMV及び窓面輝度が、利用者及び所有者の要求をどの程度満たしているかを評価すべく、エネルギー消費量、PMV及び窓面輝度をそれぞれ満足度(以下、効用度という)に変換するもので、エネルギー効用変換部20、視的環境効用変換部21及び温熱環境効用変換部22を備える。
【0067】
エネルギー効用変換部20は、例えば図5に示す効用関数を用いて、空調負荷・温熱環境予測モデル演算部18及び照明電力・視的環境予測モデル演算部19により算出されるエネルギー消費量の和を効用度に変換するものである。
【0068】
図5は、エネルギー効用変換部20により用いられる効用関数の一例を示す図であり、横軸は、空調設備6の室内設定温度及びブラインド設備8のスラット角をパラメータとして制御対象設備2により消費されるエネルギーを示し、縦軸は、効用度を示す。
【0069】
図5に示す効用関数は、エネルギー消費量がE1のとき効用度が1、エネルギー消費量がE2のとき効用度が0となり、効用度がE1とE2の間においては、エネルギー値に応じて効用度を直線的に減少させるものである。
【0070】
エネルギー効用変換部20は、例えば、モデル演算部14により制御対象設備2のエネルギー消費量が「1000」と算出された場合、図5に示す効用関数を用いて「0.6」と算出する。
【0071】
視的環境効用変換部21は、照明電力・視的環境予測モデル演算部19により算出される窓面輝度を、所定の効用関数を用いて効用度に変換するものである。
【0072】
視的環境効用変換部21は、効用度変換処理に用いる効用関数として、当該制御システム1の導入時においては、予め設定された、例えば図6又は図7に示すような効用関数を用いる。
【0073】
図6は、グレア(外光の反射)が気になる人について、窓面輝度をパラメータとして予め設定した効用関数を示したものであり、図7は、窓の開放感を好む人について、窓面輝度をパラメータとして予め設定した効用関数を示したものである。
【0074】
図6に示すように、グレアが気になる人は、或る小さい窓面輝度L1のときに効用度が1となり、窓面輝度がその窓面輝度L1から増加するに伴って急激に効用度が低下する傾向が強くなる。一方、図7に示すように、窓の開放感を好む人は、或る窓面輝度L2まで増加し、その窓面輝度L2から比較的大きな範囲で効用度が1となる傾向が強い。
【0075】
このように、窓の開放感を好むのかグレアを嫌うのかは、例えば作業内容等に応じて決定されるため、視的環境効用変換部21は、例えば制御システム1の導入時に実施するアンケートの結果に応じて、利用者が窓の開放感を好むのか、あるいはグレアを嫌うのかを判断し、その判断結果に応じていずれか一方の効用関数を用いるようにしている。
【0076】
さらに、視的環境効用変換部21は、制御システム1の導入時に設定された効用関数について、定期的に実施するアンケートにより、窓面輝度に対する利用者の要求や要望を取り入れて変更や修正を行う。
【0077】
例えば、制御システム1の導入時に、図6に示すグレアが気になる人の効用関数が採用されたものとすると、アンケートが実施されるたびに、該アンケートで得られた窓面輝度に対する利用者の要求や要望を所定の変換方法により効用度に変換し、図8に示すように、前述の窓面輝度と効用度とに対応する座標にプロットしていく。そして、プロットされた点、もしくはその点の近傍をできる限り多く通るように効用関数を変更する。
【0078】
温熱環境効用変換部22は、空調負荷・温熱環境予測モデル演算部18から出力されるPMVの値を、所定の効用関数を用いて効用度に変換するものである。温熱環境効用変換部22は、視的環境効用変換部21と同様、効用度変換処理に用いる効用関数として、初期設定時においては、予め設定された効用関数を用い、それ以降、定期的に行うアンケートにより、PMV値に対する利用者の要求や要望を取り入れて変更や修正を行う。
【0079】
統合化部16は、多目的な効用(上述したエネルギー効用、視的環境効用及び熱環境効用)を統合化するものである。すなわち、統合化部16は、構造同定部11により出力される重み係数と、効用変換部15により出力される効用度とから、下記式(1)に示す統合化効用関数(前述の各効用を統合化した単一の評価関数)に基づき、統合化効用度を算出する。
【0080】
w1:省エネの重み係数
w2:温熱環境の重み係数
w3:視的環境の重み係数
最適評価部17は、統合化部16により算出される統合化効用度が最大となるスラット角及び設定温度の組み合わせを導出するものである。本制御システム1においては、アンケートを実施するたびに、空調設備6の設定温度及びブラインド設備8のスラット角を複数回変動させる。最適評価部17は、設定温度及びスラット角の変化毎に、統合化部16により算出される統合化効用度が最大となったか否かを判定し、最大となったときのスラット角と設定温度の値を導出する。最大の統合化効用度は、省エネルギー、温熱環境及び視的環境の点を、総合的に、所有者、男性利用者、女性利用者及び身体的弱者に最も満足させることのできる値である。なお、効用変換部15、統合化部16及び最適評価部17が評価手段に相当する。
【0081】
制御部(制御手段に相当)13は、最適評価部17により最大の統合化効用度が導出されるまで、空調設備6の設定温度及びブラインド設備8のスラット角を変動させるとともに、最適評価部17により最大の統合化効用度が導出されると、この統合化効用度に対応する設定温度及びスラット角に基づいて、空調設備6及びブラインド設備8の動作を制御するものである。
【0082】
次に、制御システム1における制御処理について説明する。
【0083】
図9は、制御システム1における制御処理を示すフローチャートである。
【0084】
図9に示すように、まず、構造同定部11により、アンケートが実施され(ステップ♯1)、すべての意思決定者による回答が終了すると、構造同定部11により、アンケート結果が収集される(ステップ♯2)。次に、構造同定部11により、前述のアンケート結果に基づいて、重み係数が算出される(ステップ♯3)。
【0085】
一方、この時点で設定されている空調設備6の設定温度及びブラインド設備8のスラット角と、温度計9及び日射計10が示す外気温度及び日射量とに基づいて、モデル演算部14により、エネルギー消費量及びPMV、照明電力及び窓面輝度が算出された(ステップ♯4)後、効用変換部15により、これらの値に基づいて効用度が算出される(ステップ♯5)。
【0086】
そして、統合化部16により、構造同定部11により算出された重み係数と、効用変換部15により算出された効用度とから、前述の式(1)に示す統合化効用関数に基づき統合化効用度が算出され(ステップ♯6)、この統合化効用度が最大の値であるか否かが判定される(ステップ♯7)。
【0087】
判定の結果、算出された統合化効用度が最大の値でない場合(ステップ♯7でNO)には、制御部13により空調設備6の設定温度及びブラインド設備8のスラット角が所定量変動され、その上でステップ♯4〜♯7の処理が繰り返される。
【0088】
そして、ステップ♯6で算出された統合化効用度が最大の値であるとき(ステップ♯7でYES)には、制御部13により、この統合化効用度に対応する設定温度及びスラット角で運転するように、空調設備6及びブラインド設備8の動作が制御される(ステップ♯8)。
【0089】
このように、ビル内に設置される制御対象設備2に対するビルの所有者、男性利用者、女性利用者及び身体的弱者の要求をそれぞれ収集し、この収集された要求に基づいて、省エネルギー、温熱環境及び視的環境の点を、総合的に、所有者、男性利用者、女性利用者及び身体的弱者に最も満足させることのできる最大の統合化効用度が得られる設定温度及びスラット角で制御対象設備2を動作させるようにしたので、消費エネルギーと快適性とを総合的に勘案して制御対象設備2を制御することができ、その結果、ビルの所有者、男性利用者、女性利用者及び身体的弱者に対して、快適性と省エネルギーとを両立して適度に満足させることができる。
【0090】
また、各意思決定者の要求や要望に基づいて、「作業効率」、「温感」、「雰囲気」及び「コスト」等の複数の要素を階層的に構造化した上で、それらの要素に重み付けを行うようにしたので、制御対象設備2の動作を決定する複数の要素間の関係を適切に把握することができ、その結果、各要素への重み付けを適切に行うことができる。
【0091】
また、アンケートを実施する度に、各意思決定者の要求や要望に応じて効用変換部15において用いられる効用関数を変更するようにしたので、制御対象設備2の動作に対する各個人の要求等が変わった場合でも、その変化に応じて制御対象設備2の動作を適切に制御し、各意思決定者に対して快適性と省エネルギーとを両立して適度に満足させることができる。
【0092】
なお、本実施形態においては、収集手段及び重み付け手段は構造同定部11に集約した構成としているが、各手段が各々分離された構成であっても勿論よい。また、消費エネルギー算出手段及び快適性算出手段についても、本実施形態においてはモデル演算部14に集約した構成としているが、各手段が各々分離された構成であっても勿論よい。
【0093】
本発明は、前述の実施形態に限らず、次の変形形態(1)〜(7)が採用可能である。
(1)前述の実施形態においては、室内環境やエネルギー消費量を決定する要素として、「作業効率」、「温感」、「雰囲気」及び「コスト」を挙げ、これらの要素を階層構造化して、要素間の重み係数を算出するようにしたが、これに限らず、「作業効率」、「温感」、「雰囲気」及び「コスト」の各要素の関係を明確化しないで、前述のAHP法を用いて、「温熱環境」、「視的環境」及び「省エネ」の重み係数を算出するようにしてもよい。
(2)前述の実施形態では、ISM法を用いて「作業効率」、「温感」、「雰囲気」及び「コスト」の各要素の階層構造化を行うようにしたが、これに限らず、ISM法の代わりに周知のFSM(Fuzzy Structural Modeling)法を用いてもよい。
(3)効用変換部15で用いる効用関数は、上述したものに限られるものではなく、他の効用関数も採用可能である。また、前述の実施形態においては、照明電力・視的環境予測モデル演算部19により算出された窓面輝度を効用度に変換するようにしたが、これに限らず、所定の装置により計測した窓面輝度を効用度に変換するようにしてもよい。
(4)温熱に係る快適性の指標としてPMVを用いたが、これに限らず、有効温度(ET,Effective Temperature)や標準有効温度(SET,Standard New Effective Temperature)等の他の指標を用いてもよい。
(5)視的な快適性の指標として窓面輝度を用いたが、これに限らず、例えばグレア感予測指標であるPGSV(Predicted Glare Sensation Vote)等の他の指標を用いてもよい。
(6)前述の実施形態においては、各意思決定者の重み係数や、「作業効率」、「温感」、「雰囲気」及び「コスト」の各要素の重み係数をAHP法により算出することで、「温熱環境」、「視的環境」及び「省エネ」の重み係数を導出するようにしたが、これに限らず、「温熱環境」、「視的環境」及び「省エネ」の重み係数を予め複数パターン設定しておいてもよい。
【0094】
図10は、アンケート結果に応じて、予め複数パターン設定された「温熱環境」、「視的環境」及び「省エネ」の重み係数のうち1の重みパターンを示したものであり、図10に示す重みパターンは、「温熱環境」、「視的環境」及び「省エネ」の重み係数は、それぞれ「0.46」、「0.45」及び「0.11」と予め設定されている。
【0095】
そして、構造同定部11において、アンケートの結果(各意思決定者の要求)に相応しい重みパターンを前述の複数の重みパターンの中から選択し、統合化部16において、そのパターンの重み係数を用いて統合化効用度を算出するようにするとよい。
【0096】
この場合、前述のようなISM法を用いた各要素の階層構造化やAHP法による重み係数の演算を要しないため、省エネルギーを重視して制御対象機器2を動作させるか、快適性を重視して制御対象機器2を動作させるかを簡単に決定することができる。
(7)前述の実施形態では、空調設備6の設定温度及びブラインド設備8のスラット角を変化させて、最大の統合化効用度を導出し、この統合化効用度に対応する設定温度及びスラット角で空調設備6及びブラインド設備8の動作を制御するようにしたが、これに限らず、照明設備7の照明強度を制御できる機能を有している場合には、照明強度も変化させて最大の統合化効用度を導出し、この統合化効用度に対応する設定温度、スラット角及び照明強度で空調設備6、ブラインド設備8及び照明設備7の動作を制御するようにしてもよい。
【0097】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、建物内に設置される設備機器に対する人間の要求を収集し、収集された要求に基づいて、最良と評価される消費エネルギー及び快適性に係る指標の値を導出して、これらの値で設備機器を動作させるようにしたので、消費エネルギーと快適性とを総合的に勘案して設備機器を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】制御システムの構成図である。
【図2】重み係数の算出方法の説明図である。
【図3】階層全体における「視的環境」、「温熱環境」及び「省エネ」の要素の重み付けを行ったものを示した図である。
【図4】各意思決定者についての第1〜第3の階層における各要素の相対的な重み係数を算出した図である。
【図5】エネルギー効用変換部により用いられる効用関数の一例を示す図である。
【図6】グレア(外光の反射)が気になる人について、窓面輝度をパラメータとして予め設定した効用関数を示した図である。
【図7】窓の開放感を好む人について、窓面輝度をパラメータとして予め設定した効用関数を示した図である。
【図8】アンケート結果に基づく効用関数の変更方法の説明図である。
【図9】制御システムにおける制御処理を示すフローチャートである。
【図10】他の実施形態の説明図である。
【符号の説明】
1 制御システム
2 制御対象設備
3 設備制御装置
5 検出部
6 空調設備
7 照明設備
8 ブラインド設備
9 温度計
10 日射計
11 構造同定部
12 最適化部
13 制御部
14 モデル演算部
15 効用変換部
16 統合化部
17 最適評価部
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物内に設置される空調設備や照明設備などの設備機器の動作を制御するビル設備制御装置の技術分野に属し、特に、快適性及び省エネルギー化の設備機器の動作に対する複数の要求に対して最適な動作を実現するビル設備制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
下記特許文献1には、事務所や工場などのビル内に設置される空調設備及び照明設備のトータルの省エネルギー化を図るべく、季節、天候及びゾーンごとに複数のブラインドのスラット角を設定し、空調設備及び照明設備の各消費エネルギーの和が最小となるスラット角を予め学習して記憶しておき、実際にブラインドのスラット角を制御する際には、記憶された複数のスラット角の中から、その時点の季節、天候及びゾーンに対応するスラット角を検索し、このスラット角に基づいてブラインドを制御する技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特許第3302800号
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、空調設備や照明設備等の設備機器の運転は、ビルの利用者の要求を正確に把握することなく、ビルの管理者によって一方的に管理されている場合がある。この場合、ビルの管理者は、低コスト化の点から快適性より省エネルギーを重視する傾向が大きい。
【0005】
しかしながら、室内環境はそのビル内で作業するビルの利用者の作業効率に大きく影響を与えるため、ビルの管理者が、快適性より省エネルギーを重視した場合、作業効率の低下を招来する虞がある。
【0006】
一方、作業効率を省エネルギーより重視して設備機器の管理を行った場合には、例えば室内に誰もいないのに空調設備を運転させること等によるエネルギーの浪費や、例えば空調設備の設定温度を必要以上に高くしたり低くしたりする等による電力の過剰供給によって、設備機器の運転コストの増加を招来する虞がある。
【0007】
このように、いずれか一方の立場の人間の要求にしたがって設備機器を動作せるようにすると、快適性か省エネルギーかのいずれか一方が重視されることで、他方の立場の人間が不利益を被る可能性が高いことから、快適性と省エネルギーとを総合的に判断した上で設備機器を動作させることができれば、立場の異なる人を適度に満足させることができると考えられるが、このような構成を実現するものは商品化されてもいないし、提案もなされていない。
【0008】
なお、前述の特許文献1は、空調設備及び照明設備のトータルの省エネルギー化を図るものであって、省エネルギー化と快適性の両立を実現するものではない。
【0009】
本発明は、前述の事情に鑑みてなされたもので、消費エネルギーと快適性とを総合的に勘案して設備機器を制御することのできるビル設備制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、建物内に設置される設備機器の動作に対する人間の要求を収集する収集手段と、前記収集された要求に基づき、前記設備機器の動作を決定する複数の要素に対する重み付けをそれぞれ行い重み係数を算出する重み付け手段と、前記設備機器の消費エネルギーを算出する消費エネルギー算出手段と、前記建物内の快適性に係る指標の値を算出する快適性算出手段と、前記消費エネルギーと前記快適性に係る指標の値と前記重み係数とを用いて、前記消費エネルギー及び前記快適性の評価を行う評価手段と、前記評価手段により最良と評価される消費エネルギー及び快適性に係る指標の値で前記設備機器を動作させる制御手段とを備えることを特徴とするビル設備制御装置である。
【0011】
この発明によれば、収集手段により、建物内に設置される設備機器の動作に対する人間の要求が収集されると、重み付け手段により、前記収集された要求に基づいて、設備機器の動作を決定する複数の要素に対する重み付けがそれぞれ行われ重み係数が算出される。
【0012】
一方、消費エネルギー算出手段により、前記設備機器の消費エネルギーが算出されるとともに、快適性算出手段により、前記建物内の快適性に係る指標の値が算出される。
【0013】
そして、評価手段により、前記消費エネルギーと前記快適性に係る指標の値と前記重み係数とを用いて、前記消費エネルギー及び前記快適性の評価が行われ、制御手段により、前記評価手段で最良と評価される消費エネルギー及び快適性に係る指標の値で前記設備機器が動作される。
【0014】
このように、建物内に設置される設備機器に対する人間の要求を収集し、収集された要求に基づいて、最良と評価される消費エネルギー及び快適性に係る指標の値を導出して、これらの値で設備機器を動作させるようにしたので、消費エネルギーと快適性とを総合的に勘案して設備機器を制御することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のビル設備制御装置において、前記重み付け手段は、前記収集された要求に基づいて前記複数の要素を階層的に構造化した後、前記各要素の重み係数を算出することを特徴とするものである。
【0016】
この発明によれば、収集された要求に基づいて複数の要素を階層的に構造化した後、前記各要素の重み係数を算出するようにしたので、設備機器の動作を決定する複数の要素間の関係を適切に把握することができる。その結果、各要素に対して適切な重み係数を算出することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のビル設備制御装置において、前記評価手段は、前記消費エネルギー及び前記快適性に係る指標の値をそれぞれ人間の満足度を示す数値に変換する変換関数を有し、この満足度を示す数値と前記重み係数とを用いて前記評価を行うものであり、前記収集手段により要求が収集される毎に、この収集された要求に応じて前記変換関数を変更することを特徴とするものである。
【0018】
この発明によれば、収集手段により要求が収集される毎に、この収集された要求に応じて変換関数を変更するようにしたので、設備機器の動作に対する人間の要求が変化した場合でも、その変化に応じて設備機器の動作を適切に制御することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のビル設備制御装置において、前記複数の要素に前記重み係数が予め複数パターン設定されており、前記評価手段は、前記収集された要求に対応するパターンの重み係数を用いて、前記消費エネルギー及び前記快適性の評価を行うことを特徴とするものである。
【0020】
この発明によれば、前記複数の要素に重み係数を予め複数パターン設定し、前記評価手段は、前記収集された要求に対応するパターンの重み係数を用いて、前記消費エネルギー及び前記快適性の評価を行うようにしたので、省エネルギーを重視した動作を設備機器に行わせるか、快適性を重視した動作を設備機器に行わせるかを比較的簡単に決定することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について説明する。
【0022】
図1に示すように、制御システム1は、ビル内に設置される制御対象設備(設備機器に相当)2と、制御対象設備2の動作を制御する設備制御装置3と、パーソナルコンピュータ(PC)4と、制御対象設備2の動作を制御するのに必要な室内外の環境状態を検出する検出部5とを備えてなる。
【0023】
制御対象設備2として、例えば空調設備6、照明設備7及びブラインド設備8がある。また、本実施形態では、前述の空調設備6等の動作を制御すべく、検出部5として、外気温度を計測する温度計9と、日射量を計測する日射計10とを備えている。そして、温度計9により計測される外気温度や日射計10により計測される日射量に応じて、空調設備6は設定温度が、ブラインド設備8はスラット角がそれぞれ設備制御装置3により制御される。
【0024】
この制御システム1において、特に、本実施形態では、次のような点を考慮して制御対象設備2の動作を制御するようにしている。
【0025】
すなわち、制御対象設備2が配設されるビルの所有者と利用者とで、快適性(室内環境)と省エネルギー化の点について、制御対象設備2に対する要求や要望が異なる場合が多い。また、ビルの利用者であっても、その利用者が性別によって、あるいは身体的なハンデの有無によって制御対象設備2に対する要求や要望が異なることも多々ある。
【0026】
そこで、本実施形態においては、このように立場の異なる人々の様々な要求や要望から、快適性と省エネルギー化とを総合的にみて最適と考えられる設定内容で制御対象設備2を動作させるようにしている。なお、室内環境は、室内の温度に係る温熱環境と、室内の明るさや窓越しに見える景観や眺望に係る視的環境とに大別することができる。
【0027】
さらに、室内環境、とりわけ窓面を中心とする空間の環境制御は、室外の環境の影響を受けやすく、快適性やエネルギー消費量が、室外の環境に応じて複雑に変化する。この変化に伴って、快適性や省エネルギー化に対する利用者の要求も複雑に変化するものと考えられる。また、眺望による心理的な効果も利用者の要求に影響すると考えられる。
【0028】
そこで、本実施形態では、快適性やエネルギー消費量を示す要素として、例えば「作業効率」、「温感」、「雰囲気」及び「コスト」を挙げ、これら複数の要素が複雑に絡み合った環境制御の問題に対し、前述の要素間の関係とそれぞれの重要度とを明確にすることで、快適性とエネルギー消費量との重要度の比率を求めるようにしている。
【0029】
前述のような構成を実現すべく、図1に示すように、設備制御装置3は、構造同定部11、最適化部12及び制御部13を備えている。なお、構造同定部11は、収集手段及び重み付け手段に相当する。
【0030】
構造同定部11は、ビルの所有者及び利用者(以下、総称して意志決定者という)に、室内環境及び省エネルギー化についてのアンケートをPC4を用いて実施し、ビル管理(室内環境やその環境を維持するために要するコスト)に対する要求や要望、あるいは感想を収集した後、このアンケート結果に基づいて、以下に説明するように、「作業効率」、「温感」、「雰囲気」及び「コスト」の各要素を階層的に構造化し、各要素の重要度を表す重み係数や各意思決定者の要求の重要度を表す重み係数を算出するものである。
【0031】
なお、本実施形態においては、ビルの利用者を、さらに男性の利用者、女性の利用者、及び身体的弱者に分類する。
【0032】
図2は、重み係数の算出方法の説明図である。
【0033】
図2(a)は、所有者及び各利用者が要求する制御対象設備2の運転に関する、「作業効率」、「温感」、「雰囲気」及び「コスト」の各要素の階層構造化を行うべく、アンケート結果に基づき、周知のISM(Interpretive Structural Modeling)法に従って生成した関係行列(Binary Matrix)の一例を示すものである。
【0034】
図2(a)に示すように、関係行列は、横の要素をi、縦の要素をjとしたとき、要素jが要素iに影響を与える場合は、第i行第j列目を「1」、影響を与えない場合は、「0」として生成されたものである。
【0035】
例えば、図2(a)においては、温感は作業効率に影響を与えるというアンケート結果から、第2行第1列目を「1」とする一方、コストは作業効率に影響を与えないというアンケート結果から、第4行第1列目を「0」としている。
【0036】
図2(b)は、図2(a)に示す関係行列に基づいて解析された前述の各要素の階層構造をネットワーク図として示したものである。なお、関係行列からネットワーク図を生成する方法は周知であるため、詳細には説明しないが、例えば関係行列から可達行列(Reachability Matrix)を求め、この可達行列を用いて各要素をレベル分割(Level Partition)することにより生成することができる。
【0037】
図2(b)に示す階層構造のネットワーク図は、上層に「作業効率」及び「コスト」の要素が、下層に「温感」及び「雰囲気」の要素が位置するとともに、「温感」及び「雰囲気」は「作業効率」に影響を与え、「作業効率」を除く他の要素間では相互に影響を与えるものではない旨を示す。
【0038】
したがって、空調設備6、照明設備7及びブラインド設備8の最適運転を行うという課題に対し、図3に示すような階層構造を構成することができる。すなわち、この階層構造は、図3に示すように、意思決定者の要素(所有者、男性利用者、女性利用者及び身体的弱者)を最上層(第1の階層という)とし、その下の階層(第2の階層という)に、「作業効率」及び「コスト」の要素が位置し、さらにその下の階層(第3の階層という)に「雰囲気」及び「温感」の要素が位置し、さらにその下の階層(第4の階層という)に、制御対象設備2の運転内容を決定する「視的環境」、「温熱環境」及び「省エネ」の要素が位置するものである。
【0039】
次に、構造同定部11は、周知の階層分析法(AHP法、Analytic Hierarchy Process)により、意思決定者の要求に対する重み付け(意思決定者の要求に対する重要度の比率の設定)を行う。
【0040】
図2(c)は、アンケートの結果から、所有者並びに男性、女性及び身体的弱者の各利用者の要求の重み係数を前述のAHP法により決定して構成されるペア比較マトリックスの一例を示したものである。
【0041】
図2(c)に示すように、ペア比較マトリックスは、横の要素をi、縦の要素をjとしたとき、要素iに対する要素jの要求の重要度の大小を比較(一対比較)し、第i行第j列目に、その重要度に応じた数値(重み係数)を設定したものである。
【0042】
例えば、図2(c)に示すように、所有者に対する男性利用者の要求の重要度を示す重み係数が2.0となっていることから、男性の利用者の要求の重要度は所有者より2倍高いというアンケート結果が得られたことが判る。
【0043】
図2(d)は、図2(c)に示すペア比較マトリックスに基づいて、各意志決定者の要求に対する重み係数(第1の階層における相対的な重み係数)の算出を行ったものである。なお、図2(d)に示す各要素(所有者、男性利用者、女性利用者及び身体的弱者)の重み係数は、例えば次のようにして算出される。
【0044】
図2(c)において、構造同定部11は、要素i(または要素j)の数をnとすると、要素jごとに、当該要素に対して設定されたすべての重み係数を乗算して得られる乗算値のn乗根を算出する(以下、この値を幾何平均値という)。次に、構造同定部11は、各要素jについて算出された各幾何平均値の合計を算出する。そして、構造同定部11は、この幾何平均値の合計に対する、当該要素jについて算出された幾何平均値の割合を算出する。これにより、図2(d)に示す各重み係数が得られる。
【0045】
例えば、所有者の重み係数を算出する場合、所有者に対して設定された重み係数は、図2(c)に示すように、「1.0」,「0.5」,「0.3」及び「0.2」であるから、所有者の幾何平均値は(1.0×0.5×0.3×0.2)1/4より、約0.415となる。
【0046】
これと同様の演算方法により、構造同定部11は、男性利用者、女性利用者及び身体的弱者の幾何平均値「0.669」,「1.159」及び「2.943」を求め、この合計「5.186」を算出する。したがって、所有者の要求に対する重み係数は、0.415/5.186≒0.08となる。このようにして、各意思決定者の要求に対する重み係数を算出する。
【0047】
次に、構造同定部11は、同じくAHP法により、室内環境やエネルギー消費量を決定する各要素(作業効率、温感、雰囲気、及びコスト)の重み付けを行う。
【0048】
ここで、上述したように、温感及び雰囲気はそれぞれ作業効率に影響を与える一方、作業効率を除く要素間では相互に影響を与えない(図2(b)参照)ことから、作業効率とコストとの相対的な重み付け(一対比較)と、温感と雰囲気との相対的な重み付けとを行えばよい。
【0049】
図2(e)は、各意思決定者における作業効率とコストとの一対比較のうち、利用者における作業効率とコストとの一対比較についてのアンケート結果を表すペア比較マトリックスを示したものである。
【0050】
図2(e)によれば、作業効率に対するコストの重要度を示す重み係数が0.2となっていることから、利用者にとっては、コストよりも作業効率が5倍重視されるというアンケート結果が得られたことが判る。
【0051】
そして、図2(e)に示すペア比較マトリックスに基づき、上述した各意思決定者の要求に対する重み係数の算出の場合と同様の算出方法により、図2(f)に示すように、利用者についての第2の階層における相対的な重み係数は、「作業効率」が「0.83」、「コスト」が「0.17」と算出される。
【0052】
図2(g)は、所有者及び利用者における温感と雰囲気との一対比較のうち、利用者における温感と雰囲気との一対比較についてのアンケート結果を表すペア比較マトリックスを示したものである。
【0053】
図2(g)によれば、温感に対する雰囲気の重要度を示す重み係数が5.0となっていることから、利用者にとっては、温感よりも雰囲気が5倍重視されるというアンケート結果が得られたことが判る。
【0054】
そして、図2(f)に示すペア比較マトリックスに基づき、上述した各意思決定者の要求に対する重み係数の算出の場合と同様の算出方法により、図2(h)に示すように、利用者についての第3の階層における相対的な重み係数は、「温感」が0.17、「雰囲気」が0.83と算出される。
【0055】
さらに、所有者における作業効率とコストとの一対比較、及び温感と雰囲気との一対比較を行った結果、所有者についての第2の階層における「作業効率」及び「コスト」の各要素の相対的な重み係数は、「作業効率」及び「コスト」がそれぞれ0.5、所有者についての第3の階層における「温感」及び「雰囲気」の各要素の相対的な重み係数がそれぞれ0.5と算出されたものとすると、第1〜第3の階層における各要素の相対的な重み係数は、図4に示すようなものとなる。
【0056】
図4は、各意思決定者についての第1〜第3の階層における各要素の相対的な重み係数を算出したものである。
【0057】
図4において、例えば男性利用者についての第2の階層における「作業効率」及び「コスト」の相対的な重み係数は、「作業効率」が0.83、「コスト」が0.17である一方、作業効率に影響を与える「雰囲気」及び「温感」の第3の階層における相対的な重み係数は、「雰囲気」が0.83、「温感」が0.17であるから、男性利用者についての第1〜第3の階層における「雰囲気」の相対的な重み係数は0.83×0.83≒0.69、「温感」の相対的な重み係数は、0.83×0.17≒0.14と算出される。
【0058】
次に、構造同定部11は、制御対象設備2の運転内容を決定する「視的環境」、「温熱環境」及び「省エネ」の要素の重み付けを行う。
【0059】
図3は、階層全体における「視的環境」、「温熱環境」及び「省エネ」の要素の重み付けを行ったものを示したものである。
【0060】
図3において、例えば、階層全体における「視的環境」の重み係数は、第1の階層における男性利用者の重み係数「0.13」と、男性利用者についての第1〜第3の階層における「雰囲気」の重み係数「0.69」との乗算値と、第1の階層における女性利用者の重み係数「0.23」と女性利用者についての第1〜第3の階層における「雰囲気」の重み係数「0.69」との乗算値と、第1の階層における身体的弱者の重み係数「0.56」と身体的弱者についての第1〜第3の階層における雰囲気の重み係数「0.69」との乗算値と、第1の階層における所有者の重み係数「0.08」と所有者についての第1〜第3の階層における雰囲気の重み係数「0.25」との乗算値との和(約0.65)により算出される。
【0061】
構造同定部11は、定期的(例えば各季節や一年ごと)に所有者及び利用者に対してアンケートを実施し、このアンケートの結果に応じて、前述の重み係数の変更や修正を行う。
【0062】
最適化部12は、モデル演算部14、効用変換部15、統合化部16及び最適評価部17を備える。
【0063】
モデル演算部14は、空調負荷・温熱環境予測モデル演算部18及び照明電力・視的環境予測モデル演算部19を備える。なお、モデル演算部14は、消費エネルギー算出手段及び快適性算出手段に相当する。
【0064】
空調負荷・温熱環境予測モデル演算部18は、所定の演算式に基づいて、温度計9及び日射計10が示す外気温度及び日射量等から、エネルギー消費量及び温熱環境指標(Predicted Mean Vote 以下、PMVという)を算出するものである。
【0065】
照明電力・視的環境予測モデル演算部19は、所定の演算式に基づいて、外気温度及び日射量等から、エネルギー消費量及び窓面輝度を算出するものである。
【0066】
効用変換部15は、モデル演算部14でそれぞれ算出されたエネルギー消費量、PMV及び窓面輝度が、利用者及び所有者の要求をどの程度満たしているかを評価すべく、エネルギー消費量、PMV及び窓面輝度をそれぞれ満足度(以下、効用度という)に変換するもので、エネルギー効用変換部20、視的環境効用変換部21及び温熱環境効用変換部22を備える。
【0067】
エネルギー効用変換部20は、例えば図5に示す効用関数を用いて、空調負荷・温熱環境予測モデル演算部18及び照明電力・視的環境予測モデル演算部19により算出されるエネルギー消費量の和を効用度に変換するものである。
【0068】
図5は、エネルギー効用変換部20により用いられる効用関数の一例を示す図であり、横軸は、空調設備6の室内設定温度及びブラインド設備8のスラット角をパラメータとして制御対象設備2により消費されるエネルギーを示し、縦軸は、効用度を示す。
【0069】
図5に示す効用関数は、エネルギー消費量がE1のとき効用度が1、エネルギー消費量がE2のとき効用度が0となり、効用度がE1とE2の間においては、エネルギー値に応じて効用度を直線的に減少させるものである。
【0070】
エネルギー効用変換部20は、例えば、モデル演算部14により制御対象設備2のエネルギー消費量が「1000」と算出された場合、図5に示す効用関数を用いて「0.6」と算出する。
【0071】
視的環境効用変換部21は、照明電力・視的環境予測モデル演算部19により算出される窓面輝度を、所定の効用関数を用いて効用度に変換するものである。
【0072】
視的環境効用変換部21は、効用度変換処理に用いる効用関数として、当該制御システム1の導入時においては、予め設定された、例えば図6又は図7に示すような効用関数を用いる。
【0073】
図6は、グレア(外光の反射)が気になる人について、窓面輝度をパラメータとして予め設定した効用関数を示したものであり、図7は、窓の開放感を好む人について、窓面輝度をパラメータとして予め設定した効用関数を示したものである。
【0074】
図6に示すように、グレアが気になる人は、或る小さい窓面輝度L1のときに効用度が1となり、窓面輝度がその窓面輝度L1から増加するに伴って急激に効用度が低下する傾向が強くなる。一方、図7に示すように、窓の開放感を好む人は、或る窓面輝度L2まで増加し、その窓面輝度L2から比較的大きな範囲で効用度が1となる傾向が強い。
【0075】
このように、窓の開放感を好むのかグレアを嫌うのかは、例えば作業内容等に応じて決定されるため、視的環境効用変換部21は、例えば制御システム1の導入時に実施するアンケートの結果に応じて、利用者が窓の開放感を好むのか、あるいはグレアを嫌うのかを判断し、その判断結果に応じていずれか一方の効用関数を用いるようにしている。
【0076】
さらに、視的環境効用変換部21は、制御システム1の導入時に設定された効用関数について、定期的に実施するアンケートにより、窓面輝度に対する利用者の要求や要望を取り入れて変更や修正を行う。
【0077】
例えば、制御システム1の導入時に、図6に示すグレアが気になる人の効用関数が採用されたものとすると、アンケートが実施されるたびに、該アンケートで得られた窓面輝度に対する利用者の要求や要望を所定の変換方法により効用度に変換し、図8に示すように、前述の窓面輝度と効用度とに対応する座標にプロットしていく。そして、プロットされた点、もしくはその点の近傍をできる限り多く通るように効用関数を変更する。
【0078】
温熱環境効用変換部22は、空調負荷・温熱環境予測モデル演算部18から出力されるPMVの値を、所定の効用関数を用いて効用度に変換するものである。温熱環境効用変換部22は、視的環境効用変換部21と同様、効用度変換処理に用いる効用関数として、初期設定時においては、予め設定された効用関数を用い、それ以降、定期的に行うアンケートにより、PMV値に対する利用者の要求や要望を取り入れて変更や修正を行う。
【0079】
統合化部16は、多目的な効用(上述したエネルギー効用、視的環境効用及び熱環境効用)を統合化するものである。すなわち、統合化部16は、構造同定部11により出力される重み係数と、効用変換部15により出力される効用度とから、下記式(1)に示す統合化効用関数(前述の各効用を統合化した単一の評価関数)に基づき、統合化効用度を算出する。
【0080】
w1:省エネの重み係数
w2:温熱環境の重み係数
w3:視的環境の重み係数
最適評価部17は、統合化部16により算出される統合化効用度が最大となるスラット角及び設定温度の組み合わせを導出するものである。本制御システム1においては、アンケートを実施するたびに、空調設備6の設定温度及びブラインド設備8のスラット角を複数回変動させる。最適評価部17は、設定温度及びスラット角の変化毎に、統合化部16により算出される統合化効用度が最大となったか否かを判定し、最大となったときのスラット角と設定温度の値を導出する。最大の統合化効用度は、省エネルギー、温熱環境及び視的環境の点を、総合的に、所有者、男性利用者、女性利用者及び身体的弱者に最も満足させることのできる値である。なお、効用変換部15、統合化部16及び最適評価部17が評価手段に相当する。
【0081】
制御部(制御手段に相当)13は、最適評価部17により最大の統合化効用度が導出されるまで、空調設備6の設定温度及びブラインド設備8のスラット角を変動させるとともに、最適評価部17により最大の統合化効用度が導出されると、この統合化効用度に対応する設定温度及びスラット角に基づいて、空調設備6及びブラインド設備8の動作を制御するものである。
【0082】
次に、制御システム1における制御処理について説明する。
【0083】
図9は、制御システム1における制御処理を示すフローチャートである。
【0084】
図9に示すように、まず、構造同定部11により、アンケートが実施され(ステップ♯1)、すべての意思決定者による回答が終了すると、構造同定部11により、アンケート結果が収集される(ステップ♯2)。次に、構造同定部11により、前述のアンケート結果に基づいて、重み係数が算出される(ステップ♯3)。
【0085】
一方、この時点で設定されている空調設備6の設定温度及びブラインド設備8のスラット角と、温度計9及び日射計10が示す外気温度及び日射量とに基づいて、モデル演算部14により、エネルギー消費量及びPMV、照明電力及び窓面輝度が算出された(ステップ♯4)後、効用変換部15により、これらの値に基づいて効用度が算出される(ステップ♯5)。
【0086】
そして、統合化部16により、構造同定部11により算出された重み係数と、効用変換部15により算出された効用度とから、前述の式(1)に示す統合化効用関数に基づき統合化効用度が算出され(ステップ♯6)、この統合化効用度が最大の値であるか否かが判定される(ステップ♯7)。
【0087】
判定の結果、算出された統合化効用度が最大の値でない場合(ステップ♯7でNO)には、制御部13により空調設備6の設定温度及びブラインド設備8のスラット角が所定量変動され、その上でステップ♯4〜♯7の処理が繰り返される。
【0088】
そして、ステップ♯6で算出された統合化効用度が最大の値であるとき(ステップ♯7でYES)には、制御部13により、この統合化効用度に対応する設定温度及びスラット角で運転するように、空調設備6及びブラインド設備8の動作が制御される(ステップ♯8)。
【0089】
このように、ビル内に設置される制御対象設備2に対するビルの所有者、男性利用者、女性利用者及び身体的弱者の要求をそれぞれ収集し、この収集された要求に基づいて、省エネルギー、温熱環境及び視的環境の点を、総合的に、所有者、男性利用者、女性利用者及び身体的弱者に最も満足させることのできる最大の統合化効用度が得られる設定温度及びスラット角で制御対象設備2を動作させるようにしたので、消費エネルギーと快適性とを総合的に勘案して制御対象設備2を制御することができ、その結果、ビルの所有者、男性利用者、女性利用者及び身体的弱者に対して、快適性と省エネルギーとを両立して適度に満足させることができる。
【0090】
また、各意思決定者の要求や要望に基づいて、「作業効率」、「温感」、「雰囲気」及び「コスト」等の複数の要素を階層的に構造化した上で、それらの要素に重み付けを行うようにしたので、制御対象設備2の動作を決定する複数の要素間の関係を適切に把握することができ、その結果、各要素への重み付けを適切に行うことができる。
【0091】
また、アンケートを実施する度に、各意思決定者の要求や要望に応じて効用変換部15において用いられる効用関数を変更するようにしたので、制御対象設備2の動作に対する各個人の要求等が変わった場合でも、その変化に応じて制御対象設備2の動作を適切に制御し、各意思決定者に対して快適性と省エネルギーとを両立して適度に満足させることができる。
【0092】
なお、本実施形態においては、収集手段及び重み付け手段は構造同定部11に集約した構成としているが、各手段が各々分離された構成であっても勿論よい。また、消費エネルギー算出手段及び快適性算出手段についても、本実施形態においてはモデル演算部14に集約した構成としているが、各手段が各々分離された構成であっても勿論よい。
【0093】
本発明は、前述の実施形態に限らず、次の変形形態(1)〜(7)が採用可能である。
(1)前述の実施形態においては、室内環境やエネルギー消費量を決定する要素として、「作業効率」、「温感」、「雰囲気」及び「コスト」を挙げ、これらの要素を階層構造化して、要素間の重み係数を算出するようにしたが、これに限らず、「作業効率」、「温感」、「雰囲気」及び「コスト」の各要素の関係を明確化しないで、前述のAHP法を用いて、「温熱環境」、「視的環境」及び「省エネ」の重み係数を算出するようにしてもよい。
(2)前述の実施形態では、ISM法を用いて「作業効率」、「温感」、「雰囲気」及び「コスト」の各要素の階層構造化を行うようにしたが、これに限らず、ISM法の代わりに周知のFSM(Fuzzy Structural Modeling)法を用いてもよい。
(3)効用変換部15で用いる効用関数は、上述したものに限られるものではなく、他の効用関数も採用可能である。また、前述の実施形態においては、照明電力・視的環境予測モデル演算部19により算出された窓面輝度を効用度に変換するようにしたが、これに限らず、所定の装置により計測した窓面輝度を効用度に変換するようにしてもよい。
(4)温熱に係る快適性の指標としてPMVを用いたが、これに限らず、有効温度(ET,Effective Temperature)や標準有効温度(SET,Standard New Effective Temperature)等の他の指標を用いてもよい。
(5)視的な快適性の指標として窓面輝度を用いたが、これに限らず、例えばグレア感予測指標であるPGSV(Predicted Glare Sensation Vote)等の他の指標を用いてもよい。
(6)前述の実施形態においては、各意思決定者の重み係数や、「作業効率」、「温感」、「雰囲気」及び「コスト」の各要素の重み係数をAHP法により算出することで、「温熱環境」、「視的環境」及び「省エネ」の重み係数を導出するようにしたが、これに限らず、「温熱環境」、「視的環境」及び「省エネ」の重み係数を予め複数パターン設定しておいてもよい。
【0094】
図10は、アンケート結果に応じて、予め複数パターン設定された「温熱環境」、「視的環境」及び「省エネ」の重み係数のうち1の重みパターンを示したものであり、図10に示す重みパターンは、「温熱環境」、「視的環境」及び「省エネ」の重み係数は、それぞれ「0.46」、「0.45」及び「0.11」と予め設定されている。
【0095】
そして、構造同定部11において、アンケートの結果(各意思決定者の要求)に相応しい重みパターンを前述の複数の重みパターンの中から選択し、統合化部16において、そのパターンの重み係数を用いて統合化効用度を算出するようにするとよい。
【0096】
この場合、前述のようなISM法を用いた各要素の階層構造化やAHP法による重み係数の演算を要しないため、省エネルギーを重視して制御対象機器2を動作させるか、快適性を重視して制御対象機器2を動作させるかを簡単に決定することができる。
(7)前述の実施形態では、空調設備6の設定温度及びブラインド設備8のスラット角を変化させて、最大の統合化効用度を導出し、この統合化効用度に対応する設定温度及びスラット角で空調設備6及びブラインド設備8の動作を制御するようにしたが、これに限らず、照明設備7の照明強度を制御できる機能を有している場合には、照明強度も変化させて最大の統合化効用度を導出し、この統合化効用度に対応する設定温度、スラット角及び照明強度で空調設備6、ブラインド設備8及び照明設備7の動作を制御するようにしてもよい。
【0097】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、建物内に設置される設備機器に対する人間の要求を収集し、収集された要求に基づいて、最良と評価される消費エネルギー及び快適性に係る指標の値を導出して、これらの値で設備機器を動作させるようにしたので、消費エネルギーと快適性とを総合的に勘案して設備機器を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】制御システムの構成図である。
【図2】重み係数の算出方法の説明図である。
【図3】階層全体における「視的環境」、「温熱環境」及び「省エネ」の要素の重み付けを行ったものを示した図である。
【図4】各意思決定者についての第1〜第3の階層における各要素の相対的な重み係数を算出した図である。
【図5】エネルギー効用変換部により用いられる効用関数の一例を示す図である。
【図6】グレア(外光の反射)が気になる人について、窓面輝度をパラメータとして予め設定した効用関数を示した図である。
【図7】窓の開放感を好む人について、窓面輝度をパラメータとして予め設定した効用関数を示した図である。
【図8】アンケート結果に基づく効用関数の変更方法の説明図である。
【図9】制御システムにおける制御処理を示すフローチャートである。
【図10】他の実施形態の説明図である。
【符号の説明】
1 制御システム
2 制御対象設備
3 設備制御装置
5 検出部
6 空調設備
7 照明設備
8 ブラインド設備
9 温度計
10 日射計
11 構造同定部
12 最適化部
13 制御部
14 モデル演算部
15 効用変換部
16 統合化部
17 最適評価部
Claims (4)
- 建物内に設置される設備機器の動作に対する人間の要求を収集する収集手段と、
前記収集された要求に基づき、前記設備機器の動作を決定する複数の要素に対する重み付けをそれぞれ行い重み係数を算出する重み付け手段と、
前記設備機器の消費エネルギーを算出する消費エネルギー算出手段と、
前記建物内の快適性に係る指標の値を算出する快適性算出手段と、
前記消費エネルギーと前記快適性に係る指標の値と前記重み係数とを用いて、前記消費エネルギー及び前記快適性の評価を行う評価手段と、
前記評価手段により最良と評価される消費エネルギー及び快適性に係る指標の値で前記設備機器を動作させる制御手段と
を備えることを特徴とするビル設備制御装置。 - 前記重み付け手段は、前記収集された要求に基づいて前記複数の要素を階層的に構造化した後、前記各要素の重み係数を算出することを特徴とする請求項1に記載のビル設備制御装置。
- 前記評価手段は、前記消費エネルギー及び前記快適性に係る指標の値をそれぞれ人間の満足度を示す数値に変換する変換関数を有し、この満足度を示す数値と前記重み係数とを用いて前記評価を行うものであり、前記収集手段により要求が収集される毎に、この収集された要求に応じて前記変換関数を変更することを特徴とする請求項1または2に記載のビル設備制御装置。
- 前記複数の要素に前記重み係数が予め複数パターン設定されており、前記評価手段は、前記収集された要求に対応するパターンの重み係数を用いて、前記消費エネルギー及び前記快適性の評価を行うことを特徴とする請求項1に記載のビル設備制御装置。
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WO2024045900A1 (zh) * | 2022-08-29 | 2024-03-07 | 青岛海尔空调器有限总公司 | 空调及其制冷控制方法 |
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