JP7334019B1 - 空気調和制御装置、空気調和制御方法および空気調和制御プログラム - Google Patents
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Abstract
Description
近年は、大規模ビルでも省エネルギー性の向上のため、セントラル空気調和機の外調機とビル用マルチ空気調和機の内調機を組み合わせた空気調和システムが採用されることがある。
外調機と内調機は容量および特性が異なる方式で熱を処理する。そのため、外調機と内調機を連携させて制御する負荷協調制御が行われる。
負荷協調制御では、室内の温度または室内の湿度が所定の値に近づくとともにセントラル空気調和機の消費電力とビル用マルチ空気調和機の消費電力の和が小さくなるように、外調機の設定値と内調機の設定値の少なくとも一方が制御される。
2種類の空気調和機から成る空気調和機ペアが使用される空気調和ゾーンの1種類以上の状態のそれぞれの計測値を示すゾーン環境データと、前記空気調和機ごとに1種類以上の状態のそれぞれの状態値を示す運転状態データと、に基づいて、前記ゾーン環境データの前記1種類以上の前記状態とは異なる前記空気調和ゾーンの1種類以上の状態のそれぞれの推定値を算出する状態推定部と、
前記空気調和機ペアに設定されている設定値群ペアを示す現在設定データに基づいて、前記空気調和機ペアのための設定値群ペアの1つ以上の候補を生成する候補生成部と、
生成された候補ごとに、算出された1つ以上の前記推定値に基づいて、前記設定値群ペアが前記空気調和機ペアに設定された場合について、予測されるエネルギー消費量と予測される快適性を予測バランスとして算出するバランス予測部と、
各候補の前記予測バランスに基づいて、いずれかの前記候補を前記空気調和機ペアに設定する設定値群ペアに決定する設定決定部と、を備える。
空気調和システム100について、図1から図10に基づいて説明する。
図1に基づいて、空気調和システム100の構成を説明する。
空気調和システム100は、空気調和ゾーン109の空気を調和させるシステムである。
空気調和ゾーン109は、空気調和の対象となるゾーンである。具体的な空気調和ゾーン109は特定の室内である。
空気調和機ペア101は、2種類の空気調和機を含む。
2種類の空気調和機の具体例は、セントラル空気調和機110とマルチ空気調和機120である。
熱源機111は、冷水および温水を作る。
外調機112は、冷水および温水を用いて外気を調和し、空気調和ゾーン109に給気する。
マルチ空気調和機120は、室外機121と室内機122を備える。室外機121は冷媒配管を介して空気調和ゾーン109と接続される。室内機122は内調機とも呼ばれる。
室外機121は、圧縮機を持ち、冷媒を圧縮して送出する。
室内機122は、空気調和ゾーン109の空気を吸い込み、吸い込んだ空気を調和し、空気調和ゾーン109に給気する。
センサ群130は、1種類以上のセンサである。各センサは、空気調和ゾーン109、セントラル空気調和機110またはマルチ空気調和機120に配置される。
センサ群130は、空気調和ゾーン109とセントラル空気調和機110とマルチ空気調和機120のそれぞれの状態を計測する。
空気調和制御装置200は、プロセッサ201とメモリ202と補助記憶装置203と通信装置204と入出力インタフェース205といったハードウェアを備えるコンピュータである。これらのハードウェアは、信号線を介して互いに接続されている。
ICは、Integrated Circuitの略称である。
CPUは、Central Processing Unitの略称である。
RAMは、Random Access Memoryの略称である。
ROMは、Read Only Memoryの略称である。
HDDは、Hard Disk Driveの略称である。
NICは、Network Interface Cardの略称である。
USBは、Universal Serial Busの略称である。
但し、空気調和制御装置200は、入出力インタフェース205を介してセントラル空気調和機110、マルチ空気調和機120およびセンサ群130と接続されてもよい。
補助記憶装置203には、さらに、OSが記憶されている。OSの少なくとも一部は、メモリ202にロードされて、プロセッサ201によって実行される。
プロセッサ201は、OSを実行しながら、空気調和制御プログラムを実行する。
OSは、Operating Systemの略称である。
メモリ202は記憶部290として機能する。但し、補助記憶装置203、プロセッサ201内のレジスタおよびプロセッサ201内のキャッシュメモリなどの記憶装置が、メモリ202の代わりに、又は、メモリ202と共に、記憶部290として機能してもよい。
ゾーン推定モデル291およびバランス予測モデル292は、記憶部290に記憶される。これらのモデルについて後述する。
空気調和制御装置200の動作の手順は空気調和制御方法に相当する。また、空気調和制御装置200の動作の手順は空気調和制御プログラムによる処理の手順に相当する。
ステップS110において、データ取得部211は、センサ群130からゾーン環境データと運転状態データを取得する。
計測値は計測された状態を示す値(状態値)である。具体的には、計測値は温熱環境に関係する物理量を示す。
空気調和ゾーン109の状態の具体例は、温度、湿度および風速である。
セントラル空気調和機110において、熱源機111の状態の具体例は、冷温水出入口温度、圧縮機周波数および冷却ファン回転数である。また、外調機112の状態の具体例は、冷温水コイル出入口温度、冷温水コイル流量、冷温水コイルバルブ開度、給気温度、給気湿度、ファン回転数、ファン風量、外気ダンパ開度およびフィルタ差圧である。
マルチ空気調和機120において、室外機121の状態の具体例は、冷媒凝縮温度、圧縮機周波数、圧縮機消費電力、送風機ファン回転数、送風量、吸い込み温度、吹き出し温度、外気温度および外気湿度である。また、室内機122の状態の具体例は、吸込温度、吹出温度、冷媒蒸発温度、冷媒圧力、送風ファン回転数および送風量である。
現在設定データは、空気調和機ペア101に設定されている設定値群ペアを示す。つまり、現在設定データは、セントラル空気調和機110に設定されている設定値群と、マルチ空気調和機120に設定されている設定値群と、を示す。設定値群は、1つ以上の設定値である。
セントラル空気調和機110において、熱源機111の設定の具体例は冷温水出口温度である。また、外調機112の設定の具体例は、給気温度、給気湿度、ファン回転数および外気ダンパ開度である。
マルチ空気調和機120において、室外機121の設定の具体例は冷媒蒸発温度である。また、室内機122の設定の具体例は吸込温度および回転数である。
推定値は推定された状態値である。具体的には、推定値は、直接計測することが難しい物理量を示す。
推定される状態は、センサ群130によって計測できない状態であり、ゾーン環境データの状態とは異なる。具体的には、推定される状態は、内部熱負荷、壁断熱性、日射量など、建物固有のパラメータおよび時間帯によって変動する状態である。
ゾーン推定モデル291は、空気調和機モデルである。空機調和機モデルは、各空気調和機の動作を模擬するためのモデルである。
状態推定部212は、ゾーン環境データと運転状態データを入力にしてゾーン推定モデル291を演算する。これにより、ゾーン推定データが得られる。ゾーン推定データは、空気調和ゾーン109の1種類以上の状態のそれぞれの推定値を示す。
図5に基づいて、1回目の候補の生成について説明する。図5は、温度について現在の設定値(実線)と候補の設定値(破線)を示している。設定値は時系列で示される。
(1)候補生成部213は、設定値が変更される時間帯(変更時間帯)を所定期間内でランダムに決定する。所定期間は予め決められる。
(2)候補生成部213は、変更時間帯の設定値の変更幅を設定範囲内でランダムに決定する。設定範囲は予め決められる。
(3)候補生成部213は、現在の設定値の時系列のうちの変更時間帯の設定値を変更幅だけ変更する。変更後の時系列が設定値の候補となる。
(0)候補生成部213は、前回以前の候補のうち他の候補よりも予測バランスが劣る候補を削除する。これにより、良好な候補が残る。
例えば、候補生成部213は、パレート優越と呼ばれる手法によって、良好な候補を残す。良好な候補を残す方法について後述する。
(1)候補生成部213は、残った候補から2つの候補(参照候補)をランダムに選択する。
(2)候補生成部213は、変更時間帯をランダムに決定する。
(3)候補生成部213は、変更時間帯について、それぞれの参照候補のための変更値として他方の参照候補の設定値を採用する。また、候補生成部213は、2つの参照候補の設定値の平均をそれぞれの参照候補のための変更値として算出してもよい。
(4)候補生成部213は、参照候補ごとに変更時間帯の設定値を変更値に変更する。各参照候補の変更後の時系列が新たな候補の設定値となる。
まず、候補生成部213は、エネルギー消費量用の目的関数と快適性用の目的関数を用いて、各候補Aを他の候補Bと比較する。
次に、候補生成部213は、候補Aごとに、エネルギー消費量と快適性の両方で候補Aよりも優れた候補Bの有無を判定する。
そして、エネルギー消費量と快適性の両方で候補Aよりも優れた候補Bが有る場合、候補生成部213は、候補Aを削除する。図7において、候補Aよりも優れた候補Bがあるため、候補Aは削除される。
また、エネルギー消費量と快適性の両方で候補Aよりも優れた候補Bが無い場合、候補生成部213は、候補Aを残す。図8において、候補Aよりも優れた候補Bがないため、候補Aは残される。
上記のように全ての候補について優れた候補の有無を判断し、ほかに優れた候補が無くトレードオフの関係にある候補のみを残すと、黒丸の候補のみが残る。
但し、候補生成部213は、パレート優越以外の手法で良好な候補を残してもよい。
また、候補生成部213は、トレードオフの関係にある候補同士(図7および図8の黒丸同士)の優劣をNSGA-IIの混雑距離を用いて決定し、決定された優劣に基づいて良好な候補を残してもよい。
NSGAは、Non-dominated Sorting Genetic Algorithmの略称である。
候補の生成のために、一般的に知られる多目的最適化手法が用いられてもよい。
多目的最適化手法の具体例は、NSGA-II、NSGA-III、MOPSOおよびMOEA/Dである。NSGA-IIの具体例はSBXである。
MOPSOは、Multi-objective Particle Swarm Optimizationの略称である。
MOEA/Dは、A Multiobjective Evolutional Algorithm based on Decompositionの略称である。
SBXは、Simulated Binary Crossoverの略称である。
ステップS140において、バランス予測部214は、生成された候補ごとに、算出された1つ以上の推定値に基づいて、設定値群ペアが空気調和機ペア101に設定された場合について予測バランスを算出する。
予測バランスは、予測されるエネルギー消費量および予測される快適性である。例えば、快適性は温度および湿度で表される。また、快適性はPMVまたはSET*のような快適性指標値で表してもよい。
PMVは、Predicted Mean Voteの略称である。
SET*は、Standard New Effective Temperatureの略称である。
バランス予測モデル292は、空気調和機モデルである。
バランス予測部214は、ゾーン推定データと設定値群ペアを入力にしてバランス予測モデル292を演算する。これにより、予測バランスが得られる。
予測バランスは、算出された時系列(エネルギー消費量、快適性)のうちの所定期間の値を使って演算される。例えば、エネルギー消費量については所定期間の積算値が予測バランスとして算出され、快適性については所定期間の平均値が予測バランスとして算出される。
ステップS150において、設定決定部215は、ステップS130およびステップS140の終了条件を満たすか判定する。終了条件は予め決められる。
例えば、終了条件は、所定回数の繰り返し又は所定時間の繰り返しである。終了条件は、エネルギー消費量、快適性または予測バランスが所定条件を満たす、といった条件であってもよい。
終了条件が満たされた場合、処理はステップS160に進む。
終了条件が満たされない場合、処理はステップS130に進む。
図10に、各候補の予測バランスと理想バランスの関係を示す。候補点(黒丸、黒四角)は各候補の予測バランスを示している。理想点(黒三角)は理想バランスを示している。理想点までの距離は候補点(黒四角)が最も短い。そのため、候補点(黒四角)の候補が空気調和機ペア101に設定する設定値群ペアとして選択される。
但し、設定値群ペアは、エネルギー消費量と快適性が満たさなければならない条件を満たす候補の中から選択される。
ステップS170において、設定出力部216は、決定された設定値群ペアを空気調和機ペア101に出力する。つまり、設定出力部216は、セントラル空気調和機110のための設定値群をセントラル空気調和機110に出力し、マルチ空気調和機120のための設定値群をマルチ空気調和機120に出力する。
これにより、設定値群ペアが空気調和機ペア101に設定される。セントラル空気調和機110とマルチ空気調和機120のそれぞれは、設定値群を受け取り、設定値群を設定する。
従来技術では、温度または湿度を所望の値に近づけることを条件にして消費電力が最も小さくなる負荷配分が決定され、決定された負荷配分に応じた設定値が設定される。
実施の形態1では、温度および湿度が所望の値に近づかなくても省エネルギー化が可能な設定値など、多様な設定値の候補が多目的最適化によって探索される。そして、多様な設定値の候補の中から、エネルギー消費量と快適性のバランスが良好な設定値が選択される。つまり、実施の形態1は、より良好な設定値を設定することが可能である。
マルチ空気調和機120が複数の室内機122を備える形態について、主に実施の形態1と異なる点を図11に基づいて説明する。
図11に基づいて、空気調和システム100の構成を説明する。
空気調和システム100において、マルチ空気調和機120は、複数の室内機122を備える。つまり、マルチ空気調和機120は、2台の室内機122または3台以上の室内機122を備える。
複数の室内機122は同じ空気調和ゾーン109に配置され、個々の室内機122が運転または停止する。
空気調和制御方法の手順は、実施の形態1における手順と同じである。
但し、ステップS110およびステップS130において、設定値群ペアのうちのマルチ空気調和機120の設定値群は、室内機運転台数を示す設定値を含む。室内機運転台数は、運転している室内機122の台数である。
実施の形態2は、運転台数の変更を最適化することができる。ビル用マルチ空気調和機の複数台の室内機が同じ空気調和ゾーンに配置されている場合、実施の形態2は、個々の室内機の状態(運転、停止)を最適に変更する。
例えば、運転台数を変更したほうが同じ室内温熱環境を保ちながらエネルギー消費量をより削減できる場合(例えば負荷が低い場合)に、実施の形態2は運転台数を変更してエネルギー消費量の削減を図ることができる。
空気調和ゾーン109の情報を利用する形態について、主に実施の形態1と異なる点を図12および図13に基づいて説明する。
図12に基づいて、空気調和制御装置200の構成を説明する。
空気調和制御装置200は、さらにデータ取得部221という要素を備える。
空気調和制御プログラムは、さらにデータ取得部221としてコンピュータを機能させる。
図13に基づいて、空気調和制御方法を説明する。
ステップS310において、データ取得部211は、センサ群130からゾーン環境データと運転状態データを取得する。
また、データ取得部211は、空気調和機ペア101から現在設定データを取得する。
ゾーン情報データは、空気調和ゾーン109の人数情報と空気調和ゾーン109の熱情報の少なくとも一方を示す。
人数情報は、空気調和ゾーン109に存在する人の数を示す。例えば、人数情報は、入退室管理システムから取得される。人数情報は、空気調和ゾーン109が映った画像に基づいて取得されてもよい。例えば、可視光カメラが空気調和ゾーン109(の天井面)に設置され、空気調和ゾーン109を撮影し、画像を出力する。データ取得部211は、画像を取得し、画像を処理することによって人数を算出する。
熱情報は、空気調和ゾーン109における発熱量および空気調和ゾーン109の壁面温度などを示す。例えば、サーマルカメラが空気調和ゾーン109に設置され、発熱量および壁面温度などを計測する。データ取得部211は、サーマルカメラから熱情報を取得する。
ステップS140以降の処理は、実施の形態1で説明した通りである。
実施の形態3は在室人数を利用する。例えば、入退室管理システムから得られる在室者数カウント値、天井面に設置された可視光カメラからの画像を処理して得られる在室者数カウント値、サーマルカメラによって計測される室内発熱大小または壁面温度などが利用される。そして、実施の形態3は空気調和ゾーンの状態(室状態)を推定する。
これにより、実施の形態3は室状態の推定精度を向上できる。
バランス予測モデル292を代替する代替モデル293を使用する形態について、主に実施の形態1と異なる点を図14から図16に基づいて説明する。
図14に基づいて、空気調和制御装置200の構成を説明する。
空気調和制御装置200は、さらにモデル学習部222という要素を備える。
空気調和制御プログラムは、さらにモデル学習部222としてコンピュータを機能させる。
代替モデル293は、バランス予測モデル292を代替するモデルである。例えば、代替モデル293は、機械学習によって得られる学習済みモデルである。
図15に基づいて、モデル学習部処理を説明する。モデル学習処理は、代替モデル293を生成するための処理であり、モデル学習部222によって実行される。
教師環境データは、ゾーン環境データに相当するデータである。
教師状態データは、運転状態データに相当するデータである。
教師設定データは、現在設定データに相当するデータである。
学習条件の具体例は、設定値の範囲、状態値の範囲、サンプル数、サンプル間隔、気象データおよび学習対象日である。
算出された1つ以上の推定値を示すデータを、教師推定データと称する。教師推定データはゾーン推定データに相当する。
生成された候補を、教師候補と称する。
算出された予測バランスを、教師バランスと称する。
終了条件が満たされた場合、処理はステップS407に進む。
終了条件が満たされない場合、処理はステップS403に進む。
ステップS110からステップS130は、実施の形態1で説明した通りである。
ステップS130の後、処理はステップS440に進む。
具体的には、バランス予測部214は、ゾーン推定データと設定値群ペアを入力にして代替モデル293を演算する。これにより、予測バランスが得られる。
ステップS150からステップS170は、実施の形態1で説明した通りである。
実施の形態4は代替モデルを使って予測計算を高速化する。実施の形態4は、空気調和機の運用中に機械学習モデルなどを用いて空気調和機モデルの入出力関係を学習し、学習結果をエネルギー消費量と快適性の予測に用いる。
これにより、実施の形態4は、空気調和機モデルを使用すると時間がかかる予測を高速化できる。
空気調和ゾーン109の空気質を考慮する形態について、主に実施の形態1と異なる点を図17および図18に基づいて説明する。
空気調和システム100の構成は、実施の形態1における構成と同じである。但し、センサ群130は、空気調和ゾーン109に配置される空気質センサを含む。
空気質センサは、空気質を計測するセンサである。空気質の具体例は、二酸化炭素濃度および粒子数などである。粒子数は、PM10またはPM2.5などの粒子の数である。
空気調和制御装置200は、さらにデータ取得部223を備える。
空気調和制御プログラムは、さらにデータ取得部223としてコンピュータを機能させる。
図18に基づいて、空気調和制御方法を説明する。
ステップS510において、データ取得部211は、センサ群130からゾーン環境データと運転状態データを取得する。
また、データ取得部211は、空気調和機ペア101から現在設定データを取得する。
空気質データは、空気調和ゾーン109の空気質を示す。
ステップS120において、状態推定部212は、ゾーン環境データと運転状態データに基づいて、1つ以上の推定値を算出する。
ステップS540において、バランス予測部214は、生成された候補ごとに、1つ以上の推定値と空気質データに基づいて、予測バランスを算出する。
具体的には、バランス予測部214は、ゾーン推定データと空気質データと設定値群ペアを入力にしてバランス予測モデル292を演算する。これにより、予測バランスが得られる。
予測バランスは、予測されるエネルギー消費量、予測される快適性および予測される空気質である。
ステップS150以降は、実施の形態1で説明した通りである。
実施の形態5は空気質を考慮して最適化を行う。実施の形態5は、エネルギー消費量、室内温熱環境および空気質環境に対する3目的最適化により、設定値を探索する。空気質として、CO2濃度、PM10粒子数、PM2.5粒子数などが計測され用いられる。
これにより、実施の形態5は、温熱環境と空気質環境のどちらも良好となるような設定値を導出することを可能にする。
必要換気量を考慮する形態について、主に実施の形態5と異なる点を図19および図20に基づいて説明する。
図19に基づいて、空気調和制御装置200の構成を説明する。
空気調和制御装置200は、さらに換気量算出部224という要素を備える。
空気調和制御プログラムは、さらに換気量算出部224としてコンピュータを機能させる。
図24に基づいて、空気調和制御方法を説明する。
ステップS510において、データ取得部211は、ゾーン環境データと運転状態データを取得する。
また、データ取得部211は、現在設定データを取得する。
さらに、データ取得部223は、空気質データを取得する。
ステップS610において、換気量算出部224は、空気質データに基づいて必要換気量を算出する。
必要換気量は、空気調和ゾーン109の空気質環境を理想的な環境にするために必要な換気量である。
ステップS120において、状態推定部212は、ゾーン環境データと運転状態データに基づいて、1つ以上の推定値を算出する。
ステップS630において、候補生成部213は、各候補が空気調和機ペアに設定された場合に空気調和ゾーン109において必要換気量以上の換気量が確保されることを条件にして、現在設定データに基づいて1つ以上の候補を生成する。
例えば、各候補において、換気量に関する設定値に基づいて算出される換気量は必要換気量以上である。
ステップS540以降は、実施の形態5で説明した通りである。
実施の形態6は必要換気量を算出する。実施の形態6は、計測された空気質に対する必要換気量を算定し、エネルギー消費量および室内温熱環境が良好になる設定値を必要換気量が充足される範囲で求める。
これにより、実施の形態6は、良好な空気質を満たす最低条件を達成しつつ省エネルギーで快適な空気調和運用を可能にする。
快適性に関するアンケート結果を考慮する形態について、主に実施の形態1と異なる点を図21から図23に基づいて説明する。
図21に基づいて、空気調和制御装置200の構成を説明する。
空気調和制御装置200は、さらにアンケート結果取得部225という要素を備える。
空気調和制御プログラムは、さらにアンケート結果取得部225としてコンピュータを機能させる。
図22に基づいて、空気調和制御方法を説明する。
ステップS710において、データ取得部211は、センサ群130からゾーン環境データと運転状態データを取得する。
また、データ取得部211は、空気調和機ペア101から現在設定データを取得する。
さらに、アンケート結果取得部225は、アンケート結果データを取得する。例えば、アンケート結果データが空気調和制御装置200に入力される、そして、アンケート結果取得部225は、入力されたアンケート結果データを受け付ける。
アンケート結果データは、快適性に関するアンケート結果を示す。アンケート結果は、例えば、空気調和ゾーン109の部屋の居住者から得られる。
ステップS120からステップS150は、実施の形態1で説明した通りである。
ステップS150の後、処理はステップS760に進む。
具体的には、設定決定部215は、アンケート結果データに基づいて理想バランスを決定する。そして、設定決定部215は、実施の形態1のステップS160における方法と同じ方法で、いずれかの候補を設定値群ペアとして選択する。
例えば、冷房時に暖かくも寒くもない室内環境に対する候補が選択されると仮定する。居住者へのアンケートの結果、あまり冷えすぎず室温が低すぎない方が居住者にとっては快適であることが判明した。この場合、理想点は、通常であれば快適性が下がる側(より暖かい側)に移動するように変更される。理想点が変更されると、選択される候補が変わる。
実施の形態7はアンケート結果を反映する。つまり、実施の形態7は、室内居住者のアンケート結果を反映して設定値を抽出する。設定値の抽出のために、実施の形態7は、設定された理想バランスをアンケート結果に基づいて変更する。例えば、実施の形態7は、アンケートの結果において快適と思われる側に理想点を移動する。
これにより、実施の形態7は、実際の居住者の快適性をより考慮して良好な設定値を抽出することを可能にする。
各空気調和機の特性を考慮する形態について、主に実施の形態1と異なる点を図24および図25に基づいて説明する。
空気調和システム100の構成は、実施の形態1における構成と同じである。
図24に基づいて、空気調和制御方法を説明する。
ステップS110およびステップS120は、実施の形態1で説明した通りである。
ステップS120の後、処理はステップS830に進む。
そして、候補生成部213は、空気調和機ごとに、現在設定データと制限範囲に基づいて、1つ以上の候補を生成する。各候補において、各設定値は制限範囲に含まれる値である。
実施の形態8は各空調調和機の特性を考慮する。実施の形態8は、空気調和機の特性に応じて設定値の範囲を制限し、制限された範囲内で設定値を最適化させる。
これにより、実施の形態8は、より適切な設定値の探索を効率化し、最適化に必要な時間を短縮できる。
複数の空気調和ゾーン109のそれぞれの空気を調和させる形態について、主に実施の形態1と異なる点を図26から図28に基づいて説明する。
図26に基づいて、空気調和システム100の構成を説明する。
空気調和システム100は、複数の空気調和ゾーン109のそれぞれの空気を調和させるシステムである。
空気調和システム100において、マルチ空気調和機120は、複数の室内機122を備える。
複数の室内機122は、互いに異なる空気調和ゾーン109の空気調和のために使用される。
図27に基づいて、空気調和制御方法を説明する。
ステップS910において、データ取得部211は、センサ群130からゾーン環境データと運転状態データを取得する。また、データ取得部211は、空気調和機ペア101から現在設定データを取得する。
但し、ゾーン環境データは、空気調和ゾーン109ごとに取得される。
但し、1つ以上の推定値は、空気調和ゾーン109ごとに算出される。
但し、1つ以上の候補は、消費電力が小さく且つ全ての空気調和ゾーン109の快適性が良好になることを条件にして生成される。
但し、予測バランスには、空気調和ゾーン109ごとの快適性が含まれる。
ステップS150以降は、実施の形態1で説明した通りである。
第1空気調和ゾーン109と第2空気調和ゾーン109がある場合、三次元に配置される候補の中から理想バランス(理想点)に最も近い候補点の候補が選択される。
実施の形態9は複数の空気調和ゾーンに対応できる。空機調和ゾーンが2つある場合、実施の形態9は、(a)空気調和機全体のエネルギー消費量、(b)第1空気調和ゾーンの室内環境、(c)第2空気調和ゾーンの室内環境を予測する。そして、実施の形態9は、(a)~(c)のすべてが良くなるように設定値を探索する。
これにより、複数の空気調和ゾーンに給気するシステムにおいて、複数の空気調和機の全体のエネルギー消費量と各空気調和の室内環境を最適にする設定値を算出できる。
図29に基づいて、空気調和制御装置200のハードウェア構成を説明する。
空気調和制御装置200は処理回路209を備える。
処理回路209は、データ取得部211と状態推定部212と候補生成部213とバランス予測部214と設定決定部215と設定出力部216を実現するハードウェアである。さらに、処理回路209は、データ取得部221とモデル学習部222とデータ取得部223と換気量算出部224とアンケート結果取得部225を実現する。
処理回路209は、専用のハードウェアであってもよいし、メモリ202に格納されるプログラムを実行するプロセッサ201であってもよい。
ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略称である。
FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。
Claims (5)
- 2種類の空気調和機から成る空気調和機ペアが使用される空気調和ゾーンの1種類以上の状態のそれぞれの計測値を示すゾーン環境データと、前記空気調和機ごとに1種類以上の状態のそれぞれの状態値を示す運転状態データと、に基づいて、前記ゾーン環境データの前記1種類以上の前記状態とは異なる前記空気調和ゾーンの1種類以上の状態のそれぞれの推定値を算出する状態推定部と、
前記空気調和機ペアに設定されている設定値群ペアを示す現在設定データに基づいて、前記空気調和機ペアのための設定値群ペアの1つ以上の候補を生成する候補生成部と、
生成された候補ごとに、算出された1つ以上の前記推定値に基づいて、前記設定値群ペアが前記空気調和機ペアに設定された場合について、予測されるエネルギー消費量と予測される快適性を予測バランスとして算出するバランス予測部と、
各候補の前記予測バランスに基づいて、いずれかの前記候補を前記空気調和機ペアに設定する設定値群ペアに決定する設定決定部と、
前記ゾーン環境データに相当する教育環境データと前記運転状態データに相当する教育状態データを生成し、前記教育環境データと前記教育状態データに基づいて前記1つ以上の推定値に相当する教師推定データを算出し、前記現在設定データに相当する教師設定データを生成し、前記教師設定データに基づいて前記1つ以上の前記候補に相当する1つ以上の教師候補を生成し、前記教師候補ごとに前記教師推定データに基づいて前記教師候補が前記空気調和機ペアに設定された場合について前記予測バランスに相当する教師バランスを算出し、前記教師候補ごとに前記教師候補と前記教師推定データと前記教師バランスを学習して代替モデルを生成するモデル学習部を備え、
前記バランス予測部は、前記候補ごとに前記1つ以上の前記推定値と前記候補を入力にして前記代替モデルを演算することによって前記予測バランスを算出する
空気調和制御装置。 - 2種類の空気調和機から成る空気調和機ペアが使用される空気調和ゾーンの1種類以上の状態のそれぞれの計測値を示すゾーン環境データと、前記空気調和機ごとに1種類以上の状態のそれぞれの状態値を示す運転状態データと、に基づいて、前記ゾーン環境データの前記1種類以上の前記状態とは異なる前記空気調和ゾーンの1種類以上の状態のそれぞれの推定値を算出する状態推定部と、
前記空気調和機ペアに設定されている設定値群ペアを示す現在設定データに基づいて、前記空気調和機ペアのための設定値群ペアの1つ以上の候補を生成する候補生成部と、
生成された候補ごとに、前記空気調和ゾーンの空気質を示す空気質データと算出された1つ以上の前記推定値に基づいて、前記設定値群ペアが前記空気調和機ペアに設定された場合について、予測される空気質と予測されるエネルギー消費量と予測される快適性を予測バランスとして算出するバランス予測部と、
各候補の前記予測バランスに基づいて、いずれかの前記候補を前記空気調和機ペアに設定する設定値群ペアに決定する設定決定部と、
を備える空気調和制御装置。 - 前記空気調和制御装置は、換気量算出部を備え、
前記換気量算出部は、前記空気質データに基づいて必要換気量を算出し、
前記候補生成部は、各候補が前記空気調和機ペアに設定された場合に前記空気調和ゾーンにおいて前記必要換気量以上の換気量が確保されることを条件にして、前記現在設定データに基づいて前記1つ以上の前記候補を生成する
請求項2に記載の空気調和制御装置。 - 2種類の空気調和機から成る空気調和機ペアが使用される空気調和ゾーンの1種類以上の状態のそれぞれの計測値を示すゾーン環境データと、前記空気調和機ごとに1種類以上の状態のそれぞれの状態値を示す運転状態データと、に基づいて、前記ゾーン環境データの前記1種類以上の前記状態とは異なる前記空気調和ゾーンの1種類以上の状態のそれぞれの推定値を算出し、
前記空気調和機ペアに設定されている設定値群ペアを示す現在設定データに基づいて、前記空気調和機ペアのための設定値群ペアの1つ以上の候補を生成し、
生成された候補ごとに、前記空気調和ゾーンの空気質を示す空気質データと算出された1つ以上の前記推定値に基づいて、前記設定値群ペアが前記空気調和機ペアに設定された場合について、予測される空気質と予測されるエネルギー消費量と予測される快適性を予測バランスとして算出し、
各候補の前記予測バランスに基づいて、いずれかの前記候補を前記空気調和機ペアに設定する設定値群ペアに決定する
空気調和制御方法。 - 2種類の空気調和機から成る空気調和機ペアが使用される空気調和ゾーンの1種類以上の状態のそれぞれの計測値を示すゾーン環境データと、前記空気調和機ごとに1種類以上の状態のそれぞれの状態値を示す運転状態データと、に基づいて、前記ゾーン環境データの前記1種類以上の前記状態とは異なる前記空気調和ゾーンの1種類以上の状態のそれぞれの推定値を算出する状態推定処理と、
前記空気調和機ペアに設定されている設定値群ペアを示す現在設定データに基づいて、前記空気調和機ペアのための設定値群ペアの1つ以上の候補を生成する候補生成処理と、
生成された候補ごとに、前記空気調和ゾーンの空気質を示す空気質データと算出された1つ以上の前記推定値に基づいて、前記設定値群ペアが前記空気調和機ペアに設定された場合について、予測される空気質と予測されるエネルギー消費量と予測される快適性を予測バランスとして算出するバランス予測処理と、
各候補の前記予測バランスに基づいて、いずれかの前記候補を前記空気調和機ペアに設定する設定値群ペアに決定する設定決定処理と、
をコンピュータに実行させるための空気調和制御プログラム。
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