JP2004324536A - 燃料供給用ポンプおよびタペット構造体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ローラおよびローラボディを含むタペット構造体を備えた燃料供給用ポンプにおいて、プランジャを引き下げる際に用いられるスプリングを保持するためのスプリング保持室と、プランジャを昇降させるためのカムを収容するためのカム室との間に、潤滑油または潤滑用燃料を通過させるため連通部を設けてあり、ローラボディに、連通部の一部として、潤滑油または潤滑用燃料を通過させるための通過孔を設け、かつ、当該通過孔の下方側の開口部を含む箇所に、潤滑油または潤滑用燃料を通過させるための導通路を設けてある。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料供給用ポンプおよびタペット構造体に関する。特に、増圧方式の蓄圧式燃料噴射装置に適した燃料供給用ポンプおよびタペット構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ディーゼルエンジン等において、高圧の燃料を効率良く噴射するために、蓄圧器(コモンレール)を用いた蓄圧式燃料噴射装置が各種提案されている。
例えば、図22に示すように、エンジンの運転条件に応じて、蓄圧器の圧力を容易に切り替えるべく、メイン噴射を担当する第1蓄圧器236およびパイロット噴射を担当する第2蓄圧器278をそれぞれ備え、切り替え装置286によって、これらの蓄圧器236、278を切り替えて燃料噴射を実施する蓄圧式燃料噴射装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、エンジン性能の最適な噴射圧力を得られることを目的として、蓄圧器と、燃料噴射弁との間に、燃料を増圧するための増圧ピストンおよびシリンダ室が設けられた蓄圧式燃料噴射装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
より具体的には、図23に示すように、蓄圧器395と、燃料の供給油路360と、制御油路361と、燃料噴射制御用切り替え弁362と、増圧ピストン378を収容するためのシリンダ室383と、70〜120MPa(約700〜1,200kgf/cm2)程度に燃料圧力を上げるための増圧ピストン378と、液圧回路363と、ピストン作動用切り替え弁(増圧装置用三方電磁弁)364と、コントローラ(図示せず。)と、を備えた蓄圧式燃料噴射装置380が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−93936号公報 (第4−5頁、図1)
【特許文献2】
特許第2885076号公報 (第5−9頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示された蓄圧式燃料噴射装置では、2種類の蓄圧器およびその切り替え装置等を備える必要があり、そのために、蓄圧式燃料噴射装置が複雑化、大型化するという問題が見られた。また、かかる蓄圧式燃料噴射装置において、燃料供給用ポンプのカムおよびプランジャを高速駆動させて、大流量の燃料を十分に加圧処理することについては考慮されていない。
【0006】
一方、特許文献2に開示された蓄圧式燃料噴射装置においては、蓄圧器と、燃料噴射弁との間に、増圧ピストンを設けて、多段階圧力噴射を意図しているとともに、蓄圧器へ高圧燃料を供給する加圧ポンプが提案されているが、当該加圧ポンプは、蓄圧式燃料噴射装置の従来どおりの加圧ポンプであって、増圧ピストンに大量の高圧燃料を供給することを目的とした加圧ポンプについては触れられていない。
【0007】
そこで、本発明の発明者らは鋭意検討した結果、スプリング保持室と、カム室との間に連通部を備えるとともに、ローラボディに形成された、連通部の一部としての通過孔の下方側の開口部を含む箇所に導通路を設けることにより、潤滑油または潤滑用燃料の行き来が自由になって、カムおよびプランジャを高速駆動させた場合であっても、大量の燃料油を十分に加圧処理できることを見出した。
すなわち、本発明は、増圧方式の蓄圧式燃料噴射装置に対応すべく、燃料供給用ポンプにおけるカムおよびプランジャを高速駆動させて、燃料吐出量を大量にした場合であっても、潤滑油または潤滑用燃料がプランジャの動作を阻害することなく、燃料を十分に加圧処理することができる燃料供給用ポンプ、およびそれに適したタペット構造体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ローラおよびローラボディを含むタペット構造体を備えた燃料供給用ポンプにおいて、プランジャを引き下げる際に用いられるスプリングを保持するためのスプリング保持室と、プランジャを昇降させるためのカムを収容するためのカム室との間に、潤滑油または潤滑用燃料を通過させるため連通部を設け、ローラボディに、連通部の一部として、潤滑油または潤滑用燃料を通過させるための通過孔を設けるとともに、当該通過孔の下方側の開口部を含む箇所に、潤滑油または潤滑用燃料を通過させるための導通路を設けた燃料供給用ポンプが提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、このような燃料供給用ポンプであれば、ローラボディに設けられた通過孔の下方側の開口部を含む箇所に、所定の導通路が設けられていることにより、シェルまたはローラの存在位置にかかわらず、潤滑油または潤滑用燃料の移動空間が形成される。したがって、スプリング保持室と、カム室との間における潤滑油または潤滑用燃料の移動が妨げられることがなくなり、スプリング保持室内の圧力の上昇を防止することができる。よって、このようなタペット構造体を燃料供給用ポンプに用いることにより、カムおよびプランジャを高速駆動させた場合であっても、スプリング保持室と、カム室との間を、潤滑油または潤滑用燃料が自由に行き来できるため、かかる潤滑油または潤滑用燃料がプランジャの高速動作を阻害することが少なくなる。
【0009】
また、本発明の燃料供給用ポンプを構成するにあたり、開口部をローラボディの側面に設けるとともに、ローラボディの側面に導通路を設けることが好ましい。
このように構成することにより、導通路を、容易かつ確実に形成することができる。
【0010】
また、本発明の燃料供給用ポンプを構成するにあたり、導通路の形状が、実質的に窪み状であることが好ましい。
このように構成することにより、導通路を、容易かつ確実に形成することができるとともに、スプリング保持室と、カム室との間で、さらに円滑に潤滑油または潤滑用燃料を移動させることができる。
【0011】
また、本発明の燃料供給用ポンプを構成するにあたり、導通路を複数設けるとともに、ローラ受けの両側に配置することが好ましい。
このように構成することにより、通過孔を複数個設けた場合であっても、連通部を容易かつ確実に形成することができるとともに、スプリング保持室と、カム室との間で、潤滑油または潤滑用燃料をバランスよく移動させることができる。
【0012】
また、本発明の燃料供給用ポンプを構成するにあたり、通過孔の直径を0.5〜12mmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、スプリング保持室と、カム室との間を、潤滑油または潤滑用燃料が行き来しやすくなるために、スプリング保持室およびカム室の圧力差を低減することができるようになる。
【0013】
また、本発明の燃料供給用ポンプを構成するにあたり、単位時間当たりの流量が500〜1,500リットル/時間である燃料を、50MPa以上の値に加圧するための増圧方式の蓄圧式燃料噴射装置に用いることが好ましい。
このような蓄圧式燃料噴射装置に用いることにより、カムおよびプランジャの高速駆動が阻害されることがなく、容易に大流量の燃料の加圧処理ができるため、増圧方式の蓄圧式燃料噴射装置に好適に使用することができる。したがって、多段階圧力での燃料噴射を容易に実施することができ、ひいては、燃料噴射装置における燃焼効率を高めることができる。
【0014】
また、本発明の別の態様は、ローラおよびローラボディを含むタペット構造体において、ローラボディに、潤滑油または潤滑用燃料を通過させるための通過孔を、当該ローラボディの上面部から下方側に貫通するように設けるとともに、当該通過孔の下方側の開口部を含む箇所に、潤滑油または潤滑用燃料を通過させるための導通路を設けることを特徴とするタペット構造体である。
すなわち、ローラボディの側面部またはローラ部に所定の導通路が設けられていることにより、シェルまたはローラの存在位置にかかわらず潤滑油または潤滑用燃料の移動空間が形成される。したがって、スプリング保持室と、カム室との間における潤滑油または潤滑用燃料の移動が妨げられることがなくなる。よってこのようなタペット構造体を燃料供給用ポンプに用いることにより、カムおよびプランジャを高速駆動させた場合であっても、潤滑油または潤滑用燃料が、カムおよびプランジャの高速動作を阻害することが少なくなり、その結果、カムシャフトとの間で焼き付けを生じることが少なくなる。
【0015】
また、本発明のタペット構造体を構成するにあたり、導通路を、ローラボディの側面部に設けることが好ましい。
このように構成することにより、導通路を、容易かつ確実に形成することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、図1および図2に例示されるように、ローラ29およびローラボディ28を含むタペット構造体6を備えた燃料供給用ポンプ50であって、プランジャ54を引き下げる際に用いられるスプリング68を保持するためのスプリング保持室と、プランジャ54を昇降させるためのカム60を収容するためのカム室との間に、潤滑油または潤滑用燃料を通過させるための連通部を設け、ローラボディ28に、連通部の一部として、潤滑油または潤滑用燃料を通過させるための通過孔30bを設けるとともに、当該ローラボディ28の通過孔30bの下方側の開口部34を含む箇所に、潤滑油または潤滑用燃料を通過させるための導通路35を形成した燃料供給用ポンプ50である。
以下、かかる燃料供給用ポンプ50を、構成要件等に分けて、具体的に説明する。
【0017】
1.燃料供給用ポンプの基本的形態
燃料供給用ポンプの基本的形態は特に制限されるものでは無いが、例えば、図1および図2に示されるような燃料供給用ポンプ50を備えることが好ましい。すなわち、かかる燃料供給用ポンプ50は、例えば、ポンプハウジング52と、バレル(シリンダ)53と、プランジャ54と、スプリングシート10と、タペット構造体6と、カム60と、から構成してあることが好ましい。
また、ポンプハウジング52に収容されたバレル53の内側に、カム60の回転運動に対応してプランジャ54が往復運動し、導入された燃料を加圧するための燃料圧縮室74が形成されている。
したがって、フィードポンプ64から圧送されてくる燃料を、燃料圧縮室74において、プランジャ54によって、高圧の燃料に効率的に加圧することができる。
なお、この燃料供給用ポンプ50の例では、ポンプハウジング52内に、例えば二組のバレル(シリンダ)53およびプランジャ54を備えているが、より大容量の燃料を高圧処理するために、二組以上の数に増加することも好ましい。
【0018】
(1)ポンプハウジング
ポンプハウジング52は、図2に例示されるように、バレル(シリンダ)53と、プランジャ54と、タペット構造体6と、カム60とを収容する筐体である。
したがって、かかるポンプハウジング52は、図3(a)および(b)に示すように、左右方向に開口するシャフト挿通孔92a、および上下方向に開口する円柱空間92b、92cをそれぞれ有していることが好ましい。
また、かかるポンプハウジング52には、図3(b)に示すように、円柱空間92b、92cの側面方向に開口する貫通孔97、98をさらに設けることが好ましい。すなわち、かかる貫通孔97、98は、案内ピン99の先端部が圧入され、案内ピンの位置決めの精度が確保される構成となっている。また、孔部97a、98aは案内ピン99が螺合するねじ部として構成され、螺合によって案内ピン99の先端部が圧入されることが好ましい。
【0019】
(2)プランジャバレル
プランジャバレル53は、図1および図2に例示されるように、プランジャ54を支持するための筐体であって、当該プランジャ54によって大量の燃料を高圧に加圧するための燃料圧縮室(ポンプ室)74の一部を構成している要素である。また、プランジャバレル53は、組立が容易なことから、ポンプハウジング52の円柱空間92b、92cの上方開口部に対して装着されていることが好ましい。
なお、プランジャバレルを設ける燃料供給用ポンプの種類が、インラインタイプおよびラジアルタイプの場合には、それぞれにタイプに対応させて、プランジャバレルの形態を適宜変更することができる。
【0020】
(3)プランジャ
プランジャ54は、図1および図2に例示されるように、プランジャバレル53内の燃料圧縮室74における燃料を高圧に加圧するための主要素である。したがって、プランジャ54は、ポンプハウジング52の円柱空間92b、92cにそれぞれ装着されるプランジャバレル53内に、昇降自在に配設されていることが好ましい。
また、このプランジャ54は、図4および図5に示すように、燃料圧縮室74内に出入りするための加圧部54aを有していることが好ましい。この加圧部54aは、プランジャバレル53の径よりも細くなるように設計されており、上死点に移動した場合に、当該加圧部54aと、吐出バルブ79との間に隙間を形成することが好ましい。この理由は、加圧部54aが吐出バルブ79の入り口を塞ぐことなく、コモンレールに対して、円滑に燃料を圧送するためである。
また、プランジャ54は、プランジャバレル53内で、円滑に高速駆動できるように、全体として、丸棒状に形成されているとともに、加圧部54aとは反対の端部につば部55を有していることが好ましい。すなわち、円柱形のプランジャ54の先端部(下端部)外周面には、係止用のつば部55が一体的に設けられていることが好ましい。この理由は、このように構成することにより、プランジャ取付け部14に設けた開口部15に対して、容易かつ確実に固定することができるためである。
また、かかるプランジャ54は、図2に示すように、プランジャ復帰用のスプリング68によってカム側に常時付勢されるとともに、カム60の回転に対応して、上昇し、燃料圧縮室74内の燃料を加圧するように構成されていることが好ましい。
なお、第1の実施形態の燃料供給用ポンプにおいては、ポンプを高速回転させることによりカムおよびプランジャを高速駆動させて、大量の燃料を加圧処理することが好ましい。具体的に、かかるポンプの回転数を1,500〜4,000rpmの範囲内の値とすることが好ましい。また、ギア比を考慮して、ポンプの回転数を、エンジンの回転数に対して、1〜5倍の範囲内の値とすることが好ましい。
【0021】
(4)燃料圧縮室
燃料圧縮室74は、図2および図5に示すように、プランジャ54とともに、プランジャバレル53内に形成される小部屋である。したがって、かかる燃料圧縮室74において、燃料供給バルブ73を介して定量的に流入した燃料について、プランジャ54が高速駆動することによって、効率的かつ大量に加圧することができる。なお、このようにプランジャ54が高速駆動した場合であっても、潤滑油または潤滑用燃料がプランジャ54の高速動作を阻害しないように、後述するスプリングシートやローラボディには、それぞれ通過孔が設けられており、それぞれの通過孔が連通していることが好ましい。
一方、プランジャ54による加圧が終了した後は、加圧された燃料は、燃料吐出バルブ79を介して、図10に示すコモンレール106に供給されることになる。
【0022】
(5)スプリングシート
図6(a)〜(c)に例示されるように、スプリングシート10は、燃料供給用ポンプのプランジャを引き下げる際に用いられるスプリングを保持するためのスプリング保持部12と、当該プランジャを係止するためのプランジャ取付け部14と、を備えたスプリングシート10において、プランジャ取付け部14の周囲に、潤滑油または潤滑用燃料を通過させるための通過孔16を設けることが好ましい。
スプリング保持部12の形態は、燃料供給用ポンプのプランジャを引き下げる際に用いられるスプリングを容易に配置することができるものであれば特に制限されるものではないが、例えば、図6(a)〜(c)に示すように、円板状であっても良く、あるいは、周囲方向に部分的に突出した面状体であっても良い。
また、スプリング保持部12の配置に関して、図6(a)〜(c)に示すように、プランジャ取付け部14の周囲に設けることが好ましい。
【0023】
また、プランジャ取付け部の形態に関して、プランジャを容易に係止して、当該プランジャを引き下げることができる構成であれば特に制限されるものではないが、例えば、図6(b)に示すように、プランジャの先端部を横方向からスライドして挿入させるための比較的大きな挿入口15bと、プランジャの先端部を係止するための比較的小さな中心孔15aと、の組み合わせとすることが好ましい。なお、図7(a)〜(c)に、プランジャ取付け部の変形例を示すが、それぞれ好適に使用することができる。
また、プランジャ取付け部14の配置に関して、図6(a)〜(c)に示すように、スプリング保持部12の内側領域に、当該プランジャ取付け部14を設けることが好ましい。この理由は、このように構成することにより、スプリング保持部12において、例えば、円筒形のスプリングを保持できるとともに、当該スプリングの内側領域において、プランジャを係止して、容易に芯だししながら、高速駆動できるためである。
【0024】
また、プランジャ取付け部14の周囲に設ける通過孔16の形状や個数は、特に制限されるものではないが、例えば、円形の通過孔を、1〜20個の範囲内で設けることが好ましい。なお、通過孔の形状は、実質的に円形であることが好ましいが、その他、楕円、四角形、異形、あるいは溝状とすることが好ましい。
また、通過孔16を、図6(a)〜(b)に示すように、プランジャ取付け部14の周囲に、放射状または半放射状に配置することが好ましい。図6(a)〜(b)の例では、プランジャ取付け部14の中心点Pに対して、5個の通過孔16が半放射状に配置してある。
また、図6(a)〜(b)に例示する通過孔16が実質的に円形の場合、その直径を0.5〜12mmの範囲内の値とすることが好ましい。
【0025】
(6)タペット構造体
タペット構造体の構造については、後述する第2の実施形態と同様の内容とすることができる。したがって、ここでの説明は省略する。
【0026】
(7)カム
カム60は、図1および図2に例示されるように、モータの回転運動を、タペット構造体6を介して、プランジャ54の上下運動に変えるための主要素である。したがって、カム60は、シャフト挿通孔92aに軸受体を介して回転自在に挿通保持されていることが好ましい。そして、ディーゼルエンジン(カムシャフト3)の駆動によって回転するように構成されている。
このカム60の外周面には、ポンプハウジング52の円柱空間92b、92cの下方に位置し、かつ軸線方向に所定の間隔をもって並列する二つのカム部3a、3bが一体に設けられていることが好ましい。
なお、これらカム部3a、3bは、相互に円周方向に所定の間隔をもって並列配置されていることが好ましい。
【0027】
(8)燃料吸入用バルブおよび燃料吐出用バルブ
燃料吸入用バルブおよび燃料吐出用バルブを、図5に例示するように配置するとともに、図8〜図9に例示するような構成とすることが好ましい。
すなわち、燃料吸入用バルブ73は、図8および図9に示すように、弁本体19および、先端につば部20bを供えた弁体20を有していることが好ましい。また、この弁本体19には、図9に示すように、下方に開口する円柱状の燃料吸入室19aおよびこの燃料吸入室19aに燃料を吸入するための燃料吸入孔19bが設けられていることが好ましい。
また、燃料吐出用バルブ79についても、弁体を有し、プランジャバレル53の一部に収容されていることが好ましい。そして、スプリングによって閉弁方向に常時付勢されるとともに、開弁・閉弁によって、加圧された燃料を、コモンレールに対して供給するように構成されていることが好ましい。
【0028】
なお、図8に示すように、燃料吸入用バルブ73は、弁本体19と、その内部において稼動可能に取付けられた弁体20と、弁本体19内部に設けられた燃料吸入室19aと、燃料吸入孔19bと、弁体20および弁本体19の一部が相互に接するシート部23と、を備えて、燃料吸入孔19bを複数個設けるとともに、当該燃料吸入孔19bを燃料吸入室19aに対して、非放射状に配置することが好ましい。
この理由は、かかる燃料吸入用バルブであれば、燃料供給用ポンプに対して、例えば、単位時間当たりの流量が500〜1,500リットル/時間程度の燃料であっても、極めて正確かつ定量的に供給することができるためである。
【0029】
(9)燃料潤滑システム
また、燃料供給用ポンプの潤滑システムとしては特に制限されるものではないが、燃料油の一部を潤滑成分(潤滑油燃料)として使用する燃料潤滑システムを採用することが好ましい。
この理由は、燃料をカム室等の潤滑に用いることにより、燃料を加圧してコモンレールに燃料を圧送するに際して、たとえカム室等を潤滑するための燃料の一部がコモンレールに圧送される燃料に混合されたとしても、これらは同一成分であるため、潤滑油をカム室等の潤滑に用いる場合のように潤滑油に含まれる添加剤等がコモンレールに圧送される燃料に混合されてしまうことがないからである。したがって、排ガス浄化性が低下することが少なくなる。
【0030】
2.増圧方式の蓄圧式燃料噴射装置
また、第1の実施形態の燃料供給用ポンプは、例えば、以下のような構成を有する増圧方式の蓄圧式燃料噴射装置100の一部であることが好ましい。
すなわち、図10に例示されるように、燃料タンク102と、かかる燃料タンク102の燃料を供給するためのフィードポンプ(低圧ポンプ)104と、燃料供給用ポンプ(高圧ポンプ)103と、かかる燃料供給用ポンプ103から圧送された燃料を蓄圧するための蓄圧器としてのコモンレール106と、コモンレール106で蓄圧された燃料をさらに加圧するための増圧装置(増圧ピストン)108と、および燃料噴射装置110と、から構成されていることが好ましい。
【0031】
(1)燃料タンク、フィードポンプ、および燃料供給用ポンプ
図10に例示される燃料タンク102の容積や形態は、例えば、単位時間当たりの流量が500〜1、500リットル/時間程度の燃料を循環できることを考慮して定めることが好ましい。
また、フィードポンプ104は、図10に示すように、燃料タンク102内の燃料(軽油)を燃料供給用ポンプ103に圧送するものであり、フィードポンプ104と、燃料供給用ポンプ103との間にはフィルター105が介在されていることが好ましい。そして、このフィードポンプ104は、一例ではあるが、ギヤポンプ構造を有し、カムの端部に取付け、ギヤの駆動を介して、カム軸と直結または適当なギヤ比を介して駆動されていることが好ましい。
【0032】
また、フィードポンプ104から、フィルター105を介して圧送された燃料は、噴射量調整を行う比例制御弁120をさらに経由して、燃料供給用ポンプ103に供給されることが好ましい。
また、フィードポンプ104から供給された燃料は、比例制御弁120および燃料供給用ポンプ103に対して圧送される他に、かかる比例制御弁120と並列的に設けられたオーバーフローバルブ(OFV)を介して、燃料タンク102に戻されるように構成することが好ましい。そして、さらに、一部の燃料は、オーバーフローバルブに取付けられたオリフィスを介して、燃料供給用ポンプ103のカム室に圧送され、カム室の燃料潤滑油として使用されることが好ましい。
【0033】
(2)コモンレール
また、コモンレール106の構成は特に制限されるものではなく、公知のものであれば使用することができるが、例えば、図10に示すように、コモンレール106には、複数のインジェクタ(噴射弁)110が接続されており、コモンレール106で高圧に蓄圧された燃料を各インジェクタ110から内燃機関(図示せず)内に噴射することが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、エンジンの回転数の変動に噴射圧が影響されることなく、回転数に見合った噴射圧で、インジェクタ110を介してエンジンに燃料噴射することができるためである。なお、従来の噴射ポンプシステムでは、エンジン回転数に倣って噴射圧力は変化してしまうという問題があった。
また、コモンレール106の側端には、圧力検知器117が接続されており、かかる圧力検知器117で得られた圧力検知信号を電子制御ユニット(ECU: Electrical Controlling Unit)に送ることが好ましい。すなわち、ECUは、圧力検知器117からの圧力検知信号を受けると、電磁制御弁(図示せず。)を制御するとともに、検知した圧力に応じて比例制御弁の駆動を制御することが好ましい。
【0034】
(3)増圧装置
また、増圧装置としては、図11に例示されるように、シリンダ155と、機械式ピストン(増圧ピストン)154と、受圧室158と、電磁弁170と、循環路157とを含み、そして、機械式ピストン154が、比較的大面積を有する受圧部152および比較的小面積を有する加圧部156をそれぞれ備えていることが好ましい。
すなわち、シリンダ155内に収容された機械式ピストン154が、当該受圧部152において、コモンレール圧を有する燃料により押圧されて移動し、受圧室158のコモンレール圧、例えば、25〜100MPa程度の圧力を有する燃料を、さらに比較的小面積を有する加圧部156によって加圧し、150MPa〜300MPaの範囲内の値とすることが好ましい。
【0035】
また、機械式ピストン154を加圧するために、コモンレール圧を有する燃料を大量に使用するが、加圧後には、電磁弁170を介して、高圧ポンプの燃料入り口に還流させることが好ましい。すなわち、図10に示すように、コモンレール圧を有する燃料の大部分は、機械式ピストン154を加圧した後、例えば、ライン121を介して、高圧ポンプ103の燃料入り口に還流され、再び、機械式ピストン154を加圧するために使用することが好ましい。
一方、加圧部156によって増圧された燃料は、図11に示すように、燃料噴射装置(燃料噴射ノズル)163に送液され、効率的に噴射されて燃焼されるとともに、燃料噴射装置の電磁弁180から流出した燃料については、燃料タンク102に、ライン123を介して還流することになる。
【0036】
したがって、このような増圧装置を設けることにより、コモンレールを過度に大型化することなく、かつ、任意時期に、コモンレール圧を有する燃料によって効果的に機械式ピストンを押圧することができる。
すなわち、図12に模式図を示すように、増圧方式の蓄圧式燃料噴射装置によれば、機械式ピストンに、比較的大面積の受圧部と、比較的小面積の加圧部と、を備えるとともに、機械式ピストンのストローク量を考慮することにより、加圧損失を少なくしつつ、コモンレール圧を有する燃料を、所望値に効率的に増圧することが可能である。
より具体的には、コモンレールからの燃料(圧力:p1、体積:V1、仕事量:W1)を、比較的大面積を有する受圧部により受け、比較的小面積を有する加圧部を備えた機械式ピストンにより、より高圧の燃料(圧力:p2、体積:V2、仕事量:W2)とすることができる。
【0037】
(4)燃料噴射装置
▲1▼基本的構造
また、燃料噴射装置(インジェクタ)110の形態は特に制限されるものでは無いが、例えば、図11に例示されるように、ニードル弁体162が着座する着座面164と、この着座面164の弁体当接部位よりも下流側に形成される噴孔165と、を有するノズルボディ163を備え、ニードル弁体162のリフト時に着座面164の上流側から供給される燃料を噴孔165へ導く構成であることが好ましい。
また、このような燃料噴射ノズル166は、スプリング161等によってニードル弁体162を着座面164に向かって常時付勢しておき、ニードル弁体162をソレノイド180の通電/非通電の切り替えによって開閉する電磁弁型であることが好ましい。
【0038】
▲2▼噴射タイミングチャート
また、高圧燃料の噴射タイミングチャートに関し、図13に例示するように、実線Aで示されるような、二段階の噴射状態を有する燃料噴射チャートを示すことが好ましい。
この理由は、コモンレール圧と、増圧装置(増圧ピストン)における増圧の組み合わせにより、かかる二段階の噴射タイミングチャートを達成することができ、それによって燃料の燃焼効率を高めるとともに、排気ガス浄化させることができるためである。
また、本発明によれば、コモンレール圧と、増圧装置(増圧ピストン)における増圧タイミングの組み合わせにより、図13中、点線Bで示されるような燃料噴射チャートを示すことも好ましい。
なお、増圧装置(増圧ピストン)を使用しない場合には、すなわち従来の噴射タイミングチャートは、図13中、点線Cで示されるように、低噴射量の一段階の噴射タイミングチャートとなる。
【0039】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、図14(a)〜(c)に例示されるように、ローラ29およびローラボディ28を含むタペット構造体6であって、ローラボディ28に、潤滑油または潤滑用燃料を通過させるための通過孔30bを、当該ローラボディ28の上面部から下方側に貫通するように設けるとともに、当該通過孔30bの下方側の開口部を含む箇所に、潤滑油または潤滑用燃料を通過させるための導通路35を設けたタペット構造体6である。
以下、タペット構造体6の基本的構造と、通過孔30bおよび導通路35を有するローラボディ28とについて、適宜図面を参照しながら、具体的に説明する。
【0040】
1.基本的構造
タペット構造体6は、図14(a)〜(c)に示すように、基本的に、シェル27と、ローラボディ28と、ローラ29とから構成されており、図1に示すようなカムシャフト3およびそれに連なるカム60の回転運動によって、昇降するように構成されていることが好ましい。なお、図15および図16に、シェル27およびスプリングシート10を含むタペット構造体6の変形例、図17および図18に、シェル27を含むタペット構造体6の変形例を示すが、それぞれ好適に使用することができる。
【0041】
ここで、シェル27は、上下方向に開口し、図3に示すポンプハウジング52の円柱空間92b、92cの周面に適合する外周面を有する円筒体によって形成されていることが好ましい。また、かかるシェル27の周壁上部には、案内ピンが挿通するための開口部(スリット部)27aが設けられており、シェル27の軸線方向に延在する貫通孔として形成してあることが好ましい。この理由は、タペット構造体6が昇降時に、案内ピンと開口部27aとが協働して、当該タペット構造体6の動作方向がずれないように、円柱空間92b、92cの軸線に沿って昇降できるためである。
また、シェル27の内周面には、ローラボディ28の上方移動を規制するための第1の段部27bを設けてあることが好ましい。また、シェル27の内周面には、スプリングシート26の径方向移動を規制するための第2の段部27cが一体に設けられていることが好ましい。この理由は、ローラボディ28にスプリングシート26の径方向移動を規制する機能をもたせる必要がなくなり、ローラボディ28の形状を簡単な形状とすることができるためである。
【0042】
一方、ローラ29は、図14(a)に示すように、ピン部29bおよびローラ部29aが一体化された構成であることが好ましい。この理由は、ピン部(ローラピン)とローラ部(ローラ)とを別々の部品として組み合わせて構成する場合と比較して、ローラボディ全体で、ローラからの過重を受けることができ、より高い過重に耐えることができるためである。また、ローラピンとローラとの間で生じていた抵抗を考慮する必要がなくなり、ローラをより高速で回転させることが可能になるためである。さらに、ローラ内に、ローラピンを挿入する穴を設ける必要がなくなり、強度を向上させることができるためである。
また、ローラ29は、表面全体に炭素処理、例えば、カーボンコーティング皮膜が施されているローラ受け30aに対して側方から挿入して、回転自在に支承されていることが好ましい。そして、ローラ29は、カムシャフト3に連通したカム60の回転力を受けるように構成されている。この理由は、ローラ受け30aに施す炭素処理によって、ローラ29と、ローラ受け30aとの間の摺動状態を制御することができ、それにより、かかるローラ29を介して、カム60の回転力を、ローラボディ28の一部であるローラ受け30aに伝達し、ひいては、効率的にプランジャの往復運動に変換することができるためである。
したがって、このように構成されたタペット構造体6であれば、カムシャフト3に連通するカム60の回転に対応して、繰返し、かつ長期間にわたって高速で往復動することができる。
【0043】
2.ローラボディ
(1)基本的構成
ローラボディ28は、図14(a)〜(c)に示すように、ボディ本体30を有し、シェル27内に装着されているとともに、全体が軸受鋼からなる平面円形状のブロック体によって形成してあることが好ましい。なお、図19〜図20に、ローラボディ28の変形例を示すが、それぞれ好適に使用することができる。
また、図14(a)に示すように、ボディ本体30には、ローラ29の外周面に適合する内周面を有するローラ受け30aが設けられている。そして、図19(c)に示すように、ローラ受け30aおよびローラ29の直径や幅等を考慮して、ローラ受け30aの側方からローラ29が挿入できるとともに、当該ローラ29をローラ受け30aが回転自在に支承していることが好ましい。
また、ボディ本体30の上面中央部には、プランジャ54に対する接触部30cが一体に突設されていることが好ましい。そして、このボディ本体30の周縁部には、スプリングシート26を受けるシート受部30dが一体的に突設されていることが好ましい。
【0044】
(2)通過孔
▲1▼数および形状
ローラボディに設ける通過孔の数や形状は、特に制限されるものではないが、例えば、円形の通過孔を、1〜10個の範囲で設けることが好ましい。
この理由は、かかる通過孔の数がたとえ1個であっても、大きさや配置を考慮することにより、スプリング側の潤滑油または潤滑用燃料を、カム側に効率的に透過させることができるためである。一方、かかる通過孔の数が10個を超えると、ローラボディにおける配置が困難になったり、形成が困難になったりする場合があるためである。
したがって、通過孔の数を2〜8個の範囲内の値とすることがより好ましく、2〜6個の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、ローラボディの上方に位置するスプリングシートに対しても通過孔を設ける場合には、ローラボディの通過孔の数を、スプリングシートの通過孔の数と等しくするか、あるいは少なくすることが好ましい。
なお、通過孔の形状は、実質的に円形であることが好ましいが、その他、楕円、四角形、異形、あるいは溝状とすることが好ましい。
【0045】
▲2▼配置
また、ローラボディ28に設ける通過孔30bを、図14(b)および図19(a)〜(c)に例示するように、ローラボディの周囲に、放射状に配置することが好ましい。なお、図14(b)に示す例では、二つの通過孔30bが、中央の接触部30cに対して対称位置に配置されている。
この理由は、このように構成することにより、タペット構造体の組み付け位相にかかわらず、スプリングシートとの間で、連通部を容易に形成することができるためである。したがって、大量の燃料であっても、連通部の一部としての通過孔30bを、より迅速に通過させることができる。
また、このような通過孔の配置であれば、通過孔を形成することについても容易になるためである。さらに、通過孔をこのように配置することにより、ローラボディの機械的強度の低下も少なくなるためである。
また、通過孔30bの配置に関して、図14(b)および図19(c)に例示するように、当該通過孔30bを、ローラボディ28の上面部から非ローラ部、例えば、側面部に対して、斜めに貫通するように設けることが好ましい。
この理由は、このような通過孔30bの配置であれば、ローラの動作によって閉じられることがなくなるとともに、後に説明する導通路35を容易かつ確実に形成することができ、カムおよびプランジャを高速駆動させた場合であっても、かかる通過孔を介して、潤滑油または潤滑用燃料が自由にスプリング保持室と、カム室との間を自由に行き来することができる。
【0046】
▲3▼直径
また、図14(b)および図19(a)〜(c)に例示する通過孔30bの直径は、単位時間当たりの燃料通過量等を考慮して定めることが好ましいが、通過孔30bが実質的に円形の場合、その直径を0.5〜12mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる通過孔の直径が0.5mm未満の値になると、潤滑油または潤滑用燃料を自由に行き来させることが困難になり、スプリング保持室の圧力が上昇する場合があるためである。したがって、かかる燃料供給用ポンプに連結されたピストン増圧装置(増圧ピストン)を併用した蓄圧式燃料噴射装置において、例えば、50MPa以上の高圧条件を達成することが困難になるためである。
一方、かかる通過孔の直径が12mmを超えると、ローラボディの機械的強度が低下したり、耐久性が低下したりする場合があるためである。
したがって、かかる通過孔の直径を1〜10mmの範囲内の値とすることがより好ましく、2〜6mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0047】
ここで、図21を参照して、通過孔の直径の影響を説明する。かかる図21は、カム角度(°)と、スプリング保持室の圧力との関係に及ぼすローラボディの通過孔の直径の影響をモデル的に示す図であって、横軸にカム角度(°)を採って示してあり、縦軸にスプリング保持室の圧力(相対値)を採って示してある。また、図21中、ラインAが、ローラボディにおける通過孔の直径が比較的小さい場合であって、ラインBが、ローラボディにおける通過孔の直径が比較的大きい場合である。この図21から容易に理解できるように、カム角度によって、スプリング保持室の圧力は、増加、減少を繰り返すが、その最大値および最小値の差が、ラインAのほうが大きく、ラインBでは小さくなっている。すなわち、ローラボディにおける通過孔の直径を比較的大きくすることにより、カムおよびプランジャを高速駆動させた場合であっても、かかる通過孔を介して、潤滑油または潤滑用燃料の行き来が自由になって、スプリング保持室の圧力を過度に高めるおそれが少なくなる。
【0048】
(3)導通路
▲1▼配置1
本発明のタペット構造体は、図19(a)〜(c)に示すように、ローラボディ28に設けられた通過孔30bの下方側の開口部34を含む箇所に、導通路35を設けることを特徴とする。
この理由は、このように導通路を配置することにより、通過孔の開口部が、シェルやローラによって塞がれることがなく、潤滑油または潤滑用燃料を通過させるための連通孔を容易に形成することができるためである。したがって、スプリング保持室と、カム室との間で、潤滑油または潤滑用燃料をスムーズに移動させることができる。
なお、導通路を容易かつ確実に形成することができることから、通過孔の下方側の開口部をローラボディの側面部に設けることが好ましい。
【0049】
▲2▼配置2
また、図19(a)に示すように、導通路35を複数設けるとともに、それぞれローラ受けの両側に、左右対称に設けることが好ましい。
この理由は、このように導通路を配置することにより、潤滑油または潤滑用燃料を、ローラボディにおいてバランスよく通過させることができ、潤滑油または潤滑用燃料が、スプリング保持室と、カム室との間で、潤滑油または潤滑用燃料をスムーズに移動させることができるようになる。
【0050】
▲3▼形状
また、図19(a)〜(c)に示すように、導通路の形状が、実質的に窪み状であることが好ましい。
この理由は、導通路がこのような形状であれば、容易に形成することができるためである。また、導通路がこのような形状であれば、ローラボディに設けられた通過孔と一体となって、潤滑油または潤滑用燃料を通過させるための連通孔を容易かつ確実に形成することができるためである。したがって、スプリング保持室と、カム室との間で、潤滑油または潤滑用燃料をスムーズに移動させることができる。
【0051】
▲4▼深さ
また、図14(a)および図19(a)〜(c)に例示するような導通路35の場合においては、ローラボディの外周面から、開口部の中心軸方向への深さは、単位時間当たりの燃料通過量等を考慮して定めることが好ましいが、例えば、その深さを0.5〜5mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる導通路の深さが0.5mm未満の値になると、潤滑油または潤滑用燃料を自由に行き来させることが困難になる場合があるためである。したがって、かかる燃料供給用ポンプに連結されたピストン増圧装置(増圧ピストン)を併用した蓄圧式燃料噴射装置において、例えば、50MPa以上の高圧条件を達成することが困難になるためである。
一方、かかる導通路の深さが5mmを超えると、ローラボディの機械的強度が低下したり、耐久性が低下したりする場合があるためである。
したがって、かかる導通路の深さを1〜4.5mmの範囲内の値とすることがより好ましく、2〜4mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0052】
▲5▼幅
また、図14(a)および図19(a)〜(c)に例示するような導通路35の場合においては、導通路の幅、すなわち、導通路を形成する、ローラボディの切断面の水平方向の幅を10〜40mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる導通路の幅が10mm未満の値となると、潤滑油または潤滑用燃料を自由に行き来させることが困難になる場合があるためである。したがって、かかる燃料供給用ポンプに連結されたピストン増圧装置(増圧ピストン)を併用した蓄圧式燃料噴射装置において、例えば、50MPa以上の高圧条件を達成することが困難になるためである。
一方、かかる導通路の幅が40mmを越えると、ローラボディの機械的強度が低下したり、耐久性が低下したりする場合があるためである。
したがって、導通路の幅を、12〜38mmの範囲内の値とすることがより好ましく、15〜35mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の燃料供給用ポンプによれば、所定の連通部を備えるとともに、ローラボディに、特定の導通路を設けることにより、スプリング保持室とカム室との間を、潤滑油または潤滑用燃料を迅速かつ円滑に通過させることができるようになり、カムおよびプランジャの高速駆動が阻害されることが少なくなった。
したがって、本発明の燃料供給用ポンプは、増圧方式の蓄圧式燃料噴射装置に使用される燃料供給用ポンプとして好適に使用することができる。
【0054】
また、本発明のタペット構造体によれば、ローラボディに、通過孔および導通路を設けることにより、プランジャの高速駆動に起因した圧力脈動が減少するとともに、大量の潤滑油または潤滑用燃料であっても、迅速かつ円滑に通過させることができるになった。
したがって、本発明のタペット構造体は、コモンレールとともに、ピストンを利用して大流量の燃料を増圧する蓄圧式燃料噴射装置の燃料供給用ポンプに使用された場合であっても、ローラボディの通過孔を介して、大量の潤滑油または潤滑用燃料がスプリング側と、カム側との間を自由に行き来することができるため、これらの潤滑油または潤滑用燃料がカムおよびプランジャの動作を阻害することなく、カムおよびプランジャを容易に高速駆動させることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料供給用ポンプにおける部分切り欠きを有する側面図である。
【図2】本発明の燃料供給用ポンプにおける断面図である。
【図3】(a)および(b)は、それぞれハウジングの斜視図および断面図である。
【図4】(a)および(b)は、それぞれプランジャの斜視図および側面図である。
【図5】燃料吸入用バルブおよび燃料吐出用バルブを説明するために供する図である。
【図6】(a)〜(c)は、それぞれスプリングシートの斜視図、平面図および断面図である。
【図7】(a)〜(c)は、それぞれプランジャの取付け構造を説明するために供する図である。
【図8】(a)および(b)は、燃料吸入用バルブを説明するために供する図である。
【図9】燃料吸入用バルブの断面図である。
【図10】増圧方式の蓄圧式燃料噴射装置のシステムを説明するために供する図である。
【図11】増圧方式の蓄圧式燃料噴射装置の構造を説明するために供する図である。
【図12】増圧方式の蓄圧式燃料噴射装置による燃料の増圧方法を概念的に示す図である。
【図13】高圧燃料の噴射タイミングチャートを説明するために供する図である。
【図14】(a)〜(c)は、タペット構造体を説明するために供する図である。
【図15】別のタペット構造体を説明するために供する図である(その1)。
【図16】別のタペット構造体を説明するために供する図である(その2)。
【図17】別のタペット構造体を説明するために供する図である(その3)。
【図18】別のタペット構造体を説明するために供する図である(その4)。
【図19】(a)〜(c)は、それぞれローラボディの斜視図、立面図および断面図である。
【図20】(a)〜(b)は、別のローラボディを説明するために供する図である。
【図21】ローラボディの通過孔の直径と、スプリング保持室の圧力との関係をモデル的に示す図である。
【図22】従来の蓄圧式燃料噴射装置の構造を説明するために供する図である。
【図23】従来の別の蓄圧式燃料噴射装置の構造を説明するために供する図である。
【符号の説明】
3: カムシャフト
6: タペット構造体
10:スプリングシート
12:スプリング保持部
14:プランジャ取付け部
15:開口部
15a:中心孔
15b:開口部
16:通過孔(連通部)
17:段差
27:シェル
28:ローラボディ
29:ローラ
30b:通過孔(連通部)
33:凹部
34:下方側の開口部
35:導通路
52:ポンプハウジング
53:バレル(シリンダ)
54:プランジャ
60:カム
73:燃料供給バルブ
74:燃料圧縮室
100:増圧方式の蓄圧式燃料噴射装置
102:燃料タンク
104:フィードポンプ(低圧ポンプ)
103:燃料供給用ポンプ(高圧ポンプ)
106:コモンレール
107:高圧通路
108:ピストン増圧装置(増圧ピストン)
110:インジェクタ
120:比例制御弁
152:受圧部
154:機械式ピストン
155:シリンダ
156:加圧部
158:受圧室
166:燃料噴射ノズル
Claims (8)
- ローラおよびローラボディを含むタペット構造体を備えた燃料供給用ポンプにおいて、
プランジャを引き下げる際に用いられるスプリングを保持するためのスプリング保持室と、プランジャを昇降させるためのカムを収容するためのカム室との間に、潤滑油または潤滑用燃料を通過させるため連通部を設け、
前記ローラボディに、前記連通部の一部として、潤滑油または潤滑用燃料を通過させるための通過孔を設けるとともに、
当該通過孔の下方側の開口部を含む箇所に、潤滑油または潤滑用燃料を通過させるための導通路を設けることを特徴とする燃料供給用ポンプ。 - 前記開口部を前記ローラボディの側面に設けるとともに、当該ローラボディの側面に前記導通路を設けることを特徴とする請求項1に記載の燃料供給用ポンプ。
- 前記導通路の形状が、実質的に窪み状であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料供給用ポンプ。
- 前記導通路を複数設けるとともに、前記ローラ受けの両側に配置することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料供給用ポンプ。
- 前記通過孔の直径を0.5〜12mmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃料供給用ポンプ。
- 単位時間当たりの流量が500〜1,500リットル/時間である燃料を、50MPa以上の値に加圧するための増圧方式の蓄圧式燃料噴射装置に用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の燃料供給用ポンプ。
- ローラおよびローラボディを含むタペット構造体において、前記ローラボディに、潤滑油または潤滑用燃料を通過させるための通過孔を、当該ローラボディの上面部から下方側に貫通するように設けるとともに、当該通過孔の下方側の開口部を含む箇所に、潤滑油または潤滑用燃料を通過させるための導通路を設けることを特徴とするタペット構造体。
- 前記通過孔を、前記ローラボディの上面部から、非ローラ部に対して貫通するように設けることを特徴とする請求項7に記載のタペット構造体。
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