JP2004323703A - 不飽和カルボン酸系重合体、その架橋物及びそれからなる堆肥化助剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い生分解性を有する新規な不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物、及びそれからなる高い生分解性と吸水性を兼ね備えた堆肥化助剤を提供すること。
【解決手段】本発明は、特定構造の不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物、及びそれからなる堆肥化助剤である。不飽和カルボン酸系重合体としては、ポリアクリル酸系重合体、またはポリアクリル酸系重合体架橋物が好ましい。
本発明により提供される不飽和カルボン酸系重合体及びその架橋物は、環境中に放出されても速やかに生分解されるため、家畜糞尿などの堆肥化助剤として用いた場合でも、耕地に残留し蓄積して悪影響を及ぼすことがない。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明は、特定構造の不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物、及びそれからなる堆肥化助剤である。不飽和カルボン酸系重合体としては、ポリアクリル酸系重合体、またはポリアクリル酸系重合体架橋物が好ましい。
本発明により提供される不飽和カルボン酸系重合体及びその架橋物は、環境中に放出されても速やかに生分解されるため、家畜糞尿などの堆肥化助剤として用いた場合でも、耕地に残留し蓄積して悪影響を及ぼすことがない。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物およびそれからなる堆肥化助剤に関する。さらに詳しくは、高い生分解性と吸水性を有し、環境に悪影響を及ぼすおそれがなく、堆肥化助剤などとして、幅広く用いられる不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物、および該重合体またはその架橋物からなる堆肥化助剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アクリル酸、マレイン酸などを重合して得られる不飽和カルボン酸系重合体は、分散剤、凝集剤、洗剤用ビルダーなどの用途で広く用いられている。また、該重合体の架橋物は高吸水性を示すため、農園芸分野においては土壌改良剤や保水剤、土木建設分野では止水剤や掘削汚泥固化用組成物、日用品分野では紙おむつや生理用品、さらに工業分野では油水分離剤や各種のセンサーなど、様々な分野で利用されている。
これらの不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物からなる資材や物品は、使用後はそのまま自然界に放出されること多く、焼却処理される場合にも、排煙による環境への悪影響が大きいほか、アルカリ性の焼却灰が生成して焼却炉を傷めたり、土中に埋設処理される場合にも、そのまま土壌の中に残留して支障をきたすなど、いずれの廃棄処理法によっても自然環境に悪影響を及ぼすという問題があった。
【0003】
一方、家畜糞尿などの堆肥化(コンポスト化)においては、発酵促進のために含水量の調節が不可欠であり、従来からおが粉、稲ワラなどが用いられてきた。おが粉、稲ワラなど用いる場合は環境に対する悪影響の懸念はないが、吸水能力に劣るため、通常は家畜糞尿などに対して体積で2倍以上を用いる必要があり、広大な堆肥化処理施設が必要となるほか、生成した堆肥量も膨大なものとなるという問題点があった。
また、家畜糞尿と高吸水性樹脂を混合して発酵堆肥を製造することは公知である(例えば、特許文献1参照)。しかし、この吸水性樹脂は生分解性がないため、環境への悪影響が懸念される。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−208362号公報
【0005】
このようなことから、廃棄処理に際して自然環境に悪影響を及ぼすことのない資材や物品の素材として、生分解性を有する高吸水性樹脂の開発への要望が高まっている。
本出願人は、生分解性を有する不飽和カルボン酸系重合体架橋物としてある程度の完成をみたものについて、すでに特許出願(WO 01/98376 A1)を行っているが、その生分解性のレベルについて更なる改良が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高い生分解性を有する新規な不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物およびそれからなる高い生分解性と吸水性を兼ね備えた堆肥化助剤を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の化学構造を有する不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物が、前記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は下記のとおりである。
(1)次の一般式〔I〕
【0009】
【化4】
【0010】
〔式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2 〜R5は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、Yは水素原子またはCOOR6(式中、R6は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、アンモニウム基またはアルカリ金属を示す。)を示し、X1およびX2は酸素原子またはNR7(R7は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を示す。)を示し、R2 〜R4、X1およびX2は互いに同一でも異なっていてもよく、nは0〜6の整数である。〕
で表される繰り返し単位を含有する不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物。
【0011】
(2)次の一般式〔I〕
【0012】
【化5】
【0013】
〔式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2 〜R5は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、Yは水素原子またはCOOR6(式中、R6は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、アンモニウム基またはアルカリ金属を示す。)を示し、X1およびX2は酸素原子またはNR7(R7は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を示す。)を示し、R2 〜R4、X1およびX2は互いに同一でも異なっていてもよく、nは0〜6の整数である。〕
で表される繰り返し単位、および次の一般式〔II〕
【0014】
【化6】
【0015】
〔式中、R1 、R6およびYは一般式〔I〕と同一のものを示す。〕で表される繰り返し単位から構成されたものである不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物。
【0016】
(3)前記一般式〔I〕と前記一般式〔II〕の比率が、0.1〜30:99.9〜70である(2)に記載の不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物。
【0017】
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物からなることを特徴とする堆肥化助剤。
【0018】
【発明の実施の形態】
本出願の第1発明である不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物は、前記一般式〔I〕で表される不飽和カルボン酸系の繰り返し単位を含有する。
この重合体またはその架橋物は、次の一般式〔III〕で表される化合物を重合させることにより、またその反応物をさらに架橋反応に付して架橋化することによって製造することができる。
【0019】
【化7】
【0020】
〔式中、R1、R2 〜R5、Y、X1およびX2は一般式〔I〕と同一のものを示し、R2 〜R4、X1およびX2は互いに同一でも異なっていてもよく、nは0〜6の整数である。〕
【0021】
一般式〔III〕で表されるアミド化合物の具体例としては、例えば、N−(2,4,5−トリメチル−3,6−ジオキソ−シクロヘキサ−1,4−ジエニル)アクリルアミド、N−[(2,4,5−トリメチル−3,6−ジオキソ−シクロヘキサ−1,4−ジエニル)メチル]アクリルアミド、N−[2−(2,4,5−トリメチル−3,6−ジオキソ−シクロヘキサ−1,4−ジエニル)エチル]アクリルアミド、N−[3−(2,4,5−トリメチル−3,6−ジオキソ−シクロヘキサ−1,4−ジエニル)プロピル]アクリルアミド、N−(2,4,5−トリエチル−3,6−ジオキソ−シクロヘキサ−1,4−ジエニル)アクリルアミド、N−(2,4,5−トリメチル−3,6−ジアゾ−シクロヘキサ−1,4−ジエニル)アクリルアミドなどを挙げることができる。これらのアミド化合物は1種単独で用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0022】
前記アミド化合物の重合条件、重合体の架橋反応の条件、それらの反応時に使用するラジカル発生剤および架橋剤については、以下に示す本出願の第2発明である不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物の製造方法Iと同様のものを適用することができる。
【0023】
本出願の第2発明である不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物は、前記一般式〔I〕および前記一般式〔II〕で表される繰り返し単位から構成されたものである。第2発明の重合体またはその架橋物は、特に生分解性、吸水性、分散性および凝集性などに優れているため、堆肥化助剤のみならず、各種の分散剤、凝集剤、洗剤用ビルダーなどにおいて特に有用性が高く好ましい。
第2発明の重合体またはその架橋物は、具体的には、以下に示す製造方法I(共重合法)、製造方法II(縮合法)、または製造方法III(無水物法)によって効率よく製造することができる。
【0024】
製造方法I(共重合法)
この製造方法においては、下記の一般式〔IV〕
【0025】
【化8】
【0026】
〔式中、R1 、R6およびYは一般式〔I〕と同一のものを示す。〕で表される不飽和カルボン酸化合物をモノマーAとし、前記一般式〔III〕で表されるアミド化合物をモノマーBとして、共重合反応させることにより、またこの反応物をさらに架橋反応に付して架橋化することによって製造することができる。
【0027】
この不飽和カルボン酸化合物(モノマーA)の具体例としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸、メタクリル酸ナトリウム、またはマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸若しくはそれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩を挙げることができる。これらの化合物は1種単独で用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
また、本発明の目的が損なわれない範囲で、他の共重合成分として、例えば、無水マレイン酸、アクロレイン、ビニルアセテート、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルなどを適宜併用することができる。
モノマーBの具体例としては、前記一般式〔III〕のアミド化合物の具体例として示したものを用いることができる。これらのアミド化合物は1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。このアミド化合物は、一般式〔I〕および一般式〔II〕で表される繰り返し単位が目的とする範囲になるような割合で使用する。
【0028】
本発明の不飽和カルボン酸系重合体架橋物を製造する場合は、前記一般式〔IV〕で表される不飽和カルボン酸化合物と前記一般式〔III〕で表されるアミド化合物の混合物に、ラジカル開始剤を加えて共重合し、得られた共重合体に架橋剤を加えて架橋化してもよい。また、前記一般式〔IV〕で表される不飽和カルボン酸化合物と前記一般式〔III〕で表されるアミド化合物の混合物に、ラジカル開始剤とともに架橋剤を加えて重合と同時に架橋化することによっても製造することができる。
また、この架橋反応を放射線によって行う場合は、先に共重合反応をさせた後に、放射線架橋を行うようにすればよい。
【0029】
重合反応に適したラジカル開始剤としては、通常のラジカル重合において用いられるラジカル開始剤を利用できる。例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩などの塩酸塩、過酸化ベンゾイル、メチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、テトラメチルチウラムジスルフィドなどを用いることができる。この他にも、過酸化水素と還元剤の組合せからなるラジカル開始剤を用いることができる。還元剤としては、二価の鉄イオンや銅イオン、亜鉛イオン、コバルトイオン、バナジウムイオンなどの金属イオン、アスコルビン酸、還元糖などが用いられる。これらラジカル開始剤の使用割合は、ラジカル開始剤の種類や目的とする重合体の分子量により異なるが、通常、原料全体に対して0.001〜10モル%、好ましくは0.005〜5モル%、更に好ましくは0.01〜1モル%である。
【0030】
また、架橋剤としては、1分子中にカルボキシル基と反応し得る2以上の官能基を持つ水溶性化合物、または前記モノマーA、Bと共重合し得るオレフィン性の官能基を2以上持つ化合物が好適に用いられる。このうち、1分子中にカルボキシル基と反応し得る2つ以上の官能基を持つ水溶性化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、ポリビニルアルコール、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、グルコース、マンニット、マンニタン、エチレンジアミン、ジアミノブタンなどが好適に用いられる。また、前記モノマーA、Bと共重合し得るオレフィン性の官能基を2以上持つ化合物としては、例えば、N,N−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートなどが好適に用いられる。
【0031】
上記架橋剤の使用割合については、ここで用いる原料全体に対して、0.001〜10モル%、好ましくは0.01〜1モル%である。これは、この架橋剤の使用割合が0.001モル%未満であると、得られる不飽和カルボン酸系重合体架橋物の架橋度が十分に向上しないことがあり、またその使用割合が10モル%を超えると、得られる不飽和カルボン酸系重合体架橋物の架橋度が高くなり過ぎて、吸水性の低下を招くようになることがあるからである。
【0032】
不飽和カルボン酸系重合体又はその架橋物を製造する場合の反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、水などを使用することができる。反応温度は、0〜100℃、好ましくは40〜90℃の範囲で適宜選択することができる。また、重合時間については、原料化合物の種類や重合温度により左右されるが、通常、15分〜48時間、好ましくは60分〜8時間とするのがよい。
【0033】
製造方法 II (縮合法)
この製造方法においては、前記一般式〔II〕で表される繰り返し単位を含有する不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物に対して、次の一般式〔V〕
【0034】
【化9】
【0035】
〔式中、R2 〜R5は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、X1およびX2は酸素原子またはNR7(R7は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を示す。)を示し、R2 〜R4、X1およびX2は互いに同一でも異なっていてもよく、nは0〜6の整数である。〕
で表されるアミノ化合物を脱水縮合により反応させ、前記一般式〔I〕および前記一般式〔II〕で表される繰り返し単位から構成される不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物を得ることができる。
また、架橋物を得るためには、一般式〔V〕で表されるアミノ化合物を不飽和カルボン酸系重合体に導入した後に架橋してもよい。
【0036】
このようなアミノ化合物としては、例えば、アミノトリメチル[1,4]ベンゾキノン、アミノメチル−トリメチル[1,4]ベンゾキノン、2−アミノエチル−トリメチル[1,4]ベンゾキノン、アミノトリエチル[1,4]ベンゾキノン、アミノメチル−トリエチル[1,4]ベンゾキノン、2−アミノエチル−トリエチル[1,4]ベンゾキノンなどが挙げられる。これらのアミノ化合物は1種単独で用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0037】
縮合反応によってアミノ化合物を導入する際には、触媒は必ずしも必要としないが、硫酸や、塩酸、リン酸、硝酸、p−トルエンスルホン酸などの触媒を使用すると、この縮合反応をより促進することができる。
また、この縮合反応は無溶媒で実施してもよく、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、スルホラン、水などを溶媒として用いてもよい。そして、この縮合反応の温度を100〜200℃、好ましくは120〜180℃とし、反応時間を0.5〜12時間とするのが好ましい。
【0038】
また、この縮合反応によりアミノ化合物を導入する際、脱水剤を使用して効率よく反応を行うことができる。この脱水剤としては、例えば、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸フェニルジクロリド、リン酸フェニルジクロリド、リン酸トリプロピル、オキシ塩化リン、トリフェニルホスフィン、塩化チオニル、テトラクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン、ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、1−アシルイミダゾリド、トリフェニルホスフィンと四塩化炭素の混合物、トリフェニルホスフィンとブロモトリクロロメタンの混合物などが好適なものとして挙げられる。そして、例えば、亜リン酸トリフェニルを用いる場合には、縮合反応の温度を50〜150℃、好ましくは70〜130℃とし、反応時間を0.5〜5時間とすればよい。
【0039】
この製造方法IIにおいて用いる架橋剤としては、前記製造方法Iで用いたものと同様のものを用いることができる。
また、架橋剤の使用割合、架橋反応を行う場合の反応温度、反応時間についても、前記製造方法Iと同様である。
【0040】
製造方法 III (無水物法)
この製造方法においては、次の一般式〔VI〕
【0041】
【化10】
【0042】
〔式中、R1、R6およびYは一般式〔I〕と同一のものを示す。〕
で表されるポリマー無水物またはその架橋体に対して、前記一般式〔V〕で表されるアミノ化合物を開環付加させることにより、一般式〔I〕および一般式〔II〕で表される繰り返し単位から構成される不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物を得ることができる。また、架橋物を得るためには、一般式〔V〕で表されるアミノ化合物を一般式〔VI〕で表されるポリマー無水物に開環付加させた後に架橋してもよい。
【0043】
一般式〔VI〕で表されるポリマー無水物またはその架橋体を脱水反応によって製造する場合は、該重合体または架橋物を無溶媒で或いはキシレン、トルエン、ウンデカンなどの水と共沸できる高沸点溶媒中で、常圧または減圧下で加熱すればよい。加熱温度は110〜200℃、好ましくは140〜160℃である。加熱時間は、加熱温度や圧力によって変わるが、一般的に30分〜12時間、好ましくは60分〜8時間である。この脱水反応によって重合体または架橋物を無水化するが、無水化率は5〜100%、好ましくは30〜60%である。
【0044】
前記一般式〔V〕で表されるアミノ化合物を開環付加する場合は、そのアミノ化合物を前記一般式〔VI〕で表されるポリマー無水物またはその架橋物に対して、0.1〜50モル%、好ましくは1〜20モル%の割合で使用する。反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、水などを使用することができる。反応温度は、10〜100℃、好ましくは40〜80℃の範囲で適宜選択することができる。反応時間については、化合物の種類や反応温度により左右されるが、通常、15分〜12時間、好ましくは60分〜6時間である。
【0045】
本出願の第2発明である不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物における基本的な構成は、前記一般式〔I〕と前記一般式〔II〕のモル比が、0.1〜30:99.9〜70、好ましくは0.5〜25:99.5〜75、さらに好ましくは1〜20:99〜80の範囲である不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物である。前記一般式〔I〕と前記一般式〔II〕のモル比が前記範囲にあると、高い生分解性と吸水性、分散性、凝集性などの不飽和カルボン酸系重合体の本来の性能を兼ね備えることができることから特に好ましい。前記一般式〔I〕のモル比の割合が0.1未満であると、その不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物の生分解性が低下することがあり、また、30を超えると、その不飽和カルボン酸系重合体架橋物の分散性、凝集性、吸水性などの低下を招くことがある。
【0046】
上記の方法によって得られる不飽和カルボン酸系重合体の分子量は、用途により好適な範囲が異なるが、通常は10,000〜5,000,000のものが用いられる。架橋体の場合には、架橋化した状態においてはその分子量の測定が困難であるが、その架橋構造の結合様式がエステル結合などの加水分解の可能な構造を有するものでは、例えば水酸化ナトリウムなどにより加水分解することによって、その分子量の測定が可能になる。そして、このような加水分解物についての重量平均分子量が、10,000〜5,000,000、好ましくは50,000〜4,000,000であるものが、この不飽和カルボン酸系重合体架橋物を素材とする用途分野、特に成形品の素材とする場合に実用性の高いものである。
【0047】
本発明に係る不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物の乾燥処理は、200℃以下の温度で実施するのが好ましく、凍結乾燥法を採用することもできる。また、造粒する場合、造粒方法としては特に制限はなく、使用目的に応じて、例えば破砕造粒法、押出し造粒法、あるいは含水ゲル状態で破砕する方法など、従来公知の方法の中から適宜選択することができる。
【0048】
本発明の不飽和カルボン酸系重合体は、高い生分解性を有することから、各種の分散剤、凝集剤、洗剤用ビルダーなどとして好適に用いられる。また、本発明の架橋物は、高い生分解性と吸水性を有することから、農園芸分野においては土壌改良剤や保水剤、土木建設分野では止水剤や掘削汚泥固化用組成物、日用品分野では紙おむつや生理用品、さらに工業分野では油水分離剤や各種のセンサーなどの幅広い産業分野における資材や物品の素材として有用性の高いものである。
【0049】
本発明の不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物を堆肥化助剤として堆肥原料に配合し使用すれば、堆肥原料に含まれる水分が吸収されて流動性がなくなり、堆肥原料をゲル化又は固化することができる。堆肥化助剤としての配合量は、堆肥原料に対して通常0.01〜30質量%、好ましくは0.1〜10質量%の範囲で選定される。
堆肥原料としては、動物の糞尿、生ゴミ又はこれらの混合物を用いることができる。動物の糞尿の例としては、人、牛、馬、豚、鶏などの糞尿が挙げられ、生ゴミの例としては、廃野菜、野菜クズ、残飯、比較的高水分の食品残渣、飲料残液などを用いることができる。
【0050】
【実施例】
つぎに、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない
実施例1
(1)試料1の調整
ステンレス製のバットにポリアクリル酸(重量平均分子量7.5万)250gをとり、これを減圧乾燥機に入れて真空ポンプで約1Torrに減圧し、温度約150℃で4時問加熱してポリアクリル酸の脱水・無水化処理を行った。得られたポリアクリル酸無水物の無水化率は43%であった。
このポリアクリル酸無水物94.7g、アミノトリメチル[1,4]ベンゾキノン3.3g、及びテトラヒドロフラン1Lをダルトンミキサー用反応釜に入れ、撹拌しながら温度60℃で3時間反応を行った。次いで、水酸化ナトリウム36.1gを水1Lに溶解した液を加えて中和した後、テトラヒドロフランを反応系から留去した。残った反応液をステンレス製バットに移し、送風乾燥機に入れて70℃で24時間乾燥させ、粉砕して試料1を得た。1H−NMR測定及び13C−NMR測定から、アミノトリメチル[1,4]ベンゾキノンの導入量はポリアクリル酸の全繰り返し単位に対して1.3モル%であることが確認できた。1H−NMR及び13C−NMRの測定結果のチャートを図1、2に示す。
1H−NMR測定および13C−NMR測定は、日本電子社製「JNM−ECA500装置」を用いて行った。
【0051】
(2)生分解性の評価
上記(2)で得られた試料1について、JIS K6953に準拠して、コンポスト化の条件下での生分解性試験を行い、生分解性を評価した。
即ち、含水率60%に調整した堆肥150gに試料1を5g混合したものと、試料1を添加しないブランクの堆肥を、それぞれ容量1Lのガラス製容器に入れ、二酸化炭素を含まない空気を30mL/分で通気し、温度58℃で28日間保存し、この保存期間中に発生した二酸化炭素の量を測定し、次の式によって生分解率(%)を求めた。その結果、生分解率は39%であった。
【0052】
【数1】
(CO2)T:試料を混合した堆肥から放出された二酸化炭素の総量(g)
(CO2)B:試料を混合していない堆肥から放出された二酸化炭素の総量(g)
(CO2)Th:試料が全て二酸化炭素になった場合に放出される二酸化炭素の理論量(g)
【0053】
実施例2
(1)試料2の調整
冷却管を装着した容量100mLの三つ口フラスコに、アクリル酸を10.0g、N−(2,4,5−トリメチル−3,6−ジオキソ−シクロヘキサ−1,4−ジエニル)アクリルアミドを0.94g、及び水16.2gを入れ溶解させた。ここに窒素ガスを吹き込み、溶存酸素を除去した後、重合開始剤の2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩を0.20g加え、80℃で4時間共重合反応を行った。室温まで冷却し、水酸化ナトリウムを3.89g加えて中和後、透析により精製し、凍結乾燥させて試料2を得た。1H−NMR測定及び13C−NMR測定から、アミノトリメチル[1,4]ベンゾキノンの導入量はポリアクリル酸の全繰り返し単位に対して3.1モル%であることが確認できた。1H−NMR及び13C−NMRの測定結果のチャートを図3、4に示す。
(2)生分解性の評価
実施例1(2)において試料1のかわりに上記(1)で得られた試料2を用いた以外は、同様にして生分解性の評価を行った。その結果、生分解率は46%であった。
【0054】
比較例1
実施例1(2)において試料1のかわりにポリアクリル酸ナトリウム(重量平均分子量7.5万)を用いた以外は、同様にして生分解性の評価を行った。その結果、生分解率(%)は0%であった。
【0055】
実施例3
(1)試料3の調整
ステンレス製のバットにポリアクリル酸(重量平均分子量300万)2.5kg、エチレングリコールジグリシジルエーテル(架橋剤)0.6g、及び水25kgを入れ溶解させた。これを送風乾燥機に入れて100℃で24時間乾燥させ、粉砕することにより、ポリアクリル酸架橋体の粉末を得た。
この粉末を減圧乾燥機に入れ、真空ポンプで約1Torrに減圧し、温度約150℃で4時問加熱してポリアクリル酸架橋体の脱水・無水化処理を行った。得られたポリアクリル酸架橋体無水物の無水化率は58%であった。
このポリアクリル酸架橋体無水物1.42kg、アミノトリメチル[1,4]べンゾキノン137.7g、及びテトラヒドロフラン15Lをダルトンミキサー用反応釜に入れ、撹拌しながら温度60℃で3時間反応させた。次いで、水酸化ナトリウム541.5gを水15Lに溶解した液を加えて中和した後、テトラヒドロフランを反応系から留去した。残った反応液をステンレス製バットに移し、送風乾燥機に入れて70℃で48時間乾燥させ、粉砕して試料3を得た。
(2)吸水倍率の測定
容量500mLのビーカーに、濃度0.9質量%の生理食塩水を入れ、ここに試料3を1g投入し、2時間静置して吸水させた。これを孔径75μmのふるいで濾別し、ふるい上に残った吸水ゲルの重量を測定し、次の式によって吸水倍率を求めた。その結果、吸水倍率は43g/gであった。
【0056】
【数2】
【0057】
(3)生分解性の評価
実施例1(2)において試料1のかわりに上記(1)で得られた試料3を用いた以外は、同様にして生分解性の評価を行った。その結果、生分解率は42%であった。
【0058】
実施例4
(1)試料4の調整
実施例3(1)において、アミノトリメチル[1,4]ベンゾキノンの使用量を68.9gにした以外は、同様にして試料4を得た。
(2)吸水倍率の測定
実施例3(2)において試料3のかわりに試料4を用いた以外は、同様にして吸水倍率の測定を行った。その結果、吸水倍率は39g/gであった。
(3)生分解性の評価
実施例3(3)において試料3のかわりに試料4を用いた以外は、同様にして生分解性の評価を行った。その結果、生分解率は37%であった。
【0059】
比較例2
(1)比較試料2の調整
実施例3(1)において、アミノトリメチル[1,4]ベンゾキノンを用いなかった以外は、同様にして比較試料2を得た。
(2)吸水倍率の測定
実施例3(2)において試料3のかわりに比較試料2を用いた以外は、同様にして吸水倍率の測定を行った。その結果、吸水倍率は42g/gであった。
(3)生分解性の評価
実施例3(3)において試料3のかわりに比較試料2を用いた以外は、同様にして生分解性の評価を行った。その結果、生分解率は0%であった。
比較例3
実施例3(2)において試料3のかわりにおが粉を用いた以外は、同様にして吸水倍率の測定を行った。その結果、吸水倍率は2g/gであった。
【0060】
実施例5(牛糞尿の堆肥化試験)
試料3、1kgを含水率85%のスラリー状牛糞尿100kgに混合し、これを山積みにして5〜15℃の外気中に放置した。放置直後に、▲1▼固化の有無について評価を行い、10日後に▲2▼糞尿混合物の内部温度、▲3▼測定時の外気温度を測定し、▲4▼微生物の増殖の有無について評価を行った。結果を第1表に示す。
実施例6(牛糞尿の堆肥化試験)
実施例5において、試料3のかわりに試料4を用いた以外は、全て同様にして実施した。結果を第1表に示す。
【0061】
比較例3(牛糞尿の堆肥化試験)
実施例5において、試料3を用いずに、糞尿スラリーのみで行った以外は、全て同様に実施した。結果を第1表に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
【発明の効果】
本発明により提供される不飽和カルボン酸系重合体及びその架橋物は、環境中に放出されても速やかに生分解されるため蓄積されることがない。
従って、これを家畜糞尿などの堆肥化助剤として用い、生成した堆肥を耕地に施用した場合でも、耕地に残留し蓄積して悪影響を及ぼすことがない。さらに、高い吸水性を有することから、堆肥化に要する面積が小さくなり生成した堆肥量も低減されるため、堆肥化効率および運搬効率を高めることができる。
また、本発明により提供される不飽和カルボン酸系重合体及びその架橋物は、堆肥化助剤としてだけでなく、重合体にあっては分散剤、凝集剤、洗剤用ビルダーなどとして、また、架橋物にあっては、農園芸分野において土壌改良剤や保水剤、土木建設分野では止水剤や掘削汚泥固化用組成物、日用品分野では紙おむつや生理用品、さらに工業分野では油水分離剤や各種のセンサーなどの幅広い産業分野における資材や物品の素材として極めて有用性が高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、試料1の1H−NMR測定結果のチャートである。
【図2】実施例1、試料1の13C−NMR測定結果のチャートである。
【図3】実施例2、試料2の1H−NMR測定結果のチャートである。
【図4】実施例2、試料2の13C−NMR測定結果のチャートである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物およびそれからなる堆肥化助剤に関する。さらに詳しくは、高い生分解性と吸水性を有し、環境に悪影響を及ぼすおそれがなく、堆肥化助剤などとして、幅広く用いられる不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物、および該重合体またはその架橋物からなる堆肥化助剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アクリル酸、マレイン酸などを重合して得られる不飽和カルボン酸系重合体は、分散剤、凝集剤、洗剤用ビルダーなどの用途で広く用いられている。また、該重合体の架橋物は高吸水性を示すため、農園芸分野においては土壌改良剤や保水剤、土木建設分野では止水剤や掘削汚泥固化用組成物、日用品分野では紙おむつや生理用品、さらに工業分野では油水分離剤や各種のセンサーなど、様々な分野で利用されている。
これらの不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物からなる資材や物品は、使用後はそのまま自然界に放出されること多く、焼却処理される場合にも、排煙による環境への悪影響が大きいほか、アルカリ性の焼却灰が生成して焼却炉を傷めたり、土中に埋設処理される場合にも、そのまま土壌の中に残留して支障をきたすなど、いずれの廃棄処理法によっても自然環境に悪影響を及ぼすという問題があった。
【0003】
一方、家畜糞尿などの堆肥化(コンポスト化)においては、発酵促進のために含水量の調節が不可欠であり、従来からおが粉、稲ワラなどが用いられてきた。おが粉、稲ワラなど用いる場合は環境に対する悪影響の懸念はないが、吸水能力に劣るため、通常は家畜糞尿などに対して体積で2倍以上を用いる必要があり、広大な堆肥化処理施設が必要となるほか、生成した堆肥量も膨大なものとなるという問題点があった。
また、家畜糞尿と高吸水性樹脂を混合して発酵堆肥を製造することは公知である(例えば、特許文献1参照)。しかし、この吸水性樹脂は生分解性がないため、環境への悪影響が懸念される。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−208362号公報
【0005】
このようなことから、廃棄処理に際して自然環境に悪影響を及ぼすことのない資材や物品の素材として、生分解性を有する高吸水性樹脂の開発への要望が高まっている。
本出願人は、生分解性を有する不飽和カルボン酸系重合体架橋物としてある程度の完成をみたものについて、すでに特許出願(WO 01/98376 A1)を行っているが、その生分解性のレベルについて更なる改良が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高い生分解性を有する新規な不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物およびそれからなる高い生分解性と吸水性を兼ね備えた堆肥化助剤を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の化学構造を有する不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物が、前記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は下記のとおりである。
(1)次の一般式〔I〕
【0009】
【化4】
【0010】
〔式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2 〜R5は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、Yは水素原子またはCOOR6(式中、R6は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、アンモニウム基またはアルカリ金属を示す。)を示し、X1およびX2は酸素原子またはNR7(R7は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を示す。)を示し、R2 〜R4、X1およびX2は互いに同一でも異なっていてもよく、nは0〜6の整数である。〕
で表される繰り返し単位を含有する不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物。
【0011】
(2)次の一般式〔I〕
【0012】
【化5】
【0013】
〔式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2 〜R5は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、Yは水素原子またはCOOR6(式中、R6は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、アンモニウム基またはアルカリ金属を示す。)を示し、X1およびX2は酸素原子またはNR7(R7は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を示す。)を示し、R2 〜R4、X1およびX2は互いに同一でも異なっていてもよく、nは0〜6の整数である。〕
で表される繰り返し単位、および次の一般式〔II〕
【0014】
【化6】
【0015】
〔式中、R1 、R6およびYは一般式〔I〕と同一のものを示す。〕で表される繰り返し単位から構成されたものである不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物。
【0016】
(3)前記一般式〔I〕と前記一般式〔II〕の比率が、0.1〜30:99.9〜70である(2)に記載の不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物。
【0017】
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物からなることを特徴とする堆肥化助剤。
【0018】
【発明の実施の形態】
本出願の第1発明である不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物は、前記一般式〔I〕で表される不飽和カルボン酸系の繰り返し単位を含有する。
この重合体またはその架橋物は、次の一般式〔III〕で表される化合物を重合させることにより、またその反応物をさらに架橋反応に付して架橋化することによって製造することができる。
【0019】
【化7】
【0020】
〔式中、R1、R2 〜R5、Y、X1およびX2は一般式〔I〕と同一のものを示し、R2 〜R4、X1およびX2は互いに同一でも異なっていてもよく、nは0〜6の整数である。〕
【0021】
一般式〔III〕で表されるアミド化合物の具体例としては、例えば、N−(2,4,5−トリメチル−3,6−ジオキソ−シクロヘキサ−1,4−ジエニル)アクリルアミド、N−[(2,4,5−トリメチル−3,6−ジオキソ−シクロヘキサ−1,4−ジエニル)メチル]アクリルアミド、N−[2−(2,4,5−トリメチル−3,6−ジオキソ−シクロヘキサ−1,4−ジエニル)エチル]アクリルアミド、N−[3−(2,4,5−トリメチル−3,6−ジオキソ−シクロヘキサ−1,4−ジエニル)プロピル]アクリルアミド、N−(2,4,5−トリエチル−3,6−ジオキソ−シクロヘキサ−1,4−ジエニル)アクリルアミド、N−(2,4,5−トリメチル−3,6−ジアゾ−シクロヘキサ−1,4−ジエニル)アクリルアミドなどを挙げることができる。これらのアミド化合物は1種単独で用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0022】
前記アミド化合物の重合条件、重合体の架橋反応の条件、それらの反応時に使用するラジカル発生剤および架橋剤については、以下に示す本出願の第2発明である不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物の製造方法Iと同様のものを適用することができる。
【0023】
本出願の第2発明である不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物は、前記一般式〔I〕および前記一般式〔II〕で表される繰り返し単位から構成されたものである。第2発明の重合体またはその架橋物は、特に生分解性、吸水性、分散性および凝集性などに優れているため、堆肥化助剤のみならず、各種の分散剤、凝集剤、洗剤用ビルダーなどにおいて特に有用性が高く好ましい。
第2発明の重合体またはその架橋物は、具体的には、以下に示す製造方法I(共重合法)、製造方法II(縮合法)、または製造方法III(無水物法)によって効率よく製造することができる。
【0024】
製造方法I(共重合法)
この製造方法においては、下記の一般式〔IV〕
【0025】
【化8】
【0026】
〔式中、R1 、R6およびYは一般式〔I〕と同一のものを示す。〕で表される不飽和カルボン酸化合物をモノマーAとし、前記一般式〔III〕で表されるアミド化合物をモノマーBとして、共重合反応させることにより、またこの反応物をさらに架橋反応に付して架橋化することによって製造することができる。
【0027】
この不飽和カルボン酸化合物(モノマーA)の具体例としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸、メタクリル酸ナトリウム、またはマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸若しくはそれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩を挙げることができる。これらの化合物は1種単独で用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
また、本発明の目的が損なわれない範囲で、他の共重合成分として、例えば、無水マレイン酸、アクロレイン、ビニルアセテート、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルなどを適宜併用することができる。
モノマーBの具体例としては、前記一般式〔III〕のアミド化合物の具体例として示したものを用いることができる。これらのアミド化合物は1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。このアミド化合物は、一般式〔I〕および一般式〔II〕で表される繰り返し単位が目的とする範囲になるような割合で使用する。
【0028】
本発明の不飽和カルボン酸系重合体架橋物を製造する場合は、前記一般式〔IV〕で表される不飽和カルボン酸化合物と前記一般式〔III〕で表されるアミド化合物の混合物に、ラジカル開始剤を加えて共重合し、得られた共重合体に架橋剤を加えて架橋化してもよい。また、前記一般式〔IV〕で表される不飽和カルボン酸化合物と前記一般式〔III〕で表されるアミド化合物の混合物に、ラジカル開始剤とともに架橋剤を加えて重合と同時に架橋化することによっても製造することができる。
また、この架橋反応を放射線によって行う場合は、先に共重合反応をさせた後に、放射線架橋を行うようにすればよい。
【0029】
重合反応に適したラジカル開始剤としては、通常のラジカル重合において用いられるラジカル開始剤を利用できる。例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩などの塩酸塩、過酸化ベンゾイル、メチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、テトラメチルチウラムジスルフィドなどを用いることができる。この他にも、過酸化水素と還元剤の組合せからなるラジカル開始剤を用いることができる。還元剤としては、二価の鉄イオンや銅イオン、亜鉛イオン、コバルトイオン、バナジウムイオンなどの金属イオン、アスコルビン酸、還元糖などが用いられる。これらラジカル開始剤の使用割合は、ラジカル開始剤の種類や目的とする重合体の分子量により異なるが、通常、原料全体に対して0.001〜10モル%、好ましくは0.005〜5モル%、更に好ましくは0.01〜1モル%である。
【0030】
また、架橋剤としては、1分子中にカルボキシル基と反応し得る2以上の官能基を持つ水溶性化合物、または前記モノマーA、Bと共重合し得るオレフィン性の官能基を2以上持つ化合物が好適に用いられる。このうち、1分子中にカルボキシル基と反応し得る2つ以上の官能基を持つ水溶性化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、ポリビニルアルコール、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、グルコース、マンニット、マンニタン、エチレンジアミン、ジアミノブタンなどが好適に用いられる。また、前記モノマーA、Bと共重合し得るオレフィン性の官能基を2以上持つ化合物としては、例えば、N,N−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートなどが好適に用いられる。
【0031】
上記架橋剤の使用割合については、ここで用いる原料全体に対して、0.001〜10モル%、好ましくは0.01〜1モル%である。これは、この架橋剤の使用割合が0.001モル%未満であると、得られる不飽和カルボン酸系重合体架橋物の架橋度が十分に向上しないことがあり、またその使用割合が10モル%を超えると、得られる不飽和カルボン酸系重合体架橋物の架橋度が高くなり過ぎて、吸水性の低下を招くようになることがあるからである。
【0032】
不飽和カルボン酸系重合体又はその架橋物を製造する場合の反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、水などを使用することができる。反応温度は、0〜100℃、好ましくは40〜90℃の範囲で適宜選択することができる。また、重合時間については、原料化合物の種類や重合温度により左右されるが、通常、15分〜48時間、好ましくは60分〜8時間とするのがよい。
【0033】
製造方法 II (縮合法)
この製造方法においては、前記一般式〔II〕で表される繰り返し単位を含有する不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物に対して、次の一般式〔V〕
【0034】
【化9】
【0035】
〔式中、R2 〜R5は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、X1およびX2は酸素原子またはNR7(R7は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を示す。)を示し、R2 〜R4、X1およびX2は互いに同一でも異なっていてもよく、nは0〜6の整数である。〕
で表されるアミノ化合物を脱水縮合により反応させ、前記一般式〔I〕および前記一般式〔II〕で表される繰り返し単位から構成される不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物を得ることができる。
また、架橋物を得るためには、一般式〔V〕で表されるアミノ化合物を不飽和カルボン酸系重合体に導入した後に架橋してもよい。
【0036】
このようなアミノ化合物としては、例えば、アミノトリメチル[1,4]ベンゾキノン、アミノメチル−トリメチル[1,4]ベンゾキノン、2−アミノエチル−トリメチル[1,4]ベンゾキノン、アミノトリエチル[1,4]ベンゾキノン、アミノメチル−トリエチル[1,4]ベンゾキノン、2−アミノエチル−トリエチル[1,4]ベンゾキノンなどが挙げられる。これらのアミノ化合物は1種単独で用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0037】
縮合反応によってアミノ化合物を導入する際には、触媒は必ずしも必要としないが、硫酸や、塩酸、リン酸、硝酸、p−トルエンスルホン酸などの触媒を使用すると、この縮合反応をより促進することができる。
また、この縮合反応は無溶媒で実施してもよく、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、スルホラン、水などを溶媒として用いてもよい。そして、この縮合反応の温度を100〜200℃、好ましくは120〜180℃とし、反応時間を0.5〜12時間とするのが好ましい。
【0038】
また、この縮合反応によりアミノ化合物を導入する際、脱水剤を使用して効率よく反応を行うことができる。この脱水剤としては、例えば、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸フェニルジクロリド、リン酸フェニルジクロリド、リン酸トリプロピル、オキシ塩化リン、トリフェニルホスフィン、塩化チオニル、テトラクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン、ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、1−アシルイミダゾリド、トリフェニルホスフィンと四塩化炭素の混合物、トリフェニルホスフィンとブロモトリクロロメタンの混合物などが好適なものとして挙げられる。そして、例えば、亜リン酸トリフェニルを用いる場合には、縮合反応の温度を50〜150℃、好ましくは70〜130℃とし、反応時間を0.5〜5時間とすればよい。
【0039】
この製造方法IIにおいて用いる架橋剤としては、前記製造方法Iで用いたものと同様のものを用いることができる。
また、架橋剤の使用割合、架橋反応を行う場合の反応温度、反応時間についても、前記製造方法Iと同様である。
【0040】
製造方法 III (無水物法)
この製造方法においては、次の一般式〔VI〕
【0041】
【化10】
【0042】
〔式中、R1、R6およびYは一般式〔I〕と同一のものを示す。〕
で表されるポリマー無水物またはその架橋体に対して、前記一般式〔V〕で表されるアミノ化合物を開環付加させることにより、一般式〔I〕および一般式〔II〕で表される繰り返し単位から構成される不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物を得ることができる。また、架橋物を得るためには、一般式〔V〕で表されるアミノ化合物を一般式〔VI〕で表されるポリマー無水物に開環付加させた後に架橋してもよい。
【0043】
一般式〔VI〕で表されるポリマー無水物またはその架橋体を脱水反応によって製造する場合は、該重合体または架橋物を無溶媒で或いはキシレン、トルエン、ウンデカンなどの水と共沸できる高沸点溶媒中で、常圧または減圧下で加熱すればよい。加熱温度は110〜200℃、好ましくは140〜160℃である。加熱時間は、加熱温度や圧力によって変わるが、一般的に30分〜12時間、好ましくは60分〜8時間である。この脱水反応によって重合体または架橋物を無水化するが、無水化率は5〜100%、好ましくは30〜60%である。
【0044】
前記一般式〔V〕で表されるアミノ化合物を開環付加する場合は、そのアミノ化合物を前記一般式〔VI〕で表されるポリマー無水物またはその架橋物に対して、0.1〜50モル%、好ましくは1〜20モル%の割合で使用する。反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、水などを使用することができる。反応温度は、10〜100℃、好ましくは40〜80℃の範囲で適宜選択することができる。反応時間については、化合物の種類や反応温度により左右されるが、通常、15分〜12時間、好ましくは60分〜6時間である。
【0045】
本出願の第2発明である不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物における基本的な構成は、前記一般式〔I〕と前記一般式〔II〕のモル比が、0.1〜30:99.9〜70、好ましくは0.5〜25:99.5〜75、さらに好ましくは1〜20:99〜80の範囲である不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物である。前記一般式〔I〕と前記一般式〔II〕のモル比が前記範囲にあると、高い生分解性と吸水性、分散性、凝集性などの不飽和カルボン酸系重合体の本来の性能を兼ね備えることができることから特に好ましい。前記一般式〔I〕のモル比の割合が0.1未満であると、その不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物の生分解性が低下することがあり、また、30を超えると、その不飽和カルボン酸系重合体架橋物の分散性、凝集性、吸水性などの低下を招くことがある。
【0046】
上記の方法によって得られる不飽和カルボン酸系重合体の分子量は、用途により好適な範囲が異なるが、通常は10,000〜5,000,000のものが用いられる。架橋体の場合には、架橋化した状態においてはその分子量の測定が困難であるが、その架橋構造の結合様式がエステル結合などの加水分解の可能な構造を有するものでは、例えば水酸化ナトリウムなどにより加水分解することによって、その分子量の測定が可能になる。そして、このような加水分解物についての重量平均分子量が、10,000〜5,000,000、好ましくは50,000〜4,000,000であるものが、この不飽和カルボン酸系重合体架橋物を素材とする用途分野、特に成形品の素材とする場合に実用性の高いものである。
【0047】
本発明に係る不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物の乾燥処理は、200℃以下の温度で実施するのが好ましく、凍結乾燥法を採用することもできる。また、造粒する場合、造粒方法としては特に制限はなく、使用目的に応じて、例えば破砕造粒法、押出し造粒法、あるいは含水ゲル状態で破砕する方法など、従来公知の方法の中から適宜選択することができる。
【0048】
本発明の不飽和カルボン酸系重合体は、高い生分解性を有することから、各種の分散剤、凝集剤、洗剤用ビルダーなどとして好適に用いられる。また、本発明の架橋物は、高い生分解性と吸水性を有することから、農園芸分野においては土壌改良剤や保水剤、土木建設分野では止水剤や掘削汚泥固化用組成物、日用品分野では紙おむつや生理用品、さらに工業分野では油水分離剤や各種のセンサーなどの幅広い産業分野における資材や物品の素材として有用性の高いものである。
【0049】
本発明の不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物を堆肥化助剤として堆肥原料に配合し使用すれば、堆肥原料に含まれる水分が吸収されて流動性がなくなり、堆肥原料をゲル化又は固化することができる。堆肥化助剤としての配合量は、堆肥原料に対して通常0.01〜30質量%、好ましくは0.1〜10質量%の範囲で選定される。
堆肥原料としては、動物の糞尿、生ゴミ又はこれらの混合物を用いることができる。動物の糞尿の例としては、人、牛、馬、豚、鶏などの糞尿が挙げられ、生ゴミの例としては、廃野菜、野菜クズ、残飯、比較的高水分の食品残渣、飲料残液などを用いることができる。
【0050】
【実施例】
つぎに、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない
実施例1
(1)試料1の調整
ステンレス製のバットにポリアクリル酸(重量平均分子量7.5万)250gをとり、これを減圧乾燥機に入れて真空ポンプで約1Torrに減圧し、温度約150℃で4時問加熱してポリアクリル酸の脱水・無水化処理を行った。得られたポリアクリル酸無水物の無水化率は43%であった。
このポリアクリル酸無水物94.7g、アミノトリメチル[1,4]ベンゾキノン3.3g、及びテトラヒドロフラン1Lをダルトンミキサー用反応釜に入れ、撹拌しながら温度60℃で3時間反応を行った。次いで、水酸化ナトリウム36.1gを水1Lに溶解した液を加えて中和した後、テトラヒドロフランを反応系から留去した。残った反応液をステンレス製バットに移し、送風乾燥機に入れて70℃で24時間乾燥させ、粉砕して試料1を得た。1H−NMR測定及び13C−NMR測定から、アミノトリメチル[1,4]ベンゾキノンの導入量はポリアクリル酸の全繰り返し単位に対して1.3モル%であることが確認できた。1H−NMR及び13C−NMRの測定結果のチャートを図1、2に示す。
1H−NMR測定および13C−NMR測定は、日本電子社製「JNM−ECA500装置」を用いて行った。
【0051】
(2)生分解性の評価
上記(2)で得られた試料1について、JIS K6953に準拠して、コンポスト化の条件下での生分解性試験を行い、生分解性を評価した。
即ち、含水率60%に調整した堆肥150gに試料1を5g混合したものと、試料1を添加しないブランクの堆肥を、それぞれ容量1Lのガラス製容器に入れ、二酸化炭素を含まない空気を30mL/分で通気し、温度58℃で28日間保存し、この保存期間中に発生した二酸化炭素の量を測定し、次の式によって生分解率(%)を求めた。その結果、生分解率は39%であった。
【0052】
【数1】
(CO2)T:試料を混合した堆肥から放出された二酸化炭素の総量(g)
(CO2)B:試料を混合していない堆肥から放出された二酸化炭素の総量(g)
(CO2)Th:試料が全て二酸化炭素になった場合に放出される二酸化炭素の理論量(g)
【0053】
実施例2
(1)試料2の調整
冷却管を装着した容量100mLの三つ口フラスコに、アクリル酸を10.0g、N−(2,4,5−トリメチル−3,6−ジオキソ−シクロヘキサ−1,4−ジエニル)アクリルアミドを0.94g、及び水16.2gを入れ溶解させた。ここに窒素ガスを吹き込み、溶存酸素を除去した後、重合開始剤の2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩を0.20g加え、80℃で4時間共重合反応を行った。室温まで冷却し、水酸化ナトリウムを3.89g加えて中和後、透析により精製し、凍結乾燥させて試料2を得た。1H−NMR測定及び13C−NMR測定から、アミノトリメチル[1,4]ベンゾキノンの導入量はポリアクリル酸の全繰り返し単位に対して3.1モル%であることが確認できた。1H−NMR及び13C−NMRの測定結果のチャートを図3、4に示す。
(2)生分解性の評価
実施例1(2)において試料1のかわりに上記(1)で得られた試料2を用いた以外は、同様にして生分解性の評価を行った。その結果、生分解率は46%であった。
【0054】
比較例1
実施例1(2)において試料1のかわりにポリアクリル酸ナトリウム(重量平均分子量7.5万)を用いた以外は、同様にして生分解性の評価を行った。その結果、生分解率(%)は0%であった。
【0055】
実施例3
(1)試料3の調整
ステンレス製のバットにポリアクリル酸(重量平均分子量300万)2.5kg、エチレングリコールジグリシジルエーテル(架橋剤)0.6g、及び水25kgを入れ溶解させた。これを送風乾燥機に入れて100℃で24時間乾燥させ、粉砕することにより、ポリアクリル酸架橋体の粉末を得た。
この粉末を減圧乾燥機に入れ、真空ポンプで約1Torrに減圧し、温度約150℃で4時問加熱してポリアクリル酸架橋体の脱水・無水化処理を行った。得られたポリアクリル酸架橋体無水物の無水化率は58%であった。
このポリアクリル酸架橋体無水物1.42kg、アミノトリメチル[1,4]べンゾキノン137.7g、及びテトラヒドロフラン15Lをダルトンミキサー用反応釜に入れ、撹拌しながら温度60℃で3時間反応させた。次いで、水酸化ナトリウム541.5gを水15Lに溶解した液を加えて中和した後、テトラヒドロフランを反応系から留去した。残った反応液をステンレス製バットに移し、送風乾燥機に入れて70℃で48時間乾燥させ、粉砕して試料3を得た。
(2)吸水倍率の測定
容量500mLのビーカーに、濃度0.9質量%の生理食塩水を入れ、ここに試料3を1g投入し、2時間静置して吸水させた。これを孔径75μmのふるいで濾別し、ふるい上に残った吸水ゲルの重量を測定し、次の式によって吸水倍率を求めた。その結果、吸水倍率は43g/gであった。
【0056】
【数2】
【0057】
(3)生分解性の評価
実施例1(2)において試料1のかわりに上記(1)で得られた試料3を用いた以外は、同様にして生分解性の評価を行った。その結果、生分解率は42%であった。
【0058】
実施例4
(1)試料4の調整
実施例3(1)において、アミノトリメチル[1,4]ベンゾキノンの使用量を68.9gにした以外は、同様にして試料4を得た。
(2)吸水倍率の測定
実施例3(2)において試料3のかわりに試料4を用いた以外は、同様にして吸水倍率の測定を行った。その結果、吸水倍率は39g/gであった。
(3)生分解性の評価
実施例3(3)において試料3のかわりに試料4を用いた以外は、同様にして生分解性の評価を行った。その結果、生分解率は37%であった。
【0059】
比較例2
(1)比較試料2の調整
実施例3(1)において、アミノトリメチル[1,4]ベンゾキノンを用いなかった以外は、同様にして比較試料2を得た。
(2)吸水倍率の測定
実施例3(2)において試料3のかわりに比較試料2を用いた以外は、同様にして吸水倍率の測定を行った。その結果、吸水倍率は42g/gであった。
(3)生分解性の評価
実施例3(3)において試料3のかわりに比較試料2を用いた以外は、同様にして生分解性の評価を行った。その結果、生分解率は0%であった。
比較例3
実施例3(2)において試料3のかわりにおが粉を用いた以外は、同様にして吸水倍率の測定を行った。その結果、吸水倍率は2g/gであった。
【0060】
実施例5(牛糞尿の堆肥化試験)
試料3、1kgを含水率85%のスラリー状牛糞尿100kgに混合し、これを山積みにして5〜15℃の外気中に放置した。放置直後に、▲1▼固化の有無について評価を行い、10日後に▲2▼糞尿混合物の内部温度、▲3▼測定時の外気温度を測定し、▲4▼微生物の増殖の有無について評価を行った。結果を第1表に示す。
実施例6(牛糞尿の堆肥化試験)
実施例5において、試料3のかわりに試料4を用いた以外は、全て同様にして実施した。結果を第1表に示す。
【0061】
比較例3(牛糞尿の堆肥化試験)
実施例5において、試料3を用いずに、糞尿スラリーのみで行った以外は、全て同様に実施した。結果を第1表に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
【発明の効果】
本発明により提供される不飽和カルボン酸系重合体及びその架橋物は、環境中に放出されても速やかに生分解されるため蓄積されることがない。
従って、これを家畜糞尿などの堆肥化助剤として用い、生成した堆肥を耕地に施用した場合でも、耕地に残留し蓄積して悪影響を及ぼすことがない。さらに、高い吸水性を有することから、堆肥化に要する面積が小さくなり生成した堆肥量も低減されるため、堆肥化効率および運搬効率を高めることができる。
また、本発明により提供される不飽和カルボン酸系重合体及びその架橋物は、堆肥化助剤としてだけでなく、重合体にあっては分散剤、凝集剤、洗剤用ビルダーなどとして、また、架橋物にあっては、農園芸分野において土壌改良剤や保水剤、土木建設分野では止水剤や掘削汚泥固化用組成物、日用品分野では紙おむつや生理用品、さらに工業分野では油水分離剤や各種のセンサーなどの幅広い産業分野における資材や物品の素材として極めて有用性が高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、試料1の1H−NMR測定結果のチャートである。
【図2】実施例1、試料1の13C−NMR測定結果のチャートである。
【図3】実施例2、試料2の1H−NMR測定結果のチャートである。
【図4】実施例2、試料2の13C−NMR測定結果のチャートである。
Claims (4)
- 次の一般式〔I〕
で表される繰り返し単位、および次の一般式〔II〕
- 前記一般式〔I〕と前記一般式〔II〕のモル比が、0.1〜30:99.9〜70である、請求項2に記載の不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の不飽和カルボン酸系重合体またはその架橋物からなることを特徴とする堆肥化助剤。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003121242A JP2004323703A (ja) | 2003-04-25 | 2003-04-25 | 不飽和カルボン酸系重合体、その架橋物及びそれからなる堆肥化助剤 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008009083A1 (en) * | 2006-07-21 | 2008-01-24 | Antonio Carlos De Gissi Junior | Process to obtain polymeric-nature chemical compounds applied to fixation in fertilizers and related products |
JP2012021100A (ja) * | 2010-07-15 | 2012-02-02 | Univ Of Tokushima | イオン性高分岐ポリマー及び炭素ナノ材料分散剤 |
-
2003
- 2003-04-25 JP JP2003121242A patent/JP2004323703A/ja active Pending
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