JP2004323686A - 不斉分子識別材料及び不斉分子の識別方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の不斉分子識別材料は、主鎖がケイ素連鎖からなるポリシランであって、側鎖に炭化水素基等の無極性官能基を有し、かつ該側鎖が光学不活性な官能基である、無極性かつ光学不活性なポリシランを含有してなる。不斉分子の識別は、不斉分子識別材料と不斉分子とを混合してなる識別材料含有液に、沈殿生成用溶剤を添加して得られるポリシラン−不斉分子複合体の円二色吸収スペクトル測定によって行う。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成高分子を用いた不斉分子識別材料及び不斉分子の識別方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光学活性なキラル分子は、そのキラリティに応じて、生体の生理作用に大きな影響を与えることが知られている。そのため、特に製薬産業においては、未知のキラル分子のキラリティを正確に識別し、またキラル分子の不斉中心を正確に認識することが重要となっている。
【0003】
キラル分子を識別する識別方法としては、従来より種々の方法が提案されている。その一つに、合成ポリマーを用いて、キラル分子を識別する方法がある。すなわち、極性を示す極性官能基を側鎖に有する合成ポリマーとキラル分子とを混合した際に、該合成ポリマーとキラル分子との間に生じる、水素結合、双極子−双極子相互作用、イオン相互作用、酸−塩基相互作用等を利用して、キラル分子を識別する。
【0004】
例えば、非特許文献1には、側鎖に極性を有するエーテル基を備えた、アキラルなアルコキシフェニルアルキルポリシラン誘導体(ポリ(n−ヘキシル−p−n−プロポキシフェニルシリレン);以下、アルコキシポリシラン誘導体と記載する)を用いることによって、キラルなアルコールの識別が可能であることが報告されている。非特許文献1に記載のキラルなアルコールの識別は、水素結合による相互作用によって行われている。つまり、アキラルな上記アルコキシポリシラン誘導体のエーテル酸素と、キラルなアルコールの水酸基(−OH基)との間に、水素結合が生じることにより、得られるアルコキシポリシラン誘導体−アルコール複合体は、光学活性を示すことになる。
【0005】
上記アルコキシポリシラン誘導体−アルコール複合体の円二色吸収スペクトルは、アルコールのキラリティやアルコール中の不斉中心の位置に応じて変化する。従って、上記アルコキシポリシラン誘導体−アルコール複合体の円二色吸収スペクトル測定を行うことによって、アルコールのキラリティやアルコール中の不斉中心の位置を認識することが可能となる。
【0006】
【非特許文献1】
Nakashima,H.等、「Transfer and Amplification of Chiral Molecular Information to Polysilylene Aggregates」、J.Am.Chem.Soc.、123巻、p.4847−4848、2001年
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、水素結合、双極子−双極子相互作用、イオン相互作用、酸−塩基相互作用等を利用してキラル分子を識別する場合、合成ポリマーは極性官能基を備えている必要がある。また、キラル分子も、合成ポリマーの極性官能基と相互作用し得る置換基を有していなければならない。
【0008】
例えば、合成ポリマーとして、上記非特許文献1に記載のアルコキシポリシラン誘導体を用いた場合、まず、ベンゼン環にプロポキシル基を導入し、該プロポキシル基が導入されてなるベンゼン環の金属化合物として調製されたグリニヤル試薬とケイ素化合物とを反応させてモノマーを調製し、該モノマーを金属ナトリウムの存在下で重合させるという3段階の合成ステップが必要であり、合成操作に手間を要する。また、該合成操作にて得られるアルコキシポリシラン誘導体の合成収率が数%と低いという問題もある。
【0009】
さらに、より汎用性に優れたキラリティの識別方法を提供するためには、合成ポリマーの極性官能基と水素結合によって相互作用し得る置換基を有している分子に限定されず、種々の分子との相互作用が可能であるために、種々の分子のキラリティを識別し得る合成ポリマーが望まれる。
【0010】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、未知のキラル分子のキラリティ及び不斉中心位置を正確に識別し得る、合成高分子を用いた不斉分子識別材料及び不斉分子の識別方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、主鎖がケイ素からなり、側鎖に無極性官能基を有する無極性高分子である光学不活性なポリシランと、不斉分子とを混合することによって、該ポリシランと不斉分子との間に、ファンデルワールス力や疎水性効果等が生じてポリシラン−不斉分子複合体が形成され、該ポリシラン−不斉分子複合体が光学活性を示すとともに、不斉分子の種類に応じて変化する円二色吸収スペクトルを測定することによって、不斉分子のキラリティ及び不斉中心の位置を識別することが可能になることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明の不斉分子識別材料は、上記課題を解決するために、一般式(1)
【0013】
【化3】
【0014】
(式中、側鎖R1,R2はそれぞれ独立して、炭素数が2以上22以下のアルキル基であり、mは10以上100,000以下の整数である)で表される構造を有する光学不活性ポリシランを含んでなることを特徴としている。
【0015】
上記不斉分子識別材料に含まれる上記光学不活性ポリシランは、上記一般式(1)中の側鎖R1が、主鎖から1位〜4位のうちのいずれかの位置に少なくとも1つの分岐構造を有していることが好ましい。
【0016】
上記の構成によれば、上記光学不活性ポリシランを含んでなる不斉分子識別材料を用いることによって、不斉分子の対掌性や不斉中心の位置を好適に、かつ簡便に、識別することができる。
【0017】
また、上記光学不活性ポリシランの合成ステップは、詳細は後述するが、ポリシランの側鎖R1を有するケイ素化合物と、側鎖R2を有する金属化合物であるグリニヤル試薬とを反応させてモノマーを得、該モノマーを重合させる、という2段階で行われるため、合成が容易な光学不活性ポリシランを用いてなる不斉分子識別材料を提供することができる。また、上記光学不活性ポリシランは、上記の合成ステップで合成を行うことにより、50%程度の合成収率を達成することが可能である。このように、効率よく合成することが可能な光学不活性ポリシランを用いているので、より汎用性に優れた不斉分子識別材料を提供することができる。
【0018】
また、本発明の不斉分子の識別方法は、上記一般式(1)で表される構造を有する光学不活性ポリシランと、光学活性な不斉分子とを含んでなる識別材料含有液と、沈殿生成用溶剤とを混合して混合液を調製し、該混合液の円二色吸収スペクトル測定を行うことを特徴としている。
【0019】
上記の方法によれば、円二色吸収スペクトル測定によって得られる、コットン効果の正負(円二色性の符号)や、円二色性吸光度の強度等に基づいて、不斉分子の対掌性や不斉中心の位置を正確に識別することができる。つまり、上記の方法によれば、光学不活性ポリシランと沈殿生成用溶剤とを用い、円二色吸収スペクトル測定を行うという簡便な方法によって、未知の不斉分子の対掌性や不斉中心の位置を識別することが可能になる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について説明すれば、以下の通りである。
【0021】
本発明の不斉分子識別材料は、主鎖がケイ素連鎖からなるポリシランであって、側鎖に炭化水素基等の無極性官能基を有し、かつ該側鎖がアキラルな(光学不活性な)官能基である、無極性かつ光学不活性なポリシランを含有してなる。該不斉分子識別材料とキラル分子(不斉分子)とを混合することにより、キラル分子のキラリティ(対掌性)やキラル分子の不斉中心の位置を識別することができる。
【0022】
すなわち、上記ポリシランとキラル分子とを溶解してなる識別材料含有液に、沈殿生成用溶剤を添加することにより、識別材料含有液と沈殿生成用溶剤とが混合されてなる混合液中での、ポリシランとキラル分子の溶解度が変化する。この溶解度の変化に伴って、ポリシランの主鎖であるケイ素連鎖とキラル分子との間での、ファンデルワールス力や疎水性効果等が顕著になり、ポリシランとキラル分子とが結合してなるポリシラン−キラル分子複合体(ポリシラン−不斉分子複合体)が、混合液中に沈殿物として形成される。
【0023】
該ポリシラン−キラル分子複合体は、光学不活性なポリシランに、光学活性なキラル分子が結合してなるものであるため、光学活性を有し、旋光性を示す。従って、上記ポリシラン−不斉分子複合体の円二色性吸収スペクトル測定を行うことによって得られる、円二色性の符号及び強度を検出することにより、後述するように、キラル分子のキラリティ、及び、キラル分子の不斉中心の位置に関する情報を得ることができる。
【0024】
上記のように、本発明の不斉分子の識別方法では、無極性高分子のポリシランを用いることによって、無極性分子と極性分子との間だけでなく、無極性分子同士の間にも生じ得るファンデルワールス力や疎水性効果を利用して形成されたポリシラン−キラル分子複合体を得、該ポリシラン−キラル分子複合体の円二色性吸収スペクトルを測定している。これに対し、従来では、極性高分子を用いることによって、水素結合や酸−塩基相互作用等の極性分子同士の間に生じる相互作用を利用して得られる、ポリシラン−キラル分子複合体の円二色性吸収スペクトルを測定している。
【0025】
つまり、無極性分子同士の間にも生じ得るファンデルワールス力や疎水性効果を利用して不斉分子を識別する本発明の不斉分子の識別方法は、本発明者等によって新規に見出された方法である。
【0026】
以下、本発明の不斉分子識別材料に含まれるポリシラン、及び、該不斉分子識別材料を用いてキラル分子を識別する方法について、詳細に説明する。
【0027】
A.ポリシラン
本発明の不斉分子識別材料に含まれるポリシランは、光学不活性な無極性高分子であり、具体的には、一般式(1)
【0028】
【化4】
【0029】
(式中、側鎖R1,R2はそれぞれ独立して、炭素数が2以上22以下のアルキル基であり、mは10以上100,000以下の整数である)で表される構造を有する。すなわち、一般式(1)で表される構造を有するポリシランは、側鎖R1・R2に、それぞれアルキル基を有する螺旋状のジアルキルポリシランである。
【0030】
ここで、一般式(1)中の側鎖R1・R2は、それぞれ独立して、炭素数が2以上22以下のアキラルなアルキル基であることが好ましい。アルキル基の炭素数が2未満となると、ポリシランが剛直棒状の螺旋構造とならず、アルキル基の炭素数が22を超えると、沸点が高く、蒸留精製が困難となって好ましくない。
【0031】
また、側鎖R1・R2がキラルであると、ポリシランが光学活性となるので、側鎖R1・R2はアキラルであることが好ましい。さらに、側鎖R1・R2には、炭素や水素以外の原子が含まれていてもよいが、極性を有する原子は含まれていないものとする。すなわち、側鎖R1・R2は、無極性官能基であることが好ましい。
【0032】
上記アルキル基としては、具体的には、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−ドコシル基等の直鎖アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基等の分岐鎖を有する分岐鎖アルキル基等を挙げることができる。なお、上記アルキル基が分岐鎖を有する場合、ケイ素主鎖から1位〜4位のうちのいずれかの位置に少なくとも1つの分岐構造を有していることが好ましい。
【0033】
さらに、上記一般式(1)中のmは、10以上100,000以下の整数であれば特に限定されない。上記mが10未満である場合には、ポリシラン−キラル分子複合体の円二色性吸収スペクトルの強度が弱くなって好ましくなく、100,000を超えると、溶媒への溶解性が低下するため、好ましくない。
【0034】
上記ポリシランは、重量平均分子量Mwや、該重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比で表される分子量分散(分子量分布)Mw/Mnに応じて、ポリシラン−キラル分子複合体の円二色性吸収スペクトルにおけるコットン効果に変化が見られる。具体的には、重量平均分子量Mwの増加に伴って、コットン効果が増加し、分子量分散Mw/Mnが小さいほど、円二色吸収スペクトルの吸収ピークはシャープになる。そのため、重量平均分子量Mwや分子量分散Mw/Mnを変化させることにより、キラル分子のキラリティや不斉中心の位置の識別能を制御することができる。
【0035】
このようなキラル分子の識別能を制御するためには、ポリシランの重量平均分子量Mwが10,000以上50,000,000以下であることが好ましく、11,000以上5,000,000以下であることがより好ましい。また、ポリシランの分子量分散Mw/Mnは、1.01以上5以下であることが好ましく、特に3以下であることが好ましい。
【0036】
ポリシランの重量平均分子量Mwが10,000未満であると、ポリシラン−キラル分子複合体の形成が困難となって好ましくなく、50,000,000を超えると、ポリシランが沈殿し、またコットン効果が観測されなくなるため、好ましくない。一方、ポリシランの分子量分散Mw/Mnが5を超えると、円二色性吸収スペクトルの強度が弱くなって好ましくない。
【0037】
上記一般式(1)にて表される構造を有するポリシランを合成するためには、文献(M.Fujiki、Macromol. Rapid Commun.、20巻、p.539−563、2001年)等に記載の従来公知の方法を用いればよく、その合成方法や合成条件は特に限定されない。例えば、一般式(1)で表される構造を有するポリシランは、後述する実施例のように、ポリシランの側鎖R1を有するケイ素化合物と、側鎖R2を有する金属化合物であるグリニヤル試薬とを反応させてモノマーを得、該モノマーを重合させれば得ることができる。あるいは、側鎖R1を有するグリニヤル試薬と、側鎖R2を有するケイ素化合物とを反応させてモノマーを得、該モノマーを重合させてもよい。
【0038】
上記ポリシランは、上記の合成方法を用いれば、2段階の合成ステップで合成することができ、合成収率を約50%に到達させることができる。
【0039】
B.キラル分子の識別方法
上記ポリシランを用いて、キラル分子のキラリティや不斉中心位置を認識するためには、上記ポリシランとキラル分子とを適当な溶媒に溶解してなる識別材料含有液を調製する。続いて、この識別材料含有液に、沈殿生成用溶剤を添加して、沈殿物としてのポリシラン−キラル分子複合体が含まれてなる混合液を得る。そして、このポリシラン−キラル分子複合体、又は該ポリシラン−キラル分子複合体が分散してなる混合液について、円二色吸収スペクトル測定を行うことにより、キラル分子のキラリティや不斉中心を識別する。
【0040】
なお、本発明における「溶解」とは、ポリシラン及びキラル分子等の溶質が、完全に溶媒に溶解した状態、及び、上記溶質が溶媒中に均一に分散又は拡散している状態を含むものとする。
【0041】
上記識別材料含有液の調製に際しては、適当な溶媒に、所定の混合比にて、ポリシランとキラル分子とを溶解させて調製してもよく、あるいは、ポリシラン及びキラル分子をそれぞれ適当な溶媒に所定の濃度で溶解させた後、両者を混合してもよい。なお、ポリシランを溶解させるためのポリシラン用溶媒と、キラル分子を溶解させるためのキラル分子用溶媒とは、互いに同じ溶媒であってもよく、互いに異なる溶媒であってもよい。
【0042】
上記識別材料含有液に用いる溶媒としては、ポリシラン及びキラル分子が溶解し得る溶媒であれば特に限定されない。すなわち、識別材料含有液に用いる溶媒としては、例えば、n−デカン、n−オクタン、イソオクタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等のパラフィン系炭化水素;トルエン、アニソール、ピリジン、キシレン、ベンゼン等の芳香族系炭化水素;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等の複素環式化合物;ジメチルホルムアミド等のアミド系化合物等のうち1種又は2種以上を組み合わせて用いればよい。なお、上記ポリシランは、無極性高分子であるため、上記ポリシラン用溶媒としては、トルエン、イソオクタン、n−デカン等の非極性溶媒を用いることが特に好ましい。また、キラル分子用溶媒は、用いるキラル分子に応じて、適宜選択すればよい。
【0043】
また、上記沈殿生成用溶剤としては、識別材料含有液に添加した際に、ポリシラン−キラル分子複合体の沈殿を生成することができるものであればよい。上記識別材料含有液に用いる溶媒として、非極性溶媒を用いた場合には、極性溶媒を沈殿生成用溶剤として用いることにより、ポリシラン−キラル分子複合体を沈殿物として得ることができる。
【0044】
すなわち、良溶媒にポリシランを溶解してなる識別材料含有液に、貧溶媒を少量ずつ添加することにより、ポリシラン−キラル分子複合体を沈殿させることができる。なお、極性の異なる貧溶媒を用いれば、沈殿するポリシラン−キラル分子複合体の重量平均分子量が異なってくる。そのため、目的とする重量平均分子量のポリシラン−キラル分子複合体を得るためには、所望する重量平均分子量を有するポリシラン−キラル分子複合体の沈殿が得られるように、貧溶媒の種類を選択することが好ましい。
【0045】
上記のように、上記沈殿生成用溶剤としては、貧溶媒であることが好ましく、例えば、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノール、水、ジオキサン、ジエチルエーテル等を挙げることができる。なお、沈殿生成用溶剤としては、上記貧溶媒のうちの1種を用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0046】
また、上記ポリシラン溶液に添加する沈殿生成用溶剤は、識別材料含有液を攪拌しながら少量ずつ添加することが好ましい。
【0047】
上記ポリシラン溶液に沈殿生成用溶剤を添加してなる混合液に含まれる、識別材料含有液と、沈殿生成用溶剤との混合比は、ポリシラン−キラル分子複合体の沈殿が得られれば特に限定されないが、25℃にて体積比で、(識別材料含有液):(沈殿生成用溶剤)=約4:1とすることが好ましい。また、識別材料含有液に含まれるポリシランと、キラル分子との混合比は、ポリシラン−キラル分子複合体の円二色性吸収スペクトル測定を好適に行うことができれば特に限定されないが、ポリシランの濃度が1×10−5mol/L程度のポリシランが溶解してなる溶液と、液体のキラル分子とを、25℃の温度条件下にて体積比で、(ポリシラン):(キラル分子)=約3:5とすることが好ましい。なお、キラル分子が25℃にて固体である場合には、キラル分子用溶媒、もしくは、ポリシランが溶解してなる溶液に適当な濃度で溶解すればよく、その混合比は特に限定されない。
【0048】
なお、上記したキラル分子の識別に際して行う種々の操作は、常温常圧下で行えばよい。
【0049】
上記にて説明した手法を用いれば、多種多様なキラル分子の識別を行うことができる。識別可能なキラル分子としては、光学活性を有する分子であれば特に限定されないが、分子量が100〜5,000程度の範囲内の低分子であれば特に好適に検出することができる。上記キラル分子としては、極性分子であってもよく、無極性分子であってもよい。また、固体、液体、気体のいずれであってもよいが、特に液体であることが好ましい。
【0050】
具体的には、2−メチルブタノール、2−オクタノール、シトロネラール等のアルコール類;2−アミノ−プロパノール等のアミノアルコール類;アラニン等のα−アミノ酸;リボース、グルコース等の糖類;1−クロロ−3−メチルペンタンや1−クロロ−4−メチルヘキサン等の塩化炭化水素化合物、1−ブロモ−3−メチルブタンや1−ブロモ−2−メチルオクタン等の臭化炭化水素化合物、ヨウ化炭化水素化合物等のハロゲン化物;アルカン、オレフィン、アルキルエーテル類等の鎖状炭化水素化合物;リモネン、フェンション等の環状炭化水素化合物等を挙げることができる。
【0051】
キラル分子の識別は、上記ポリシラン−キラル分子複合体、又は該ポリシラン−キラル分子複合体が分散してなる混合液の、円二色吸収スペクトル測定によって行うことができる。キラル分子のキラリティや、不斉中心の位置は、用いるキラル分子の種類に応じて変化する。
【0052】
例えば、キラル分子がR体である場合と、S体である場合とでは、円二色吸収スペクトルの第1コットン効果及び第2コットン効果の正負(以下、円二色吸収スペクトルにおける符号と記載)が逆になる。また、キラル分子の大きさ、特に、アルキル鎖の長さに依存して、円二色吸収スペクトルにおける符号が変化する。
【0053】
【実施例】
以下、本発明について、実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0054】
〔ポリ(n−デシル−イソブチルシラン)の合成〕
光学不活性ポリシランとして、ポリ(n−デシル−イソブチルシラン)を以下の手順で合成した。
【0055】
ポリ(n−デシル−イソブチルシラン)は、下記反応式(2)に示すように、イソブチルクロロシラン(C4H9SiCl3)と、n−デシルマグネシウムブロマイド(n−C10H21MgBr)とを用いて、n−デシル−イソブチルジクロロシランを合成し、該n−デシル−イソブチルジクロロシランを重合させることによって合成した。
【0056】
【化5】
【0057】
すなわち、窒素ガスで置換した三口フラスコ内に、マグネシウム(7.29g,0.3mol)と、テトラヒドロフラン(THF、100mL)とを入れ、さらに、30分かけて、n−C10H21Br(55.30g,0.25mol)を滴下し、混合液を得た。その後、該混合液を50℃で30分間保ち、n−デシルマグネシウムブロマイド溶液(グリニヤル試薬)を得た。
【0058】
続いて、50℃の温度条件下にて、別の三口フラスコ内に、イソブチルクロロシラン(47.89g,0.25mol)と、THF(50mL)とを入れ、さらに、1時間かけて、上記で得たn−デシルマグネシウムブロマイド溶液を滴下し、その後、50℃で2時間保った。得られた反応生成物を、減圧蒸留(134℃,4.2mmHg)を行って精製し、収率52%でn−デシル−イソブチルジクロロシランを得た。
【0059】
次に、窒素雰囲気下にて、脱水トルエン(40mL)と、ナトリウム(3.07g,133mmol)と、18−クラウン−6(167mg,0.631mmol)との混合物に、上記にて合成したn−デシル−イソブチルジクロロシラン(10g,33.6mmol)を滴下し、120℃で2時間、ゆっくり攪拌した。その後、粘度が高くなり過ぎないように、脱水トルエン(500mL)を加えて、さらに30分間撹拌した。得られた反応混合液を、窒素雰囲気下にて、2.00μmのPTFEフィルタ(Fluoropore F−40及びF−200、住友電工社製)を用いて、加圧濾過した。得られた濾液に、エタノール及び/又はメタノールを注意深く加えて、沈殿物を得、該沈殿物を遠心分離によって集め、120℃で一晩真空乾燥を行って、白色固体のポリ(n−デシル−イソブチルシラン)を得た。
【0060】
なお、得られたポリ(n−デシル−イソブチルシラン)をトルエンに溶解し、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノール、水を用いて、分子量の大きいものから順に沈殿させて分別し、サンプルとした。
【0061】
得られたサンプルについて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(LC−10ADvp、Shimadzu社製)を用いて、重量平均分子量Mw、及び、分子量分散Mw/Mn(Mn:数平均分子量)を決定した。その結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
〔ポリ(n−デシル−イソヘキシルシラン)の合成〕
ポリ(n−デシル−イソヘキシルシラン)は、下記反応式(3)に示すように、1−ブロモ−イソヘキシルとマグネシウムから得られるグリニヤル試薬と、n−デシルトリクロロシラン(n−C10H21SiCl3)とを用いて、n−デシル−イソヘキシルジクロロシランを合成し、n−デシル−イソヘキシルジクロロシランを重合させることによって合成した。
【0064】
【化6】
【0065】
すなわち、上記反応式(3)に示すように、マグネシウム(0.3mol)と、1−ブロモ−イソヘキシル(0.25mol)と、n−デシルトリクロロシラン(0.25mol)とを用い、減圧蒸留を139℃、3.3mmHgで行った以外は、上記したn−デシル−イソブチルジクロロシランの合成手順と同様の操作を行い、n−デシル−イソヘキシルジクロロシランを得た。
【0066】
次いで、該n−デシル−イソヘキシルジクロロシランを用いた以外は、ポリ(n−デシル−イソブチルシラン)の合成手順と同様の操作を行い、ポリ(n−デシル−イソヘキシルシラン)を得た。
【0067】
得られたサンプルD06について、上記したゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて、重量平均分子量Mw、及び、分子量分散Mw/Mn(Mn:数平均分子量)を決定した結果、重量平均分子量Mwは181,000であり、分子量分散Mw/Mnは1.32であった。
【0068】
〔実施例1〜3〕
上記にて得られたサンプルA07(実施例1)、A08(実施例2)、A09(実施例3)を、それぞれ、濃度が1×10−5mol/LとなるようにTHFに溶解してTHF溶液とし、25℃の温度条件下にて、(S)−2−メチル−ブタノール、又は、(R)−2−メチル−ブタノール(それぞれ、1.5mL)を攪拌しながら、上記THF溶液(0.9mL)に1分間かけて添加し、さらに、メタノール(0.6mL)を30秒かけて添加し、2分間攪拌して、混合液を得た。なお、上記混合液の各成分の体積比は、25℃にて、上記THF溶液:キラル分子((S)−2−メチル−ブタノール、又は、(R)−2−メチル−ブタノール):沈殿生成用溶剤(メタノール)=3:5:2であった。
【0069】
得られた各混合液について、円二色性吸収スペクトル測定(JASCO J−725スペクトルメータを使用)を行った。その結果を図1〜図3及び表2に示す。なお、図中、R,Sは、R体,S体を示し、表2中のΔεは、円二色性吸光度を表し、λextは、偏光強度(dm3mol −1cm−1)を表す。
【0070】
【表2】
【0071】
図1〜図3及び表2に示されるように、サンプルA07〜A08のいずれにおいても、2−メチル−ブタノールのキラリティ(対掌性)に応じて、コットン効果の正負(円二色性の符号)が反転することがわかる。
【0072】
また、上記サンプルA07及びサンプルA08の各THF溶液と、(S)−2−メチル−ブタノールとを用いて得た混合液の円二色性吸収スペクトルを図4に示す。図4に示されるように、ポリシランの分子量分散Mw/Mnが小さいサンプル(A08)を用いた場合の方が、円二色性吸収スペクトルの吸収ピークがよりシャープになることがわかる。
【0073】
〔実施例4〜6〕
上記にて得られたサンプルA00(実施例4)、A19(実施例5)、A31(実施例6)の各THF溶液と、(S)−2−メチル−ブタノールとを用いて、上記実施例1で説明した手順と同様の手順及び体積比にて、混合液を調製し、円二色性吸収スペクトルを測定した。その結果を図5に示す。なお、図5には、前記実施例2・3にて得られた図4に示すデータも併せて示している。
【0074】
図5に示されるように、ポリシランの重量平均分子量Mwが大きい場合(サンプルA00)、小さい場合(サンプルA31)には、円二色性吸収スペクトルに見られるコットン効果が弱くなるが、サンプルA08・A09・A19を用いた場合に示されるように、重量平均分子量Mwの増加に伴って、円二色性吸収スペクトルに見られるコットン効果が強くなることがわかる。
【0075】
〔実施例7〜12〕
上記にて得られたサンプルA00(実施例7)、A07(実施例8)、A08(実施例9)、A16(実施例10)、A19(実施例11)、A31(実施例12)の各THF溶液と、(R)−2−オクタノール(1.5mL)とを用いて、上記実施例1で説明した手順と同様の手順及び体積比にて混合液を調製し、円二色性吸収スペクトルを測定した。その結果を図6に示す。
【0076】
図6に示されるように、重量平均分子量Mwの増加に伴って、円二色性吸収スペクトルに見られるコットン効果が強くなり、ポリシランの重量平均分子量Mwが大きい場合や、小さい場合には、円二色性吸収スペクトルに見られるコットン効果が弱くなることがわかる。
【0077】
また、図1〜図3と、図6とを比較すると、キラル分子として、(R)−2−メチル−ブタノールを用いた場合と、(R)−2−オクタノールを用いた場合とでは、コットン効果の正負(円二色性の符号)が反転していることがわかる。
【0078】
〔実施例13〕
上記にて得られたサンプルA11と、(R)−2−アミノ−1−プロパノールとを用いて、上記実施例1で説明した手順と同様の手順及び体積比にて混合液を調製し、円二色性吸収スペクトルを測定した。その結果を図7に示す。
【0079】
図7に示されるように、2−アミノ−1−プロパノールを用いた場合にも、混合液が旋光性を示すことがわかる。このことから、ポリシランの主鎖を構成するケイ素原子と、2−アミノ−1−プロパノールの窒素原子及び酸素原子とが相互作用して、ポリシラン−キラル分子複合体が形成されると考えることができる。
【0080】
〔実施例14〜19〕
上記にて得られたサンプルA09(実施例14)、A10(実施例15)、A11(実施例16)、A12(実施例17)、A16(実施例18)、A31(実施例19)の各THF溶液と、(S)−1−クロロ−3−メチルペンタンとを用いて、上記実施例1で説明した手順と同様の手順及び体積比にて混合液を調製し、円二色性吸収スペクトルを測定した。その結果を図8に示す。
【0081】
図8に示されるように、キラル分子として塩化炭化水素化合物を用いた場合にも、混合液が旋光性を示すことがわかる。このことから、ポリシランの主鎖を構成するケイ素原子と、1−クロロ−3−メチルペンタンの塩素原子とが相互作用して、ポリシラン−キラル分子複合体が形成されると考えることができる。
【0082】
〔実施例20〜27〕
上記にて得られたサンプルA09(実施例20)、A10(実施例21)、A11(実施例22)、A12(実施例23)、A16(実施例24)、A31(実施例25)、A63(実施例26)、D06(実施例27)の各THF溶液と、(S)−1−ブロモ−3−メチルブタンとを用いて、上記実施例1で説明した手順と同様の手順及び体積比にて混合液を調製し、円二色性吸収スペクトルを測定した。その結果を図9に示す。
【0083】
図9に示されるように、キラル分子として臭化炭化水素化合物を用いた場合にも、混合液が旋光性を示すことがわかる。このことから、ポリシランの主鎖を構成するケイ素原子と、1−ブロモ−3−メチルブタンの臭素原子とが相互作用して、ポリシラン−キラル分子複合体が形成されると考えることができる。
【0084】
〔実施例28〕
上記にて得られたサンプルA11のTHF溶液と、(R)−シトロネラール(citronellol)又は(S)−シトロネラールとを用いて、上記実施例1で説明した手順と同様の手順及び体積比にて、それぞれの混合液を調製し、円二色性吸収スペクトルを測定した。その結果を図10に示す(図中、R,Sは、R体,S体を示す)。
【0085】
〔実施例29〕
上記にて得られたサンプルA11のTHF溶液と、実施例28のシトロネラールの臭化物である(R)−臭化シトロネル(citronelly bromide)又は(S)−臭化シトロネルとを用いて、上記実施例1で説明した手順と同様の手順及び体積比にて、それぞれの混合液を調製し、円二色性吸収スペクトルを測定した。その結果を図11に示す(図中、R,Sは、R体,S体を示す)。
【0086】
図10及び図11に示されるように、同じキラリティを有するアルコール、臭化炭化水素化合物では、コットン効果の正負(円二色性の符号)は同じであることがわかる。
【0087】
〔実施例30〜33〕
上記にて得られたサンプルA11のTHF溶液と、キラル分子である(S)−1−クロロ−6−メチルオクタン(実施例30)、(S)−1−クロロ−4−メチルヘキサン(実施例31)、(S)−1−クロロ−2−メチルブタン(実施例33)の各塩化物とを用いて、上記実施例1で説明した手順と同様の手順及び体積比にて、それぞれの混合液を調製し、円二色性吸収スペクトルを測定した。その結果を図12に示す。なお、図12には、実施例16にて得られた図8に示すデータも併せて示している。
【0088】
〔実施例34〕
上記にて得られたサンプルA11のTHF溶液と、キラル分子である(S)−1−ブロモ−2−メチルオクタンとを用いて、上記実施例1で説明した手順と同様の手順及び体積比にて、それぞれの混合液を調製し、円二色性吸収スペクトルを測定した。その結果を図13に示す。なお、図13には、実施例22にて得られた図9に示すデータも併せて示している。
【0089】
図12及び図13に示されるように、不斉中心位置の炭素とハロゲン化部位の炭素との間の炭素数に依存して、コットン効果の正負(円二色性の符号)が変化し、炭素が4コ以上ある場合(実施例30)、コットン効果の正負が逆転することがわかる。また、コットン効果の正負は、不斉中心位置の炭素から、ハロゲン化部位とは異なる方向への炭素数には、依存しないことがわかる。
【0090】
〔実施例35・36〕
上記にて得られたサンプルA11のTHF溶液と、ミリチルクロリド(myrtyl chloride)の(+)体及び(−)体(実施例35)、リモネンのR体及びS体(実施例36)の各キラル分子とを用いて、上記実施例1で説明した手順と同様の手順及び体積比にて、それぞれの混合液を調製し、円二色性吸収スペクトルを測定した。その結果を図14及び図15に示す(図中、R,Sは、R体,S体を示す)。なお、ミリチルクロリドの(+)体及び(−)体は、ミリチルクロリドについて行った円二色性吸収スペクトル測定から得られた、円二色性の符号である。
【0091】
図14及び図15に示されるように、本発明のポリシランを用いれば、直鎖炭化水素や環状炭化水素のキラル分子のキラリティや不斉中心を識別することができることがわかる。
【0092】
〔実施例37〜39〕
上記にて得られたサンプルA09(実施例37)、A11(実施例38)、A12(実施例39)の各THF溶液、(S)−2−メチルブチル−m−ブロモフェニルエーテルとを用いて、上記実施例1で説明した手順と同様の手順及び体積比にて混合液を調製し、円二色性吸収スペクトルを測定した。その結果を図16に示す。
【0093】
〔実施例40〜45〕
上記にて得られたサンプルA09(実施例40)、A11(実施例41)、A12(実施例42)、A31(実施例43)、A53(実施例44)、D06(実施例45)の各THF溶液と、1−ブロモ−4−(S)−2−メチルブチルベンゼンとを用いて、上記実施例1で説明した手順と同様の手順及び体積比にて混合液を調製し、円二色性吸収スペクトルを測定した。その結果を図17に示す。
【0094】
図16及び図17に示されるように、本発明のポリシランを用いれば、エーテル類や芳香族化合物類のキラル分子のキラリティや不斉中心を識別することができることがわかる。
【0095】
【発明の効果】
本発明の不斉分子識別材料は、上記一般式(1)で表されるように、主鎖がケイ素連鎖からなるポリシランであって、側鎖に炭化水素基等の無極性官能基を有し、かつ該側鎖がアキラルな(光学不活性な)官能基である、無極性かつ光学不活性なポリシランを含有してなる。
【0096】
そして、上記不斉分子識別材料と、光学活性な不斉分子とを含んでなる識別材料含有液と、沈殿生成用溶剤とを混合して混合液を調製し、該混合液の円二色吸収スペクトル測定を行うことにより、不斉分子の対掌性や不斉中心の位置を識別することができる。
【0097】
従って、本発明の不斉分子識別材料を用いれば、未知の不斉分子の対掌性や不斉中心の位置を識別することが可能になる。また、上記不斉分子識別材料と、QCM(水晶発振子マイクロバランス)やSPR(表面プラズモン反射)等のデバイスとを組み合わせて用いることにより、不斉分子識別システムの構築が可能になると期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】サンプルA07と2−メチル−ブタノールとを用いて得られた各混合液の円二色性吸収スペクトルを示すグラフである。
【図2】サンプルA08と2−メチル−ブタノールとを用いて得られた各混合液の円二色性吸収スペクトルを示すグラフである。
【図3】サンプルA09と2−メチル−ブタノールとを用いて得られた各混合液の円二色性吸収スペクトルを示すグラフである。
【図4】サンプルA07と(S)−2−メチル−ブタノールとを用いて得られた混合液、及び、サンプルA08と(S)−2−メチル−ブタノールとを用いて得られた混合液の円二色性吸収スペクトルを示すグラフである。
【図5】ポリシランの各サンプルと、(S)−2−メチル−ブタノールとを用いて得られた各混合液の円二色性吸収スペクトルを示すグラフである。
【図6】ポリシランの各サンプルと、(R)−2−オクタノールとを用いて得られた各混合液の円二色性吸収スペクトルを示すグラフである。
【図7】サンプルA11と、(R)−2−アミノ−1−プロパノールとを用いて得られた混合液の円二色性吸収スペクトルを示すグラフである。
【図8】ポリシランの各サンプルと、(S)−1−クロロ−3−メチルペンタンとを用いて得られた各混合液の円二色性吸収スペクトルを示すグラフである。
【図9】ポリシランの各サンプルと、(S)−1−ブロモ−3−メチルブタンとを用いて得られた各混合液の円二色性吸収スペクトルを示すグラフである。
【図10】サンプルA11と、シトロネラールとを用いて得られた各混合液の円二色性吸収スペクトルを示すグラフである。
【図11】サンプルA11と、臭化シトロネルとを用いて得られた各混合液の円二色性吸収スペクトルを示すグラフである。
【図12】サンプルA11と、塩化物とを用いて得られた各混合液の円二色性吸収スペクトルを示すグラフである。
【図13】サンプルA11と、(S)−1−ブロモ−2−メチルオクタンとを用いて得られた各混合液の円二色性吸収スペクトルを示すグラフである。
【図14】サンプルA11と、ミリチルクロリドとを用いて得られた各混合液の円二色性吸収スペクトルを示すグラフである。
【図15】サンプルA11と、リモネンとを用いて得られた各混合液の円二色性吸収スペクトルを示すグラフである。
【図16】ポリシランの各サンプルと、(S)−2−メチルブチル−m−ブロモフェニルエーテルとを用いて得られた各混合液の円二色性吸収スペクトルを示すグラフである。
【図17】ポリシランの各サンプルと、1−ブロモ−4−(S)−2−メチルブチルベンゼンとを用いて得られた各混合液の円二色性吸収スペクトルを示すグラフである。
Claims (3)
- 上記光学不活性ポリシランの側鎖R1は、主鎖から1位〜4位のうちのいずれかの位置に少なくとも1つの分岐構造を有していることを特徴とする請求項1記載の不斉分子識別材料。
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