JP2004323563A - 塑性加工用潤滑剤及び塑性加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】黒鉛系等の固体潤滑剤に固有の不具合がなく、かつ従来の液体潤滑剤と比較して著しく耐熱性に優れた、常温難塑性加工材料に好適な塑性加工用潤滑剤と、これを利用する金属材料の塑性加工方法を提供する。
【解決手段】分岐構造の炭素鎖を持つ多価アルコール分子の1又は2以上の水酸基に対して脂肪酸がエステル結合した分岐型ポリオールエステル、特にネオペンチル型ポリオールエステルの1種又は2種以上を主成分として含む塑性加工用潤滑剤。この潤滑剤を用いる常温難塑性加工材料の塑性加工方法。
【選択図】 なし
【解決手段】分岐構造の炭素鎖を持つ多価アルコール分子の1又は2以上の水酸基に対して脂肪酸がエステル結合した分岐型ポリオールエステル、特にネオペンチル型ポリオールエステルの1種又は2種以上を主成分として含む塑性加工用潤滑剤。この潤滑剤を用いる常温難塑性加工材料の塑性加工方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は塑性加工用潤滑剤及び塑性加工方法に関し、更に詳しくは、常温では塑性加工の困難なマグネシウム合金等を比較的高い温度域で塑性加工する際に好適な塑性加工用潤滑剤、及びこの潤滑剤を用いて行う塑性加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属材料のプレス加工その他の塑性加工においては、加工材料と金型間の摩擦や金型相互間の摩擦を低減させる潤滑性能、金型の温度上昇を抑える冷却性能、加工製品の金型からの離型を容易にする離型性能等を期待して、各種の金属塑性加工用潤滑剤が用いられている。以下に、従来の代表的な金属塑性加工用潤滑剤を開示した幾つかの特許文献を列挙する。
【0003】
【特許文献1】特開昭63−30597号公報
上記の特許文献1には、黒鉛粉末を鉱物油に分散させ、又は水に分散させてなる黒鉛系の金属塑性加工用潤滑剤が開示されている。
【0004】
【特許文献2】特開昭55−139498号公報
上記の特許文献2には、アジピン酸塩と有機増粘剤を主成分とするカルボン酸系の金属塑性加工用潤滑剤が開示されている。
【0005】
【特許文献3】特開昭60−1293号公報
【特許文献4】特開平2−6600号公報
なお、上記特許文献3には芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩を主成分とする同様の潤滑剤が開示され、上記特許文献4には2種の2塩基カルボン酸のアルカリ金属塩と有機増粘剤を主成分とする同様の潤滑剤が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、塑性加工が望まれるが、常温下では加工が困難とされる一群の金属材料がある。例えば、マグネシウム合金はその結晶構造から室温での塑性加工が難しく、通常は250°C以上の温度域で加工される。このような温間加工の場合、上記した従来の各種の金属塑性加工用潤滑剤の内では、高温で有効な黒鉛等の固体潤滑剤が良く用いられている。
【0007】
しかし、黒鉛は色が黒いので作業環境を汚染し易いと言う問題がある。固体潤滑剤として黒鉛以外に例示される二硫化モリブデンも、化学反応が起こり易いために脱脂し難いと言う問題がある。更に、これらの固体成分が主体である潤滑剤は、連続加工時において金型に堆積し易いため、量産加工に向かないと言う問題もある。
【0008】
一方、上記したカルボン酸系の金属塑性加工用潤滑剤のような合成油、あるいは鉱物油を基油とする液体潤滑剤は、例えば250°C以上などと言う温度域での耐熱性に乏しい。そのため、加工物や金型に固着して加工材料のワレや焼付きの原因となる恐れが大きかった。又、臭気や油煙の発生等の非実用的な不具合もあった。
【0009】
このように、従来は、上記のような温度域での金属塑性加工に支障なく利用できる金属塑性加工用潤滑剤が提供されていなかった。そのために、常温で難塑性加工性の金属材料の温間塑性加工(例えば、マグネシウム板材の温間プレス加工等)は、世間の要求があるのに、量産レベルでは殆ど行われていない。
【0010】
そこで本発明は、金属材料の温間塑性加工において、従来製品のような支障を伴わずに好適に使用できる塑性加工用潤滑剤を提供することを、解決すべき技術的課題とする。本願発明者は、上記の技術的課題を解決するための研究過程において、一定の分岐型ポリオールエステルが従来製品のような上記各種の支障を生じないことを見出し、本願発明を完成した。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
(第1発明の構成)
上記課題を解決するための本願第1発明(請求項1に記載の発明)の構成は、分岐構造の炭素鎖を持つ多価アルコール分子の1又は2以上の水酸基に対して脂肪酸がエステル結合した分岐型ポリオールエステルの1種又は2種以上を主成分(基油)として含む、塑性加工用潤滑剤である。
【0012】
(第1発明の作用・効果)
第1発明に係る塑性加工用潤滑剤の主成分である分岐型ポリオールエステルは、例えば従来のカルボン酸系の金属塑性加工用潤滑剤と比較して著しい耐熱性を示す。そのため、加工物や金型に固着して加工材料のワレや焼付きの原因となる恐れが少ないし、油煙も発生し難い。このような耐熱性の理由は、多価アルコール分子が分岐構造の炭素鎖を持つ点にある、と考えられる。
【0013】
又、分岐型ポリオールエステルを主成分とする第1発明の塑性加工用潤滑剤においては、前記した黒鉛系潤滑剤のような黒色に基づく作業環境の汚染は起こらないし、黒鉛系や二硫化モリブデン系のような固体潤滑剤特有の、金型への堆積に基づく連続加工時の問題も起こさない。
【0014】
分岐型ポリオールエステルにおいて、多価アルコール分子の水酸基はその全てが脂肪酸とエステル結合していても良いし、水酸基の一部のみが脂肪酸とエステル結合していても良い。
【0015】
(第2発明の構成)
上記課題を解決するための本願第2発明(請求項2に記載の発明)の構成は、前記第1発明に係る多価アルコール分子の分岐構造が、4級炭素原子を持つ分岐構造である、塑性加工用潤滑剤である。
【0016】
(第2発明の作用・効果)
本願発明者の研究によれば、多価アルコール分子が4級炭素原子、即ち4本の結合手が全て他の炭素原子と共有結合した炭素原子を持つ分岐構造である場合に、耐熱性が特に良く、前記第1発明の効果が特に顕著である。
【0017】
(第3発明の構成)
上記課題を解決するための本願第3発明(請求項3に記載の発明)の構成は、前記第1発明又は第2発明に係る多価アルコール分子が、β位に4級炭素原子を持つネオペンチル型ポリオールである、塑性加工用潤滑剤である。
【0018】
(第3発明の作用・効果)
更に本願発明者の研究によれば、多価アルコール分子の4級炭素原子がβ位にある、いわゆるネオペンチル型ポリオールである場合に、とりわけ耐熱性が良好であり、前記第1発明の効果がとりわけ顕著である。
【0019】
(第4発明の構成)
上記課題を解決するための本願第4発明(請求項4に記載の発明)の構成は、前記第3発明に係るネオペンチル型ポリオールが、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールである、塑性加工用潤滑剤である。
【0020】
(第4発明の作用・効果)
上記第3発明に係るネオペンチル型ポリオールの種類は限定されないが、第4発明に規定したものが好ましく例示される。
【0021】
(第5発明の構成)
上記課題を解決するための本願第5発明(請求項5に記載の発明)の構成は、前記第1発明〜第4発明のいずれかに係る脂肪酸が、直鎖型又は分岐型の飽和脂肪酸である、塑性加工用潤滑剤である。
【0022】
(第5発明の作用・効果)
塑性加工用潤滑剤の主成分である分岐型ポリオールエステルの構成要素である脂肪酸の種類は限定されないが、直鎖型又は分岐型の飽和脂肪酸が、より好ましい。脂肪酸が不飽和脂肪酸である場合、耐熱性が低下する恐れがある。
【0023】
(第6発明の構成)
上記課題を解決するための本願第6発明(請求項6に記載の発明)の構成は、前記第1発明〜第5発明のいずれかに係る脂肪酸が、炭素数7〜26のモノカルボン酸である、塑性加工用潤滑剤である。
【0024】
(第6発明の作用・効果)
塑性加工用潤滑剤の主成分である分岐型ポリオールエステルの構成要素である脂肪酸としては、炭素数7〜26のモノカルボン酸が、より好ましい。脂肪酸の炭素数が7未満であると、臭気が強くなる恐れがある。脂肪酸の炭素数が26を超えると、粘度が高くなりあるいは固体化するため、使用時の作業性が悪くなる恐れがある。
【0025】
(第7発明の構成)
上記課題を解決するための本願第7発明(請求項7に記載の発明)の構成は、第1発明〜第6発明のいずれかに係る塑性加工用潤滑剤を用いて金属材料の塑性加工を行う、金属材料の塑性加工方法である。
【0026】
(第7発明の作用・効果)
第7発明に係る金属材料の塑性加工方法においては、上記第1発明〜第6発明のいずれかに係る塑性加工用潤滑剤を用いるので、これらの各発明の作用・効果を伴って金属材料の塑性加工を行うことができる。
【0027】
第7発明においては、金属材料の種類は必ずしも限定されないし、一定の高い温度域での温間塑性加工にも限定されない。なぜなら、黒鉛系潤滑剤の使用時のような作業環境の汚染を防止できると言う効果や、固体潤滑剤の使用時のような金型への堆積に基づく連続加工時の問題も防止できると言う効果は常に確保されるし、高耐熱性の分岐型ポリオールエステルは常温塑性加工において老化し難いとも考えられるからである。
【0028】
(第8発明の構成)
上記課題を解決するための本願第8発明(請求項8に記載の発明)の構成は、前記第7発明に係る塑性加工方法が、常温難塑性加工材料に対する温間塑性加工である、金属材料の塑性加工方法である。
【0029】
(第8発明の作用・効果)
上記した第7発明に係る金属材料の塑性加工方法は、塑性加工用潤滑剤の優れた耐熱性から考えて、常温難塑性加工材料に対する温間塑性加工に対して、特に好ましく適用することができる。
【0030】
(第9発明の構成)
上記課題を解決するための本願第9発明(請求項9に記載の発明)の構成は、前記第8発明に係る常温難塑性加工材料が、金属マグネシウム又はマグネシウム合金である、金属材料の塑性加工方法である。
【0031】
(第9発明の作用・効果)
上記した第8発明に係る常温難塑性加工材料としては、金属マグネシウム又はマグネシウム合金が特に好ましく例示される。
【0032】
【発明の実施の形態】
次に、第1発明〜第9発明の実施の形態について説明する。以下において単に「本発明」と言うときは第1発明〜第9発明を一括して指している。
【0033】
〔塑性加工用潤滑剤〕
本発明に係る塑性加工用潤滑剤は、後述する分岐型ポリオールエステルの1種又は2種以上を主成分(基油)として含む点に特徴がある。その他の点においては通常の脂肪系潤滑剤等と同様の構成とすることができる。
【0034】
塑性加工用潤滑剤には、上記の主成分の他に、この種の潤滑剤に用いられることがある任意の組成分を1種又は2種以上、必要に応じて含有させることができる。そのような組成分としては、油性向上剤、極圧剤、固体潤滑剤、金属石鹸等が例示される。
【0035】
油性向上剤としては、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ステアリルアミン、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、オレイン酸メチルエステル、ステアリン酸ブチルエステル、パーム油、ナタネ油、牛油、ラード等を例示することができる。
【0036】
極圧剤としては、硫化イソブテン、ジベンジルサルファイド、硫化油脂類、トリブチルフォスファイト、ジラウリルハイドロゼンフォスファイト、トリクレジルフォスフェート、ジラウリルアシッドフォスフェート、Zn−ジアルキルジチオフォスフェート等を例示することができる。
【0037】
固体潤滑剤としては、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、窒化ホウ素、ダイヤモンド、シリカ、アルミナ、ジルコニア、炭酸カルシウム、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド、ポリアセタール、メラミンシアヌレート、雲母等の粒子を例示することができる。これらの粒子は、好ましくは20μm以下の粒径である。
【0038】
金属石鹸としてはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸バリウム等を例示できる。
【0039】
本発明に係る塑性加工用潤滑剤には、その他にも、発明の目的を阻害しない範囲内において、金属加工油としての基本的性能を維持させるための公知の各種添加剤を適宜に配合することができる。そのようなものとして、アミン系やフェノール系の酸化防止剤、チアジアゾールやベンゾトリアゾール等の金属不活性化剤、アルケニルコハク酸イミド等のスラッジ分散剤、アルカリ土類金属のスルフォネートやサルフェートあるいはサリチレート等の防錆剤、ジメチルポリシロキサンやポリアクリレート等の消泡剤、等を例示することができる。
【0040】
塑性加工用潤滑剤の粘度は適宜に調整すれば良いが、例えば、40°Cにおいて5〜500mm2 /s程度とすることが好ましい。粘度が5mm2 /s未満であると、粘度不足のために十分な潤滑性が発現されない可能性がある。反面、粘度が500mm2 /sを超えると、粘性過剰のために塑性加工時の作業性に支障を来す可能性がある。
【0041】
〔分岐型ポリオールエステル〕
本発明で用いる分岐型ポリオールエステルとは、分岐構造の炭素鎖を持つ多価アルコール分子の水酸基に対して、脂肪酸がエステル結合したものを言う。多価アルコール分子の複数の水酸基の全てに対して脂肪酸がエステル結合したものも、水酸基の一部(1又は2以上の水酸基)に対して脂肪酸がエステル結合したものも、分岐型ポリオールエステルに包含される。
【0042】
〔多価アルコール〕
分岐型ポリオールエステルの構成要素である、分岐構造の炭素鎖を持つ多価アルコールとは、2個以上の水酸基を持つものを言うが、好ましくは2〜6個の水酸基を持つもの、より好ましくは2〜4個の水酸基を持つものである。
【0043】
多価アルコールにおける炭素鎖の分岐構造の種類は限定されない。例えばイソペンタンのような3級炭素原子を持つ分岐構造であっても良い。但し、高温環境での耐熱性あるいは常温環境での耐久性の見地からは、4級炭素原子を持つ分岐構造(例えば、3,3−ジメチルペンタンのような炭素骨格)が特に好ましく、とりわけ、β位に4級炭素原子を持つ、いわゆるネオペンチル型の分岐構造が好ましい。
【0044】
ネオペンチル型の分岐した炭素鎖を持つネオペンチル型ポリオールの種類は限定されないが、全体の炭素数が5〜10程度で、水酸基の数が2〜6程度のものが好ましい。例えば、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトール等を好ましく例示できる。
【0045】
〔脂肪酸〕
分岐型ポリオールエステルの構成要素である脂肪酸の種類は限定されないが、前記した理由から、直鎖型又は分岐型の飽和脂肪酸であることが好ましく、炭素数が7〜26のものであることが更に好ましい。
【0046】
〔金属材料の塑性加工方法〕
本発明の金属材料の塑性加工方法は、上記のいずれかの塑性加工用潤滑剤を用いて金属材料の塑性加工を行う点に特徴がある。その他の点については、適宜に通常の金属材料の塑性加工方法に準じて実施すれば良い。
【0047】
塑性加工の種類としては、圧延、鍛造、引き抜き、プレス等の加工を例示することができるが、これらに限定されるものではない。又、加工時の温度環境も限定されない。即ち、室温もしくは常温下、あるいはこれらに近い温度域で行われる冷間加工や、例えば200〜300°C程度の比較的高い温度域で行われる温間加工等が限定なく含まれる。
【0048】
但し、特に好ましいのが、常温難塑性加工材料に対する温間塑性加工である。このような加工において、本発明に係る塑性加工用潤滑剤のメリットが遺憾なく発揮される。本発明において、常温難塑性加工材料とは、室温もしくは常温下、あるいはこれらに近い温度域において圧延、鍛造、引き抜き、プレス等の塑性加工が困難で、比較的高い温度域での塑性加工を必要とするものを言う。比較的高い温度域とは、例えば250°C、あるいは200〜300°C程度の温度域を例示できるが、常温難塑性加工材料の種類に応じて好ましい加工温度域が異なるため、一律に規定することはできない。
【0049】
常温難塑性加工材料としては、金属マグネシウム又はマグネシウム合金を好ましく例示できる。他にも、金属チタン、チタン合金、高力アルミニウム合金等も例示することができる。
【0050】
【実施例】
(塑性加工試験の内容)
以下に、常温難塑性加工材料であるマグネシウム合金について行った温間プレス加工、及びその結果の評価を述べる。
【0051】
まず、試験材としてAZ31Bを用い、厚さが0.8mm、幅が80mm、長さが150mmの長方形の四隅を20mmの三角形にカットしたテストピースを複数準備した。
【0052】
これらのテストピースに対して、末尾の表1の実施例1〜実施例5、比較例1〜比較例4に示す組成の塑性加工用潤滑剤を用いて、下記(1)〜(4)の条件で、角頭絞り加工を行った。
【0053】
金型材質:SKD−11
金型寸法:パンチ 幅48.4mm、長さ 102.4mm
ダイス 幅50mm、長さ104mm
金型温度:260°C
絞り速度:15mm/min.
プレス機:三起精工 STR−100型 油圧プレス
潤滑剤塗布方法:テストピースの表裏に各5g/m2 をハケ塗り
(塑性加工試験の評価)
上記した実施例1〜実施例5、比較例1〜比較例4に係る塑性加工試験における「成形性」、「固着性」及び「油煙又は臭気」の評価結果を、表1中の該当する各例の欄に示す。
【0054】
なお、成形性の評価において、テストピースに問題のなかった例には「○」を、テストピースに割れが発生した例には「×」を、それぞれ表記した。固着性の評価において、潤滑剤の固着がなく潤滑剤の液性状に変化のなかっ例には「◎」を、潤滑剤の固着がないが潤滑剤の液性状に変化のあった例には「○」を、潤滑剤の固着が発生した例には「×」を、それぞれ表記した。油煙又は臭気に関しては、油煙又は臭気を発生しなかった例には「○」を、油煙又は臭気を発生した例には「×」を、それぞれ表記した。
【0055】
【表1】
【発明の属する技術分野】
本発明は塑性加工用潤滑剤及び塑性加工方法に関し、更に詳しくは、常温では塑性加工の困難なマグネシウム合金等を比較的高い温度域で塑性加工する際に好適な塑性加工用潤滑剤、及びこの潤滑剤を用いて行う塑性加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属材料のプレス加工その他の塑性加工においては、加工材料と金型間の摩擦や金型相互間の摩擦を低減させる潤滑性能、金型の温度上昇を抑える冷却性能、加工製品の金型からの離型を容易にする離型性能等を期待して、各種の金属塑性加工用潤滑剤が用いられている。以下に、従来の代表的な金属塑性加工用潤滑剤を開示した幾つかの特許文献を列挙する。
【0003】
【特許文献1】特開昭63−30597号公報
上記の特許文献1には、黒鉛粉末を鉱物油に分散させ、又は水に分散させてなる黒鉛系の金属塑性加工用潤滑剤が開示されている。
【0004】
【特許文献2】特開昭55−139498号公報
上記の特許文献2には、アジピン酸塩と有機増粘剤を主成分とするカルボン酸系の金属塑性加工用潤滑剤が開示されている。
【0005】
【特許文献3】特開昭60−1293号公報
【特許文献4】特開平2−6600号公報
なお、上記特許文献3には芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩を主成分とする同様の潤滑剤が開示され、上記特許文献4には2種の2塩基カルボン酸のアルカリ金属塩と有機増粘剤を主成分とする同様の潤滑剤が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、塑性加工が望まれるが、常温下では加工が困難とされる一群の金属材料がある。例えば、マグネシウム合金はその結晶構造から室温での塑性加工が難しく、通常は250°C以上の温度域で加工される。このような温間加工の場合、上記した従来の各種の金属塑性加工用潤滑剤の内では、高温で有効な黒鉛等の固体潤滑剤が良く用いられている。
【0007】
しかし、黒鉛は色が黒いので作業環境を汚染し易いと言う問題がある。固体潤滑剤として黒鉛以外に例示される二硫化モリブデンも、化学反応が起こり易いために脱脂し難いと言う問題がある。更に、これらの固体成分が主体である潤滑剤は、連続加工時において金型に堆積し易いため、量産加工に向かないと言う問題もある。
【0008】
一方、上記したカルボン酸系の金属塑性加工用潤滑剤のような合成油、あるいは鉱物油を基油とする液体潤滑剤は、例えば250°C以上などと言う温度域での耐熱性に乏しい。そのため、加工物や金型に固着して加工材料のワレや焼付きの原因となる恐れが大きかった。又、臭気や油煙の発生等の非実用的な不具合もあった。
【0009】
このように、従来は、上記のような温度域での金属塑性加工に支障なく利用できる金属塑性加工用潤滑剤が提供されていなかった。そのために、常温で難塑性加工性の金属材料の温間塑性加工(例えば、マグネシウム板材の温間プレス加工等)は、世間の要求があるのに、量産レベルでは殆ど行われていない。
【0010】
そこで本発明は、金属材料の温間塑性加工において、従来製品のような支障を伴わずに好適に使用できる塑性加工用潤滑剤を提供することを、解決すべき技術的課題とする。本願発明者は、上記の技術的課題を解決するための研究過程において、一定の分岐型ポリオールエステルが従来製品のような上記各種の支障を生じないことを見出し、本願発明を完成した。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
(第1発明の構成)
上記課題を解決するための本願第1発明(請求項1に記載の発明)の構成は、分岐構造の炭素鎖を持つ多価アルコール分子の1又は2以上の水酸基に対して脂肪酸がエステル結合した分岐型ポリオールエステルの1種又は2種以上を主成分(基油)として含む、塑性加工用潤滑剤である。
【0012】
(第1発明の作用・効果)
第1発明に係る塑性加工用潤滑剤の主成分である分岐型ポリオールエステルは、例えば従来のカルボン酸系の金属塑性加工用潤滑剤と比較して著しい耐熱性を示す。そのため、加工物や金型に固着して加工材料のワレや焼付きの原因となる恐れが少ないし、油煙も発生し難い。このような耐熱性の理由は、多価アルコール分子が分岐構造の炭素鎖を持つ点にある、と考えられる。
【0013】
又、分岐型ポリオールエステルを主成分とする第1発明の塑性加工用潤滑剤においては、前記した黒鉛系潤滑剤のような黒色に基づく作業環境の汚染は起こらないし、黒鉛系や二硫化モリブデン系のような固体潤滑剤特有の、金型への堆積に基づく連続加工時の問題も起こさない。
【0014】
分岐型ポリオールエステルにおいて、多価アルコール分子の水酸基はその全てが脂肪酸とエステル結合していても良いし、水酸基の一部のみが脂肪酸とエステル結合していても良い。
【0015】
(第2発明の構成)
上記課題を解決するための本願第2発明(請求項2に記載の発明)の構成は、前記第1発明に係る多価アルコール分子の分岐構造が、4級炭素原子を持つ分岐構造である、塑性加工用潤滑剤である。
【0016】
(第2発明の作用・効果)
本願発明者の研究によれば、多価アルコール分子が4級炭素原子、即ち4本の結合手が全て他の炭素原子と共有結合した炭素原子を持つ分岐構造である場合に、耐熱性が特に良く、前記第1発明の効果が特に顕著である。
【0017】
(第3発明の構成)
上記課題を解決するための本願第3発明(請求項3に記載の発明)の構成は、前記第1発明又は第2発明に係る多価アルコール分子が、β位に4級炭素原子を持つネオペンチル型ポリオールである、塑性加工用潤滑剤である。
【0018】
(第3発明の作用・効果)
更に本願発明者の研究によれば、多価アルコール分子の4級炭素原子がβ位にある、いわゆるネオペンチル型ポリオールである場合に、とりわけ耐熱性が良好であり、前記第1発明の効果がとりわけ顕著である。
【0019】
(第4発明の構成)
上記課題を解決するための本願第4発明(請求項4に記載の発明)の構成は、前記第3発明に係るネオペンチル型ポリオールが、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールである、塑性加工用潤滑剤である。
【0020】
(第4発明の作用・効果)
上記第3発明に係るネオペンチル型ポリオールの種類は限定されないが、第4発明に規定したものが好ましく例示される。
【0021】
(第5発明の構成)
上記課題を解決するための本願第5発明(請求項5に記載の発明)の構成は、前記第1発明〜第4発明のいずれかに係る脂肪酸が、直鎖型又は分岐型の飽和脂肪酸である、塑性加工用潤滑剤である。
【0022】
(第5発明の作用・効果)
塑性加工用潤滑剤の主成分である分岐型ポリオールエステルの構成要素である脂肪酸の種類は限定されないが、直鎖型又は分岐型の飽和脂肪酸が、より好ましい。脂肪酸が不飽和脂肪酸である場合、耐熱性が低下する恐れがある。
【0023】
(第6発明の構成)
上記課題を解決するための本願第6発明(請求項6に記載の発明)の構成は、前記第1発明〜第5発明のいずれかに係る脂肪酸が、炭素数7〜26のモノカルボン酸である、塑性加工用潤滑剤である。
【0024】
(第6発明の作用・効果)
塑性加工用潤滑剤の主成分である分岐型ポリオールエステルの構成要素である脂肪酸としては、炭素数7〜26のモノカルボン酸が、より好ましい。脂肪酸の炭素数が7未満であると、臭気が強くなる恐れがある。脂肪酸の炭素数が26を超えると、粘度が高くなりあるいは固体化するため、使用時の作業性が悪くなる恐れがある。
【0025】
(第7発明の構成)
上記課題を解決するための本願第7発明(請求項7に記載の発明)の構成は、第1発明〜第6発明のいずれかに係る塑性加工用潤滑剤を用いて金属材料の塑性加工を行う、金属材料の塑性加工方法である。
【0026】
(第7発明の作用・効果)
第7発明に係る金属材料の塑性加工方法においては、上記第1発明〜第6発明のいずれかに係る塑性加工用潤滑剤を用いるので、これらの各発明の作用・効果を伴って金属材料の塑性加工を行うことができる。
【0027】
第7発明においては、金属材料の種類は必ずしも限定されないし、一定の高い温度域での温間塑性加工にも限定されない。なぜなら、黒鉛系潤滑剤の使用時のような作業環境の汚染を防止できると言う効果や、固体潤滑剤の使用時のような金型への堆積に基づく連続加工時の問題も防止できると言う効果は常に確保されるし、高耐熱性の分岐型ポリオールエステルは常温塑性加工において老化し難いとも考えられるからである。
【0028】
(第8発明の構成)
上記課題を解決するための本願第8発明(請求項8に記載の発明)の構成は、前記第7発明に係る塑性加工方法が、常温難塑性加工材料に対する温間塑性加工である、金属材料の塑性加工方法である。
【0029】
(第8発明の作用・効果)
上記した第7発明に係る金属材料の塑性加工方法は、塑性加工用潤滑剤の優れた耐熱性から考えて、常温難塑性加工材料に対する温間塑性加工に対して、特に好ましく適用することができる。
【0030】
(第9発明の構成)
上記課題を解決するための本願第9発明(請求項9に記載の発明)の構成は、前記第8発明に係る常温難塑性加工材料が、金属マグネシウム又はマグネシウム合金である、金属材料の塑性加工方法である。
【0031】
(第9発明の作用・効果)
上記した第8発明に係る常温難塑性加工材料としては、金属マグネシウム又はマグネシウム合金が特に好ましく例示される。
【0032】
【発明の実施の形態】
次に、第1発明〜第9発明の実施の形態について説明する。以下において単に「本発明」と言うときは第1発明〜第9発明を一括して指している。
【0033】
〔塑性加工用潤滑剤〕
本発明に係る塑性加工用潤滑剤は、後述する分岐型ポリオールエステルの1種又は2種以上を主成分(基油)として含む点に特徴がある。その他の点においては通常の脂肪系潤滑剤等と同様の構成とすることができる。
【0034】
塑性加工用潤滑剤には、上記の主成分の他に、この種の潤滑剤に用いられることがある任意の組成分を1種又は2種以上、必要に応じて含有させることができる。そのような組成分としては、油性向上剤、極圧剤、固体潤滑剤、金属石鹸等が例示される。
【0035】
油性向上剤としては、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ステアリルアミン、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、オレイン酸メチルエステル、ステアリン酸ブチルエステル、パーム油、ナタネ油、牛油、ラード等を例示することができる。
【0036】
極圧剤としては、硫化イソブテン、ジベンジルサルファイド、硫化油脂類、トリブチルフォスファイト、ジラウリルハイドロゼンフォスファイト、トリクレジルフォスフェート、ジラウリルアシッドフォスフェート、Zn−ジアルキルジチオフォスフェート等を例示することができる。
【0037】
固体潤滑剤としては、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、窒化ホウ素、ダイヤモンド、シリカ、アルミナ、ジルコニア、炭酸カルシウム、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド、ポリアセタール、メラミンシアヌレート、雲母等の粒子を例示することができる。これらの粒子は、好ましくは20μm以下の粒径である。
【0038】
金属石鹸としてはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸バリウム等を例示できる。
【0039】
本発明に係る塑性加工用潤滑剤には、その他にも、発明の目的を阻害しない範囲内において、金属加工油としての基本的性能を維持させるための公知の各種添加剤を適宜に配合することができる。そのようなものとして、アミン系やフェノール系の酸化防止剤、チアジアゾールやベンゾトリアゾール等の金属不活性化剤、アルケニルコハク酸イミド等のスラッジ分散剤、アルカリ土類金属のスルフォネートやサルフェートあるいはサリチレート等の防錆剤、ジメチルポリシロキサンやポリアクリレート等の消泡剤、等を例示することができる。
【0040】
塑性加工用潤滑剤の粘度は適宜に調整すれば良いが、例えば、40°Cにおいて5〜500mm2 /s程度とすることが好ましい。粘度が5mm2 /s未満であると、粘度不足のために十分な潤滑性が発現されない可能性がある。反面、粘度が500mm2 /sを超えると、粘性過剰のために塑性加工時の作業性に支障を来す可能性がある。
【0041】
〔分岐型ポリオールエステル〕
本発明で用いる分岐型ポリオールエステルとは、分岐構造の炭素鎖を持つ多価アルコール分子の水酸基に対して、脂肪酸がエステル結合したものを言う。多価アルコール分子の複数の水酸基の全てに対して脂肪酸がエステル結合したものも、水酸基の一部(1又は2以上の水酸基)に対して脂肪酸がエステル結合したものも、分岐型ポリオールエステルに包含される。
【0042】
〔多価アルコール〕
分岐型ポリオールエステルの構成要素である、分岐構造の炭素鎖を持つ多価アルコールとは、2個以上の水酸基を持つものを言うが、好ましくは2〜6個の水酸基を持つもの、より好ましくは2〜4個の水酸基を持つものである。
【0043】
多価アルコールにおける炭素鎖の分岐構造の種類は限定されない。例えばイソペンタンのような3級炭素原子を持つ分岐構造であっても良い。但し、高温環境での耐熱性あるいは常温環境での耐久性の見地からは、4級炭素原子を持つ分岐構造(例えば、3,3−ジメチルペンタンのような炭素骨格)が特に好ましく、とりわけ、β位に4級炭素原子を持つ、いわゆるネオペンチル型の分岐構造が好ましい。
【0044】
ネオペンチル型の分岐した炭素鎖を持つネオペンチル型ポリオールの種類は限定されないが、全体の炭素数が5〜10程度で、水酸基の数が2〜6程度のものが好ましい。例えば、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトール等を好ましく例示できる。
【0045】
〔脂肪酸〕
分岐型ポリオールエステルの構成要素である脂肪酸の種類は限定されないが、前記した理由から、直鎖型又は分岐型の飽和脂肪酸であることが好ましく、炭素数が7〜26のものであることが更に好ましい。
【0046】
〔金属材料の塑性加工方法〕
本発明の金属材料の塑性加工方法は、上記のいずれかの塑性加工用潤滑剤を用いて金属材料の塑性加工を行う点に特徴がある。その他の点については、適宜に通常の金属材料の塑性加工方法に準じて実施すれば良い。
【0047】
塑性加工の種類としては、圧延、鍛造、引き抜き、プレス等の加工を例示することができるが、これらに限定されるものではない。又、加工時の温度環境も限定されない。即ち、室温もしくは常温下、あるいはこれらに近い温度域で行われる冷間加工や、例えば200〜300°C程度の比較的高い温度域で行われる温間加工等が限定なく含まれる。
【0048】
但し、特に好ましいのが、常温難塑性加工材料に対する温間塑性加工である。このような加工において、本発明に係る塑性加工用潤滑剤のメリットが遺憾なく発揮される。本発明において、常温難塑性加工材料とは、室温もしくは常温下、あるいはこれらに近い温度域において圧延、鍛造、引き抜き、プレス等の塑性加工が困難で、比較的高い温度域での塑性加工を必要とするものを言う。比較的高い温度域とは、例えば250°C、あるいは200〜300°C程度の温度域を例示できるが、常温難塑性加工材料の種類に応じて好ましい加工温度域が異なるため、一律に規定することはできない。
【0049】
常温難塑性加工材料としては、金属マグネシウム又はマグネシウム合金を好ましく例示できる。他にも、金属チタン、チタン合金、高力アルミニウム合金等も例示することができる。
【0050】
【実施例】
(塑性加工試験の内容)
以下に、常温難塑性加工材料であるマグネシウム合金について行った温間プレス加工、及びその結果の評価を述べる。
【0051】
まず、試験材としてAZ31Bを用い、厚さが0.8mm、幅が80mm、長さが150mmの長方形の四隅を20mmの三角形にカットしたテストピースを複数準備した。
【0052】
これらのテストピースに対して、末尾の表1の実施例1〜実施例5、比較例1〜比較例4に示す組成の塑性加工用潤滑剤を用いて、下記(1)〜(4)の条件で、角頭絞り加工を行った。
【0053】
金型材質:SKD−11
金型寸法:パンチ 幅48.4mm、長さ 102.4mm
ダイス 幅50mm、長さ104mm
金型温度:260°C
絞り速度:15mm/min.
プレス機:三起精工 STR−100型 油圧プレス
潤滑剤塗布方法:テストピースの表裏に各5g/m2 をハケ塗り
(塑性加工試験の評価)
上記した実施例1〜実施例5、比較例1〜比較例4に係る塑性加工試験における「成形性」、「固着性」及び「油煙又は臭気」の評価結果を、表1中の該当する各例の欄に示す。
【0054】
なお、成形性の評価において、テストピースに問題のなかった例には「○」を、テストピースに割れが発生した例には「×」を、それぞれ表記した。固着性の評価において、潤滑剤の固着がなく潤滑剤の液性状に変化のなかっ例には「◎」を、潤滑剤の固着がないが潤滑剤の液性状に変化のあった例には「○」を、潤滑剤の固着が発生した例には「×」を、それぞれ表記した。油煙又は臭気に関しては、油煙又は臭気を発生しなかった例には「○」を、油煙又は臭気を発生した例には「×」を、それぞれ表記した。
【0055】
【表1】
Claims (9)
- 分岐構造の炭素鎖を持つ多価アルコール分子の1又は2以上の水酸基に対して脂肪酸がエステル結合した分岐型ポリオールエステルの1種又は2種以上を主成分として含むことを特徴とする塑性加工用潤滑剤。
- 前記多価アルコール分子の分岐構造が、4級炭素原子を持つ分岐構造であることを特徴とする請求項1に記載の塑性加工用潤滑剤。
- 前記多価アルコール分子が、β位に4級炭素原子を持つネオペンチル型ポリオールであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の塑性加工用潤滑剤。
- 前記ネオペンチル型ポリオールが、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールであることを特徴とする請求項3に記載の塑性加工用潤滑剤。
- 前記脂肪酸が、直鎖型又は分岐型の飽和脂肪酸であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の塑性加工用潤滑剤。
- 前記脂肪酸が、炭素数7〜26のモノカルボン酸であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の塑性加工用潤滑剤。
- 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の塑性加工用潤滑剤を用いて金属材料の塑性加工を行うことを特徴とする塑性加工方法。
- 前記塑性加工方法が、常温難塑性加工材料に対する温間塑性加工であることを特徴とする請求項7に記載の金属材料の塑性加工方法。
- 前記常温難塑性加工材料が、金属マグネシウム又はマグネシウム合金であることを特徴とする請求項8に記載の金属材料の塑性加工方法。
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