JP2004322470A - ゴム加硫用金型及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】加熱型1の両端部にそれぞれ冷却型2,2を設けたゴム加硫用金型に関する。加熱型1と冷却型2とを、接合箇所に流し込まれた溶融金属4が固化して形成される金属層3を介して接合する。冷却型2を金属層3を介して加熱型1に密着させて接合することが可能になる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴムシートやゴムベルトなどのゴムを送り焼きして加硫する際に用いられるゴム加硫用金型及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ゴムシートやゴムベルトなど、ゴムの長尺材やエンドレス材を加硫する際には、送り焼きと称される工法で加硫が行なわれている。この送り焼きは、上下に対向して配置される一対の加熱型を用い、この上下の加熱型の間に長尺あるいはエンドレスの未加硫ゴム成形体を送り、未加硫ゴム成形体の長手方向の一部を加熱型で加熱・加圧することによって、未加硫ゴム成形体のうち加熱型の長さに相当する部分を加硫し、次に加熱型を開いて未加硫ゴム成形体をさらに送った後に、同様に加熱型で加熱加圧することによって未加硫ゴム成形体の未加硫部分を加硫し、この操作を繰り返すことによって、長尺やエンドレスに形成される未加硫ゴム成形体を全長に亘って加硫するようにしたものである(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【0003】
上記のように一対の加熱型1,1を用いて未加硫ゴム成形体10を送り焼きして加硫するにあたって、図3(a)に示すように各加熱型1の未加硫ゴム成形体10を送る方向での両端部に冷却型2が設けてある。加熱型1は内部に高温の蒸気を通すことによって加熱を行なうことができるようにしてあるが、冷却型2は内部に配管を設けて形成されるものであり、水入口11から配管に冷却水を送ると共に水出口12から冷却水を排出することによって、配管に通した冷却水で冷却を行なうようにしてある。
【0004】
そして長尺やエンドレスの未加硫ゴム成形体10を上下一対の加熱型1,1内に送り、図3(a)のイ矢印のように加熱型1で未加硫ゴム成形体10を加熱加圧することによって、未加硫ゴム成形体10の長手方向のうち加熱型1で加熱加圧した部分を加硫し、次に加熱型1をロ矢印のように開いて、ハ矢印のように未加硫ゴム成形体10を長手方向にさらに送った後に、同様に加熱型1で加熱加圧することによって、未加硫ゴム成形体10の未加硫部分を加硫し、この操作を繰り返して行なうことによって、長尺やエンドレスに形成される未加硫ゴム成形体10を長手方向に沿って順に送り焼きして加硫することができる。
【0005】
ここで、未加硫ゴム成形体10を上記のように送り焼きして加硫するにあたって、加熱型1で加熱加圧される部分が一部重複するように未加硫ゴム成形体10を送って、加硫が行なわれるが、加熱型1の全面が高温に加熱されていると、未加硫ゴム成形体10のうち加熱型1で加熱加圧される部分の全面が完全加硫されることになり、重複して加熱型1で加熱加圧される部分は、二重に高温で加熱されて焼けゴム状態になったりするおそれがある。
【0006】
そこで上記のように、高温に加熱されている加熱型1の両端部に冷却型2が設けられているものであり、冷却型2による冷却作用によって、加熱型1のうち冷却型2を設けた箇所は温度が低く未加硫ゴム成形体10を加硫させないようにし、また加熱型1のうち冷却型2に近い部分は中温にして未加硫ゴム成形体10を半分程度加硫させることができるようにしてある。このため、上記のように加熱型1で未加硫ゴム成形体10を加熱加圧して加硫を行なうと、図3(b)に示すように、冷却型2による冷却の影響を受けない加熱型1の中央部では未加硫ゴム成形体10は高温で加熱されて完全加硫状態になり(加硫部分をCで示す)、加熱型1の冷却型2に近い部分では未加硫ゴム成形体10は半加硫状態になり(半加硫部分をB1,B2で示す)、加熱型1の冷却型2を設けた部分では未加硫ゴム成形体10は未加硫状態のままになる(未加硫部分をAで示す)。そして次に加熱型1を開いて未加硫ゴム成形体10をハ矢印のように送るときに、半加硫部分B2が図3(b)の半加硫部分B1の位置にくるようにすることによって、次の加熱型1による加熱加圧によって半加硫部分B2を完全加硫状態にすることができるのである。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−338321号公報
【特許文献2】
特開平11−130221号公報
【特許文献3】
特開2000−43070号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように加熱型1の両端部に冷却型2を設けることによって、未加硫ゴム成形体10に半加硫部分を形成し、送り焼きで加硫を行なう際に、重複して加熱型1で加熱加圧をする部分が焼けゴム状態などになることを防ぐことができるものである。従ってこの場合、加熱型1の両端部が冷却型2によって如何に有効に冷却できるかが問題であり、冷却型2による冷却が効かないと、半加硫部分は殆どなくなり、焼けゴム状態が発生したり切断が発生したりするおそれがある。冷却型2によって冷却される部分の加熱型1の表面は50℃以下、できうるならば40℃以下が望ましい。
【0009】
そして、加熱型1への冷却型2の取り付けは、加工費用や作業性などの面から、ハンダの点溶接で行なわれることが多い。しかし、加熱型1と冷却型2の接合面の平滑度が高くなく凹凸があると、このような点溶接では加熱型1と冷却型2の接合面同士を密着させることができず、接合面間に隙間が生じる。従ってこの場合には、加熱型1と冷却型2との間の熱伝導性が低くなり、冷却型2で加熱型1を有効に冷却することができなくなるという問題があった。また点溶接の場合、繰り返し使用による熱や圧力の履歴に伴なって溶接が外れ易く、その度に接合面を平滑にして再度点溶接を行なわなければならず、メンテナンスが繁雑になる等の問題もあった。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、冷却型による加熱型の冷却効果が高く、また加熱型に冷却型を強固に取り付けることができるゴム加硫用金型及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係るゴム加硫用金型は、加熱型1の両端部にそれぞれ冷却型2,2を設けたゴム加硫用金型において、加熱型1と冷却型2とを、接合箇所に流し込まれた溶融金属4が固化して形成される金属層3を介して接合して成ることを特徴とするものである。
【0012】
また請求項2の発明は、請求項1において、加熱型1と冷却型2の間に充填された溶融金属4が固化して形成される金属層3によって加熱型1と冷却型2とを接合して成ることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の請求項3に係るゴム加硫用金型の製造方法は、加熱型1の両端部にそれぞれ冷却型2,2を設けたゴム加硫用金型を製造するにあたって、加熱型1と冷却型2との間に充填した溶融金属4を固化させることによって、固化した金属層3で加熱型1に冷却型2を接合することを特徴とするものである。
【0014】
また請求項4の発明は、請求項3において、上記金属として鉛、アルミニウム、亜鉛から選ばれるものを用いることを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
加熱型1は内部に高温の蒸気を通す蒸気配管などを設けて形成してあり、また冷却型2は水入口11と水出口12を両端に備えた冷却水配管などを内部に設けて形成してある。これらの加熱型1や冷却型2の材質は特に制限されないが、ステンレス、アルミニウム等の任意の金属で形成することができる。また加熱型1の未加硫ゴム成形体10を送る方向での両端部に取付凹所14が凹設してある。この取付凹所14は加熱型1の成形面と反対側の背面に設けられるものであり、背方及び側方に開口するように形成してある。
【0017】
そして加熱型1に冷却型2を取り付けるにあたっては、まず図1(a)のように加熱型1の側面に枠15を配置して、取付凹所14の側方への開口を塞ぐ。次に、るつぼにいれた金属をアセチレンガス等を使用して加熱することによって完全に溶かし、枠15によって側方の開口を塞いだ取付凹所14に溶融金属4を流し込む。この金属としては、容易に完全に溶融するものであればなんでも良いが、鉛、アルミニウム、亜鉛は、比較的低温で容易に溶融し、熱伝導率も高いので特に好ましい。
【0018】
このように溶融金属4を流し込んだ後、溶融金属4が固まらないうちに、取付凹所14に冷却型2を嵌め込み、図1(b)のように加熱型1の取付凹所14と冷却型2の間の隙間に溶融金属4を充填させる。そして溶融金属4を冷却して固化させることによって、加熱型1と冷却型2の間の隙間に金属層3が形成されるものであり、加熱型1と冷却型2の接合面の間に介在されるこの金属層3で加熱型1に冷却型2を接合固定することができるものである。このように溶融金属4を冷却して金属層3を形成させた後、図1(c)のように枠15を外し、加熱型1と冷却型2の間からはみ出る金属層3をグラインダー等で取り除き、必要に応じて加熱型1と冷却型2の端部間をハンダで点溶接することによって、仕上げることができるものである。この冷却型2を両端部に設けた加熱型1は図3に示すように、長尺あるいはエンドレスの未加硫ゴム成形体10を送り焼きして加硫する際に用いることができる。
【0019】
上記のように加熱型1に冷却型2を取り付けるにあたって、加熱型1や冷却型2の接合面が平滑でなく凹凸があっても、加熱型1と冷却型2の間に充填した溶融金属4が固化して形成される金属層3は凹凸に沿って密着しており、加熱型1と冷却型2の各接合面を金属層3を介して隙間が生じることなく密着させることができるものであり、加熱型1と冷却型2の間の熱伝導性が良好になって、冷却型2による加熱型1の冷却効果を高く得ることができるものである。
【0020】
ここで、加熱型1と冷却型2としてそれぞれの接合面が平滑でないものを用い、鉛の溶融金属4を用いて図1のように加熱型1に冷却型2を接合した場合(実施例1)、アルミニウムの溶融金属4を用いて図1のように加熱型1に冷却型2を接合した場合(実施例2)について、それぞれ試験を行なったところ、加熱型1の冷却型2を設けた部分の表面温度は40℃であった。そしてこの加熱型1を用いて図3のように送り焼きで加硫を行なったところ、良好な製品を得ることができた。一方、加熱型1と冷却型2としてそれぞれの接合面が平滑でないものを用い、加熱型1に冷却型2をハンダの点溶接で接合した場合(比較例1)、加熱型1の冷却型2を設けた部分の表面温度は80℃であり、この加熱型1を用いて送り焼きで加硫を行なったところ、製品に焼けが発生した。また加熱型1と冷却型2としてそれぞれの接合面が平滑なものを用いて、加熱型1に冷却型2をハンダの点溶接で接合した場合(比較例2)には、加熱型1の冷却型2を設けた部分の表面温度は40℃であり、この加熱型1を用いて送り焼きで加硫を行なったところ、良好な製品を得ることができた。
【0021】
上記の図1の実施の形態では、加熱型1と冷却型2の間に充填した溶融金属4を固化させることによって金属層3を形成するようにしたが、図2の実施の形態のようにして加熱型1に冷却型2を取り付けるようにしてもよい。すなわち、図2(a)のように枠15によって側方の開口を塞いだ取付凹所14に溶融金属4を流し込み、溶融金属4を冷却して固化させ、取付凹所14の底面に金属層3を形成した後、枠15を外して金属層3の表面をグラインダー等で研磨して平滑にし、この平滑にした金属層3に図2(b)のように冷却型2を設置して、加熱型1と冷却型2の端部間をハンダで点溶接することによって、加熱型1に冷却型2を取り付けることができる。この場合、金属層3は流し込んだ溶融金属4を固化させることによって形成されるので、その表面は平滑に形成されており、グラインダー等をかけることによってさらに平滑な面にすることができるものであり、冷却型2を金属層3を介して加熱型1に密着させて接合することが可能になるものである。
【0022】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係るゴム加硫用金型は、加熱型の両端部にそれぞれ冷却型を設けたゴム加硫用金型において、加熱型と冷却型とを、接合箇所に流し込まれた溶融金属が固化して形成される金属層を介して接合するようにしたので、冷却型を金属層を介して加熱型に密着させて接合することが可能になり、加熱型と冷却型との間の熱伝導性が良好になって、冷却型による加熱型の冷却効果を高く得ることができるものである。
【0023】
また請求項2の発明は、請求項1において、加熱型と冷却型の間に充填された溶融金属が固化して形成される金属層によって加熱型と冷却型とを接合するようにしたので、加熱型や冷却型の接合面が平滑でなくても、加熱型と冷却型の間に充填した溶融金属が固化して形成される金属層を介して加熱型と冷却型の各接合面を密着させることができるものであり、加熱型と冷却型との間の熱伝導性が良好になって、冷却型による加熱型の冷却効果を高く得ることができるものである。
【0024】
また、本発明の請求項3に係るゴム加硫用金型の製造方法は、加熱型の両端部にそれぞれ冷却型を設けたゴム加硫用金型を製造するにあたって、加熱型と冷却型との間に充填した溶融金属を固化させることによって、固化した金属層で加熱型に冷却型を接合するようにしたので、加熱型や冷却型の接合面が平滑でなくても、加熱型と冷却型の間に充填した溶融金属が固化して形成される金属層を介して加熱型と冷却型の各接合面を密着させることができるものであり、加熱型と冷却型との間の熱伝導性が良好になって、冷却型による加熱型の冷却効果を高く得ることができるものである。また溶融金属が固化した金属層の溶着作用によっても加熱型に冷却型を固定することができ、加熱型に冷却型を強固に取り付けることができるものである。
【0025】
また請求項4の発明は、請求項3において、上記金属として鉛、アルミニウム、亜鉛から選ばれるものを用いるようにしたので、加熱型と冷却型との間の熱伝導性が良好になり、冷却型による加熱型の冷却効果を高く得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a),(b),(c)はそれぞれ一部の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ一部の断面図である。
【図3】同上のゴム加硫用金型による送り焼きの加硫を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ正面図である。
【符号の説明】
1 加熱型
2 冷却型
3 金属層
4 溶融金属
Claims (4)
- 加熱型の両端部にそれぞれ冷却型を設けたゴム加硫用金型において、加熱型と冷却型とを、接合箇所に流し込まれた溶融金属が固化して形成される金属層を介して接合して成ることを特徴とするゴム加硫用金型。
- 加熱型と冷却型の間に充填された溶融金属が固化して形成される金属層によって加熱型と冷却型とを接合して成ることを特徴とする請求項1に記載のゴム加硫用金型。
- 加熱型の両端部にそれぞれ冷却型を設けたゴム加硫用金型を製造するにあたって、加熱型と冷却型との間に充填した溶融金属を固化させることによって、固化した金属層で加熱型に冷却型を接合することを特徴とするゴム加硫用金型の製造方法。
- 上記金属として鉛、アルミニウム、亜鉛から選ばれるものを用いることを特徴とする請求項3に記載のゴム加硫用金型の製造方法。
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