JP2004318461A - トーンジャンプを目立たなくする画像処理 - Google Patents
トーンジャンプを目立たなくする画像処理 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004318461A JP2004318461A JP2003111049A JP2003111049A JP2004318461A JP 2004318461 A JP2004318461 A JP 2004318461A JP 2003111049 A JP2003111049 A JP 2003111049A JP 2003111049 A JP2003111049 A JP 2003111049A JP 2004318461 A JP2004318461 A JP 2004318461A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- image data
- frequency distribution
- image
- evaluation value
- pixel
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Image Processing (AREA)
- Facsimile Image Signal Circuits (AREA)
Abstract
【課題】画像データに起因して発生する画像の疑似輪郭を目立ちにくくする。
【解決手段】まず、それぞれ実質的に輝度を有する複数の画素によって画像を表現する画像データを読み込む(S2)。そして、輝度ごとの画素数の度数分布xを求める(S4,S6)。その後、度数分布xに対して所定の平滑化処理を行った度数分布yを求める(S8)。そして、分布xと分布yとから画像評価値を決定する(S10)。その後、画像評価値に応じて画像データにノイズを付加する(S14,16)。このような画像処理を行うことで、画像データに起因して疑似輪郭が生じるような画像データを、疑似輪郭が目立ちにくい画像データとすることができる。
【選択図】 図4
【解決手段】まず、それぞれ実質的に輝度を有する複数の画素によって画像を表現する画像データを読み込む(S2)。そして、輝度ごとの画素数の度数分布xを求める(S4,S6)。その後、度数分布xに対して所定の平滑化処理を行った度数分布yを求める(S8)。そして、分布xと分布yとから画像評価値を決定する(S10)。その後、画像評価値に応じて画像データにノイズを付加する(S14,16)。このような画像処理を行うことで、画像データに起因して疑似輪郭が生じるような画像データを、疑似輪郭が目立ちにくい画像データとすることができる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、画像処理技術に関し、特に、画像データに起因して発生する疑似輪郭を目立ちにくくするするための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、デジタル画像における疑似輪郭を解消するための技術が存在する。たとえば、特許文献1においては、階段状に色が変化してゆく複数の図形であって、互いの色の境目が認識できる複数の図形からなるカラーステップ画像から、ビネット画像データを生成する方法が開示されている。ビネット画像データとは、連続的に色が変化するビネット画像を近似的に表す画像データである。特許文献1の技術によれば、ビネット画像を作成することができない画像処理プログラムにおいて、トーンジャンプの少ないビネット画像データを作成することができる。
【0003】
【特許文献1】
特許第2769673号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、デジタル画像を加工する技術が専門家以外の一般のユーザにも普及した。その結果、たとえば、暗い写真の画像データを全体に明るくなるように加工して作った画像データや、明るい空の部分の青色から白色への変化を強調するように加工して作った画像データが、一般ユーザ同士で交換されることも多くなった。
【0005】
たとえば、トーンカーブを利用して画像データの明るさを操作した場合、操作前には画素の輝度が1階調ずつ異なる領域が互いに隣接していたグラデーション部分において、互いの領域の輝度の差が拡大され、トーンジャンプが生じることがある。すると、画像のグラデーション部分において、領域の境目が疑似輪郭として目立つようになる。このような疑似輪郭は、出力機器やアプリケーションプログラムの発色の性能に起因するものではなく、画像データそのものが、互いに隣接する領域であって輝度が大きく異なる領域のデータを含んでいることに起因するものである。このような、画像データに起因して発生する疑似輪郭を目立ちにくくするのに適した画像の処理方法は、開発されていなかった。
【0006】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、画像データに起因して発生する画像の疑似輪郭を目立ちにくくすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明では、画素値をそれぞれ有する複数の画素によって画像を表現する画像データに対して所定の処理を行う。まず、そのような画像データを読み込む。そして、画像データについて、画素値ごとの画素数の分布である度数分布xを求める。その後、度数分布xに対して所定の平滑化処理を行った度数分布yを求める。そして、度数分布xと度数分布yとに基づいて、画像データについての画像評価値を決定する。その後、画像評価値に応じて画像データにノイズを付加する。このような態様とすれば、画像データに起因して疑似輪郭が生じる画像データを、疑似輪郭が目立ちにくい画像データとすることができる。
【0008】
なお、度数分布yを求める際には、度数分布xの各画素値について、対象とする画素値の度数と、対象とする画素値の前後の複数の画素値の度数と、の平均値を計算し、その平均値を、度数分布yの対象とする画素値における度数とすることが好ましい。このような態様とすれば、簡単な手続きで、度数分布xに対して所定の平滑化処理を行った度数分布yを得ることができる。なお、得られた平均値を度数とする際には、得られた平均値をその平均値に最も近い整数に置き換えて、度数とすることが好ましい。
【0009】
また、度数分布yを求める際には、度数分布xに対してローパスフィルタを適用して度数分布yを得てもよい。このような態様としても、度数分布yを得ることができる。
【0010】
なお、画像評価値を決定する際には、度数分布xと度数分布yとの差の絶対値を全画素値について合計した値に基づいて、画像評価値を決定することが好ましい。このような態様とすれば、度数分布xの変動の激しさに応じて増大する画像評価値を得ることができる。よって、疑似輪郭が目に付きやすい画像データに、適切なノイズを付加することができる。
【0011】
また、画像評価値を決定する際には、度数分布xと度数分布yとの差の度数分布gに対してフーリエ変換を行い、度数分布gの、所定の周波数についてのパワーの大きさに基づいて、画像評価値を決定することが好ましい。疑似輪郭が目立つ画像においては、度数分布xと度数分布yとの差の分布gが所定の周波数成分を多く含むことがある。よって、このような態様とすれば、疑似輪郭が目立つ度合いを反映してノイズを付加することができる。
【0012】
画像評価値を決定する際には、度数分布xと度数分布yとの差の分散に基づいて、画像評価値を決定する態様とすることもできる。疑似輪郭が目立つ画像においては、度数分布xと度数分布yとの差の変動が大きくなる。よって、このような態様とすれば、疑似輪郭が目立つ度合いを反映してノイズを付加することができる。
【0013】
画像データにノイズを付加する際には、所定の確率で選択された画素について画素値にノイズを付加することが好ましい。そして、画素値に付加するノイズの大きさは、画像評価値に応じて決定されることが好ましい。また、画素を選択する所定の確率を、画像評価値に応じて決定することとしてもよい。このような態様とすれば、疑似輪郭が目立つ度合いに応じて、適切なノイズを付加することができる。
【0014】
さらに、ノイズを付加された画像データについて、画像評価値を決定し、決定された評価値が所定の条件を満たす場合に、画像データにさらにノイズを付加する態様とすることもできる。このような態様としても、画像データに適切なノイズを付加することができる。
【0015】
なお、画素値は画素の輝度とすることができる。このような態様とすれば、変化が目に付きやすい画素値を操作して、ノイズを付加することができる。
【0016】
なお、本発明は、以下に示すような種々の態様で実現することが可能である。
(1)画像処理方法、画像データ生成方法。
(2)画像処理装置、画像データ生成装置。
(3)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータプログラム。
(4)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータプログラムを記録した記録媒体。
(5)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下で、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
A1.装置構成:
A2.画像データに起因する疑似輪郭:
A3.画像処理:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.第4実施例:
E.第5実施例:
F.第6実施例:
G.変形例:
【0018】
A.第1実施例:
A1.装置構成:
図1は、本発明の実施例である画像処理装置の概略構成を示す説明図である。この画像処理装置は、画像データに対して所定の画像処理を行うパーソナルコンピュータ100と、パーソナルコンピュータ100に情報を入力する装置としてのキーボード120、マウス130およびCD−R/RWドライブ140と、情報を出力する装置としてのディスプレイ110およびプリンタ22と、を備えている。コンピュータ100では、所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラムが動作している。このアプリケーションプログラムが実行されることで、コンピュータ100のCPU102は様々な機能を実現する。
【0019】
画像のレタッチなどを行うアプリケーションプログラムが実行され、キーボード120やマウス130からユーザの指示が入力されると、CPU102は、CD−R/RWドライブ140内のCD−RWから画像データを読み込む。そして、画像データに対して所定の画像処理を行って、ビデオドライバを介して画像をディスプレイ110に表示する。また、CPU102は、画像処理を行った画像データを、プリンタドライバを介してプリンタ22に印刷させることもできる。なお、画像データの読み込みは、CPU102の機能部としての画像データ入力部102aによって実行され、画像処理は、トーンジャンプ判定部102b、およびノイズ付加部102cによって実行される。
【0020】
A2.画像データに起因するトーンジャンプ:
ここでは、まず、疑似輪郭を目立ちにくくする画像処理について説明する前に、画像データに起因するトーンジャンプがどのようにして発生するかについて説明する。なお、「トーンジャンプ」とは、画像中の徐々に色が変化しているはずの部分において、隣接する領域同士の色が人間の目に付くほど違っている状態をいう。そして、「疑似輪郭」とは、画像中の徐々に色が変化しているはずであって輪郭線が存在しないはずの部分において、人間の目に付くほど色が違っている領域同士の境界に見える境界線のことをいう。
【0021】
図2は、デジタル画像の明るさを操作する際に用いられるトーンカーブを表す説明図である。横軸は操作前の輝度Lを表し、縦軸は操作後の輝度Lを表す。なお、輝度Lは整数値をとるものとする。直線C0は、明るさに関して何の操作も加えない状態を表す。もともと暗い写真の画像であった画像データを全体に明るくするように加工する場合には、トーンカーブC1で表されるような輝度の操作が行われる。このような操作を行うことで、輝度0〜L1の輝度の範囲R1にある各画素の輝度は、輝度0〜L2のより広い範囲R2の輝度に変換される。その結果、画像の暗い部分の色(明るさ)の違いが明確になる。
【0022】
また、画像中の明るい空の部分の青色から白色への変化を強調するように、画像データを加工する場合には、トーンカーブC2で表されるような輝度の操作が行われる。このような操作を行うことで、輝度L3〜Lmaxの輝度の範囲R3にある各画素の輝度は、輝度L4〜Lmaxのより広い範囲R4の輝度に変換される。その結果、画像の明るい部分の色(明るさ)の違いが明確になる。
【0023】
図3は、画像データに対して図2のトーンカーブC1で表される加工がされた場合の輝度の分布の変化を表す説明図である。横軸は輝度Lであり、縦軸はその輝度を有する画素の数x(L)である。画像データに対して図2のトーンカーブC1で表される加工がされると、前述のように、輝度0〜L1の輝度の範囲R1にある各画素の輝度は、輝度0〜L2のより広い範囲R2の輝度に変換される。
【0024】
いま、輝度の階調L1を階調4とし、階調L2を階調14であると仮定すると、トーンカーブC1で表される操作によって、たとえば、次にようにそれぞれの輝度の階調が変更されることになる。すなわち、図3に示すように、輝度0の画素の輝度は0に変換される。すなわち、この場合には輝度の変更は行われない。しかし、輝度1の画素の輝度は2に変換される。そして、輝度2の画素の輝度は5に変換され、輝度3の画素の輝度は9に変換される。さらに、輝度4の画素の輝度は14に変換される。
【0025】
このような操作が行われると、輝度の分布中に、画素が一つも存在しない輝度ができることになる。たとえば、図3下段の度数分布からわかるように、加工後の画像中には、輝度1,3,4,6〜8,10〜13の画素は一つも存在しない。
【0026】
いま、仮に、画像中に輝度0から輝度4まで徐々に明るくなっていく部分があるとする。そのような部分において、加工前の画像では、輝度3の画素からなる領域と輝度4の画素からなる領域が接していた部分は、加工後の画像では、輝度9の画素からなる領域と輝度14の画素からなる領域が接することになる。そのような輝度の離れた画素の領域が接している部分は、人間の目に付きやすく、領域の境界が疑似輪郭として認識されてしまうことがある。よって、画像の品質を高めるためには、このような疑似輪郭が目立たなくなるような加工を、画像に対して行うことが望ましい。
【0027】
なお、ここでは、暗い部分の色の違いを強調するための、トーンカーブC1で表されるような加工を例にして説明したが、明るい部分の色の違いを強調するための、トーンカーブC2で表されるような加工についても同様の問題が生じる。また、図2および図3は説明のために用意した図であり、図3に示した輝度の数値は、図2のトーンカーブC1の形状から特定される操作を正確に反映するものではない。
【0028】
A3.画像処理:
図4は本発明の一態様である画像処理方法の手順を示すフローチャートである。図5は、トーンジャンプが生じている画像の一例を示す説明図である。画像データに対して、トーンジャンプを目立たなくする画像処理をする際には、以下のような手順を実行する。
【0029】
まず、図4のステップS2で、画像処理の対象である画像データを、CD−R/RWドライブ140内のCD−RWから読み込む。たとえば、図5のような画像を読み込む。図5の画像においては、右上の空の部分においてトーンジャンプによる疑似輪郭が生じている。ステップS2で読み込む画像データは、それぞれがRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色の情報を有している画素の集合によって画像を表す画像データである。
【0030】
ステップS4では、画像データの各画素の輝度を求める。この機能は、輝度演算部102d(図1参照)によって実現される。各画素の輝度Lは、たとえば、以下の式(1)で求められる。なお、Vr、Vg、Vbは、レッド、グリーン、ブルーのそれぞれの色の濃淡を表す階調値である。Ar、Ag、Abは、所定の係数である。Vr、Vg、Vb、Ar、Ag、AbおよびLは、0以上の整数である。
【0031】
L=(Ar×Vr)+(Ag×Vg)+(Ag×Vg) ・・・ (1)
【0032】
なお、輝度Lが0〜255の値となるようにAr、Ag、Abを定めることができる。そして、上記式(1)で得られる値を、その値に最も近い整数に置き換えたものを輝度Lとすることが好ましい。
【0033】
図6は、ステップS4で得られた画像データの各画素の輝度Lの分布x(L)のヒストグラムの説明図である。ステップS6では、ステップS4で得た各画素の輝度Lをもとに、輝度ごとの画素数x(L)のヒストグラムを求める。このヒストグラムを作成する機能は、輝度分布作成部102e(図1参照)によって実現される。なお、図6に示したヒストグラムは、説明のための例として用意したヒストグラムであり、図5の画像の輝度の分布を正確に表すものではない。図6のヒストグラムでは、説明を分かりやすくするために、1階調おきの輝度について度数を0としている。
【0034】
図7は、図6の分布x(L)を平滑化して得た平滑化度数分布y(L)のヒストグラムである。図4のステップS8では、輝度の分布x(L)から平滑化度数分布y(L)を求める。y(L)は、分布x(L)をよりなだらかにした分布である。この平滑化分布を求める機能は、平滑化分布作成部102f(図1参照)によって実現される。平滑化度数分布y(L)は、以下の式(2)によって求められる。
【0035】
y(L)={x(L−1)+x(L)+x(L+1)}/3 ・・・ (2)
【0036】
その後、図4のステップS10では、以下の式(3)で表される画像評価値αを求める。ここで、Pは、画像データの全画素数である。Σは、各輝度Lについて、|x(L)−y(L)|の値を足し合わせる演算を意味する。
【0037】
α={Σ|x(L)−y(L)|}/P ・・・ (3)
【0038】
このαは、輝度の分布x(L)の変動の激しさを表しており、画像全体のトーンジャンプの出やすさの評価値としての機能を有する。αを求める機能は、画像評価値決定部102g(図1参照)によって実現される。
【0039】
図8は、{x(L)−y(L)}の分布を表すヒストグラムである。{x(L)−y(L)}のヒストグラムは、輝度の分布x(L)が、平滑化度数分布y(L)からどれだけずれているかを表す。
【0040】
図9は、|x(L)−y(L)|の分布を表すヒストグラムである。この|x(L)−y(L)|の分布を表すヒストグラムの面積{Σ|x(L)−y(L)|}は、輝度の分布x(L)の変動の激しさを表している。αは、このヒストグラムの面積を、全画素数Pで割ったものである。αも、やはり、画素中の画素についての輝度の分布x(L)の変動の激しさを表している。しかし、αは、ヒストグラムの面積{Σ|x(L)−y(L)|}を全画素数Pで割っているので、画像データの画素数に左右されない値である。
【0041】
図4のステップS12では、αの大きさを判定する。αが所定のしきい値Th1以下である場合は、そのまま処理を終了する。αが小さい場合には、画像のトーンジャンプは目立ちにくいと判断できる。よって、このような手順を行うことで、画像のトーンジャンプが目立ちにくい画像に対して、後述するようにノイズを付加して、不必要に画質を低下させることがない。なお、この画像評価値αを評価する機能は、評価値判定部102h(図1参照)によって実現される。
【0042】
ステップS12において、αがしきい値Th1としきい値のTh2の間にあると判断された場合は、ステップS14において、画像データ中の画素に振幅W1で輝度についてのノイズを付加する。すなわち、ステップS14では、画像データ中の各画素について、一定の確率で輝度を変更する操作を加える。その際の輝度のずらし量は、−W1〜+W1の区間内のいずれかの値とする。ここで、W1は正の数である。この輝度のずらし量の最大値を、輝度のずらし量の「振幅」と呼ぶ。
【0043】
なお、本明細書においては、輝度や色の階調値などの個々の画素の画素値に外乱を与えることを「画素値にノイズを付加する」と表現する。そして、ある画像データの画素について画素値にノイズを付加することを「画像データにノイズを付加する」と表現する。
【0044】
輝度のずらし量が−W1〜+W1のうちいずれの値となるかは、確率にしたがって決定される。ここでは、ずらし量が−W1〜+W1の間のいずれの値を取るかの確率は、0を中心とするガウス分布に近似の分布を持つものとする。ただし、ずらし量の最小値は−W1であり、最大値は+W1である。ステップS14の後、処理を終了する。
【0045】
一方、ステップS12において、αがしきい値Th2以上であると判断された場合は、ステップS16において、−W2〜+W2の区間内のいずれかのずらし量で、画像データ中の画素の輝度がずらされる。W2はW1より大きい数である。画像データ中の各画素が輝度をずらされる確率は、ステップS14と同じとする。また、ずらし量が−W2〜+W2の間のいずれの値を取るかの確率は、ステップS14と同様、0を中心とするガウス分布に近似の分布であるものとする。ただし、ずらし量の最小値は−W2であり、最大値は+W2である。
【0046】
すなわち、ステップS16では、ステップS14と同程度の数の画素について輝度がずらされる。そして、そのずらし量は、全体としてはステップS14よりも大きい。この画像にノイズを付加する機能は、ノイズ付加部102c(図1参照)によって実現される。
【0047】
図10は、図4の画像処理を行った後の画像の一例を示す説明図である。以上で説明したような手順によって、画像データに対して画像処理を行うと、図5に示したような画像が、図10に示したような画像となる。図5では、左上の空の部分において目立っていたトーンジャンプによる縞模様が、図10では、目立ちにくくなっている。すなわち、疑似輪郭が目立ちにくくなっている。なお、図5および図10は、説明のために用意した画像であり、実際の画像の状態を正確に反映しない場合がある。
【0048】
図11は、意図的にトーンジャンプを発生させた画像のサンプルを示す説明図である。図12は、図11に対して図4の画像処理を行った結果のイメージを示す説明図である。図11のように、隣り合う領域の輝度が目に付くほど異なっている画像データに対して、図4の画像処理を行うと、図12に示すように、トーンジャンプが目立たなくなる。なお、図11および図12は、説明のために用意したイメージ画像であり、実際の状態を正確に反映しない場合がある。
【0049】
第1実施例では、画像全体の評価値であるαの値に基づいて、ずらし量の異なるノイズを画像に付加している。αは、輝度の分布x(L)の変動の激しさを表している。よって、第1実施例では、輝度の分布x(L)の変動が激しいほど、輝度のずらし量が大きいノイズを付加している。
【0050】
全体に暗い画像を明るくするなどの画像の加工によって、所定の度数を有する輝度の間に度数0の輝度ができた場合には、その両側の輝度の画素からなる領域が接している箇所において、トーンジャンプが目につく。そして、そのような画像においては、通常、なだらかに推移する輝度の度数分布の中に、ところどころ度数0の輝度が存在する。このため、加工によって度数0の輝度ができた画像データは、αの値が大きくなる。
【0051】
よって、第1実施例のように、輝度の分布x(L)の変動の激しさを表す評価値の値に応じてノイズを付加すれば、画像のトーンジャンプの目立ちやすさに応じて、適切なノイズを付加することができる。そして、トーンジャンプが目立たない画像に対して不必要なノイズを付加して、疑似輪郭ではない輪郭をぼやけさせてしまうのを防止できる。
【0052】
B.第2実施例:
第2実施例の画像処理方法は、ノイズの付加の仕方が第1実施例の方法とは異なる。他の点は、第1実施例の画像処理方法と同じである。また、装置のハードウェア構成も第1実施例と同様である。
【0053】
図13は第2実施例の画像処理方法の手順を示すフローチャートである。図13のフローチャートにおいて、ステップS2からステップS10までの手順は、図4の手順と同じである。
【0054】
ステップS22においては、αの値がしきい値Th3より大きいか否かを判定する。αの値が所定のしきい値Th3以下であり、判定結果がNoである場合には、そのまま処理を終了する。
【0055】
ステップS22において、αの値が所定のしきい値Th3より大きく、判定結果がYesである場合は、ステップS24で、振幅W3のノイズを付加する。ステップS24の処理は、ノイズの振幅が異なる点以外は、ステップS14と同じである。ステップS22のあと、ステップS10に戻る。
【0056】
ステップS10では、ノイズを付加された画像の画像評価値αの値を再度、計算する。そして、ステップS22において、αの値がしきい値Th3より大きいか否かを判定する。以下、同様の手順で処理が実行される。
【0057】
ステップS10〜S24の手順は、画像の評価値αがしきい値Th3以下となるまで繰り返される。そして、画像の評価値αがしきい値Th3以下となると、処理が終了する。
【0058】
図14は、第2実施例の画像処理前の画像データの各画素の輝度Lの分布x(L)のヒストグラムの一例を示す説明図である。図15は、第2実施例の画像処理後の画像データの各画素の輝度Lの分布x(L)のヒストグラムの一例を示す説明図である。いずれも横軸は輝度であり、縦軸は画素数である。図14および図15に示すように、画素数の多い輝度の間に極端に画素数の少ない輝度が存在している画像データに対して第2実施例の画像処理を行うことで、輝度ごとの画素数の変動を少なくすることができる。すなわち、トーンジャンプが目立っていた画像について、トーンジャンプを目立ちにくくすることができる。
【0059】
第2実施例のような手順を実行すれば、画像データに対して、トーンジャンプが目立たなくなるまで少しづつノイズを付加してゆくことができる。そして、トーンジャンプが目立たなくなった時点で画像処理を終了することができる。このため、トーンジャンプの目立ち易さに応じて適切なノイズを付加して、トーンジャンプを目立たなくすることができる。
【0060】
C.第3実施例:
第3実施例の画像処理方法も、ノイズの付加の仕方が第1実施例の方法とは異なる。他の点は、第1実施例の画像処理方法と同じである。また、装置のハードウェア構成も第1実施例と同様である。
【0061】
図16は第3実施例の画像処理方法の手順を示すフローチャートである。図16のフローチャートにおいても、ステップS2からステップS10までの手順は、図4の手順と同じである。
【0062】
ステップS32においては、αの値がしきい値Th4より大きいか否かを判定する。αの値が所定のしきい値Th4以下であり、判定結果がNoである場合には、そのまま処理を終了する。
【0063】
ステップS32において、αの値が所定のしきい値Th4より大きく、判定結果がYesである場合は、ステップS34で、画像に付加するノイズの振幅W4の初期値を与える。ここでは、初期値はW4oとする。その後、ステップS36において、振幅W4のノイズを付加する。ステップS36の処理は、ノイズの振幅が異なる点以外は、ステップS14と同じである。
【0064】
ステップS38では、ノイズを付加した画像データについて、画像評価値αを計算する。計算方法は、ステップS10と同じである。そして、ステップS40においては、αの値がしきい値Th4より大きいか否かを判定する。αの値が所定のしきい値Th4以下であり、判定結果がNoである場合には、処理を終了する。
【0065】
ステップS40において、αの値が所定のしきい値Th4より大きく、判定結果がYesである場合は、ステップS42において、ステップS36で付加したノイズを除去する。そして、ステップS44で、画像に付加するノイズの振幅W4をΔW4だけ増やす。そして、ステップS36に戻る。ステップS36では、ステップS44で増やされた振幅W4で、画像データにノイズを付加する。以下、同様の手順で処理が実行される。
【0066】
ステップS36〜S44の手順は、画像の評価値αがしきい値Th4以下となるまで繰り返される。そして、画像の評価値αがしきい値Th4以下となると、処理が終了する。
【0067】
このような手順を実行しても、トーンジャンプの目立ち易さに応じて適切なノイズを付加して、トーンジャンプを目立たなくすることができる。
【0068】
D.第4実施例:
第4実施例は、画像評価値αの計算のしかたが第1実施例とは異なる。他の点は、第1実施例の画像処理方法と同じである。また、装置のハードウェア構成も第1実施例と同様である。
【0069】
第4実施例では、以下の式(4)で定められるg(L)に対してフーリエ変換を行い、所定の周波数帯域f1〜f2におけるパワーの平均を、画像評価値αとする。なお、分布g(L)の例は、図8に示すとおりである。
【0070】
g(L)=x(L)−y(L) ・・・ (4)
【0071】
いま、輝度Lが0から(N−1)までのN階調あるとすると、g(L)は、以下の式(5)のように複素フーリエ級数表示できる。ここで、kは0以上の整数である。
【0072】
【数1】
【0073】
G(k/N)は、以下の式(6)で与えられる。本明細書では、式(6)で与えられるG(k/N)を、周波数(k/N)における「パワー」と呼ぶ。
【0074】
【数2】
【0075】
第4実施例では、周波数(k/N)が所定の周波数帯域f1〜f2内にあるG(k/N)について平均を求めて、その平均値を画像評価値αとする。
【0076】
画像においてトーンジャンプが目につく場合には、その画像の輝度のヒストグラムx(L)から得たg(L)(式(4)参照)が、所定の周波数成分を多く含むことがある。第4実施例では、このg(L)をフーリエ変換して得たパワースペクトルのうち、目に付きやすいトーンジャンプが生じる所定の周波数帯域のパワーの平均を画像評価値としている。このため、目に付きやすいトーンジャンプが生じている画像に対して、ノイズを付加して、トーンジャンプを目立ちにくくすることができる。そして、トーンジャンプが目に付きにくい画像に対して不要なノイズを付加して、画像の輪郭をぼやけさせてしまうことがない。
【0077】
E.第5実施例:
第5実施例も、画像評価値αの計算のしかたが第1実施例とは異なる。他の点は、第1実施例の画像処理方法と同じである。また、装置のハードウェア構成も第1実施例と同様である。
【0078】
第5実施例では、上記の式(4)で定められるg(L)に基づいて、以下の式(7)でσ2を計算し、そのσ2を画像評価値αとする。ここで、輝度の階調は0〜(N−1)のN階調であるものとする。なお、gaveは、全階調0〜255の輝度についてのg(L)の画素数の平均値である。
【0079】
【数3】
【0080】
式(7)で得られるσ2は、g(L)の度数方向についての分散に相当する。すなわち、平滑化分布y(L)と比べてx(L)の変化が激しいほど、g(L)の変動幅が大きくなるので、σ2は大きくなる。よって、式(7)で得られるσ2、すなわちαは、画像においてトーンジャンプが発生するか否かの目安となりうる。このため、このような計算式で画像評価値αを決定して、その値に応じて画像データにノイズを付加することとしても、トーンジャンプの目立ち易さに応じて適切なノイズを付加して、トーンジャンプを目立たなくすることができる。
【0081】
F.第6実施例:
第6実施例の画像処理方法は、平滑化度数分布y(L)の求め方が第1実施例の方法とは異なる。他の点は、第1実施例の画像処理方法と同じである。また、装置のハードウェア構成も第1実施例と同様である。
【0082】
第6実施例では、度数分布x(L)に対して、ローパスフィルタを適用して、高周波成分を除いたものを平滑化度数分布y(L)とする。すなわち、度数分布x(L)に対して、フーリエ変換を行い、高周波成分を除いたものを平滑化度数分布y(L)とする。
【0083】
いま、輝度Lが0から(N−1)までのN階調あるとすると、x(L)は、以下の式(8)のように複素フーリエ級数表示できる。ここで、kは0以上の整数である。
【0084】
【数4】
【0085】
X(k/N)は、以下の式(9)で与えられる。
【0086】
【数5】
【0087】
第6実施例においては、式(8)の形で表されたx(L)において、kが10以上の項を除いたものをy(L)とする。y(L)は以下の式(10)で表すことができる。
【0088】
【数6】
【0089】
このようにして平滑化分布y(L)を求めても、第1実施例と同様、トーンジャンプを目立たなくする画像処理を行うことができる。なお、各実施例において、画像評価値αの計算方法が第1実施例とは異なる場合には、画像評価値αのしきい値Th1,2もそれぞれの実施例に適した値とする必要がある。
【0090】
G.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0091】
上記第1実施例では、画素値に付加するノイズの大きさについて、ガウス分布に類似の分布を有するものとし、画像評価値αに基づいて、ノイズの振幅を変動させていた。しかし、ノイズを付加する際には、ノイズをガウス分布に類似しない分布とし、画像評価値αに応じて、ノイズの大きさを決定してもよい。また、一定の大きさのノイズを与えて、画像評価値αに応じて、そのノイズの大きさを決定してもよい。すなわち、画像評価値αに応じて、画素値に付加するノイズの大きさを決定すればよい。
【0092】
また、画素値にノイズを付加する際には、各画素についての画素値をずらす確率を変動させてもよい。すなわち、画像評価値αが高い場合には、画素値をずらす画素の割合を高くし、画像評価値αが低い場合には、それに応じて画素値をずらす画素の割合を低くしてもよい。そして、画像評価値が所定の条件を満たす場合には、ノイズを付加する画素を選択する確率を0とし、画素値にノイズを付加しない態様とすることもできる。すなわち、画像データにノイズを付加する際には、ノイズを付加する画素を選択する確率を、画像評価値に応じて決定するものであればよい。
【0093】
上記第1〜第3実施例では、式(2)によって平滑化度数分布y(L)を定めていた。しかし、第6実施例にも示したように、他の方法で平滑化度数分布y(L)を定めてもよい。たとえば、度数分布x(L)の各輝度について、対象とする輝度の前後の2個ずつの輝度の度数と、対象としている輝度の度数との合計5階調の輝度の度数の平均値を求めて、その平均値を、度数分布yの対象とする輝度の度数としてもよい。さらに、対象とする輝度の前後の3個以上の輝度の画素数を含む平均値を、度数分布yの対象とする輝度の度数としてもよい。
【0094】
また、第6実施例ではx(L)に対してフーリエ変換を行い、kが10以上の高周波成分を落として平滑化分布y(L)を求めていた。しかし、y(L)を求める際には、kが5以上の高周波成分を落としてもよいし、kが15以上の高周波成分を落としてもよい。すなわち、平滑化分布yは、度数分布xに対して所定の平滑化処理を行ったものであればよい。なお、本明細書において「平滑化」とは、移動平均のみを意味するのではなく、形状を平滑にすること一般を意味する。
【0095】
また、上記各実施例では、各画素の輝度Lの分布をもとに画像評価値を定めていた。しかし、画素についての他の評価値に基づいて画像評価値を定めてもよい。たとえば、画像データが、RGB(レッド、グリーン、ブルー)の色の情報を有している画素の集合によって画像を表す画像データである場合には、各色の濃淡を表す階調値について、画素数の度数分布を求めて、その度数分布とその度数分布の平滑化分布とに基づいて、画像評価値を定めてもよい。また、様々な色空間座標の値について、画素数の分布を求め、その度数分布とその度数分布の平滑化分布とに基づいて、画像評価値を定めてもよい。すなわち、度数分布xは、各画素についての所定の評価値の度数分布であればよい。
【0096】
そして、画像データは、画素値をそれぞれ有する複数の画素によって画像を表現する画像データであればよい。また、各画素値は、あらかじめ画像データ中にその値自体が含まれているものには限られない。第1実施例で示したように、画像データ中に含まれる各画素に対応する数値(たとえば、RGB各色の階調値)から演算によって得られる値でもよい。すなわち、各画素に対応する値として実質的に画素値が画像データに含まれていればよい。そのような場合には、画像データ中の各画素は「画素値をそれぞれ有する」画素に該当するものとする。
【0097】
第5実施例においては、g(L)の度数方向についての分散に相当するσ2を画像評価値αとした。しかし、αは、以下の式(11)で得られる値σとしてもよい。
【0098】
【数7】
【0099】
式(11)で得られるσは、g(L)の度数方向についての標準偏差に相当するものである。よって、式(11)でσを計算し、そのσを画像評価値αとして、その値に応じて画像データにノイズを付加することとしても、トーンジャンプの目立ち易さに応じて適切なノイズを付加して、トーンジャンプを目立たなくすることができる。すなわち、画像評価値αは、画像についての所定の評価値であって、度数分布xと平滑化分布yとに基づいて得られる評価値であればよい。
【0100】
なお、各実施例の手順を、二つ以上、同時に実施することとしてもよい。たとえば、画像評価値αの決定は第4実施例の手順にしたがって行い、ノイズの付加は、第2実施例または第3実施例の手順で行うこととしてもよい。また、第6実施例の手順で平滑化分布y(L)を求めて画像評価値αを計算し、ノイズの付加は、第2実施例または第3実施例の手順で行うこととしてもよい。すなわち、各実施例の画像評価値の決定手順と、ノイズ付加の手順は、異なる実施例のものと組み合わせて実施することができる。
【0101】
上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、図1に示したようなトーンジャンプ判定部、ノイズ付加部による処理をハードウェア回路で行うこととしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である画像処理装置の概略構成を示す説明図。
【図2】デジタル画像の明るさを操作する際に用いられるトーンカーブを表す説明図。
【図3】画像データに対して図2のトーンカーブC1で表される加工がされた場合の輝度の分布の変化を表す説明図。
【図4】本発明の一態様である画像処理方法の手順を示すフローチャート。
【図5】トーンジャンプが生じている画像の一例を示す説明図。
【図6】ステップS4で得られた画像データの各画素の輝度Lの分布x(L)のヒストグラムの説明図。
【図7】図6の分布x(L)を平滑化して得た平滑化度数分布y(L)のヒストグラム。
【図8】{x(L)−y(L)}の分布を表すヒストグラム。
【図9】|x(L)−y(L)|の分布を表すヒストグラム。
【図10】図4の画像処理を行った後の画像の一例を示す説明図。
【図11】意図的にトーンジャンプを発生させた画像のサンプルを示す説明図。
【図12】図11に対してトーンジャンプを目立たなくする画像処理を行った結果のイメージを示す説明図。
【図13】第2実施例の画像処理方法の手順を示すフローチャート。
【図14】第2実施例の画像処理後の画像データの各画素の輝度Lの分布x(L)のヒストグラムの一例を示す説明図。
【図15】第2実施例の画像処理後の画像データの各画素の輝度Lの分布x(L)のヒストグラムの一例を示す説明図。
【図16】第3実施例の画像処理方法の手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
22…プリンタ
100…パーソナルコンピュータ
102…CPU
102a…画像データ入力部
102b…トーンジャンプ判定部
102c…ノイズ付加部
102d…輝度演算部
102e…輝度分布作成部
102f…平滑化分布作成部
102g…決定部
110…ディスプレイ
120…キーボード
130…マウス
140…R/RWドライブ
C0…明るさについての操作をしない場合の輝度の対応を表す直線
C1…明るさについての操作の内容を表すトーンカーブ
C2…明るさについての操作の内容を表すトーンカーブ
L…輝度
L1〜L4…輝度の階調
P…全画素数
R1〜R4…輝度の範囲
g(L)…輝度の度数分布x(L)と平滑化度数分布y(L)の差の度数分布
Th1〜Th4…画像評価値についてのしきい値
W1〜W4…ノイズの振幅
W4o…ノイズの振幅W4の初期値
x(L)…輝度の度数分布
y…輝度の度数分布x(L)をなだらかにしてた平滑化度数分布
ΔW4…ノイズの振幅W4の増分
【発明の属する技術分野】
この発明は、画像処理技術に関し、特に、画像データに起因して発生する疑似輪郭を目立ちにくくするするための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、デジタル画像における疑似輪郭を解消するための技術が存在する。たとえば、特許文献1においては、階段状に色が変化してゆく複数の図形であって、互いの色の境目が認識できる複数の図形からなるカラーステップ画像から、ビネット画像データを生成する方法が開示されている。ビネット画像データとは、連続的に色が変化するビネット画像を近似的に表す画像データである。特許文献1の技術によれば、ビネット画像を作成することができない画像処理プログラムにおいて、トーンジャンプの少ないビネット画像データを作成することができる。
【0003】
【特許文献1】
特許第2769673号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、デジタル画像を加工する技術が専門家以外の一般のユーザにも普及した。その結果、たとえば、暗い写真の画像データを全体に明るくなるように加工して作った画像データや、明るい空の部分の青色から白色への変化を強調するように加工して作った画像データが、一般ユーザ同士で交換されることも多くなった。
【0005】
たとえば、トーンカーブを利用して画像データの明るさを操作した場合、操作前には画素の輝度が1階調ずつ異なる領域が互いに隣接していたグラデーション部分において、互いの領域の輝度の差が拡大され、トーンジャンプが生じることがある。すると、画像のグラデーション部分において、領域の境目が疑似輪郭として目立つようになる。このような疑似輪郭は、出力機器やアプリケーションプログラムの発色の性能に起因するものではなく、画像データそのものが、互いに隣接する領域であって輝度が大きく異なる領域のデータを含んでいることに起因するものである。このような、画像データに起因して発生する疑似輪郭を目立ちにくくするのに適した画像の処理方法は、開発されていなかった。
【0006】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、画像データに起因して発生する画像の疑似輪郭を目立ちにくくすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明では、画素値をそれぞれ有する複数の画素によって画像を表現する画像データに対して所定の処理を行う。まず、そのような画像データを読み込む。そして、画像データについて、画素値ごとの画素数の分布である度数分布xを求める。その後、度数分布xに対して所定の平滑化処理を行った度数分布yを求める。そして、度数分布xと度数分布yとに基づいて、画像データについての画像評価値を決定する。その後、画像評価値に応じて画像データにノイズを付加する。このような態様とすれば、画像データに起因して疑似輪郭が生じる画像データを、疑似輪郭が目立ちにくい画像データとすることができる。
【0008】
なお、度数分布yを求める際には、度数分布xの各画素値について、対象とする画素値の度数と、対象とする画素値の前後の複数の画素値の度数と、の平均値を計算し、その平均値を、度数分布yの対象とする画素値における度数とすることが好ましい。このような態様とすれば、簡単な手続きで、度数分布xに対して所定の平滑化処理を行った度数分布yを得ることができる。なお、得られた平均値を度数とする際には、得られた平均値をその平均値に最も近い整数に置き換えて、度数とすることが好ましい。
【0009】
また、度数分布yを求める際には、度数分布xに対してローパスフィルタを適用して度数分布yを得てもよい。このような態様としても、度数分布yを得ることができる。
【0010】
なお、画像評価値を決定する際には、度数分布xと度数分布yとの差の絶対値を全画素値について合計した値に基づいて、画像評価値を決定することが好ましい。このような態様とすれば、度数分布xの変動の激しさに応じて増大する画像評価値を得ることができる。よって、疑似輪郭が目に付きやすい画像データに、適切なノイズを付加することができる。
【0011】
また、画像評価値を決定する際には、度数分布xと度数分布yとの差の度数分布gに対してフーリエ変換を行い、度数分布gの、所定の周波数についてのパワーの大きさに基づいて、画像評価値を決定することが好ましい。疑似輪郭が目立つ画像においては、度数分布xと度数分布yとの差の分布gが所定の周波数成分を多く含むことがある。よって、このような態様とすれば、疑似輪郭が目立つ度合いを反映してノイズを付加することができる。
【0012】
画像評価値を決定する際には、度数分布xと度数分布yとの差の分散に基づいて、画像評価値を決定する態様とすることもできる。疑似輪郭が目立つ画像においては、度数分布xと度数分布yとの差の変動が大きくなる。よって、このような態様とすれば、疑似輪郭が目立つ度合いを反映してノイズを付加することができる。
【0013】
画像データにノイズを付加する際には、所定の確率で選択された画素について画素値にノイズを付加することが好ましい。そして、画素値に付加するノイズの大きさは、画像評価値に応じて決定されることが好ましい。また、画素を選択する所定の確率を、画像評価値に応じて決定することとしてもよい。このような態様とすれば、疑似輪郭が目立つ度合いに応じて、適切なノイズを付加することができる。
【0014】
さらに、ノイズを付加された画像データについて、画像評価値を決定し、決定された評価値が所定の条件を満たす場合に、画像データにさらにノイズを付加する態様とすることもできる。このような態様としても、画像データに適切なノイズを付加することができる。
【0015】
なお、画素値は画素の輝度とすることができる。このような態様とすれば、変化が目に付きやすい画素値を操作して、ノイズを付加することができる。
【0016】
なお、本発明は、以下に示すような種々の態様で実現することが可能である。
(1)画像処理方法、画像データ生成方法。
(2)画像処理装置、画像データ生成装置。
(3)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータプログラム。
(4)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータプログラムを記録した記録媒体。
(5)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下で、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
A1.装置構成:
A2.画像データに起因する疑似輪郭:
A3.画像処理:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.第4実施例:
E.第5実施例:
F.第6実施例:
G.変形例:
【0018】
A.第1実施例:
A1.装置構成:
図1は、本発明の実施例である画像処理装置の概略構成を示す説明図である。この画像処理装置は、画像データに対して所定の画像処理を行うパーソナルコンピュータ100と、パーソナルコンピュータ100に情報を入力する装置としてのキーボード120、マウス130およびCD−R/RWドライブ140と、情報を出力する装置としてのディスプレイ110およびプリンタ22と、を備えている。コンピュータ100では、所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラムが動作している。このアプリケーションプログラムが実行されることで、コンピュータ100のCPU102は様々な機能を実現する。
【0019】
画像のレタッチなどを行うアプリケーションプログラムが実行され、キーボード120やマウス130からユーザの指示が入力されると、CPU102は、CD−R/RWドライブ140内のCD−RWから画像データを読み込む。そして、画像データに対して所定の画像処理を行って、ビデオドライバを介して画像をディスプレイ110に表示する。また、CPU102は、画像処理を行った画像データを、プリンタドライバを介してプリンタ22に印刷させることもできる。なお、画像データの読み込みは、CPU102の機能部としての画像データ入力部102aによって実行され、画像処理は、トーンジャンプ判定部102b、およびノイズ付加部102cによって実行される。
【0020】
A2.画像データに起因するトーンジャンプ:
ここでは、まず、疑似輪郭を目立ちにくくする画像処理について説明する前に、画像データに起因するトーンジャンプがどのようにして発生するかについて説明する。なお、「トーンジャンプ」とは、画像中の徐々に色が変化しているはずの部分において、隣接する領域同士の色が人間の目に付くほど違っている状態をいう。そして、「疑似輪郭」とは、画像中の徐々に色が変化しているはずであって輪郭線が存在しないはずの部分において、人間の目に付くほど色が違っている領域同士の境界に見える境界線のことをいう。
【0021】
図2は、デジタル画像の明るさを操作する際に用いられるトーンカーブを表す説明図である。横軸は操作前の輝度Lを表し、縦軸は操作後の輝度Lを表す。なお、輝度Lは整数値をとるものとする。直線C0は、明るさに関して何の操作も加えない状態を表す。もともと暗い写真の画像であった画像データを全体に明るくするように加工する場合には、トーンカーブC1で表されるような輝度の操作が行われる。このような操作を行うことで、輝度0〜L1の輝度の範囲R1にある各画素の輝度は、輝度0〜L2のより広い範囲R2の輝度に変換される。その結果、画像の暗い部分の色(明るさ)の違いが明確になる。
【0022】
また、画像中の明るい空の部分の青色から白色への変化を強調するように、画像データを加工する場合には、トーンカーブC2で表されるような輝度の操作が行われる。このような操作を行うことで、輝度L3〜Lmaxの輝度の範囲R3にある各画素の輝度は、輝度L4〜Lmaxのより広い範囲R4の輝度に変換される。その結果、画像の明るい部分の色(明るさ)の違いが明確になる。
【0023】
図3は、画像データに対して図2のトーンカーブC1で表される加工がされた場合の輝度の分布の変化を表す説明図である。横軸は輝度Lであり、縦軸はその輝度を有する画素の数x(L)である。画像データに対して図2のトーンカーブC1で表される加工がされると、前述のように、輝度0〜L1の輝度の範囲R1にある各画素の輝度は、輝度0〜L2のより広い範囲R2の輝度に変換される。
【0024】
いま、輝度の階調L1を階調4とし、階調L2を階調14であると仮定すると、トーンカーブC1で表される操作によって、たとえば、次にようにそれぞれの輝度の階調が変更されることになる。すなわち、図3に示すように、輝度0の画素の輝度は0に変換される。すなわち、この場合には輝度の変更は行われない。しかし、輝度1の画素の輝度は2に変換される。そして、輝度2の画素の輝度は5に変換され、輝度3の画素の輝度は9に変換される。さらに、輝度4の画素の輝度は14に変換される。
【0025】
このような操作が行われると、輝度の分布中に、画素が一つも存在しない輝度ができることになる。たとえば、図3下段の度数分布からわかるように、加工後の画像中には、輝度1,3,4,6〜8,10〜13の画素は一つも存在しない。
【0026】
いま、仮に、画像中に輝度0から輝度4まで徐々に明るくなっていく部分があるとする。そのような部分において、加工前の画像では、輝度3の画素からなる領域と輝度4の画素からなる領域が接していた部分は、加工後の画像では、輝度9の画素からなる領域と輝度14の画素からなる領域が接することになる。そのような輝度の離れた画素の領域が接している部分は、人間の目に付きやすく、領域の境界が疑似輪郭として認識されてしまうことがある。よって、画像の品質を高めるためには、このような疑似輪郭が目立たなくなるような加工を、画像に対して行うことが望ましい。
【0027】
なお、ここでは、暗い部分の色の違いを強調するための、トーンカーブC1で表されるような加工を例にして説明したが、明るい部分の色の違いを強調するための、トーンカーブC2で表されるような加工についても同様の問題が生じる。また、図2および図3は説明のために用意した図であり、図3に示した輝度の数値は、図2のトーンカーブC1の形状から特定される操作を正確に反映するものではない。
【0028】
A3.画像処理:
図4は本発明の一態様である画像処理方法の手順を示すフローチャートである。図5は、トーンジャンプが生じている画像の一例を示す説明図である。画像データに対して、トーンジャンプを目立たなくする画像処理をする際には、以下のような手順を実行する。
【0029】
まず、図4のステップS2で、画像処理の対象である画像データを、CD−R/RWドライブ140内のCD−RWから読み込む。たとえば、図5のような画像を読み込む。図5の画像においては、右上の空の部分においてトーンジャンプによる疑似輪郭が生じている。ステップS2で読み込む画像データは、それぞれがRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色の情報を有している画素の集合によって画像を表す画像データである。
【0030】
ステップS4では、画像データの各画素の輝度を求める。この機能は、輝度演算部102d(図1参照)によって実現される。各画素の輝度Lは、たとえば、以下の式(1)で求められる。なお、Vr、Vg、Vbは、レッド、グリーン、ブルーのそれぞれの色の濃淡を表す階調値である。Ar、Ag、Abは、所定の係数である。Vr、Vg、Vb、Ar、Ag、AbおよびLは、0以上の整数である。
【0031】
L=(Ar×Vr)+(Ag×Vg)+(Ag×Vg) ・・・ (1)
【0032】
なお、輝度Lが0〜255の値となるようにAr、Ag、Abを定めることができる。そして、上記式(1)で得られる値を、その値に最も近い整数に置き換えたものを輝度Lとすることが好ましい。
【0033】
図6は、ステップS4で得られた画像データの各画素の輝度Lの分布x(L)のヒストグラムの説明図である。ステップS6では、ステップS4で得た各画素の輝度Lをもとに、輝度ごとの画素数x(L)のヒストグラムを求める。このヒストグラムを作成する機能は、輝度分布作成部102e(図1参照)によって実現される。なお、図6に示したヒストグラムは、説明のための例として用意したヒストグラムであり、図5の画像の輝度の分布を正確に表すものではない。図6のヒストグラムでは、説明を分かりやすくするために、1階調おきの輝度について度数を0としている。
【0034】
図7は、図6の分布x(L)を平滑化して得た平滑化度数分布y(L)のヒストグラムである。図4のステップS8では、輝度の分布x(L)から平滑化度数分布y(L)を求める。y(L)は、分布x(L)をよりなだらかにした分布である。この平滑化分布を求める機能は、平滑化分布作成部102f(図1参照)によって実現される。平滑化度数分布y(L)は、以下の式(2)によって求められる。
【0035】
y(L)={x(L−1)+x(L)+x(L+1)}/3 ・・・ (2)
【0036】
その後、図4のステップS10では、以下の式(3)で表される画像評価値αを求める。ここで、Pは、画像データの全画素数である。Σは、各輝度Lについて、|x(L)−y(L)|の値を足し合わせる演算を意味する。
【0037】
α={Σ|x(L)−y(L)|}/P ・・・ (3)
【0038】
このαは、輝度の分布x(L)の変動の激しさを表しており、画像全体のトーンジャンプの出やすさの評価値としての機能を有する。αを求める機能は、画像評価値決定部102g(図1参照)によって実現される。
【0039】
図8は、{x(L)−y(L)}の分布を表すヒストグラムである。{x(L)−y(L)}のヒストグラムは、輝度の分布x(L)が、平滑化度数分布y(L)からどれだけずれているかを表す。
【0040】
図9は、|x(L)−y(L)|の分布を表すヒストグラムである。この|x(L)−y(L)|の分布を表すヒストグラムの面積{Σ|x(L)−y(L)|}は、輝度の分布x(L)の変動の激しさを表している。αは、このヒストグラムの面積を、全画素数Pで割ったものである。αも、やはり、画素中の画素についての輝度の分布x(L)の変動の激しさを表している。しかし、αは、ヒストグラムの面積{Σ|x(L)−y(L)|}を全画素数Pで割っているので、画像データの画素数に左右されない値である。
【0041】
図4のステップS12では、αの大きさを判定する。αが所定のしきい値Th1以下である場合は、そのまま処理を終了する。αが小さい場合には、画像のトーンジャンプは目立ちにくいと判断できる。よって、このような手順を行うことで、画像のトーンジャンプが目立ちにくい画像に対して、後述するようにノイズを付加して、不必要に画質を低下させることがない。なお、この画像評価値αを評価する機能は、評価値判定部102h(図1参照)によって実現される。
【0042】
ステップS12において、αがしきい値Th1としきい値のTh2の間にあると判断された場合は、ステップS14において、画像データ中の画素に振幅W1で輝度についてのノイズを付加する。すなわち、ステップS14では、画像データ中の各画素について、一定の確率で輝度を変更する操作を加える。その際の輝度のずらし量は、−W1〜+W1の区間内のいずれかの値とする。ここで、W1は正の数である。この輝度のずらし量の最大値を、輝度のずらし量の「振幅」と呼ぶ。
【0043】
なお、本明細書においては、輝度や色の階調値などの個々の画素の画素値に外乱を与えることを「画素値にノイズを付加する」と表現する。そして、ある画像データの画素について画素値にノイズを付加することを「画像データにノイズを付加する」と表現する。
【0044】
輝度のずらし量が−W1〜+W1のうちいずれの値となるかは、確率にしたがって決定される。ここでは、ずらし量が−W1〜+W1の間のいずれの値を取るかの確率は、0を中心とするガウス分布に近似の分布を持つものとする。ただし、ずらし量の最小値は−W1であり、最大値は+W1である。ステップS14の後、処理を終了する。
【0045】
一方、ステップS12において、αがしきい値Th2以上であると判断された場合は、ステップS16において、−W2〜+W2の区間内のいずれかのずらし量で、画像データ中の画素の輝度がずらされる。W2はW1より大きい数である。画像データ中の各画素が輝度をずらされる確率は、ステップS14と同じとする。また、ずらし量が−W2〜+W2の間のいずれの値を取るかの確率は、ステップS14と同様、0を中心とするガウス分布に近似の分布であるものとする。ただし、ずらし量の最小値は−W2であり、最大値は+W2である。
【0046】
すなわち、ステップS16では、ステップS14と同程度の数の画素について輝度がずらされる。そして、そのずらし量は、全体としてはステップS14よりも大きい。この画像にノイズを付加する機能は、ノイズ付加部102c(図1参照)によって実現される。
【0047】
図10は、図4の画像処理を行った後の画像の一例を示す説明図である。以上で説明したような手順によって、画像データに対して画像処理を行うと、図5に示したような画像が、図10に示したような画像となる。図5では、左上の空の部分において目立っていたトーンジャンプによる縞模様が、図10では、目立ちにくくなっている。すなわち、疑似輪郭が目立ちにくくなっている。なお、図5および図10は、説明のために用意した画像であり、実際の画像の状態を正確に反映しない場合がある。
【0048】
図11は、意図的にトーンジャンプを発生させた画像のサンプルを示す説明図である。図12は、図11に対して図4の画像処理を行った結果のイメージを示す説明図である。図11のように、隣り合う領域の輝度が目に付くほど異なっている画像データに対して、図4の画像処理を行うと、図12に示すように、トーンジャンプが目立たなくなる。なお、図11および図12は、説明のために用意したイメージ画像であり、実際の状態を正確に反映しない場合がある。
【0049】
第1実施例では、画像全体の評価値であるαの値に基づいて、ずらし量の異なるノイズを画像に付加している。αは、輝度の分布x(L)の変動の激しさを表している。よって、第1実施例では、輝度の分布x(L)の変動が激しいほど、輝度のずらし量が大きいノイズを付加している。
【0050】
全体に暗い画像を明るくするなどの画像の加工によって、所定の度数を有する輝度の間に度数0の輝度ができた場合には、その両側の輝度の画素からなる領域が接している箇所において、トーンジャンプが目につく。そして、そのような画像においては、通常、なだらかに推移する輝度の度数分布の中に、ところどころ度数0の輝度が存在する。このため、加工によって度数0の輝度ができた画像データは、αの値が大きくなる。
【0051】
よって、第1実施例のように、輝度の分布x(L)の変動の激しさを表す評価値の値に応じてノイズを付加すれば、画像のトーンジャンプの目立ちやすさに応じて、適切なノイズを付加することができる。そして、トーンジャンプが目立たない画像に対して不必要なノイズを付加して、疑似輪郭ではない輪郭をぼやけさせてしまうのを防止できる。
【0052】
B.第2実施例:
第2実施例の画像処理方法は、ノイズの付加の仕方が第1実施例の方法とは異なる。他の点は、第1実施例の画像処理方法と同じである。また、装置のハードウェア構成も第1実施例と同様である。
【0053】
図13は第2実施例の画像処理方法の手順を示すフローチャートである。図13のフローチャートにおいて、ステップS2からステップS10までの手順は、図4の手順と同じである。
【0054】
ステップS22においては、αの値がしきい値Th3より大きいか否かを判定する。αの値が所定のしきい値Th3以下であり、判定結果がNoである場合には、そのまま処理を終了する。
【0055】
ステップS22において、αの値が所定のしきい値Th3より大きく、判定結果がYesである場合は、ステップS24で、振幅W3のノイズを付加する。ステップS24の処理は、ノイズの振幅が異なる点以外は、ステップS14と同じである。ステップS22のあと、ステップS10に戻る。
【0056】
ステップS10では、ノイズを付加された画像の画像評価値αの値を再度、計算する。そして、ステップS22において、αの値がしきい値Th3より大きいか否かを判定する。以下、同様の手順で処理が実行される。
【0057】
ステップS10〜S24の手順は、画像の評価値αがしきい値Th3以下となるまで繰り返される。そして、画像の評価値αがしきい値Th3以下となると、処理が終了する。
【0058】
図14は、第2実施例の画像処理前の画像データの各画素の輝度Lの分布x(L)のヒストグラムの一例を示す説明図である。図15は、第2実施例の画像処理後の画像データの各画素の輝度Lの分布x(L)のヒストグラムの一例を示す説明図である。いずれも横軸は輝度であり、縦軸は画素数である。図14および図15に示すように、画素数の多い輝度の間に極端に画素数の少ない輝度が存在している画像データに対して第2実施例の画像処理を行うことで、輝度ごとの画素数の変動を少なくすることができる。すなわち、トーンジャンプが目立っていた画像について、トーンジャンプを目立ちにくくすることができる。
【0059】
第2実施例のような手順を実行すれば、画像データに対して、トーンジャンプが目立たなくなるまで少しづつノイズを付加してゆくことができる。そして、トーンジャンプが目立たなくなった時点で画像処理を終了することができる。このため、トーンジャンプの目立ち易さに応じて適切なノイズを付加して、トーンジャンプを目立たなくすることができる。
【0060】
C.第3実施例:
第3実施例の画像処理方法も、ノイズの付加の仕方が第1実施例の方法とは異なる。他の点は、第1実施例の画像処理方法と同じである。また、装置のハードウェア構成も第1実施例と同様である。
【0061】
図16は第3実施例の画像処理方法の手順を示すフローチャートである。図16のフローチャートにおいても、ステップS2からステップS10までの手順は、図4の手順と同じである。
【0062】
ステップS32においては、αの値がしきい値Th4より大きいか否かを判定する。αの値が所定のしきい値Th4以下であり、判定結果がNoである場合には、そのまま処理を終了する。
【0063】
ステップS32において、αの値が所定のしきい値Th4より大きく、判定結果がYesである場合は、ステップS34で、画像に付加するノイズの振幅W4の初期値を与える。ここでは、初期値はW4oとする。その後、ステップS36において、振幅W4のノイズを付加する。ステップS36の処理は、ノイズの振幅が異なる点以外は、ステップS14と同じである。
【0064】
ステップS38では、ノイズを付加した画像データについて、画像評価値αを計算する。計算方法は、ステップS10と同じである。そして、ステップS40においては、αの値がしきい値Th4より大きいか否かを判定する。αの値が所定のしきい値Th4以下であり、判定結果がNoである場合には、処理を終了する。
【0065】
ステップS40において、αの値が所定のしきい値Th4より大きく、判定結果がYesである場合は、ステップS42において、ステップS36で付加したノイズを除去する。そして、ステップS44で、画像に付加するノイズの振幅W4をΔW4だけ増やす。そして、ステップS36に戻る。ステップS36では、ステップS44で増やされた振幅W4で、画像データにノイズを付加する。以下、同様の手順で処理が実行される。
【0066】
ステップS36〜S44の手順は、画像の評価値αがしきい値Th4以下となるまで繰り返される。そして、画像の評価値αがしきい値Th4以下となると、処理が終了する。
【0067】
このような手順を実行しても、トーンジャンプの目立ち易さに応じて適切なノイズを付加して、トーンジャンプを目立たなくすることができる。
【0068】
D.第4実施例:
第4実施例は、画像評価値αの計算のしかたが第1実施例とは異なる。他の点は、第1実施例の画像処理方法と同じである。また、装置のハードウェア構成も第1実施例と同様である。
【0069】
第4実施例では、以下の式(4)で定められるg(L)に対してフーリエ変換を行い、所定の周波数帯域f1〜f2におけるパワーの平均を、画像評価値αとする。なお、分布g(L)の例は、図8に示すとおりである。
【0070】
g(L)=x(L)−y(L) ・・・ (4)
【0071】
いま、輝度Lが0から(N−1)までのN階調あるとすると、g(L)は、以下の式(5)のように複素フーリエ級数表示できる。ここで、kは0以上の整数である。
【0072】
【数1】
【0073】
G(k/N)は、以下の式(6)で与えられる。本明細書では、式(6)で与えられるG(k/N)を、周波数(k/N)における「パワー」と呼ぶ。
【0074】
【数2】
【0075】
第4実施例では、周波数(k/N)が所定の周波数帯域f1〜f2内にあるG(k/N)について平均を求めて、その平均値を画像評価値αとする。
【0076】
画像においてトーンジャンプが目につく場合には、その画像の輝度のヒストグラムx(L)から得たg(L)(式(4)参照)が、所定の周波数成分を多く含むことがある。第4実施例では、このg(L)をフーリエ変換して得たパワースペクトルのうち、目に付きやすいトーンジャンプが生じる所定の周波数帯域のパワーの平均を画像評価値としている。このため、目に付きやすいトーンジャンプが生じている画像に対して、ノイズを付加して、トーンジャンプを目立ちにくくすることができる。そして、トーンジャンプが目に付きにくい画像に対して不要なノイズを付加して、画像の輪郭をぼやけさせてしまうことがない。
【0077】
E.第5実施例:
第5実施例も、画像評価値αの計算のしかたが第1実施例とは異なる。他の点は、第1実施例の画像処理方法と同じである。また、装置のハードウェア構成も第1実施例と同様である。
【0078】
第5実施例では、上記の式(4)で定められるg(L)に基づいて、以下の式(7)でσ2を計算し、そのσ2を画像評価値αとする。ここで、輝度の階調は0〜(N−1)のN階調であるものとする。なお、gaveは、全階調0〜255の輝度についてのg(L)の画素数の平均値である。
【0079】
【数3】
【0080】
式(7)で得られるσ2は、g(L)の度数方向についての分散に相当する。すなわち、平滑化分布y(L)と比べてx(L)の変化が激しいほど、g(L)の変動幅が大きくなるので、σ2は大きくなる。よって、式(7)で得られるσ2、すなわちαは、画像においてトーンジャンプが発生するか否かの目安となりうる。このため、このような計算式で画像評価値αを決定して、その値に応じて画像データにノイズを付加することとしても、トーンジャンプの目立ち易さに応じて適切なノイズを付加して、トーンジャンプを目立たなくすることができる。
【0081】
F.第6実施例:
第6実施例の画像処理方法は、平滑化度数分布y(L)の求め方が第1実施例の方法とは異なる。他の点は、第1実施例の画像処理方法と同じである。また、装置のハードウェア構成も第1実施例と同様である。
【0082】
第6実施例では、度数分布x(L)に対して、ローパスフィルタを適用して、高周波成分を除いたものを平滑化度数分布y(L)とする。すなわち、度数分布x(L)に対して、フーリエ変換を行い、高周波成分を除いたものを平滑化度数分布y(L)とする。
【0083】
いま、輝度Lが0から(N−1)までのN階調あるとすると、x(L)は、以下の式(8)のように複素フーリエ級数表示できる。ここで、kは0以上の整数である。
【0084】
【数4】
【0085】
X(k/N)は、以下の式(9)で与えられる。
【0086】
【数5】
【0087】
第6実施例においては、式(8)の形で表されたx(L)において、kが10以上の項を除いたものをy(L)とする。y(L)は以下の式(10)で表すことができる。
【0088】
【数6】
【0089】
このようにして平滑化分布y(L)を求めても、第1実施例と同様、トーンジャンプを目立たなくする画像処理を行うことができる。なお、各実施例において、画像評価値αの計算方法が第1実施例とは異なる場合には、画像評価値αのしきい値Th1,2もそれぞれの実施例に適した値とする必要がある。
【0090】
G.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0091】
上記第1実施例では、画素値に付加するノイズの大きさについて、ガウス分布に類似の分布を有するものとし、画像評価値αに基づいて、ノイズの振幅を変動させていた。しかし、ノイズを付加する際には、ノイズをガウス分布に類似しない分布とし、画像評価値αに応じて、ノイズの大きさを決定してもよい。また、一定の大きさのノイズを与えて、画像評価値αに応じて、そのノイズの大きさを決定してもよい。すなわち、画像評価値αに応じて、画素値に付加するノイズの大きさを決定すればよい。
【0092】
また、画素値にノイズを付加する際には、各画素についての画素値をずらす確率を変動させてもよい。すなわち、画像評価値αが高い場合には、画素値をずらす画素の割合を高くし、画像評価値αが低い場合には、それに応じて画素値をずらす画素の割合を低くしてもよい。そして、画像評価値が所定の条件を満たす場合には、ノイズを付加する画素を選択する確率を0とし、画素値にノイズを付加しない態様とすることもできる。すなわち、画像データにノイズを付加する際には、ノイズを付加する画素を選択する確率を、画像評価値に応じて決定するものであればよい。
【0093】
上記第1〜第3実施例では、式(2)によって平滑化度数分布y(L)を定めていた。しかし、第6実施例にも示したように、他の方法で平滑化度数分布y(L)を定めてもよい。たとえば、度数分布x(L)の各輝度について、対象とする輝度の前後の2個ずつの輝度の度数と、対象としている輝度の度数との合計5階調の輝度の度数の平均値を求めて、その平均値を、度数分布yの対象とする輝度の度数としてもよい。さらに、対象とする輝度の前後の3個以上の輝度の画素数を含む平均値を、度数分布yの対象とする輝度の度数としてもよい。
【0094】
また、第6実施例ではx(L)に対してフーリエ変換を行い、kが10以上の高周波成分を落として平滑化分布y(L)を求めていた。しかし、y(L)を求める際には、kが5以上の高周波成分を落としてもよいし、kが15以上の高周波成分を落としてもよい。すなわち、平滑化分布yは、度数分布xに対して所定の平滑化処理を行ったものであればよい。なお、本明細書において「平滑化」とは、移動平均のみを意味するのではなく、形状を平滑にすること一般を意味する。
【0095】
また、上記各実施例では、各画素の輝度Lの分布をもとに画像評価値を定めていた。しかし、画素についての他の評価値に基づいて画像評価値を定めてもよい。たとえば、画像データが、RGB(レッド、グリーン、ブルー)の色の情報を有している画素の集合によって画像を表す画像データである場合には、各色の濃淡を表す階調値について、画素数の度数分布を求めて、その度数分布とその度数分布の平滑化分布とに基づいて、画像評価値を定めてもよい。また、様々な色空間座標の値について、画素数の分布を求め、その度数分布とその度数分布の平滑化分布とに基づいて、画像評価値を定めてもよい。すなわち、度数分布xは、各画素についての所定の評価値の度数分布であればよい。
【0096】
そして、画像データは、画素値をそれぞれ有する複数の画素によって画像を表現する画像データであればよい。また、各画素値は、あらかじめ画像データ中にその値自体が含まれているものには限られない。第1実施例で示したように、画像データ中に含まれる各画素に対応する数値(たとえば、RGB各色の階調値)から演算によって得られる値でもよい。すなわち、各画素に対応する値として実質的に画素値が画像データに含まれていればよい。そのような場合には、画像データ中の各画素は「画素値をそれぞれ有する」画素に該当するものとする。
【0097】
第5実施例においては、g(L)の度数方向についての分散に相当するσ2を画像評価値αとした。しかし、αは、以下の式(11)で得られる値σとしてもよい。
【0098】
【数7】
【0099】
式(11)で得られるσは、g(L)の度数方向についての標準偏差に相当するものである。よって、式(11)でσを計算し、そのσを画像評価値αとして、その値に応じて画像データにノイズを付加することとしても、トーンジャンプの目立ち易さに応じて適切なノイズを付加して、トーンジャンプを目立たなくすることができる。すなわち、画像評価値αは、画像についての所定の評価値であって、度数分布xと平滑化分布yとに基づいて得られる評価値であればよい。
【0100】
なお、各実施例の手順を、二つ以上、同時に実施することとしてもよい。たとえば、画像評価値αの決定は第4実施例の手順にしたがって行い、ノイズの付加は、第2実施例または第3実施例の手順で行うこととしてもよい。また、第6実施例の手順で平滑化分布y(L)を求めて画像評価値αを計算し、ノイズの付加は、第2実施例または第3実施例の手順で行うこととしてもよい。すなわち、各実施例の画像評価値の決定手順と、ノイズ付加の手順は、異なる実施例のものと組み合わせて実施することができる。
【0101】
上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、図1に示したようなトーンジャンプ判定部、ノイズ付加部による処理をハードウェア回路で行うこととしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である画像処理装置の概略構成を示す説明図。
【図2】デジタル画像の明るさを操作する際に用いられるトーンカーブを表す説明図。
【図3】画像データに対して図2のトーンカーブC1で表される加工がされた場合の輝度の分布の変化を表す説明図。
【図4】本発明の一態様である画像処理方法の手順を示すフローチャート。
【図5】トーンジャンプが生じている画像の一例を示す説明図。
【図6】ステップS4で得られた画像データの各画素の輝度Lの分布x(L)のヒストグラムの説明図。
【図7】図6の分布x(L)を平滑化して得た平滑化度数分布y(L)のヒストグラム。
【図8】{x(L)−y(L)}の分布を表すヒストグラム。
【図9】|x(L)−y(L)|の分布を表すヒストグラム。
【図10】図4の画像処理を行った後の画像の一例を示す説明図。
【図11】意図的にトーンジャンプを発生させた画像のサンプルを示す説明図。
【図12】図11に対してトーンジャンプを目立たなくする画像処理を行った結果のイメージを示す説明図。
【図13】第2実施例の画像処理方法の手順を示すフローチャート。
【図14】第2実施例の画像処理後の画像データの各画素の輝度Lの分布x(L)のヒストグラムの一例を示す説明図。
【図15】第2実施例の画像処理後の画像データの各画素の輝度Lの分布x(L)のヒストグラムの一例を示す説明図。
【図16】第3実施例の画像処理方法の手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
22…プリンタ
100…パーソナルコンピュータ
102…CPU
102a…画像データ入力部
102b…トーンジャンプ判定部
102c…ノイズ付加部
102d…輝度演算部
102e…輝度分布作成部
102f…平滑化分布作成部
102g…決定部
110…ディスプレイ
120…キーボード
130…マウス
140…R/RWドライブ
C0…明るさについての操作をしない場合の輝度の対応を表す直線
C1…明るさについての操作の内容を表すトーンカーブ
C2…明るさについての操作の内容を表すトーンカーブ
L…輝度
L1〜L4…輝度の階調
P…全画素数
R1〜R4…輝度の範囲
g(L)…輝度の度数分布x(L)と平滑化度数分布y(L)の差の度数分布
Th1〜Th4…画像評価値についてのしきい値
W1〜W4…ノイズの振幅
W4o…ノイズの振幅W4の初期値
x(L)…輝度の度数分布
y…輝度の度数分布x(L)をなだらかにしてた平滑化度数分布
ΔW4…ノイズの振幅W4の増分
Claims (30)
- 画像データの処理方法であって、
(a)画素値をそれぞれ有する複数の画素によって画像を表現する画像データを準備する工程と、
(b)前記画像データについて、前記画素値ごとの画素数の分布である度数分布xを求める工程と、
(c)前記度数分布xに対して所定の平滑化処理を行った度数分布yを求める工程と、
(d)前記度数分布xと前記度数分布yとに基づいて、前記画像データについての画像評価値を決定する工程と、
(e)前記画像評価値に応じて前記画像データにノイズを付加する工程と、を備える、画像データの処理方法。 - 請求項1記載の画像データの処理方法であって、
前記工程(c)は、
前記度数分布xの各画素値について、対象とする画素値の度数と、前記対象とする画素値の前後の複数の画素値の度数と、の平均値を計算し、前記平均値を、前記度数分布yの前記対象とする画素値における度数とする工程を含む、画像データの処理方法。 - 請求項1記載の画像データの処理方法であって、
前記工程(c)は、
前記度数分布xに対してローパスフィルタを適用して前記度数分布yを得る工程を含む、画像データの処理方法。 - 請求項1記載の画像データの処理方法であって、
前記工程(d)は、
前記度数分布xと前記度数分布yとの差の絶対値を前記全画素値について合計した値に基づいて、前記画像評価値を決定する工程を含む、画像データの処理方法。 - 請求項1記載の画像データの処理方法であって、
前記工程(d)は、
(d1)前記度数分布xと前記度数分布yとの差の度数分布gに対してフーリエ変換を行う工程と、
(d2)前記度数分布gの、所定の周波数についてのパワーの大きさに基づいて、前記画像評価値を決定する工程を含む、画像データの処理方法。 - 請求項1記載の画像データの処理方法であって、
前記工程(d)は、
度数分布xと前記度数分布yとの差の分散に基づいて、前記画像評価値を決定する工程を含む、画像データの処理方法。 - 請求項1記載の画像データの処理方法であって、
前記工程(e) は、
(e1)所定の確率で選択された画素について前記画素値にノイズを付加する工程を含み、
前記工程(e1)は、
(e2)前記画像評価値に応じて、前記画素値に付加するノイズの大きさを決定する工程を含む、画像データの処理方法。 - 請求項1記載の画像データの処理方法であって、
前記工程(e) は、
(e1)所定の確率で選択された画素について前記画素値にノイズを付加する工程を含み、
前記工程(e1)は、
(e2)前記画像評価値に応じて、前記所定の確率を決定する工程を含む、画像データの処理方法。 - 請求項1、7または8に記載の画像データの処理方法であって、
前記工程(e)は、
(e3)前記ノイズを付加された前記画像データについて、前記画像評価値を決定する工程と、
(e4)前記工程(e3)で決定された前記評価値が所定の条件を満たす場合に、前記画像データにさらにノイズを付加する工程と、を含む画像データの処理方法。 - 請求項7記載の画像データの処理方法であって、
前記画素値は画素の輝度である画像データの処理方法。 - 画像データを処理する画像処理装置であって、
画素値をそれぞれ有する複数の画素によって画像を表現する画像データを読み込む画像データ入力部と、
前記画像データについて、前記画素値ごとの画素数の分布である度数分布xを求める評価値分布作成部と、
前記度数分布xに対して所定の平滑化処理を行った度数分布yを求める平滑化分布作成部と、
前記度数分布xと前記度数分布yとに基づいて、前記画像データについての画像評価値を決定する画像評価値決定部と、
前記画像評価値に応じて前記画像データにノイズを付加するノイズ付加部と、を備える、画像データ処理装置。 - 請求項11記載の画像データ処理装置であって、
前記平滑化分布作成部は、前記度数分布xの各画素値について、対象とする画素値の度数と、前記対象とする画素値の前後の複数の画素値の度数と、の平均値を計算し、前記平均値を、前記度数分布yの前記対象とする画素値における度数とする、画像データ処理装置。 - 請求項11記載の画像データ処理装置であって、
前記平滑化分布作成部は、前記度数分布xに対してローパスフィルタを適用して前記度数分布yを得る、画像データ処理装置。 - 請求項11記載の画像データ処理装置であって、
前記画像評価値決定部は、前記度数分布xと前記度数分布yとの差の絶対値を前記全画素値について合計した値に基づいて、前記画像評価値を決定する、画像データ処理装置。 - 請求項11記載の画像データ処理装置であって、
前記画像評価値決定部は、
前記度数分布xと前記度数分布yとの差の度数分布gに対してフーリエ変換を行い、
前記度数分布gの、所定の周波数についてのパワーの大きさに基づいて、前記画像評価値を決定する、画像データ処理装置。 - 請求項11記載の画像データ処理装置であって、
前記画像評価値決定部は、度数分布xと前記度数分布yとの差の分散に基づいて、前記画像評価値を決定する、画像データ処理装置。 - 請求項11記載の画像データ処理装置であって、
前記ノイズ付加部は、
所定の確率で選択された画素について前記画素値にノイズを付加し、
前記画像評価値に応じて、前記画素値に付加するノイズの大きさを決定する、画像データ処理装置。 - 請求項11記載の画像データ処理装置であって、
前記ノイズ付加部は、
所定の確率で選択された画素について前記画素値にノイズを付加し、
前記画像評価値に応じて、前記所定の確率を決定する、画像データ処理装置。 - 請求項11、17または18に記載の画像データ処理装置であって、
前記ノイズ付加部は、
前記ノイズを付加された前記画像データについて、前記画像評価値を決定し、
決定された前記評価値が所定の条件を満たす場合に、前記画像データにさらにノイズを付加する、画像データ処理装置。 - 請求項17記載の画像データ処理装置であって、
前記画素値は画素の輝度である画像データ処理装置。 - 画像データの処理を行うプログラムであって、
画素値をそれぞれ有する複数の画素によって画像を表現する画像データを読み込む第1のサブプログラムと、
前記画像データについて、前記画素値ごとの画素数の分布である度数分布xを求める第2のサブプログラムと、
前記度数分布xに対して所定の平滑化処理を行った度数分布yを求める第3のサブプログラムと、
前記度数分布xと前記度数分布yとに基づいて、前記画像データについての画像評価値を決定する第4のサブプログラムと、
前記画像評価値に応じて前記画像データにノイズを付加する第5のサブプログラムと、を備えるプログラム。 - 請求項21記載のプログラムであって、
前記第3のサブプログラムは、前記度数分布xの各画素値について、対象とする画素値の度数と、前記対象とする画素値の前後の複数の画素値の度数と、の平均値を計算し、前記平均値を、前記度数分布yの前記対象とする画素値における度数とする、プログラム。 - 請求項21記載のプログラムであって、
前記第3のサブプログラムは、前記度数分布xに対してローパスフィルタを適用して前記度数分布yを得る、プログラム。 - 請求項21記載のプログラムであって、
前記第4のサブプログラムは、前記度数分布xと前記度数分布yとの差の絶対値を前記全画素値について合計した値に基づいて、前記画像評価値を決定する、プログラム。 - 請求項21記載のプログラムであって、
前記第4のサブプログラムは、
前記度数分布xと前記度数分布yとの差の度数分布gに対してフーリエ変換を行う第6のサブプログラムと、
前記度数分布gの、所定の周波数についてのパワーの大きさに基づいて、前記画像評価値を決定する第7のサブプログラムと、を含む、プログラム。 - 請求項21記載のプログラムであって、
前記第4のサブプログラムは、度数分布xと前記度数分布yとの差の分散に基づいて、前記画像評価値を決定する、プログラム。 - 請求項21記載のプログラムであって、
前記第5のサブプログラムは、
所定の確率で選択された画素について前記画素値にノイズを付加する第6のサブプログラムと、
前記画像評価値に応じて、前記画素値に付加するノイズの大きさを決定する第7のサブプログラムと、を含むプログラム。 - 請求項21記載のプログラムであって、
前記第5のサブプログラムは、
所定の確率で選択された画素について前記画素値にノイズを付加する第6のサブプログラムと、
前記画像評価値に応じて、前記所定の確率を決定する第7のサブプログラムと、を含むプログラム。 - 請求項21、27または28に記載のプログラムであって、
前記第5のサブプログラムは、
前記ノイズを付加された前記画像データについて、前記画像評価値を決定する第6のサブプログラムと、
決定された前記評価値が所定の条件を満たす場合に、前記画像データにさらにノイズを付加する第7のサブプログラムと、を含むプログラム。 - 請求項27記載のプログラムであって、
前記画素値は画素の輝度であるプログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003111049A JP2004318461A (ja) | 2003-04-16 | 2003-04-16 | トーンジャンプを目立たなくする画像処理 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003111049A JP2004318461A (ja) | 2003-04-16 | 2003-04-16 | トーンジャンプを目立たなくする画像処理 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004318461A true JP2004318461A (ja) | 2004-11-11 |
Family
ID=33471708
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003111049A Pending JP2004318461A (ja) | 2003-04-16 | 2003-04-16 | トーンジャンプを目立たなくする画像処理 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004318461A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006159559A (ja) * | 2004-12-06 | 2006-06-22 | Dainippon Printing Co Ltd | 画像データ生成装置、画像データ生成処理プログラム、及び感熱記録装置等 |
JP2008047102A (ja) * | 2006-07-20 | 2008-02-28 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 画像処理装置及び画像処理方法 |
JP2009177244A (ja) * | 2008-01-21 | 2009-08-06 | Fujifilm Corp | 画像処理装置、撮像装置および画像処理方法 |
JP2010157815A (ja) * | 2008-12-26 | 2010-07-15 | Konica Minolta Business Technologies Inc | プリンタ階調補正方法およびカラーグラデーション画像 |
WO2011013745A1 (ja) * | 2009-07-31 | 2011-02-03 | シャープ株式会社 | 階調調整装置、画像表示装置、テレビ受像機、プログラム、及び、プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 |
-
2003
- 2003-04-16 JP JP2003111049A patent/JP2004318461A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006159559A (ja) * | 2004-12-06 | 2006-06-22 | Dainippon Printing Co Ltd | 画像データ生成装置、画像データ生成処理プログラム、及び感熱記録装置等 |
JP4594712B2 (ja) * | 2004-12-06 | 2010-12-08 | 大日本印刷株式会社 | 画像データ生成装置、展開マトリックス選定装置、画像データ生成処理プログラム、及び画像データ生成方法等 |
JP2008047102A (ja) * | 2006-07-20 | 2008-02-28 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 画像処理装置及び画像処理方法 |
JP2009177244A (ja) * | 2008-01-21 | 2009-08-06 | Fujifilm Corp | 画像処理装置、撮像装置および画像処理方法 |
JP2010157815A (ja) * | 2008-12-26 | 2010-07-15 | Konica Minolta Business Technologies Inc | プリンタ階調補正方法およびカラーグラデーション画像 |
WO2011013745A1 (ja) * | 2009-07-31 | 2011-02-03 | シャープ株式会社 | 階調調整装置、画像表示装置、テレビ受像機、プログラム、及び、プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 |
JP5502868B2 (ja) * | 2009-07-31 | 2014-05-28 | シャープ株式会社 | 階調調整装置、画像表示装置、テレビ受像機、プログラム、及び、プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5159208B2 (ja) | 映像補正方法及び装置 | |
JP4210577B2 (ja) | 選択的空間フィルタを使用するディジタル画像の階調及び空間特性の向上方法 | |
JP4804660B2 (ja) | デジタルイメージ処理のためのカラー情報を使用したノイズ低減方法 | |
JP5389903B2 (ja) | 最適映像選択 | |
JP4902837B2 (ja) | モノクロ画像への変換方法 | |
KR100809347B1 (ko) | 쉐도우 영역 보상 방법 및 장치 | |
EP2059902B1 (en) | Method and apparatus for image enhancement | |
US20050074180A1 (en) | Determining parameters for adjusting images | |
KR100791388B1 (ko) | 영상의 선명도 향상을 위한 장치 및 방법 | |
KR101295649B1 (ko) | 화상처리장치, 화상처리방법, 및 기억매체 | |
JP2011239446A (ja) | 輝度変換曲線作成装置および方法,ならび輝度変換曲線作成プログラム | |
JP2004318461A (ja) | トーンジャンプを目立たなくする画像処理 | |
KR101389932B1 (ko) | 이미지 톤 매핑 장치 및 방법 | |
JP2005004506A (ja) | 画像処理プログラム | |
JP3557115B2 (ja) | 画像フィルタの決定方法および装置、並びに、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体 | |
JP4708866B2 (ja) | ルックアップテーブル作成装置および方法,ならびにルックアップテーブル作成プログラム | |
JPH10208038A (ja) | 画像処理方法および画像処理装置 | |
JP4445026B2 (ja) | 画像処理方法および装置並びにプログラム | |
JP4345026B2 (ja) | 画像処理プログラムおよび画像処理装置 | |
JP2004260835A (ja) | 画像処理装置、画像処理方法、画像処理制御プログラムを記録した媒体 | |
JP2010154484A (ja) | 映像変換装置、映像変換方法および映像変換プログラム | |
KR20160103213A (ko) | 레티넥스 기법을 이용한 고속의 영상처리방법 | |
JP2024015724A (ja) | 画像処理装置およびプログラム | |
JP2006024097A (ja) | シャープネス計測装置、シャープネス計測方法、画像処理装置、画像処理方法、シャープネス計測プログラム、画像処理プログラム、及び記憶媒体 | |
JP2005004582A (ja) | 画像処理装置、画像処理プログラム、および電子カメラ |