JP2004318430A - 枚数計数装置及び計数補助治具 - Google Patents
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Abstract
【課題】山と積まれた測定対象物の上端部から下端部まで(特に、最上部と最下部)の計数を正確に行うことができる枚数計測装置及び計数補助治具を提供する。
【解決手段】厚さ方向に積み上げられた複数枚の紙山5の側部に配置され、積み上げられた紙間の各々の境界部分の画像を取得するカメラ装置15と、カメラ装置15の出力に基づいて境界部分の濃淡データを加算することにより紙6の枚数を演算する演算処理装置と、積み上げられた紙6の上端部及び下端部に配置され、画像を取得する面の近傍において紙山5の上端面に上方から密着され又は紙山5の下端面に下方から密着されると共に紙1枚の厚さよりも大きな計数補助面を有する下側計数補助治具100及び上側計数補助治具101と、を備えて構成される。
【選択図】 図1
【解決手段】厚さ方向に積み上げられた複数枚の紙山5の側部に配置され、積み上げられた紙間の各々の境界部分の画像を取得するカメラ装置15と、カメラ装置15の出力に基づいて境界部分の濃淡データを加算することにより紙6の枚数を演算する演算処理装置と、積み上げられた紙6の上端部及び下端部に配置され、画像を取得する面の近傍において紙山5の上端面に上方から密着され又は紙山5の下端面に下方から密着されると共に紙1枚の厚さよりも大きな計数補助面を有する下側計数補助治具100及び上側計数補助治具101と、を備えて構成される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、厚さ方向に積み上げられた複数枚のシート状又はフィルム状の測定対象物を計数する枚数計数装置及びその計数補助治具に関し、特に、山状に積み上げられた紙やフィルム等の測定対象物の枚数を正確に計数するための枚数計数装置及び計数補助治具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、紙の枚数を計数する装置としては、例えば、紙幣カウンタ等のように、測定対象物を一枚ずつ繰って計数するものがある。しかし、測定対象物である紙幣の大きさには限度があり、紙幣カウンタを、例えば、ロールから切り出されて山状に積み上げられた大判の紙の計数に用いることは不可能である。
【0003】
また、非接触で紙の枚数を計数する手法を採ることもある。山状に積み上げられた複数枚の紙(以下「紙山」という。)の枚数を非接触で計数する手法としては、例えば、紙山の高さを紙一枚当たりの厚さで除して算出したり、紙山の全重量を紙一枚当たりの重量で除して算出する等の方法がある。
【0004】
しかしながら、紙山の高さを紙一枚当たりの厚さで除算する前者の場合には、一般に紙の厚さには数%のバラツキがあるため、紙山全体の正確な枚数を算出することは困難である。また、紙山の全重量を紙一枚当たりの重量で除算する後者の場合には、紙そのものの重量のバラツキ、周囲の湿気の多少等によって重量が大きく変化し、この場合にも紙山全体の正確な枚数を計数することは困難であった。特に、紙山の上端部及び下端部における計数には、特有の問題点が存在している。
【0005】
通常、紙山は、木製或いは樹脂製のパレット上に積み上げられ、必要によりパレット上に敷かれた緩衝材の上に積み上げられる。そして、紙山の最上部には、紙の汚れやズレを防止するためにシート状のカバーが被せられる。このパレットや緩衝材は、単に運搬用或いは載置用の敷物として用いられるもので、紙の枚数を計数するために用いられるものではない。同様に、カバーは、単に紙の汚れやズレを防止するために用いられるもので、紙の枚数を計数するために用いられるものではない。
【0006】
また、従来の、この種の枚数計数装置に関するものとしては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。この特許文献1には、ケース中に収納された板状の測定対象物を非接触で計数する物体検査方法に関するものが記載されている。この物体検査方法は、ケース中に収納された板状の物体を、画像処理装置に接続されたTVカメラで撮像し、その濃淡画像を解析することによってケースの位置及び傾きを算出し、前記位置或いは傾き情報のうち少なくとも一方の情報を基にしてケースに平行で、前記物体上を通る直線上における一定値以上の濃淡分布の数を求めることによって、ケース中の物体枚数を算出するようにしている。
【0007】
更に、従来の他の枚数計数装置としては、例えば、特許文献2及び特許文献3に記載されているようなものもある。特許文献2には、レーザ光を利用して紙の枚数と紙の側端の形状を検知する紙測定装置に関するものが記載されている。また、特許文献3には、画像形成装置等の機械へ記録紙等のシートを供給するのに使用されるシート供給装置におけるシート残量測定装置に関するものが記載されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−314259号公報(第2−3頁、図4)
【特許文献2】
特開平2−136989号公報(第2頁、第1図)
【特許文献3】
特開昭63−154555号公報(第2頁、第1b図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したパレットや緩衝材は、単に敷物或いは上掛けとして用いられるもので、その他の用途や機能を意図して用いられるものではない。そのため、紙山の紙と緩衝材との境界部分や紙とカバーとの境界部分が不明確になり、或いは紙が緩衝材やカバー内に埋もれてしまい、それぞれの紙を一枚毎に明確に認識することができないという課題があった。
【0010】
また、前記特許文献1に記載の方法では、紙のように断面部に繊維や裁断刃痕が見られたり、境界間に段差があると、これらの影響により、得られる画像の断面および境界部が不鮮明になる。その結果、重ね合わされた紙の正確な計数ができないという課題があった。更に、特許文献1に記載の方法では、画像処理に必要な光学倍率においては、フォーカス合わせ機構が不可欠であり、これにより装置構成が複雑化したり、高コスト化するという課題がある。このフォーカス距離の変動を抑えるためには、測定対象面を段差無く整列させる必要があり、これが原因で作業効率が悪化するという課題もある。
【0011】
このように、従来の技術においては、正確な紙の計数装置・計数方法は確立されておらず、正確な計数を必要とする用途では、作業者による手作業での計数が行われ、多くの工数をかける必要があった。しかも、このような作業を行っても、計数ミス等の発生を完全に抑えることはできなかった。
【0012】
本発明は、上述したような課題に鑑みてなされたものであり、山と積まれた測定対象物の上端部から下端部まで(特に、最上部と最下部)の計数を正確に行うことができ、計数のための作業性に優れた枚数計数装置及び計数補助治具を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述したような課題を解決し、前記目的を達成するため、本出願の請求項1に記載の枚数計数装置は、厚さ方向に積み上げられた複数枚のシート状又はフィルム状の測定対象物の側部に配置され、積み上げられた測定対象物間の各々の境界部分の画像を取得する撮像装置と、撮像装置の出力に基づいて境界部分の濃淡データを加算することにより測定対象物の枚数を演算する演算処理装置と、積み上げられた測定対象物の上端部及び下端部の少なくとも一方に配置され、画像を取得する面の近傍において測定対象物の上端面に上方から密着され又は測定対象物の下端面に下方から密着されると共に測定対象物1枚の厚さよりも大きな計数補助面を有する計数補助治具と、を備えたことを特徴としている。
【0014】
本出願の請求項2に記載の枚数計数装置は、撮像装置は、積み上げられた測定対象物の高さ方向に沿って移動可能とされ且つ測定対象物に対向される光学レンズを備えたカメラ装置からなり、カメラ装置は、光学レンズを通った光が入力されるラインCCDセンサを有することを特徴としている。
【0015】
本出願の請求項3に記載の枚数計数装置は、計数補助治具は、積み上げられた測定対象物の上端面に載置される上側補助治具と、測定対象物の下端面に下方から当接される下側補助治具とからなることを特徴としている。
【0016】
本出願の請求項4に記載の枚数計数装置は、上側補助治具及び/又は下側補助治具の計数補助面は、測定対象物の画像を取得する面の色と異なる色を有すると共に画像を取得する面と略同一平面となる位置に設けたことを特徴としている。
【0017】
本出願の請求項5に記載の枚数計数装置は、上側補助治具及び/又は下側補助治具の計数補助面は、測定対象物の画像を取得する面に焦点が合わされるカメラ装置の光学レンズの焦点深度より深い位置に設けたことを特徴としている。
【0018】
本出願の請求項6に記載の枚数計数装置は、上側補助治具及び/又は下側補助治具には、測定対象物の画像を取得する面の近傍を上方から下方に向けて押圧し又は下方から上方に向けて押圧する押圧機構を設けたことを特徴としている。
【0019】
本出願の請求項7に記載の枚数計数装置は、押圧機構は、測定対象物に当接される治具本体と、治具本体に移動可能に支持される押圧部材と、押圧部材を測定対象物側に付勢する弾性部材と、からなることを特徴としている。
【0020】
本出願の請求項8に記載の枚数計数装置は、上側補助治具及び/又は下側補助治具には、測定対象物の波打ちピッチよりも長い治具取付プレートを設け、治具取付プレートには、複数箇所に設けられた画像を取得する面に対応して複数の押圧機構を設けたことを特徴としている。
【0021】
本出願の請求項9に記載の計数補助治具は、積み上げられた測定対象物の上端部及び下端部の少なくとも一方に配置され、積み上げられた測定対象物間の各々の境界部分の画像を取得する撮像装置により撮像される面の近傍において測定対象物の上端面に上方から密着され又は測定対象物の下端面に下方から密着されると共に測定対象物1枚の厚さよりも大きな計数補助面を有することを特徴としている。
【0022】
本出願の請求項10に記載の計数補助治具は、計数補助面は、積み上げられた測定対象物の画像を取得する面の色と異なる色を有すると共に測定対象物の高さ方向に沿って移動可能とされるカメラ装置の光学レンズの焦点距離と略同一位置に設けたことを特徴としている。
【0023】
本出願の請求項11に記載の計数補助治具は、計数補助面は、積み上げられた測定対象物の高さ方向に沿って移動可能とされるカメラ装置の光学レンズの焦点深度より深い位置に設けたことを特徴としている。
【0024】
本出願の請求項12に記載の計数補助治具は、補助治具及び/又は下側補助治具には、測定対象物の画像を取得する面の近傍を上方から下方に向けて押圧し又は下方から上方に向けて押圧する押圧機構を設けたことを特徴としている。
【0025】
本出願の請求項13に記載の計数補助治具は、押圧機構は、測定対象物に当接される治具本体と、治具本体に移動可能に支持される押圧部材と、押圧部材を測定対象物側に付勢する弾性部材と、を有することを特徴としている。
【0026】
また、本出願の請求項14に記載の計数補助治具は、上側補助治具及び/又は下側補助治具には、測定対象物の波打ちピッチよりも長い治具取付プレートを設け、治具取付プレートには、複数箇所に設けられた画像を取得する面に対応して複数の押圧機構を設けたことを特徴としている。
【0027】
上述のように構成したことにより、本出願の請求項1に記載の枚数計数装置では、複数枚の測定対象物が積み上げられた山(以下「対象物山」という。)の上端部に上側計数補助治具を配置し、この上側計数補助治具を対象物山の上端部に密着させることにより、計数補助面によって対象物山の最上部の境界が明確に認識できるようになる。また、対象物山の下端部に下側計数補助治具を配置し、この下側計数補助治具を対象物山の下端部に密着させることにより、計数補助面によって対象物山の最下部の境界が明確に認識できるようになる。
【0028】
かかる状態において、撮像装置で対象物山の測定対象物間の境界部分を撮像することにより、対象物山の最上部又は最下部の境界部分を明確に認識することができるようになり、その画像情報に基づいて計数装置で境界部分の濃淡データを加算することにより、対象物山の最上部又は最下部における測定対象物の枚数を正確に計数することができる。
【0029】
本出願の請求項2に記載の枚数計数装置では、ラインCCDセンサを有するカメラ装置を撮像装置として適用し、そのカメラ装置を対象物山の高さ方向に沿って移動させて測定対象物をスキャニングすることにより、境界部分の濃淡データからなる明確な画像情報を取得することができる。
【0030】
本出願の請求項3に記載の枚数計数装置では、計数補助治具として上側計数補助治具と下側計数補助治具の両者を同時に用いることにより、積み上げられた測定対象物の山の最上部から最下部までの総枚数を正確に計数することができる。
【0031】
本出願の請求項4に記載の枚数計数装置では、上側計数補助治具及び下側計数補助治具の各計数補助面の色を測定対象物の画像を取得する面と異なる色に設定すると共に、その計数補助面を測定対象物の画像を取得する面と略同一平面となる位置に設定することにより、計数補助面と測定対象物との間の境界部分を撮像装置によって明確に認識できるようになり、これにより境界部分の濃淡データからなる明確な情報を取得することができる。
【0032】
本出願の請求項5に記載の枚数計数装置では、上側計数補助治具及び下側計数補助治具の各計数補助面を、カメラ装置の光学レンズの焦点深度より深い位置に設定することにより、計数補助面をボカして測定対象物の画像を取得する面との間に色の差を生じさせることができ、これにより境界部分を明確に認識できるようにして境界部分の濃淡データからなる明確な情報を取得することができる。
【0033】
本出願の請求項6に記載の枚数計数装置では、上側計数補助治具及び下側計数補助治具に設けた押圧機構により、測定対象物の画像を取得する面の近傍を上方から下方へ押圧し又は下方から上方へ押圧することにより、測定対象物間の境界部分、特に積み上げられた測定対象物の山の最上部又は最下部の境界部分を明確に認識することができる。
【0034】
本出願の請求項7に記載の枚数計数装置では、計数補助治具の押圧機構を治具本体と押圧部材と弾性部材とで構成することにより、測定対象物間の境界部分を明確に表すことができる機構を、簡単な構造によって実現することができる。
【0035】
本出願の請求項8に記載の枚数計数装置では、計数補助治具に治具取付プレートを設け、この治具取付プレートの複数箇所に押圧機構を設ける構成とすることにより、積み上げられた測定対象物の山の計数側の面において複数箇所で境界部分の撮像が可能であり、その複数箇所のうち任意の部分を用いて測定対象物間の境界部分の明確な画像を取得することができる。
【0036】
本出願の請求項9に記載の計数補助治具では、複数枚の測定対象物が積み上げられた山(以下「対象物山」という。)の上端部又は下端部に計数補助面を密着させて配置することにより、その計数補助面によって対象物山の最上部又は最下部の境界部分が明確に認識できるようになる。
【0037】
本出願の請求項10に記載の計数補助治具では、計数補助面の色を測定対象物の画像を取得する面と異なる色に設定すると共に、その計数補助面を測定対象物の画像を取得する面と略同一平面となる位置に設定することにより、計数補助面と測定対象物との間の境界部分を明確に認識できるようになる。
【0038】
本出願の請求項11に記載の計数補助治具では、計数補助面を、カメラ装置の光学レンズの焦点深度より深い位置に設定することにより、計数補助面をボカして測定対象物の画像を取得する面との間に色の差を生じさせることができ、これにより境界部分を明確に認識できるようにすることができる。
【0039】
本出願の請求項12に記載の計数補助治具では、押圧機構を設けて測定対象物の画像を取得する面の近傍を上方から下方へ押圧し又は下方から上方へ押圧することにより、測定対象物間の境界部分、特に積み上げられた測定対象物の山の最上部又は最下部の境界部分を明確に認識することができる。
【0040】
本出願の請求項13に記載の計数補助治具では、押圧機構を治具本体と押圧部材と弾性部材とで構成することにより、測定対象物間の境界部分を明確に表すことができる機構を、簡単な構造によって実現することができる。
【0041】
本出願の請求項14に記載の計数補助治具では、複数箇所に押圧機構を有する治具取付プレートを設けることにより、積み上げられた測定対象物の山の計数側の面において複数箇所で境界部分の撮像が可能であり、その複数箇所のうち任意の部分を用いて測定対象物間の境界部分の明確な画像を取得することができる。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1〜図24は、本出願に係る枚数計数装置及び計数補助治具の実施の形態及び、その実施の形態を説明するための図である。
本実施の形態では、ロール状態から切り出されて山状に積み上げられた紙(以下「紙山」という。)を測定対象物として、本発明を適用した例について説明する。
【0043】
図1は、本出願に係る枚数計数装置の一実施例の概略構成を示す全体構成図であり、図2は、その枚数計数装置の具体的構成を示す説明図である。この枚数計数装置1は、対象物山の一具体例を示す紙山5が載置される紙山支持台2と、この紙山支持台2に載置された紙山5の一側面に対向して配置される撮像装置15と、この撮像装置15を昇降動作させる昇降装置3と、この昇降装置3が搭載される支持装置4と、これら昇降装置3及び支持装置4等を制御すると共に撮像装置15によって取得された画像データに基づいて測定対象物である紙6の枚数を演算する等の機能を有する制御装置9とから構成されている。
【0044】
紙山5は、測定対象物の一具体例を示す紙6の多数枚を厚さ方向に積み上げたもので、例えば、ロール状態から切り出された紙が適用される。この紙6の形状は、例えば、縦横の各辺が約1mの正方形(長方形であっても良い。)をなしている。この同一種類の紙6を、例えば、高さ1m程度の山状に積み上げることによって紙山5が構成される。この紙山5を構成する紙としては、例えば、インクジェット用プリンタ用紙、複写機用の上質紙、葉書用紙等を適用することができる。1枚の紙6の厚さを、例えば210μm程度にすると、紙山5の総重量は5〜600kg程度となる。
【0045】
本発明に用いられる測定対象物は、切って積み重ねたときに、その断面の境界部分がある程度の明るさの変化によって検出できるものである必要がある。従って、上述したプリンタ用紙等の他、断面の境界部分をある程度の明るさの変化で検出できるものであれば、他の紙を適用できることは勿論のこと、紙以外のプラスチック製のシートやフィルム或いは金属製の薄板や箔等を測定対象物として用いることもできる。その一方、例えば、ティッシュペーパーのように断面の境界部分が検出できないものや、ダンボール紙のように2枚の紙の間に形状が変化する紙が介在されているような断面中に大きな特徴がある紙類は、本発明に適用される測定対象物として用いることはできない。
【0046】
このような紙山5は、運搬等の利便性から、パレット7上に積み上げられて用いられている。紙山5の理想的な姿勢は、図16Aに示すように外形が略直方体のものであるが、実際の使用状態においては図16Bに示すように、横方向及び回転方向ばかりでなく、縦方向にも変化しているのが実情である。
【0047】
即ち、実際の紙山5には、重なり合う紙6の境界部分5aを境にして横方向に移動して並行にずれる「うねり」と、回転方向に移動してずれる「ねじれ」がある。更に、図17に示すように、紙6の厚さの厚薄によって縦方向に変化を生じ、これが紙6の平面方向における「波打ち」となって現れる。そして、これら「うねり」、「ねじれ」及び「波打ち」が組み合わされて実際の紙山5の姿勢となっている。
【0048】
一方、紙山5が理想的な姿勢であっても、図16Bに要部を拡大して示すように、紙6の端部をミクロ的に見ると、小さな範囲であっても「同時カットずれ」、「長短ずれ」と言われる紙6の端面間で長短のずれ(以下「長短ずれ」という。)が生じている。この「長短ずれ」は、全ての紙6を等しく同じ長さで裁断できないことによるものである。一般に、紙山5を構成する各紙6は、複数個のジャンボロールからそれぞれ引出された複数枚の連続紙を重ね合わせた状態で、裁断機で同時に裁断することによって得られる。この際、裁断時における同時カットずれ、個々のジャンボロールの張力差等に起因して紙6を同じ位置で切り出すことができず、そのために「長短ずれ」が発生する。この「長短ずれ」の大きさは、通常、1mm程度である。
【0049】
一般に、裁断機には、紙を整列させる整列装置が用意されているが、この整列装置によっては「ずれ」を取り除くことができず、「長短ずれ」として残存される。この「長短ずれ」は、作業条件によって変化し、上述した1mmより大きくなることもある。また、「うねり」及び「ねじれ」については、作業者の熟練度によって大きく変化し、ある程度の整列が可能である。一方、「波打ち」及び「長短ずれ」は作業者の熟練度に関係せず、これらの修正は困難である。
【0050】
本実施例に係る測定対象物の紙6は、その厚さtが60μm〜500μmのものを計数対象としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、厚さtが500μm以上の紙等や、厚さtが60μm以下の紙等にも適用可能である。また、測定対象物が山状に積まれているものを計数対象としており、その高さは1.2m以内、「うねり」は全高さ範囲で±25mm、「ねじれ」は±5度以内、「長短ずれ」は1mm以内、「波打ち」振幅は10mm以内を測定可能範囲としている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの数値は必要に応じて修正可能であることは勿論である。
【0051】
このような紙山5がパレット7を介して載置される紙山支持台2は、設置面8に据え付けられる架台10と、この架台10上に取り付けられる可動ベース11とから構成されている。図2に示すように、架台10は複数個の高さ調整具12によって高さ調整可能とされており、この架台10の上面に可動ベース11が設置されている。可動ベース11は、架台10に対して紙山5を、撮像装置15に近づく方向及びそれから遠ざかる方向(Y軸方向)に移動可能に構成されている。更に、可動ベース11は、紙山5を水平面内で回転させる方向へも回動可能とされている。
【0052】
図1及び図2に示すように、昇降装置3が搭載される支持装置4は、水平方向の直交する2方向(X軸方向及びY軸方向)へ移動可能とされたX−Y軸テーブル17と、このX−Y軸テーブル17を支持する機台18等を備えて構成されている。支持装置4の機台18は、複数個の高さ調整具20によって高さ調整可能とされており、これらの高さ調整によって上面の水平度を調整することができる。この機台18の上にX−Y軸テーブル17が配設されている。
【0053】
図3に示すように、X−Y軸テーブル17は、紙山5の測定面(測定側の側面)と平行する方向(X軸方向)に送り駆動可能とされた下段のX軸テーブル21と、X軸方向と直交する方向である測定面と対向する方向(Y軸方向)に送り駆動可能とされた上段のY軸テーブル22とから構成されている。即ち、Y軸テーブル22がX軸テーブル21の上に配設され、そのX軸テーブル21が機台18の上に配設されている。
【0054】
X軸テーブル21は、平板状の下テーブル板24と、Y軸方向に所定の間隔をあけて下テーブル板24の下面に固定された左右一組のスライダ25,25と、この一組のスライダ25,25にそれぞれ係合される一対のガイドレール26,26と、下テーブル板24を機台18に対して相対的に移動させるように駆動するX軸駆動モータ27等を備えて構成されている。一組のスライダ25,25は、それぞれ縦方向に2個ずつ配置されており、1個のガイドレール26に対して2個のスライダ25が、その軸方向へ摺動可能に係合されている。また、一対のガイドレール26,26は、互いに平行とされて機台18の上面に固定されている。
【0055】
X軸駆動モータ27は、機台18の上面に固定されたブラケット28に回転軸を横方向へ向けた状態で固定されている。図示しないが、X軸駆動モータ27の回転軸には、ジョイントを介してボールネジの一端が固定されており、このボールネジに螺合されたボールナットが下テーブル板24の下面に固定されている。このX軸駆動モータ27を駆動してボールネジを回転させることにより、その回転方向に応じて下テーブル板24が、紙山5の測定面と平行する方向(X軸方向)に直線的に移動される。
【0056】
Y軸テーブル22は、X軸テーブル21と同様の構成を有しており、上テーブル板30と一組のスライダ31(片側のみを示す。)と一対のガイドレール32(片側のみを示す。)とY軸駆動モータ33等を備えて構成されている。上テーブル板30は平板状をなしていて、その下面に一組、合計4個のスライダ31が前後及び左右に所定の間隔をあけて固定されている。一対のガイドレール32は、互いに平行とされて下テーブル板24の上面に固定されている。そして、1個のガイドレール32に対して2個のスライダ31が、その軸方向へ摺動可能に係合されている。
【0057】
Y軸駆動モータ33は、下テーブル板24の側面に固定されたブラケット34に回転軸33aを横方向へ向けた状態で固定されている。Y軸駆動モータ33の回転軸33aには、図示しないが、ジョイント35を介してボールネジの一端が固定されており、このボールネジに螺合されたボールナットが上テーブル板30の下面に固定されている。このY軸駆動モータ33を駆動してボールネジを回転させることにより、その回転方向に応じて上テーブル板30が、紙山5の測定面と対向する方向(Y軸方向)に直線的に移動される。
【0058】
このY軸テーブル22の上に、昇降装置3が搭載されている。昇降装置3は、紙山5の側面に沿って撮像装置15を昇降動作させるもので、撮像装置の一具体例を示すカメラ装置15で撮像された紙6間の境界部分の画像に対応する信号が制御装置9に供給される。この昇降装置3は、4本のガイドロッド40と天井板41と駆動モータ42と送りネジ43と送りナット44と昇降板45等から構成されている。
【0059】
図1〜図3に示すように、Y軸テーブル22の上テーブル板30に、4本のガイドロッド40(前側のみを示す。)の下端部がそれぞれ固定されている。4本のガイドロッド40は上テーブル板30の上面に垂直に立てられており、これら4本のガイドロッド40の上端部に天井板41が固定されている。天井板41の上面の略中央部には、回転軸を上下方向に向けた状態で駆動モータ42が固定されている。駆動モータ42の回転軸は送りネジ43(例えば、ボールネジ等を用いることができる。)とされていて、送りネジ43の下端部は上テーブル板30によって回転自在に支持されている。
【0060】
送りネジ43には送りナット44が軸方向へ移動可能に螺合されている。この送りナット44は、水平方向に展開された長方形の板材からなる昇降板45にネジ等の固着手段により固定されている。このため、図4及び図5に示すように、昇降板45の長手方向の略中央部には、送りナット44が嵌合される穴47aが設けられており、この穴47aに送りナット44が嵌合固定されている。更に、昇降板45の四隅にも穴47bが設けられており、これらの穴47bには円筒状のスリーブ46がそれぞれ嵌合固定されている(図3を参照)。これら4個のスリーブ46には、前述した4本のガイドロッド40がそれぞれ摺動自在に挿通されている。
【0061】
また、昇降板45には、支持プレート50を水平方向へ旋回動作させるための首振り機構48が設けられている。この首振り機構48は、首振りのための回動中心となる回動軸49を有し、この回動軸49の上部にガイド部材53の一端がネジ等の固着手段により固定されている。この回動軸49を回動自在に支持するため昇降板45の一側(紙山5と対向する側)には、下方に突出するボス部54が設けられている。
【0062】
このボス部54には複数個のボールベアリングからなる軸受が装着されており、この軸受を介して回動軸49が、その軸方向を上下方向へ向けた状態で水平方向へ回動自在に支持されている。そして、回動軸49の下端部に設けたネジ部に2個のナット55を螺合させることにより、回動軸49が抜け止めされている。回動軸49とボス部54等によって首振り機構48が構成されている。
【0063】
ガイド部材53の上面には、昇降板45の長手方向(紙山5の側面と直交する方向)に延在された溝付きガイド57が固定されている。溝付ガイド57の溝は上面に設定されており、この溝に摺動自在に係合されるガイドレール58が支持プレート50の下面に固定されている。支持プレート50にはバネ受けポスト60が設けられ、これに対応するバネ受けポスト61がガイド部材53に設けられている。両ポスト60,61の間には、引っ張り状態で第1コイルバネ62が掛け渡されており、この第1コイルバネ62のバネ力によって支持プレート50が常時紙山5側へ向かうように付勢されている。そして、図示しないストッパにより、支持プレート50が所定以上紙山5側へ移動するのを防止している。
【0064】
また、昇降板45の上面には、ガイド部材53を両側から挟むように一対のバネ受けポスト63,64が設けられている。各バネ受けポスト63,64とガイド部材53との間には、それぞれ第2コイルバネ65,66が引っ張り状態で掛け渡されている。このようにガイド部材53を両側から2個の第2コイルバネ65,66で引っ張ることにより、ガイド部材53を介して支持プレート50が中央部に位置するように弾性支持されている。
【0065】
これにより、支持プレート50に旋回方向の外力が加えられると、一方の第2コイルバネ65又は66のバネ力に抗して支持プレート50が回動軸49を回動中心として水平方向に回動される。そして、前記外力が取り除かれると、2個の第2コイルバネ65,66のバランスによって支持プレート50が中央部に復帰される。
【0066】
この支持プレート50の上面には、カメラ装置15がY軸方向へ移動可能に搭載されている。カメラ装置15は、ラインCCD(Charge Coupled Device)70が内蔵されたカメラ本体71と、このカメラ本体71の前部でラインCCD70の前方に配置された光学レンズ72等を備えて構成されている。ラインCCD70はCCDが横方向に線状に並ぶ構造を有しており、光学レンズ72の先端に設けられた対物レンズが紙山5の側面に対向される。光学レンズ72は、紙山5のミクロな断面位置のずれ{「長短ずれ」の大きさ(1mm程度)}を吸収できる被写界深度或いは焦点深度(例えば、本実施例では2.5mm)を有している。
【0067】
この光学レンズ72を通してラインCCD70の多数の画素に紙山5の紙境界部分の映像が受光される。このラインCCD70で線状のデータを取得することを「スキャン」という。このカメラ装置15を紙山5の高さ方向(紙境界方向と直交する方向)へ移動させて紙6の境界部分5aをスキャンすることにより、紙山5の側面の画像がCCDデータとして取得される。
【0068】
このカメラ装置15の対物レンズの前方位置には、光学レンズ72の光軸と同心をなすように照明装置の一具体例を示すリング照明73が配置されている。このリング照明73は、取付ブラケット74を介して支持プレート50の前部に取り付けられている。リング照明73は、例えば青色発光ダイオードで構成され、可視光の単一波長に近い光源を、紙山5の側面である撮像面に対して全方位から均一に照射できるように構成されている。
【0069】
このリング照明73を水平方向の両側から挟むように一対のタッチローラ75a,75bが配置されている。一対のタッチローラ75a,75bは、支持プレート50の先端部に固定された一対のアーム部材76a,76bによって回転自在に支持されている。各タッチローラ75a,75bの回転軸は、紙境界方向と平行する水平方向に設定されている。これにより、各タッチローラ75a,75bが紙山5との間に生ずる摩擦力によって容易に回転し得るようになっている。
【0070】
この一対のタッチローラ75a,75bは、上述した第1コイルバネ62のバネ力で紙山5側に付勢され、紙山5の「うねり」に追従して移動して、紙山5と対物レンズとの間の距離を一定に保持するようになっている。また、一対のタッチローラ75a,75bは、上述した一対の第2コイルバネ65,66を有する首振り機構48により、紙山5の「ねじれ」に追従して変位して、紙山5と対物レンズとの間の距離を一定に保持するように、紙山倣い機構として構成されている。
【0071】
このように、カメラ装置15は、紙山5の側面に沿った移動過程において、紙山5の「ねじれ」や「うねり」に追従してタッチローラ75a,75bが紙山5の側面にならって揺動(首振り)又は前進若しくは後退し、常に、ラインCCD70に対して一定のフォーカス距離が保持されるようになっている。尚、一方のアーム部材76aの先端部には、後述する上側計測補助治具101の有無を検出するための治具検出センサ77が取り付けられている。
【0072】
以上のような構成を有するカメラ装置15が昇降装置3によって上下方向へ移動されるが、図1に示すように、上限位置検出センサ78及び下限位置検出センサ79によってカメラ装置15の上下方向における位置検出が可能とされている。各位置検出センサ78,79の設定位置を調整することにより、カメラ装置15の設定高さ及び、その上下方向への移動ストロークが調整自在とされている。尚、Y軸テーブル22の上テーブル板30の紙山5側の上面には、後述する下側計数補助治具100が搭載されている。
【0073】
また、図1に示すように、制御装置9は、カメラ装置15によって取得された紙山5の画像データや制御情報その他の情報等を表示する表示部であるモニタ80と、枚数計数装置1の全体を制御すると共にカメラ装置15から供給される画像データに基づいて紙山5の枚数を計数する演算処理装置を兼ねる制御部81と、この制御部81を制御する制御信号や各種パラメータ等を入力するためのキーボードやマウス等が収納された制御ボックス82等を備えて構成されている。
【0074】
次に、図18を参照して、本実施の形態の枚数計測装置1の制御系の詳細について説明する。この枚数計測装置1の制御系は、送り機構部と送り機構制御部と情報処理部とに分けることができ、これらにより駆動制御されて紙山5の紙数の計数が実行される。送り機構部は駆動モータ42とモータドライバ90とを有し、送り機構制御部はインターフェース回路87とパルス発生器88とデジタル入出力ボード89とラインCCD電源84とを有している。また、情報処理部は、処理コンピュータによって構成されるパルス発生器88とデジタル入出力ボード89とアナログ出力ボード86と計数黄2と、モニタ80及び制御ボックス82等を有している。
【0075】
昇降装置3の駆動モータ42と、カメラ装置15と、リング照明73は、情報処理部の処理コンピュータからなる制御部81によって制御される。更に、カメラ装置15及びリング照明73は、それぞれ、ラインCCD用電源43および照明用電源84から必要な電力が供給される。そして、リング照明73の照度は、制御部81のアナログ出力ボード86によって調整可能とされている。
【0076】
駆動モータ42及びカメラ装置15は、制御部81からの制御信号が供給されるインターフェース回路87の出力に基づいて駆動される。インターフェース回路87は、ラインCCD70の画像取込周期と駆動モータ42による送り速度とを同調させるための回路であり、パルス発生器88及びデジタル入出力ボード89から供給される駆動モータ(パルスモータ)42及びカメラ装置15の制御パルスを、モータドライバ90及びカメラ装置15へ出力する。
【0077】
駆動モータ42の駆動速度は、カメラ装置15のラインCCD70による画像取得領域が常に一定の間隔となるように制御される。インターフェース回路87は、その同期情報を画像処理ボード91へ出力する。ラインCCD70からの取得画像情報は、画像処理ボード91に対して、一定周期で出力される。駆動モータ42は、カメラ装置15を、例えば上方へ一定速度で滑らかに移動させることにより、ラインCCD70が一定間隔で紙山5の画像データを取り込むことができるようになっている。
【0078】
画像処理ボード91は、ラインCCD70の取得画像情報と、カメラ装置15の移動情報から、一定間隔でラインCCD70による取得画像情報が連なる画像を合成する。カメラ装置15が紙山5の高さ方向に連続して移動し、その間データを取得し続けることにより、紙山5の測定面を1枚の画像として取得する。これを2次元の画像として周囲の画像情報と組み合わせて処理を行うことにより、精度の高い処理を行うことができる。これにより、紙山5の側面の切れ目のない連続した画像を得ることができる。
【0079】
例えば、図20は、カメラ装置15のラインCCD70により得られたn番目からn+9番目までの線状の画像を順番に組み合わせて1つの面状の画像(文字A)を合成する様子を示している。本実施の形態では、カメラ装置15は、紙山5の側面を撮像し、駆動モータ42によって紙山5の高さ方向へ移動(スキャン)しながら、紙山5の全高にわたって各層の全ての紙境界部分6aの画像を取得する。各層の画像データは、画像処理ボード91によって、紙山5の高さ方向へ組み合わされた1つの面状の画像に合成される。
【0080】
このように、ラインCCD70によって得られた線状の画像を面状の画像に合成することにより、紙山5の全高にわたって各層全ての紙境界部分6aの画像を取得することができる。
【0081】
なお、本実施の形態では、撮像手段としてラインCCD70を用いているが、エリアCCDを用いることも可能である。ただし、処理に必要な光学倍率では、エリアCCDを用いても紙山全体を捉えることができず、結果的に複数回の画像取込処理が必要になるので、画像間のつなぎ目の処理を考慮すると、ラインCCDの方が処理技術上有利である。
【0082】
合成された1枚の画像からは、測定に必要な部分(紙山5の紙境界方向の一部分)が切り出される。或いは、予め測定に必要な部分のみ画像の合成処理が行われる。これは、対象紙とラインCCD70の画素配列方向の角度ずれによる影響を避けるとともに、処理時間短縮と計数時のメモリ節約等を図るためである。
【0083】
画像処理ボード91で処理された紙山5の画像は、制御部81内の計数器92によって紙境界部分6aの計数が行われるようになっている。計数器92における紙境界部分6aの計数処理のために、測定対象の紙厚み領域の画像を複数回に分けて取得する必要がある。本実施の形態では、ラインCCD70によるスキャン時間間隔を一定とし、対象となる紙厚みに対して、適当数の画像取得回数(例えば紙1枚あたり10〜20回)が得られるように駆動モータ42による送り速度が設定されている。
【0084】
また、画像処理ボード91は、計数器92における紙境界部分6aの計数を精度良く行うために、取得した画像中の紙境界部分6aを強調して顕在化させる処理を行う。紙境界部分6aの強調化処理は、合成された画像の画素毎に上下左右の画素分布から、画像横方向につながり縦方向に輝度変化のあるものを強調する演算によって行われる。以下、この処理を「紙境界部強調フィルタリング」という。
【0085】
図21Aは、ラインCCD70による取得画像の紙山高さ方向への合成画像(原画像)を示している。この画像情報からでは、紙境界が必ずしも明確に現れているとは言い難い。そこで、上述の紙境界部強調フィルタリングを行うと、図21Bに示すように、原画像の明るさによらず、紙境界が明るい横線となり、それ以外の部分は暗くなる。この紙境界部強調フィルタリングにより、明瞭な紙境界部分はより明るく太い横線に変換される。この図21Bは、原画像(図21A)に対して、紙境界部強調フィルタリング処理を施して紙境界部分(エッジ)を抽出した画像であり、本実施の形態ではそのフィルタリングの手法として微分フィルタの一種である公知のソベル(Sobel)フィルタが採用されている。
【0086】
また、紙境界部強調フィルタリング後でも、紙繊維、裁断刃の跡、ごみ等が、紙境界にノイズとして残存する場合がある。上述した従来の技術においては、合成画像を縦に検索して濃淡のピークを数えて計数していたので、紙のような対象物の場合には、このノイズの影響等により正確な枚数を検出することができなかった。
【0087】
そこで、本実施の形態では、このノイズを除去する目的で、図21Bに示した紙境界部強調フィルタリング後の画像の濃淡データを、画像で横方向(紙境界方向)に加算する。この濃淡データを横方向に加算することにより、この方向に特徴をもつ紙境界の境界情報はより強められる一方で、紙繊維、断面不均一性、凹凸やごみなどの方向性をもたないノイズ成分の情報を弱めることができる。
【0088】
図21Cには、加算処理後の濃淡データをグラフ化した例を示している。この場合、計数器92は、図21Bに示した濃淡(明暗)データに基づいて、紙境界を認識し計数する。紙境界の認識方法としては、横方向に加算した濃淡データを計算した後、濃淡データ閾値を計算して、当該閾値よりも明るい部分を一つの塊として紙境界と認識するようにする。そして、紙境界と認識した塊の中心値を、紙境界座標とする。
【0089】
濃淡データ閾値は、評価する紙境界座標の前後(上下)区間の最大最小値から計算するか、又は濃淡データの移動平均により計算する。即ち、紙山5の高さが高く、長い画像を取り込む場合等、全体に明るさが変化する場合に対応するため、画像全体から閾値を計算する場合と、一定区間での移動平均等によって計算する場合がある。この計算は画像濃淡の分布により、より有利な方法を選択するが、本実施の形態では後者の一定区間内での移動平均を採用している。
【0090】
測定対象物である紙6の厚さは、隣接する境界間距離に相当する。この測定に先立ち、対象となる紙6の厚さにより、境界間距離の指標を与える。境界の座標間隔がこの指標に対し、明らかに小さい場合には誤認識として処理する。また、前後の境界の評価値と間隔情報により、誤検出分を取り除く処理を行う。この際、どの程度まで許容するかをパラメータとして予め設定しておく。
【0091】
例えば、境界間距離すなわち紙6の厚さを210μmとした場合、150μm以上の座標間隔があれば次のエッジとし、それ以下の場合は誤検出と判断するようにする。このような手順で行うことにより、単純な手法でありながら高い効果を実現することができる。
【0092】
上述のように、濃淡データ閾値よりも明るい濃淡データ部分を一つの塊として紙境界と認識する。ここでは、当該塊の大きさ(面積)を計算し、これを評価の尺度(評価値)としている。
【0093】
例えば、図21Cにおいて、境界Aと境界Bを比較すると、境界Aよりも境界Bの方が、濃淡データ閾値よりも明るい部分の面積が大きく、より境界らしいと評価する。また、近傍に境界が存在する場合等に、前後の位置関係とその評価値により、優位性を判断するようにしている。この処理は、例えばカーボン紙等のように異種層が存在する品種の紙の境界検出に顕著な効果を発揮する。
【0094】
このような境界検索の結果、濃淡データ閾値に足りず認識できない境界部が存在する場合がある。例えば、図21Cにおける境界Dがこれに相当する。この場合には、前後の境界と座標間隔から、中間に境界が存在することを認定し、その本数を計算する補完処理が行われる。
【0095】
補完処理の一例を図22に示す。図22は、補完処理前の境界間隔データを、境界間隔とその発生回数で示した度数分布表である。この例では、境界間隔データを群1、群2及び群3に分けて示している。群2は境界本数を1本補完し、群3は境界本数を2本補完して処理される。群と群との間隔が十分空いている場合は、処理が正常に行われると評価し、補完処理を行う。
【0096】
例えば、図21Cにおいて、境界Cと境界Eを基にして、この間に境界Dが1本存在すると計算する。この例では、補完境界が1本であるが、これが複数本の場合も同様の処理が可能である。
【0097】
一方、群の間隔が空いていない場合や、指標となる境界間隔の正数倍の中間部が存在する場合には、条件により以下の処理を行う。
処理1 その境界を無効として、前後の境界から補完処理を行う。
処理2 警告を出し、作業者に判断を仰ぐ。
処理3 エラーとして再測定する。
処理4 エラーとして処理を中断する。
【0098】
図22において、基準となる紙厚さに相当する境界の間隔をRd、枚数をmとしたとき、Rd×m(図ではm=1〜3)の近傍にあるもののみをm枚分として処理する。この範囲外の場合は、警告するか或いはエラーとして再測定する等の処理を行う。どこからエラーとして処理するかは、測定に先立ち、パラメータとして入力しておく。尚、境界の評価値の低い紙境界に対しては、その前後の高い評価値の紙境界により、積極的に補完するようにしている。
【0099】
次に、後述する計数補助治具と関連する部分を除き、上述した構成の範囲内における枚数計測装置の作用について、図19に示すフローチャートを用いて説明する。
【0100】
紙山5は、パレット7に載置されて、例えばフォークリフトによって紙山支持台2に運ばれ、専用の可動ベース11上へ移載される。可動ベース11は、最初は架台10から引き出されており、紙山5の載置されたパレット7が移載された後、図1に示すように、カメラ装置15に接近した所定の測定位置へ移動される。これが、図19に示すフローチャートのステップS1である。この際、紙山5の測定位置への位置決めは、紙山5の側面に接触する受けピン(図示せず)によってなされる。
【0101】
紙山5の移載後、必要に応じて、紙山5の姿勢が修正される。本実施の形態では、紙山5の姿勢は、例えば、うねりが±25mm以内、ねじれが±5度以内、長短ずれが1mm以内としている。これらの修正基準は、作業者による通常の作業で容易に達成することができ、また、装置機構部にも負担の少ない条件である。
【0102】
次に、ステップS2に移行して、測定に先立ち、測定対象の品種を設定する。この品種を設定することにより、測定時に使用するパラメータが決定される。この測定に関するパラメータとしては、例えば、基準となる紙厚、境界検出時における最低限必要な境界間隔、境界間隔の度数分布で群間の最低間隔、最大補完処理間隔(これ以上は警告・エラーとする基準)、再測定回数及びカメラ装置15のX方向及びY方向の移動量等が挙げられる。
【0103】
次に、ステップS3に移行して、カメラ装置15を紙山5の測定面にセットし、測定の準備を行う。この工程では、測定位置にセットされた紙山5に対し、カメラ装置15を支持するX−Y軸テーブル17がY方向に移動され、カメラ装置15を支持する支持プレート50に取り付けられている一対のタッチローラ75a,75bが、図4及び図5に示すように、紙山5の側面に押し当てられる。このとき、第1コイルバネ62に所定の付勢力が発揮されるまでY軸テーブル22が移動される。その結果、紙山倣い機構によりタッチローラ75a,75bが、紙山5に対して所望とする圧力で弾接される。このとき、カメラ装置15は、下限位置検出センサ79で規定される紙山5の底部に位置している。
【0104】
次に、ステップ4に移行して、紙山5の測定面をスキャンし、画像情報を取得する。即ち、カメラ装置15を動作させると共に、リング照明73を発光させる。そして、昇降装置3の駆動モータ42を回転させることによってカメラ装置15を一定速度で上昇させ、紙山5の測定面をスキャニングしてラインCCD70で画像を取得する。このラインCCD70によって連続的に取り込まれた一次元画像は、制御部81内の画像処理ボード91によって二次元画像に合成される。
【0105】
このカメラ装置15が上昇する際、支持プレート50をY軸方向に付勢する第1コイルバネ62及びガイド部材53を両側から引っ張る第2コイルバネ65,66のバネ力により、一対のタッチローラ75a,75bが紙山5のうねりやねじれに追従して旋回動作される。そのため、光学レンズ72の対物レンズと紙山5側面との間の距離が一定に保持される。これにより、ラインCCD70のフォーカス距離が一定に維持され、紙山5の長短ずれを吸収しながら高精度な画像を取得することができる。
【0106】
次に、ステップ5に移行して、境界部強調フィルタリングが行われる。即ち、合成された二次元画像が、図21Bに示したように紙境界部強調フィルタリング処理され、その後、横方向加算によるノイズ除去がなされる。そして、図21Cに示したように、紙山5の全高にわたる濃淡データ分布が取得される。
【0107】
本実施の形態では、ラインCCD70は5000画素数であり、このうち処理に必要な幅は数百画素分であるので、合成された画像から必要部分のみ切り出して処理している。他方、ラインCCD70で画像を取り込む際に、最初から必要な部分のみを取り出して画像に合成するようにしてもよい。
【0108】
次に、ステップS6に移行し、境界情報を抽出すると共に、その情報の評価を行って境界を取捨選択する。即ち、得られた濃淡データに対して濃淡データ閾値を算出し、当該閾値より明るい濃淡データ部分を紙境界として認識し抽出する。更に、得られた境界情報を評価し、予め設定された基準紙の厚さ及び最低境界間隔情報に関する指標(パラメータ)、並びに前後の座標間隔を参照して、紙境界と認められる部分の取捨選択を行う。
【0109】
次に、ステップS7に移行して、得られた紙境界情報から境界間隔の分布を調べ(図22)、群の分布間隔が十分に空いている場合には、補完処理を行う。そして、ステップS8に移行して、以上の処理が正常に終了したか否かを判定する。この判定の結果、ステップS8までの処理が正常に行われたときは、ステップS9に移行して、制御部81内の計数器92によって補完済の境界情報に基づいて紙境界部分を計数し、紙の計数値(枚数)をモニタ80へ表示する。
【0110】
これに対して、ステップS8において、以上の処理が正常に終了していないと判定されたときには、ステップS10に移行して、境界間隔の分布(群)の間隔が十分に空いていない等、境界分布に問題があると判断し、問題部分の境界前後情報から補完処理を試みる。この補完処理の結果、最大補完処理間隔を超えての補完等、通常の処理では補完できない場合には、ステップS12に移行して、警告或いはエラーとして処理する。この警告或いはエラー処理の場合には、問題となる部分の画像をモニタ80に表示し、作業者による枚数の判定や、測定中断、再測定などの判断を仰ぐようにする。
【0111】
また、ステップS10の判定において、再測定を行うと判断された場合には、ステップS11に移行して、再測定を行うために測定個所を変更する。そして、上述したステップS3に戻り、以後の処理を繰り返す。この再測定において、通常処理で終了した場合と、作業者による枚数判定を行った場合は、その結果をモニタ80に表示して終了する。
【0112】
以上の場合には、紙山5の高さ方向の中途部分であれば、カメラ装置15のフォーカス距離を一定に保持して紙山5の画像を取り込むことができるので、紙山5の姿勢整列作業の負担を大幅に減らし、紙6の枚数計測を正確に行うことができると共に、その計数作業の効率を大幅に向上させることができる。
【0113】
しかしながら、以上の枚数計数装置では、紙山5の上端部及び下端部において不明確な計数部分が生じる。これは、上述したように、紙山の紙と緩衝材との境界部分や紙とカバーとの境界部分が不明確になり、或いは紙が緩衝材やカバー内に埋もれてしまい、それぞれの紙を一枚毎に明確に認識することができないことになる等の原因によるものである。
【0114】
そこで、かかる不具合を是正する必要があり、その不具合を解消するのが、次に述べる計数補助治具である。この計数補助治具は、図1及び図2に示すように、紙山5の下側に配置される下側計数補助治具100と、紙山5の上側に配置される上側計数補助治具101とから構成される。この下側計数補助治具100及び上側計数補助治具101は、少なくとも一方があれば、ある程度の計数結果の改善を図ることができるが、両計数補助治具100,101を同時に使用することが好ましく、その場合には紙山5の上端から下端まで万遍なく明瞭に計数することができる。
【0115】
図3及び図6に示すように、下側計数補助治具100は、Y軸テーブル22の上テーブル板30に搭載されている。この下側計数補助治具100は、紙山5の下面に下方から当接される治具本体である接触板103と、この接触板103に対して相対的に移動可能に支持される押圧部材である加圧板104と、この加圧板104を上方に付勢する弾性部材であるコイルバネ105と、接触板103を昇降動作させる昇降シリンダ106と、この昇降シリンダ106を支持する長方形をなす板体からなる支持板107等を備えて構成されている。
【0116】
接触板103は、図6及び図7に拡大して示すように、四角形の棒状をなす部材からなり、その長手方向中央部には上面に開口された切欠き110が設けられている。接触板103の切欠き110内には加圧板104が、接触板103との間に適宜な隙間を保持して収納されている。加圧板104は、切欠き110内に出入り可能な四角形の板材からなり、裏面には2本のガイドピン111が所定の間隔をあけてネジにより締付固定されて一体的に構成されている。2本のガイドピン111は、接触板103に埋設されたスリーブ112によって軸方向へ摺動自在に支持されている。
【0117】
各ガイドピン111にはコイルバネ105が装着されており、そのバネ力によって加圧板104が常時上方へ付勢されている。そして、各ガイドピン111の下端部に設けた頭部によって当該ガイドピン111の抜け出しが防止されている。そして、図7Bに示すように、加圧板104の上面は、接触板103の上面よりも少々上方へ突出されている。この場合、図7Aに示すように、接触板103のカメラ装置15側の面と、加圧板104のカメラ装置15側の面とは、略同一平面となるように構成されている。この加圧板104のカメラ装置15側の面が、本実施例における計数補助面を構成している。
【0118】
この計数補助面は、下側計数補助治具100で紙山5の下端部を上方へ押圧した状態において、紙山5の測定面と略同一の平面上に設定されて紙6の計数に用いられる。即ち、この実施例に示す下側計数補助治具100は、紙の表面と計数補助面の表面を共に撮像し、画像上で紙と計数補助面の表面状態の差異(例えば、明度或いは色の違い等)を得て、その差異から最下端部における紙と計数補助面との境界部分を明らかにするものである。
【0119】
そこで、画像取得時に一様な画像として取得できるようにするため計数補助面の表面を滑らかに加工し、測定対象物である紙6の色と異なる色に塗装して、画像上で紙との間に大きな差異が得られるようにする。例えば、紙6が一般的な白色である場合、計数補助面を黒色に塗装し、好ましくはつや消しの黒塗装とするのが良い。具体的に、計数補助面は単なるフライス加工でも良いが、研磨加工、バフ処理等によって表面の平坦度を上げることが望ましい。また、平坦にした後、サンドブラスト等によって一様な面状態としても良い。
【0120】
このようにすることにより、計数補助面から得られる画像を一様にすることができ、その結果、紙との差異を明瞭にして容易に識別することが可能となる。尚、計数補助面の塗装色は、この実施例のものに限定されるものではなく、紙等の測定対象物との間に大きな差異を持たせることができる他の色を適宜に選択できることは勿論である。
【0121】
2本のガイドピン111の中間部には、下方に突出された連結ネジ113が取り付けられている。この連結ネジ113には、カップリング114を介して昇降シリンダ106のロッド115が着脱可能に連結されている。昇降シリンダ106は、支持板107の略中央部に、ロッド115を上方へ突出させた状態で立ち上げるように固定されている。
【0122】
また、接触板103の長手方向の両端部には2本のガイドバー116の上端部がそれぞれネジ止め等の固着手段により固定されている。2本のガイドバー116は、互いに平行とされて下方に突出されていて、それぞれスリーブ117に摺動自在に挿通されている。各スリーブ117は、支持板107に圧入等の固着手段により固定されている。更に、支持板107の長手方向両端部には、上方に突出する2本の突当棒118,119が固定されている。2本の突当棒118,119の下端にはネジ軸部118a,119aが設けられており、そのネジ軸部118a,119aが支持板107を貫通していて、これに螺合されるナット120により締付固定されている。
【0123】
支持板107の長手方向中央部の下面には、一端に設けたフランジ部をネジ止め等の固着手段で締付固定された支持軸121が設けられている。支持軸121は、ボールベアリングからなる2個の軸受122を介してホルダ123に回転自在に支持されている。支持軸121の軸受122から下方に突出されたネジ軸部121aには固定ナット124が螺合されて締付固定されている。
【0124】
ホルダ123は、ネジ等の固着手段によって取付台125に固定されている。取付台125には上方に突出するストッパピン126が固定されており、そのストッパピン126は支持板107に設けられた規制溝127に挿入されている。規制溝127は、支持軸120を中心として円弧状に形成されており、この規制溝127の長さに相当する角度だけ支持板107が、水平方向へ回動可能に構成されている。
【0125】
また、取付台125は、ネジ等の固着手段によって平板状のスライドベース130に固定されている。スライドベース130の下面には、接触板103の長手方向に所定の間隔をあけて2本のスライダ131が固定されている。これらのスライダ131に対応させて上テーブル板30の上面には、2本のガイドレール132が互いに平行をなすように設けられている。この2本のスライダ131及びガイドレール132によってスライドベース130が、図示しない駆動手段を介してY軸方向(紙山5の測定面と直交する方向)へ適当な距離だけ移動可能に構成されている。
【0126】
この下側計数補助治具100のための移動機構は、Y軸テーブル22が比較的大きなストロークでカメラ装置15等と一体的に下側計数補助治具100を移動させることを目的とするのに対し、下側計数補助治具100を単独で移動可能として紙山5の下端の押圧位置を微調整できるようにすることを目的とするものである。図6において、符号133は、下側計数補助治具100の位置を検出するための治具位置検出器であり、これに対応してスライドベース130には位置検出片134が固定されている。
【0127】
また、上側計数補助治具101は、図2及び図9〜図12に示すような構成を有している。この上側計数補助治具101は、紙間の隙間をなくして隙間による影響を防止する隙間防止機構に加えて、紙が波打つことによる影響を防止する波打ち影響防止機構を設けたものである。更に、この実施例に示す上側計数補助治具101では、紙山5の横方向(紙境界方向)の3箇所において計数が可能な構成とされている。
【0128】
図9A,Bに示すように、上側計数補助治具101は、治具取付プレート140と、この治具取付プレート140を保持する保持フレーム141と、治具取付プレート140を紙山5の所定位置にセットする位置規制ブロック142と、3枚の加圧板143と、4枚の接触板144と、これらを支持する支持ロッド145と、加圧用のスプリング146,147等を備えて構成されている。治具取付プレート140は、紙6の一辺の長さよりも少々短い棒状の部材からなり、この治具取付プレート140の背面に保持フレーム141が配置されている。
【0129】
保持フレーム141は横方向に長く設定された枠状の部材からなり、2個の長手方向部材141aと2個の幅方向部材141bを互いに平行に配置し、図11に示すように、固定ネジ148で締付固定することによって一体に構成されている。この保持フレーム141の長手方向の両側に2個の位置規制ブロック142が、その長手方向と交差する幅方向へ延在されて配置され、図10Aに示すように、固定ネジ149によって治具取付プレート140に締付固定されている。
【0130】
図11に示すように、各位置規制ブロック142には、治具取付プレート140を紙山5の所定位置に位置決めするためのフック部142aが設けられている。2個の位置規制ブロック142の間には、所定の間隔をあけて3個の加圧板143が配置されている。そして、隣り合う加圧板143間及び外側の加圧板143と位置規制ブロック142の間には、それぞれ接触板144が配置されている。3個の加圧板143と4個の接触板144には、それぞれ2本ずつ支持ロッド145が止めネジ150により固定されている。
【0131】
各支持ロッド145は、互いに平行とされて同一方向に突出されており、それぞれ治具取付プレート140に嵌合固定されたスリーブ151を貫通して上方に突出されている。各加圧板143と治具取付プレート140との間にはスプリング146がそれぞれ装着され、各接触板144と治具取付プレート140との間にはスプリング147がそれぞれ装着されている。これらのスプリング146,147は、各加圧板143及び各接触板144を治具取付プレート140から離れる方向に付勢するものであるが、その目的の違いに対応して両スプリング146,147には、設定されるバネ力に差が設けられている。
【0132】
即ち、加圧板143は、紙山5の測定部分を押圧して紙間の隙間を無くすことを目的とするものであるため、比較的強めのバネ力が設定されている。これに対して、接触板144は、加圧板143を所定位置に保持することを目的とするものであるため、比較的弱めにバネ力が設定されている。これにより、接触板144で上側計数補助治具101を所定位置に保持し、その保持状態で加圧板143により紙山5の測定部分が適当な力で押圧されるようになっている。
【0133】
この上側計数補助治具101の加圧板143のカメラ装置15に対向する面が計数補助面を構成している。この計数補助面は、下側計数補助治具100の加圧板104の計数補助面と同様に、画像上で紙との間に大きな差異が得られるようにするため、例えば、つや消しの黒塗装を施す等によって形成することができる。
【0134】
このような上側計数補助治具101によれば、押圧機構による紙間の隙間を無くす機能のほか、紙山5上面の大きな波打ち(高低差Hが最大で10mm程度、図17を参照)による影響が計数作業に与えられないようにする波打ち影響防止機能を発揮することができる。これは、1枚の加圧板143の長さを波打ちのピッチL(波の山から山までの距離)よりも長くすると、山と山の間に大きな隙間が生じてしまい、その隙間によって計数の誤りが生じることになるという、「波打ち」に起因する不具合の発生を防止する機能である。
【0135】
そのため、本実施例においては、1枚の加圧板143の長さを波打ちピッチLよりも十分に小さな値に設定し、1枚の加圧板143がそのピッチの中に入り込めるようなサイズに設定する。このように構成することにより、紙山5に波打ちが発生している場合でも、上側計数補助治具101の押圧機構である加圧板143が波打ちのピッチL内に入り込むため、加圧板143を紙に圧着させることにより、計数補助治具と紙との間及び紙と紙との間の隙間を無くし、境界部分の明瞭な画像を取得することができる。
【0136】
特に、本実施例では、加圧板143を3箇所に配置して境界線方向の3箇所で紙の枚数を計数可能な構成とした。そのため、その3箇所でそれぞれ計数してそれらの結果を比較することにより、波打ちによる影響を排除して正確な紙の枚数を計数することが可能となった。
【0137】
上述したような構成を有する下側計数補助治具100及び上側計数補助治具101は、例えば、次のようにして使用することができる。下側計数補助治具100はY軸テーブル22上に搭載されているため、大きなストロークによるY軸方向への移動はY軸テーブル22によって行われ、また、大きなストロークによるX軸方向への移動はX軸テーブル21によって行われる。これらX軸テーブル21及びY軸テーブル22による位置制御によって下側計数補助治具100は、最初は図8Aに示すような状態にセットされる。
【0138】
このとき、下側計数補助治具100の全体が紙山5に触れない状態にあり、接触板103及び加圧板104は、その半分程度が紙山5の下側に入り込む。また、下側計数補助治具100の水平方向の回転変位である「ねじれ」に対する位置決めをなす一対の突当棒118,119は、紙山5の正面に適当な間隔をあけて対向されている。この状態から、治具移動機構を動作させて下側計数補助治具100をY軸方向に移動させ、一対の突当棒118,119を紙山5の側面に当接させる。この状態が、図8Bに示すものである。
【0139】
図8Bに示す状態では、一対の突当棒118,119が紙山5の側面にともに当接されており、また、加圧板104の測定補助面は紙山5の測定面と略同一平面上に一致した状態となっている。この際、例えば、紙山5に「ねじれ」が生じていることによって移動の初期に、一対の突当棒118,119のうち、一方の突当棒118(又は119)のみが紙山5に当接することがある。
【0140】
この場合には、一対の突当棒118,119を支持する支持板107が支持軸121を中心にスライドベース130に対して回動可能に構成されているため、一方の突当棒118(又は119)に加えられる外力によって支持板107が回動され、一対の突当棒118,119が紙山5の側面にともに接触されることになる。その結果、かかる場合にも図8Bに示す状態となり、紙山5の測定面に対してカメラ装置15の光学レンズ72の光軸が直交する方向に対向されることになる。
【0141】
次に、昇降シリンダ106を駆動して接触板103を、その上面が紙山5の下面に当接するまで上昇させる。このとき、接触板103は2本のガイドバー116によってガイドされているため、水平状態を保持したままでスムースに上昇動作を行うことができる。そして、接触板103が紙山5の下面に当接すると、接触板103の上面より上方に突出している加圧板104が紙山5からの反力によりコイルバネ105のバネ力に抗して押し下げられ、加圧板104の上面が接触板103の上面と略同一平面となる図8Cに示す状態に変化する。
【0142】
これにより、紙山5の下面に作用する圧力のうち、接触板103が接触する領域において圧力が少々高くなり、特に、加圧板104が接触する部分においてその圧力が最も高くなる。このコイルバネ105のバネ力による加圧板104の押圧力(例えば、100gf/cm2程度の圧力)により、測定部の微小領域(例えば、幅2mm程度)を含む一定の領域において、積み重ねられた紙6間の隙間を小さくし或いはその隙間を無くすことができる。
【0143】
その結果、紙山5の状態が、例えば、顕微鏡写真で示すように図24に示す状態から図23に示す状態に変化する。図24は、紙6の自重のみによる紙山5の境界部分を拡大して示すものであり、黒い横線の縞模様が紙境界部分5aを示しており、紙6と紙6の間の隙間が目視によってもはっきりと確認できる状態となっている。
【0144】
これに対して、図23は、紙山5を加圧板104で加圧した状態を示しており、横線の縞模様が薄くなっていて、人の目では紙境界部分5aが分かりにくい状態となっているが、本発明によれば、紙と紙の間の隙間を無くしながら紙境界部分5aを明瞭にして、紙山5の紙6の正確な枚数を計数することができるようになった。
【0145】
図23において、黒色で現されている同図の下半分は、加圧板104の測定補助面であり、このような測定補助面を加圧板104に設けることにより、紙山5の最下部に位置する紙6と下側計数補助治具100の加圧板104との境界部分を明瞭にすることができ、最下部の紙6が緩衝材に埋もれてしまったり、汚れやずれ等によって識別が困難になる等の不具合の発生を防止して、正確な測定を実現することができるようになった。
【0146】
このような測定の正確性は、上側計測補助治具101においても同様に実現できるようになった。この実施例に係る上側計数補助治具101は、図2及び図9A,B〜図11に示すような状態で使用される。上側計数補助治具101を紙山5の測定面側の最上部に載置する。このとき、一対の位置規制ブロック142,142のそれぞれのフック部142aを測定面側の上端縁に係止することにより、上側計数補助治具101の位置決めがなされる。
【0147】
その結果、加圧板143の計数補助面が紙山5の測定面と略同一の平面上に設定されることになる。また、上側計数補助治具101自体がある程度の重量を有すると共に、加圧板143及び接触板144がスプリング146,147のバネ力によってそれぞれ紙山上面に押圧され、特に、加圧板143が接触板144よりも強く押し付けられる。これにより、すべてのスプリング146,147が動作している状態においても、上側計数補助治具101が持ち上がらないようにして、必要な圧力を紙山5に作用させることができる。
【0148】
この上側計数補助治具101によって紙山5に付与される圧力は、例えば、測定部である加圧板143において100gf/cm2程度であり、測定部の周囲である接触板144の圧力は、それよりも若干弱い程度(例えば、紙山5に触れる程度)に設定されている。これにより、紙山5の加圧板143で押圧される部分が、図23に示す状態と同様の状態となり、測定箇所における紙間の隙間を無くすことができる。
【0149】
従って、上側計数補助治具101によれば、下側計数補助治具100の場合と同様に、加圧板143と最上部の紙6との境界部分を明瞭にすることができ、最上部の紙6が埋もれてしまったり、汚れやずれ等によって識別が困難になる等の不具合の発生を防止して、正確な測定に寄与することができる。また、この実施例の場合には、紙境界方向の3箇所で紙6の枚数計測が行える構成となっているため、計数作業を複数箇所で行うことにより、計数作業の正確性を高めることができる。
【0150】
因みに、図17は、紙山5上面の波打ちの状態を説明するもので、符号Lは波打ちの振幅を示し、符号Hは波打ちの周期(高低差)を示している。例えば、外形が1m四方で、厚みが200μmの紙を用いた紙山の場合、通常、波打ちの振幅Hは最大で10mm程度であり、また、波打ちの周期Lは最小で200mm程度である。
【0151】
尚、前記実施例においては、上側計数補助治具101は、作業者の手作業によって紙山5の所定位置に取り付けられるが、下側計数補助治具100の場合と同様に、機械的な構成によって上側計数補助治具を支持し、紙山5に対して自動的に設置できる構成とすることもできる。
【0152】
図12は、上側計数補助治具の第2の実施例を示すものであり、この上側計数補助治具160は、構造的には上述した下側計数補助治具100の加圧部分と同様の構成を有しているが、境界部分の画像を取得する方法が異なる例を示すものである。即ち、この実施例に示す上側計数補助治具160は、カメラ装置15の光学レンズ72においてフォーカスが合わないところはぼけて暗くなることを利用したもので、撮像部分が紙の表面から計数補助面に移る際に、フォーカスが合わないために計数補助面側が暗くなることで紙と計数補助面との境界部分を明らかにするものである。
【0153】
上側計数補助治具160は、適当な大きさと重量を有する治具本体161と、この治具本体161に対して相対的に移動可能に支持された加圧板162と、この加圧板162を外側に付勢するコイルバネ163とから構成されている。治具本体161は、四角形の棒状をなす部材からなり、その長手方向中央部には下面に開口された切欠き164が設けられている。この治具本体161の切欠き164内には加圧板162が、治具本体161との間に適宜な隙間を保持して収納されている。
【0154】
加圧板162は、切欠き164内に出入り可能な四角形の板材からなり、背面である上面には2本のガイドピン165が所定の間隔をあけてネジ等の固着手段により締付固定されて一体的に構成されている。2本のガイドピン165,165は、治具本体161に埋設されたスリーブ166によって軸方向へ摺動自在に支持されている。各ガイドピン165にはコイルバネ163が装着されており、そのバネ力によって加圧板162が常時下方へ付勢されている。そして、各ガイドピン165の上端部に設けた頭部によって当該ガイドピン165の抜け出しが防止されている。更に、図12Bに示すように、加圧板162の下面は、治具本体161の下面よりも少々下方へ突出されている。
【0155】
また、図12Aに示すように、治具本体161のカメラ装置15側の面と、加圧板162のカメラ装置15側の面との間には、光学レンズ72のフォーカスが合わないようにするための段差Tが設けられている。この加圧板162のカメラ装置15側の面が、本実施例における計数補助面を構成しており、画像を取得する紙山5の測定面よりカメラ装置15から遠い側に段差Tが設定されている。
【0156】
本実施例においては、取得する画像幅は約2mm、光学レンズ72の焦点深度は約2.5mm、段差Tは3mmとされている。この程度の段差Tを設定することにより、例えば、図23に示すように、加圧板162の紙6から外れた計数補助面をぼやけさせて黒い背景を得ることができる。
【0157】
図13A,Bは、本発明の計数補助治具の基本構成を説明するもので、最も単純なものとして、紙山5に載置される治具本体170のみで構成することができる。この治具本体170の要件としては、次の2つを挙げることができる。その1は、紙山5に適当な圧力を加えるために適当な重量を有すること。その2は、紙と紙以外の部分を画像上で容易に認識できる画像を得るための計数補助面を有すること。その計数補助面は、画像取得時に均一で一様な画像が得られるように平滑面であることが好ましい。この場合、治具本体170は、その計数補助面170aが紙山5の計数面5bと同一面となるように紙山5上に設置されて使用される。
【0158】
尚、符号171は、カメラ装置15によって撮像される紙山5の画像取得領域を示している。この画像取得領域171に沿ってカメラ装置15が昇降動作され、光学レンズ72の焦点に合った画像が連続して取得されて、前述したような計数処理に供される。
【0159】
図14A,B及びCは、同じく本発明の計数補助治具の基本構成を説明するものであるが、フォーカスの合わないところはぼけて暗くなることを利用する計数補助治具を示すものである。この計数補助治具の場合にも、最も単純なものは治具本体180のみで構成されるが、これが治具本体170と異なるところは、計数補助面180aに切欠き部181を設けて段差Tを設定しているところである。符号181は、カメラ装置15によって撮像される紙山5の画像取得領域を示している。
【0160】
この実施例の場合、光学レンズ72の焦点Sを紙山5の計数面5bに一致させたとき、その焦点深度Dが約2.5mmであるのに対して、段差Tが3mmと深くなっている。そのため、治具本体170の切欠き部181に対応する背景は暗く写ることになる。
【0161】
図15A,Bは、本発明の計数補助治具の基本構成の変形実施例を示すものである。この実施例は、下側計数補助治具として適用したもので、この下側計数補助治具190は、紙境界を認識するための治具本体191と、高さ方向の段差Eを設定するためのスペーサー192とから構成されている。治具本体191は、紙山5の下部に設置される適当な大きさを有する台座のような部材であり、この治具本体191上の紙山5に圧力を掛けたい部分にスペーサー192が載置される。
【0162】
このスペーサー192に紙山5を乗せることにより、前述した下側計数補助治具100等と同様の効果を得ることができる。因みに、スペーサー192の厚さEを1mm、境界方向の長さFを20mmとして試験したところ、紙間の隙間を無くせることが確認できた。尚、スペーサー192の材質としては、例えば、紙、スポンジ状の紙(弾力のある物)、プラスチック、金属プレート等を適用することができる。このスペーサー192の高さを適切に選択し、周囲の形状に注意することにより、本実施例においても、紙山に傷を付ける等の悪影響を最小にして、紙間の隙間を防止できることが確認された。
【0163】
図13及び図14では、本願発明の計数補助治具を上側計数補助治具に適用した例について説明したが、下側計数補助治具に適用できることは勿論である。また、図15では、本願発明の計数補助治具を下側係数補助治具に適用した例について説明したが、上側計数補助治具に適用できることも勿論である。
【0164】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。例えば、前記実施例においては、下側計数補助治具100をカメラ装置15の移動に同期して移動する構成としたが、上側計数補助治具101と同様に、波打ち対応で加圧板を複数個設ける構成とすることもできる。また、これとは逆に、上側計数補助治具をカメラ装置15の移動に同期して移動する構成とすることもできる。
【0165】
更に、前記実施例では、加圧板を紙山に押圧する手段としてコイルバネを用いた例について説明したが、空気圧や油圧等を用いて加圧板等を紙山に押圧する構成とすることもできる。また、駆動モータ42としてパルスモータを用いたが、これに限らず、エンコーダによって回転角を検出可能とすれば汎用のモータを使用することも可能である。
【0166】
更に又、以上の実施の形態では、測定対象紙をインクジェット用のプリンタ用紙を例に挙げて説明したが、これに限らず、普通紙、上質紙、葉書などの他品種の紙であってもよいことは勿論のこと、これらシート状、フィルム状の紙に限られることなく、ゴムシートやプラスチックシート、その他のシート状、フィルム状の各種材料の計数にも、本発明は適用可能である。
【0167】
また、厚みの異なる対象紙に対しては、処理時の境界基準距離が変化しないように測定部の送り速度を変化させる方法と、処理時の境界基準距離を変更する方法が採用可能である。前者では、画像を展開する量が多くなる反面、境界部強調フィルタリング等の測定パラメータを変更しないで適用できるメリットがある。この境界部強調フィルタリングを効果的に行うためには、紙境界間の取得画像を多くする必要がある。また、測定対象により両方法を選択できる制御ソフト構成とすることで、より柔軟に対応することができる。
【0168】
尚、大きな打痕等の影響により、正常に計数できない場合は、ラインCCDセンサの画像取込範囲内で別な部分から画像を切り出したり、カメラ装置15を境界線方向(水平方向)に動かして新たに画像を取得する等、再計数の実行や、計数結果の確認を行うことが有効である。
【0169】
【発明の効果】
以上説明したように、本出願の請求項1に記載の枚数計数装置によれば、複数枚の測定対象物が積み上げられた対象物山の上端部に上側計数補助治具を配置し、この上側計数補助治具を対象物山の上端部に密着させることにより、計数補助面によって対象物山の最上部の境界が明確に認識できるようになる。また、対象物山の下端部に下側計数補助治具を配置し、この下側計数補助治具を対象物山の下端部に密着させることにより、計数補助面によって対象物山の最下部の境界が明確に認識できるようになる。
【0170】
その結果、撮像装置で対象物山の測定対象物間の境界部分を撮像することにより、対象物山の最上部又は最下部の境界部分を明確に認識することができるようになり、その画像情報に基づいて計数装置で境界部分の濃淡データを加算することにより、対象物山の最上部又は最下部における測定対象物の枚数を正確に計数することができるという効果が得られる。
【0171】
本出願の請求項2に記載の枚数計数装置によれば、ラインCCDセンサを有するカメラ装置を撮像装置として適用し、そのカメラ装置を対象物山の高さ方向に沿って移動させて測定対象物をスキャニングすることにより、境界部分の濃淡データからなる明確な画像情報を取得することができるという効果が得られる。
【0172】
本出願の請求項3に記載の枚数計数装置によれば、計数補助治具として上側計数補助治具と下側計数補助治具の両者を同時に用いることにより、積み上げられた測定対象物の山の最上部から最下部までの総枚数を正確に計数することができるという効果が得られる。
【0173】
本出願の請求項4に記載の枚数計数装置によれば、上側計数補助治具及び下側計数補助治具の各計数補助面の色を測定対象物の画像を取得する面と異なる色に設定すると共に、その計数補助面を測定対象物の画像を取得する面と略同一平面となる位置に設定することにより、計数補助面と測定対象物との間の境界部分を撮像装置によって明確に認識できるようになり、これにより境界部分の濃淡データからなる明確な情報を取得することができるという効果が得られる。
【0174】
本出願の請求項5に記載の枚数計数装置によれば、上側計数補助治具及び下側計数補助治具の各計数補助面を、カメラ装置の光学レンズの焦点深度より深い位置に設定することにより、計数補助面をボカして測定対象物の画像を取得する面との間に色の差を生じさせることができ、これにより境界部分を明確に認識できるようにして境界部分の濃淡データからなる明確な情報を取得することができるという効果が得られる。
【0175】
本出願の請求項6に記載の枚数計数装置によれば、上側計数補助治具及び下側計数補助治具に設けた押圧機構により、測定対象物の画像を取得する面の近傍を上方から下方へ押圧し又は下方から上方へ押圧することにより、測定対象物間の境界部分、特に積み上げられた測定対象物の山の最上部又は最下部の境界部分を明確に認識することができるという効果が得られる。
【0176】
本出願の請求項7に記載の枚数計数装置によれば、計数補助治具の押圧機構を治具本体と押圧部材と弾性部材とで構成することにより、測定対象物間の境界部分を明確に表すことができる機構を、簡単な構造によって実現することができるという効果が得られる。
【0177】
本出願の請求項8に記載の枚数計数装置によれば、計数補助治具に治具取付プレートを設け、この治具取付プレートの複数箇所に押圧機構を設ける構成とすることにより、積み上げられた測定対象物の山の計数側の面において複数箇所で境界部分の撮像が可能であり、その複数箇所のうち任意の部分を用いて測定対象物間の境界部分の明確な画像を取得することができるという効果が得られる。
【0178】
本出願の請求項9に記載の計数補助治具によれば、複数枚の測定対象物が積み上げられた対象物山の上端部又は下端部に計数補助面を密着させて配置することにより、その計数補助面によって対象物山の最上部又は最下部の境界部分が明確に認識できるようになるという効果が得られる。
【0179】
本出願の請求項10に記載の計数補助治具によれば、計数補助面の色を測定対象物の画像を取得する面と異なる色に設定すると共に、その計数補助面を測定対象物の画像を取得する面と略同一平面となる位置に設定することにより、計数補助面と測定対象物との間の境界部分を明確に認識できるようになるという効果が得られる。
【0180】
本出願の請求項11に記載の計数補助治具によれば、計数補助面を、カメラ装置の光学レンズの焦点深度より深い位置に設定することにより、計数補助面をボカして測定対象物の画像を取得する面との間に色の差を生じさせることができ、これにより境界部分を明確に認識できるようにすることができるという効果が得られる。
【0181】
本出願の請求項12に記載の計数補助治具によれば、押圧機構を設けて測定対象物の画像を取得する面の近傍を上方から下方へ押圧し又は下方から上方へ押圧することにより、測定対象物間の境界部分、特に積み上げられた測定対象物の山の最上部又は最下部の境界部分を明確に認識することができるという効果が得られる。
【0182】
本出願の請求項13に記載の計数補助治具によれば、押圧機構を治具本体と押圧部材と弾性部材とで構成することにより、測定対象物間の境界部分を明確に表すことができる機構を、簡単な構造によって実現することができるという効果が得られる。
【0183】
本出願の請求項14に記載の計数補助治具によれば、複数箇所に押圧機構を有する治具取付プレートを設けることにより、積み上げられた測定対象物の山の計数側の面において複数箇所で境界部分の撮像が可能であり、その複数箇所のうち任意の部分を用いて測定対象物間の境界部分の明確な画像を取得することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の枚数計測装置の一実施例の概略構成を示す説明図である。
【図2】本発明の枚数計測装置の一実施例の具体的構成を示す説明図である。
【図3】図2に示す枚数計測装置の要部を拡大して示す説明図である。
【図4】図1に示す枚数計測装置の撮像装置の構成を説明する平面図である。
【図5】図1に示す枚数計測装置の撮像装置の構成を説明する側面図である。
【図6】本発明の枚数計測装置に用いられている下側計数補助治具の第1の実施例の具体的構成を示す説明図である。
【図7】図6に示す下側計数補助治具の押圧機構の第1の実施例を示すもので、同図Aは平面図、同図Bは一部を断面した正面図である。
【図8】図6に示す下側計数補助治具の押圧機構の動作を説明するもので、同図Aは紙山を支持する前の状態の平面図及び正面図、同図Bは紙山を支持する途中の状態の平面図及び正面図、同図Cは紙山を支持した後の状態の平面図及び正面図である。
【図9】本発明の枚数計測装置に用いられている上側計数補助治具の第1の実施例の具体的構成を示すもので、同図Aは平面図、同図Bは正面図である。
【図10】図9に示す上側計数補助治具の要部を拡大して示すもので、同図Aは正面図、同図BはX−X線断面図、同図CはY−Y線断面図である。
【図11】図9に示す上側計数補助治具の拡大断面図である。
【図12】本発明の枚数計測装置に用いられている上側計数補助治具の第2の実施例の具体的構成を示すもので、同図Aは平面図、同図Bは正面図である。
【図13】本発明の枚数計測装置に用いられている上側計数補助治具の第1の実施例の概略構成を説明するもので、同図Aは正面図、同図Bは側面図である。
【図14】本発明の枚数計測装置に用いられている上側計数補助治具の第2の実施例の概略構成を説明するもので、同図Aは正面図、同図Bは側面図、同図Cは要部を拡大して示す説明図である。
【図15】本発明の枚数計測装置に用いられている下側計数補助治具の第2の実施例の具体的構成を示すもので、同図Aは平面図、同図Bは正面図である。
【図16】本発明に係る測定対象物の一具体例を示す紙山を説明するもので、同図Aは正常な状態、同図Bはうねりが生じた状態を示す、それぞれ説明図である。
【図17】本発明に係る測定対象物の一具体例を示す紙山の波打ちの状態を示す説明図である。
【図18】図1に示した枚数計測装置に係る制御装置の制御ブロック図である。
【図19】図18に示した制御装置による画像処理の一作用を説明するフローチャートである。
【図20】図18に示した制御装置による画像処理を説明する図である。
【図21】図18に示した制御装置による画像処理の画像処理工程を説明する図であり、同図Aは合成直後の画像、同図Bは紙境界部強調フィルタリング後の画像、同図Cは境界部の濃淡データ分布をそれぞれ示している。
【図22】本発明の枚数計測装置に係る制御装置の補完工程を説明する境界間隔の度数分布表である。
【図23】紙山に押圧力が加えられた状態を示す説明図である。
【図24】紙山に押圧力が加えられない状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1…枚数計測装置、2…紙山支持台、3…昇降装置、4…支持装置、5…紙山、5a…紙境界部分、6…紙(測定対象物)、9…制御装置、15…カメラ装置(撮像装置)、21…X軸テーブル、22…Y軸テーブル、48…首振り機構、49…回動軸、50…支持プレート、53…回動プレート、70…ラインCCD、72…光学レンズ、75a,75b…タッチローラ、76a,76b…アーム部材、100,190…下側計数補助治具、101,160…上側計数補助治具、103,144…接触板(治具本体)、104,143,162…加圧板(押圧部材)、105,106…コイルバネ(弾性部材)、106…昇降シリンダ、118,119…突当棒、140…治具取付プレート、141…保持プレート、142…位置規制ブロック、145…支持ロッド、146,147…スプリング、161,170,180,190…治具本体、164,181…切欠き、170a,180a…計数補助面、T…段差
【発明の属する技術分野】
本発明は、厚さ方向に積み上げられた複数枚のシート状又はフィルム状の測定対象物を計数する枚数計数装置及びその計数補助治具に関し、特に、山状に積み上げられた紙やフィルム等の測定対象物の枚数を正確に計数するための枚数計数装置及び計数補助治具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、紙の枚数を計数する装置としては、例えば、紙幣カウンタ等のように、測定対象物を一枚ずつ繰って計数するものがある。しかし、測定対象物である紙幣の大きさには限度があり、紙幣カウンタを、例えば、ロールから切り出されて山状に積み上げられた大判の紙の計数に用いることは不可能である。
【0003】
また、非接触で紙の枚数を計数する手法を採ることもある。山状に積み上げられた複数枚の紙(以下「紙山」という。)の枚数を非接触で計数する手法としては、例えば、紙山の高さを紙一枚当たりの厚さで除して算出したり、紙山の全重量を紙一枚当たりの重量で除して算出する等の方法がある。
【0004】
しかしながら、紙山の高さを紙一枚当たりの厚さで除算する前者の場合には、一般に紙の厚さには数%のバラツキがあるため、紙山全体の正確な枚数を算出することは困難である。また、紙山の全重量を紙一枚当たりの重量で除算する後者の場合には、紙そのものの重量のバラツキ、周囲の湿気の多少等によって重量が大きく変化し、この場合にも紙山全体の正確な枚数を計数することは困難であった。特に、紙山の上端部及び下端部における計数には、特有の問題点が存在している。
【0005】
通常、紙山は、木製或いは樹脂製のパレット上に積み上げられ、必要によりパレット上に敷かれた緩衝材の上に積み上げられる。そして、紙山の最上部には、紙の汚れやズレを防止するためにシート状のカバーが被せられる。このパレットや緩衝材は、単に運搬用或いは載置用の敷物として用いられるもので、紙の枚数を計数するために用いられるものではない。同様に、カバーは、単に紙の汚れやズレを防止するために用いられるもので、紙の枚数を計数するために用いられるものではない。
【0006】
また、従来の、この種の枚数計数装置に関するものとしては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。この特許文献1には、ケース中に収納された板状の測定対象物を非接触で計数する物体検査方法に関するものが記載されている。この物体検査方法は、ケース中に収納された板状の物体を、画像処理装置に接続されたTVカメラで撮像し、その濃淡画像を解析することによってケースの位置及び傾きを算出し、前記位置或いは傾き情報のうち少なくとも一方の情報を基にしてケースに平行で、前記物体上を通る直線上における一定値以上の濃淡分布の数を求めることによって、ケース中の物体枚数を算出するようにしている。
【0007】
更に、従来の他の枚数計数装置としては、例えば、特許文献2及び特許文献3に記載されているようなものもある。特許文献2には、レーザ光を利用して紙の枚数と紙の側端の形状を検知する紙測定装置に関するものが記載されている。また、特許文献3には、画像形成装置等の機械へ記録紙等のシートを供給するのに使用されるシート供給装置におけるシート残量測定装置に関するものが記載されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−314259号公報(第2−3頁、図4)
【特許文献2】
特開平2−136989号公報(第2頁、第1図)
【特許文献3】
特開昭63−154555号公報(第2頁、第1b図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したパレットや緩衝材は、単に敷物或いは上掛けとして用いられるもので、その他の用途や機能を意図して用いられるものではない。そのため、紙山の紙と緩衝材との境界部分や紙とカバーとの境界部分が不明確になり、或いは紙が緩衝材やカバー内に埋もれてしまい、それぞれの紙を一枚毎に明確に認識することができないという課題があった。
【0010】
また、前記特許文献1に記載の方法では、紙のように断面部に繊維や裁断刃痕が見られたり、境界間に段差があると、これらの影響により、得られる画像の断面および境界部が不鮮明になる。その結果、重ね合わされた紙の正確な計数ができないという課題があった。更に、特許文献1に記載の方法では、画像処理に必要な光学倍率においては、フォーカス合わせ機構が不可欠であり、これにより装置構成が複雑化したり、高コスト化するという課題がある。このフォーカス距離の変動を抑えるためには、測定対象面を段差無く整列させる必要があり、これが原因で作業効率が悪化するという課題もある。
【0011】
このように、従来の技術においては、正確な紙の計数装置・計数方法は確立されておらず、正確な計数を必要とする用途では、作業者による手作業での計数が行われ、多くの工数をかける必要があった。しかも、このような作業を行っても、計数ミス等の発生を完全に抑えることはできなかった。
【0012】
本発明は、上述したような課題に鑑みてなされたものであり、山と積まれた測定対象物の上端部から下端部まで(特に、最上部と最下部)の計数を正確に行うことができ、計数のための作業性に優れた枚数計数装置及び計数補助治具を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述したような課題を解決し、前記目的を達成するため、本出願の請求項1に記載の枚数計数装置は、厚さ方向に積み上げられた複数枚のシート状又はフィルム状の測定対象物の側部に配置され、積み上げられた測定対象物間の各々の境界部分の画像を取得する撮像装置と、撮像装置の出力に基づいて境界部分の濃淡データを加算することにより測定対象物の枚数を演算する演算処理装置と、積み上げられた測定対象物の上端部及び下端部の少なくとも一方に配置され、画像を取得する面の近傍において測定対象物の上端面に上方から密着され又は測定対象物の下端面に下方から密着されると共に測定対象物1枚の厚さよりも大きな計数補助面を有する計数補助治具と、を備えたことを特徴としている。
【0014】
本出願の請求項2に記載の枚数計数装置は、撮像装置は、積み上げられた測定対象物の高さ方向に沿って移動可能とされ且つ測定対象物に対向される光学レンズを備えたカメラ装置からなり、カメラ装置は、光学レンズを通った光が入力されるラインCCDセンサを有することを特徴としている。
【0015】
本出願の請求項3に記載の枚数計数装置は、計数補助治具は、積み上げられた測定対象物の上端面に載置される上側補助治具と、測定対象物の下端面に下方から当接される下側補助治具とからなることを特徴としている。
【0016】
本出願の請求項4に記載の枚数計数装置は、上側補助治具及び/又は下側補助治具の計数補助面は、測定対象物の画像を取得する面の色と異なる色を有すると共に画像を取得する面と略同一平面となる位置に設けたことを特徴としている。
【0017】
本出願の請求項5に記載の枚数計数装置は、上側補助治具及び/又は下側補助治具の計数補助面は、測定対象物の画像を取得する面に焦点が合わされるカメラ装置の光学レンズの焦点深度より深い位置に設けたことを特徴としている。
【0018】
本出願の請求項6に記載の枚数計数装置は、上側補助治具及び/又は下側補助治具には、測定対象物の画像を取得する面の近傍を上方から下方に向けて押圧し又は下方から上方に向けて押圧する押圧機構を設けたことを特徴としている。
【0019】
本出願の請求項7に記載の枚数計数装置は、押圧機構は、測定対象物に当接される治具本体と、治具本体に移動可能に支持される押圧部材と、押圧部材を測定対象物側に付勢する弾性部材と、からなることを特徴としている。
【0020】
本出願の請求項8に記載の枚数計数装置は、上側補助治具及び/又は下側補助治具には、測定対象物の波打ちピッチよりも長い治具取付プレートを設け、治具取付プレートには、複数箇所に設けられた画像を取得する面に対応して複数の押圧機構を設けたことを特徴としている。
【0021】
本出願の請求項9に記載の計数補助治具は、積み上げられた測定対象物の上端部及び下端部の少なくとも一方に配置され、積み上げられた測定対象物間の各々の境界部分の画像を取得する撮像装置により撮像される面の近傍において測定対象物の上端面に上方から密着され又は測定対象物の下端面に下方から密着されると共に測定対象物1枚の厚さよりも大きな計数補助面を有することを特徴としている。
【0022】
本出願の請求項10に記載の計数補助治具は、計数補助面は、積み上げられた測定対象物の画像を取得する面の色と異なる色を有すると共に測定対象物の高さ方向に沿って移動可能とされるカメラ装置の光学レンズの焦点距離と略同一位置に設けたことを特徴としている。
【0023】
本出願の請求項11に記載の計数補助治具は、計数補助面は、積み上げられた測定対象物の高さ方向に沿って移動可能とされるカメラ装置の光学レンズの焦点深度より深い位置に設けたことを特徴としている。
【0024】
本出願の請求項12に記載の計数補助治具は、補助治具及び/又は下側補助治具には、測定対象物の画像を取得する面の近傍を上方から下方に向けて押圧し又は下方から上方に向けて押圧する押圧機構を設けたことを特徴としている。
【0025】
本出願の請求項13に記載の計数補助治具は、押圧機構は、測定対象物に当接される治具本体と、治具本体に移動可能に支持される押圧部材と、押圧部材を測定対象物側に付勢する弾性部材と、を有することを特徴としている。
【0026】
また、本出願の請求項14に記載の計数補助治具は、上側補助治具及び/又は下側補助治具には、測定対象物の波打ちピッチよりも長い治具取付プレートを設け、治具取付プレートには、複数箇所に設けられた画像を取得する面に対応して複数の押圧機構を設けたことを特徴としている。
【0027】
上述のように構成したことにより、本出願の請求項1に記載の枚数計数装置では、複数枚の測定対象物が積み上げられた山(以下「対象物山」という。)の上端部に上側計数補助治具を配置し、この上側計数補助治具を対象物山の上端部に密着させることにより、計数補助面によって対象物山の最上部の境界が明確に認識できるようになる。また、対象物山の下端部に下側計数補助治具を配置し、この下側計数補助治具を対象物山の下端部に密着させることにより、計数補助面によって対象物山の最下部の境界が明確に認識できるようになる。
【0028】
かかる状態において、撮像装置で対象物山の測定対象物間の境界部分を撮像することにより、対象物山の最上部又は最下部の境界部分を明確に認識することができるようになり、その画像情報に基づいて計数装置で境界部分の濃淡データを加算することにより、対象物山の最上部又は最下部における測定対象物の枚数を正確に計数することができる。
【0029】
本出願の請求項2に記載の枚数計数装置では、ラインCCDセンサを有するカメラ装置を撮像装置として適用し、そのカメラ装置を対象物山の高さ方向に沿って移動させて測定対象物をスキャニングすることにより、境界部分の濃淡データからなる明確な画像情報を取得することができる。
【0030】
本出願の請求項3に記載の枚数計数装置では、計数補助治具として上側計数補助治具と下側計数補助治具の両者を同時に用いることにより、積み上げられた測定対象物の山の最上部から最下部までの総枚数を正確に計数することができる。
【0031】
本出願の請求項4に記載の枚数計数装置では、上側計数補助治具及び下側計数補助治具の各計数補助面の色を測定対象物の画像を取得する面と異なる色に設定すると共に、その計数補助面を測定対象物の画像を取得する面と略同一平面となる位置に設定することにより、計数補助面と測定対象物との間の境界部分を撮像装置によって明確に認識できるようになり、これにより境界部分の濃淡データからなる明確な情報を取得することができる。
【0032】
本出願の請求項5に記載の枚数計数装置では、上側計数補助治具及び下側計数補助治具の各計数補助面を、カメラ装置の光学レンズの焦点深度より深い位置に設定することにより、計数補助面をボカして測定対象物の画像を取得する面との間に色の差を生じさせることができ、これにより境界部分を明確に認識できるようにして境界部分の濃淡データからなる明確な情報を取得することができる。
【0033】
本出願の請求項6に記載の枚数計数装置では、上側計数補助治具及び下側計数補助治具に設けた押圧機構により、測定対象物の画像を取得する面の近傍を上方から下方へ押圧し又は下方から上方へ押圧することにより、測定対象物間の境界部分、特に積み上げられた測定対象物の山の最上部又は最下部の境界部分を明確に認識することができる。
【0034】
本出願の請求項7に記載の枚数計数装置では、計数補助治具の押圧機構を治具本体と押圧部材と弾性部材とで構成することにより、測定対象物間の境界部分を明確に表すことができる機構を、簡単な構造によって実現することができる。
【0035】
本出願の請求項8に記載の枚数計数装置では、計数補助治具に治具取付プレートを設け、この治具取付プレートの複数箇所に押圧機構を設ける構成とすることにより、積み上げられた測定対象物の山の計数側の面において複数箇所で境界部分の撮像が可能であり、その複数箇所のうち任意の部分を用いて測定対象物間の境界部分の明確な画像を取得することができる。
【0036】
本出願の請求項9に記載の計数補助治具では、複数枚の測定対象物が積み上げられた山(以下「対象物山」という。)の上端部又は下端部に計数補助面を密着させて配置することにより、その計数補助面によって対象物山の最上部又は最下部の境界部分が明確に認識できるようになる。
【0037】
本出願の請求項10に記載の計数補助治具では、計数補助面の色を測定対象物の画像を取得する面と異なる色に設定すると共に、その計数補助面を測定対象物の画像を取得する面と略同一平面となる位置に設定することにより、計数補助面と測定対象物との間の境界部分を明確に認識できるようになる。
【0038】
本出願の請求項11に記載の計数補助治具では、計数補助面を、カメラ装置の光学レンズの焦点深度より深い位置に設定することにより、計数補助面をボカして測定対象物の画像を取得する面との間に色の差を生じさせることができ、これにより境界部分を明確に認識できるようにすることができる。
【0039】
本出願の請求項12に記載の計数補助治具では、押圧機構を設けて測定対象物の画像を取得する面の近傍を上方から下方へ押圧し又は下方から上方へ押圧することにより、測定対象物間の境界部分、特に積み上げられた測定対象物の山の最上部又は最下部の境界部分を明確に認識することができる。
【0040】
本出願の請求項13に記載の計数補助治具では、押圧機構を治具本体と押圧部材と弾性部材とで構成することにより、測定対象物間の境界部分を明確に表すことができる機構を、簡単な構造によって実現することができる。
【0041】
本出願の請求項14に記載の計数補助治具では、複数箇所に押圧機構を有する治具取付プレートを設けることにより、積み上げられた測定対象物の山の計数側の面において複数箇所で境界部分の撮像が可能であり、その複数箇所のうち任意の部分を用いて測定対象物間の境界部分の明確な画像を取得することができる。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1〜図24は、本出願に係る枚数計数装置及び計数補助治具の実施の形態及び、その実施の形態を説明するための図である。
本実施の形態では、ロール状態から切り出されて山状に積み上げられた紙(以下「紙山」という。)を測定対象物として、本発明を適用した例について説明する。
【0043】
図1は、本出願に係る枚数計数装置の一実施例の概略構成を示す全体構成図であり、図2は、その枚数計数装置の具体的構成を示す説明図である。この枚数計数装置1は、対象物山の一具体例を示す紙山5が載置される紙山支持台2と、この紙山支持台2に載置された紙山5の一側面に対向して配置される撮像装置15と、この撮像装置15を昇降動作させる昇降装置3と、この昇降装置3が搭載される支持装置4と、これら昇降装置3及び支持装置4等を制御すると共に撮像装置15によって取得された画像データに基づいて測定対象物である紙6の枚数を演算する等の機能を有する制御装置9とから構成されている。
【0044】
紙山5は、測定対象物の一具体例を示す紙6の多数枚を厚さ方向に積み上げたもので、例えば、ロール状態から切り出された紙が適用される。この紙6の形状は、例えば、縦横の各辺が約1mの正方形(長方形であっても良い。)をなしている。この同一種類の紙6を、例えば、高さ1m程度の山状に積み上げることによって紙山5が構成される。この紙山5を構成する紙としては、例えば、インクジェット用プリンタ用紙、複写機用の上質紙、葉書用紙等を適用することができる。1枚の紙6の厚さを、例えば210μm程度にすると、紙山5の総重量は5〜600kg程度となる。
【0045】
本発明に用いられる測定対象物は、切って積み重ねたときに、その断面の境界部分がある程度の明るさの変化によって検出できるものである必要がある。従って、上述したプリンタ用紙等の他、断面の境界部分をある程度の明るさの変化で検出できるものであれば、他の紙を適用できることは勿論のこと、紙以外のプラスチック製のシートやフィルム或いは金属製の薄板や箔等を測定対象物として用いることもできる。その一方、例えば、ティッシュペーパーのように断面の境界部分が検出できないものや、ダンボール紙のように2枚の紙の間に形状が変化する紙が介在されているような断面中に大きな特徴がある紙類は、本発明に適用される測定対象物として用いることはできない。
【0046】
このような紙山5は、運搬等の利便性から、パレット7上に積み上げられて用いられている。紙山5の理想的な姿勢は、図16Aに示すように外形が略直方体のものであるが、実際の使用状態においては図16Bに示すように、横方向及び回転方向ばかりでなく、縦方向にも変化しているのが実情である。
【0047】
即ち、実際の紙山5には、重なり合う紙6の境界部分5aを境にして横方向に移動して並行にずれる「うねり」と、回転方向に移動してずれる「ねじれ」がある。更に、図17に示すように、紙6の厚さの厚薄によって縦方向に変化を生じ、これが紙6の平面方向における「波打ち」となって現れる。そして、これら「うねり」、「ねじれ」及び「波打ち」が組み合わされて実際の紙山5の姿勢となっている。
【0048】
一方、紙山5が理想的な姿勢であっても、図16Bに要部を拡大して示すように、紙6の端部をミクロ的に見ると、小さな範囲であっても「同時カットずれ」、「長短ずれ」と言われる紙6の端面間で長短のずれ(以下「長短ずれ」という。)が生じている。この「長短ずれ」は、全ての紙6を等しく同じ長さで裁断できないことによるものである。一般に、紙山5を構成する各紙6は、複数個のジャンボロールからそれぞれ引出された複数枚の連続紙を重ね合わせた状態で、裁断機で同時に裁断することによって得られる。この際、裁断時における同時カットずれ、個々のジャンボロールの張力差等に起因して紙6を同じ位置で切り出すことができず、そのために「長短ずれ」が発生する。この「長短ずれ」の大きさは、通常、1mm程度である。
【0049】
一般に、裁断機には、紙を整列させる整列装置が用意されているが、この整列装置によっては「ずれ」を取り除くことができず、「長短ずれ」として残存される。この「長短ずれ」は、作業条件によって変化し、上述した1mmより大きくなることもある。また、「うねり」及び「ねじれ」については、作業者の熟練度によって大きく変化し、ある程度の整列が可能である。一方、「波打ち」及び「長短ずれ」は作業者の熟練度に関係せず、これらの修正は困難である。
【0050】
本実施例に係る測定対象物の紙6は、その厚さtが60μm〜500μmのものを計数対象としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、厚さtが500μm以上の紙等や、厚さtが60μm以下の紙等にも適用可能である。また、測定対象物が山状に積まれているものを計数対象としており、その高さは1.2m以内、「うねり」は全高さ範囲で±25mm、「ねじれ」は±5度以内、「長短ずれ」は1mm以内、「波打ち」振幅は10mm以内を測定可能範囲としている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの数値は必要に応じて修正可能であることは勿論である。
【0051】
このような紙山5がパレット7を介して載置される紙山支持台2は、設置面8に据え付けられる架台10と、この架台10上に取り付けられる可動ベース11とから構成されている。図2に示すように、架台10は複数個の高さ調整具12によって高さ調整可能とされており、この架台10の上面に可動ベース11が設置されている。可動ベース11は、架台10に対して紙山5を、撮像装置15に近づく方向及びそれから遠ざかる方向(Y軸方向)に移動可能に構成されている。更に、可動ベース11は、紙山5を水平面内で回転させる方向へも回動可能とされている。
【0052】
図1及び図2に示すように、昇降装置3が搭載される支持装置4は、水平方向の直交する2方向(X軸方向及びY軸方向)へ移動可能とされたX−Y軸テーブル17と、このX−Y軸テーブル17を支持する機台18等を備えて構成されている。支持装置4の機台18は、複数個の高さ調整具20によって高さ調整可能とされており、これらの高さ調整によって上面の水平度を調整することができる。この機台18の上にX−Y軸テーブル17が配設されている。
【0053】
図3に示すように、X−Y軸テーブル17は、紙山5の測定面(測定側の側面)と平行する方向(X軸方向)に送り駆動可能とされた下段のX軸テーブル21と、X軸方向と直交する方向である測定面と対向する方向(Y軸方向)に送り駆動可能とされた上段のY軸テーブル22とから構成されている。即ち、Y軸テーブル22がX軸テーブル21の上に配設され、そのX軸テーブル21が機台18の上に配設されている。
【0054】
X軸テーブル21は、平板状の下テーブル板24と、Y軸方向に所定の間隔をあけて下テーブル板24の下面に固定された左右一組のスライダ25,25と、この一組のスライダ25,25にそれぞれ係合される一対のガイドレール26,26と、下テーブル板24を機台18に対して相対的に移動させるように駆動するX軸駆動モータ27等を備えて構成されている。一組のスライダ25,25は、それぞれ縦方向に2個ずつ配置されており、1個のガイドレール26に対して2個のスライダ25が、その軸方向へ摺動可能に係合されている。また、一対のガイドレール26,26は、互いに平行とされて機台18の上面に固定されている。
【0055】
X軸駆動モータ27は、機台18の上面に固定されたブラケット28に回転軸を横方向へ向けた状態で固定されている。図示しないが、X軸駆動モータ27の回転軸には、ジョイントを介してボールネジの一端が固定されており、このボールネジに螺合されたボールナットが下テーブル板24の下面に固定されている。このX軸駆動モータ27を駆動してボールネジを回転させることにより、その回転方向に応じて下テーブル板24が、紙山5の測定面と平行する方向(X軸方向)に直線的に移動される。
【0056】
Y軸テーブル22は、X軸テーブル21と同様の構成を有しており、上テーブル板30と一組のスライダ31(片側のみを示す。)と一対のガイドレール32(片側のみを示す。)とY軸駆動モータ33等を備えて構成されている。上テーブル板30は平板状をなしていて、その下面に一組、合計4個のスライダ31が前後及び左右に所定の間隔をあけて固定されている。一対のガイドレール32は、互いに平行とされて下テーブル板24の上面に固定されている。そして、1個のガイドレール32に対して2個のスライダ31が、その軸方向へ摺動可能に係合されている。
【0057】
Y軸駆動モータ33は、下テーブル板24の側面に固定されたブラケット34に回転軸33aを横方向へ向けた状態で固定されている。Y軸駆動モータ33の回転軸33aには、図示しないが、ジョイント35を介してボールネジの一端が固定されており、このボールネジに螺合されたボールナットが上テーブル板30の下面に固定されている。このY軸駆動モータ33を駆動してボールネジを回転させることにより、その回転方向に応じて上テーブル板30が、紙山5の測定面と対向する方向(Y軸方向)に直線的に移動される。
【0058】
このY軸テーブル22の上に、昇降装置3が搭載されている。昇降装置3は、紙山5の側面に沿って撮像装置15を昇降動作させるもので、撮像装置の一具体例を示すカメラ装置15で撮像された紙6間の境界部分の画像に対応する信号が制御装置9に供給される。この昇降装置3は、4本のガイドロッド40と天井板41と駆動モータ42と送りネジ43と送りナット44と昇降板45等から構成されている。
【0059】
図1〜図3に示すように、Y軸テーブル22の上テーブル板30に、4本のガイドロッド40(前側のみを示す。)の下端部がそれぞれ固定されている。4本のガイドロッド40は上テーブル板30の上面に垂直に立てられており、これら4本のガイドロッド40の上端部に天井板41が固定されている。天井板41の上面の略中央部には、回転軸を上下方向に向けた状態で駆動モータ42が固定されている。駆動モータ42の回転軸は送りネジ43(例えば、ボールネジ等を用いることができる。)とされていて、送りネジ43の下端部は上テーブル板30によって回転自在に支持されている。
【0060】
送りネジ43には送りナット44が軸方向へ移動可能に螺合されている。この送りナット44は、水平方向に展開された長方形の板材からなる昇降板45にネジ等の固着手段により固定されている。このため、図4及び図5に示すように、昇降板45の長手方向の略中央部には、送りナット44が嵌合される穴47aが設けられており、この穴47aに送りナット44が嵌合固定されている。更に、昇降板45の四隅にも穴47bが設けられており、これらの穴47bには円筒状のスリーブ46がそれぞれ嵌合固定されている(図3を参照)。これら4個のスリーブ46には、前述した4本のガイドロッド40がそれぞれ摺動自在に挿通されている。
【0061】
また、昇降板45には、支持プレート50を水平方向へ旋回動作させるための首振り機構48が設けられている。この首振り機構48は、首振りのための回動中心となる回動軸49を有し、この回動軸49の上部にガイド部材53の一端がネジ等の固着手段により固定されている。この回動軸49を回動自在に支持するため昇降板45の一側(紙山5と対向する側)には、下方に突出するボス部54が設けられている。
【0062】
このボス部54には複数個のボールベアリングからなる軸受が装着されており、この軸受を介して回動軸49が、その軸方向を上下方向へ向けた状態で水平方向へ回動自在に支持されている。そして、回動軸49の下端部に設けたネジ部に2個のナット55を螺合させることにより、回動軸49が抜け止めされている。回動軸49とボス部54等によって首振り機構48が構成されている。
【0063】
ガイド部材53の上面には、昇降板45の長手方向(紙山5の側面と直交する方向)に延在された溝付きガイド57が固定されている。溝付ガイド57の溝は上面に設定されており、この溝に摺動自在に係合されるガイドレール58が支持プレート50の下面に固定されている。支持プレート50にはバネ受けポスト60が設けられ、これに対応するバネ受けポスト61がガイド部材53に設けられている。両ポスト60,61の間には、引っ張り状態で第1コイルバネ62が掛け渡されており、この第1コイルバネ62のバネ力によって支持プレート50が常時紙山5側へ向かうように付勢されている。そして、図示しないストッパにより、支持プレート50が所定以上紙山5側へ移動するのを防止している。
【0064】
また、昇降板45の上面には、ガイド部材53を両側から挟むように一対のバネ受けポスト63,64が設けられている。各バネ受けポスト63,64とガイド部材53との間には、それぞれ第2コイルバネ65,66が引っ張り状態で掛け渡されている。このようにガイド部材53を両側から2個の第2コイルバネ65,66で引っ張ることにより、ガイド部材53を介して支持プレート50が中央部に位置するように弾性支持されている。
【0065】
これにより、支持プレート50に旋回方向の外力が加えられると、一方の第2コイルバネ65又は66のバネ力に抗して支持プレート50が回動軸49を回動中心として水平方向に回動される。そして、前記外力が取り除かれると、2個の第2コイルバネ65,66のバランスによって支持プレート50が中央部に復帰される。
【0066】
この支持プレート50の上面には、カメラ装置15がY軸方向へ移動可能に搭載されている。カメラ装置15は、ラインCCD(Charge Coupled Device)70が内蔵されたカメラ本体71と、このカメラ本体71の前部でラインCCD70の前方に配置された光学レンズ72等を備えて構成されている。ラインCCD70はCCDが横方向に線状に並ぶ構造を有しており、光学レンズ72の先端に設けられた対物レンズが紙山5の側面に対向される。光学レンズ72は、紙山5のミクロな断面位置のずれ{「長短ずれ」の大きさ(1mm程度)}を吸収できる被写界深度或いは焦点深度(例えば、本実施例では2.5mm)を有している。
【0067】
この光学レンズ72を通してラインCCD70の多数の画素に紙山5の紙境界部分の映像が受光される。このラインCCD70で線状のデータを取得することを「スキャン」という。このカメラ装置15を紙山5の高さ方向(紙境界方向と直交する方向)へ移動させて紙6の境界部分5aをスキャンすることにより、紙山5の側面の画像がCCDデータとして取得される。
【0068】
このカメラ装置15の対物レンズの前方位置には、光学レンズ72の光軸と同心をなすように照明装置の一具体例を示すリング照明73が配置されている。このリング照明73は、取付ブラケット74を介して支持プレート50の前部に取り付けられている。リング照明73は、例えば青色発光ダイオードで構成され、可視光の単一波長に近い光源を、紙山5の側面である撮像面に対して全方位から均一に照射できるように構成されている。
【0069】
このリング照明73を水平方向の両側から挟むように一対のタッチローラ75a,75bが配置されている。一対のタッチローラ75a,75bは、支持プレート50の先端部に固定された一対のアーム部材76a,76bによって回転自在に支持されている。各タッチローラ75a,75bの回転軸は、紙境界方向と平行する水平方向に設定されている。これにより、各タッチローラ75a,75bが紙山5との間に生ずる摩擦力によって容易に回転し得るようになっている。
【0070】
この一対のタッチローラ75a,75bは、上述した第1コイルバネ62のバネ力で紙山5側に付勢され、紙山5の「うねり」に追従して移動して、紙山5と対物レンズとの間の距離を一定に保持するようになっている。また、一対のタッチローラ75a,75bは、上述した一対の第2コイルバネ65,66を有する首振り機構48により、紙山5の「ねじれ」に追従して変位して、紙山5と対物レンズとの間の距離を一定に保持するように、紙山倣い機構として構成されている。
【0071】
このように、カメラ装置15は、紙山5の側面に沿った移動過程において、紙山5の「ねじれ」や「うねり」に追従してタッチローラ75a,75bが紙山5の側面にならって揺動(首振り)又は前進若しくは後退し、常に、ラインCCD70に対して一定のフォーカス距離が保持されるようになっている。尚、一方のアーム部材76aの先端部には、後述する上側計測補助治具101の有無を検出するための治具検出センサ77が取り付けられている。
【0072】
以上のような構成を有するカメラ装置15が昇降装置3によって上下方向へ移動されるが、図1に示すように、上限位置検出センサ78及び下限位置検出センサ79によってカメラ装置15の上下方向における位置検出が可能とされている。各位置検出センサ78,79の設定位置を調整することにより、カメラ装置15の設定高さ及び、その上下方向への移動ストロークが調整自在とされている。尚、Y軸テーブル22の上テーブル板30の紙山5側の上面には、後述する下側計数補助治具100が搭載されている。
【0073】
また、図1に示すように、制御装置9は、カメラ装置15によって取得された紙山5の画像データや制御情報その他の情報等を表示する表示部であるモニタ80と、枚数計数装置1の全体を制御すると共にカメラ装置15から供給される画像データに基づいて紙山5の枚数を計数する演算処理装置を兼ねる制御部81と、この制御部81を制御する制御信号や各種パラメータ等を入力するためのキーボードやマウス等が収納された制御ボックス82等を備えて構成されている。
【0074】
次に、図18を参照して、本実施の形態の枚数計測装置1の制御系の詳細について説明する。この枚数計測装置1の制御系は、送り機構部と送り機構制御部と情報処理部とに分けることができ、これらにより駆動制御されて紙山5の紙数の計数が実行される。送り機構部は駆動モータ42とモータドライバ90とを有し、送り機構制御部はインターフェース回路87とパルス発生器88とデジタル入出力ボード89とラインCCD電源84とを有している。また、情報処理部は、処理コンピュータによって構成されるパルス発生器88とデジタル入出力ボード89とアナログ出力ボード86と計数黄2と、モニタ80及び制御ボックス82等を有している。
【0075】
昇降装置3の駆動モータ42と、カメラ装置15と、リング照明73は、情報処理部の処理コンピュータからなる制御部81によって制御される。更に、カメラ装置15及びリング照明73は、それぞれ、ラインCCD用電源43および照明用電源84から必要な電力が供給される。そして、リング照明73の照度は、制御部81のアナログ出力ボード86によって調整可能とされている。
【0076】
駆動モータ42及びカメラ装置15は、制御部81からの制御信号が供給されるインターフェース回路87の出力に基づいて駆動される。インターフェース回路87は、ラインCCD70の画像取込周期と駆動モータ42による送り速度とを同調させるための回路であり、パルス発生器88及びデジタル入出力ボード89から供給される駆動モータ(パルスモータ)42及びカメラ装置15の制御パルスを、モータドライバ90及びカメラ装置15へ出力する。
【0077】
駆動モータ42の駆動速度は、カメラ装置15のラインCCD70による画像取得領域が常に一定の間隔となるように制御される。インターフェース回路87は、その同期情報を画像処理ボード91へ出力する。ラインCCD70からの取得画像情報は、画像処理ボード91に対して、一定周期で出力される。駆動モータ42は、カメラ装置15を、例えば上方へ一定速度で滑らかに移動させることにより、ラインCCD70が一定間隔で紙山5の画像データを取り込むことができるようになっている。
【0078】
画像処理ボード91は、ラインCCD70の取得画像情報と、カメラ装置15の移動情報から、一定間隔でラインCCD70による取得画像情報が連なる画像を合成する。カメラ装置15が紙山5の高さ方向に連続して移動し、その間データを取得し続けることにより、紙山5の測定面を1枚の画像として取得する。これを2次元の画像として周囲の画像情報と組み合わせて処理を行うことにより、精度の高い処理を行うことができる。これにより、紙山5の側面の切れ目のない連続した画像を得ることができる。
【0079】
例えば、図20は、カメラ装置15のラインCCD70により得られたn番目からn+9番目までの線状の画像を順番に組み合わせて1つの面状の画像(文字A)を合成する様子を示している。本実施の形態では、カメラ装置15は、紙山5の側面を撮像し、駆動モータ42によって紙山5の高さ方向へ移動(スキャン)しながら、紙山5の全高にわたって各層の全ての紙境界部分6aの画像を取得する。各層の画像データは、画像処理ボード91によって、紙山5の高さ方向へ組み合わされた1つの面状の画像に合成される。
【0080】
このように、ラインCCD70によって得られた線状の画像を面状の画像に合成することにより、紙山5の全高にわたって各層全ての紙境界部分6aの画像を取得することができる。
【0081】
なお、本実施の形態では、撮像手段としてラインCCD70を用いているが、エリアCCDを用いることも可能である。ただし、処理に必要な光学倍率では、エリアCCDを用いても紙山全体を捉えることができず、結果的に複数回の画像取込処理が必要になるので、画像間のつなぎ目の処理を考慮すると、ラインCCDの方が処理技術上有利である。
【0082】
合成された1枚の画像からは、測定に必要な部分(紙山5の紙境界方向の一部分)が切り出される。或いは、予め測定に必要な部分のみ画像の合成処理が行われる。これは、対象紙とラインCCD70の画素配列方向の角度ずれによる影響を避けるとともに、処理時間短縮と計数時のメモリ節約等を図るためである。
【0083】
画像処理ボード91で処理された紙山5の画像は、制御部81内の計数器92によって紙境界部分6aの計数が行われるようになっている。計数器92における紙境界部分6aの計数処理のために、測定対象の紙厚み領域の画像を複数回に分けて取得する必要がある。本実施の形態では、ラインCCD70によるスキャン時間間隔を一定とし、対象となる紙厚みに対して、適当数の画像取得回数(例えば紙1枚あたり10〜20回)が得られるように駆動モータ42による送り速度が設定されている。
【0084】
また、画像処理ボード91は、計数器92における紙境界部分6aの計数を精度良く行うために、取得した画像中の紙境界部分6aを強調して顕在化させる処理を行う。紙境界部分6aの強調化処理は、合成された画像の画素毎に上下左右の画素分布から、画像横方向につながり縦方向に輝度変化のあるものを強調する演算によって行われる。以下、この処理を「紙境界部強調フィルタリング」という。
【0085】
図21Aは、ラインCCD70による取得画像の紙山高さ方向への合成画像(原画像)を示している。この画像情報からでは、紙境界が必ずしも明確に現れているとは言い難い。そこで、上述の紙境界部強調フィルタリングを行うと、図21Bに示すように、原画像の明るさによらず、紙境界が明るい横線となり、それ以外の部分は暗くなる。この紙境界部強調フィルタリングにより、明瞭な紙境界部分はより明るく太い横線に変換される。この図21Bは、原画像(図21A)に対して、紙境界部強調フィルタリング処理を施して紙境界部分(エッジ)を抽出した画像であり、本実施の形態ではそのフィルタリングの手法として微分フィルタの一種である公知のソベル(Sobel)フィルタが採用されている。
【0086】
また、紙境界部強調フィルタリング後でも、紙繊維、裁断刃の跡、ごみ等が、紙境界にノイズとして残存する場合がある。上述した従来の技術においては、合成画像を縦に検索して濃淡のピークを数えて計数していたので、紙のような対象物の場合には、このノイズの影響等により正確な枚数を検出することができなかった。
【0087】
そこで、本実施の形態では、このノイズを除去する目的で、図21Bに示した紙境界部強調フィルタリング後の画像の濃淡データを、画像で横方向(紙境界方向)に加算する。この濃淡データを横方向に加算することにより、この方向に特徴をもつ紙境界の境界情報はより強められる一方で、紙繊維、断面不均一性、凹凸やごみなどの方向性をもたないノイズ成分の情報を弱めることができる。
【0088】
図21Cには、加算処理後の濃淡データをグラフ化した例を示している。この場合、計数器92は、図21Bに示した濃淡(明暗)データに基づいて、紙境界を認識し計数する。紙境界の認識方法としては、横方向に加算した濃淡データを計算した後、濃淡データ閾値を計算して、当該閾値よりも明るい部分を一つの塊として紙境界と認識するようにする。そして、紙境界と認識した塊の中心値を、紙境界座標とする。
【0089】
濃淡データ閾値は、評価する紙境界座標の前後(上下)区間の最大最小値から計算するか、又は濃淡データの移動平均により計算する。即ち、紙山5の高さが高く、長い画像を取り込む場合等、全体に明るさが変化する場合に対応するため、画像全体から閾値を計算する場合と、一定区間での移動平均等によって計算する場合がある。この計算は画像濃淡の分布により、より有利な方法を選択するが、本実施の形態では後者の一定区間内での移動平均を採用している。
【0090】
測定対象物である紙6の厚さは、隣接する境界間距離に相当する。この測定に先立ち、対象となる紙6の厚さにより、境界間距離の指標を与える。境界の座標間隔がこの指標に対し、明らかに小さい場合には誤認識として処理する。また、前後の境界の評価値と間隔情報により、誤検出分を取り除く処理を行う。この際、どの程度まで許容するかをパラメータとして予め設定しておく。
【0091】
例えば、境界間距離すなわち紙6の厚さを210μmとした場合、150μm以上の座標間隔があれば次のエッジとし、それ以下の場合は誤検出と判断するようにする。このような手順で行うことにより、単純な手法でありながら高い効果を実現することができる。
【0092】
上述のように、濃淡データ閾値よりも明るい濃淡データ部分を一つの塊として紙境界と認識する。ここでは、当該塊の大きさ(面積)を計算し、これを評価の尺度(評価値)としている。
【0093】
例えば、図21Cにおいて、境界Aと境界Bを比較すると、境界Aよりも境界Bの方が、濃淡データ閾値よりも明るい部分の面積が大きく、より境界らしいと評価する。また、近傍に境界が存在する場合等に、前後の位置関係とその評価値により、優位性を判断するようにしている。この処理は、例えばカーボン紙等のように異種層が存在する品種の紙の境界検出に顕著な効果を発揮する。
【0094】
このような境界検索の結果、濃淡データ閾値に足りず認識できない境界部が存在する場合がある。例えば、図21Cにおける境界Dがこれに相当する。この場合には、前後の境界と座標間隔から、中間に境界が存在することを認定し、その本数を計算する補完処理が行われる。
【0095】
補完処理の一例を図22に示す。図22は、補完処理前の境界間隔データを、境界間隔とその発生回数で示した度数分布表である。この例では、境界間隔データを群1、群2及び群3に分けて示している。群2は境界本数を1本補完し、群3は境界本数を2本補完して処理される。群と群との間隔が十分空いている場合は、処理が正常に行われると評価し、補完処理を行う。
【0096】
例えば、図21Cにおいて、境界Cと境界Eを基にして、この間に境界Dが1本存在すると計算する。この例では、補完境界が1本であるが、これが複数本の場合も同様の処理が可能である。
【0097】
一方、群の間隔が空いていない場合や、指標となる境界間隔の正数倍の中間部が存在する場合には、条件により以下の処理を行う。
処理1 その境界を無効として、前後の境界から補完処理を行う。
処理2 警告を出し、作業者に判断を仰ぐ。
処理3 エラーとして再測定する。
処理4 エラーとして処理を中断する。
【0098】
図22において、基準となる紙厚さに相当する境界の間隔をRd、枚数をmとしたとき、Rd×m(図ではm=1〜3)の近傍にあるもののみをm枚分として処理する。この範囲外の場合は、警告するか或いはエラーとして再測定する等の処理を行う。どこからエラーとして処理するかは、測定に先立ち、パラメータとして入力しておく。尚、境界の評価値の低い紙境界に対しては、その前後の高い評価値の紙境界により、積極的に補完するようにしている。
【0099】
次に、後述する計数補助治具と関連する部分を除き、上述した構成の範囲内における枚数計測装置の作用について、図19に示すフローチャートを用いて説明する。
【0100】
紙山5は、パレット7に載置されて、例えばフォークリフトによって紙山支持台2に運ばれ、専用の可動ベース11上へ移載される。可動ベース11は、最初は架台10から引き出されており、紙山5の載置されたパレット7が移載された後、図1に示すように、カメラ装置15に接近した所定の測定位置へ移動される。これが、図19に示すフローチャートのステップS1である。この際、紙山5の測定位置への位置決めは、紙山5の側面に接触する受けピン(図示せず)によってなされる。
【0101】
紙山5の移載後、必要に応じて、紙山5の姿勢が修正される。本実施の形態では、紙山5の姿勢は、例えば、うねりが±25mm以内、ねじれが±5度以内、長短ずれが1mm以内としている。これらの修正基準は、作業者による通常の作業で容易に達成することができ、また、装置機構部にも負担の少ない条件である。
【0102】
次に、ステップS2に移行して、測定に先立ち、測定対象の品種を設定する。この品種を設定することにより、測定時に使用するパラメータが決定される。この測定に関するパラメータとしては、例えば、基準となる紙厚、境界検出時における最低限必要な境界間隔、境界間隔の度数分布で群間の最低間隔、最大補完処理間隔(これ以上は警告・エラーとする基準)、再測定回数及びカメラ装置15のX方向及びY方向の移動量等が挙げられる。
【0103】
次に、ステップS3に移行して、カメラ装置15を紙山5の測定面にセットし、測定の準備を行う。この工程では、測定位置にセットされた紙山5に対し、カメラ装置15を支持するX−Y軸テーブル17がY方向に移動され、カメラ装置15を支持する支持プレート50に取り付けられている一対のタッチローラ75a,75bが、図4及び図5に示すように、紙山5の側面に押し当てられる。このとき、第1コイルバネ62に所定の付勢力が発揮されるまでY軸テーブル22が移動される。その結果、紙山倣い機構によりタッチローラ75a,75bが、紙山5に対して所望とする圧力で弾接される。このとき、カメラ装置15は、下限位置検出センサ79で規定される紙山5の底部に位置している。
【0104】
次に、ステップ4に移行して、紙山5の測定面をスキャンし、画像情報を取得する。即ち、カメラ装置15を動作させると共に、リング照明73を発光させる。そして、昇降装置3の駆動モータ42を回転させることによってカメラ装置15を一定速度で上昇させ、紙山5の測定面をスキャニングしてラインCCD70で画像を取得する。このラインCCD70によって連続的に取り込まれた一次元画像は、制御部81内の画像処理ボード91によって二次元画像に合成される。
【0105】
このカメラ装置15が上昇する際、支持プレート50をY軸方向に付勢する第1コイルバネ62及びガイド部材53を両側から引っ張る第2コイルバネ65,66のバネ力により、一対のタッチローラ75a,75bが紙山5のうねりやねじれに追従して旋回動作される。そのため、光学レンズ72の対物レンズと紙山5側面との間の距離が一定に保持される。これにより、ラインCCD70のフォーカス距離が一定に維持され、紙山5の長短ずれを吸収しながら高精度な画像を取得することができる。
【0106】
次に、ステップ5に移行して、境界部強調フィルタリングが行われる。即ち、合成された二次元画像が、図21Bに示したように紙境界部強調フィルタリング処理され、その後、横方向加算によるノイズ除去がなされる。そして、図21Cに示したように、紙山5の全高にわたる濃淡データ分布が取得される。
【0107】
本実施の形態では、ラインCCD70は5000画素数であり、このうち処理に必要な幅は数百画素分であるので、合成された画像から必要部分のみ切り出して処理している。他方、ラインCCD70で画像を取り込む際に、最初から必要な部分のみを取り出して画像に合成するようにしてもよい。
【0108】
次に、ステップS6に移行し、境界情報を抽出すると共に、その情報の評価を行って境界を取捨選択する。即ち、得られた濃淡データに対して濃淡データ閾値を算出し、当該閾値より明るい濃淡データ部分を紙境界として認識し抽出する。更に、得られた境界情報を評価し、予め設定された基準紙の厚さ及び最低境界間隔情報に関する指標(パラメータ)、並びに前後の座標間隔を参照して、紙境界と認められる部分の取捨選択を行う。
【0109】
次に、ステップS7に移行して、得られた紙境界情報から境界間隔の分布を調べ(図22)、群の分布間隔が十分に空いている場合には、補完処理を行う。そして、ステップS8に移行して、以上の処理が正常に終了したか否かを判定する。この判定の結果、ステップS8までの処理が正常に行われたときは、ステップS9に移行して、制御部81内の計数器92によって補完済の境界情報に基づいて紙境界部分を計数し、紙の計数値(枚数)をモニタ80へ表示する。
【0110】
これに対して、ステップS8において、以上の処理が正常に終了していないと判定されたときには、ステップS10に移行して、境界間隔の分布(群)の間隔が十分に空いていない等、境界分布に問題があると判断し、問題部分の境界前後情報から補完処理を試みる。この補完処理の結果、最大補完処理間隔を超えての補完等、通常の処理では補完できない場合には、ステップS12に移行して、警告或いはエラーとして処理する。この警告或いはエラー処理の場合には、問題となる部分の画像をモニタ80に表示し、作業者による枚数の判定や、測定中断、再測定などの判断を仰ぐようにする。
【0111】
また、ステップS10の判定において、再測定を行うと判断された場合には、ステップS11に移行して、再測定を行うために測定個所を変更する。そして、上述したステップS3に戻り、以後の処理を繰り返す。この再測定において、通常処理で終了した場合と、作業者による枚数判定を行った場合は、その結果をモニタ80に表示して終了する。
【0112】
以上の場合には、紙山5の高さ方向の中途部分であれば、カメラ装置15のフォーカス距離を一定に保持して紙山5の画像を取り込むことができるので、紙山5の姿勢整列作業の負担を大幅に減らし、紙6の枚数計測を正確に行うことができると共に、その計数作業の効率を大幅に向上させることができる。
【0113】
しかしながら、以上の枚数計数装置では、紙山5の上端部及び下端部において不明確な計数部分が生じる。これは、上述したように、紙山の紙と緩衝材との境界部分や紙とカバーとの境界部分が不明確になり、或いは紙が緩衝材やカバー内に埋もれてしまい、それぞれの紙を一枚毎に明確に認識することができないことになる等の原因によるものである。
【0114】
そこで、かかる不具合を是正する必要があり、その不具合を解消するのが、次に述べる計数補助治具である。この計数補助治具は、図1及び図2に示すように、紙山5の下側に配置される下側計数補助治具100と、紙山5の上側に配置される上側計数補助治具101とから構成される。この下側計数補助治具100及び上側計数補助治具101は、少なくとも一方があれば、ある程度の計数結果の改善を図ることができるが、両計数補助治具100,101を同時に使用することが好ましく、その場合には紙山5の上端から下端まで万遍なく明瞭に計数することができる。
【0115】
図3及び図6に示すように、下側計数補助治具100は、Y軸テーブル22の上テーブル板30に搭載されている。この下側計数補助治具100は、紙山5の下面に下方から当接される治具本体である接触板103と、この接触板103に対して相対的に移動可能に支持される押圧部材である加圧板104と、この加圧板104を上方に付勢する弾性部材であるコイルバネ105と、接触板103を昇降動作させる昇降シリンダ106と、この昇降シリンダ106を支持する長方形をなす板体からなる支持板107等を備えて構成されている。
【0116】
接触板103は、図6及び図7に拡大して示すように、四角形の棒状をなす部材からなり、その長手方向中央部には上面に開口された切欠き110が設けられている。接触板103の切欠き110内には加圧板104が、接触板103との間に適宜な隙間を保持して収納されている。加圧板104は、切欠き110内に出入り可能な四角形の板材からなり、裏面には2本のガイドピン111が所定の間隔をあけてネジにより締付固定されて一体的に構成されている。2本のガイドピン111は、接触板103に埋設されたスリーブ112によって軸方向へ摺動自在に支持されている。
【0117】
各ガイドピン111にはコイルバネ105が装着されており、そのバネ力によって加圧板104が常時上方へ付勢されている。そして、各ガイドピン111の下端部に設けた頭部によって当該ガイドピン111の抜け出しが防止されている。そして、図7Bに示すように、加圧板104の上面は、接触板103の上面よりも少々上方へ突出されている。この場合、図7Aに示すように、接触板103のカメラ装置15側の面と、加圧板104のカメラ装置15側の面とは、略同一平面となるように構成されている。この加圧板104のカメラ装置15側の面が、本実施例における計数補助面を構成している。
【0118】
この計数補助面は、下側計数補助治具100で紙山5の下端部を上方へ押圧した状態において、紙山5の測定面と略同一の平面上に設定されて紙6の計数に用いられる。即ち、この実施例に示す下側計数補助治具100は、紙の表面と計数補助面の表面を共に撮像し、画像上で紙と計数補助面の表面状態の差異(例えば、明度或いは色の違い等)を得て、その差異から最下端部における紙と計数補助面との境界部分を明らかにするものである。
【0119】
そこで、画像取得時に一様な画像として取得できるようにするため計数補助面の表面を滑らかに加工し、測定対象物である紙6の色と異なる色に塗装して、画像上で紙との間に大きな差異が得られるようにする。例えば、紙6が一般的な白色である場合、計数補助面を黒色に塗装し、好ましくはつや消しの黒塗装とするのが良い。具体的に、計数補助面は単なるフライス加工でも良いが、研磨加工、バフ処理等によって表面の平坦度を上げることが望ましい。また、平坦にした後、サンドブラスト等によって一様な面状態としても良い。
【0120】
このようにすることにより、計数補助面から得られる画像を一様にすることができ、その結果、紙との差異を明瞭にして容易に識別することが可能となる。尚、計数補助面の塗装色は、この実施例のものに限定されるものではなく、紙等の測定対象物との間に大きな差異を持たせることができる他の色を適宜に選択できることは勿論である。
【0121】
2本のガイドピン111の中間部には、下方に突出された連結ネジ113が取り付けられている。この連結ネジ113には、カップリング114を介して昇降シリンダ106のロッド115が着脱可能に連結されている。昇降シリンダ106は、支持板107の略中央部に、ロッド115を上方へ突出させた状態で立ち上げるように固定されている。
【0122】
また、接触板103の長手方向の両端部には2本のガイドバー116の上端部がそれぞれネジ止め等の固着手段により固定されている。2本のガイドバー116は、互いに平行とされて下方に突出されていて、それぞれスリーブ117に摺動自在に挿通されている。各スリーブ117は、支持板107に圧入等の固着手段により固定されている。更に、支持板107の長手方向両端部には、上方に突出する2本の突当棒118,119が固定されている。2本の突当棒118,119の下端にはネジ軸部118a,119aが設けられており、そのネジ軸部118a,119aが支持板107を貫通していて、これに螺合されるナット120により締付固定されている。
【0123】
支持板107の長手方向中央部の下面には、一端に設けたフランジ部をネジ止め等の固着手段で締付固定された支持軸121が設けられている。支持軸121は、ボールベアリングからなる2個の軸受122を介してホルダ123に回転自在に支持されている。支持軸121の軸受122から下方に突出されたネジ軸部121aには固定ナット124が螺合されて締付固定されている。
【0124】
ホルダ123は、ネジ等の固着手段によって取付台125に固定されている。取付台125には上方に突出するストッパピン126が固定されており、そのストッパピン126は支持板107に設けられた規制溝127に挿入されている。規制溝127は、支持軸120を中心として円弧状に形成されており、この規制溝127の長さに相当する角度だけ支持板107が、水平方向へ回動可能に構成されている。
【0125】
また、取付台125は、ネジ等の固着手段によって平板状のスライドベース130に固定されている。スライドベース130の下面には、接触板103の長手方向に所定の間隔をあけて2本のスライダ131が固定されている。これらのスライダ131に対応させて上テーブル板30の上面には、2本のガイドレール132が互いに平行をなすように設けられている。この2本のスライダ131及びガイドレール132によってスライドベース130が、図示しない駆動手段を介してY軸方向(紙山5の測定面と直交する方向)へ適当な距離だけ移動可能に構成されている。
【0126】
この下側計数補助治具100のための移動機構は、Y軸テーブル22が比較的大きなストロークでカメラ装置15等と一体的に下側計数補助治具100を移動させることを目的とするのに対し、下側計数補助治具100を単独で移動可能として紙山5の下端の押圧位置を微調整できるようにすることを目的とするものである。図6において、符号133は、下側計数補助治具100の位置を検出するための治具位置検出器であり、これに対応してスライドベース130には位置検出片134が固定されている。
【0127】
また、上側計数補助治具101は、図2及び図9〜図12に示すような構成を有している。この上側計数補助治具101は、紙間の隙間をなくして隙間による影響を防止する隙間防止機構に加えて、紙が波打つことによる影響を防止する波打ち影響防止機構を設けたものである。更に、この実施例に示す上側計数補助治具101では、紙山5の横方向(紙境界方向)の3箇所において計数が可能な構成とされている。
【0128】
図9A,Bに示すように、上側計数補助治具101は、治具取付プレート140と、この治具取付プレート140を保持する保持フレーム141と、治具取付プレート140を紙山5の所定位置にセットする位置規制ブロック142と、3枚の加圧板143と、4枚の接触板144と、これらを支持する支持ロッド145と、加圧用のスプリング146,147等を備えて構成されている。治具取付プレート140は、紙6の一辺の長さよりも少々短い棒状の部材からなり、この治具取付プレート140の背面に保持フレーム141が配置されている。
【0129】
保持フレーム141は横方向に長く設定された枠状の部材からなり、2個の長手方向部材141aと2個の幅方向部材141bを互いに平行に配置し、図11に示すように、固定ネジ148で締付固定することによって一体に構成されている。この保持フレーム141の長手方向の両側に2個の位置規制ブロック142が、その長手方向と交差する幅方向へ延在されて配置され、図10Aに示すように、固定ネジ149によって治具取付プレート140に締付固定されている。
【0130】
図11に示すように、各位置規制ブロック142には、治具取付プレート140を紙山5の所定位置に位置決めするためのフック部142aが設けられている。2個の位置規制ブロック142の間には、所定の間隔をあけて3個の加圧板143が配置されている。そして、隣り合う加圧板143間及び外側の加圧板143と位置規制ブロック142の間には、それぞれ接触板144が配置されている。3個の加圧板143と4個の接触板144には、それぞれ2本ずつ支持ロッド145が止めネジ150により固定されている。
【0131】
各支持ロッド145は、互いに平行とされて同一方向に突出されており、それぞれ治具取付プレート140に嵌合固定されたスリーブ151を貫通して上方に突出されている。各加圧板143と治具取付プレート140との間にはスプリング146がそれぞれ装着され、各接触板144と治具取付プレート140との間にはスプリング147がそれぞれ装着されている。これらのスプリング146,147は、各加圧板143及び各接触板144を治具取付プレート140から離れる方向に付勢するものであるが、その目的の違いに対応して両スプリング146,147には、設定されるバネ力に差が設けられている。
【0132】
即ち、加圧板143は、紙山5の測定部分を押圧して紙間の隙間を無くすことを目的とするものであるため、比較的強めのバネ力が設定されている。これに対して、接触板144は、加圧板143を所定位置に保持することを目的とするものであるため、比較的弱めにバネ力が設定されている。これにより、接触板144で上側計数補助治具101を所定位置に保持し、その保持状態で加圧板143により紙山5の測定部分が適当な力で押圧されるようになっている。
【0133】
この上側計数補助治具101の加圧板143のカメラ装置15に対向する面が計数補助面を構成している。この計数補助面は、下側計数補助治具100の加圧板104の計数補助面と同様に、画像上で紙との間に大きな差異が得られるようにするため、例えば、つや消しの黒塗装を施す等によって形成することができる。
【0134】
このような上側計数補助治具101によれば、押圧機構による紙間の隙間を無くす機能のほか、紙山5上面の大きな波打ち(高低差Hが最大で10mm程度、図17を参照)による影響が計数作業に与えられないようにする波打ち影響防止機能を発揮することができる。これは、1枚の加圧板143の長さを波打ちのピッチL(波の山から山までの距離)よりも長くすると、山と山の間に大きな隙間が生じてしまい、その隙間によって計数の誤りが生じることになるという、「波打ち」に起因する不具合の発生を防止する機能である。
【0135】
そのため、本実施例においては、1枚の加圧板143の長さを波打ちピッチLよりも十分に小さな値に設定し、1枚の加圧板143がそのピッチの中に入り込めるようなサイズに設定する。このように構成することにより、紙山5に波打ちが発生している場合でも、上側計数補助治具101の押圧機構である加圧板143が波打ちのピッチL内に入り込むため、加圧板143を紙に圧着させることにより、計数補助治具と紙との間及び紙と紙との間の隙間を無くし、境界部分の明瞭な画像を取得することができる。
【0136】
特に、本実施例では、加圧板143を3箇所に配置して境界線方向の3箇所で紙の枚数を計数可能な構成とした。そのため、その3箇所でそれぞれ計数してそれらの結果を比較することにより、波打ちによる影響を排除して正確な紙の枚数を計数することが可能となった。
【0137】
上述したような構成を有する下側計数補助治具100及び上側計数補助治具101は、例えば、次のようにして使用することができる。下側計数補助治具100はY軸テーブル22上に搭載されているため、大きなストロークによるY軸方向への移動はY軸テーブル22によって行われ、また、大きなストロークによるX軸方向への移動はX軸テーブル21によって行われる。これらX軸テーブル21及びY軸テーブル22による位置制御によって下側計数補助治具100は、最初は図8Aに示すような状態にセットされる。
【0138】
このとき、下側計数補助治具100の全体が紙山5に触れない状態にあり、接触板103及び加圧板104は、その半分程度が紙山5の下側に入り込む。また、下側計数補助治具100の水平方向の回転変位である「ねじれ」に対する位置決めをなす一対の突当棒118,119は、紙山5の正面に適当な間隔をあけて対向されている。この状態から、治具移動機構を動作させて下側計数補助治具100をY軸方向に移動させ、一対の突当棒118,119を紙山5の側面に当接させる。この状態が、図8Bに示すものである。
【0139】
図8Bに示す状態では、一対の突当棒118,119が紙山5の側面にともに当接されており、また、加圧板104の測定補助面は紙山5の測定面と略同一平面上に一致した状態となっている。この際、例えば、紙山5に「ねじれ」が生じていることによって移動の初期に、一対の突当棒118,119のうち、一方の突当棒118(又は119)のみが紙山5に当接することがある。
【0140】
この場合には、一対の突当棒118,119を支持する支持板107が支持軸121を中心にスライドベース130に対して回動可能に構成されているため、一方の突当棒118(又は119)に加えられる外力によって支持板107が回動され、一対の突当棒118,119が紙山5の側面にともに接触されることになる。その結果、かかる場合にも図8Bに示す状態となり、紙山5の測定面に対してカメラ装置15の光学レンズ72の光軸が直交する方向に対向されることになる。
【0141】
次に、昇降シリンダ106を駆動して接触板103を、その上面が紙山5の下面に当接するまで上昇させる。このとき、接触板103は2本のガイドバー116によってガイドされているため、水平状態を保持したままでスムースに上昇動作を行うことができる。そして、接触板103が紙山5の下面に当接すると、接触板103の上面より上方に突出している加圧板104が紙山5からの反力によりコイルバネ105のバネ力に抗して押し下げられ、加圧板104の上面が接触板103の上面と略同一平面となる図8Cに示す状態に変化する。
【0142】
これにより、紙山5の下面に作用する圧力のうち、接触板103が接触する領域において圧力が少々高くなり、特に、加圧板104が接触する部分においてその圧力が最も高くなる。このコイルバネ105のバネ力による加圧板104の押圧力(例えば、100gf/cm2程度の圧力)により、測定部の微小領域(例えば、幅2mm程度)を含む一定の領域において、積み重ねられた紙6間の隙間を小さくし或いはその隙間を無くすことができる。
【0143】
その結果、紙山5の状態が、例えば、顕微鏡写真で示すように図24に示す状態から図23に示す状態に変化する。図24は、紙6の自重のみによる紙山5の境界部分を拡大して示すものであり、黒い横線の縞模様が紙境界部分5aを示しており、紙6と紙6の間の隙間が目視によってもはっきりと確認できる状態となっている。
【0144】
これに対して、図23は、紙山5を加圧板104で加圧した状態を示しており、横線の縞模様が薄くなっていて、人の目では紙境界部分5aが分かりにくい状態となっているが、本発明によれば、紙と紙の間の隙間を無くしながら紙境界部分5aを明瞭にして、紙山5の紙6の正確な枚数を計数することができるようになった。
【0145】
図23において、黒色で現されている同図の下半分は、加圧板104の測定補助面であり、このような測定補助面を加圧板104に設けることにより、紙山5の最下部に位置する紙6と下側計数補助治具100の加圧板104との境界部分を明瞭にすることができ、最下部の紙6が緩衝材に埋もれてしまったり、汚れやずれ等によって識別が困難になる等の不具合の発生を防止して、正確な測定を実現することができるようになった。
【0146】
このような測定の正確性は、上側計測補助治具101においても同様に実現できるようになった。この実施例に係る上側計数補助治具101は、図2及び図9A,B〜図11に示すような状態で使用される。上側計数補助治具101を紙山5の測定面側の最上部に載置する。このとき、一対の位置規制ブロック142,142のそれぞれのフック部142aを測定面側の上端縁に係止することにより、上側計数補助治具101の位置決めがなされる。
【0147】
その結果、加圧板143の計数補助面が紙山5の測定面と略同一の平面上に設定されることになる。また、上側計数補助治具101自体がある程度の重量を有すると共に、加圧板143及び接触板144がスプリング146,147のバネ力によってそれぞれ紙山上面に押圧され、特に、加圧板143が接触板144よりも強く押し付けられる。これにより、すべてのスプリング146,147が動作している状態においても、上側計数補助治具101が持ち上がらないようにして、必要な圧力を紙山5に作用させることができる。
【0148】
この上側計数補助治具101によって紙山5に付与される圧力は、例えば、測定部である加圧板143において100gf/cm2程度であり、測定部の周囲である接触板144の圧力は、それよりも若干弱い程度(例えば、紙山5に触れる程度)に設定されている。これにより、紙山5の加圧板143で押圧される部分が、図23に示す状態と同様の状態となり、測定箇所における紙間の隙間を無くすことができる。
【0149】
従って、上側計数補助治具101によれば、下側計数補助治具100の場合と同様に、加圧板143と最上部の紙6との境界部分を明瞭にすることができ、最上部の紙6が埋もれてしまったり、汚れやずれ等によって識別が困難になる等の不具合の発生を防止して、正確な測定に寄与することができる。また、この実施例の場合には、紙境界方向の3箇所で紙6の枚数計測が行える構成となっているため、計数作業を複数箇所で行うことにより、計数作業の正確性を高めることができる。
【0150】
因みに、図17は、紙山5上面の波打ちの状態を説明するもので、符号Lは波打ちの振幅を示し、符号Hは波打ちの周期(高低差)を示している。例えば、外形が1m四方で、厚みが200μmの紙を用いた紙山の場合、通常、波打ちの振幅Hは最大で10mm程度であり、また、波打ちの周期Lは最小で200mm程度である。
【0151】
尚、前記実施例においては、上側計数補助治具101は、作業者の手作業によって紙山5の所定位置に取り付けられるが、下側計数補助治具100の場合と同様に、機械的な構成によって上側計数補助治具を支持し、紙山5に対して自動的に設置できる構成とすることもできる。
【0152】
図12は、上側計数補助治具の第2の実施例を示すものであり、この上側計数補助治具160は、構造的には上述した下側計数補助治具100の加圧部分と同様の構成を有しているが、境界部分の画像を取得する方法が異なる例を示すものである。即ち、この実施例に示す上側計数補助治具160は、カメラ装置15の光学レンズ72においてフォーカスが合わないところはぼけて暗くなることを利用したもので、撮像部分が紙の表面から計数補助面に移る際に、フォーカスが合わないために計数補助面側が暗くなることで紙と計数補助面との境界部分を明らかにするものである。
【0153】
上側計数補助治具160は、適当な大きさと重量を有する治具本体161と、この治具本体161に対して相対的に移動可能に支持された加圧板162と、この加圧板162を外側に付勢するコイルバネ163とから構成されている。治具本体161は、四角形の棒状をなす部材からなり、その長手方向中央部には下面に開口された切欠き164が設けられている。この治具本体161の切欠き164内には加圧板162が、治具本体161との間に適宜な隙間を保持して収納されている。
【0154】
加圧板162は、切欠き164内に出入り可能な四角形の板材からなり、背面である上面には2本のガイドピン165が所定の間隔をあけてネジ等の固着手段により締付固定されて一体的に構成されている。2本のガイドピン165,165は、治具本体161に埋設されたスリーブ166によって軸方向へ摺動自在に支持されている。各ガイドピン165にはコイルバネ163が装着されており、そのバネ力によって加圧板162が常時下方へ付勢されている。そして、各ガイドピン165の上端部に設けた頭部によって当該ガイドピン165の抜け出しが防止されている。更に、図12Bに示すように、加圧板162の下面は、治具本体161の下面よりも少々下方へ突出されている。
【0155】
また、図12Aに示すように、治具本体161のカメラ装置15側の面と、加圧板162のカメラ装置15側の面との間には、光学レンズ72のフォーカスが合わないようにするための段差Tが設けられている。この加圧板162のカメラ装置15側の面が、本実施例における計数補助面を構成しており、画像を取得する紙山5の測定面よりカメラ装置15から遠い側に段差Tが設定されている。
【0156】
本実施例においては、取得する画像幅は約2mm、光学レンズ72の焦点深度は約2.5mm、段差Tは3mmとされている。この程度の段差Tを設定することにより、例えば、図23に示すように、加圧板162の紙6から外れた計数補助面をぼやけさせて黒い背景を得ることができる。
【0157】
図13A,Bは、本発明の計数補助治具の基本構成を説明するもので、最も単純なものとして、紙山5に載置される治具本体170のみで構成することができる。この治具本体170の要件としては、次の2つを挙げることができる。その1は、紙山5に適当な圧力を加えるために適当な重量を有すること。その2は、紙と紙以外の部分を画像上で容易に認識できる画像を得るための計数補助面を有すること。その計数補助面は、画像取得時に均一で一様な画像が得られるように平滑面であることが好ましい。この場合、治具本体170は、その計数補助面170aが紙山5の計数面5bと同一面となるように紙山5上に設置されて使用される。
【0158】
尚、符号171は、カメラ装置15によって撮像される紙山5の画像取得領域を示している。この画像取得領域171に沿ってカメラ装置15が昇降動作され、光学レンズ72の焦点に合った画像が連続して取得されて、前述したような計数処理に供される。
【0159】
図14A,B及びCは、同じく本発明の計数補助治具の基本構成を説明するものであるが、フォーカスの合わないところはぼけて暗くなることを利用する計数補助治具を示すものである。この計数補助治具の場合にも、最も単純なものは治具本体180のみで構成されるが、これが治具本体170と異なるところは、計数補助面180aに切欠き部181を設けて段差Tを設定しているところである。符号181は、カメラ装置15によって撮像される紙山5の画像取得領域を示している。
【0160】
この実施例の場合、光学レンズ72の焦点Sを紙山5の計数面5bに一致させたとき、その焦点深度Dが約2.5mmであるのに対して、段差Tが3mmと深くなっている。そのため、治具本体170の切欠き部181に対応する背景は暗く写ることになる。
【0161】
図15A,Bは、本発明の計数補助治具の基本構成の変形実施例を示すものである。この実施例は、下側計数補助治具として適用したもので、この下側計数補助治具190は、紙境界を認識するための治具本体191と、高さ方向の段差Eを設定するためのスペーサー192とから構成されている。治具本体191は、紙山5の下部に設置される適当な大きさを有する台座のような部材であり、この治具本体191上の紙山5に圧力を掛けたい部分にスペーサー192が載置される。
【0162】
このスペーサー192に紙山5を乗せることにより、前述した下側計数補助治具100等と同様の効果を得ることができる。因みに、スペーサー192の厚さEを1mm、境界方向の長さFを20mmとして試験したところ、紙間の隙間を無くせることが確認できた。尚、スペーサー192の材質としては、例えば、紙、スポンジ状の紙(弾力のある物)、プラスチック、金属プレート等を適用することができる。このスペーサー192の高さを適切に選択し、周囲の形状に注意することにより、本実施例においても、紙山に傷を付ける等の悪影響を最小にして、紙間の隙間を防止できることが確認された。
【0163】
図13及び図14では、本願発明の計数補助治具を上側計数補助治具に適用した例について説明したが、下側計数補助治具に適用できることは勿論である。また、図15では、本願発明の計数補助治具を下側係数補助治具に適用した例について説明したが、上側計数補助治具に適用できることも勿論である。
【0164】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。例えば、前記実施例においては、下側計数補助治具100をカメラ装置15の移動に同期して移動する構成としたが、上側計数補助治具101と同様に、波打ち対応で加圧板を複数個設ける構成とすることもできる。また、これとは逆に、上側計数補助治具をカメラ装置15の移動に同期して移動する構成とすることもできる。
【0165】
更に、前記実施例では、加圧板を紙山に押圧する手段としてコイルバネを用いた例について説明したが、空気圧や油圧等を用いて加圧板等を紙山に押圧する構成とすることもできる。また、駆動モータ42としてパルスモータを用いたが、これに限らず、エンコーダによって回転角を検出可能とすれば汎用のモータを使用することも可能である。
【0166】
更に又、以上の実施の形態では、測定対象紙をインクジェット用のプリンタ用紙を例に挙げて説明したが、これに限らず、普通紙、上質紙、葉書などの他品種の紙であってもよいことは勿論のこと、これらシート状、フィルム状の紙に限られることなく、ゴムシートやプラスチックシート、その他のシート状、フィルム状の各種材料の計数にも、本発明は適用可能である。
【0167】
また、厚みの異なる対象紙に対しては、処理時の境界基準距離が変化しないように測定部の送り速度を変化させる方法と、処理時の境界基準距離を変更する方法が採用可能である。前者では、画像を展開する量が多くなる反面、境界部強調フィルタリング等の測定パラメータを変更しないで適用できるメリットがある。この境界部強調フィルタリングを効果的に行うためには、紙境界間の取得画像を多くする必要がある。また、測定対象により両方法を選択できる制御ソフト構成とすることで、より柔軟に対応することができる。
【0168】
尚、大きな打痕等の影響により、正常に計数できない場合は、ラインCCDセンサの画像取込範囲内で別な部分から画像を切り出したり、カメラ装置15を境界線方向(水平方向)に動かして新たに画像を取得する等、再計数の実行や、計数結果の確認を行うことが有効である。
【0169】
【発明の効果】
以上説明したように、本出願の請求項1に記載の枚数計数装置によれば、複数枚の測定対象物が積み上げられた対象物山の上端部に上側計数補助治具を配置し、この上側計数補助治具を対象物山の上端部に密着させることにより、計数補助面によって対象物山の最上部の境界が明確に認識できるようになる。また、対象物山の下端部に下側計数補助治具を配置し、この下側計数補助治具を対象物山の下端部に密着させることにより、計数補助面によって対象物山の最下部の境界が明確に認識できるようになる。
【0170】
その結果、撮像装置で対象物山の測定対象物間の境界部分を撮像することにより、対象物山の最上部又は最下部の境界部分を明確に認識することができるようになり、その画像情報に基づいて計数装置で境界部分の濃淡データを加算することにより、対象物山の最上部又は最下部における測定対象物の枚数を正確に計数することができるという効果が得られる。
【0171】
本出願の請求項2に記載の枚数計数装置によれば、ラインCCDセンサを有するカメラ装置を撮像装置として適用し、そのカメラ装置を対象物山の高さ方向に沿って移動させて測定対象物をスキャニングすることにより、境界部分の濃淡データからなる明確な画像情報を取得することができるという効果が得られる。
【0172】
本出願の請求項3に記載の枚数計数装置によれば、計数補助治具として上側計数補助治具と下側計数補助治具の両者を同時に用いることにより、積み上げられた測定対象物の山の最上部から最下部までの総枚数を正確に計数することができるという効果が得られる。
【0173】
本出願の請求項4に記載の枚数計数装置によれば、上側計数補助治具及び下側計数補助治具の各計数補助面の色を測定対象物の画像を取得する面と異なる色に設定すると共に、その計数補助面を測定対象物の画像を取得する面と略同一平面となる位置に設定することにより、計数補助面と測定対象物との間の境界部分を撮像装置によって明確に認識できるようになり、これにより境界部分の濃淡データからなる明確な情報を取得することができるという効果が得られる。
【0174】
本出願の請求項5に記載の枚数計数装置によれば、上側計数補助治具及び下側計数補助治具の各計数補助面を、カメラ装置の光学レンズの焦点深度より深い位置に設定することにより、計数補助面をボカして測定対象物の画像を取得する面との間に色の差を生じさせることができ、これにより境界部分を明確に認識できるようにして境界部分の濃淡データからなる明確な情報を取得することができるという効果が得られる。
【0175】
本出願の請求項6に記載の枚数計数装置によれば、上側計数補助治具及び下側計数補助治具に設けた押圧機構により、測定対象物の画像を取得する面の近傍を上方から下方へ押圧し又は下方から上方へ押圧することにより、測定対象物間の境界部分、特に積み上げられた測定対象物の山の最上部又は最下部の境界部分を明確に認識することができるという効果が得られる。
【0176】
本出願の請求項7に記載の枚数計数装置によれば、計数補助治具の押圧機構を治具本体と押圧部材と弾性部材とで構成することにより、測定対象物間の境界部分を明確に表すことができる機構を、簡単な構造によって実現することができるという効果が得られる。
【0177】
本出願の請求項8に記載の枚数計数装置によれば、計数補助治具に治具取付プレートを設け、この治具取付プレートの複数箇所に押圧機構を設ける構成とすることにより、積み上げられた測定対象物の山の計数側の面において複数箇所で境界部分の撮像が可能であり、その複数箇所のうち任意の部分を用いて測定対象物間の境界部分の明確な画像を取得することができるという効果が得られる。
【0178】
本出願の請求項9に記載の計数補助治具によれば、複数枚の測定対象物が積み上げられた対象物山の上端部又は下端部に計数補助面を密着させて配置することにより、その計数補助面によって対象物山の最上部又は最下部の境界部分が明確に認識できるようになるという効果が得られる。
【0179】
本出願の請求項10に記載の計数補助治具によれば、計数補助面の色を測定対象物の画像を取得する面と異なる色に設定すると共に、その計数補助面を測定対象物の画像を取得する面と略同一平面となる位置に設定することにより、計数補助面と測定対象物との間の境界部分を明確に認識できるようになるという効果が得られる。
【0180】
本出願の請求項11に記載の計数補助治具によれば、計数補助面を、カメラ装置の光学レンズの焦点深度より深い位置に設定することにより、計数補助面をボカして測定対象物の画像を取得する面との間に色の差を生じさせることができ、これにより境界部分を明確に認識できるようにすることができるという効果が得られる。
【0181】
本出願の請求項12に記載の計数補助治具によれば、押圧機構を設けて測定対象物の画像を取得する面の近傍を上方から下方へ押圧し又は下方から上方へ押圧することにより、測定対象物間の境界部分、特に積み上げられた測定対象物の山の最上部又は最下部の境界部分を明確に認識することができるという効果が得られる。
【0182】
本出願の請求項13に記載の計数補助治具によれば、押圧機構を治具本体と押圧部材と弾性部材とで構成することにより、測定対象物間の境界部分を明確に表すことができる機構を、簡単な構造によって実現することができるという効果が得られる。
【0183】
本出願の請求項14に記載の計数補助治具によれば、複数箇所に押圧機構を有する治具取付プレートを設けることにより、積み上げられた測定対象物の山の計数側の面において複数箇所で境界部分の撮像が可能であり、その複数箇所のうち任意の部分を用いて測定対象物間の境界部分の明確な画像を取得することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の枚数計測装置の一実施例の概略構成を示す説明図である。
【図2】本発明の枚数計測装置の一実施例の具体的構成を示す説明図である。
【図3】図2に示す枚数計測装置の要部を拡大して示す説明図である。
【図4】図1に示す枚数計測装置の撮像装置の構成を説明する平面図である。
【図5】図1に示す枚数計測装置の撮像装置の構成を説明する側面図である。
【図6】本発明の枚数計測装置に用いられている下側計数補助治具の第1の実施例の具体的構成を示す説明図である。
【図7】図6に示す下側計数補助治具の押圧機構の第1の実施例を示すもので、同図Aは平面図、同図Bは一部を断面した正面図である。
【図8】図6に示す下側計数補助治具の押圧機構の動作を説明するもので、同図Aは紙山を支持する前の状態の平面図及び正面図、同図Bは紙山を支持する途中の状態の平面図及び正面図、同図Cは紙山を支持した後の状態の平面図及び正面図である。
【図9】本発明の枚数計測装置に用いられている上側計数補助治具の第1の実施例の具体的構成を示すもので、同図Aは平面図、同図Bは正面図である。
【図10】図9に示す上側計数補助治具の要部を拡大して示すもので、同図Aは正面図、同図BはX−X線断面図、同図CはY−Y線断面図である。
【図11】図9に示す上側計数補助治具の拡大断面図である。
【図12】本発明の枚数計測装置に用いられている上側計数補助治具の第2の実施例の具体的構成を示すもので、同図Aは平面図、同図Bは正面図である。
【図13】本発明の枚数計測装置に用いられている上側計数補助治具の第1の実施例の概略構成を説明するもので、同図Aは正面図、同図Bは側面図である。
【図14】本発明の枚数計測装置に用いられている上側計数補助治具の第2の実施例の概略構成を説明するもので、同図Aは正面図、同図Bは側面図、同図Cは要部を拡大して示す説明図である。
【図15】本発明の枚数計測装置に用いられている下側計数補助治具の第2の実施例の具体的構成を示すもので、同図Aは平面図、同図Bは正面図である。
【図16】本発明に係る測定対象物の一具体例を示す紙山を説明するもので、同図Aは正常な状態、同図Bはうねりが生じた状態を示す、それぞれ説明図である。
【図17】本発明に係る測定対象物の一具体例を示す紙山の波打ちの状態を示す説明図である。
【図18】図1に示した枚数計測装置に係る制御装置の制御ブロック図である。
【図19】図18に示した制御装置による画像処理の一作用を説明するフローチャートである。
【図20】図18に示した制御装置による画像処理を説明する図である。
【図21】図18に示した制御装置による画像処理の画像処理工程を説明する図であり、同図Aは合成直後の画像、同図Bは紙境界部強調フィルタリング後の画像、同図Cは境界部の濃淡データ分布をそれぞれ示している。
【図22】本発明の枚数計測装置に係る制御装置の補完工程を説明する境界間隔の度数分布表である。
【図23】紙山に押圧力が加えられた状態を示す説明図である。
【図24】紙山に押圧力が加えられない状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1…枚数計測装置、2…紙山支持台、3…昇降装置、4…支持装置、5…紙山、5a…紙境界部分、6…紙(測定対象物)、9…制御装置、15…カメラ装置(撮像装置)、21…X軸テーブル、22…Y軸テーブル、48…首振り機構、49…回動軸、50…支持プレート、53…回動プレート、70…ラインCCD、72…光学レンズ、75a,75b…タッチローラ、76a,76b…アーム部材、100,190…下側計数補助治具、101,160…上側計数補助治具、103,144…接触板(治具本体)、104,143,162…加圧板(押圧部材)、105,106…コイルバネ(弾性部材)、106…昇降シリンダ、118,119…突当棒、140…治具取付プレート、141…保持プレート、142…位置規制ブロック、145…支持ロッド、146,147…スプリング、161,170,180,190…治具本体、164,181…切欠き、170a,180a…計数補助面、T…段差
Claims (14)
- 厚さ方向に積み上げられた複数枚のシート状又はフィルム状の測定対象物の側部に配置され、前記積み上げられた測定対象物間の各々の境界部分の画像を取得する撮像装置と、
前記撮像装置の出力に基づいて前記境界部分の濃淡データを加算することにより前記測定対象物の枚数を演算する演算処理装置と、
前記積み上げられた測定対象物の上端部及び下端部の少なくとも一方に配置され、前記画像を取得する面の近傍において測定対象物の上端面に上方から密着され又は当該測定対象物の下端面に下方から密着されると共に測定対象物1枚の厚さよりも大きな計数補助面を有する計数補助治具と、を備えたことを特徴とする枚数計数装置。 - 前記撮像装置は、前記積み上げられた測定対象物の高さ方向に沿って移動可能とされ且つ前記測定対象物に対向される光学レンズを備えたカメラ装置からなり、
前記カメラ装置は、前記光学レンズを通った光が入力されるラインCCDセンサを有することを特徴とする請求項1に記載の枚数計数装置。 - 前記計数補助治具は、前記積み上げられた測定対象物の上端面に載置される上側補助治具と、前記測定対象物の下端面に下方から当接される下側補助治具とからなることを特徴とする請求項1に記載の枚数計数装置。
- 前記上側補助治具及び/又は下側補助治具の前記計数補助面は、前記測定対象物の前記画像を取得する面の色と異なる色を有すると共に当該画像を取得する面と略同一平面となる位置に設けたことを特徴とする請求項1に記載の枚数計数装置。
- 前記上側補助治具及び/又は下側補助治具の前記計数補助面は、前記測定対象物の前記画像を取得する面に焦点が合わされる前記カメラ装置の光学レンズの焦点深度より深い位置に設けたことを特徴とする請求項2に記載の枚数計数装置。
- 前記上側補助治具及び/又は下側補助治具には、前記測定対象物の前記画像を取得する面の近傍を上方から下方に向けて押圧し又は下方から上方に向けて押圧する押圧機構を設けたことを特徴とする請求項1に記載の枚数計数装置。
- 前記押圧機構は、前記測定対象物に当接される治具本体と、前記治具本体に移動可能に支持される押圧部材と、前記押圧部材を前記測定対象物側に付勢する弾性部材と、からなることを特徴とする請求項6に記載の枚数計数装置。
- 前記上側補助治具及び/又は下側補助治具には、前記測定対象物の波打ちピッチよりも長い治具取付プレートを設け、前記治具取付プレートには、複数箇所に設けられた前記画像を取得する面に対応して複数の前記押圧機構を設けたことを特徴とする請求項7に記載の枚数計数装置。
- 積み上げられた測定対象物の上端部及び下端部の少なくとも一方に配置され、前記積み上げられた測定対象物間の各々の境界部分の画像を取得する撮像装置により撮像される面の近傍において測定対象物の上端面に上方から密着され又は当該測定対象物の下端面に下方から密着されると共に測定対象物1枚の厚さよりも大きな計数補助面を有することを特徴とする計数補助治具。
- 前記計数補助面は、前記積み上げられた測定対象物の前記画像を取得する面の色と異なる色を有すると共に当該測定対象物の高さ方向に沿って移動可能とされるカメラ装置の光学レンズの焦点距離と略同一位置に設けたことを特徴とする請求項9に記載の計数補助治具。
- 前記計数補助面は、前記積み上げられた測定対象物の高さ方向に沿って移動可能とされるカメラ装置の光学レンズの焦点深度より深い位置に設けたことを特徴とする請求項9に記載の計数補助治具。
- 前記上側補助治具及び/又は下側補助治具には、前記測定対象物の前記画像を取得する面の近傍を上方から下方に向けて押圧し又は下方から上方に向けて押圧する押圧機構を設けたことを特徴とする請求項9に記載の計数補助治具。
- 前記押圧機構は、前記測定対象物に当接される治具本体と、前記治具本体に移動可能に支持される押圧部材と、前記押圧部材を前記測定対象物側に付勢する弾性部材と、を有することを特徴とする請求項12に記載の計数補助治具。
- 前記上側補助治具及び/又は下側補助治具には、前記測定対象物の波打ちピッチよりも長い治具取付プレートを設け、前記治具取付プレートには、複数箇所に設けられた前記画像を取得する面に対応して複数の前記押圧機構を設けたことを特徴とする請求項13に記載の計数補助治具。
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