JP2004316566A - 電磁振動型ダイヤフラムポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】振動子の推力を向上させて、ポンプの性能を向上させることができる電磁振動型ダイヤフラムポンプを提供する。
【解決手段】フレーム内に対向して配置されている電磁石を有する電磁石部と、該電磁石部内に支持され、表面の形状が凸形状を呈する磁石を備えている振動子と、該振動子の両端部に連結されるダイヤフラムと、前記フレームの両端部に装着されるポンプケーシング部とを備える電磁振動型ダイヤフラムポンプ。前記磁石が、前記振動子の振動方向に3分割されており、両側区画磁石と該両側区画磁石における前記振動子の振動方向に対して直角方向の肉厚より大きい肉厚を有する中央区画磁石とからなるとともに、該中央区画磁石の材質のエネルギー積が両側区画磁石の材質のエネルギー積より高くされている。
【選択図】 図1
【解決手段】フレーム内に対向して配置されている電磁石を有する電磁石部と、該電磁石部内に支持され、表面の形状が凸形状を呈する磁石を備えている振動子と、該振動子の両端部に連結されるダイヤフラムと、前記フレームの両端部に装着されるポンプケーシング部とを備える電磁振動型ダイヤフラムポンプ。前記磁石が、前記振動子の振動方向に3分割されており、両側区画磁石と該両側区画磁石における前記振動子の振動方向に対して直角方向の肉厚より大きい肉厚を有する中央区画磁石とからなるとともに、該中央区画磁石の材質のエネルギー積が両側区画磁石の材質のエネルギー積より高くされている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電磁振動型ダイヤフラムポンプに関する。さらに詳しくは、主として室内用エアマットやエアベッドへのエアの吸排、養魚用水槽や家庭浄化槽などにおける酸素補給、または公害監視における検査ガスのサンプリングなどに利用される電磁振動型ダイヤフラムポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電磁石と磁石との磁気的相互作用に基づく、該磁石を備えた振動子の振動を利用して流体を吸引、吐出する電磁振動型ポンプとして、ダイヤフラム式のポンプがある。
【0003】
かかるダイヤフラムポンプとして、高出力と低出力との中間出力を効率よく生じさせるために、振動子の振動方向に希土類系磁石を挟むように両側にフェライト系磁石を接合して形成してなる磁石を2ブロック固定した振動子を用いるもの(ポンプA)がある(たとえば特許文献1参照)。
【0004】
また、他のダイヤフラムポンプとして、磁石の磁気エネルギーをさらに有効に活用して振動子の推力を向上させて、ポンプの性能(出力および効率)の向上を図るために、磁石の表面形状を凸形状にした磁石を2ブロックまたは4ブロック固定した振動子を用いるもの(ポンプB)がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−10839号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記ポンプAは、所定の中間出力を生じるのに最適な磁束密度および振動子の重量を確保でき、効率のよいポンプを得ることができる。しかしながら、希土類系磁石と両側のフェライト系磁石は、ともに同一厚さ(振動子の振動方向に対して直角方向の肉厚)であるため、フェライト磁石部分の磁束密度が低く、磁束密度の自乗に比例する推力の増大の効果が少なく、また希土類系磁石とフェライト系磁石との組み合わせでは全磁束量が不足して振動子の推力を向上させるのが難しい。
【0007】
一方、ポンプBでは、たとえば磁石が、凸部のところの厚さが9mmであり、凸部両側部の厚さが6mmとなり、磁石の凸形状による磁石厚さが増加し、電磁石の空隙寸法を拡大する必要がある。したがって、磁石の凸部両側部(6mm厚さの部分)の空隙の起磁力が大きくなるため、平均の磁気抵抗が大きくなり、全磁束が必ずしも増大しないおそれがある。
【0008】
本発明は、叙上の事情に鑑み、振動子の推力を向上させて、ポンプの性能を向上させることができる電磁振動型ダイヤフラムポンプを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の電磁振動型ダイヤフラムポンプは、フレーム内に対向して配置されている電磁石を有する電磁石部と、該電磁石部内に支持され、表面の形状が凸形状を呈する磁石を備えている振動子と、該振動子の両端部に連結されるダイヤフラムと、前記フレームの両端部に装着されるポンプケーシング部とを備える電磁振動型ダイヤフラムポンプであって、前記磁石が、前記振動子の振動方向に3分割されており、両側区画磁石と該両側区画磁石における前記振動子の振動方向に対して直角方向の肉厚より大きい肉厚を有する中央区画磁石とからなるとともに、該中央区画磁石の材質のエネルギー積が両側区画磁石の材質のエネルギー積より高くされてなることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて、本発明の電磁振動型ダイヤフラムポンプについて説明する。
【0011】
実施の形態1
図1〜3に示されるように、本発明の実施の形態1にかかわる電磁振動型ダイヤフラムポンプ(以下、単にポンプという)は、フレーム1内に対向して配置される電磁石2を有する電磁石部3と、該電磁石部3内の電磁石2のあいだに、所定の間隔をおいて支持される磁石4を備えている平板形状の振動子5と、該振動子5の両端部に連結されるダイヤフラム6と、前記フレーム1の両端部に装着されるポンプケーシング部7から構成されている。前記フレーム1は、電磁石2の外表面にモールドされた樹脂成形体からなっている。このフレーム1の材質としては、たとえば成形材料である耐熱性を有しており、低収縮率のBMC(バルクモールドコンパウンド)を用いるのが望ましく、具体的には不飽和ポリエステル系のBMCなどを用いることができる。なお、本実施の形態1では、フレーム1が樹脂成形体からなっているが、本発明においては、これに限定されるものではなく、アルミニウムダイカストまたは押出し加工により成形された成形体とすることもできる。前記電磁石2は、断面がE型の薄肉鋼板を積層してなるE型鉄心8の内周凹部に組み込まれる捲線コイル部9を有している。この鉄心8の主極(中央極部)10は、振動子5の中央部の2ブロックの磁石4に対向し、両側の補助極11は、振動子5の両側部の2ブロックの磁石4に対向するように配置されている。また、この一対のE型鉄心8の内周部には、所定の空隙Sを確保できるように四角管状の鉄心保持具(中子)12が配置されている。
【0012】
前記磁石4は、振動子5を構成する、たとえば6ナイロンにガラスが15%含有された平板状の非磁性体13に所定の間隔で固定されている4ブロックの磁石のうち、中央部の2ブロックの磁石4の表面の形状は凸形状を呈している。この中央部の磁石4は、前記振動子5の振動方向に3分割されており、両側区画磁石4bと該両側区画磁石4bの肉厚(前記振動子5の振動方向に対して直角方向の肉厚)より大きい中央区画磁石4aとを固着して作製されている。この中央区画磁石4aと両側区画磁石4bの幅(図1において左右方向(振動子5の振動方向)の寸法)がほぼ同一である。前記磁石4の凸部の段差(中央区画磁石4aの側区画磁石4bからの突出量)の設定は、たとえば0.5mmであり、中央区画磁石4aの磁石厚さが7mm、側区画磁石4bの磁石厚さが6mmとすることができる。また、前記中央区画磁石4aの材質のエネルギー積は両側区画磁石4bの材質のエネルギー積より高くされている。なお、エネルギー積が高い材質とは、動作時の磁束密度(B)×起磁力(H)が高い材質のことである。前記中央区画磁石4aおよび両側区画磁石4bとして、たとえばネオジム(Nd)鉄系の平板状の磁石を用いることができる。そして、たとえば中央区画磁石4aのエネルギー積を46MGOeとし、側区画磁石4bのエネルギー積を35MGOeと設定することができる。一方、振動子5の両端部の2ブロックの磁石4は、前記両側区画磁石4bの材質と同じ材質の単一磁石であり、その幅寸法が中央部の磁石4の幅寸法の約1/2にされている。前記両端部の磁石4の幅寸法が約1/2とされているのは、磁路が2回路形成されるが、両端部の磁石4の内側部分が磁路に寄与しており、該磁石4の外側部分は磁路の形成上不要となるためである。
【0013】
本実施の形態1では、中央区画磁石4aと両側区画磁石4bの材質の違いによる減磁曲線(磁束密度(B)−起磁力(H)曲線)の特性が異なる(特性の差が生じる)ため、中央部の磁石4の表面の磁束(Φ)分布は凸形状となる。これにより、レラクタンス(R)の急激な変化(磁気抵抗の変化(dR/dx))が起こるので、推力(f=−1/2・Φ2・dR/dx)、つまり出力を増大させて、ポンプの性能を向上させることができる。
【0014】
また、本実施の形態1では、厚さを変えて磁石4の表面を凸形状とするとともに、材質も変更しているので、厚さのみを変更した従来のポンプBにおける磁石の磁束分布と比較して、中央部磁石のエネルギー積が高いので、中央部の凸部厚さをそれほど大きくしなくても急激な磁束変化を得ることができる。また、磁石4の表面を凸形状に加工すると、中央部の微小凸部の加工が難しい(たとえば凸部のエッジの直角度または凸部の円筒度などの精度を得ることが難しい)が、本実施の形態1では、異なる材質の磁石を組み合わせて磁石の表面を凸形状にしているので、従来のポンプBにおける磁石より、加工費(製作コスト)を低減させることができる。また、中央区画磁石4aと両側区画磁石4bの厚さの段差は小さく、電磁石2間の空隙Sは従来のポンプBと比較して、狭くできる。たとえば従来では、磁石厚さは9mmであり、対向する鉄心と磁石とのあいだの両側隙間が6mmであることから、空隙Sは15mmとなるのに対して、本実施の形態1では、同じ両側隙間を6mmとして、7mmの磁石厚さ(凸部の段差0.5mm)の磁石を用いることができるため、空隙Sは13mmとなる。したがって、(15−13)/2=1mm狭くできるので、磁束をさらに増大させることができる。
【0015】
なお、本実施の形態1では、振動子5の両端部の磁石4が単一磁石にされているが、本発明においては、これに限定されるものではなく、たとえば中央区画磁石4aと側区画磁石4bと同じ材質の磁石とすることができる。この場合、中央区画磁石4aの1/2幅と側区画磁石4bと同一の幅の組み合わせとし、厚さが大きい磁石を外側に配置する。ただし、両端部の磁石4を組み合わせ磁石にする場合、工数がかかるので、単一磁石にするのが好ましい。
【0016】
また、本実施の形態1では、前記磁石4を4ブロック固定した振動子5が配置されているが、本発明においては、これに限定されるものではなく、図2に示されるように、中央部の磁石4の両端部にある2ブロックの磁石に代えて、複数の軟磁性体を積層した積層体、たとえば振動方向の寸法が0.5mmであり、振動方向に対して直角方向の寸法が7mmである軟磁性体のケイ素鋼板15を18枚(なお、図2において、1枚の大きさをわかりやすくするために、12枚にしている)積層した積層体16を用いる振動子17を配置することができる。または両端部の2ブロックの磁石を省き、中央部に磁石が2ブロック固定されている振動子を配置することもできる。
【0017】
本実施の形態1では、前記ダイヤフラム6として、大径ダイヤフラム6aと小径ダイヤフラム6bが用いられているため、左右のポンプケーシング部7は、前記大径ダイヤフラム6a用ポンプケーシング(低圧側のポンプケーシング)21aと小径ダイヤフラム6b用ポンプケーシング(中圧側のポンプケーシング)21bとに分割されている。また、本実施の形態1では、ダイヤフラム6の数が合計4個であり、全体のダイヤフラムのバネ定数は大きくなりやすいので、中圧側の小径ダイヤフラム6bをバネ定数の低いコルゲーション形ダイヤフラムにしている。そして、左右のポンプケーシング21a内に形成されるポンプ部のポンプ室LPL、LPRと左右のポンプケーシング21b内に形成されるポンプ部のポンプ室MPL、MPRは小径ダイヤフラム6bで仕切られている。前記フレーム1、低圧側のポンプケーシング21aおよび中圧側のポンプケーシング21bは、ほぼ同一の外形形状であり、左右の低圧側のポンプケーシング21aには、左右の中圧側のポンプケーシング21bのポンプ部(吸引室、ポンプ室、吐出室)につながるように2つの通路が形成されている。また、前記フレーム1には、左右の低圧側ポンプ室LPL、LPRおよび中圧側ポンプ室MPL、MPRにつながる第1通気用タンク部と第2通気用タンク部および大径ダイヤフラム6aを取り付けるリング状溝22が同時成形されている。また、第1通気用タンク部と第2通気用タンク部には、それぞれ蓋が装着されている。これにより、本実施の形態1にかかわるポンプは、中圧(50〜200kPa程度)を発生させることができる。
【0018】
なお、本実施の形態1では、中圧を発生させるポンプを例としているが、本発明においては、これに限定されるものではなく、従来と同様にダイヤフラムの数が1個で構成される低圧発生ポンプに適用することもできる。
【0019】
実施の形態2
前記実施の形態1では、平板形状の振動子および磁石が用いられているため、一対のE型鉄心(主鉄心)および捲線コイル部から構成される2次元形電磁石部を用いるポンプにされているが、本発明においては、これに限定されるものではなく、立体形電磁石部を用いるポンプとすることができる。たとえば対向して配置される一対のE型小径鉄心(補助鉄心)、該一対のE型小径鉄心とは直交する位置に配置される一対のE型大径鉄心(主鉄心)および該E型大径鉄心の内周凹部に組み込まれる捲線コイル部からなる電磁石部を用いることができる。かかる立体形の電磁石部を用いる場合、図3〜4に示されるように、中央部の2ブロックの磁石31および両端部の2ブロックの磁石32として、ともに材質が異なる矩形の中央区画磁石31aと側区画磁石31bの組み合わせにより、表面の形状が凸形状を呈する、外形が四角状の極異方性の立体形(3次元)磁石が固着された振動子33が用いられる。この立体形磁石31、32の極性は、周方向の4箇所にN極とS極の極性が交互に着磁されている。この立体形磁石31、32は、たとえば6ナイロンにガラスが15%含有された非磁性体棒34に一体成形され、相対回転しないようにされている。この中央区画磁石31aと側区画磁石31bの材質の変更および厚さの若干の変更は、前記実施の形態1と同様に実施できるため、推力の向上と効率の向上も同様に期待することができる。なお、図3において、磁石31、32における中央区画磁石31aは幅寸法が異なるが、同じ材質であるため、同じ符号を付している。
【0020】
実施の形態3
これまでの実施の形態では、磁石の磁束分布だけが凸状分布になるようにされているが、本実施の形態3では、励磁したとき、磁束分布が急激に変化して、推力が増加し、ポンプ性能を向上させることができるように、電磁石の鉄心側においても、磁石と同様の磁束の凸状分布を呈するようにされている。すなわち図5に示されるように、鉄心41の主極42が、両端角部に凹部が形成されて、空隙S側の表面が凸形状にされているとともに、左右の補助極43の対向する角部に凹部が形成されている。前記主極42と補助極43の凹部44の寸法(切り込み深さaおよび切り込み幅b)は、適宜選定することができる。たとえば寸法aは、空隙の磁束密度をなるべく減少させないようにするために、なるべく小さい方が好ましく、実用上1mm程度である。また、寸法bは、磁石4と鉄心41の主極42および補助極43とがオーバーラップする寸法、たとえば磁石4(中央区画磁石4aと側区画磁石4bの幅寸法は6mm)の寸法が18mmであり、主極42と補助極43の間隔が13mmである場合、2.5mmとするのが好ましい。このような形状にすると、前記レラクタンスの急激な変化が、振動子の振動中に一方向で磁石の片側3箇所に発生することになり、推力の増大を図ることができる。
【0021】
つぎに本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0022】
【実施例】
本実施例では、推力の増大を最も必要とする中圧ポンプの特性(流量Q−圧力Hの特性)について説明する。まず、前記実施の形態1における、中央部に2ブロック(2極)の凸形状の磁石と両端部に2ブロックの単一磁石(合計4極)をそれぞれ固定した振動子を用いたポンプ(実施例1)、中央部に2ブロック(2極)の凸形状の磁石と両端部の補助極に積層電気鉄板を固定した振動子を用いたポンプ(実施例2)、前記実施例1に電磁石の鉄心に凹部を付けた電磁石を用いたポンプ(実施例3)、4ブロックとも材質が同一であり、厚さが同一である磁石を固定した振動子を用いたポンプ(比較例1)および従来のポンプB(比較例2)について流量Qと圧力Hの関係を調べた。結果を表1および図6に示す。なお、表1は100kPa時の特性を示している。図6は定格100V、60Hzのポンプ特性図である。
【0023】
【表1】
【0024】
表1および図6より、比較例1は高圧力の領域での流量の低下が見られる。これに対し、実施例1と比較例2より、複雑な凸加工をする比較例2と、凸加工しない実施例1の特性はほぼ同等であるが、効率の特性は実施例1が優れていることがわかる。実施例1では、凸形状と材質の特性との相乗効果が現れているものと考えられる。
【0025】
また、磁石の最大厚さが比較例2の場合では9mmであるのに対し、実施例1の場合では7mmである。電磁石は両者とも比較のために同一の仕様であり、電磁石間の空隙寸法は14mmである。したがって、磁石と鉄心との最小隙間(片側)は比較例2では、(14−9)/2=2.5mmであるのに対し、実施例1では(14−7)/2=3.5mmであり、1mmの差があることになる。空隙が広いと空隙の磁気抵抗が増大して磁束が減少する傾向になるにもかかわらず、実施例1の特性は良好であることがわかる。また、空隙が広いことにより、振動中に磁石と鉄心の吸引力による接触のおそれが、実施例1では少ないという効果もある。
【0026】
ついで補助極にケイ素鋼板の積層体を用いた実施例2は流量などの特性が低下するが、最大圧が増大していることがわかる。実施例2は、最大圧を必要とする用途に適している。また、実施例3は、実施例1と比較すると、流量などの特性は低下しているが、最大圧近辺の特性が改善されていることがわかる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、振動子に固定される磁石として、肉厚および材質の異なる組み合わせ磁石を用いることにより、推力の向上とポンプ性能(出力および効率)の向上を達成することができる。また、凸部の段差を小さくしても、凸形状の磁束分布を形成することができるため、電磁石と振動子とのあいだの空隙を狭くして、空隙の全磁束を増大させることで、さらに推力が増加し、ポンプ性能を向上させることができる。
【0028】
また、磁石を切削加工することなく、磁石の組み合わせにより、凸形状の磁束分布を形成することができるため、加工費を低減させることができる。
【0029】
また、電磁石の鉄心の磁極に凹部を加工することにより、最大圧を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1にかかわる電磁振動型ダイヤフラムポンプの縦断面図である。
【図2】実施の形態1における振動子の他の例を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態2にかかわる電磁振動型ダイヤフラムポンプの振動子を示す正面図である。
【図4】図3における振動子の右側面図である。
【図5】本発明の実施の形態3にかかわる電磁振動型ダイヤフラムポンプの電磁石と振動子の縦断面図である。
【図6】定格100V(60Hz)のポンプ特性図である。
【符号の説明】
1 フレーム
2 電磁石
3 電磁石部
4、31 磁石
4a、31a 中央区画磁石
4b、31b 側区画磁石
5 振動子
6 ダイヤフラム
6a 大径ダイヤフラム
6b 小径ダイヤフラム
7 ポンプケーシング部
8、41 E型鉄心
9 捲線コイル
10、42 主極(中央極部)
11、43 補助極
12 鉄心保持具(中子)
13 非磁性体
21a 低圧側のポンプケーシング
21b 中圧側のポンプケーシング
44 凹部
【発明の属する技術分野】
本発明は電磁振動型ダイヤフラムポンプに関する。さらに詳しくは、主として室内用エアマットやエアベッドへのエアの吸排、養魚用水槽や家庭浄化槽などにおける酸素補給、または公害監視における検査ガスのサンプリングなどに利用される電磁振動型ダイヤフラムポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電磁石と磁石との磁気的相互作用に基づく、該磁石を備えた振動子の振動を利用して流体を吸引、吐出する電磁振動型ポンプとして、ダイヤフラム式のポンプがある。
【0003】
かかるダイヤフラムポンプとして、高出力と低出力との中間出力を効率よく生じさせるために、振動子の振動方向に希土類系磁石を挟むように両側にフェライト系磁石を接合して形成してなる磁石を2ブロック固定した振動子を用いるもの(ポンプA)がある(たとえば特許文献1参照)。
【0004】
また、他のダイヤフラムポンプとして、磁石の磁気エネルギーをさらに有効に活用して振動子の推力を向上させて、ポンプの性能(出力および効率)の向上を図るために、磁石の表面形状を凸形状にした磁石を2ブロックまたは4ブロック固定した振動子を用いるもの(ポンプB)がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−10839号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記ポンプAは、所定の中間出力を生じるのに最適な磁束密度および振動子の重量を確保でき、効率のよいポンプを得ることができる。しかしながら、希土類系磁石と両側のフェライト系磁石は、ともに同一厚さ(振動子の振動方向に対して直角方向の肉厚)であるため、フェライト磁石部分の磁束密度が低く、磁束密度の自乗に比例する推力の増大の効果が少なく、また希土類系磁石とフェライト系磁石との組み合わせでは全磁束量が不足して振動子の推力を向上させるのが難しい。
【0007】
一方、ポンプBでは、たとえば磁石が、凸部のところの厚さが9mmであり、凸部両側部の厚さが6mmとなり、磁石の凸形状による磁石厚さが増加し、電磁石の空隙寸法を拡大する必要がある。したがって、磁石の凸部両側部(6mm厚さの部分)の空隙の起磁力が大きくなるため、平均の磁気抵抗が大きくなり、全磁束が必ずしも増大しないおそれがある。
【0008】
本発明は、叙上の事情に鑑み、振動子の推力を向上させて、ポンプの性能を向上させることができる電磁振動型ダイヤフラムポンプを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の電磁振動型ダイヤフラムポンプは、フレーム内に対向して配置されている電磁石を有する電磁石部と、該電磁石部内に支持され、表面の形状が凸形状を呈する磁石を備えている振動子と、該振動子の両端部に連結されるダイヤフラムと、前記フレームの両端部に装着されるポンプケーシング部とを備える電磁振動型ダイヤフラムポンプであって、前記磁石が、前記振動子の振動方向に3分割されており、両側区画磁石と該両側区画磁石における前記振動子の振動方向に対して直角方向の肉厚より大きい肉厚を有する中央区画磁石とからなるとともに、該中央区画磁石の材質のエネルギー積が両側区画磁石の材質のエネルギー積より高くされてなることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて、本発明の電磁振動型ダイヤフラムポンプについて説明する。
【0011】
実施の形態1
図1〜3に示されるように、本発明の実施の形態1にかかわる電磁振動型ダイヤフラムポンプ(以下、単にポンプという)は、フレーム1内に対向して配置される電磁石2を有する電磁石部3と、該電磁石部3内の電磁石2のあいだに、所定の間隔をおいて支持される磁石4を備えている平板形状の振動子5と、該振動子5の両端部に連結されるダイヤフラム6と、前記フレーム1の両端部に装着されるポンプケーシング部7から構成されている。前記フレーム1は、電磁石2の外表面にモールドされた樹脂成形体からなっている。このフレーム1の材質としては、たとえば成形材料である耐熱性を有しており、低収縮率のBMC(バルクモールドコンパウンド)を用いるのが望ましく、具体的には不飽和ポリエステル系のBMCなどを用いることができる。なお、本実施の形態1では、フレーム1が樹脂成形体からなっているが、本発明においては、これに限定されるものではなく、アルミニウムダイカストまたは押出し加工により成形された成形体とすることもできる。前記電磁石2は、断面がE型の薄肉鋼板を積層してなるE型鉄心8の内周凹部に組み込まれる捲線コイル部9を有している。この鉄心8の主極(中央極部)10は、振動子5の中央部の2ブロックの磁石4に対向し、両側の補助極11は、振動子5の両側部の2ブロックの磁石4に対向するように配置されている。また、この一対のE型鉄心8の内周部には、所定の空隙Sを確保できるように四角管状の鉄心保持具(中子)12が配置されている。
【0012】
前記磁石4は、振動子5を構成する、たとえば6ナイロンにガラスが15%含有された平板状の非磁性体13に所定の間隔で固定されている4ブロックの磁石のうち、中央部の2ブロックの磁石4の表面の形状は凸形状を呈している。この中央部の磁石4は、前記振動子5の振動方向に3分割されており、両側区画磁石4bと該両側区画磁石4bの肉厚(前記振動子5の振動方向に対して直角方向の肉厚)より大きい中央区画磁石4aとを固着して作製されている。この中央区画磁石4aと両側区画磁石4bの幅(図1において左右方向(振動子5の振動方向)の寸法)がほぼ同一である。前記磁石4の凸部の段差(中央区画磁石4aの側区画磁石4bからの突出量)の設定は、たとえば0.5mmであり、中央区画磁石4aの磁石厚さが7mm、側区画磁石4bの磁石厚さが6mmとすることができる。また、前記中央区画磁石4aの材質のエネルギー積は両側区画磁石4bの材質のエネルギー積より高くされている。なお、エネルギー積が高い材質とは、動作時の磁束密度(B)×起磁力(H)が高い材質のことである。前記中央区画磁石4aおよび両側区画磁石4bとして、たとえばネオジム(Nd)鉄系の平板状の磁石を用いることができる。そして、たとえば中央区画磁石4aのエネルギー積を46MGOeとし、側区画磁石4bのエネルギー積を35MGOeと設定することができる。一方、振動子5の両端部の2ブロックの磁石4は、前記両側区画磁石4bの材質と同じ材質の単一磁石であり、その幅寸法が中央部の磁石4の幅寸法の約1/2にされている。前記両端部の磁石4の幅寸法が約1/2とされているのは、磁路が2回路形成されるが、両端部の磁石4の内側部分が磁路に寄与しており、該磁石4の外側部分は磁路の形成上不要となるためである。
【0013】
本実施の形態1では、中央区画磁石4aと両側区画磁石4bの材質の違いによる減磁曲線(磁束密度(B)−起磁力(H)曲線)の特性が異なる(特性の差が生じる)ため、中央部の磁石4の表面の磁束(Φ)分布は凸形状となる。これにより、レラクタンス(R)の急激な変化(磁気抵抗の変化(dR/dx))が起こるので、推力(f=−1/2・Φ2・dR/dx)、つまり出力を増大させて、ポンプの性能を向上させることができる。
【0014】
また、本実施の形態1では、厚さを変えて磁石4の表面を凸形状とするとともに、材質も変更しているので、厚さのみを変更した従来のポンプBにおける磁石の磁束分布と比較して、中央部磁石のエネルギー積が高いので、中央部の凸部厚さをそれほど大きくしなくても急激な磁束変化を得ることができる。また、磁石4の表面を凸形状に加工すると、中央部の微小凸部の加工が難しい(たとえば凸部のエッジの直角度または凸部の円筒度などの精度を得ることが難しい)が、本実施の形態1では、異なる材質の磁石を組み合わせて磁石の表面を凸形状にしているので、従来のポンプBにおける磁石より、加工費(製作コスト)を低減させることができる。また、中央区画磁石4aと両側区画磁石4bの厚さの段差は小さく、電磁石2間の空隙Sは従来のポンプBと比較して、狭くできる。たとえば従来では、磁石厚さは9mmであり、対向する鉄心と磁石とのあいだの両側隙間が6mmであることから、空隙Sは15mmとなるのに対して、本実施の形態1では、同じ両側隙間を6mmとして、7mmの磁石厚さ(凸部の段差0.5mm)の磁石を用いることができるため、空隙Sは13mmとなる。したがって、(15−13)/2=1mm狭くできるので、磁束をさらに増大させることができる。
【0015】
なお、本実施の形態1では、振動子5の両端部の磁石4が単一磁石にされているが、本発明においては、これに限定されるものではなく、たとえば中央区画磁石4aと側区画磁石4bと同じ材質の磁石とすることができる。この場合、中央区画磁石4aの1/2幅と側区画磁石4bと同一の幅の組み合わせとし、厚さが大きい磁石を外側に配置する。ただし、両端部の磁石4を組み合わせ磁石にする場合、工数がかかるので、単一磁石にするのが好ましい。
【0016】
また、本実施の形態1では、前記磁石4を4ブロック固定した振動子5が配置されているが、本発明においては、これに限定されるものではなく、図2に示されるように、中央部の磁石4の両端部にある2ブロックの磁石に代えて、複数の軟磁性体を積層した積層体、たとえば振動方向の寸法が0.5mmであり、振動方向に対して直角方向の寸法が7mmである軟磁性体のケイ素鋼板15を18枚(なお、図2において、1枚の大きさをわかりやすくするために、12枚にしている)積層した積層体16を用いる振動子17を配置することができる。または両端部の2ブロックの磁石を省き、中央部に磁石が2ブロック固定されている振動子を配置することもできる。
【0017】
本実施の形態1では、前記ダイヤフラム6として、大径ダイヤフラム6aと小径ダイヤフラム6bが用いられているため、左右のポンプケーシング部7は、前記大径ダイヤフラム6a用ポンプケーシング(低圧側のポンプケーシング)21aと小径ダイヤフラム6b用ポンプケーシング(中圧側のポンプケーシング)21bとに分割されている。また、本実施の形態1では、ダイヤフラム6の数が合計4個であり、全体のダイヤフラムのバネ定数は大きくなりやすいので、中圧側の小径ダイヤフラム6bをバネ定数の低いコルゲーション形ダイヤフラムにしている。そして、左右のポンプケーシング21a内に形成されるポンプ部のポンプ室LPL、LPRと左右のポンプケーシング21b内に形成されるポンプ部のポンプ室MPL、MPRは小径ダイヤフラム6bで仕切られている。前記フレーム1、低圧側のポンプケーシング21aおよび中圧側のポンプケーシング21bは、ほぼ同一の外形形状であり、左右の低圧側のポンプケーシング21aには、左右の中圧側のポンプケーシング21bのポンプ部(吸引室、ポンプ室、吐出室)につながるように2つの通路が形成されている。また、前記フレーム1には、左右の低圧側ポンプ室LPL、LPRおよび中圧側ポンプ室MPL、MPRにつながる第1通気用タンク部と第2通気用タンク部および大径ダイヤフラム6aを取り付けるリング状溝22が同時成形されている。また、第1通気用タンク部と第2通気用タンク部には、それぞれ蓋が装着されている。これにより、本実施の形態1にかかわるポンプは、中圧(50〜200kPa程度)を発生させることができる。
【0018】
なお、本実施の形態1では、中圧を発生させるポンプを例としているが、本発明においては、これに限定されるものではなく、従来と同様にダイヤフラムの数が1個で構成される低圧発生ポンプに適用することもできる。
【0019】
実施の形態2
前記実施の形態1では、平板形状の振動子および磁石が用いられているため、一対のE型鉄心(主鉄心)および捲線コイル部から構成される2次元形電磁石部を用いるポンプにされているが、本発明においては、これに限定されるものではなく、立体形電磁石部を用いるポンプとすることができる。たとえば対向して配置される一対のE型小径鉄心(補助鉄心)、該一対のE型小径鉄心とは直交する位置に配置される一対のE型大径鉄心(主鉄心)および該E型大径鉄心の内周凹部に組み込まれる捲線コイル部からなる電磁石部を用いることができる。かかる立体形の電磁石部を用いる場合、図3〜4に示されるように、中央部の2ブロックの磁石31および両端部の2ブロックの磁石32として、ともに材質が異なる矩形の中央区画磁石31aと側区画磁石31bの組み合わせにより、表面の形状が凸形状を呈する、外形が四角状の極異方性の立体形(3次元)磁石が固着された振動子33が用いられる。この立体形磁石31、32の極性は、周方向の4箇所にN極とS極の極性が交互に着磁されている。この立体形磁石31、32は、たとえば6ナイロンにガラスが15%含有された非磁性体棒34に一体成形され、相対回転しないようにされている。この中央区画磁石31aと側区画磁石31bの材質の変更および厚さの若干の変更は、前記実施の形態1と同様に実施できるため、推力の向上と効率の向上も同様に期待することができる。なお、図3において、磁石31、32における中央区画磁石31aは幅寸法が異なるが、同じ材質であるため、同じ符号を付している。
【0020】
実施の形態3
これまでの実施の形態では、磁石の磁束分布だけが凸状分布になるようにされているが、本実施の形態3では、励磁したとき、磁束分布が急激に変化して、推力が増加し、ポンプ性能を向上させることができるように、電磁石の鉄心側においても、磁石と同様の磁束の凸状分布を呈するようにされている。すなわち図5に示されるように、鉄心41の主極42が、両端角部に凹部が形成されて、空隙S側の表面が凸形状にされているとともに、左右の補助極43の対向する角部に凹部が形成されている。前記主極42と補助極43の凹部44の寸法(切り込み深さaおよび切り込み幅b)は、適宜選定することができる。たとえば寸法aは、空隙の磁束密度をなるべく減少させないようにするために、なるべく小さい方が好ましく、実用上1mm程度である。また、寸法bは、磁石4と鉄心41の主極42および補助極43とがオーバーラップする寸法、たとえば磁石4(中央区画磁石4aと側区画磁石4bの幅寸法は6mm)の寸法が18mmであり、主極42と補助極43の間隔が13mmである場合、2.5mmとするのが好ましい。このような形状にすると、前記レラクタンスの急激な変化が、振動子の振動中に一方向で磁石の片側3箇所に発生することになり、推力の増大を図ることができる。
【0021】
つぎに本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0022】
【実施例】
本実施例では、推力の増大を最も必要とする中圧ポンプの特性(流量Q−圧力Hの特性)について説明する。まず、前記実施の形態1における、中央部に2ブロック(2極)の凸形状の磁石と両端部に2ブロックの単一磁石(合計4極)をそれぞれ固定した振動子を用いたポンプ(実施例1)、中央部に2ブロック(2極)の凸形状の磁石と両端部の補助極に積層電気鉄板を固定した振動子を用いたポンプ(実施例2)、前記実施例1に電磁石の鉄心に凹部を付けた電磁石を用いたポンプ(実施例3)、4ブロックとも材質が同一であり、厚さが同一である磁石を固定した振動子を用いたポンプ(比較例1)および従来のポンプB(比較例2)について流量Qと圧力Hの関係を調べた。結果を表1および図6に示す。なお、表1は100kPa時の特性を示している。図6は定格100V、60Hzのポンプ特性図である。
【0023】
【表1】
【0024】
表1および図6より、比較例1は高圧力の領域での流量の低下が見られる。これに対し、実施例1と比較例2より、複雑な凸加工をする比較例2と、凸加工しない実施例1の特性はほぼ同等であるが、効率の特性は実施例1が優れていることがわかる。実施例1では、凸形状と材質の特性との相乗効果が現れているものと考えられる。
【0025】
また、磁石の最大厚さが比較例2の場合では9mmであるのに対し、実施例1の場合では7mmである。電磁石は両者とも比較のために同一の仕様であり、電磁石間の空隙寸法は14mmである。したがって、磁石と鉄心との最小隙間(片側)は比較例2では、(14−9)/2=2.5mmであるのに対し、実施例1では(14−7)/2=3.5mmであり、1mmの差があることになる。空隙が広いと空隙の磁気抵抗が増大して磁束が減少する傾向になるにもかかわらず、実施例1の特性は良好であることがわかる。また、空隙が広いことにより、振動中に磁石と鉄心の吸引力による接触のおそれが、実施例1では少ないという効果もある。
【0026】
ついで補助極にケイ素鋼板の積層体を用いた実施例2は流量などの特性が低下するが、最大圧が増大していることがわかる。実施例2は、最大圧を必要とする用途に適している。また、実施例3は、実施例1と比較すると、流量などの特性は低下しているが、最大圧近辺の特性が改善されていることがわかる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、振動子に固定される磁石として、肉厚および材質の異なる組み合わせ磁石を用いることにより、推力の向上とポンプ性能(出力および効率)の向上を達成することができる。また、凸部の段差を小さくしても、凸形状の磁束分布を形成することができるため、電磁石と振動子とのあいだの空隙を狭くして、空隙の全磁束を増大させることで、さらに推力が増加し、ポンプ性能を向上させることができる。
【0028】
また、磁石を切削加工することなく、磁石の組み合わせにより、凸形状の磁束分布を形成することができるため、加工費を低減させることができる。
【0029】
また、電磁石の鉄心の磁極に凹部を加工することにより、最大圧を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1にかかわる電磁振動型ダイヤフラムポンプの縦断面図である。
【図2】実施の形態1における振動子の他の例を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態2にかかわる電磁振動型ダイヤフラムポンプの振動子を示す正面図である。
【図4】図3における振動子の右側面図である。
【図5】本発明の実施の形態3にかかわる電磁振動型ダイヤフラムポンプの電磁石と振動子の縦断面図である。
【図6】定格100V(60Hz)のポンプ特性図である。
【符号の説明】
1 フレーム
2 電磁石
3 電磁石部
4、31 磁石
4a、31a 中央区画磁石
4b、31b 側区画磁石
5 振動子
6 ダイヤフラム
6a 大径ダイヤフラム
6b 小径ダイヤフラム
7 ポンプケーシング部
8、41 E型鉄心
9 捲線コイル
10、42 主極(中央極部)
11、43 補助極
12 鉄心保持具(中子)
13 非磁性体
21a 低圧側のポンプケーシング
21b 中圧側のポンプケーシング
44 凹部
Claims (6)
- フレーム内に対向して配置されている電磁石を有する電磁石部と、該電磁石部内に支持され、表面の形状が凸形状を呈する磁石を備えている振動子と、該振動子の両端部に連結されるダイヤフラムと、前記フレームの両端部に装着されるポンプケーシング部とを備える電磁振動型ダイヤフラムポンプであって、前記磁石が、前記振動子の振動方向に3分割されており、両側区画磁石と該両側区画磁石における前記振動子の振動方向に対して直角方向の肉厚より大きい肉厚を有する中央区画磁石とからなるとともに、該中央区画磁石の材質のエネルギー積が両側区画磁石の材質のエネルギー積より高くされてなる電磁振動型ダイヤフラムポンプ。
- 前記磁石が前記振動子の中央部に所定の間隔で2ブロック固定されている請求項1記載の電磁振動型ダイヤフラムポンプ。
- 前記中央部の2ブロックの磁石の両端部に単一磁石または中央区画磁石と側区画磁石との組み合わせた磁石が固定されており、その両端部の幅寸法が中央部の2ブロックの磁石の幅寸法の約1/2である請求項2記載の電磁振動型ダイヤフラムポンプ。
- 前記磁石が極異方性の立体形磁石からなる請求項2または3記載の電磁振動型ダイヤフラムポンプ。
- 前記振動子の両端部の2ブロックの磁石に代えて、複数の軟磁性体を積層した積層体を用いてなる請求項3または4記載の電磁振動型ダイヤフラムポンプ。
- 前記電磁石の鉄心が、中央部の主極と左右の補助極とを有しており、該主極の空隙側の表面が凸形状にされるとともに、左右の補助極の対向する角部に凹部が形成されてなる請求項3、4または5記載の電磁振動型ポンプ。
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JP2013032723A (ja) * | 2011-08-01 | 2013-02-14 | Nitto Kohki Co Ltd | 電磁往復動流体装置 |
CN103062018A (zh) * | 2012-11-27 | 2013-04-24 | 刘春祥 | 径向磁力隔膜泵 |
-
2003
- 2003-04-17 JP JP2003112633A patent/JP2004316566A/ja not_active Ceased
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