JP2004315484A - 木酢液及びその製造方法並びに木酢液を利用した駆除剤、忌避剤 - Google Patents
木酢液及びその製造方法並びに木酢液を利用した駆除剤、忌避剤 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】本発明はニームの熱分解生成物を含有する木酢液、その製造方法及び有害生物、動物の駆除剤並びに忌避剤に係わり、その目的は、シロアリ、アブラムシ、アリ、ダニ、カビ、細菌等の有害生物やネコ、ノライヌ、カラス、ヘビ等の動物に対して優れた殺虫作用や殺菌作用又は忌避作用を有する駆除剤及び忌避剤を提供することにある。
【解決手段】ニームの熱分解生成物を含有することを特徴とする木酢液及びその製造方法、並びにその木酢液を有効成分とすることを特徴とし、有害生物及び動物の駆除剤並びに忌避剤とする。
【解決手段】ニームの熱分解生成物を含有することを特徴とする木酢液及びその製造方法、並びにその木酢液を有効成分とすることを特徴とし、有害生物及び動物の駆除剤並びに忌避剤とする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はニームの熱分解生成物を含有する木酢液、その製造方法及び有害生物、動物の駆除剤並びに忌避剤に係わり、その目的は、シロアリ、アブラムシ、アリ、ダニ、カビ、細菌等の有害生物やネコ、ノライヌ、カラス、ヘビ等の動物に対して優れた殺虫作用や殺菌作用又は忌避作用を有する駆除剤及び忌避剤を提供することにある。
【0002】
【従来の技術】イエシロアリ、ヤマトシロアリ等のシロアリ類は、床下等に発生して家屋の柱等の木材部を食害して被害を与える。又、アブラムシ、アリ、ダニ等は農園芸作物の害虫として農家や園芸愛好家から嫌われている。さらに、一般家庭において、家屋の気密性が高まり通気性にかけるため、壁、風呂場等においてカビ類が多く発生し問題になっている。これらの問題対策としては、クロルピリホス等の有機リン系殺虫剤、パーメスリン等のピレスロイド系殺虫剤、バッサ等のカーバメート系殺虫剤、次亜塩素酸ナトリウム等の抗カビ剤等の化学合成薬剤が使用されてきたが、人畜での薬害発生等環境保全面で多々問題があった。一方、密集した都会では、ネコ、カラス等の動物がゴミ置き場のゴミ袋をくいちぎって中のゴミをその周辺に散乱させるために、衛生的に好ましいものではなかった。その被害を食い止めるために、ゴミ置き場の周囲をネットで覆い隠す等が行われている。
【0003】
近年、これらの対策として化学合成薬剤にかわるものとして、天然物が利用されるようになってきた。その代表的なものとして木酢液がある。木酢液は樹木の炭化の際に副生成物として得られるもので、樹木を熱分解し、発生する煙を冷却して捕集する。この木酢液は昔から有機農業で利用されてきたが、ここ10年来環境保全の観点から多方面で利用されつつあり、その使用量も急速に伸びてきている。原料の樹木は、ナラ、クヌギ、スギ、ヒノキ、アカマツ等が一般的であるが、そのオガ紛や建築廃材も使用される。木酢液は安全性も高く有用な物質であるが、効力において化学合成薬剤に劣り、単剤で使用すると明確な効果が見られないことが多々ある。したがって、例えば、特開平8−310911号公報や特開2001−213705号公報のようにニンニク等他の天然物との混合物、あるいはピレスロイド系殺虫剤等の化学合成薬剤との混合物として利用される傾向にある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように活性の高い木酢液の出現が望まれている中で、本発明者らは、その原料となる樹木をいろいろと検討した結果、天然の殺虫成分(アザジラクチン)の他種々の生理活性物質を含有するニームを熱分解して得られる木酢液が有害生物及び動物に対して駆除剤並びに忌避剤として活性が高いことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係わる発明は、ニームの熱分解生成物を含有することを特徴とする木酢液、及びその製造方法に関する。
請求項2に係わる発明は、ニーム熱分解生成物を有効成分とすることを特徴とする有害生物及び動物の駆除剤並びに忌避剤に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
まず、請求項1に係わるニームの熱分解生成物の木酢液及びその製造方法について説明する。原料となるニーム(学名Azadiractha indica)は、インドやビルマが原産で東南アジアや西アフリカで多く生育している。この他にタイで見られるAzadiractha siamensisとマレーシアやフイリッピン諸島で見られるAzadiractha excelsaがニームとしてよく知られている。これらはいずれも本発明における原料として使用することができる。樹木の組織部分としては、葉、茎、樹皮、根、実、種子等どの部分も使用できが、好ましくは葉、茎、樹皮、根が単一又は混合物として使用される。
【0007】
ニームを熱分解する方法としては、一般的に木材を炭化する方法であれば問題がない。例えば山で焼く炭窯を使用する方法や伏焼法があり、工業的な方法としては、広い面積の床の上で炭化する平炉法、トロリーに原料をのせて窯の中で焼くトロリー法、連続して炭化をおこなう縦型連続炭化法、回転炉を用いたロータリーキルン法、トロリー法の一種である乾溜炉法等があげられる。
【0008】
ニームを熱分解する際の加熱温度は、150℃〜900℃で好ましくは250℃〜700℃とする。150℃以下では有効成分である酸類やフエノール類が生成しにくく、900℃以上では有害成分であるタール分が発生しやすくなる。加熱時間は炭化方法や炭化装置により異なり、数時間の場合もあり、4〜5日かかる場合もある。実験室で少量の原料を熱分解する際は、5分〜30分で終了する。
【0009】
熱分解生成物である木酢液を捕集する方法としては、炭化工程で木酢液を採取する方法であればよく、一般的には発生する煙を耐酸性の冷却管を通して捕集する。又、乾溜法等空気を遮断した状態で熱分解し、溶剤で生成物を抽出する方法もある。この場合、用いる溶剤は親水性のものが好ましく、例えばエチルアルコール等が使用される。こうして得られた熱分解生成物である木酢液は、水分を80〜90%、有効成分を20〜10%含有する。有効成分の主成分は酸類で、他にフエノール類、エステル類等活性成分を数百種類含有する。通常、捕集した木酢液をそのまま使用するが、蒸留精製して、より害のないものとして使用することもできる。
【0010】
次に請求項2に係わる発明の有害生物及び動物の駆除剤並びに忌避剤について説明する。本発明の有害生物及び動物の駆除剤並びに忌避剤は、シロアリ、アリ、ハダニ類、カメムシ、アブラムシ、ダンゴムシ等に対して優れた殺虫又は忌避作用を有し、又、イヌ、ネコ、カラス、モグラ、ネズミ、ヘビ等に対して優れた忌避作用を有する。さらにクロカビや大腸菌等のカビ類や細菌等に対して優れた殺カビ作用や殺菌作用を有する。本発明の有害生物及び動物の駆除剤並びに忌避剤は、残留性が低く、人体に対しても安全性が高いために使用する場所を選ばず、例えば、床下、軒下等の家屋周辺、農業や家庭園芸の農園芸作物の畑や花壇、植木鉢、ゴミ置き場や塀の周辺等の屋外、タンスや押入れ、風呂場、台所等の屋内等で使用することができる。又、殺菌作用と絡めて風呂の入浴剤やゴミ箱の消臭剤としても使用することができる。
【0011】
使用する形態としては、通常、捕集した木酢液をそのまま使用するか、又は水で希釈して使用する。農業や家庭園芸の殺虫剤や殺菌剤として使用する場合、原液又は10〜100倍の希釈品を土壌へ潅注又は散布し、200〜1000倍の希釈品を葉面へ散布する。イヌ、ネコ等の動物の忌避剤として使用する場合は、原液又は10〜50倍の希釈品を屋外周辺やゴミ置き場に散布する。屋内で殺カビ剤、殺菌剤、消臭剤として使用する場合は、風呂場、まな板、ゴミ箱等へ原液又は10〜50倍の希釈品をスプレー等で噴霧する。
【0012】
使用する形態としては、捕集した木酢液を紙、布、木炭等他の資材に含浸、塗布又は混合して使用することもできる。又、ベントナイトや焼きセッコウ等と混合して、造粒品又は固形品として使用することもできる。いずれも捕集した木酢液を資材の5〜50%、好ましくは15〜25%を添加する。又、本発明の木酢液は、トウガラシ、ニンニク、ヒノキチオール、ニーム抽出液等他の天然生理活性物質や農薬、肥料又は土壌改良資材等と混合して使用することもできる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0014】
(実施例1〜3の試料の調整)ニーム葉の実験室における溶媒抽出法による木酢液の調整。
タイ産ニームの葉5gを300mlの耐熱性三角フラスコに投入し、熱分解生成物の放散を防ぐために、三角フラスコの上部開口部を風船でふさいだ。次いで、三角フラスコ低部をガスバーナーで10分間加熱した。三角フラスコ内雰囲気の到達温度は470℃であった。常温まで放熱後にエタノール100mlを用いて、三角フラスコ内及び風船内の熱分解生成物を抽出し、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮し、エタノールを95ml回収し、残りのエタノール溶解物を実施例1の試料とした。
同様な方法により、インド産ニームの葉及びフイリッピン産ニームの葉を用いて、それぞれ実施例2,3の試料とした。
【0015】
(実施例4〜6の試料の調整)ニーム種子の実験室における溶媒抽出法による木酢液の調整。
タイ産ニームの種子5gを300mlの耐熱性三角フラスコに投入し、熱分解生成物の放散を防ぐために、三角フラスコの上部開口部を風船でふさいだ。次いで、三角フラスコ低部をガスバーナーで10分間加熱した。三角フラスコ内雰囲気の到達温度は470℃であった。常温まで放熱後にエタノール100mlを用いて、三角フラスコ内及び風船内の熱分解生成物を抽出し、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮し、エタノールを95ml回収し、残りのエタノール溶解物を実施例4の試料とした。
同様な方法により、インド産ニームの種子及びフイリッピン産ニームの種子を用いて、それぞれ実施例5,6の試料とした。
【0016】
(実施例7〜9の試料の調整)ニーム樹皮の実験室における煙冷却法による木酢液の調整。
タイ産ニームの樹皮15gを500mlの耐熱性三角フラスコに投入し、三角フラスコの上部開口部にL字型ガラス管を接続し、この先に長さ50cmの冷却管を2台接続した。2台の冷却管はゴム管で冷水を還流した。次いで、三角フラスコ低部をガスバーナーで20分間加熱した。三角フラスコ内雰囲気の到達温度は485℃であった。発生する煙を冷却管を通して冷却し、100mlの三角フラスコに木酢液として3.2gを回収した。15mlのエタノールで冷却管を洗浄し、洗浄液を得られた木酢液に加えて実施例7の試料とした。
同様な方法により、インド産ニームの樹皮及びフイリッピン産ニームの樹皮を用いて、それぞれ実施例8,9の試料とした。
【0017】
上記実施例1〜6の各試料の主な含有成分につき、ガスクロマト質量分析計で分析した結果を下記の表1に示す。
【表1】
【0018】
(試験例1;ヤマトシロアリに対する殺蟻試験)
6穴マルチデイッシュ(穴直径3.5cm)に、穴の大きさに切りぬいた濾紙(Advantec製No2)をつめ込み、実施例1の試料1.2mgを濾紙上に滴下した。試料中の溶媒を揮散させた後に、濾紙に水100μlをしみ込ませ、ヤマトシロアリ6頭を加えた。各穴の間に少量の水を加え、密封後、25℃に保ち、日数の経過とともに死亡したシロアリの頭数を計測した。同様にして実施例2〜9の各試料について試験を実施した。又、比較のため市販の木酢液についても同様に試験を実施した。その結果を表2に示す。
【表2】
【0019】
(試験例2;糸状菌、細菌に対する抑制効果試験)
風呂場のタイル目地より糸状菌(主としてクロカビ)、及び細菌類(主としてシュウドモナス)を含む懸濁液を作成し、糸状菌用培地及び細菌用培地に均一拡散した培地を用意した。次に、実施例1の試料の10%及び1%水溶液を作成し、これらの0.5mlを浸透させた濾紙片(1cm角)を3片づつペトリ皿の三方に設置し、これを26℃恒温器におさめて72時間培養後、糸状菌、及び細菌類の発生状況を観察し、抑制効果を確認した。同様にして実施例2〜9の各試料について試験を実施した。又、比較として市販の木酢液の10%及び1%水溶液を作成し、同様に試験した。その結果を表3に示す。
【表3】
【0020】
(試験例3;ネコに対する忌避効果試験)
窓を開け放した20畳の部屋に、直径10cmの皿を11枚均等な配置となるように設け、各々の皿にネコ用の餌を10gづつ置いた。実施例1〜9の各試料を9枚の皿の餌に各々2gづつ混合した。10枚目の皿には市販の木酢液を2g混合した。又、11枚目の皿はコントロールとした。この部屋に供餌後3時間を経過したネコ4匹(オス2匹、メス2匹)を放し、その行動を観察した。
【0021】
1時間経過後、実施例4及び5の皿と、市販木酢液の皿は餌が約半分になっていたが、他の実施例の皿はほとんどそのまま残っていた。又、コントロール用の皿は餌が全くなくなっていた。
【0022】
【発明の効果】
以上詳述した如く、本発明はニームの熱分解生成物を含有する新規な木酢液、その製造方法及び有害生物、動物の駆除剤並びに忌避剤に係わり、シロアリ、アブラムシ、アリ、ダニ、カビ、細菌等の有害生物に対して優れた殺虫作用や殺菌作用を有する。又、ネコ、ノライヌ、カラス、ヘビ等の動物に対して優れた忌避作用を有する。
【産業上の利用分野】本発明はニームの熱分解生成物を含有する木酢液、その製造方法及び有害生物、動物の駆除剤並びに忌避剤に係わり、その目的は、シロアリ、アブラムシ、アリ、ダニ、カビ、細菌等の有害生物やネコ、ノライヌ、カラス、ヘビ等の動物に対して優れた殺虫作用や殺菌作用又は忌避作用を有する駆除剤及び忌避剤を提供することにある。
【0002】
【従来の技術】イエシロアリ、ヤマトシロアリ等のシロアリ類は、床下等に発生して家屋の柱等の木材部を食害して被害を与える。又、アブラムシ、アリ、ダニ等は農園芸作物の害虫として農家や園芸愛好家から嫌われている。さらに、一般家庭において、家屋の気密性が高まり通気性にかけるため、壁、風呂場等においてカビ類が多く発生し問題になっている。これらの問題対策としては、クロルピリホス等の有機リン系殺虫剤、パーメスリン等のピレスロイド系殺虫剤、バッサ等のカーバメート系殺虫剤、次亜塩素酸ナトリウム等の抗カビ剤等の化学合成薬剤が使用されてきたが、人畜での薬害発生等環境保全面で多々問題があった。一方、密集した都会では、ネコ、カラス等の動物がゴミ置き場のゴミ袋をくいちぎって中のゴミをその周辺に散乱させるために、衛生的に好ましいものではなかった。その被害を食い止めるために、ゴミ置き場の周囲をネットで覆い隠す等が行われている。
【0003】
近年、これらの対策として化学合成薬剤にかわるものとして、天然物が利用されるようになってきた。その代表的なものとして木酢液がある。木酢液は樹木の炭化の際に副生成物として得られるもので、樹木を熱分解し、発生する煙を冷却して捕集する。この木酢液は昔から有機農業で利用されてきたが、ここ10年来環境保全の観点から多方面で利用されつつあり、その使用量も急速に伸びてきている。原料の樹木は、ナラ、クヌギ、スギ、ヒノキ、アカマツ等が一般的であるが、そのオガ紛や建築廃材も使用される。木酢液は安全性も高く有用な物質であるが、効力において化学合成薬剤に劣り、単剤で使用すると明確な効果が見られないことが多々ある。したがって、例えば、特開平8−310911号公報や特開2001−213705号公報のようにニンニク等他の天然物との混合物、あるいはピレスロイド系殺虫剤等の化学合成薬剤との混合物として利用される傾向にある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように活性の高い木酢液の出現が望まれている中で、本発明者らは、その原料となる樹木をいろいろと検討した結果、天然の殺虫成分(アザジラクチン)の他種々の生理活性物質を含有するニームを熱分解して得られる木酢液が有害生物及び動物に対して駆除剤並びに忌避剤として活性が高いことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係わる発明は、ニームの熱分解生成物を含有することを特徴とする木酢液、及びその製造方法に関する。
請求項2に係わる発明は、ニーム熱分解生成物を有効成分とすることを特徴とする有害生物及び動物の駆除剤並びに忌避剤に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
まず、請求項1に係わるニームの熱分解生成物の木酢液及びその製造方法について説明する。原料となるニーム(学名Azadiractha indica)は、インドやビルマが原産で東南アジアや西アフリカで多く生育している。この他にタイで見られるAzadiractha siamensisとマレーシアやフイリッピン諸島で見られるAzadiractha excelsaがニームとしてよく知られている。これらはいずれも本発明における原料として使用することができる。樹木の組織部分としては、葉、茎、樹皮、根、実、種子等どの部分も使用できが、好ましくは葉、茎、樹皮、根が単一又は混合物として使用される。
【0007】
ニームを熱分解する方法としては、一般的に木材を炭化する方法であれば問題がない。例えば山で焼く炭窯を使用する方法や伏焼法があり、工業的な方法としては、広い面積の床の上で炭化する平炉法、トロリーに原料をのせて窯の中で焼くトロリー法、連続して炭化をおこなう縦型連続炭化法、回転炉を用いたロータリーキルン法、トロリー法の一種である乾溜炉法等があげられる。
【0008】
ニームを熱分解する際の加熱温度は、150℃〜900℃で好ましくは250℃〜700℃とする。150℃以下では有効成分である酸類やフエノール類が生成しにくく、900℃以上では有害成分であるタール分が発生しやすくなる。加熱時間は炭化方法や炭化装置により異なり、数時間の場合もあり、4〜5日かかる場合もある。実験室で少量の原料を熱分解する際は、5分〜30分で終了する。
【0009】
熱分解生成物である木酢液を捕集する方法としては、炭化工程で木酢液を採取する方法であればよく、一般的には発生する煙を耐酸性の冷却管を通して捕集する。又、乾溜法等空気を遮断した状態で熱分解し、溶剤で生成物を抽出する方法もある。この場合、用いる溶剤は親水性のものが好ましく、例えばエチルアルコール等が使用される。こうして得られた熱分解生成物である木酢液は、水分を80〜90%、有効成分を20〜10%含有する。有効成分の主成分は酸類で、他にフエノール類、エステル類等活性成分を数百種類含有する。通常、捕集した木酢液をそのまま使用するが、蒸留精製して、より害のないものとして使用することもできる。
【0010】
次に請求項2に係わる発明の有害生物及び動物の駆除剤並びに忌避剤について説明する。本発明の有害生物及び動物の駆除剤並びに忌避剤は、シロアリ、アリ、ハダニ類、カメムシ、アブラムシ、ダンゴムシ等に対して優れた殺虫又は忌避作用を有し、又、イヌ、ネコ、カラス、モグラ、ネズミ、ヘビ等に対して優れた忌避作用を有する。さらにクロカビや大腸菌等のカビ類や細菌等に対して優れた殺カビ作用や殺菌作用を有する。本発明の有害生物及び動物の駆除剤並びに忌避剤は、残留性が低く、人体に対しても安全性が高いために使用する場所を選ばず、例えば、床下、軒下等の家屋周辺、農業や家庭園芸の農園芸作物の畑や花壇、植木鉢、ゴミ置き場や塀の周辺等の屋外、タンスや押入れ、風呂場、台所等の屋内等で使用することができる。又、殺菌作用と絡めて風呂の入浴剤やゴミ箱の消臭剤としても使用することができる。
【0011】
使用する形態としては、通常、捕集した木酢液をそのまま使用するか、又は水で希釈して使用する。農業や家庭園芸の殺虫剤や殺菌剤として使用する場合、原液又は10〜100倍の希釈品を土壌へ潅注又は散布し、200〜1000倍の希釈品を葉面へ散布する。イヌ、ネコ等の動物の忌避剤として使用する場合は、原液又は10〜50倍の希釈品を屋外周辺やゴミ置き場に散布する。屋内で殺カビ剤、殺菌剤、消臭剤として使用する場合は、風呂場、まな板、ゴミ箱等へ原液又は10〜50倍の希釈品をスプレー等で噴霧する。
【0012】
使用する形態としては、捕集した木酢液を紙、布、木炭等他の資材に含浸、塗布又は混合して使用することもできる。又、ベントナイトや焼きセッコウ等と混合して、造粒品又は固形品として使用することもできる。いずれも捕集した木酢液を資材の5〜50%、好ましくは15〜25%を添加する。又、本発明の木酢液は、トウガラシ、ニンニク、ヒノキチオール、ニーム抽出液等他の天然生理活性物質や農薬、肥料又は土壌改良資材等と混合して使用することもできる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0014】
(実施例1〜3の試料の調整)ニーム葉の実験室における溶媒抽出法による木酢液の調整。
タイ産ニームの葉5gを300mlの耐熱性三角フラスコに投入し、熱分解生成物の放散を防ぐために、三角フラスコの上部開口部を風船でふさいだ。次いで、三角フラスコ低部をガスバーナーで10分間加熱した。三角フラスコ内雰囲気の到達温度は470℃であった。常温まで放熱後にエタノール100mlを用いて、三角フラスコ内及び風船内の熱分解生成物を抽出し、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮し、エタノールを95ml回収し、残りのエタノール溶解物を実施例1の試料とした。
同様な方法により、インド産ニームの葉及びフイリッピン産ニームの葉を用いて、それぞれ実施例2,3の試料とした。
【0015】
(実施例4〜6の試料の調整)ニーム種子の実験室における溶媒抽出法による木酢液の調整。
タイ産ニームの種子5gを300mlの耐熱性三角フラスコに投入し、熱分解生成物の放散を防ぐために、三角フラスコの上部開口部を風船でふさいだ。次いで、三角フラスコ低部をガスバーナーで10分間加熱した。三角フラスコ内雰囲気の到達温度は470℃であった。常温まで放熱後にエタノール100mlを用いて、三角フラスコ内及び風船内の熱分解生成物を抽出し、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮し、エタノールを95ml回収し、残りのエタノール溶解物を実施例4の試料とした。
同様な方法により、インド産ニームの種子及びフイリッピン産ニームの種子を用いて、それぞれ実施例5,6の試料とした。
【0016】
(実施例7〜9の試料の調整)ニーム樹皮の実験室における煙冷却法による木酢液の調整。
タイ産ニームの樹皮15gを500mlの耐熱性三角フラスコに投入し、三角フラスコの上部開口部にL字型ガラス管を接続し、この先に長さ50cmの冷却管を2台接続した。2台の冷却管はゴム管で冷水を還流した。次いで、三角フラスコ低部をガスバーナーで20分間加熱した。三角フラスコ内雰囲気の到達温度は485℃であった。発生する煙を冷却管を通して冷却し、100mlの三角フラスコに木酢液として3.2gを回収した。15mlのエタノールで冷却管を洗浄し、洗浄液を得られた木酢液に加えて実施例7の試料とした。
同様な方法により、インド産ニームの樹皮及びフイリッピン産ニームの樹皮を用いて、それぞれ実施例8,9の試料とした。
【0017】
上記実施例1〜6の各試料の主な含有成分につき、ガスクロマト質量分析計で分析した結果を下記の表1に示す。
【表1】
【0018】
(試験例1;ヤマトシロアリに対する殺蟻試験)
6穴マルチデイッシュ(穴直径3.5cm)に、穴の大きさに切りぬいた濾紙(Advantec製No2)をつめ込み、実施例1の試料1.2mgを濾紙上に滴下した。試料中の溶媒を揮散させた後に、濾紙に水100μlをしみ込ませ、ヤマトシロアリ6頭を加えた。各穴の間に少量の水を加え、密封後、25℃に保ち、日数の経過とともに死亡したシロアリの頭数を計測した。同様にして実施例2〜9の各試料について試験を実施した。又、比較のため市販の木酢液についても同様に試験を実施した。その結果を表2に示す。
【表2】
【0019】
(試験例2;糸状菌、細菌に対する抑制効果試験)
風呂場のタイル目地より糸状菌(主としてクロカビ)、及び細菌類(主としてシュウドモナス)を含む懸濁液を作成し、糸状菌用培地及び細菌用培地に均一拡散した培地を用意した。次に、実施例1の試料の10%及び1%水溶液を作成し、これらの0.5mlを浸透させた濾紙片(1cm角)を3片づつペトリ皿の三方に設置し、これを26℃恒温器におさめて72時間培養後、糸状菌、及び細菌類の発生状況を観察し、抑制効果を確認した。同様にして実施例2〜9の各試料について試験を実施した。又、比較として市販の木酢液の10%及び1%水溶液を作成し、同様に試験した。その結果を表3に示す。
【表3】
【0020】
(試験例3;ネコに対する忌避効果試験)
窓を開け放した20畳の部屋に、直径10cmの皿を11枚均等な配置となるように設け、各々の皿にネコ用の餌を10gづつ置いた。実施例1〜9の各試料を9枚の皿の餌に各々2gづつ混合した。10枚目の皿には市販の木酢液を2g混合した。又、11枚目の皿はコントロールとした。この部屋に供餌後3時間を経過したネコ4匹(オス2匹、メス2匹)を放し、その行動を観察した。
【0021】
1時間経過後、実施例4及び5の皿と、市販木酢液の皿は餌が約半分になっていたが、他の実施例の皿はほとんどそのまま残っていた。又、コントロール用の皿は餌が全くなくなっていた。
【0022】
【発明の効果】
以上詳述した如く、本発明はニームの熱分解生成物を含有する新規な木酢液、その製造方法及び有害生物、動物の駆除剤並びに忌避剤に係わり、シロアリ、アブラムシ、アリ、ダニ、カビ、細菌等の有害生物に対して優れた殺虫作用や殺菌作用を有する。又、ネコ、ノライヌ、カラス、ヘビ等の動物に対して優れた忌避作用を有する。
Claims (2)
- ニームの熱分解生成物を含有することを特徴とする木酢液及びその製造方法
- 請求項1に記載のニーム熱分解生成物を有効成分とすることを特徴とする有害生物及び動物の駆除剤並びに忌避剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003139631A JP2004315484A (ja) | 2003-04-11 | 2003-04-11 | 木酢液及びその製造方法並びに木酢液を利用した駆除剤、忌避剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003139631A JP2004315484A (ja) | 2003-04-11 | 2003-04-11 | 木酢液及びその製造方法並びに木酢液を利用した駆除剤、忌避剤 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014210791A (ja) * | 2014-06-27 | 2014-11-13 | フタワ株式会社 | 動物忌避剤 |
CN109392953A (zh) * | 2017-08-18 | 2019-03-01 | 黑龙江省带岭林业科学研究所 | 一种防治森林鼠害的生物驱避剂及制作方法 |
CN110192559A (zh) * | 2019-05-13 | 2019-09-03 | 深圳市积臣氏户外用品有限公司 | 一种驱蛇缓释颗粒及其制备方法 |
WO2022139713A1 (en) * | 2020-12-23 | 2022-06-30 | Avsar Hayrettin | Organic preparation |
-
2003
- 2003-04-11 JP JP2003139631A patent/JP2004315484A/ja active Pending
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