JP2004314895A - タイヤの均一性調整方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤの均一性を調整する方法において、タイヤの外観を悪化させることなく、しかも処理が簡単で且つ迅速に行えるようにする。
【解決手段】タイヤ1の重量バラツキを測定し、これから判明した軽点LPに対応させてタイヤ1内面にバランス調整材2を設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】タイヤ1の重量バラツキを測定し、これから判明した軽点LPに対応させてタイヤ1内面にバランス調整材2を設ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤの均一性調整方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
タイヤは、その剛性や外形寸法、重量バランス等が所定範囲から逸脱していると走行振動などに大きな影響をもたらすことになる。そこで従来、加硫後のタイヤについてこれらを調整してその均一性を高めようとする修正方法が種々提案されている(特許文献1乃至7等参照)。
繰り返すと、ここで修正の対象としているタイヤは、製造過程のもの(未加硫のもの)でもホイールに組み込んだものでもなく、加硫されて単体の状態にあるものを言う。
【0003】
従来の修正方法のうち、大半は、タイヤの周方向における重量バラツキの軽点から180°位置、或いは周方向径大位置にそれぞれ相当するトレッド面やショルダー部等を研磨乃至バフ加工するというものであった(特許文献1乃至4に相当)。
また、その他の修正方法として、剛性や外形寸法、重量バランス等が所定範囲から逸脱している部分とそうでない部分との間で異なる熱履歴(加熱と冷却)を加えたり(特許文献5及び6に相当)、タイヤを加熱した状態でタイヤ内面の必要部分を径方向外方へ押圧しそのまま冷却したり(特許文献7に相当)するというものもあった。
【0004】
【特許文献1】
特許第1798220号公報(特公平5−3822号公報)
【特許文献2】
特許第1687851号公報(特公平3−51214号公報)
【特許文献3】
特許第1798216号公報(特公平5−3378号公報)
【特許文献4】
特開平7−100952号公報
【特許文献5】
特開2000−280264号公報
【特許文献6】
特開2001−179743号公報
【特許文献7】
特開2002−116109号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来におけるタイヤ均一性の修正方法のうち、トレッド面やショルダー部等を研磨乃至バフ加工するもの(特許文献1乃至4に相当)では、修正処理後にはどうしてもタイヤの外観が悪化する。すなわち、タイヤとしての商品価値が低下することになる。
また、部分的に異なる熱履歴を加えるもの(特許文献5及び6に相当)や必要部分を加熱後に径方向外方へ押圧し冷却するもの(特許文献7に相当)では、処理に長大な時間を要し、結果としてタイヤの生産性を低下させてしまうという不具合があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、タイヤの外観を悪化させることなく、しかも処理が簡単で且つ迅速に行えるようにしたタイヤの均一性調整方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係るタイヤ1の均一性調整方法では、タイヤ1における周方向の重量バランスを均一化する場合に実施する方法を含んでいる。
この方法では、まずタイヤ1の重量バラツキを測定し、これによってタイヤ周方向に存在する軽点LPを調べる。
そして、判明した軽点LPの周辺乃至近傍となるタイヤ内面にバランス調整材2を設けるようにする。
【0008】
軽点LPは、例えばバランサー等を用いることによって知ることができる。
このように、軽点LPに対応させてタイヤ内面にバランス調整材2を設け、この軽点LPの重量を重点的に増やせば、タイヤ1全体としての重量バランスを釣り合わせることができる。
勿論、このような軽点LPを調べてバランス調整材2を設けるといった作業を何度か繰り返すことで、重量バランスの調整度合いは益々高くなる。
なお、ここで用いるバランス調整材2としては、液体乃至ゲル状体のものをタイヤ内面へ付着させ硬化を待つタイプとするのが好適である。
【0009】
具体的には、このバランス調整材2として内面離型材を用いるのが好適である。
内面離型材は、そもそもタイヤ1の内面へ用いるものであるため、この内面離型材を用いたことに伴う不具合の発生はない。
一方、本発明に係るタイヤ1の均一性調整方法は、タイヤ1の遠心力の偏りを補正する場合に実施する方法を含んでいる。
この方法では、まずタイヤ1のRFVレベル(真円度)を調べてその高レベル位置HPを割り出す。
【0010】
そして、この割り出された高レベル位置HPに対してその180°の位置となる周辺乃至近傍のタイヤ内面にバランス調整材2を設けるようにする。
タイヤ1のRFVレベルは、例えばユニフォミティマシン等を用いることによって知ることができる。
すなわち、タイヤ1におけるRFVレベルの高レベル位置HPは、その位置でタイヤ1の形状が径方向外方へ向けていびつに膨らんでいる(径大になっている位置=真円度が低い)ことを示しているので、これをそのまま放置すれば、タイヤ1回転時にはこの位置で遠心力が強く生起することになる。これが従来、遠心力に偏りを生じさせていた原因である。
【0011】
従って、このRFVレベルの高レベル位置HP(径大位置と見なす位置)に対する180°位置の周辺乃至近傍となるタイヤ内面にバランス調整材2を設けて、この位置の重量を増やせば、結局それがその位置での遠心力を増加させることになる。
その結果、タイヤ1全体として生起する遠心力を釣り合わせることができるのである。
勿論、このような高レベル位置HPを調べてバランス調整材2を設けるといった作業を何度か繰り返すことで、遠心力の調整度合いは益々高くなる。
【0012】
また、この場合に用いるバランス調整材2としても、液体乃至ゲル状体のものをタイヤ内面へ付着させ硬化を待つタイプとするのが好適である。
そして、やはり具体的には、このバランス調整材2として内面離型材を用いるのが好適である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1乃至図4は、タイヤ1における周方向の重量バランスを均一化する場合に実施するタイヤ1の均一性調整方法を説明するものである。
図1から明らかなように、この方法では、タイヤ1において、その周方向で存在する軽点LPに対してバランス調整材2を設けるというものである。
バランス調整材2は、タイヤ1の内側に設けるものとする。
【0014】
ここにおいて軽点LPは、文字通り、タイヤ1における周方向で最も軽量の位置を言うものである。すなわち、図3及び図4で図解しているように、タイヤ1を横に寝かせた姿勢を想定するとき、このタイヤ1の回転中心位置へ支点3を設定し、このタイヤ1を宙に浮かせたとする。
このときタイヤ1は周方向のいずれかを下にし、それとは180°位置を上にして傾く状態になることがあるが、この傾きの上となっている位置は、タイヤ周方向の中で重量的に軽いことを意味している。
【0015】
従って、この位置が軽点LPに相当することになる。
実際にはバランサー等を用いることによってこの軽点LPを知ることができる。
そこで、図2及び図4に示すように、この軽点LPに対応させて例えばタイヤ1のビード部寄りやサイドウォール部等に塗料等を塗布する等して目印Xを付しておく。
そして、タイヤ1の加硫から出荷までに至る適当な段階で、この目印Xに対応させてタイヤ内面にバランス調整材2を設けるようにすればよい。
【0016】
バランス調整材2には、内面離型材や液状金属を用いることができる。
このうち、内面離型材は、もともとタイヤ1の加硫時などにタイヤ1へ使用するものであり、タイヤ製造現場には殆ど常備されているし、またタイヤ1の材質に悪影響を及ぼすおそれは一切ないものである。
またこのような内面離型材であると、刷毛塗りや吹きつけ等によってタイヤ内面へ付着させることが可能であることから、このバランス調整材2の設け方として極めて簡単且つ迅速に行えるという利点が得られることになる。
【0017】
このように軽点LPに対応させてバランス調整材2を設けると、この軽点LPでは重点的に重量が増えることになる。そのため、タイヤ1はその全体としての周方向重量バランスが釣り合うことになる。
バランス調整材2の塗布量は、タイヤ1の内径から予測できる。
すなわち、バランスの調整度合いを調べる一つの目安としてスタティックバランス(静バランス)があるが、このスタティックバランスの単位は[cm・g]であることから、塗布量(g)と塗布位置として与えられるタイヤ1の内径(cm)との相関から修正量を判断できるからである。
【0018】
なお、バランス調整材2の塗布領域としては、タイヤ周方向に関しては中心角で30°程度とするのが現実的であり90°以内とすればよい(原則では1点塗布でも可能)。また、タイヤ幅方向では多少のバラツキは問題とされないが、トレッドに合致させるようにするのが好適であることは言うまでもない。
軽点LPの検出を再度行って、軽点LPが見つかればバランス調整材2を設けるといった作業を繰り返せば、重量バランスの調整度合いを一層高めることができ、最終的には、タイヤ1について周方向重量バランスを完全に釣り合わせる(常に図3の平衡状態が得られるものとする)ことが可能になる。
【0019】
一方、図5及び図6は、タイヤ1のRFVレベル(真円度)を補正する場合に実施するタイヤの均一性調整方法を説明するものである。
図5から明らかなように、この方法では、タイヤ1におけるRFVレベルの高レベル位置HPに対し、これの180°位置に対応させてバランス調整材2を設けるというものである。
バランス調整材2は、タイヤ1の内側に設けるものとする。
タイヤ1におけるRFVレベルは、タイヤ1を1回転させたときにその外径変化からフーリエ級数を用いて得る1周期の平均波形(平均一次波形)を言うものであるが、この平均波形の中のピーク位置を高レベル位置HPとおく。
【0020】
この高レベル位置HPは、その位置でタイヤの形状が径方向外方へ向けていびつに膨らんでいる(部分的に径大になっている)と見なしてもよいのである。すなわち、この高レベル位置HPは、タイヤ1における周方向でその半径rが最も径大(r+α)であることを示した径大位置である。
実際にはユニフォミティマシン等を用いることによってRFVレベルを知ることができるので、この中で得られる高レベル位置HPに対し、図6に示すように、その180°位置に対応させて例えばタイヤ1のビード部寄りやサイドウォール部等に塗料等を塗布する等して目印Yを付しておく。
【0021】
そして、タイヤ1の加硫から出荷までに至る適当な段階で、この目印Yに対応させてタイヤ内面にバランス調整材2を設けるようにすればよい。
バランス調整材2には、内面離型材や液状金属を用いることができる。
このうち内面離型材は、もともとタイヤ1の加硫時などにタイヤ1へ使用するものであり、タイヤ製造現場には殆ど常備されているし、またタイヤ1の材質に悪影響を及ぼすおそれは一切ないものである。
またこのような内面離型材であると、刷毛塗りや吹きつけ等によってタイヤ内面へ付着させることが可能であることから、このバランス調整材2の設け方として極めて簡単且つ迅速に行えるという利点が得られることになる。
【0022】
このようにRFVレベルの高レベル位置HP(径大位置と見なす位置)に対する180°位置の周辺乃至近傍となるタイヤ内面にバランス調整材2を設けると、この高レベル位置HPの180°位置では重点的に重量が増えるようになる。そのため、結局それがその位置での遠心力を増加させることになるから、タイヤ1はその全体として遠心力が釣り合うことになる。
なお、バランス調整材2の塗布領域としては、タイヤ周方向に関しては中心角で30°程度とするのが現実的であり90°以内とすればよい(原則では1点塗布でも可能)。また、タイヤ幅方向では多少のバラツキは問題とされないが、トレッドに合致させるようにするのが好適であることは言うまでもない。
【0023】
RFVレベルの高レベル位置HPの解明を再度行って、高レベル位置HPが見つかればバランス調整材2を設けるといった作業を繰り返せば、遠心力を完全に釣り合わせることが可能になる。
上記した、タイヤ1における周方向の重量バランスを均一化する場合に実施する均一性調整方法と、タイヤ1のRFVレベルを補正する場合に実施する均一性調整方法とは、1本のタイヤ1に対して実施すればよい。またそれは同時であっても、各別個に(時間的にずらして)実施してもよい。
【0024】
しかし、必要に応じていずれか一方だけを実施するようにしても勿論よい。
【0025】
【実施例】
同一タイプで同一サイズの4本の新品タイヤ(A〜D)を準備し、これらのタイヤ(A〜D)について、周方向の重量バランスを均一化する場合に実施する均一性調整方法と、タイヤ1のRFVレベルを補正する場合に実施するタイヤの均一性調整方法とを同時に実施した。
使用したタイヤ1のタイヤサイズは205/60R15であった。
また、バランス調整材2には、「松本油脂製薬株式会社」製の内面離型材として商品化されている品番「RA69−1」を用いた。その他、バランス調整材2としては、同社製品番「RA−68−6」、「RA180LH」等を用いてもよい。
【0026】
このバランス調整材2は、塗布前には液体で、乾燥後には、ある程度の柔軟性(弾性)を残しながら硬化してタイヤ1と一体化するものである。
また、このバランス調整材2の比重は1.0以上(1.3以下と推測される)であり、含有する有効成分は53.5%(即ち、残りは水分)であった。
この有効成分は、バランス調整材100kgあたり、シリコンが11.7kg、マイカ(40i)が20kg、タルクが21kg、増粘剤・防腐剤が0.8kgであった。
【0027】
バランス調整材2を24g塗布した場合で言うと、その塗布には20秒程度しか要しなかった。なお乾燥には約2時間程度を要した。この乾燥後、バランス調整材2は約12gになる。
そして、実施後のタイヤ(A〜D)について、RFV、LFV、CONの他、ダイナミックバランス(動バランス=表1中では「DY.BO上」及び「DY.BO下」と表記)、スタティックバランス(静バランス=表1中では「ST.BO」と表記)の計6項目を調べた。
【0028】
結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
この表1から明らかなように、いずれのタイヤ(A〜D)も、RFV、DY.BOの上下、及びST.BOの4項目について飛躍的な改善が図られている。
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
【0031】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係るタイヤの均一性調整方法では、タイヤの外観を悪化させることなく、しかも処理が簡単で且つ迅速に行えるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】タイヤの周方向重量バランスを均一化させたタイヤの正面断面図である。
【図2】図1のタイヤの正面図である。
【図3】タイヤの周方向重量バランスが平衡である場合を説明したタイヤの一部破砕側面図である。
【図4】タイヤの周方向重量バランスが崩れている場合を説明したタイヤの一部破砕側面図である。
【図5】タイヤのRFVレベルを補正したタイヤの正面断面図である。
【図6】図5のタイヤの正面図である。
【符号の説明】
1 タイヤ
2 バランス調整材
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤの均一性調整方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
タイヤは、その剛性や外形寸法、重量バランス等が所定範囲から逸脱していると走行振動などに大きな影響をもたらすことになる。そこで従来、加硫後のタイヤについてこれらを調整してその均一性を高めようとする修正方法が種々提案されている(特許文献1乃至7等参照)。
繰り返すと、ここで修正の対象としているタイヤは、製造過程のもの(未加硫のもの)でもホイールに組み込んだものでもなく、加硫されて単体の状態にあるものを言う。
【0003】
従来の修正方法のうち、大半は、タイヤの周方向における重量バラツキの軽点から180°位置、或いは周方向径大位置にそれぞれ相当するトレッド面やショルダー部等を研磨乃至バフ加工するというものであった(特許文献1乃至4に相当)。
また、その他の修正方法として、剛性や外形寸法、重量バランス等が所定範囲から逸脱している部分とそうでない部分との間で異なる熱履歴(加熱と冷却)を加えたり(特許文献5及び6に相当)、タイヤを加熱した状態でタイヤ内面の必要部分を径方向外方へ押圧しそのまま冷却したり(特許文献7に相当)するというものもあった。
【0004】
【特許文献1】
特許第1798220号公報(特公平5−3822号公報)
【特許文献2】
特許第1687851号公報(特公平3−51214号公報)
【特許文献3】
特許第1798216号公報(特公平5−3378号公報)
【特許文献4】
特開平7−100952号公報
【特許文献5】
特開2000−280264号公報
【特許文献6】
特開2001−179743号公報
【特許文献7】
特開2002−116109号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来におけるタイヤ均一性の修正方法のうち、トレッド面やショルダー部等を研磨乃至バフ加工するもの(特許文献1乃至4に相当)では、修正処理後にはどうしてもタイヤの外観が悪化する。すなわち、タイヤとしての商品価値が低下することになる。
また、部分的に異なる熱履歴を加えるもの(特許文献5及び6に相当)や必要部分を加熱後に径方向外方へ押圧し冷却するもの(特許文献7に相当)では、処理に長大な時間を要し、結果としてタイヤの生産性を低下させてしまうという不具合があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、タイヤの外観を悪化させることなく、しかも処理が簡単で且つ迅速に行えるようにしたタイヤの均一性調整方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係るタイヤ1の均一性調整方法では、タイヤ1における周方向の重量バランスを均一化する場合に実施する方法を含んでいる。
この方法では、まずタイヤ1の重量バラツキを測定し、これによってタイヤ周方向に存在する軽点LPを調べる。
そして、判明した軽点LPの周辺乃至近傍となるタイヤ内面にバランス調整材2を設けるようにする。
【0008】
軽点LPは、例えばバランサー等を用いることによって知ることができる。
このように、軽点LPに対応させてタイヤ内面にバランス調整材2を設け、この軽点LPの重量を重点的に増やせば、タイヤ1全体としての重量バランスを釣り合わせることができる。
勿論、このような軽点LPを調べてバランス調整材2を設けるといった作業を何度か繰り返すことで、重量バランスの調整度合いは益々高くなる。
なお、ここで用いるバランス調整材2としては、液体乃至ゲル状体のものをタイヤ内面へ付着させ硬化を待つタイプとするのが好適である。
【0009】
具体的には、このバランス調整材2として内面離型材を用いるのが好適である。
内面離型材は、そもそもタイヤ1の内面へ用いるものであるため、この内面離型材を用いたことに伴う不具合の発生はない。
一方、本発明に係るタイヤ1の均一性調整方法は、タイヤ1の遠心力の偏りを補正する場合に実施する方法を含んでいる。
この方法では、まずタイヤ1のRFVレベル(真円度)を調べてその高レベル位置HPを割り出す。
【0010】
そして、この割り出された高レベル位置HPに対してその180°の位置となる周辺乃至近傍のタイヤ内面にバランス調整材2を設けるようにする。
タイヤ1のRFVレベルは、例えばユニフォミティマシン等を用いることによって知ることができる。
すなわち、タイヤ1におけるRFVレベルの高レベル位置HPは、その位置でタイヤ1の形状が径方向外方へ向けていびつに膨らんでいる(径大になっている位置=真円度が低い)ことを示しているので、これをそのまま放置すれば、タイヤ1回転時にはこの位置で遠心力が強く生起することになる。これが従来、遠心力に偏りを生じさせていた原因である。
【0011】
従って、このRFVレベルの高レベル位置HP(径大位置と見なす位置)に対する180°位置の周辺乃至近傍となるタイヤ内面にバランス調整材2を設けて、この位置の重量を増やせば、結局それがその位置での遠心力を増加させることになる。
その結果、タイヤ1全体として生起する遠心力を釣り合わせることができるのである。
勿論、このような高レベル位置HPを調べてバランス調整材2を設けるといった作業を何度か繰り返すことで、遠心力の調整度合いは益々高くなる。
【0012】
また、この場合に用いるバランス調整材2としても、液体乃至ゲル状体のものをタイヤ内面へ付着させ硬化を待つタイプとするのが好適である。
そして、やはり具体的には、このバランス調整材2として内面離型材を用いるのが好適である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1乃至図4は、タイヤ1における周方向の重量バランスを均一化する場合に実施するタイヤ1の均一性調整方法を説明するものである。
図1から明らかなように、この方法では、タイヤ1において、その周方向で存在する軽点LPに対してバランス調整材2を設けるというものである。
バランス調整材2は、タイヤ1の内側に設けるものとする。
【0014】
ここにおいて軽点LPは、文字通り、タイヤ1における周方向で最も軽量の位置を言うものである。すなわち、図3及び図4で図解しているように、タイヤ1を横に寝かせた姿勢を想定するとき、このタイヤ1の回転中心位置へ支点3を設定し、このタイヤ1を宙に浮かせたとする。
このときタイヤ1は周方向のいずれかを下にし、それとは180°位置を上にして傾く状態になることがあるが、この傾きの上となっている位置は、タイヤ周方向の中で重量的に軽いことを意味している。
【0015】
従って、この位置が軽点LPに相当することになる。
実際にはバランサー等を用いることによってこの軽点LPを知ることができる。
そこで、図2及び図4に示すように、この軽点LPに対応させて例えばタイヤ1のビード部寄りやサイドウォール部等に塗料等を塗布する等して目印Xを付しておく。
そして、タイヤ1の加硫から出荷までに至る適当な段階で、この目印Xに対応させてタイヤ内面にバランス調整材2を設けるようにすればよい。
【0016】
バランス調整材2には、内面離型材や液状金属を用いることができる。
このうち、内面離型材は、もともとタイヤ1の加硫時などにタイヤ1へ使用するものであり、タイヤ製造現場には殆ど常備されているし、またタイヤ1の材質に悪影響を及ぼすおそれは一切ないものである。
またこのような内面離型材であると、刷毛塗りや吹きつけ等によってタイヤ内面へ付着させることが可能であることから、このバランス調整材2の設け方として極めて簡単且つ迅速に行えるという利点が得られることになる。
【0017】
このように軽点LPに対応させてバランス調整材2を設けると、この軽点LPでは重点的に重量が増えることになる。そのため、タイヤ1はその全体としての周方向重量バランスが釣り合うことになる。
バランス調整材2の塗布量は、タイヤ1の内径から予測できる。
すなわち、バランスの調整度合いを調べる一つの目安としてスタティックバランス(静バランス)があるが、このスタティックバランスの単位は[cm・g]であることから、塗布量(g)と塗布位置として与えられるタイヤ1の内径(cm)との相関から修正量を判断できるからである。
【0018】
なお、バランス調整材2の塗布領域としては、タイヤ周方向に関しては中心角で30°程度とするのが現実的であり90°以内とすればよい(原則では1点塗布でも可能)。また、タイヤ幅方向では多少のバラツキは問題とされないが、トレッドに合致させるようにするのが好適であることは言うまでもない。
軽点LPの検出を再度行って、軽点LPが見つかればバランス調整材2を設けるといった作業を繰り返せば、重量バランスの調整度合いを一層高めることができ、最終的には、タイヤ1について周方向重量バランスを完全に釣り合わせる(常に図3の平衡状態が得られるものとする)ことが可能になる。
【0019】
一方、図5及び図6は、タイヤ1のRFVレベル(真円度)を補正する場合に実施するタイヤの均一性調整方法を説明するものである。
図5から明らかなように、この方法では、タイヤ1におけるRFVレベルの高レベル位置HPに対し、これの180°位置に対応させてバランス調整材2を設けるというものである。
バランス調整材2は、タイヤ1の内側に設けるものとする。
タイヤ1におけるRFVレベルは、タイヤ1を1回転させたときにその外径変化からフーリエ級数を用いて得る1周期の平均波形(平均一次波形)を言うものであるが、この平均波形の中のピーク位置を高レベル位置HPとおく。
【0020】
この高レベル位置HPは、その位置でタイヤの形状が径方向外方へ向けていびつに膨らんでいる(部分的に径大になっている)と見なしてもよいのである。すなわち、この高レベル位置HPは、タイヤ1における周方向でその半径rが最も径大(r+α)であることを示した径大位置である。
実際にはユニフォミティマシン等を用いることによってRFVレベルを知ることができるので、この中で得られる高レベル位置HPに対し、図6に示すように、その180°位置に対応させて例えばタイヤ1のビード部寄りやサイドウォール部等に塗料等を塗布する等して目印Yを付しておく。
【0021】
そして、タイヤ1の加硫から出荷までに至る適当な段階で、この目印Yに対応させてタイヤ内面にバランス調整材2を設けるようにすればよい。
バランス調整材2には、内面離型材や液状金属を用いることができる。
このうち内面離型材は、もともとタイヤ1の加硫時などにタイヤ1へ使用するものであり、タイヤ製造現場には殆ど常備されているし、またタイヤ1の材質に悪影響を及ぼすおそれは一切ないものである。
またこのような内面離型材であると、刷毛塗りや吹きつけ等によってタイヤ内面へ付着させることが可能であることから、このバランス調整材2の設け方として極めて簡単且つ迅速に行えるという利点が得られることになる。
【0022】
このようにRFVレベルの高レベル位置HP(径大位置と見なす位置)に対する180°位置の周辺乃至近傍となるタイヤ内面にバランス調整材2を設けると、この高レベル位置HPの180°位置では重点的に重量が増えるようになる。そのため、結局それがその位置での遠心力を増加させることになるから、タイヤ1はその全体として遠心力が釣り合うことになる。
なお、バランス調整材2の塗布領域としては、タイヤ周方向に関しては中心角で30°程度とするのが現実的であり90°以内とすればよい(原則では1点塗布でも可能)。また、タイヤ幅方向では多少のバラツキは問題とされないが、トレッドに合致させるようにするのが好適であることは言うまでもない。
【0023】
RFVレベルの高レベル位置HPの解明を再度行って、高レベル位置HPが見つかればバランス調整材2を設けるといった作業を繰り返せば、遠心力を完全に釣り合わせることが可能になる。
上記した、タイヤ1における周方向の重量バランスを均一化する場合に実施する均一性調整方法と、タイヤ1のRFVレベルを補正する場合に実施する均一性調整方法とは、1本のタイヤ1に対して実施すればよい。またそれは同時であっても、各別個に(時間的にずらして)実施してもよい。
【0024】
しかし、必要に応じていずれか一方だけを実施するようにしても勿論よい。
【0025】
【実施例】
同一タイプで同一サイズの4本の新品タイヤ(A〜D)を準備し、これらのタイヤ(A〜D)について、周方向の重量バランスを均一化する場合に実施する均一性調整方法と、タイヤ1のRFVレベルを補正する場合に実施するタイヤの均一性調整方法とを同時に実施した。
使用したタイヤ1のタイヤサイズは205/60R15であった。
また、バランス調整材2には、「松本油脂製薬株式会社」製の内面離型材として商品化されている品番「RA69−1」を用いた。その他、バランス調整材2としては、同社製品番「RA−68−6」、「RA180LH」等を用いてもよい。
【0026】
このバランス調整材2は、塗布前には液体で、乾燥後には、ある程度の柔軟性(弾性)を残しながら硬化してタイヤ1と一体化するものである。
また、このバランス調整材2の比重は1.0以上(1.3以下と推測される)であり、含有する有効成分は53.5%(即ち、残りは水分)であった。
この有効成分は、バランス調整材100kgあたり、シリコンが11.7kg、マイカ(40i)が20kg、タルクが21kg、増粘剤・防腐剤が0.8kgであった。
【0027】
バランス調整材2を24g塗布した場合で言うと、その塗布には20秒程度しか要しなかった。なお乾燥には約2時間程度を要した。この乾燥後、バランス調整材2は約12gになる。
そして、実施後のタイヤ(A〜D)について、RFV、LFV、CONの他、ダイナミックバランス(動バランス=表1中では「DY.BO上」及び「DY.BO下」と表記)、スタティックバランス(静バランス=表1中では「ST.BO」と表記)の計6項目を調べた。
【0028】
結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
この表1から明らかなように、いずれのタイヤ(A〜D)も、RFV、DY.BOの上下、及びST.BOの4項目について飛躍的な改善が図られている。
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
【0031】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係るタイヤの均一性調整方法では、タイヤの外観を悪化させることなく、しかも処理が簡単で且つ迅速に行えるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】タイヤの周方向重量バランスを均一化させたタイヤの正面断面図である。
【図2】図1のタイヤの正面図である。
【図3】タイヤの周方向重量バランスが平衡である場合を説明したタイヤの一部破砕側面図である。
【図4】タイヤの周方向重量バランスが崩れている場合を説明したタイヤの一部破砕側面図である。
【図5】タイヤのRFVレベルを補正したタイヤの正面断面図である。
【図6】図5のタイヤの正面図である。
【符号の説明】
1 タイヤ
2 バランス調整材
Claims (4)
- タイヤ(1)の重量バラツキを測定し、これから判明した軽点(LP)に対応させてタイヤ内面にバランス調整材(2)を設けることを特徴とするタイヤの均一性調整方法。
- タイヤ(1)のRFVレベルを測定し、このうち高レベル位置(HP)に対してその180°位置にあたるタイヤ内面にバランス調整材(2)を設けることを特徴とする請求項1記載のタイヤの均一性調整方法。
- 前記バランス調整材(2)は、液体乃至ゲル状体のものをタイヤ(1)内面へ付着させ硬化を待つタイプであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のタイヤの均一性調整方法。
- 前記バランス調整材(2)には内面離型材を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のタイヤの均一性調整方法。
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JP2012508138A (ja) * | 2008-11-12 | 2012-04-05 | カーネハマー,ラース,バーティル | 車両用タイヤを加工するための方法、装置、およびシステム、ならびに車両用タイヤ |
CN112469574A (zh) * | 2018-07-24 | 2021-03-09 | 横滨橡胶株式会社 | 充气轮胎 |
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-
2003
- 2003-04-18 JP JP2003114838A patent/JP2004314895A/ja active Pending
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