JP2004313413A - 内視鏡装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】被写体の画像情報を増幅する手段を有する内視鏡装置において、増幅手段の増幅率によらず、安定して白キズノイズの除去を行う。
【解決手段】空間フィルタ処理回路35では、デジタル化された画像信号について、処理対象となる注目画素63中心とした領域64に含まれる画素値の全てまたは一部を用い、フィルタ演算を行う。減算回路37では、空間フィルタ処理回路35と遅延回路36からの出力信号の差を演算する。アドレス発生回路38では、現フレームにおけるCMD制御電圧を入力とし、制御電圧レベルに応じて、異なるアドレス値を出力する。閾値格納メモリ39は、アドレス発生回路38からのアドレス入力に応じて、対応する閾値を出力する。アドレス発生回路38と閾値格納メモリ39により、増幅率が変動した場合においても、適切な閾値が選択される。
【選択図】 図1
【解決手段】空間フィルタ処理回路35では、デジタル化された画像信号について、処理対象となる注目画素63中心とした領域64に含まれる画素値の全てまたは一部を用い、フィルタ演算を行う。減算回路37では、空間フィルタ処理回路35と遅延回路36からの出力信号の差を演算する。アドレス発生回路38では、現フレームにおけるCMD制御電圧を入力とし、制御電圧レベルに応じて、異なるアドレス値を出力する。閾値格納メモリ39は、アドレス発生回路38からのアドレス入力に応じて、対応する閾値を出力する。アドレス発生回路38と閾値格納メモリ39により、増幅率が変動した場合においても、適切な閾値が選択される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被写体に照明光を照射することにより被写体から得られる光を撮像素子で受光して画像を得る内視鏡装置に係り、撮像素子による被写体の画像情報の増幅制御をする場合に好適な内視鏡装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、体腔内にスコープを挿入することにより、食道、胃、小腸、大腸などの消化管や肺等の気管を観察し、必要に応じて処置具チャンネル内に挿通した処置具を用いて各種の治療処理を行う事が出来る内視鏡が広く利用されている。
【0003】
特に、電荷結合素子(CCD)等の固体撮像素子を用いた電子内視鏡は、モニタ上に広く画像を表示でき、内視鏡を操作する術者の疲労が少ないために広く利用されている。
【0004】
また、内視鏡による診断では、肉眼で見えるものと同様のカラー画像をモニタに表示する通常観察の他に、自家蛍光観察も行われ始めている。自家蛍光観察は、紫外から青色の励起光を生体組織に当てたときに発生する自家蛍光の性質が正常粘膜と腫瘍とで異なることを利用して診断を行う観察方法である。
【0005】
ところで、近年では、素子外から制御パルスを入力することにより、素子内に蓄積された信号電荷の増幅率を制御できるCCD型固体撮像素子が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
このようなCCD型固体撮像素子では、素子内に配置されたCMD(Charge Multiplication Device)においてイオン化を利用した電荷の増倍が可能となっている。
【0007】
CMDを画素毎に配置した場合、画素毎に増幅をすることが可能である。また、CMDを転送チャンネルに配置して転送ライン毎に増幅することも可能である。
【0008】
また、最近では、制御パルスではなく、電圧値によってCMDを制御できるCCD型固体撮像素子も提案されている。CMDを備えたCCD型固体撮像素子では、電荷の読み出し前に増幅が行われるので、CCD型固体撮像素子外で増幅を行うよりも読み出しノイズの影響が少なくなり、高いS/N比の画像が得られるというメリットがある。そのためCMDを備えたCCD型固体撮像素子では、高感度での撮像が可能で、微弱光の撮像に適している。
【0009】
また、内視鏡装置には、オートゲインコントロール機構を備えているものもある。オートゲインコントロール機構とは、固体撮像素子から出力された画像信号の明るさが不足していると判断した場合、画像信号を基に増幅率を演算し、画像信号に乗算する事で電気的に画像信号に増幅をかけてモニタ上の映像の明るさを一定に保つよう自動調整を行う機構である。このように、内視鏡装置には、オートゲインコントロール機構を用いて微弱光の撮像を行うものもある。
【0010】
しかしながら、前記のようなCMDを用いた撮像素子やオートゲインコントロール機構を利用した場合には、撮像素子の画素欠陥である白キズノイズの値も大きく増幅されてしまうために、増幅機構を持たない装置を利用した場合には分からないような白キズノイズも固定パターンとして目立ってしまうことがあった。
そこで、空間フィルタを用いて、注目画素に対して平滑化、メディアン値への置換といったフィルタ演算を行うことで、白キズノイズを補正する画像処理も行われている。
【0011】
また、内視鏡装置には、画像信号のエッジ成分に代表される高周波成分を強調するための構造強調処理回路が搭載されているものもある。
【0012】
構造強調処理には、一般にエッジ強調やエッジ抽出を行うための空間フィルタが用いられるが、撮像素子やオートゲインコントロール機構を利用した場合には、高周波成分であるランダムノイズの値も大きく増幅されてしまう。空間フィルタを用いた内視鏡装置には、構造強調処理にてランダムノイズが際立たないように、構造強調処理レベルの変更を、術者または補助者が手動にて行っている。
【0013】
【特許文献1】
米国特許第5337340号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような増幅機構を備えた内視鏡装置では、白キズノイズの補正において、空間フィルタによる処理を画像全体に行った場合、白キズノイズが無く、補正する必要の無い箇所に関しても処理を行うため、例えば、平均値フィルタ、メディアンフィルタを使用した場合には、白キズノイズは除去できるものの、画像全体が平滑化されてしまうといった問題があった。それに対処する方法として、閾値を用いて空間フィルタ処理範囲を制限する方法もあるが、白キズノイズ値は増幅機構の増幅率に大きく依存し、増幅率の増加に伴って白キズノイズ値も大きくなる。従って、単一の閾値を用いた場合、閾値を低い増幅率の画像で最適となるように設定すると、高い増幅率の画像では過剰に補正され、逆に、閾値を高い増幅率の画像で最適となるように設定すると、低い増幅率の画像では白キズノイズの一部が補正されずに残るといった問題があった。
【0015】
また、従来の内視鏡装置で構造強調処理を行う場合においては、高周波成分であるランダムノイズも増幅機構により増幅されるため、画像信号のうち、ランダムノイズを際立たせず、しかも被写体情報については画像強調処理を行う設定にするために、術者または補助者が頻繁にスイッチ操作を行う必要があり、調整に手間がかかり、また増幅率の変動に応じて再調整する必要があるといった課題があった。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、被写体の画像情報を増幅する手段を有する内視鏡装置において、増幅手段の増幅率によらず、安定して白キズノイズの除去を行うことができる内視鏡装置を提供することを目的とする。
【0017】
また、本発明は、構造強調処理を行ったときにもランダムノイズを際立たせないようすることができる内視鏡装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため請求項1に記載の内視鏡装置は、被写体に照明光を照射する為の光源装置と、前記被写体を撮像する為の撮像素子と、前記撮像素子による被写体の画像情報を増幅する増幅手段と、前記被写体の画像信号を空間フィルタ処理するフィルタリング手段と、前記空間フィルタ処理の対象となる注目画素の画素値と前記フィルタリング手段による前記画像情報のフィルタ処理結果の値との差分を演算する演算手段と、この演算手段によって得られた結果と閾値とを比較する比較手段と、この比較手段の結果に応じ、前記フィルタリング手段によって空間フィルタ処理された画像情報に基づくデータと、前記フィルタリング手段によって空間フィルタ処理されていない画像情報に基づくデータとのいずれかを選択し、映像信号として出力する選択出力手段と、前記増幅手段の増幅率に応じて前記閾値を変更する閾値変更手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項2に記載の内視鏡装置は、被写体に照明光を照射する為の光源装置と、前記被写体を撮像する為の撮像素子と、前記撮像素子による被写体の画像情報を増幅する増幅手段と、前記被写体の画像信号を所定のフィルタ係数に基づいて空間フィルタ処理するフィルタリング手段と、前記増幅手段の増幅率に応じて前記フィルタ係数を変更するフィルタ係数変更手段と、を備える事を特徴とする。
【0020】
請求項3に記載の内視鏡装置は、請求項1又は2記載の内視鏡装置であって、前記増幅手段として、前記撮像素子の内部には電荷を増倍する事によって前記画像情報を増幅する電荷増倍機構が設けられ、この電荷増倍機構の電荷増倍率に応じて前記閾値又はフィルタ係数を変更する事を特徴とする。
【0021】
請求項4に記載の内視鏡装置は、請求項1又は2記載の内視鏡装置であって、前記増幅手段として、前記撮像素子から出力される画像信号の出力値に応じて増幅を行うオートゲインコントロール機構が設けられ、このオートゲインコントロール機構の増幅率に応じて前記閾値又はフィルタ係数を変更する事を特徴とする。
【0022】
請求項5に記載の内視鏡装置は、請求項1ないし4のいずれか一つに記載の内視鏡装置であって、前記光源装置には、前記被写体に励起光を照射する励起光照射手段が設けられ、前記撮像素子は、前記励起光を照射する事によって発生した蛍光を受光することを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1ないし図10は本発明の第1の実施の形態に係り、図1は内視鏡装置の全体構成図を示すブロック図、図2はCCD型固体撮像素子の説明図、図3は回転フィルタ板の正面図、図4はRGBフィルタの透過特性を説明するグラフ、図5は蛍光観察用フィルタの透過特性を説明するグラフ、図6は空間フィルタの説明図、図7は白キズノイズのある画素における減算回路の出力の説明図、図8は白キズノイズの無い画素における減算回路の出力の説明図、図9はアドレス発生回路及び閾値格納メモリの動作を示す説明図、図10はCMD増幅率と出力値との関係を示すグラフである。
【0024】
(構成)
図1に示すように、第1の実施の形態は、撮像素子を用いた内視鏡装置1において、撮像素子が有する電荷増倍機構の増幅率の大小に関わらず、安定して白キズノイズの除去を行うことを目的としたものである。
【0025】
内視鏡装置1は、光源装置10と、スコープ20と、プロセッサ30と、モニタ50とを含んで構成されている。
【0026】
光源装置10は、観察用の光を発する。スコープ20は、体腔内に挿入して撮像を行うためのものである。プロセッサ30は、スコープ20の撮像素子で得られた画像信号の信号処理等を行う。モニタ50はプロセッサ30により処理された画像を表示する。
【0027】
さらに詳細に説明すると、光源装置10は、キセノンランプ11と、赤外カットフィルタ12と、回転フィルタ板13と、モータ14,15と、照明光絞り16と、集光レンズ17とを含んで構成されている。
【0028】
キセノンランプ11は、光源となっており、照明光を放射する。
赤外カットフィルタ12は、ランプ11の照明光路上に設けられ、照明光の透過波長を制限する。
【0029】
回転フィルタ板13は、ランプ11の照明光路上の赤外カットフィルタ12の前方に設けられている。
【0030】
モータ14は、回転フィルタ板13を回転させ、ランプ11の照明光路上に適切なフィルタを設けるためのものである。モータ15は回転フィルタ板13を光軸に対して垂直方向に移動するためのもである。
【0031】
照明光絞り16は、赤外カットフィルタ12と回転フィルタ板13との間に設けられ、赤外カットフィルタ12から回転フィルタ板13に向かう照明光の光量を調節する。
【0032】
集光レンズ17は回転フィルタ板13を透過した照明光を集光してスコープ20のライトガイドファイバ21の基端側に入射させる。
【0033】
スコープ20は、ライトガイドファイバ21と、挿入部22を備えている。挿入部22は、生体内に挿入可能な細長の形状に形成されている。
【0034】
挿入部22の先端には、照明レンズ23と、対物レンズ24と、励起光カットフィルタ25と、CCD型固体撮像素子26とを備えている。
【0035】
ライトガイドファイバ21は、集光レンズ17を介して入射した照明光を透過させ、挿入部22の先端側に導く。ライトガイドファイバ21の先端側に導かれた照明光は照明レンズ23で被写体の適切な範囲に照射される。対物レンズ24は、照明光により照明された被写体からの光をCCD型固体撮像素子26の撮像面に結像させる。
【0036】
励起光カットフィルタ25は、対物レンズ24とCCD型固体撮像素子26の間に設けられ、対物レンズ24からの光に対して、460nm以下の波長の光を遮断して励起光を除去する。
【0037】
CCD型固体撮像素子26は、被写体からの光を撮像する。
前記CCD型固体撮像素子26は、米国特許第5337340号に記載されているように、CMD(Charge Multiplying Detector )と呼ばれる電荷増倍機構を有している。CMDは水平転送路、または画素毎に搭載され、プロセッサから順次印加された高電界パルスが、蓄積された信号電荷を荷電子帯の電子に衝突させ、衝突電離により2次電子を生成させる。1パルスの印加で2次電子の生成が連鎖反応的に生じるアバランシェ効果とは異なり、衝突電離を使用した電荷増倍機構の場合には、1パルスの印加で1組の電子−正孔対が生成されるのみであるため、印加するパルスの電圧値(振幅)、またはパルス数を制御する事により、信号電荷数を任意の値に増幅する事が可能となる。本実施例においては、水平転送路に設けられたCMDへ印加するパルスの電圧値を変動させる事により、前記電荷増倍機構の電荷増倍率を変更できるようになっている。
【0038】
プロセッサ30は、プリプロセス回路31、A/D変換回路32、調光回路33、制御電圧発生回路34、空間フィルタ回路35、遅延回路36、減算回路37、アドレス発生回路38、閾値格納メモリ39、比較回路40、セレクタ回路41、同時化回路42及びD/A変換回路43を備えている。
【0039】
プロセッサ30は、プリプロセス回路31、アナログ/デジタル変換回路(以下、A/D変換回路と呼ぶ)32、空間フィルタ回路35または遅延回路36、セレクタ回路41、同時化回路42、デジタル/アナログ変換回路(以下、D/A変換回路と呼ぶ)43の順に画像信号が流れるように構成されている。
【0040】
図2に示すように、CCD型固体撮像素子26は、受光エリア51と、水平転送チャンネル53,54と、CMD付き転送チャンネル55,56と電荷検出部57,58とを含んで構成される。
【0041】
受光エリア51の左側から奇数番目の垂直レジスタ52は水平転送チャンネル53とCMD付き転送チャンネル55を介して電荷検出部57に接続される。
【0042】
受光エリア51の左側から偶数番目の垂直レジスタ52は水平転送チャンネル54と、CMD付き転送チャンネル56を介して電荷検出部58に接続される。
【0043】
これにより、水平転送チャンネル53,54と、CMD付き転送チャンネル55,56とは水平レジスタを構成している。
【0044】
CCD型固体撮像素子26は、CMDが水平レジスタに配置されており、外部からの制御電圧により増幅が可能な撮像素子となっている。
【0045】
図3に示すように、回転フィルタ板13には、外周の領域61にそれぞれ赤、緑、青の波長を透過するRフィルタ61R、Gフィルタ61G、Bフィルタ61Bが配置されている。内周の領域62には540〜560nmの狭帯域光を透過するG’フィルタ62G1、390〜450nmの励起光を透過する励起フィルタ62A、600〜620nmの狭帯域光を透過するR’フィルタ62R1が配置されている。
【0046】
外周の領域61のRフィルタ61R、Gフィルタ61G及びBフィルタ61Bの分光特性は図4に示すように比較的広帯域となっている。内周の領域62のG’フィルタ62G1、励起フィルタ62A及びR’フィルタ62R1の分光特性は図5に示すように狭帯域になっている。
【0047】
回転フィルタ板13の各フィルタが配置されている以外の部分は、光を遮光する部材63により構成されている。
【0048】
このような構成により、光源装置10は、被写体に照明光を照射する。
CCD型固体撮像素子26は、前記被写体を撮像する為の撮像素子となっている。
【0049】
CCD型固体撮像素子26に設けられる電荷倍増機構(CMD)は、撮像素子による被写体の画像情報を増幅する増幅手段となっており、本実施の形態においては電荷倍増機構は転送チャンネルに設けられ、CMD付き転送チャンネル55,56を形成している。
【0050】
空間フィルタ回路35は、前記被写体の画像信号を空間フィルタ処理するフィルタリング手段となっている。
【0051】
減算回路37は、前記空間フィルタ処理の対象となる注目画素の画素値と前記フィルタリング手段による前記画像情報のフィルタ処理結果の値との差分を演算する演算手段となっている。
【0052】
比較回路40は、前記演算手段によって得られた結果と閾値とを比較する比較手段となっている。
【0053】
セレクタ回路41は、前記比較手段の結果に応じ、前記フィルタリング手段によって空間フィルタ処理された画像情報に基づくデータと、前記フィルタリング手段によって空間フィルタ処理されていない画像情報に基づくデータとのいずれかを選択し、映像信号として出力する選択出力手段となっている。
【0054】
アドレス発生回路38及び閾値格納メモリ39は、前記増幅手段の増幅率に応じて前記閾値を変更する閾値変更手段となっている。
【0055】
前記光源装置10には、前記被写体に励起光を照射する励起光照射手段としてのキセノンランプ11が設けられている。
【0056】
前記CCD型固体撮像素子26は、前記励起光を照射する事によって発生した蛍光を受光する物である。
【0057】
(作用)
以下、第1の実施の形態の作用について説明する。
【0058】
図1に示すように、光源装置10のランプ11からは、被写体を照明するための光が放射される。ランプ11から放射された光は、赤外カットフィルタ12、照明光絞り16、回転フィルタ板13を透過してスコープ20のライトガイドファイバ21に入射される。
【0059】
赤外カットフィルタ12は、赤外光をカットし、回転フィルタ板13上の各フィルタに照射される不要な熱や光を遮断する。照明光絞り16は、プロセッサ30の調光回路33から出力される絞り制御信号に応じて、光源装置10から出射される光の光量を制限し、CCD型固体撮像素子26で撮像される画像に著しい飽和が生じないようにする。
【0060】
回転フィルタ板13は、通常観察時にはRフィルタ61R、Gフィルタ61G、Bフィルタ61Bを設けた外周の領域61が光軸上に挿入され、モータ14により所定の速度で回転駆動される。これにより、通常観察時には、順次Rフィルタ61R、Gフィルタ61G、Bフィルタ61Bを設けた外周の領域62が光路上に入れられ、回転フィルタ板13から赤、緑、青の光が透過される。
【0061】
また、蛍光観察時には、回転フィルタ板13は、図示しないフィルタ位置制御回路からの信号に応じてモータ15により光軸と垂直方向に移動されることにより、内周側の領域が光軸上に挿入される。内周のG’フィルタ62G1、励起フィルタ62A、R’フィルタ62R1の挿入時には、540〜560nm、390〜450nm、600〜620nmの波長の光が順次、光源装置10から出射される。ここで、390〜450nmの光は生体組織からの自家蛍光を励起するための光である。
【0062】
スコープ20のライトガイドファイバ21に入射された光は、スコープ先端部から消化管等の被写体に照射される。被写体で散乱、反射、放射された光はスコープ先端のCCD型固体撮像素子26上で結像して撮像される。CCD型固体撮像素子26の前面には励起光カットフィルタ25が挿入されており、蛍光観察時に390〜450nmの励起光を遮断して蛍光を抽出する。
【0063】
CCD型固体撮像素子26は、回転フィルタ板13の回転に同期して図示しないCCD駆動回路により駆動され、回転フィルタ板13の内周側もしくは外周側いずれかのフィルタを透過した照射光に対応する画像信号が順次プロセッサ30に出力される。蛍光観察時に制御電圧発生回路34からの制御電圧がCMDに入力される事により、CCD型固体撮像素子26では、蓄積された電荷の増倍が行われる。
【0064】
プロセッサ30に入力された画像信号は、まずプリプロセス回路31に入力される。プリプロセス回路31ではCDS(相関2重サンプリング)等の処理により画像信号が取り出される。プリプロセス回路31から出力された信号は、A/D変換回路32によりアナログ信号からデジタル信号に変換される。
【0065】
調光回路33と制御電圧発生回路34は、モニタ上での画像が適当な明るさになるように協調して動作する。調光回路33からは光源装置10の照明光絞り16に対して絞り制御信号が送られ、制御電圧発生回路34からはスコープ20のCCD型固体撮像素子26に対してCMDの増幅率を制御するための制御電圧が送られる。CCD型固体撮像素子26では、制御電圧の値により、CMDの増幅率が決定される。
【0066】
空間フィルタ処理回路35では、図6に示すように、A/D変換回路32によりデジタル化された画像信号について、処理対象となる注目画素63を中心とした領域64に含まれる画素値の全てまたは一部を用い、フィルタ演算を行う。
【0067】
白キズノイズの除去においては、一般に平均値フィルタやメディアンフィルタが用いられる。平均値フィルタを用いた場合、空間フィルタのサイズを3画素×3画素の9画素とすると、注目画素の周辺8画素の和、または、注目画素を含む9画素の和を導出し、それを画素数で割ることにより、注目画素周辺の平均画素値がフィルタ演算値として算出される。
【0068】
メディアンフィルタを用いた場合は、空間フィルタのサイズを3画素×3画素とすると、全9画素の画素値を並べ替え、その中間値(この場合、5番目に大きい値)がフィルタ演算値として算出される。
【0069】
遅延回路36は、空間フィルタ処理回路35でフィルタ演算される前の注目画素を、空間フィルタ処理回路35におけるフィルタ処理時間分だけ遅延させる。したがって、空間フィルタ処理回路35からの注目画素のフィルタ演算値と、遅延回路36からのフィルタ演算されてない注目画素値とが、同じタイミングで出力される。
【0070】
減算回路37では、空間フィルタ処理回路35と遅延回路36からの出力信号の差の演算が行われる。この値は、注目画素に対するフィルタ演算前後の差を示している。
【0071】
白キズノイズのように注目画素値が周辺画素値に比べて著しく大きい場合には、図7に示すように注目画素値とフィルタ演算結果との差も著しく大きくなり、減算回路37からの出力値は大きくなる。
【0072】
一方、白キズノイズの無い場合は、図8に示すように、減算回路37からの出力値は小さくなる。
【0073】
図9に示すように、アドレス発生回路38は、制御電圧発生回路34から入力された現フレームにおけるCMD制御電圧の電圧レベルを制御電圧レベル判定回路44にて判定し、この判定された制御電圧レベルに応じて、異なるアドレス値を出力する。閾値格納メモリ39は、アドレスと、それに対応する閾値を複数個記憶しており、アドレス発生回路38からのアドレス入力に応じて、対応する閾値を出力する。
【0074】
CMD増幅率と撮像素子からの出力値との関係は、図10に示すように指数関数にて近似させるため、白キズノイズの無い画素65と、白キズノイズのある画素66との差67、すなわち白キズノイズ値は、CMD増幅率が大きくなる程大きくなる。そのため、複数の増幅率に応じた複数の閾値が必要となるが、アドレス発生回路38と閾値格納メモリ39により、増幅率が変動した場合においても、適切な閾値が選択される。
【0075】
比較回路40は、減算回路37からの出力値と、閾値格納メモリ39からの閾値とを比較し、減算回路37の出力値が閾値以上の場合、即ち、比較回路40は、フィルタ演算前後の値の差が閾値以上の場合、フィルタ演算後の値を選択することを示すセレクタ信号を出力する。一方、減算回路37の出力値が閾値未満の場合、即ち、フィルタ演算前後の値の差が閾値未満の場合、フィルタ演算前の値を選択することを示すセレクタ信号を出力する。
【0076】
セレクタ回路41は、比較回路40からのセレクタ信号に基づき、空間フィルタ処理回路35から出力されたフィルタ演算値か、遅延回路36から出力された注目画素値のいずれか一方を選択して、出力するセレクタ機能を有する。この回路により、白キズノイズの存在する画素からはフィルタ演算値が出力され、一方、それ以外の画素からはフィルタ演算前の画素値が出力される。
【0077】
同時化回路42は、複数の同時化用メモリに順次記憶した画像を同時に読み出すことにより、面順次画像の同時化を行う。
【0078】
同時化された画像は、図示しないガンマ補正回路においてモニタのガンマ特性を補正する変換が行われ、D/A変換回路43によりアナログ信号に変換され、モニタ50に表示される。
【0079】
通常光観察時には、モニタ50のRGBにそれぞれ赤の反射光、緑の反射光、青の反射光成分が表示される。蛍光観察時には、モニタ50のRGBにそれぞれ、狭帯域の緑の反射光、蛍光、狭帯域の赤の反射光が表示される。
【0080】
このように、第1の実施の形態では、空間フィルタ処理範囲を決定する閾値を、内視鏡装置1の撮像素子としてのCCD型固体撮像素子26のCMD増幅率により変更するようにしたため、増幅率の変化に伴い白キズノイズ値が変動した場合においても、良好に白キズノイズの除去を行うことができる。
【0081】
尚、本実施の形態では、面順次式の内視鏡装置に応用したが、同時式の内視鏡装置に応用してもよい。また、前記閾値変更手段において、アドレス発生回路38と閾値格納メモリ39とをまとめて一つの回路とし、前記増幅手段の増幅率に応じて、アドレスを介することなく閾値を変更する形式でも良いものとする。また、空間フィルタは同様の効果を示すものであれば、平均値フィルタ、メディアンフィルタに限るものではない。また、本実施例では自家蛍光観察の場合について記載したが、中心波長が415nm、540nm、610nmの3波長を利用し、生体内組織の表層付近の情報を観察するための、狭帯域光観察に用いても良い。
【0082】
(効果)
このような第1の実施の形態によれば、CMDを備えたCCD型固体撮像素子では、読み出しノイズの影響が少なく、高いS/N比の画像を得られるが、更に撮像時における撮像素子のCMD増幅率に応じて、空間フィルタ処理範囲を決定する閾値を変更しているため、CMD増幅率が変動したときでも適切に白キズノイズを除去することができ、モニタに表示される内視鏡画像の高画質化を図ることができるようになる。
【0083】
(第2の実施の形態)
図11及び図12は本発明の第2の実施の形態に係り、図11は内視鏡装置の全体構成図を示すブロック図、図12はAGC増幅率と出力値との関係を示すグラフである。
【0084】
図11及び図12を用いた本発明の第2の実施の形態の説明において、図1乃至図10に示した第1の実施の形態と同様の構成要素には同じ符号を付して説明を省略している。
【0085】
(構成)
図11に示すように、第2の実施の形態は、被写体の画像情報を増幅する増幅手段としてオートゲインコントロール(AGC)機能を有する内視鏡装置2において、オートゲインコントロール機構の増幅率の大小に関わらず、安定して白キズノイズの除去を行うことを目的とする。
【0086】
第2の実施の形態に係わる内視鏡装置2は、光源装置10と、スコープ70と、プロセッサ80と、モニタ50とを含んで構成されている。
【0087】
プロセッサ80では、A/D変換回路32の後段にAGC回路81を備えており、画像信号はプリプロセス回路31、A/D変換回路32、AGC回路81、空間フィルタ回路35または遅延回路36、セレクタ回路41、同時化回路42、D/A変換回路43の順に流れるように構成されている。また、プロセッサ80は、調光回路33、減算回路37、閾値格納メモリ82、乗算器83及び比較回路40を備えている。
【0088】
また、第2の実施の形態のスコープ70に搭載されたCCD型固体撮像素子76は、第1の実施の形態とは異なり、CMDによる増幅機構を持たない通常のCCD型固体撮像素子を用いている。
【0089】
AGC回路81は、前記CCD型固体撮像素子76から出力される画像信号の出力値に応じて増幅を行うオートゲインコントロール機構となっている。
【0090】
乗算器83は、このオートゲインコントロール機構の増幅率に応じて前記閾値を変更する。
【0091】
(作用)
以下、第2の実施の形態の作用について説明する。
CCD型固体撮像素子76からプロセッサ80に入力された画像信号は、プリプロセス回路31、A/D変換回路32を経てAGC回路81に入力される。
【0092】
調光回路33とAGC回路81では、モニタ上での画素が適当な明るさになるように協調して動作する。調光回路33から照明光絞り16に対して、絞り制御信号が送られ、AGC回路81は、適当な明るさとなるように画像を増幅するとともに、画像を増幅した増幅率を出力する。
【0093】
AGC回路81の増幅率と出力信号との関係は、図12に示すように比例関係にあるため、AGC回路81の増幅率が大きくなるほど、白キズノイズの無い画素85と白キズノイズのある画素86との差87、すなわち白キズノイズ値は大きくなり、増幅率と白キズノイズ値の関係も比例関係にある。
【0094】
閾値格納メモリ82からは、あらかじめ記憶されたAGC回路81の増幅率1倍のときの閾値が、常時読み出されている。閾値格納メモリ82からの閾値は、乗算器83によりAGC回路81の増幅率と乗算される。これにより、乗算器83は増幅率に応じた閾値を演算して比較回路40に出力する。
【0095】
例えば、増幅率が2倍になったとすると、白キズノイズ値も2倍となり、それを検出するための閾値も2倍となるよう、(閾値)×(増幅率)=(閾値)×2の演算が行われる。
【0096】
以降の処理は、第1の実施の形態と同様である。
尚、本実施の形態では、面順次式の内視鏡装置に応用したが、同時式の内視鏡装置に応用してもよいものとする。また、閾値変更手段は、第1の実施の形態のように、あらかじめ記憶された複数の閾値を、増幅率のレベルに応じて読み出すものでもよい。また、空間フィルタは同様の効果を示すものであれば、平均値フィルタ、メディアンフィルタに限るものではなくともよい。また、本実施例では自家蛍光観察の場合について記載したが、中心波長が415nm、540nm、610nmの3波長を利用し、生体内組織の表層付近の情報を観察するための、狭帯域光観察に用いても良い。
【0097】
(効果)
このような第2の実施の形態によれば、増幅手段として技術的に実現する事が容易なAGC回路を搭載した内視鏡装置において、常に、その時点でのAGC回路の増幅率に応じて空間フィルタ処理範囲を決定する閾値を変更しているため、AGC回路の増幅率が変動したときでも適切に白キズノイズを除去することができる。
【0098】
(第3の実施の形態)
図13ないし図18は本発明の第3の実施の形態に係り、図13は内視鏡装置の全体構成図を示すブロック図、図14は構造強調レベル算出回路及びフィルタ係数格納メモリの動作を示す説明図、図15はエッジ強調フィルタの説明図、図16はエッジ抽出フィルタの説明図、図17は空間フィルタ演算の説明図、図18はフィルタ係数による構造強調処理レベルの変更の説明図である。
【0099】
図13乃至図18を用いた本発明の第3の実施の形態の説明において、図1乃至図10に示した第1の実施の形態と同様の構成要素には同じ符号を付して説明を省略している。
【0100】
(構成)
第3の実施の形態は、撮像素子を用いた内視鏡装置3において、ランダムノイズを際立たせることなく構造強調処理を行うことを目的とする。
【0101】
内視鏡装置3は、光源装置10と、スコープ20と、プロセッサ90と、モニタ50とを含んで構成されている。
【0102】
プロセッサ90は、A/D変換回路32の後段に構造強調処理回路91を備えており、画像信号はプリプロセス回路31、A/D変換回路32、構造強調処理回路91、同時化回路42、D/A変換回路43の順に流れるように構成されている。また、プロセッサ90は、調光回路33、制御電圧発生回路34、構造強調レベル値算出回路92及びフィルタ係数格納メモリ93を備えている。
【0103】
構造強調処理回路91は、前記被写体の画像信号を所定のフィルタ係数に基づいて空間フィルタ処理するフィルタリング手段となっている。
【0104】
構造強調レベル値算出回路92及びフィルタ係数格納メモリ93は、前記CCD型固体撮像素子26の増幅率に応じて前記フィルタ係数を変更するフィルタ係数変更手段となっている。
【0105】
(作用)
CCD型固体撮像素子26からプロセッサ90に入力された信号は、プリプロセス回路31、A/D変換回路32を経て、デジタル信号に変換される。
【0106】
調光回路33と制御電圧発生回路34は、モニタ上での画像が適当な明るさとなるように協調して動作する。調光回路33からは光源装置10の照明光絞り16に対して絞り制御信号が送られ、制御電圧発生回路34からスコープ20のCCD型固体撮像素子26に対してCMD増幅率を制御するための制御電圧が送られる。CCD型固体撮像素子26では、制御電圧の値により、CMDの増幅率が決定される。
【0107】
構造強調レベル値算出回路92では、図14に示すように、制御電圧発生回路34から入力された現フレームにおけるCMD制御電圧を制御電圧レベル判定回路94に入力し、制御電圧レベル判定回路94より出力された電圧レベル判別信号を基にして、異なる構造強調レベルを算出する。
【0108】
制御電圧レベルと構造強調レベルの関係は、制御電圧レベルが高い、すなわち、増幅率が大きい程、構造強調処理のレベルを低い。つまり、あまり構造強調を行わないようにする。
【0109】
構造強調処理とは、エッジ成分に代表される高周波成分を強調するための画像処理であるが、ランダムノイズも高周波成分であり、第3の実施の形態の場合、制御電圧レベルが高くなるにしたがって、ランダムノイズ値も大きくなるため、構造強調処理によりランダムノイズが際立たないようにすることが必要となる。
その後、構造強調レベル値算出回路92は、算出された構造強調レベルを基に、対応するアドレス値をフィルタ係数格納メモリ93に出力する。
【0110】
フィルタ係数格納メモリ93は、図14に示すように、アドレスと、それに対応するフィルタ係数を複数個記憶しており、構造強調レベル値算出回路92からのアドレス入力に応じて、対応するフィルタ係数を出力する。
【0111】
図13に示すように、構造強調処理回路91は、フィルタ係数格納メモリ93から入力されたフィルタ係数を基に、増幅率に応じた構造強調処理を行う。構造強調処理には、一般に、エッジ強調フィルタ、もしくはエッジ抽出フィルタといった空間フィルタが用いられ、フィルタ係数値を変更する事により構造強調レベルを変更することができる。
【0112】
エッジ強調フィルタは、図15に示すように、注目画素101と、周辺画素102とのフィルタ係数の総和が1となるような空間フィルタである。
【0113】
エッジ抽出フィルタは、図16に示すように、注目画素101と、周辺画素102とのフィルタ係数の総和が0となるような空間フィルタである。空間フィルタのサイズを3画素×3画素の9画素とすると、図17のようにフィルタ係数格納メモリ93から入力されたフィルタ係数K11,K12,K13,K21,K22,K23,K31,K32,K33と、注目画素101のフィルタ演算領域の画像データa,b,c,d,e,f,g,h,iに対して以下の式(1)演算を行うことにより、注目画素101のフィルタ演算値が算出される。
【0114】
e1=aK11+bK12+cK13+dK21+eK22+fK23+gK31+hK32+iK33 …(1)
また、図18に示すように、構造強調レベルは、フィルタ係数の総和を保ったまま注目画素101と周辺画素102との差を変動させることにより、変更することが可能である。
【0115】
以降の処理は、第1の実施の形態と同様である。
このように、第3の実施の形態では、構造強調処理を行うための空間フィルタ係数を、内視鏡装置3の撮像素子としてのCCD型固体撮像素子26のCMD増幅率により変更するようにしたため、増幅率の変化に伴いランダムノイズ値が変動した場合においても、ランダムノイズを際立たせず構造強調処理を行うことができる。
【0116】
なお、構造強調レベルは、前記のような自動変更モード以外に、図示しないスイッチの操作による手動変更モードと併用できるものでもよいものとする。
【0117】
また、第3の実施の形態において、CMD付CCD型固体撮像素子のかわりに、前記CCD型固体撮像素子26から出力される画像情報の出力値に応じて増幅を行うオートゲインコントロール機構を設け、構造強調レベル値算出回路92及びフィルタ係数格納メモリ93は、前記オートゲインコントロール機構の増幅率に応じて前記フィルタ係数を変更するように構成してもよい。
【0118】
また、本実施形態では、面順次式の内視鏡装置に応用したが、同時式の内視鏡装置に応用してもよい。空間フィルタとしては、画像の平滑化処理を行うことを目的とした平滑化フィルタでもよいものとする。また、増幅手段は、オートゲインコントロール機構でもよいものとする。また、本実施例では自家蛍光観察の場合について記載したが、中心波長が415nm、540nm、610nmの3波長を利用し、生体内組織の表層付近の情報を観察するための、狭帯域光観察に用いても良い。
【0119】
(効果)
このような第3の実施の形態によれば、常に、その時点での撮像素子のCMD増幅率に応じて、構造強調処理のレベル値を変更しているため、CMD増幅率が変動したときでもランダムノイズを際立たせず構造強調処理を行うことができる。特に内視鏡装置では、生体組織の微細構造や血管網を観察することから、蛍光観察のような微弱光観察において、ランダムノイズの影響を少なくして構造強調処理を行うことのできる本実施形態は有用である。
【0120】
【発明の効果】
以上述べた様に本発明によれば、増幅手段の増幅率によらず、常に安定して白キズノイズの除去、もしくは、ランダムノイズが際立たない構造強調処理等、増幅率の影響を受けない空間フィルタ処理を行うことができ、内視鏡画像の高画質化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る内視鏡装置の概略の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるCCD型固体撮像素子の説明図。
【図3】本発明の第1の実施の形態における回転フィルタ板の正面図。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるRGBフィルタの透過特性を説明するグラフ図。
【図5】本発明の第1の実施の形態における蛍光観察用フィルタの透過特性を説明するグラフ図。
【図6】本発明の第1の実施の形態における空間フィルタの説明図。
【図7】本発明の第1の実施の形態における白キズノイズのある画素における減算回路の出力の説明図。
【図8】本発明の第1の実施の形態における白キズノイズの無い画素における減算回路の出力の説明図。
【図9】本発明の第1の実施の形態におけるアドレス発生回路及び閾値格納メモリの動作を示す説明図。
【図10】本発明の第1の実施の形態におけるCMD増幅率と出力値との関係を示すグラフ。
【図11】本発明の第2の実施の形態における内視鏡装置の全体構成図を示すブロック図。
【図12】本発明の第2の実施の形態におけるAGC増幅率と出力値との関係を示すグラフ。
【図13】本発明の第3の実施の形態における内視鏡装置の全体構成図を示すブロック図。
【図14】本発明の第3の実施の形態における構造強調レベル算出回路及びフィルタ係数格納メモリの動作を示す説明図。
【図15】本発明の第3の実施の形態におけるエッジ強調フィルタの説明図。
【図16】本発明の第3の実施の形態におけるエッジ抽出フィルタの説明図。
【図17】本発明の第3の実施の形態における空間フィルタ演算の説明図。
【図18】本発明の第3の実施の形態におけるフィルタ係数による構造強調処理レベルの変更の説明図。
【符号の説明】
1 …内視鏡装置
10 …光源装置
20 …スコープ
26 …CCD型固体撮像素子
30 …プロセッサ
31 …プリプロセス回路
32 …A/D変換回路
33 …調光回路
34 …制御電圧発生回路
35 …空間フィルタ回路
36 …遅延回路
37 …減算回路
38 …アドレス発生回路
39 …閾値格納メモリ
40 …比較回路
41 …セレクタ回路
42 …同時化回路
43 …D/A変換回路
50 …モニタ
55,56 …CMD付き転送チャンネル
【発明の属する技術分野】
本発明は、被写体に照明光を照射することにより被写体から得られる光を撮像素子で受光して画像を得る内視鏡装置に係り、撮像素子による被写体の画像情報の増幅制御をする場合に好適な内視鏡装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、体腔内にスコープを挿入することにより、食道、胃、小腸、大腸などの消化管や肺等の気管を観察し、必要に応じて処置具チャンネル内に挿通した処置具を用いて各種の治療処理を行う事が出来る内視鏡が広く利用されている。
【0003】
特に、電荷結合素子(CCD)等の固体撮像素子を用いた電子内視鏡は、モニタ上に広く画像を表示でき、内視鏡を操作する術者の疲労が少ないために広く利用されている。
【0004】
また、内視鏡による診断では、肉眼で見えるものと同様のカラー画像をモニタに表示する通常観察の他に、自家蛍光観察も行われ始めている。自家蛍光観察は、紫外から青色の励起光を生体組織に当てたときに発生する自家蛍光の性質が正常粘膜と腫瘍とで異なることを利用して診断を行う観察方法である。
【0005】
ところで、近年では、素子外から制御パルスを入力することにより、素子内に蓄積された信号電荷の増幅率を制御できるCCD型固体撮像素子が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
このようなCCD型固体撮像素子では、素子内に配置されたCMD(Charge Multiplication Device)においてイオン化を利用した電荷の増倍が可能となっている。
【0007】
CMDを画素毎に配置した場合、画素毎に増幅をすることが可能である。また、CMDを転送チャンネルに配置して転送ライン毎に増幅することも可能である。
【0008】
また、最近では、制御パルスではなく、電圧値によってCMDを制御できるCCD型固体撮像素子も提案されている。CMDを備えたCCD型固体撮像素子では、電荷の読み出し前に増幅が行われるので、CCD型固体撮像素子外で増幅を行うよりも読み出しノイズの影響が少なくなり、高いS/N比の画像が得られるというメリットがある。そのためCMDを備えたCCD型固体撮像素子では、高感度での撮像が可能で、微弱光の撮像に適している。
【0009】
また、内視鏡装置には、オートゲインコントロール機構を備えているものもある。オートゲインコントロール機構とは、固体撮像素子から出力された画像信号の明るさが不足していると判断した場合、画像信号を基に増幅率を演算し、画像信号に乗算する事で電気的に画像信号に増幅をかけてモニタ上の映像の明るさを一定に保つよう自動調整を行う機構である。このように、内視鏡装置には、オートゲインコントロール機構を用いて微弱光の撮像を行うものもある。
【0010】
しかしながら、前記のようなCMDを用いた撮像素子やオートゲインコントロール機構を利用した場合には、撮像素子の画素欠陥である白キズノイズの値も大きく増幅されてしまうために、増幅機構を持たない装置を利用した場合には分からないような白キズノイズも固定パターンとして目立ってしまうことがあった。
そこで、空間フィルタを用いて、注目画素に対して平滑化、メディアン値への置換といったフィルタ演算を行うことで、白キズノイズを補正する画像処理も行われている。
【0011】
また、内視鏡装置には、画像信号のエッジ成分に代表される高周波成分を強調するための構造強調処理回路が搭載されているものもある。
【0012】
構造強調処理には、一般にエッジ強調やエッジ抽出を行うための空間フィルタが用いられるが、撮像素子やオートゲインコントロール機構を利用した場合には、高周波成分であるランダムノイズの値も大きく増幅されてしまう。空間フィルタを用いた内視鏡装置には、構造強調処理にてランダムノイズが際立たないように、構造強調処理レベルの変更を、術者または補助者が手動にて行っている。
【0013】
【特許文献1】
米国特許第5337340号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような増幅機構を備えた内視鏡装置では、白キズノイズの補正において、空間フィルタによる処理を画像全体に行った場合、白キズノイズが無く、補正する必要の無い箇所に関しても処理を行うため、例えば、平均値フィルタ、メディアンフィルタを使用した場合には、白キズノイズは除去できるものの、画像全体が平滑化されてしまうといった問題があった。それに対処する方法として、閾値を用いて空間フィルタ処理範囲を制限する方法もあるが、白キズノイズ値は増幅機構の増幅率に大きく依存し、増幅率の増加に伴って白キズノイズ値も大きくなる。従って、単一の閾値を用いた場合、閾値を低い増幅率の画像で最適となるように設定すると、高い増幅率の画像では過剰に補正され、逆に、閾値を高い増幅率の画像で最適となるように設定すると、低い増幅率の画像では白キズノイズの一部が補正されずに残るといった問題があった。
【0015】
また、従来の内視鏡装置で構造強調処理を行う場合においては、高周波成分であるランダムノイズも増幅機構により増幅されるため、画像信号のうち、ランダムノイズを際立たせず、しかも被写体情報については画像強調処理を行う設定にするために、術者または補助者が頻繁にスイッチ操作を行う必要があり、調整に手間がかかり、また増幅率の変動に応じて再調整する必要があるといった課題があった。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、被写体の画像情報を増幅する手段を有する内視鏡装置において、増幅手段の増幅率によらず、安定して白キズノイズの除去を行うことができる内視鏡装置を提供することを目的とする。
【0017】
また、本発明は、構造強調処理を行ったときにもランダムノイズを際立たせないようすることができる内視鏡装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため請求項1に記載の内視鏡装置は、被写体に照明光を照射する為の光源装置と、前記被写体を撮像する為の撮像素子と、前記撮像素子による被写体の画像情報を増幅する増幅手段と、前記被写体の画像信号を空間フィルタ処理するフィルタリング手段と、前記空間フィルタ処理の対象となる注目画素の画素値と前記フィルタリング手段による前記画像情報のフィルタ処理結果の値との差分を演算する演算手段と、この演算手段によって得られた結果と閾値とを比較する比較手段と、この比較手段の結果に応じ、前記フィルタリング手段によって空間フィルタ処理された画像情報に基づくデータと、前記フィルタリング手段によって空間フィルタ処理されていない画像情報に基づくデータとのいずれかを選択し、映像信号として出力する選択出力手段と、前記増幅手段の増幅率に応じて前記閾値を変更する閾値変更手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項2に記載の内視鏡装置は、被写体に照明光を照射する為の光源装置と、前記被写体を撮像する為の撮像素子と、前記撮像素子による被写体の画像情報を増幅する増幅手段と、前記被写体の画像信号を所定のフィルタ係数に基づいて空間フィルタ処理するフィルタリング手段と、前記増幅手段の増幅率に応じて前記フィルタ係数を変更するフィルタ係数変更手段と、を備える事を特徴とする。
【0020】
請求項3に記載の内視鏡装置は、請求項1又は2記載の内視鏡装置であって、前記増幅手段として、前記撮像素子の内部には電荷を増倍する事によって前記画像情報を増幅する電荷増倍機構が設けられ、この電荷増倍機構の電荷増倍率に応じて前記閾値又はフィルタ係数を変更する事を特徴とする。
【0021】
請求項4に記載の内視鏡装置は、請求項1又は2記載の内視鏡装置であって、前記増幅手段として、前記撮像素子から出力される画像信号の出力値に応じて増幅を行うオートゲインコントロール機構が設けられ、このオートゲインコントロール機構の増幅率に応じて前記閾値又はフィルタ係数を変更する事を特徴とする。
【0022】
請求項5に記載の内視鏡装置は、請求項1ないし4のいずれか一つに記載の内視鏡装置であって、前記光源装置には、前記被写体に励起光を照射する励起光照射手段が設けられ、前記撮像素子は、前記励起光を照射する事によって発生した蛍光を受光することを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1ないし図10は本発明の第1の実施の形態に係り、図1は内視鏡装置の全体構成図を示すブロック図、図2はCCD型固体撮像素子の説明図、図3は回転フィルタ板の正面図、図4はRGBフィルタの透過特性を説明するグラフ、図5は蛍光観察用フィルタの透過特性を説明するグラフ、図6は空間フィルタの説明図、図7は白キズノイズのある画素における減算回路の出力の説明図、図8は白キズノイズの無い画素における減算回路の出力の説明図、図9はアドレス発生回路及び閾値格納メモリの動作を示す説明図、図10はCMD増幅率と出力値との関係を示すグラフである。
【0024】
(構成)
図1に示すように、第1の実施の形態は、撮像素子を用いた内視鏡装置1において、撮像素子が有する電荷増倍機構の増幅率の大小に関わらず、安定して白キズノイズの除去を行うことを目的としたものである。
【0025】
内視鏡装置1は、光源装置10と、スコープ20と、プロセッサ30と、モニタ50とを含んで構成されている。
【0026】
光源装置10は、観察用の光を発する。スコープ20は、体腔内に挿入して撮像を行うためのものである。プロセッサ30は、スコープ20の撮像素子で得られた画像信号の信号処理等を行う。モニタ50はプロセッサ30により処理された画像を表示する。
【0027】
さらに詳細に説明すると、光源装置10は、キセノンランプ11と、赤外カットフィルタ12と、回転フィルタ板13と、モータ14,15と、照明光絞り16と、集光レンズ17とを含んで構成されている。
【0028】
キセノンランプ11は、光源となっており、照明光を放射する。
赤外カットフィルタ12は、ランプ11の照明光路上に設けられ、照明光の透過波長を制限する。
【0029】
回転フィルタ板13は、ランプ11の照明光路上の赤外カットフィルタ12の前方に設けられている。
【0030】
モータ14は、回転フィルタ板13を回転させ、ランプ11の照明光路上に適切なフィルタを設けるためのものである。モータ15は回転フィルタ板13を光軸に対して垂直方向に移動するためのもである。
【0031】
照明光絞り16は、赤外カットフィルタ12と回転フィルタ板13との間に設けられ、赤外カットフィルタ12から回転フィルタ板13に向かう照明光の光量を調節する。
【0032】
集光レンズ17は回転フィルタ板13を透過した照明光を集光してスコープ20のライトガイドファイバ21の基端側に入射させる。
【0033】
スコープ20は、ライトガイドファイバ21と、挿入部22を備えている。挿入部22は、生体内に挿入可能な細長の形状に形成されている。
【0034】
挿入部22の先端には、照明レンズ23と、対物レンズ24と、励起光カットフィルタ25と、CCD型固体撮像素子26とを備えている。
【0035】
ライトガイドファイバ21は、集光レンズ17を介して入射した照明光を透過させ、挿入部22の先端側に導く。ライトガイドファイバ21の先端側に導かれた照明光は照明レンズ23で被写体の適切な範囲に照射される。対物レンズ24は、照明光により照明された被写体からの光をCCD型固体撮像素子26の撮像面に結像させる。
【0036】
励起光カットフィルタ25は、対物レンズ24とCCD型固体撮像素子26の間に設けられ、対物レンズ24からの光に対して、460nm以下の波長の光を遮断して励起光を除去する。
【0037】
CCD型固体撮像素子26は、被写体からの光を撮像する。
前記CCD型固体撮像素子26は、米国特許第5337340号に記載されているように、CMD(Charge Multiplying Detector )と呼ばれる電荷増倍機構を有している。CMDは水平転送路、または画素毎に搭載され、プロセッサから順次印加された高電界パルスが、蓄積された信号電荷を荷電子帯の電子に衝突させ、衝突電離により2次電子を生成させる。1パルスの印加で2次電子の生成が連鎖反応的に生じるアバランシェ効果とは異なり、衝突電離を使用した電荷増倍機構の場合には、1パルスの印加で1組の電子−正孔対が生成されるのみであるため、印加するパルスの電圧値(振幅)、またはパルス数を制御する事により、信号電荷数を任意の値に増幅する事が可能となる。本実施例においては、水平転送路に設けられたCMDへ印加するパルスの電圧値を変動させる事により、前記電荷増倍機構の電荷増倍率を変更できるようになっている。
【0038】
プロセッサ30は、プリプロセス回路31、A/D変換回路32、調光回路33、制御電圧発生回路34、空間フィルタ回路35、遅延回路36、減算回路37、アドレス発生回路38、閾値格納メモリ39、比較回路40、セレクタ回路41、同時化回路42及びD/A変換回路43を備えている。
【0039】
プロセッサ30は、プリプロセス回路31、アナログ/デジタル変換回路(以下、A/D変換回路と呼ぶ)32、空間フィルタ回路35または遅延回路36、セレクタ回路41、同時化回路42、デジタル/アナログ変換回路(以下、D/A変換回路と呼ぶ)43の順に画像信号が流れるように構成されている。
【0040】
図2に示すように、CCD型固体撮像素子26は、受光エリア51と、水平転送チャンネル53,54と、CMD付き転送チャンネル55,56と電荷検出部57,58とを含んで構成される。
【0041】
受光エリア51の左側から奇数番目の垂直レジスタ52は水平転送チャンネル53とCMD付き転送チャンネル55を介して電荷検出部57に接続される。
【0042】
受光エリア51の左側から偶数番目の垂直レジスタ52は水平転送チャンネル54と、CMD付き転送チャンネル56を介して電荷検出部58に接続される。
【0043】
これにより、水平転送チャンネル53,54と、CMD付き転送チャンネル55,56とは水平レジスタを構成している。
【0044】
CCD型固体撮像素子26は、CMDが水平レジスタに配置されており、外部からの制御電圧により増幅が可能な撮像素子となっている。
【0045】
図3に示すように、回転フィルタ板13には、外周の領域61にそれぞれ赤、緑、青の波長を透過するRフィルタ61R、Gフィルタ61G、Bフィルタ61Bが配置されている。内周の領域62には540〜560nmの狭帯域光を透過するG’フィルタ62G1、390〜450nmの励起光を透過する励起フィルタ62A、600〜620nmの狭帯域光を透過するR’フィルタ62R1が配置されている。
【0046】
外周の領域61のRフィルタ61R、Gフィルタ61G及びBフィルタ61Bの分光特性は図4に示すように比較的広帯域となっている。内周の領域62のG’フィルタ62G1、励起フィルタ62A及びR’フィルタ62R1の分光特性は図5に示すように狭帯域になっている。
【0047】
回転フィルタ板13の各フィルタが配置されている以外の部分は、光を遮光する部材63により構成されている。
【0048】
このような構成により、光源装置10は、被写体に照明光を照射する。
CCD型固体撮像素子26は、前記被写体を撮像する為の撮像素子となっている。
【0049】
CCD型固体撮像素子26に設けられる電荷倍増機構(CMD)は、撮像素子による被写体の画像情報を増幅する増幅手段となっており、本実施の形態においては電荷倍増機構は転送チャンネルに設けられ、CMD付き転送チャンネル55,56を形成している。
【0050】
空間フィルタ回路35は、前記被写体の画像信号を空間フィルタ処理するフィルタリング手段となっている。
【0051】
減算回路37は、前記空間フィルタ処理の対象となる注目画素の画素値と前記フィルタリング手段による前記画像情報のフィルタ処理結果の値との差分を演算する演算手段となっている。
【0052】
比較回路40は、前記演算手段によって得られた結果と閾値とを比較する比較手段となっている。
【0053】
セレクタ回路41は、前記比較手段の結果に応じ、前記フィルタリング手段によって空間フィルタ処理された画像情報に基づくデータと、前記フィルタリング手段によって空間フィルタ処理されていない画像情報に基づくデータとのいずれかを選択し、映像信号として出力する選択出力手段となっている。
【0054】
アドレス発生回路38及び閾値格納メモリ39は、前記増幅手段の増幅率に応じて前記閾値を変更する閾値変更手段となっている。
【0055】
前記光源装置10には、前記被写体に励起光を照射する励起光照射手段としてのキセノンランプ11が設けられている。
【0056】
前記CCD型固体撮像素子26は、前記励起光を照射する事によって発生した蛍光を受光する物である。
【0057】
(作用)
以下、第1の実施の形態の作用について説明する。
【0058】
図1に示すように、光源装置10のランプ11からは、被写体を照明するための光が放射される。ランプ11から放射された光は、赤外カットフィルタ12、照明光絞り16、回転フィルタ板13を透過してスコープ20のライトガイドファイバ21に入射される。
【0059】
赤外カットフィルタ12は、赤外光をカットし、回転フィルタ板13上の各フィルタに照射される不要な熱や光を遮断する。照明光絞り16は、プロセッサ30の調光回路33から出力される絞り制御信号に応じて、光源装置10から出射される光の光量を制限し、CCD型固体撮像素子26で撮像される画像に著しい飽和が生じないようにする。
【0060】
回転フィルタ板13は、通常観察時にはRフィルタ61R、Gフィルタ61G、Bフィルタ61Bを設けた外周の領域61が光軸上に挿入され、モータ14により所定の速度で回転駆動される。これにより、通常観察時には、順次Rフィルタ61R、Gフィルタ61G、Bフィルタ61Bを設けた外周の領域62が光路上に入れられ、回転フィルタ板13から赤、緑、青の光が透過される。
【0061】
また、蛍光観察時には、回転フィルタ板13は、図示しないフィルタ位置制御回路からの信号に応じてモータ15により光軸と垂直方向に移動されることにより、内周側の領域が光軸上に挿入される。内周のG’フィルタ62G1、励起フィルタ62A、R’フィルタ62R1の挿入時には、540〜560nm、390〜450nm、600〜620nmの波長の光が順次、光源装置10から出射される。ここで、390〜450nmの光は生体組織からの自家蛍光を励起するための光である。
【0062】
スコープ20のライトガイドファイバ21に入射された光は、スコープ先端部から消化管等の被写体に照射される。被写体で散乱、反射、放射された光はスコープ先端のCCD型固体撮像素子26上で結像して撮像される。CCD型固体撮像素子26の前面には励起光カットフィルタ25が挿入されており、蛍光観察時に390〜450nmの励起光を遮断して蛍光を抽出する。
【0063】
CCD型固体撮像素子26は、回転フィルタ板13の回転に同期して図示しないCCD駆動回路により駆動され、回転フィルタ板13の内周側もしくは外周側いずれかのフィルタを透過した照射光に対応する画像信号が順次プロセッサ30に出力される。蛍光観察時に制御電圧発生回路34からの制御電圧がCMDに入力される事により、CCD型固体撮像素子26では、蓄積された電荷の増倍が行われる。
【0064】
プロセッサ30に入力された画像信号は、まずプリプロセス回路31に入力される。プリプロセス回路31ではCDS(相関2重サンプリング)等の処理により画像信号が取り出される。プリプロセス回路31から出力された信号は、A/D変換回路32によりアナログ信号からデジタル信号に変換される。
【0065】
調光回路33と制御電圧発生回路34は、モニタ上での画像が適当な明るさになるように協調して動作する。調光回路33からは光源装置10の照明光絞り16に対して絞り制御信号が送られ、制御電圧発生回路34からはスコープ20のCCD型固体撮像素子26に対してCMDの増幅率を制御するための制御電圧が送られる。CCD型固体撮像素子26では、制御電圧の値により、CMDの増幅率が決定される。
【0066】
空間フィルタ処理回路35では、図6に示すように、A/D変換回路32によりデジタル化された画像信号について、処理対象となる注目画素63を中心とした領域64に含まれる画素値の全てまたは一部を用い、フィルタ演算を行う。
【0067】
白キズノイズの除去においては、一般に平均値フィルタやメディアンフィルタが用いられる。平均値フィルタを用いた場合、空間フィルタのサイズを3画素×3画素の9画素とすると、注目画素の周辺8画素の和、または、注目画素を含む9画素の和を導出し、それを画素数で割ることにより、注目画素周辺の平均画素値がフィルタ演算値として算出される。
【0068】
メディアンフィルタを用いた場合は、空間フィルタのサイズを3画素×3画素とすると、全9画素の画素値を並べ替え、その中間値(この場合、5番目に大きい値)がフィルタ演算値として算出される。
【0069】
遅延回路36は、空間フィルタ処理回路35でフィルタ演算される前の注目画素を、空間フィルタ処理回路35におけるフィルタ処理時間分だけ遅延させる。したがって、空間フィルタ処理回路35からの注目画素のフィルタ演算値と、遅延回路36からのフィルタ演算されてない注目画素値とが、同じタイミングで出力される。
【0070】
減算回路37では、空間フィルタ処理回路35と遅延回路36からの出力信号の差の演算が行われる。この値は、注目画素に対するフィルタ演算前後の差を示している。
【0071】
白キズノイズのように注目画素値が周辺画素値に比べて著しく大きい場合には、図7に示すように注目画素値とフィルタ演算結果との差も著しく大きくなり、減算回路37からの出力値は大きくなる。
【0072】
一方、白キズノイズの無い場合は、図8に示すように、減算回路37からの出力値は小さくなる。
【0073】
図9に示すように、アドレス発生回路38は、制御電圧発生回路34から入力された現フレームにおけるCMD制御電圧の電圧レベルを制御電圧レベル判定回路44にて判定し、この判定された制御電圧レベルに応じて、異なるアドレス値を出力する。閾値格納メモリ39は、アドレスと、それに対応する閾値を複数個記憶しており、アドレス発生回路38からのアドレス入力に応じて、対応する閾値を出力する。
【0074】
CMD増幅率と撮像素子からの出力値との関係は、図10に示すように指数関数にて近似させるため、白キズノイズの無い画素65と、白キズノイズのある画素66との差67、すなわち白キズノイズ値は、CMD増幅率が大きくなる程大きくなる。そのため、複数の増幅率に応じた複数の閾値が必要となるが、アドレス発生回路38と閾値格納メモリ39により、増幅率が変動した場合においても、適切な閾値が選択される。
【0075】
比較回路40は、減算回路37からの出力値と、閾値格納メモリ39からの閾値とを比較し、減算回路37の出力値が閾値以上の場合、即ち、比較回路40は、フィルタ演算前後の値の差が閾値以上の場合、フィルタ演算後の値を選択することを示すセレクタ信号を出力する。一方、減算回路37の出力値が閾値未満の場合、即ち、フィルタ演算前後の値の差が閾値未満の場合、フィルタ演算前の値を選択することを示すセレクタ信号を出力する。
【0076】
セレクタ回路41は、比較回路40からのセレクタ信号に基づき、空間フィルタ処理回路35から出力されたフィルタ演算値か、遅延回路36から出力された注目画素値のいずれか一方を選択して、出力するセレクタ機能を有する。この回路により、白キズノイズの存在する画素からはフィルタ演算値が出力され、一方、それ以外の画素からはフィルタ演算前の画素値が出力される。
【0077】
同時化回路42は、複数の同時化用メモリに順次記憶した画像を同時に読み出すことにより、面順次画像の同時化を行う。
【0078】
同時化された画像は、図示しないガンマ補正回路においてモニタのガンマ特性を補正する変換が行われ、D/A変換回路43によりアナログ信号に変換され、モニタ50に表示される。
【0079】
通常光観察時には、モニタ50のRGBにそれぞれ赤の反射光、緑の反射光、青の反射光成分が表示される。蛍光観察時には、モニタ50のRGBにそれぞれ、狭帯域の緑の反射光、蛍光、狭帯域の赤の反射光が表示される。
【0080】
このように、第1の実施の形態では、空間フィルタ処理範囲を決定する閾値を、内視鏡装置1の撮像素子としてのCCD型固体撮像素子26のCMD増幅率により変更するようにしたため、増幅率の変化に伴い白キズノイズ値が変動した場合においても、良好に白キズノイズの除去を行うことができる。
【0081】
尚、本実施の形態では、面順次式の内視鏡装置に応用したが、同時式の内視鏡装置に応用してもよい。また、前記閾値変更手段において、アドレス発生回路38と閾値格納メモリ39とをまとめて一つの回路とし、前記増幅手段の増幅率に応じて、アドレスを介することなく閾値を変更する形式でも良いものとする。また、空間フィルタは同様の効果を示すものであれば、平均値フィルタ、メディアンフィルタに限るものではない。また、本実施例では自家蛍光観察の場合について記載したが、中心波長が415nm、540nm、610nmの3波長を利用し、生体内組織の表層付近の情報を観察するための、狭帯域光観察に用いても良い。
【0082】
(効果)
このような第1の実施の形態によれば、CMDを備えたCCD型固体撮像素子では、読み出しノイズの影響が少なく、高いS/N比の画像を得られるが、更に撮像時における撮像素子のCMD増幅率に応じて、空間フィルタ処理範囲を決定する閾値を変更しているため、CMD増幅率が変動したときでも適切に白キズノイズを除去することができ、モニタに表示される内視鏡画像の高画質化を図ることができるようになる。
【0083】
(第2の実施の形態)
図11及び図12は本発明の第2の実施の形態に係り、図11は内視鏡装置の全体構成図を示すブロック図、図12はAGC増幅率と出力値との関係を示すグラフである。
【0084】
図11及び図12を用いた本発明の第2の実施の形態の説明において、図1乃至図10に示した第1の実施の形態と同様の構成要素には同じ符号を付して説明を省略している。
【0085】
(構成)
図11に示すように、第2の実施の形態は、被写体の画像情報を増幅する増幅手段としてオートゲインコントロール(AGC)機能を有する内視鏡装置2において、オートゲインコントロール機構の増幅率の大小に関わらず、安定して白キズノイズの除去を行うことを目的とする。
【0086】
第2の実施の形態に係わる内視鏡装置2は、光源装置10と、スコープ70と、プロセッサ80と、モニタ50とを含んで構成されている。
【0087】
プロセッサ80では、A/D変換回路32の後段にAGC回路81を備えており、画像信号はプリプロセス回路31、A/D変換回路32、AGC回路81、空間フィルタ回路35または遅延回路36、セレクタ回路41、同時化回路42、D/A変換回路43の順に流れるように構成されている。また、プロセッサ80は、調光回路33、減算回路37、閾値格納メモリ82、乗算器83及び比較回路40を備えている。
【0088】
また、第2の実施の形態のスコープ70に搭載されたCCD型固体撮像素子76は、第1の実施の形態とは異なり、CMDによる増幅機構を持たない通常のCCD型固体撮像素子を用いている。
【0089】
AGC回路81は、前記CCD型固体撮像素子76から出力される画像信号の出力値に応じて増幅を行うオートゲインコントロール機構となっている。
【0090】
乗算器83は、このオートゲインコントロール機構の増幅率に応じて前記閾値を変更する。
【0091】
(作用)
以下、第2の実施の形態の作用について説明する。
CCD型固体撮像素子76からプロセッサ80に入力された画像信号は、プリプロセス回路31、A/D変換回路32を経てAGC回路81に入力される。
【0092】
調光回路33とAGC回路81では、モニタ上での画素が適当な明るさになるように協調して動作する。調光回路33から照明光絞り16に対して、絞り制御信号が送られ、AGC回路81は、適当な明るさとなるように画像を増幅するとともに、画像を増幅した増幅率を出力する。
【0093】
AGC回路81の増幅率と出力信号との関係は、図12に示すように比例関係にあるため、AGC回路81の増幅率が大きくなるほど、白キズノイズの無い画素85と白キズノイズのある画素86との差87、すなわち白キズノイズ値は大きくなり、増幅率と白キズノイズ値の関係も比例関係にある。
【0094】
閾値格納メモリ82からは、あらかじめ記憶されたAGC回路81の増幅率1倍のときの閾値が、常時読み出されている。閾値格納メモリ82からの閾値は、乗算器83によりAGC回路81の増幅率と乗算される。これにより、乗算器83は増幅率に応じた閾値を演算して比較回路40に出力する。
【0095】
例えば、増幅率が2倍になったとすると、白キズノイズ値も2倍となり、それを検出するための閾値も2倍となるよう、(閾値)×(増幅率)=(閾値)×2の演算が行われる。
【0096】
以降の処理は、第1の実施の形態と同様である。
尚、本実施の形態では、面順次式の内視鏡装置に応用したが、同時式の内視鏡装置に応用してもよいものとする。また、閾値変更手段は、第1の実施の形態のように、あらかじめ記憶された複数の閾値を、増幅率のレベルに応じて読み出すものでもよい。また、空間フィルタは同様の効果を示すものであれば、平均値フィルタ、メディアンフィルタに限るものではなくともよい。また、本実施例では自家蛍光観察の場合について記載したが、中心波長が415nm、540nm、610nmの3波長を利用し、生体内組織の表層付近の情報を観察するための、狭帯域光観察に用いても良い。
【0097】
(効果)
このような第2の実施の形態によれば、増幅手段として技術的に実現する事が容易なAGC回路を搭載した内視鏡装置において、常に、その時点でのAGC回路の増幅率に応じて空間フィルタ処理範囲を決定する閾値を変更しているため、AGC回路の増幅率が変動したときでも適切に白キズノイズを除去することができる。
【0098】
(第3の実施の形態)
図13ないし図18は本発明の第3の実施の形態に係り、図13は内視鏡装置の全体構成図を示すブロック図、図14は構造強調レベル算出回路及びフィルタ係数格納メモリの動作を示す説明図、図15はエッジ強調フィルタの説明図、図16はエッジ抽出フィルタの説明図、図17は空間フィルタ演算の説明図、図18はフィルタ係数による構造強調処理レベルの変更の説明図である。
【0099】
図13乃至図18を用いた本発明の第3の実施の形態の説明において、図1乃至図10に示した第1の実施の形態と同様の構成要素には同じ符号を付して説明を省略している。
【0100】
(構成)
第3の実施の形態は、撮像素子を用いた内視鏡装置3において、ランダムノイズを際立たせることなく構造強調処理を行うことを目的とする。
【0101】
内視鏡装置3は、光源装置10と、スコープ20と、プロセッサ90と、モニタ50とを含んで構成されている。
【0102】
プロセッサ90は、A/D変換回路32の後段に構造強調処理回路91を備えており、画像信号はプリプロセス回路31、A/D変換回路32、構造強調処理回路91、同時化回路42、D/A変換回路43の順に流れるように構成されている。また、プロセッサ90は、調光回路33、制御電圧発生回路34、構造強調レベル値算出回路92及びフィルタ係数格納メモリ93を備えている。
【0103】
構造強調処理回路91は、前記被写体の画像信号を所定のフィルタ係数に基づいて空間フィルタ処理するフィルタリング手段となっている。
【0104】
構造強調レベル値算出回路92及びフィルタ係数格納メモリ93は、前記CCD型固体撮像素子26の増幅率に応じて前記フィルタ係数を変更するフィルタ係数変更手段となっている。
【0105】
(作用)
CCD型固体撮像素子26からプロセッサ90に入力された信号は、プリプロセス回路31、A/D変換回路32を経て、デジタル信号に変換される。
【0106】
調光回路33と制御電圧発生回路34は、モニタ上での画像が適当な明るさとなるように協調して動作する。調光回路33からは光源装置10の照明光絞り16に対して絞り制御信号が送られ、制御電圧発生回路34からスコープ20のCCD型固体撮像素子26に対してCMD増幅率を制御するための制御電圧が送られる。CCD型固体撮像素子26では、制御電圧の値により、CMDの増幅率が決定される。
【0107】
構造強調レベル値算出回路92では、図14に示すように、制御電圧発生回路34から入力された現フレームにおけるCMD制御電圧を制御電圧レベル判定回路94に入力し、制御電圧レベル判定回路94より出力された電圧レベル判別信号を基にして、異なる構造強調レベルを算出する。
【0108】
制御電圧レベルと構造強調レベルの関係は、制御電圧レベルが高い、すなわち、増幅率が大きい程、構造強調処理のレベルを低い。つまり、あまり構造強調を行わないようにする。
【0109】
構造強調処理とは、エッジ成分に代表される高周波成分を強調するための画像処理であるが、ランダムノイズも高周波成分であり、第3の実施の形態の場合、制御電圧レベルが高くなるにしたがって、ランダムノイズ値も大きくなるため、構造強調処理によりランダムノイズが際立たないようにすることが必要となる。
その後、構造強調レベル値算出回路92は、算出された構造強調レベルを基に、対応するアドレス値をフィルタ係数格納メモリ93に出力する。
【0110】
フィルタ係数格納メモリ93は、図14に示すように、アドレスと、それに対応するフィルタ係数を複数個記憶しており、構造強調レベル値算出回路92からのアドレス入力に応じて、対応するフィルタ係数を出力する。
【0111】
図13に示すように、構造強調処理回路91は、フィルタ係数格納メモリ93から入力されたフィルタ係数を基に、増幅率に応じた構造強調処理を行う。構造強調処理には、一般に、エッジ強調フィルタ、もしくはエッジ抽出フィルタといった空間フィルタが用いられ、フィルタ係数値を変更する事により構造強調レベルを変更することができる。
【0112】
エッジ強調フィルタは、図15に示すように、注目画素101と、周辺画素102とのフィルタ係数の総和が1となるような空間フィルタである。
【0113】
エッジ抽出フィルタは、図16に示すように、注目画素101と、周辺画素102とのフィルタ係数の総和が0となるような空間フィルタである。空間フィルタのサイズを3画素×3画素の9画素とすると、図17のようにフィルタ係数格納メモリ93から入力されたフィルタ係数K11,K12,K13,K21,K22,K23,K31,K32,K33と、注目画素101のフィルタ演算領域の画像データa,b,c,d,e,f,g,h,iに対して以下の式(1)演算を行うことにより、注目画素101のフィルタ演算値が算出される。
【0114】
e1=aK11+bK12+cK13+dK21+eK22+fK23+gK31+hK32+iK33 …(1)
また、図18に示すように、構造強調レベルは、フィルタ係数の総和を保ったまま注目画素101と周辺画素102との差を変動させることにより、変更することが可能である。
【0115】
以降の処理は、第1の実施の形態と同様である。
このように、第3の実施の形態では、構造強調処理を行うための空間フィルタ係数を、内視鏡装置3の撮像素子としてのCCD型固体撮像素子26のCMD増幅率により変更するようにしたため、増幅率の変化に伴いランダムノイズ値が変動した場合においても、ランダムノイズを際立たせず構造強調処理を行うことができる。
【0116】
なお、構造強調レベルは、前記のような自動変更モード以外に、図示しないスイッチの操作による手動変更モードと併用できるものでもよいものとする。
【0117】
また、第3の実施の形態において、CMD付CCD型固体撮像素子のかわりに、前記CCD型固体撮像素子26から出力される画像情報の出力値に応じて増幅を行うオートゲインコントロール機構を設け、構造強調レベル値算出回路92及びフィルタ係数格納メモリ93は、前記オートゲインコントロール機構の増幅率に応じて前記フィルタ係数を変更するように構成してもよい。
【0118】
また、本実施形態では、面順次式の内視鏡装置に応用したが、同時式の内視鏡装置に応用してもよい。空間フィルタとしては、画像の平滑化処理を行うことを目的とした平滑化フィルタでもよいものとする。また、増幅手段は、オートゲインコントロール機構でもよいものとする。また、本実施例では自家蛍光観察の場合について記載したが、中心波長が415nm、540nm、610nmの3波長を利用し、生体内組織の表層付近の情報を観察するための、狭帯域光観察に用いても良い。
【0119】
(効果)
このような第3の実施の形態によれば、常に、その時点での撮像素子のCMD増幅率に応じて、構造強調処理のレベル値を変更しているため、CMD増幅率が変動したときでもランダムノイズを際立たせず構造強調処理を行うことができる。特に内視鏡装置では、生体組織の微細構造や血管網を観察することから、蛍光観察のような微弱光観察において、ランダムノイズの影響を少なくして構造強調処理を行うことのできる本実施形態は有用である。
【0120】
【発明の効果】
以上述べた様に本発明によれば、増幅手段の増幅率によらず、常に安定して白キズノイズの除去、もしくは、ランダムノイズが際立たない構造強調処理等、増幅率の影響を受けない空間フィルタ処理を行うことができ、内視鏡画像の高画質化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る内視鏡装置の概略の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるCCD型固体撮像素子の説明図。
【図3】本発明の第1の実施の形態における回転フィルタ板の正面図。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるRGBフィルタの透過特性を説明するグラフ図。
【図5】本発明の第1の実施の形態における蛍光観察用フィルタの透過特性を説明するグラフ図。
【図6】本発明の第1の実施の形態における空間フィルタの説明図。
【図7】本発明の第1の実施の形態における白キズノイズのある画素における減算回路の出力の説明図。
【図8】本発明の第1の実施の形態における白キズノイズの無い画素における減算回路の出力の説明図。
【図9】本発明の第1の実施の形態におけるアドレス発生回路及び閾値格納メモリの動作を示す説明図。
【図10】本発明の第1の実施の形態におけるCMD増幅率と出力値との関係を示すグラフ。
【図11】本発明の第2の実施の形態における内視鏡装置の全体構成図を示すブロック図。
【図12】本発明の第2の実施の形態におけるAGC増幅率と出力値との関係を示すグラフ。
【図13】本発明の第3の実施の形態における内視鏡装置の全体構成図を示すブロック図。
【図14】本発明の第3の実施の形態における構造強調レベル算出回路及びフィルタ係数格納メモリの動作を示す説明図。
【図15】本発明の第3の実施の形態におけるエッジ強調フィルタの説明図。
【図16】本発明の第3の実施の形態におけるエッジ抽出フィルタの説明図。
【図17】本発明の第3の実施の形態における空間フィルタ演算の説明図。
【図18】本発明の第3の実施の形態におけるフィルタ係数による構造強調処理レベルの変更の説明図。
【符号の説明】
1 …内視鏡装置
10 …光源装置
20 …スコープ
26 …CCD型固体撮像素子
30 …プロセッサ
31 …プリプロセス回路
32 …A/D変換回路
33 …調光回路
34 …制御電圧発生回路
35 …空間フィルタ回路
36 …遅延回路
37 …減算回路
38 …アドレス発生回路
39 …閾値格納メモリ
40 …比較回路
41 …セレクタ回路
42 …同時化回路
43 …D/A変換回路
50 …モニタ
55,56 …CMD付き転送チャンネル
Claims (5)
- 被写体に照明光を照射する為の光源装置と、
前記被写体を撮像する為の撮像素子と、
前記撮像素子による被写体の画像情報を増幅する増幅手段と、
前記被写体の画像信号を空間フィルタ処理するフィルタリング手段と、
前記空間フィルタ処理の対象となる注目画素の画素値と前記フィルタリング手段による前記画像情報のフィルタ処理結果の値との差分を演算する演算手段と、
この演算手段によって得られた結果と閾値とを比較する比較手段と、
この比較手段の結果に応じ、前記フィルタリング手段によって空間フィルタ処理された画像情報に基づくデータと、前記フィルタリング手段によって空間フィルタ処理されていない画像情報に基づくデータとのいずれかを選択し、映像信号として出力する選択出力手段と、
前記増幅手段の増幅率に応じて前記閾値を変更する閾値変更手段と、を備えることを特徴とする内視鏡装置。 - 被写体に照明光を照射する為の光源装置と、
前記被写体を撮像する為の撮像素子と、
前記撮像素子による被写体の画像情報を増幅する増幅手段と、
前記被写体の画像信号を所定のフィルタ係数に基づいて空間フィルタ処理するフィルタリング手段と、
前記増幅手段の増幅率に応じて前記フィルタ係数を変更するフィルタ係数変更手段と、を備える事を特徴とする内視鏡装置。 - 前記増幅手段として、前記撮像素子の内部には電荷を増倍する事によって前記画像情報を増幅する電荷増倍機構が設けられ、
この電荷増倍機構の電荷増倍率に応じて前記閾値又はフィルタ係数を変更する事を特徴とする請求項1又は2記載の内視鏡装置。 - 前記増幅手段として、前記撮像素子から出力される画像信号の出力値に応じて増幅を行うオートゲインコントロール機構が設けられ、
このオートゲインコントロール機構の増幅率に応じて前記閾値又はフィルタ係数を変更する事を特徴とする請求項1又は2記載の内視鏡装置。 - 前記光源装置には、前記被写体に励起光を照射する励起光照射手段が設けられ、
前記撮像素子は、前記励起光を照射する事によって発生した蛍光を受光することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の内視鏡装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2021192644A1 (ja) * | 2020-03-27 | 2021-09-30 | Hoya株式会社 | 内視鏡及び内視鏡システム |
-
2003
- 2003-04-15 JP JP2003110772A patent/JP2004313413A/ja active Pending
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