JP2004313154A - 沙漠地帯・乾燥地帯における緑化のための水の供給装置 - Google Patents
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Abstract
【目的】水の少ない沙漠等で植物の育成に必要な水を供給する装置を提供する。
【構成】植物の根の張る場所に配置された冷水を通過させる通水管と、この通水管に冷水を送るポンプで構成され、冷水が通ることにより通水管周辺が冷され凝縮された水を植物に与える。
【選択図】 図2
【構成】植物の根の張る場所に配置された冷水を通過させる通水管と、この通水管に冷水を送るポンプで構成され、冷水が通ることにより通水管周辺が冷され凝縮された水を植物に与える。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乾燥地、例えば沙漠地帯で植物、例として農作物を育てる時に必要な水の供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
水の少ない沙漠漠等で植物、例えば農産物を育てる場合、一番の問題点は農産物に供給しなければならない水である。アメリカ等では水の少ない場所で農産物を育成する場合、地下水を汲み上げたり、遠くの場所からパイプを引いて水を通し、スプリンクラーで農産物に水を供給している。スプリンクラーでは農産物が必要とする水以上の水が畑に撒かれており、無駄となっている水の方が多く、その殆どは蒸発しているのである。従って水がある程度豊富になければこの方法は採用することが出来ない。沙漠の多くの所は、パイプを引いて水を通すための水源がない場所が圧倒的に多いのである。
【0003】
畑に水を通すパイプを張り、このパイプに穴を開け農作物が生えている場所に点滴のように水を供給する装置がある。この装置によれば水をスプリンクラーのように撒き散らすのではないから、はるかに少ない水で農産物を沙漠等で育成することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
農産物を育てるには常時水を絶対に必要とする。スプリンクラーでは大量の水が消費されるから、この方法により水を供給する場所は限定され、地下水や近隣に豊富な水がないと農産物には水を供給することは出来ない。点滴により農産物に供給する方法でも、水は消費されるのであるから近くに水源がなければ育てる事は出来ない。
【0005】
本発明は前記課題を達成するためになされたものであって、水の少ない場所で水を消費させずに植物、例えば農作物に水を供給することを目的としている。
【課題を達成するための手段】
本発明は前記目的を達成するために、
その1として、植物の根の張る場所に配置された冷水が通る通水管と、この通水管に冷水を送るポンプとで構成され、冷水が通ることにより通水管周辺が冷され凝縮された水を植物に供給することとし、
その2として、植物の根の張る場所に配置される海水が通る通水管と、この通水管に温度の低い海水を送るポンプとで構成され、温度の低い海水が通ることにより通水管周辺が冷されて凝縮した水を植物に供給することとし、
その3として、植物の根の張る場所に配置される冷水が通る通水管と、この通水管に冷水を送るポンプと、通水管に送る水を冷やす冷却装置とで構成され、冷水が通る通水管周辺が冷されて凝縮された水を植物に与えることとし、
その4として、ポンプに必要な電力が太陽電池、風力発電等の自然エネルギーにより得た電力により供給されることとし、
その5として冷却装置に必要な電力が太陽電池、風力発電等の自然エネルギーにより得た電力により供給されることとし、
その6として、冷却装置がペルチェ素子又は冷媒を使用することにより構成されることとしている。
【発明の実施の形態】
【作用】
本発明は植物、例えば農産物を育てるのに必要な水を供給するのではなく、その現場で得るところに従来技術に無い著しい特徴がある。冷蔵庫で冷したコップを表に出し、しばらくするとコップの表面に水滴が付着する。これは大気中の水蒸気が冷されてこのコップ近くの湿度が100%以上となり、これを超える水蒸気が凝縮され水滴となってコップの表面に付着するためである。湿度が100%といっても、この時の温度が高い場合と温度が低い場合とでは、大気中の水蒸気の量は異なる。湿度が同じ値であっても温度の高い方が水蒸気の量は多く含まれ、温度が低いと水蒸気が含まれる量は少ない。このために温度の低いコップを大気中に置くと、この周辺の温度が下がって湿度が100%以上となり、これを超える水蒸気が水滴となってコップの表面に付着するのである。
【0007】
以下、本発明を図面に示す実施例に基づき詳細に説明をする。図1には本発明の原理が示されており、冷たい水が流れる通水管1が土壌2の中に埋設されている断面が示されている。水が少ない場所、例えば沙漠の土壌2は乾燥しており通気性は良い。沙漠の温度は昼間50℃を超える場合があり、この時通水管1に冷たい水が流れると、通水管1の周辺の土壌2が冷される。土壌2が冷されると、この土壌2に含まれている空気も冷され、この空気に含まれている水蒸気が凝縮されて水に変化する。この水は通水管1の周辺の土壌2に吸収される。勿論、通水管1の周辺の土壌2に含まれている空気に水蒸気が無い場合には、凝縮された水を得ることは出来ないが、自然の土壌の空気には水蒸気がまったく存在しないところは無い。水分が少ない土壌2は通気性が良く、沙漠等では昼間と夜間の温度差が大きく、夜間に夜露が降りて土壌中の空気に湿度を与える。従って通水管1の周辺の空気が冷されて凝縮されても、土壌2には大気中の水蒸気が供給される事となる。通水管1の周辺の土壌には、凝縮した水が簡単に蒸発しないように保水剤を混合させた方が、水が有効に農作物に供給される。
【0008】
図2には海水を利用して植物を育てるのに必要な水を得る手段が示されている。海水には塩分が含まれており、これは直接植物を育てる水として利用することはできない。このために傍に海があっても、従来の技術では沙漠に植物、例えば農産物を育てることは出来なかったのである。沙漠では昼間太陽光が直接照らしているときは温度が50℃を超えることがある。この時の海水の温度は表面でも30℃を越えることはなく、深さが40〜50mでは20℃以下の温度の所もある。海の傍の沙漠では昼は陸の方が温度は高いために、海から沙漠の方に風が吹く。海の上では海水が蒸発した水蒸気が豊富にあり、これが沙漠に流れる。海の傍の沙漠では水は少なくても、この大気中には水蒸気が多く含まれているのである。沙漠に棲息している昆虫や小動物はこれを知っており、海から陸に吹く風の中で体に付着する水滴を得て生命を維持している。図2で示されているポンプPの運転を開始すると、吸水管10から貯水槽11に海水が汲み上げられる。この海水の温度は低い方がより多くの水蒸気を凝縮することができるため、できるだけ海の深いところから汲み上げた方が良い。貯水槽11は大気中の温度の影響を受けないように断熱剤でカバーをする。農作物が育てられる列の下には通水管1が図2に示されるように埋設されている。埋設されている通水管1の深さは農作物の種類によって異なるが、その農作物が根を張る深さにするのが一番良い。通水管1は図面左から右方向に向かって少しずつ低くなっており(100mで1m位下がる。)、貯水槽11をある程度高い所に設置をすれば、通水管1及び戻管3にはポンプ等の動力がなくても流れる。戻管3を通過した海水は海へと戻される。
【0009】
前記したように沙漠の昼間の温度は50℃を超える場合があり、ここに温度が例えば20℃の海水が通水管1を通過すると、温度差は30℃もある。温度差が30℃もあれば、通水管1の周辺にある土壌に含まれている空気中の水蒸気は凝縮されて水になり、土壌に吸収されて農作物が利用することが可能となる。土壌中の空気の水蒸気は、前記したように夜間夜露により供給される。この水供給装置で注意すべきことは、海水が通水管1や戻管3から絶対に洩れないようにすることである。海水がこれらの管から洩れて土壌に流れると、海水を含んだ土壌を総て除去しなければ農作物を育てることは不可能となってしまうからである。
【0010】
沙漠の近くに海がある場合は少なく、傍に海がない沙漠の方がはるかに多い。図3に示される水の供給装置は、近くに真水や海水がない場合であっても農作物に必要な水を得ることができるものである。この水の供給装置は水を蓄える貯水槽4と、育てる農作物の下に埋設された通水管1及び戻管3、通水管1の中に水を通過させるためのポンプPと、通水管1を流れる水を冷やす冷却装置6とで構成されている。
【0011】
貯水槽4内に蓄えられている水は、農産物が育つ列の下に配置されている通水管1、戻管3及びポンプを通過して、再び貯水槽4に戻る循環水となっている。通水管1の中を通過する水は温度が低い冷水でなければ、通水管1の周りに凝縮による水が出来ない。いくら最初に温度の低い水を通水管1等に通過させてもすぐにこの水は温まってしまい、凝縮が生じなくなってしまう。そこでこの水の供給装置では、図3に示されているように水の冷却装置6により、貯水槽4内の水を冷却することとしているのである。冷却することにより貯水槽4内の水の温度を低くすれば、通水管1に流れる水が冷され、この周りに凝縮が生じて農産物に必要な水が得られる。貯水槽1の外壁は日光等の影響により温度が上昇しないように断熱剤等を使用することは当然のことである。冷却装置6は冷媒を使用した装置でも、半導体を使用したペルチェ素子を利用したものでもよい。この水の供給装置は、貯水槽4や通水管1の水はこれらを完全密閉とすれば、減ることはない。最初に必要な水は用意しなければならないが、その後は水を原理的には必要としないのである。従って、海から遠くの場所であっても農作物に水を供給することができるのである。
【0011】
従来沙漠では電気を必要とすることが非常に少なく、ここに発電所から電気を送る送電線が設置されてはいない。水の供給装置に必要なポンプや冷却装置は、エンジンで動かすよりも、電気で動かすものの方がメインテナンスは容易である。しかし、送電線を設置するのでは費用が莫大となってしまう。沙漠は幸いにも有り余る広い土地がある。水が少ないということは雨が少ないことであり、晴れの日が多い。また、邪魔な建物はなく、温度が上がることから上昇気流が発生し、風が吹く。このような所に太陽電池や風力発電を行う風車を設置すれば、かなりの量の電力を得ることができる。そこで、水の供給装置に使用するポンプと冷却装置の電力は太陽電池や風力発電等の自然エネルギーでまかなう事としたのである。
【0012】
今までの実施例は水の少ない沙漠等で、農産物に必要な水を得る手段の説明である。図4には必要な水を獲得し、これを利用して農産物を育成する時の断面が画かれている。図面一番下には、現地の土壌20がありこの上には固化撥水土壌19が敷き詰められる。これはソフトな粒状の材料で構成されており、圧力を加えると他の粒子と一体となって水を通さなくなる。雨が降った場合にこれを浸透させずこれから上の所に水を保持させる役割がある。固化撥水土壌19の上には保水性のあるミネラル土壌18の層がある。
【0013】
保水性のあるミネラル土壌18の中を通水管1は設置されている。通水管1の周辺に凝縮された水ができるから、これをできるだけ他に逃げないように、通水管1の上下には保水剤を含有しているのである。ここの土壌にミネラルを含有させているのは、農作物は水に溶けた状態でなければミネラル分を吸収しないからである。凝縮された水ができる部分に栄養分を置けば、ミネラルが他に流出することなく農産物に吸収されるのである。ミネラル土壌18の上の層には現地の砂や土壌17が敷かれる。農産物には地表から根まで、茎がありある程度の深さを必要とする。この深さを保つには土壌を敷く必要性があり、これは深さを保つためであるから現地の砂や土壌17としたのである。この農地の最上部の層15、つまり地表にはある程度重い小石が敷き詰められる。これは風により砂や土壌17、ミネラル土壌18が風に飛ばされないようにするためである。夜間になると夜露が降りるが、この水分がなるべく地中に染み込むようにするため、地表には小石のように水を吸い込まないようなものが良い。
【0014】
農産物の中には風により飛ばされる砂塵により、葉や実が傷み枯れてしまう場合がある。そこで飛んでくる砂塵から護るために、ビニールハウスのように保護シート14を設けている。この保護シート14は通気性があり透明で、農産物は通過した光で炭酸同化作用を行うことができる。
【0015】
図5には育成管30の断面が画かれている。育成管30の中の表面はこの他の地表15より低くなっている。これはここで育てる苗29の段階で直射日光が強く照射すると枯れる場合があるから、これを育成管30により影を作っているのである。また他の地表15の温度が暑くなっても、この温度が直接苗29に加わらないように保護するためである。
【0016】
以上記載した実施例について主に農産物を例に説明をしたが、本発明により育成することができるのは、農産物に限られない。例えば砂塵が飛ぶのを防ぐために植林をしたり、芝の一種を植えることが行われるが、このような植物を育成する手段としても利用することができる。また、草食動物に必要な草を育てる場合でもよい。
【0017】
【発明の効果】
本発明は前記実施例に示すように構成することにより、水が非常に少ない砂漠等であっても、凝縮により必要な水を得ることができ、植物を育成することができ、農産物の増産を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷水で凝縮した水を得る原理図
【図2】海水で植物を育成するために必要な水を得る手段を示した図
【図3】循環する水で植物を育成するために必要な水を得る手段を示した図
【図4】実際に植物を育成する時の断面図
【図5】育成管の断面図
【符号の説明】
1・・通水管 2・・土壌 3・・戻管 4、11・・貯水槽
6・・冷却装置 14・・保護シート 18・・保水性ミネラル土壌
19・・固化撥水土壌 30・・育成管
【発明の属する技術分野】
本発明は、乾燥地、例えば沙漠地帯で植物、例として農作物を育てる時に必要な水の供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
水の少ない沙漠漠等で植物、例えば農産物を育てる場合、一番の問題点は農産物に供給しなければならない水である。アメリカ等では水の少ない場所で農産物を育成する場合、地下水を汲み上げたり、遠くの場所からパイプを引いて水を通し、スプリンクラーで農産物に水を供給している。スプリンクラーでは農産物が必要とする水以上の水が畑に撒かれており、無駄となっている水の方が多く、その殆どは蒸発しているのである。従って水がある程度豊富になければこの方法は採用することが出来ない。沙漠の多くの所は、パイプを引いて水を通すための水源がない場所が圧倒的に多いのである。
【0003】
畑に水を通すパイプを張り、このパイプに穴を開け農作物が生えている場所に点滴のように水を供給する装置がある。この装置によれば水をスプリンクラーのように撒き散らすのではないから、はるかに少ない水で農産物を沙漠等で育成することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
農産物を育てるには常時水を絶対に必要とする。スプリンクラーでは大量の水が消費されるから、この方法により水を供給する場所は限定され、地下水や近隣に豊富な水がないと農産物には水を供給することは出来ない。点滴により農産物に供給する方法でも、水は消費されるのであるから近くに水源がなければ育てる事は出来ない。
【0005】
本発明は前記課題を達成するためになされたものであって、水の少ない場所で水を消費させずに植物、例えば農作物に水を供給することを目的としている。
【課題を達成するための手段】
本発明は前記目的を達成するために、
その1として、植物の根の張る場所に配置された冷水が通る通水管と、この通水管に冷水を送るポンプとで構成され、冷水が通ることにより通水管周辺が冷され凝縮された水を植物に供給することとし、
その2として、植物の根の張る場所に配置される海水が通る通水管と、この通水管に温度の低い海水を送るポンプとで構成され、温度の低い海水が通ることにより通水管周辺が冷されて凝縮した水を植物に供給することとし、
その3として、植物の根の張る場所に配置される冷水が通る通水管と、この通水管に冷水を送るポンプと、通水管に送る水を冷やす冷却装置とで構成され、冷水が通る通水管周辺が冷されて凝縮された水を植物に与えることとし、
その4として、ポンプに必要な電力が太陽電池、風力発電等の自然エネルギーにより得た電力により供給されることとし、
その5として冷却装置に必要な電力が太陽電池、風力発電等の自然エネルギーにより得た電力により供給されることとし、
その6として、冷却装置がペルチェ素子又は冷媒を使用することにより構成されることとしている。
【発明の実施の形態】
【作用】
本発明は植物、例えば農産物を育てるのに必要な水を供給するのではなく、その現場で得るところに従来技術に無い著しい特徴がある。冷蔵庫で冷したコップを表に出し、しばらくするとコップの表面に水滴が付着する。これは大気中の水蒸気が冷されてこのコップ近くの湿度が100%以上となり、これを超える水蒸気が凝縮され水滴となってコップの表面に付着するためである。湿度が100%といっても、この時の温度が高い場合と温度が低い場合とでは、大気中の水蒸気の量は異なる。湿度が同じ値であっても温度の高い方が水蒸気の量は多く含まれ、温度が低いと水蒸気が含まれる量は少ない。このために温度の低いコップを大気中に置くと、この周辺の温度が下がって湿度が100%以上となり、これを超える水蒸気が水滴となってコップの表面に付着するのである。
【0007】
以下、本発明を図面に示す実施例に基づき詳細に説明をする。図1には本発明の原理が示されており、冷たい水が流れる通水管1が土壌2の中に埋設されている断面が示されている。水が少ない場所、例えば沙漠の土壌2は乾燥しており通気性は良い。沙漠の温度は昼間50℃を超える場合があり、この時通水管1に冷たい水が流れると、通水管1の周辺の土壌2が冷される。土壌2が冷されると、この土壌2に含まれている空気も冷され、この空気に含まれている水蒸気が凝縮されて水に変化する。この水は通水管1の周辺の土壌2に吸収される。勿論、通水管1の周辺の土壌2に含まれている空気に水蒸気が無い場合には、凝縮された水を得ることは出来ないが、自然の土壌の空気には水蒸気がまったく存在しないところは無い。水分が少ない土壌2は通気性が良く、沙漠等では昼間と夜間の温度差が大きく、夜間に夜露が降りて土壌中の空気に湿度を与える。従って通水管1の周辺の空気が冷されて凝縮されても、土壌2には大気中の水蒸気が供給される事となる。通水管1の周辺の土壌には、凝縮した水が簡単に蒸発しないように保水剤を混合させた方が、水が有効に農作物に供給される。
【0008】
図2には海水を利用して植物を育てるのに必要な水を得る手段が示されている。海水には塩分が含まれており、これは直接植物を育てる水として利用することはできない。このために傍に海があっても、従来の技術では沙漠に植物、例えば農産物を育てることは出来なかったのである。沙漠では昼間太陽光が直接照らしているときは温度が50℃を超えることがある。この時の海水の温度は表面でも30℃を越えることはなく、深さが40〜50mでは20℃以下の温度の所もある。海の傍の沙漠では昼は陸の方が温度は高いために、海から沙漠の方に風が吹く。海の上では海水が蒸発した水蒸気が豊富にあり、これが沙漠に流れる。海の傍の沙漠では水は少なくても、この大気中には水蒸気が多く含まれているのである。沙漠に棲息している昆虫や小動物はこれを知っており、海から陸に吹く風の中で体に付着する水滴を得て生命を維持している。図2で示されているポンプPの運転を開始すると、吸水管10から貯水槽11に海水が汲み上げられる。この海水の温度は低い方がより多くの水蒸気を凝縮することができるため、できるだけ海の深いところから汲み上げた方が良い。貯水槽11は大気中の温度の影響を受けないように断熱剤でカバーをする。農作物が育てられる列の下には通水管1が図2に示されるように埋設されている。埋設されている通水管1の深さは農作物の種類によって異なるが、その農作物が根を張る深さにするのが一番良い。通水管1は図面左から右方向に向かって少しずつ低くなっており(100mで1m位下がる。)、貯水槽11をある程度高い所に設置をすれば、通水管1及び戻管3にはポンプ等の動力がなくても流れる。戻管3を通過した海水は海へと戻される。
【0009】
前記したように沙漠の昼間の温度は50℃を超える場合があり、ここに温度が例えば20℃の海水が通水管1を通過すると、温度差は30℃もある。温度差が30℃もあれば、通水管1の周辺にある土壌に含まれている空気中の水蒸気は凝縮されて水になり、土壌に吸収されて農作物が利用することが可能となる。土壌中の空気の水蒸気は、前記したように夜間夜露により供給される。この水供給装置で注意すべきことは、海水が通水管1や戻管3から絶対に洩れないようにすることである。海水がこれらの管から洩れて土壌に流れると、海水を含んだ土壌を総て除去しなければ農作物を育てることは不可能となってしまうからである。
【0010】
沙漠の近くに海がある場合は少なく、傍に海がない沙漠の方がはるかに多い。図3に示される水の供給装置は、近くに真水や海水がない場合であっても農作物に必要な水を得ることができるものである。この水の供給装置は水を蓄える貯水槽4と、育てる農作物の下に埋設された通水管1及び戻管3、通水管1の中に水を通過させるためのポンプPと、通水管1を流れる水を冷やす冷却装置6とで構成されている。
【0011】
貯水槽4内に蓄えられている水は、農産物が育つ列の下に配置されている通水管1、戻管3及びポンプを通過して、再び貯水槽4に戻る循環水となっている。通水管1の中を通過する水は温度が低い冷水でなければ、通水管1の周りに凝縮による水が出来ない。いくら最初に温度の低い水を通水管1等に通過させてもすぐにこの水は温まってしまい、凝縮が生じなくなってしまう。そこでこの水の供給装置では、図3に示されているように水の冷却装置6により、貯水槽4内の水を冷却することとしているのである。冷却することにより貯水槽4内の水の温度を低くすれば、通水管1に流れる水が冷され、この周りに凝縮が生じて農産物に必要な水が得られる。貯水槽1の外壁は日光等の影響により温度が上昇しないように断熱剤等を使用することは当然のことである。冷却装置6は冷媒を使用した装置でも、半導体を使用したペルチェ素子を利用したものでもよい。この水の供給装置は、貯水槽4や通水管1の水はこれらを完全密閉とすれば、減ることはない。最初に必要な水は用意しなければならないが、その後は水を原理的には必要としないのである。従って、海から遠くの場所であっても農作物に水を供給することができるのである。
【0011】
従来沙漠では電気を必要とすることが非常に少なく、ここに発電所から電気を送る送電線が設置されてはいない。水の供給装置に必要なポンプや冷却装置は、エンジンで動かすよりも、電気で動かすものの方がメインテナンスは容易である。しかし、送電線を設置するのでは費用が莫大となってしまう。沙漠は幸いにも有り余る広い土地がある。水が少ないということは雨が少ないことであり、晴れの日が多い。また、邪魔な建物はなく、温度が上がることから上昇気流が発生し、風が吹く。このような所に太陽電池や風力発電を行う風車を設置すれば、かなりの量の電力を得ることができる。そこで、水の供給装置に使用するポンプと冷却装置の電力は太陽電池や風力発電等の自然エネルギーでまかなう事としたのである。
【0012】
今までの実施例は水の少ない沙漠等で、農産物に必要な水を得る手段の説明である。図4には必要な水を獲得し、これを利用して農産物を育成する時の断面が画かれている。図面一番下には、現地の土壌20がありこの上には固化撥水土壌19が敷き詰められる。これはソフトな粒状の材料で構成されており、圧力を加えると他の粒子と一体となって水を通さなくなる。雨が降った場合にこれを浸透させずこれから上の所に水を保持させる役割がある。固化撥水土壌19の上には保水性のあるミネラル土壌18の層がある。
【0013】
保水性のあるミネラル土壌18の中を通水管1は設置されている。通水管1の周辺に凝縮された水ができるから、これをできるだけ他に逃げないように、通水管1の上下には保水剤を含有しているのである。ここの土壌にミネラルを含有させているのは、農作物は水に溶けた状態でなければミネラル分を吸収しないからである。凝縮された水ができる部分に栄養分を置けば、ミネラルが他に流出することなく農産物に吸収されるのである。ミネラル土壌18の上の層には現地の砂や土壌17が敷かれる。農産物には地表から根まで、茎がありある程度の深さを必要とする。この深さを保つには土壌を敷く必要性があり、これは深さを保つためであるから現地の砂や土壌17としたのである。この農地の最上部の層15、つまり地表にはある程度重い小石が敷き詰められる。これは風により砂や土壌17、ミネラル土壌18が風に飛ばされないようにするためである。夜間になると夜露が降りるが、この水分がなるべく地中に染み込むようにするため、地表には小石のように水を吸い込まないようなものが良い。
【0014】
農産物の中には風により飛ばされる砂塵により、葉や実が傷み枯れてしまう場合がある。そこで飛んでくる砂塵から護るために、ビニールハウスのように保護シート14を設けている。この保護シート14は通気性があり透明で、農産物は通過した光で炭酸同化作用を行うことができる。
【0015】
図5には育成管30の断面が画かれている。育成管30の中の表面はこの他の地表15より低くなっている。これはここで育てる苗29の段階で直射日光が強く照射すると枯れる場合があるから、これを育成管30により影を作っているのである。また他の地表15の温度が暑くなっても、この温度が直接苗29に加わらないように保護するためである。
【0016】
以上記載した実施例について主に農産物を例に説明をしたが、本発明により育成することができるのは、農産物に限られない。例えば砂塵が飛ぶのを防ぐために植林をしたり、芝の一種を植えることが行われるが、このような植物を育成する手段としても利用することができる。また、草食動物に必要な草を育てる場合でもよい。
【0017】
【発明の効果】
本発明は前記実施例に示すように構成することにより、水が非常に少ない砂漠等であっても、凝縮により必要な水を得ることができ、植物を育成することができ、農産物の増産を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷水で凝縮した水を得る原理図
【図2】海水で植物を育成するために必要な水を得る手段を示した図
【図3】循環する水で植物を育成するために必要な水を得る手段を示した図
【図4】実際に植物を育成する時の断面図
【図5】育成管の断面図
【符号の説明】
1・・通水管 2・・土壌 3・・戻管 4、11・・貯水槽
6・・冷却装置 14・・保護シート 18・・保水性ミネラル土壌
19・・固化撥水土壌 30・・育成管
Claims (6)
- 植物の根の張る場所に配置された冷水が通る通水管と、この通水管に冷水を送るポンプとで構成され、冷水が通ることにより通水管周辺が冷され凝縮された水が植物に与えられること特徴とする沙漠地帯・乾燥地帯における緑化のための水の供給装置。
- 植物の根の張る場所に配置される海水が通る通水管と、この通水管に温度の低い海水を送るポンプとで構成され、温度の低い海水が通ることにより通水管周辺が冷され凝縮された水が植物に与えられることを特徴とする沙漠地帯・乾燥地帯における緑化のための水の供給装置。
- 植物の根の張る場所に配置される冷水が通る通水管と、この通水管に冷水を送るポンプと、通水管に送る水を冷やす冷却装置とで構成され、冷水が通る通水管周辺が冷され凝縮された水が植物に与えられることを特徴とする沙漠地帯・乾燥地帯における緑化のための水の供給装置。
- 太陽電池又は風力発電等の自然エネルギーにより得られる電力がポンプに供給される請求項1、請求項2及び請求項3に記載された沙漠地帯・乾燥地帯における緑化のための水の供給装置。
- 太陽電池又は風力発電等の自然エネルギーにより得られる電力が冷却装置に供給される請求項3に記載された沙漠地帯・乾燥地帯における緑化のための水の供給装置。
- ペルチェ素子又は冷媒を使用した冷却装置である請求項3に記載された沙漠地帯・乾燥地帯における緑化のための水の供給装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003146999A JP2004313154A (ja) | 2003-04-17 | 2003-04-17 | 沙漠地帯・乾燥地帯における緑化のための水の供給装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003146999A JP2004313154A (ja) | 2003-04-17 | 2003-04-17 | 沙漠地帯・乾燥地帯における緑化のための水の供給装置 |
Publications (1)
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ID=33475337
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003146999A Pending JP2004313154A (ja) | 2003-04-17 | 2003-04-17 | 沙漠地帯・乾燥地帯における緑化のための水の供給装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004313154A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103518587A (zh) * | 2013-10-16 | 2014-01-22 | 杨永健 | 一种沙漠植树机 |
CN105961145A (zh) * | 2016-06-30 | 2016-09-28 | 余庆县惠农果蔬销售农民专业合作社 | 蔬菜种植浇灌装置 |
JP2017522042A (ja) * | 2014-07-31 | 2017-08-10 | ネルソン・マーク | 垂直植物配列のためのアセンブリ |
-
2003
- 2003-04-17 JP JP2003146999A patent/JP2004313154A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103518587A (zh) * | 2013-10-16 | 2014-01-22 | 杨永健 | 一种沙漠植树机 |
JP2017522042A (ja) * | 2014-07-31 | 2017-08-10 | ネルソン・マーク | 垂直植物配列のためのアセンブリ |
CN105961145A (zh) * | 2016-06-30 | 2016-09-28 | 余庆县惠农果蔬销售农民专业合作社 | 蔬菜种植浇灌装置 |
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