JP2004311350A - バッテリ装置および携帯機器 - Google Patents

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忠満 畦間
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Abstract

【課題】供給電流の大電流化に対応することができ、かつ、二次電池の異常発熱時に給電を確実に停止することができる保護機能付きのバッテリ装置を提供するすること。
【解決手段】並列接続された2個の二次電池1を直列に複数組接続することによって電池群2を構成し、この電池群2に電流ヒューズ3を直列接続すると共に、これら電池群2と電流ヒューズ3との直列回路にノーマルオープン型熱応動スイッチ4を並列に接続した。このように構成されたバッテリ装置の保護回路によれば、電池群2のいずれかの二次電池1が異常発熱したときに、ノーマルオープン型熱応動スイッチ4がこの発熱を検知してスイッチオン状態に切り替わり、電池群2と電流ヒューズ3およびオン動作したノーマルオープン型熱応動スイッチ4とで閉回路が形成されるため、この閉回路を流れる電池群2からの短絡電流Iによって電流ヒューズ3を溶断して各二次電池1からの給電を確実に停止することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の二次電池を備えたバッテリ装置とこのバッテリ装置を用いた携帯機器に係り、特に、二次電池が異常発熱しても支障をきたさないように配慮した保護装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の二次電池は放電状態の電池を充電することによって繰り返し使用できる電池であり、このような二次電池を直列または並列に接続した電池群を備えたバッテリ装置は、ノート型パソコンやビデオカメラ等の携帯機器の電源として広く用いられている。
【0003】
従来より、この種のバッテリ装置において、直列接続された複数の二次電池にノーマルクローズ型の熱応動スイッチを直列に接続することにより、二次電池が異常発熱した場合の安全対策用の保護装置としたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。ここで、熱応動スイッチは、熱膨張係数の異なる金属板を複数枚接合してなるバイメタル片等の熱応動素子を備え、このバイメタル片を片持ち梁状にハウジングに取り付けると共に、バイメタル片の自由端部に固設された可動接点をハウジングに固設された固定接点と接離可能に対向させたものである。
【0004】
上記特許文献1に開示されたバッテリ装置の保護装置では、ノーマルクローズ型の熱応動スイッチが直列接続された一対の二次電池間に介設されており、各二次電池が正常に機能して所定温度以下のとき、ノーマルクローズ型の熱応動スイッチはバイメタル片によって可動接点が固定接点に押し付けられことによりスイッチオン状態に保たれているので、この熱応動スイッチを介して各二次電池から携帯機器等へ給電することができる。また、いずれかの二次電池が劣化等の要因で異常発熱して所定温度を超えると、バイメタル片が反転して可動接点が固定接点から離れ、ノーマルクローズ型の熱応動スイッチがスイッチオフ状態に切り替わるため、各二次電池からの給電が遮断されて携帯機器等を保護することができる。
【0005】
【特許文献1】
特許2636615号公報(第2−3頁、図4)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで近年、ノート型パソコン等の携帯機器に必要とされる電圧は増加する傾向にあり、それに伴ってバッテリ装置から携帯機器への供給電流を大きくしたいという要望がある。しかしながら、前述した従来のバッテリ装置では、複数の二次電池を直列接続した電池群にノーマルクローズ型の熱応動スイッチを直列に接続してあるため、電池群からの供給電流が例えば10Aを越える程度まで大きくなると、各二次電池が正常に機能して異常発熱していない場合でも、電池群からの大きな供給電流がノーマルクローズ型の熱応動スイッチの可動接点と固定接点間およびバイメタル片(またはトリメタル片)を流れ、その時に発生するジュール熱によってノーマルクローズ型の熱応動スイッチがスイッチオフ状態に不所望に開動作してしまい、供給電流の大電流化に対応できないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、供給電流の大電流化に対応することができ、かつ、二次電池の異常発熱時に給電を確実に停止することができる保護機能付きのバッテリ装置およびこのバッテリ装置を用いた携帯機器を提供するすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、本発明のバッテリ装置では、複数の二次電池からなる電池群と、この電池群に直列に接続された電流ヒューズと、これら電池群と電流ヒューズとの直列回路に並列に接続され、前記二次電池の発熱によって閉動作するノーマルオープン型熱応動スイッチとを備え、前記二次電池の発熱によって前記ノーマルオープン型熱応動スイッチが閉路したときに、前記電池群から該ノーマルオープン型熱応動スイッチを流れる短絡電流によって前記電流ヒューズが溶断するように構成した。
【0009】
このように構成されたバッテリ装置においては、大電流を流すことのできる電流ヒューズが複数の二次電池からなる電池群に直列に接続してあるので、供給電流の大電流化に対応することが可能となり、また、電池群のいずれかの二次電池が異常発熱したときに、ノーマルオープン型熱応動スイッチを閉路させて該熱応動スイッチと電流ヒューズおよび電池群とで閉回路を形成し、この閉回路を流れる電池群からの短絡電流によって電流ヒューズを溶断するようにしたので、二次電池の異常発熱時に給電を確実に停止することができる。
【0010】
上記の構成において、電流ヒューズとノーマルオープン型熱応動スイッチは別々の回路素子で構成しても良いが、この電流ヒューズをノーマルオープン型熱応動スイッチと共通のハウジング内に収納してユニット化すると、バッテリ装置の構成部品を削減できると共に生産性を向上できて好ましい。
【0011】
また、上記の構成において、電池群が並列に接続された複数の二次電池を有していることが好ましく、この場合、電池群の並列接続された二次電池に、ノーマルオープン型熱応動スイッチの動作温度よりも低い温度で開動作するノーマルクローズ型熱応動スイッチをそれぞれ直列に接続する構成にすると、二次電池の一時的な異常発熱に対してノーマルクローズ型熱応動スイッチが開動作するため、継続してバッテリ装置を使用することが可能となり、万一、ノーマルクローズ型熱応動スイッチが溶着等の原因で正常に開動作しない場合も、電池群からノーマルオープン型熱応動スイッチを流れる短絡電流によって電流ヒューズが溶断するため、二次電池の異常発熱時に給電を確実に停止することができる。
【0012】
また、ノート型パソコン等の携帯機器に上記のごとく構成されたバッテリ装置を電源として使用すると、二次電池の不具合に起因する携帯機器の故障を防止できて好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1は本発明の第1実施形態例に係るバッテリ装置の保護回路を示すブロック図(回路図)、図2は該バッテリ装置の保護回路に備えられる電流ヒューズとノーマルオープン型熱応動スイッチの素子ユニットを示す外観図、図3は該素子ユニットの上ケースを取り除いた平面図、図4は該素子ユニットに備えられるトリメタル片が反転する前の状態を示す断面図、図5は該トリメタル片が反転した状態を示す断面図である。
【0014】
本実施形態例に係るバッテリ装置は、図示せぬノート型パソコン等の携帯機器の電源として使用されるもので、図1に示すように、複数の二次電池1からなる電池群2と、この電池群2に直列に接続された電流ヒューズ3と、これら電池群2と電流ヒューズ3との直列回路に並列に接続されたノーマルオープン型熱応動スイッチ4とを備えている。そして、一対の外部端子T1,T2を介してバッテリ装置が図示せぬ携帯機器と接続され、この携帯機器へ電池群2から給電可能とされている。二次電池1はニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の電池であり、電池群2は並列接続された2個の二次電池1を直列に複数組接続することによって構成されている。電流ヒューズ3は規定値以上の電流によって溶断するものであり、本実施形態例の場合、15A程度の大電流で溶断する電流ヒューズ3を用いている。ノーマルオープン型熱応動スイッチ4は二次電池1の発熱を検出してスイッチオン状態に切り替わる常開スイッチであり、本実施形態例の場合、スイッチオフからスイッチオン状態に切り替わる動作温度が90℃のノーマルオープン型熱応動スイッチ4を用いている。
【0015】
図2〜図4に示すように、電流ヒューズ3とノーマルオープン型熱応動スイッチ4は1つの素子ユニット5として一体化されており、この素子ユニット5は、下ケース6および上ケース7を組み合わせてなる合成樹脂製のハウジング8と、下ケース6の成形時に一体化された良導電性の金属板9,10と、上ケース7の成形時に一体化された良導電性の金属板11と、中間層を熱膨張係数の異なる2枚の金属板で挟んで積層接合してなるトリメタル片(中間層を省略したバイメタル片を含む)12と、このトリメタル片12の自由端部にかしめ固定された良導電性の可動接点部材13と、トリメタル片11の固定端側に形成された狭小部14とによって概略構成されている。この狭小部14は電流ヒューズ3を構成するものであり、ノーマルオープン型熱応動スイッチ4は電流ヒューズ3を除く各部によって構成されている。なお、金属板9〜11は例えばリン青銅や黄銅等からなり、可動接点部材13は例えば銅・ニッケル合金や銀酸化錫等からなる。また、トリメタル片12は例えば中間層としての銅板を銅・ニッケル・マンガン合金とニッケル・鉄合金という熱膨張係数の異なる2枚の金属板で挟んで積層接合したものからなり、その中央部には反転動作を確実に行わせるためのドーム状反転部12aが形成されている。トリメタル片12の金属積層体の全体の板厚は各金属板9〜11よりも薄く設定されており、このように薄肉のトリメタル片12に狭小部14を形成して電流ヒューズ3としているため、電流ヒューズ3を規定電流で溶断するのに必要な寸法設定が容易となっている。
【0016】
金属板9は、下ケース6の内底面に露出する段付き状の座部9aと、下ケース6の外方へ突出する第1の端子9bと、下ケース6に埋設された傾斜部9cとを有する。金属板10は、下ケース6の内底面に露出する平坦部10aと、下ケース6の外方へ突出する第3の端子10bとを有しており、この平坦部10aはトリメタル片12に形成された狭小部14と所定間隔を存して対向している。金属板11は、上ケース7の天井面に露出する固定接点11aと、上ケース7の外方へ突出する第2の端子11bと、上ケース7に埋設された図示せぬ傾斜部とを有する。トリメタル片12の固定端部は下ケース6の内部でスポット溶接等によって座部9aに固定されており、トリメタル片12の狭小部14から下ケース6の外部に導出する端部はスポット溶接等によって第3の端子10bに固定されている。また、トリメタル片12の自由端部は対向する下ケース6の内底面と固定接点11aとの間で変位可能(揺動可能)であり、可動接点部材13はこの固定接点11aと接離可能である。
【0017】
なお、図2に示すように、第1の端子9bと第3の端子10bは下ケース6から互いに直交する方向に導出されており、第2の端子11bは第3の端子10bと逆向きに上ケース7から導出されている。これにより、3つの端子9b,10b,11bがハウジング3から全て異なる向きに導出されることになり、素子ユニット5(電流ヒューズ3とノーマルオープン型熱応動スイッチ4)を図1に示すバッテリ装置の保護回路に接続する場合の作業性が向上すると共に、この保護回路に必要とされる回路素子の数や取付面積(専有面積)を削減することができる。また、トリメタル片12の固定端部と狭小部14の導出端部に接続される第1の端子9bと第3の端子10bとが下ケース6の異なる辺から互いに直交する向きに延出されていることから、これら端子9b,10bをインサート成形により下ケース6と一体化する場合、同じフープ材からなる金属材料にて2つの端子9b,10bを加工することができ、生産性に優れたものとなる。さらに、第2の端子11bには曲げ加工が施されており、第1の端子9bと第2の端子11bおよび第3の端子10bの下面が全て同一平面上に位置するように構成されており、これにより、電流ヒューズ3とノーマルオープン型熱応動スイッチ4が一体化された素子ユニット5を表面実装部品として使用することも可能となっている。
【0018】
次に、本実施形態例に係るバッテリ装置の保護回路の動作について説明すると、図1に示す電池群2と図2〜図4に示す素子ユニット5との接続関係は、第3の端子10bが電池群2の正極に接続され、第2の端子11bが電池群2の負極および外部端子T2に接続され、第1の端子9bがバッテリ装置の外部端子T1に接続されており、これら電池群2と素子ユニット5は図示せぬバッテリパック内に収納されている。
【0019】
そして、トリメタル片12が所定温度以下のノーマル状態(通常の使用状態)では、図4に示すように、可動接点部材13が下ケース6の内底面に当接して固定接点11aから離反しているため、第3の端子10b(および第1の端子9b)と第2の端子11bとは導通されておらず、ノーマルオープン型熱応動スイッチ4はスイッチオフ状態に維持されている。すなわち、図1に示すバッテリ装置の保護回路において、電池群2の各二次電池1に何ら異常が見られずに、バッテリ装置を電源とする携帯機器に電池群2から電流が供給されている場合、ノーマルオープン型熱応動スイッチ4は開路されているため、電池群2に直列に接続された電流ヒューズ3には規定値よりも十分に小さい電流(例えば10A以下)が流れ、電流ヒューズ3は溶断することはない。
【0020】
しかるに、いずれかの二次電池1に異常が発生し、バッテリパックの温度がノーマルオープン型熱応動スイッチ4の動作温度である90℃まで上昇すると、図5に示すように、トリメタル片12が反転するため、可動接点部材13が下ケース6の内底面から離れて固定接点11aに当接する。つまり、第3の端子10b(および第1の端子9b)と第2の端子11bとがトリメタル片12を介して導通された状態となるので、ノーマルオープン型熱応動スイッチ4がスイッチオン状態に切り替わる。したがって、図1に示すバッテリ装置の保護回路において、電池群2と電流ヒューズ3およびオン動作したノーマルオープン型熱応動スイッチ4とで閉回路が形成され、この閉回路を流れる電池群2からの短絡電流Iによって電流ヒューズ3に規定値(例えば15A)以上の電流が流れるため、この短絡電流Iにより電流ヒューズ3が溶断して各二次電池1から携帯機器への給電が停止される。
【0021】
このように本実施形態例に係るバッテリ装置は、複数の二次電池1からなる電池群2に電流ヒューズ3を直列に接続し、これら電池群2と電流ヒューズ3との直列回路にノーマルオープン型熱応動スイッチ4を並列に接続したので、電池群2のいずれかの二次電池1が異常発熱したときに、この発熱によってノーマルオープン型熱応動スイッチ4を閉路させることにより、該熱応動スイッチ4を流れる電池群1からの短絡電流Iによって電流ヒューズ3を溶断することができる。したがって、いずれかの二次電池1が異常発熱したときに、各二次電池1からの給電を確実に停止することができるばかりでなく、このバッテリ装置を電源とする携帯機器への供給電流が例えば10A程度まで大きくなったとしても、10A以上の規定電流値(例えば15A)で溶断する電流ヒューズ3を使用することにより、携帯機器の大電流化に容易に対応することが可能となる。また、電流ヒューズ3とノーマルオープン型熱応動スイッチ4とを共通のハウジング8内に収納して素子ユニット5となしたので、バッテリ装置の構成部品を削減できると共に生産性を向上することができる。
【0022】
図6は本発明の第2実施形態例に係るバッテリ装置の保護回路を示すブロック図(回路図)、図7は該バッテリ装置の保護回路に備えられるノーマルクローズ型熱応動スイッチのトリメタル片が反転する前の状態を示す断面図、図8は該トリメタル片が反転した状態を示す断面図であり、図1〜図5に対応する部分には同一符号を付してある。
【0023】
図6に示すバッテリ装置の保護回路が前述した第1実施形態例と相違する点は、電池群2の並列接続された2個の二次電池1にそれぞれノーマルクローズ型熱応動スイッチ15を直列に接続したことにあり、それ以外の構成は基本的に同じである。このノーマルクローズ型熱応動スイッチ15は二次電池1の発熱を検出してスイッチオフ状態に切り替わる常閉スイッチであるが、電池群2と電流ヒューズ3との直列回路に並列接続されたノーマルオープン型熱応動スイッチ4の動作温度よりも低い温度で開動作するノーマルクローズ型熱応動スイッチ15が用いられている。本実施形態例の場合、ノーマルオープン型熱応動スイッチ4の動作温度が90℃であるのに対し、ノーマルクローズ型熱応動スイッチ15の動作温度が80℃に設定されている。なお、本実施形態例では、電池群2の正極端に位置する2個の二次電池1にそれぞれノーマルクローズ型熱応動スイッチ15を直列接続してあるが、それ以外の並列接続された2個の二次電池1にノーマルクローズ型熱応動スイッチ15を直列接続しても良く、あるいは、並列接続された3個以上の二次電池1にそれぞれノーマルクローズ型熱応動スイッチ15を直列接続しても良い。
【0024】
図7に示すように、このノーマルクローズ型熱応動スイッチ15は、下ケース16および上ケース17を組み合わせてなる合成樹脂製のハウジング18と、下ケース16の成形時に一体化された良導電性の金属板19,20と、中間層を熱膨張係数の異なる2枚の金属板で挟んで積層接合してなるトリメタル片(中間層を省略したバイメタル片を含む)21と、このトリメタル片21の自由端部にかしめ固定された良導電性の可動接点部材22とによって概略構成されている。金属板19,20とトリメタル片21および可動接点部材22の材料は前述したノーマルオープン型熱応動スイッチ4の対応する各部と基本的に同じであり、トリメタル片21の中央部には反転動作を確実に行わせるためのドーム状反転部21aが形成されている。また、金属板19は下ケース16の内底面に露出する段付き状の座部19aと、下ケース16の外方へ突出する第1の端子19bと、下ケース16に埋設された傾斜部19cとを有する。金属板20は、下ケース16の内底面に露出する固定接点20aと、下ケース16の外方へ突出する第2の端子20bと、下ケース16に埋設された傾斜部20cとを有する。トリメタル片21の固定端部は下ケース16の内部でスポット溶接等によって座部19aに固定されており、トリメタル片21の自由端部は対向する固定接点20aと上ケース17の天井面との間で変位可能(揺動可能)であり、可動接点部材22はこの固定接点20aと接離可能である。
【0025】
このように構成されたバッテリ装置の保護回路において、電池群2の各二次電池1に何ら異常が見られずに外部端子T1,T2を介して電池群2から図示せぬ携帯機器へ給電されている場合、ノーマルクローズ型熱応動スイッチ15が閉路されると共に、ノーマルオープン型熱応動スイッチ4が開路されているため、電池群2に直列接続された電流ヒューズ3には規定値よりも十分に小さい電流が流れ、電流ヒューズ3は溶断することはない。ここで、ノーマルクローズ型熱応動スイッチ15は電池群2の並列接続された二次電池1にそれぞれ直列接続されているため、電池群2から携帯機器への供給電流が例えば10Aを越える程度まで大きくなったとしても、各ノーマルクローズ型熱応動スイッチ15に流れる供給電流は大幅に小さくなり、供給電流の大電流化に対応することができる。ちなみに、本実施形態例の場合、並列接続された2個の二次電池1にそれぞれノーマルクローズ型熱応動スイッチ15が直列接続されているため、要求される供給電流が10Aであっても、各ノーマルクローズ型熱応動スイッチ15に流れる供給電流は半分の5Aで済み、通常の使用時に発生するジュール熱によってノーマルクローズ型熱応動スイッチ15が誤動作することはない。
【0026】
しかるに、いずれかの二次電池1に一時的な異常が発生し、バッテリパックの温度がノーマルクローズ型熱応動スイッチ15の動作温度である80℃まで上昇すると、図8に示すように、トリメタル片21が反転し、可動接点部材22が固定接点20aから離れて上ケース17の天井面に当接するため、ノーマルクローズ型熱応動スイッチ15はスイッチオフ状態に切り替わる。その際、ノーマルクローズ型熱応動スイッチ15の動作温度(80℃)がノーマルオープン型熱応動スイッチ4の動作温度(90℃)よりも低く設定されているため、ノーマルオープン型熱応動スイッチ4はスイッチオフ状態に維持されたままである。したがって、図6に示すバッテリ装置の保護回路において、電池群2と電流ヒューズ3との直列回路がノーマルクローズ型熱応動スイッチ15によって開路され、各二次電池1(電池群2)からの給電が停止される。
【0027】
そして、二次電池1に一時的な異常を発生させていた原因が解消されると、バッテリパックが通常温度に低下するため、所定温度以下になった時点でトリメタル片21が逆方向へ反転し、図7に示すように、可動接点部材22が上ケース17の天井面から離れて固定接点20aに当接する。すなわち、ノーマルクローズ型熱応動スイッチ15がスイッチオフからスイッチオン状態へと切り替わるため、各二次電池1からの給電が再び可能となり、継続してバッテリ装置を使用することができる。
【0028】
また、各ノーマルクローズ型熱応動スイッチ15の一方または両方が溶着等の原因で正常に開動作しないと、いずれかの二次電池1に異常が発生してノーマルクローズ型熱応動スイッチ15の動作温度である80℃に達しても、電池群2と電流ヒューズ3との直列回路は閉路されたままとなる。このような場合、バッテリパックの温度がノーマルオープン型熱応動スイッチ4の動作温度である90℃まで上昇した時点で、前述した第1実施形態例と同様に、ノーマルオープン型熱応動スイッチ4がスイッチオン状態に切り替わる。したがって、図6に示すバッテリ装置の保護回路において、電池群2と電流ヒューズ3およびオン動作したノーマルオープン型熱応動スイッチ4とで閉回路が形成され、この閉回路を流れる電池群2からの短絡電流Iによって電流ヒューズ3に規定値以上の電流が流れるため、万一、いずれかのノーマルクローズ型熱応動スイッチ15に動作不良が発生したとしても、電流ヒューズ3を溶断して各二次電池1からの給電を確実に停止することができ、よって、携帯機器本体の故障を防止することができる。
【0029】
なお、上記各実施形態例では、電流ヒューズ3とノーマルオープン型熱応動スイッチ4をユニット化した素子ユニット5を用いた場合について説明したが、これら電流ヒューズ3とノーマルオープン型熱応動スイッチ4を別々の回路素子で構成しても良い。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0031】
電池群のいずれかの二次電池が異常発熱したときに、ノーマルオープン型熱応動スイッチを閉路させて該熱応動スイッチと電流ヒューズおよび電池群とで閉回路を形成し、この閉回路を流れる電池群からの短絡電流によって電流ヒューズを溶断するようにしたので、供給電流の大電流化に対応することができ、かつ、二次電池の異常発熱時に給電を確実に停止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態例に係るバッテリ装置の保護回路を示すブロック図である。
【図2】該バッテリ装置の保護回路に備えられる電流ヒューズとノーマルオープン型熱応動スイッチの素子ユニットを示す外観図である。
【図3】該素子ユニットの上ケースを取り除いた平面図である。
【図4】該素子ユニットに備えられるトリメタル片が反転する前の状態を示す断面図である。
【図5】該トリメタル片が反転した状態を示す断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態例に係るバッテリ装置の保護回路を示すブロック図である。
【図7】該バッテリ装置の保護回路に備えられるノーマルクローズ型熱応動スイッチのトリメタル片が反転する前の状態を示す断面図である。
【図8】該トリメタル片が反転した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 二次電池
2 電池群
3 電流ヒューズ
4 ノーマルオープン型熱応動スイッチ
5 素子ユニット
6 下ケース
7 上ケース
9,10,11 金属板
9b 第1の端子
10b 第3の端子
11a 固定接点
11b 第2の端子
12 トリメタル片
13 可動接点部材
14 狭小部
15 ノーマルクローズ型熱応動スイッチ

Claims (5)

  1. 複数の二次電池からなる電池群と、この電池群に直列に接続された電流ヒューズと、これら電池群と電流ヒューズとの直列回路に並列に接続され、前記二次電池の発熱によって閉動作するノーマルオープン型熱応動スイッチとを備え、
    前記二次電池の発熱によって前記ノーマルオープン型熱応動スイッチが閉路したときに、前記電池群から該ノーマルオープン型熱応動スイッチを流れる短絡電流によって前記電流ヒューズが溶断するように構成したことを特徴とするバッテリ装置。
  2. 請求項1の記載において、前記電流ヒューズを前記ノーマルオープン型熱応動スイッチと共通のハウジング内に収納してユニット化したことを特徴とするバッテリ装置。
  3. 請求項1または2の記載において、前記電池群が並列に接続された複数の二次電池を有していることを特徴とするバッテリ装置。
  4. 請求項3の記載において、前記電池群の並列接続された二次電池に、前記ノーマルオープン型熱応動スイッチの動作温度よりも低い温度で開動作するノーマルクローズ型熱応動スイッチをそれぞれ直列に接続したことを特徴とするバッテリ装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のバッテリ装置を電源として備えたことを特徴とする携帯機器。
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