JP2004309541A - 光差動信号伝送方式及び方法 - Google Patents

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健 都築
Toshio Ito
敏夫 伊藤
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Abstract

【課題】SN比や信号の波形歪み等による伝送信号の劣化に対して受信性能を向上させる光差動信号伝送方式を提供する。
【解決手段】2つの入力ポート1のそれぞれに波長の異なる入力光を入力ように構成したマッハツェンダ変調器30と、このマッハツェンダ変調器30の1つの光出力ポート5より得るそれぞれ反転して多重化された2つの光出力信号を伝送するファイバ伝送線路31と、このファイバ伝送線路31で伝送した前記光出力信号を入力して波長毎に分離することにより差動信号を得る光フィルタ32とを有する。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信システムや光情報処理システムにおいて用いられる光信号伝送方式及び方法に関し、特に差動信号を発生させて伝送するための光変調器の構造及び光による差動信号を用いた伝送方式に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光変調器等の導波型光制御デバイスは高速光通信システム、光情報処理システムのキーエレメントの一つである。光通信システムにおいて、高速、長距離伝送を行うとき、光の変調方法はチャーピングによる伝送信号の劣化を避けるため、レーザの直接変調ではなく、外部変調器が用いられる。外部変調器は半導体の電界吸収効果を利用したEA変調器や、LiNbO等を用いたマッハツェンダ変調器が代表として挙げられるが、より高速、長距離伝送のためにはEA変調器よりもチャープが小さく、チャープの制御も可能なマッハツェンダ変調器が用いられている。
【0003】
このような従来技術に係るEA変調器としては下記に記載した特許文献1が、またLiNbOとしては特許文献2がある。
【0004】
【特許文献1】
特開昭61−173218号公報
【特許文献2】
特開平10−133158号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光通信において高速、長距離伝送を行うためには信号のSN比が問題となる。SN比が劣化すると受信時の誤り率が増加し信号伝送ができなくなるため、SN比が劣化する前にファイバアンプ等で信号を増幅し、劣化を抑えることが必要である。しかし、ファイバアンプ等による増幅ではSN比の増加は防げるものの、改善することはできない。このためSN比劣化に対する根本的な改善が必要とされている。
【0006】
一方、電気信号による通信システムでは、差動信号による伝送が広く用いられている。差動インターフェースの導入により、信号の高速化や、システム電源の低電力化等が実現できている。
【0007】
本発明は、上記従来技術に鑑み、光通信システムにおいてSN比や信号の波形歪み等による伝送信号の劣化に対して受信性能を向上させ、信号の高速化やシステム電源の低電力化を実現するための光差動信号伝送方式及び方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成する本発明の特徴は次の通りである。
【0009】
1) 2つの光入力ポートと、
この光入力ポートからの入力光を2つに分割し、且つ互いの位相がπ/2ずれた光を出力する第1の2×2 3dBカプラと、
この第1の2×2 3dBカプラの出力光を印加電圧信号に基づき位相変調を行う位相変調導波路と、
この位相変調導波路で所定の位相変調がなされた出力信号光を入力するとともに、この入力光を2つに分割し、且つ互いの位相がπ/2ずれた光を出力する第2の2×2 3dBカプラと、
この第2の2×2 3dBカプラからの出力信号光を出力する少なくとも1つの光出力ポートとを有することを特徴とするマッハツェンダ変調器。
かかるマッハツェンダ変調器においては、その2つの入力ポートのそれぞれに波長の異なる入力光を入力し、マッハツェンダ変調器により変調することで一つの光出力ポートよりそれぞれ反転した2つの信号を波長多重させる。
【0010】
2) 上記1)に記載するマッハツェンダ変調器において、
第1及び第2の2×2 3dBカプラは、2×2MMIカプラで形成したことを特徴とするマッハツェンダ変調器。
このように3dBカプラにMMIカプラを用いることによって従来広く用いられている方向性結合器に較べて小型で、分岐比の正確な、作製トレランスが大きい3dBカプラを実現することができる。
これによってオン/オフ比の大きい光信号の作成が可能となるとともに、マッハツェンダ変調器の2つの入力ポートのそれぞれに波長の異なる光を入力し、マッハツェンダ変調器により変調することで2つの光出力ポートよりそれぞれ反転した2つの信号光を波長多重させる際、2つの信号光強度をほぼ等しくすることができる。
【0011】
3) 前記2つの入力ポートのそれぞれに波長の異なる入力光を入力するように構成した上記1)又は2)に記載するマッハツェンダ変調器と、
このマッハツェンダ変調器の1つの光出力ポートより得るそれぞれ反転して波長多重化された2つの光出力信号を伝送するファイバ伝送線路と、
このファイバ伝送線路で伝送した前記光出力信号を入力して波長毎に分離することにより差動信号を得る光フィルタとを有する光差動信号伝送方式。
かかる光差動信号伝送方式においては、前記マッハツェンダ変調器で多重化した光出力信号を光ファイバ伝送線路で伝送した後、光フィルタにより波長毎に前記光出力信号を分離し、差動信号を検出する。すなわち、シングルエンド信号で「0」と「1」の信号を伝送している従来技術とは、差動信号での光伝送信号であるという点が異なる。
【0012】
従来技術において、光通信に用いられてきた手段は、シングルエンド信号で「0」と「1」の信号を伝送しているため、SN比の劣化や、信号波形の歪み等による伝送信号の劣化に対して受信性能が悪くなるという点が問題であった。一方、本発明によるマッハツェンダ変調器を用いた光伝送方式では、光信号による差動信号伝送を行っている。したがって、SN比劣化や波形歪み等による伝送信号の劣化に強い光通信システムの構築が可能であるとともに、信号の高速化やシステム電源の低電力化を行うことができる。
【0013】
4) 上記1)又は2)に記載するマッハツェンダ変調器の2つの入力ポートのそれぞれに波長の異なる光を入力するとともにこのマッハツェンダ変調器により変調することで、1つの光出力ポートよりそれぞれ反転した2つの光出力信号を波長多重させて出力し、さらにこの光出力信号を光ファイバを用いて伝送した後、光フィルタにより波長毎に分離して差動信号を得る光差動信号伝送方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の第1の実施の形態に係るマッハツェンダ変調器の一例を示す概観図である。同図に示すように、光入力ポート1a介して入力されて第1の2×2MMIカプラ2を通過した光は、位相変調導波路3へ互いに位相がπ/2ずれて分配される。位相変調導波路3から第2の2×2MMIカプラ4へ入力した光は、2本の位相変調導波路3の位相長が等しいか、又は2nπ異なればcrossポートである光出力ポート5bから出力され、位相長が(2n+1)π異なればbarポートである光出力ポート5aから出力される。なお、図中、6は信号電圧を印加する電極である。
【0016】
上述の如く位相変調導波路3で変調を行うと、図2に示すように、2つの出力ポート5a、5bからはそれぞれ反転した変調光が出力される。すなわち、図2中、10は入力光、11はbarポートである光出力ポート5aからの出力信号光、12はcrossポートである光出力ポート5bからの出力信号光、13は電極6に対する印加電圧信号である。
【0017】
図1に示すマッハツェンダ変調器において、第1の2×2MMIカプラ2に、図2の場合とは異なるもう一方の入力ポート1bから光を入力すると、光出力ポート5a、5bでは出力される変調光が、図2の場合に対し反転される。その様子を図3に示す。
【0018】
さらに、2つの入力ポート1a、1bより波長λと、λの光を光入力ポート1のそれぞれ別のポートから入力すると、各光出力ポート5a、5bからそれぞれ反転した波長の異なる2つの光が多重化されて出力される。その様子を図4に示す。かくして、当該マッハツェンダ変調器により波長多重された差動信号を一本のファイバに出力することが可能になる。
【0019】
なお、図4中、20は光入力ポート1aへの入力光(波長λ)、21は光入力ポート1bへの入力光(波長λ)、22は光出力ポート5aからの入力光21の変調出力信号光(波長λ)、23は光出力ポート5aからの入力光20の変調出力信号光(波長λ)、24は光出力ポート5bからの入力光20の変調出力信号光(波長λ)、25は光出力ポート5bからの入力光21の変調出力信号光(波長λ)、26は印加電圧信号である。
【0020】
上記実施の形態においては、2×2カプラとして第1及び第2の2×2MMIカプラ2、4を用いたが、これは一般に2×2 3dBカプラであれば、特に2×2MMIカプラ2、4に限定する必要はない。
【0021】
図5は本発明の第2の実施の形態に係る光差動信号伝送方式を示す模式図である。同図に示すように、マッハツェンダ変調器30で作られた差動信号は、ファイバ伝送線路31を伝送した後、受信側で光フィルタ32によって波長毎に分離される。分離された光は互いに反転した差動信号であるため、フォトダイオード33によって受信した光はそのまま電気的な差動信号として処理することができる。すなわち、差動信号である電気信号34を得る。そして、この結果、電気信号での差動信号伝送と同様に、光信号伝送においてもSN比劣化や波形歪み等による伝送信号の劣化に強い差動信号伝送が可能になるとともに、信号の高速化やシステム電源の低電圧化を行うことができる。
【0022】
なお、図1に示すマッハツェンダ変調器において、変調器を構成する材料に広く用いられているLiNbOではなく、半導体を用いても良い。この場合、半導体のハイメサ導波路構造を採用すると、文献『Y.Sibata et al. 「Reflection characteristics and cascadability of a multi−mode interference 3dB coupler」 IEE Proc.−Optoelectron. vol.149 no.5/6.pp.217−221.2002.』等に示されるように極めて低損失、且つ分配比の正確なMMIカプラを作製することが可能である。また、LiNbOを用いるよりもはるかに小型で低電圧駆動が可能な変調器を作製することが可能となる。例えば、LiNbO変調器の位相変調部の長さが20〜30mmであるのに対し、半導体変調器では3mm程度にまで小型化でき、動作電圧もLiNbOの5V程度に対し、2V程度まで低減できる。
【0023】
【発明の効果】
以上実施の形態とともに具体的に説明したように、本発明によれば、光信号による差動信号伝送を行っているので、SN比劣化や波形歪み等による伝送信号の劣化に強い光通信システムの構築が可能であるとともに、信号の高速化やシステム電源の低電圧化を行うことができるという効果を奏する。ちなみに、
従来技術に係る光通信では、シングルエンド信号で「0」と「1」の信号を伝送しているので、SN比劣化や信号の波形歪み等による伝送信号の劣化に対して受信性能が悪くなるという問題を生起していた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るマッハツェンダ変調器を示す概観図である。
【図2】図1に示すマッハツェンダ変調器における光変調の様子を説明するための説明図である。
【図3】図1に示すマッハツェンダ変調器における光変調(図2とは異なる入力ポートから光を入力した場合)の様子を説明するための説明図である。
【図4】図1に示すマッハツェンダ変調器における光変調(2つの入力ポートから相互に異なる波長の2つの光を入力した場合)の様子を説明するための説明図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る光差動信号伝送方式を示す模式図である。
【符号の説明】
1a、1b 光入力ポート
2 2×2MMIカプラ、
3 位相変調導波路、
4 2×2MMIカプラ、
5a、5b 光出力ポート
6 電極
10 入力光
11 出力信号光(barポート)
12 出力信号光(crossポート)
13 印加信号電圧
20 入力光(波長λ
21 入力光(波長λ
22、25 変調出力信号光(波長λ
23、24 変調出力信号光(波長λ
26 印加電圧信号
30 (本発明に係る)マッハツェンダ変調器
31 ファイバ伝送線路
32 光フィルタ
33 フォトダイオード
34 受信電気信号

Claims (4)

  1. 2つの光入力ポートと、
    この光入力ポートからの入力光を2つに分割し、且つ互いの位相がπ/2ずれた光を出力する第1の2×2 3dBカプラと、
    この第1の2×2 3dBカプラの出力光を印加電圧信号に基づき位相変調を行う位相変調導波路と、
    この位相変調導波路で所定の位相変調がなされた出力信号光を入力するとともに、この入力光を2つに分割し、且つ互いの位相がπ/2ずれた光を出力する第2の2×2 3dBカプラと、
    この第2の2×2 3dBカプラからの出力信号光を出力する少なくとも1つの光出力ポートとを有することを特徴とするマッハツェンダ変調器。
  2. 請求項1に記載するマッハツェンダ変調器において、
    第1及び第2の2×2 3dBカプラは、2×2MMIカプラで形成したことを特徴とするマッハツェンダ変調器。
  3. 前記2つの入力ポートのそれぞれに波長の異なる入力光を入力するように構成した請求項1又は請求項2に記載するマッハツェンダ変調器と、
    このマッハツェンダ変調器の1つの光出力ポートより得るそれぞれ反転して波長多重化された2つの光出力信号を伝送するファイバ伝送線路と、
    このファイバ伝送線路で伝送した前記光出力信号を入力して波長毎に分離することにより差動信号を得る光フィルタとを有することを特徴とする光差動信号伝送方式
  4. 請求項1又は請求項2に記載するマッハツェンダ変調器の2つの入力ポートのそれぞれに波長の異なる光を入力するとともにこのマッハツェンダ変調器により変調することで、1つの光出力ポートよりそれぞれ反転した2つの光出力信号を波長多重させて出力し、さらにこの光出力信号を光ファイバを用いて伝送した後、光フィルタにより波長毎に分離して差動信号を得ることを特徴とする光差動信号伝送方法。
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