JP2004309263A - 液体の動的濡れ性の評価方法およびその装置 - Google Patents

液体の動的濡れ性の評価方法およびその装置 Download PDF

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Abstract

【課題】液体を上方へ引き上げた際の変化状態を確実に把握して、精度の高い液体の動的濡れ性の評価方法とその装置を提供する。
【解決手段】平坦な表面22が略水平な姿勢で配置された受液部材21上に所定量の液体25を滞留させ、滞留状態にある液体25の上方部分を上方へ引き上げることによって液体25と受液部材21との接触状態を変化させ、その後、上記変化の状態を評価するために、滞留状態にある液体25が受液部材21に接触している初期接触面積S1と、滞留状態にある液体25の上方部分を上方へ引き上げることによって初期接触面積S1を減少させた評価対象接触面積S2とを比較して液体25の動的濡れ性を評価する。上記両接触面積S1,S2を面積の概念で対比することにより、正確な動的濡れ性の評価ができる。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体の動的濡れ性の評価方法およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液体の動的濡れ性を評価することは、種々な技術分野で行われている。一般に、液体と、その液体に接触する装置等の構成部材との接触状態が適正であるかどうかが、上記装置の性能を左右している。すなわち、濡れやすいか濡れにくいかが、所期の動的濡れ性に適合しているかどうかを評価する必要がある。また、この動的濡れ性は、上記装置等の構成部材自体の材質によって左右されたり、液体自体の性状によって左右されたりする。
【0003】
その具体例としては、液体噴射ヘッドのノズルプレートにあけられたノズル開口とそこから噴射される液体との関係があげられる。すなわち、上記液体とノズルプレートとの間で生じる動的濡れ性の如何によっては、液体の噴射状態に影響がでるので、上記動的濡れ性を正確に把握して適正な動的濡れ性を求める必要がある。さらに、インクジェット式記録装置のインク噴射ヘッドにおいても、上記の液体噴射ヘッドの場合と同様に、インクの動的濡れ性の評価が重要となり、印字品質等に密接な関係を有することとなる。
【0004】
図5は、従来技術である拡張収縮法を用いた動的接触角すなわち動的濡れ性を測定・評価する方法および装置を示している。静止状態におかれた試料台1の上に受液部材2が載置してあり、その表面3は平坦で略水平な状態とされている。きわめて微量な液体を精密に計量して供給する装置であるシリンジ4が受液部材2の上方に配置され、その液体供給管5から液体を供給するようになっている。符号6は、受液部材2上に供給された液体であり、その表面張力により膨隆した外形を呈している。ここでの液量は10μリットルである。この膨隆した液体6の上方部分に液体供給管5の先端部が粘着している。
【0005】
図5に示したモニター画面7に示すように、液体6が受液部材2の表面3上に滞留しているときには、接触点P1(実際には円形の接触線)を境にして、気体域と液体域が形成され、このときに、この液体固有の接触角が形成されている。そして、シリンジ4において液体供給管5に所定値のバキュームを作用させて、膨隆した形状の液体6の上方部分を液体供給管5で吸引(吸引管としての機能を果たす)すると、液体6はモニター画面7に実線で図示されているように、2点鎖線図示の膨隆した所期の滞留形状から、実線図示の吸引形状となる。この形状は、主要部8が略円錐形であり、外周側へ移行するにしたがって膜厚が次第に薄くなる薄膜部9となり、この薄膜部9がさらに薄くなって、液体域が途切れる状態になっている。上記の途切れた箇所(実際には円形の接触線)を符号P2で示している。
【0006】
上記のようにP2点における接触角が小さい場合は、濡れやすいすなわち動的濡れ性が大きい液体であり、逆に、P2点における接触角が大きい場合は濡れにくいすなわち動的濡れ性が小さい液体であると評価される。
【0007】
上記の薄膜部9の形状やそれが途切れた箇所P2点を把握するために、比較判定手段10が設けられている。同手段10に含まれている液滴制御部11は、シリンジ4と接触角算出部12に対して供給液体の量を示す信号を送信し、これによりシリンジ4からは所定の量の液体6が受液部材2上に供給される。
【0008】
上記比較判定手段10の中で重要な役割を果たす画像撮影手段13が配置されている。上記画像撮影手段13は通常のCCDカメラであり、その撮影光軸14は水平な状態の表面3を含む仮想平面の近傍に配置されている。CCDカメラ13からの画像データは上記接触角算出部12に送られる。接触角算出部12に送られる画像データは、液体6が吸引される前の液体形状と、吸引された後の液体形状を示すものであり、上記両液体形状を示す画像データが判定部15に送信され、この判定部15において両液体形状を比較した合成画像が生成される。上記合成画像データが出力部16をへてモニター画面7に送信される。
【0009】
【非特許文献1】
協和界面科学株式会社 動的接触角計のホームページ
動的接触角解析システム(自動制御式) DCA−WZタイプ[online] 平成15年3月28日検索 http://www.face−kyowa.co.jp/sales/dca.htm
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような動的濡れ性の評価方法であると、CCDカメラ13の撮影光軸14が、水平な状態の表面3を含む仮想平面の近傍に配置されているので、液体6の変化状態を真横から撮影し、それをモニター画面7に映し出して動的濡れ性を観察ないしは評価するようになっている。
【0011】
このような映像は、外観的映像であっても液体6の変化状態を断面図的に把握する手法であるために、外周側へ移行するにしたがって膜厚が次第に薄くなる薄膜部9や、この薄膜部9がさらに薄くなって、液体域が途切れた箇所P2点の確認が非常に困難となる。それは、薄膜部9の厚さがきわめて薄く、そのために膜の状態が正確に画面上で目視することが困難であり、さらには、途切れた箇所P2点を目視的に確認することが一層困難である。換言すると、上記のように薄膜状態になった液体の挙動を真横から把握して、動的濡れ性を評価することは非常に困難であり、また評価結果の信頼性にも影響するのである。
【0012】
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたもので、液体の変化状態を確実に把握して、精度の高い液体の動的濡れ性の評価方法とその装置の提供を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の液体の動的濡れ性の評価方法は、平坦な表面が略水平な姿勢で配置された受液部材上に所定量の液体を滞留させ、滞留状態にある上記液体の上方部分を上方へ引き上げることによって上記液体と上記受液部材との接触状態を変化させ、その後、上記変化の状態を評価する液体の動的濡れ性の評価方法であって、上記滞留状態にある液体が上記受液部材に接触している初期接触面積と、上記滞留状態にある液体の上方部分を上方へ引き上げることによって上記初期接触面積を減少させた評価対象接触面積とを比較して液体の動的濡れ性を評価することを要旨とする。
【0014】
すなわち、本発明の液体の動的濡れ性の評価方法は、上記滞留状態にある液体が上記受液部材に接触している初期接触面積と、上記滞留状態にある液体の上方部分を上方へ引き上げることによって上記初期接触面積を減少させた評価対象接触面積とを比較して液体の動的濡れ性を評価するものである。
【0015】
このように、上記初期接触面積は、上記受液部材に滞留している状態における液体と受液部材との接触面積であり、また、上記評価対象接触面積は、上記滞留状態の液体の上方部分を上方へ引き上げることによって、初期接触面積よりも小さくされた液体と受液部材との接触面積である。このように、液体の上方部分を上方へ引き上げることにより、受液部材上における液体域と気体域との境界部すなわち液体と受液部材との境界線が液体の中央側に移動してきて、評価対象接触面積が形成される。その後、各接触面積を把握するものであるから、その計測値は精度の高い値として確保できる。そして、このように正確に把握された初期接触面積と評価対象接触面積とを、広さの次元で比較するものであるから、液体の引き上げによって現われた動的濡れ性を、高い精度で把握し評価することができる。
【0016】
本発明の液体の動的濡れ性の評価方法において、上記初期接触面積と上記評価対象接触面積とを上記両接触面積を映像的に把握して、初期接触面積と評価対象接触面積との面積差を算出して液体の動的濡れ性を評価する場合には、初期接触面積と評価対象接触面積とを映像的に把握することにより、この映像データを種々な解析手段等に反映させて、各接触面積を正確に算出することができ、面積比較にとってきわめて好都合である。
【0017】
本発明の液体の動的濡れ性の評価方法において、上記両接触面積は、画像撮影手段を含む面積判定手段によって把握される場合には、CCDカメラのような画像撮影手段で撮影された各画像の画像データを、上記面積判定手段で比較処理をして、液体の変化状態を観察することができる。
【0018】
本発明の液体の動的濡れ性の評価方法において、上記面積判定手段は、上記両接触面積の把握を画像処理によって行う手段を含んでいる場合には、上記画像撮影手段によってえられた画像データを画像処理手法で解析し、両接触面積の面積差を正確に算出することができるので、液体の動的濡れ性の度合いを正確に掌握することができる。
【0019】
本発明の液体の動的濡れ性の評価方法において、上記画像撮影手段は、上記液体の上方または斜め上方に配置されている場合には、液体の接触状態を平面図的に、あるいは斜め上から見た平面図的に把握し、それを正確に画像データに変換することができるので、初期接触面積および評価対象接触面積を算出する基礎的なデータとして高い信頼性のもとで、接触面積の比較が可能となる。
【0020】
本発明の液体の動的濡れ性の評価方法において、上記滞留状態にある液体の上方部分の上方への引き上げが、吸引管によって液体を吸い上げるものである場合には、上記吸引管に作用させるバキュームの値を適正に設定することにより、液体の引き上げ速度を、液体の粘性等の特性に応じた上記評価対象接触面積を形成する上で、最適化することができ、適正な評価対象接触面積が確保できる。
【0021】
本発明の液体の動的濡れ性の評価方法において、上記滞留状態にある液体の上方部分の上方への引き上げは、引き上げ部材に上記液体の上方部分を接触させて上記引き上げ部材を上方へ牽引するものである場合には、上記引き上げ部材の引き上げ速度を適正に設定することにより、液体の引き上げ速度を、液体の粘性等の特性に応じた上記評価対象接触面積を形成する上で、最適化することができ、適正な評価対象接触面積が確保できる。
【0022】
本発明の液体の動的濡れ性の評価方法において、上記受液部材が、液体噴射用のノズル開口が形成される部材である場合には、上記ノズル開口が形成される部材と液体との間における動的濡れ性を正確に解明することにより、ノズル開口からの液体の噴射状態を正常に確保できるかどうかの予測をつけることができる。つまり、動的濡れ性が濡れやすい性状であると、液体を噴射させる際、ノズル開口部に形成されるメニスカスの形成速度あるいは形状の制御について時間を要することになり、高周波数での噴射が困難であるほか、液体の噴射方向が狂ったり、噴射量が増減したりするので、動的濡れ性を正確に評価し、その結果に基づいてノズル開口の形成部材の材質等を最適化することができる。
【0023】
本発明の液体の動的濡れ性の評価方法において、液体貯留源からの液体を貯留する液体貯留室と、上記液体貯留室から液体を導入して圧力発生手段により液体を加圧する圧力発生室と、上記圧力発生室で加圧された液体を噴射するノズル開口とを備えた液体噴射ヘッドの上記ノズル開口が形成されたノズルプレートの動的濡れ性を評価するものである場合には、上記ノズル開口が形成されるノズルプレートと液体との動的濡れ性を正確に解明することにより、ノズル開口からの液体の噴射状態を正常に確保できるかどうかの予測をつけることができる。つまり、動的濡れ性が濡れやすい性状であると、液体を噴射させる際、ノズル開口部に形成されるメニスカスの形成速度あるいは形状の制御について時間を要することになり、高周波数での噴射が困難であるほか、液体の噴射方向が狂ったり、噴射量が増減したりするので、動的濡れ性を正確に評価し、その結果に基づいてノズルプレートの材質等を最適化することができる。
【0024】
本発明の液体の動的濡れ性の評価方法において、上記液体噴射ヘッドが、インクジェット式記録装置におけるインク噴射ヘッドである場合には、上記インク噴射ヘッドにおける重要部品であるノズルプレートとインクとの動的濡れ性を正確に解明することにより、ノズル開口からのインク滴の吐出状態を正常に確保できるかどうかの予測をつけることができる。つまり、動的濡れ性が濡れやすい性状であると、液体を噴射させる際、ノズル開口部に形成されるメニスカスの形成速度あるいは形状の制御について時間を要することになり、高周波数での噴射が困難であるほか、インク滴の吐出方向が狂ったり、吐出量が増減したりするので、動的濡れ性を正確に評価し、その結果に基づいてノズルプレートの材質等を最適化することができる。
【0025】
本発明の液体の動的濡れ性の評価方法において、上記液体自体の動的濡れ性を評価するものである場合には、上述のように、初期接触面積と評価対象接触面積との面積対比によって最適な動的濡れ性を求めることができるので、液体自体の動的濡れ性を評価する場合であっても、正確な評価判定が可能となる。例えば、ある装置等に接触する液体の動的濡れ性を最適化することによって、その装置の性能や機能をより高めることができる。このような場合に、種々ある液体の中からもっとも適正な液体を選択するに当たって、本発明の評価方法がきわめて有用である。
【0026】
本発明の液体の動的濡れ性の評価方法において、上記液体が、液体貯留源からの液体を貯留する液体貯留室と、上記液体貯留室から液体を導入して圧力発生手段により液体を加圧する圧力発生室と、上記圧力発生室で加圧された液体を噴射するノズル開口とを備えた液体噴射ヘッドから噴射される液体である場合には、上記ノズル開口が形成される部材と液体との動的濡れ性を正確に解明することにより、ノズル開口からの液体の噴射状態を正常に確保できるかどうかの予測をつけることができる。つまり、動的濡れ性が濡れやすい性状であると、液体を噴射させる際、ノズル開口部に形成されるメニスカスの形成速度あるいは形状の制御について時間を要することになり、高周波数での噴射が困難であるほか、液体の噴射方向が狂ったり、噴射量が増減したりするので、動的濡れ性を正確に評価し、その結果に基づいて最適の動的濡れ性を有する液体の選択ができ、液体噴射ヘッドの液体噴射を所期の状態に設定することができる。
【0027】
本発明の液体の動的濡れ性の評価方法において、上記液体が、インクジェット式記録装置において吐出されるインクである場合には、上記インク噴射ヘッドにおける重要部品であるノズルプレートとインクとの動的濡れ性を正確に解明することにより、ノズル開口からのインク滴の吐出状態を正常に確保できるかどうかの予測をつけることができる。つまり、動的濡れ性が濡れやすい性状であると、液体を噴射させる際、ノズル開口部に形成されるメニスカスの形成速度あるいは形状の制御について時間を要することになり、高周波数での噴射が困難であるほか、ノズル開口部の正常なメニスカスの形成に支障をきたして、インク滴の吐出方向が狂ったり、吐出量が増減したりするので、動的濡れ性を正確に評価し、その結果に基づいて最適の動的濡れ性を有するインクの選択ができ、インク噴射ヘッドのインク滴吐出を所期の状態に設定することができる。また、各色のインクの動的濡れ性をできるだけ均一に整えることにとっても、本発明の評価方法は有用であり、インク色毎のインク滴吐出状態を均一化でき、印字等の品質向上に有効である。
【0028】
上記目的を達成するため、本発明の液体の動的濡れ性の評価装置は、平坦な表面が略水平な状態で配置され上記表面上に所定量の液体を滞留させる受液部材と、上記受液部材上で滞留状態にある上記液体の上方部分を上方へ引き上げる引き上げ手段と、上記引き上げ手段により上記液体の上方部分を上方へ引き上げることによって上記液体と上記受液部材との接触状態を変化させ、上記変化状態を把握して評価する比較判定手段を備えた液体の動的濡れ性の評価装置であって、上記受液部材に接触している液体の初期接触面積と、上記引き上げ手段で液体を上方へ引き上げることによって上記初期接触面積を減少させた評価対象接触面積とを比較する面積判定手段を備えたことを要旨とする。
【0029】
すなわち、上記受液部材に接触している液体の初期接触面積と、上記引き上げ手段で液体を上方へ引き上げることによって上記初期接触面積を減少させた評価対象接触面積とを比較する面積判定手段を備えた評価装置である。
【0030】
このように、上記初期接触面積は、上記受液部材に滞留している状態における液体と受液部材との接触面積であり、また、上記評価対象接触面積は、上記滞留状態の液体の上方部分を上方へ引き上げることによって、初期接触面積よりも小さくされた液体と受液部材との接触面積である。このように、液体の上方部分を上方へ引き上げることにより、受液部材上における液体域と気体域との境界部すなわち液体と受液部材との境界線が液体の中央側に移動してきて、評価対象接触面積が形成される。このような各接触面積は上記面積判定手段によって把握されるものであるから、その計測値は精度の高い値として確保できる。そして、このように正確に把握された初期接触面積と評価対象接触面積とを、広さの次元で比較するものであるから、液体の引き上げによって現われた動的濡れ性を、高い精度で把握し評価することができる。
【0031】
上記面積判定手段には、上記初期接触面積と上記評価対象接触面積とを把握するとともに上記液体の上方または斜め上方に配置された画像撮影手段が含まれている場合には、CCDカメラのような画像撮影手段で上方または斜め上方から撮影するので、液体の接触状態を平面図的に、あるいは斜め上から見た平面図的に把握し、それを正確に画像データに変換することができ、上記面積判定手段で面積値として算出するとともに、上記両接触面積の比較処理をして、液体の変化状態を観察することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0033】
図1は、本発明の装置の一実施の形態を示す。この装置は、静止状態におかれた試料台20の上に受液部材21が載置してあり、その表面22は平坦で略水平な状態とされている。きわめて微量な液体を精密に計量して供給する装置であるシリンジ23が受液部材21の横側上方に配置され、その液体供給管24から受液部材21上に液体を供給するようになっている。符号25は、受液部材21上に供給された液体であり、その表面張力により膨隆した外形を呈している。ここでは気温25度の環境下で10μリットルの液量を滴下したもので、液体供給管24の先端部と表面22との間隔は1mmである。この膨隆した液体25の上方部分に液体供給管24の先端部が接触している。
【0034】
画像撮影手段であるCCDカメラ26は液体25の略真上に配置され、図2に示したモニター画面27のように液体25の面積を平面図的に撮影できるようになっている。このために、液体供給管24は途中で屈曲させてあり、上記シリンジ23は受液部材21の横側の上方に配置されている。したがって、CCDカメラ26の撮影光軸28は略真下を向いていて、シリンジ23がCCDカメラ26の撮影画像内に入らないようになっている。なお、CCDカメラ26を液体25の斜め上方に配置して、斜め方向からの液体面積映像として撮影してもよい。
【0035】
上記CCDカメラ26は、面積判定手段29に含まれている。そして、上記面積判定手段29に含まれている液滴制御部30は、シリンジ23と面積算出部31に対して供給液体の量を示す信号を送信し、これによりシリンジ23からは所定の量(10μリットル)の液体25が受液部材21上に供給される。CCDカメラ26からの画像データは上記面積算出部31に送られる。面積算出部31に送られる画像データは、液体25が吸引される前の液体形状と、吸引された後の液体形状を示すものであり、上記両液体形状を示す画像データが判定部32に送信され、この判定部32において両液体形状を比較した合成画像が生成される。上記合成画像データが出力部33からモニター画面27に送信される。液体供給管24は、上記のように液体を吸引する機能をも果たしているので、必要に応じて「吸引管24」と記載している。
【0036】
上記面積算出部31には、画像処理手段が内蔵されている。面積算出部31に送信されてきた液体25の画像データを、上記画像処理手段において処理することにより、初期接触面積S1や評価対象接触面積S2の面積値が算出されるようになっている。
【0037】
液体25が吸引される前の液体形状によって、受液部材21上に滞留状態になっている液体25と受液部材21との接触面積が「初期接触面積」を形成している。また、液体25が所定時間をかけて吸引された後の液体形状によって、受液部材21上に残存状態になっている液体25と受液部材21との接触面積が「評価対象接触面積」を形成している。すなわち、この評価対象接触面積は、上記滞留状態にある液体の上方部分を上方へ引き上げることによって上記初期接触面積を減少させたものである。なお、符号S1は初期接触面積を示し、符号S2は評価対象接触面積を示している。
【0038】
図2(A)に示すモニター画面27には、初期接触面積S1を示す画像が映し出され、また、同図(B)には、評価対象接触面積S2を示す画像が映し出されている。(B)においては、初期接触面積S1を示す仮想線を表示することにより、評価対象接触面積S2との目視的な対比が容易にできるようになっている。このようにして求められたS1とS2との面積差をランク分けすることにより、液体25の動的濡れ性を段階的に評価することができる。
【0039】
したがって、液体25の上方部分を上方へ引き上げることにより、受液部材21上における液体域と気体域との境界部すなわち液体25と受液部材21との境界線が液体25の中央側に移動してきて、評価対象接触面積S2が形成される。その後、各接触面積S1,S2を把握するものであるから、その計測値は精度の高い値として確保できる。そして、このように正確に把握された初期接触面積S1と評価対象接触面積S2とを、広さの次元で比較するものであるから、液体25の引き上げによって現われた動的濡れ性を、高い精度で把握し評価することができる。
【0040】
初期接触面積S1と評価対象接触面積S2とを映像的に把握することにより、この映像データを種々な解析手段等に反映させて、各接触面積を正確に算出することができ、面積比較にとってきわめて好都合である。
【0041】
上記CCDカメラ26によってえられた画像データを画像処理手法で解析し、両接触面積S1,S2の面積差を正確に算出することができるので、液体25の動的濡れ性の度合いを正確に掌握することができる。
【0042】
液体25の接触状態を平面図的に、あるいは斜め上から見た平面図的に把握し、それを正確に画像データに変換することができるので、初期接触面積S1および評価対象接触面積S2を算出する基礎的なデータとして高い信頼性のもとで、接触面積の比較が可能となる。
【0043】
上記滞留状態にある液体25の上方部分の上方への引き上げは、吸引管24によって液体25を吸い上げるものなので、上記吸引管24に作用させるバキュームの値を適正に設定することにより、液体25の引き上げ速度を、液体25の粘性等の特性に応じた上記評価対象接触面積S2を形成する上で、最適化することができ、適正な評価対象接触面積S2が確保できる。
【0044】
上記滞留状態にある液体25の上方部分の上方への引き上げを、棒状の引き上げ部材(図示していない)に液体25の上方部分を接触させて上記引き上げ部材を上方へ牽引する手法を採用することもできる。こうすることにより、液体25が引き上げ部材に粘着した状態で引き上げられるので、初期接触面積S1から評価対象接触面積S2への変化が現われる。引き上げ部材の引き上げ速度を適正に設定することにより、この速度を、液体25の粘性等の特性に応じた評価対象接触面積S2を形成する上で、最適化することができ、適正な評価対象接触面積S2が確保できる。
【0045】
ここで、動的濡れ性評価の具体例を説明する。
【0046】
評価液として、下記のように調整したインクジェット式記録装置用のインクを用いた。
Figure 2004309263
評価液2〜5については、以下のようにフッ素系の界面活性剤であるサーフロンS−113の添加量を変えたものとした。すなわち、
評価液2 0.1重量%
評価液3 0.2重量%
評価液4 0.3重量%
評価液5 0.4重量%
【0047】
評価液1の調整は、以下のとおり行った。まず、カーボンブラックと分散液と水を混合し、サンドミル(安川製作所製)中で、ガラスビーズ(直径1.7mm,混合物の1.5倍量(重量))とともに2時間分散させた後、ガラスビーズを取り除きカーボンブラック分散液を調整した。次いで、上記その他の標準液の成分を混合し、常温で20分間撹拌した。その後、撹拌した状態で上記のカーボンブラック分散液を徐々に滴下し、さらに20分間撹拌した。これを、5μmのメンブランフィルターで濾過し、インクジェット用インクをえた。評価液2〜5も、評価液1に準じて調整した。
【0048】
評価部材すなわち受液部材21は、セイコーエプソン株式会社製インクジェットプリンタに用いられるノズルプレートとした。
【0049】
評価方法は、次のとおりである(図1〜図4参照)。
(1)気温25度の環境下において、受液部材21であるノズルプレートから1mmの距離をおいて、シリンジ23の鉛直方向に立てられた液体供給管24から、10μリットルの評価液をノズルプレート上に滴下する。
(2)滴下したインクを、吸引管24から2μリットル/秒の速度で吸引し、吸引開始から10秒後のノズルプレート上に存在する評価液の残面積を評価液25の上方からCCDカメラ26で計測する。
(3)調整した評価液について、インクジェットプリンタStylusC82(セイコーエプソン株式会社製)により、360dpiのアルファベット文字の印字を行い、ドット抜けを評価した。評価基準はつぎのとおりである。
○:30ページ以上ドット抜けなし
△:10〜29ページでドット抜け発生
×:10ページ未満でドット抜け 発生
【0050】
上記評価基準による評価結果は、図3のとおりである。図3に示す評価結果から、評価対象接触面積S2が小さなすなわち動的濡れ性が小さい評価液1,2が良好な吐出安定性であることが認められる。このような動的濡れ性を呈する評価液1,2は、ノズル開口部におけるインクのメニスカスが、所定の表面張力をともなって正常な形態になっているので、吐出安定性が良好となる。もし、動的濡れ性が大きく現われるインクであれば、ノズル開口部に形成されるメニスカスの形成速度あるいは形状の制御が正確になされず、ドット抜けの原因になるものと考えられる。
【0051】
以上のように、初期接触面積S1と評価対象接触面積S2の面積を、平面図的な概念で把握し両接触面積を比較するものであるから、各評価液1〜5の各々について明瞭な比較結果がえられて、的確な評価が可能となる。したがって、インクジェット式記録装置に必要な、インクとノズルプレートとの間において生じるインクの動的濡れ性を最適化する場合等できわめて有用である。前述のような従来技術においては、膜厚の変化状態を断面図的な概念で把握するものであるから、上記のような明瞭な評価区分が十分に果たせないのである。
【0052】
図4は、吸引時間と濡れ面積との関係を示す線図である。曲線Aの場合は、短い吸引時間で濡れ面積が大幅に減少しているので、動的濡れ性が小さく、上記評価液1,2がこれに相当している。また、曲線Bの場合は、長い吸引時間で濡れ面積が曲線Aと同程度に減少しているので、動的濡れ性が大きく、上記評価液3〜5がこれに相当している。
【0053】
上述の液体の動的濡れ性の評価方法を用いて、液体噴射ヘッドのノズル開口が形成されたノズルプレートの噴射液に対する動的濡れ性を評価することができる。液体噴射ヘッドは、上述のように種々な液体を対象にして機能させることができ、図示の実施の形態においてはその代表的な事例として、インクジェット式記録装置に採用されるインク噴射ヘッドを実施の形態の対象にしている。
【0054】
図6は、上記インク噴射ヘッドを示す断面図であり、インク噴射ヘッド全体は符号35で示されている。上記インク噴射ヘッド35は、ノズル開口36が形成されたノズルプレート37と、上記ノズルプレート37に接合されインク貯留室38が形成されたインク貯留室形成板39と、上記インク貯留室形成板39に接合されインクの供給口40が形成された供給口形成板41と、上記供給口40に連通する圧力発生室42が形成され上記供給口形成板41に一体化されている圧力発生室形成板43と、上記圧力発生室形成板43に接合され圧力発生室42を封止する振動板44と、上記振動板44に取付けられた圧力発生手段である撓み振動型の圧電素子45との各機能部材から構成されている。
【0055】
なお、ここではディスタンスプレート46が供給口形成板41と圧力発生室形成板43との間に接合され、圧力発生室42に開口する流通穴47が形成されている。また、ノズル開口36と圧力発生室42を連通する流通穴48が設けられている。各部材の接合は、接着によってなされている。
【0056】
上記インク貯留室38におけるインクの圧力変動に順応させるために、大気に連通している空間とされたコンプライアンス部49が形成されている。上記コンプライアンス部49を形成するために、供給口形成板41が積層構造とされている。供給口形成板41は、板厚の厚いステンレス製の第1板材50と上記第1板材50よりも板厚が薄くされたステンレス製の第2板材51とが接着剤層である接合層52により、一体化されている。そして、第2板材51にエッチング処理を施すことにより、コンプライアンス部49が形成される。
【0057】
上記ノズル開口36が形成されるノズルプレート37とインクとの動的濡れ性を正確に解明することにより、ノズル開口36からのインクの吐出状態を正常に確保できるかどうかの予測をつけることができる。つまり、動的濡れ性が濡れやすい性状であると、上記ノズル開口36に形成されるメニスカスの形成速度あるいは形状の制御について時間を要することになり、高周波数での噴射が困難であるほか、インクの吐出方向が狂ったり、吐出量が増減したりするので、動的濡れ性を正確に評価し、その結果に基づいてノズルプレート37の材質等を最適化することができる。このような材質等を数種類準備して、その中から最適の材質を選定することができる。
【0058】
図7は、上記の液体噴射ヘッドが、インクジェット式記録装置54の上記インク噴射ヘッド35とされている場合である。
【0059】
この装置54は、インクカートリッジ55が搭載されるとともに、インク噴射ヘッド35が取付けられたキャリッジ56を備えている。上記キャリッジ56は、タイミングベルト57を介してステッピングモータ58に接続され、ガイドバー59に案内されて記録紙である記録媒体60の紙幅方向(主走査方向)に往復移動するようになっている。上記キャリッジ56は、上部に開放する箱型を呈し、記録媒体60と対向する面(この例では下面)に、インク噴射ヘッド35のノズル形成面が露呈するよう取付けられるとともに、インクカートリッジ55が搭載されるようになっている。
【0060】
そして、上記インク噴射ヘッド35にインクカートリッジ55からインクが供給され、キャリッジ56を移動させながら記録媒体60の上面にインク滴を吐出させて記録媒体60に画像や文字をドットマトリックスにより印刷するようになっている。なお、キャリッジ56は、インク噴射ヘッド35を主走査方向に往復移動させる移動手段として機能している。
【0061】
したがって、インクジェット式記録装置の重要機能箇所であるインク噴射ヘッド35において、ノズルプレート37とインクとの動的濡れ性を正確に解明し、ノズル開口36からのインク滴の吐出状態を正常に確保できるかどうかの予測をつけることができる。
【0062】
液体噴射ヘッドから噴射される液体を、上記の評価液1〜5の事例のように段階的に評価することにより、その液体噴射ヘッドの特質に最も相応しい動的濡れ性を有する液体の選定が的確に達成でき、液体噴射ヘッドの液体噴射性能を最大限に発揮させることができる。
【0063】
そして、このように評価される液体が、インクジェット式記録装置において吐出されるインクである場合は、そのインクジェット式記録装置にとって最も適合性のすぐれたインクを、上記のように、適正な表面張力によるノズル開口部の最良のメニスカスをえて、選定することができ、装置としての印字等の品質を適正に維持することが可能である。さらに、上述のようなインクの評価がなされるので、インクの種類すなわちインク色が変わっても、できるだけ動的濡れ性を均一化したインクを調整することができ、このような面からもインクジェット式記録装置のインク吐出性能をより向上させることができる。
【0064】
上記記録媒体60の移動を案内するために、インク噴射ヘッド35の主走査方向に延びている長尺な案内部材61が配置されている。案内部材61の一端側のとなりには、インク噴射ヘッド35のノズルプレート37を清浄にするワイパー装置62と、ノズル開口部のインクの粘性状態等を正常化するキャッピング装置63が配置されている。また、案内部材61の他端側のとなりには、フラッシングボックス64が配置され、そこにフラッシング開口部65が形成されている。
【0065】
キャッピング装置63によるクリーニング動作で吸出された廃インクや、フラッシング開口部65に対するフラッシング動作でインク噴射ヘッド35から吐出された廃インクは、廃インク貯留部66に溜められるようになっている。
【0066】
一方、本発明の液体の動的濡れ性の評価装置は、平坦な表面22が略水平な状態で配置され上記表面22上に所定量の液体25を滞留させる受液部材21と、上記受液部材21上で滞留状態にある上記インク25の上方部分を上方へ引き上げる引き上げ手段であるシリンジ23,液体供給管24と、上記引き上げ手段23,24により上記インク25の上方部分を上方へ引き上げることによって上記インク25と上記受液部材21との接触状態を変化させ、上記変化状態を把握して評価する比較判定手段(面積判定手段)29を備えたインク25の動的濡れ性の評価装置であって、上記受液部材21に接触しているインク25の初期接触面積S1と、上記引き上げ手段でインク25を上方へ引き上げることによって上記初期接触面積S1を減少させた評価対象接触面積S2とを比較する面積判定手段29を備えたものである。
【0067】
このように、上記初期接触面積S1は、上記受液部材21に滞留している状態におけるインク25と受液部材21との接触面積であり、また、上記評価対象接触面積S2は、上記滞留状態のインク25の上方部分を上方へ引き上げることによって、初期接触面積S1よりも小さくされたインク25と受液部材21との接触面積である。このように、インク25の上方部分を上方へ引き上げることにより、受液部材21上におけるインク域と気体域との境界部すなわちインク25と受液部材21との境界線がインク25の中央側に移動してきて、評価対象接触面積S2が形成される。このような各接触面積S1,S2は上記面積判定手段29によって把握されるものであるから、その計測値は精度の高い値として確保できる。そして、このように正確に把握された初期接触面積S1と評価対象接触面積S2とを、広さの次元で比較するものであるから、インク25の引き上げによって現われた動的濡れ性を、高い精度で把握し評価することができる。
【0068】
上記面積判定手段29には、初期接触面積S1と評価対象接触面積S2とを把握するとともにインク25の上方または斜め上方に配置された画像撮影手段26が含まれている。すなわち、CCDカメラ26のような画像撮影手段で上方または斜め上方から撮影するので、インク25の接触状態を平面図的に、あるいは斜め上から見た平面図的に把握し、それを正確に画像データに変換することができ、上記面積判定手段29で面積値として算出するとともに、上記両接触面積S1,S2の比較処理をして、インク25の変化状態を観察することができる。
【0069】
上記の実施の形態では、圧力発生素子が撓み振動モードの形式であるが、他に、縦振動モードで液体を噴射したり、液体の加熱素子で液体を噴射したりする形式のものであってもよい。また、本発明における液体貯留手段は、キャリッジにインクカートリッジを搭載する形式のものに加えて、インクタンクをインクジェット式記録装置の本体側に装着し、キャリッジには圧力変動を吸収するサブタンクを搭載した形式のものであってもよい。
【0070】
上述の実施の形態は、インクジェット式記録装置を対象にしたものであるが、本発明によってえられた液体噴射装置は、インクジェット式記録装置用のインクだけを対象にするのではなく、グルー,マニキュア,導電性液体(液体金属)等を噴射することができる。さらに、上記実施の形態では、液体の一つであるインクを用いたインクジェット式記録ヘッドについて説明したが、プリンタ等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド,液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド,有機ELディスプレー,FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド,バイオチップ製造に用いられる生体有機噴射ヘッド等の液体を吐出する液体噴射ヘッド全般に適用することも可能である。
【0071】
【発明の効果】
以上のように、本発明の液体の動的濡れ性の評価方法および装置によれば、評価方法としては、上記初期接触面積は、上記受液部材に滞留している状態における液体と受液部材との接触面積であり、また、上記評価対象接触面積は、上記滞留状態の液体の上方部分を上方へ引き上げることによって、初期接触面積よりも小さくされた液体と受液部材との接触面積である。このように、液体の上方部分を上方へ引き上げることにより、受液部材上における液体域と気体域との境界部すなわち液体と受液部材との境界線が液体の中央側に移動してきて、評価対象接触面積が形成される。その後、各接触面積を把握するものであるから、その計測値は精度の高い値として確保できる。そして、このように正確に把握された初期接触面積と評価対象接触面積とを、広さの次元で比較するものであるから、液体の引き上げによって現われた動的濡れ性を、高い精度で把握し評価することができる。
【0072】
また、評価装置としては、上記初期接触面積は、上記受液部材に滞留している状態における液体と受液部材との接触面積であり、また、上記評価対象接触面積は、上記滞留状態の液体の上方部分を上方へ引き上げることによって、初期接触面積よりも小さくされた液体と受液部材との接触面積である。このように、液体の上方部分を上方へ引き上げることにより、受液部材上における液体域と気体域との境界部すなわち液体と受液部材との境界線が液体の中央側に移動してきて、評価対象接触面積が形成される。このような各接触面積は上記面積判定手段によって把握されるものであるから、その計測値は精度の高い値として確保できる。そして、このように正確に把握された初期接触面積と評価対象接触面積とを、広さの次元で比較するものであるから、液体の引き上げによって現われた動的濡れ性を、高い精度で把握し評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の装置を示す断面図である。
【図2】液体が、初期接触面積を呈している状態と、評価対象接触面積を呈している状態を示す側面図と平面図である。
【図3】評価液の判定結果を示す一覧表である。
【図4】吸引時間と濡れ面積との関係を示す線図である。
【図5】従来技術を示すシステム図である。
【図6】インク噴射ヘッドの断面図である。
【図7】インクジェット式記録装置の斜視図である。
【符号の説明】
1 試料台
2 受液部材
3 表面
4 シリンジ
5 液体供給管
6 液体
7 モニター画面
P1 接触点
P2 途切れた箇所
8 主要部
9 薄膜部
10 比較判定手段
11 液滴制御部
12 接触角算出部
13 画像撮影手段,CCDカメラ
14 撮影光軸
15 判定部
16 出力部
20 試料台
21 受液部材
22 表面
23 シリンジ
24 液体供給管,吸引管
25 液体,インク
26 画像撮影手段,CCDカメラ
27 モニター画面
28 撮影光軸
29 面積判定手段,比較判定手段
30 液滴制御部
31 面積算出部
32 判定部
33 出力部
35 液体噴射ヘッド,インク噴射ヘッド
36 ノズル開口
37 ノズルプレート
38 インク貯留室
39 インク貯留室形成板
40 供給口
41 供給口形成板
42 圧力発生室
43 圧力発生室形成板
44 振動板
45 圧電素子
46 ディスタンスプレート
47 流通穴
48 流通穴
49 コンプライアンス部
50 第1板材
51 第2板材
52 接合層
54 インクジェット式記録装置
55 インクカートリッジ
56 キャリッジ
57 タイミングベルト
58 ステッピングモータ
59 ガイドバー
60 記録媒体
61 案内部材
62 ワイパー装置
63 キャッピング装置
64 フラッシングボックス
65 フラッシング開口部
66 廃インク貯留部
S1 初期接触面積
S2 評価対象接触面積

Claims (15)

  1. 平坦な表面が略水平な姿勢で配置された受液部材上に所定量の液体を滞留させ、滞留状態にある上記液体の上方部分を上方へ引き上げることによって上記液体と上記受液部材との接触状態を変化させ、その後、上記変化の状態を評価する液体の動的濡れ性の評価方法であって、上記滞留状態にある液体が上記受液部材に接触している初期接触面積と、上記滞留状態にある液体の上方部分を上方へ引き上げることによって上記初期接触面積を減少させた評価対象接触面積とを比較して液体の動的濡れ性を評価することを特徴とする液体の動的濡れ性の評価方法。
  2. 上記初期接触面積と上記評価対象接触面積とを上記両接触面積を映像的に把握して、初期接触面積と評価対象接触面積との面積差を算出して液体の動的濡れ性を評価する請求項1記載の液体の動的濡れ性の評価方法。
  3. 上記両接触面積は、画像撮影手段を含む面積判定手段によって把握される請求項1または2記載の液体の動的濡れ性の評価方法。
  4. 上記面積判定手段は、上記両接触面積の把握を画像処理によって行う手段を含んでいる請求項3記載の液体の動的濡れ性の評価方法。
  5. 上記画像撮影手段は、上記液体の上方または斜め上方に配置されている請求項3または4記載の液体の動的濡れ性の評価方法。
  6. 上記滞留状態にある液体の上方部分の上方への引き上げは、吸引管によって液体を吸い上げるものである請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体の動的濡れ性の評価方法。
  7. 上記滞留状態にある液体の上方部分の上方への引き上げは、引き上げ部材に上記液体の上方部分を接触させて上記引き上げ部材を上方へ牽引するものである請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体の動的濡れ性の評価方法。
  8. 上記受液部材が、液体噴射用のノズル開口が形成される部材である請求項1〜7のいずれか一項に記載の液体の動的濡れ性の評価方法。
  9. 液体貯留源からの液体を貯留する液体貯留室と、上記液体貯留室から液体を導入して圧力発生手段により液体を加圧する圧力発生室と、上記圧力発生室で加圧された液体を噴射するノズル開口とを備えた液体噴射ヘッドの上記ノズル開口が形成されたノズルプレートの動的濡れ性を評価するものである請求項1〜8のいずれか一項に記載の液体の動的濡れ性の評価方法。
  10. 上記液体噴射ヘッドが、インクジェット式記録装置におけるインク噴射ヘッドである請求項9記載の液体の動的濡れ性の評価方法。
  11. 上記液体自体の動的濡れ性を評価するものである請求項1〜8のいずれか一項に記載の液体の動的濡れ性の評価方法。
  12. 上記液体が、液体貯留源からの液体を貯留する液体貯留室と、上記液体貯留室から液体を導入して圧力発生手段により液体を加圧する圧力発生室と、上記圧力発生室で加圧された液体を噴射するノズル開口とを備えた液体噴射ヘッドから噴射される液体である請求項11記載の液体の動的濡れ性の評価方法。
  13. 上記液体が、インクジェット式記録装置において吐出されるインクである請求項12記載の液体の動的濡れ性の評価方法。
  14. 平坦な表面が略水平な状態で配置され上記表面上に所定量の液体を滞留させる受液部材と、上記受液部材上で滞留状態にある上記液体の上方部分を上方へ引き上げる引き上げ手段と、上記引き上げ手段により上記液体の上方部分を上方へ引き上げることによって上記液体と上記受液部材との接触状態を変化させ、上記変化状態を把握して評価する比較判定手段を備えた液体の動的濡れ性の評価装置であって、上記受液部材に接触している液体の初期接触面積と、上記引き上げ手段で液体を上方へ引き上げることによって上記初期接触面積を減少させた評価対象接触面積とを比較する面積判定手段を備えた液体の動的濡れ性の評価装置。
  15. 上記面積判定手段には、上記初期接触面積と上記評価対象接触面積とを把握するとともに上記液体の上方または斜め上方に配置された画像撮影手段が含まれている請求項14記載の液体の動的濡れ性の評価装置。
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CN109765146A (zh) * 2019-01-21 2019-05-17 时代上汽动力电池有限公司 润湿性能识别方法及铜箔毛面和光面的识别方法

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