【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス繊維およびそれと樹脂との複合材、ガラス織布およびそれと樹脂との複合材、並びに、ガラス粉末およびそれと樹脂との複合材に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス繊維やガラス織布は、繊維強化プラスチック、濾過分離フィルタ、ガスフィルタ、保温材、断熱材、不燃材、テントなどの高強度布材、およびプリント配線板の基材などに幅広く使用されている。また、ガラス粉末は、樹脂などに混入されて、樹脂などの強度、耐熱性、対摩耗性などを向上させている。ガラスは、高強度で耐熱性も高くさらには化学的にも安定な材料であることから、上記のような様々な分野で使用されている。
【0003】
一方、レーザ加工は、切断、穴開けなど、金属や樹脂など様々な材料の加工方法として使用されている。しかし、ガラスは、一般的に樹脂に較べてレーザ加工しにくい材料として知られている。特に、ガラスを樹脂で被覆した複合材をレーザ加工する場合、ガラスに較べて樹脂の加工速度が大きいので、このような複合材を均一に加工するのは難しい。
【0004】
例えば、プリント配線板の絶縁材料は、有機材料であるマトリックス樹脂と無機材料であるガラス織布とからなる複合材料である。これにレーザで貫通穴やビアホールなどを開ける場合、樹脂とガラスの加工状態が異なるため、内壁面の荒れや、場合によってはガラス繊維が蒸発せずに残存するといった不具合が発生する。
【0005】
このプリント配線板のレーザ穴開けに関し、例えば、ガラス織布を薄くすると共に、隣り合うガラス繊維同士を実質的に隙間なく配列することで、良好な小径穴加工ができるプリント配線用ガラス織布が開示されている(特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−242047
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のガラス織布はガラス繊維の分布を均一にすることで、レーザ加工による小径穴の均一性を良くしているが、用いているガラス繊維自体は従来のものである。したがって、ガラス繊維と樹脂のレーザ加工特性は、従来と同様に異なったままである。ガラス繊維自体がレーザ加工しやすくなり、例えば、加工しきい値が低くなり、樹脂の加工しきい値に近づけば、より均質で良好な加工が行えるようになる。そのようなレーザ加工しやすいガラス繊維が望まれている。また、ガラス粉末を含有した樹脂をレーザ加工する際にも、ガラス粉末が残存しないような、レーザ加工しやすいガラス粉末が望まれている。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、レーザ加工しやすいガラス繊維、ガラス織布およびガラス粉末を提供することである。また、レーザによる穴開けなどの加工が行いやすいガラス繊維と樹脂との複合材、ガラス織布と樹脂との複合材、ガラス粉末と樹脂との複合材を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ガラス繊維であって、該ガラス繊維の内部にレーザ光のエネルギーを吸収する元素が含有されていることを要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記元素はチタン、鉄、バナジウム、ビスマス、鉛、タリウム、すず、セリウム、ロジウム、コバルト、銀のうちの少なくともいずれか1種であることを要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1において、前記元素として少なくともチタンが含まれ、次の条件の組成を満たすことを要旨とする。
ただし、1≦TiO2≦40モル%とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、複合材であって、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス繊維と樹脂とが含まれることを要旨とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス繊維で織られたことを要旨とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、複合材であって、請求項5に記載のガラス織布と樹脂とが含まれることを要旨とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項4または6に記載の複合材を基材とし、該基材に配線パターンが設けられたことを要旨とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、ガラス粉末であって、該ガラス粉末の内部にレーザ光のエネルギーを吸収する元素が含有されていることを要旨とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項8において、前記元素はチタン、鉄、バナジウム、ビスマス、鉛、タリウム、すず、セリウム、ロジウム、コバルト、銀のうちの少なくともいずれか1種であることを要旨とする。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項8において、前記元素として少なくともチタンが含まれ、次の条件の組成を満たすことを要旨とする。
ただし、1≦TiO2≦40モル%とする。
【0019】
請求項11に記載の発明は、複合材であって、請求項8〜10のいずれか1項に記載のガラス粉末と樹脂とが含まれることを要旨とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、ガラス繊維を構成する種々の元素およびそれらの酸化物の組成比とレーザ加工特性の関係を詳しく調べ、特に、特定の元素を含む所定の組成範囲においてレーザ加工性能が格段に良好になることを見出した。それらの繊維から製造されるガラス織布も良好なレーザ加工性を示した。さらに、それらのガラス繊維あるいはガラス織布と樹脂との混合物も良好なレーザ加工性を示すことを確認した。
【0021】
また、ガラス粉末についても同様に、ガラス粉末を構成する種々の元素およびそれらの酸化物の組成比とレーザ加工特性の関係を詳しく調べ、特に、特定の元素を含む所定の組成範囲においてレーザ加工性能が格段に良好になることを見出した。さらに、そのガラス粉末と樹脂との混合物も良好なレーザ加工性を示すことが分かった。
【0022】
以下、ガラス繊維を例にして本実施形態を説明する。
ガラス繊維には、主に複合材料として使用されるガラス長繊維と、主に断熱材や吸音材に使用されるガラス短繊維がある。長繊維の製造方法には、ガラス溶融炉の底部にノズルからガラスを直接繊維化するダイレクトメルト法と、一度成形したガラスを再溶融しながら繊維化するマーブルメルト法がある。短繊維の場合にも長繊維と同様、溶融方法として、ダイレクトメルト法とマーブルメルト法があり、溶融ガラスを遠心力や火炎、蒸気、圧縮空気などで吹き飛ばして繊維化する。
【0023】
実験的には、一度成形したガラス棒の先端部を加熱し、先端の粘性が低下した部分からガラスを引き伸ばしていく方法や、溶融したガラス表面から引き上げて繊維状にする方法などが行われる。
【0024】
いずれの場合も、良好な紡糸を行うためには、溶融ガラスがガラス繊維状に変化する過程でのガラスの粘性を最適なものとすることが重要である。経験的には、ダイレクトメルトの場合、ノズルを流れるガラスの粘性が50〜150Pa・s(500〜1500P)のとき、紡糸可能であるといわれている。
【0025】
本発明のガラス繊維も上記いずれかの方法により作製される。ここで、本発明のガラス組成範囲はレーザ加工性の良否により決定されているので、例えば融点などの物性値は、本発明の組成範囲内で大きく変化する。したがって、紡糸を行う際の、ガラス溶融温度やノズル先端の温度などの製造条件は、ガラスの物性値に合わせて適宜最適な紡糸条件に設定する必要がある。
【0026】
ガラス繊維の種類には、一個のノズルから連続的に引かれる単繊維(フィラメントという)や、紡糸時に多数のフィラメントを集束剤で集束した繊維束(ストランドという)などがある。フィラメントは、用途に応じて3〜24μmの範囲の所定の直径で生産される。
【0027】
本発明のガラス繊維の特徴は、原料となるガラス自体にあるので、前記の繊維形状にはよらず、様々な直径、あるいは断面形状を持つガラス繊維に適用できる。
【0028】
また、ガラス繊維は、糸あるいはひも状で連続的に使用されるヤーンやロービング、あるいはシート状にして積層や巻きつけ貼り付けに使用するガラス織布(クロス)とマット、チョップ状でマトリックスと混合して使用するチョップトストランドなど、様々な形状のものがある。いずれの形状においても、ガラス繊維自体の特性を変化させるものではないので、本発明のガラス繊維は前記の様々な形状に対して適用できる。
【0029】
ガラス繊維の強度が高いことを利用した複合材も広く使用されている。例えば、ガラス繊維強化熱硬化性樹脂(FRP:fiberglass reinforced plastics)やガラス繊維強化熱可塑性樹脂(FRTP:fiberglass reinforced thermo−plastic)、プリント配線基板など、樹脂を補強する目的で、ガラス繊維、ガラス織布、あるいはガラス繊維を樹脂と複合させた材料が多く使用されている。
【0030】
また、樹脂以外では、ガラス繊維強化ゴム(FRR:fiberglass reinforced ruber)やガラス繊維強化セメント(GRC:glassfiber reinforced cement)などとの複合材も様々な分野で使用されている。このような複合化を行ったとしても、ガラス繊維自体が持つ物性は変化しないので、それらの複合材をレーザで加工する際に、ガラス繊維に起因する加工品質が改善されることはいうまでもない。
【0031】
特に、有機材料であるマトリックス樹脂とガラス繊維との複合材、あるいはマトリックス樹脂とガラス織布との複合材に本発明を用いると、これらの複合材のレーザ加工が容易に行えるようになる。
【0032】
このような複合材として、例えばプリント配線基板に本発明のガラス繊維あるいはガラス織布を使用すると、ガラス繊維自体が容易にレーザ加工できるので、レーザで貫通穴やビアホールを開けた際の穴の品質が格段に向上する。すなわち、内壁面の荒れが少なく、ガラス繊維残りが少ない貫通穴あるいはビアホールを得ることができる。
【0033】
ただし、本発明のガラス繊維を用いた場合でも、樹脂に較べればガラス繊維のレーザ加工しきい値は大きいので、少なくともガラスの加工しきい値よりも高いエネルギーで加工する必要がある。
【0034】
レーザ加工には、炭酸ガスレーザ、YAGレーザ、銅蒸気レーザ、チタンサファイアレーザ、エキシマレーザなどの各種レーザを使用することができる。これらのレーザのうちどのレーザを使用するかは、被加工物の特性や、加工部のサイズにより適切なものを選ぶことになる。例えば、光は波長が短いほど集光点での大きさが小さくなるので、小さいサイズの加工(例えば微細穴の形成など)を行う際は、短波長のレーザを選択する方が有利である。
【0035】
場合により、元のレーザ光を高調波に変換し、短波長化して加工に使用してもよい。この例としては、YAGレーザの基本波(波長1064nm)を、第2高調波(波長532nm)や第3高調波(波長355nm)あるいは第4高調波(波長266nm)に変換して加工に使用する場合などが挙げられる。
【0036】
本発明のガラス繊維は、これらの様々なレーザを用いて加工できるが、特に、波長の短いレーザ、例えば、YAGレーザの第3高調波、第4高調波や、KrFエキシマレーザなど紫外域の波長を持つレーザに対して優れた加工性を示す。
【0037】
【実施例】
以下では実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。
(バルクガラス)
ガラス繊維を作製する前に、溶融法で作製したバルクガラスにより、様々な組成のガラスのレーザ加工性(加工しきい値)を評価した。
作製したガラスの組成を表1に、加工しきい値の評価結果を表2および表3に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
加工しきい値は図1に示す光学系1を用いて測定した。レーザ光10としてはNd:YAGレーザの第3高調波(波長:355nm)および第4高調波(波長:266nm)の紫外光を用いた。レーザ光源12の繰り返し周波数は20Hzで、パルス幅は5〜8nsとした。レーザ光10は焦点距離100mmのレンズ(図示しない)で集光され、試料ステージ24上の試料ホルダ22に固定されたガラス試料20に照射される。照射時間は照射シャッタ30で制御し、2秒とした。
【0042】
レーザ光10のエネルギーは照射シャッタ30を閉じた状態で、パワーメータ40をレーザ光10の光路に入れて測定した。このエネルギーを種々変えてレーザ光10を試料に照射し、アブレーションが起こる限界のエネルギーを求め、加工しきい値とした。
【0043】
レーザ加工用ガラスは所定の原料を混合し、電気炉内で溶融後、徐冷することによって作製した。得られたガラスブロックを一般的な方法で切断研磨し、板状で表面が平滑な実験用レーザ加工用ガラス試料を準備した。
以下、本発明を用いた実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0044】
本発明のレーザ加工用ガラスの実施例1〜18の組成を表1に示す。実施例1〜5は、中間酸化物の量を変化させた組成である。実施例6〜8は、実施例5の組成のうちTiO2の量を変えずに網目形成酸化物を変化させた例である。実施例9、10は、実施例5の組成のうちTiO2の量を変えずに修飾酸化物の添加量を変化させた例である。実施例11、12は網目形成酸化物のSiO2と中間酸化物のTiO2の量を大きく変えた組成である。実施例13〜18は、実施例5の組成のうちTiO2の量を変えずに修飾酸化物の種類を変化させた例である。
【0045】
各成分の組成範囲は単位をモル%として次の範囲にした。
網目形成酸化物(SiO2、B2O3):20.0〜79.0
中間酸化物(Al2O3、TiO2):1.0〜40.0
ただし、TiO2は1.0〜40.0モル%含有していることが必須である。
修飾酸化物(Li2O、Na2O、K2O、Rb2O、Cs2O、MgO、CaO、SrO、BaO):5.0〜60.0
本発明のレーザ加工用ガラスは微量の不純物を除いて、実質的に上記の組成物からなる。また、TiO2を除いて上記組成範囲を満たす限り、各成分は含有されなくてもよい。
【0046】
上記の組成のガラスにおいては、ガラスの網目形成酸化物であるSiO2またはB2O3を20〜79モル%含むことによって、ガラスとしての骨格を維持することができる。
【0047】
修飾酸化物であるLi2O、Na2O、K2O、Rb2O、Cs2O、MgO、CaO、SrO、またはBaOは、ガラスの網目構造を一部破壊するので、高温での粘性を弱めることや粘性の温度傾斜を緩くするために用いる成分である。本発明の5〜60モル%の添加範囲であればガラスを作製することができる。
【0048】
Al2O3またはTiO2は中間酸化物であり、網目形成酸化物であるSiO2またはB2O3と、修飾酸化物であるLiO2、Na2O、K2O、Rb2O、Cs2O、MgO、CaO、SrO、またはBaOのバランスに応じて、網目酸化物としても修飾酸化物としてもガラス中で存在することができる。特に中間酸化物のTiO2は後述のように加工しきい値を下げるために用いた成分である。
【0049】
上記組成のレーザ加工用ガラス試料に照射エネルギーを変えながら波長266nmのレーザ光を照射した。この結果得られた加工しきい値を表2に示す。次にレーザ光の波長を355nmにして同様の実験を行った。その結果、得られた加工しきい値を表3に示す。
【0050】
なお、波長266nmのレーザ光照射時のパワーメータで測定可能な最小パワーは15mWであり、その値以下の優劣は比較できなかった。また、波長355nmのレーザ光照射時においては、レーザの安定性の問題により100mW以下を精密には測定できなかった。
【0051】
中間酸化物の量を変化させた実施例1〜5では、図2に示すように、TiO2の量が増えるほど、加工しきい値が低くなっており、実施例5(TiO2:25モル%)では測定限界まで加工しきい値が低下している。
【0052】
実施例5の組成において、TiO2の量を変えずに網目形成酸化物を変化させた実施例6〜8では、網目形成酸化物であるSiO2とB2O3の割合を変化させても、加工しきい値は測定限界以下で変わらない。
【0053】
実施例5の組成において、TiO2の量を変えずに修飾酸化物の添加量を変化させた実施例9,10では、修飾酸化物であるNa2Oの量を変化させても、加工しきい値は測定限界以下で変わらなかった。
【0054】
網目形成酸化物のSiO2と中間酸化物のTiO2の量を大きく変えた実施例11、12組成では、これらの組成でも加工しきい値は、比較例1、2よりも低く、Ti添加の効果がはたらいている。
【0055】
実施例5の組成のうちTiO2の量を変えずに修飾酸化物の種類を変化させた実施例13〜18では、修飾酸化物の種類を変化させても、加工しきい値は測定限界以下で変わらなかった。
【0056】
(ガラス繊維)
以上のように、バルク形態で優れたレーザ加工性を示したガラスと同じ組成を持つガラス繊維を以下に示す方法で作製し、レーザ加工性を調べた。
先ず、通常の溶融法によりバルクガラスを作製し、そのガラスを切断して20mm×20mm×200mm程度の四角柱のガラス棒を作製した。このガラス棒の長辺方向の角を削り、およそ八角形のガラス棒とした。さらに円筒状の研磨具を用いて、それぞれの角を研磨することで、およそ直径20mm、長さ200mmの円柱状のガラス棒を作製した。
【0057】
このガラスを図3に示すような高温炉50の中に吊り下げ、ガラス棒100の先端を溶融すると、融液状になったガラスが重力により下に伸びてくる。この融液状のガラスを溶融炉下に設けた一対のローラ54で挟み、ガラスに左右方向から力を加える。そのようにしながら外部モータ(図示せず)によって、ローラ54を回転させると、ガラスは溶融部の下で引き伸ばされて繊維状のガラス繊維110になる。ガラス繊維110の太さは、母材であるガラス棒100の下方向への移動速度、溶融炉の温度、ローラ54の回転数などで制御することができる。
【0058】
ローラ54の下には、巻取り用ロール56を設け、ローラ54を通過したガラス繊維110を強く引っ張ることなく巻き取っていく。
本実施例では、ガラス繊維の直径を0.05〜0.06mmとなるように制御したが、上記のとおり、ローラ54の回転数などの条件により、さらに細いガラス繊維も作製できる。また、本実施例以外にもダイレクトメルト法等でガラス繊維を作製することも可能である。
【0059】
本実施例では、母ガラスの組成として、表1の実施例5の組成と同じものを使用した。
このようにして作製したガラス繊維110を図4に示すように一方向に並べ、フレーム60上に接着剤62で固定した。このガラス繊維110をフレーム60ごと図1に示す試料ホルダ22に固定してレーザ加工性を調べた。
【0060】
さまざまな強度のレーザ光を照射し、ガラス繊維110が切断されるかどうかを調べたところ、エネルギー密度が約300mJ/(pulse・cm2)の際にガラス繊維110が切断されることが分かった。これは後で示す比較例のガラスに較べて、明らかに低い加工しきい値であり、本発明のガラスの優位性が明らかになった。
【0061】
(ガラス繊維と樹脂との複合体)
次に、ガラス繊維を樹脂で被覆した複合体を次のように作製して、レーザ加工性を調べた。
ガラス繊維を樹脂で被覆した複合体を図5に示す。図5において、(a)は斜視図であり、(b)は中央部X−Xでの断面図である。
図5に示すように、フレーム60に接着固定したガラス繊維110をフレーム60ごと容器70に入れ、エポキシ樹脂72を含浸させ、硬化させることで、ガラス繊維110とエポキシ樹脂72とからなる複合材を作製した。
【0062】
この複合材をガラス繊維の場合と同じく、図1に示す試料ホルダ22に固定して、加工が開始されるエネルギー密度を測定したところ、約300mJ/(pulse・cm2)であることを確認した。
【0063】
なお、ここでいう加工が開始されるエネルギー密度とは、図6(a)に示すように、エポキシ樹脂72もガラス繊維110もレーザ光10の照射により加工されるエネルギーである。なお、それより低いエネルギーでもエポキシ樹脂のみならばレーザ加工できる。この場合は、エポキシ樹脂72のみが蒸発するので、加工後には、ガラス繊維110が加工されずに残存し、図6(b)のような加工形状になる。
【0064】
本発明のガラス繊維は、後述する比較例のガラスに較べて、低いエネルギーでガラス繊維の残存のない良好な加工を行うことができる。すなわち、ガラス繊維を樹脂で被覆した複合材としてレーザ加工を行う際にも優位性があることは明らかである。
【0065】
このように、ガラス繊維自体のレーザ加工性が良くなるようにガラス組成を調整しているので、ガラス繊維単体として使用したときも、また、ガラス繊維と樹脂の複合材として使用したときも、レーザ光に対し良好な加工を行うことができる。さらに、ガラス繊維と樹脂の複合材を基材として、この基材に配線パターンを設けたプリント配線板として使用したときも、レーザ光に対し良好な加工を行うことができる。
【0066】
なお、本実施例では、直線状のガラス繊維や、この直線状のガラス繊維と樹脂との複合材のレーザ加工について説明したが、ガラス繊維の形状は直線に限定されず、曲線であってもよい。また、樹脂の中に様々な形状のガラス繊維が入っていてもよく、例えば、樹脂の中に直線状のガラス繊維がランダムに入った複合材、あるいは樹脂の中に曲線状のガラス繊維が入った複合材であってもよい。
【0067】
また、本実施例では、ガラス繊維のレーザ加工および、ガラス繊維と樹脂の複合材のレーザ加工について説明したが、ガラス繊維を織ったガラス織布、このガラス織布と樹脂との複合材もレーザにより容易に加工を行うことができる。
【0068】
同様に、ガラス粉末や、このガラス粉末と樹脂との複合材もレーザにより容易に加工を行うことができる。複合材に用いるガラス粉末の厚さは、数μm〜数百μmが好ましいが、樹脂の厚さにより適宜変えてもよい。また、ガラス粉末の形状は特に限定されず、例えば、球状、平板状など様々な形状のものを用いることができる。
【0069】
また、本実施例では、レーザ光のエネルギーを吸収する元素としてTiを用いたが、レーザ光のエネルギーを吸収する元素は、Ti、鉄、バナジウム、ビスマス、鉛、タリウム、すず、セリウム、ロジウム、コバルト、銀のうちの少なくともいずれか1種であってもよい。
【0070】
以上のように、本発明では、従来に較べて低エネルギーのレーザで、ガラス繊維やこれと樹脂との複合材、ガラス織布やこれと樹脂との複合材、ガラス粉末やこれと樹脂との複合材をレーザ加工できるので、従来に較べて低パワーのレーザ装置を使用できるようになる。すなわち、小型のレーザ装置を用いることができるようになった。
【0071】
【比較例】
比較例として、ソーダライムガラスについて、上記と同じ方法により、ガラス繊維や、ガラス繊維とエポキシ樹脂とからなる複合材を作製し、レーザ加工性を調べた。レーザ加工性の評価は実施例と同様な方法で行った。ガラス繊維が加工され始めるエネルギーは、約1J/(pulse・cm2)であった。また、ガラス繊維とエポキシ樹脂からなる複合材が加工され始めるエネルギーも約1J/(pulse・cm2)であった。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ガラス繊維の内部にレーザ光のエネルギーを吸収する元素が含有されているので、レーザ加工しやすいガラス繊維、ガラス織布およびガラス粉末を提供できる。また、レーザによる穴開けなどの加工が行いやすいガラス繊維と樹脂との複合材、ガラス織布と樹脂との複合材、ガラス粉末と樹脂との複合材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レーザ加工しきい値測定用光学系の模式図。
【図2】レーザ加工用ガラスの加工特性を示す図。
【図3】ガラス繊維の製造装置を示す模式図。
【図4】レーザ加工に用いたガラス繊維の模式図。
【図5】レーザ加工に用いた複合材の模式図。
【図6】複合材のレーザ加工を説明するための模式図。
【符号の説明】
1 光学系
10 レーザ光
12 レーザ光源
20 試料
22 試料ホルダ
24 試料ステージ
30 照射シャッタ
40 パワーメータ
72 エポキシ樹脂
110 ガラス繊維[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a glass fiber and a composite material thereof with a resin, a glass woven fabric and a composite material thereof with a resin, and a glass powder and a composite material thereof with a resin.
[0002]
[Prior art]
Glass fibers and glass woven fabrics are widely used for fiber-reinforced plastics, filtration separation filters, gas filters, heat insulation materials, heat insulation materials, non-combustion materials, high-strength cloth materials such as tents, and substrates for printed wiring boards. . The glass powder is mixed with a resin or the like to improve the strength, heat resistance, abrasion resistance and the like of the resin or the like. Glass is a material that has high strength, high heat resistance, and is chemically stable, and is therefore used in various fields as described above.
[0003]
On the other hand, laser processing is used as a processing method for various materials such as metal and resin, such as cutting and drilling. However, glass is generally known as a material that is more difficult to laser-process than resin. In particular, when laser processing a composite material in which glass is coated with a resin, the processing speed of the resin is higher than that of glass, so that it is difficult to uniformly process such a composite material.
[0004]
For example, an insulating material of a printed wiring board is a composite material including a matrix resin as an organic material and a glass woven fabric as an inorganic material. In the case where a through hole or a via hole or the like is opened by a laser beam, the processing state of the resin and the glass is different, so that the inner wall surface is roughened, and in some cases, the glass fiber remains without evaporating.
[0005]
Regarding the laser drilling of this printed wiring board, for example, a glass woven fabric for printed wiring that can perform good small-diameter hole processing by thinning the glass woven fabric and arranging adjacent glass fibers with substantially no gap. It is disclosed (see Patent Document 1).
[0006]
[Patent Document 1]
JP-A-2002-242047
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
However, the conventional glass woven fabric improves the uniformity of the small-diameter holes by laser processing by making the distribution of the glass fibers uniform, but the glass fibers used are conventional. Therefore, the laser processing characteristics of the glass fiber and the resin remain different as before. The glass fiber itself is easily laser-processed, and, for example, the processing threshold value is lowered, and if the processing threshold value approaches the processing threshold value of the resin, more uniform and favorable processing can be performed. A glass fiber which is easy to be laser-processed is desired. Further, there is a demand for a glass powder which can be easily laser-processed so that the glass powder does not remain even when the resin containing the glass powder is laser-processed.
[0008]
The present invention has been made in view of such conventional problems. The aim is to provide glass fibers, glass woven fabrics and glass powders which are easy to laser process. Another object of the present invention is to provide a composite material of glass fiber and resin, a composite material of glass woven fabric and resin, and a composite material of glass powder and resin, which are easily processed by laser drilling or the like.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, the invention according to claim 1 is a glass fiber, wherein the glass fiber contains an element that absorbs the energy of laser light.
[0010]
According to a second aspect of the present invention, in the first aspect, the element is at least one of titanium, iron, vanadium, bismuth, lead, thallium, tin, cerium, rhodium, cobalt, and silver. Make a summary.
[0011]
According to a third aspect of the invention, in the first aspect, at least titanium is contained as the element, and the composition satisfies the following condition.
However, 1 ≦ TiO 2 ≦ 40 mol%.
[0012]
According to a fourth aspect of the invention, there is provided a composite material including the glass fiber and the resin according to any one of the first to third aspects.
[0013]
The gist of the invention described in claim 5 is that the gist is woven with the glass fiber of any one of claims 1 to 3.
[0014]
According to a sixth aspect of the present invention, a composite material includes the glass woven fabric according to the fifth aspect and a resin.
[0015]
According to a seventh aspect of the present invention, there is provided a composite material according to the fourth or sixth aspect, wherein a base material is provided, and a wiring pattern is provided on the base material.
[0016]
The invention of claim 8 is a glass powder, wherein the glass powder contains an element that absorbs the energy of laser light.
[0017]
According to a ninth aspect of the present invention, in the eighth aspect, the element is at least one of titanium, iron, vanadium, bismuth, lead, thallium, tin, cerium, rhodium, cobalt, and silver. Make a summary.
[0018]
According to a tenth aspect of the present invention, in the eighth aspect, at least titanium is contained as the element, and the composition satisfies the following condition.
However, 1 ≦ TiO 2 ≦ 40 mol%.
[0019]
According to an eleventh aspect of the present invention, there is provided a composite material including the glass powder and the resin according to any one of the eighth to tenth aspects.
[0020]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
The present inventors have investigated in detail the relationship between the composition ratio of various elements constituting the glass fiber and their oxides and the laser processing characteristics, and in particular, the laser processing performance has been remarkably improved in a predetermined composition range containing a specific element. We found that it became good. Glass woven fabrics made from these fibers also showed good laser workability. Furthermore, it was confirmed that the mixture of the glass fiber or the glass woven fabric and the resin also exhibited good laser workability.
[0021]
Similarly, with respect to glass powder, the relationship between the composition ratios of various elements constituting the glass powder and their oxides and the laser processing characteristics was examined in detail, and particularly, the laser processing performance in a predetermined composition range including a specific element. Was found to be significantly better. Furthermore, it was found that the mixture of the glass powder and the resin also exhibited good laser workability.
[0022]
Hereinafter, the present embodiment will be described using glass fibers as an example.
The glass fiber includes a long glass fiber mainly used as a composite material and a short glass fiber mainly used as a heat insulating material or a sound absorbing material. As a method for producing long fibers, there are a direct melt method in which glass is directly fiberized from a nozzle at the bottom of a glass melting furnace, and a marble melt method in which glass once formed is remelted and fiberized. In the case of short fibers, as in the case of long fibers, there are a direct melting method and a marble melt method as a melting method, and the molten glass is blown off with a centrifugal force, flame, steam, compressed air, or the like to form fibers.
[0023]
Experimentally, a method of heating the tip of a once formed glass rod and stretching the glass from the portion where the viscosity of the tip has decreased, or a method of pulling the glass from the surface of the molten glass into a fibrous shape are performed.
[0024]
In any case, in order to perform good spinning, it is important to optimize the viscosity of the glass in the process of changing the molten glass into glass fiber. Empirically, in the case of direct melt, spinning is possible when the viscosity of the glass flowing through the nozzle is 50 to 150 Pa · s (500 to 1500 P).
[0025]
The glass fiber of the present invention is also produced by any of the above methods. Here, since the glass composition range of the present invention is determined by the quality of laser workability, physical properties such as a melting point greatly change within the composition range of the present invention. Therefore, it is necessary to set the production conditions such as the glass melting temperature and the temperature at the tip of the nozzle at the time of spinning to the optimal spinning conditions as appropriate according to the physical properties of the glass.
[0026]
Types of glass fiber include a single fiber (called a filament) continuously drawn from one nozzle and a fiber bundle (called a strand) in which a large number of filaments are bundled with a sizing agent during spinning. Filaments are produced in predetermined diameters ranging from 3 to 24 μm depending on the application.
[0027]
The feature of the glass fiber of the present invention resides in the glass itself as a raw material, so that it can be applied to glass fibers having various diameters or cross-sectional shapes without depending on the fiber shape.
[0028]
Glass fibers are used in the form of yarn or roving that is used continuously in the form of yarn or cord, or in the form of a sheet, mixed with a glass woven cloth (cloth) used for lamination or winding and pasting, and matted or chopped with a matrix. There are various shapes such as chopped strands to be used. In any of the shapes, the characteristics of the glass fiber itself are not changed, so that the glass fiber of the present invention can be applied to the various shapes described above.
[0029]
Composite materials utilizing the high strength of glass fibers are also widely used. For example, glass fiber, glass woven, etc., for the purpose of reinforcing the resin, such as a glass fiber reinforced thermosetting resin (FRP), a glass fiber reinforced thermoplastic resin (FRTP), a printed wiring board, and the like. A material in which cloth or glass fiber is combined with a resin is often used.
[0030]
In addition to resin, composite materials with glass fiber reinforced rubber (FRR) or glass fiber reinforced cement (GRC) are also used in various fields. Even if such a composite is formed, the physical properties of the glass fibers themselves do not change, so that when processing such composites with a laser, it is needless to say that the processing quality due to the glass fibers is improved. Absent.
[0031]
In particular, when the present invention is applied to a composite material of a matrix resin and a glass fiber, which is an organic material, or a composite material of a matrix resin and a glass woven fabric, laser processing of these composite materials can be easily performed.
[0032]
For example, when the glass fiber or the glass woven fabric of the present invention is used for a printed wiring board as such a composite material, the glass fiber itself can be easily laser-processed, so that the quality of a hole when a through hole or a via hole is opened by a laser. Is significantly improved. That is, it is possible to obtain a through hole or a via hole in which the roughness of the inner wall surface is small and the glass fiber residue is small.
[0033]
However, even when the glass fiber of the present invention is used, the laser processing threshold value of the glass fiber is larger than that of the resin, so that it is necessary to perform processing with at least an energy higher than the processing threshold value of the glass.
[0034]
Various lasers such as a carbon dioxide gas laser, a YAG laser, a copper vapor laser, a titanium sapphire laser, and an excimer laser can be used for the laser processing. Which one of these lasers is used depends on the characteristics of the workpiece and the size of the processed portion. For example, since light has a smaller size at the focal point as the wavelength is shorter, it is more advantageous to select a laser with a shorter wavelength when performing processing with a smaller size (for example, forming a fine hole).
[0035]
In some cases, the original laser light may be converted into a higher harmonic wave, shortened in wavelength, and used for processing. In this example, the fundamental wave (wavelength 1064 nm) of the YAG laser is converted into a second harmonic (wavelength 532 nm), a third harmonic (wavelength 355 nm) or a fourth harmonic (wavelength 266 nm) and used for processing. And the like.
[0036]
The glass fiber of the present invention can be processed using these various lasers. In particular, a laser having a short wavelength, for example, a third harmonic or a fourth harmonic of a YAG laser, or an ultraviolet wavelength such as a KrF excimer laser is used. It shows excellent workability for lasers with.
[0037]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in detail based on examples.
(Bulk glass)
Prior to producing glass fibers, the laser processability (processing threshold) of glasses of various compositions was evaluated using bulk glass produced by a melting method.
Table 1 shows the composition of the produced glass, and Tables 2 and 3 show the evaluation results of the processing threshold value.
[0038]
[Table 1]
[0039]
[Table 2]
[0040]
[Table 3]
[0041]
The processing threshold was measured using the optical system 1 shown in FIG. As the laser light 10, ultraviolet light of the third harmonic (wavelength: 355 nm) and the fourth harmonic (wavelength: 266 nm) of an Nd: YAG laser was used. The repetition frequency of the laser light source 12 was 20 Hz, and the pulse width was 5 to 8 ns. The laser beam 10 is condensed by a lens (not shown) having a focal length of 100 mm, and is irradiated on a glass sample 20 fixed to a sample holder 22 on a sample stage 24. The irradiation time was controlled by the irradiation shutter 30 and was 2 seconds.
[0042]
The energy of the laser light 10 was measured by putting the power meter 40 in the optical path of the laser light 10 with the irradiation shutter 30 closed. The sample was irradiated with the laser beam 10 while changing this energy in various ways, and the limit energy at which ablation occurred was determined, and was used as the processing threshold value.
[0043]
The glass for laser processing was produced by mixing predetermined raw materials, melting in an electric furnace, and then gradually cooling. The obtained glass block was cut and polished by a general method to prepare an experimental laser processing glass sample having a plate-like and smooth surface.
Hereinafter, examples using the present invention will be described, but the present invention is not limited to these examples.
[0044]
Table 1 shows the compositions of Examples 1 to 18 of the glass for laser processing of the present invention. Examples 1 to 5 are compositions in which the amount of the intermediate oxide is changed. Examples 6-8 are examples of changing the network forming oxide without changing the amount of TiO 2 of the composition of Example 5. Examples 9 and 10 are examples in which the addition amount of the modified oxide was changed without changing the amount of TiO 2 in the composition of Example 5. Examples 11 and 12 have compositions in which the amounts of SiO 2 as the network forming oxide and TiO 2 as the intermediate oxide are greatly changed. Examples 13 to 18 is an example of changing the type of modifier oxide without changing the amount of TiO 2 of the composition of Example 5.
[0045]
The composition range of each component was as follows with the unit being mol%.
Network-forming oxide (SiO 2 , B 2 O 3 ): 20.0 to 79.0
Intermediate oxide (Al 2 O 3, TiO 2 ): 1.0~40.0
However, TiO 2 is essential to contain 1.0 to 40.0 mol%.
Modified oxide (Li 2 O, Na 2 O, K 2 O, Rb 2 O, Cs 2 O, MgO, CaO, SrO, BaO): 5.0 to 60.0
The glass for laser processing of the present invention is substantially composed of the above composition except for a trace amount of impurities. Each component may not be contained as long as the above composition range is satisfied except for TiO 2 .
[0046]
In the glass having the above composition, the skeleton as the glass can be maintained by containing 20 to 79 mol% of SiO 2 or B 2 O 3 which is a network forming oxide of the glass.
[0047]
Modified oxides such as Li 2 O, Na 2 O, K 2 O, Rb 2 O, Cs 2 O, MgO, CaO, SrO, or BaO partially break the network structure of glass, and therefore have high viscosity at high temperatures. It is a component used to weaken the viscosity and moderate the temperature gradient of viscosity. A glass can be produced within the range of 5 to 60 mol% according to the present invention.
[0048]
Al 2 O 3 or TiO 2 is an intermediate oxide, and SiO 2 or B 2 O 3 which is a network forming oxide, and LiO 2 , Na 2 O, K 2 O, Rb 2 O, and Cs which are modification oxides Depending on the balance of 2 O, MgO, CaO, SrO or BaO, it can be present in the glass either as a network oxide or as a modified oxide. In particular, TiO 2 as an intermediate oxide is a component used for lowering the processing threshold as described later.
[0049]
A laser beam having a wavelength of 266 nm was irradiated to the laser processing glass sample having the above composition while changing irradiation energy. Table 2 shows the resulting processing threshold values. Next, the same experiment was performed by changing the wavelength of the laser beam to 355 nm. Table 3 shows the obtained processing threshold values.
[0050]
The minimum power measurable by the power meter when irradiating a laser beam with a wavelength of 266 nm was 15 mW, and it was not possible to compare the superiority and the lower value. In addition, when irradiating a laser beam having a wavelength of 355 nm, it was not possible to accurately measure a value of 100 mW or less due to a problem of laser stability.
[0051]
In Examples 1 to 5 in which the amount of the intermediate oxide was changed, as shown in FIG. 2, as the amount of TiO 2 increased, the processing threshold value became lower, and in Example 5 (TiO 2 : 25 mol %), The processing threshold value has decreased to the measurement limit.
[0052]
In Examples 6 to 8 in which the network-forming oxide was changed without changing the amount of TiO 2 in the composition of Example 5, even if the ratio of the network-forming oxide, SiO 2 and B 2 O 3 was changed. The processing threshold does not change below the measurement limit.
[0053]
In Examples 9 and 10 in which the amount of the modified oxide was changed without changing the amount of TiO 2 in the composition of Example 5, processing was performed even when the amount of Na 2 O as the modified oxide was changed. The threshold did not change below the measurement limit.
[0054]
In the compositions of Examples 11 and 12 in which the amounts of SiO 2 of the network forming oxide and TiO 2 of the intermediate oxide were greatly changed, the processing threshold value was lower than those of Comparative Examples 1 and 2 even with these compositions. The effect is working.
[0055]
Example Example was varied types of modifying oxide without changing the amount of TiO 2 of the composition of 5 13 to 18, also by changing the type of modifier oxides, processing threshold is lower than the detection limit Did not change.
[0056]
(Glass fiber)
As described above, glass fibers having the same composition as glass that exhibited excellent laser workability in bulk form were produced by the following method, and the laser workability was examined.
First, a bulk glass was produced by a usual melting method, and the glass was cut to produce a square prism glass rod of about 20 mm × 20 mm × 200 mm. A corner in the long side direction of this glass rod was cut off to obtain an approximately octagonal glass rod. Further, each corner was polished using a cylindrical polishing tool to produce a cylindrical glass rod having a diameter of about 20 mm and a length of 200 mm.
[0057]
When this glass is suspended in a high-temperature furnace 50 as shown in FIG. 3 and the tip of the glass rod 100 is melted, the glass in a molten state extends downward due to gravity. The molten glass is sandwiched between a pair of rollers 54 provided below the melting furnace, and a force is applied to the glass from the left and right directions. When the roller 54 is rotated by an external motor (not shown) in such a manner, the glass is stretched under the molten portion to be a glass fiber 110. The thickness of the glass fiber 110 can be controlled by the downward moving speed of the glass rod 100 as the base material, the temperature of the melting furnace, the number of rotations of the roller 54, and the like.
[0058]
A winding roll 56 is provided below the roller 54, and the glass fiber 110 that has passed through the roller 54 is wound without being strongly pulled.
In this embodiment, the diameter of the glass fiber is controlled to be 0.05 to 0.06 mm. However, as described above, a thinner glass fiber can be produced depending on conditions such as the number of rotations of the roller 54. In addition to the present embodiment, it is also possible to produce glass fibers by a direct melt method or the like.
[0059]
In the present example, the same composition as that of Example 5 in Table 1 was used as the composition of the mother glass.
The glass fibers 110 produced in this manner were arranged in one direction as shown in FIG. 4, and fixed on the frame 60 with an adhesive 62. The glass fiber 110 was fixed together with the frame 60 to the sample holder 22 shown in FIG.
[0060]
By irradiating laser beams of various intensities and examining whether or not the glass fiber 110 was cut, it was found that the glass fiber 110 was cut when the energy density was about 300 mJ / (pulse · cm 2 ). . This is a clearly lower processing threshold value as compared with the glass of the comparative example described later, and the superiority of the glass of the present invention became clear.
[0061]
(Composite of glass fiber and resin)
Next, a composite in which glass fibers were coated with a resin was prepared as follows, and laser workability was examined.
FIG. 5 shows a composite in which glass fibers are coated with a resin. In FIG. 5, (a) is a perspective view, and (b) is a cross-sectional view at the center XX.
As shown in FIG. 5, the glass fiber 110 bonded and fixed to the frame 60 is put into the container 70 together with the frame 60, and impregnated with the epoxy resin 72 and cured, whereby a composite material composed of the glass fiber 110 and the epoxy resin 72 is formed. Produced.
[0062]
This composite material was fixed to the sample holder 22 shown in FIG. 1 as in the case of the glass fiber, and the energy density at which processing was started was measured. As a result, it was confirmed that the energy density was about 300 mJ / (pulse · cm 2 ). .
[0063]
Here, the energy density at which the processing is started is the energy at which both the epoxy resin 72 and the glass fiber 110 are processed by the irradiation of the laser beam 10, as shown in FIG. It should be noted that laser processing can be performed using only epoxy resin even at lower energy. In this case, since only the epoxy resin 72 evaporates, after processing, the glass fiber 110 remains without being processed, and has a processed shape as shown in FIG. 6B.
[0064]
The glass fiber of the present invention can perform favorable processing without residual glass fiber with lower energy than the glass of the comparative example described later. That is, it is clear that there is an advantage when performing laser processing as a composite material in which glass fibers are coated with a resin.
[0065]
As described above, the glass composition is adjusted so that the laser processability of the glass fiber itself is improved. Therefore, when the glass fiber is used alone, or when used as a composite material of the glass fiber and the resin, the laser is used. Good processing can be performed on light. Further, even when a composite material of glass fiber and resin is used as a base material and used as a printed wiring board having a wiring pattern provided on the base material, favorable processing with respect to laser light can be performed.
[0066]
Note that, in the present embodiment, laser processing of a linear glass fiber or a composite material of the linear glass fiber and the resin has been described, but the shape of the glass fiber is not limited to a straight line, and may be a curved line. Good. Further, various shapes of glass fibers may be contained in the resin, for example, a composite material in which linear glass fibers are randomly contained in the resin, or a curved glass fiber is contained in the resin. Composite material.
[0067]
In this embodiment, laser processing of glass fiber and laser processing of a composite material of glass fiber and resin have been described. However, a glass woven cloth woven of glass fiber, and a composite material of this glass woven cloth and resin are also laser-processed. The processing can be performed more easily.
[0068]
Similarly, glass powder and a composite material of this glass powder and a resin can be easily processed by laser. The thickness of the glass powder used for the composite material is preferably several μm to several hundred μm, but may be appropriately changed depending on the thickness of the resin. The shape of the glass powder is not particularly limited, and various shapes such as a spherical shape and a flat shape can be used.
[0069]
Further, in this embodiment, Ti is used as the element that absorbs the energy of the laser light. At least one of cobalt and silver may be used.
[0070]
As described above, in the present invention, a glass fiber or a composite material thereof with a resin, a glass woven fabric or a composite material thereof with a resin, a glass powder or a composite material thereof with a resin, using a laser having a lower energy compared with the related art. Since the composite material can be laser-processed, a laser device having a lower power than in the past can be used. That is, a small laser device can be used.
[0071]
[Comparative example]
As a comparative example, with respect to soda lime glass, a glass fiber or a composite material composed of a glass fiber and an epoxy resin was produced by the same method as described above, and the laser processability was examined. Evaluation of laser workability was performed in the same manner as in the examples. The energy at which the glass fibers began to be processed was about 1 J / (pulse · cm 2 ). Further, the energy at which the composite material composed of the glass fiber and the epoxy resin was processed was also about 1 J / (pulse · cm 2 ).
[0072]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, since an element that absorbs the energy of laser light is contained in the glass fiber, it is possible to provide a glass fiber, a glass woven fabric, and a glass powder that are easily laser-processed. Further, it is possible to provide a composite material of glass fiber and resin, a composite material of glass woven fabric and resin, and a composite material of glass powder and resin, which are easily processed by laser drilling or the like.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic view of an optical system for measuring a laser processing threshold value.
FIG. 2 is a view showing processing characteristics of laser processing glass.
FIG. 3 is a schematic view showing a glass fiber manufacturing apparatus.
FIG. 4 is a schematic view of glass fibers used for laser processing.
FIG. 5 is a schematic view of a composite material used for laser processing.
FIG. 6 is a schematic view for explaining laser processing of a composite material.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1 Optical system 10 Laser beam 12 Laser light source 20 Sample 22 Sample holder 24 Sample stage 30 Irradiation shutter 40 Power meter 72 Epoxy resin 110 Glass fiber